説明

活動支援システム

【課題】移動体による効率的な活動を支援する活動支援システムを提供する。
【解決手段】移動局装置4は、地図上に設備の位置を表す情報を表示して、設備の使用を選択するための情報を受け付け、設備の選択結果を表す情報と当該移動局装置4に予め割り当てられた識別情報とを含む選択情報を情報管理サーバ5に送信する。情報管理サーバ5は、移動局装置4から送信される選択情報を受信して蓄積し、移動局装置4から送信された要求に応じて、上記蓄積された選択情報をもとに設備の選択状況を表す情報を送信する。移動局装置4は、情報管理サーバ5から送信された情報をもとに少なくとも他の移動体による設備の選択状況とその設備を選択した移動体を表す情報とを地図上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、消火活動を行う際の消防隊など、移動体による活動を支援するための活動支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消防活動において119番入電後、各複数の隊が火災元に出場する際、火災地点の地図、及び火災地点を中心とした水利(消火栓)情報を移動局で取得して表示することは可能であった。しかし、消火活動を実施するにあたり、どの隊がどの水利を使用するかを前もって把握する手段がなかった。
【0003】
なお、本願に関連する公知文献として、次のようなものがある(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2005−101920公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、移動局において、どの地点に水利が存在するかは事前に把握することはできるが、どの車両がどの水利を使用しているかは、現場に到着するまでわからなかった。このため、1つの水利に複数の隊が到着してしまうなど、消火活動を行う際の効率が悪かった。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、移動体による効率的な活動を支援する活動支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためにこの発明に係る活動支援システムは、移動体に設けられた移動局装置と、該移動局装置と無線回線を介して接続される管理装置とを具備する活動支援システムであって、前記移動局装置は、所定の設備情報を表示する手段と、前記所定の設備を選択し使用することを示す設備選択情報を前記管理装置に送信する手段と
を具備し、前記管理装置は、前記移動局装置から送信される前記設備選択情報を蓄積する手段と、前記移動局装置からの要求に応じて前記蓄積された選択情報をもとに前記所定の設備の情報を前記移動局装置へ送信する手段とを具備するものである。
【0007】
また、この発明に係る活動支援システムは、複数の移動体それぞれに設けられる複数の移動局装置と、前記複数の移動局装置と無線回線を介してそれぞれ接続される管理装置とを具備し、前記複数の移動体が地理的に分散配置された設備を選択的に使用して行う活動を支援する活動支援システムであって、前記複数の移動局装置それぞれは、地図上に前記設備の位置を表す情報を表示して、前記設備の使用を選択するための情報を受け付ける手段と、前記受け付けられた設備の選択結果を表す情報と当該移動局装置に予め割り当てられた識別情報とを含む選択情報を前記管理装置に送信する手段と、前記設備の選択状況を表す情報を取得するための要求を前記管理装置に送信する手段と、前記要求に応じて前記管理装置から送信された情報をもとに、少なくとも他の移動体による前記設備の選択状況とその設備を選択した移動体を表す情報とを前記地図上に表示する手段とを具備し、前記管理装置は、前記複数の移動局装置から送信される選択情報を受信する手段と、前記受信された選択情報を蓄積する手段と、前記移動局装置から送信された要求に応じて前記蓄積された選択情報をもとに前記設備の選択状況を表す情報を送信する手段とを具備する。
【0008】
また、上記活動支援システムにおいて、前記移動局装置は、前記移動体の位置情報を取得する手段と、前記移動体の動態情報を取得する手段とをさらに具備し、前記選択情報を前記管理装置に送信する手段は、前記取得された位置情報と動態情報とをもとに当該地点に対応する設備を前記移動体が使用しているか否かを判定し、この判定結果に基づいて前記選択情報を前記管理装置に送信する。
【0009】
上記構成によれば、例えば消防活動において、各消防隊が消火活動を行う上で事前に使用する水利を選択することで、現場に到着する前に他隊の選択状況を把握することができるため、水利の選択が重複することがなく、効率的な消火活動が可能となる。
【発明の効果】
【0010】
したがってこの発明によれば、移動体による効率的な活動を支援する活動支援システムを提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態に係る活動支援システムの概略構成図である。
この活動支援システムは、各移動局(移動体)に活動命令を行う上位装置1、各装置間の音声又はデータ通信を制御する回線交換部2、移動局から送信される情報を蓄積、管理及び、配信する情報管理サーバ5、回線交換部2と有線回線等で接続され、移動局間の無線中継を行う基地局3−1〜3−3、及び、主に陸上を移動して他移動局と無線通信を行う移動局4−1,4−2を備える。なお、基地局及び移動局の数は一例であり、任意に選択可能である。
【0012】
本システムは、例えば、消防・救急活動を支援するために用いられ、移動局4−1,4−2は、ポンプ車等の消防・救急車両に搭載されるものとする。119番入電後、上位装置1は回線交換部2及び通信範囲内の基地局3−1〜3−3を介して移動局4−1,4−2に出場指令を行う。この出場指令にしたがって、移動局4−1,4−2は火災もと地点(以下、火点)周辺に分散配置された消火栓(以下、水利)を使用して消火活動を行う。
【0013】
図2は、各移動局4−1,4−2に搭載される移動局装置の構成を示すブロック図である。
移動局装置4は、制御部41、無線通信インタフェース(無線通信I/F)42、GPS受信部43、地図データ記憶部44、操作表示部45、及び水利選択情報送信部46を備える。無線通信I/F42は、制御部41による制御の下、通信範囲内の基地局3−1との間で無線通信を行う。GPS受信部43は、GPS衛星から自局の位置情報を受信する。受信された位置情報は定期的に上位装置1に送られる。地図データ記憶部44には、建物や道路等が示された地図データが記憶される。操作表示部45は、車両に搭載される操作器であり、操作入力用の操作ボタンと、液晶表示器(LCD)等の表示装置や車両内のスピーカなどで構成される。水利選択情報送信部46は、制御部41により実行される制御プログラムであり、操作表示部45に入力された選択した水利を表す情報を当該移動局に予め割り当てられた識別情報(移動局ID)と共に水利選択情報として、基地局3−1を介して情報管理サーバ5に送信する。
【0014】
図3は、情報管理サーバ5の構成を示すブロック図である。
情報管理サーバ5は、制御部51、水利位置データベース52、水利選択状況データベース53、通信インタフェース(通信I/F)54、及びデータベース管理部55を備える。通信I/F54は、制御部51による制御の下、通信範囲内の基地局3−1との間で通信を行う。水利位置データベース52は、水利の位置(例えば、緯度経度)を格納する。水利選択状況データベース53には、水利の選択状況(移動局による選択の有無)と、水利の使用状況(使用中/未使用/使用済等)とが蓄積される。
【0015】
データベース管理部55は、制御部51により実行される制御プログラムであり、各移動局4−1,4−2から送られてくる水利選択情報をもとに、移動局IDと選択された水利を表す情報(選択水利)とを対応付けて水利選択状況データベース53に蓄積する。また、出場指令があった移動局に向けて、水利位置データベース52及び水利選択状況データベース53を参照して、火点周辺の水利位置を表す情報及び他の移動局による水利の選択状況を表す情報を送信する。
【0016】
次に、このように構成された活動支援システムの動作について説明する。
例えば、上位装置1から1件の119番(以下、事案)に対して複数の移動局4−1,4−2に出場指令が行われたものとする。この場合、同一事案に対して複数の消防隊(以下、隊)が出場するため、火点周辺の水利を隊毎に重複を避けて選択できるようにする必要がある。
【0017】
出場指令が行われると、まず、情報管理サーバ5は、水利位置データベース52を参照して、出場指令があった移動局装置4に向けて、火点周辺の水利位置を表す情報を表す情報を送信する。移動局装置4は、情報管理サーバ5から送信された火点周辺の水利位置を表す情報をもとに地図データ記憶部44から火点周辺の地図データを読み出して、操作表示部45の画面に地図上に水利の位置を表した情報を表示する。移動局装置4は、操作表示部45において選択された水利を表す情報を移動局IDと共に選択情報として情報管理サーバ5に送信する。情報管理サーバ5は、移動局装置4から送信された選択情報を受信して水利選択状況データベース53に蓄積する。
【0018】
さらに、移動局装置4は、情報管理サーバ5から当該事案の火点周辺の水利位置を表す情報を取得するとともに、同一事案で出場している他隊により選択されている水利を表す情報を情報管理サーバ5に要求する。情報管理サーバ5は、この要求に応じて水利選択状況データベース53を参照し、他の移動局により既に選択されている水利を表す情報を返送する。移動局装置4は、返送された情報をもとに、他の移動局による水利の選択状況を表す情報を操作表示部45の画面上に表示する。
【0019】
この画面イメージの一例を図4に示す。図4は、隊Aの移動局装置4の表示例であり、現在位置400が隊の名称(隊A)と共に表示されている。水利401〜403が地図上の配置位置に表示され、水利401は隊Aに、水利402は隊Bによって既に選択されていることが把握できる。このように、どの水利がどの隊により既に選択済みであるかを事前に把握することができる。
【0020】
以上述べたように、上記第1の実施形態では、移動局装置4は、地図上に設備の位置を表す情報を表示して、設備の使用を選択するための情報を受け付け、設備の選択結果を表す情報と当該移動局装置4に予め割り当てられた識別情報とを含む選択情報を情報管理サーバ5に送信する。情報管理サーバ5は、移動局装置4から送信される選択情報を受信して蓄積し、移動局装置4から送信された要求に応じて、上記蓄積された選択情報をもとに設備の選択状況を表す情報を送信する。移動局装置4は、情報管理サーバ5から送信された情報をもとに、少なくとも他の移動体による設備の選択状況とその設備を選択した移動体を表す情報とを地図上に表示する。
【0021】
したがって上記第1の実施形態によれば、例えば消防活動において、各消防隊が活動を行う上で事前に使用する水利を選択することで、現場に到着する前に他隊の選択状況を把握することができるため、水利の選択が重複することがなく、効率的な消火活動が可能となる。
【0022】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、移動局装置が移動体の動態情報を取得し、動態情報と移動体の位置情報とをもとに当該地点の設備の使用状況を判断し、使用中と判断された水利を選択したものとして選択情報を自動的に情報管理サーバに送信するようにしたものである。以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について、上記第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0023】
図5は第2の実施形態に係る移動局装置の構成を示すブロック図である。なお、図5において、上記第1の実施形態の図2と同一部分については同一符号を付し、詳しい説明は省略する。図5において、移動局装置4は、第1の実施形態の構成に加え、動態情報取得部47をさらに備えることを特徴とする。また、水利選択情報送信部46の動作に違いがある。
【0024】
動態情報取得部47は、当該装置が搭載される移動体の動態情報を取得する。ここでは、例えば、移動局装置4はポンプ車に搭載され、動態情報取得部47は、動態情報として、消防ポンプによる吸い上げの状態を表す動力切替情報を取得するものとする。また、水利選択情報送信部46は、動態情報取得部47により取得される動力切替情報とGPS受信部43により受信される位置情報とをもとに当該地点の水利の使用及び活動(吸い上げ中/吸い上げ停止)状況を判断し、使用中と判断された水利を選択したものとして選択及び活動情報を情報管理サーバ5に送信する。
【0025】
このように構成することで、消防隊員による選択操作が無くとも、自動的に水利の選択及び活動情報を情報管理サーバに送信することができるようになる。また、ポンプ車の動力切替情報をもとに水利の選択の有無を判断するため、実際の水利の最新の使用状況を的確に把握できるという利点がある。
【0026】
なお、この発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではない。例えば、上記各実施形態では、移動局へ送信する水利の使用状況情報は、使用されている水利の情報を移動局へ送信するように構成したが、これに限らず、現在の水利状況の情報を全て送信し、表示させるようにしても良い。すなわち、この発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る活動支援システムの概略構成図。
【図2】第1の実施形態に係る活動支援システムの移動局装置の機能ブロック図。
【図3】第1の実施形態に係る活動支援システムの情報管理サーバの機能ブロック図。
【図4】移動局装置の操作表示部に表示される画面イメージ図。
【図5】第2の実施形態に係る活動支援システムの移動局装置の機能ブロック図。
【符号の説明】
【0028】
1…上位装置、2…回線交換部、3−1〜3−3…基地局、4−1,4−2…移動局、5…情報管理サーバ、4…移動局装置、41…制御部、42…無線通信インタフェース、43…GPS受信部、44…地図データ記憶部、45…操作表示部、46…水利選択情報送信部、51…制御部、52…水利位置データベース、53…水利選択状況データベース、54…通信インタフェース、55…データベース管理部、47…動態情報取得部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられた移動局装置と、該移動局装置と無線回線を介して接続される管理装置とを具備する活動支援システムであって、
前記移動局装置は、
所定の設備情報を表示する手段と、
前記所定の設備を選択し使用することを示す設備選択情報を前記管理装置に送信する手段と
を具備し、
前記管理装置は、
前記移動局装置から送信される前記設備選択情報を蓄積する手段と、
前記移動局装置からの要求に応じて前記蓄積された選択情報をもとに前記所定の設備の情報を前記移動局装置へ送信する手段と
を具備することを特徴とする活動支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−223825(P2009−223825A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70304(P2008−70304)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】