説明

流動制御可能なBステージ化できる組成物

電子回路パッケージを組み立てる間、流動制御のためのBステージ化可能な誘電性組成物が記載される。このBステージ化可能な組成物は、樹脂マトリックスおよび流動制御剤を含む。このBステージ化可能な組成物は、特に電子デバイスおよび電子部品のために基体を積層することにおいて有用であり、この組成物の流動特性は組立ての間厳しく制御されなければならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、Bステージ化可能な組成物に関し、ここでBステージ化された組成物の流動特性は、電子回路パッケージを組立てる間制御可能である。
【背景技術】
【0002】
伝導性および誘電性のBステージ化可能な材料は、それらがいくつかの加工上の利点を有し、ペースト材料上への塗布が容易であるので、通常、電子回路の組立てで使用される。Bステージ化可能な材料は基体に塗布され、乾燥され(Bステージ化され)てBステージ化されたフィルムになりうる。あるいは、Bステージ化可能な材料はフィルム担体に塗布され、フィルム担体上でBステージ化されうる。次いで、このフィルムは特定の寸法に切り出され、プリント配線基板およびフレキシブルプリント配線基板に付けることができる。電子部品を基体に取り付けるためにBステージ化されたフィルムは、その後、材料が流動し、粘着性になってすぐ活性化されうる。
【0003】
電子回路パッケージの組立てには、その後の加工ステップを行うためにBステージ化された材料が必要であることが多い。その後の組立は、典型的にはビアへの伝導性材料の充填、狭ピッチ金線ボンディングおよびはんだ付けを含む。その後のステップの一部では加熱が必要であるので、Bステージ化された材料はパッケージの他の領域に流動しうる。
【0004】
より小さい高機能化電子部品の出現によって、組立てられるパッケージ全体の寸法は小さくなった。その後の組立てステップの間にBステージ化された材料が所定の位置に留まり、パッケージの他の領域に流動しないということは必須である。Bステージ化された材料の過剰な流動性は、パッケージの他の部分を汚染し、機能およびパッケージ生産量を低下させる。
【0005】
この流動性を制御するための1つの方法として、高分子量樹脂がBステージ化可能な材料として使用されてきた。しかしながら、そのような高分子量樹脂を使用するには、粘着力および接着力を最適化するためにより高い活性化条件を必要とする。高い活性化条件(例えば、高い温度および/または圧力)は、製造費を上げ、およびパッケージの破損を多く起こすと考えられるので望ましくない。しかしながら、低い活性化条件では、高分子量樹脂をベースとするBステージ化された材料は粘着性を発現することができず、結果として部品と基体との間の接着力は劣ることになる。
【0006】
流動特性を制御するための別の手段として、Bステージ化可能な材料にチキソトロープ剤(例えば、シリカ、粘土、雲母、タルク、アルミナ、他のフィラー類)が添加されてきた。室温でのチキソトロピーは改善されるが、その後のより高い温度での組立てステップで流動性が充分には制御されない。さらに、チキソトロープ剤を使用すると、特に狭い接着ラインにおいて分離または不統一な接着ラインの原因となることがある。
【0007】
Bステージ化可能な材料の流動性を制御するためにスペーサービーズを包含させることは、別の一般的手段であった。そのような方法はスペーサービーズが浮遊したままであることを必要とするが、しかしながら、スペーサービーズは沈む傾向があり、不均一な分布および不統一な接着ラインの原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
組立ての間、強い接着力および流動制御をもたらすBステージ化可能な組成物に対する要求が当該技術分野に存在し続ける。本発明はこの要求に対応する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、Bステージ化可能な誘電性組成物であり、ここでは流動制御剤の添加により、電子回路パッケージを組立てる間の流動性を制御することができる。Bステージ化可能な組成物は積層物として形成されてもよく、特に電子回路基板の積層において有用である。ある電子回路基板は、積層物がこの基体の特定の領域にだけ留まることが必要である。なぜなら、同じ基体の他の領域は、汚染物質が含まれていてはならないからである。積層物が基体の汚染物質が含まれていない領域に侵入すると、電子デバイスの不具合を引き起こしうる。
【0010】
Bステージ化可能な組成物は、積層物としてBステージ化されうる。活性化によってまたは積層条件でこの積層物は粘着性を示し、積層物を基体に接着することが可能になるが、しかし実質的には流動せずその場所に留まる。高熱を必要とするその後の組み立てステップの間でも、積層物は実質的に流動せずその場所に留まる。従って、Bステージ化可能な組成物を使用して、高い生産量で良好な機能を有する電子回路パッケージが製造される。
【0011】
1つの実施形態は、樹脂マトリックスおよび流動制御剤を含むBステージ化可能な組成物を志向している。
【0012】
他の実施形態では、Bステージ化可能な組成物は、樹脂マトリックス、流動制御剤、および任意に、触媒、フィラー、消泡剤、および接着促進剤を含む。
【0013】
さらなる実施形態では、Bステージ化可能な組成物から形成されるBステージ化されたフィルムは粘着性を発現し、しかしパッケージの組立てステップの間実質的に流動しない。
【0014】
さらに、他の実施形態では、Bステージ化可能な組成物の樹脂マトリックスは、樹脂、硬化剤および溶媒を含む。
【0015】
さらなる実施形態では、Bステージ化可能な組成物の流動制御剤は、コア−シェルポリマー、ブロックコポリマー、およびこれらの混合物を含む。
【0016】
前記組成物の他の実施形態は、基体上に堆積されBステージ化されたフィルムを志向しており、ここでこのBステージ化されたフィルムは、パッケージの組立てステップの間粘着性を示すが実質的に流動しない。
【0017】
さらなる実施形態では、基体は、ミシン目、ビア、ホール、マスク、I/O入力などを有する領域/部分を含み、それらは組立てステップの間に実質的にBステージ化可能な組成物と接触しない。
【0018】
なおも他の実施形態は、Bステージ化可能な組成物を使用して、電子デバイス、電子部品および/または電子回路基板を接着および/または積層する方法を志向している。この方法は、Bステージ化可能な組成物を第1の基体に塗布するステップ、Bステージ化可能な組成物をBステージ化して非粘着性積層物にするステップ、第2の基体を前記非粘着性積層物上に接触させるステップおよび前記非粘着性積層物を活性化させるステップを含み、それにより、前記第1の基体は前記第2の基体に積層/結合された状態になる。
【0019】
他の実施形態は、本発明のBステージ化可能な組成物を使用して製造される電子デバイスを提供する。薄膜太陽電池モジュールが包含されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明のBステージ化可能な組成物を用いて第2の基体(いかなるビアもない)に結合されている積層された第1の基体(ビアを有する)の5倍倍率のオリンパス顕微鏡SZX−12 DP−70画像である。
【0021】
【図2】図2は、比較試料を用いて第2の基体(いかなるビアもない)に結合されている積層された第1の基体(ビアを有する)の5倍倍率のオリンパス顕微鏡SZX−12 DP−70画像である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明の詳細な説明)
本発明は、Bステージ化可能な組成物に関し、特にこのBステージ化可能な組成物は粘着性を発現するが、活性化によっても、その後の組立てステップによっても実質的に流動しない。本発明は、特にパッケージを組立てる間、積層物の流動特性が厳しく制御されなければならない電子回路基板を積層するのに有用である。
【0023】
用語「Bステージ化する」は、本明細書では、熱および/または空気の手段によってペースト様の組成物を室温で乾燥および/または半硬化させて非粘着性フィルムにすることとして定義され、ここではそれは後に活性化によって再溶解されうる。
【0024】
用語「Bステージ化された」は、本明細書では、Bステージ化手段によって形成される室温で非粘着性のフィルムとして定義される。
【0025】
用語「活性化」は、本明細書では、Bステージ化されたフィルムを基体上に接着/積層するための圧力、熱および/または放射線として定義される。
【0026】
用語「低い活性化条件」は、本明細書では、Bステージ化されたフィルムを基体上に接着/積層するための低い圧力および低い温度、例えば、約35psi(2.5kgf/cm)未満の圧力および約120℃未満の温度として定義される。
【0027】
一般的用語「基体」は、本明細書では、半導体基板、半導体チップ、フレキシブル基体、金属箔、表面実装部品、抵抗器、コンデンサなどと定義される。
【0028】
用語「実質的に」は、本明細書では、約10%未満として定義される。
【0029】
本明細書で記載された発明は、当該技術分野にBステージ化可能な組成物を提供し、これは基体に電子部品を取り付けるために使用され、一方、活性化およびその後の組立ての間、Bステージ化された材料の流動性を厳密に制御することができる。
【0030】
1つの実施形態では、Bステージ化可能な組成物は、樹脂マトリックスおよび流動制御剤を含む。Bステージ化可能な組成物は第1の基体上に堆積され、この第1の基体上にフィルムを形成するためにBステージ化されてもよく、そして低い活性化条件でこのフィルムは粘着性を発現して第2の基体に接着するが、汚染が望ましくない領域に実質的に流動しない。その後の組立て条件下でもフィルムは所定の位置に留まり、実質的に流動しない。
【0031】
Bステージ化可能な組成物は、金属および非金属基体の上のいずれに塗布されてもよい。ある基体は、ミシン目、ビア、ホール、マスク、I/O、および部品を含み、これらの領域は汚染されないように保たれなければならない。このことは、その後の組立てを可能にするために重要であり、実行可能な電子回路パッケージを形成するために、例えば、金線ボンディング、スルーホール部品ボンディング、はんだペースト堆積などの追加の加工ステップは、基体のミシン目、ビア、ホール、マスク、I/O、および部品上に実施されうる。Bステージ化された材料が基体上で過度に流動すると後の組立ての妨げとなり、機能および生産性が劣ることになると考えられる。
【0032】
前記樹脂マトリックスは、フィルム形成樹脂、硬化剤および溶媒から構成される。
【0033】
適した樹脂としては、フィルムを形成できる任意の熱硬化性または熱可塑性樹脂が挙げられる。分子量が約1,000から約50,000の範囲の樹脂は樹脂マトリックスとして好ましい。様々な実施形態では、これらの樹脂は、エポキシ類、フェノキシ化合物類、ポリブタジエン類[エポキシ化ポリ(ブタジエン)、マレイン酸ポリ(ブタジエン)、アクリレート化ポリ(ブタジエン)、ブタジエン−スチレンコポリマー、およびブタジエン−アクリロニトリルコポリマーを含める]、マレイミド類(ビスマレイミドを含める)、ポリイミド類、アクリレート類およびメタクリレート類、およびシアネートエステル類、ビニルエーテル類、チオール−エン類、芳香族環に結合し芳香族環中の不飽和と共役している炭素と炭素の二重結合を含む樹脂類(例えば、シンナミルおよびスチレン系原料化合物から誘導された化合物)、フマルレート類およびマレエート類からなる群より選択される。様々な他の実施形態では、これらの樹脂としては、ポリアミド類、ベンゾキサジン類、ポリベンゾオキサジン類、ポリエーテルスルホン類、シリコン化オレフィン類、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリスチレン類、ポリカーボネート類、ポリプロピレン類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリイソブチレン類、ポリアクリロニトリル類、ポリ(ビニルアセテート)類、ポリ(2−ビニルピリジン)類、シス−1,4−ポリイソプレン類、3,4−ポリクロロプレン類、ビニルコポリマー類、ポリ(エチレンオキシド)類、ポリ(エチレングリコール)類、ポリホルムアルデヒド類、ポリアセトアルデヒド類、ポリ(β−プロピオラクトン)類、ポリ(10−デカノエート)類、ポリ(エチレンテレフタレート)類、ポリカプロラクタム類、ポリ(11−ウンデカノアミド)類、ポリ(m−フェニレン−テレフタルアミド)類、ポリ(テトラメチレン−m−ベンゼンスルホンアミド)類、ポリエステルポリアリーレート類、ポリ(フェニレンオキシド)類、ポリ(フェニレンスルフィド)類、ポリ(スルホン)類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルイミド類、フッ素化ポリイミド類、ポリイミドシロキサン類、ポリ−イソインドロ−キナゾリンジオン類、ポリチオエーテルイミドポリ−フェニル−キノキサリン類、ポリキニキサロン類、イミド−アリールエーテルフェニルキノキサリンコポリマー類、ポリキノキサリン類、ポリベンズイミダゾール類、ポリベンゾキサゾール類、ポリノルボルネン類、ポリ(アリーレンエーテル)類、ポリシラン類、パリレン類、ベンゾシクロブテン類、ヒドロキシル−(ベンズオキサゾール)コポリマー類およびポリ(シルアリーレンシロキサン)類が挙げられる。1種の樹脂または樹脂の組合せは、樹脂マトリックス中で使用されてもよい。この樹脂は、乾燥組成物を基準に(溶媒を含まずに)約40から約99重量%、好ましくは約50から約99重量%の範囲で利用される。
【0034】
前記硬化剤は、熱硬化性樹脂のための任意の、従来のまたは潜在性の硬化剤であってもよい。硬化剤の例としては、脂肪族および芳香族ポリアミン類、酸無水物類、ポリカルボン酸から誘導されたヒドラジド類、イミダゾール誘導体類(イミダゾール付加物、ブロック化イミダゾールを含める)、イミダゾール無水物付加物類、ジシアノジアミド類、グアニジン誘導体類、ビグアミド誘導体類、第3級アミン類、アミン塩類、有機金属塩類、および無機金属塩類およびフェノール類が挙げられる。好ましい硬化剤は、ジシアノジアミド、ジアミノジシクロメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸無水物、クロレンド酸無水物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどである。硬化剤は、反応性樹脂を基準にして約0.1から約30部で存在できる。
【0035】
適した溶媒としては、エステル類、アルコール類、エーテル類、アセテート類、ケトン類、および組成物中の前記樹脂を溶解し、Bステージ化工程の間に蒸発する他の一般的な溶媒が挙げられる。この溶媒は、フィルムを形成するために組成物中の樹脂を溶解し、組成物の取り扱いを容易にする効果的な量で存在できる。好ましい溶媒としては、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールプロピレンエーテル、およびこれらの混合物が挙げられる。当業者であれば、過度の実験をすることなく樹脂マトリックスの要求に応じて溶媒の量を調節できる。また、当業者であれば過度の実験をすることなく、溶媒の量によって決まる温度および時間を変動することによってBステージ化する条件を調節できる。
【0036】
さらに前記樹脂マトリックスは、任意に、添加物、例えば、触媒または促進剤、フィラー、消泡剤、および接着促進剤を含んでいてもよい。ある系では、硬化剤に加えて触媒または促進剤は、硬化速度を最適化するために使用されうる。触媒としては、尿素、誘導体類(イミダゾール付加物、ブロック化イミダゾールを含める)、イミダゾール無水物付加物類、金属ナフテン酸塩類、金属アセチルアセトナート類(キレート類)、金属オクトエート類、金属アセテート類、メタルハライド類、金属イミダゾール錯体類、金属アミン錯体類、トリフェニルホスフィン、アルキル置換イミダゾール類、イミダゾリウム塩類、およびオニウムボレート類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましいフィラーとしては、シリカ、粘土、タルク、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムおよび炭酸カルシウムが挙げられる。例示的な消泡剤としては、泡破壊ポリシロキサン類、ポリアクリレート類およびポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキサンコポリマー類が挙げられる。例示的な接着促進剤は、シラン類およびポリビニルブチロールである。前記任意の添加物は、乾燥組成物(溶媒を含まない)を基準として約80重量%まで添加されてもよい。
【0037】
適した流動制御剤としては、コア−シェルポリマーおよびブロックコポリマーが挙げられる。例示的なコア−シェルポリマーとしては、Kaneka社からKane Ace MXシリーズとして入手できるアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、メタクリレート−ブタジエン−スチレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン、シロキサンなどが挙げられる。別の例示的なコア−シェルポリマーとしては、商品名BLENDEX−415(General Electric Company)で販売されているアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、および商品名BTA−753(Rohm&Hass Company)およびE−950(Arkema)で販売されているメタクリレート−ブタジエン−スチレンが挙げられる。
【0038】
例示的なブロックコポリマーとしては、側鎖および中間ブロックの間の強い反発を作り出すように考案されたトリブロックコポリマーが挙げられる。特に好ましいものは、ポリスチレン、1,4−ポリブタジエン、およびシンジオタクチックポリ(メチルメタクリレート)のコポリマー;ポリ(ブチルアクリレート)の中心ブロックを囲む2つのポリ(メチルメタクリレート)ブロックを有するコポリマー(両方ともNanostrengthとしてArkema社から入手できる)が挙げられる。流動制御剤は、乾燥組成物(溶媒を含まない)を基準として約0.1から約30重量%、好ましくは約1から約20重量%の範囲で利用される。
【0039】
前記流動制御剤は、樹脂マトリックス中に均等に分散されなければならない。この分散を達成するために様々な方法、例えば、イン・サイチュー製造、高剪断分散、キャビテーションなどが利用されることができる。
【0040】
1つの実施形態では、Bステージ化可能な組成物は積層物としてBステージ化されてもよく、この積層物は、第1の基体を第2の基体に取り付けるために活性化されうる。さらに、これらの基体は、ミシン目、ビア、ホール、マスク、I/O入力、電子部品などを有する領域を含み、ここではそのような領域が積層物によって汚染されるのは望ましくない。
【0041】
以下、Bステージ化可能な組成物を積層工程において使用する方法が詳細に説明される。Bステージ化可能な組成物は第1の基体上に塗布され、ここでこの基体はビアを含む。基体はBステージ化され、その間Bステージ化可能な組成物がビア中に流動しないようにするために、空気がビアの中に吹き付けられる。次いで、非粘着性(室温で)積層物が第1の基体上に形成され、ビアには積層物が含まれていない。第2の基体はいかなるビアもなく、積層物上に付けられ、全体のパッケージは低い活性化条件に曝される。この積層物が粘着性になる間それは実質的に流動せず、ビアは実質的に積層物が含まれないままである。次いで、パッケージは典型的には120℃より高い温度でその後の組立てステップを受け、それにもかかわらず積層物は所定の位置に留まり、実質的にビアの中には流動しない。
【0042】
下記の実施例は、説明する目的のためであり、本発明の範囲をいかなる方法でも制限しようと意図するものではない。
【実施例】
【0043】
表1の試料を下記の方法で作成した:(1)樹脂を最初にSpeed Mixer(FlackTec)を用いて高速で混合し;(2)次いで、流動制御剤、チキソトロープ剤、スペーサービーズ、硬化剤および触媒を添加し、高速で混合を続け;および(3)全体の粘度が約1,000から約20,000cPの範囲になるまで溶媒を添加した。
【0044】
【表1】

【0045】
流動特性を決定するために、表1に従って製造した試料を試験して評価した。各試料を、基体ロールの全域で1cmで均等に分布させた直径1mmのビアを含む金属箔基体上に塗布した。被覆工程の間に試料がビアの中に流動しないように、ビアの底から空気を吹き飛ばした。次いで、試料を110℃で6分間対流式オーブン中でBステージ化した。室温に冷却すると、試料は第1の基体上に非粘着性、平滑積層物を形成した。どのようなビアもない第2の基体を前記積層物上に付けて、85℃、30psi(2.1kgf/cm)で活性化した。次いで最終的に積層基体を150℃で10分硬化した。ビアを調べて、積層物接着剤で満たされたビアの割合を表2に報告する。配合物1および2を使用すると、積層物で満たされたビアは0%になった。チキソトロープ剤および/またはスペーサービーズを使用すると、積層物で満たされたビアは40%になった。積層物として高分子量樹脂を使用すると、流動せずに基体を共に接着することができなかった。
【0046】
【表2】

【0047】
基体が配合物1で積層された図1に関して、ビアは実質的に空である。Bステージ化された積層物は、積層およびその後の硬化ステップの間に実質的にビア中には流動しなかった。他方、比較B試料を使用すると、積層およびその後の硬化ステップの間にビアは満たされた(図2)。
【0048】
試料を基体の接着力について試験した。ASTM−D標準方法に従って剥離強度値をインストロン(Instron)を用いて測定した結果を表3に記載する。表3が示すように、配合物1および2はBステージ化および充分な硬化の後に高い剥離強度値を有する。また表3が示すように、比較のCおよびDは、85℃および30psi(2.1kgf/cm)の活性化条件下で充分な粘着性を発現しなかったので接着力が劣っていた。
【0049】
【表3】

【0050】
本発明の多くの修正および変更については、当業者には明らかであるように、その精神と範囲を外れることなく行うことができる。本明細書に記載された特定の実施形態は、単なる例示として提供され、本発明は、添付特許請求の範囲の用語と共に、そのような特許請求の範囲によって権利を認められる均等の十分な範囲によってだけ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層組成物であって、ここで前記組成物が、樹脂マトリックスおよび流動制御剤のBステージ化された生成物を含み、ここで前記Bステージ化された生成物が粘着性を示すが活性化されたとき実質的に流動しない、組成物。
【請求項2】
前記樹脂マトリックスが、樹脂、硬化剤および溶媒を含む、請求項1に記載の積層組成物。
【請求項3】
前記樹脂が、エポキシ、フェノキシ化合物類、ポリブタジエンエポキシ、フェノキシ化合物類、ポリブタジエン、マレイミド、ポリイミド類、アクリレート類、メタクリレート類、シアネートエステル類、ビニルエーテル類、チオール−エン類、フマレート類、マレエート類およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項2に記載の積層組成物。
【請求項4】
前記硬化剤が、ジシアンジアミド、ジアミノジシクロメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸無水物、クロレンド酸無水物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項2に記載の積層組成物。
【請求項5】
前記樹脂マトリックスが、さらに、触媒を含む、請求項2に記載の積層組成物。
【請求項6】
前記樹脂マトリックスが、さらに、フィラー、消泡剤、および接着促進剤を含む、請求項2に記載の積層組成物。
【請求項7】
前記流動制御剤が、スチレン−ブタジエン−コア−シェルポリマー、シロキサン−コア−シェルポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−コア−シェルポリマー、メタクリレート−ブタジエン−スチレン−コア−シェルポリマー、ポリスチレン−1,4−ポリブタジエン−シンジオタクチックポリ(メチルメタクリレート)トリブロックコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)−ポリ(ブチルアクリレート)−ポリ(メチルメタクリレート)トリブロックコポリマーおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の積層組成物。
【請求項8】
前記活性化が、放射線、熱、圧力およびこれらの混合からなる群より選択される、請求項1に記載の積層組成物。
【請求項9】
前記活性化が、約120℃未満および約50psi(3.5kgf/cm)未満である、請求項8に記載の積層組成物。
【請求項10】
粘着性を示しかつ活性化されたとき実質的に流動しない、基体上に堆積されているBステージ化されたフィルムであって、ここで、前記Bステージ化されたフィルムは、樹脂マトリックスおよび流動制御剤のBステージ化された生成物である、フィルム。
【請求項11】
前記基体が、ミシン目、ビア、ホール、マスク、I/O入力、電子部品またはこれらの混合物を含む、請求項10に記載の基体上に堆積されているBステージ化されたフィルム。
【請求項12】
前記基体が、ビアを含む、請求項11に記載の基体上に堆積されているBステージ化されたフィルム。
【請求項13】
前記流動制御剤が、スチレン−ブタジエン−コア−シェルポリマー、シロキサン−コア−シェルポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−コア−シェルポリマー、メタクリレート−ブタジエン−スチレン−コア−シェルポリマー、ポリスチレン−1,4−ポリブタジエン−シンジオタクチックポリ(メチルメタクリレート)トリブロックコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)−ポリ(ブチルアクリレート)−ポリ(メチルメタクリレート)トリブロックコポリマーおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項10に記載の基体上に堆積されているBステージ化されたフィルム。
【請求項14】
前記活性化が、放射線、熱、圧力およびこれらの混合からなる群より選択される、請求項10に記載の基体上に堆積されているBステージ化されたフィルム。
【請求項15】
前記活性化が、約120℃未満および約50psi(3.5kgf/cm)未満である、請求項14に記載の基体上に堆積されているBステージ化されたフィルム。
【請求項16】
樹脂マトリックスおよび流動制御剤を含む組成物を使って、第1の基体を第2の基体に積層する方法であって、ここで前記方法は、
(a)前記組成物を第1の基体上に塗布するステップ;
(b)前記組成物をBステージ化してBステージ化されたフィルムにするステップ;
(c)第2の基体を前記Bステージ化されたフィルムに接触させるステップ;および
(d)前記Bステージ化されたフィルムを活性化するステップ
を含み、それによって、前記第1の基体は前記第2の基体に結合される、方法。
【請求項17】
前記流動制御剤が、スチレン−ブタジエン−コア−シェルポリマー、Sloane−コア−シェルポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−コア−シェルポリマー、メタクリレート−ブタジエン−スチレン−コア−シェルポリマー、ポリスチレン−1,4−ポリブタジエン−シンジオタクチックポリ(メチルメタクリレート)トリブロックコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)−ポリ(ブチルアクリレート)−ポリ(メチルメタクリレート)トリブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択される、請求項16に記載の積層する方法。
【請求項18】
前記基体の少なくとも1つが、ミシン目、ビア、ホール、マスク、I/O入力、電子部品またはこれらの混合物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の積層組成物を使って少なくとも第2の基体に結合されている第1の基体を含む物品であって、ここで前記基体の少なくとも1つは、ミシン目、ビア、ホール、マスク、I/O入力、電子部品またはこれらの混合物を含む、物品。
【請求項20】
薄膜太陽電池モジュールである、請求項19に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−522061(P2011−522061A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505102(P2011−505102)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/040177
【国際公開番号】WO2009/129136
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】