説明

流体動圧軸受スピンドルモータ

【課題】流体動圧軸受の軸損失を減らし、スピンドルモータの小型化、価格低減を図る。
【解決手段】巻線コイル112が巻かれたコア113、上記コア113が上部面に具備され、本体中央に中央孔115を貫通形成したベース114を有するステーター110、上記巻線コイル112と一定間隔を隔てて相互対応するよう外周面にマグネット124が具備されるハブ125を設け、上記ハブ125の内周面にストップリング126が一体に装着されるローター120、及び、上記ハブ125の内部面と対応し、上記ストップリング126と対応して面接する外部面に少なくとも一つ以上の動圧発生用溝を形成し、上記ベース114の中央孔115に組立てられる本体中央に上記ハブ125が配されるハブ挿入孔133を形成して上記ステーター110に対してローター120の回転を支持するスリーブ130を含んで成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体動圧軸受を有するスピンドルモータに関するものであって、より詳しくは固定部材と回転部材との摺動面に発生する動圧面積を最大化して軸剛性力を向上させ、軸損失を減らし低消費電力を具現し、固定密度で回転することができ、構成部品数を減らしてモーターの寸法を小型化し、製造原価が節減できる流体動圧軸受スピンドルモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ボールベアリングが用いられたモーターはシャフトと摩擦が存在し、これにより騒音と振動が発生する。この際、発生する振動をNRRO(Non Repeatable Run Out)といい、これハードディスクのトラック密度を高めるのに障害となる。
【0003】
それに比して、遠心力による潤滑油の可動圧のみでシャフトの軸剛性を維持する流体動圧軸受が具備されたスピンドルモータは遠心力を基盤としているので金属摩擦が無く高速回転になるほど安定感が上昇し騒音と振動の発生が少なく、回転物の高速回転がボールベアリングを有するモーターより順調なので、ハイエンド用光ディスク装置、磁気ディスク装置に主に適用される。
【0004】
こうした特徴を有するスピンドルモータに具備される流体動圧軸受は回転中心の シャフトと、上記シャフトに組立てられ摺動面を形成する金属製スリーブとで成り、これらの中いずれか一方の面にヘリングボーン(herringbone)またはスパイラル(spiral)状の動圧発生用溝(groove)を形成し、上記シャフトとスリーブとの摺動面に微細に形成する間隙に潤滑用オイルである流体を充填することにより、摺動面の溝から発生する動圧によって摩擦部材と非接触状態となるようにして回転駆動時摩擦負荷を低減し、回転部材であるローターを支持する構造の軸受部材である。
【0005】
上記した構成を有する流体動圧軸受をスピンドルモータに適用するようになると、流体を利用してローターを支持するためにモーターから発生する騒音量が少なく、消費電力も少なくて済むと共に耐衝撃性が優れる。
【0006】
図1は一般の流体動圧軸受を具備するスピンドルモータを示した断面図であって、図示したように、ステーター(10)とローター(20)とを具備するが、上記ステーター(10)は金属製の円筒型スリーブ(32)が中央に配されるベース(12)とその上部面に配される少なくとも一つ以上の巻線コイル(14)とで成る。
【0007】
上記ステーター(10)に対して回転可能に具備されるローター(20)はカップ上のハブ(24)で構成されるが、上記ハブ(24)はシャフト(34)の上端が組立てられるボス部(21)と、上記巻線コイル(14)と対応するようマグネット(23)が装着されるスカート部(22)とで成る。
【0008】
そして、上記スリーブ(32)は上記ベース(12)の中央内径部に挿入され位置固定され、本体中央に上記シャフト(34)と組立てられる大、小内径部(32a)(32b)を形成し、上記シャフト(34)は上記スリーブ(32)の大、小内径部(32a)(32b)に挿入されるよう大、小外径部(34a)(34b)を形成する。
【0009】
こうして上記スリーブ(32)にシャフト(34)を組立て、上記スリーブ(32)に組立てれたシャフト(34)を下向き支持するよう上記スリーブ(32)の上端に外周端が固定される押さえリング(35)を装着すると、上記シャフト(34)に形成された動圧発生用溝(G)を境界に微細な間隙の摺動面が形成される。
【0010】
さらに、上記スリーブ(32)の内径と上記シャフト(34)の外径との摺動面に潤滑用オイルの流体が注入されると、上記押さえリング(35)の下部面と上記シャフト(34)の大外径部(34a)の上部面との間には相対回転により動圧が発生する上部スラスト動圧部が形成され、上記大外径部(34a)の下部面と上記スリーブ(32)の大内径部(32a)の底面との間にも相対回転により動圧が発生する下部スラスト動圧部が形成される。
【0011】
また、上記スリーブ(32)の大、小内径部(32a)(32b)の内周面と上記シャフト(34)の大、小外径部(34a)(34b)の外周面との間には相対回転により動圧が発生するラジアル動圧部が形成される。
【0012】
しかし、こうした構造を有する従来のスピンドルモータ(1)は上記スリーブ(32)の上端に一定の高さを有する押さえリング(35)が具備されるので上記ラジアル動圧部が形成される領域をスリーブ(32)の最上端高まで最大化できず上記押さえリング(35)の高さ(h)だけ相対的に減るようになり、こうして減った領域だけラジアル動圧部の動圧損失を招いた。
【0013】
これと同時に、上記上、下部スラスト動圧部は構造上、上記スリーブ(32)の内径部に形成されるので上記上、下部スラスト動圧部が形成される領域をスリーブの最大外径と対応する領域まで最大化できず上記スリーブ(32)の内径部と外径部との厚さの差(t)だけ相対的に減るようになり、こうして減った領域だけスラスト動圧部の動圧損失を招いた。
【0014】
また、上記スリーブ(32)に組立てられるシャフト(34)は上記スリーブ(32)の大、小内径部(32a)(32a)に合わせて大、小外径部(34a)(34b)を精密に加工しなければならないので上記スリーブ(32)の内径部及びシャフト(34)の外径部を機械加工するのにかかる費用が上昇し、これによりモーターの製造原価を上昇させる原因となる。
【0015】
そして、上記スリーブ(32)の密閉された底面と上記シャフト(34)の下部面との間には動圧が発生しない未動圧発生部が形成されるのでモーター駆動時未動圧発生部における摩擦抵抗が増加されながら軸損失を引き起こすようになる。
【0016】
これと共に、上記スリーブ(32)とシャフト(34)との摺動面に注入された潤滑用オイルは時間が経過しながら上記未動圧発生部に集まる量が増加しながらオイルの熱膨張による悪影響が大きくなる。
【0017】
即ち、固定部材であるスリーブ(32)と回転部材であるシャフト(34)との間に一定の大きさの粘度を有するオイルが存在するので軸損失である摩擦が発生し、これと共にオイル温度が上昇するとオイルが熱膨張して体積が増大し、こうして上記スリーブとシャフトとの隙間からオイルが漏洩しかねなくなる。
【0018】
上記オイル温度が降下するとオイルの体積が収縮し元の状態へ戻りオイル量が維持されなければならないが、熱膨張時漏洩したオイルにより全体のオイル量が減少してしまい、このことにより騒音、振動を引き起こし、寿命を縮減させるとの問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明は上記のような従来の問題を解消するために提案されたものであって、その目的は固定部材と回転部材との摺動面において動圧が発生する面積を最大化し軸支持力を向上させ、軸損失を減らし消費電力を最少化できる流体動圧軸受スピンドルモータを提供することにある。
【0020】
本発明の他目的は構成部品数を減らしモーターの寸法を小型化し、製造原価を節減できる流体動圧軸受スピンドルモータを提供することにある。
【0021】
上記のような目的を成し遂げるための技術的な構成として、本発明は、
少なくとも一つ以上の巻線コイルが巻き取られるコアを設け、上記コアが上部面に具備され、本体中央に中央孔を貫通形成したベースを有するステーター;
上記巻線コイルと一定間隔を隔てて相互対応するよう外周面にマグネットが具備されるハブを設け、上記ハブの内周面にストップリングが一体に装着されるローター;及び
上記ハブの内部面と対応し、上記ストップリングと対応して面接する外部面に少なくとも一つ以上の動圧発生用溝を形成し、上記ベースの中央孔に組立てられる本体中央に上記ハブが配されるハブ挿入孔を形成して上記ステーターに対してローターの回転を支持するスリーブを含むことを特徴とする流体動圧軸受スピンドルモータを提供する。
【0022】
好ましくは、上記ハブは上記ハブ挿入孔に挿入配置されるよう下向きに突出する軸ボス部と、上記マグネットが外部面に装着され、上記ストップリングが内部面に装着される中空円筒型スカート部とで成る。
より好ましくは、上記軸ボス部は上記ハブ挿入孔の内部面に対して外部面が面接するよう外径が一定な円筒状に形成される。
より好ましくは、上記軸ボス部は上記ハブ挿入孔の内部面に対して外部面が離隔されるよう外径が下部に向かって徐々に小さくなる円筒状に形成される。
より好ましくは、上記軸ボス部の下部面は上記ハブ挿入孔の底面との間に一定の大きさの間隙を形成する。
【0023】
好ましくは、上記スリーブは上記ハブ挿入孔が形成される大外径部と、上記中央孔に組立てられる小外径部を含み、上記ハブの上部内部面と対応する大外径部の上部面に上部スラスト動圧を発生させる上部溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブの内周面と対応する大外径部の外周面に外周ラジアル動圧を発生させる外周溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ストップリングの上部面と対応する大外径部の下部面に下部スラスト動圧を発生させる下部溝を少なくとも一つ以上形成する。
【0024】
好ましくは、上記スリーブは上記ハブ挿入孔が形成される大外径部と、上記中央孔に組立てられる小外径部を含み、上記ハブの上部内部面と対応する大外径部の上部面に上部スラスト動圧を発生させる上部溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブ挿入孔の内周面に内周ラジアル動圧を発生させる内周溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ストップリングの上部面と対応する大外径部の下部面に下部スラスト動圧を発生させる下部溝を少なくとも一つ以上形成する。
【0025】
好ましくは、上記スリーブは上記ハブ挿入孔が形成される大外径部と、上記中央孔に挿入され組立てられる小外径部を含み、上記ハブの上部内部面と対応する大外径部の上部面に上部スラスト動圧を発生させる上部溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブの内周面と対応する大外径部の外周面に外周ラジアル動圧を発生させる外周溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブ挿入孔の内周面に内周ラジアル動圧を発生させる内周溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ストップリングの上部面と対応する大外径部の下部面に下部スラスト動圧を発生させる下部溝を少なくとも一つ以上形成する。
【0026】
好ましくは、上記スリーブは外部面に上記ハブ挿入孔と連通するよう少なくとも一つ以上のベント孔を貫通形成する。
好ましくは、上記スリーブには動圧発生用溝に供給されたオイルの外部流出を防止し貯蔵する上部シーリング貯油部と下部シーリング貯油部が選択的または同時にさらに含まれる。
【0027】
より好ましくは 上記上部シーリング貯油部は上記ハブの水平な内部上部面と、これに対応するスリーブの上部面に内径側に向かって徐々に下向き傾斜を有する傾斜部との間に形成される。
より好ましくは、上記下部シーリング貯油部は上記スリーブの垂直な外部面と、これに対応するストップリングの内周面に上端から下端に向かって徐々に外側へ広がる傾斜部との間に形成される。
【0028】
より好ましくは、上記傾斜部は「V」断面状または円弧断面状に形成される。
より好ましくは、上記下部シーリング貯油部は上記ストップリングの内周上端から上向き傾斜を有するよう突出した突片と、上記突片が配された上記ストップリングと対応する外部面に凹設させられる収容溝との間に形成される。
【0029】
より好ましくは、上記突片の傾斜面は水平な底面に対して上記収容溝の傾斜面の傾斜角度より小さく形成し対向する傾斜面が相互接しないようにする。
本発明は、
少なくとも一つ以上の巻線コイルが巻き取られるコアを設け、上記コアが上部面に具備され、本体中央に中央孔を貫通形成したベースを有するステーター;
上記巻線コイルと一定間隔を隔てて相互対応するよう外周面にマグネットが具備されるハブを設け、上記ハブの内周面にストップリングが一体に装着されるローター;
上記ハブの内部面と対応し、上記ストップリングと対応して面接する外部面に動圧発生用溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブが配されるハブ挿入孔を本体中央に貫通形成して上記ステーターに対してローターの回転を支持するスリーブ; 及び、
上記スリーブの下部端を固定支持するよう上記ベースの中央孔に組立てられる固定キャップを含むことを特徴とする流体動圧軸受スピンドルモータを提供する。
【0030】
好ましくは、上記ハブは上記ハブ挿入孔に挿入配置されるよう下向きに突出する軸ボス部と、上記マグネットが外部面に装着され、上記ストップリングが内部面に装着される中空円筒型スカート部とで成る。
より好ましくは、上記軸ボス部は上記ハブ挿入孔の内部面に対して外部面が面接するよう外径が一定な円筒状に形成される。
より好ましくは、上記軸ボス部は上記ハブ挿入孔の内部面に対して外部面が離隔するよう外径が下部に向かって徐々に小さくなる円筒状に形成される。
より好ましくは、上記軸ボス部の下部面は上記固定キャップの上部面との間に一定の大きさの間隙を形成する。
【0031】
好ましくは、上記スリーブは上記ハブ挿入孔が形成される大外径部と、 上記中央孔に組立てられる小外径部とを含み、上記ハブの上部内部面と対応する大外径部の上部面に上部スラスト動圧を発生させる上部溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブの内周面と対応する大外径部の外周面に外周ラジアル動圧を発生させる外周溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ストップリングの上部面と対応する大外径部の下部面に下部スラスト動圧を発生させる下部溝を少なくとも一つ以上形成する。
【0032】
好ましくは、上記スリーブは上記ハブ挿入孔が形成される大外径部と、 上記中央孔に組立てられる小外径部とを含み、上記ハブの上部内部面と対応する大外径部の上部面に上部スラスト動圧を発生させる上部溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブ挿入孔の内周面に内周ラジアル動圧を発生させる内周溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ストップリングの上部面と対応する大外径部の下部面に下部スラスト動圧を発生させる下部溝を少なくとも一つ以上形成する。
【0033】
好ましくは、上記スリーブは上記ハブ挿入孔が形成される大外径部と、上記中央孔に挿入され組立てられる小外径部とを含み、上記ハブの上部内部面と対応する大外径部の上部面に上部スラスト動圧を発生させる上部溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブの内周面と対応する大外径部の外周面に外周ラジアル動圧を発生させる外周溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブ挿入孔の内周面に内周ラジアル動圧を発生させる内周溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ストップリングの上部面と対応する大外径部の下部面に下部スラスト動圧を発生させる下部溝を少なくとも一つ以上形成する。
【0034】
好ましくは、上記スリーブは外部面に上記ハブ挿入孔と連通するよう少なくとも一つ以上のベントホールを貫通形成する。
【0035】
好ましくは、上記固定キャップは上記ハブ挿入孔を貫通形成したスリーブの下部端内、外部面が挿入され固定される環状固定溝を上部面に凹設する。
【0036】
より好ましくは、上記スリーブの下部端内、外部面と上記固定キャップの固定溝はボンディング剤を介してボンディング接着により連結される。
【0037】
より好ましくは、上記スリーブが下部端内、外部面に少なくとも一つ以上の環状内、外部凹溝を形成する。
【0038】
より好ましくは、上記スリーブの下部端と上記固定キャップの固定溝は熱圧着により連結される。
【0039】
好ましくは、上記固定キャップは上記ハブ挿入孔を貫通形成したスリーブの下部端外部面が挿入固定される円形固定孔を上部面に凹設する。
【0040】
より好ましくは、上記スリーブの下部端内、外部面と上記固定キャップの固定孔はボンディング剤を介してボンディング接着により連結される。
【0041】
好ましくは、上記スリーブの下部端外部面に少なくとも一つ以上の環状外部凹溝を形成する。
【0042】
好ましくは、上記スリーブには、動圧発生用溝に供給されたオイルの外部流出を防止しながら貯蔵する上部シーリング貯油部と下部シーリング貯油部が選択的または同時にさらに含まれる。
【0043】
より好ましくは、上記上部シーリング貯油部は上記ハブの水平な内部上部面と、これに対応するスリーブの上部面に内径側に向かって徐々に下向き傾斜を有する傾斜部との間に形成される。
【0044】
より好ましくは、上記下部シーリング貯油部は上記スリーブの垂直な外部面と、これに対応するストップリングの内周面に上端から下端に向いて徐々に外側に広がる傾斜部との間に形成される。
【0045】
より好ましくは、上記傾斜部は直線形、「V」断面状または円弧断面状に形成される。
【0046】
より好ましくは、上記下部シーリング貯油部は上記ストップリングの内周上端から上向き傾斜を有するよう突出した突片と、上記突片が配された上記ストップリングと対応する外部面に凹設される収容溝との間に形成される。
【0047】
より好ましくは、上記突片の傾斜面は水平な底面に対して上記収容溝の傾斜面の傾斜角度より小さく形成され、対向する傾斜面が相互接することのないようにする。
【発明の効果】
【0048】
上述したような本発明によると、スリーブの内、外周面においてラジアル動圧が発生する面積をストップリングの形成高さに関係無しでスリーブの内、外周面全体に最大限広く形成し、スリーブの上、下部面においてスラスト動圧が発生する面積でスリーブの外径部まで最大限広く形成できるので、ローターの高速回転を安定的に支持する軸剛性をより向上させることができ、これにより低粘度のオイルを使用して軸損失を減少させ、モーターの回転安全性を向上させられるばかりでなく低消費電力を具現することができる。
【0049】
さらに、動圧が発生しない部位に存在するオイルの熱膨張による悪影響を未然に防止してモーターの負荷能力を高めることができる。
【0050】
さらに、モーターを構成する部品数を減らし、シャフトの加工精度を下げて製造費用を節減し、組立工程を単純化して組立性を向上させる効果を奏する。
【0051】
本発明は特定の実施例に係わり図示し説明したが、本発明の請求範囲により具現される本発明の精神や分野を外れない限度内において本発明が多様に改造及び変化されることができることは当業界において通常の知識を有する者であれば容易に想到できることを明かしておく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明についてより詳しく説明する。
図2は本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第1実施例を示す構成図で、図3は本発明による流体動圧軸受スピンドルモーターの第1実施例を示す分解図で、本発明のモーター(100)は図2と図3に示すように、固定部材に対して回転部材を回転可能に支持する支持部材に形成される動圧発生部の面積を拡大させ軸支持力を増大させられるもので、これはステーター(110)、ローター(120)及びスリーブ(130)から成る。
【0053】
即ち、上記ステーター(110)は電源印加時一定の大きさの電場を形成するよう巻線コイル(112)を具備し、上記巻線コイル(112)が少なくとも一つ以上巻き取られるポール(pole)を放射方向に延長したコア(113)を具備し、本体中央に一定の大きさの中央孔(115)を貫通形成し、上記コア(113)が上部面に固定されるベース(114)を具備する固定構造物である。
【0054】
上記ステーター(110)の上部は下面に絶縁材(119a)が一体に装着されたカバー部材(119)により覆われ、上記巻線コイル(112)はフレキシブル基板(118)と電気的に連結される。
【0055】
そして、上記ローター(120)は上記ステーター(110)に対して回転可能に具備される回転構造物であって、上記巻線コイル(112)と相互対応するよう環形のマグネット(124)が外周縁に具備されるカップ状のハブ(125)を設け、上記ハブ(125)の内周面には上記スリーブ(130)と干渉されハブ(130)の上部離脱を防止するようストップリング(126)が一体に具備される。
【0056】
上記ハブ(125)は本体中央に回転対象物をネジ部材(図示せず)により位置固定するよう一定の深さの固定孔(122)を形成する。
【0057】
ここで、回転構造物のハブ(125)は軸ボス部(121)とスカート部(123)とで成るが、上記軸ボス部(121)は上記スリーブ(130)のハブ挿入孔(133)に挿入配置された下向き突出する突出物で、上記スカート部(123)は一定の強さの磁場を形成するマグネット(124)が上記巻線コイル(112)と対応するよう外部面に装着され、内部面にはストップリング(126)の外周面が一体に固定される中空円筒部材である。
【0058】
この際、上記スカート部(123)は直下方及び放射方向へ延長形成された下部端と外周端が上記ベース(114)の底面やコア(113)と干渉しないよう構成されなければならない。
【0059】
上記軸ボス部(121)、スカート部(123)及びストップリング(126)の間にはスラスト動圧及びラジアル動圧を発生させるよう上記ベース(114)に固定されるスリーブ(130)が配される空間を形成するようになる。
【0060】
さらに、上記スリーブ(130)のハブ挿入孔(133)に配される軸ボス部(121)は上記ハブ挿入孔(133)の内部面に対して外部面が平行な円筒状に具備されることにより、上記軸ボス部(121)の外部面がハブ挿入孔(133)の内部面に外接するよう構成されるか、上記ハブ挿入孔(133)の内部面に対して外部面が下端に向かうほど遠ざかる傾斜を有する円筒状に具備することにより、上記軸ボス部(121)の外部面がハブ挿入孔(133)の内部面と離隔するよう構成することができる。
【0061】
そして、上記軸ボス部(121)は下部面が上記ハブ挿入孔(133)の底面に面接触して軸損失を引き起こすことのないよう、これらの間に一定の大きさの間隙を形成することが好ましい。
【0062】
一方、固定物のステーター(110)に対して回転物のローター(120)の回転を支持するスリーブ(130)は上記ハブ(125)の内部面と対応する外部面に動圧発生用溝(G1)(G2)(G4)を形成し、上記ハブ(125)に一体に装着され、これと共に回転されるストップリング(126)と対応する外部面にもさらに異なる動圧発生用溝(G3)を形成する。
【0063】
上記ベース(114)の中央孔(115)に嵌められ組み込まれるスリーブ(130)の本体中央に上記ハブ(125)が配されるハブ挿入孔(133)を形成する。
【0064】
こうしたスリーブ(130)は上記ハブ挿入孔(133)が形成される大外径部(132)と、上記中央孔(115)に挿入され組立てられる小外径部(134)とで成る。
【0065】
上記軸ボス部(121)が下端に向かうほど外径が小さくなる傾斜を有する円筒状であれば、図2に示すように、上記ハブ(125)のスカート部(123)の上部内部面と対応して面接する大外径部(132)の上部面には上部スラスト動圧を発生させるよう上部溝(G1)を円周方向へ少なくとも一つ以上形成し、上記ハブ(125)のスカート部(123)の内周面と対応して面接する大外径部(132)の外周面には外周ラジアル動圧を発生させるよう外周溝(G2)を円周方向へ少なくとも一つ以上形成し、上記ハブ(125)と共に回転するストップリング(126)の上部面と対応して面接する大外径部(132)の下部面にも下部スラスト動圧を発生させるよう下部溝(G3)を円周方向へ形成する。
【0066】
さらに、スピンドルモータ(100a)のローター(120)を構成するハブ(125)の軸ボス部(121)が図4に示したように、下端に向かうほど一定の円筒状に具備される場合、上記スカート部(123)の上部内部面と対応して面接する大外径部(132)の上部面には上部スラスト動圧を発生させるよう上部溝(G1)を円周方向へ少なくとも一つ以上形成し、 上記軸ボス部(121)の外周面が面接するハブ挿入孔(133)の内周面には内周ラジアル動圧を発生させるよう内周溝(G4)を円周方向へ少なくとも一つ以上形成し、上記ストップリング(126)の上部面と対応して面接する大外径部(132)の下部面にも下部スラスト動圧を発生させるよう下部溝を円周方向へ少なくとも一つ以上形成する。
【0067】
ここで、上記スリーブ(130)の大外径部(132)に内周溝(G4)を形成すると共に上記スカート部(123)の内周面と面接する大外径部(132)の外周面にも外周ラジアル動圧を発生させるよう外周溝(G2)を円周方向へ少なくとも一つ以上形成してもよい。
【0068】
こうした場合、上記スリーブ(130)の内、外周面に発生するラジアル動圧は上記ストップリング(126)の形成高さに関係なくスリーブ(130)の形成高さに係わり決定され、上記スリーブ(130)の上、下部面に形成されるスラスト動圧は上記スリーブ(130)の外径部まで最大限増大させることにより動圧が発生する面積を最大限に拡大させられるのである。
【0069】
上記スリーブ(130)の外部面には図2ないし4に示したように、上記スリーブ(130)のハブ挿入孔(133)と上記ハブ(125)の軸ボス部(121)との間に形成される空間を外部と連結させ大気圧状態となるよう少なくとも一つ以上のベントホール(135)を貫通形成する。
【0070】
図5(a)(b)(c)は本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第1実施例に具備される上、下シーリング貯油部を示したものであって、上記スリーブ(130)には固定物に対する回転物の相対回転に応じて動圧が発生するようスリーブの摺動面に形成された動圧発生用溝(G1)(G2)(G3)に供給された潤滑用オイルの外部流出を防止しながら貯蔵する上部シーリング貯油部(140a)と下部シーリング貯油部(140b)とが選択的または同時に具備される。
【0071】
上記上部シーリング貯油部(140a)は上部スラスト動圧を形成するよう上部溝(G1)に供給されたオイルが外部へ流出するのを防止しながら毛管現象により貯蔵されるよう上記ハブ(125)の水平な内部上部面とこれに対応するスリーブ(130)の上部面に内径側に向かって徐々に下向き傾斜を有する傾斜部(141)との間に形成する。
【0072】
この際、上記傾斜部(141)は上記上部溝(G1)から流出されたオイルが毛管現象により貯蔵されるよう上記ハブ(125)の水平な内部上部面に対して漸次に遠ざかる30°以内の傾斜角度で具備されることが好ましい。
【0073】
また、上記下部シーリング貯油部(140b)は外周ラジアル動圧と下部スラスト動圧を形成するよう外周溝(G2)と下部溝(G3)に供給されたオイルが外部に流出されるのを防止しながら毛管現象によって貯蔵されるよう上記スリーブ(130)の垂直な外部面と、これに対応するストップリング(126)の内周面に上端から下端に向かって徐々に外側へ広がる線形傾斜部(142)との間に形成される。
【0074】
ここで、上記下部シーリング貯油部(140b)は図5(a)に示したように傾斜を有する直線形傾斜部(142)で構成してもよいが、図5(b)に示したように、垂直な上記スリーブ(130)の外部面との間にオイルが貯蔵される空間を形成するよう「V」断面状の傾斜部(143)に形成されてもよく、こうした傾斜部(143)は円弧断面状に形成されることもできる。
【0075】
また、上記下部シーリング貯油部(140b)は上記ストップリング(126)の内周上端から上向き傾斜を有するよう突出した突片(144)と、上記突片(144)が配された上記ストップリング(126)と対応する外部面に凹設される収容溝(145)とで成り、上記突片(144)の傾斜面(144a)は水平な底面に対して上記収容溝(145)の傾斜面(145a)の傾斜角度より小さく形成して対向する傾斜面(144a)(145a)が相互接しないようにし、外周ラジアル動圧と下部スラスト動圧を形成するよう外周溝(G2)と下部溝(G3)に供給されたオイルは外部へ流出されず毛管現象によって上記傾斜面(144a)(145a)の間に形成される下部シーリング貯油部(140b)に貯蔵される。
【0076】
ここで、上記突片(144)の傾斜面(144a)は水平な底面に対して45°以下の傾斜角度で形成され、上記収容溝(145)の傾斜面は45°以上の傾斜角度で形成されることが好ましい。
【0077】
図6は本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第2実施例を示す構成図で、図7は本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第2実施例を示す分解図として、本発明のスピンドルモータ(200)は図示のように、固定部材に対して回転部材を回転可能に支持する支持部材に形成される動圧発生部の面積を拡大し軸支持力を増大させられるもので、これはステーター(210)、ローター(220)、スリーブ(230)及び固定キャップ(250)から成る。
【0078】
即ち、上記ステーター(210)は電源印加時一定の大きさの電場を形成する少なくとも一つ以上の巻線コイル(212)と、上記巻線コイル(212)が放射方向へ延長されたポール(pole)に一定のターン数で巻き取られたコア(213)及び本体中央に一定の大きさの中央孔(215)を貫通形成して上記コア(213)が上部面に具備されるベース(214)から成る固定構造物である。
【0079】
そして、上記ローター(220)は上記ステーター(210)に対して回転可能に具備される回転構造物として、上記巻線コイル(212)と相互対応するマグネット(224)が外周縁に一体に装着されるカップ状のハブ(225)を具備する。
【0080】
上記ハブ(225)は回転対象物を固定するよう固定ネジが締結されるよう一定の深さのネジ孔(222)が本体中央に形成される回転構造物で、これは上記スリーブ(230)のハブ挿入孔(233)に挿入配された下向き突出する軸ボス部(221)と、上記巻線コイル(212)と対応するマグネット(224)が外部面に装着され、ストップリング(226)が内部面に一体に固定される中空円筒状のスカート部(223)とで成る。
【0081】
また、上記スリーブ(230)のハブ挿入孔(233)に配される軸ボス部(221)は上記ハブ挿入孔(233)の内部面に対して外部面が平行な円筒状に具備され上記ハブ挿入孔(233)の内部面に外接するよう構成されるか、上記ハブ挿入孔(233)の内部面に対して外部面が下端に向かうほど遠くなる傾斜を有する円筒状に具備され上記ハブ挿入孔(233)の内部面から離隔するよう構成されることもできる。
【0082】
一方、固定物のステーター(210)に対して回転物のローター(220)の回転を支持するスリーブ(230)は上記ハブ(225)の内部面と対応する外部面に動圧発生用溝(G1)(G2)(G4)を形成し、上記ハブ(225)に一体に装着され、これと共に回転されるストップリング(226)と対応する外部面にもさらに他の動圧発生用溝(G3)を形成する。
【0083】
こうしたスリーブ(230)は本体中央に上記ハブ(225)が配されるハブ挿入孔(233)を貫通形成して上記ハブ(225)の内部面と外部面が対応する大外径部(232)と、上記ストップリング(226)と外部面が対応して上記固定キャップ(250)に固定される小外径部(234)から成る。
【0084】
さらに、上記スリーブ(230)のハブ挿入孔(233)に配される軸ボス部(221)が下端に向かって外径が徐々に小さくなる傾斜を有する円筒状に具備される場合、図6に示したように、上記大外径部(232)の上部面には上部スラスト動圧を発生させるよう上部溝(G1)を円周方向へ少なくとも一つ以上形成し、上記大外径部(232)の外周面には外周ラジアル動圧を発生させるよう外周溝(G2)を円周方向へ少なくとも一つ以上形成し、上記大外径部(132)の下部面にも下部スラスト動圧を発生させるよう下部溝(G3)を円周方向へ形成する。
【0085】
さらに、上記軸ボス部(221)が図8に示したように、下端に向かうほど一定の円筒状に具備されたスピンドルモータ(200a)の場合、上記大外径部(232)の上部面に上部スラスト動圧を発生させる上部溝(G1)と、上記大外径部(232)の下部面に下部スラスト動圧を発生させるよう下部溝(G3)を円周方向へ少なくとも一つ以上形成し、これと同時に上記大外径部(232)の外周面に外周ラジアル動圧を発生させる外周溝(G2)または上記軸ボス部(221)の外周面が面接するハブ挿入孔(233)の内周面に内周ラジアル動圧を発生させる内周溝(G4)を選択的または同時に円周方向へ少なくとも一つ以上形成する。
【0086】
こうした場合、上記スリーブ(230)の内、外周面に発生するラジアル動圧は上記ストップリング(226)の形成高さに関係無くスリーブ(230)の形成高さに係わり決定され、上記スリーブ(230)の上、下部面に形成されるスラスト動圧は上記スリーブ(230)の外径部まで最大限増大することにより動圧が発生する面積を最大限に拡大できるのである。
【0087】
一方、上記固定キャップ(250)は上記上記ベース(214)の中央孔(215)に組立てられ、これを密閉するよう固定されるディスク断面状の固定部材で、その上部面には上記スリーブ(230)の下部端が固定される。
【0088】
こうした固定キャップ(250)の上部面には上記スリーブ(230)を構成する小外径部の下部端が挿入され固定されるよう環形の固定溝(254)を一定の深さ凹設して、上記スリーブ(230)の下部端と上記固定溝(254)はボンディング剤を介してボンディング接着され一体に連結されるか上記スリーブ(230)の下部端は上記固定溝(254)に挿入され熱圧着方式により一体に連結されることができる。
【0089】
さらに、上記スリーブ(230)と固定溝(254)がボンディング連結される場合、上記スリーブ(230)の下部内、外部面にはボンディング面積に拡大できるようボンディング剤が充填される少なくとも一つ以上の内、外部凹溝(234a)(234b)を凹設することが好ましい。
【0090】
ここで、上記ハブ(225)の軸ボス部(221)は下部面が上記固定キャップ(250)の上部面に面接触され軸損失を引き起こさないよう、これらの間に一定の大きさの間隙を形成することが好ましい。
【0091】
さらに、上記スリーブ(230)の外部面には図6ないし8に示すように、上記スリーブ(230)のハブ挿入孔(233)と上記ハブ(225)の軸ボス部(221)との間に形成される空間を外部と連結させ大気圧状態となるよう少なくとも一つ以上のベントホール(235)を貫通形成する。
【0092】
図9(a)、9(b)、9(c)は本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第2実施例に具備される上、下部シーリング貯油部を示したものであって、上記スリーブ(230)には固定物に対する回転物の相対回転により動圧が発生するようスリーブ(230)の摺動面に形成された動圧発生用溝(G1)(G2)(G3)に供給された潤滑用オイルの外部流出を防止しながら貯蔵する上部シーリング貯油部(240a)と下部シーリング貯油部(240b)が選択的または同時に具備される。
【0093】
上記上部シーリング貯油部(240a)は上記スリーブ(230)の上部溝(G1)に供給されたオイルが外部へ流出することを防止しながら毛管現象により貯蔵されるよう上記ハブ(225)の水平な内部上部面と、これに対応するスリーブ(230)の大外径部(232)上部面に内径側へ向かって徐々に下向き傾斜を有する傾斜部(241)との間に形成する。
【0094】
また、上記下部シーリング貯油部(240b)は上記スリーブ(230)の外周溝(G2)と下部溝(G3)に供給されたオイルが外部に流出することを防止しながら毛管現象によって貯蔵されるよう上記スリーブ(230)の大外径部(232)の垂直な外部面と、これに対応するストップリング(126)の内周面に上端から下端に向きながら徐々に外側へ広がる傾斜部(242)との間に形成される。
【0095】
ここで、上記下部シーリング貯油部(140b)は図9(a)に示したように傾斜を有する直線形傾斜部(242)で構成してもよいが、図9(b)に示したように、垂直な上記スリーブ(230)の小外径部(234)外部面との間にオイルが貯蔵される空間を形成するよう「V」断面状の傾斜部(243)で構成してもよく、こうした傾斜部(243)は円弧断面状に構成してもよい。
【0096】
また、上記下部シーリング貯油部(240b)は上記ストップリング(226)の内周上端から上向きに傾斜を有するよう突出した突片(244)と、上記突片(244)が配された上記ストップリング(226)と対応する外部面に凹設される収容溝(245)とで成り、上記突片(244)の傾斜面(244)は水平な底面に対して上記収容溝(245)の傾斜面(245a)の傾斜角度より小さく形成して対向する傾斜面(244a)(245a)が相互接することのないよう、外周ラジアル動圧と下部スラスト動圧を形成するために外周溝(G2)と下部溝(G3)に供給されたオイルは外部に流出せず毛管現象により上記傾斜面(244a)(245a)の間に形成される下部シーリング貯油部(240b)に貯蔵される。
【0097】
ここで、上記突片(244)の傾斜面(244a)は水平な底面に対して45°以下の傾斜角度で形成され、上記収容溝(145)の傾斜面(245a)は45°以上の傾斜角度で形成されることが好ましい。
【0098】
図10(a)、10(b)は本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第2実施例の変形例を示した構成図であって、図示のように、本発明のスピンドルモータ(200b)(200c)はステーター(210)、ローター(220)、スリーブ(230)及び固定キャップ(250)から成り、上記スリーブ(230)のハブ挿入孔(233)に組立てられる軸ボス部(221)の形状(一定な円筒状または傾斜がかった円筒状)により区別される。
【0099】
こうしたスピンドルモータ(200b)(200c)は上記スリーブ(230)を固定支持するよう上記ステーター(210)のベース(214)に貫通形成された中央孔(215)に組立てられる固定キャップ(250)の上部面に円形断面状の固定孔を一定の深さで凹設し、底面が密閉された固定孔にはハブ挿入孔(233)を貫通形成したスリーブ(230)の下部端外部面が挿入され固定されるようにする。
【0100】
こうした上記固定キャップ(250)の固定孔には上記スリーブ(230)の下部端が挿入され、上記固定孔の内部面と上記スリーブ(230)の外部面に塗布されるボンディング剤を介してボンディング接着され一体にボンディング連結されてもよく、熱圧着方式により上記スリーブ(230)と固定キャップ(250)とが相互一体に連結されてもよい。
【0101】
上記スリーブ(230)の下部端外部面には塗布されるボンディング剤のボンディング面積に拡大するよう少なくとも一つ以上の環状外部凹溝(234b)を形成する。
本発明のスピンドルモータ(100)(100a)(200)(200a)(200b)(200c)はステーター(110)(210)と、スリーブ(130)(230)を介してローター(120)(220)が回転可能に組立てられるが、上記ステーター(110)(210)の巻線コイル(112)(212)に電源が印加されると、上記巻線コイル(112)(213)には一定の強さの電場が形成され、上記巻線コイル(112)(212)から発生する電場は上記ローター(120)(220)のマグネット(124)(224)から発生する磁場同士の相互作用によって上記ローター(120)(220)のハブ(125)(225)が回転軸を中心に一方向へ回転し始める。
【0102】
上記ローター(120)(220)が一方向へ回転し始めると、上記ハブ(125)(225)の内部面と対応しながら面接し、上記ハブ(125)(225)と共に回転するストップリング(126)(226)の上部面と対応するスリーブ(130)(230)の外部面にはヘリングボーンまたはスパイラル状の動圧発生用溝(G1)(G2)(G3)(G4)が形成され、上記溝(G1)(G2)(G3)(G4)に潤滑用オイルが供給されるので、固定部材のスリーブ(130)(230)に対して上記ハブ(125)(225)が回転されながら流体動圧を発生させ、これにより上記ステーター(110)(210)に対してローター(120)(220)の回転を安定的に支持できるのである。
【0103】
上記スリーブ(130)に形成された内、外周溝(G2)(G4)でのラジアル動圧は上記スリーブ(130)(230)の大外径部(132)(232)の外周面全体に広く発生し、上記スリーブ(130)(230)のハブ挿入孔(133)(233)の内周面全体に広く発生すると共に、上記スリーブ(130)(230)の大外径部(132)(232)の上、下部面でのスラスト動圧は大外径部(132)(232)の外側まで最大限広く拡大させられるので、流体動圧が発生する面積を広げ上記ステーター(110)(210)に対して上記ローター(120)(220)の高速回転を安定的に支持する軸剛性がより良好になる。
【0104】
そして、上記スリーブ(130)(230)の軸剛性が向上すると高粘度オイルの代わりに低粘度のオイルを用いて軸損失を減らすことができる。
【0105】
また、上記スリーブ(130)(230)の大外径部(132)(232)の上部面と上記ハブ(125)(225)の内部面との間に上部スラスト動圧を発生させるよう供給されたオイルが摺動面においてハブ組立孔(133)(233)側へ一部漏洩されるが、漏洩されたオイルはハブ組立孔(133)(233)の下部へ漏洩せず、上記スリーブ(130)(230)の傾斜部(141)(241)と上記ハブ(125)(225)の内部面との間に形成される上部シーリング貯油部(140a)(240a)での毛管現象により貯蔵され、上記上部シーリング貯油部(140a)に貯蔵されるオイルによって摺動面からそれ以上のオイル漏洩が無いようシーリングするようになる。
【0106】
この際、上記上部シーリング貯油部(140a)(240b)は上記スリーブ(130)(230)の外部面に貫通形成されるベントホール(235)によって外部と連通するのでオイルをシーリングする毛管圧力を大気圧状態に維持することができる。
【0107】
これと共に、上記ストップリング(126)(226)内周面とこれに対応するスリーブ(130)(230)の外部面との間には上記スリーブ(130)の外周ラジアル動圧発生部と下部スラスト動圧発生部から漏洩されたオイルを貯油する下部シーリング貯油部(140b)(240b)を具備してオイルの外部流出が無いようシーリングする。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】従来の技術による流体動圧軸受スピンドルモータの縦断面図である。
【図2】本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第1実施例を示す構成図である。
【図3】本発明による流体動圧軸受スピンドルモーターの第1実施例を示す分解図である。
【図4】本発明による流体動圧軸受スピンドルモーターの第1実施例の変形例を示した構成図である。
【図5(a)】本発明による流体動圧軸受スピンドルモーターの第1実施例に用いられる上部シーリング貯油部の詳細図である。
【図5(b)】本発明による流体動圧軸受スピンドルモーターの第1実施例に用いられる下部シーリング貯油部の詳細図である。
【図5(c)】本発明による流体動圧軸受スピンドルモーターの第1実施例に用いられる下部シーリング貯油部の詳細図である。
【図6】本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第2実施例を示す構成図である。
【図7】本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第2実施例を示す分解図である。
【図8】本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第2実施例の変形例を示した構成図である。
【図9(a)】本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第2実施例に具備される上部シーリング貯油部の詳細図である。
【図9(b)】本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第2実施例に具備される下部シーリング貯油部の詳細図である。
【図9(c)】本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第2実施例に具備される下部シーリング貯油部の詳細図である。
【図10】(a)、(b)は本発明による流体動圧軸受スピンドルモータの第2実施例の変形例を示した構成図である。
【符号の説明】
【0109】
110、210 ステーター
112、212 線コイル
114、214 ベース
115、215 中央孔
120、220 ローター
121、221 軸ボス部
122、222 シャフト孔
123、223 スカート部
124、224 マグネット
125、225 ハブ
126、226 ストップリング
130、230 スリーブ
132、232 大外径部
134、234 小外径部
140a、140b 上、下部シーリング貯油部
250 固定キャップ
254 固定溝
G1、G2、G3、G4 動圧発生用溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つ以上の巻線コイルが巻き取られるコアを設け、上記コアが上部面に具備され、本体中央に中央孔を貫通形成したベースを有するステーター;
上記巻線コイルと一定間隔を隔てて相互対応するよう外周面にマグネットが具備されるハブを設け、上記ハブの内周面にストップリングが一体に装着されるローター; 及び
上記ハブの内部面と対応し、上記ストップリングと対応して面接する外部面に少なくとも一つ以上の動圧発生用溝を形成し、上記ベースの中央孔に組立てられる本体中央に上記ハブが配されるハブ挿入孔を形成して上記ステーターに対してローターの回転を支持するスリーブを含むことを特徴とする流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項2】
上記ハブは上記ハブ挿入孔に挿入配置され下向きに突出する軸ボス部と、上記マグネットが外部面に装着され、上記ストップリングが内部面に装着される中空円筒型スカート部とで成ることを特徴とする請求項1に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項3】
上記軸ボス部は上記ハブ挿入孔の内部面に対して外部面が面接するよう外径が一定な円筒状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項4】
上記軸ボス部は上記ハブ挿入孔の内部面に対して外部面が離隔するよう外径が下部に向かうほど徐々に小さくなる円筒状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項5】
上記軸ボス部の下部面は上記ハブ挿入孔の底面との間に一定の大きさの間隙を形成することを特徴とする請求項2に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項6】
上記スリーブは上記ハブ挿入孔が形成される大外径部と、上記中央孔に組立てられる小外径部とを含み、上記ハブの上部内部面と対応する大外径部の上部面に上部スラスト動圧を発生させる上部溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブの内周面と対応する大外径部の外周面に外周ラジアル動圧を発生させる外周溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ストップリングの上部面と対応する大外径部の下部面に下部スラスト動圧を発生させる下部溝を少なくとも一つ以上形成することを特徴とする請求項1に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項7】
上記スリーブは上記ハブ挿入孔が形成される大外径部と、上記中央孔に組立てられる小外径部を含み、上記ハブの上部内部面と対応する大外径部の上部面に上部スラスト動圧を発生させる上部溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブ挿入孔の内周面に内周ラジアル動圧を発生させる内周溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ストップリングの上部面と対応する大外径部の下部面に下部スラスト動圧を発生させる下部溝を少なくとも一つ以上形成することを特徴とする請求項1に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項8】
上記スリーブは上記ハブ挿入孔が形成される大外径部と、上記中央孔に挿入され組立てられる小外径部とを含み、上記ハブの上部内部面と対応する大外径部の上部面に上部スラスト動圧を発生させる上部溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブの内周面と対応する大外径部の外周面に外周ラジアル動圧を発生させる外周溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブ挿入孔の内周面に内周ラジアル動圧を発生させる内周溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ストップリングの上部面と対応する大外径部の下部面に下部スラスト動圧を発生させる下部溝を少なくとも一つ以上形成することを特徴とする請求項1に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項9】
上記スリーブは外部面に上記ハブ挿入孔と連通するよう少なくとも一つ以上のベントホールを貫通形成することを特徴とする請求項1に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項10】
上記スリーブには動圧発生用溝に供給されたオイルの外部流出を防止しながら貯蔵する上部シーリング貯油部と下部シーリング貯油部が選択的または同時にさらに含まれることを特徴とする請求項1に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項11】
上記上部シーリング貯油部は上記ハブの水平な内部上部面と、これに対応するスリーブの上部面に内径側に向かって徐々に下向き傾斜を有する傾斜部との間に形成されることを特徴とする請求項10に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項12】
上記下部シーリング貯油部は上記スリーブの垂直な外部面と、これに対応するストップリングの内周面に上端から下端に向きながら徐々に外側へ広がる傾斜部との間に形成されることを特徴とする請求項10に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項13】
上記傾斜部は「V」断面状または円弧断面状に形成されることを特徴とする請求項12に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項14】
上記下部シーリング貯油部は上記ストップリングの内周上端から上方へ傾斜を有しながら突出した突片と、上記突片が配された上記ストップリングと対応する外部面に凹設される収容溝との間に形成されることを特徴とする請求項10に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項15】
上記突片の傾斜面は水平な底面に対して上記収容溝の傾斜面の傾斜角度より小さく形成され対向する傾斜面が相互接しないようにすることを特徴とする請求項14に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項16】
少なくとも一つ以上の巻線コイルが巻き取られるコアを設け、上記コアが上部面に具備され、本体中央に中央孔を貫通形成したベースを有するステーター;
上記巻線コイルと一定間隔を隔てて相互対応するよう外周面にマグネットが具備されるハブを設け、上記ハブの内周面にストップリングが一体に装着されるローター;
上記ハブの内部面と対応し、上記ストップリングと対応して面接する外部面に動圧発生用溝を少なくとも一つ以上形成し、上記ハブが配されるハブ挿入孔を本体中央に貫通形成して上記ステーターに対してローターの回転を支持するスリーブ;及び
上記スリーブの下部端を固定支持するよう上記ベースの中央孔に組立てられる固定キャップを含むことを特徴とする流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項17】
上記固定キャップは上記ハブ挿入孔を貫通形成したスリーブの下部端内、外部面が挿入され固定される環状固定溝を上部面に凹設することを特徴とする請求項16に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項18】
上記スリーブの下部端内、外部面と上記固定キャップの固定溝はボンディング剤を介してボンディング接着により連結されることを特徴とする請求項17に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項19】
上記スリーブの下部端内、外部面に少なくとも一つ以上の環状内、外部凹溝を形成することを特徴とする請求項17に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項20】
上記スリーブの下部端と上記固定キャップの固定溝は熱圧着により連結されることを特徴とする請求項17に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項21】
上記固定キャップは上記ハブ挿入孔を貫通形成したスリーブの下部端外部面が挿入され固定される円形固定孔を上部面に凹設することを特徴とする請求項16に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項22】
上記スリーブの下部端内、外部面と上記固定キャップの固定孔はボンディング剤を介してボンディング接着により連結されることを特徴とする請求項16に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。
【請求項23】
上記スリーブの下部端外部面に少なくとも一つ以上の環状外部凹溝を形成することを特徴とする請求項22に記載の流体動圧軸受スピンドルモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図9(c)】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−74981(P2006−74981A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−356092(P2004−356092)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】