説明

液体皮膚洗浄剤組成物

【課題】すすぎ時の感触がさっぱりとしていて、肌への刺激感や使用後のかさつき感が少なく、低温安定性に優れ、また、手からこぼれ落ちにくく、少ない使用量でも、泡立ちが速く、かつ充分な泡の量があり、携帯用として外出先で手指を洗浄するのにも適した液体皮膚洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)脂肪酸塩10〜30質量%(ただし、前記脂肪酸塩の組成中、
(B)ラウリン酸塩の割合が50質量%以上である)を含有し、
(C)非イオン性界面活性剤を、前記脂肪酸塩との質量比が、非イオン性界面活性剤/脂肪酸塩=1/20〜1/5となるような量で含有し、更に
(D)水溶性高分子0.5〜2質量%を含有し、
かつ、25℃における粘度が1〜10Pa・sであることを特徴とする液体皮膚洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体皮膚洗浄剤組成物に関する。より詳しくは、本発明は、すすぎ時の感触がさっぱりとしていて、肌への刺激感や使用後のかさつき感が少なく、低温安定性に優れ、また、手からこぼれ落ちにくく、少ない使用量でも、泡立ちが速く、かつ充分な泡の量があり、特に、外出先で手指を洗浄するための携帯用の手洗い製品として適した、液体皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
外出先で手指を洗浄するのに適した携帯用の皮膚洗浄剤としては、例えば、紙石けんが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。また、粉末の石けんを1回分ずつ個装した洗浄剤(例えば、特許文献4参照)や、固形石けんを携帯用の容器に入れた洗浄剤(例えば、特許文献5参照)、ソフトカプセルや粒子状の洗浄剤(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8参照)なども提案されている。しかし、これらの固形状の洗浄剤は、泡立ちの速さや洗浄後の感触において、充分な性能が得られていなかった。
【0003】
一方、液体やペースト状の洗浄剤は、前記した固形状の洗浄剤と比較して、泡立ちの速さに優れる。特に、脂肪酸塩を洗浄基剤として含有する洗浄剤は、泡の量やすすぎ易さに優れることが知られている。
また、脂肪酸塩を洗浄基剤として含有する洗浄剤においては、皮膚刺激性の低減や、すすいだ後の肌感触の改善を目的として、更にノニオン界面活性剤や水溶性高分子を含有させた洗浄剤も開示されている(例えば、特許文献9、特許文献10参照)。しかし、これらの洗浄剤は、外出先における手指の洗浄を想定したものではなく、携帯性を考慮して、1回あたりの使用量を少なくした場合、泡の量、若しくは、泡立ちの速さにおいて、充分な性能が得られていなかった。
【0004】
したがって、少ない使用量でも泡立ちが速く、かつ充分な泡の量があり、携帯用として外出先で手指を洗浄するのにも適した液体皮膚洗浄剤組成物の開発が望まれているのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開平8−60199号公報
【特許文献2】特開2001−13994号公報
【特許文献3】特開2003−73700号公報
【特許文献4】特開2004−211045号公報
【特許文献5】特開2002−20799号公報
【特許文献6】特開2004−277490号公報
【特許文献7】特開2002−161297号公報
【特許文献8】特開2001−48746号公報
【特許文献9】特開2002−128658号公報
【特許文献10】特開2004−35524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、すすぎ時の感触がさっぱりとしていて、肌への刺激感や使用後のかさつき感が少なく、低温安定性に優れ、また、手からこぼれ落ちにくく、少ない使用量でも、泡立ちが速く、かつ充分な泡の量がある液体皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)脂肪酸塩10〜30質量%(ただし、前記脂肪酸塩の組成中、
(B)ラウリン酸塩の割合が50質量%以上である)を含有し、
(C)非イオン性界面活性剤を、前記脂肪酸塩との質量比が、非イオン性界面活性剤(C)/脂肪酸塩(A)=1/20〜1/5となるような量で含有し、更に
(D)水溶性高分子0.5〜2質量%を含有し、
かつ、25℃における粘度が1〜10Pa・sであることを特徴とする液体皮膚洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決することができる。即ち、本発明によれば、すすぎ時の感触がさっぱりとしていて、肌への刺激感や使用後のかさつき感が少なく、低温安定性に優れ、また、手からこぼれ落ちにくく、少ない使用量でも、泡立ちが速く、かつ充分な泡の量がある液体皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0010】
(液体皮膚洗浄剤組成物)
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物は、(A)脂肪酸塩(ただし、前記脂肪酸塩の組成中、
(B)ラウリン酸塩の割合が50質量%以上である)と、(C)非イオン性界面活性剤と、(D)水溶性高分子とを少なくとも含有し、好ましくは更に多価アルコールを含有し、必要に応じて更にその他の成分を含有し、かつ、特定の範囲内の粘度を有してなる。
【0011】
<液体>
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物の性状は、液体であり、前記脂肪酸塩が組成物中に溶解した状態であることが必要である。
前記脂肪酸塩が析出した状態であるペースト状の組成物や、前記脂肪酸塩が液晶構造を形成しているゲル状の組成物は、液体の組成物と比較して、前記脂肪酸塩の水への分散性が劣るため、泡立ちが遅いという問題があり、特に外出先で手指を洗浄する用途において、使用性が劣る。
【0012】
<(A)脂肪酸塩、(B)ラウリン酸塩>
前記(A)脂肪酸塩としては、その組成中、50質量%以上が、炭素数12の飽和脂肪酸である(B)ラウリン酸塩であることが必要であり、60〜80質量%がラウリン酸塩であることが好ましい。
前記脂肪酸塩の組成中、前記ラウリン酸塩の割合が、50質量%未満であると、少ない使用量において、洗浄時の泡量が充分に得られないという問題がある。また、前記ラウリン酸塩の割合が、60質量%未満であると、少ない使用量において、洗浄時の泡量が不充分であることがあり、80質量%を超えると、洗浄時や洗浄後に肌に刺激を感じることがある。
一方、前記ラウリン酸塩の割合が60〜80質量%の範囲内であると、少ない使用量でも、洗浄時の泡量がより充分に得られ、かつ、洗浄時や洗浄後に肌への刺激を感じない点で、有利である。
なお、本明細書中において、「少ない使用量」とは、特に制限されるものではないが、通常、1回あたりの使用量が1mL以下であることを示し、特に、0.3〜0.5mLであることを示す。
【0013】
前記脂肪酸塩の組成中に含まれる、前記ラウリン酸塩以外の脂肪酸塩としては、特に制限はなく、通常の洗浄剤組成物に用いられる脂肪酸塩の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ラウリン酸塩以外の、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸の塩などが挙げられる。中でも、泡立ちの良さの点で、炭素数12〜16の飽和又は不飽和脂肪酸の塩が好ましく、炭素数12〜14の飽和又は不飽和脂肪酸の塩がより好ましい。
【0014】
前記ラウリン酸塩以外の脂肪酸塩については、前記脂肪酸塩の組成中の割合にも特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、洗浄時の泡質が良好になる点で、炭素数が14以上である飽和脂肪酸塩の割合が、前記脂肪酸塩の組成中、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。前記炭素数が14以上である飽和脂肪酸塩の割合が、前記脂肪酸塩の組成中、20質量%未満であると、泡のクリーミィ性が低下し、使用時の泡の感触が低下することがある。一方、前記炭素数が14以上である飽和脂肪酸塩の割合が、前記脂肪酸塩の組成中、30質量%以上であると、泡のクリーミィ性やなめらかさが向上すると共に、肌への刺激感が低減する点で有利である。
また、前記炭素数が14以上である飽和脂肪酸塩の割合の上限は、50質量%未満である。前記割合が、50質量%以上であると、前記ラウリン酸が必要量を満たさず、また、低温時に析出が起こりやすくなるという問題もある。
【0015】
前記脂肪酸塩としては、その組成中、前記ラウリン酸塩の割合が前記した範囲内となるものであれば、特に制限は無く、通常の洗浄剤組成物に用いられる脂肪酸塩の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等の塩などが挙げられる。
【0016】
前記塩としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、長期保存時の色調やにおいの変質や、低温における析出が少ない点で、カリウム塩が特に好ましい。
【0017】
前記脂肪酸塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記脂肪酸塩の含有量は、前記液体皮膚洗浄剤組成物中、10〜30質量%であることが必要であり、10〜20質量%が好ましい。前記含有量が10質量%未満であると、少ない使用量の時に泡の量が充分に確保できないという問題がある。一方、前記含有量が30質量%を超えると、低温時の状況下において、脂肪酸塩の析出が起きやすく、安定性の点で問題がある。一方、前記含有量が、10〜20質量%の範囲内であると、少ない使用量でも、より泡立ちが良く、また、低温時の脂肪酸塩の析出が抑制されるため、より安定性に優れる点で、有利である。
【0019】
なお、前記脂肪酸塩を前記液体皮膚洗浄剤組成物に配合する際には、前記脂肪酸塩そのものを配合してもよいし、前記液体皮膚洗浄剤組成物に、脂肪酸とアルカリとをそれぞれ別々に配合し、中和して用いてもよい。
【0020】
<(C)非イオン性界面活性剤>
前記(C)非イオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、通常の洗浄剤組成物に用いられる非イオン性界面活性剤の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ヤシ油脂肪酸アルカノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、アルキルグリセリルグリコシド、メチルグルコシド脂肪酸エステルなどが挙げられる。
また、前記非イオン性界面活性剤としては、1種のポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤と2種以上のポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤のいずれも好適に使用することができる。具体的には、前者として、例えば、脂肪酸モノエタノールアミド型ノニオン界面活性剤、エチレンオキサイド付加物の脂肪酸モノエタノールアミド型ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられ、後者として、例えば、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどが挙げられる。
前記非イオン性界面活性剤の中でも、アルキル基が炭素数16〜22の直鎖又は分岐鎖構造であり、酸化エチレンの平均付加モル数が8〜15であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが、肌のかさつきを抑える効果が高い点で、好ましい。
【0021】
前記非イオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記非イオン性界面活性剤の含有量は、前記脂肪酸塩に対して、質量比で、非イオン性界面活性剤/脂肪酸塩=1/20〜1/5であることが必要であり、1/15〜1/5が好ましく、1/8〜1/5がより好ましい。
前記非イオン性界面活性剤の含有量が、質量比で、前記脂肪酸塩の含有量の1/20倍未満であると、洗浄時に刺激を感じたり、洗浄後にかさつきを感じるという問題がある。一方、前記非イオン性界面活性剤の含有量が、質量比で、前記脂肪酸塩の含有量の1/5倍を超えると、すすぎ時の感触のさっぱり感が得られないという問題がある。一方、前記非イオン性界面活性剤の含有量が前記より好ましい範囲内であると、刺激やかさつきを感じることなく、すすぎ時の感触のさっぱり感がより良い点で、有利である。
【0023】
<(D)水溶性高分子>
前記水溶性高分子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性ノニオン性高分子物質、カラギーナン、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、メタクリル酸・アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、経日による分離がおこりにくい点で、好ましい。
【0024】
前記水溶性高分子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記水溶性高分子の含有量は、前記液体皮膚洗浄剤組成物中、0.5〜2質量%であることが必要であり、0.5〜1.5質量%が好ましく、0.8〜1.2質量%がより好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、洗浄後の皮膚のかさつき感を抑制する効果が不充分であるという問題がある。また、前記含有量が、2質量%を超えると、容器からの排出性が悪くなるという問題と共に、泡立ちが遅くなるという問題があり、使用性が低下する。また、すすぎ時にぬるつきを感じて、さっぱりとした感触が得られないという問題がある。一方、前記含有量が、前記より好ましい範囲内であると、皮膚のかさつき感がより抑制され、かつ、泡立ちが速く、すすぎ時のさっぱりとした感触にもより優れる点で、有利である。
【0026】
<多価アルコール>
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物は、更に、多価アルコールを含有していることが好ましい。前記多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、1、3−ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。
前記多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールの含有量は、前記液体皮膚洗浄剤組成物中、10〜30質量%が好ましく、15〜20質量%がより好ましい。前記含有量が、10質量%未満であると、低温時に前記脂肪酸塩由来の析出や沈殿が生じることがあり、30質量%を超えても、低温時の析出は実質的に改善しないことがある。
【0027】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を妨げない範囲内のものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高級アルコール、シリコーン油等の油分、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、アクリル樹脂分散液、ビタミン等の薬剤、殺菌剤、防腐剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料、無機粉体、ナイロン、ポリエチレン等の水不溶性粉体などが挙げられる。
なお、前記その他の成分の含有量としても、本発明の効果を妨げない範囲内であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0028】
前記香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2002−128658号公報に記載の香料などが挙げられる。
【0029】
<粘度>
前記液体皮膚洗浄剤組成物は、25℃においてB型粘度計によって測定した粘度が、1〜10Pa・sであることが必要であり、2〜6Pa・sであることが好ましい。前記粘度が1Pa・s未満であると、液体皮膚洗浄剤組成物を容器から手の上に排出したとき、手からこぼれやすいという問題がある。また、前記粘度が10Pa・sを超えると、容器からの排出性が悪くなると共に、使用時にすばやく泡立たないという問題がある。一方、前記粘度が前記好ましい範囲内であると、容器からの排出性が悪くなることなしに、手の上に排出した際に、手からよりこぼれにくく、また、よりすばやく泡立つという点で、有利である。
【0030】
<製造方法>
前記液体皮膚洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の洗浄剤組成物の製造方法を用いて製造することができる。
また、前記液体皮膚洗浄剤組成物を製造するために使用する装置としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、組成物全体を混合、及び剪断できるように、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどの攪拌羽根を複数備えた攪拌装置が好ましく、中でも、アジホモミキサー、逆流ミキサー、ハイブリッドミキサーなどが特に好ましい。
【0031】
<容器>
前記液体皮膚洗浄剤組成物を充填する容器としては、特に制限はなく、通常の容器の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル、チューブ、袋状の容器などが挙げられる。
また、前記容器の容量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、携帯して外出先で使用する場合には、携帯のしやすさの点で、100mL以下であることが好ましく、50mL以下であることがより好ましい。
【0032】
前記ボトルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、使用時にポンプを押すことにより一定量の内容物を排出することのできるポンプディスペンサー付きボトルや、使用時にボトルの胴部を押して内容物を排出することのできる、樹脂製の本体に小口径の注ぎ口を組み合わせたボトルなどが好ましい。これらの中でも、容器全体を小型化できるため携帯性に優れる点と、構造が単純なので安価である点において、前記樹脂製の本体に小口径の注ぎ口を組み合わせたボトルがより好適である。
【0033】
前記ポンプディスペンサー付きボトルにおいて、ポンプ1回あたりの排出量は0.3〜1mLが好ましく、0.3〜0.5mLがより好ましい。前記排出量が、0.3mL未満であると、使用時の泡の量が不足することがあり、1mLを超えると、小容量の容器を用いた場合に、製品1個あたりで使用できる回数が少なくなることがある。一方、前記排出量が、前記より好ましい範囲内であると、使用時の泡の量がより充分となり、かつ、製品1個あたりの使用できる回数が多くなる点で、有利である。
【0034】
前記樹脂製の本体に小口径の注ぎ口を組み合わせたボトルにおいて、排出口の口径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5〜2mmが好ましい。前記口径が、0.5mm未満であると、消費者が使用するときに内容液の排出が遅いと感じることがあり、2mmを超えると、排出量が多くなってしまい、製品1個あたりで使用できる回数が少なくなることがある。
【0035】
前記ボトルの材質としては、特に制限はなく、液体製品の容器で使われる任意の樹脂から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。これらの中でも、前記したような、胴部を押して内容物を排出することのできる、樹脂製の本体に小口径の注ぎ口を組み合わせたボトルの場合は、柔軟性がある点で、低密度ポリエチレン製の容器が特に好ましい。
【0036】
<用途>
前記液体皮膚洗浄剤組成物は、その用途に特に制限はなく、目的に応じて、様々な場面での皮膚の洗浄に使用することができる。中でも、前記液体皮膚洗浄剤組成物は、すすぎ時の感触がさっぱりとしていて、肌への刺激感や使用後のかさつき感が少なく、低温安定性に優れ、また、手からこぼれ落ちにくく、少ない使用量でも泡立ちが速く、かつ充分な泡の量があることから、携帯して持ち運び、外出先で手指を洗浄するための用途に、特に有用である。
より具体的には、前記液体皮膚洗浄剤組成物は、容器から手の上に排出した際に手からこぼれ落ちにくく、少ない使用量でも泡立ちが速く、かつ充分な泡の量があることから、例えば、小さな子供が外出先で手を洗う場合などに、非常に有用である。また、前記液体皮膚洗浄剤組成物は、泡立ちやすすぎが早いことから、短時間で手洗いができ、例えば、子供を持つ母親などが、子供と出掛けた外出先で、急いで手洗いをすませたい場合などにも、非常に有用である。
【実施例】
【0037】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例に記載の成分量は、全て純分換算である。また、以下の表中の数値は、特に明記のない限り、いずれも「質量%」を表わす。
【0038】
(実施例1〜10、比較例1〜11)
表1〜4に示す組成に従い、実施例1〜10及び比較例1〜11の各液体皮膚洗浄剤組成物を、常法に準じて調製した。
得られた各液体皮膚洗浄剤組成物について、下記の評価方法により、(1)泡の量、(2)すすぎ時のぬるつきのなさ(すすぎの速さ)、(3)洗浄後のかさつきのなさ、(4)手からのこぼれにくさ、(5)低温安定性をそれぞれ評価した。
また、各液体皮膚洗浄剤組成物の粘度を、B型粘度計((株)東京計器製)により、25℃の条件下で測定した(30rpm、60秒後)。
【0039】
<(1)泡の量、(2)すすぎ時のぬるつきのなさ(すすぎの速さ)、(3)かさつきのなさの評価方法>
両手を水で濡らした後、実施例1〜10及び比較例1〜11の各液体皮膚洗浄剤組成物0.5gを手にとって、10秒間両手をこすりあわせた後、泡の量を下記評価基準で評価した。
続けて、手指を覆う泡や洗液を流水ですすぎ流し、すすぎ時のぬるつきのなさ(すすぎの速さ)を下記評価基準で評価した。また、タオルドライ後の手肌の感触から、かさつきのなさを下記評価基準で評価した。
なお、結果として、パネル10名の評価結果の平均値を、表1〜4に示した。
【0040】
−泡の量の評価基準−
5点 : 泡の量が非常に多い
4点 : 泡の量がかなり多い
3点 : 泡の量がやや多い
2点 : 泡の量がやや少ない
1点 : 泡の量が少ない
【0041】
−すすぎ時のぬるつきのなさ(すすぎの速さ)の評価基準−
5点 : 全くぬるつきはない
4点 : すすぐそばからぬるつきが消える
3点 : 泡が流れた後もぬるつきが残るが、その後すぐに消える
2点 : 泡が流れた後もぬるつきが残り、すすぎ切るまで時間がかかる
1点 : すすいでもぬるつきが消えない
【0042】
−かさつきのなさの評価基準−
5点 : 肌のかさつきを全く感じない
4点 : 肌のかさつきをほとんど感じない
3点 : 肌のかさつきをわずかに感じる
2点 : 肌のかさつきをやや感じる
1点 : 肌のかさつきを感じる
【0043】
<(4)手からのこぼれにくさの評価方法>
実施例1〜10及び比較例1〜11の各液体皮膚洗浄剤組成物0.5gを手のひらの中央部にのせて、手のひらを真横に向けたとき、液が手の端からこぼれ落ちるまでの時間を測定し、下記の評価基準によって手からのこぼれにくさを評価した。
なお、結果として、パネル10名の評価結果の平均値を、表1〜4に示した。
【0044】
−手からのこぼれにくさの評価基準−
5点:非常にこぼれにくい(こぼれ落ちるまで5秒以上)
4点:こぼれにくい(こぼれ落ちるまで3秒以上、5秒未満)
3点:ややこぼれにくい(こぼれ落ちるまで2秒以上、3秒未満)
2点:ややこぼれやすい(こぼれ落ちるまで1秒以上、2秒未満)
1点:こぼれやすい(こぼれ落ちるまで1秒未満)
【0045】
<(5)低温安定性の評価方法>
実施例1〜10及び比較例1〜11の各液体皮膚洗浄剤組成物を、硬質ガラス製のバイアル瓶に充填し、0℃の保存条件で、1週間放置した後、沈殿や結晶析出の有無を目視で観察し、下記の評価基準に従って評価した。結果を表1〜4に示した。
【0046】
−低温安定性の評価基準−
○:良好(析出や沈殿が認められない)
△:やや不良(わずかに析出や沈殿が認められるが、室温に戻すと速やかに均一溶解する)
×:不良(析出や沈殿が認められる)
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
表1〜4の結果から、実施例1〜10の液体皮膚洗浄剤組成物は、泡の量、すすぎ時のぬるつきのなさ(すすぎの速さ)、かさつきのなさ、手からのこぼれにくさ、及び低温安定性において、比較例1〜11の液体皮膚洗浄剤組成物と比べて優れていることが判明した。
また、実施例1〜10の液体皮膚洗浄剤組成物は、10秒間こすりあわせた時点において泡量が豊富であることから、泡立ちの速さにも優れた洗浄剤であることが判明した。
【0052】
(実施例11〜12)
また、下記に示す組成に従って、実施例11〜12の液体皮膚洗浄剤組成物を、それぞれ手指用洗浄剤組成物(薬用ハンドソープ)として、常法に準じて調製した。これらの手指用洗浄剤組成物を、前記実施例1〜10と同様に評価したところ、実施例1〜10と同様に、泡立ちの速さ、泡の量、すすぎ時のぬるつきのなさ(すすぎの速さ)、かさつきのなさ、手からのこぼれにくさ、及び低温安定性において優れていた。
【0053】
<実施例11:薬用ハンドソープ(1)>
ラウリン酸カリウム 12
ミリスチン酸カリウム 6
POE(11)ステアリルエーテル *1 2
ヒドロキシプロピルメチルセルロース *4 1.2
イソプロピルメチルフェノール 0.1
トリクロサン 0.1
ラウリルジメチルアミンオキシド 1
プロピレングリコール 15
ソルビット 5
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.2
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
スチレン重合体エマルジョン *7 0.7
ローズマリーエキス *8 0.1
青色1号 適量
黄色4号 適量
香料 0.4
水酸化カリウム pH10に調整量
精製水 残部

(合計 100質量%)
【0054】
なお、実施例11における組成比及び粘度は以下の通りである。(A)は脂肪酸塩、(B)は脂肪酸組成中のラウリン酸塩、(C)は非イオン性界面活性剤、(D)は水溶性高分子を示す。ここで、粘度は、前記実施例と同様にして測定した。
(A) 18質量%
(B)/(A) 67質量%
(C)/(A)(質量比) 1/9
(D) 1.2質量%
粘度 7Pa・s
【0055】
<実施例12:薬用ハンドソープ(2)>
ラウリン酸カリウム 8
ミリスチン酸カリウム 6
パルミチン酸カリウム 2
POE(16)セチルエーテル *3 2
ヒドロキシプロピルメチルセルロース *4 1.0
カチオン化セルロース *9 0.2
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン *10 2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
プロピレングリコール 10
ジプロピレングリコール 5
グリセリン 1
エデト酸 0.1
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
カミツレエキス *11 0.1
香料 0.2
赤色401号 適量
水酸化カリウム pH10に調整量
精製水 残部

(合計 100質量%)
【0056】
なお、実施例12における組成比及び粘度は以下の通りである。(A)は脂肪酸塩、(B)は脂肪酸組成中のラウリン酸塩、(C)は非イオン性界面活性剤、(D)は水溶性高分子を示す。ここで、粘度は、前記実施例と同様にして測定した。
(A) 16質量%
(B)/(A) 50質量%
(C)/(A)(質量比) 1/8
(D) 1質量%
粘度 4Pa・s
【0057】
なお、実施例1〜12及び比較例1〜11中の各種成分(*1〜*11)としては、以下のものを用いた。
*1:EMALEX 611(日本エマルジョン製)
*2:EMALEX OD−5(日本エマルジョン製)
*3:EMALEX 116(日本エマルジョン製)
*4:メトローズHPMC 60SH−10000(信越化学工業製)
*5:メトローズHPMC 60SH−4000(信越化学工業製)
*6:レオアールMS−200(ライオン化学製)
*7:サイビノールPE−3(サイデン化学製)
*8:ローズマリー水(丸善製薬製)
*9:レオガードGP(ライオン化学製)
*10:オバゾリンLB−SF(東邦化学工業製)
*11:カミツレリキッド(一丸ファルコス製)
【産業上の利用可能性】
【0058】
前記液体皮膚洗浄剤組成物は、様々な場面での皮膚の洗浄に有用であるが、すすぎ時の感触がさっぱりとしていて、肌への刺激感や使用後のかさつき感が少なく、低温安定性に優れ、また、手からこぼれ落ちにくく、少ない使用量でも、泡立ちが速く、かつ充分な泡の量があることから、携帯して持ち運び、外出先で手指を洗浄するための用途に、特に有用である。
より具体的には、前記液体皮膚洗浄剤組成物は、容器から手の上に排出した際に手からこぼれ落ちにくく、少ない使用量でも泡立ちが速く、かつ充分な泡の量があることから、例えば、小さな子供が外出先で手を洗う場合などに、非常に有用である。また、前記液体皮膚洗浄剤組成物は、泡立ちやすすぎが早いことから、短時間で手洗いができ、例えば、子供を持つ母親などが、子供と出掛けた外出先で、急いで手洗いをすませたい場合などにも、非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)脂肪酸塩10〜30質量%(ただし、前記脂肪酸塩の組成中、
(B)ラウリン酸塩の割合が50質量%以上である)を含有し、
(C)非イオン性界面活性剤を、前記脂肪酸塩との質量比が、非イオン性界面活性剤/脂肪酸塩=1/20〜1/5となるような量で含有し、更に
(D)水溶性高分子0.5〜2質量%を含有し、
かつ、25℃における粘度が1〜10Pa・sであることを特徴とする液体皮膚洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2007−169248(P2007−169248A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372690(P2005−372690)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】