説明

液体パーフルオロポリマーおよびこれを組み入れた医学的用途

特にシリコーンが従来使用されている多種多様の医学的用途のためのコーティング、シーラント、フレキシブルフィラーおよび構造部分として使用するための液体硬化性パーフルオロポリエーテル(PFPE)を提供する。PFPE材料は、酸素透過性で、細菌不透過性であり、被験対象の生体内に送達するために流出可能にトラップされる1つ以上の薬剤を含有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、本明細書に完全に記載されているかのように開示内容が全体として参照により本明細書に組み入れられる2003年12月24日提出の米国仮出願第60/532,853号および2004年1月12日提出の米国仮出願第60/535,765号の利益を主張する。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、一般に、ポリマーに関し、さらに特には、ポリマーが使用される医学的用途に関する。
【背景技術】
【0003】
手術器具、医療デバイス、補綴インプラント、コンタクトレンズ等などの多数のデバイスはポリマー材料から製造される。被験対象(subject)の生体内に植え込むために医療デバイス業界において従来使用されるポリマー材料には、ポリウレタン、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド、ポリビニル樹脂、シリコーン樹脂(例えば、シリコーンゴムおよびポリシロキサン)、ポリカーボネート、ポリフルオロカーボン樹脂、合成樹脂、ポリスチレンおよび種々の生体内分解性材料が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0004】
シリコーンは、高い潤滑性および熱安定性、極端な撥水性ならびに生理学的不活性によって特徴づけられる。従って、シリコーンは、接着剤、潤滑剤、外科的インプラントおよび人工装具などの種々の用途において医療分野において広範に使用されている。残念なことに、シリコーンは、特に、例えば、有機溶媒のような溶媒と接触すると、膨潤および/または収縮することがある。また、シリコーンの表面エネルギーは、高い潤滑性が必要である用途に望まれるほど低くないかもしれない。
【0005】
従って、種々の医学的用途、特にデバイスが被験対象の生体内に植え込まれるおよび挿入される用途のための改善されたポリマー材料の必要性が存在する。
【発明の開示】
【0006】
上記の考察を考慮して、特にシリコーンが従来使用されている多種多様の医学的用途のためのコーティング、シーラント、フレキシブルフィラーおよび構造部分として使用するための液体硬化性パーフルオロポリエーテル(PFPE)材料を提供する。本発明の態様により使用されるPFPE材料は、有機溶媒を含む溶媒と接触するとき膨潤または収縮しない。また、PFPE材料の表面エネルギーは非常に低く、高い潤滑性が必要は用途へのPFPE材料の使用を可能にする。さらに、PFPE材料は酸素透過性で、細菌不透過性である。
【0007】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体の骨格部分の損傷をイン・シトゥーにおいて修復する方法は、被験対象の損傷した骨格部分に近接(adjacent)して囲いを位置決めするステップ、囲いに液体PFPE材料を注入するステップおよび骨格部分の支持となる構造物を形成するために液体PFPE材料を硬化するステップを含む。液体PFPE材料は強固な状態、フレキシブルな状態に硬化しても、またはPFPE材料の一部がそれぞれ強固な状態およびフレキシブルな状態に硬化してもよい。本発明の実施態様により修復することができる例示的な骨格損傷には、骨の亀裂、椎体損傷、関節の磨耗表面の損傷ならびに股関節、膝関節、足関節、指関節、肘関節および手関節を含むが、それに限定されるわけではない関節の損傷が挙げられる。本発明の実施態様により、1つ以上の薬剤が硬化後のPFPE材料内に流出可能にトラップされてもよい(またはPFPE材料に結合されてもよい)。また、囲いを位置決めして、囲いにPFPE材料を注入するステップの前に、被験対象の骨格部分の損傷した材料などの望ましくない材料を除去してもよい。
【0008】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内に植え込まれるように構成されており、酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料の外面を含む整形外科デバイスが提供される。任意の種類の離脱式インプラントにPFPE材料を使用することは、組織内殖を最小にすることができ、従ってインプラントの離脱を安全にし、外傷を少なくすることができるので、有利である。
【0009】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内に植え込まれるように構成されており、1軸および2軸配向性材料の層を含む整形外科デバイスが提供される。
【0010】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内に配置されている人工デバイスはPFPE材料を使用してイン・シトゥーにおいて修復することができる。例えば、人工デバイスの損傷した材料または望ましくない材料(例えば、損傷した表面部分)を除去し、材料を除去した位置に囲いを位置決めし、液体PFPE材料を囲いに注入する。次いで、PFPE材料を硬化し、硬化後のPFPE材料は、人工デバイス材料の置換または修復として作用する。
【0011】
本発明の実施態様によると、酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料を含む包帯および他の創傷治癒用具(例えば、縫合糸)が提供される。このような創傷治癒包帯および用具は、損傷組織を治療するための1つ以上の薬剤を含んでもよい。
【0012】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体の一部に包帯を適用する方法は、酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を被験対象の生体の一部に適用(例えば、噴霧、塗布等)するステップと、次いでPFPE材料が、下層組織の治癒を促進する保護包帯を形成するように液体PFPE材料を硬化するステップを含む。
【0013】
本発明の実施態様によると、人工血管は、被験対象の生体内に挿入するために提供され、酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料を含む。1つ以上の薬剤がPFPE材料に流出可能にトラップされてもよい(またはPFPE材料に結合されてもよい)。
【0014】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内の血管の一部をイン・シトゥーにおいて置換する方法は、人工血管を形成するために、酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を既存の血管の一部の内腔に注入するステップ、および次いで血管の一部の置換体を形成するために液体PFPE材料を硬化するステップを含む。既存の血管は液体PFPE材料の型として作用する。次いで、既存の血管の置換された部分を除去することができる。既存の血管の一部の内腔が閉塞されているまたは部分的に閉塞されている場合には、PFPE材料の注入前に閉塞を除去してもよい。
【0015】
本発明の実施態様によると、酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料を含む管状体部分を有する血管内人工物(例えば、ステント)が提供される。本発明の実施態様によると、1つ以上の薬剤が、このような血管内人工物のPFPE材料に流出可能にトラップ(またはPFPE材料に結合)されていてもよい。PFPE材料は、血管内人工物が被験対象の生体内に配置されたとき、1つ以上の薬剤の(例えば、所定の速度における)流出を可能にするように構成されていてもよい。本発明の実施態様によると、薬剤は血管内人工物の管状体部分に均一に分布されていてもよい。または、薬剤は血管内人工物の管状体部分に不均一に分布されていてもよい。
【0016】
本発明の実施態様によると、実質的に任意の種類の医療デバイスが、PFPE材料から製造されるまたはPFPE材料がコーティングされている部分を有しうる。例示的な医療デバイスには、アダプター、アプリケーター、アスピレーター、包帯、帯、刃、ブラシ、バー、ケーブルおよびコード、ノギス、カーバー(carver)、ケースおよび容器、カテーテル、のみ、クランプ、クリップ、コンドーム、コネクター、カップ、キューレット、カッター、除細動器、デプレッサー、拡張器、ディセクター、ドライバー、ドリル、エレベーター、エキスカベーター、エクスプローラー、ファスナー、ファイル、フィラー、ピンセット、ゲージ、手袋、丸のみ、ハンドル、ホルダー、ナイフ、ループ、槌、マーカー、鏡、針、ニッパー、ペースメーカー、パッチ、ピック、ピン、プレート、プライヤー、プラガー、プローブ、パンチ、プッシャー、ラック、リーマー、リテイナー、リトラクター、リング、ロッド、鋸、外科用メス、はさみ、スクレーパー、スクリュー、セパレーター、スパチュラ、スプーン、スプレッダー、ステント、シリンジ、テープ、トレイ、チューブおよびチューブ材料、ピンセットならびにワイヤーが挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0017】
本発明の実施態様によると、PFPE材料は、植え込み式電子デバイスを密閉するために使用することができる。例えば、1つ以上の電子要素を含む植え込み式電子デバイスのハウジングは、電子デバイスを被験対象の生体内に植え込んだときハウジングへの水分および異物の流入を阻止するためにPFPE材料で密閉することができる。
【0018】
本発明の実施態様によると、中空の臓器または組織の内腔の内側表面にポリマーコーティングを形成する方法は、中空の臓器または組織の内腔の内側表面に液体PFPE材料を適用するステップ、および次いで表面に酸素透過性で、細菌不透過性のポリマーコーティングを形成するために、PFPE材料を硬化するステップを含む。
【0019】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体の肺の欠損(例えば、外科的処置または外傷等によって生じる欠損)をイン・シトゥーにおいて修復する方法は、肺の欠損に酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を含むパッチを適用するステップ、および次いで空気の漏れを防止するように近接肺組織にパッチを密閉するために液体PFPE材料を硬化するステップを含む。パッチは、液体PFPE材料を肺組織に噴霧するステップを含む種々の方法で適用してもよい。または、パッチは成形パッチであってもよい。本発明の実施態様によると、パッチは、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フィブリンおよびエラスチンを含むが、それに限定されるわけではない種々の材料を含んでもよい。
【0020】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内に動静脈シャントを植え込む方法は、管状体を形成するように構成されている型を被験対象の生体に植え込むステップ、酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を型に注入するステップ、管状体を形成するために液体PFPE材料を硬化するステップおよびシャントを形成するために生体の血管組織に管状体を接続するステップを含む。PFPE材料は1つ以上の薬剤を含んでもよく、シャントが被験対象の生体内に配置されたとき、1つ以上の薬剤の流出を可能にするように構成されていてもよい。
【0021】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内に動静脈シャントを植え込む方法は、酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料を含む管状体を被験対象の生体内に植え込むステップおよび次いでシャントを形成するために管状体を生体内の血管に接続するステップを含む。管状体は1つ以上の薬剤を含んでもよく、管状体のPFPE材料は、シャントが被験対象の生体内に配置されたとき1つ以上の薬剤の流出を可能にするように構成されている。
【0022】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内に動静脈シャントを形成する方法は、酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を被験対象の生体内の既存の血管表面に適用するステップであって、血管が型として作用する適用ステップと、動静脈シャントを形成するために液体PFPE材料を硬化するステップを含む。
【0023】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内の動静脈シャントを修復する方法は、酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を被験対象の生体内のシャントに適用するステップおよび液体PFPE材料を硬化するステップを含む。
【0024】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内の通路(例えば、気道、食道等)の欠損をイン・シトゥーにおいて修復する方法は、酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を含むパッチを欠損に適用するステップ、および漏れを防止するように近接組織にパッチを密閉するために液体PFPE材料を硬化するステップを含む。本発明の実施態様によると、パッチを適用するステップは、液体PFPE材料を通路組織に噴霧することを含んでもよい。本発明の実施態様によると、パッチは成形パッチであってもよい。本発明の実施態様によると、PFPE材料は、通路を治療するための1つ以上の薬剤を含んでもよい。
【0025】
本発明の実施態様によると、患者の肺に使用するための人工組織材料は、肺胞の活動を刺激するPFPE材料の膜を含む。
【0026】
本発明の実施態様によると、人工心肺装置に使用するための材料は、人工呼吸中にガス交換を増強するPFPE材料の膜を含む。
【0027】
本発明の実施態様によると、眼内インプラントは酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を含む。
【0028】
本発明の実施態様によると、コンタクトレンズは酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を含む。
【0029】
本発明の実施態様によると、人工内耳は酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を含む。
【0030】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内の組織を治療する方法は、液体PFPE材料で組織を包む(encapsulate)ステップ、および酸素透過性で、細菌不透過性ポリマーコーティングを組織に形成するためにPFPE材料を硬化するステップを含む。
【0031】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内の組織を治療する方法は、被験対象の生体内の組織に通路を挿入するステップと、治癒および血管形成期に組織の増殖を促進し、周囲組織の生存性を増強する酸素透過性で、細菌不透過性のポリマー材料を形成するためにPFPE材料を硬化するステップを含む。例えば、組織は心筋組織であってもよく、PFPE材料は心筋組織の血行再建を促進することができる。本発明の実施態様によると、PFPE材料を挿入して硬化するステップは、経心筋的血行再建処置の一部として実施することができる。PFPE材料は、組織を治療するための1つ以上の薬剤を含んでもよい。
【0032】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内の組織増殖を促進する方法は、液体PFPE材料を組織に適用するステップと、組織の増殖を促進する酸素透過性で、細菌不透過性ポリマー材料を形成するためにPFPE材料を硬化するステップを含む。PFPE材料は、組織を治療するための1つ以上の薬剤を含んでもよい。
【0033】
本発明の実施態様によると、線維を製造する方法は、液体PFPE材料を線維にコーティングするステップと、低表面エネルギーを有する線維を形成するために液体PFPE材料を硬化するステップを含む。例示的な線維には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンおよびライクラが挙げられるが、それに限定されるわけではない。本発明の実施態様によると、線維は不織材料を含んでもよい。
【0034】
本明細書に記載する実施態様の各々において、液体PFPE材料の硬化は、液体PFPE材料を熱、光または他の放射線(例えば、マイクロ波、赤外線等)に暴露することによって実施することができる。また、硬化を促進する硬化開始剤をPFPE材料に添加してもよい。また、液体PFPE材料を被験対象の生体内に適用する実施態様において、液体PFPE材料の硬化は、磁気共鳴画像法(MRI)、X線透視法および超音波画像法を含むが、それに限定されるわけではない種々の公知の技法のいずれかによりモニターすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明は、本発明の態様を示す添付の図面を参照して以下にさらに詳細に記載されている。しかし、本発明は多数の異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載する実施態様に限定されると解釈されるべきではない;むしろ、これらの実施態様は、本発明の開示が充分で欠落がないように、本発明の範囲を当業者に十分に伝達するように提供される。
【0036】
本明細書において使用する「生体適合性の」という用語は、細胞または組織などの生きている要素と接触するとき、毒性を生じない材料を示すことが意図されている。
【0037】
「流出」という用語は、ポリマー材料からの薬剤の放出を意味するために本明細書において使用される。流出は、拡散機序による材料の基板からの放出または材料/基板の分解もしくは侵食の結果としてのポリマー材料/基板からの放出もいう場合がある。
【0038】
本明細書において使用する「侵食性」という用語は、望ましい期間にわたって構造的強度を維持し、材料が引っ張り強度および質量を実質的に損失する数多くの過程のいずれかを徐々に受ける能力をいう。このような過程の例は、酵素的および非酵素的加水分解、酸化、酵素的に支援された酸化ならびに生理的環境との相互作用の結果、患者の組織が吸収、代謝、呼吸および/または排泄することができる成分への生体吸収、分解および機械的分解を含むその他を含む。「侵食性」および「分解性」という用語は本明細書において同様に使用されることが意図されている。
【0039】
「フルオロポリマー」という用語は、当技術分野において従来の意味を有する。一般に、Fluoropolymers(L.Wall, Ed. 1972)(Willey−Interscience Division of John Wiley & Sons)参照;また、Fluorine−Containing Polymers,7 Encyclopedia of Polymer Science and Enginieering 256(H. Mark et al., 2d Ed. 1985)も参照。フルオロポリマーの製造は、各々全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、DeSimoneに付与された米国特許第5,922,833号;同第5,863,612号;同第5,739,223号;同第5,688,879号および同第5,496,901号に記載されている。
【0040】
「疎水性」という用語は、水溶性でないことを意味するために本明細書において使用される。
【0041】
「親水性」という用語は、水溶性であることを意味するために本明細書において使用される。
【0042】
「内腔」という用語は、生体の通路の任意の内側の開いている空間または空洞を意味するために本明細書において使用される。
【0043】
「ポリマー」および「ポリマー材料」という用語は同義語であり、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等を含むが、それに限定されるわけではないことが広義に解釈されるべきである。
【0044】
「人工(物)」という用語は、生体の部分と置換するために使用される任意の人工デバイスを意味するために広義的な意味で本明細書において使用される。血管内人工物は、ステント、薬物送達デバイス等を含むが、それに限定されるわけではない、いくつかの治療的な理由または目的のために被験対象の生体内に植え込まれるデバイスである。
【0045】
「被験対象」という用語は、医学的、獣医学的、試験および/またはスクリーニング目的のためのヒトおよび動物(例えば、哺乳類被験対象)を記載するために本明細書において使用される。
【0046】
「毒性材料」という用語は、被験対象に有害である可能性のある任意の種類の異物、夾雑物、化学物質、物理的な不純物等を含むが、それに限定されるわけではないことが意図されている。
【0047】
本明細書において使用する「X〜Y」および「約X〜Y」などのフレーズはXおよびYを含むことが解釈されるべきである。
【0048】
本明細書において使用する「約X〜Y」は「約X〜約Y」を意味する。
【0049】
本明細書において使用する「約XからYまで」などのフレーズは「約Xから約Yまで」を意味する。
【0050】
本明細書において使用する「および/または」という用語は、掲載されている関連する項目の1つ以上の任意および全ての組み合わせを含む。
【0051】
本発明の実施態様において、液体硬化性パーフルオロポリエーテル(PFPE)材料およびそれらの誘導体は、コーティング、シーラント、フレキシブルフィラー、構造部分等として、および多種多様の医学的用途、特にシリコーンが従来使用されている場合に使用するために提供される。以降、「PFPE材料」という用語は全てのパーフルオロポリエーテルおよびそれらの全ての誘導体を含む。
【0052】
PFPE材料は、室温において液体であり、低い表面エネルギー、低い係数、高いガス透過性、高い潤滑性および低い毒性を示し、追加の特徴が化学的に極めて抵抗性である独自のクラスのフルオロポリマーである。PFPE材料は酸素透過性であるが、多数の病原菌不透過性であるので、医学的用途に使用するのに特に有利である。PFPE材料の合成は、一般に、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、W. C. Bunyard et al., Macromolecules 32, 8224(1999)に記載されている。一般に、フルオロポリエーテルは、連続して結合されている多数のフッ素化脂肪族エーテル単位を含むポリマー化合物(例えば、式(RO)nR(式中、R基は同じまたは異なり、直鎖状または分岐鎖状の飽和されていてもよいC1〜C4アルキル;典型的に直鎖状または分岐鎖状の飽和C1〜C4アルキルであり、反復数「n」は望ましい分子量を与える)のポリマー)である;パーフルオロポリエーテルは、本質的に全ての水素がフッ素で置換されているこのようなポリマーである。パーフルオロポリエーテルの例は以下の表1に例示されており、(i)商品名FOMBLIN(登録商標)で販売されているポリマー、(ii)商品名AFLUNOX(登録商標)で販売されているポリマー、および(iii)商品名FOMBLIN Z_DOL(商標)で販売されているポリマーなどのパーフルオロポリメチル−イソプロピル−エーテルを含む。例えば、引用することにより全体の内容が本明細書に組み込まれる米国特許第6,582,823号参照。
【0053】
【表1】

【0054】
これらの材料の合成および光硬化は、Macromol. Chem. Phys. 198, 1893(1997)に記載されており、引用することにより全体の内容が本明細書に組み込まれるBongiovanniらによって実施されている以前の研究に基づいた方法と同様の方法で実施することができる。反応は、市販のPFPEジオール(Mn=3,800g/mol)のイソシアネート−エチルメタクリレートによるメタクリレート−官能基化に関係する。この材料のその後の光硬化は、以下の表2に例示するように、1質量%の2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPA)とブレンドし、UV放射線(λ=365nm)に暴露することによって実施される。
【0055】
【表2】

【0056】
PFPE材料は、エポキシ基、ビニル基、ヒドロキシル基、イソシアネート基およびアミノ基などの種々の基で官能基化されてもよく、その後ラジカル硬化、ウレタン硬化、エポキシ硬化およびカチオン硬化を含むが、これらに限定されない当業者に周知の種々の硬化機序により硬化されてもよい。ラジカル硬化の例には、アゾ開始剤、ペルオキシド、アシルペルオキシドおよびペルオキシジカルボネートなどの添加されたフリーラジカル開始剤による熱硬化を含む。ラジカル硬化の例は、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの添加された光−生成フリーラジカル開始剤による光化学硬化も含む。エポキシ含有PFPE材料は、アミンの添加によってまたはカチオン開環方法によって硬化することができる。PFPE材料を含有するエポキシを硬化するのに有用なアミンの例には、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンが挙げられる。エポキシを含有するPFPE材料を硬化するためのカチオン開環方法の例には、非−イオンまたはイオン光酸発生剤の使用を含む。有用な非イオン光酸発生剤には、2,5−ジニトロベンジルトシレートまたは2−パーフルオロヘキシル−6−ニトロベンジルトシレートが挙げられる。有用なイオン光酸発生剤には、ジフェニルイオジウムテトラフェニルボレートまたはジフェニルヨードニウムテトラ−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートが挙げられる。ウレタン硬化機序は、ヒドロキシルまたはアミン化合物とのイソシアネート反応を含んでもよい。
【0057】
本発明の実施態様によるPFPE材料は、種々の特徴および機能を達成するように修飾および「調整」されてもよい。例えば、係数、湿潤、種々の表面特徴等を含むが、これらに限定されない物理的特性を調節するために反応性モノマーをPFPE材料に付加してもよい。特性を改良するために付加することができる反応性モノマーには、スチレン、およびパラ−クロロメチルスチレン、t−ブチルスチレンおよびジビニルベンゼンなどのスチレニクス;ブチルアクリレートおよびメチルメタクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(AETMAC)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、シアノアクリレート、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、2−イソシアネートエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルメタクリレートおよびポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGdiA)などの官能性(メタ)アクリレート;ノルボルネン、ビニルアセテート、1−ビニル−2−ピロリドンおよびアルキルアクリルアミドなどのオレフィンが挙げられる。
【0058】
また、薬剤、フィラー、生体分解性材料、ポロゲン(porogen)、デオキシリボ核酸(DNA)、オリゴヌクレオチド、ペプチド、成長ホルモン等を含むが、これらに限定されない種々の添加物を本発明の実施態様によるPFPE材料に添加してもよい。本発明の実施態様によるPFPE材料に添加することができる機械的フィラーには、シリカ、クレーおよび種々のサイズ(例えば、ナノ粒子)の他の材料を含むが、これらに限定されない。添加物は、PFPE材料に化学的に結合する、PFPE材料内に封入する、PFPE材料に分散する等を含むが、これらに限定されない種々の方法でPFPE材料に添加することができる。本明細書において使用する「結合する」という用語は、PFPE材料に添加物を付加する全ての方法を含む。
【0059】
また、PFPE材料は、強固な構造物として、フレキシブルな構造物としておよび/または部分的に強固で、部分的にフレキシブルな構造物として硬化するように調節することができる。さらに、強固さおよびフレキシブルさの程度も添加物によりPFPE材料に設計することができる。
【0060】
また、本発明の実施態様は、強固なPFPE材料およびあまり強固でないPFPE材料からなる種々の層を有するコンポジット材料を使用する場合がある。例えば、異方性が得られるように(例えば、一方向にフレキシブルで、別の方向に強さまたは強固さ等)、1軸および2軸配向性材料の層を使用することができる。
【0061】
一般に、PFPE材料に使用するのに好適な(および本発明の実施態様による)薬剤には、薬物および生物学的に活性な他の材料が挙げられるが、それに限定されるわけではなく、抗癌治療(例えば、Resan)、抗凝固または抗血小板形成、平滑筋細胞の増殖、遊走および血管壁内への増殖の阻止を含むが、これらに限定されない種々の機能を実施することが意図されうる。本発明の実施態様によると、PFPE材料に使用するのに好適な薬剤には、抗悪性腫瘍薬、有糸分裂阻害薬、抗炎症薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン薬、抗トロンビン薬、抗増殖薬、抗生物質、抗酸化薬および抗アレルギー物質ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、それに限定されるわけではない。抗悪性腫瘍薬および/または抗有糸分裂薬の例には、パクリタキセル(細胞分裂停止および抗炎症)およびそのアナログならびにタキソール(登録商標)(Bristol−Myers Squibb Co., Stamfort, CT)ファミリーの薬剤の全ての化合物、ドセタキセル(例えば、Aventis S. A., Frankfurt, Germany製のタキソテール)、メトトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン(例えば、Pharmacia&Upjohn, Peapack, NJ製のアドリアマイシン(登録商標))、ならびにマイトマイシン(例えば、Bristol−Myers Squibb Co., Stamford, Conn.製のMUTAMYCIN(登録商標))が挙げられる。抗炎症薬の例には、シロリムスおよびそのアナログ(エベロリムスおよびリムスファミリーの薬剤の全ての化合物)、デキサメサゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾンおよびベタメタゾンなどの糖質コルチコイドならびにアスプリン、インドメタシンおよびイブプロフェンなどの非−ステロイド性抗炎症薬が挙げられる。抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン薬および抗トロンビン薬には、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロストプロスタサイクリンおよびプロスタサイクリンアナログ、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン)、ジピリダモール、血小板膜糖タンパク質IIb/IIIa受容体拮抗薬抗体、組換えヒルジンおよびAngiomax(商標)(Biogen, Inc., Cambridge, MA)などのトロンビン阻害薬が挙げられる。細胞分裂停止もしくは抗増殖薬または増殖阻害剤の例には、エベロリムス、アクチノマイシンDならびにその誘導体およびアナログ(Sigma−Aldrich, Milwaulee, WI.製;またはMerck & Co., Inc., Whitehouse Station, NJ製のCOSMEGEN(登録商標))、アンギオペプチン、カプトプリル(例えば、Bristol−Myers Squibb Co., Stamford, CT製のカポテン(登録商標)およびCAPOZIDE(登録商標)、シラザプリルまたはリシノプリル(例えば、Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, NJ製のPriniviloおよびPRINZIDE(登録商標))などのアンジオテンシン変換酵素阻害剤;カルシウムチャネル遮断薬(ニフェジピンなど)、コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト、魚油(ω3−脂肪酸)、ヒスタミンアンタゴニスト、ロバスタチン(HMG−CoA還元酵素の阻害剤、コレステロール低下剤、Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, NJ製のブランド名メバコール(登録商標))、モノクローナル抗体(血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に特異的なものなど)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン遮断剤、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤、チアゾロピリミジン(PDGFアンタゴニスト)および一酸化窒素が挙げられる。抗アレルギー剤の例はペルミロラスト(permirolast)カリウムである。使用することができる他の治療物質または治療剤には、アルファインターフェロン、遺伝子組み換え上皮細胞およびデキサメサゾンが挙げられる。
【0062】
疼痛軽減剤も本発明の実施態様によるPFPE材料に添加することができる。
【0063】
本発明の実施態様によると、PFPE材料は、硬化されたとき、連続的、多孔性および/または二相性であるように調整することができる。多孔性または二相性材料は、塩(例えば、塩化ナトリウム);スクロースなどの糖;水または生理食塩液;ポリエチレングリコール、ポリ(ビニルアルコール)などの他のポリマー、またはポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトンなどの生物分解性ポリマー;またはCO2を放出するイソシアネート化合物に水を添加することによるなどのイン・シトゥーにおいて発生される添加ガスもしくはガス;などの相分離する他の成分を添加することによって達成することができる。
【0064】
本発明の実施態様によると、PFPE材料は、硬化前にコーティング過程を容易にするためにそのままでまたは溶媒を使用することによって適用してもよい。PFPE材料を溶解することができる任意の溶媒が有用である。溶媒はPFPE材料の粘度を低下して、コーティング過程を容易にすることができる。粘度が低いと、連続フィルムの形成を可能にするまたは薄いフィルムの形成を容易にすることができる。例示的な溶媒には、3M Company(St. Paul, MN)製のFLUORINERTO(登録商標)などのフッ素化溶媒が挙げられる。
【0065】
本発明の実施態様によると、PFPE材料は、シリコーン材料が従来使用されている任意の用途において使用することができる。例えば、PFPE材料は、コーティング、シーラント、接着剤、構造部分、フィラー、インプラント等に使用することができる。
【0066】
本発明の実施態様によるPFPE材料は、実質的に任意の医学的用途、製品および方法に使用することができる。本発明の実施態様によると、本明細書に記載する種々の用途におけるPFPE材料の硬化は、加熱、光線および/または他の電磁放射線(例えば、マクロウェーブ、赤外線等)を含むが、これらに限定されない種々の方法で実施することができる。
【0067】
以下のセクションは、本発明の少数の例示的な実施態様を記載している。これらの実施例は、本発明の実施態様の範囲全体を含むことを意図していない。
【0068】
整形外科的用途
PFPE材料は、整形外科デバイスおよびインプラントならびに整形外科手術処置を含む種々の整形外科的用途に使用することができる。本発明の実施態様は、既存のデバイスおよび組織をイン・シトゥーにおいて再構築および修復する以外に、被験対象の生体内で置換するための新たなデバイスおよび組織の構築および提供を容易にする。例えば、PFPE材料は、イン・シトゥーにおける新たな股関節の構築および既存の股関節(例えば、元の股関節または置換股関節)の修復に使用することができる。PFPEの高磨耗、高潤滑性は股関節において特に有用である。股関節のボールおよびソケットをPFPE材料で製造してもまたは金属インプラントのソケット表面にPFPE材料をコーティングしてもよい。
【0069】
本発明の実施態様によると、骨格または骨格関連(例えば、靭帯、腱、軟骨、筋肉等)を修復する方法は、被験対象の損傷した骨格部分(または骨格関連部分)に近接する(例えば、その中に、それに隣接して、その上面に等)囲いを挿入して位置決めするステップ、囲いに液体PFPE材料を注入するステップおよび液体PFPE材料を硬化するステップを含む。このような囲いは、PE、PET、ポリカーボネート等などの耐久性ポリマー(硬化後に除去されると思われる)等またはポリ(L−ラクチド)もしくはその放射性同位体、ポリグリコール酸、ポリ無水物等などの分解性材料(除去を必要としないと思われる)から製造することができる。囲いまたは型は低侵襲的または外科的に挿入される。
【0070】
液体PFPE材料の硬化は種々の方法で実施することができる。例えば、液体PFPE材料を熱、光または他の放射線に暴露することができる。例えば、光への局所的な暴露は光ファイバー「ライトパイプ」等によって提供することができる。放射線への局所的な暴露は、放射線の有向ビームを送達することができるデバイスによって提供することができる。また、硬化開始剤を液体PFPE材料に添加してもよい。
【0071】
硬化後のPFPE材料は、被験対象の骨格部分に構造的支持を提供する強固な構造物を形成する。例えば、損傷は骨の亀裂または他の欠損であってもよく、囲いは亀裂内に位置決めされる。液体PFPE材料は、硬化の結果、亀裂を密閉し、骨に構造的支持を提供する。または、PFPE材料の官能基に応じて、PFPE材料(またはPFPE材料の1箇所以上の部分)は、硬化の結果、フレキシブルを維持する。従って、硬化後のフレキシブルなPFPE材料は、靭帯、腱、軟骨、筋肉等および被験対象の生体内の他のフレキシブルな組織の部分と置換することができる。
【0072】
本発明の実施態様によると、損傷した骨格部分は、椎間板および椎体などの損傷した脊髄要素であってもよい。本発明の適用において、上記の囲いは椎体の髄核スペース(nuclear space)に挿入されてもよい。注入される液体PFPE材料は、硬化の結果、細胞の変性および脊椎版の輪状部分の不全を防ぐことによって、自然の健康な髄核を模倣して、正常な脊椎機能を回復する。
【0073】
本発明の他の実施態様によると、骨格部分は損傷部分を有する関節であってもよい。股関節、膝関節、足関節、指関節、肘および手首を含むが、これらに限定されない被験対象の生体内の任意の関節を本発明の実施態様により修復することができる。
【0074】
本発明の実施態様によると、関節は損傷のある磨耗面を有してもよい。液体PFPE材料は損傷した磨耗面に適用され、硬化の結果、修復した磨耗面を提供する。
【0075】
本発明の他の実施態様によると、PFPE材料は、損傷した関節を修復するために関節鏡視下手術と併用してまたはその代わりに使用することができる。望ましくない材料(例えば、損傷した軟骨等)を関節から除去し、上記の囲いを望ましくない材料が存在していた位置に位置決めする。液体PFPE材料を囲いに注入し、硬化する。硬化後のPFPE材料は、元の組織または表面の置換物として作用する。
【0076】
本発明の他の実施態様によると、植え込み式整形外科装置は、酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料の外面を有する。植え込み式装置はPFPE材料から製造されてもおよび/またはPFPE材料を装置にコーティングしてもよい。
【0077】
本発明の実施態様による植え込み式整形外科装置は人工的であってもまたはPFPE材料を使用して改造された死体部分であってもよい。例えば、死体の膝を上記のように改造して、磨耗面を改善し、損傷領域を修復してもよい等々である。硬化後および改良後のPFPE系材料に得られうる弾性率は1 MPa〜2 GPaの範囲であってもよい。
【0078】
皮膚適用
PFPE材料は、絆創膏、包帯および創傷治癒適用、火傷ケア、再建手術、手術用接着剤、縫合糸等を含むが、これらに限定されない種々の皮膚適用に使用するのに特に有利である。PFPE材料は酸素透過性で、細菌不透過性であるので、PFPE絆創膏の下層の組織は酸素を受け取ることができると同時に、汚れ、細菌、微生物、病原菌ならびに他の形態の汚染および毒性の侵入から保護されうる。さらに、PFPE材料は無−毒性である。また、PFPE材料の酸素透過性および搬送能力は、絆創膏および包帯の下の健康な組織または治療中の領域の壊死を予防する助けにもなりうる。
【0079】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体に「インスタント皮膚」を適用する方法は、被験対象の生体の一部に酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を適用するステップと、下層の組織の治癒を促進する保護絆創膏を形成するためにPFPE材料を硬化するステップを含む。保護絆創膏は防腐性で、フレキシブル、防水性であり、下層の皮膚に呼吸させる(すなわち、それは、酸素透過性であるが、細菌不透過性であるフィルムを形成する)。
【0080】
液体PFPE材料は、噴霧、塗布等を含むが、これらに限定されない種々の方法で適用することができる。上記のように、硬化は、液体PFPE材料を光、熱および/または他の放射線に暴露することを含むが、これらに限定されない種々の方法で実施することができる。硬化は、液体PFPE材料に硬化開始剤を添加することによって促進することができる。
【0081】
本発明の他の実施態様によると、PFPE材料は、創傷を密閉するための無毒性で硬化性の液体絆創膏の機能を果たすことができるように、接着性を含むように改良することができる。接着性を達成するためにPFPE材料に添加することができる例示的な材料にはシアノアクリレートが挙げられる。硬化すると、PFPE材料はフレキシブルで、膝および肘などの可動部分への接着性を保持する。また、この材料から製造される絆創膏は、感染のバリヤーとなり、表面エネルギーが低いので装着者への疼痛を軽減することができ、従来の絆創膏より出血を制御することができる。
【0082】
本発明の実施態様によると、PFPE材料は、種々の術後組織適用のための接着防止製品に使用することができる。例えば、PFPE材料は、他の材料および組織が術後組織に接着しないように術後組織に適用することができる。PFPE材料は、肺葉切除後、子宮摘出後、虫垂切除後、ヘルニア修復または組織が損傷されており、周囲組織または臓器への結合組織の増殖が望ましくない任意の適用に適用することができる。
【0083】
循環器系および血管内適用
本発明の実施態様によるPFPE材料は、デバイスおよび方法を含む種々の循環器系適用および種々の他の血管内適用に使用することができる。本発明の実施態様によると、PFPEオイルを人工血液および/または代用血液として使用することができる。さらに、本発明の実施態様によるPFPE材料を血液分析および処理デバイスに使用することができる。
【0084】
本発明の他の実施態様によると、被験対象の生体内の損傷および/または閉塞した血管と置換するために、酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料を有する人工血管を製造することができる。PFPE材料は血流の導管として作用するだけでなく、血管壁から周囲の組織への酸素および栄養素の拡散を可能にするので、被験対象の生体の種々の領域への正常な健康な血管のように機能する。
【0085】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内の血管の一部をイン・シトゥーにおいて置換する方法は、人工血管を形成するために、血管の一部の内腔に酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を注入するステップを含む。血管部分は、人工血管を形成するための型として作用する。次いで、血管部分が稼動中に置換されるように、PFPE材料を硬化するのに十分な条件にPFPE材料を暴露する。硬化は、上記の種々の方法で実施することができる。元の血管部分を被験対象の生体から除去することができる。置換される血管部分が閉塞されているまたは部分的に閉塞されている場合には、内腔に液体PFPE材料を注入する前に閉塞材料を除去する。
【0086】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内へのその後の外科的な植え込みのためにPFPE材料を導入した置換血管(および他の循環器系導管)をエキシビボにおいて製造することができる。
【0087】
本発明の実施態様は、血管の修復および/または置換に関して特に有利である。高い酸素搬送能力および透過性を考慮すると、本発明の実施態様によるPFPE材料から製造される人工血管は、人工的な脈管の脈管特性を有する高い機能的特性を有する。PFPE材料は、壁から周囲の依存組織への酸素の拡散を可能にし、支持栄養素の拡散、代謝物の拡散を可能にする。PFPE材料は、フレキシブルで弾性的であるので、血管を機械的に模倣する。さらに、本発明の実施態様は、心臓バイパス手術に使用するためにおよび人工動静脈シャントとして使用するために特に好適である。PFPE材料は、先に記載されているように、損傷または磨耗した血管の内側面をコーティングし硬化することによって天然または人工a−vシャントを修復するためにも使用することができる。
【0088】
本発明の実施態様によるPFPE材料は、ステント(および他の組織足場デバイス)、カテーテル、心臓弁、律動管理に関連する電気リード、バルーンおよび他の血管形成デバイス、薬物送達デバイス等を含むが、これらに限定されない種々の血管内適用に使用することができる。さらに、本発明の実施態様によるPFPE材料は、これらのデバイスの材料またはこれらのデバイスのコーティングにおいて具体化されうる。本発明により提供される血管内人工物は、胆管、食道、腸、気管気管支樹、尿管等を含むが、これらに限定されない血管以外の生体部位に使用することができる。
【0089】
ステントは、典型的には、閉塞されているまたは部分的に閉塞されている動脈および他の血管を治療する際に、経皮経管的血管形成処置の付属物として使用される。バルーン血管形成処置の一例として、ガイドカテーテルの遠位端が病変部位の近位の地点に位置決めされるまで、ガイドカテーテルまたはシースを、例えば、大腿動脈から患者の循環系に経皮的に導入する。遠位端にバルーンを有するガイドワイヤーおよび拡張カテーテルをガイドカテーテルに沿って導入し、ガイドワイヤーを拡張カテーテル内にスライドさせる。最初に、ガイドワイヤーをガイドカテーテルから患者の血管に進行させ、動脈病変の向こう側に方向づける。その後、拡張バルーンが動脈病変の向こう側に適切に位置決めされるまで、拡張カテーテルを先に進行させておいたガイドワイヤーに沿って進行させる。病変を超えた位置において、病変のアテローム斑を動脈壁の内側に放射状に圧迫し、それによって動脈の内腔を拡張するために、比較的高い圧力の放射線不透過性の液体で拡張式バルーンを所定のサイズまで膨張させる。次いで、拡張カテーテルを患者の血管から抜管し、拡張後の動脈に血流が再開されるように、バルーンを小さいプロファイルに収縮させる。
【0090】
バルーン血管形成は短期または長期失敗(再狭窄)を生じる場合もある。すなわち、処置直後に血管が突然閉塞することもあればまたはその後数ヶ月間で徐々に再狭窄が生じることもある。血管形成後の再狭窄に対抗するために、通常ステントといわれる植え込み式血管内人工物を使用して、長期血管開通性を達成する。ステントは、血管壁を構造的に支持し、それによって内腔の開通性を維持するための足場として機能し、送達カテーテルによって病変部位に輸送される。
【0091】
ステントの種類には、バルーン拡張式ステント、バネ様、自己拡張式ステントおよび熱拡張式ステントを挙げることができる。バルーン拡張式ステントは拡張カテーテルによって送達され、最初の小さい径から拡張した大きい径に膨張バルーンなどの拡張式部材によって柔軟に変形される。自己拡張ステントは、送達カテーテルの周囲に放射状に圧縮可能なバネ要素として形成される。圧縮されている自己拡張ステントは、典型的には、送達シースによって圧縮状態で保持される。病変部位に送達されると、送達シースが後退されて、ステントを拡張させる。熱拡張式ステントは、合金に熱を適用すると最初の小さい径から第2の大きい径に拡張する能力を有する形状記憶合金から形成される。
【0092】
本発明の実施態様によるPFPE材料は、上記の循環器系および血管内デバイスの全てに使用することができる。PFPE材料はこれらのデバイスの材料に使用されてもよくおよび/またはこれらのデバイスのコーティングとして提供されてもよい。
【0093】
ステントまたは他の血管内デバイスによって支持されている部位に血管の局所的な薬剤治療を提供することが望ましい場合がある。従って、内腔壁の支持としておよび1種以上の薬剤の送達ビークルとしてステントを使用することが望ましい場合がある。本発明の実施態様によるPFPE材料は、薬剤を搬送して放出するように構成することができる。被験対象の生体内に送達するためにPFPE材料に薬剤を含浸してもよい。ポリマー材料の含浸は、引用することにより全体の内容が本明細書に組み込まれる、同一出願人による米国特許出願第2004−0098106−A1号に記載されている。
【0094】
本発明の他の実施態様によると、液体PFPE材料は、組織内腔の内側面がポリマー材料で被覆または密閉される腔内密閉過程に使用することができる。液体PFPE材料は、高い潤滑性および高い酸素透過性のためにこれらの手法に特に好適である。本発明の実施態様によると、カテーテルまたは他の装置は、組織内腔に液体PFPE材料を送達し、内腔の内側面にPFPE材料を適合させるように構成される。硬化すると、PFPE材料は改善された内側面を提供する。内腔被覆処置は、各々全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、Slepianらに付与された米国特許第6,443,941号、同第5,800,538号、同第5,749,922号、同第5,674,287号および同第5,213,580号に記載されている。
【0095】
本発明の実施態様によると、PFPE材料は、肺手術処置に使用される種々の種類のパッチに導入することができる。本発明の実施態様によるパッチは、PFPE材料が肺組織に直接噴霧されるスプレーオンパッチを含む。従来の方法により肺組織に取り付けられ、固定されるように構成されている成形パッチも本発明の実施態様によるPFPE材料を含んでもよい。
【0096】
腫瘍切除による創傷または肺の粗い表面などの肺組織に固定されるパッチの使用は、創傷を塞ぎ、空気の漏れを防ぐ密閉を提供する。また、PFPE材料を導入しているパッチは、縫合糸およびステープルと併用使用して、機械的閉塞、例えば、肺葉切除のステープルまたは縫合線上に追加の密閉を提供することができる。PFPE材料の酸素搬送能力および透過性により、それらは肺修復に使用するのに特に好適となる。さらに、PFPE材料はフレキシブルな状態に硬化することができるので、肺の拡張が、気密密閉のフレキシブルで強い接着を必要とする肺のパッチとして使用するのに特に好適である。本発明の実施態様によると、PFPE材料は、パッチが被験対象の生体内に植え込まれたとき、上記のように流出(溶出)するように構成されている1種以上の薬剤を含んでもよい。
【0097】
本発明の実施態様によると、PFPE材料は動−静脈(「AV」)シャントに使用することができる。当業者に公知であるように、AVシャントは動脈と静脈を接続して、動脈血を静脈に直接流動させるために使用される。本発明の実施態様によるPFPE材料はAVシャントを修復するためまたは人工シャントを製造するために使用することができ、これはインビボおよびエクシビボにおいて実施することができる。本発明の実施態様によると、PFPE材料は、シャントが被験対象の生体内に植え込まれたとき、上記のように流出するように構成されている1種以上の薬剤を含んでもよい。
【0098】
本発明の実施態様によると、患者の透析治療に使用されるAVシャントは、PFPE材料を使用して交換および/または修復することができる。透析患者に植え込まれるAVシャントは定期的に交換または修復を必要とする。本発明の実施態様によると、損傷または磨耗したAVシャントは、上記のように、シャントにPFPE材料をコーティングし、PFPE材料を硬化することによってイン・シトゥーにおいて修復することができる。本発明の他の実施態様によると、既存のシャントを除去して、PFPE材料を含有するシャントと交換することができる。
【0099】
本発明の実施態様によると、PFPE材料を気管および食道パッチならびに修復処置に使用することができる。本発明の実施態様によるパッチは、損傷している気管および食道からの空気の漏れおよび/または食物の盛れを防止または軽減する上で有効となりうる。本発明の実施態様によるパッチは、PFPE材料を気管/食道組織に直接噴霧するスプレー−オンパッチを含んでもよい。従来の方法により気管/食道組織に取り付けて固定されるように構成されている成形パッチも本発明の実施態様によるPFPE材料を含んでもよい。本発明の実施態様によると、PFPE材料は、パッチが被験対象の生体内に植え込まれたとき流出するように構成されている1種以上の薬剤を含んでもよい。
【0100】
本発明の実施態様によると、PFPE材料は、呼吸時にガス交換を増強することができるので、人工肺材料として使用することができる。例えば、PFPE材料は、実際の肺ならびに人工肺装置および心肺装置のための代用肺胞膜材料として使用することができる。当業者に公知のように、肺胞(alveoli)は、酸素/二酸化炭素交換を促進する肺の要素であり、肺胞(alveolus)は、呼吸中にガスが交換される肺胞管の末端球形嚢(sacule)である。PFPE材料の高い酸素交換能力は、肺胞(alveoli)および肺胞(alveolus)を含む肺材料の肺胞作用を刺激する助けとなる。
【0101】
本発明の実施態様によると、PFPE材料は、経心筋的血行再建術(TMR)に使用することができる。当業者に公知であるように、TMRは、バイパス手術または血管形成術の候補にならない重症患者の重症狭心症または胸部痛を軽減するために使用される処置である。TMRは、典型的にはレーザーによって心臓の心室の外側または内側から心臓のポンプ室に一連の穴を開けるステップを含む。これらの穴は新たな血管の成長を刺激することができ(「血行再建」)、心臓の神経線維を破壊して、患者に胸部痛を感じさせなくすることができる。
【0102】
本発明の実施態様によると、心臓組織の血行再建を促進するためにTMR処置中に形成された穴にPFPE材料を注入することができる。さらに、血行再建を促進するためおよび種々の他の目的のための1種以上の薬剤をPFPE材料に加えてもよい。
【0103】
視覚および聴覚適用
本発明の実施態様によると、視覚上インプラントおよびコンタクトレンズはPFPE材料から製造される。PFPE材料は酸素透過性で、生物汚染抵抗性であるので、従来の視覚上インプラントおよびコンタクトレンズより有利である。また、低い表面エネルギーのために、摩擦が少なく装着者の快適さがすぐれている。また、視覚上インプラントおよびコンタクトレンズの最適な性能のためにPFPE材料の屈折率を調整(調節/正確に制御)することができる。
【0104】
本発明の実施態様によると、PFPE材料を使用する人工内耳(cochlear implant)は、従来の材料から製造されるインプラントより有利である。PFPE材料を使用すると、内殖を最小にすることができ、従ってデバイスの除去を安全に、外傷を少なくする。
【0105】
組織治療
本発明の実施態様によると、液体PFPE材料およびブレンドを被験対象の生体内の種々の領域に適用することができる。硬化の結果、PFPE材料は酸素透過性で、細菌不透過性の保護コーティングとして作用することができる。さらに、酸欠組織をPFPE材料で包む(encapsulate)ことができる。組織をPFPE材料と交換してもよい。
【0106】
PFPE材料は、本発明の実施態様による新たな組織増殖のための足場に使用することができる。PFPE材料の高い酸素透過性は、組織増殖を促進するのに特に好適である。
【0107】
他のデバイス、システムおよびツール
ツールおよびインプラントを含む種々のデバイスが、上記のようにPFPE材料を導入することができる。例示的なデバイスには、管系、線維、フィルター、バルーン、カテーテル、針および他の手術用ツール、クランプおよびデバイスが挙げられる。これらのデバイスは、セラミック、ガラス、金属、ポリマーおよびそれらの複合材料を含む全ての種類の材料から製造することができる。PFPE材料は、コーティング、接着剤、シーラントまたは構造要素または空間充填添加剤として使用することができる。
【0108】
本発明の実施態様によると、被験対象の生体内に植え込まれるように構成されている電子デバイスはPFPE材料で密閉される。例えば、1つ以上の電子要素を含むハウジングを、電子的デバイスが被験対象の生体内に植え込まれたとき、ハウジング内への水分および生物汚染の流入を阻止するPFPE材料で密閉シールすることができる。
【0109】
本発明の実施態様によると、生体内に植え込まれる電池、コンデンサー等などの個々の電子的要素をPFPE材料によって密閉シールすることができる。PFPE材料は高い誘電強度を有しうるので、非常にすぐれた電気絶縁体として作用することができる。
【0110】
本発明の実施態様によると、医学的ツールおよびデバイスは、PFPE材料をコーティングしても、PFPE材料で密閉してもまたはPFPE材料を含んでもよい。美容外科、心臓、歯科および口腔外科、皮膚、ENT/耳鼻咽喉科、婦人科、腹腔鏡検査、神経外科、整形外科、眼科、足治療、泌尿器科、獣医学に使用される器具およびデバイスを含むが、これらに限定されない任意の種類の医学的器具およびデバイスはPFPE材料をコーティングしても、PFPE材料で密閉してもまたはPFPE材料を含んでもよい。以下は、本明細書に記載するPFPE材料でコーティングしても、PFPE材料で密閉してもまたはPFPE材料を含んでもよい器具およびデバイスの全てではないリストである:アダプター、アプリケーター、アスピレーター、包帯、帯、刃、ブラシ、バー、ケーブルおよびコード、ノギス、カーバー(carver)、ケースおよび容器、カテーテル、のみ、クランプ、クリップ、コンドーム、コネクター、カップ、キューレット、カッター、除細動器、デプレッサー、拡張器、ディセクター、ドライバー、ドリル、エレベーター、エキスカベーター、エクスプローラー、ファスナー、ファイル、フィラー、ピンセット、ゲージ、手袋、丸のみ、ハンドル、ホルダー、ナイフ、ループ、槌、マーカー、鏡、針、ニッパー、ペースメーカー、パッチ、ピック、ピン、プレート、プライヤー、プラガー、プローブ、パンチ、プッシャー、ラック、リーマー、リテイナー、リトラクター、リング、ロッド、鋸、外科用メス、はさみ、スクレーパー、スクリュー、セパレーター、スパチュラ、スプーン、スプレッダー、ステント、シリンジ、テープ、トレイ、チューブおよびチューブ材料、ピンセットならびにワイヤー。
【0111】
本発明の実施態様によると、天然および合成繊維および布にPFPE材料をコーティングしても、PFPE材料で密閉してもおよび/またはPFPE材料を含んでもよい。特に、PFPE材料は、膨張性ポリテトラフルオロエチレン(W.L.Goreによるゴアテックス(登録商標)膜としても公知)材料およびそれらの誘導体にコーティングし、次いで硬化するために使用することができる。コーティングすることができる他の線維には、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ライクラ等が挙げられる。線維を製造することができるPFPE材料は表面エネルギーが非常に低く、種々の線維性能特性を変化させることができる。例えば、ナイロン6,6の不織繊維にPFPE材料をコーティングして、ゴアテックス(登録商標)膜と同様の表面特性およびバリヤ性を有するが、低コストの材料を製造することができる。
【0112】
PFPE材料の適用、硬化ならびにPFPE材料の適用および硬化のモニタリングのためのツールおよびシステム
上記の材料および方法以外に、本発明の実施態様は、医学的デバイスおよびツールにPFPE材料を送達または使用するために必要なツールおよびシステムを含む。これには、カテーテル;シリンジ;樹脂、硬化剤の送達カートリッジ;熱源;ワンド、光パイプおよびレーザーなどの有向光源を含む光源ならびに広域バルブおよびアレイなどの間接光源が挙げられる。これらのツールおよびシステムは、PFPE材料のイン・シトゥー送達または工場もしくは特注製造工場などのエクス・シトゥーにおけるPFPE材料の使用もしくは送達に使用することができる。磁気共鳴画像形成、超音波画像形成法、X−線透視法、フーリエ変換赤外分光分析法、紫外または可視分光分析法などの技法を、PFPE材料の送達または使用をモニタリングまたは検査するために使用することができる。PFPE材料は強磁性材料でないので、MRI適合性である。PFPE材料特徴的なIRバンドも有し、紫外および可視波長における光学密度が非常に低い。
【0113】
上記は本発明を例示しており、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本発明の少数の例示的な実施態様が記載されているが、本発明の新規教示および利点から大きく逸脱することなく、例示的な実施態様に多数の改良を加えることができることを当業者は容易に理解する。従って、このような改良は全て、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲に含まれることが意図されている。本発明は、以下の特許請求の範囲およびそこに含まれる特許請求の範囲の均等物によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験対象の損傷した骨格部分に近接して囲いを位置決めするステップと、
上記囲いに液体PFPE材料を注入するステップと、
上記被験対象の骨格部分に支持を提供する構造物を形成するために、上記液体PFPE材料を硬化するステップと
を含んでなる、被験対象の生体の骨格部分の損傷をイン・シトゥーで修復する方法。
【請求項2】
上記液体PFPE材料が、強固な状態に硬化する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記液体PFPE材料が、フレキシブル状態に硬化する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記損傷が骨の亀裂であり、上記囲いが該亀裂内に位置決めされ、上記液体PFPE材料が、硬化の結果、該亀裂を密閉して、該骨に構造的な支持を提供する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記骨格部分が髄核スペース(nuclear space)を有する椎体であり、上記囲いが該髄核スペース内に位置し、上記液体PFPE材料が、硬化の結果、構造的な支持を提供し、正常な脊髄機能を該椎体に回復させる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記骨格部分が関節であり、上記液体PFPE材料が、硬化の結果、該関節の改善された耐久性のある磨耗表面を提供する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を光に暴露することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を放射線に暴露することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
上記液体PFPE材料が、硬化開始剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
上記PFPE材料が、流出可能にトラップされた1つ以上の薬剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
磁気共鳴画像法(MRI)、X線透視法および超音波画像法からなる群から選択される方法によって上記PFPE材料の硬化をモニタリングするステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
上記液体PFPE材料が、低粘度PFPE前駆材料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
関節から望ましくない材料を除去するステップと、
上記材料を除去した位置に囲いを位置決めするステップと、
上記囲いに液体PFPE材料を注入するステップと、
上記液体PFPE材料を硬化するステップであって、硬化後のPFPE材料が、除去された元の関節材料の置換材料として作用する硬化ステップと
を含む、被験対象の生体の関節の損傷を修復する方法。
【請求項14】
上記関節が、股関節、膝関節、足関節、指関節、肘関節および手関節からなる群から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を光に暴露することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、液体PFPE材料を放射線に暴露することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
上記液体PFPE材料が、硬化開始剤を含む請求項13に記載の方法。
【請求項18】
磁気共鳴画像法(MRI)、X線透視法および超音波画像法からなる群から選択される方法によって上記PFPE材料の硬化をモニタリングするステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項19】
上記液体PFPE材料が、低粘度PFPE前駆材料を含む請求項13に記載の方法。
【請求項20】
酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料の外面を備える、被験対象の生体内に植え込まれるように構成される整形外科装置。
【請求項21】
1軸および2軸配向性材料の層を備える、被験対象の生体内に植え込まれるように構成される整形外科装置
【請求項22】
人工デバイスから材料を除去するステップと、
上記材料を除去した位置に囲いを位置決めするステップと、
上記囲いに液体PFPE材料を注入するステップと、
上記液体PFPE材料を硬化するステップであって、硬化後のPFPE材料が人工デバイス材料の置換または修復として作用する硬化ステップと
を含む、被験対象の生体内に配置されている人工デバイスをイン・シトゥーで修復する方法。
【請求項23】
上記人工デバイスから除去した材料が、材料の表面層を含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を光に暴露することを含む請求項22に記載の方法。
【請求項25】
磁気共鳴画像法(MRI)、X線透視法および超音波画像法からなる群から選択される方法によって上記PFPE材料の硬化をモニタリングするステップをさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項26】
上記液体PFPE材料が、低粘度PFPE前駆材料を含む請求項22に記載の方法。
【請求項27】
上記PFPE材料が、流出可能にトラップされた1つ以上の薬剤を含む請求項22に記載の方法。
【請求項28】
酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料を備える、被験対象の生体に適用されるように構成される包帯。
【請求項29】
上記PFPE材料が、流出可能にトラップされた1つ以上の薬剤を含む請求項28に記載の包帯。
【請求項30】
被験対象の生体の一部に酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を適用するステップと、
上記PFPE材料が下層組織の治癒を促進する保護包帯を形成するように液体PFPE材料を硬化するステップと、
を含む、被験対象の生体の一部に包帯を適用する方法。
【請求項31】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を光に暴露することを含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を放射線に暴露することを含む請求項30に記載の方法。
【請求項33】
上記液体PFPE材料が、硬化開始剤を含む請求項30に記載の方法。
【請求項34】
上記液体PFPE材料を適用するステップが、該液体PFPE材料を上記被験対象の生体に噴霧することを含む請求項30に記載の方法。
【請求項35】
上記PFPE材料が、流出可能にトラップされた1つ以上の薬剤を含む請求項30に記載の方法。
【請求項36】
酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料を備え、組織に結合するように構成される縫合糸。
【請求項37】
酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料を備える、被験対象用の人工血管。
【請求項38】
上記PFPE材料が、流出可能にトラップされた1つ以上の薬剤を含む請求項37に記載の人工血管。
【請求項39】
人工血管を形成するために既存の血管の一部の内腔に酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料を注入するステップであって、該既存の血管が型として作用する注入ステップと、
上記血管の一部の置換体を形成するために上記液体PFPE材料を硬化するステップと、
を含んでなる、被験対象の生体内の血管の一部をイン・シトゥーで置換する方法。
【請求項40】
上記血管の一部を除去するステップをさらに含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
上記既存の血管の一部の内腔を閉塞または部分的に閉塞し、該既存の血管の内腔に酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料を注入するステップの前に閉塞を除去する請求項39に記載の方法。
【請求項42】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、上記液体PFPE材料を光に暴露することを含む請求項39に記載の方法。
【請求項43】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、上記液体PFPE材料を放射線に暴露することを含む請求項39に記載の方法。
【請求項44】
上記液体PFPE材料が、硬化開始剤を含む請求項39に記載の方法。
【請求項45】
磁気共鳴画像法(MRI)、X線透視法および超音波画像法からなる群から選択される方法によってPFPE材料の硬化をモニタリングするステップをさらに含む請求項39に記載の方法。
【請求項46】
上記液体PFPE材料が、低粘度PFPE材料を含む請求項39に記載の方法。
【請求項47】
酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料を備える管状体部分を有する血管内人工物。
【請求項48】
上記PFPE材料内に流出可能にトラップされた薬剤をさらに含み、上記血管内人工物が被験対象の生体内に配置されたとき、薬剤を流出させることが可能であるように上記PFPE材料が構成される請求項47に記載の血管内人工物。
【請求項49】
上記薬剤を所定の速度で流出させることができるように上記PFPE材料が構成される請求項48に記載の血管内人工物。
【請求項50】
複数の薬剤が、上記PFPE材料内に流出可能にトラップされた請求項47に記載の血管内人工物。
【請求項51】
上記複数の薬剤が、上記管状体部分に均一に分布される請求項50に記載の血管内人工物。
【請求項52】
上記複数の薬剤が、上記管状体部分に不均一に分布される請求項50に記載の血管内人工物。
【請求項53】
上記管状体部分が、第1の末端、第2の末端および第1の末端から第2の末端まで規定される流動通路を備え、被験対象の通路内に血管内配置されるようにサイズ決めされており、第1の収縮している断面寸法から第2の拡大した断面寸法に拡大可能であるため通路の標的部分に血管内を輸送可能であり、次いで第2の拡大した断面寸法に拡大されて通路の標的部分に作動して該標的部分を支持する請求項47に記載の血管内人工物。
【請求項54】
血管内人工物が、ステントを備える請求項47に記載の血管内人工物。
【請求項55】
上記ステントが、分解性材料を含む請求項54に記載の血管内人工物。
【請求項56】
PFPE材料を備える本体部分を有する治療装置。
【請求項57】
上記PFPE材料が、上記本体部分の選択された1箇所以上の部分にコーティングされている請求項56に記載の医療装置。
【請求項58】
アダプター、アプリケーター、アスピレーター、包帯、帯、刃、ブラシ、バー、ケーブルおよびコード、ノギス、カーバー(carver)、ケースおよび容器、カテーテル、のみ、クランプ、クリップ、コンドーム、コネクター、カップ、キューレット、カッター、除細動器、デプレッサー、拡張器、ディセクター、デバイダー、ドリル、エレベーター、エキスカベーター、エクスプローラー、ファスナー、ファイル、フィラー、ピンセット、ゲージ、手袋、丸のみ、ハンドル、ホルダー、ナイフ、ループ、槌、マーカー、鏡、針、ニッパー、ペースメーカー、パッチ、ピック、ピン、プレート、プライヤー、プラガー、プローブ、パンチ、プッシャー、ラック、リーマー、リテイナー、リトラクター、リング、ロッド、鋸、外科用メス、はさみ、スクレーパー、スクリュー、セパレーター、スパチュラ、スプーン、スプレッダー、ステント、シリンジ、テープ、トレイ、チューブおよびチューブ材料、ピンセットならびにワイヤーからなる群から選択される請求項56に記載の医療装置。
【請求項59】
植え込み式装置である請求項56に記載の医療装置。
【請求項60】
本体部分の1箇所以上の部分に液体PFPE材料を適用するステップと、
上記本体部分のPFPE材料のコーティングを形成するために、上記液体PFPE材料を硬化するステップと、
を含む、本体部分を有する医療装置を製造する方法。
【請求項61】
上記液体PFPE材料が、低粘度PFPE前駆材料である請求項60に記載の方法。
【請求項62】
磁気共鳴画像法(MRI)、X線透視法および超音波画像法からなる群から選択される方法によってPFPE材料の硬化をモニタリングするステップをさらに含む請求項60に記載の方法。
【請求項63】
1つ以上の電子的要素を有するハウジングと、
電子的デバイスが被験対象の生体内に植え込まれたとき、上記ハウジング内への水分の流入を阻止するハウジングの密閉シールを形成するPFPE材料と
を備える植え込み式電子的デバイス。
【請求項64】
酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を、コーティング対象の中空臓器または組織内腔の内側表面に適用するステップと、
上記表面に酸素透過性で、細菌不透過性のポリマーコーティングを形成するために、上記PFPE材料を硬化するステップと、
を含む、中空臓器または組織内腔の内側表面にポリマーコーティングを形成する方法。
【請求項65】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を光に暴露することを含む請求項64に記載の方法。
【請求項66】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を放射線に暴露することを含む請求項64に記載の方法。
【請求項67】
上記液体PFPE材料が、硬化開始剤を含む請求項64に記載の方法。
【請求項68】
磁気共鳴画像法(MRI)、X線透視法および超音波画像法からなる群から選択される方法によって上記PFPE材料の硬化をモニタリングするステップをさらに含む請求項64に記載の方法。
【請求項69】
上記液体PFPE材料が、低粘度PFPE材料である請求項64に記載の方法。
【請求項70】
酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を含むパッチを欠損に適用するステップと、
空気の漏れを防止するために近接肺組織にパッチを密閉するために液体PFPE材料を硬化するステップと
を含む、被験対象の生体内の肺の欠損をイン・シトゥーで修復する方法。
【請求項71】
上記パッチを適用するステップが、肺組織内に液体PFPE材料を噴霧することを含む請求項70に記載の方法。
【請求項72】
上記パッチが、成形パッチである請求項70に記載の方法。
【請求項73】
上記パッチが、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フィブリンおよびエラスチンからなる群から選択される材料も含む請求項70に記載の方法。
【請求項74】
上記欠損が、外科的処置によって生じる請求項70に記載の方法。
【請求項75】
欠損が、外傷によって生じる請求項70に記載の方法。
【請求項76】
外科的処置が、肺生検、肺葉切除または肺気腫手術である請求項74に記載の方法。
【請求項77】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を光に暴露することを含む請求項70に記載の方法。
【請求項78】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を放射線に暴露することを含む請求項70に記載の方法。
【請求項79】
上記液体PFPE材料が、硬化開始剤を含む請求項70に記載の方法。
【請求項80】
磁気共鳴画像法(MRI)、X線透視法および超音波画像法からなる群から選択される方法によってPFPE材料の硬化をモニタリングするステップをさらに含む請求項70に記載の方法。
【請求項81】
上記液体PFPE材料が、低粘度PFPE前駆材料である請求項70に記載の方法。
【請求項82】
上記PFPE材料が、流出するように構成される1つ以上の薬剤を含む請求項70に記載の方法。
【請求項83】
管状体を形成するように構成されている型を被験対象の生体内に植え込むステップと、
酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を上記型に注入するステップと、
管状体を形成するために上記液体PFPE材料を硬化するステップと、
シャントを形成するために、上記管状体を生体の血管に接続するステップ
を含む、被験対象の生体内に動−静脈シャントを植え込む方法。
【請求項84】
上記PFPE材料が薬剤を含み、上記シャントが被験対象の生体内に配置されたとき、上記薬剤の流出を可能にするように上記PFPE材料が構成される請求項83に記載の方法。
【請求項85】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を光に暴露することを含む請求項83に記載の方法。
【請求項86】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を放射線に暴露することを含む請求項83に記載の方法。
【請求項87】
上記液体PFPE材料が、硬化開始剤を含む請求項83に記載の方法。
【請求項88】
磁気共鳴画像法(MRI)、X線透視法および超音波画像法からなる群から選択される方法によって上記PFPE材料の硬化をモニタリングするステップをさらに含む請求項83に記載の方法。
【請求項89】
上記液体PFPE材料が、低粘度PFPE前駆材料である請求項83に記載の方法。
【請求項90】
被験対象の生体内に酸素透過性で、細菌不透過性のPFPE材料を含む管状体を植え込むステップと、
シャントを形成するために、上記生体の血管に上記管状体を接続してするステップと
を含む、被験対象の生体内に動−静脈シャントを植え込む方法。
【請求項91】
上記管状体が、上記シャントが被験対象の生体内に配置されたとき流出するように構成される薬剤を含む請求項90に記載の方法。
【請求項92】
被験対象の生体内の既存の血管の表面に酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を適用するステップであって、血管が型として作用する適用ステップと、
動−静脈シャントを形成するために、上記液体PFPE材料を硬化するステップ
を含む、被験対象の生体内に動−静脈シャントを形成する方法。
【請求項93】
被験対象の生体内のシャントの表面に酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を適用するステップと、
上記液体PFPE材料を硬化するステップと
を含む、被験対象の生体内の動−静脈シャントを修復する方法。
【請求項94】
欠損に酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を含むパッチを適用するステップと、
漏れを防止するために、近接組織にパッチを密閉するために上記液体PFPE材料を硬化するステップと
を含む、患者の生体内の通路の欠損をイン・シトゥーにおいて修復する方法。
【請求項95】
上記パッチを適用するステップが、通路の組織に液体PFPE材料を噴霧することを含む請求項94に記載の方法。
【請求項96】
上記パッチが、成形パッチである請求項94記載の方法。
【請求項97】
上記通路が、気管または食道である請求項94に記載の方法。
【請求項98】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を光に暴露することを含む請求項94に記載の方法。
【請求項99】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を放射線に暴露することを含む請求項94に記載の方法。
【請求項100】
上記液体PFPE材料が、硬化開始剤を含む請求項94に記載の方法。
【請求項101】
上記PFPE材料が、通路を治療するための1つ以上の薬剤を含む請求項94に記載の方法。
【請求項102】
肺胞の活動を刺激するPFPE材料の膜を備える、患者の肺に使用するための人工組織材料。
【請求項103】
人工呼吸中にガス交換を増強するPFPE材料の膜を含む、人工心肺装置に使用する材料。
【請求項104】
酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を含む眼内インプラント。
【請求項105】
酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を含むコンタクトレンズ。
【請求項106】
酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を含む人工内耳。
【請求項107】
酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料で組織を包むステップと、
組織に酸素透過性で、細菌不透過性のポリマーコーティングを形成するために、上記PFPE材料を硬化するステップと
を含む、被験対象の生体内の組織を治療する方法。
【請求項108】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を光に暴露することを含む請求項107に記載の方法。
【請求項109】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を放射線に暴露することを含む請求項107に記載の方法。
【請求項110】
上記液体PFPE材料が、硬化開始剤を含む請求項107に記載の方法。
【請求項111】
磁気共鳴画像法(MRI)、X線透視法および超音波画像法からなる群から選択される方法によって上記PFPE材料の硬化をモニタリングするステップをさらに含む請求項107に記載の方法。
【請求項112】
上記液体PFPE材料が、低粘度PFPE前駆材料である請求項107に記載の方法。
【請求項113】
被験対象の生体内の組織に通路を形成するステップと、
酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を上記通路に挿入するステップと、
治癒および血管形成期に組織の増殖を促進し、周囲組織の生存性を増強する酸素透過性で、細菌不透過性のポリマー材料を形成するために、上記PFPE材料を硬化するステップと
を含む、被験対象の生体内の組織を治療する方法。
【請求項114】
上記組織が心筋組織であり、上記PFPE材料が心筋組織の血行再建を促進する請求項113に記載の方法。
【請求項115】
上記PFPE材料を挿入し、硬化するステップが、経心筋的血行再建処置の一部として実施される請求項113に記載の方法。
【請求項116】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を光に暴露することを含む請求項113に記載の方法。
【請求項117】
上記液体PFPE材料を硬化するステップが、該液体PFPE材料を放射線に暴露することを含む請求項113に記載の方法。
【請求項118】
上記液体PFPE材料が、硬化開始剤を含む請求項113に記載の方法。
【請求項119】
磁気共鳴画像法(MRI)、X線透視法および超音波画像法からなる群から選択される方法によって上記PFPE材料の硬化をモニタリングするステップをさらに含む請求項113に記載の方法。
【請求項120】
上記液体PFPE材料が、低粘度PFPE材料である請求項113に記載の方法。
【請求項121】
上記PFPE材料が、組織を治療するための1つ以上の薬剤を含む請求項113に記載の方法。
【請求項122】
酸素透過性で、細菌不透過性の液体PFPE材料を組織に適用するステップと、
組織の増殖を促進する酸素透過性で、細菌不透過性ポリマー材料を形成するために、上記PFPE材料を硬化するステップと
を含む、被験対象の生体内の組織増殖を促進する方法。
【請求項123】
上記PFPE材料が、組織を治療するための1つ以上の薬剤を含む請求項122に記載の方法。
【請求項124】
線維を液体PFPE材料でコーティングするステップと、
低表面エネルギーを有する線維を形成するために、上記液体PFPE材料を硬化するステップ
を含む線維を製造する方法。
【請求項125】
上記線維が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンおよびライクラからなる群から選択される請求項124に記載の方法。
【請求項126】
上記線維が、不織材料を含む請求項124に記載の方法。

【公表番号】特表2007−526797(P2007−526797A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547506(P2006−547506)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/043737
【国際公開番号】WO2005/065324
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(505175744)サインコア,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (15)
【Fターム(参考)】