流体制御装置およびこれを用いたガス処理装置
【課題】 ラインの増設・変更に容易に対応できる集積化流体制御装置およびこのような流体制御装置を備えたガス処理装置を提供する。
【解決手段】 流体制御装置は、各ラインA1,A2,A3,A4,A5,B1,B2,B3が複数のブラケット8,9,18,19,20を介して基板1に着脱可能に取り付けられ、通路接続手段47,48が上方に取り外し可能とされている。複数の継手部材11,12,13,14,15,16,17として、複数の管状継手部材13,15,17と複数のブロック状継手部材11,12,14,16とが使用されている。
【解決手段】 流体制御装置は、各ラインA1,A2,A3,A4,A5,B1,B2,B3が複数のブラケット8,9,18,19,20を介して基板1に着脱可能に取り付けられ、通路接続手段47,48が上方に取り外し可能とされている。複数の継手部材11,12,13,14,15,16,17として、複数の管状継手部材13,15,17と複数のブロック状継手部材11,12,14,16とが使用されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体製造装置に使用される流体制御装置およびこれを用いたガス処理装置に関し、より詳しくは、保守点検時に流体制御機器を単独で上方に取り出すことができるように組み立てられた集積化流体制御装置およびこれを用いたガス処理装置に関する。
【0002】
この明細書において、前後・上下については、図2の右を前、左を後といい、同図(a)の上下を上下というものとし、左右は、後方に向かっていうものとする。この前後・上下は便宜的なもので、前後が逆になったり、上下が左右になったりして使用されることもある。
【背景技術】
【0003】
半導体製造装置に使用される流体制御装置は、種々の流体制御機器が複数列に配置されるとともに、隣り合う列の流体制御機器の流路同士が所定箇所において機器接続手段により接続されることにより構成されているが、近年、この種の流体制御装置では、マスフローコントローラや開閉弁などをチューブを介さずに接続する集積化が進められている(特許文献1)。図18は、その一例を示す平面図であり、この流体制御装置は、バイパス通路無しの5つのライン(P1)(P2)(P3)(P4)(P5)と、バイパス通路有りの3つのライン(Q1)(Q2)(Q3)との計8つのラインを有している。バイパス通路無しライン(P1)(P2)(P3)(P4)(P5)は、マスフローコントローラ(91)と、その入口側にフィルター(93)を介して設けられた開閉弁(92)と、同出口側に設けられた開閉弁(94)とを備えており、バイパス通路有りライン(Q1)(Q2)(Q3)は、マスフローコントローラ(91)と、その入口側にフィルター(93)を介して設けられた2つの開閉弁(95)(96)と、同出口側に設けられた2つの開閉弁(97)(98)と、マスフローコントローラ(91)の入口側接続部と出口側接続部とを接続する開閉弁(99a)付きバイパス配管(99)とを備えている。この流体制御装置は、1枚の基板(100)に、まず、ブロック継手などの継手部材(図には現れず)をねじで取り付け、次いで、これらの継手部材にまたがるようにしてマスフローコントローラ、フィルター、開閉弁などの流体制御機器(91)(92)(93)(94)(95)(96)(97)(98)を取り付けることにより組み立てられていた。バイパス配管(99)は、図に示すように、バイパス通路有りライン(Q1)(Q2)(Q3)の主部分と並列に設けられることから、3つのバイパス通路有りライン(Q1)(Q2)(Q3)のバイパス配管(99)を設置するには、3つのライン分のスペースが必要であった。
【0004】
この種の流体制御装置は、プラズマ処理、エッチング、CVD成膜などを行うガス処理装置に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−227368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の流体制御装置によると、個々の流体制御機器は、上方に取り出して点検・修理・交換が可能であるが、ラインの増設および変更については十分考慮されていなかった。そのため、システムの改造が発生した場合には、新たに必要な機器をパネルに取り付け、パネルごと交換するということが行われるが、この場合には、長期間の装置停止や現地工事工数の増加につながるという問題があった。また、上記従来の流体制御装置では、バイパス通路有りラインの設置スペースがバイパス通路無しラインの設置スペースより大きいことから、全体の設置スペースが大きくなるという問題や、バイパス通路有りラインの数によって基板寸法を変更しなければならないという問題もあった、
このような状況にあって、この種の流体制御装置において、ラインの増設および変更が必要になった際でも、容易に対応できることが新たな重要課題となっている。
【0007】
また、上記従来の流体制御装置を備えたガス処理装置では、対象物質が変わり例えば二酸化珪素膜をエッチングする装置をポリシリコンエッチングに変える場合、塩素系ガスを付加する必要があるが、この場合、流体制御装置全てを分解し、新たに作り変える必要があった。既に設置されたガス処理装置において、流体制御装置をさらに追加・変更しようとすると、クリーンルーム等の限られた使用場所で流体制御装置の取り外し、分解、組み替え、増設が容易にできず、そのためにガス処理装置の稼働時間が著しく阻害されていた。
【0008】
この発明の目的は、ラインの増設・変更に容易に対応できる集積化流体制御装置およびこのような流体制御装置を備えたガス処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による流体制御装置は、1つのラインが、複数の流体制御機器と、複数の継手部材とによって形成され、複数のラインが、その入口および出口を同じ方向に向けて基板上に並列状に配置され、所定のライン同士が通路接続手段により接続されている流体制御装置において、複数の継手部材として、複数の管状継手部材と複数のブロック状継手部材とが使用されており、各ラインが複数のブラケットを介して基板に着脱可能に取り付けられ、通路接続手段が上方に取り外し可能とされていることを特徴とするものである。
【0010】
下段に配されて3つ以上のラインを1つの継手で接続するマニホールドブロック継手が、入口側および出口側の少なくとも一方に設けられており、このマニホールドブロック継手は、ブラケットを介して基板に取り付けられていることが好ましい。このようにすると、複数のラインを接続する構成が簡素化でき、流体制御装置の組立てや変更が容易となる。
【0011】
マニホールドブロック継手に、開口が閉鎖部材によって閉鎖されているライン増設用分岐路が設けられていることが好ましい。このようにすると、ライン増設時には、閉鎖部材を外して、マニホールドブロック継手の分岐路に新しいラインの対応する部材を接続するだけで済み、流体制御装置の増設や変更がより容易となる。
【0012】
複数のラインは、バイパス通路無しラインとバイパス通路有りラインとからなり、バイパス通路有りラインは、所定の流体制御機器の入口側と出口側とを流体制御機器の上方において接続するバイパス配管を有していることが好ましい。このようにすると、各ラインの幅をバイパス通路有りとバイパス通路無しのものとで同じにすることができ、変更等に容易に対応できるとともに、流体制御機器の占有スペースを小さく抑えることができる。
【0013】
上記流体制御装置は、例えばプラズマ処理装置のようなガス処理装置に使用されることが好ましい。こうして得られたガス処理装置は、その仕様変更に伴う設備改造が容易に行え、ガス処理装置の稼働時間を阻害する要因が抑えられる。
【発明の効果】
【0014】
この発明の流体制御装置によると、各ラインが複数のブラケットを介して基板に着脱可能に取り付けられ、通路接続手段が上方に取り外し可能とされているので、ラインを増設する際には、必要に応じて通路接続手段を上方に取り外した後、増設すべきラインを基板上に取り付け、最後に、増設後に必要な通路接続手段を取り付けるだけでよく、また、ラインの変更を行う際には、必要に応じて通路接続手段を上方に取り外した後、変更される旧ラインを外し、これに置き換えられるラインを基板上に取り付け、最後に、変更後に必要な通路接続手段を取り付けるだけでよく、ラインの増設および変更が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明による流体制御装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】バイパス通路無しラインの構成を示す側面図である。
【図3】バイパス通路有りラインの構成を示す側面図である。
【図4】バイパス通路無しライン同士を接続するマニホールドブロック継手を示す断面図である。
【図5】この発明による流体制御装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5の流体制御装置に新たにバイパス通路無しラインを追加する作業を示すための斜視図である。
【図7】図5の流体制御装置にバイパス通路無しラインが追加されて形成されたこの発明による流体制御装置の第3実施形態を示す斜視図である。
【図8】この発明による流体制御装置の第4実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8の流体制御装置に新たにバイパス通路有りラインを追加する作業の1ステップを示すための斜視図である。
【図10】図8の流体制御装置に新たにバイパス通路有りラインを追加する作業の他のステップを示すための斜視図である。
【図11】図8の流体制御装置に新たにバイパス通路有りラインを追加する作業のさらに他のステップを示すための斜視図である。
【図12】図8の流体制御装置にバイパス通路有りラインが追加されて形成されたこの発明による流体制御装置を示すもので、図7に示す第3実施形態を別の方向から見た斜視図となっている。
【図13】図12に示す流体制御装置のマスフローコントローラを外す作業の1ステップを示す斜視図である。
【図14】図12に示す流体制御装置のマスフローコントローラを外す作業の他のステップを示す斜視図である。
【図15】図12に示す流体制御装置のマスフローコントローラを外す作業のさらに他のステップを示す斜視図である。
【図16】図12に示す流体制御装置のマスフローコントローラを外す作業のさらに他のステップを示す斜視図である。
【図17】この発明の流体制御装置を備えたガス処理装置の一例を示す系統図である。
【図18】従来の流体制御装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0017】
この発明による流体制御装置の第1実施形態は、図1に示すように、3つのバイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)と、3つのバイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)とが基板(1)に並列状に配置されて形成されている。
【0018】
各バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)および各バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)は、上段に配されたマスフローコントローラ、開閉弁、遮断開放器などの複数の流体制御機器(2)(3)(4)(5)(6)(7)と、下段に配されて流体制御機器(2)(3)(4)(5)(6)(7)同士を連通する複数の継手部材(11)(12)(13)(14)(15)(16)(17)とによって形成されている。
【0019】
各バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)の流体制御機器は、マスフローコントローラ(2)と、マスフローコントローラ(2)の入口側にフィルター(4)を介して設けられた入口側開閉弁(3)と、マスフローコントローラ(2)の出口側に設けられた出口側開閉弁(5)とであり、各バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)の流体制御機器は、マスフローコントローラ(2)と、マスフローコントローラ(2)の入口側にフィルター(4)を介して設けられた入口側遮断開放器(6)と、マスフローコントローラ(2)の出口側に設けられた出口側遮断開放器(7)とである。
【0020】
図2に示すように、各バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)のマスフローコントローラ(2)は、入口側接続部(2a)および出口側接続部(2b)をその下端部前後面に有しており、外方突出縁付きの逆U字状ブラケット(8)を介して基板(1)に取り付けられている。フィルター(4)および入口側開閉弁(3)は、これらの下方に配置されたブロック状継手(11)により連通されている。入口側開閉弁(3)の前半部の下方には、さらに別のブロック状継手(12)が配置され、この継手(12)に、入口側管状継手(13)が設けられている。また、フィルター(4)の後半部の下方にもブロック状継手(14)が配置され、この継手(14)に、マスフローコントローラ(2)の入口側接続部(2a)に接続される管状継手(15)が取り付けられている。出口側開閉弁(5)の前半部の下方には、フィルター(4)の下方に設けられた継手(14)と同様のブロック状継手(16)が配置され、この継手(16)に、マスフローコントローラ(2)の出口側接続部(2b)に接続される管状継手(17)が取り付けられている。入口側の下段にある3つのブロック状継手(11)(12)(14)は、上方からのねじ(37)によってフィルター(4)および入口側開閉弁(3)と結合され、さらに、外方突出縁付きの逆U字状ブラケット(9)に取り付けられている。そして、このブラケット(9)が基板(1)に取り付けられている。バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)は、図2に示した状態で、基板(1)に着脱可能とされており、マスフローコントローラ(2)は、その両側の継手(15)(17)を外すことにより、また、フィルター(4)および各開閉弁(3)(5)は、ねじ(37)を外すことにより、それぞれ単独で上方に取り出し可能とされている。
【0021】
入口側開閉弁(3)の下方のマスフローコントローラ(2)から遠い部分には、入口側管状継手(13)を有するブロック状継手(12)が配置されているのに対し、出口側開閉弁(5)の下方のマスフローコントローラ(2)から遠い部分には、これと同様の継手は設けられておらず、代わりに、図1に示すように、3つのバイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)同士を1つの継手で接続するマニホールドブロック継手(40)が設けられている。
【0022】
このマニホールドブロック継手(40)は、図4に示すように、左右方向にのびる通路、すなわち、各バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)と直交する主通路(40a)と、主通路(40a)から分岐して上方にのびる5つの分岐通路(40b)(40c)とを有している。主通路(40a)は、その一端が左方に開口し、他端は閉鎖されている。分岐通路(40b)(40c)の内の3つ(40b)に、各ライン(A1)(A2)(A3)の出口側開閉弁(5)の本体(5a)の後半部が取り付けられ、残りの2つ(40c)は、マニホールドブロック継手(40)にねじ(37)で取り付けられた通路閉鎖ブロック(閉鎖部材)(41)が取り付けられている。したがって、各バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)のマスフローコントローラ(2)を通った流体は、出口側開閉弁(5)の下方のブロック状継手(16)を経て出口側開閉弁(5)内に入り、ここからマニホールドブロック継手(40)内の通路(40b)(40a)に流入する。マニホールドブロック継手(40)は、外方突出縁付きの逆U字状ブラケット(42)を介して基板(1)に固定されている。
【0023】
図3に示すように、各バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)のマスフローコントローラ(2)は、入口側接続部(2a)および出口側接続部(2b)をその下端部前後面に有しており、外方突出縁付きの逆U字状ブラケット(18)を介して基板(1)に取り付けられている。入口側遮断開放器(6)は、ブロック状本体(21)と、これに取り付けられた2つの開閉弁アクチュエータ(22)(23)と、本体(21)の上面に取り付けられた管状接続部付きブロック状継手(24)と、同側面に取り付けられた通路ブロック(25)とにより形成されている。
【0024】
フィルター(4)および入口側遮断開放器(6)の通路ブロック(25)とは、これらの下方に配置されたブロック状継手(11)により連通されている。遮断開放器(6)の本体(21)の後端部の下方には、ブロック状継手(12)が配置され、この継手(12)に、入口側管状継手(13)が設けられている。また、フィルター(4)の後半部の下方にもブロック状継手(14)が配置され、この継手(14)に、マスフローコントローラ(2)の入口側接続部に接続される継手(15)が取り付けられている。下段にある3つのブロック状継手(11)(12)(14)は、上方からのねじ(37)によってフィルター(4)および遮断開放器本体(6)と結合され、さらに、外方突出縁付きの逆U字状ブラケット(19)に取り付けられている。そして、このブラケット(19)が基板(1)に取り付けられている。
【0025】
出口側遮断開放器(7)は、マスフローコントローラ(2)に近い側に配置された第1ブロック状本体(26)と、これに取り付けられた第1開閉弁アクチュエータ(27)と、第1ブロック状本体(26)の後側に隣接して配置された第2ブロック状本体(28)と、これに取り付けられた2つの開閉弁アクチュエータ(29)(30)と、第1本体(26)の上面に取り付けられた管状接続部付きブロック状継手(31)と、同前面に取り付けられた通路ブロック(32)と、第2本体(28)の上面に取り付けられた管状接続部付きブロック状継手(33)とにより形成されている。
【0026】
出口側遮断開放器(7)の通路ブロック(32)の下方に、ブロック状継手(16)が配置され、この継手(16)に、マスフローコントローラ(2)の出口側接続部(2b)に接続されている管状継手(17)が取り付けられている。通路ブロック(32)下方のブロック状継手(16)は、単独で外方突出縁付きの逆U字状ブラケット(20)を介して基板(1)に取り付けられている。
【0027】
フィルター(4)下方のブロック状継手(14)とマスフローコントローラ(2)接続用管状継手(15)との間には、バイバス用通路を分岐させる管状T型継手(34)が配されており、マスフローコントローラ(2)の上方を通る逆U字状のバイパス配管(35)の一端がこのT型継手(34)に接続され、同他端が出口側遮断開放器(7)の管状接続部付きブロック状継手(31)に接続されている。バイパス配管(35)途中には、これを逆L字部分(35a)と、I字部分(35b)とに分割可能とする管状継手(36)が設けられている。
【0028】
バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)は、図3に示した状態で、基板(1)に着脱可能とされており、マスフローコントローラ(2)は、その両側の継手(15)(17)を外すことにより、また、フィルター(4)、各遮断開放器(6)(7)の本体(21)(26)(28)および同通路ブロック(25)(32)は、ねじ(37)を外すことにより、それぞれ単独で上方に取り出し可能とされている。
【0029】
出口側遮断開放器(7)の後端部の下方には、各バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)の出口側と同様に、マニホールドブロック継手(43)が配置されている。このマニホールドブロック継手(43)は、詳細な図示は省略するが、図4に示したマニホールドブロック継手(40)の分岐通路(40b)(40c)数を3つとしたものであり、各バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)の出口側遮断開放器(7)の第2ブロック状本体(28)の後端部の通路同士がこのマニホールドブロック継手(43)によって接続されている。バイパス通路無しライン用マニホールドブロック継手(40)を支持するブラケット(42)は、基板(1)の一端から他端までのびており、バイパス通路有りライン用マニホールドブロック継手(43)も、このブラケット(42)に取り付けられている。バイパス通路無しライン用マニホールドブロック継手(40)とバイパス通路有りライン用マニホールドブロック継手(43)とは、連通パイプ(44)により接続されており、これらに共通の出口が、バイパス通路有りライン用マニホールドブロック継手(43)の終端部とされ、ここに、管状継手(46)付き開閉弁(45)が設けられている。
【0030】
バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)同士は、その入口側遮断開放器(6)の管状接続部付きブロック状継手(24)同士および出口側遮断開放器(7)の第2管状接続部付きブロック状継手(33)同士がそれぞれ通路接続手段としての逆U字状連通配管(47)(48)によって接続されている。
【0031】
上記のように構成された流体制御装置において、例えば、バイパス通路無しラインを2ライン増設する場合には、次のようにする。
【0032】
まず、図5に示すように、バイパス通路無しライン用マニホールドブロック継手(40)から通路閉鎖ブロック(41)を2つとも外し、次いで、図6に示すように、図2に示す状態まで組み立てられたバイパス通路無しライン(A4)を取り付ける。この際の作業は、出口側開閉弁(5)の本体(5a)をマニホールドブロック継手(40)の分岐通路(40c)に合わせ、ブラケット(8)(9)を基板(1)に固定するだけでよい。この作業をもう1つのバイパス通路無しライン(A5)についても行うことにより、図7に示すように、5つのバイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)と、3つのバイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)とが基板(1)に並列状に配置されて形成された流体制御装置が得られる。
【0033】
また、図8に示すような5つのバイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)と、2つのバイパス通路有りライン(B1)(B2)とが基板(1)に並列状に配置されて形成された流体制御装置において、バイパス通路有りラインを1ライン増設する場合には、次のようにする。
【0034】
まず、図9に示すように、バイパス通路有りライン用マニホールドブロック継手(43)から通路閉鎖ブロック(41)を取り外し、同時に、2つのバイパス通路有りライン(B1)(B2)の入口側遮断開放器(6)の管状接続部付きブロック状継手(24)および出口側遮断開放器(7)の第2本体(28)側管状接続部付きブロック状継手(33)を逆U字状連通配管(47)(48)とともに取り外す。次いで、図10に示すように、図3に示す状態まで組み立てられたバイパス通路有りライン(B3)を取り付ける。この際の作業は、出口側遮断開放器(7)の第2ブロック状本体(28)をマニホールドブロック継手(43)の分岐通路(43c)に合わせ、ブラケット(18)(19)(20)を基板(1)に固定するだけでよい。そして、図11に示すように、3つのライン(B1)(B2)(B3)の入口側遮断開放器(6)の管状接続部付きブロック状継手(24)および出口側遮断開放器(7)の第2本体(28)側管状接続部付きブロック状継手(33)を逆U字状連通配管(47)(48)とともに取り付ける。これにより、図12に示すように、5つのバイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)と、3つのバイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)とが基板(1)に並列状に配置されて形成された流体制御装置が得られる。
【0035】
また、5つのバイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)と、3つのバイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)とが基板(1)に並列状に配置されて形成された流体制御装置(図12のもの)において、バイパス通路有りライン(B3)のマスフローコントローラ(2)を交換する際には、次のようにする。
【0036】
まず、図13に示すように、バイパス通路有りライン(B3)のバイパス配管(35)の管状継手(36)を外す。次いで、図14に示すように、出口側遮断開放器(7)の管状接続部付きブロック状継手(31)をバイパス配管(35)の逆L字部分(35a)が付いたまま取り外す。次いで、図15に示すように、マスフローコントローラ(2)の入口側および出口側に接続されている管状継手(15)(17)を外す。これにより、図16に示すように、マスフローコントローラ(2)が上方に取り外し可能となる。マスフローコントローラ(2)を取り付けるには、これらの一連の作業を逆に行えばよい。
【0037】
上記流体制御装置は、プラズマ処理、エッチング、CVD成膜などを行うガス処理装置に使用されることが好ましい。図17は、ガス処理装置の一例を示している。
【0038】
このガス処理装置は、通常3系統(C)(D)(E)程度の実装された流体制御装置(101)を持つプラズマエッチング装置(100)であり、流体制御装置(101)は、ガス漏れの被害防止のために密閉構造でかつ排気可能な筐体に収納されている。また、流体制御装置(101)から供給されたエッチングガスは、ガス導入配管(103)および反応室(102)内に配置されたガスシャワーヘッド(104)を経由し、反応室(102)内に導入される。導入されたエッチングガスは、排気配管(108)より、図示していない排気系により反応室(102)外へ排気される。その際、基板ホルダー(105)へプラズマ発生用高周波電源(106)より高周波を供給し、基板(107)近傍にプラズマ放電を発生させ、基板(107)をエッチング処理するよう構成されている。
【0039】
このプラズマエッチング装置(100)によると、例えば、ガス種としてCHF3、O2、C2F6を用いて二酸化珪素膜のエッチングを行うことができる。この装置によってポリシリコンもエッチングできるようにするには、ガス種としてCl2、SF6の増設が必要となる。この場合、従来の流体制御装置では、マスフローコントローラなどの全ての流体制御機器を外し、溶接配管を新規に作成し、再度流体制御機器の組み付けを行うが、この場合、ガス配管全体が長時間大気に曝され、大気中の水分と配管中に吸着しているガス成分が反応し、配管に腐蝕を発生させるという問題が生じる。したがって、増設あるいは変更するところ以外の部品全ての接ガス部を分解洗浄する必要があった。これに対し、上記の本発明の流体制御装置を備えたプラズマエッチング装置では、必要なガスの部分のみを流体制御装置部分に付加することができ、改造が著しく容易になった。
【0040】
上記流体制御装置を備えたガス処理装置としては、プラズマエッチング装置以外、ガスを混合して使う、あるいは複数のガスを導入する装置であるCVD装置、プラズマCVD装置、スパッタ装置等があり、いずれのガス処理装置でもそのガスの改変が容易になる。
【符号の説明】
【0041】
(1) 基板
(A1)(A2)(A3)(A4)(A5) バイパス通路無しライン
(B1)(B2)(B3) バイパス通路有りライン
(2)(3)(4)(5)(6)(7) 流体制御機器
(8)(9)(18)(19)(20)(42) ブラケット
(11)(12)(13)(14)(15)(16)(17) 継手部材
(35) バイパス配管
(40)(43) マニホールドブロック継手
(40c)(43c) ライン増設用分岐路
(41) 通路閉鎖ブロック(閉鎖部材)
(47)(48) 通路接続手段
(100) プラズマエッチング装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体製造装置に使用される流体制御装置およびこれを用いたガス処理装置に関し、より詳しくは、保守点検時に流体制御機器を単独で上方に取り出すことができるように組み立てられた集積化流体制御装置およびこれを用いたガス処理装置に関する。
【0002】
この明細書において、前後・上下については、図2の右を前、左を後といい、同図(a)の上下を上下というものとし、左右は、後方に向かっていうものとする。この前後・上下は便宜的なもので、前後が逆になったり、上下が左右になったりして使用されることもある。
【背景技術】
【0003】
半導体製造装置に使用される流体制御装置は、種々の流体制御機器が複数列に配置されるとともに、隣り合う列の流体制御機器の流路同士が所定箇所において機器接続手段により接続されることにより構成されているが、近年、この種の流体制御装置では、マスフローコントローラや開閉弁などをチューブを介さずに接続する集積化が進められている(特許文献1)。図18は、その一例を示す平面図であり、この流体制御装置は、バイパス通路無しの5つのライン(P1)(P2)(P3)(P4)(P5)と、バイパス通路有りの3つのライン(Q1)(Q2)(Q3)との計8つのラインを有している。バイパス通路無しライン(P1)(P2)(P3)(P4)(P5)は、マスフローコントローラ(91)と、その入口側にフィルター(93)を介して設けられた開閉弁(92)と、同出口側に設けられた開閉弁(94)とを備えており、バイパス通路有りライン(Q1)(Q2)(Q3)は、マスフローコントローラ(91)と、その入口側にフィルター(93)を介して設けられた2つの開閉弁(95)(96)と、同出口側に設けられた2つの開閉弁(97)(98)と、マスフローコントローラ(91)の入口側接続部と出口側接続部とを接続する開閉弁(99a)付きバイパス配管(99)とを備えている。この流体制御装置は、1枚の基板(100)に、まず、ブロック継手などの継手部材(図には現れず)をねじで取り付け、次いで、これらの継手部材にまたがるようにしてマスフローコントローラ、フィルター、開閉弁などの流体制御機器(91)(92)(93)(94)(95)(96)(97)(98)を取り付けることにより組み立てられていた。バイパス配管(99)は、図に示すように、バイパス通路有りライン(Q1)(Q2)(Q3)の主部分と並列に設けられることから、3つのバイパス通路有りライン(Q1)(Q2)(Q3)のバイパス配管(99)を設置するには、3つのライン分のスペースが必要であった。
【0004】
この種の流体制御装置は、プラズマ処理、エッチング、CVD成膜などを行うガス処理装置に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−227368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の流体制御装置によると、個々の流体制御機器は、上方に取り出して点検・修理・交換が可能であるが、ラインの増設および変更については十分考慮されていなかった。そのため、システムの改造が発生した場合には、新たに必要な機器をパネルに取り付け、パネルごと交換するということが行われるが、この場合には、長期間の装置停止や現地工事工数の増加につながるという問題があった。また、上記従来の流体制御装置では、バイパス通路有りラインの設置スペースがバイパス通路無しラインの設置スペースより大きいことから、全体の設置スペースが大きくなるという問題や、バイパス通路有りラインの数によって基板寸法を変更しなければならないという問題もあった、
このような状況にあって、この種の流体制御装置において、ラインの増設および変更が必要になった際でも、容易に対応できることが新たな重要課題となっている。
【0007】
また、上記従来の流体制御装置を備えたガス処理装置では、対象物質が変わり例えば二酸化珪素膜をエッチングする装置をポリシリコンエッチングに変える場合、塩素系ガスを付加する必要があるが、この場合、流体制御装置全てを分解し、新たに作り変える必要があった。既に設置されたガス処理装置において、流体制御装置をさらに追加・変更しようとすると、クリーンルーム等の限られた使用場所で流体制御装置の取り外し、分解、組み替え、増設が容易にできず、そのためにガス処理装置の稼働時間が著しく阻害されていた。
【0008】
この発明の目的は、ラインの増設・変更に容易に対応できる集積化流体制御装置およびこのような流体制御装置を備えたガス処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による流体制御装置は、1つのラインが、複数の流体制御機器と、複数の継手部材とによって形成され、複数のラインが、その入口および出口を同じ方向に向けて基板上に並列状に配置され、所定のライン同士が通路接続手段により接続されている流体制御装置において、複数の継手部材として、複数の管状継手部材と複数のブロック状継手部材とが使用されており、各ラインが複数のブラケットを介して基板に着脱可能に取り付けられ、通路接続手段が上方に取り外し可能とされていることを特徴とするものである。
【0010】
下段に配されて3つ以上のラインを1つの継手で接続するマニホールドブロック継手が、入口側および出口側の少なくとも一方に設けられており、このマニホールドブロック継手は、ブラケットを介して基板に取り付けられていることが好ましい。このようにすると、複数のラインを接続する構成が簡素化でき、流体制御装置の組立てや変更が容易となる。
【0011】
マニホールドブロック継手に、開口が閉鎖部材によって閉鎖されているライン増設用分岐路が設けられていることが好ましい。このようにすると、ライン増設時には、閉鎖部材を外して、マニホールドブロック継手の分岐路に新しいラインの対応する部材を接続するだけで済み、流体制御装置の増設や変更がより容易となる。
【0012】
複数のラインは、バイパス通路無しラインとバイパス通路有りラインとからなり、バイパス通路有りラインは、所定の流体制御機器の入口側と出口側とを流体制御機器の上方において接続するバイパス配管を有していることが好ましい。このようにすると、各ラインの幅をバイパス通路有りとバイパス通路無しのものとで同じにすることができ、変更等に容易に対応できるとともに、流体制御機器の占有スペースを小さく抑えることができる。
【0013】
上記流体制御装置は、例えばプラズマ処理装置のようなガス処理装置に使用されることが好ましい。こうして得られたガス処理装置は、その仕様変更に伴う設備改造が容易に行え、ガス処理装置の稼働時間を阻害する要因が抑えられる。
【発明の効果】
【0014】
この発明の流体制御装置によると、各ラインが複数のブラケットを介して基板に着脱可能に取り付けられ、通路接続手段が上方に取り外し可能とされているので、ラインを増設する際には、必要に応じて通路接続手段を上方に取り外した後、増設すべきラインを基板上に取り付け、最後に、増設後に必要な通路接続手段を取り付けるだけでよく、また、ラインの変更を行う際には、必要に応じて通路接続手段を上方に取り外した後、変更される旧ラインを外し、これに置き換えられるラインを基板上に取り付け、最後に、変更後に必要な通路接続手段を取り付けるだけでよく、ラインの増設および変更が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明による流体制御装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】バイパス通路無しラインの構成を示す側面図である。
【図3】バイパス通路有りラインの構成を示す側面図である。
【図4】バイパス通路無しライン同士を接続するマニホールドブロック継手を示す断面図である。
【図5】この発明による流体制御装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5の流体制御装置に新たにバイパス通路無しラインを追加する作業を示すための斜視図である。
【図7】図5の流体制御装置にバイパス通路無しラインが追加されて形成されたこの発明による流体制御装置の第3実施形態を示す斜視図である。
【図8】この発明による流体制御装置の第4実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8の流体制御装置に新たにバイパス通路有りラインを追加する作業の1ステップを示すための斜視図である。
【図10】図8の流体制御装置に新たにバイパス通路有りラインを追加する作業の他のステップを示すための斜視図である。
【図11】図8の流体制御装置に新たにバイパス通路有りラインを追加する作業のさらに他のステップを示すための斜視図である。
【図12】図8の流体制御装置にバイパス通路有りラインが追加されて形成されたこの発明による流体制御装置を示すもので、図7に示す第3実施形態を別の方向から見た斜視図となっている。
【図13】図12に示す流体制御装置のマスフローコントローラを外す作業の1ステップを示す斜視図である。
【図14】図12に示す流体制御装置のマスフローコントローラを外す作業の他のステップを示す斜視図である。
【図15】図12に示す流体制御装置のマスフローコントローラを外す作業のさらに他のステップを示す斜視図である。
【図16】図12に示す流体制御装置のマスフローコントローラを外す作業のさらに他のステップを示す斜視図である。
【図17】この発明の流体制御装置を備えたガス処理装置の一例を示す系統図である。
【図18】従来の流体制御装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0017】
この発明による流体制御装置の第1実施形態は、図1に示すように、3つのバイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)と、3つのバイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)とが基板(1)に並列状に配置されて形成されている。
【0018】
各バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)および各バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)は、上段に配されたマスフローコントローラ、開閉弁、遮断開放器などの複数の流体制御機器(2)(3)(4)(5)(6)(7)と、下段に配されて流体制御機器(2)(3)(4)(5)(6)(7)同士を連通する複数の継手部材(11)(12)(13)(14)(15)(16)(17)とによって形成されている。
【0019】
各バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)の流体制御機器は、マスフローコントローラ(2)と、マスフローコントローラ(2)の入口側にフィルター(4)を介して設けられた入口側開閉弁(3)と、マスフローコントローラ(2)の出口側に設けられた出口側開閉弁(5)とであり、各バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)の流体制御機器は、マスフローコントローラ(2)と、マスフローコントローラ(2)の入口側にフィルター(4)を介して設けられた入口側遮断開放器(6)と、マスフローコントローラ(2)の出口側に設けられた出口側遮断開放器(7)とである。
【0020】
図2に示すように、各バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)のマスフローコントローラ(2)は、入口側接続部(2a)および出口側接続部(2b)をその下端部前後面に有しており、外方突出縁付きの逆U字状ブラケット(8)を介して基板(1)に取り付けられている。フィルター(4)および入口側開閉弁(3)は、これらの下方に配置されたブロック状継手(11)により連通されている。入口側開閉弁(3)の前半部の下方には、さらに別のブロック状継手(12)が配置され、この継手(12)に、入口側管状継手(13)が設けられている。また、フィルター(4)の後半部の下方にもブロック状継手(14)が配置され、この継手(14)に、マスフローコントローラ(2)の入口側接続部(2a)に接続される管状継手(15)が取り付けられている。出口側開閉弁(5)の前半部の下方には、フィルター(4)の下方に設けられた継手(14)と同様のブロック状継手(16)が配置され、この継手(16)に、マスフローコントローラ(2)の出口側接続部(2b)に接続される管状継手(17)が取り付けられている。入口側の下段にある3つのブロック状継手(11)(12)(14)は、上方からのねじ(37)によってフィルター(4)および入口側開閉弁(3)と結合され、さらに、外方突出縁付きの逆U字状ブラケット(9)に取り付けられている。そして、このブラケット(9)が基板(1)に取り付けられている。バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)は、図2に示した状態で、基板(1)に着脱可能とされており、マスフローコントローラ(2)は、その両側の継手(15)(17)を外すことにより、また、フィルター(4)および各開閉弁(3)(5)は、ねじ(37)を外すことにより、それぞれ単独で上方に取り出し可能とされている。
【0021】
入口側開閉弁(3)の下方のマスフローコントローラ(2)から遠い部分には、入口側管状継手(13)を有するブロック状継手(12)が配置されているのに対し、出口側開閉弁(5)の下方のマスフローコントローラ(2)から遠い部分には、これと同様の継手は設けられておらず、代わりに、図1に示すように、3つのバイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)同士を1つの継手で接続するマニホールドブロック継手(40)が設けられている。
【0022】
このマニホールドブロック継手(40)は、図4に示すように、左右方向にのびる通路、すなわち、各バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)と直交する主通路(40a)と、主通路(40a)から分岐して上方にのびる5つの分岐通路(40b)(40c)とを有している。主通路(40a)は、その一端が左方に開口し、他端は閉鎖されている。分岐通路(40b)(40c)の内の3つ(40b)に、各ライン(A1)(A2)(A3)の出口側開閉弁(5)の本体(5a)の後半部が取り付けられ、残りの2つ(40c)は、マニホールドブロック継手(40)にねじ(37)で取り付けられた通路閉鎖ブロック(閉鎖部材)(41)が取り付けられている。したがって、各バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)のマスフローコントローラ(2)を通った流体は、出口側開閉弁(5)の下方のブロック状継手(16)を経て出口側開閉弁(5)内に入り、ここからマニホールドブロック継手(40)内の通路(40b)(40a)に流入する。マニホールドブロック継手(40)は、外方突出縁付きの逆U字状ブラケット(42)を介して基板(1)に固定されている。
【0023】
図3に示すように、各バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)のマスフローコントローラ(2)は、入口側接続部(2a)および出口側接続部(2b)をその下端部前後面に有しており、外方突出縁付きの逆U字状ブラケット(18)を介して基板(1)に取り付けられている。入口側遮断開放器(6)は、ブロック状本体(21)と、これに取り付けられた2つの開閉弁アクチュエータ(22)(23)と、本体(21)の上面に取り付けられた管状接続部付きブロック状継手(24)と、同側面に取り付けられた通路ブロック(25)とにより形成されている。
【0024】
フィルター(4)および入口側遮断開放器(6)の通路ブロック(25)とは、これらの下方に配置されたブロック状継手(11)により連通されている。遮断開放器(6)の本体(21)の後端部の下方には、ブロック状継手(12)が配置され、この継手(12)に、入口側管状継手(13)が設けられている。また、フィルター(4)の後半部の下方にもブロック状継手(14)が配置され、この継手(14)に、マスフローコントローラ(2)の入口側接続部に接続される継手(15)が取り付けられている。下段にある3つのブロック状継手(11)(12)(14)は、上方からのねじ(37)によってフィルター(4)および遮断開放器本体(6)と結合され、さらに、外方突出縁付きの逆U字状ブラケット(19)に取り付けられている。そして、このブラケット(19)が基板(1)に取り付けられている。
【0025】
出口側遮断開放器(7)は、マスフローコントローラ(2)に近い側に配置された第1ブロック状本体(26)と、これに取り付けられた第1開閉弁アクチュエータ(27)と、第1ブロック状本体(26)の後側に隣接して配置された第2ブロック状本体(28)と、これに取り付けられた2つの開閉弁アクチュエータ(29)(30)と、第1本体(26)の上面に取り付けられた管状接続部付きブロック状継手(31)と、同前面に取り付けられた通路ブロック(32)と、第2本体(28)の上面に取り付けられた管状接続部付きブロック状継手(33)とにより形成されている。
【0026】
出口側遮断開放器(7)の通路ブロック(32)の下方に、ブロック状継手(16)が配置され、この継手(16)に、マスフローコントローラ(2)の出口側接続部(2b)に接続されている管状継手(17)が取り付けられている。通路ブロック(32)下方のブロック状継手(16)は、単独で外方突出縁付きの逆U字状ブラケット(20)を介して基板(1)に取り付けられている。
【0027】
フィルター(4)下方のブロック状継手(14)とマスフローコントローラ(2)接続用管状継手(15)との間には、バイバス用通路を分岐させる管状T型継手(34)が配されており、マスフローコントローラ(2)の上方を通る逆U字状のバイパス配管(35)の一端がこのT型継手(34)に接続され、同他端が出口側遮断開放器(7)の管状接続部付きブロック状継手(31)に接続されている。バイパス配管(35)途中には、これを逆L字部分(35a)と、I字部分(35b)とに分割可能とする管状継手(36)が設けられている。
【0028】
バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)は、図3に示した状態で、基板(1)に着脱可能とされており、マスフローコントローラ(2)は、その両側の継手(15)(17)を外すことにより、また、フィルター(4)、各遮断開放器(6)(7)の本体(21)(26)(28)および同通路ブロック(25)(32)は、ねじ(37)を外すことにより、それぞれ単独で上方に取り出し可能とされている。
【0029】
出口側遮断開放器(7)の後端部の下方には、各バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)の出口側と同様に、マニホールドブロック継手(43)が配置されている。このマニホールドブロック継手(43)は、詳細な図示は省略するが、図4に示したマニホールドブロック継手(40)の分岐通路(40b)(40c)数を3つとしたものであり、各バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)の出口側遮断開放器(7)の第2ブロック状本体(28)の後端部の通路同士がこのマニホールドブロック継手(43)によって接続されている。バイパス通路無しライン用マニホールドブロック継手(40)を支持するブラケット(42)は、基板(1)の一端から他端までのびており、バイパス通路有りライン用マニホールドブロック継手(43)も、このブラケット(42)に取り付けられている。バイパス通路無しライン用マニホールドブロック継手(40)とバイパス通路有りライン用マニホールドブロック継手(43)とは、連通パイプ(44)により接続されており、これらに共通の出口が、バイパス通路有りライン用マニホールドブロック継手(43)の終端部とされ、ここに、管状継手(46)付き開閉弁(45)が設けられている。
【0030】
バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)同士は、その入口側遮断開放器(6)の管状接続部付きブロック状継手(24)同士および出口側遮断開放器(7)の第2管状接続部付きブロック状継手(33)同士がそれぞれ通路接続手段としての逆U字状連通配管(47)(48)によって接続されている。
【0031】
上記のように構成された流体制御装置において、例えば、バイパス通路無しラインを2ライン増設する場合には、次のようにする。
【0032】
まず、図5に示すように、バイパス通路無しライン用マニホールドブロック継手(40)から通路閉鎖ブロック(41)を2つとも外し、次いで、図6に示すように、図2に示す状態まで組み立てられたバイパス通路無しライン(A4)を取り付ける。この際の作業は、出口側開閉弁(5)の本体(5a)をマニホールドブロック継手(40)の分岐通路(40c)に合わせ、ブラケット(8)(9)を基板(1)に固定するだけでよい。この作業をもう1つのバイパス通路無しライン(A5)についても行うことにより、図7に示すように、5つのバイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)と、3つのバイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)とが基板(1)に並列状に配置されて形成された流体制御装置が得られる。
【0033】
また、図8に示すような5つのバイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)と、2つのバイパス通路有りライン(B1)(B2)とが基板(1)に並列状に配置されて形成された流体制御装置において、バイパス通路有りラインを1ライン増設する場合には、次のようにする。
【0034】
まず、図9に示すように、バイパス通路有りライン用マニホールドブロック継手(43)から通路閉鎖ブロック(41)を取り外し、同時に、2つのバイパス通路有りライン(B1)(B2)の入口側遮断開放器(6)の管状接続部付きブロック状継手(24)および出口側遮断開放器(7)の第2本体(28)側管状接続部付きブロック状継手(33)を逆U字状連通配管(47)(48)とともに取り外す。次いで、図10に示すように、図3に示す状態まで組み立てられたバイパス通路有りライン(B3)を取り付ける。この際の作業は、出口側遮断開放器(7)の第2ブロック状本体(28)をマニホールドブロック継手(43)の分岐通路(43c)に合わせ、ブラケット(18)(19)(20)を基板(1)に固定するだけでよい。そして、図11に示すように、3つのライン(B1)(B2)(B3)の入口側遮断開放器(6)の管状接続部付きブロック状継手(24)および出口側遮断開放器(7)の第2本体(28)側管状接続部付きブロック状継手(33)を逆U字状連通配管(47)(48)とともに取り付ける。これにより、図12に示すように、5つのバイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)と、3つのバイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)とが基板(1)に並列状に配置されて形成された流体制御装置が得られる。
【0035】
また、5つのバイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)と、3つのバイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)とが基板(1)に並列状に配置されて形成された流体制御装置(図12のもの)において、バイパス通路有りライン(B3)のマスフローコントローラ(2)を交換する際には、次のようにする。
【0036】
まず、図13に示すように、バイパス通路有りライン(B3)のバイパス配管(35)の管状継手(36)を外す。次いで、図14に示すように、出口側遮断開放器(7)の管状接続部付きブロック状継手(31)をバイパス配管(35)の逆L字部分(35a)が付いたまま取り外す。次いで、図15に示すように、マスフローコントローラ(2)の入口側および出口側に接続されている管状継手(15)(17)を外す。これにより、図16に示すように、マスフローコントローラ(2)が上方に取り外し可能となる。マスフローコントローラ(2)を取り付けるには、これらの一連の作業を逆に行えばよい。
【0037】
上記流体制御装置は、プラズマ処理、エッチング、CVD成膜などを行うガス処理装置に使用されることが好ましい。図17は、ガス処理装置の一例を示している。
【0038】
このガス処理装置は、通常3系統(C)(D)(E)程度の実装された流体制御装置(101)を持つプラズマエッチング装置(100)であり、流体制御装置(101)は、ガス漏れの被害防止のために密閉構造でかつ排気可能な筐体に収納されている。また、流体制御装置(101)から供給されたエッチングガスは、ガス導入配管(103)および反応室(102)内に配置されたガスシャワーヘッド(104)を経由し、反応室(102)内に導入される。導入されたエッチングガスは、排気配管(108)より、図示していない排気系により反応室(102)外へ排気される。その際、基板ホルダー(105)へプラズマ発生用高周波電源(106)より高周波を供給し、基板(107)近傍にプラズマ放電を発生させ、基板(107)をエッチング処理するよう構成されている。
【0039】
このプラズマエッチング装置(100)によると、例えば、ガス種としてCHF3、O2、C2F6を用いて二酸化珪素膜のエッチングを行うことができる。この装置によってポリシリコンもエッチングできるようにするには、ガス種としてCl2、SF6の増設が必要となる。この場合、従来の流体制御装置では、マスフローコントローラなどの全ての流体制御機器を外し、溶接配管を新規に作成し、再度流体制御機器の組み付けを行うが、この場合、ガス配管全体が長時間大気に曝され、大気中の水分と配管中に吸着しているガス成分が反応し、配管に腐蝕を発生させるという問題が生じる。したがって、増設あるいは変更するところ以外の部品全ての接ガス部を分解洗浄する必要があった。これに対し、上記の本発明の流体制御装置を備えたプラズマエッチング装置では、必要なガスの部分のみを流体制御装置部分に付加することができ、改造が著しく容易になった。
【0040】
上記流体制御装置を備えたガス処理装置としては、プラズマエッチング装置以外、ガスを混合して使う、あるいは複数のガスを導入する装置であるCVD装置、プラズマCVD装置、スパッタ装置等があり、いずれのガス処理装置でもそのガスの改変が容易になる。
【符号の説明】
【0041】
(1) 基板
(A1)(A2)(A3)(A4)(A5) バイパス通路無しライン
(B1)(B2)(B3) バイパス通路有りライン
(2)(3)(4)(5)(6)(7) 流体制御機器
(8)(9)(18)(19)(20)(42) ブラケット
(11)(12)(13)(14)(15)(16)(17) 継手部材
(35) バイパス配管
(40)(43) マニホールドブロック継手
(40c)(43c) ライン増設用分岐路
(41) 通路閉鎖ブロック(閉鎖部材)
(47)(48) 通路接続手段
(100) プラズマエッチング装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)(B1)(B2)(B3)が、複数の流体制御機器(2)(3)(4)(5)(6)(7)と、複数の継手部材(11)(12)(13)(14)(15)(16)(17)とによって形成され、複数のライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)(B1)(B2)(B3)が、その入口および出口を同じ方向に向けて基板(1)上に並列状に配置され、所定のライン(B1)(B2)(B3)同士が通路接続手段(47)(48)により接続されている流体制御装置において、
複数の継手部材(11)(12)(13)(14)(15)(16)(17)として、複数の管状継手部材(13)(15)(17)と複数のブロック状継手部材(11)(12)(14)(16)とが使用されており、各ライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)(B1)(B2)(B3)が複数のブラケット(8)(9)(18)(19)(20)を介して基板(1)に着脱可能に取り付けられ、通路接続手段(47)(48)が上方に取り外し可能とされていることを特徴とする流体制御装置。
【請求項2】
下段に配されて3つ以上のライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)(B1)(B2)(B3)を1つの継手で接続するマニホールドブロック継手(40)(43)が、入口側および出口側の少なくとも一方に設けられており、このマニホールドブロック継手(40)(43)は、ブラケット(42)を介して基板に取り付けられている請求項1の流体制御装置。
【請求項3】
マニホールドブロック継手(40)(43)に、開口が閉鎖部材(41)によって閉鎖されているライン増設用分岐路(40c)が設けられている請求項2の流体制御装置。
【請求項4】
複数のライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)(B1)(B2)(B3)は、バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)とバイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)とからなり、バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)は、所定の流体制御機器(2)の入口側と出口側とを流体制御機器(2)の上方において接続するバイパス配管(35)を有している請求項1の流体制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4の流体制御装置を備えたガス処理装置。
【請求項6】
請求項1〜4の流体制御装置を備えたプラズマ処理装置。
【請求項1】
1つのライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)(B1)(B2)(B3)が、複数の流体制御機器(2)(3)(4)(5)(6)(7)と、複数の継手部材(11)(12)(13)(14)(15)(16)(17)とによって形成され、複数のライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)(B1)(B2)(B3)が、その入口および出口を同じ方向に向けて基板(1)上に並列状に配置され、所定のライン(B1)(B2)(B3)同士が通路接続手段(47)(48)により接続されている流体制御装置において、
複数の継手部材(11)(12)(13)(14)(15)(16)(17)として、複数の管状継手部材(13)(15)(17)と複数のブロック状継手部材(11)(12)(14)(16)とが使用されており、各ライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)(B1)(B2)(B3)が複数のブラケット(8)(9)(18)(19)(20)を介して基板(1)に着脱可能に取り付けられ、通路接続手段(47)(48)が上方に取り外し可能とされていることを特徴とする流体制御装置。
【請求項2】
下段に配されて3つ以上のライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)(B1)(B2)(B3)を1つの継手で接続するマニホールドブロック継手(40)(43)が、入口側および出口側の少なくとも一方に設けられており、このマニホールドブロック継手(40)(43)は、ブラケット(42)を介して基板に取り付けられている請求項1の流体制御装置。
【請求項3】
マニホールドブロック継手(40)(43)に、開口が閉鎖部材(41)によって閉鎖されているライン増設用分岐路(40c)が設けられている請求項2の流体制御装置。
【請求項4】
複数のライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)(B1)(B2)(B3)は、バイパス通路無しライン(A1)(A2)(A3)(A4)(A5)とバイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)とからなり、バイパス通路有りライン(B1)(B2)(B3)は、所定の流体制御機器(2)の入口側と出口側とを流体制御機器(2)の上方において接続するバイパス配管(35)を有している請求項1の流体制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4の流体制御装置を備えたガス処理装置。
【請求項6】
請求項1〜4の流体制御装置を備えたプラズマ処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−197941(P2012−197941A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115503(P2012−115503)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2000−274546(P2000−274546)の分割
【原出願日】平成12年9月11日(2000.9.11)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2000−274546(P2000−274546)の分割
【原出願日】平成12年9月11日(2000.9.11)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】
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