説明

流体供給システム搭載車両

【課題】自走すると共に用水供給のできる流体供給システム搭載車両を提供する。
【解決手段】空気圧縮機15と空気圧縮機15の上流側に設けられた第1の三方弁18と、空気圧縮機15の下流側の配管ブロック24と配管ブロック24の下流側に設けられた第2の三方弁25とを備え、配管ブロック24を水濾過フィルタに交換した後、プッシュボタン51によって給水運転モードが選択されると、第1の三方弁18と第2の三方弁25とをそれぞれ水吸い込み管19側と給水管26側とに切り換え、空気圧縮機15によって水吸い込み管19から吸い込んだ水を、水濾過フィルタ39を通して給水管26から外部に給水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体供給システム搭載車両の構造及び制御に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機、船舶等は移動中には外部から飲料水の供給を受けることができないため、搭乗者が使用する飲料水をタンク等に貯水することが必要となる。しかし、このような貯水タンクは重量、スペース上の問題があることから、航空機、船舶の中で発生した水を処理して飲料水などを供給するシステムが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、航空機、陸上車両、船舶等に発電用として搭載された燃料電池から発生する水を処理して飲料水や生活用水を航空機内、陸上車両内、船舶内に供給するシステムが提案されている。このシステムは、燃料電池から発生した水を蒸発、凝縮させて蒸留水とした後、活性炭フィルタによって更に不純物を除去し、その後、加塩装置によって必要なミネラル分を加えて飲料水や生活用水として供給するようにしたものである。
【0004】
【特許文献1】特開2004―6312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、社会インフラの整備された地域では、飲料水や生活用水は上水道などによって配水されている場合が多い。また、上水道が整備されていない地域では井戸水などをポンプでくみ上げて利用している場合が多い。しかし、地震などの災害によって上水道のような社会インフラが破損して配水ができなくなる場合や、停電により、井戸からの水をくみ上げることができず、飲料水や生活用水を得ることができない場合がある。また、このような災害の際には、飲料水を配水するための給水車も不足することがあり、生活に大きな支障が出る場合がある。そこで、災害を受けた被災地で自走でき、被災地において飲料水等の生活用水を供給することができるシステムが求められている。
【0006】
本発明は、自走すると共に用水供給のできる流体供給システム搭載車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の流体供給システム搭載車両は、流体を移送する流体移送機と、流体移送機の上流側に設けられ、流体移送機への流路を空気吸い込み側と水吸い込み側とで切り換える第1の流路切り換え弁と、流体移送機の下流側に設けられ、水濾過フィルタと交換自在の配管ブロックと、配管ブロックの下流側に設けられ、配管ブロックからの流体の流路を車両用発電装置側と給水側とで切り換える第2の流路切り換え弁と、第1、第2の流体切り換え弁の動作を制御する制御部と、を備える流体供給システム搭載車両であって、制御部は、配管ブロックが水濾過フィルタに交換された場合には、第1の切り換え弁と第2の切り換え弁とをそれぞれ水吸い込み側と給水側とに切り換え、流体移送機によって水吸い込み側から吸い込んだ水を水濾過フィルタに移送し、濾過した水を給水側から給水する給水手段を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の流体供給システム搭載車両において、流体移送機と車両とは各モータによって駆動され、モータによって駆動される第2の流体移送機と、配管ブロックと独立に車両用発電装置に空気を供給する空気供給配管と、流体移送機と車両と第2の流体移送機とを駆動する各モータに駆動用電力を供給する2次電池と、を有し、制御部は、配管ブロックが水濾過フィルタに交換された場合には、濾過された水を給水側から給水すると共に車両用発電装置によって発電した電力を2次電池に充電する充電手段を備えること、としても好適であるし、車両用発電装置は燃料電池であり、流体移送機は空気圧縮機であること、としても好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、自走すると共に用水供給のできる流体供給システム搭載車両を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示す流体供給システム搭載車両10は、車両用発電装置が燃料電池11であり、燃料電池11で発電した電力を駆動源とする燃料電池車両に本発明を適用したものである。
【0011】
図1に示すように、燃料電池11は酸化剤ガスとして酸素を含む空気を用い、燃料ガスとして水素を用いている。酸化剤ガスである空気は空気圧縮機15によって燃料電池11の空気極12に供給される。空気圧縮機15の上流側には第1の切り換え弁である第1の三方弁18が接続されている。第1の三方弁18の上流側の一方は空気フィルタ17に接続され、上流側の他方は水吸い込み管19に接続されている。水吸い込み管19の先端には吸い込みフィルタ20が設けられている。空気圧縮機15の下流には、吐出管22が接続されている。吐出管22には空気圧縮機15によって温度の上昇した空気を冷却するインタークーラー30が設けられ、インタークーラー30の下流には空気圧縮機15あるいはインタークーラー30からの異物を除去する空気フィルタ35が設けられている。また、吐出管22には吐出管22の圧力を測定する圧力センサ38が設けられている。吐出管22の下流側端部にはフランジ23が設けられ、フランジ23には配管ブロック24が取り付けられ、配管ブロック24の下流側にはフランジ23を介して第2の切り換え弁である第2の三方弁25が取り付けられている。配管ブロック24は各フランジ23によって吐出管22と第2の三方弁25との間から着脱自在となるよう構成されている。第2の三方弁25の下流側の一方は加湿器14に空気を供給する加湿器空気入口管27に接続され、下流側の他方は車外に水を給水する給水管26に接続されている。給水管26の先端には給水フィルタ40が設けられている。加湿器14と燃料電池11の空気極12との間には、燃料電池11に空気を供給する空気供給管28と燃料電池11で反応した空気を排出する空気排出管29とが設けられている。加湿器14は、燃料電池11からの排気の湿分を低下させた後、排気管31から外部に空気を排出する。
【0012】
図1に示すように、燃料ガスである水素ガスは水素ガスタンク41に貯留されている。水素は水素ガスタンク41から水素供給管43によって燃料電池11の水素極13に供給される。燃料電池11に供給された水素の一部は空気極12に供給された酸化剤である空気中の酸素と反応して消費されるが、消費されなかった水素は水素極13の水素排出管44から排出された後、水素排出管44と水素供給管43とを接続する水素循環管45に設けられた水素循環ポンプ46によって水素供給管43に再循環される。そして発電によって消費された水素分は水素ガスタンク41から水素供給管43に補充される。補充される水素ガスの量は水素供給調節弁42によって調節される。水素系統は循環系統となっているので、長時間運転していると空気極12からクロスリークしてくる窒素や水分などの不純物が濃縮されてくる。そこで、このような不純物がある程度濃縮されてきた場合には、水素排出管44に接続された水素系大気放出管48の水素系排出弁49を開として所定量の反応後の水素ガスを水素系大気放出管48から外気に放出する。
【0013】
燃料電池11の正極である空気極12と負極である水素極13とはそれぞれケーブル36,37によって2次電池33に接続され、燃料電池11によって発電された電力は2次電池33に蓄電される。2次電池33に蓄電された直流電力はインバータ32によって三相交流電力に変換され、空気圧縮機15駆動用のモータ16及び車両駆動用のモータジェネレータ34及び水素ポンプ駆動用のモータ47に供給される。
【0014】
圧力センサ38、各三方弁18,25、水素供給調節弁42、水素系排出弁49、燃料電池11、2次電池33、インバータ32、空気圧縮機15や水素循環ポンプ46のモータ16,47、車両駆動用のモータジェネレータ34、などは、すべて制御部50に接続されている。制御部50は、各三方弁18,25の切り換え、水素供給調節弁42、水素系排出弁49の開度指令、各モータ16,47、モータジェネレータ34の回転数指令、インバータへの制御指令を出力するとともに、2次電池33の充放電、インバータ32の供給電力の制御指令を出力し、流体供給システム搭載車両10全体の制御を行う。また、制御部50には流体供給システム搭載車両10の運転モードを通常運転モードと給水運転モードとの間で選択するプッシュボタン51が接続されている。制御部50はCPUや記憶部を含みソフトウェアによって全体の制御を行うようになっていても良いし、電気回路を組み合わせて制御を行うようになっていても良い。また、制御部50は制御動作に必要な制御マップなどの制御データを記憶する記憶部が含まれているものでもよい。
【0015】
図2及び図3を参照しながら以上のように構成された流体供給システム搭載車両10の動作について説明する。図2に示すように、プッシュボタン51によって通常運転モードが選択されている場合は、制御部50の指令によって第1の三方弁18は空気フィルタ17から空気圧縮機15への流路を開として水吸い込み管19から空気圧縮機への流路を閉とする様に空気フィルタ17側に切り換えられている。また、第2の三方弁25は、配管ブロック24から加湿器14への空気供給流路を開とし、配管ブロック24から給水管26への流路を閉とする様に加湿器14側に切り換えられている。
【0016】
空気フィルタ17から吸い込まれた空気は第1の三方弁18を通って空気圧縮機15に流入する。空気圧縮機15によって加圧された吐出空気は吐出管22に設けられたインタークーラー30と空気フィルタ35とを通って配管ブロック24に入り、更に配管ブロックから第2の三方弁25、加湿器空気入口管27を通って加湿器14に供給される。加湿器14に入った空気は、加湿器14において燃料電池11での反応で生成された水分により加湿され、湿り空気となって空気供給管28から燃料電池11に供給される。燃料電池11の空気極12から燃料電池内に入った空気は、水素供給管43から供給された水素との発電反応によって酸素が減少する。そして反応の結果の生成水が水蒸気あるいは水滴として空気中に増えてくる。反応後の水分量が増加した空気は燃料電池11の空気排出管29に排出される。燃料電池11の空気極12から排気された水分を多く含む反応後の空気は、加湿器14でその水分の一部を供給空気への付加水分とするために除去される。水分量が減少した排出空気は加湿器14の排気管31から大気に排出される。燃料電池11の発電反応によって発電された電力はケーブル36,37から2次電池33に出力される。流体供給システム搭載車両10は2次電池33に蓄電された電力によってモータジェネレータ34を駆動して自走する。
【0017】
災害などの発生した場合には、燃料電池11によって駆動される流体供給システム搭載車両10は、燃料電池11の発電電力あるいは図1に示す2次電池33に蓄電した電力によって、モータジェネレータ34を駆動して被災地で河川の近傍まで自走する。被災の河川近傍に到着後、作業者によって配管ブロック24は水濾過フィルタ39に交換される。水濾過フィルタ39のケーシングは配管ブロック24と同一の長さで同一の箇所にフランジ23と接続できる接続口を供えているもので、配管ブロック24と交換自在となるよう構成されている。水濾過フィルタ39のケーシングの内部には、濾過水が飲料水とできるような、例えば、中空糸膜フィルタあるいは活性炭フィルタのようなフィルタエレメントが格納されている。水濾過フィルタ39の取付の終了の後、作業者が図1に示したプッシュボタン51を操作して給水運転モードを選択すると、制御部50は、水吸い込み管19から空気圧縮機15への流路が開となり、空気フィルタ17から空気圧縮機15への流路が閉となる様に第1の三方弁18を水吸い込み管19側に切り換える指令を出力する。この指令によって第1の三方弁18のアクチュエータが動作して第1の三方弁の流路が水吸い込み管19側に切り換えられる。また、制御部50は、配管ブロック24から給水管26への流路を開とし、配管ブロック24から加湿器14への空気供給流路を閉とする様に第2の三方弁25を給水管26側に切り換える指令を出力する。この指令によって第2の三方弁25のアクチュエータが動作して第2の三方弁の流路が給水管26側に切り換えられる。
【0018】
制御部50は、第1の三方弁18と第2の三方弁25との切り換えが終了すると、空気圧縮機15のモータ16を駆動する指令を出力する。この指令によって、2次電池33の電力がインバータ32によって三相交流電力に変換されてモータ16に供給され、モータ16が回転を開始する。モータ16が回転を開始すると空気圧縮機15が始動する。空気圧縮機15は水吸い込み管19の先端に設けられた吸い込みフィルタ20を通して河川などから水を吸い込む。河川の水に含まれている大きな異物は吸い込みフィルタ20によって除去される。そして、空気圧縮機15は吸い込んだ水の圧力を上昇させて、水濾過フィルタ39に移送する。水濾過フィルタ39に流入した水は水濾過フィルタ39に組み込まれているフィルタエレメントによって飲用に適する程度に濾過される。濾過された水は水濾過フィルタ39から第2の三方弁25に流出する。第2の三方弁25は、給水管26側に切り換えられていることから、濾過水は第2の三方弁25から給水管26に向かって流れ、給水管26の先端に設けられた給水フィルタ40を通って流体供給システム搭載車両10外部に設けられた給水タンク等に給水される。
【0019】
空気圧縮機15が始動されると、制御部50は水濾過フィルタ39の上流の吐出管22に設けられた圧力センサ38によって水濾過フィルタ39の上流側の圧力信号を取得し、その圧力と閾値とを比較する。そして、圧力が所定の閾値よりも高くなった場合には、詰まり等によって水濾過フィルタ39に異常が発生していると判断して、モータ16への電力を停止する指令を出力する。この指令によって、インバータ32からの電力の供給が停止され、モータ16が停止し、空気圧縮機15が停止する。空気圧縮機15が停止した場合には、警報、あるいはランプの点灯などを行うようにしてもよい。また、給水運転モードが選択されると、第1、第2の三方弁18,25が水吸い込み管19側及び給水管26側に切り換わるため燃料電池11へは空気が供給されず、燃料電池11の発電は停止した状態となっている。
【0020】
制御部50は、給水開始後も水濾過フィルタ39の上流の吐出管22に設けられた圧力センサ38によって水濾過フィルタ39の上流側の圧力信号を取得し、その圧力と閾値とを比較することによって水濾過フィルタ39の状態を監視する。そして、圧力が所定の閾値以上となった場合には、水濾過フィルタ39の濾過能力が低下したと判断して、モータ16、空気圧縮機15を停止する。
【0021】
空気圧縮機15の停止後、作業者によって水濾過フィルタ39が新しいものに交換されて、再度、作業者によってプッシュボタン51で給水運転モードが選択された場合には、上記と同様の動作によって河川の水を濾過して給水する。
【0022】
以上説明した本実施形態の流体供給システム搭載車両10は、災害が発生した場合に、被災地周辺の道路が災害によって通行できない場合でも、自走によって被災地の河川近傍に移動し、被災地で河川の水等から飲料用の水を供給することができるという効果を奏する。
【0023】
図4を参照しながら本発明の他の実施形態について説明する。先に説明した実施形態と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。
【0024】
本実施形態は、燃料電池11に空気を供給する第2の空気圧縮機63と、第2の空気圧縮機63の吐出から吐出管22及び配管ブロック24とは独立して加湿器空気入口管27に空気を供給する第2の吐出管65とを備えている。また、第2の空気圧縮機63の上流側には空気フィルタ61が設けられ、第2の空気圧縮機63は2次電池33、インバータ32から電力が供給されるモータ64によって駆動されるよう構成されている。第2の空気圧縮機63は燃料電池11の負荷にかかわらず駆動され、空気圧縮機15は燃料電池11の負荷が例えば50%等の中負荷以上となった場合にのみ運転される。従って、燃料電池の負荷が低負荷から中負荷の場合には、第2の空気圧縮機63のみによって燃料電池11に空気が供給され、燃料電池11の負荷が例えば50%以上等の高負荷の場合には、第2の空気圧縮機63と空気圧縮機15とによって燃料電池11に空気が供給されるよう構成されている。
【0025】
図5に示すように、通常運転モードの場合には制御部50の指令によって第1の三方弁18は空気フィルタ17から空気圧縮機15への流路を開として水吸い込み管19から空気圧縮機への流路を閉とする様に空気フィルタ17側に切り換えられ、第2の三方弁25は、配管ブロック24から加湿器14への空気供給流路を開とし、配管ブロック24から給水管26への流路を閉とする様に加湿器14側に切り換えられている。空気圧縮機15に吸い込まれた空気は加圧されて配管ブロック24を通って加湿器空気入口管27から加湿器14に供給される。また、空気フィルタ61から第2の空気圧縮機63に吸い込まれた空気は加圧されて第2の吐出管65を通って加湿器空気入口管27で空気圧縮機15から供給された空気と合流して加湿器14に供給される。加湿器14に供給された空気は加湿器14によって加湿された後に燃料電池11の空気極12に供給される。図5は燃料電池11の負荷が高い場合を示しているが、燃料電池11の負荷が低い場合には、空気圧縮機15は停止している。
【0026】
図6に示すように、先に説明した実施形態と同様、災害などの発生した場合には被災地において、作業者によって配管ブロック24が水濾過フィルタ39に交換される。水濾過フィルタ39の取付の終了の後、作業者が図4に示したプッシュボタン51を操作して給水運転モードを選択すると、先の実施形態と同様、制御部50の指令によって第1の三方弁18の流路が水吸い込み管19側に切り換えられ、第2の三方弁25の流路が給水管26側に切り換えられ、水吸い込み管19の先端の吸い込みフィルタ20を通して吸い込んだ水は、空気圧縮機15によって水濾過フィルタ39を通って給水管26から流体供給システム搭載車両10外部の給水タンク等に給水される。
【0027】
一方、図6に示すように、制御部50は第2の空気圧縮機63を駆動し、圧縮した空気を加湿器空気入口管27を通して加湿器14、燃料電池11に供給する。この空気と水素供給管43から供給される水素とによって燃料電池11内で発電反応が発生し、発電電力は空気極12側に接続されたケーブル36と水素極13側に接続されたケーブル37とによって図4に示した2次電池33に供給され、2次電池33を充電する。
【0028】
本実施形態は先に説明した実施形態と同様の効果を奏すると共に、河川の水等を濾過して飲用水などを供給することができると同時に燃料電池11の発電を行うことができるので、2次電池33の蓄電容量にかかわらず、長時間にわたって給水を行うことができるという効果を奏する。また、給水運転モードを終了した後に水濾過フィルタ39を配管ブロック24に交換しても吐出管22などの内部に河川水が残留しており、空気圧縮機15から燃料電池11へ空気の供給ができないような場合であっても、第2の空気圧縮機63から供給される空気によって燃料電池11の発電を行ない、発電電力によって流体供給システム搭載車両10を再度自走させることができるという効果を奏する。
【0029】
図7を参照して、他の実施形態について説明する。先に図1から3を参照して説明した実施形態と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。
【0030】
図7に示すように、本実施形態は、加湿器14と燃料電池11との間の空気供給管28に第2の三方弁25を設けたものである。図7のように構成することによって、配管ブロック24と交換して取り付けられる水濾過フィルタ39の容量あるいは能力が小さいものである場合でも、加湿器14の流路内に設けられた中空糸膜フィルタを第2の水濾過フィルタとして用いることができる。このため、水濾過フィルタ39の濾過能力が低い場合でも給水水質を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態における流体供給システム搭載車両の構成図である。
【図2】本発明の実施形態における流体供給システム搭載車両において、通常運転モードの場合の空気の流れを示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態における流体供給システム搭載車両において、給水運転モードの場合の水の流れを示す説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態における流体供給システム搭載車両の構成図である。
【図5】本発明の他の実施形態における流体供給システム搭載車両において、通常運転モードの場合の空気の流れを示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態における流体供給システム搭載車両において、給水運転モードの場合の水の流れを示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態における流体供給システム搭載車両の構成図である。
【符号の説明】
【0032】
10 流体供給システム搭載車両、11 燃料電池、12 空気極、13 水素極、14 加湿器、15 空気圧縮機、16,47,64 モータ、17,61 空気フィルタ、18 第1の三方弁、19 水吸い込み管、20 吸い込みフィルタ、22 吐出管、23 フランジ、24 配管ブロック、25 第2の三方弁、26 給水管、27 加湿器空気入口管、28 空気供給管、29 空気排出管、30 インタークーラー、31 排気管、32 インバータ、33 2次電池、34 モータジェネレータ、35 空気フィルタ、36,37 ケーブル、38 圧力センサ、39 水濾過フィルタ、40 給水フィルタ、41 水素ガスタンク、42 水素供給調節弁、43 水素供給管、44 水素排出管、45 水素循環管、46 水素循環ポンプ、48 水素系大気放出管、49 水素系排出弁、50 制御部、51 プッシュボタン、63 第2の空気圧縮機、65 第2の吐出管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を移送する流体移送機と、
流体移送機の上流側に設けられ、流体移送機への流路を空気吸い込み側と水吸い込み側とで切り換える第1の流路切り換え弁と、
流体移送機の下流側に設けられ、水濾過フィルタと交換自在の配管ブロックと、
配管ブロックの下流側に設けられ、配管ブロックからの流体の流路を車両用発電装置側と給水側とで切り換える第2の流路切り換え弁と、
第1、第2の流体切り換え弁の動作を制御する制御部と、を備える流体供給システム搭載車両であって、
制御部は、
配管ブロックが水濾過フィルタに交換された場合には、第1の切り換え弁と第2の切り換え弁とをそれぞれ水吸い込み側と給水側とに切り換え、流体移送機によって水吸い込み側から吸い込んだ水を水濾過フィルタに移送し、濾過した水を給水側から給水する給水手段を備えること、
を特徴とする流体供給システム搭載車両。
【請求項2】
請求項1に記載の流体供給システム搭載車両であって、
流体移送機と車両とは各モータによって駆動され、
モータによって駆動される第2の流体移送機と、配管ブロックと独立に車両用発電装置に空気を供給する空気供給配管と、流体移送機と車両と第2の流体移送機とを駆動する各モータに駆動用電力を供給する2次電池と、を有し、
制御部は、
配管ブロックが水濾過フィルタに交換された場合には、濾過された水を給水側から給水すると共に車両用発電装置によって発電した電力を2次電池に充電する充電手段を備えること、
を特徴とする流体供給システム搭載車両。
【請求項3】
請求項1または2に記載の流体供給システム搭載車両であって、
車両用発電装置は燃料電池であり、
流体移送機は空気圧縮機であること、
を特徴とする流体供給システム搭載車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−183909(P2009−183909A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28410(P2008−28410)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】