説明

流動体流動調節装置

流動体流動調節装置が開示される。この装置は、弁座(168)へ力を配する変形可能な弁部材(164)を含み、当該弁部材が害されることを防いでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広く流動体の流動の調節器に関し、特に、弁座へ力を配する変形可能な弁部材を含む、高圧流動体の流動を調節する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業的な処理プラントでは、例えば、任意の処理作業において、ガスまたは流動体の流れを調節する等の幅広い用途において、調節弁が用いられている。ガスの流れの規制においては、高圧でのガスの高い流速に適応する調節弁が要求される。このような調節弁の製造者は、当該弁が、当該弁の製造の間に生成または残存する粒子が混入されていないことを保証するほうがよい。しかしながら、例えば、金属の削りくず等の粒子混入の不存在を確実とする厳格な製造過程にもかかわらず、調節弁は、製造の間または後での調節弁に粒子が導入されるかたちで、混入に悩まされるであろう。この混入物の存在は、調節弁の主たる弁口(例えば、弁座)の部分に害(damage)を与え、重大な漏れを生じさせるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
流動体調節装置は、流入口および流出口を有するハウジングと、弁通路においての弁座であって延伸直径二次面(larger diameter second surface)へ広がる一次直径面(first diameter surface)を規定している弁座と、前記弁座に係合するように移動可能である弁部材と、を含んでいる。前記弁部材は、前記弁座の前記一次直径面に係合(engage)するとともに前記二次面に変形可能に係合する変形可能な部材を有している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、流動体流動調節弁の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、図1の円で囲まれた部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
一般に、本実施例の装置は、さまざまな種類の流動体流動処理において流動体の流動を調節する用途に用いられるであろう。さらに、本実施例は、工業的処理産業のための製品の流れの制御に関して記述されていることをここに申し述べるが、本実施例は、異なる目的のさまざまな処理制御動作に、より広く適用することができるであろうことをここに申し述べる。
【0006】
図1は、流動体流動調節弁100の一例を説明する断面図である。本実施例の流動体流動調節弁100は、チャンバー113を規定する上部ハウジング112、流入口チャンバー132を規定する下部ハウジング114、およびネジ接続118で上部ハウジング112により支えられている調整ハウジング116を有する、本体またはハウジング110を含んでいる。調整ネジ120は、調整ハウジング116のネジ線124で支えられているネジ末端122を有している。調整ネジ120は、調整ハウジング116および上部ハウジング112内に位置する弾性部材または荷重バネ128に接する末端部在126に係合している。下部ハウジング114は、流入口130および流出口140を含んでいる。流入口130は、弁バネ155を設けている流入口チャンバー132に連通している。主弁は、概して、基準数表示160により指定されている。弁バネ155は、弁幹162を上部ハウジング112に向かって強制するために、弁幹162の下部末端161に係合している。弁幹160は、変形可能な弁部材164を有している。図2に明確に示すように、変形可能な弁部材164は、幹キャップ168で取り決められた開口(オリフィス)または通路167の弁座166を係合する平坦傾斜面164Bを、概して有している。図1からすぐわかるように、幹キャップ168は、流出口140に連通する通路142へ流動体の流動を許可する側面開口169を含んでいる。
【0007】
図1を参照すれば、弁ガイド180は、上部ハウジング112および下部ハウジング114の間に局在している。弁ガイド180は、弁幹162を受ける中央開口182と、それを通す流動体を流動させるための半径方向外側の直通開口184と、を有する。弁幹162は、ネジ線186でねじ切られて、可動センサー190に係合するように上方へ延びている。可動センサー190は、上部ハウジング112のチャンバー113の内部に局在している。ダイヤフラム200は、センサーフランジ192と弁ガイド180との間に延びている。
【0008】
荷重バネ128は、下部ハウジング114に向かって上記センサー190および弁幹162を下向きに促すために、上記センサー190の内部で受けられている。調整ネジ120は、上記センサー190および弁幹162の上で、荷重バネ128の力を調整する(adjust)ために回転できるようになっている。
【0009】
図2は、図1において円で囲った主弁160の部位の拡大図である。変形可能な弁部材164は、弁幹162を乗せる単一の部材である。変形可能な弁部材164は、例えば、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはPCTFE(ネオフロン(商標))あるいはポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))等、弁座166を係合するときに十分に変形できるようになっている、多数の非金属素材で形成することができる。変形可能な弁部材164は、通路167を閉じるために、弁座166を係合し、それゆえ流動体の流動を妨げる。弁座166は、角170を有する一次直径面166Aを含み、延伸直径二次面166Bにおいて半径方向の外部に延びている。図2に示すように、延伸直径二次面166Bは、一次直径面166Aから段を形成することで平坦な角度を持った面となっており、変形可能な弁部材164の平坦傾斜面164Bに並行に配置される。また、延伸直径二次面166Bは、例えば、一次直径面166Aから段を形成しないが一次直径面166Aと同様の1以上の面または角、一次直径面166Aから段を形成する1以上の凹凸、あるいは、一次直径面166Aから段を形成する他の形状等、他の形状で構成することもできる。
【0010】
運転中、本実施例の流動体流動調節弁100は、流入口130で、高圧の液体(fluid)またはガス、例えば、塩化水素等を入れられる。最初に、上記流動体流動調節弁100は、荷重バネ128が弁幹162を上方へ移動させるために弁バネ155を許可するように、調整ネジ120が上方に引き上げられているので、閉じている。変形可能な弁部材164は、主弁160を閉じるために弁座166(図2参照)に係合されている。調整ネジ120が回転されて下方に進めば、荷重バネ128は、変形可能な弁部材164を弁座166から離れて移動させるために、上記センサー190および弁幹162に下向きの力を与え、主弁160の通路167を通して流れるガスを許可する。通路167が開いたとき、流入口チャンバー132内に流れこんだガスは、当該通路167を介して上記幹キャップ168を通過し、側面開口169並びに通路142を介して、流出口140を通過する。
【0011】
本実施例の流動体流動調節弁100は、所望の圧力で液体(fluid)またはガスの流れの調節を成し遂げる。もし、主弁160を介して流れるガスにおいて所望の圧力よりも大きければ、ガスの下流圧力(例えば、流出口140での)は増加することになるので、上記センサー190に圧力を加えるガス圧力の増加が生じる。上記増加したガス圧は、弁座166へ係合するように変形可能な弁部材164が移動し、主弁160を閉じるために、上記センサー190およびこれに付随する弁幹162が上側に移動させる。特に、上記センサー190およびこれに付随する弁幹162は、上記増加した圧力により上側に強制され、変形可能な弁部材164を弁座166の一次直径面166Aに係合させる(図2参照)。変形可能な弁部材164の一次直径面166Aへの係合は、通路167を閉じる。
【0012】
しかしながら、例えば金属やすり粉等の粒子が、本実施例の流動体流動調節弁100の製造中または製造後に、当該弁100に導入された場合、このような粒子は、通路167の十分な閉鎖を妨げる可能性がある。例えば金属やすり粉等の混入物の存在は、通路167を介して上記ガスの流れの継続をもたらすとともに、下流のガス圧において継続した増加をもたらすことになる。上記下流のガス圧の継続した増加は、上記センサー190に対するガス圧の増加をもたらす。上記センサー190が、増加したガス圧によって上側に強制されると、弁部材164は、本実施例の流動体流動調節弁100の動作の間、通常起こるよりも増加した力で、一次直径面166Aを係合する。弁座166は、一次直径面166Aでの変形可能な弁部材164についての、このような大きな係合力にも適応することができる。変形可能な弁部材164が、一次直径面166Aに対して上側へ移動するにつれて、変形可能な部材164は、平坦傾斜面164Bが延伸直径二次面166Bを同時に係合するまで、一次直径面166Aにおいて受け入れるために変形する。平坦傾斜面164Bおよび延伸直径二次面166Bは、通常、お互い平行であり、このように、それらの係合は、延伸直径二次面166Bの上で、平坦傾斜面164Bによって及ぼされる力の実質的な同一の配置をもたらす。上記力の実質的な同一の配置は、変形可能な弁部材164が通路167を閉じることができないように害されることを防いでいる。もし、弁部材164が、通路167を介して上記ガスが流れ続ける程度に害されれば、本実施例の流動体流動調節弁100は、上記ガス流れにおける下流圧の重大な変動を引き起こすことがあり得る。このように、一次直径面166Aおよび延伸直径二次面166Bでの平坦傾斜面164Bの同時の係合は、弁部材164が害されることと、本実施例の流動体流動調節弁100を介して液体(fluid)またはガスの望ましくない流れをもたらすこととを防いでいる。
【0013】
本実施例の調節弁100の主弁160が害されることが結果として生じうる他の状況、例えば、流入口130へ連通している流体圧が、本実施例の流動体流動調節弁100によって正常に入れられるよりも大きい状況、あるいは、主弁160が過度の循環にさらされている状況等、が存在するのであれば、変形可能な弁部材164が、このような害を防ぐために上述したように変形することができる。
【0014】
特定の実施例の装置がここには記載されているが、本特許の覆われる範囲はこれに限定されない。というよりも、本特許は、文字通りにも均等論の元でも付属している請求の範囲に公正に含まれる全ての方法、装置および製品を保護している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口および流出口を有するハウジング、
弁通路においての弁座であって、延伸直径二次面へ広がる一次直径面を規定する弁座、および、
前記弁座に係合される可動弁部材であって、前記一次直径面を係合し、前記二次面へ係合するための前記一次直径面で変形可能である、変形可能部材を有している、弁部材を、
備えている、流動体流動調節装置。
【請求項2】
前記一次直径面は角を含むとともに、前記二次面は前記一次直径面から段を形成する平坦な面として構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記二次面は、前記一次直径面から段を形成する平坦な面である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記変形可能部材は、前記二次面に実質的に平行な面を有している、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記二次面と変形可能部材との係合は、前記変形可能部材から前記二次面への力を、実質的に同一に移転することを可能としている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記弁部材は、調整可能な弾性部材によって移動可能となる幹を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は圧力調節弁である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記圧力調節弁は、不平衡調節弁である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記変形可能部材は、非金属材料製である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記弁座が金属製である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記変形可能部材が、前記弁部材の上に乗せられる単一の部材である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
弁通路で弁座を経由して流出口と連通する流入口を有し、前記弁座は、延伸直径二次面へ広がる一次直径面を規定し、前記二次面は、前記一次直径面から段を形成する平坦な面として構成されている、ハウジング、および、
前記弁座を係合する移動可能な弁部材であって、弾性部材、および、前記弁座の一次直径面を係合するとともに、前記二次面を同時に係合するために前記一次直径面で変形可能である、変形可能部材に、動作可能に連結される幹を含んでいる、弁部材、
を備えている、流動体流動調節弁。
【請求項13】
前記平坦面と変形可能部材との係合は、前記変形可能部材から前記平坦面への力を、実質的に同一に移転することを可能としている、請求項12の流動体流動調節弁。
【請求項14】
前記一次直径面が、角、および、前記一次直径面から段を形成する二次面を含むよう構成されている、請求項13の流動体流動調節弁。
【請求項15】
前記変形可能部材は、前記二次面に実質的に平行な面を有している、請求項12の流動体流動調節弁。
【請求項16】
前記弾性部材は、前記幹の上で力を変えるために調整可能となっている、請求項12の流動体流動調節弁。
【請求項17】
前記流動体流動調節弁は、不平衡調節弁である、請求項12の流動体流動調節弁。
【請求項18】
前記変形可能部材は、非金属材料製である、請求項12の流動体流動調節弁。
【請求項19】
前記弁座は金属製である、請求項18の流動体流動調節弁。
【請求項20】
前記変形可能部材が、前記弁部材の上に乗せられる単一の部材である、請求項12の流動体流動調節弁。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−520529(P2010−520529A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551773(P2009−551773)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/052639
【国際公開番号】WO2008/106266
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(503246934)テスコム・コーポレーション (14)
【Fターム(参考)】