説明

液晶表示電子機器

【課題】視差制御を介しての入力画像の欠落を抑制した高精度の画像入力と高精度の視差制御による画像表示が可能な液晶表示電子機器を提供する。
【解決手段】液晶表示電子機器1は、液晶表示部10と、液晶表示部10が相互に異なる第1視認方向EDfおよび第2視認方向EDsに向けて異なる表示画像DIM(第1視認方向表示画像DIMf/第2視認方向表示画像DIMs)を表示するように液晶表示部10に対して視差制御を施す視差制御部20とを備える。視差制御部20に重畳して配置され入力画像WIM(第1視認方向入力画像WIMf/第2視認方向入力画像WIMs)の入力が許容される入力許容領域31を有する画像入力部30を備える。視差制御は、視差制御部20の液晶分子の配列方向を制御することによって実行され、画像入力部30への画像入力は、発光型入力ペン35によって実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1視認方向に向けて第1視認方向表示画像を表示し、第2視認方向に向けて第1視認方向表示画像と異なる第2視認方向表示画像を表示する液晶表示部を備える液晶表示電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器の表示形態として、例えば、単一の表示画面によって異なる2方向に対して互いに異なる2画像を表示する形態のもの(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)が提案されている。しかし、単に2画像が表示されるだけであり、電子機器に対してその場で直接的に入力操作を施すことはできず、異なる2方向からの異なる画像入力はできないという問題がある。
【0003】
あるいは、2次元/3次元の表示機能を備える形態のものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この場合は、異なる方向にいる複数の利用者に対して異なる画像を表示することはできないという問題がある。
【0004】
また、従来の電子機器の入力形態として、例えば、電子ペンを適用して入力するもの(例えば、特許文献4参照。)、あるいは、タッチパネルを適用して入力する形態のもの(例えば、特許文献5、特許文献6参照。)が知られている。しかし、これらの電子機器での入力形態は、単一方向からの操作を基本とするものであり、異なる2方向から異なる利用者による異なる2入力を許容するものではなく、2方向からの異なる利用者による異なる入力を併せて許容することは困難である。
【0005】
上述したとおり、従来の電子機器では、異なる2方向からの異なる入力(操作)を許容する入力形態とすることができないことから、異なる方向からの異なる入力画像に対応させて異なる方向へ異なる表示画像を表示することはできなかった。
【0006】
したがって、従来の電子機器では、単独利用が原則であり、同時に対向する2方向から操作して、対向位置にいる複数(2人)の利用者に対する異なる画像表示(情報表示)を実行することは困難であり、有効な機能(例えば視差制御による2画面表示)を十分に活用できないという問題があった。
【0007】
また、視差制御によって液晶表示を行なう液晶表示電子機器では、視差制御を介しての画像入力が困難であり、欠落の生じない画像入力が困難であるという問題があった。
【特許文献1】特開2007−206108号公報
【特許文献2】特開2005−78080号公報
【特許文献3】特開2004−112174号公報
【特許文献4】特開平9−34638号公報
【特許文献5】特開2000−132338号公報
【特許文献6】特開2006−251927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、視差制御部に重畳して配置され入力画像の入力が許容される入力許容領域を有する画像入力部と、入力許容領域に対応して配置され、入力された入力画像を第1視認方向または第2視認方向に対応させて検出する入力画像検出部と、入力画像検出部で検出された入力画像に画像演算処理を施して入力画像に対応する画像表示信号を生成する画像表示信号生成部とを備え、液晶駆動部は、画像表示信号に応じて第1視認方向表示画像/第2視認方向表示画像を表示する構成としてあり、画像入力部から入力画像検出部までの間隔は、視差制御部から入力画像検出部までの間隔の整数倍とすることにより、第1視認方向または第2視認方向を高精度に画定して入力画像を入力画像検出部で容易かつ高精度に検出することが可能で、視差制御を介しての入力画像の欠落を抑制して高精度の画像入力と高精度の視差制御による画像表示が可能な液晶表示電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液晶表示電子機器は、表示制御液晶層および該表示制御液晶層を駆動する液晶駆動部を有する液晶表示部と、該液晶表示部に重畳して配置され前記液晶表示部が第1視認方向に向けて第1視認方向表示画像を表示し、第2視認方向に向けて第1視認方向表示画像と異なる第2視認方向表示画像を表示するように前記液晶表示部に対して視差制御を施す視差制御部とを備える液晶表示電子機器であって、前記視差制御部に重畳して配置され入力画像の入力が許容される入力許容領域を有する画像入力部と、前記入力許容領域に対応して配置され、入力された入力画像を前記第1視認方向または前記第2視認方向に対応させて検出する入力画像検出部と、該入力画像検出部で検出された入力画像に画像演算処理を施して入力画像に対応する画像表示信号を生成する画像表示信号生成部とを備え、前記液晶駆動部は、前記画像表示信号に応じて前記第1視認方向表示画像/前記第2視認方向表示画像を表示する構成としてあり、前記画像入力部から前記入力画像検出部までの間隔は、前記視差制御部から前記入力画像検出部までの間隔の整数倍としてあることを特徴とする。
【0010】
この構成により、第1視認方向または第2視認方向を高精度に画定して入力画像を入力画像検出部で容易かつ高精度に検出することが可能となるので、入力画像の欠落を抑制して高精度の画像入力と高精度の画像表示が可能な液晶表示電子機器とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る液晶表示電子機器では、前記整数は、2であることを特徴とする。
【0012】
この構成により、画像入力部から入力画像検出部までの間隔を最短に構成することが可能となるので、視差制御による変位量を最小にして入力画像に対する表示画像(第1視認方向表示画像または第2視認方向表示画像)の変位量を最小にし、薄型化することによって入力画像の透過時の減衰を防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る液晶表示電子機器では、前記入力画像検出部は、前記表示制御液晶層を介して入力画像を検出する構成としてあり、入力画像が入力されるとき、前記表示制御液晶層の液晶分子の配列方向を制御する構成としてあることを特徴とする。
【0014】
この構成により、入力画像に対応する光信号が高精度に表示制御液晶層を透過することが可能となり、入力画像を入力画像検出部で高精度に検出することが可能となることから、入力画像を高精度に入力することができる。
【0015】
また、本発明に係る液晶表示電子機器では、前記視差制御部は、前記視差制御部が有する視差制御液晶層の液晶分子の配列方向を制御することによって視差制御を施し、前記表示制御液晶層の液晶分子の配列方向は、前記視差制御液晶層の液晶分子の配列方向と同様に制御される構成としてあることを特徴とする。
【0016】
この構成により、表示制御液晶層は、入力された入力画像を視差制御部と同様にして容易に透過させることが可能となることから、入力画像検出部で入力画像を高精度かつ鮮明に検出することができる。
【0017】
また、本発明に係る液晶表示電子機器では、前記画像表示信号生成部は、前記画像入力部の入力画像が入力された位置に対応させて第1視認方向表示画像または第2視認方向表示画像が視認されるように画像表示信号を生成することを特徴とする。
【0018】
この構成により、入力画像を検出した入力画像検出部の位置に対応する位置の液晶駆動部に画像表示信号を供給すれば良いことから、画像表示信号を容易に生成することが可能となり、再現性良く入力画像に対応する表示画像(第1視認方向表示画像または第2視認方向表示画像)を表示することができる。
【0019】
また、本発明に係る液晶表示電子機器では、前記入力許容領域は、前記入力画像検出部の有効領域より狭く設定してあることを特徴とする。
【0020】
この構成により、入力画像を検出するときの欠落を防止することが可能となり、入力画像を高精度に検出することができる。
【0021】
また、本発明に係る液晶表示電子機器では、前記入力許容領域は、前記入力画像検出部の前記有効領域に対して、前記第1視認方向では、前記第1視認方向の方へ、前記第2視認方向では、前記第2視認方向の方へ、前記視差制御液晶層が有する視差制御ピッチに対応させてそれぞれ移動させてあることを特徴とする。
【0022】
この構成により、入力画像を検出するときの欠落を確実に防止することが可能となり、入力画像の入力が無効となる領域を低減することが可能となる。
【0023】
また、本発明に係る液晶表示電子機器では、前記入力許容領域は、前記画像入力部に表示された入力許容領域マークによって画定されていることを特徴とする。
【0024】
この構成により、入力許容領域を明確に画定して入力画像を入力許容領域へ高精度に入力することが可能となり、入力画像を高精度に検出することができることとなる。
【0025】
また、本発明に係る液晶表示電子機器では、前記第1視認方向に対応して配置され前記第1視認方向からの操作を受け付ける第1操作部と、前記第2視認方向に対応して配置され前記第2視認方向からの操作を受け付ける第2操作部とを備えることを特徴とする。
【0026】
この構成により、それぞれの方向(第1視認方向、第2視認方向)で個別に機能を操作することが可能となり、操作性、機能性に優れた液晶表示電子機器とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る液晶表示電子機器によれば、表示制御液晶層および該表示制御液晶層を駆動する液晶駆動部を有する液晶表示部と、該液晶表示部に重畳して配置され前記液晶表示部が第1視認方向に向けて第1視認方向表示画像を表示し、第2視認方向に向けて第1視認方向表示画像と異なる第2視認方向表示画像を表示するように前記液晶表示部に対して視差制御を施す視差制御部とを備える液晶表示電子機器であって、前記視差制御部に重畳して配置され入力画像の入力が許容される入力許容領域を有する画像入力部と、前記入力許容領域に対応して配置され、入力された入力画像を前記第1視認方向または前記第2視認方向に対応させて検出する入力画像検出部と、該入力画像検出部で検出された入力画像に画像演算処理を施して入力画像に対応する画像表示信号を生成する画像表示信号生成部とを備え、前記液晶駆動部は、前記画像表示信号に応じて前記第1視認方向表示画像/前記第2視認方向表示画像を表示する構成としてあり、前記画像入力部から前記入力画像検出部までの間隔は、前記視差制御部から前記入力画像検出部までの間隔の整数倍としてあることから、第1視認方向または第2視認方向を高精度に画定して入力画像を入力画像検出部で容易かつ高精度に検出することが可能となるので、入力画像の欠落を抑制して高精度の画像入力と高精度の画像表示が可能な液晶表示電子機器することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
<実施の形態1>
図1Aないし図2Cに基づいて本実施の形態に係る液晶表示電子機器について説明する。
【0030】
図1Aは、本発明の実施の形態1に係る液晶表示電子機器の概略構成および視差制御された表示状態を概念的に示す平面図である。図1Bは、図1Aに示した液晶表示電子機器の矢符X方向から見た側面状態を透視的に示す透視側面図である。
【0031】
本実施の形態に係る液晶表示電子機器1は、筐体1cに、液晶表示部10と、液晶表示部10に重畳して配置され液晶表示部10が相互に異なる第1視認方向EDfおよび第2視認方向EDsに向けて異なる表示画像DIMを表示するように液晶表示部10に対して視差制御を施す視差制御部20とを備える。
【0032】
つまり、視差制御部20は、第1視認方向EDfに向けて第1視認方向表示画像DIMfを表示し、第2視認方向EDsに向けて第1視認方向表示画像DIMfと異なる第2視認方向表示画像DIMsを表示するように視差制御を施す。
【0033】
なお、視差制御部20での視差制御は、液晶分子の配列方向を制御することによって、実行することが可能である。
【0034】
第1視認方向EDfで視認される表示画像DIMを第1視認方向表示画像DIMfとし、第2視認方向EDsで視認される表示画像DIMを第2視認方向表示画像DIMsとして示す。視差制御部20を機能させることによって、第1視認方向表示画像DIMfとしては、例えば三角図形を表示し、第2視認方向表示画像DIMsとしては、例えば円図形を表示することが可能な構成としてある。つまり、視差制御(視差制御部20)を介しての画像表示が可能な構成としてある。
【0035】
なお、ここで示す表示画像DIMの図形状態は、視差制御による視差表示(異なる方向への異なる表示画像DIMの表示)を説明するために示すものである。
【0036】
第1視認方向EDfおよび第2視認方向EDsを特に区別する必要が無い場合は、以下、単に視認方向EDとすることがある。また、第1視認方向表示画像DIMfおよび第2視認方向表示画像DIMsを特に区別する必要が無い場合は、以下、単に視認方向DIMとすることがある。
【0037】
第1視認方向表示画像DIMfは、第1視認方向操作者OPfによって視認され、第2視認方向表示画像DIMsは、第2視認方向操作者OPsによって視認される。なお、第1視認方向操作者OPfおよび第2視認方向操作者OPsを特に区別する必要が無い場合は、以下、単に操作者OPとすることがある。
【0038】
液晶表示電子機器1は、液晶表示部10での視差表示機能に加えて視差表示機能に対応させた視差制御により制御された状態での画像入力が可能な構成としてある。つまり、視差制御部20に重畳して配置され入力画像WIMの入力が許容される入力許容領域31を有する画像入力部30を備える。
【0039】
したがって、入力した入力画像WIMを視差制御部20によって第1視認方向EDfおよび第2視認方向EDsに対応させた第1視認方向入力画像WIMfおよび第2視認方向入力画像WIMsに分離して認識することが可能となる。つまり、視差制御(視差制御部20)を介しての画像入力が可能な構成としてある。
【0040】
第1視認方向入力画像WIMfおよび第2視認方向入力画像WIMsを特に区別する必要が無い場合は、以下、単に入力画像WIMとすることがある。
【0041】
また、視差制御部20による入力画像WIMに対する視差制御は、視差制御部20の液晶分子の配列方向を制御することによって実行することが可能である(図2A参照)。
【0042】
画像入力部30への画像入力は、例えば発光型入力ペン35(第1視認方向操作者OPfが操作する第1発光型入力ペン35f、第2視認方向操作者OPsが操作する第2発光型入力ペン35s)によって実行される。なお、第1発光型入力ペン35fおよび第2発光型入力ペン35sを特に区別する必要が無い場合は、以下、単に発光型入力ペン35とすることがある。
【0043】
なお、以下の説明では、入力手段として発光型入力ペン35を適用した場合について示すが、例えばタッチパネルのように接触式の入力手段を適用することも可能である。その場合には、発光型入力ペン35に替えてタッチペンを適用することになり、例えば静電容量の検出に対応させて入力画像WIMを検出することとなる。
【0044】
また、液晶表示電子機器1は、入力許容領域31に対応して配置され入力された入力画像WIMを第1視認方向EDfまたは第2視認方向EDsに対応させて検出する入力画像検出部40と、入力画像検出部40で検出された入力画像WIMに画像演算処理を施して入力画像WIMに対応する画像表示信号Sdimを生成する画像表示信号生成部50とを備える。
【0045】
液晶表示部10は、表示制御液晶層11および表示制御液晶層11を駆動する液晶駆動部13を有し、液晶駆動部13は、画像表示信号Sdimに応じて表示制御液晶層11を駆動することによって表示画像DIMを表示する構成としてある。また、液晶表示部10の背面には、バックライト15が配置してある。
【0046】
つまり、液晶表示電子機器1は、第1視認方向EDfおよび第2視認方向EDsに対応させて視差制御部20で視差制御を施した入力画像WIMを入力画像検出部40で検出することから、視差制御を施して検出した入力画像WIMに応じた表示画像DIM(第1視認方向表示画像DIMf、第2視認方向表示画像DIMs)を表示することが可能となる。
【0047】
図1Aでは、第1視認方向入力許容領域31fに三角形状の第1視認方向入力画像WIMfが入力され、第1表示領域10fにそのまま第1視認方向表示画像DIMfとして表示された状態を示す。また、第2視認方向入力許容領域31sに円形状の第2視認方向入力画像WIMsが入力され、第2表示領域10sにそのまま第2視認方向表示画像DIMsとして表示された状態を示す。なお、この場合の画像入力の状態は図2Aに対応し、画像表示の状態は図2Bに対応する。
【0048】
したがって、視認制御を施して第1視認方向EDfおよび第2視認方向EDsでそれぞれ入力された入力画像WIM(第1視認方向入力画像WIMf、第2視認方向入力画像WIMs)に対応する表示画像DIM(第1視認方向表示画像DIMf、第2視認方向表示画像DIMs)を対応する第1視認方向EDfおよび第2視認方向EDsでそれぞれ視認することができるので、複数操作者OPに対応した機能的な画像入力および画像表示が可能な優れた液晶表示電子機器1とすることができる。
【0049】
入力許容領域31は、相互に対向する位置に配置された第1視認方向入力許容領域31fおよび第2視認方向入力許容領域31sを備える。したがって、第1視認方向EDfおよび第2視認方向EDsに対応させた画像入力が可能となることから、第1視認方向EDfおよび第2視認方向EDsに対応する位置からの異なる操作者OP(第1視認方向EDfに対応する第1視認方向操作者OPf、第2視認方向EDsに対応する第2視認方向操作者OPs)による異なる画像入力を許容することができる。なお、第1視認方向入力許容領域31fおよび第2視認方向入力許容領域31sを特に区別する必要が無い場合は、以下、単に入力許容領域31とすることがある。
【0050】
入力許容領域31は、画像入力部30に表示された入力許容領域マーク31mによって画定されている。したがって、入力許容領域31を明確に画定して入力画像WIMを入力許容領域31へ高精度に入力することが可能となり、入力画像WIMを高精度に検出することができることとなる。
【0051】
なお、入力許容領域マーク31mは、例えば画像入力部30の表面に印刷で形成することが可能である。あるいは、特定の領域の液晶を固定表示させて入力許容領域マーク31mとすることも可能である。
【0052】
液晶表示電子機器1は、第1視認方向EDf(第1視認方向操作者OPf)に対応して配置され第1視認方向操作者OPfによる操作を受け付ける第1操作部60fと、第2視認方向EDs(第2視認方向操作者OPs)に対応して配置され第2視認方向操作者OPsによる操作を受け付ける第2操作部60sとを備える。
【0053】
したがって、第1視認方向EDfまたは第2視認方向EDsそれぞれで、個別に機能を操作することが可能となり、操作性、機能性に優れた液晶表示電子機器1とすることができる。なお、第1操作部60fおよび第2操作部60sを特に区別する必要が無い場合は、以下、単に操作部60とすることがある。
【0054】
液晶表示部10は、第1視認方向入力許容領域31fに対応して配置され第1視認方向入力許容領域31fに入力された第1視認方向入力画像WIMfに対応する第1視認方向表示画像DIMfを表示する第1表示領域10fと、第2視認方向入力許容領域31sに対応して配置され第2視認方向入力許容領域31sに入力された第2視認方向入力画像WIMsに対応する第2視認方向表示画像DIMsを表示する第2表示領域10sとを備える。
【0055】
したがって、第1視認方向入力許容領域31fへの第1視認方向入力画像WIMfおよび第2視認方向入力許容領域31sへの第2視認方向入力画像WIMsに対応させた表示画像(第1視認方向表示画像DIMf、第2視認方向表示画像DIMs)をそれぞれ表示することが可能となり、入力画像を容易に確認できる利便性の良い液晶表示電子機器1とすることができる。
【0056】
また、液晶表示部10は、第1表示領域10fと第2表示領域10sとの間に第3表示領域10tを備え、第3表示領域10tは、第1視認方向EDfで視認される第1視認方向表示画像DIMf(例えば、三角図形)および第2視認方向EDsで視認される第2視認方向表示画像DIMs(例えば、円図形)を表示画像DIMとして表示する構成としてある。
【0057】
なお、第3表示領域10tで表示される表示画像DIMは、第1表示領域10f/第2表示領域10sで表示される表示画像DIM(第1視認方向表示画像DIMf/第2視認方向表示画像DIMs)に対して画像演算処理を施すことによって、例えば拡大して表示することが可能である。
【0058】
したがって、第1表示領域10fおよび第2表示領域10sとは異なる第3表示領域10tで表示画像DIMを表示することにより、第1視認方向EDfからは第1視認方向表示画像DIMfを視認し、第2視認方向EDsからは第2視認方向表示画像DIMsを視認することが可能となる。
【0059】
つまり、単一の表示領域である第3表示領域10tでは、視差制御によって相互に異なる図形を第1視認方向EDf、第2視認方向EDsそれぞれに対応させて表示することが可能となり、汎用性、機能性に優れた液晶表示電子機器1とすることができる。
【0060】
なお、第1表示領域10f、第2表示領域10s、および第3表示領域10tによって、画像表示面10dが構成される。また、画像演算処理を施すことによって、第3表示領域10tに表示する表示画像DIM(第1視認方向表示画像DIMf、第2視認方向表示画像DIMs)を相互に入れ替えることも可能である。このような画像演算処理は、実施の形態2で示す画像演算処理部6で実行することが可能である。
【0061】
図2Aは、図1Bに示した液晶表示電子機器の領域Y1(第1表示領域、第1視認方向入力許容領域)の断面状態を拡大して第1視認方向での画像の入力状態を概念的に示す入力概念説明図である。図2Bは、図2Aで入力した画像を第1視認方向で表示/視認するときの表示状態を概念的に示す表示概念説明図である。
【0062】
図1Bに示した液晶表示電子機器の領域Y1は、液晶表示部10の第1視認方向入力許容領域31fでの断面に対応する。したがって、表面側から、画像入力部30、視差制御部20、液晶表示部10(第1表示領域10f)、バックライト15が順次重ねられた状態となっている。なお、液晶表示部10には、入力画像検出部40(第1視認方向入力画像検出部40f)が配置してある。
【0063】
また、第1視認方向入力許容領域31fに対しては、第1視認方向EDfの第1視認方向操作者OPfが操作する第1発光型入力ペン35fからの光信号LSによって画像入力がなされる。
【0064】
画像入力部30は、例えば透光性の薄板で形成してあり、第1発光型入力ペン35fからの光信号LS(第1視認方向入力画像WIMf)の入力が許容される。光信号LS(画像入力部30への入力された位置に応じてLSa、LSb、LSc、LSd、LSe、LSf、LSg、LSh、LSi、LSj、LSk、LSmとして表す。以下、光信号LSa、LSb、LSc、LSd、LSe、LSf、LSg、LSh、LSi、LSj、LSk、LSmを特に区別する必要が無い場合は、単に光信号LSとすることがある。)は、視差制御部20によって視差制御され、一部の光信号LSだけが視差制御部20を通過(第1視認方向入力画像WIMfに対応する光信号LSが通過)し、液晶表示部10のカラーフィルタ14へ入射する。
【0065】
カラーフィルタ14へ入射した光信号LSは、液晶表示部10の表示制御液晶層11を通過して入力画像検出部40(第1視認方向入力許容領域31fに対応させた第1視認方向入力画像検出部40f)へ入力される。
【0066】
視差制御部20は、視差制御液晶層21を備え、液晶分子の配列方向を制御することによって、光信号LSに対する視差制御を実行する構成としてある。視差制御液晶層21は、例えばデューティ液晶によって構成することが可能である。
【0067】
視差制御液晶層21は、視差制御バリアとしての視差制御液晶層21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i、21j、21k、21mを有している。視差制御液晶層21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i、21j、21k、21mに対してそれぞれ光信号LS(LSa、LSb、LSc、LSd、LSe、LSf、LSg、LSh、LSi、LSj、LSk、LSm)が入射された状態として示してある。
【0068】
視差制御バリアとしての視差制御液晶層21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i、21j、21k、21mによる視差制御は、視差制御液晶層21a、21c、21e、21g、21i、21kでは第1視認方向EDfからの光信号LS(LSa、LSc、LSe、LSg、LSi、LSk)を透過させ、他方、視差制御液晶層21a、21c、21e、21g、21i、21kに隣接して配置された視差制御バリアとしての視差制御液晶層21b、21d、21f、21h、21j、21mでは第1視認方向EDfからの光信号LS(LSb、LSd、LSf、LSh、LSj、LSm)を遮断することで実行している。
【0069】
つまり、入力画像WIMが入力されるとき、視差制御バリア(視差制御液晶層21)の液晶分子の配列方向を交互に反対方向へ制御し、光信号LSが視差制御バリアを交互に透過するようにして視差制御を施している。したがって、視差制御部20を通過する光信号LS(LSa、LSc、LSe、LSg、LSi、LSk)が、第1視認方向から液晶表示部10(カラーフィルタ14)へ入力されることとなる。
【0070】
なお、視差制御液晶層21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i、21j、21k、21mは均等に区分して配置され、視差制御ピッチPpを構成している。視差制御ピッチPpによって入力画像に対する分解能が画定される。
【0071】
したがって、第1視認方向EDfから第1視認方向入力許容領域31fに向けて入力された光信号LSの内、視差制御部20を通過する光信号LS(LSa、LSc、LSe、LSg、LSi、LSk)が液晶表示部10のカラーフィルタ14へ入射され、さらには表示制御液晶層11を透過する。
【0072】
表示制御液晶層11は、視差制御部20の視差制御バリア(視差制御ピッチPp)に対応させて、例えば表示制御液晶層11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h、11i、11j、11kに区分されている。また、表示制御液晶層11の液晶分子の配列方向は、視差制御液晶層21の液晶分子の配列方向と同様に制御される構成としてある。
【0073】
つまり、表示制御液晶層11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h、11i、11j、11kの内、表示制御液晶層11a、11c、11e、11g、11i、11kでは、視差制御液晶層21a、21c、21e、21g、21i、21kと同様に第1視認方向EDfからの光信号LS(LSa、LSc、LSe、LSg、LSi、LSk)を透過させるように液晶分子の配列方向が制御してある。
【0074】
また、表示制御液晶層11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h、11i、11j、11kの内、表示制御液晶層11b、11d、11f、11h、11jでは、視差制御液晶層21b、21d、21f、21h、21jと同様に第1視認方向EDfからの光信号LS(LSb、LSd、LSf、LSh、LSj)を遮断するように液晶分子の配列方向が制御してある。したがって、高精度に光信号LS(LSb、LSd、LSf、LSh、LSj)を遮断することが可能となり、高精度に入力画像を検出することができる。
【0075】
表示制御液晶層11a、11c、11e、11g、11i、11kを透過した光信号LS(LSa、LSc、LSe、LSg、LSi、LSk)は、第1視認方向入力画像検出部40f(入力画像検出部40)に入射する。
【0076】
第1視認方向入力画像検出部40fは第1視認方向入力許容領域31fで第1視認方向入力画像WIMfとしての光信号LSを受光し、検出する。つまり、第1視認方向入力画像検出部40fは、第1視認方向入力画像WIMfを検出することが可能となる(図2A)。なお、第1視認方向入力画像WIMfは、第1発光型入力ペン35fによる光信号LSの軌跡に対応する。
【0077】
入力画像検出部40(第1視認方向入力画像検出部40f)は、発光型入力ペン35(第1発光型入力ペン35f)で入力された入力画像WIM(第1視認方向入力画像WIMf)を検出する光電変換素子41(表示制御液晶層11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h、11i、11j、11kに対応させて配置された光電変換素子41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h、41i、41j、41kとして示す。以下、光電変換素子41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h、41i、41j、41kを区別する必要が無い場合は、単に光電変換素子41とすることがある。)を備える。
【0078】
したがって、容易かつ高精度に入力画像WIMを検出することが可能となる。なお、光電変換素子41は、表示制御液晶層11の画素に対応させて配置することが望ましい。つまり、液晶表示部10は、フォトセンサ内蔵の液晶表示装置で構成してある。
【0079】
なお、第1視認方向入力画像検出部40fでは、入力画像の検出範囲を画定するために有効領域40vが設定してある。例えば、光電変換素子41b〜光電変換素子41jの範囲を有効領域40vとする場合、光電変換素子41a、光電変換素子41kでは、有効領域40vを外れることから予め無効に設定してある。
【0080】
つまり、光電変換素子41(光電変換素子41a、光電変換素子41k)を設けずにおくことが可能である。すなわち、第1視認方向入力許容領域31fから外れて入力された光信号LSa、LSkは、検出する必要が無いことから、仮に第1視認方向入力画像検出部40fへ入射しても有効な光信号LSとしての検出はされない。
【0081】
したがって、本実施の形態では、光電変換素子41c、41e、41g、41iのみが光電変換素子41として機能し、光信号LS(LSc、LSe、LSg、LSi)が第1視認方向入力画像WIMfとして検出されることとなる。
【0082】
画像入力を実行するときは、入力許容領域31に対応して表示された入力許容領域マーク31mの範囲内で画像入力をすることによって、入力画像WIMの入力を正確に実行することが可能となる。つまり、入力許容領域マーク31mを参照して、光信号LSa、Lsb、LSj、LSk、Lsmの入力を予め回避することが可能となり、不要な画像入力を回避することができる。
【0083】
第1視認方向入力画像検出部40f(光電変換素子41c、41e、41g、41i)が検出した第1視認方向入力画像WIMfは、画像表示信号生成部50へ送信される。画像表示信号生成部50は、第1視認方向入力画像WIMfに画像演算処理を施して第1視認方向入力画像WIMfに対応する画像表示信号Sdimを生成する。
【0084】
生成された画像表示信号Sdimは、画像表示信号生成部50から液晶駆動部13へ送信され、液晶駆動部13は、画像表示信号Sdimに応じて表示制御液晶層11を駆動する。液晶駆動部13によって駆動された表示制御液晶層11は、第1視認方向入力画像WIMfに対応させた第1視認方向表示画像DIMfを表示(図2B)することが可能となる。
【0085】
つまり、第1視認方向操作者OPfは、第1視認方向EDf(第1視認方向入力許容領域31f)から入力した第1視認方向入力画像WIMfに対応する第1視認方向表示画像DIMfを第1視認方向EDf(第1表示領域10f)で視認することが可能となる。
【0086】
液晶駆動部13によって表示制御液晶層11を駆動するとき、表示制御液晶層11の液晶分子の配列方向は、視差制御液晶層21と同様に制御する構成としてある。この構成によって視差制御液晶層21による視差制御を画像入力時と画像表示時とで一致させることが可能となり、高精度の視差制御を実行することができる。
【0087】
視差制御部20は、視差制御部20が有する視差制御液晶層21の液晶分子の配列方向を制御することによって視差制御を施し、表示制御液晶層11の液晶分子の配列方向は、視差制御液晶層21の液晶分子の配列方向と同様に制御される構成としてあることが望ましい。
【0088】
例えば、上述したとおり、視差制御液晶層21a、21c、21e、21g、21i、21kに対しては、第1視認方向EDfからの光信号LSを透過させる方向に液晶分子の配列方向を制御し、視差制御液晶層21b、21d、21f、21h、21j、21mに対しては、第1視認方向EDfからの光信号LSを遮断する方向に液晶分子の配列方向を制御している。
【0089】
また、表示制御液晶層11a、11c、11e、11g、11i、11kに対しては、視差制御液晶層21a、21c、21e、21g、21i、21kと同様に液晶分子の配列方向を制御することによって、第1視認方向EDfからの光信号LSを入力画像検出部40へ入射させ、表示制御液晶層11b、11d、11f、11h、11jに対しては、視差制御液晶層21b、21d、21f、21h、21j、21mと同様に液晶分子の配列方向を制御することによって、第1視認方向EDfからの光信号LSが入力画像検出部40へ入射することを防止している。
【0090】
したがって、表示制御液晶層11は、入力された入力画像WIMを視差制御部20と同様にして容易に透過させることが可能となることから、入力画像検出部40で入力画像WIMを高精度かつ鮮明に検出することができる。
【0091】
入力画像検出部40は、表示制御液晶層11を介して入力画像WIMを検出する構成としてあり、入力画像WIMが入力されるとき、表示制御液晶層11の液晶分子の配列方向を制御する構成としてあることが望ましい。
【0092】
例えば、操作部60を操作して画像入力モードに設定した状態では、表示制御液晶層11の液晶分子の配列方向を視差制御液晶層21の液晶分子の配列方向に同期させることが可能である。また、画像入力モードを設定しない場合には、入力画像検出部40に配置された光電変換素子41のいずれかが光信号LSを検出したとき、画像入力が開始されたと判断して表示制御液晶層11の液晶分子の配列方向を制御することが可能である。
【0093】
したがって、入力画像WIMに対応する光信号LSが高精度に表示制御液晶層11を透過することが可能となり、入力画像WIMを入力画像検出部40で高精度に検出することが可能となることから、入力画像WIMを高精度に入力することができる。
【0094】
入力許容領域31は、入力画像検出部40の有効領域40vより狭く設定してあることが望ましい。
【0095】
例えば、第1視認方向入力許容領域31fとして、視差制御液晶層21bないし視差制御液晶層21hに対応する領域を指定(入力許容領域マーク31m)した場合、光信号LSの傾斜を考慮して、視差制御液晶層21bに対応する側では光電変換素子41b、41c、・・・を有効とし、視差制御液晶層21hに対応する側では光電変換素子41h、41i、41jを有効とすることが可能である。
【0096】
したがって、入力画像WIMを検出するときの欠落を防止することが可能となり、入力画像WIMを高精度に検出することができる。
【0097】
入力許容領域31は、入力画像検出部40の有効領域40v(光電変換素子41bないし光電変換素子41j)に対して、第1視認方向EDfでは、第1視認方向EDfの方へ、第2視認方向EDsでは、第2視認方向EDsの方へ、視差制御液晶層21が有する視差制御ピッチに対応させてそれぞれ移動させてあることが望ましい。
【0098】
例えば、第1視認方向EDfでの入力許容領域31(入力許容領域マーク31m)は、光電変換素子41bに対して第1視認方向EDfの方へ(第1視認方向操作者OPfの方へ)、1個分の視差制御ピッチPp(視差制御液晶層21b)に対応させて移動させてある。また、光電変換素子41jに対して第1視認方向EDfの方へ(第1視認方向操作者OPfの方へ)、3個分の視差制御ピッチPp(視差制御液晶層21i、21j、21k)に対応させて移動させてある。なお、第2視認方向EDsに対しては、単に方向が逆になるのみであり、図示は省略する。
【0099】
したがって、入力画像WIMを検出するときの欠落を確実に防止することが可能となり、入力画像WIMの入力が無効となる領域を低減することが可能となる。
【0100】
画像入力部30から入力画像検出部40までの間隔L3は、視差制御部20から入力画像検出部40までの間隔L2の整数倍(整数は2以上)としてあることが望ましい。つまり、視差制御部20から入力画像検出部40までの間隔L2を「1」とした場合、画像入力部30の表面と視差制御液晶層21との間の間隔L1は、間隔L2に対して整数倍に設定することが望ましい。
【0101】
例えば、入力許容領域31での光信号LSの入射位置に対して、視差制御液晶層21(例えば画素に対応する各区分領域21a、21b、・・・)と入力画像検出部40(例えば各光電変換素子41a、41b、・・・)の位置関係を直線上に配置することが可能となり、視認方向EDを正確に画定することが可能となる。
【0102】
したがって、第1視認方向EDfまたは第2視認方向EDsを高精度に画定して入力画像WIMを入力画像検出部40で容易かつ高精度に検出することが可能となるので、入力画像WIMの欠落を抑制して高精度の画像入力と高精度の画像表示が可能な液晶表示電子機器1とすることができる。
【0103】
なお、画像入力部30から入力画像検出部40までの間隔L3は、視差制御部20から入力画像検出部40までの間隔L2の2倍としてあることが望ましい。つまり、(間隔L3/間隔L2)=2であることが望ましい。
【0104】
この構成によって、画像入力部30から入力画像検出部40までの間隔L3を最短に構成することが可能となるので、視差制御による変位量を最小にして入力画像WIMに対する表示画像(第1視認方向表示画像DIMfまたは第2視認方向表示画像DIMs)の変位量を最小にし、薄型化することによって入力画像WIMの透過時の減衰を防止することができる。
【0105】
画像表示信号生成部50は、画像入力部30の入力画像WIMが入力された位置に対応させて第1視認方向表示画像DIMfまたは第2視認方向表示画像DIMsが視認されるように画像表示信号Sdimを生成することが望ましい。
【0106】
例えば、液晶駆動部13は、光信号LSc、LSe、LSg、LSiを検出した光電変換素子41c、41e、41g、41iに対応する表示制御液晶層11(11c、11e、11g、11i)を駆動することによって、入力画像WIMを表示画像DIMfとして高精度に再現することが可能となる。
【0107】
したがって、入力画像WIMを検出した入力画像検出部40の位置に対応する位置の液晶駆動部13に画像表示信号Sdimを供給すれば良いことから、画像表示信号Sdimを容易に生成することが可能となり、再現性良く入力画像WIMに対応する表示画像(第1視認方向表示画像DIMfまたは第2視認方向表示画像DIMs)を表示することができる。
【0108】
なお、第2視認方向EDsに対する第2表示領域10s、第2視認方向入力許容領域31sでの動作、画像演算処理については、単に視認方向が異なるのみで、第1視認方向EDfの場合と同様であるので、説明は省略する。
【0109】
図2Cは、図1Bに示した液晶表示電子機器の領域Y2(第3表示領域)の断面状態を拡大して第1視認方向および第2視認方向で画像を表示/視認するときの表示状態を概念的に示す表示概念説明図である。なお、領域Y2は、領域Y1に対して液晶表示部10での領域が異なるのみで、基本的な構成は、領域Y1(図2A、図2B)と同様であるので主に異なる事項について説明する。
【0110】
第3表示領域10tでは、画像表示信号Sdimに応じて液晶駆動部13が表示制御液晶層11を駆動する。したがって、表示制御液晶層11は、画像表示信号Sdimに応じた表示状態となる。また、表示制御液晶層11と画像入力部30の表面(画像表示面10d)との間には、上述したとおり、視差制御部20(視差制御液晶層21)が配置してあることから、液晶表示部10は、視差制御部20による視差制御に対応した表示画像DIMを表示する。
【0111】
つまり、第1視認方向EDfでは、視差制御部20による視差制御によって第1視認方向表示画像DIMfが表示(視認)され、第2視認方向EDsでは、視差制御部20による視差制御によって第2視認方向表示画像DIMsとして表示(視認)される。
【0112】
したがって、第1視認方向EDfの第1視認方向操作者OPfは、第3表示領域10tに表示された表示画像DIMとして第1視認方向表示画像DIMf(例えば、三角図形)を視認することが可能となり、第2視認方向EDsの第2視認方向操作者OPsは、第3表示領域10tに表示された表示画像DIMとして第2視認方向表示画像DIMs(例えば、円図形)を視認することが可能となる。
【0113】
上述したとおり、図2Aの状態で、入力画像WIMの入力が許容される入力許容領域31を有する画像入力部30に入力された入力画像WIMを視差制御部20を介して入力画像検出部40で検出する(入力画像検出ステップ)こととなる。また、入力画像検出ステップで検出された入力画像WIMに画像演算処理を施して画像表示信号Sdimを生成する(画像表示信号生成ステップ)処理が実行される。
【0114】
また、図2B、図2Cの状態で、画像表示信号Sdimに応じて表示画像DIMを画像表示面10dへ表示する(画像表示ステップ)処理が実行される。
【0115】
<実施の形態2>
図3に基づいて本実施の形態に係る液晶表示電子機器の構成について説明する。本実施の形態に係る液晶表示電子機器は、実施の形態1に係る液晶表示電子機器1と同様であるので、実施の形態1の説明を適宜適用して説明する。なお、第1視認方向EDf、第2視認方向EDsいずれに対しても同様な構成とすることが可能であるので、以下では、視認方向は適宜省略して説明する。
【0116】
図3は、本発明の実施の形態2に係る液晶表示電子機器の機能構成ブロックの概略を示すブロック図である。
【0117】
本実施の形態に係る液晶表示電子機器1は、機能構成部ロックとして、制御部5、画像演算処理部6、記憶部8を備える。また、液晶表示部10、液晶駆動部13、視差制御部20、画像入力部30、入力画像検出部40、画像表示信号生成部50、操作部60(操作入力インターフェイス61)が適宜接続されている。
【0118】
制御部5は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成され、予め記憶部8に記憶(インストール)されたコンピュータプログラムに基づいて、画像演算処理部6、記憶部8、液晶表示部10、液晶駆動部13、視差制御部20、画像入力部30、入力画像検出部40、画像表示信号生成部50、操作部60(操作入力インターフェイス61)に対する制御および連係動作を実行する。
【0119】
画像演算処理部6は、入力画像検出部40で検出された入力画像WIMに各種の画像演算処理を施す。例えば、入力許容領域31へ入力された入力画像WIMを検出し、検出した入力画像WIMを画像表示面10dに表示画像DIMとして表示する処理を実行する。画像演算処理は、基本的にコンピュータプログラム(画像演算処理プログラム)を適用して実行することが可能である。
【0120】
また、画像演算処理部6は、入力画像検出部40で検出された入力画像WIMに画像演算処理を施して入力画像WIMに対応する画像表示信号Sdimを生成する画像表示信号生成部50を併せて備える。また、入力画像処理部6f、画像複製処理部6sを備える。
【0121】
入力画像処理部6fは、入力画像WIM(第1視認方向入力画像WIMf/第2視認方向入力画像WIMs)に対する画像演算処理を施して表示画像DIM(第1視認方向表示画像DIMf/第2視認方向表示画像DIMs)を第1表示領域10f/第2表示領域10sに表示するために必要な画像信号を画像表示信号生成部50へ送信し、第1表示領域10f/第2表示領域10sに第1視認方向表示画像DIMf(第1表示領域10fに表示された三角図形)/第2視認方向表示画像DIMsに表示された円図形)を表示する構成としてある(図1A参照)。
【0122】
画像複製処理部6sは、入力画像WIM(第1視認方向入力画像WIMf/第2視認方向入力画像WIMs)に対する画像演算処理を施して表示画像DIM(第1視認方向表示画像DIMf/第2視認方向表示画像DIMs)を第3表示領域10tに拡大して表示するために必要な画像信号を画像表示信号生成部50へ送信し、第3表示領域10tに第1視認方向表示画像DIMfを表示する構成としてある(図1A参照)。
【0123】
記憶部8には、実施の形態1で説明した各画像処理を実行するためのコンピュータプログラムが予めインストールしてある。また、必要に応じて入力画像WIMの画像情報、表示画像DIMの画像情報を一時的に記憶することが可能な構成としてある。
【0124】
液晶表示部10、液晶駆動部13、視差制御部20、画像入力部30、入力画像検出部40の機能は実施の形態1で説明したとおりである。なお、画像入力は操作者OPが外部に配置された発光型入力ペン35を利用して画像入力部30に対して実行することが可能である。
【0125】
また、操作部60から適宜の指示を液晶表示電子機器1に対して実行することが可能である。操作部60の構成を簡略化するために、画面にメニューを表示するメニュー形態でプログラムを実行する形式としてある。また、操作部60からの操作を制御部5に伝達するために操作入力インターフェイス61が制御部5と操作部60との間に配置してある。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1A】本発明の実施の形態1に係る液晶表示電子機器の概略構成および視差制御された表示状態を概念的に示す平面図である。
【図1B】図1Aに示した液晶表示電子機器の矢符X方向から見た側面状態を透視的に示す透視側面図である。
【図2A】図1Bに示した液晶表示電子機器の領域Y1(第1表示領域、第1視認方向入力許容領域)の断面状態を拡大して第1視認方向での画像の入力状態を概念的に示す入力概念説明図である。
【図2B】図2Aで入力した画像を第1視認方向で表示/視認するときの表示状態を概念的に示す表示概念説明図である。
【図2C】図1Bに示した液晶表示電子機器の領域Y2(第3表示領域)の断面状態を拡大して第1視認方向および第2視認方向で画像を表示/視認するときの表示状態を概念的に示す表示概念説明図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る液晶表示電子機器の機能構成ブロックの概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0127】
1 液晶表示電子機器
1c 筐体
5 制御部
10 液晶表示部
10d 画像表示面
10f 第1表示領域
10s 第2表示領域
10t 第3表示領域
11、11a〜11k 表示制御液晶層
13 液晶駆動部
14 カラーフィルタ
15 バックライト
20 視差制御部
21、21a〜21m 視差制御液晶層
30 画像入力部
31 入力許容領域
31f 第1視認方向入力許容領域
31m 入力許容領域マーク
31s 第2視認方向入力許容領域
35 発光型入力ペン
35f 第1発光型入力ペン
35s 第2発光型入力ペン
40 入力画像検出部
40f 第1視認方向入力画像検出部
40s 第2視認方向入力画像検出部
40v 有効領域
41、41a〜41k 光電変換素子
50 画像表示信号生成部
60 操作部
60f 第1操作部
60s 第2操作部
DIM 表示画像
DIMf 第1視認方向表示画像
DIMs 第2視認方向表示画像
ED 視認方向
EDf 第1視認方向
EDs 第2視認方向
L1、L2、L3 間隔
LS、LSa〜LSm 光信号
OP 操作者
OPf 第1視認方向操作者
OPs 第2視認方向操作者
Pp 視差制御ピッチ
Sdim 画像表示信号
WIM 入力画像
WIMf 第1視認方向入力画像
WIMs 第2視認方向入力画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示制御液晶層および該表示制御液晶層を駆動する液晶駆動部を有する液晶表示部と、該液晶表示部に重畳して配置され前記液晶表示部が第1視認方向に向けて第1視認方向表示画像を表示し、第2視認方向に向けて第1視認方向表示画像と異なる第2視認方向表示画像を表示するように前記液晶表示部に対して視差制御を施す視差制御部とを備える液晶表示電子機器であって、
前記視差制御部に重畳して配置され入力画像の入力が許容される入力許容領域を有する画像入力部と、
前記入力許容領域に対応して配置され、入力された入力画像を前記第1視認方向または前記第2視認方向に対応させて検出する入力画像検出部と、
該入力画像検出部で検出された入力画像に画像演算処理を施して入力画像に対応する画像表示信号を生成する画像表示信号生成部とを備え、
前記液晶駆動部は、前記画像表示信号に応じて前記第1視認方向表示画像/前記第2視認方向表示画像を表示する構成としてあり、
前記画像入力部から前記入力画像検出部までの間隔は、前記視差制御部から前記入力画像検出部までの間隔の整数倍としてあること
を特徴とする液晶表示電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示電子機器であって、
前記整数は、2であること
を特徴とする液晶表示電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液晶表示電子機器であって、
前記入力画像検出部は、前記表示制御液晶層を介して入力画像を検出する構成としてあり、入力画像が入力されるとき、前記表示制御液晶層の液晶分子の配列方向を制御する構成としてあること
を特徴とする液晶表示電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の液晶表示電子機器であって、
前記視差制御部は、前記視差制御部が有する視差制御液晶層の液晶分子の配列方向を制御することによって視差制御を施し、前記表示制御液晶層の液晶分子の配列方向は、前記視差制御液晶層の液晶分子の配列方向と同様に制御される構成としてあること
を特徴とする液晶表示電子機器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の液晶表示電子機器であって、
前記画像表示信号生成部は、前記画像入力部の入力画像が入力された位置に対応させて第1視認方向表示画像または第2視認方向表示画像が視認されるように画像表示信号を生成すること
を特徴とする液晶表示電子機器。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の液晶表示電子機器であって、
前記入力許容領域は、前記入力画像検出部の有効領域より狭く設定してあること
を特徴とする液晶表示電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶表示電子機器であって、
前記入力許容領域は、前記入力画像検出部の前記有効領域に対して、前記第1視認方向では、前記第1視認方向の方へ、前記第2視認方向では、前記第2視認方向の方へ、前記視差制御液晶層が有する視差制御ピッチに対応させてそれぞれ移動させてあること
を特徴とする液晶表示電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の液晶表示電子機器であって、
前記入力許容領域は、前記画像入力部に表示された入力許容領域マークによって画定されていること
を特徴とする液晶表示電子機器。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか一つに記載の液晶表示電子機器であって、
前記第1視認方向に対応して配置され前記第1視認方向からの操作を受け付ける第1操作部と、前記第2視認方向に対応して配置され前記第2視認方向からの操作を受け付ける第2操作部とを備えること
を特徴とする液晶表示電子機器。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−199011(P2009−199011A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43359(P2008−43359)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】