液体噴射装置
【課題】異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置を提供する。
【解決手段】媒体Pに対向するノズル形成面21Aに、第1の液体を噴射する第1ノズル17Aと、第1ノズル17Aに近接して配置されるとともに第1の液体とは異なる第2の液体を噴射する第2ノズル17Bと、が設けられた液体噴射ヘッド10を備えており、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bは、それぞれノズル形成面21Aに対して傾くように形成され、第1ノズル17Aから噴射された第1の液体と第2ノズル17Bから噴射された第2の液体とは、ノズル形成面21Aから離間した位置から媒体Pに着弾する位置までの間で、互いに接触して混合されることを特徴とする。
【解決手段】媒体Pに対向するノズル形成面21Aに、第1の液体を噴射する第1ノズル17Aと、第1ノズル17Aに近接して配置されるとともに第1の液体とは異なる第2の液体を噴射する第2ノズル17Bと、が設けられた液体噴射ヘッド10を備えており、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bは、それぞれノズル形成面21Aに対して傾くように形成され、第1ノズル17Aから噴射された第1の液体と第2ノズル17Bから噴射された第2の液体とは、ノズル形成面21Aから離間した位置から媒体Pに着弾する位置までの間で、互いに接触して混合されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体噴射装置の一種としてインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」という)がある。このプリンターは、キャリッジに搭載された液体噴射ヘッド(以下、「ヘッド」という)の複数のノズルからプラテン上に配置された媒体にインク(液体)を噴射することで印刷を行っている。
【0003】
このようなプリンターにあっては、圧力発生室で加圧した液体をノズルから液滴として媒体に吐出させて印刷を行っている。液体をノズルから吐出させる方法としては様々な方法がある。具体的には、ピエゾ素子の変形により液体に圧力を加えて吐出させる方法が挙げられる。
【0004】
ところで、近年コンピューターを利用した文書作成が盛んに行われており、文字や図形だけでなく、写真のようなカラーの自然画像を文字、図形とともに出力することが要求されている。このため、高精彩であり高品位な自然画像を印刷することが要求され、中間調の表示による階調表現が重要となっている。ここで、中間階調が豊富な自然画像の印刷は、例えば2液混合型のプリンターによって行われる。例えば、第1の液体としてインク、第2の液体として希釈液を用い、いずれか一方の液体の量を変化させインクと希釈液の混合比率を変化させることで吐出される混合溶液の濃度が調整される。
【0005】
一方、2液混合型のプリンターを前述した用途の他にも使用したい場合がある。例えば、第1の液体及び第2の液体として互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤(二液性接着剤)、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)または封止剤を用いる場合である。そこで、第1の液体と第2の液体とで互いに異なる種類の液体を使用する際に、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な装置が要求されている。
【0006】
このような要求に応えるために、第1の液体と第2の液体とを媒体に着弾させるまでの間において、様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、第1の液体が導入される第1圧力室に連通する第1ノズルと、第2の液体が導入される第2圧力室に連通する第2ノズルと、を互いに近接するように配置している。そして、第1ノズルから押し出された第1の液体を第2ノズルに向けて第1ノズルの開口面を伝わらせて第2ノズル内に一旦強制的に引き込んでから、第1の液体と第2の液体との混合液体を吐出させている。これにより、所望の濃度の混合溶液を作製することを可能にしている、
一方、特許文献2では、液体が導入される1つの圧力室に対して2つのノズルを互いに斜めに配置している。そして、2つのノズルからそれぞれ第1の液体と第2の液体とを吐出させ、飛翔中に第1の液体と第2の液体とを衝突させている。これにより、極微小液体を媒体に着弾させることを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−38928号公報
【特許文献2】特開2005−254579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、第1の液体を第2ノズルに向けて第1ノズルの開口面を伝わらせるため、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することが必要となり容易ではない。また、第1の液体を第2ノズル内に引き込んだ後、第1の液体と第2の液体との混合液体を吐出させるため、混合液体の吐出量を調整することが困難となる。さらに、第1の液体が第2ノズル内部に付着し第2の液体が汚染されるという問題がある。したがって、このような問題を解決するに当たっては、使用する液体の種類が限られてしまう。
一方、特許文献2では、1つの圧力室に対して2つのノズルを配置しているため、同じ種類の液体どうししか衝突させることができない。つまり、異なる種類の液体を衝突させることはできない。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、異なる種類の液体をノズルから吐出させる場合において、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することを必要とせず、第1の液体と第2の液体との混合液体の吐出量を容易に調整し、かつ、第1の液体により第2の液体が汚染されることが抑制することができ、さらに、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の液体噴射装置は、媒体に対向するノズル形成面に、第1の液体を噴射する第1ノズルと、前記第1ノズルに近接して配置されるとともに前記第1の液体とは異なる第2の液体を噴射する第2ノズルと、が設けられた液体噴射ヘッドを備えており、前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、それぞれ前記ノズル形成面に対して傾くように形成され、前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とは、前記ノズル形成面から離間した位置から前記媒体に着弾する位置までの間で、互いに接触して混合されることを特徴とする。
【0011】
この液体噴射装置によれば、第1の液体と第2の液体とが液体噴射ヘッドのノズル形成面から離間してから媒体に着弾するまでの間で互いに接触して混合される。つまり、特許文献1のように第1の液体を第2ノズルに向けて第1ノズルの開口面に伝わせる構成となっていない。このため、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することが不要となる。また、第1の液体の吐出量が第1ノズルで調整され、第2の液体の吐出量が第2ノズルで調整されるため、第1の液体と第2の液体との混合液体の吐出量を調整するときは、各ノズルから噴射される各液体の吐出量のみを調整すれば済む。このため、第1の液体と第2の液体との混合液体の吐出量を容易に調整することができる。また、特許文献1のように第1の液体が第2ノズル内に引き込まれる構成となっていない。このため、第1の液体により第2の液体が汚染されることを抑制することができる。したがって、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置が提供できる。
【0012】
また、上記液体噴射装置において、前記第1の液体及び前記第2の液体は、互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤であってもよい。
【0013】
この液体噴射装置によれば、第1の液体と第2の液体とが液体噴射ヘッドのノズル形成面から離間してから媒体に着弾するまでの間で互いに接触して混合されるので、互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤(二液性接着剤)がノズル形成面から離間する前に接着性を発揮することがない。この点について、特許文献1では第1の液体が第2ノズル内に引き込まれた後、第1の液体と第2の液体とを混合させる構成となっているので、二液性接着剤がノズル形成面から離間する前に接着性を発揮してしまう。その結果、二液性接着剤がノズル形成面近傍で固化し、ノズル詰まりが発生するおそれがある。したがって、二液性接着剤を使用する場合であっても、吐出前にノズル形成面近傍で固化することを抑制し、ノズル詰まりが発生することを抑制することが可能となる。
【0014】
また、上記液体噴射装置において、前記第1の液体及び前記第2の液体は、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料または封止材であってもよい。
【0015】
この液体噴射装置によれば、第1の液体と第2の液体とが液体噴射ヘッドのノズル形成面から離間してから媒体に着弾するまでの間で互いに接触して混合されるので、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)あるいは封止材がノズル形成面から離間する前に硬化性を発揮することがない。この点について、特許文献1では第1の液体が第2ノズル内に引き込まれた後、第1の液体と第2の液体とを混合させる構成となっているので、二液性塗料または封止材がノズル形成面から離間する前に硬化性を発揮してしまう。その結果、二液性塗料または封止材がノズル形成面近傍で固化し、ノズル詰まりが発生するおそれがある。したがって、二液性塗料または封止材を使用する場合であっても、吐出前にノズル形成面近傍で固化することを抑制し、ノズル詰まりが発生することを抑制することが可能となる。
【0016】
また、上記液体噴射装置において、前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とは、飛翔している状態で、互いに接触して混合されてもよい。
【0017】
この液体噴射装置によれば、第1の液体と第2の液体とが飛翔している状態で互いに接触して混合される。したがって、異なる種類の液体をノズルから吐出させる場合において、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することを必要とせず、第1の液体と第2の液体との混合液体の吐出量を容易に調整し、かつ、第1の液体により第2の液体が汚染されることを抑制することができ、さらに、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置が提供できる。
【0018】
また、上記液体噴射装置において、前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とは、前記媒体に着弾した状態で、互いに接触して混合されてもよい。
【0019】
この液体噴射装置によれば、第1の液体と第2の液体とが媒体に着弾した状態で互いに接触して混合される。したがって、異なる種類の液体をノズルから吐出させる場合において、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することを必要とせず、第1の液体と第2の液体との混合液体の吐出量を容易に調整し、かつ、第1の液体により第2の液体が汚染されることを抑制することができ、さらに、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置が提供できる。
【0020】
また、上記液体噴射装置において、前記第1の液体が前記第2の液体よりも高粘度の場合において、前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体が前記媒体に着弾した後に、前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体が前記媒体に着弾されてもよい。
【0021】
この液体噴射装置によれば、相対的に高粘度の第1の液体が媒体に着弾した後に相対的に低粘度の第2の液体が媒体に着弾される。このため、相対的に低粘度の第2の液体が媒体に着弾した後に相対的に高粘度の第1の液体が媒体に着弾される場合に比べて、媒体に対する液体の染み込みを抑制することができる。ここで、媒体に染み込んだ液体は表示に寄与しない無駄な部分となる。したがって、第1の液体の吐出量及び第2の液体の吐出量を必要最小限に抑え、表示に寄与しない無駄な部分の吐出を抑制した低コストの液体噴射装置が提供できる。
【0022】
また、上記液体噴射装置において、前記第1ノズルの前記ノズル形成面に対する傾き角度は、前記第2ノズルの前記ノズル形成面に対する傾き角度と同じになっていてもよい。
【0023】
この液体噴射装置によれば、第1ノズルのノズル形成面に対する傾き角度が第2ノズルのノズル形成面に対する傾き角度と異なっている場合に比べて、第1ノズルから噴射される第1の液体の吐出タイミングと第2ノズルから噴射される第2の液体の吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。これに伴って、第1ノズルから噴射される第1の液体の吐出量、第2ノズルから噴射される第2の液体の吐出量、及び混合液体の吐出量を調整することも容易となる。
【0024】
また、上記液体噴射装置において、前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、それぞれ前記媒体に向けて小さくなるように連続したテーパ形状となっていてもよい。
【0025】
この液体噴射装置によれば、第1ノズル及び第2ノズルがそれぞれ媒体に向けてサイズ(例えばノズル開口径)が同じとなっている場合に比べて、第1ノズルから噴射される第1の液体の吐出タイミングと第2ノズルから噴射される第2の液体の吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。これに伴って、第1ノズルから噴射される第1の液体の吐出量、第2ノズルから噴射される第2の液体の吐出量、及び混合液体の吐出量を調整することも容易となる。
【0026】
また、上記液体噴射装置において、前記第1ノズルは第1サブノズルと第2サブノズルとからなり、前記第2サブノズルに近接して配置されるとともに前記第1の液体とは異なる第3の液体を噴射する第3ノズルが設けられており、前記第1サブノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とが混合され、前記第2サブノズルから噴射された前記第1の液体と前記第3ノズルから噴射された前記第3の液体とが混合されてもよい。
【0027】
この液体噴射装置によれば、第1ノズルが1つのノズルからなる場合に比べて、高密度で媒体に液体を吐出することが可能となる。したがって、少量の液体で媒体を被覆することができるとともに、混合液体層の薄膜化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係る液体噴射装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】液体噴射ヘッドのノズル形成面におけるノズル配列状態を示す図である。
【図3】液体噴射ヘッドの内部構成を示す部分断面図である。
【図4】第1実施形態におけるノズルの配置構成を示す模式図である。
【図5】第1の液体及び第2の液体が飛翔中に混合されるようすを示す図である。
【図6】第1の液体及び第2の液体が着弾した後で混合されるようすを示す図である。
【図7】第1の液体が着弾した後に第2の液体が着弾して混合されるようすを示す図である。
【図8】第2実施形態におけるノズルの配置構成を示す模式図である。
【図9】第1の液体及び第2の液体が飛翔中に混合されるようすを示す図である。
【図10】第1の液体及び第2の液体が着弾した後で混合されるようすを示す図である。
【図11】第1の液体が着弾した後に第2の液体が着弾して混合されるようすを示す図である。
【図12】第1実施形態及び第2実施形態における混合液体の着弾状態を示す模式図である。
【図13】第3実施形態におけるノズルの配置構成を示す模式図である。
【図14】第1の液体〜第4の液体が混合されるようすを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の概略構成を示す斜視図である。以下、液体噴射装置としてシリアル型のインクジェット式プリンターを例に挙げて説明する。
【0031】
液体噴射装置1は、プラテン50に支持されたメディア(媒体)Pにインク(液体)を噴射することでメディアPに所定の情報や画像を印字する記録処理を行うものである。ここで、液体噴射装置1は、メディアPに対して第1の液体及び第1の液体とは異なる第2の液体(後述する二液性接着剤、二液性塗料または封止材)を噴射するようになっている。この液体噴射装置1は、複数のノズル17(図2参照)から液体をメディアPに向けて噴射する液体噴射ヘッド10と、液体噴射ヘッド10を搭載して走査移動するキャリッジ40と、を備えて構成されている。
【0032】
なお、本実施形態では、メディアPに対向する液体噴射ヘッド10のノズル形成面21Aに、第1の液体を噴射する第1ノズル17Aと、第1ノズル17Aに近接して配置されるとともに第1の液体とは異なる第2の液体を噴射する第2ノズル17Bと、が設けられている(図2参照)。
【0033】
以下、図1に示したXYZ直交座標系に基づいて説明する。このXYZ直交座標系において、X方向及びY方向がプラテン50の面方向と平行となっており、Z方向がプラテン50の面方向と直交している。実際には、XY平面が水平面に平行な面に設定されており、Z方向が鉛直上方向に設定されている。ここでは、メディアPの搬送方向がY方向、液体噴射ヘッド10の走査方向がX方向に設定されている。
【0034】
図1に示すように、液体噴射装置1は、平面視矩形状をなすフレーム42を備えている。このフレーム42内には、プラテン50が架設されている。このプラテン50は、メディアPを吸引する複数の吸引孔(図示略)を備えている。メディアPは複数の吸引孔に作用する吸引力によってプラテン50の上面に保持される。これにより、メディアPのコックリングやカールが抑えられる。
【0035】
また、プラテン50上には、フレーム42の背面に設けられた紙送りモーター44を有する紙送り機構によりメディアPが+Y方向側から給送される。これにより、メディアPがY方向に延びる搬送路に沿って搬送されるようになっている。また、フレーム42内におけるプラテン50の上方には、プラテン50の長手方向(X方向)と平行な棒状のガイド部材45が架設されている。
【0036】
ガイド部材45には、キャリッジ40がガイド部材45の長手方向(X方向)に沿って往復移動可能に支持されている。キャリッジ40は、フレーム42内の後面に設けられた一対のプーリ47a間に張設されたタイミングベルト47を介してフレーム42の背面に設けられたキャリッジモーター48に連結されている。キャリッジ40は、キャリッジモーター48の駆動によりガイド部材45に沿って往復移動される。
【0037】
キャリッジ40の下面には、液体噴射ヘッド10が設けられている。液体噴射ヘッド10の下面は、複数のノズル17が形成されたノズル形成面21Aとなっている(図2参照)。また、キャリッジ40における液体噴射ヘッド10の上側には、カートリッジ41が着脱可能に搭載されている。このカートリッジ41内には、第1の液体及び第2の液体がそれぞれ液体噴射ヘッド10に供給可能に収容されている。
【0038】
ここで、図2及び図3を参照して液体噴射ヘッド10の構成について説明する。図2は、液体噴射ヘッド10のノズル形成面21Aにおけるノズル17の配列状態を示す図である。図3は、液体噴射ヘッド10の内部構成を示す部分断面図である。
【0039】
図2に示すように、ノズル17はノズル形成面21Aにおいて搬送路の幅方向(X方向)に沿って複数設けられ、ノズル列16を形成している。このノズル列16は、搬送方向(Y方向)に沿って計5列設けられている。ノズル列16A、16Bは、それぞれ、第1の液体、第2の液体を噴射する構成となっている。なお、液体噴射ヘッド10どうしをノズル17間のピッチの半分だけ左右方向にずらして配置してもよい。これにより、メディアPに対して印字する解像度を向上させることができる。
【0040】
ここで、第1の液体及び第2の液体について説明する。第1の液体及び第2の液体は、互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤(二液性接着剤)である。つまり、第1の液体及び第2の液体は、異なる液体の混合により重合反応・吸湿・縮合反応などを起こして接着性を発揮する化学反応型の接着剤である。二液性接着剤としては、例えば、アクリル酸及び誘導体を主成分液に用いて、これに硬化剤を混合させてレドックス重合を起こし硬化・接着するもの(アクリル樹脂系接着剤)がある。また、α-オレフィンの一種であるイソブチレンと無水マレイン酸との共重合樹脂水溶液に水酸化カルシウム・ラテックス・金属酸化物等の充填剤を添加したものを主成分液に用いて、これに硬化剤を混合させて架橋を生じさせ硬化・接着するもの(α-オレフィン系接着剤)がある。また、末端に水酸基を持つポリオールとポリイソシアネート、または末端にイソシアネート基を持つウレタンプレポリマーとポリオールを混合させて化学反応を起こし硬化・接着するもの(ウレタン樹脂系接着剤)がある。また、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンを縮合反応させたエポキシ樹脂プレポリマーを主成分液に用いて、これにアミン等の硬化剤を混合させてグラフト重合を起こし硬化・接着するもの(エポキシ樹脂系接着剤)がある。また、末端にビニル基を持つオルガノポリシロキサンを主成分液に用いて、これに架橋剤を混合させて硬化・接着するもの(シリコーン系接着剤)がある。
【0041】
なお、第1の液体及び第2の液体としては、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)を用いることもできる。つまり、第1の液体及び第2の液体は、異なる液体の混合により重合反応・吸湿・縮合反応などを起こして硬化性を発揮する化学反応型の塗料であってもよい。二液性塗料としては、例えば、ウレタン樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、及びエポキシ樹脂塗料が挙げられる。
【0042】
また、第1の液体及び第2の液体としては、互いに混合されることで硬化性を発揮する封止材を用いることもできる。つまり、第1の液体及び第2の液体は、異なる液体の混合により重合反応・吸湿・縮合反応などを起こして硬化性を発揮する化学反応型の封止材であってもよい。このような封止材としては、例えば、有機変性シリコーン、メチルシリコーン、及びフェニルシリコーンが挙げられる。なお、硬くてべたつきが少ない表層となるレジン、柔らかく応力緩和性に優れるエラストマー等のタイプを必要に応じて適宜選択することができる。
【0043】
図3に示すように、液体噴射ヘッド10は、ヘッド本体18と、ヘッド本体18に接続された流路形成ユニット22とを備える。流路形成ユニット22は、振動板19と、流路基板20と、ノズル基板21とを備えるとともに、共通液体室29と、液体供給口30と、圧力室31とを形成する。さらに、流路形成ユニット22は、ダイヤフラム部として機能する島部32と、共通液体室29内の圧力変動を吸収するコンプライアンス部33とを備える。ヘッド本体18には、固定部材26とともに駆動ユニット24を収容する収容空間23と、液体を流路形成ユニット22に案内する内部流路28とが形成される。
【0044】
上記構成の液体噴射ヘッド10によれば、ケーブル27を介して駆動ユニット24に駆動信号が入力されると、圧電素子25が伸縮する。これにより、振動板19が圧力室31に接近する方向(−Z方向)及び圧力室31から離れる方向(+Z方向)に変形(移動)する。このため、圧力室31の容積が変化し、液体を収容した圧力室31の圧力が変動する。この圧力の変動によって、ノズル17から液体が噴射される。
【0045】
図1に戻り、カートリッジ41内の液体は、液体噴射ヘッド10内に各ノズル17と対応するように備えられた圧電素子25の駆動により、液体噴射ヘッド10へと供給される。さらに、各ノズル17からプラテン50上に給送されたメディアPに向けて液体が噴射されることにより、メディアPに着弾される。
【0046】
また、フレーム42内の右端部(X方向端部)に位置する非液体噴射領域には、非印刷時に液体噴射ヘッド10のメンテナンス(例えば、クリーニングやフラッシング等)を行うためのメンテナンスユニット52が設けられている。メンテナンスユニット52は、液体噴射ヘッド10のノズル形成面21Aを封止可能な上側(+Z方向側)が開口したキャップ53を備えている。
【0047】
ところで、従来の液体噴射装置においては、第1の液体を第2ノズルに向けて第1ノズルの開口面を伝わらせるため、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することが必要となり容易ではなかった。また、第1の液体を第2ノズル内に引き込んだ後、第1の液体と第2の液体との混合液体を吐出させるため、混合液体の吐出量を調整することが困難となっていた。さらに、第1の液体が第2ノズル内部に付着し第2の液体が汚染されるという問題があった。したがって、このような問題を解決するに当たっては、使用する液体の種類が限られていた。
【0048】
そこで、本発明に係る液体噴射装置1では、メディアPに対向するノズル形成面21Aに、第1の液体を噴射する第1ノズル17Aと、第1ノズル17Aに近接して配置されるとともに第2の液体を噴射する第2ノズル17Bと、が設けられた液体噴射ヘッド10を備えており、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bは、それぞれノズル形成面21Aに対して傾くように形成され、第1ノズル17Aから噴射された第1の液体と第2ノズル17Bから噴射された第2の液体とは、ノズル形成面21Aから離間した位置からメディアPに着弾する位置までの間で、互いに接触して混合されることによって、異なる種類の液体をノズルから吐出させる場合において、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することを必要とせず、第1の液体と第2の液体との混合液体の吐出量を容易に調整し、かつ、第1の液体により第2の液体が汚染されることが抑制することができ、さらに、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することを可能にしている。以下、図4〜図7を用いて液体噴射ヘッド10における第1ノズル17A及び第2ノズル17Bの配置構成及び第1ノズル17A及び第2ノズル17Bからそれぞれ噴射された第1の液体及び第2の液体が混合されるようすについて説明する。
【0049】
図4は、第1実施形態におけるノズル17(第1ノズル17A及び第2ノズル17B)の配置構成を示す模式図である。なお、図4は液体噴射装置1を構成する液体噴射ヘッド10及びその周辺部を断面視した要部断面図である。また、図4において、符号Θ1は第1ノズル17Aのノズル形成面21Aに対する傾き角度(以下、第1ノズル17Aの傾き角度という)、符号Θ2は第2ノズル17Bのノズル形成面21Aに対する傾き角度(以下、第2ノズル17Bの傾き角度という)である。
【0050】
図4に示すように、第1の液体を収容する第1圧力室31A及び第2の液体を収容する第2圧力室31Bは、互いに隣り合う位置に配置されている。また、第1圧力室31Aに連通する第1ノズル17A及び第2圧力室31Bに連通する第2ノズル17Bは、互いに近接して配置されている。また、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bは、それぞれ第1圧力室31A及び第2圧力室31Bに対して1つずつ配置されている(シングルノズルタイプ)。なお、ノズル形成面21AとメディアPとの間の距離は例えば1mm以下になっている。
【0051】
また、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bは、それぞれノズル形成面21Aに対して傾くように形成されている。ここで、第1ノズル17Aの傾き角度Θ1は、第2ノズル17Bの傾き角度Θ2と同じになっている。
【0052】
これにより、第1ノズル17Aの傾き角度Θ1が第2ノズル17Bの傾き角度Θ2と異なっている場合に比べて、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体の吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体の吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。
【0053】
また、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bは、それぞれメディアPに向けて小さくなるように連続したテーパ形状となっている。つまり、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bの平面視における断面積(例えばノズル開口径)は、それぞれメディアPに向けて次第に小さくなっている。
【0054】
これにより、第1ノズル17A及び第2ノズル17BがそれぞれメディアPに向けてサイズ(例えばノズル開口径)が同じとなっている場合に比べて、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体の吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体の吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。
【0055】
図5は、第1実施形態における第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体及び第2の液体が飛翔中に混合されるようすを示す図である。なお、図5において、符号60Aは第1ノズル17Aから噴射された第1の液体、符号60Bは第2ノズル17Bから噴射された第2の液体、符号60は第1の液体60A及び第2の液体60Bが接触して混合された混合液体である。ここでは、第1の液体60A及び第2の液体60Bとして、互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤(二液性接着剤)を用いる。例えば、第1の液体60Aとして二液性接着剤の主成分液を用い第2の液体60Bとして二液性接着剤の硬化剤を用いる。
【0056】
また、図5(a)は第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔中の状態を示した図である。また、図5(b)は第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔中に接触して混合され混合液体60となった状態を示した図である。また、図5(c)は混合液体60がメディアPに着弾した状態を示した図である。
【0057】
図5(a)に示すように、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔している状態を考える。ここでは、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとが同じに調整されている。
【0058】
また、第1ノズル17Aから第1の液体60Aが独立して斜めに傾いて噴射され、第2ノズル17Bから第2の液体60Bが独立して斜めに傾いて噴射される。つまり、特許文献1のように第1の液体を第2ノズルに向けて第1ノズルの開口面に伝わせる構成となっていない。このため、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することが不要となる。また、特許文献1のように第1の液体が第2ノズル内に引き込まれる構成となっていない。このため、第1の液体60Aにより第2圧力室31Bが汚染され、これに伴って第2の液体60Bが汚染されることが抑制することができる。
【0059】
図5(b)に示すように、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが合体して混合液体60となった状態を考える。ここでは、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとが同じに調整されているため、第1の液体60A及び第2の液体60Bが互いに側面(第1の液体60Aの−Y方向側の面と第2の液体60Bの+Y方向側の面)で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bは、接触して混合され混合液体60となり、メディアPに向けて(−Z方向に)落下していく。
【0060】
このように、第1の液体60Aと第2の液体60Bとが飛翔している状態で互いに接触して混合されるので、二液性接着剤がノズル形成面21Aから離間する前に接着性を発揮することがない。
【0061】
また、第1の液体60Aの吐出量が第1ノズル17Aで調整され、第2の液体60Bの吐出量が第2ノズル17Bで調整されることとなる。このため、第1の液体60Aと第2の液体60Bとの混合液体60の吐出量を調整するときは、各ノズル17A,17Bから噴射される各液体60A,60Bの吐出量のみを調整すれば済む。
【0062】
図5(c)に示すように、混合液体60がメディアPに着弾した状態を考える。ここでは、第1の液体60A及び第2の液体60Bが混合されて接着性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体60をメディアPの所定の位置に着弾させることにより、接着性を発揮した接着領域をメディアP上に選択的に形成することができる。
【0063】
図6は、第1実施形態における第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体及び第2の液体がメディアPに着弾した後で混合されるようすを示す図である。なお、図6は図5に対応する図であり、図5と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。ここでは、第1の液体60A及び第2の液体60Bとして、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)を用いる。例えば、第1の液体60Aとして二液性塗料の主成分液を用い第2の液体60Bとして二液性塗料の硬化剤を用いる。
【0064】
また、図6(a)は第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔中の状態を示した図である。また、図6(b)は第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60BがメディアPに着弾した後に接触して混合され混合液体60となった状態を示した図である。また、図6(c)は混合液体60がメディアPに着弾した状態を示した図である。
【0065】
図6(a)に示すように、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔している状態を考える。ここでは、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとが同じに調整されている。また、第1ノズル17Aから第1の液体60Aが独立して斜めに傾いて噴射され、第2ノズル17Bから第2の液体60Bが独立して斜めに傾いて噴射される。
【0066】
図6(b)に示すように、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが合体して混合液体60となった状態を考える。ここでは、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとが同じに調整されているため、第1の液体60A及び第2の液体60Bが互いに側面(第1の液体60Aの−Y方向側の面と第2の液体60Bの+Y方向側の面)で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体60A及び第2の液体60は、メディアPに着弾した後に接触して混合され混合液体60となる。
【0067】
このように、第1の液体60Aと第2の液体60BとがメディアPに着弾した状態で互いに接触して混合されるので、二液性塗料がノズル形成面21Aから離間する前に硬化性を発揮することがない。
【0068】
図6(c)に示すように、混合液体60がメディアPに着弾した状態を考える。ここでは、第1の液体60A及び第2の液体60Bが混合されて硬化性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体60をメディアPの所定の位置に着弾させることにより、硬化性を発揮した硬化領域をメディアP上に選択的に形成することができる。
【0069】
図7は、第1実施形態における第1ノズル17Aから噴射された第1の液体60がメディアPに着弾した後に第2ノズル17Bから噴射された第2の液体60BがメディアPに着弾して混合されるようすを示す図である。なお、図7は図5に対応する図であり、図5と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。ここでは、第1の液体60A及び第2の液体60Bとして、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)を用いる。例えば、第1の液体60Aとして二液性塗料の主成分液を用い第2の液体60Bとして二液性塗料の硬化剤を用いる。また、第1の液体60Aは第2の液体60Bよりも高粘度になっているものとする。
【0070】
また、図7(a)は第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔中の状態を示した図である。また、図7(b)は第1ノズル17Aから噴射された第1の液体60AがメディアPに着弾した状態を示した図である。また、図7(c)は第1の液体60がメディアPに着弾した後に第2ノズル17Bから噴射された第2の液体60BがメディアPに着弾して混合され混合液体60となった状態を示した図である。
【0071】
図7(a)に示すように、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔している状態を考える。ここでは、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとが異なるように調整されている。具体的には、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングが第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングよりも早く調整されている。また、第1ノズル17Aから第1の液体60Aが独立して斜めに傾いて噴射され、第2ノズル17Bから第2の液体60Bが独立して斜めに傾いて噴射される。
【0072】
図7(b)に示すように、第1ノズル17Aから噴射された第1の液体60AがメディアPに着弾した状態を考える。ここでは、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングが第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングよりも早く調整されているため、第1の液体60Aが第2の液体60Bよりも先にメディアPに着弾することとなる。つまり、相対的に高粘度の第1の液体60AがメディアPに着弾した後に相対的に低粘度の第2の液体60BがメディアPに着弾される。このため、相対的に低粘度の第2の液体60BがメディアPに着弾した後に相対的に高粘度の第1の液体60AがメディアPに着弾される場合に比べて、メディアPに対する液体の染み込みを抑制することができる。
【0073】
図7(c)に示すように、第1の液体60がメディアPに着弾した後に第2ノズル17Bから噴射された第2の液体60BがメディアPに着弾して混合され混合液体60となった状態を考える。ここでは、第1の液体60A及び第2の液体60Bが混合されて硬化性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体60をメディアPの所定の位置に着弾させることにより、硬化性を発揮した硬化領域をメディアP上に選択的に形成することができる。
【0074】
本実施形態に係る液体噴射装置1によれば、第1の液体60Aと第2の液体60Bとが液体噴射ヘッド10のノズル形成面21Aから離間してからメディアPに着弾するまでの間で互いに接触して混合される。つまり、特許文献1のように第1の液体を第2ノズルに向けて第1ノズルの開口面に伝わせる構成となっていない。このため、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することが不要となる。また、第1の液体60Aの吐出量が第1ノズル17Aで調整され、第2の液体60Bの吐出量が第2ノズル17Bで調整されるため、第1の液 体60Aと第2の液体60Bとの混合液体60の吐出量を調整するときは、各ノズル17A,17Bから噴射される各液体60A,60Bの吐出量のみを調整すれば済む。このため、混合液体60の吐出量を容易に調整することができる。また、特許文献1のように第1の液体が第2ノズル内に引き込まれる構成となっていない。このため、第1の液体60Aにより第2の液体60Bが汚染されることを抑制することができる。したがって、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置1が提供できる。
【0075】
また、この構成によれば、第1の液体60A及び第2の液体60Bとして二液性接着剤を用いている。この場合でも、第1の液体60Aと第2の液体60Bとが液体噴射ヘッド10のノズル形成面21Aから離間してからメディアPに着弾するまでの間で互いに接触して混合されるので、二液性接着剤がノズル形成面21Aから離間する前に接着性を発揮することがない。この点について、特許文献1では第1の液体が第2ノズル内に引き込まれた後、第1の液体と第2の液体とを混合させる構成となっているので、二液性接着剤がノズル形成面から離間する前に接着性を発揮してしまう。その結果、二液性接着剤がノズル形成面近傍で固化し、ノズル詰まりが発生するおそれがある。したがって、二液性接着剤を使用する場合であっても、吐出前にノズル形成面21A近傍で固化することを抑制し、ノズル詰まりが発生することを抑制することが可能となる。
【0076】
また、この構成によれば、第1の液体60A及び第2の液体60Bとして二液性塗料または封止材を用いている。この場合でも、第1の液体60Aと第2の液体60Bとが液体噴射ヘッド10のノズル形成面21Aから離間してからメディアPに着弾するまでの間で互いに接触して混合されるので、二液性塗料あるいは封止材がノズル形成面21Aから離間する前に硬化性を発揮することがない。この点について、特許文献1では第1の液体が第2ノズル内に引き込まれた後、第1の液体と第2の液体とを混合させる構成となっているので、二液性塗料あるいは封止材がノズル形成面から離間する前に硬化性を発揮してしまう。その結果、二液性塗料または封止材がノズル形成面近傍で固化し、ノズル詰まりが発生するおそれがある。したがって、二液性塗料または封止材を使用する場合であっても、吐出前にノズル形成面21A近傍で固化することを抑制し、ノズル詰まりが発生することを抑制することが可能となる。
【0077】
また、この構成によれば、第1の液体60Aと第2の液体60Bとが飛翔している状態で互いに接触して混合される。したがって、異なる種類の液体をノズルから吐出させる場合において、第1の液体60Aの表面張力及び粘度等の特性を調整することを必要とせず、混合液体60の吐出量を容易に調整し、かつ第1の液体60Aにより第2の液体が汚染されることが抑制することができ、さらに、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置1が提供できる。
【0078】
また、この構成によれば、第1の液体60Aと第2の液体60BとがメディアPに着弾した状態で互いに接触して混合される。したがって、異なる種類の液体をノズルから吐出させる場合において、第1の液体60Aの表面張力及び粘度等の特性を調整することを必要とせず、混合液体60の吐出量を容易に調整し、かつ、第1の液体60Aにより第2の液体60Bが汚染されることを抑制することができ、さらに、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置1が提供できる。
【0079】
また、この構成によれば、相対的に高粘度の第1の液体60AがメディアPに着弾した後に相対的に低粘度の第2の液体60BがメディアPに着弾される。このため、相対的に低粘度の第2の液体60BがメディアPに着弾した後に相対的に高粘度の第1の液体60AがメディアPに着弾される場合に比べて、メディアPに対する液体の染み込みを抑制することができる。ここで、メディアPに染み込んだ液体は表示に寄与しない無駄な部分となる。したがって、第1の液体60Aの吐出量及び第2の液体60Bの吐出量を必要最小限に抑え、表示に寄与しない無駄な部分の吐出を抑制した低コストの液体噴射装置1が提供できる。
【0080】
また、この構成によれば、第1ノズル17Aの傾き角度Θ1が第2ノズル17Bの傾き角度Θ2と同じになっているため、第1ノズル17Aの傾き角度Θ1が第2ノズル17Bの傾き角度Θ2と異なっている場合に比べて、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。これに伴って、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出量、第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出量、及び混合液体60の吐出量を調整することも容易となる。
【0081】
また、この構成によれば、第1ノズル17A及び第2ノズル17BがそれぞれメディアPに向けて小さくなるように連続したテーパ形状となっているため、第1ノズル17A及び第2ノズル17BがそれぞれメディアPに向けてサイズ(例えばノズル開口径)が同じとなっている場合に比べて、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。これに伴って、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出量、第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出量、及び混合液体60の吐出量を調整することも容易となる。
【0082】
なお、本実施形態では、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bがそれぞれ第1圧力室31A及び第2圧力室31Bに対して1つずつ配置されている(シングルノズルタイプを例示している)が、これに限らない。以下、本実施形態とは異なる形態のノズルを備える液体噴射装置について図8〜図11を用いて説明する。
【0083】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態におけるノズル117(第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117C)の配置構成を示す模式図である。なお、図8は液体噴射装置を構成する液体噴射ヘッド110及びその周辺部を断面視した要部断面図である。また、図8において、符号ΘA1は第1サブノズル117A1のノズル形成面121Aに対する傾き角度(以下、第1サブノズル117A1の傾き角度という)、符号Θ2は第2サブノズル117A2のノズル形成面121Aに対する傾き角度(以下、第2サブノズル117A2の傾き角度という)、符号ΘB1は第3サブノズル117B1のノズル形成面121Aに対する傾き角度(以下、第3サブノズル117B1の傾き角度という)、符号ΘB2は第4サブノズル117B2のノズル形成面121Aに対する傾き角度(以下、第4サブノズル117B2の傾き角度という)、符号ΘC1は第5サブノズル117C1のノズル形成面121Aに対する傾き角度(以下、第5サブノズル117C1の傾き角度という)、符号ΘC2は第6サブノズル117C2のノズル形成面121Aに対する傾き角度(以下、第6サブノズル117C2の傾き角度という)である。
【0084】
本実施形態に係る液体噴射ヘッド110は、ノズル117が第1ノズル117A、第2ノズル117B、及び第3ノズル117Cからなる点、第1ノズル117Aが2つのサブノズル117A1,117A2からなる点(ツインノズルタイプである点)、第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体と第2ノズル117Bから噴射された第2の液体とが混合され、第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体と第3ノズル117Cから噴射された第3の液体とが混合される点で第1実施形態における液体噴射ヘッド10と異なる。図8において、図4と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0085】
図8に示すように、第2の液体を収容する第2圧力室131B及び第3の液体(第1の液体とは異なる液体)を収容する第3圧力室131Cは、第1の液体を収容する第1圧力室131Aに隣り合う位置に配置されている。つまり、第1圧力室131Aを挟んで第2圧力室131B及び第3圧力室131Cが配置されている。ここで、第3の液体は、少なくとも第1の液体と異なる液体であればよく第2の液体と同じ液体であってもよい。
【0086】
また、第2圧力室131Bに連通する第2ノズル117B及び第3圧力室131Cに連通する第3ノズル117Cは、第1圧力室131Aに連通する第1ノズル117Aに近接して配置されている。また、第1ノズル117Aは第1サブノズル117A1と第2サブノズル117A2とからなっている。また、第2ノズル117Bは第3サブノズル117B1と第4サブノズル117B2とからなっている。また、第3ノズル117Cは第5サブノズル117C1と第6サブノズル117C2とからなっている。
【0087】
また、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2は、それぞれノズル形成面121Aに対して傾くように形成されている。ここで、第1サブノズル117A1の傾き角度ΘA1は、第4サブノズル117B2の傾き角度ΘB2(第6サブノズル117C2の傾き角度ΘC2)と同じになっている。また、第2サブノズル117A2の傾き角度ΘA2は、第5サブノズル117C1の傾き角度ΘC1(第3サブノズル117B1の傾き角度ΘB1)と同じになっている。
【0088】
これにより、第1サブノズル117A1の傾き角度ΘA1が第4サブノズル117B2の傾き角度ΘB2と異なっている場合に比べて、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体の吐出タイミングと第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体の吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。また、第2サブノズル117A2の傾き角度ΘA2が第5サブノズル117C1の傾き角度ΘC1と異なっている場合に比べて、第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体の吐出タイミングと第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体の吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。
【0089】
また、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2は、それぞれメディアPに向けて小さくなるように連続したテーパ形状となっている。つまり、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2の平面視における断面積(例えばノズル開口径)は、それぞれメディアPに向けて次第に小さくなっている。
【0090】
これにより、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2がそれぞれメディアPに向けてサイズ(例えばノズル開口径)が同じとなっている場合に比べて、各サブノズル117A1,117A2,117B1,117B2,117C1,117C2から噴射される各液体の吐出タイミングを容易に調整することが可能となる。
【0091】
図9は、第2実施形態における第1ノズル117A及び第2ノズル117Bから噴射された第1の液体及び第2の液体(第1ノズル117A及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体及び第3の液体)が飛翔中に混合されるようすを示す図である。なお、図9において、符号160Aは第1ノズル117Aから噴射された第1の液体、符号160Bは第2ノズル117Bから噴射された第2の液体、符号160Cは第3ノズル117Cから噴射された第3の液体、符号161は第1の液体160A及び第2の液体160Bが接触して混合された混合液体、符号162は第1の液体160A及び第3の液体160Cが接触して混合された混合液体である。ここでは、第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cとして、互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤(二液性接着剤)を用いる。例えば、第1の液体160Aとして二液性接着剤の主成分液を用い、第2の液体160B及び第3の液体160Cとして二液性接着剤の硬化剤を用いる。
【0092】
また、図9(a)は第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cが飛翔中の状態を示した図である。また、図9(b)は第1ノズル117A及び第2ノズル117Bから噴射された第1の液体160A及び第2の液体160Bが飛翔中に接触して混合され混合液体161となった状態(第1ノズル117A及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A及び第3の液体160Cが飛翔中に接触して混合され混合液体162となった状態)を示した図である。また、図9(c)は混合液体161,162がメディアPに着弾した状態を示した図である。
【0093】
図9(a)に示すように、第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cが飛翔している状態を考える。具体的には、第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体160A1、第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体160A2、第3サブノズル117B1から噴射された第2の液体160B1、第4サブノズル117B2から噴射された第2の液体160B2、第5サブノズル117C1から噴射された第3の液体160C1、及び第6サブノズル117C2から噴射された第3の液体160C2が飛翔している状態を考える。ここでは、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングと第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングと(第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングと第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングと)が同じに調整されている。
【0094】
また、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2からそれぞれ第1の液体160A1、第1の液体160A2、第2の液体160B1、第2の液体160B2、第3の液体160C1、及び第3の液体160C2が独立して斜めに傾いて噴射される。
【0095】
図9(b)に示すように、第1ノズル117A及び第2ノズル117Bから噴射された第1の液体160A及び第2の液体160Bが合体して混合液体161となった状態(第1ノズル117A及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A及び第3の液体160Cが合体して混合液体162となった状態)を考える。
【0096】
ここでは、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングと第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングとが同じに調整されているため、第1の液体160A1及び第2の液体160B2が互いに側面(第1の液体160A1の−Y方向側の面と第2の液体160B2の+Y方向側の面)で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体160A1及び第2の液体160B2は、接触して混合され混合液体161となり、メディアPに向けて(−Z方向に)落下していく。
【0097】
一方、第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングと第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングとが同じに調整されているため、第1の液体160A2及び第3の液体160C1が互いに側面(第1の液体160A2の+Y方向側の面と第3の液体160C1の−Y方向側の面)で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体160A2及び第3の液体160C1は、接触して混合され混合液体162となり、メディアPに向けて(−Z方向に)落下していく。
【0098】
図9(c)に示すように、混合液体161,162がメディアPに着弾した状態を考える。ここでは、第1の液体160A1及び第2の液体160B2(第1の液体160A2及び第3の液体160C1)が混合されて接着性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体161,162をメディアPの所定の位置に着弾させることにより、接着性を発揮した接着領域をメディアP上に選択的に形成することができる。
【0099】
図10は、第2実施形態における第1ノズル117A及び第2ノズル117Bから噴射された第1の液体及び第2の液体(第1ノズル117A及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体及び第3の液体)がメディアPに着弾した後で混合されるようすを示す図である。なお、図10は図9に対応する図であり、図9と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。ここでは、第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cとして、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)を用いる。例えば、第1の液体160Aとして二液性塗料の主成分液を用い、第2の液体160B及び第3の液体160Cとして二液性塗料の硬化剤を用いる。
【0100】
また、図10(a)は第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cが飛翔中の状態を示した図である。また、図10(b)は第1ノズル117A及び第2ノズル117Bから噴射された第1の液体160A及び第2の液体160BがメディアPに着弾した後に接触して混合され混合液体161となった状態(第1ノズル117A及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A及び第3の液体160CがメディアPに着弾した後に接触して混合され混合液体162となった状態)を示した図である。また、図10(c)は混合液体161,162がメディアPに着弾した状態を示した図である。
【0101】
図10(a)に示すように、第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cが飛翔している状態を考える。具体的には、第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体160A1、第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体160A2、第3サブノズル117B1から噴射された第2の液体160B1、第4サブノズル117B2から噴射された第2の液体160B2、第5サブノズル117C1から噴射された第3の液体160C1、及び第6サブノズル117C2から噴射された第3の液体160C2が飛翔している状態を考える。ここでは、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングと第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングと(第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングと第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングと)が同じに調整されている。
【0102】
また、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2からそれぞれ第1の液体160A1、第1の液体160A2、第2の液体160B1、第2の液体160B2、第3の液体160C1、及び第3の液体160C2が独立して斜めに傾いて噴射される。
【0103】
図10(b)に示すように、第1ノズル117A及び第2ノズル117Bから噴射された第1の液体160A及び第2の液体160Bが合体して混合液体161となった状態(第1ノズル117A及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A及び第3の液体160Cが合体して混合液体162となった状態)を考える。
【0104】
ここでは、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングと第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングとが同じに調整されているため、第1の液体160A1及び第2の液体160B2が互いに側面(第1の液体160A1の−Y方向側の面と第2の液体160B2の+Y方向側の面)で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体160A1及び第2の液体160B2は、メディアPに着弾した後に接触して混合され混合液体161となる。
【0105】
一方、第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングと第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングとが同じに調整されているため、第1の液体160A2及び第3の液体160C1が互いに側面(第1の液体160A2の+Y方向側の面と第3の液体160C1の−Y方向側の面)で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体160A2及び第3の液体160C1は、メディアPに着弾した後に接触して混合され混合液体162となる。
【0106】
図10(c)に示すように、混合液体161,162がメディアPに着弾した状態を考える。ここでは、第1の液体160A1及び第2の液体160B2(第1の液体160A2及び第3の液体160C1)が混合されて硬化性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体161,162をメディアPの所定の位置に着弾させることにより、硬化性を発揮した硬化領域をメディアP上に選択的に形成することができる。
【0107】
図11は、第2実施形態における第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体160A1がメディアPに着弾した後に第4サブノズル117B2から噴射された第2の液体160B2がメディアPに着弾して混合されるようす(第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体160A2がメディアPに着弾した後に第5サブノズル117C1から噴射された第3の液体160C1がメディアPに着弾して混合されるようす)を示す図である。なお、図11は図9に対応する図であり、図9と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。ここでは、第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cとして、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)を用いる。例えば、第1の液体160Aとして二液性塗料の主成分液を用い、第2の液体160B及び第3の液体160Cとして二液性塗料の硬化剤を用いる。また、第1の液体160Aは第2の液体160B及び第3の液体160Cよりも高粘度になっているものとする。
【0108】
また、図11(a)は第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cが飛翔中の状態を示した図である。また、図11(b)は第1ノズル117Aから噴射された第1の液体160AがメディアPに着弾した状態を示した図である。また、図10(c)は第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体160A1がメディアPに着弾した後に第4サブノズル117B2から噴射された第2の液体160B2がメディアPに着弾して混合され混合液体161となった状態(第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体160A2がメディアPに着弾した後に第5サブノズル117C1から噴射された第3の液体160C1がメディアPに着弾して混合され混合液体162となった状態)を示した図である。
【0109】
図11(a)に示すように、第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cが飛翔している状態を考える。具体的には、第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体160A1、第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体160A2、第3サブノズル117B1から噴射された第2の液体160B1、第4サブノズル117B2から噴射された第2の液体160B2、第5サブノズル117C1から噴射された第3の液体160C1、及び第6サブノズル117C2から噴射された第3の液体160C2が飛翔している状態を考える。
【0110】
ここでは、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングと第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングと(第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングと第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングと)が異なるように調整されている。具体的には、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングが第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングよりも早く(第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングが第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングよりも早く)調整されている。
【0111】
また、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2からそれぞれ第1の液体160A1、第1の液体160A2、第2の液体160B1、第2の液体160B2、第3の液体160C1、及び第3の液体160C2が独立して斜めに傾いて噴射される。
【0112】
図11(b)に示すように、第1ノズル117Aから噴射された第1の液体160AがメディアPに着弾した状態を考える。ここでは、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングが第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングよりも早く調整されているため、第1の液体160A1が第2の液体160B2よりも先にメディアPに着弾することとなる。つまり、相対的に高粘度の第1の液体160A1がメディアPに着弾した後に相対的に低粘度の第2の液体160B2がメディアPに着弾される。
【0113】
ここでは、第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングが第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングよりも早く調整されているため、第1の液体160A2が第3の液体160C1よりも先にメディアPに着弾することとなる。つまり、相対的に高粘度の第1の液体160A2がメディアPに着弾した後に相対的に低粘度の第3の液体160C1がメディアPに着弾される。
【0114】
図11(c)に示すように、第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体160A1がメディアPに着弾した後に第4サブノズル117B2から噴射された第2の液体160B2がメディアPに着弾して混合され混合液体161となった状態(第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体160A2がメディアPに着弾した後に第5サブノズル117C1から噴射された第3の液体160C1がメディアPに着弾して混合され混合液体162となった状態)を考える。ここでは、第1の液体160A1及び第2の液体160B2(第1の液体160A2及び第3の液体160C1)が混合されて硬化性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体161,162をメディアPの所定の位置に着弾させることにより、硬化性を発揮した硬化領域をメディアP上に選択的に形成することができる。
【0115】
図12は、第1実施形態及び第2実施形態における混合液体の着弾状態を示す模式図である。なお、図12(a)は第2実施形態おける混合液体161,162の着弾状態を示した図である。また、図12(b)は第1実施形態における混合液体60の着弾状態を示した図である。また、図12において、符号L2はツインノズルタイプの単位着弾面積、符号L1はシングルノズルタイプの単位着弾面積である。ここでは、ツインノズルタイプの単位着弾面積とシングルノズルタイプの単位着弾面積とは同じであることとする。
【0116】
図12に示すように、シングルノズルタイプにおいては、単位着弾面積L1当たり1つの混合液体60しか着弾していない。これに対して、ツインノズルタイプにおいては、単位着弾面積L2当たり2つの混合液体161,162が着弾している。また、混合液体161,162の体積は、混合液体60の体積に比べて小さくなっている。
【0117】
本実施形態に係る液体噴射装置によれば、液体噴射ヘッド110がツインノズルタイプとなっているので、第1ノズルが1つのノズルからなる場合(シングルノズルタイプ)に比べて、高密度でメディアPに液体を吐出することが可能となる。したがって、少量の液体でメディアPを被覆することができるとともに、混合液体層の薄膜化を図ること(混合液体の着弾高さを低くすること)が可能となる。
【0118】
なお、上記実施形態では、第1ノズルから噴射された第1の液体と第2ノズルから噴射された第2の液体(第3ノズルから噴射された第3の液体)とを混合させる液体噴射ヘッドについて説明したが、これに限らない。以下、上記実施形態とは異なる形態の液体噴射ヘッドについて図13及び図14を用いて説明する。
【0119】
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態におけるノズル217(第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217D)の配置構成を示す模式図である。なお、図13は液体噴射装置を構成する液体噴射ヘッド210を斜め下方から視た要部斜視図である。
【0120】
本実施形態に係る液体噴射ヘッド210は、ノズル217が第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217Dからなる点、第1ノズル217Aから噴射された第1の液体と第2ノズル217Bから噴射された第2の液体と第3ノズル217Cから噴射された第3の液体と第4ノズル217Dから噴射された第4の液体とが混合される点で第1実施形態における液体噴射ヘッド10と異なる。
【0121】
図13に示すように、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217Dは互いに近接して配置されている。また、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217Dは、それぞれノズル形成面221Aに対して傾くように形成されている。具体的には、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217Dは、4つのノズル217A,217B,217C,217Dに囲まれた中央部に向けて傾いている。ここで、第1ノズル217Aのノズル形成面221Aに対する傾き角度、第2ノズル217Bのノズル形成面221Aに対する傾き角度、第3ノズル217Cのノズル形成面221Aに対する傾き角度、第4ノズル217Dのノズル形成面221Aに対する傾き角度は、それぞれ同じになっている。
【0122】
また、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217Dは、それぞれメディアP(図示略)に向けて小さくなるように連続したテーパ形状となっている。つまり、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217Dの平面視における断面積(例えばノズル開口径)は、それぞれメディアPに向けて次第に小さくなっている。
【0123】
図14は、第3実施形態における第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C及び第4ノズル217Dからそれぞれ噴射された第1の液体、第2の液体、第3の液体及び第4の液体が混合されるようすを示す図である。なお、図14において、符号260Aは第1ノズル217Aから噴射された第1の液体、符号260Bは第2ノズル217Bから噴射された第2の液体、符号260Cは第3ノズル217Cから噴射された第3の液体、符号260Dは第4ノズル217Dから噴射された第4の液体である。ここで、第4の液体は、少なくとも第1の液体と異なる液体であればよく第2の液体または第3の液体と同じ液体であってもよい。
【0124】
ここでは、第1の液体260A、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dとして、二液性接着剤を用いる。例えば、第1の液体260Aとして二液性接着剤の主成分液を用い、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dとして二液性接着剤の硬化剤を用いる。
【0125】
図14に示すように、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C及び第4ノズル217Dからそれぞれ噴射された第1の液体260A、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dが飛翔している状態を考える。ここでは、第1ノズル217Aから噴射される第1の液体260Aの吐出タイミングと、第2ノズル217Bから噴射される第2の液体260Bの吐出タイミングと、第3ノズル217Cから噴射される第3の液体260Cの吐出タイミングと、第4ノズル217Dから噴射される第4の液体260Dの吐出タイミングとが同じに調整されている。
【0126】
また、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C及び第4ノズル217Dからそれぞれ第1の液体260A、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dが独立して斜めに傾いて噴射される。
【0127】
このため、第1の液体260A、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dが互いに側面で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体260A、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dは、接触して混合され混合液体(図示略)となり、メディア(図示略)に向けて(−Z方向に)落下していく。
【0128】
そして、混合液体がメディアに着弾した状態においては、第1の液体260A、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dが混合されて接着性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体をメディアの所定の位置に着弾させることにより、接着性を発揮した接着領域をメディア上に選択的に形成することができる。
【0129】
なお、本実施形態では、第1ノズルから噴射された第1の液体と第2ノズルから噴射された第2の液体と第3ノズルから噴射された第3の液体と第4ノズルから噴射された第4の液体とを混合させる液体噴射ヘッドについて説明したが、これに限らない。例えば、第1ノズルから噴射された第1の液体と第2ノズルから噴射された第2の液体と第3ノズルから噴射された第3の液体とを混合させる液体噴射ヘッド、さらには第5の液体以上の複数の液体を混合させる液体噴射ヘッドについても適用可能である。
【0130】
なお、上記実施形態においては、液体噴射装置としてシリアル型のインクジェット式プリンターを例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ライン型のインクジェット式プリンターについても適用可能である。
【符号の説明】
【0131】
1…液体噴射装置、10,110,210…液体噴射ヘッド、21A,121A,221A…ノズル形成面、17A,117A,217A…第1ノズル、17B,117B,217B…第2ノズル、60A,160A,260A…第1の液体、60B,160B,260B…第2の液体、117A1…第1サブノズル、117A2…第2サブノズル、117C…第3ノズル、160C,160C1,160C2…第3の液体、Θ1…第1ノズルのノズル形成面に対する傾き角度、Θ2…第2ノズルのノズル形成面に対する傾き角度、P…メディア(媒体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体噴射装置の一種としてインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」という)がある。このプリンターは、キャリッジに搭載された液体噴射ヘッド(以下、「ヘッド」という)の複数のノズルからプラテン上に配置された媒体にインク(液体)を噴射することで印刷を行っている。
【0003】
このようなプリンターにあっては、圧力発生室で加圧した液体をノズルから液滴として媒体に吐出させて印刷を行っている。液体をノズルから吐出させる方法としては様々な方法がある。具体的には、ピエゾ素子の変形により液体に圧力を加えて吐出させる方法が挙げられる。
【0004】
ところで、近年コンピューターを利用した文書作成が盛んに行われており、文字や図形だけでなく、写真のようなカラーの自然画像を文字、図形とともに出力することが要求されている。このため、高精彩であり高品位な自然画像を印刷することが要求され、中間調の表示による階調表現が重要となっている。ここで、中間階調が豊富な自然画像の印刷は、例えば2液混合型のプリンターによって行われる。例えば、第1の液体としてインク、第2の液体として希釈液を用い、いずれか一方の液体の量を変化させインクと希釈液の混合比率を変化させることで吐出される混合溶液の濃度が調整される。
【0005】
一方、2液混合型のプリンターを前述した用途の他にも使用したい場合がある。例えば、第1の液体及び第2の液体として互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤(二液性接着剤)、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)または封止剤を用いる場合である。そこで、第1の液体と第2の液体とで互いに異なる種類の液体を使用する際に、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な装置が要求されている。
【0006】
このような要求に応えるために、第1の液体と第2の液体とを媒体に着弾させるまでの間において、様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、第1の液体が導入される第1圧力室に連通する第1ノズルと、第2の液体が導入される第2圧力室に連通する第2ノズルと、を互いに近接するように配置している。そして、第1ノズルから押し出された第1の液体を第2ノズルに向けて第1ノズルの開口面を伝わらせて第2ノズル内に一旦強制的に引き込んでから、第1の液体と第2の液体との混合液体を吐出させている。これにより、所望の濃度の混合溶液を作製することを可能にしている、
一方、特許文献2では、液体が導入される1つの圧力室に対して2つのノズルを互いに斜めに配置している。そして、2つのノズルからそれぞれ第1の液体と第2の液体とを吐出させ、飛翔中に第1の液体と第2の液体とを衝突させている。これにより、極微小液体を媒体に着弾させることを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−38928号公報
【特許文献2】特開2005−254579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、第1の液体を第2ノズルに向けて第1ノズルの開口面を伝わらせるため、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することが必要となり容易ではない。また、第1の液体を第2ノズル内に引き込んだ後、第1の液体と第2の液体との混合液体を吐出させるため、混合液体の吐出量を調整することが困難となる。さらに、第1の液体が第2ノズル内部に付着し第2の液体が汚染されるという問題がある。したがって、このような問題を解決するに当たっては、使用する液体の種類が限られてしまう。
一方、特許文献2では、1つの圧力室に対して2つのノズルを配置しているため、同じ種類の液体どうししか衝突させることができない。つまり、異なる種類の液体を衝突させることはできない。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、異なる種類の液体をノズルから吐出させる場合において、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することを必要とせず、第1の液体と第2の液体との混合液体の吐出量を容易に調整し、かつ、第1の液体により第2の液体が汚染されることが抑制することができ、さらに、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の液体噴射装置は、媒体に対向するノズル形成面に、第1の液体を噴射する第1ノズルと、前記第1ノズルに近接して配置されるとともに前記第1の液体とは異なる第2の液体を噴射する第2ノズルと、が設けられた液体噴射ヘッドを備えており、前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、それぞれ前記ノズル形成面に対して傾くように形成され、前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とは、前記ノズル形成面から離間した位置から前記媒体に着弾する位置までの間で、互いに接触して混合されることを特徴とする。
【0011】
この液体噴射装置によれば、第1の液体と第2の液体とが液体噴射ヘッドのノズル形成面から離間してから媒体に着弾するまでの間で互いに接触して混合される。つまり、特許文献1のように第1の液体を第2ノズルに向けて第1ノズルの開口面に伝わせる構成となっていない。このため、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することが不要となる。また、第1の液体の吐出量が第1ノズルで調整され、第2の液体の吐出量が第2ノズルで調整されるため、第1の液体と第2の液体との混合液体の吐出量を調整するときは、各ノズルから噴射される各液体の吐出量のみを調整すれば済む。このため、第1の液体と第2の液体との混合液体の吐出量を容易に調整することができる。また、特許文献1のように第1の液体が第2ノズル内に引き込まれる構成となっていない。このため、第1の液体により第2の液体が汚染されることを抑制することができる。したがって、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置が提供できる。
【0012】
また、上記液体噴射装置において、前記第1の液体及び前記第2の液体は、互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤であってもよい。
【0013】
この液体噴射装置によれば、第1の液体と第2の液体とが液体噴射ヘッドのノズル形成面から離間してから媒体に着弾するまでの間で互いに接触して混合されるので、互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤(二液性接着剤)がノズル形成面から離間する前に接着性を発揮することがない。この点について、特許文献1では第1の液体が第2ノズル内に引き込まれた後、第1の液体と第2の液体とを混合させる構成となっているので、二液性接着剤がノズル形成面から離間する前に接着性を発揮してしまう。その結果、二液性接着剤がノズル形成面近傍で固化し、ノズル詰まりが発生するおそれがある。したがって、二液性接着剤を使用する場合であっても、吐出前にノズル形成面近傍で固化することを抑制し、ノズル詰まりが発生することを抑制することが可能となる。
【0014】
また、上記液体噴射装置において、前記第1の液体及び前記第2の液体は、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料または封止材であってもよい。
【0015】
この液体噴射装置によれば、第1の液体と第2の液体とが液体噴射ヘッドのノズル形成面から離間してから媒体に着弾するまでの間で互いに接触して混合されるので、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)あるいは封止材がノズル形成面から離間する前に硬化性を発揮することがない。この点について、特許文献1では第1の液体が第2ノズル内に引き込まれた後、第1の液体と第2の液体とを混合させる構成となっているので、二液性塗料または封止材がノズル形成面から離間する前に硬化性を発揮してしまう。その結果、二液性塗料または封止材がノズル形成面近傍で固化し、ノズル詰まりが発生するおそれがある。したがって、二液性塗料または封止材を使用する場合であっても、吐出前にノズル形成面近傍で固化することを抑制し、ノズル詰まりが発生することを抑制することが可能となる。
【0016】
また、上記液体噴射装置において、前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とは、飛翔している状態で、互いに接触して混合されてもよい。
【0017】
この液体噴射装置によれば、第1の液体と第2の液体とが飛翔している状態で互いに接触して混合される。したがって、異なる種類の液体をノズルから吐出させる場合において、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することを必要とせず、第1の液体と第2の液体との混合液体の吐出量を容易に調整し、かつ、第1の液体により第2の液体が汚染されることを抑制することができ、さらに、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置が提供できる。
【0018】
また、上記液体噴射装置において、前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とは、前記媒体に着弾した状態で、互いに接触して混合されてもよい。
【0019】
この液体噴射装置によれば、第1の液体と第2の液体とが媒体に着弾した状態で互いに接触して混合される。したがって、異なる種類の液体をノズルから吐出させる場合において、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することを必要とせず、第1の液体と第2の液体との混合液体の吐出量を容易に調整し、かつ、第1の液体により第2の液体が汚染されることを抑制することができ、さらに、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置が提供できる。
【0020】
また、上記液体噴射装置において、前記第1の液体が前記第2の液体よりも高粘度の場合において、前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体が前記媒体に着弾した後に、前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体が前記媒体に着弾されてもよい。
【0021】
この液体噴射装置によれば、相対的に高粘度の第1の液体が媒体に着弾した後に相対的に低粘度の第2の液体が媒体に着弾される。このため、相対的に低粘度の第2の液体が媒体に着弾した後に相対的に高粘度の第1の液体が媒体に着弾される場合に比べて、媒体に対する液体の染み込みを抑制することができる。ここで、媒体に染み込んだ液体は表示に寄与しない無駄な部分となる。したがって、第1の液体の吐出量及び第2の液体の吐出量を必要最小限に抑え、表示に寄与しない無駄な部分の吐出を抑制した低コストの液体噴射装置が提供できる。
【0022】
また、上記液体噴射装置において、前記第1ノズルの前記ノズル形成面に対する傾き角度は、前記第2ノズルの前記ノズル形成面に対する傾き角度と同じになっていてもよい。
【0023】
この液体噴射装置によれば、第1ノズルのノズル形成面に対する傾き角度が第2ノズルのノズル形成面に対する傾き角度と異なっている場合に比べて、第1ノズルから噴射される第1の液体の吐出タイミングと第2ノズルから噴射される第2の液体の吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。これに伴って、第1ノズルから噴射される第1の液体の吐出量、第2ノズルから噴射される第2の液体の吐出量、及び混合液体の吐出量を調整することも容易となる。
【0024】
また、上記液体噴射装置において、前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、それぞれ前記媒体に向けて小さくなるように連続したテーパ形状となっていてもよい。
【0025】
この液体噴射装置によれば、第1ノズル及び第2ノズルがそれぞれ媒体に向けてサイズ(例えばノズル開口径)が同じとなっている場合に比べて、第1ノズルから噴射される第1の液体の吐出タイミングと第2ノズルから噴射される第2の液体の吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。これに伴って、第1ノズルから噴射される第1の液体の吐出量、第2ノズルから噴射される第2の液体の吐出量、及び混合液体の吐出量を調整することも容易となる。
【0026】
また、上記液体噴射装置において、前記第1ノズルは第1サブノズルと第2サブノズルとからなり、前記第2サブノズルに近接して配置されるとともに前記第1の液体とは異なる第3の液体を噴射する第3ノズルが設けられており、前記第1サブノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とが混合され、前記第2サブノズルから噴射された前記第1の液体と前記第3ノズルから噴射された前記第3の液体とが混合されてもよい。
【0027】
この液体噴射装置によれば、第1ノズルが1つのノズルからなる場合に比べて、高密度で媒体に液体を吐出することが可能となる。したがって、少量の液体で媒体を被覆することができるとともに、混合液体層の薄膜化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係る液体噴射装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】液体噴射ヘッドのノズル形成面におけるノズル配列状態を示す図である。
【図3】液体噴射ヘッドの内部構成を示す部分断面図である。
【図4】第1実施形態におけるノズルの配置構成を示す模式図である。
【図5】第1の液体及び第2の液体が飛翔中に混合されるようすを示す図である。
【図6】第1の液体及び第2の液体が着弾した後で混合されるようすを示す図である。
【図7】第1の液体が着弾した後に第2の液体が着弾して混合されるようすを示す図である。
【図8】第2実施形態におけるノズルの配置構成を示す模式図である。
【図9】第1の液体及び第2の液体が飛翔中に混合されるようすを示す図である。
【図10】第1の液体及び第2の液体が着弾した後で混合されるようすを示す図である。
【図11】第1の液体が着弾した後に第2の液体が着弾して混合されるようすを示す図である。
【図12】第1実施形態及び第2実施形態における混合液体の着弾状態を示す模式図である。
【図13】第3実施形態におけるノズルの配置構成を示す模式図である。
【図14】第1の液体〜第4の液体が混合されるようすを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の概略構成を示す斜視図である。以下、液体噴射装置としてシリアル型のインクジェット式プリンターを例に挙げて説明する。
【0031】
液体噴射装置1は、プラテン50に支持されたメディア(媒体)Pにインク(液体)を噴射することでメディアPに所定の情報や画像を印字する記録処理を行うものである。ここで、液体噴射装置1は、メディアPに対して第1の液体及び第1の液体とは異なる第2の液体(後述する二液性接着剤、二液性塗料または封止材)を噴射するようになっている。この液体噴射装置1は、複数のノズル17(図2参照)から液体をメディアPに向けて噴射する液体噴射ヘッド10と、液体噴射ヘッド10を搭載して走査移動するキャリッジ40と、を備えて構成されている。
【0032】
なお、本実施形態では、メディアPに対向する液体噴射ヘッド10のノズル形成面21Aに、第1の液体を噴射する第1ノズル17Aと、第1ノズル17Aに近接して配置されるとともに第1の液体とは異なる第2の液体を噴射する第2ノズル17Bと、が設けられている(図2参照)。
【0033】
以下、図1に示したXYZ直交座標系に基づいて説明する。このXYZ直交座標系において、X方向及びY方向がプラテン50の面方向と平行となっており、Z方向がプラテン50の面方向と直交している。実際には、XY平面が水平面に平行な面に設定されており、Z方向が鉛直上方向に設定されている。ここでは、メディアPの搬送方向がY方向、液体噴射ヘッド10の走査方向がX方向に設定されている。
【0034】
図1に示すように、液体噴射装置1は、平面視矩形状をなすフレーム42を備えている。このフレーム42内には、プラテン50が架設されている。このプラテン50は、メディアPを吸引する複数の吸引孔(図示略)を備えている。メディアPは複数の吸引孔に作用する吸引力によってプラテン50の上面に保持される。これにより、メディアPのコックリングやカールが抑えられる。
【0035】
また、プラテン50上には、フレーム42の背面に設けられた紙送りモーター44を有する紙送り機構によりメディアPが+Y方向側から給送される。これにより、メディアPがY方向に延びる搬送路に沿って搬送されるようになっている。また、フレーム42内におけるプラテン50の上方には、プラテン50の長手方向(X方向)と平行な棒状のガイド部材45が架設されている。
【0036】
ガイド部材45には、キャリッジ40がガイド部材45の長手方向(X方向)に沿って往復移動可能に支持されている。キャリッジ40は、フレーム42内の後面に設けられた一対のプーリ47a間に張設されたタイミングベルト47を介してフレーム42の背面に設けられたキャリッジモーター48に連結されている。キャリッジ40は、キャリッジモーター48の駆動によりガイド部材45に沿って往復移動される。
【0037】
キャリッジ40の下面には、液体噴射ヘッド10が設けられている。液体噴射ヘッド10の下面は、複数のノズル17が形成されたノズル形成面21Aとなっている(図2参照)。また、キャリッジ40における液体噴射ヘッド10の上側には、カートリッジ41が着脱可能に搭載されている。このカートリッジ41内には、第1の液体及び第2の液体がそれぞれ液体噴射ヘッド10に供給可能に収容されている。
【0038】
ここで、図2及び図3を参照して液体噴射ヘッド10の構成について説明する。図2は、液体噴射ヘッド10のノズル形成面21Aにおけるノズル17の配列状態を示す図である。図3は、液体噴射ヘッド10の内部構成を示す部分断面図である。
【0039】
図2に示すように、ノズル17はノズル形成面21Aにおいて搬送路の幅方向(X方向)に沿って複数設けられ、ノズル列16を形成している。このノズル列16は、搬送方向(Y方向)に沿って計5列設けられている。ノズル列16A、16Bは、それぞれ、第1の液体、第2の液体を噴射する構成となっている。なお、液体噴射ヘッド10どうしをノズル17間のピッチの半分だけ左右方向にずらして配置してもよい。これにより、メディアPに対して印字する解像度を向上させることができる。
【0040】
ここで、第1の液体及び第2の液体について説明する。第1の液体及び第2の液体は、互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤(二液性接着剤)である。つまり、第1の液体及び第2の液体は、異なる液体の混合により重合反応・吸湿・縮合反応などを起こして接着性を発揮する化学反応型の接着剤である。二液性接着剤としては、例えば、アクリル酸及び誘導体を主成分液に用いて、これに硬化剤を混合させてレドックス重合を起こし硬化・接着するもの(アクリル樹脂系接着剤)がある。また、α-オレフィンの一種であるイソブチレンと無水マレイン酸との共重合樹脂水溶液に水酸化カルシウム・ラテックス・金属酸化物等の充填剤を添加したものを主成分液に用いて、これに硬化剤を混合させて架橋を生じさせ硬化・接着するもの(α-オレフィン系接着剤)がある。また、末端に水酸基を持つポリオールとポリイソシアネート、または末端にイソシアネート基を持つウレタンプレポリマーとポリオールを混合させて化学反応を起こし硬化・接着するもの(ウレタン樹脂系接着剤)がある。また、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンを縮合反応させたエポキシ樹脂プレポリマーを主成分液に用いて、これにアミン等の硬化剤を混合させてグラフト重合を起こし硬化・接着するもの(エポキシ樹脂系接着剤)がある。また、末端にビニル基を持つオルガノポリシロキサンを主成分液に用いて、これに架橋剤を混合させて硬化・接着するもの(シリコーン系接着剤)がある。
【0041】
なお、第1の液体及び第2の液体としては、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)を用いることもできる。つまり、第1の液体及び第2の液体は、異なる液体の混合により重合反応・吸湿・縮合反応などを起こして硬化性を発揮する化学反応型の塗料であってもよい。二液性塗料としては、例えば、ウレタン樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、及びエポキシ樹脂塗料が挙げられる。
【0042】
また、第1の液体及び第2の液体としては、互いに混合されることで硬化性を発揮する封止材を用いることもできる。つまり、第1の液体及び第2の液体は、異なる液体の混合により重合反応・吸湿・縮合反応などを起こして硬化性を発揮する化学反応型の封止材であってもよい。このような封止材としては、例えば、有機変性シリコーン、メチルシリコーン、及びフェニルシリコーンが挙げられる。なお、硬くてべたつきが少ない表層となるレジン、柔らかく応力緩和性に優れるエラストマー等のタイプを必要に応じて適宜選択することができる。
【0043】
図3に示すように、液体噴射ヘッド10は、ヘッド本体18と、ヘッド本体18に接続された流路形成ユニット22とを備える。流路形成ユニット22は、振動板19と、流路基板20と、ノズル基板21とを備えるとともに、共通液体室29と、液体供給口30と、圧力室31とを形成する。さらに、流路形成ユニット22は、ダイヤフラム部として機能する島部32と、共通液体室29内の圧力変動を吸収するコンプライアンス部33とを備える。ヘッド本体18には、固定部材26とともに駆動ユニット24を収容する収容空間23と、液体を流路形成ユニット22に案内する内部流路28とが形成される。
【0044】
上記構成の液体噴射ヘッド10によれば、ケーブル27を介して駆動ユニット24に駆動信号が入力されると、圧電素子25が伸縮する。これにより、振動板19が圧力室31に接近する方向(−Z方向)及び圧力室31から離れる方向(+Z方向)に変形(移動)する。このため、圧力室31の容積が変化し、液体を収容した圧力室31の圧力が変動する。この圧力の変動によって、ノズル17から液体が噴射される。
【0045】
図1に戻り、カートリッジ41内の液体は、液体噴射ヘッド10内に各ノズル17と対応するように備えられた圧電素子25の駆動により、液体噴射ヘッド10へと供給される。さらに、各ノズル17からプラテン50上に給送されたメディアPに向けて液体が噴射されることにより、メディアPに着弾される。
【0046】
また、フレーム42内の右端部(X方向端部)に位置する非液体噴射領域には、非印刷時に液体噴射ヘッド10のメンテナンス(例えば、クリーニングやフラッシング等)を行うためのメンテナンスユニット52が設けられている。メンテナンスユニット52は、液体噴射ヘッド10のノズル形成面21Aを封止可能な上側(+Z方向側)が開口したキャップ53を備えている。
【0047】
ところで、従来の液体噴射装置においては、第1の液体を第2ノズルに向けて第1ノズルの開口面を伝わらせるため、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することが必要となり容易ではなかった。また、第1の液体を第2ノズル内に引き込んだ後、第1の液体と第2の液体との混合液体を吐出させるため、混合液体の吐出量を調整することが困難となっていた。さらに、第1の液体が第2ノズル内部に付着し第2の液体が汚染されるという問題があった。したがって、このような問題を解決するに当たっては、使用する液体の種類が限られていた。
【0048】
そこで、本発明に係る液体噴射装置1では、メディアPに対向するノズル形成面21Aに、第1の液体を噴射する第1ノズル17Aと、第1ノズル17Aに近接して配置されるとともに第2の液体を噴射する第2ノズル17Bと、が設けられた液体噴射ヘッド10を備えており、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bは、それぞれノズル形成面21Aに対して傾くように形成され、第1ノズル17Aから噴射された第1の液体と第2ノズル17Bから噴射された第2の液体とは、ノズル形成面21Aから離間した位置からメディアPに着弾する位置までの間で、互いに接触して混合されることによって、異なる種類の液体をノズルから吐出させる場合において、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することを必要とせず、第1の液体と第2の液体との混合液体の吐出量を容易に調整し、かつ、第1の液体により第2の液体が汚染されることが抑制することができ、さらに、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することを可能にしている。以下、図4〜図7を用いて液体噴射ヘッド10における第1ノズル17A及び第2ノズル17Bの配置構成及び第1ノズル17A及び第2ノズル17Bからそれぞれ噴射された第1の液体及び第2の液体が混合されるようすについて説明する。
【0049】
図4は、第1実施形態におけるノズル17(第1ノズル17A及び第2ノズル17B)の配置構成を示す模式図である。なお、図4は液体噴射装置1を構成する液体噴射ヘッド10及びその周辺部を断面視した要部断面図である。また、図4において、符号Θ1は第1ノズル17Aのノズル形成面21Aに対する傾き角度(以下、第1ノズル17Aの傾き角度という)、符号Θ2は第2ノズル17Bのノズル形成面21Aに対する傾き角度(以下、第2ノズル17Bの傾き角度という)である。
【0050】
図4に示すように、第1の液体を収容する第1圧力室31A及び第2の液体を収容する第2圧力室31Bは、互いに隣り合う位置に配置されている。また、第1圧力室31Aに連通する第1ノズル17A及び第2圧力室31Bに連通する第2ノズル17Bは、互いに近接して配置されている。また、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bは、それぞれ第1圧力室31A及び第2圧力室31Bに対して1つずつ配置されている(シングルノズルタイプ)。なお、ノズル形成面21AとメディアPとの間の距離は例えば1mm以下になっている。
【0051】
また、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bは、それぞれノズル形成面21Aに対して傾くように形成されている。ここで、第1ノズル17Aの傾き角度Θ1は、第2ノズル17Bの傾き角度Θ2と同じになっている。
【0052】
これにより、第1ノズル17Aの傾き角度Θ1が第2ノズル17Bの傾き角度Θ2と異なっている場合に比べて、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体の吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体の吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。
【0053】
また、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bは、それぞれメディアPに向けて小さくなるように連続したテーパ形状となっている。つまり、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bの平面視における断面積(例えばノズル開口径)は、それぞれメディアPに向けて次第に小さくなっている。
【0054】
これにより、第1ノズル17A及び第2ノズル17BがそれぞれメディアPに向けてサイズ(例えばノズル開口径)が同じとなっている場合に比べて、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体の吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体の吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。
【0055】
図5は、第1実施形態における第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体及び第2の液体が飛翔中に混合されるようすを示す図である。なお、図5において、符号60Aは第1ノズル17Aから噴射された第1の液体、符号60Bは第2ノズル17Bから噴射された第2の液体、符号60は第1の液体60A及び第2の液体60Bが接触して混合された混合液体である。ここでは、第1の液体60A及び第2の液体60Bとして、互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤(二液性接着剤)を用いる。例えば、第1の液体60Aとして二液性接着剤の主成分液を用い第2の液体60Bとして二液性接着剤の硬化剤を用いる。
【0056】
また、図5(a)は第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔中の状態を示した図である。また、図5(b)は第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔中に接触して混合され混合液体60となった状態を示した図である。また、図5(c)は混合液体60がメディアPに着弾した状態を示した図である。
【0057】
図5(a)に示すように、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔している状態を考える。ここでは、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとが同じに調整されている。
【0058】
また、第1ノズル17Aから第1の液体60Aが独立して斜めに傾いて噴射され、第2ノズル17Bから第2の液体60Bが独立して斜めに傾いて噴射される。つまり、特許文献1のように第1の液体を第2ノズルに向けて第1ノズルの開口面に伝わせる構成となっていない。このため、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することが不要となる。また、特許文献1のように第1の液体が第2ノズル内に引き込まれる構成となっていない。このため、第1の液体60Aにより第2圧力室31Bが汚染され、これに伴って第2の液体60Bが汚染されることが抑制することができる。
【0059】
図5(b)に示すように、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが合体して混合液体60となった状態を考える。ここでは、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとが同じに調整されているため、第1の液体60A及び第2の液体60Bが互いに側面(第1の液体60Aの−Y方向側の面と第2の液体60Bの+Y方向側の面)で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bは、接触して混合され混合液体60となり、メディアPに向けて(−Z方向に)落下していく。
【0060】
このように、第1の液体60Aと第2の液体60Bとが飛翔している状態で互いに接触して混合されるので、二液性接着剤がノズル形成面21Aから離間する前に接着性を発揮することがない。
【0061】
また、第1の液体60Aの吐出量が第1ノズル17Aで調整され、第2の液体60Bの吐出量が第2ノズル17Bで調整されることとなる。このため、第1の液体60Aと第2の液体60Bとの混合液体60の吐出量を調整するときは、各ノズル17A,17Bから噴射される各液体60A,60Bの吐出量のみを調整すれば済む。
【0062】
図5(c)に示すように、混合液体60がメディアPに着弾した状態を考える。ここでは、第1の液体60A及び第2の液体60Bが混合されて接着性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体60をメディアPの所定の位置に着弾させることにより、接着性を発揮した接着領域をメディアP上に選択的に形成することができる。
【0063】
図6は、第1実施形態における第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体及び第2の液体がメディアPに着弾した後で混合されるようすを示す図である。なお、図6は図5に対応する図であり、図5と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。ここでは、第1の液体60A及び第2の液体60Bとして、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)を用いる。例えば、第1の液体60Aとして二液性塗料の主成分液を用い第2の液体60Bとして二液性塗料の硬化剤を用いる。
【0064】
また、図6(a)は第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔中の状態を示した図である。また、図6(b)は第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60BがメディアPに着弾した後に接触して混合され混合液体60となった状態を示した図である。また、図6(c)は混合液体60がメディアPに着弾した状態を示した図である。
【0065】
図6(a)に示すように、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔している状態を考える。ここでは、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとが同じに調整されている。また、第1ノズル17Aから第1の液体60Aが独立して斜めに傾いて噴射され、第2ノズル17Bから第2の液体60Bが独立して斜めに傾いて噴射される。
【0066】
図6(b)に示すように、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが合体して混合液体60となった状態を考える。ここでは、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとが同じに調整されているため、第1の液体60A及び第2の液体60Bが互いに側面(第1の液体60Aの−Y方向側の面と第2の液体60Bの+Y方向側の面)で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体60A及び第2の液体60は、メディアPに着弾した後に接触して混合され混合液体60となる。
【0067】
このように、第1の液体60Aと第2の液体60BとがメディアPに着弾した状態で互いに接触して混合されるので、二液性塗料がノズル形成面21Aから離間する前に硬化性を発揮することがない。
【0068】
図6(c)に示すように、混合液体60がメディアPに着弾した状態を考える。ここでは、第1の液体60A及び第2の液体60Bが混合されて硬化性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体60をメディアPの所定の位置に着弾させることにより、硬化性を発揮した硬化領域をメディアP上に選択的に形成することができる。
【0069】
図7は、第1実施形態における第1ノズル17Aから噴射された第1の液体60がメディアPに着弾した後に第2ノズル17Bから噴射された第2の液体60BがメディアPに着弾して混合されるようすを示す図である。なお、図7は図5に対応する図であり、図5と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。ここでは、第1の液体60A及び第2の液体60Bとして、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)を用いる。例えば、第1の液体60Aとして二液性塗料の主成分液を用い第2の液体60Bとして二液性塗料の硬化剤を用いる。また、第1の液体60Aは第2の液体60Bよりも高粘度になっているものとする。
【0070】
また、図7(a)は第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔中の状態を示した図である。また、図7(b)は第1ノズル17Aから噴射された第1の液体60AがメディアPに着弾した状態を示した図である。また、図7(c)は第1の液体60がメディアPに着弾した後に第2ノズル17Bから噴射された第2の液体60BがメディアPに着弾して混合され混合液体60となった状態を示した図である。
【0071】
図7(a)に示すように、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bから噴射された第1の液体60A及び第2の液体60Bが飛翔している状態を考える。ここでは、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとが異なるように調整されている。具体的には、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングが第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングよりも早く調整されている。また、第1ノズル17Aから第1の液体60Aが独立して斜めに傾いて噴射され、第2ノズル17Bから第2の液体60Bが独立して斜めに傾いて噴射される。
【0072】
図7(b)に示すように、第1ノズル17Aから噴射された第1の液体60AがメディアPに着弾した状態を考える。ここでは、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングが第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングよりも早く調整されているため、第1の液体60Aが第2の液体60Bよりも先にメディアPに着弾することとなる。つまり、相対的に高粘度の第1の液体60AがメディアPに着弾した後に相対的に低粘度の第2の液体60BがメディアPに着弾される。このため、相対的に低粘度の第2の液体60BがメディアPに着弾した後に相対的に高粘度の第1の液体60AがメディアPに着弾される場合に比べて、メディアPに対する液体の染み込みを抑制することができる。
【0073】
図7(c)に示すように、第1の液体60がメディアPに着弾した後に第2ノズル17Bから噴射された第2の液体60BがメディアPに着弾して混合され混合液体60となった状態を考える。ここでは、第1の液体60A及び第2の液体60Bが混合されて硬化性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体60をメディアPの所定の位置に着弾させることにより、硬化性を発揮した硬化領域をメディアP上に選択的に形成することができる。
【0074】
本実施形態に係る液体噴射装置1によれば、第1の液体60Aと第2の液体60Bとが液体噴射ヘッド10のノズル形成面21Aから離間してからメディアPに着弾するまでの間で互いに接触して混合される。つまり、特許文献1のように第1の液体を第2ノズルに向けて第1ノズルの開口面に伝わせる構成となっていない。このため、第1の液体の表面張力及び粘度等の特性を調整することが不要となる。また、第1の液体60Aの吐出量が第1ノズル17Aで調整され、第2の液体60Bの吐出量が第2ノズル17Bで調整されるため、第1の液 体60Aと第2の液体60Bとの混合液体60の吐出量を調整するときは、各ノズル17A,17Bから噴射される各液体60A,60Bの吐出量のみを調整すれば済む。このため、混合液体60の吐出量を容易に調整することができる。また、特許文献1のように第1の液体が第2ノズル内に引き込まれる構成となっていない。このため、第1の液体60Aにより第2の液体60Bが汚染されることを抑制することができる。したがって、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置1が提供できる。
【0075】
また、この構成によれば、第1の液体60A及び第2の液体60Bとして二液性接着剤を用いている。この場合でも、第1の液体60Aと第2の液体60Bとが液体噴射ヘッド10のノズル形成面21Aから離間してからメディアPに着弾するまでの間で互いに接触して混合されるので、二液性接着剤がノズル形成面21Aから離間する前に接着性を発揮することがない。この点について、特許文献1では第1の液体が第2ノズル内に引き込まれた後、第1の液体と第2の液体とを混合させる構成となっているので、二液性接着剤がノズル形成面から離間する前に接着性を発揮してしまう。その結果、二液性接着剤がノズル形成面近傍で固化し、ノズル詰まりが発生するおそれがある。したがって、二液性接着剤を使用する場合であっても、吐出前にノズル形成面21A近傍で固化することを抑制し、ノズル詰まりが発生することを抑制することが可能となる。
【0076】
また、この構成によれば、第1の液体60A及び第2の液体60Bとして二液性塗料または封止材を用いている。この場合でも、第1の液体60Aと第2の液体60Bとが液体噴射ヘッド10のノズル形成面21Aから離間してからメディアPに着弾するまでの間で互いに接触して混合されるので、二液性塗料あるいは封止材がノズル形成面21Aから離間する前に硬化性を発揮することがない。この点について、特許文献1では第1の液体が第2ノズル内に引き込まれた後、第1の液体と第2の液体とを混合させる構成となっているので、二液性塗料あるいは封止材がノズル形成面から離間する前に硬化性を発揮してしまう。その結果、二液性塗料または封止材がノズル形成面近傍で固化し、ノズル詰まりが発生するおそれがある。したがって、二液性塗料または封止材を使用する場合であっても、吐出前にノズル形成面21A近傍で固化することを抑制し、ノズル詰まりが発生することを抑制することが可能となる。
【0077】
また、この構成によれば、第1の液体60Aと第2の液体60Bとが飛翔している状態で互いに接触して混合される。したがって、異なる種類の液体をノズルから吐出させる場合において、第1の液体60Aの表面張力及び粘度等の特性を調整することを必要とせず、混合液体60の吐出量を容易に調整し、かつ第1の液体60Aにより第2の液体が汚染されることが抑制することができ、さらに、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置1が提供できる。
【0078】
また、この構成によれば、第1の液体60Aと第2の液体60BとがメディアPに着弾した状態で互いに接触して混合される。したがって、異なる種類の液体をノズルから吐出させる場合において、第1の液体60Aの表面張力及び粘度等の特性を調整することを必要とせず、混合液体60の吐出量を容易に調整し、かつ、第1の液体60Aにより第2の液体60Bが汚染されることを抑制することができ、さらに、異なる種類の液体を必要に応じて幅広く選択することが可能な液体噴射装置1が提供できる。
【0079】
また、この構成によれば、相対的に高粘度の第1の液体60AがメディアPに着弾した後に相対的に低粘度の第2の液体60BがメディアPに着弾される。このため、相対的に低粘度の第2の液体60BがメディアPに着弾した後に相対的に高粘度の第1の液体60AがメディアPに着弾される場合に比べて、メディアPに対する液体の染み込みを抑制することができる。ここで、メディアPに染み込んだ液体は表示に寄与しない無駄な部分となる。したがって、第1の液体60Aの吐出量及び第2の液体60Bの吐出量を必要最小限に抑え、表示に寄与しない無駄な部分の吐出を抑制した低コストの液体噴射装置1が提供できる。
【0080】
また、この構成によれば、第1ノズル17Aの傾き角度Θ1が第2ノズル17Bの傾き角度Θ2と同じになっているため、第1ノズル17Aの傾き角度Θ1が第2ノズル17Bの傾き角度Θ2と異なっている場合に比べて、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。これに伴って、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出量、第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出量、及び混合液体60の吐出量を調整することも容易となる。
【0081】
また、この構成によれば、第1ノズル17A及び第2ノズル17BがそれぞれメディアPに向けて小さくなるように連続したテーパ形状となっているため、第1ノズル17A及び第2ノズル17BがそれぞれメディアPに向けてサイズ(例えばノズル開口径)が同じとなっている場合に比べて、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出タイミングと第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。これに伴って、第1ノズル17Aから噴射される第1の液体60Aの吐出量、第2ノズル17Bから噴射される第2の液体60Bの吐出量、及び混合液体60の吐出量を調整することも容易となる。
【0082】
なお、本実施形態では、第1ノズル17A及び第2ノズル17Bがそれぞれ第1圧力室31A及び第2圧力室31Bに対して1つずつ配置されている(シングルノズルタイプを例示している)が、これに限らない。以下、本実施形態とは異なる形態のノズルを備える液体噴射装置について図8〜図11を用いて説明する。
【0083】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態におけるノズル117(第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117C)の配置構成を示す模式図である。なお、図8は液体噴射装置を構成する液体噴射ヘッド110及びその周辺部を断面視した要部断面図である。また、図8において、符号ΘA1は第1サブノズル117A1のノズル形成面121Aに対する傾き角度(以下、第1サブノズル117A1の傾き角度という)、符号Θ2は第2サブノズル117A2のノズル形成面121Aに対する傾き角度(以下、第2サブノズル117A2の傾き角度という)、符号ΘB1は第3サブノズル117B1のノズル形成面121Aに対する傾き角度(以下、第3サブノズル117B1の傾き角度という)、符号ΘB2は第4サブノズル117B2のノズル形成面121Aに対する傾き角度(以下、第4サブノズル117B2の傾き角度という)、符号ΘC1は第5サブノズル117C1のノズル形成面121Aに対する傾き角度(以下、第5サブノズル117C1の傾き角度という)、符号ΘC2は第6サブノズル117C2のノズル形成面121Aに対する傾き角度(以下、第6サブノズル117C2の傾き角度という)である。
【0084】
本実施形態に係る液体噴射ヘッド110は、ノズル117が第1ノズル117A、第2ノズル117B、及び第3ノズル117Cからなる点、第1ノズル117Aが2つのサブノズル117A1,117A2からなる点(ツインノズルタイプである点)、第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体と第2ノズル117Bから噴射された第2の液体とが混合され、第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体と第3ノズル117Cから噴射された第3の液体とが混合される点で第1実施形態における液体噴射ヘッド10と異なる。図8において、図4と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0085】
図8に示すように、第2の液体を収容する第2圧力室131B及び第3の液体(第1の液体とは異なる液体)を収容する第3圧力室131Cは、第1の液体を収容する第1圧力室131Aに隣り合う位置に配置されている。つまり、第1圧力室131Aを挟んで第2圧力室131B及び第3圧力室131Cが配置されている。ここで、第3の液体は、少なくとも第1の液体と異なる液体であればよく第2の液体と同じ液体であってもよい。
【0086】
また、第2圧力室131Bに連通する第2ノズル117B及び第3圧力室131Cに連通する第3ノズル117Cは、第1圧力室131Aに連通する第1ノズル117Aに近接して配置されている。また、第1ノズル117Aは第1サブノズル117A1と第2サブノズル117A2とからなっている。また、第2ノズル117Bは第3サブノズル117B1と第4サブノズル117B2とからなっている。また、第3ノズル117Cは第5サブノズル117C1と第6サブノズル117C2とからなっている。
【0087】
また、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2は、それぞれノズル形成面121Aに対して傾くように形成されている。ここで、第1サブノズル117A1の傾き角度ΘA1は、第4サブノズル117B2の傾き角度ΘB2(第6サブノズル117C2の傾き角度ΘC2)と同じになっている。また、第2サブノズル117A2の傾き角度ΘA2は、第5サブノズル117C1の傾き角度ΘC1(第3サブノズル117B1の傾き角度ΘB1)と同じになっている。
【0088】
これにより、第1サブノズル117A1の傾き角度ΘA1が第4サブノズル117B2の傾き角度ΘB2と異なっている場合に比べて、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体の吐出タイミングと第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体の吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。また、第2サブノズル117A2の傾き角度ΘA2が第5サブノズル117C1の傾き角度ΘC1と異なっている場合に比べて、第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体の吐出タイミングと第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体の吐出タイミングとを容易に調整することが可能となる。
【0089】
また、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2は、それぞれメディアPに向けて小さくなるように連続したテーパ形状となっている。つまり、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2の平面視における断面積(例えばノズル開口径)は、それぞれメディアPに向けて次第に小さくなっている。
【0090】
これにより、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2がそれぞれメディアPに向けてサイズ(例えばノズル開口径)が同じとなっている場合に比べて、各サブノズル117A1,117A2,117B1,117B2,117C1,117C2から噴射される各液体の吐出タイミングを容易に調整することが可能となる。
【0091】
図9は、第2実施形態における第1ノズル117A及び第2ノズル117Bから噴射された第1の液体及び第2の液体(第1ノズル117A及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体及び第3の液体)が飛翔中に混合されるようすを示す図である。なお、図9において、符号160Aは第1ノズル117Aから噴射された第1の液体、符号160Bは第2ノズル117Bから噴射された第2の液体、符号160Cは第3ノズル117Cから噴射された第3の液体、符号161は第1の液体160A及び第2の液体160Bが接触して混合された混合液体、符号162は第1の液体160A及び第3の液体160Cが接触して混合された混合液体である。ここでは、第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cとして、互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤(二液性接着剤)を用いる。例えば、第1の液体160Aとして二液性接着剤の主成分液を用い、第2の液体160B及び第3の液体160Cとして二液性接着剤の硬化剤を用いる。
【0092】
また、図9(a)は第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cが飛翔中の状態を示した図である。また、図9(b)は第1ノズル117A及び第2ノズル117Bから噴射された第1の液体160A及び第2の液体160Bが飛翔中に接触して混合され混合液体161となった状態(第1ノズル117A及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A及び第3の液体160Cが飛翔中に接触して混合され混合液体162となった状態)を示した図である。また、図9(c)は混合液体161,162がメディアPに着弾した状態を示した図である。
【0093】
図9(a)に示すように、第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cが飛翔している状態を考える。具体的には、第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体160A1、第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体160A2、第3サブノズル117B1から噴射された第2の液体160B1、第4サブノズル117B2から噴射された第2の液体160B2、第5サブノズル117C1から噴射された第3の液体160C1、及び第6サブノズル117C2から噴射された第3の液体160C2が飛翔している状態を考える。ここでは、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングと第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングと(第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングと第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングと)が同じに調整されている。
【0094】
また、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2からそれぞれ第1の液体160A1、第1の液体160A2、第2の液体160B1、第2の液体160B2、第3の液体160C1、及び第3の液体160C2が独立して斜めに傾いて噴射される。
【0095】
図9(b)に示すように、第1ノズル117A及び第2ノズル117Bから噴射された第1の液体160A及び第2の液体160Bが合体して混合液体161となった状態(第1ノズル117A及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A及び第3の液体160Cが合体して混合液体162となった状態)を考える。
【0096】
ここでは、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングと第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングとが同じに調整されているため、第1の液体160A1及び第2の液体160B2が互いに側面(第1の液体160A1の−Y方向側の面と第2の液体160B2の+Y方向側の面)で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体160A1及び第2の液体160B2は、接触して混合され混合液体161となり、メディアPに向けて(−Z方向に)落下していく。
【0097】
一方、第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングと第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングとが同じに調整されているため、第1の液体160A2及び第3の液体160C1が互いに側面(第1の液体160A2の+Y方向側の面と第3の液体160C1の−Y方向側の面)で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体160A2及び第3の液体160C1は、接触して混合され混合液体162となり、メディアPに向けて(−Z方向に)落下していく。
【0098】
図9(c)に示すように、混合液体161,162がメディアPに着弾した状態を考える。ここでは、第1の液体160A1及び第2の液体160B2(第1の液体160A2及び第3の液体160C1)が混合されて接着性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体161,162をメディアPの所定の位置に着弾させることにより、接着性を発揮した接着領域をメディアP上に選択的に形成することができる。
【0099】
図10は、第2実施形態における第1ノズル117A及び第2ノズル117Bから噴射された第1の液体及び第2の液体(第1ノズル117A及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体及び第3の液体)がメディアPに着弾した後で混合されるようすを示す図である。なお、図10は図9に対応する図であり、図9と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。ここでは、第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cとして、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)を用いる。例えば、第1の液体160Aとして二液性塗料の主成分液を用い、第2の液体160B及び第3の液体160Cとして二液性塗料の硬化剤を用いる。
【0100】
また、図10(a)は第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cが飛翔中の状態を示した図である。また、図10(b)は第1ノズル117A及び第2ノズル117Bから噴射された第1の液体160A及び第2の液体160BがメディアPに着弾した後に接触して混合され混合液体161となった状態(第1ノズル117A及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A及び第3の液体160CがメディアPに着弾した後に接触して混合され混合液体162となった状態)を示した図である。また、図10(c)は混合液体161,162がメディアPに着弾した状態を示した図である。
【0101】
図10(a)に示すように、第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cが飛翔している状態を考える。具体的には、第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体160A1、第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体160A2、第3サブノズル117B1から噴射された第2の液体160B1、第4サブノズル117B2から噴射された第2の液体160B2、第5サブノズル117C1から噴射された第3の液体160C1、及び第6サブノズル117C2から噴射された第3の液体160C2が飛翔している状態を考える。ここでは、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングと第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングと(第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングと第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングと)が同じに調整されている。
【0102】
また、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2からそれぞれ第1の液体160A1、第1の液体160A2、第2の液体160B1、第2の液体160B2、第3の液体160C1、及び第3の液体160C2が独立して斜めに傾いて噴射される。
【0103】
図10(b)に示すように、第1ノズル117A及び第2ノズル117Bから噴射された第1の液体160A及び第2の液体160Bが合体して混合液体161となった状態(第1ノズル117A及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A及び第3の液体160Cが合体して混合液体162となった状態)を考える。
【0104】
ここでは、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングと第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングとが同じに調整されているため、第1の液体160A1及び第2の液体160B2が互いに側面(第1の液体160A1の−Y方向側の面と第2の液体160B2の+Y方向側の面)で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体160A1及び第2の液体160B2は、メディアPに着弾した後に接触して混合され混合液体161となる。
【0105】
一方、第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングと第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングとが同じに調整されているため、第1の液体160A2及び第3の液体160C1が互いに側面(第1の液体160A2の+Y方向側の面と第3の液体160C1の−Y方向側の面)で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体160A2及び第3の液体160C1は、メディアPに着弾した後に接触して混合され混合液体162となる。
【0106】
図10(c)に示すように、混合液体161,162がメディアPに着弾した状態を考える。ここでは、第1の液体160A1及び第2の液体160B2(第1の液体160A2及び第3の液体160C1)が混合されて硬化性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体161,162をメディアPの所定の位置に着弾させることにより、硬化性を発揮した硬化領域をメディアP上に選択的に形成することができる。
【0107】
図11は、第2実施形態における第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体160A1がメディアPに着弾した後に第4サブノズル117B2から噴射された第2の液体160B2がメディアPに着弾して混合されるようす(第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体160A2がメディアPに着弾した後に第5サブノズル117C1から噴射された第3の液体160C1がメディアPに着弾して混合されるようす)を示す図である。なお、図11は図9に対応する図であり、図9と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。ここでは、第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cとして、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料(二液性塗料)を用いる。例えば、第1の液体160Aとして二液性塗料の主成分液を用い、第2の液体160B及び第3の液体160Cとして二液性塗料の硬化剤を用いる。また、第1の液体160Aは第2の液体160B及び第3の液体160Cよりも高粘度になっているものとする。
【0108】
また、図11(a)は第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cが飛翔中の状態を示した図である。また、図11(b)は第1ノズル117Aから噴射された第1の液体160AがメディアPに着弾した状態を示した図である。また、図10(c)は第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体160A1がメディアPに着弾した後に第4サブノズル117B2から噴射された第2の液体160B2がメディアPに着弾して混合され混合液体161となった状態(第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体160A2がメディアPに着弾した後に第5サブノズル117C1から噴射された第3の液体160C1がメディアPに着弾して混合され混合液体162となった状態)を示した図である。
【0109】
図11(a)に示すように、第1ノズル117A、第2ノズル117B及び第3ノズル117Cから噴射された第1の液体160A、第2の液体160B及び第3の液体160Cが飛翔している状態を考える。具体的には、第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体160A1、第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体160A2、第3サブノズル117B1から噴射された第2の液体160B1、第4サブノズル117B2から噴射された第2の液体160B2、第5サブノズル117C1から噴射された第3の液体160C1、及び第6サブノズル117C2から噴射された第3の液体160C2が飛翔している状態を考える。
【0110】
ここでは、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングと第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングと(第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングと第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングと)が異なるように調整されている。具体的には、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングが第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングよりも早く(第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングが第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングよりも早く)調整されている。
【0111】
また、第1サブノズル117A1、第2サブノズル117A2、第3サブノズル117B1、第4サブノズル117B2、第5サブノズル117C1、及び第6サブノズル117C2からそれぞれ第1の液体160A1、第1の液体160A2、第2の液体160B1、第2の液体160B2、第3の液体160C1、及び第3の液体160C2が独立して斜めに傾いて噴射される。
【0112】
図11(b)に示すように、第1ノズル117Aから噴射された第1の液体160AがメディアPに着弾した状態を考える。ここでは、第1サブノズル117A1から噴射される第1の液体160A1の吐出タイミングが第4サブノズル117B2から噴射される第2の液体160B2の吐出タイミングよりも早く調整されているため、第1の液体160A1が第2の液体160B2よりも先にメディアPに着弾することとなる。つまり、相対的に高粘度の第1の液体160A1がメディアPに着弾した後に相対的に低粘度の第2の液体160B2がメディアPに着弾される。
【0113】
ここでは、第2サブノズル117A2から噴射される第1の液体160A2の吐出タイミングが第5サブノズル117C1から噴射される第3の液体160C1の吐出タイミングよりも早く調整されているため、第1の液体160A2が第3の液体160C1よりも先にメディアPに着弾することとなる。つまり、相対的に高粘度の第1の液体160A2がメディアPに着弾した後に相対的に低粘度の第3の液体160C1がメディアPに着弾される。
【0114】
図11(c)に示すように、第1サブノズル117A1から噴射された第1の液体160A1がメディアPに着弾した後に第4サブノズル117B2から噴射された第2の液体160B2がメディアPに着弾して混合され混合液体161となった状態(第2サブノズル117A2から噴射された第1の液体160A2がメディアPに着弾した後に第5サブノズル117C1から噴射された第3の液体160C1がメディアPに着弾して混合され混合液体162となった状態)を考える。ここでは、第1の液体160A1及び第2の液体160B2(第1の液体160A2及び第3の液体160C1)が混合されて硬化性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体161,162をメディアPの所定の位置に着弾させることにより、硬化性を発揮した硬化領域をメディアP上に選択的に形成することができる。
【0115】
図12は、第1実施形態及び第2実施形態における混合液体の着弾状態を示す模式図である。なお、図12(a)は第2実施形態おける混合液体161,162の着弾状態を示した図である。また、図12(b)は第1実施形態における混合液体60の着弾状態を示した図である。また、図12において、符号L2はツインノズルタイプの単位着弾面積、符号L1はシングルノズルタイプの単位着弾面積である。ここでは、ツインノズルタイプの単位着弾面積とシングルノズルタイプの単位着弾面積とは同じであることとする。
【0116】
図12に示すように、シングルノズルタイプにおいては、単位着弾面積L1当たり1つの混合液体60しか着弾していない。これに対して、ツインノズルタイプにおいては、単位着弾面積L2当たり2つの混合液体161,162が着弾している。また、混合液体161,162の体積は、混合液体60の体積に比べて小さくなっている。
【0117】
本実施形態に係る液体噴射装置によれば、液体噴射ヘッド110がツインノズルタイプとなっているので、第1ノズルが1つのノズルからなる場合(シングルノズルタイプ)に比べて、高密度でメディアPに液体を吐出することが可能となる。したがって、少量の液体でメディアPを被覆することができるとともに、混合液体層の薄膜化を図ること(混合液体の着弾高さを低くすること)が可能となる。
【0118】
なお、上記実施形態では、第1ノズルから噴射された第1の液体と第2ノズルから噴射された第2の液体(第3ノズルから噴射された第3の液体)とを混合させる液体噴射ヘッドについて説明したが、これに限らない。以下、上記実施形態とは異なる形態の液体噴射ヘッドについて図13及び図14を用いて説明する。
【0119】
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態におけるノズル217(第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217D)の配置構成を示す模式図である。なお、図13は液体噴射装置を構成する液体噴射ヘッド210を斜め下方から視た要部斜視図である。
【0120】
本実施形態に係る液体噴射ヘッド210は、ノズル217が第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217Dからなる点、第1ノズル217Aから噴射された第1の液体と第2ノズル217Bから噴射された第2の液体と第3ノズル217Cから噴射された第3の液体と第4ノズル217Dから噴射された第4の液体とが混合される点で第1実施形態における液体噴射ヘッド10と異なる。
【0121】
図13に示すように、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217Dは互いに近接して配置されている。また、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217Dは、それぞれノズル形成面221Aに対して傾くように形成されている。具体的には、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217Dは、4つのノズル217A,217B,217C,217Dに囲まれた中央部に向けて傾いている。ここで、第1ノズル217Aのノズル形成面221Aに対する傾き角度、第2ノズル217Bのノズル形成面221Aに対する傾き角度、第3ノズル217Cのノズル形成面221Aに対する傾き角度、第4ノズル217Dのノズル形成面221Aに対する傾き角度は、それぞれ同じになっている。
【0122】
また、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217Dは、それぞれメディアP(図示略)に向けて小さくなるように連続したテーパ形状となっている。つまり、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C、及び第4ノズル217Dの平面視における断面積(例えばノズル開口径)は、それぞれメディアPに向けて次第に小さくなっている。
【0123】
図14は、第3実施形態における第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C及び第4ノズル217Dからそれぞれ噴射された第1の液体、第2の液体、第3の液体及び第4の液体が混合されるようすを示す図である。なお、図14において、符号260Aは第1ノズル217Aから噴射された第1の液体、符号260Bは第2ノズル217Bから噴射された第2の液体、符号260Cは第3ノズル217Cから噴射された第3の液体、符号260Dは第4ノズル217Dから噴射された第4の液体である。ここで、第4の液体は、少なくとも第1の液体と異なる液体であればよく第2の液体または第3の液体と同じ液体であってもよい。
【0124】
ここでは、第1の液体260A、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dとして、二液性接着剤を用いる。例えば、第1の液体260Aとして二液性接着剤の主成分液を用い、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dとして二液性接着剤の硬化剤を用いる。
【0125】
図14に示すように、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C及び第4ノズル217Dからそれぞれ噴射された第1の液体260A、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dが飛翔している状態を考える。ここでは、第1ノズル217Aから噴射される第1の液体260Aの吐出タイミングと、第2ノズル217Bから噴射される第2の液体260Bの吐出タイミングと、第3ノズル217Cから噴射される第3の液体260Cの吐出タイミングと、第4ノズル217Dから噴射される第4の液体260Dの吐出タイミングとが同じに調整されている。
【0126】
また、第1ノズル217A、第2ノズル217B、第3ノズル217C及び第4ノズル217Dからそれぞれ第1の液体260A、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dが独立して斜めに傾いて噴射される。
【0127】
このため、第1の液体260A、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dが互いに側面で接触することとなる。すると、それぞれ斜めに傾いて噴射された第1の液体260A、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dは、接触して混合され混合液体(図示略)となり、メディア(図示略)に向けて(−Z方向に)落下していく。
【0128】
そして、混合液体がメディアに着弾した状態においては、第1の液体260A、第2の液体260B、第3の液体260C及び第4の液体260Dが混合されて接着性を発揮した状態となっている。したがって、混合液体をメディアの所定の位置に着弾させることにより、接着性を発揮した接着領域をメディア上に選択的に形成することができる。
【0129】
なお、本実施形態では、第1ノズルから噴射された第1の液体と第2ノズルから噴射された第2の液体と第3ノズルから噴射された第3の液体と第4ノズルから噴射された第4の液体とを混合させる液体噴射ヘッドについて説明したが、これに限らない。例えば、第1ノズルから噴射された第1の液体と第2ノズルから噴射された第2の液体と第3ノズルから噴射された第3の液体とを混合させる液体噴射ヘッド、さらには第5の液体以上の複数の液体を混合させる液体噴射ヘッドについても適用可能である。
【0130】
なお、上記実施形態においては、液体噴射装置としてシリアル型のインクジェット式プリンターを例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ライン型のインクジェット式プリンターについても適用可能である。
【符号の説明】
【0131】
1…液体噴射装置、10,110,210…液体噴射ヘッド、21A,121A,221A…ノズル形成面、17A,117A,217A…第1ノズル、17B,117B,217B…第2ノズル、60A,160A,260A…第1の液体、60B,160B,260B…第2の液体、117A1…第1サブノズル、117A2…第2サブノズル、117C…第3ノズル、160C,160C1,160C2…第3の液体、Θ1…第1ノズルのノズル形成面に対する傾き角度、Θ2…第2ノズルのノズル形成面に対する傾き角度、P…メディア(媒体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対向するノズル形成面に、
第1の液体を噴射する第1ノズルと、
前記第1ノズルに近接して配置されるとともに前記第1の液体とは異なる第2の液体を噴射する第2ノズルと、が設けられた液体噴射ヘッドを備えており、
前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、それぞれ前記ノズル形成面に対して傾くように形成され、前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とは、前記ノズル形成面から離間した位置から前記媒体に着弾する位置までの間で、互いに接触して混合されることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記第1の液体及び前記第2の液体は、互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記第1の液体及び前記第2の液体は、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料または封止材であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とは、飛翔している状態で、互いに接触して混合されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とは、前記媒体に着弾した状態で、互いに接触して混合されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記第1の液体が前記第2の液体よりも高粘度の場合において、前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体が前記媒体に着弾した後に、前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体が前記媒体に着弾されることを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記第1ノズルの前記ノズル形成面に対する傾き角度は、前記第2ノズルの前記ノズル形成面に対する傾き角度と同じになっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、それぞれ前記媒体に向けて小さくなるように連続したテーパ形状となっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記第1ノズルは第1サブノズルと第2サブノズルとからなり、前記第2サブノズルに近接して配置されるとともに前記第1の液体とは異なる第3の液体を噴射する第3ノズルが設けられており、前記第1サブノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とが混合され、前記第2サブノズルから噴射された前記第1の液体と前記第3ノズルから噴射された前記第3の液体とが混合されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項1】
媒体に対向するノズル形成面に、
第1の液体を噴射する第1ノズルと、
前記第1ノズルに近接して配置されるとともに前記第1の液体とは異なる第2の液体を噴射する第2ノズルと、が設けられた液体噴射ヘッドを備えており、
前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、それぞれ前記ノズル形成面に対して傾くように形成され、前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とは、前記ノズル形成面から離間した位置から前記媒体に着弾する位置までの間で、互いに接触して混合されることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記第1の液体及び前記第2の液体は、互いに混合されることで接着性を発揮する接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記第1の液体及び前記第2の液体は、互いに混合されることで硬化性を発揮する塗料または封止材であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とは、飛翔している状態で、互いに接触して混合されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とは、前記媒体に着弾した状態で、互いに接触して混合されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記第1の液体が前記第2の液体よりも高粘度の場合において、前記第1ノズルから噴射された前記第1の液体が前記媒体に着弾した後に、前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体が前記媒体に着弾されることを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記第1ノズルの前記ノズル形成面に対する傾き角度は、前記第2ノズルの前記ノズル形成面に対する傾き角度と同じになっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、それぞれ前記媒体に向けて小さくなるように連続したテーパ形状となっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記第1ノズルは第1サブノズルと第2サブノズルとからなり、前記第2サブノズルに近接して配置されるとともに前記第1の液体とは異なる第3の液体を噴射する第3ノズルが設けられており、前記第1サブノズルから噴射された前記第1の液体と前記第2ノズルから噴射された前記第2の液体とが混合され、前記第2サブノズルから噴射された前記第1の液体と前記第3ノズルから噴射された前記第3の液体とが混合されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−189659(P2011−189659A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58833(P2010−58833)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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