説明

流体動圧ベアリングアセンブリ及びその製造方法

【課題】本発明は、潤滑油の飛散を最小限にするための流体動圧ベアリングアセンブリ及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明による流体動圧ベアリングアセンブリは、固定部材と回転部材との間に形成されるオイルシール部と、上記オイルシール部からのオイル漏れが防止されるように配置され、上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面に形成された自己組織化単分子膜を含むオイルバリアフィルムと、を含む。本発明によると、オイルバリアフィルムを常温で容易に形成することができ、上記オイルバリアは外力によって損傷なしに長期間にわたって持続的な使用が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油の飛散を最小限にするための流体動圧ベアリングアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
情報保存装置の一つであるハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)は、記録再生ヘッド(read/write head)を用いてディスクに保存されたデータを再生したり、ディスクにデータを記録する装置である。
【0003】
このようなハードディスクドライブにはディスクを駆動させることができるディスク駆動装置が必要であり、上記ディスク駆動装置には小型スピンドルモータが用いられる。
【0004】
このような小型スピンドルモータには流体動圧ベアリングアセンブリが用いられており、上記流体動圧ベアリングアセンブリの回転部材のうちの一つであるシャフトと固定部材のうちの一つであるスリーブとの間には潤滑流体が介在して上記潤滑流体から生じる流体圧力でシャフトを支持する。
【0005】
また、流体動圧ベアリングアセンブリを採用しているスピンドルモータは、流体の表面張力及び毛細管現象を用いて上記流体のシール部を構成しており、上記シール部において安定性という側面は重要因子の一つである。
【0006】
しかしながら、モータの駆動及び停止状態で外部衝撃が加わる場合、潤滑流体の界面を形成していた潤滑流体が外部に流出する現象が発生し、結果的に、潤滑流体の損失が生じてモータの駆動安定性を低下させるという問題がある。
【0007】
従って、外部衝撃が加わる場合、潤滑流体の流出を防止し、流出しても再び潤滑流体の界面方向に再流入できるようにすることで、モータ駆動の安定性を向上させる研究が急がれている実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、潤滑油の飛散を最小限にするための流体動圧ベアリングアセンブリに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリは、固定部材と回転部材との間に形成されるオイルシール部と、上記オイルシール部からのオイル漏れが防止されるように配置され、上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面に形成された自己組織化単分子膜を含むオイルバリアフィルムと、を含むことができる。
【0010】
上記オイルバリアフィルムは、常温で形成されることができる。
【0011】
上記オイルバリアフィルムは、CF(CH−Si−Cl、CH(CH−Si−Cl、CF(CH−S−H及びCH(CH−S−Hからなる群より選択された一つ以上を含む溶液を塗布して形成されることができる。
【0012】
また、上記オイルバリアフィルムは、疎水性を示すことができ、上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面と化学結合をすることができる。
【0013】
上記オイルバリアフィルムは、CF及びCHのうち一つ以上の末端官能基を含むことができる。
【0014】
上記固定部材は、スリーブ(sleeve)及びキャップ(cap)であることができ、上記回転部材は、シャフト(shaft)、スラスト(thrust)プレート及びハブ(hub)であることができる。
【0015】
本発明の一実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリの製造方法は、オイルシール部がその間に形成される固定部材及び回転部材を用意する段階と、上記オイルシール部からのオイル漏れが防止されるように配置され、上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面に自己組織化単分子膜を含むオイルバリアフィルムを形成する段階と、を含むことができる。
【0016】
上記オイルバリアフィルムを形成する段階は、常温で行われることができ、上記オイルバリアフィルムは、疎水性を示すことができ、上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面と化学結合を形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による流体動圧ベアリングアセンブリによると、オイルバリアを常温で簡単に形成することができるため、従来のオイルバリアに比べて容易に形成することができる。
【0018】
また、上記オイルバリアは、固定部材及び回転部材のうち少なくとも一つの表面と化学結合を形成して潤滑油の飛散を最小限にするため、外力による損傷なしに長期間にわたる持続的な使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリを含むモータを概略的に示す断面図である。
【図2】図1におけるAの他の実施形態を示す拡大図である。
【図3】図1におけるAの他の実施形態を示す拡大図である。
【図4】本発明の一実施形態によるオイルバリアフィルムの形成前後におけるオイルと接触してなす角を示す顕微鏡(Microscope)の写真である。
【図5】本発明の一実施形態によるオイルバリアフィルムに含まれた自己組織化単分子膜を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態は、他の多様な形態に変形されることができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。従って、図面上における要素の形状及びサイズ等は、より明確な説明のために誇張されることがあり、図面上に同じ符号で示される要素は同一要素である。
【0021】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリを含むモータ400を概略的に示す断面図である。
【0023】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリ100は、固定部材120、140と回転部材110、130、212との間に形成されるオイルシール部160と、上記オイルシール部160からのオイル漏れが防止されるように配置され、上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面に形成された自己組織化単分子膜を含むオイルバリアフィルム170と、を含むことができる。
【0024】
以下では、上記構成について詳細に説明する。
【0025】
上記固定部材はスリーブ(sleeve)120及びキャップ(cap)140であることができ、上記回転部材はシャフト(shaft)110、スラスト(thrust)プレート130及びハブ(hub)212であることができる。
【0026】
上記オイルシール部160は、固定部材120、140と回転部材110、130、212との間に形成されることができ、特に、スリーブ(sleeve)120とスラスト(thrust)プレート130とキャップ(cap)140との間に形成されることができる。
【0027】
上記キャップ140は、上記スラストプレート130の上側に圧入されて上記スラストプレート130との間に潤滑流体がシールされるようにする部材であり、上記スラストプレート130及び上記スリーブ120に圧入されるように外径方向に向かって円周方向の溝が形成される。
【0028】
上記キャップ140は、潤滑流体がシールされるようにするため、下面に突出部が形成されることができるが、これはモータの駆動時に潤滑流体が外部に漏れることを防止するために毛細管現象及び潤滑流体の表面張力を用いたものである。
【0029】
本発明の一実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリ100は、上記オイルシール部160からのオイル漏れが防止されるように配置され、上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面に形成された自己組織化単分子膜を含むオイルバリアフィルム170を含むことができる。
【0030】
上記オイルバリアフィルム170は、特に制限されないが、上記固定部材、特に、キャップ140の表面に形成されることができ、上記回転部材、特に、ハブ212の表面に形成されることができ、上記固定部材及び回転部材両方の表面に形成されることもできる。
【0031】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリ100は、上記キャップ140及び上記ハブ212の表面に形成された上記オイルバリアフィルム170を含むことができる。
【0032】
図2及び図3を参照すると、本発明の他の実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリ100は、上記キャップ140の表面または上記ハブ212の表面に形成された上記オイルバリアフィルム170を含むことができる。
【0033】
上記オイルバリアフィルム170は、常温で形成されることができる。
【0034】
従来は、潤滑油の飛散を抑制するためにフルオロ(F)アルキル基を有するフッ素系ポリマーを主成分とする撥油剤被膜を形成することから、80から200℃における加熱乾燥工程及びUV照射工程が求められる等、工程収率が低いという問題があった。
【0035】
しかしながら、本発明の一実施形態によると、潤滑油の飛散を最小限にするためのオイルバリアフィルム170を常温で形成することができるため、付加工程が求められず、工程が簡単であると共に、収率の高い工程を得ることができる。
【0036】
また、上記オイルバリアフィルム170は、特に制限されないが、例えば、CF(CH−Si−Cl、CH(CH−Si−Cl、CF(CH−S−H及びCH(CH−S−Hからなる群より選択された一つ以上を含む溶液を塗布して形成されることができる。
【0037】
具体的には、上記オイルバリアフィルム170は、CF(CH)n−Si−Cl、CH(CH)n−Si−Cl、CF(CH)n−S−H及びCH(CH)n−S−Hからなる群より選択された一つ以上の溶質とヘキサン(Hexane)、エチルアルコール(Ethylalcohol)等の溶媒で製造された溶液を塗布して形成されることができる。
【0038】
即ち、上記オイルバリアフィルムは、上記溶液を上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面に塗布して常温で乾燥することで、簡単に疎水性膜を形成することができる。
【0039】
図4は、本発明の一実施形態によるオイルバリアフィルムの形成前後におけるオイルと接触してなす角を示す顕微鏡(Microscope)の写真である。
【0040】
図4を参照すると、オイルバリアフィルムが形成される前における固体面とオイルが接触してなす角は39.9°で、親油性を示す。これに対し、上記オイルバリアフィルムが形成される後におけるオイルバリアフィルムとオイルが接触してなす角は94.9°で、疎水性を示していることが分かる。
【0041】
即ち、一般的に固体面とオイルが接触してなす角度が90°より小さい場合が新油性で、大きい場合が疎水性であり、上記フィルムが形成される前には、90°より小さいために新油性を示したが、上記フィルムが形成される後には、90°より大きいために疎水性を示す。
【0042】
また、上記オイルバリアフィルムの形成は、常温で行われるものであり、簡単な工程によっても疎水性膜を形成することができる。
【0043】
また、上記オイルバリアフィルムは、疎水性を示すことができ、上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面と化学結合をすることができる。
【0044】
上記オイルバリアフィルムがCF及びCHのうち一つ以上の末端官能基を含むため、上記のように疎水性を示すことができる。
【0045】
また、上記オイルバリアフィルム170は、上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面と化学結合をすることができるが、これは上記表面及び上記フィルムが含むSiOまたはSiCl官能基との化学結合によって行われることができる。
【0046】
図5は、本発明の一実施形態によるオイルバリアフィルムに含まれた自己組織化単分子膜を示す拡大図である。
【0047】
上記オイルバリアフィルムは、自己組織化単分子膜(Self−Assembled Monolayer、SAM)を含んで形成されることができる。
【0048】
上記自己組織化単分子膜は、固体表面に自発的に形成される有機単分子膜として定義されることができる。
【0049】
この場合、上記自己組織化単分子膜の構造は大きく三つに分けることができる。その一つ目はヘッドグループ(head group)として表面上に化学吸着される部分を示す。
【0050】
本発明の一実施形態によると、上記自己組織化単分子膜の構造のうちヘッドグループは、SiOまたはSiCl官能基であることができ、上記固定部材または回転部材のうち少なくとも一表面と化学結合することができる。
【0051】
二つ目の部分はアルキル鎖であり、その二つ目の部分には長鎖アルキル間のファンデルワールス(Van der Walls)相互作用によって整列された単分子膜が形成されることができる。
【0052】
残りの末端部分は官能基部分であり、本発明の一実施形態によると、上記オイルバリアフィルムは、疎水性を示すように末端官能基を含むことができる。
【0053】
上記末端官能基は、疎水性を示すものであれば、特に制限されず、例えば、CF及びCHのうち一つ以上の末端官能基であることができる。
【0054】
図5は、本発明の一実施形態によるオイルバリアフィルムが末端官能基としてCHが形成されている状態を示す。
【0055】
本発明の一実施形態によると、上述しているように、上記オイルバリアフィルム170が上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面と化学結合をするため、潤滑油の飛散を抑制するという効果のみならず、外部の力によって損傷なしに持続的な使用が可能であるという効果がある。
【0056】
即ち、上記オイルバリアフィルム170は、上記部材と化学結合をすることで、耐衝撃性の向上及び持続的な使用が可能であるという効果があり、上記フィルムが含む末端基によって疎水性を示すため、潤滑油の飛散を抑制することができる。
【0057】
また、上記オイルバリアフィルム170は、常温で簡単に塗布して形成されることができるため、潤滑油の飛散抑制、耐衝撃性、耐久性の向上のみならず、工程収率向上の効果がある。
【0058】
なお、本発明の一実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリ100は、シャフト110と、スリーブ120と、スラストプレート130と、キャップ部材140と、オイルシール部160と、を含むことができる。
【0059】
上記スリーブ120は、上記シャフト110の上端が軸方向の上側に突出するように上記シャフト110を支持することができ、CuまたはAlを鍛造したり、Cu−Fe系合金粉末またはSUS系粉末を焼結して形成されることができる。
【0060】
ここで、上記シャフト110は、上記スリーブ120の軸孔及び微小間隙を有するように挿入され、上記微小間隙には潤滑流体が充填され、上記シャフト110の外形及び上記スリーブ120の内径のうち少なくとも一つに形成されるラジアル動圧溝によって上記ロータ200の回転をさらに柔らかく支持することができる。
【0061】
上記ラジアル動圧溝は、上記スリーブ120の軸孔の内部である上記スリーブ120の内側面に形成され、上記シャフト110の回転時に一方に偏向するように圧力を形成させる。
【0062】
但し、上記ラジアル動圧溝は、上記しているように、上記スリーブ120の内側面に用意されることに限定されず、上記シャフト110の外径部に用意されることもでき、その個数も制限されない。
【0063】
上記スリーブ120には、スリーブ120の上部と下部とを連通するように形成されるバイパスチャンネル125を備えることで、流体動圧ベアリングアセンブリ100内部の潤滑流体の圧力を分散させて平衡を維持させるようにすることができると共に、上記流体動圧ベアリングアセンブリ100内部に存在する気泡等が循環によって排出されるように移動させることができる。
【0064】
ここで、上記スリーブ120の下部には、間隙を維持した状態で上記スリーブ120と結合し、上記間隙に潤滑流体を収容するカバープレート150が形成されることができる。
【0065】
上記カバープレート150は、上記スリーブ120との間隙に潤滑流体を収容してそれ自体で上記シャフト110の下面を支持するベアリングとして機能することができる。
【0066】
スラストプレート130は、上記スリーブ120の軸方向上部に配置され、中央にシャフト110の端面に相応するホールが備えられ、このホールに上記シャフト110が挿入されることができる。
【0067】
この時、上記スラストプレート130は、別途に製造されて上記シャフト110と結合することもできるが、製造時から上記シャフト110と一体に形成されることもできる。また、上記シャフト110の回転運動の際に上記シャフト110に沿って回転運動するようになる。
【0068】
また、上記スラストプレート130の上面には上記シャフト110にスラスト動圧を提供するスラスト動圧溝が形成されることができる。
【0069】
上記スラスト動圧溝は、上記しているように上記スラストプレート130の上面に形成されることに限定されず、上記スラストプレート130の下面に対応するスリーブ120の上面にも形成されることができる。
【0070】
ステータ300は、コイル320と、コア330と、ベース部材310と、を含むことができる。
【0071】
言い換えれば、上記ステータ300は、電源を印加する際に一定サイズの電磁気力を発生させるコイル320と、上記コイル320が巻線される複数個のコア330と、を備える固定構造物であることができる。
【0072】
上記コア330は、パターン回路が印刷された印刷回路基板(図示せず)が備えられるベース部材310の上部に固定配置され、上記巻線コイル320と対応するベース部材310の上部面には上記巻線コイル320を下部に露出させるように一定サイズのコイル孔が複数個貫通形成されることができ、上記巻線コイル320は、外部電源が供給されるように上記印刷回路基板(図示せず)と電気的に連結されることができる。
【0073】
上記ベース部材310は、上記ベース部材310の内面あるいは上記スリーブ120の外面に接着剤を塗布して組み立てることができ、上記ベース部材310には、上記スリーブ120の外周面が圧入されて固定され、上記コイル320が巻線されるコア330が挿入される。
【0074】
ロータ200は、上記ステータ300に対して回転可能に備えられる回転構造物であり、上記コア330と一定間隔を置いて対応する環状のマグネット220を外周面に備えるロータケース210を含むことができる。
【0075】
また、上記マグネット220は、円周方向にN極、S極が交互に着磁され、一定強さの磁気力を発生させる永久磁石として備えられる。
【0076】
ここで、上記ロータケース210は、シャフト110の上端に圧入され固定されるようにするハブ212と、上記ハブ212から外径方向に延長され、軸方向下側に折り曲げられて上記マグネット220を支持するマグネット支持部214と、を含むことができる。
【0077】
また、本発明の他の実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリ100の製造方法は、オイルシール部がその間に形成される固定部材及び回転部材を用意する段階と、上記オイルシール部からのオイル漏れが防止されるように配置され、上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面に自己組織化単分子膜を含むオイルバリアフィルムを形成する段階と、を含むことができる。
【0078】
本発明の他の実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリ100の製造方法において、本発明の特徴的な部分を除いては、一般的な製造方法によることができる。
【0079】
以下では、本発明の他の実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリ100の製造方法の特徴部について具体的に説明するが、上述した流体動圧ベアリングアセンブリの特徴と重複する説明及び一般的な製造工程は省略する。
【0080】
まず、本発明の一実施形態による流体動圧ベアリングアセンブリ100の製造方法は、オイルシール部がその間に形成される固定部材及び回転部材を用意することができる。
【0081】
上記固定部材及び回転部材は、特に制限されず、その具体的な例は上述した通りである。
【0082】
次に、上記オイルシール部からのオイル漏れが防止されるように配置され、上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面に自己組織化単分子膜を含むオイルバリアフィルムを形成することができる。
【0083】
上記オイルバリアフィルムを形成する段階は常温で行われることができ、これにより、本発明の一実施形態によると、加熱またはUV工程が必要なく、工程時間を短縮することができるため、工程収率が向上することができる。
【0084】
また、上記オイルバリアフィルムは、疎水性を示すことができ、上記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面と化学結合を形成することができる。
【0085】
即ち、上記オイルバリアフィルムが疎水性を示すことから、潤滑油の飛散を最小限にするのみならず、上記しているように、化学結合を形成することによって耐衝撃性の向上と共に、長期間にわたって持続的に使用できるという効果がある。
【0086】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面により限定されず、添付の特許請求の範囲により限定される。従って、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内で当技術分野における通常の知識を有する者による多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0087】
100 流体動圧ベアリングアセンブリ
110 シャフト
120 スリーブ
130 スラストプレート
140 キャップ部材
150 カバープレート
160 オイルシール部
170 オイルバリアフィルム
200 ロータ
210 ロータケース
212 ハブ
214 マグネット支持部
220 マグネット
300 ステータ
310 ベース部材
320 コイル
330 コア
400 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と回転部材との間に形成されるオイルシール部と、
前記オイルシール部からのオイル漏れが防止されるように配置された、前記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面に形成された自己組織化単分子膜(Self−Assembled Monolayer、SAM)を含むオイルバリアフィルムと
を含む、流体動圧ベアリングアセンブリ。
【請求項2】
前記オイルバリアフィルムは、常温で形成された、請求項1に記載の流体動圧ベアリングアセンブリ。
【請求項3】
前記オイルバリアフィルムは、CF(CH−Si−Cl、CH(CH−Si−Cl、CF(CH−S−H及びCH(CH−S−Hからなる群より選択された一つ以上を含む溶液を塗布して形成される、請求項1または2に記載の流体動圧ベアリングアセンブリ。
【請求項4】
前記オイルバリアフィルムは、疎水性を示す、請求項1から3の何れか1項に記載の流体動圧ベアリングアセンブリ。
【請求項5】
前記オイルバリアフィルムは、前記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面と化学結合をする、請求項1から4の何れか1項に記載の流体動圧ベアリングアセンブリ。
【請求項6】
前記オイルバリアフィルムは、CF及びCHのうち一つ以上の末端官能基を含む、請求項1から5の何れか1項に記載の流体動圧ベアリングアセンブリ。
【請求項7】
前記固定部材は、スリーブ(sleeve)及びキャップ(cap)を含む、請求項1から6の何れか1項に記載の流体動圧ベアリングアセンブリ。
【請求項8】
前記回転部材は、シャフト(shaft)、スラスト(thrust)プレート及びハブ(hub)を含む、請求項1から7の何れか1項に記載の流体動圧ベアリングアセンブリ。
【請求項9】
オイルシール部がその間に形成される固定部材及び回転部材を用意する段階と、
前記オイルシール部からのオイル漏れが防止されるように配置される、前記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面に自己組織化単分子膜(Self−Assembled Monolayer、SAM)を含むオイルバリアフィルムを形成する段階と
を含む、流体動圧ベアリングアセンブリの製造方法。
【請求項10】
前記オイルバリアフィルムを形成する段階は、常温で行われる、請求項9に記載の流体動圧ベアリングアセンブリの製造方法。
【請求項11】
前記オイルバリアフィルムは、疎水性を示す、請求項9または10に記載の流体動圧ベアリングアセンブリの製造方法。
【請求項12】
前記オイルバリアフィルムは、前記固定部材及び回転部材のうち少なくとも一表面と化学結合を形成する、請求項9から11の何れか1項に記載の流体動圧ベアリングアセンブリの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−255546(P2012−255546A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−126400(P2012−126400)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】