説明

流体噴射装置、プログラム、及び、流体噴射方法

【課題】画質劣化を抑制すること。
【解決手段】第1のバンド画像を形成する第1のノズル列と第2のバンド画像を形成する第2のノズル列と第3のバンド画像を形成する第3のノズル列を有し、第1のバンド画像の所定方向の一方側の端部が第2のバンド画像の他方側の端部と重複し、第2のバンド画像の一方側の端部が第3のバンド画像の他方側の端部と重複する画像を形成する流体噴射装置であって、バンド画像を形成するための入力データのサイズと等しく、一方の端部領域が他の領域よりもドット発生率の小さいディザマスクを第1のバンド画像を形成するための入力データに対応付けてハーフトーン処理し、両方の端部領域が中央部領域よりもドット発生率の小さいディザマスクを第2のバンド画像を形成するための入力データに対応付けてハーフトーン処理する流体噴射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置、プログラム、及び、流体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体噴射装置の一つとして、インクを噴射するノズルが所定方向に並んだノズル列が設けられたヘッドによって画像を形成するインクジェットプリンター(以下、プリンター)が挙げられる。プリンターの中には、例えば、複数のヘッドがノズル列方向に並び、その複数のヘッドの下をノズル列方向と交差する方向に媒体を搬送しながら画像を形成するプリンターがある。
【0003】
ただし、ノズル列におけるノズル間隔は微小であり、ノズル列方向に並ぶヘッドの配置がずれると、ヘッドの繋ぎ目で形成される画像部分の濃度が濃くなったり淡くなったりしてしまう。そこで、各ヘッドの端部を重複させて複数のヘッドを配置したプリンターが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−255175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のプリンターによれば、各ヘッドによって形成されるバンド画像の端部が重複しつつ複数のバンド画像がノズル列方向に並ぶ画像が印刷される。この画像に関するドットデータを作成する際に、ノズル列方向のサイズがバンド画像と等しく、且つ、端部が中央部よりもドット発生率の低いディザマスクを用いて、ハーフトーン処理を実施する。
【0006】
ただし、ヘッドの端部ノズルを用いて画像の端部を印刷し、且つ、端に位置するバンド画像を形成するための高階調データに上述のディザマスクをそのまま対応付けてしまうと、画像の端部は、ドット発生率の低いドットデータに基づいて印刷されてしまう。その結果、画像の両端部が淡くなり、印刷画像の画質が劣化してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、画質劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する為の主たる発明は、(A)媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並んだ第1のノズル列であって前記媒体における第1の位置と対向する際に第1のバンド画像を形成する第1のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第2のノズル列であって前記媒体における第2の位置と対向する際に第2のバンド画像を形成する第2のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第3のノズル列であって前記媒体における第3の位置と対向する際に第3のバンド画像を形成する第3のノズル列と、(B)複数の画素が並ぶ入力データを、ドット形成の有無を示すドットデータに変換するハーフトーン処理に用いられ、複数の閾値が並ぶ、第1のディザマスク及び第2のディザマスクを記憶する記憶部と、(C1)前記ドットデータに基づいて、前記第1のバンド画像の前記所定方向の一方側の端部が前記第2のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複し、前記第2のバンド画像の前記所定方向の前記一方側の端部が前記第3のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複する画像を形成する制御部であって、(C2)前記記憶部が記憶する前記第1のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の前記一方側の端部の領域のドット発生率が他の領域のドット発生率よりも小さい前記第1のディザマスクを、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施し、(C3)前記記憶部が記憶する第2のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の両端部の領域のドット発生率が前記所定方向の中央部の領域のドット発生率よりも小さい前記第2のディザマスクを、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施する制御部と、(D)を有することを特徴とする流体噴射装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1Aはプリンターの全体構成ブロック図であり、図1Bはプリンターの概略図である。
【図2】図2Aはヘッドユニットに設けられたヘッドの配列を示す図であり、図2Bはヘッドの下面のノズル配列を示す図である。
【図3】図3Aは紙幅方向に沿うドット列を形成する様子を示す図であり、図3Bは用紙が蛇行して搬送される場合のドット形成の様子を示す図である。
【図4】比較例の印刷方法における濃度変動を示す図である。
【図5】図5Aは本実施形態にて印刷する画像を説明する図であり、図5Bは本実施形態の印刷方法における濃度変動を示す図である。
【図6】印刷データの作成処理フローを示す図である。
【図7】ハーフトーン処理で用いるディザマスクを説明する図である。
【図8】比較例のハーフトーン処理の様子を説明する図である。
【図9】図9Aは上端ヘッド用ディザマスクと下端ヘッド用ディザマスクを説明する図であり、図9Bは第1実施例におけるディザマスクの対応付け方法を説明する図である。
【図10】図10Aは端部ヘッド用ディザマスクを説明する図であり、図10Bは、反転ディザマスクと180度回転ディザマスクを説明する図である。
【図11】第2実施例におけるディザマスクの対応付け方法を説明する図である。
【図12】変形例のプリンターを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0011】
即ち、(A)媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並んだ第1のノズル列であって前記媒体における第1の位置と対向する際に第1のバンド画像を形成する第1のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第2のノズル列であって前記媒体における第2の位置と対向する際に第2のバンド画像を形成する第2のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第3のノズル列であって前記媒体における第3の位置と対向する際に第3のバンド画像を形成する第3のノズル列と、(B)複数の画素が並ぶ入力データを、ドット形成の有無を示すドットデータに変換するハーフトーン処理に用いられ、複数の閾値が並ぶ、第1のディザマスク及び第2のディザマスクを記憶する記憶部と、(C1)前記ドットデータに基づいて、前記第1のバンド画像の前記所定方向の一方側の端部が前記第2のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複し、前記第2のバンド画像の前記所定方向の前記一方側の端部が前記第3のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複する画像を形成する制御部であって、(C2)前記記憶部が記憶する前記第1のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の前記一方側の端部の領域のドット発生率が他の領域のドット発生率よりも小さい前記第1のディザマスクを、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施し、(C3)前記記憶部が記憶する第2のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の両端部の領域のドット発生率が前記所定方向の中央部の領域のドット発生率よりも小さい前記第2のディザマスクを、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施する制御部と、(D)を有することを特徴とする流体噴射装置である。
このような流体噴射装置によれば、画像の端部が淡くなってしまうことを防止でき、画像の画質劣化を抑制できる。
【0012】
かかる流体噴射装置であって、前記制御部が、前記第1のディザマスクを前記所定方向に反転させたディザマスクを、前記第3のバンド画像に対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施すること。
このような流体噴射装置によれば、ディザマスクを記憶する記憶部の容量を小さくすることができる。
【0013】
かかる流体噴射装置であって、前記記憶部は第3のディザマスクを記憶し、前記制御部が、前記第3のディザマスクであって、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が前記第3のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の前記他方側の端部の領域のドット発生率が他の領域のドット発生率よりも小さい前記第3のディザマスクを、前記第3のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施すること。
このような流体噴射装置によれば、画像の端部が淡くなってしまうことを防止でき、画像の画質劣化を抑制できる。
【0014】
かかる流体噴射装置であって、前記制御部が、前記第1のディザマスクを180度回転させたディザマスクを、前記第3のバンド画像に対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施すること。
このような流体噴射装置によれば、ディザマスクを記憶する記憶部の容量を小さくすることができる。
【0015】
また、媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並んだ第1のノズル列であって前記媒体における第1の位置と対向する際に第1のバンド画像を形成する第1のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第2のノズル列であって前記媒体における第2の位置と対向する際に第2のバンド画像を形成する第2のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第3のノズル列であって前記媒体における第3の位置と対向する際に第3のバンド画像を形成する第3のノズル列と、を有する流体噴射装置が、画像を形成するためのデータを、コンピューターに作成させるためのプログラムであって、前記第1のバンド画像の前記所定方向の一方側の端部が前記第2のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複し、前記第2のバンド画像の前記所定方向の前記一方側の端部が前記第3のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複する画像を形成するために、複数の画素が並ぶ入力データをドット形成の有無を示すドットデータに変換するハーフトーン処理の際に、複数の閾値が並ぶ第1のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の前記一方側の端部の領域のドット発生率が他の領域のドット発生率よりも小さい前記第1のディザマスクを、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施することと、複数の閾値が並ぶ第2のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の両端部の領域のドット発生率が前記所定方向の中央部の領域のドット発生率よりも小さい前記第2のディザマスクを、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施することと、を前記コンピューターに実行させるためのプログラムである。
このようなプログラムによれば、画像の端部が淡くなってしまうことを防止できるデータを作成できる。
【0016】
また、媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並んだ第1のノズル列であって前記媒体における第1の位置と対向する際に第1のバンド画像を形成する第1のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第2のノズル列であって前記媒体における第2の位置と対向する際に第2のバンド画像を形成する第2のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第3のノズル列であって前記媒体における第3の位置と対向する際に第3のバンド画像を形成する第3のノズル列と、複数の画素が並ぶ入力データを、ドット形成の有無を示すドットデータに変換するハーフトーン処理に用いられ、複数の閾値が並ぶ、第1のディザマスク及び第2のディザマスクを記憶する記憶部と、を有する流体噴射装置の流体噴射方法であって、前記第1のバンド画像の前記所定方向の一方側の端部が前記第2のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複し、前記第2のバンド画像の前記所定方向の前記一方側の端部が前記第3のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複する画像を形成するために、前記記憶部が記憶する前記第1のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の前記一方側の端部の領域のドット発生率が他の領域のドット発生率よりも小さい前記第1のディザマスクを、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施することと、前記記憶部が記憶する第2のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の両端部の領域のドット発生率が前記所定方向の中央部の領域のドット発生率よりも小さい前記第2のディザマスクを、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施することと、前記ハーフトーン処理によって取得した前記ドットデータに基づいて、前記ノズルから流体を噴射することと、を有することを特徴とする流体噴射方法である。
このような流体噴射方法によれば、画像の端部が淡くなってしまうことを防止でき、画像の画質劣化を抑制できる。
【0017】
===第1実施形態===
<<<印刷システム>>>
インクジェットプリンターの中のラインヘッドプリンター(以下、プリンター)とコンピューターが接続された印刷システムを例に、実施形態を説明する。
【0018】
図1Aは、プリンター1の全体構成ブロック図であり、図1Bは、プリンター1の概略図であり、プリンター1が用紙S(媒体)を搬送する様子を示す図である。外部装置であるコンピューター50から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー10により、各ユニット(搬送ユニット20、ヘッドユニット30)を制御し、用紙Sに画像を印刷する。また、プリンター1内の状況を検出器群40が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0019】
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピューター50とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、メモリー13に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路14により各ユニットを制御する。
【0020】
搬送ユニット20は、搬送ベルト21と搬送ローラー22A,22Bを有し、用紙Sを印刷可能な位置に送り込み、用紙Sを搬送方向に所定の搬送速度で搬送する。搬送ベルト21上に給紙された用紙Sは、搬送ローラー22A,22Bにより搬送ベルト21が回転することによって、搬送ベルト21上の用紙Sが搬送される。また、搬送ベルト21上の用紙Sを下側から静電吸着やバキューム吸着するとよい。
【0021】
ヘッドユニット30は、用紙Sにインク滴を噴射するためのものであり、複数のヘッド31を有する。ヘッド31の下面には、インク噴射部であるノズルが複数設けられる。各ノズルには、インクが入った圧力室(不図示)と、圧力室の容量を変化させてインクを噴射させるための駆動素子(ピエゾ素子)が設けられている。
【0022】
図2Aは、ヘッドユニット30に設けられたヘッド31の配置を示す図であり、図2Bは、ヘッド31の下面のノズル配置を示す図である。なお、ヘッド31及びノズルの配置をヘッドユニット30の上面から仮想的に見た図である。図2Aに示すように、搬送方向と交差する紙幅方向(所定方向に相当)に複数のヘッド31が並び、且つ、紙幅方向に隣り合うヘッド31(ノズル列)の端部が重複している。また、紙幅方向に隣り合うヘッド31A,31Bは搬送方向にずれて配置されている(即ち、ヘッド31は千鳥状に配置されている)。紙幅方向に隣り合うヘッド31A,31Bのうち、搬送方向上流側のヘッド31を「上流側ヘッド31A」と呼び、搬送方向下流側のヘッド31を「下流側ヘッド31B」と呼ぶ。
【0023】
図2Bに示すように、各ヘッド31の下面には、ブラックインクを噴射するブラックノズル列Kと、シアンインクを噴射するシアンノズル列Cと、マゼンタインクを噴射するマゼンタノズル列Mと、イエローインクを噴射するイエローノズル列Yが形成されている。各ノズル列は180個のノズル(#1〜#180)から構成されている。また、各ノズル列のノズルは紙幅方向に一定の間隔(例えば180dpi)で並んでいる。なお、各ノズル列に属するノズルに対して、紙幅方向の左側から順に小さい番号が付されている(#1〜#180)。
【0024】
そして、上流側ヘッド31Aの紙幅方向右側の8個の端部ノズル(#173〜#180)と下流側ヘッド31Bの紙幅方向左側の8個の端部ノズル(#1〜#8)が重複し、上流側ヘッド31Aの紙幅方向左側の8個の端部ノズル(#1〜#8)と下流側ヘッド31Bの紙幅方向右側の8個の端部ノズル(#173〜#180)が重複している。紙幅方向に隣り合うヘッド31において、ノズルが重複している領域を「重複領域」と呼び、重複領域に属するノズルを「重複ノズル」と呼ぶ。また、上流側ヘッド31Aの重複ノズル(例えば#173)の紙幅方向の位置と、それに対応する下流側ヘッド31Bの重複ノズル(例えば#1)の紙幅方向の位置は等しい。よって、ヘッドユニット30の紙幅方向の全域に亘って、ノズルが紙幅方向に等間隔(180dpi)に並んでいることになる。
【0025】
このようなプリンター1では、印刷データを受信すると、コントローラー10が、まず用紙Sを搬送ベルト21上に送る。その後、用紙Sは、搬送ベルト21上を一定速度で停まることなく搬送され、ヘッド31のノズル面と対向する。用紙Sが搬送ベルト21上を搬送されながらノズル面と対向する際に、印刷データに基づいて、各ノズルからインク滴が断続的に噴射される。その結果、用紙S上には、搬送方向に沿ったドット列(以下、ラスターラインとも呼ぶ)が紙幅方向に並ぶ2次元の画像が印刷される。
【0026】
<<<印刷方法>>>
<濃度むら>
図3Aは、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bによって、紙幅方向に沿うドット列が形成される様子を示す図である。説明の簡略のため、ヘッド31に属するノズル列数を1列とし、ヘッド31に属するノズル数を8個とし、重複領域に属するノズル数を4個とする。上流側ヘッド31Aによるドットを黒丸(●)で示し、下流側ヘッド31Bによるドットを白丸(○)で示す。図3Aでは、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの各重複ノズルを交互に用いて、紙幅方向に沿うドット列を形成する印刷例を示す。また、図3Aでは、上流側ヘッド31Aの重複ノズル(例えば#5)の紙幅方向の位置と、それに対応する下流側ヘッド31Bの重複ノズル(例えば#1)の紙幅方向の位置が等しい。即ち、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの取付位置が設計通りである。この場合、紙幅方向に等間隔にドットを形成することができる。
【0027】
これに対して、例えば、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bが設計上の取付位置から紙幅方向にずれて取り付けられたとする。この場合、各ヘッド31A,31Bによるドットが重なって用紙の埋まりが悪くなり、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの繋ぎ目(重複領域)によって形成される画像部分の濃度が他の領域の濃度と異なってしまう。また、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの搬送方向の取付位置ずれによっても、重複領域によって形成される画像部分の濃度が他の領域の濃度と異なってしまう。
【0028】
つまり、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの取付誤差によって、画像に濃度むらが生じてしまう。そこで、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの取付位置に応じて、重複領域によって形成される画像部分に対する濃度むら補正値を設定することで、画像の濃度むらを解消することができる。
【0029】
図3Bは、用紙Sが蛇行して搬送される場合のドット形成の様子を示す図である。図3Bでは上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの取付位置が設計通りであるとする。ところで、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bは、搬送方向にずれて配置されている。よって、紙幅方向に沿うドット列を形成するためには、上流側ヘッド31Aからのインク噴射タイミングと下流側ヘッド31Bからのインク噴射タイミングを異ならせる必要がある。このインク噴射タイミングの時間差において用紙Sが蛇行して搬送されてしまうと、紙幅方向に等間隔にドットを形成することが出来ない。例えば、図3Bに示すように、上流側ヘッド31Aからインクが噴射されてから下流側ヘッド31Bからインクが噴射されるまでの間に、用紙Sが紙幅方向の左側にずれながら搬送されたとする。その結果、下流側ヘッド31Bにより本来形成されるべきドット位置よりも右側にドットが形成されてしまう。この場合、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bが設計上の取付位置よりも紙幅方向の離れる方向にずれて取り付けられた時と同じ様に、画像に濃度むらが生じてしまう。
【0030】
このように、用紙Sが紙幅方向に蛇行しながら搬送されると、上流側ヘッド31Aによるドットと下流側ヘッド31Bによるドットの紙幅方向の間隔が印刷中に変化する。その結果、重複領域によって形成される画像の濃度が搬送方向の位置によって変化してしまう。ゆえに、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの取付位置が設計通りであっても、又は、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの取付位置に応じて濃度むら補正値が設定されていたとしても、画像に濃度むらが生じてしまう。
【0031】
また、用紙Sの蛇行に限らず、経年変化などによっても、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの取付位置が変動する場合がある。この場合、プリンターの製造工程などにおいて上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの取付位置に応じて濃度むら補正値を設定したとしても、経年変化に伴って濃度むらを補正することができなくなってしまう。また、用紙Sの搬送速度のむらによっても、重複領域によって形成される画像に搬送方向に沿って濃度むらが生じてしまう。
【0032】
<比較例の印刷方法>
図4は、比較例の印刷方法における濃度変動を示す図である。図4の左図は、理想状態にて形成されるドットを示す図である。理想状態とは、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの取付位置(相対位置)が設計通りであり、又は、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの取付位置に応じて濃度むら補正値が設定されており、且つ、用紙Sの蛇行や速度むら等の搬送誤差が生じない状態である。一方、図4の右図は、ヘッド31の相対位置がずれてしまったり搬送誤差が生じてしまったりした場合に形成されるドットを示す図である。
【0033】
なお、プリンター1が画像を印刷するためのドットデータは、複数の画素から構成され、各画素はドット形成の有無を示す。図中の1つのマス目が、1つの画素領域(データ上の画素に対応する用紙上の領域)及びその画素領域内に形成されるドットを表す。上流側ヘッド31Aにより形成されるドットを左下ハッチングのマス目で示し、下流側ヘッド31Bにより形成されるドットを右下ハッチングのマス目で示す。また、図4の画像を印刷するための印刷データでは、全ての画素がドットを形成するように示しているとする。
【0034】
比較例の印刷方法では、重複領域で形成すべきドットを、上流側ヘッド31Aの重複ノズル(#173〜#180)と下流側ヘッド31Bの重複ノズル(#1〜#8)によって、搬送方向および紙幅方向に交互に形成する。即ち、比較例の印刷方法では、重複領域で形成すべきドットが、上流側ヘッド31A又は下流側ヘッド31Bの何れか一方の重複ノズルによって形成される。この場合、図4の左図のように理想状態である場合には、重複ノズルによるドットが隙間無く形成され、重複領域で形成される画像の濃度は所望の画像濃度となる。しかし、ヘッド31の相対位置がずれたり搬送誤差が生じたりすると、図4の右図のように、各ヘッド31A,31Bの重複ノズルによるドットが重なり、用紙の埋まりが悪くなる。その結果、重複領域で形成される画像の濃度が淡くなってしまう。
【0035】
このように、比較例の印刷方法では、理想状態(図4の左図)にて重複領域で形成される画像と、ヘッド31の相対位置ずれや搬送誤差が生じた状態(図4の右図)にて重複領域で形成される画像とにおいて、濃度差が生じてしまう。
【0036】
<本実施形態の印刷方法>
図5Aは、本実施形態にて印刷する画像を説明する図である。以下の説明のため、プリンター1が有するヘッド31の数を4個とする。また、図2における紙幅方向の左側を上端側(所定方向の他方側に相当)と呼び、紙幅方向の右側を下端側(所定方向の一方側に相当)と呼ぶ。4個のヘッド31のうち、紙幅方向の上端側から順に、第1ヘッド31(1)、第2ヘッド31(2)、第3ヘッド31(3)、第4ヘッド31(4)と呼ぶ。各ヘッド31によって形成される画像を「バンド画像」と呼ぶ。紙幅方向の最も上端側に位置する第1ヘッド31(1)(第1のノズル列に相当)が用紙上の所定の位置(第1の位置に相当)と対向する際に第1バンド画像(第1のバンド画像に相当)が形成され、中央の第2ヘッド31(2)および第3ヘッド31(3)(第2のノズル列に相当)が媒体上の所定の位置(第2の位置に相当)と対向する際に第2バンド画像及び第3バンド画像(第2のバンド画像に相当)が形成され、紙幅方向の最も下端側に位置する第4ヘッド31(4)(第3のノズル列に相当)が用紙上の所定の位置(第3の位置に相当)と対向する際に第4バンド画像(第3のバンド画像に相当)が形成される。
【0037】
本実施形態のプリンター1では各ヘッド31の端部が重複して配置されているため、バンド画像の端部が重複した画像が形成される。例えば、第1バンド画像の下端側の端部と第2バンド画像の上端側の端部とが重複するように画像が形成される。そして、バンド画像において、ノズル列端部の重複ノズルによって形成される領域を「オーバーラップ領域」と呼び、重複ノズル以外の非重複ノズルによって形成される領域を「単独領域」と呼ぶ。オーバーラップ領域は、紙幅方向に隣り合うヘッド31にそれぞれ属する2つの重複ノズルによって形成させるラスターラインから構成され、単独領域は、1つの非重複ノズルによって形成されるラスターラインから構成される。
【0038】
図5Bは、本実施形態の印刷方法における濃度変動を示す図である。図5Bの左図は、理想状態にて形成されるドットを示す図であり、図5Bの右図は、ヘッド31の相対位置がずれてしまったり搬送誤差が生じてしまったりした場合に形成されるドットを示す図である。
【0039】
本実施形態の印刷方法では、画像データの示す濃度が、全ての画素領域にドットを形成すべき濃度であっても、上流側ヘッド31Aの重複ノズルによる一部のドットを下流側ヘッド31Bの重複ノズルによるドットと重ねる。即ち、本来であれば異なる画素領域に形成すべき上流側ヘッド31Aのドットと下流側ヘッド31Bのドットの一部を重ねてしまう。図5Bの左図において、クロスハッチングされた画素領域が、2つのヘッド31A,31Bに属する各重複ノズルによるドットが重ねて形成される画素領域である。
【0040】
そうすることで、ヘッド31の相対位置がずれたり搬送誤差が生じたりしたとしても、図5Bに示すように、重複領域で形成される画像の濃度変動を小さくすることが出来る。それは、各ヘッド31A,31Bの重複ノズルによって単独で形成されていたドットが新たに重なってしまうものの、理想状態にて重なっていたドットがずれて新たな用紙部分を埋めるからである。つまり、本実施形態の印刷方法(図5B)によれば、比較例の印刷方法(図4)に比べて、ヘッド31の相対位置ずれや搬送誤差が生じたときに重複領域で形成される画像の濃度変動を小さくすることができる。
【0041】
なお、理想状態(図5Bの左図)において、2つのヘッド31A,31Bにより重ねて形成されるドットは分散していることが好ましい。仮に、2つのヘッド31A,31Bにより重ねて形成されるドットが一箇所に集中していると、ヘッド31の相対位置がずれる等して、理想状態にて単独で形成されていたドットが重なったにも拘らず、理想状態にて重なっていたドットは重なったままとなる場合がある。そうすると、用紙の埋まり具合が変動し、重複領域で形成される画像の濃度が変動してしまう。
【0042】
そこで、本実施形態では、理想状態において上流側ヘッド31Aの重複ノズルによる一部の分散したドットが下流側ヘッド31Bの重複ノズルによるドットと重ねて形成されるような印刷データに基づいて印刷を実施する。その結果、例えば、重複領域で形成される画像部分(オーバーラップ領域)に対する濃度むら補正値が算出された時からヘッド(31A,31B)の相対位置がずれたとしても、オーバーラップ領域の濃度変動が小さいため、その濃度むら補正値による効果が得られる。また、例えば、印刷途中で用紙が蛇行したり用紙の搬送速度にむらが生じたりしても、オーバーラップ領域の濃度変動が小さいため、画質劣化を抑制できる。
【0043】
なお、理想状態においても上流側ヘッド31Aの重複ノズルによる一部のドットと下流側ヘッド31Bの重複ノズルによる一部のドットを重ねて形成するため、オーバーラップ領域が単独領域よりも若干濃度が淡くなる。そこで、オーバーラップ領域に対する濃度補正値を設定しても良い。例えば、実際にプリンター1に所定濃度のテストパターンを印刷させて、テストパターン結果におけるオーバーラップ領域と単独領域との濃度差に基づいて、オーバーラップ領域に対する濃度補正値を算出することができる。
【0044】
<<<印刷データの作成処理>>>
図6は、印刷データの作成処理フローを示す図である。以下、プリンター1が図5に示す印刷方法を実施するための印刷データの作成処理について説明する。プリンター1に接続されたコンピューター50には、プリンタードライバーがインストールされ、プリンタードライバーは、メモリーに記憶されたプログラムに従って、コンピューター50のハードウェア資源を利用し、印刷データを作成する。なお、プリンタードライバーは、CD−ROMなどの記録媒体(コンピューターが読み取り可能な記録媒体)に記録されていたり、インターネットを介してコンピューターにダウンロード可能であったりする。
【0045】
プリンタードライバーは、各種アプリケーションプログラムから画像データを受信すると(S01)、解像度変換処理を行う(S02)。解像度変換処理とは、受信した画像データを用紙に印刷する際の解像度に変換する処理である。解像度変換処理後の画像データはRGB色空間により表される256階調(高階調)のRGBデータである。プリンタードライバーは、次に、色変換処理にて、RGBデータをプリンター1が噴射するインクの色に対応したYMCKデータに変換する(S03)。なお、説明の容易のために、以下では、搬送方向に対応するデータ上の方向を搬送方向と呼び、紙幅方向に対応するデータ上の方向を紙幅方向と呼ぶ。また、YMCKの256階調データ(入力データに相当)では、複数の画素が搬送方向および紙幅方向に並ぶ。
【0046】
プリンタードライバーは、ハーフトーン処理にて、256階調データ(高階調データ)を、プリンター1が形成可能な低階調のデータに変換する(S05)。即ち、ハーフトーン処理によって、256階調データが、ドット形成の有無を示すドットデータに変換される。例えば、プリンター1が1サイズのドットを形成可能な場合、各画素が、「ドットを形成する」または「ドットを形成しない」の2階調データに変換される。
【0047】
また、プリンタードライバーは、図5Bに示すように、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの各重複ノズルによる一部の分散したドットが重なるように、ドットデータを作成する。そのために、上流側ヘッド31Aの重複ノズルに割り当てるドットデータを作成するハーフトーン処理と、下流側ヘッド31Bの重複ノズルに割り当てるドットデータを作成するハーフトーン処理を個別に行う(独立して行う)。
【0048】
そのために、プリンタードライバーは、ハーフトーン処理前に、重複領域に割り当てられる256階調データ(以下、OLデータ)を複製し、複製したOLデータを複製元のOLデータの紙幅方向の隣に挿入する(S04)。複製元のOLデータと複製されたOLデータのうちの一方が、例えば、上流側ヘッド31Aの下端側の重複ノズルに割り当てられ、他方が、その上流側ヘッド31Aと紙幅方向に並ぶ下流側ヘッド31Bの上端側の重複ノズルに割り当てられる。こうすることで、各ヘッド31によって印刷されるバンド画像を形成するための256階調データが紙幅方向に並ぶことになる。
【0049】
図7は、ハーフトーン処理で用いるディザマスクを説明する図である。本実施形態では、ディザマスクを用いるディザ法によりハーフトーン処理を実施する。ディザマスクは、紙幅方向および搬送方向に並ぶ格納要素から構成され、各格納要素に閾値が格納されている。そして、ディザマスクの或る格納要素の閾値と、その格納要素に対応する256階調データの画素の示す階調値との大小関係に基づいて、ドット形成の有無が判定される。例えば、或る格納要素の閾値が1であり、その格納要素に対応する画素の示す階調値が77である場合、その画素はドットを形成する画素に判定される。ディザ法によれば、単位領域ごとに(ディザマスクが割り当てられる領域ごとに)、画素の示す階調値(濃度)に応じた密度でドットを発生させることができる。また、ディザマスクにおける閾値の設定方法により、ドットを分散させて発生させたり、領域ごとにドットの発生率を調整したりすることが出来る。なお、ここでは、プリンタードライバーをコンピューター50がインストールする際に、コンピューター50のメモリー(記憶部に相当)にディザマスクが記憶されるとする。
【0050】
本実施形態で使用するディザマスクの紙幅方向のサイズは、各ヘッド31によって形成されるバンド画像(図5A)の紙幅方向のサイズと等しい。即ち、ディザマスクにおいて紙幅方向に並ぶ閾値(格納要素)の数が、バンド画像を形成するための256階調データにおいて紙幅方向に並ぶ画素の数と等しい。図2Bに示すように、1つのノズル列に属するノズル数が180個である場合、バンド画像を形成するための256階調データにおいて紙幅方向に並ぶ画素の数は180個となる。よって、ディザマスクにおいて紙幅方向に並ぶ閾値の数は180個となる。なお、ディザマスクにおいて搬送方向に並ぶ閾値の数は、ディザマスクの繰り返し周期が印刷画像において視認され難い程度であればよく、ここでは180個とする。
【0051】
また、本実施形態で使用するディザマスク(第2のディザマスクに相当)は、上端部領域と中央部領域と下端部領域を有する。
上端部領域(両端部の領域に相当)は、ノズル列の上端側の重複ノズルに割り当てられる256階調データに対応付けられ、下端部領域(両端部の領域に相当)は、ノズル列の下端側の重複ノズルに割り当てられる256階調データに対応付けられる。即ち、上端部領域および下端部領域は、バンド画像のオーバーラップ領域(図5A)を形成するための256階調データに対応付けられる。ノズル列の上端側の重複ノズルの数が8個である場合、上端部領域において紙幅方向に並ぶ閾値の数は8個となる(ただし、図7では簡略のため閾値の数を3個としている)。同様に、ノズル列の下端側の重複ノズルの数が8個である場合、下端部領域において紙幅方向に並ぶ閾値の数は8個となる。
【0052】
中央部領域(中央部の領域に相当)は、ノズル列の非重複ノズルに割り当てられる256階調データに対応付けられる。即ち、中央部領域は、バンド画像の単独領域を形成するための256階調データに対応付けられる。図2Bに示すように、ノズル列の非重複ノズルの数が164個である場合、中央部領域において紙幅方向に並ぶ閾値の数は164個となる。
【0053】
また、ディザマスクの中央部領域のドット発生率(100%)を、上端部領域および下端部領域の各ドット発生率(50%)よりも低くする。即ち、中央部領域が割り当てられる領域では、画素の示す階調値に応じた密度でドットが発生するのに対して、上端部領域または下端部領域が割り当てられる領域では、画素の示す階調値に応じた密度の半分の密度でドットが発生する。図7に示すドットデータは、最高階調値を示す画素から構成される256階調データにディザマスクを対応付けてハーフトーン処理した結果である。ドットデータにおける黒塗り部がドットを形成する画素であり、白塗り部がドットを形成しない画素である。このドットデータの図からも、中央部領域のドット発生率が100%であり、上端部領域および下端部領域のドット発生率が50%であることが分かる。なお、中央部領域のドット発生率を高くし、上端部領域および下端部領域のドット発生率を低くするためには、例えば、中央部領域に小さい値の閾値を多く配置し、上端部領域及び下端部領域に大きい値の閾値を多く配置するとよい。
【0054】
プリンタードライバーは、このようなディザマスクを、各バンド画像を形成するための256階調データに対応付けて、ハーフトーン処理を実施する(詳細は後述)。そうすることで、バンド画像のうち、中央の単独領域を形成するための256階調データ(以下、単独データとも呼ぶ)は、ディザマスクの中央部領域によってハーフトーン処理される。その結果、単独領域を形成するためのドットデータは、256階調データの示す濃度(階調値)に応じたドット密度となる。
一方、バンド画像のうち、上端側のオーバーラップ領域を形成するための256階調データ(OLデータ)は、ディザマスクの上端部領域によってハーフトーン処理され、下端側のオーバーラップ領域を形成するための256階調データ(OLデータ)は、ディザマスクの下端部領域によってハーフトーン処理される。その結果、上端側および下端側のオーバーラップ領域を形成するためのドットデータは、256階調データの示す濃度(階調値)の半分の濃度に応じたドット密度になる。
【0055】
単独領域は他のヘッド31によって形成されるバンド画像と重ならない。そのため、単独領域のドット密度を256階調データの示す濃度に応じたドット密度とすることで、単独領域を256階調データの示す濃度にすることが出来る。一方、オーバーラップ領域は他のヘッド31によって形成されるバンド画像(オーバーラップ領域)と重なる。そのため、上端側および下端側のオーバーラップ領域のドット密度を、256階調データの示す濃度の半分の濃度に応じたドット密度とすることで、上端側および下端側のオーバーラップ領域が重なった画像を256階調データの示す濃度にすることが出来る。このように、図7に示すディザマスクを用いて各バンド画像を形成するための256階調データをハーフトーン処理することで、256階調データの示す濃度である画像を印刷することができる。
【0056】
ここで仮に、ディザマスクにおいて、上端部領域及び下端部領域を中央部領域と別に設定せず、また、ドット発生率を異ならせないとすると、上端側の重複ノズルの使用率と下端側の重複ノズルの使用率に応じて、256階調データを補正する必要がある。例えば、上端側の重複ノズルと下端側の重複ノズルの各使用率が50%ずつであれば、各重複ノズルに割り当てられる256階調データの示す階調値を半分にする必要がある。そのため、図7に示すディザマスクのように、OLデータのハーフトーン処理に用いる上端部領域及び下端部領域と単独データのハーフトーン処理に用いる中央部領域を個別に設定し、ドット発生率を異ならせることで、プリンタードライバーは256階調データをそのままハーフトーン処理することができ、処理を容易にすることができる。
【0057】
また、ディザマスクの上端部領域および下端部領域をそれぞれ構成する閾値や閾値の配置の仕方によって、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの各重複ノズルによって形成されるドットを分散して重ねることが出来る。その結果、ヘッド31の相対位置ずれや搬送誤差が生じたとしても、オーバーラップ領域の濃度変動が小さい画像を印刷できる。そのため、上端側のOLデータをハーフトーン処理する上端部領域と下端側のOLデータをハーフトーン処理する下端部領域を個別に設定することで、ドット発生位置の自由度が増し(ディザマスクの設計の自由度が増し)、より画質の良い画像を印刷することができる。
【0058】
なお、図7のディザマスクでは、上端部領域のドット発生率と下端部領域のドット発生率を等しく50%ずつとしているが、これに限らず、どちらか一方のドット発生率を大きくしても良い。また、図7のディザマスクでは、上端部領域の全域においてドット発生率を一定の50%とし、また、下端部領域の全域においてドット発生率を一定の50%としているが、これに限らない。例えば、上端部領域では、上端側の領域から下端側の領域にかけて徐々にドット発生率を高くし、下端部領域では、上端側の領域から下端側の領域にかけて徐々にドット発生率を低くしても良い。そうすることで、例えば、上流側ヘッド31Aによるバンド画像から下流側ヘッド31Bによるバンド画像に徐々に移行するため、バンド画像の繋ぎ目を目立ち難くすることができる。
【0059】
また、本実施形態の印刷方法(図5B)では、理想状態において、上流側ヘッド31Aの重複ノズルによる一部のドットと下流側ヘッド31Bの重複ノズルによる一部のドットを重ねて形成する。そのため、重複ノズルによって形成されるオーバーラップ領域が非重複ノズルによって形成される単独領域よりも、若干濃度が淡くなる。そこで、上端部領域および下端部領域の各ドット発生率を50%よりも大きくしても良い。この場合、単独領域に対するオーバーラップ領域の濃度補正値を設定する必要がなくなる。
【0060】
こうして256階調データをハーフトーン処理した後、プリンタードライバーは、ハーフトーン処理結果であるドットデータを各ノズルに割り当てて、プリンター1に送信する順にドットデータを並べ替える(S06)。そして、プリンタードライバーは、並べ替えたドットデータを順にプリンター1に送信する。印刷データを受信したプリンター1のコントローラー10は、その印刷データ(ドットデータ)に基づいて、各ヘッド31からインクを噴射させて媒体上に画像を形成する。その結果、図5に示す画像を印刷することが出来る。
【0061】
<比較例のハーフトーン処理>
図8は、比較例のハーフトーン処理の様子を説明する図である。図8では、第1ヘッド31(1)から第4ヘッド31(4)に割り当てられる256階調データとディザマスクの対応関係を示す。前述のように、プリンタードライバーは、重複ノズルに割り当てられるOLデータを複製し、複製したOLデータを複製元のOLデータの紙幅方向の隣に挿入する。以下の説明のため、OLデータの複製・挿入前のデータを256階調データと呼び、OLデータの複製・挿入後のデータを補正256階調データと呼ぶ。補正256階調データでは、紙幅方向の上端から順に、第1ヘッド31(1)の単独データ、下端側のOLデータ(合わせて第1バンドデータ)と、第2ヘッド31(2)の上端側のOLデータ、単独データ、下端側のOLデータ(合わせて第2バンドデータ)と、第3ヘッド31(3)の上端側のOLデータ、単独データ、下端側のOLデータ(合わせて第3バンドデータ)と、第4ヘッド31(4)の上端側のOLデータ、単独データ(合わせて第4バンドデータ)と、が並ぶ。
【0062】
比較例ではプリンタードライバーは、補正256階調データに対して、紙幅方向の上端側から順に、図7に示すディザマスクを対応付けてハーフトーン処理する。なお、図8では、ディザマスクのイメージ図として、図7のドットデータ(最高階調値を示す画素のハーフトーン処理結果)を示す。
【0063】
その結果、紙幅方向に並ぶ複数のヘッド31のうち、端部に位置しない第2ヘッド31(2)の第2バンドデータ及び第3ヘッド31(3)の第3バンドデータでは、上端側のOLデータにディザマスクの上端部領域が対応付けられ、単独データに中央部領域が対応付けられ、下端側のOLデータに下端部領域が対応付けられる。
単独データはドット発生率が100%である中央部領域によってハーフトーン処理されるため、256階調データの示す濃度に応じたドット密度のドットデータが作成される。その結果、他のヘッド31のバンド画像と重ならない単独領域を256階調データの示す濃度にすることが出来る。
OLデータはドット発生率が50%である上端部領域または下端部領域によってハーフトーン処理されるため、256階調データの示す濃度に応じたドット密度の半分のドット密度であるドットデータが作成される。その結果、他のヘッド31のバンド画像の端部と重なるオーバーラップ領域を256階調データの示す濃度の半分となる。ゆえに、第2ヘッド31(2)および第3ヘッド31(3)によるオーバーラップ領域が、他のヘッド31のバンド画像の端部と重なっても、濃度が濃くなってしまうことを防止できる。
【0064】
これに対して、紙幅方向に並ぶ複数のヘッド31のうち、最も上端側に位置する第1ヘッド31(1)の上端部は非重複ノズルである。即ち、第1バンドデータの上端部は、第2バンドデータや第3バンドデータとは異なり、単独データとなる。それにも拘らず比較例では第1バンドデータに図7のディザマスクがそのまま対応付けるため、単独データに上端部領域と中央部領域が対応付けられ、下端側のOLデータに下端部領域が対応付けられる。ゆえに、第1ヘッド31(1)によって形成される第1バンド画像の上端部は、256階調データの示す濃度に応じたドット密度の半分のドット密度となり、淡く視認されてしまう。
【0065】
逆に、紙幅方向に並ぶ複数のヘッド31のうち、最も下端側に位置する第4ヘッド31(4)の下端部は非重複ノズルであり、第4バンドデータの下端部は単独データである。それにも拘らず比較例では第4バンドデータにディザマスクがそのまま対応付けられるため、上端側のOLデータに上端部領域が対応付けられ、単独データに中央部領域と下端部領域が対応付けられる。ゆえに、第4ヘッド31(4)によって形成される第4バンド画像の下端部は、256階調データの示す濃度に応じたドット密度の半分のドット密度となり、淡く視認されてしまう。
【0066】
この比較例のように、紙幅方向の端に位置するヘッド31によって印刷されるバンド画像を形成するための256階調データ(バンドデータ)に対して、両端部のドット発生率が中央部のドット発生率よりも低いディザマスクを、そのまま対応付けてしまうと、画像の両端部が淡く印刷されてしまう。そこで、本実施形態では、画像の両端部が淡く印刷されてしまうことを防止し、画像の画質劣化を抑制することを目的とする。以下、本実施形態のハーフトーン処理について説明する。
【0067】
<ハーフトーン処理:第1実施例>
図9Aは、上端ヘッド用ディザマスクと下端ヘッド用ディザマスクを説明する図であり、図9Bは、第1実施例におけるディザマスクの対応付け方法を説明する図である。なお、図に示すディザマスクはイメージ図であり、最高階調値を示す画素のハーフトーン処理結果である。第1実施例では、プリンタードライバーは、図7に示すディザマスクの他に、「上端ヘッド用ディザマスク(第1のディザマスクに相当)」と「下端ヘッド用ディザマスク(第3のディザマスクに相当)」を用いてハーフトーン処理する。区別のために、図7に示すディザマスクを「中間ヘッド用ディザマスク(第2のディザマスクに相当)」と呼ぶ。上端ヘッド用ディザマスクは、紙幅方向に並ぶ複数のヘッド31のうちの最も上端側に位置する第1ヘッド31(1)に割り当てるドットデータを作成する際に用いられる。一方、下端ヘッド用ディザマスクは、紙幅方向に並ぶ複数のヘッド31のうちの最も下端側に位置する第4ヘッド31(4)に割り当てるドットデータを作成する際に用いられる。
【0068】
上端ヘッド用ディザマスクは、紙幅方向の上端側に位置する第1領域(他の領域に相当)と、下端側に位置する第2領域(一方側の端部の領域に相当)を有する。第1領域は、第1ヘッド31(1)の非重複ノズルに割り当てられる256階調データ(第1バンドデータの単独データ)に対応付けられ、第2領域は、第1ヘッド31(1)の下端側の重複ノズルに割り当てられる256階調データ(第1バンドデータのOLデータ)に対応付けられる。第1ヘッド31(1)の非重複ノズルは172個(#1〜#172)であり、第1ヘッド31(1)の下端側の重複ノズルは8個(#173〜#180)である。そのため、第1領域において紙幅方向に並ぶ閾値の数は172個となり、第2領域において紙幅方向に並ぶ閾値の数は8個となる。そして、第1領域のドット発生率を100%とし、第2領域のドット発生率を50%とする。
【0069】
一方、下端ヘッド用ディザマスクは、紙幅方向の上端側に位置する第3領域(他方側の端部の領域に相当)と、下端側に位置する第4領域(他の領域に相当)を有する。第3領域は、第4ヘッド31(4)の重複ノズルに割り当てられる256階調データ(第4バンドデータのOLデータ)に対応付けられ、第4領域は、第4ヘッド31(4)の非重複ノズルに割り当てられる256階調データ(第4バンドデータの単独データ)に対応付けられる。第4ヘッド31(4)の重複ノズルは8個(#1〜#8)であり、第4ヘッド31(4)の非重複ノズルは172個(#9〜#180)である。そのため、第3領域において紙幅方向に並ぶ閾値の数は8個となり、第4領域において紙幅方向に並ぶ閾値の数は172個となる。そして、第3領域のドット発生率を50%とし、第4領域のドット発生率を100%とする。
【0070】
そして、プリンタードライバーは、図9Bに示すように、第1バンドデータに上端ヘッド用ディザマスクを対応付け、第2バンドデータおよび第3バンドデータに図7に示す中間ヘッド用ディザマスクを対応付け、第4バンドデータに下端ヘッド用ディザマスクを対応付けて、ハーフトーン処理する。
【0071】
その結果、第1バンドデータの上端部および中央部は、ドット発生率が100%である上端ヘッド用ディザマスクの第1領域によってハーフトーン処理される。ゆえに、他のヘッド31のバンド画像と重ならない第1バンド画像の上端部および中央部を256階調データの示す濃度にすることができる。また、第1バンドデータの下端部は、ドット発生率が50%である上端ヘッド用ディザマスクの第2領域によってハーフトーン処理される。ゆえに、第1バンド画像の下端部は256階調データの示す濃度の半分となるが、第1バンド画像の下端部と第2バンド画像の上端部が重なることによって256階調データの示す濃度となる。
【0072】
一方、第4バンドデータの上端部は、ドット発生率が50%である下端ヘッド用ディザマスクの第3領域によってハーフトーン処理される。ゆえに、第4バンド画像の上端部は256階調データの示す濃度の半分となるが、第4バンド画像の上端部と第3バンド画像の下端部が重なることによって、256階調データの示す濃度となる。また、第4バンド画像の中央部および下端部は、ドット発生率が100%である下端ヘッド用ディザマスクの第4領域によってハーフトーン処理される。ゆえに、他のヘッド31のバンド画像と重ならない第4バンド画像の中央部および下端部を256階調データの示す濃度にすることができる。なお、第2バンド画像と第3バンド画像は、比較例と同様に、中間ヘッド用ディザマスクによりハーフトーン処理された結果、256階調データの示す濃度となる。
【0073】
こうすることで、比較例(図8)とは異なり、第1実施例では、第1バンド画像の上端部と第4バンド画像の下端部が淡く印刷されてしまうことを防止でき、画像全域の濃度を256階調データの示す濃度にすることができる。その結果、印刷画像の画質劣化を抑制することができる。言い換えれば、第1ヘッド31(1)の上端ノズル及び第4ヘッド31(4)の下端ノズルを印刷に使用しても画像の両端部が淡くなることを防止できるため、第1ヘッド31(1)の上端ノズル及び第4ヘッド31(4)の下端ノズルを印刷に使用することが出来る。ゆえに、紙幅方向における印刷可能範囲を出来る限り広くすることが出来る。
【0074】
<ハーフトーン処理:第2実施例>
図10Aは、端部ヘッド用ディザマスクを説明する図であり、図10Bは、反転ディザマスクと180度回転ディザマスクを説明する図である。図11は、第2実施例におけるディザマスクの対応付け方法を説明する図である。前述の第1実施例では、プリンタードライバーは、図7に示す中間ヘッド用ディザマスクの他に、上端ヘッド用ディザマスクと下端ヘッド用ディザマスクを用いて、ハーフトーン処理する。これに対して、第2実施例では、プリンタードライバーは、中間ヘッド用ディザマスクと図10Aに示す端部ヘッド用ディザマスクを用いて、ハーフトーン処理する。なお、図に示すディザマスクはイメージ図であり、最高階調値を示す画素のハーフトーン処理結果である。
【0075】
プリンタードライバーは、図11に示すように、端部ヘッド用ディザマスク(第1のディザマスクに相当)を、紙幅方向に並ぶ複数のヘッド31のうちの最も上端側に位置する第1ヘッド31(1)に割り当てるドットデータを作成する際に用いる。端部ヘッド用ディザマスクは、紙幅方向の上端側に位置する第5領域(他の領域に相当)と下端側に位置する第6領域(一方側の端部の領域に相当)を有し、第5領域は第1ヘッド31(1)の非重複ノズルに割り当てられる256階調データ(第1バンドデータの単独データ)に対応付けられ、第6領域は第1ヘッド31(1)の下端側の重複ノズルに割り当てられる256階調データ(第1バンドデータのOLデータ)に対応付けられる。第1ヘッド31(1)の非重複ノズルは172個であり、第1ヘッド31(1)の下端側の重複ノズルは8個であるため、第5領域において紙幅方向に並ぶ閾値の数は172個となり、第6領域において紙幅方向に並ぶ閾値の数は8個となる。そして、第5領域のドット発生率を100%とし、第6領域のドット発生率を50%とする。即ち、端部ヘッド用ディザマスクは、前述の第1実施例の上端ヘッド用ディザマスク(図9A)と同じ構成といえる。
【0076】
図11に示すように、第1バンドデータの上端部および中央部は、ドット発生率が100%である端部ヘッド用ディザマスクの第5領域によってハーフトーン処理される。ゆえに、他のヘッド31のバンド画像と重ならない第1バンド画像の上端部および中央部を256階調データの示す濃度にすることができる。また、第1バンドデータの下端部は、ドット発生率が50%である端部ヘッド用ディザマスクの第6領域によってハーフトーン処理される。ゆえに、第1バンド画像の下端部は256階調データの示す濃度の半分となるが、第1バンド画像の下端部と第2バンド画像の上端部が重なった画像を256階調の示す濃度にすることができる。
【0077】
なお、第2バンドデータと第3バンドデータには、比較例(図8)や第1実施例(図9B)と同様に、中間ヘッド用ディザマスク(図7)が対応づけられる。その結果、第2バンド画像と第3バンド画像は256階調データの示す濃度となる。
【0078】
そして、プリンタードライバーは、紙幅方向に並ぶ複数のヘッド31のうちの最も下端側に位置する第4ヘッド31(4)に割り当てるドットデータを作成する際に、図10Bに示す反転ディザマスク、又は、180度回転ディザマスクを用いる。即ち、第2実施例では、第1バンドデータと第4バンドデータに対応付けるディザマスクを共通化する。
【0079】
反転ディザマスクは、端部ヘッド用ディザマスクを紙幅方向に反転させたディザマスクである。よって、反転ディザマスクでは、紙幅方向の上端側に第6領域が位置し、下端側に第5領域が位置する。また、端部ヘッド用ディザマスクの搬送方向左側の領域を第7領域とし、右側の領域を第8領域とした場合、反転ディザマスクでは、端部ヘッド用ディザマスクと同様に、搬送方向の左側に第7領域が位置し、搬送方向の右側に第8領域が位置する。
【0080】
一方、180度回転ディザマスクは、所定の点を回転中心として端部ヘッド用ディザマスクを180度回転させたディザマスクである。よって、180度回転ディザマスクでは、紙幅方向の上端側に第6領域が位置し、下端側に第5領域が位置し、搬送方向左側に第8領域が位置し、右側に第7領域が位置する。
【0081】
反転ディザマスクにおいても、180度回転ディザマスクにおいても、紙幅方向の上端側にドット発生率が50%である第6領域が位置し、紙幅方向の下端側にドット発生率が100%である第5領域が位置する。そのため、プリンタードライバーが第4バンドデータに反転ディザマスク又は180度回転ディザマスクを対応付けることで、第4バンドデータの上端部はドット発生率が50%である第6領域によってハーフトーン処理される。ゆえに、第4バンド画像の上端部は256階調データの示す濃度の半分となるが、第4バンド画像の上端部と第3バンド画像の下端部が重なった領域を256階調の示す濃度にすることができる。また、第4バンドデータの中央部および下端部はドット発生率が100%である第5領域によってハーフトーン処理される。ゆえに、他のヘッド31のバンド画像と重ならない第4バンド画像の中央部および下端部を256階調データの示す濃度にすることができる。
【0082】
こうすることで、比較例(図8)とは異なり、第2実施例では、第1バンド画像の上端部と第4バンド画像の下端部が淡く印刷されてしまうことを防止でき、画像全域の濃度を256階調データの示す濃度にすることができる。その結果、画像の画質劣化を抑制することができる。また、第1ヘッド31(1)の上端ノズル及び第4ヘッド31(4)の下端ノズルを印刷に使用することができるため、紙幅方向における印刷可能範囲を出来る限り広くすることが出来る。
【0083】
また、第2実施例では、端部ヘッド用ディザマスクを反転させたり回転させたりする処理を加えることによって、第1バンドデータと第4バンドデータに対応付けるディザマスクを共通化する。そのため、第2実施例の方が第1実施例に比べてハーフトーン処理のために設定するディザマスクの数を少なくすることが出来る。その結果、ディザマスクの設計処理を簡略化でき、ディザマスクを記憶するメモリー容量(プリンタードライバーを記憶する媒体やプリンタードライバーをインストールしたコンピューター50のメモリー容量)を削減することができる。
【0084】
また、第1バンド画像の下端部は中間ヘッド用ディザマスク(図7)の上端部領域でハーフトーン処理されたドットデータに基づく画像と重なり、第4バンド画像の上端部はディザマスクの下端部領域でハーフトーン処理されたドットデータに基づく画像と重なる。しかし、第2実施例では、プリンタードライバーは、第1バンドデータの下端側のOLデータと第4バンドデータの上端側のOLデータを、端部ヘッド用ディザマスクの共通の第6領域でハーフトーン処理する。そのため、紙幅方向に並ぶヘッド31の各重複ノズルによって形成されるドットが分散して重なるように、上端ヘッド用ディザマスクと下端ヘッド用ディザマスクを個別に設定する第1実施例に比べて、第2実施例では、ディザマスクの設計に工夫が必要となる。言い換えれば、第1実施例の方が第2実施例に比べて、ディザマスクの閾値の設定方法により、オーバーラップ領域におけるドット発生位置の自由度が増す。
【0085】
また、ディザマスクは、ディザマスクが対応付けられる単位画像の粒状性が改善されるように、単位画像内に発生するドットの繋がりやドットの分散性が考慮されて設計される。反転ディザマスクでは、搬送方向の閾値の並びを端部ヘッド用ディザマスクと同じにすることができる。具体的には、図10Bに示すように、反転ディザマスクにおいても端部ヘッド用ディザマスクにおいても、第7領域が第8領域よりも搬送方向の左側に位置する。そのため、端部ヘッド用ディザマスクが対応づけられるバンド画像(単位画像)から中間ヘッド用ディザマスクが対応づけられるバンド画像へのドットの繋がりと、中間ヘッド用ディザマスクが対応づけられるバンド画像から反転ディザマスクが対応づけられるバンド画像へのドットの繋がりを同等にすることができる。そのため、反転ディザマスクを用いる方が180度回転ディザマスクを用いるよりも、ドットの繋がりの良い画像を形成できると言える。
【0086】
なお、ここでは、第1バンドデータに端部ヘッド用ディザマスクをそのまま対応付けるため、端部ヘッド用ディザマスクの下端部のドット発生率を他の領域のドット発生率に比べて低くしているが、これに限らない。逆に、端部ヘッド用ディザマスクをそのまま第4バンドデータに対応付けるように、端部ヘッド用ディザマスクの上端部のドット発生率を他の領域のドット発生率よりも低くしても良い。この場合、端部ヘッド用ディザマスクを反転させたり180度回転させたりしたディザマスクを第1バンドデータに対応付ける。
【0087】
===変形例===
<ディザマスクの対応付け>
前述の実施形態では、プリンタードライバーが、図9Bに示すように、OLデータ(重複ノズルに割り当てられる256階調データ)を複製し、複製したOLデータを複製元のOLデータの隣に挿入した後に、ディザマスクを対応付けているが、これに限らない。OLデータを複製・挿入する処理を実施しなくとも、例えば、プリンタードライバーが、図9Bにおける256階調データのOLデータに対してディザマスクを重複して対応付けても良い。この場合、例えば、第1ヘッド31(1)と第2ヘッド31(2)の重複ノズルに割り当てられるOLデータを上端ヘッド用ディザマスクの第2領域にてハーフトーン処理されたドットデータは第1ヘッド31(1)の下端側の重複ノズルに割り当てられる。一方、第1ヘッド31(1)と第2ヘッド31(2)の重複ノズルに割り当てられるOLデータを中間ヘッド用ディザマスクの上端部領域にてハーフトーン処理されたドットデータは第2ヘッド31(2)の上端側の重複ノズルに割り当てられる。
【0088】
また、前述の実施形態では、印刷画像の両端部が淡く印刷されてしまうことを防止するために、上端ヘッド用ディザマスクの他に下端ヘッド用ディザマスクを設けたり(図9)、端部ヘッド用ディザマスクを反転させたり回転させたりしているが、これに限らない。例えば、印刷画像の2つの端部のうちの一方の端部を形成するための256階調データだけに、図7のディザマスクとは異なるディザマスク(例:上端ヘッド用ディザマスクや端部ヘッド用ディザマスク)を対応付けてもよい。この場合にも、印刷画像の一方側の端部が淡く印刷されてしまうことを防止でき、比較例の印刷画像に比べて画質劣化を抑制できる。
【0089】
<プリンター>
図12は、変形例のプリンターを説明する図である。前述の実施形態では、図1Bや図2に示すように、ノズル列方向(紙幅方向)に並ぶ固定された複数のヘッド31の下を、ノズル列方向と交差する搬送方向に単票紙(媒体)を搬送し、画像を印刷するプリンター1を例に挙げているが、これに限らない。例えば、図12に示すように、1つのヘッド31がノズル列方向と交差する方向に移動しながら画像を形成する画像形成動作と、ヘッド31に対して単票紙(媒体)を媒体搬送方向の下流側に搬送する動作と、を繰り返すプリンターであっても良い。
【0090】
このようなプリンターにおいても、1回の画像形成動作によって形成されるバンド画像の端部が重複するように媒体搬送量を設定した印刷方法により、前述の実施形態のプリンター1と同じ構成の画像(図5A)が印刷される。なお、ヘッド31(第1のノズル列に相当)が用紙上の媒体搬送方向(所定方向に相当)における最も下流側の位置(第1の位置に相当)と対向する際に第1バンド画像(第1のバンド画像に相当)が形成され、ヘッド31(第2のノズル列に相当)が用紙上の媒体搬送方向における中央の位置(第2の位置に相当)と対向する際に第2バンド画像(第2のバンド画像に相当)が形成され、ヘッド31(第3のノズル列に相当)が用紙上の媒体搬送方向における最も上流側の位置(第3の位置に相当)と対向する際に第3バンド画像(第3のバンド画像に相当)が形成される。
【0091】
この場合にも、前述の実施形態と同じ構成のディザマスクを対応づけてハーフトーン処理するとよい。例えば、媒体搬送方向の最も下流側に位置する第1バンド画像を形成するための256階調データには、図9Aに示す上端ヘッド用ディザマスクや図10Aに示す端部ヘッド用ディザマスクを対応づけるとよい。また、媒体搬送方向の最も上流側に位置する第3バンド画像を形成するための256階調データには、図9Aに示す下端ヘッド用ディザマスクや図10Bに示す反転ディザマスクや180度回転ディザマスクを対応づけるとよい。そして、媒体搬送方向の両端に位置しない第2バンド画像を形成するための256階調データには、図7に示すディザマスクを対応づけるとよい。そうすることで、画像の媒体搬送方向における両端部が淡く印刷されてしまうことを防止できる。
【0092】
その他のプリンターとして、例えば、印刷領域に搬送された連続用紙に対して、端部が重複してノズル列方向に並んだ複数のヘッド31をノズル列方向と交差する方向に移動しながら画像を形成する動作と、複数のヘッド31を紙幅方向に移動する動作とを繰り返して画像を形成し、その後、未だ印刷されていない媒体部分を印刷領域に搬送するプリンターでも良い。
【0093】
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンターを有する印刷システムについて記載されているが、印刷データの作成方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0094】
<流体噴射装置について>
前述の実施形態では、流体噴射装置としてインクジェットプリンターを例示していたが、これに限らない。流体噴射装置であれば、プリンターではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、流体の噴射方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより流体を噴射するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を噴射させるサーマル方式でもよい。また、流体はインクなどの液体に限らず、粉体などでもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ベルト、22A,22B 搬送ローラー、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド、
40 検出器群、50 コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並んだ第1のノズル列であって前記媒体における第1の位置と対向する際に第1のバンド画像を形成する第1のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第2のノズル列であって前記媒体における第2の位置と対向する際に第2のバンド画像を形成する第2のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第3のノズル列であって前記媒体における第3の位置と対向する際に第3のバンド画像を形成する第3のノズル列と、
(B)複数の画素が並ぶ入力データを、ドット形成の有無を示すドットデータに変換するハーフトーン処理に用いられ、複数の閾値が並ぶ、第1のディザマスク及び第2のディザマスクを記憶する記憶部と、
(C1)前記ドットデータに基づいて、前記第1のバンド画像の前記所定方向の一方側の端部が前記第2のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複し、前記第2のバンド画像の前記所定方向の前記一方側の端部が前記第3のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複する画像を形成する制御部であって、
(C2)前記記憶部が記憶する前記第1のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の前記一方側の端部の領域のドット発生率が他の領域のドット発生率よりも小さい前記第1のディザマスクを、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施し、
(C3)前記記憶部が記憶する第2のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の両端部の領域のドット発生率が前記所定方向の中央部の領域のドット発生率よりも小さい前記第2のディザマスクを、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施する制御部と、
(D)を有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記制御部が、前記第1のディザマスクを前記所定方向に反転させたディザマスクを、前記第3のバンド画像に対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施する、
流体噴射装置。
【請求項3】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記記憶部は第3のディザマスクを記憶し、
前記制御部が、前記第3のディザマスクであって、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が前記第3のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の前記他方側の端部の領域のドット発生率が他の領域のドット発生率よりも小さい前記第3のディザマスクを、前記第3のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施する、
流体噴射装置。
【請求項4】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記制御部が、前記第1のディザマスクを180度回転させたディザマスクを、前記第3のバンド画像に対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施する、
流体噴射装置。
【請求項5】
媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並んだ第1のノズル列であって前記媒体における第1の位置と対向する際に第1のバンド画像を形成する第1のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第2のノズル列であって前記媒体における第2の位置と対向する際に第2のバンド画像を形成する第2のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第3のノズル列であって前記媒体における第3の位置と対向する際に第3のバンド画像を形成する第3のノズル列と、を有する流体噴射装置が、画像を形成するためのデータを、コンピューターに作成させるためのプログラムであって、
前記第1のバンド画像の前記所定方向の一方側の端部が前記第2のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複し、前記第2のバンド画像の前記所定方向の前記一方側の端部が前記第3のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複する画像を形成するために、複数の画素が並ぶ入力データをドット形成の有無を示すドットデータに変換するハーフトーン処理の際に、
複数の閾値が並ぶ第1のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の前記一方側の端部の領域のドット発生率が他の領域のドット発生率よりも小さい前記第1のディザマスクを、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施することと、
複数の閾値が並ぶ第2のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の両端部の領域のドット発生率が前記所定方向の中央部の領域のドット発生率よりも小さい前記第2のディザマスクを、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施することと、
を前記コンピューターに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並んだ第1のノズル列であって前記媒体における第1の位置と対向する際に第1のバンド画像を形成する第1のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第2のノズル列であって前記媒体における第2の位置と対向する際に第2のバンド画像を形成する第2のノズル列と、前記媒体に流体を噴射するノズルが前記所定方向に並んだ第3のノズル列であって前記媒体における第3の位置と対向する際に第3のバンド画像を形成する第3のノズル列と、複数の画素が並ぶ入力データを、ドット形成の有無を示すドットデータに変換するハーフトーン処理に用いられ、複数の閾値が並ぶ、第1のディザマスク及び第2のディザマスクを記憶する記憶部と、を有する流体噴射装置の流体噴射方法であって、
前記第1のバンド画像の前記所定方向の一方側の端部が前記第2のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複し、前記第2のバンド画像の前記所定方向の前記一方側の端部が前記第3のバンド画像の前記所定方向の他方側の端部と重複する画像を形成するために、
前記記憶部が記憶する前記第1のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の前記一方側の端部の領域のドット発生率が他の領域のドット発生率よりも小さい前記第1のディザマスクを、前記第1のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施することと、
前記記憶部が記憶する第2のディザマスクであり、前記所定方向に並ぶ前記閾値の数が、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データにおいて前記所定方向に並ぶ前記画素の数と等しく、且つ、前記所定方向の両端部の領域のドット発生率が前記所定方向の中央部の領域のドット発生率よりも小さい前記第2のディザマスクを、前記第2のバンド画像を形成するための前記入力データに対応付けて、前記ハーフトーン処理を実施することと、
前記ハーフトーン処理によって取得した前記ドットデータに基づいて、前記ノズルから流体を噴射することと、
を有することを特徴とする流体噴射方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−235474(P2011−235474A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107008(P2010−107008)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】