液滴吐出装置および液滴吐出装置の描画制御方法
【課題】液滴吐出装置において、キャリッジ間で新旧の液状体が混在することを低減させる。
【解決手段】液滴吐出ヘッドとキャリッジ14iとを備え、基板Bをキャリッジ14iに対して移動させ、基板B上に液状体を吐出して描画する液滴吐出装置100であって、キャリッジ14iに搭載される液滴吐出ヘッドに供給される液状体の供給量をキャリッジ14i毎に検出する液量検出手段と、基板Bの移動方向に対して略直交する方向に並列して設けられるとともに複数の前記キャリッジ14iを基板Bの移動方向に対して略直交する方向に個別に移動させ保持する複数のキャリッジ移動機構16,18と、を有し、液量検出手段が検出した液状体の供給量に基づいて、複数のキャリッジ14i間で液状体の供給量を略同じにするように、キャリッジ14iを移動させ配置する。
【解決手段】液滴吐出ヘッドとキャリッジ14iとを備え、基板Bをキャリッジ14iに対して移動させ、基板B上に液状体を吐出して描画する液滴吐出装置100であって、キャリッジ14iに搭載される液滴吐出ヘッドに供給される液状体の供給量をキャリッジ14i毎に検出する液量検出手段と、基板Bの移動方向に対して略直交する方向に並列して設けられるとともに複数の前記キャリッジ14iを基板Bの移動方向に対して略直交する方向に個別に移動させ保持する複数のキャリッジ移動機構16,18と、を有し、液量検出手段が検出した液状体の供給量に基づいて、複数のキャリッジ14i間で液状体の供給量を略同じにするように、キャリッジ14iを移動させ配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を液滴吐出ヘッドを搭載した複数のキャリッジに対して移動させながら、基板上に液状体を吐出して描画を行う液滴吐出装置および液滴吐出装置の描画制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置等のカラーフィルタ、有機EL装置の成膜などの分野に液滴吐出装置が利用されている。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと呼ばれる液滴吐出機構を有している。この液滴吐出ヘッドには、複数のノズルが規則的に形成されている。液滴吐出装置では、これらのノズルから液状体を液滴として吐出することにより、基板等からなるワーク上に液状体からなるパターンの描画を行う。
【0003】
近年、表示装置は大型化が進んでおり、それに伴い表示装置に用いられるワークも大型化が進んでいる。そのため、ワークに対して効率よくパターンの描画を行うことが重要になってきている。ワークに液状体を吐出してパターンの描画を行う液滴吐出装置として、複数の液滴吐出ヘッドが搭載された複数のキャリッジを描画エリアに1列に配置して、キャリッジが配置された方向と直交する方向に、ワークを移動させてパターンの描画を行う液滴吐出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−254797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドに供給する液状体を収容するタンクを、キャリッジ毎に搭載したいわゆるオンキャリッジタイプがある。このようなオンキャリッジタイプの液滴吐出装置は、描画パターンがキャリッジによって異なると、キャリッジに搭載された液滴吐出ヘッドから吐出される液状体の使用量に差が生じ、同じくキャリッジに搭載されたタンク内の液状体の収容量に差が生じてしまう。タンクに収容された液状体の収容量に差が生ずると、一部のタンクのみ液状体の収容量が先に減じてしまう。先に液状体が減じたタンクには新の液状体が供給される。
【0006】
そのため、液滴吐出装置において、キャリッジ間で新旧の液状体が混在することになる。その結果、1つのワーク上で旧の液状体によって描画された部分と新の液状体によって描画された部分とができてしまう。液晶表示装置等のカラーフィルタ、有機EL装置の成膜等に用いられる液状体は、特殊な液状体であり、経時的に粘度等の物性が変化してしまったり、ロット毎に液状体の物性が異なったりする。このような物性の異なる液状体によって、パターンが描画されると、描画品質がばらつく惧れがある。描画品質がばらつくと、製造される表示装置の画像品質が低下してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
(適用例1)液状体を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドが搭載された複数のキャリッジとを備え、被吐出対象である基板を複数の前記キャリッジに対して移動させ、前記基板上に前記液状体を吐出して描画する液滴吐出装置であって、前記キャリッジに搭載される前記液滴吐出ヘッドに供給される前記液状体の供給量を、前記キャリッジ毎に検出する液量検出手段と、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に並列して設けられるとともに、複数の前記キャリッジを、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に個別に移動させ保持する複数のキャリッジ移動機構と、を有し、前記液量検出手段が検出した前記液状体の前記供給量に基づいて、複数の前記キャリッジ間で前記液状体の前記供給量を略同じにするように、前記キャリッジを移動させ配置することを特徴とする液滴吐出装置。
【0009】
(適用例2)前記キャリッジは、前記液滴吐出ヘッドに供給する前記液状体を収容する液状体収容容器を備えていることを特徴とする上記の液滴吐出装置。
【0010】
これらの構成によれば、複数のキャリッジ移動機構によって移動され保持された複数のキャリッジを基板に対向させて、キャリッジに搭載された液滴吐出ヘッドから液状体を吐出して基板上にパターンを描画する。このとき、液量検出機構によって、キャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドに供給される液状体の供給量を、キャリッジ毎に検出することができる。そして、複数のキャリッジ移動機構によって、液状体の供給量の多いキャリッジを吐出頻度の低い被吐出領域に移動し、液状体の供給量の少ないキャリッジを吐出頻度の高い被吐出領域に移動させ、描画作業を実施することができる。
【0011】
これにより、キャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドに供給される液状体の供給量において、キャリッジ間の差を低減することができる。また、キャリッジに備えられた液状体収容容器に収容される液状体の残量において、キャリッジ間の差を低減することができる。そのため、キャリッジに備えられた液状体収容容器において、新の液状体の補充時期もしくは液状体収容容器の交換時期のばらつきを低減させることができ、キャリッジ間で新旧の液状体が混在することを低減させることが可能になる。その結果、1つの基板上で旧の液状体によって描画された部分と新の液状体によって描画された部分とができることを防止でき、描画品質のばらつきを低減させることができる。
【0012】
(適用例3)前記液量検出手段は、前記液状体収容容器内に収容される前記液状体の残重量を測定する重量測定装置を含み、前記重量測定装置で測定された前記液状体の残重量に基づいて、前記液状体の供給量を検出することを特徴とする上記の液滴吐出装置。
【0013】
この構成によれば、液状体収容容器毎の液状体の残重量を重量測定装置で測定することができる。そのため、液状体収容容器に収容される液状体の収容量を知ることができ、液状体の供給量を正確に検出することができる。
【0014】
(適用例4)前記液量検出手段は、前記液滴吐出ヘッドの累積吐出回数で前記液状体収容容器から供給される前記液状体の供給量を検出することを特徴とする上記の液滴吐出装置。
【0015】
この構成によれば、キャリッジ毎の液状体の供給量を、同じくキャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドの累積吐出回数で知ることができる。そのため、測定装置が不要になり、装置の小型化が図られる。
【0016】
(適用例5)前記キャリッジは、搭載された前記液滴吐出ヘッドから吐出される液状体の吐出幅が想定されており、前記複数のキャリッジが、前記複数のキャリッジ移動機構により、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に各々移動され配置されることによって、配置された複数のキャリッジが構成するトータルの吐出幅は、少なくとも、前記基板の被吐出領域の幅を覆う長さを有することを特徴とする上記の液滴吐出装置。
【0017】
この構成によれば、基板の被吐出領域の幅を、複数のキャリッジが複数のキャリッジ移動機構により移動配置されて構成するトータルの吐出幅で覆うことができる。そのため、液状体収容容器に収容される液状体の残重量によって任意の被吐出領域に移動配置させて、基板を、複数のキャリッジが配置された方向とは直交する方向に移動させながら、液滴吐出ヘッドから液状体を吐出し、基板にパターンを描画することができる。その結果、キャリッジ間の液状体収容容器に収容される液状体の残量の差を低減することができるとともに、様々な描画パターンへの対応および描画時間の短縮が可能になる。
【0018】
(適用例6)液状体を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドが搭載された複数のキャリッジとを備え、被吐出対象である基板を複数の前記キャリッジに対して移動させ、前記基板上に前記液状体を吐出して描画する液滴吐出装置の描画制御方法であって、前記キャリッジに搭載される前記液滴吐出ヘッドに供給される前記液状体の供給量を、前記キャリッジ毎に検出する液量検出工程と、検出された前記キャリッジ毎の前記液状体の前記供給量に基づいて、複数の前記キャリッジ間で供給される前記液状体の前記供給量を略同じにするように、複数の前記キャリッジを、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に複数の列状に、移動させ配置するキャリッジ移動工程と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置の描画制御方法。
【0019】
(適用例7)前記キャリッジは、前記液滴吐出ヘッドに供給する前記液状体を収容する液状体収容容器を備えていることを特徴とする上記の液滴吐出装置の描画制御方法。
【0020】
これらの方法によれば、キャリッジ移動工程により、複数のキャリッジを複数の列状に配置して、対向する基板を当該列と略直交する方向に移動させながら、キャリッジに搭載された液滴吐出ヘッドから液状体を吐出して基板上にパターンを描画することができる。このとき、液量検出工程において、キャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドに供給される液状体の供給量を、キャリッジ毎に検出することができる。そして、複数のキャリッジ移動機構によって、液状体の供給量の多いキャリッジを吐出頻度の低い被吐出領域に移動し、液状体の供給量の少ないキャリッジを吐出頻度の高い被吐出領域に移動させ、描画作業を実施することができる。
【0021】
これにより、キャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドに供給される液状体の供給量において、キャリッジ間の差を低減することができる。また、キャリッジに備えられた液状体収容容器に収容される液状体の残量において、キャリッジ間の差を低減することができる。そのため、キャリッジに備えられた液状体収容容器において、新の液状体の補充時期もしくは液状体収容容器の交換時期のばらつきを低減させることができ、キャリッジ間で新旧の液状体が混在することを低減させることが可能になる。その結果、1つの基板上で旧の液状体によって描画された部分と新の液状体によって描画された部分とができることを防止でき、描画品質のばらつきを低減させることができる。
【0022】
(適用例8)前記液量検出工程は、前記液状体収容容器内に収容される前記液状体の残重量を測定する重量測定工程をさらに有し、前記重量測定工程で測定された前記液状体の残重量に基づいて、前記液状体の供給量を検出することを特徴とする上記の液滴吐出装置の描画制御方法。
【0023】
この方法によれば、液状体収容容器毎の液状体の残重量を重量測定装置で測定することができる。そのため、液状体収容容器に収容される液状体の収容量を知ることができ、液状体の供給量を正確に検出することができる。
【0024】
(適用例9)前記液量検出工程は、前記液滴吐出ヘッドの累積吐出回数で前記液状体収容容器から供給される前記液状体の供給量を検出することを特徴とする上記の液滴吐出装置の描画制御方法。
【0025】
この方法によれば、キャリッジ毎の液状体の供給量を、同じくキャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドの累積吐出回数で知ることができる。そのため、測定装置が不要になり、装置の小型化が図られるとともに、液滴吐出ヘッドからの液状体の供給量を正確に検出することができる。
【0026】
(適用例10)前記キャリッジは、搭載された前記液滴吐出ヘッドから吐出される前記液状体の吐出幅が想定されており、前記キャリッジ移動工程は、複数の前記キャリッジが構成するトータルの吐出幅が、少なくとも、前記基板の被吐出領域の幅を覆うように、複数の前記キャリッジを、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に各々移動させ配置することを特徴とする上記の液滴吐出装置の描画制御方法。
【0027】
この方法によれば、基板の被吐出領域の幅を、複数のキャリッジが複数のキャリッジ移動機構により移動配置されて構成するトータルの吐出幅で覆うことができる。そのため、液状体収容容器に収容される液状体の残重量によって任意の被吐出領域に移動配置させて、基板を、複数のキャリッジが配置された方向とは直交する方向に移動させながら、液滴吐出ヘッドから液状体を吐出し、基板にパターンを描画することができる。その結果、キャリッジ間の液状体収容容器に収容される液状体の残量の差を低減することができるとともに、様々な描画パターンへの対応および描画時間の短縮が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明で参照する図面では、説明および図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0029】
(液滴吐出装置の全体構成について)
まず、本実施形態における液滴吐出装置を、図1および図2を参照して説明する。図1は液滴吐出装置の概略構成を示す平面図であり、図2は液滴吐出装置の概略構成を示す正面図である。なお、図1および図2中のX方向はテーブルの移動方向を示し、Y方向は複数のキャリッジの移動方向を示し、Z方向は、X方向とY方向とに直交する方向を示している。
この液滴吐出装置は、いわゆるフラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれ、液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出法により、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。
【0030】
図1および図2に示すように、液滴吐出装置100は、テーブル10と、テーブル移動機構12と、複数のキャリッジ14と、第1のキャリッジ移動機構16と、第2のキャリッジ移動機構18と、制御装置20と、メンテナンス部24と、基台22とを備えている。
基台22は、例えば、平板状の石材などの熱膨張係数が小さい材料から形成されており、Y方向に一定の幅を有し、X方向に沿って延びるように4本の脚部26に支持されている。また、基台22のZ方向の下部には、制御装置20が設けられている。
【0031】
テーブル移動機構12は、テーブル10と、2つのリニアモータ30とを有している。 2つのリニアモータ30は、基台22のZ方向上面にX方向に沿って平行に配置されている。テーブル10は、平板状の部材であり、Z方向上面に基板Bを着脱可能に保持する載置面10Aを有している。テーブル10は、基台22に配置された2つのリニアモータ30の上方に配設されている。
【0032】
リニアモータ30は、図示しない固定子と可動子を有しており、固定子は基台22に、可動子はテーブル10に設けられている。テーブル移動機構12は、制御装置20からの指令に基づいて可動子のコイルが通電されることにより、テーブル10をX方向に往復移動させることができる。
【0033】
図1および図2に示すように、第1のキャリッジ移動機構16は、2つのリニアモータ32と、4本の支柱34とを備えている。リニアモータ32のそれぞれは、テーブル移動機構12に配置されたテーブル10に対してZ方向に空間を有する状態で、テーブル移動機構12のリニアモータ30と直交するようにY方向に延びて2本の支柱34に支持され、互いに平行に配設されている。
【0034】
第2のキャリッジ移動機構18は、2つのリニアモータ36と、4本の支柱38とを備えている。リニアモータ36のそれぞれは、テーブル移動機構12に配置されたテーブル10に対してZ方向に空間を有する状態でY方向に延びるように、2本の支柱38に支持され互いに平行に配設されている。第2のキャリッジ移動機構18は、第1のキャリッジ移動機構16に対して、X方向に一定の間隔を有し、平行に配設されている。
【0035】
キャリッジ14は、本実施形態においては、8個設けられており、4個のキャリッジ14は第1のキャリッジ移動機構16に、残りの4個のキャリッジ14は第2のキャリッジ移動機構18に割り当てられ配置されている。以降、説明を分かりやすくするため、キャリッジ14は、キャリッジ14i(iは1から8の自然数)と表し、第1のキャリッジ移動機構16に配置された4個のキャリッジ14をキャリッジ141〜144、第2のキャリッジ移動機構18に配置された4個のキャリッジ14をキャリッジ145〜148と表す。
【0036】
キャリッジ14iは、複数の液滴吐出ヘッド40が搭載されている。キャリッジ141〜144は、液滴吐出ヘッド40側が図2中Z方向下方、すなわち、テーブル10に載置された基板Bの上面に対向するように、2つのリニアモータ32のZ方向上方に配設されている。リニアモータ32は、図示しない固定子と可動子を有しており、固定子は支柱34に支持され、可動子はキャリッジ141〜144にそれぞれ設けられている。第1のキャリッジ移動機構16は、制御装置20からの指令に基づいて可動子のコイルが通電されることにより、キャリッジ141〜144をY方向に沿って、個別に往復移動させ、それぞれを任意の位置に停止させ保持することができる。
【0037】
キャリッジ145〜148は、液滴吐出ヘッド40側が図2中Z方向下方、すなわち、テーブル10に載置された基板Bの上面に対向するように、2つのリニアモータ36のZ方向上方に配設されている。リニアモータ36は、図示しない固定子と可動子を有しており、固定子は支柱38に支持され、可動子はキャリッジ145〜148にそれぞれ設けられている。第2のキャリッジ移動機構18は、制御装置20からの指令に基づいて可動子のコイルが通電されることにより、キャリッジ145〜148をY方向に沿って、個別に往復移動させ、それぞれを任意の位置に停止させ保持することができる。
キャリッジ14iの詳細については後述する。
【0038】
メンテナンス部24は、第1のキャリッジ移動機構16と第2のキャリッジ移動機構118とを挟んで、テーブル移動機構12のテーブル10の待機位置のX方向反対に設けられており、2つのリニアモータ30のZ方向上方に配設されている。メンテナンス部24は、リニアモータ30の可動子が設けられ、制御装置20からの指令に基づいて可動子のコイルが通電されることにより、X方向に往復移動することができる。
【0039】
メンテナンス部24は、図示しない吸引ユニットとワイピングユニットとを有している。メンテナンス部24は、X方向に移動することにより、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18により移動されるキャリッジ14iに搭載された液滴吐出ヘッド40と、吸引ユニットおよびワイピングユニットとを対向させることができる。
吸引ユニットは、液滴吐出装置100の非稼働時に、液滴吐出ヘッド40のノズル面を封止してノズルの乾燥を防止すると共に、液滴吐出ヘッド40のノズルから増粘した液状体を吸引除去する役割を果たす。ワイピングユニットは、液滴吐出ヘッド40のノズル面に付着する汚れを払拭する役割を果たす。
【0040】
このような液滴吐出装置100は、複数のキャリッジ14を列状に配置し、列状に配置された複数のキャリッジ14と略直交する方向にテーブル10を移動させながら、複数のキャリッジ14に搭載された複数の液滴吐出ヘッド40から液状体を液滴として吐出して、テーブル10に搭載されたワークとしての基板Bに液状体で所望のパターンを形成することができる。
【0041】
(液滴吐出ヘッドの構成について)
次に、液滴吐出ヘッドについて、図3を参照して説明する。図3は、液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は底面側から見た斜視図、(b)は底面図である。図3中のX方向、Y方向およびZ方向は、図1に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一の方向を示す。
図3(a)に示すように、液滴吐出ヘッド40は、液状体導入部42と、ヘッド基板44と、ヘッド本体46と、コネクタ48とを備えている。
【0042】
液状体導入部42は、方形に形成され、2連の接続針50を有し、ヘッド基板44の一面に設けられている。ヘッド基板44は、長手方向の長さが液状体導入部42の長手方向の長さより長い長方形の板状に形成され、液状体導入部42が設けられている面に、さらに2個のコネクタ48が設けられている。ヘッド本体46は、方形に形成され、液状体導入部42が設けられている面とは反対側のヘッド基板44の面に、液状体導入部42と対峙するように設けられている。
【0043】
ヘッド本体46は、液状体導入部42に連なるポンプ部52と、ポンプ部52に連なるノズルプレート54と、を有している。ノズルプレート54のノズル面56には、複数のノズル58(例えば、180個)が形成されている。図3(b)に示すように、複数のノズル58は、ノズル面56にY方向に沿って所定のピッチ間隔Pを有して互いに平行なノズル列59aおよび59bを形成している。ノズル列59aおよび59bは、ノズル列59aおよび59bのノズル58同士がX方向にP/2の間隔だけずれた位置に形成されている。
【0044】
ポンプ部52には、図示しない圧電素子が設けられており、当該圧電素子を駆動することによって、液状体導入部42から供給されてきた液状体をノズル58から液滴として吐出する。1つのノズル58に対応して1つの圧電素子が設けられており、それぞれのノズル58毎に独立して液滴を吐出することができる。同時に、1つの液滴吐出ヘッド40は、図3(b)に示すように液滴吐出ヘッド40から液状体が吐出される吐出幅Lを有している。
【0045】
(キャリッジの構成について)
キャリッジ14iを、図2、図4および図5を参照して説明する。図4は1つのキャリッジの底面図である。図5は、キャリッジに搭載された液状体収容容器としてのタンクを説明する図である。図4および図5中のX方向、Y方向およびZ方向は、図1に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一の方向を示す。
【0046】
キャリッジ14iは、図2および図4に示すように、ヘッドプレート60と、12個の液滴吐出ヘッド40n(nは、1〜12の整数)と、タンク62k(kは1から8の自然数)とを有している。ヘッドプレート60は、ステンレス等からなる上面視略平行四辺形の板状部材であり、12個の液滴吐出ヘッド40nを、ノズル面56がZ方向下方に突出するよう搭載し、キャリッジ14iのZ方向下方に設けられている。キャリッジ14iのZ方向上方にはタンク62kが設けられている。
【0047】
図4に示すように、12個の液滴吐出ヘッド40nは、6個ずつに二分されX方向に所定の間隔をあけて、ヘッド列64aおよび64bを形成している。ヘッド列64aおよび64bは、X方向から所定の角度θを有する方向に延びるように構成されている。そのため、図4中のX方向から見たとき、各キャリッジ14iにおいて、12個の液滴吐出ヘッド40nは、これらの全ノズル列59aおよび59bで1つの描画ラインを構成すべく、そのノズル列59aおよび59bが連続するように配設されている。同時に、1つのキャリッジ14iは、12個の液滴吐出ヘッド40nから液状体が吐出される吐出幅Mを有している。
【0048】
図5に示すように、タンク62kは、箱形状に形成され、予め脱気した液状体を内部に貯留して、キャリッジ14iのZ方向上面側に設けられている。また、タンク62kの下側には、液量検出機構を構成するタンク62kの重量を検出する重量測定装置66が設けられている。なお、図5は図を分かりやすくするために1つの液滴吐出ヘッド40nへの液状体の供給状態を示している。
そして、タンク62kから供給される液状体は、供給チューブ68により圧力調整弁70を介して、液滴吐出ヘッド40nに供給される。また、供給チューブ68に介設された圧力調整弁70は、タンク62kに貯蔵された液状体の水頭値と液滴吐出ヘッド40nとの間の水頭差を調整して、液滴吐出ヘッド40nからの液ダレを防止する。
【0049】
また、液滴吐出装置100において、図1に示すようにキャリッジ14iが配置されたとき、図1中Y方向において隣接するキャリッジ14i間のそれぞれ端部に位置する液滴吐出ヘッド40n同士は、そのノズル列59aおよび59bがY方向において連続し、8個のキャリッジ141〜148全体としても1つの描画ラインが形成されるようになっている。この描画ラインは、被吐出対象である基板Bの被吐出領域を覆う長さに構成されている。
【0050】
(液滴吐出装置の制御について)
次に、図6を参照して、液滴吐出装置100の制御系について説明する。図6は液滴吐出装置100の主要構成を示すブロック図である。液滴吐出装置100は、基板Bを搭載したテーブル10を搬送するテーブル移動機構12、液滴吐出ヘッド40nを搭載したキャリッジ14i、キャリッジ14iを搬送する第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18を有する描画部80と、液量検出機構を含む検出部82と、メンテナンス部24と、これらを統括制御する制御装置20と、を備えている。
【0051】
検出部82は、各タンク62kに接続した重量測定装置66を有している。重量測定装置66は、タンク62kの重量を所定の期間毎に測定しており、この測定値を随時制御装置20に送るようにしている。この測定値は、満液の状態のタンク62kを測定した測定値を基準にしており、計測した重量からタンク62kの重量を減算することで、タンク62k内部の液状体の重量を測定している。
【0052】
制御装置20は、制御系の主要部となる制御部84と、液滴吐出ヘッド40nを吐出駆動させるヘッドドライバ86と、テーブル移動機構12、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18を駆動するモータドライバ88とインターフェース96とを備えている。
【0053】
制御部84は、CPU(Central Processing Unit)90、メモリ部92、およびハードディスク94を備えている。
CPU90は、描画処理等の各種処理を実行する。メモリ部92は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read-Only Memory)などを含んだ構成を有している。RAMは、ホストコンピュータ93からインターフェース96を介して入力される描画データを格納したり、CPU90によって実行される描画処理等のプログラムを一時的に展開したり、各種データを一時的に格納したりする。
【0054】
ここで、描画データは、液状体で基板Bに描画すべきパターンを指示するものであり、描画すべきパターンがビットマップ状に表現されている。なお、描画データは、ホストコンピュータ93によって生成され、ホストコンピュータ93からインターフェース96を介して制御部84に入力される。
ROMは、例えば不揮発性半導体メモリで構成され、各液滴吐出ヘッド40nの駆動周波数を制御する吐出制御プログラムの他、CPU90が実行する各種のプログラムが格納されている。
【0055】
ハードディスク94には、キャリッジ14iのそれぞれの移動、すなわちキャリッジ移動工程を制御するキャリッジ移動プログラム110と、液滴吐出ヘッド40nの吐出状態を管理する吐出管理プログラム112と、がインストールされている。
【0056】
吐出管理プログラム112は、上記の液滴吐出ヘッド40nの駆動周波数により各液滴吐出ヘッド40nの累積ショット数をカウントして液量検出機構としても機能するショット数プログラムと、各液滴吐出ヘッド40nの累積使用時間をカウントする使用時間プログラムと、各液滴吐出ヘッド40nの累積ショット数および累積使用時間のカウント値、および重量測定装置66から送られる測定値を保持する管理データ領域と、を備えている。管理データ領域は、キャリッジ14i毎に区分されており、これらカウント値および測定値がキャリッジ14i毎に管理できるようになっている。各タンク62kの測定値は、重量測定装置66から送られる新たな測定値により常時更新される。
【0057】
ヘッドドライバ86は、CPU90からの指令に基づいて、キャリッジ14iの各液滴吐出ヘッド40nを個別に制御する。モータドライバ88は、CPU90からの指令に基づいて、テーブル移動機構12、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18のそれぞれのモータを個別に制御する。
【0058】
インターフェース96は、ホストコンピュータ93から受け取った描画データを制御部84に出力したり、制御部84から受け取った各種情報をホストコンピュータ93に出力したりする。
【0059】
そして、基板Bに描画を開始する際には、CPU90は、吐出管理プログラム112を起動し、管理データに基づいてキャリッジ14i毎に搭載されたタンク62kの液状体の残量Tを確認する。次いで、CPU90は、上記の吐出管理プログラム112の結果をホストコンピュータ93から送られた描画パターンに照らして、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18より、描画に適したキャリッジ14iを選択し、それぞれ適切な位置に移動させる。
【0060】
(液滴吐出装置の描画制御方法について)
次に、本実施形態の液滴吐出装置の描画制御方法について、図7および図8を参照して説明する。図7は、液滴吐出装置の描画の流れを説明する図である。図8は、キャリッジの初期配置を示す図である。
【0061】
この描画制御方法は、各キャリッジ14iを、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18により、描画エリアにおいて、描画パターンとキャリッジ14iに搭載されたタンク62kに収容される液状体の収容量とに基づいて選択的に移動させ描画することにより、それぞれのキャリッジ14iに搭載されたタンク62kに収納される液状体の使用量のばらつきを低減して、新旧の液状体が混在することを低減させるように液滴吐出装置100を制御するものである。なお、液滴吐出ヘッド40nから供給される液状体の供給量は、タンク62kに収容される液状体の収容量から算出される。この作業は、ホストコンピュータ93から制御部84に描画指令が入力されると、CPU90によって開始される。
【0062】
ステップS1の第1のキャリッジ移動配置工程において、液滴吐出装置100の8個のキャリッジ14iを、被吐出対象である基板Bとその基板Bへの描画パターンに応じて、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18により、それぞれの初期位置に移動させ配置する。
本実施形態では、図8に示すように、基板Bの被吐出領域Rをキャリッジ14iの配設方向(Y方向)に沿って8個に分割し、中央の4/8領域には第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ145〜148を配置する。基板Bの搬送方向から見て、Y方向(+)側の2/8領域には第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ143,144を、Y方向(−)側の2/8領域には第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ141,142を配置する。
【0063】
このように配置することにより、8個のキャリッジ141〜148全体として形成される描画ラインは、被吐出対象である基板Bの被吐出領域RのY方向の幅を覆うことができる。このとき、キャリッジ141〜148に搭載されるタンク621〜628は、吐出される液状体がフル充填されている。なお、タンク62kに収納される液状体は、収容量が空の状態を0とし満液の状態を10としたときの、0から10までの10段階の数字で示される。図8中キャリッジ14i上に示される数字は、液状体の残量Tを示す。
【0064】
ステップS2の基板搬入工程において、基板Bが、図示しない移載ロボットにより図8中X方向(−)側から液滴吐出装置100に搬入され、テーブル10の載置面10Aに、例えば、真空吸着により吸着され載置される。
【0065】
ステップS3は、描画工程と液量管理工程から構成されており、描画工程において、基板Bへの描画作業が実施される。テーブル10に載置された基板Bを、テーブル移動機構12により図8中X(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。
液量管理工程においては、制御部84で、液滴吐出ヘッド40nの使用状態(累積ショット数)および各キャリッジ14iに搭載されたタンク62kに収容される液状体の重量が、リアルタイムで管理されている。
【0066】
すなわち、前述の吐出管理プログラム112は、液滴吐出装置100の稼動中に常時稼動しており、基板Bへの描画作業の進行に伴い、各液滴吐出ヘッド40nの累積吐出回数等、種々の管理データを逐次更新している。また、例えば、メンテナンス部24に臨むキャリッジ14iの各液滴吐出ヘッド40nが、吸引ユニットにフラッシング(捨て吐出)をした場合、または吸引機構によるノズル吸引を行った場合には、これらの処理がショット数に換算され、換算値を付加した累積ショット数のカウント値が、管理データ領域で保持される。
さらに、検出部82では、各タンク62kに設けられた重量測定装置66により、タンク62kの重量を所定の期間毎に測定しており、この測定値を随時制御装置20に送るようにしている。この測定値は、管理データ領域で保持される。
【0067】
また、このとき、各キャリッジ14iに設けられたそれぞれのタンク62kに収容される液状体の残量Tを求める。タンク62kに収容される液状体の残量Tは、上述の制御部84の管理データ領域に保持された累積ショット数のカウント値およびタンク62kの重量測定値により求められる。
液滴吐出ヘッド40nの累積ショット数からタンク62kに収納される液状体の残量Tを求める場合は、液滴吐出装置100に搭載された図示しない吐出重量測定装置により、各液滴吐出ヘッド40nから吐出されるノズル58毎の液滴吐出量を計測し、このノズル58毎の液滴吐出量に累積ショット数を乗じて液状体の使用量を求める。そして、初期に充填された液状体の重量から使用量を減算してタンク62k内部の液状体の重量(液状体残量)を求める。
【0068】
タンク62kの重量測定値からタンク62kに収納される液状体の残量Tを求める場合は、計測した重量からタンク62kの重量を減算することで、タンク62k内部の液状体の重量を測定している。
このようにして、1枚の基板Bへの描画が終了し、ステップS4に移行する。
【0069】
ステップS4のキャリッジ選定工程において、移動させるキャリッジ14iを選定する。この選定は、複数のキャリッジ14i間でタンク62kの液状体の収容量が平均化するように、ステップS3の液量管理工程で求めた各キャリッジ14iの液状体の残量Tと描画パターンとに基づいて行う。
【0070】
そしてステップS5の第2のキャリッジ移動配置工程において、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18により、液状体の残量Tの少ないキャリッジ14iを吐出頻度の低い吐出領域に移動し、液状体の残量Tの多いキャリッジ14iを吐出頻度の高い吐出領域に移動させ配置する。
このキャリッジ14iの選定および移動配置によるキャリッジ14i間でキャリッジ14iに搭載された液滴吐出ヘッド40nからの液状体の供給量を略同じにすること、すなわち、キャリッジ14i間ごとに収容される液状体の収容量の平均化の詳細については、後述する。
【0071】
ステップS6において、次に描画する基板Bがあるか否かを判定し、基板Bがないと(NO)と判定されると、液滴吐出装置100の描画作業は終了する。次の描画する基板Bがある(YES)と判定されると、ステップS2に移行し、新たな基板Bが搬入され描画作業を繰り返す。
【0072】
(キャリッジ間の液状体の収容量の平均化について)
キャリッジ間の液状体の収容量の平均化について、図9を参照して説明する。図9(a)〜(c)は、テーブル10の上面に搭載された基板Bとキャリッジ14iとの位置関係を説明する図である。なお、図中キャリッジ14iに記載された数字は、前述のタンク62kに収容されている液状体の残量Tを示す0から10までの10段階の数字である。
【0073】
基板Bの被吐出領域Rは、液状体が吐出されるキャリッジ14iの液状体の吐出幅Mm(mは1から8の自然数)に対応して、8つの被吐出領域Rr(rは1から8の自然数)が構成される。すなわち、キャリッジ141により吐出される被吐出領域をR1、キャリッジ142により吐出される領域をR2、以下同様に、キャリッジ148により吐出される領域をR8とする。被吐出領域Rrの描画パターンにより液滴吐出ヘッド40nから吐出される液状体の量が異なり、タンク62kに収容されている液状体の残量Tに差が生ずる。液滴吐出装置100は、既に所定枚数の基板Bに描画作業を行っており、タンク62kに収容されている液状体の残量Tは差が生じている。この差は、吐出管理プログラム112により管理されている。
【0074】
本実施形態では、所定枚数の基板Bの描画作業が終了した時点で、図9(a)に示すように、キャリッジ141〜148に搭載されるタンク621〜628の残量Tが、10段階で8,7,7,8,6,7,7,6である場合を例にとり説明する。この場合は、上記所定の枚数の基板Bを描画する場合、被吐出領域R1〜R8での液状体の使用量は、10段階で2,3,3,2,4,3,3,4となる。
そのため、残量Tの多いキャリッジ14i、残量Tの少ないキャリッジ14iを選択して、液状体の使用量の少ない被吐出領域Rr、使用量の多い被吐出領域Rrに移動する。
【0075】
具体的には、図9(b)に示すように、第1のキャリッジ移動機構16に搭載されたキャリッジ141〜144を、基板BのY方向中央に集めるようにそれぞれ移動させ、被吐出領域R5〜R8に対向させる。第2のキャリッジ移動機構18に搭載されたキャリッジ145,146を、Y方向(−)側に移動させ、被吐出領域R1,R2に対向させる。第2のキャリッジ移動機構18に搭載されたキャリッジ147,148を、Y方向(+)側に移動させ、被吐出領域R3,R4に対向させる。
【0076】
その後、基板Bの描画作業を実施する。上記と同様の枚数の基板Bを描画するのに使用される液状体の使用量は、被吐出領域R1〜R8で、10段階で2,3,3,2,4,3,3,4となる。そのため、図9(c)に示すように、上記と同様の枚数の基板Bの描画作業が終了した時点では、キャリッジ141〜148に搭載されるタンク621〜628の残量Tは、10段階ですべて4となる。
【0077】
上述の選定および配置方法は1例であって、これに限定されない。キャリッジ14iに搭載されるタンク62kの液状体の収容量と被吐出領域Rrへの描画パターンとによって、無限な組合せがある。すなわち、本実施形態では、第1のキャリッジ移動機構16に配置されたキャリッジ141〜144とおよび第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ145〜148が、それぞれ移動機構毎に接し列を構成しているが、これに限定されない。例えば、それぞれのキャリッジ14iが1つおきに配置されていてもよいし、一部のキャリッジ14iが接し、その他のキャリッジ14iは分離していてもよい。キャリッジ14iに搭載されるタンク62kの液状体の収容量と被吐出領域Rrへの描画パターンとによって、配置されればよい。
【0078】
以下、実施形態の効果を記載する。
【0079】
(1)上述の液滴吐出装置100は、基板Bへの描画作業において、吐出管理プログラム112および重量測定装置66によって、キャリッジに14iに搭載されたタンク62kに収容される液状体の残量Tを、キャリッジ14i毎に管理することができる。換言すると、キャリッジ14i間でキャリッジ14iに搭載された液滴吐出ヘッド40nからの液状体の供給量を管理することができる。そして、基板Bに描画するパターンの種類およびタンク62kに収容される液状体の残量Tに基づいて、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18によって、液状体の残量Tの多いキャリッジ14iを吐出頻度の高い被吐出領域に移動配置し、液状体の収容量の少ないキャリッジ14iを吐出頻度の低い被吐出領域に移動配置させ、描画作業を実施することができる。
【0080】
これにより、タンク62kに収容される液状体の残量Tに関して、キャリッジ14i間のばらつきを低減することができる。そのため、新の液状体の補充時期の違いを低減させることができ、キャリッジ14i間で新旧の液状体が混在することを低減させることができる。その結果、1つの基板B上で旧の液状体によって描画された部分と新の液状体によって描画された部分とができることを防止でき、描画品質のばらつきを低減させることができる。
【0081】
(2)本実施形態では、タンク62kに収容される液状体の残量Tのキャリッジ14i間のばらつきを低減することができる。そのため、タンク62kを交換するタイプの液滴吐出装置100にあっては、タンク62kの交換時期を同じくすることができる。そのため、タンク62kの交換に要するトータルの時間を低減することができ生産効率の向上が図れる。
【0082】
(3)従来の液滴吐出装置では、新旧の液状体が混在を防ぐため、キャリッジ14iのタンク62kに収容される液状体の残量Tをそれぞれ等しくするべく、メンテナンス部24の吸引ユニットにおいて、液状体の残量Tの多いキャリッジ14iの液状体を吸引し廃棄していた。上述の液滴吐出装置100では、キャリッジ14iのタンク62kに収容される液状体の残量Tのばらつきを低減することができるため、吸引され廃棄される液状体を低減させることができる。
液晶表示装置等のカラーフィルタ、有機EL装置等の表示装置の製造に用いられる液状体は、特殊な液状体であり非常に高価なものである。従って、表示装置の製造コストの低減に寄与することができる。
【0083】
(4)本実施形態では、キャリッジ14iおよびキャリッジ14iに搭載させる液滴吐出ヘッド40nの使用頻度のばらつきを低減させることができる。そのため、キャリッジ14iおよび液滴吐出ヘッド40nの交換のタイミングを合わせることができ、交換に要するトータルの時間を低減することができる。従って、メンテナンスの効率化に寄与できる。
【0084】
(5)本実施形態では、キャリッジ14iの使用頻度の偏りを防止することができ、キャリッジ14iの寿命を延ばすことが可能になる。従って、液滴吐出装置100の信頼性向上に寄与できる。
【0085】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変形や改良を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。なお、これら変形例においては、上述の実施形態と同じ構成部材についてはその符号を等しくし、その詳細な説明を省略する。
【0086】
(変形例1)上記実施形態では、1枚の基板Bの被吐出領域Rに、液滴吐出装置100から液滴を吐出して描画することを例にとり説明したが、これに限定されない。変形例1を示す図である図10に示すように、それぞれ被吐出領域Qを有する複数の基板Cに液状体が吐出して、それぞれに描画してもよい。本変形例1では、テーブル10のX方向に所定の間隔をおいて3枚、Y方向に所定の間隔をおいて3枚、計9枚の基板Qが載置された場合を例にとり説明する。なお、図10では、一部省略している。
【0087】
図10(a)に示すように、液滴吐出装置100は、Y方向中央に第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ141〜144を配置し、Y方向(+)側に第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ147,148を、Y方向(−)側には第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ145,146を配置する。そして、テーブル10に載置された9枚の基板Cを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。
【0088】
この場合、キャリッジ141,144の吐出領域は、基板Cを配置した時の隙間を含み、キャリッジ142,143,145〜148は、基板Cの被吐出領域Qに液状体を吐出する。そのため、キャリッジ141,144は、液状体の使用量が少なく、タンク621,624に収容される液状体の残量Tは、他のタンク622,623,625〜628より隙間分だけ多くなる。
【0089】
次の描画作業を行う場合は、図10(b)に示すように、キャリッジ141,147をY方向(−)側にキャリッジ14i幅分移動させ、キャリッジ144,146をY方向(+)側にキャリッジ14i幅分移動させる。そして、テーブル10に載置された9枚の基板Cを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。
【0090】
この場合、キャリッジ146,147の吐出領域は、基板Cを配置した時の隙間を含み、キャリッジ141〜145,148は、基板Cの被吐出領域Qに液状体を吐出する。そのため、キャリッジ146,147は、液状体の使用量が隙間分少なくなる。その結果、2回の描画作業によって、タンク621,624,626,627に収容される液状体の残量Tは、タンク622,623,625,628より隙間分だけ多くなる。
【0091】
次の描画作業を行う場合は、図10(c)に示すように、キャリッジ142,147をY方向(−)側にキャリッジ14i幅分移動させ、キャリッジ143,146をY方向(+)側にキャリッジ14i幅分移動させる。そして、テーブル10に載置された9枚の基板Cを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。
【0092】
この場合、キャリッジ142,143の吐出領域は、基板Cを配置した時の隙間を含み、キャリッジ141,144〜148は、基板Cの被吐出領域Qに液状体を吐出する。そのため、キャリッジ142,143は、液状体の使用量が隙間分少なくなる。その結果、3回の描画作業によって、タンク621〜624,626,627に収容される液状体の残量Tは、タンク625,628より隙間分だけ多くなる。
【0093】
次の描画作業を行う場合は、図10(d)に示すように、キャリッジ141,142をY方向(−)側にキャリッジ14i幅分移動させ、キャリッジ143,144をY方向(+)側にキャリッジ14i幅分移動させる。また、キャリッジ148をY方向(−)側にキャリッジ14i幅2つ分移動させ、キャリッジ145をY方向(+)側にキャリッジ14i幅2つ分移動させる。そして、テーブル10に載置された9枚の基板Cを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。
【0094】
この場合、キャリッジ145,148の吐出領域は、基板Cを配置した時の隙間を含み、キャリッジ141〜144,146,147は、基板Cの被吐出領域Qに液状体を吐出する。そのため、キャリッジ145,148は、液状体の使用量が隙間分少なくなる。その結果、4回の描画作業によって、タンク621〜628に収容される液状体の残量Tは、すべてほぼ同一になり、タンク62kに収容される液状体の残量Tは平均化される。
【0095】
このような複数の基板Cをテーブル10に載置した描画作業においても、上記実施形態と同様な効果を奏することができる。なお、この基板Cの枚数、キャリッジ14iの選定配置方法は1例であって、これに限定されない。基板Cの枚数、大きさ、配置および被吐出領域Qへの描画パターンによって、無限な組合せがある。
また、本変形例1は、9枚の基板Cを配置した場合を例にとり説明したが、これに限定されない。1枚の大型基板に複数の被吐出領域Qを設け、描画作業後に分割するいわゆる多数個取りにも対応可能である。
【0096】
(変形例2)上記実施形態では、基板BのY方向の被吐出領域Rの幅と、複数のキャリッジ14iが構成する吐出幅が略同等な場合を例にとり説明したが、これに限定されない。基板BのY方向の被吐出領域Rの幅が、複数のキャリッジ14iが構成する吐出幅より狭くてもよい。本変形例2では、複数のキャリッジ14iが構成する吐出幅の半分の幅を有する基板Dに対して描画する場合を例にとり説明する。
【0097】
変形例2を示す図である図11(a)に示すように、液滴吐出装置100は、Y方向中央に第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ145〜148を配置し、Y方向(+)側に第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ143,144を、Y方向(−)側には第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ141,142を配置する。また、基板Dは、テーブル10のY方向中央に載置される。このように配置することにより、基板Dは、キャリッジ145〜148が構成する吐出幅に収まる。
【0098】
そして、テーブル10に載置された9枚の基板Dを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ145〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。このとき、キャリッジ141〜144は、液状体を吐出しない。そのため、キャリッジ141〜144に搭載されるタンク621〜624は液状体がフル充填のままであり、キャリッジ145〜148に搭載されるタンク625〜628は液状体が描画作業1回分だけ使用されている。
【0099】
次の描画作業を行う場合は、図11(b)に示すように、キャリッジ141,142,147,148をY方向(+)側にキャリッジ14i幅2つ分移動させ、キャリッジ143,144,145,146をY方向(−)側にキャリッジ14i幅2つ分移動させる。そして、テーブル10に載置された基板Dを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜144に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。このとき、キャリッジ145〜148は、液状体を吐出しない。
【0100】
そのため、キャリッジ141〜144に搭載されるタンク621〜624は、液状体が描画作業1回分だけ使用されている。キャリッジ145〜148に搭載されるタンク625〜628は、すでに液状体が描画作業1回分だけ使用されている。その結果、2回の描画作業によって、タンク621〜628に収容される液状体の残量Tは、すべてほぼ同一になり、タンク62kに収容される液状体の残量Tは平均化される。
【0101】
このようなY方向の被吐出領域Sの幅が、複数のキャリッジ14iが構成する吐出幅より狭い基板Dへの描画作業においても、上記実施形態と同様な効果を奏することができる。なお、この基板Dのサイズ、キャリッジ14iの選定配置方法は1例であって、これに限定されない。基板Dのサイズおよび被吐出領域Sへの描画パターンによって、無限な組合せがある。
【0102】
(変形例3)上記実施形態では、キャリッジ14iがX方向に重ならないように配置した場合を例にとり説明したが、これに限定されない。変形例3を示す図である図12(a),(b)に示すように、一部もしくはすべてのキャリッジ14iがX方向で重複してもかまわない。
【0103】
まず、基板Eのサイズが複数のキャリッジ14iが構成する吐出幅より狭く、被吐出領域Uに液状体を多く吐出する必要がある場合について説明する。液滴吐出装置100は、図12(a)に示すように、テーブル10のY方向中央に第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ141〜144および第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ145〜148を配置する。また、テーブル10のY方向中央には基板Eが載置される。
【0104】
このように配置することにより、基板Eの被吐出領域Uは、キャリッジ141〜144とキャリッジ145〜148とが並列して構成する吐出幅内に収まる。そして、テーブル10に載置された基板Eを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、基板E上に所定のパターンを描画する。
【0105】
この場合、1枚の基板Eに対して、1回のテーブル10の移動により、キャリッジ141〜144もしくはキャリッジ145〜148だけで描画する場合に比較して、同一領域に2倍の吐出を行うことができる。そのため、描画時間を短縮することが可能になり、製造効率の向上を図ることができる。また、打ち込み密度を上げて、高精細な画像表示装置を製造することが可能になる。
【0106】
次いで、基板Fの被吐出領域Vの一部の領域に液状体を多く吐出する必要がある場合、例えば、基板Fの被吐出領域Vを6つの被吐出領域Vv(vは1から6の自然数)に分割して被吐出領域V3,V5に液状体を多く吐出する必要がある場合について説明する。
【0107】
液滴吐出装置100は、図12(b)に示すように、テーブル10のY方向中央に第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ145〜148を並べて配置し、第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ141,144を、Y方向において、キャリッジ145,148の両側にそれぞれ配置する。このように配置することによって、基板Fの被吐出領域V1〜V6は、キャリッジ14iの全吐出幅に覆われる。さらに、第1のキャリッジ移動機構16により、キャリッジ142を被吐出領域V3にキャリッジ143を被吐出領域V5に配置する。そして、テーブル10に載置された基板Fを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、基板F上に所定のパターンを描画する。
【0108】
被吐出領域V3,V5には、他の被吐出領域VVより液状体を多く吐出する必要があるため、キャリッジ141,144,145〜148からはほぼ同一量の液状体を吐出して、被吐出領域V3,V5に対する液状体の不足分は、キャリッジ142,143から吐出される液状体で補填される。なお、キャリッジ142,143は、基板Fの被吐出領域V2〜V5間を第1のキャリッジ移動機構16により移動可能になっており、被吐出領域V2〜V5間の任意の位置で液状体を吐出することができる。
【0109】
そのため、キャリッジ142,143に搭載されるタンク622,623に収容される液状体の残量を他のタンク62kと同じになるように調整することができる。従って、タンク62kに収容される液状体の残量Tに関して、キャリッジ14i間のばらつきを低減することができるとともに、さまざまな描画パターンに対応することが可能にある。
【0110】
本変形例3では、キャリッジ141,144,145〜148からはほぼ同一量の液状体を吐出する場合を例に説明したがこれに限定されない。例えば、液状体を補填するキャリッジ142,143とX方向で重複するキャリッジ14iとの間で液状体の吐出量を調整してもよい。このようにすることにより、タンク62kに収容される液状体の残量Tのばらつきの低減方法およびさまざまな描画パターンに対応する組合せの自由度が増加することができる。
【0111】
上述の実施形態では、キャリッジ14iが8個設けられており、4個のキャリッジ14は第1のキャリッジ移動機構16に、残りの4個のキャリッジ14は第2のキャリッジ移動機構18に割り当てられ配置されている場合を例にとり説明したが、これに限定されない。キャリッジ14iは、描画される基板の大きさ、描画パターン、液状体の打ち込み密度によって、数を増やすことも減ずることも可能である。また、キャリッジ移動機構も描画される基板の大きさ、描画パターン、液状体の打ち込み密度によって、数を増やすことが可能である。キャリッジ14iおよびキャリッジ移動機構の数を増やすことにより、基板への描画作業の高速化、高密度化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】液滴吐出装置の概略構成を示す平面図。
【図2】液滴吐出装置の概略構成を示す正面図。
【図3】液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は底面側から見た斜視図、(b)は底面図。
【図4】キャリッジの底面図。
【図5】キャリッジに搭載されたタンクを説明する図。
【図6】液滴吐出装置の主要構成を示すブロック図。
【図7】液滴吐出装置の描画の流れを説明する図。
【図8】キャリッジの初期配置を示す図。
【図9】基板とキャリッジとの位置関係を説明する図。
【図10】変形例1を示す図。
【図11】変形例2を示す図。
【図12】変形例3を示す図。
【符号の説明】
【0113】
10…テーブル、12…テーブル移動機構、14,14i…キャリッジ、16…第1のキャリッジ移動機構、18…第2のキャリッジ移動機構、20…制御装置、40,40n…液滴吐出ヘッド、58…ノズル、62,62k…液状体収容容器としてのタンク、66…重量測定装置、80…描画部、82…検出部、84…制御部、86…ヘッドドライバ、88…モータドライバ、100…液滴吐出装置、110…キャリッジ移動プログラム、112…吐出管理プログラム、B,C,D,E,F…基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を液滴吐出ヘッドを搭載した複数のキャリッジに対して移動させながら、基板上に液状体を吐出して描画を行う液滴吐出装置および液滴吐出装置の描画制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置等のカラーフィルタ、有機EL装置の成膜などの分野に液滴吐出装置が利用されている。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと呼ばれる液滴吐出機構を有している。この液滴吐出ヘッドには、複数のノズルが規則的に形成されている。液滴吐出装置では、これらのノズルから液状体を液滴として吐出することにより、基板等からなるワーク上に液状体からなるパターンの描画を行う。
【0003】
近年、表示装置は大型化が進んでおり、それに伴い表示装置に用いられるワークも大型化が進んでいる。そのため、ワークに対して効率よくパターンの描画を行うことが重要になってきている。ワークに液状体を吐出してパターンの描画を行う液滴吐出装置として、複数の液滴吐出ヘッドが搭載された複数のキャリッジを描画エリアに1列に配置して、キャリッジが配置された方向と直交する方向に、ワークを移動させてパターンの描画を行う液滴吐出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−254797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドに供給する液状体を収容するタンクを、キャリッジ毎に搭載したいわゆるオンキャリッジタイプがある。このようなオンキャリッジタイプの液滴吐出装置は、描画パターンがキャリッジによって異なると、キャリッジに搭載された液滴吐出ヘッドから吐出される液状体の使用量に差が生じ、同じくキャリッジに搭載されたタンク内の液状体の収容量に差が生じてしまう。タンクに収容された液状体の収容量に差が生ずると、一部のタンクのみ液状体の収容量が先に減じてしまう。先に液状体が減じたタンクには新の液状体が供給される。
【0006】
そのため、液滴吐出装置において、キャリッジ間で新旧の液状体が混在することになる。その結果、1つのワーク上で旧の液状体によって描画された部分と新の液状体によって描画された部分とができてしまう。液晶表示装置等のカラーフィルタ、有機EL装置の成膜等に用いられる液状体は、特殊な液状体であり、経時的に粘度等の物性が変化してしまったり、ロット毎に液状体の物性が異なったりする。このような物性の異なる液状体によって、パターンが描画されると、描画品質がばらつく惧れがある。描画品質がばらつくと、製造される表示装置の画像品質が低下してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
(適用例1)液状体を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドが搭載された複数のキャリッジとを備え、被吐出対象である基板を複数の前記キャリッジに対して移動させ、前記基板上に前記液状体を吐出して描画する液滴吐出装置であって、前記キャリッジに搭載される前記液滴吐出ヘッドに供給される前記液状体の供給量を、前記キャリッジ毎に検出する液量検出手段と、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に並列して設けられるとともに、複数の前記キャリッジを、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に個別に移動させ保持する複数のキャリッジ移動機構と、を有し、前記液量検出手段が検出した前記液状体の前記供給量に基づいて、複数の前記キャリッジ間で前記液状体の前記供給量を略同じにするように、前記キャリッジを移動させ配置することを特徴とする液滴吐出装置。
【0009】
(適用例2)前記キャリッジは、前記液滴吐出ヘッドに供給する前記液状体を収容する液状体収容容器を備えていることを特徴とする上記の液滴吐出装置。
【0010】
これらの構成によれば、複数のキャリッジ移動機構によって移動され保持された複数のキャリッジを基板に対向させて、キャリッジに搭載された液滴吐出ヘッドから液状体を吐出して基板上にパターンを描画する。このとき、液量検出機構によって、キャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドに供給される液状体の供給量を、キャリッジ毎に検出することができる。そして、複数のキャリッジ移動機構によって、液状体の供給量の多いキャリッジを吐出頻度の低い被吐出領域に移動し、液状体の供給量の少ないキャリッジを吐出頻度の高い被吐出領域に移動させ、描画作業を実施することができる。
【0011】
これにより、キャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドに供給される液状体の供給量において、キャリッジ間の差を低減することができる。また、キャリッジに備えられた液状体収容容器に収容される液状体の残量において、キャリッジ間の差を低減することができる。そのため、キャリッジに備えられた液状体収容容器において、新の液状体の補充時期もしくは液状体収容容器の交換時期のばらつきを低減させることができ、キャリッジ間で新旧の液状体が混在することを低減させることが可能になる。その結果、1つの基板上で旧の液状体によって描画された部分と新の液状体によって描画された部分とができることを防止でき、描画品質のばらつきを低減させることができる。
【0012】
(適用例3)前記液量検出手段は、前記液状体収容容器内に収容される前記液状体の残重量を測定する重量測定装置を含み、前記重量測定装置で測定された前記液状体の残重量に基づいて、前記液状体の供給量を検出することを特徴とする上記の液滴吐出装置。
【0013】
この構成によれば、液状体収容容器毎の液状体の残重量を重量測定装置で測定することができる。そのため、液状体収容容器に収容される液状体の収容量を知ることができ、液状体の供給量を正確に検出することができる。
【0014】
(適用例4)前記液量検出手段は、前記液滴吐出ヘッドの累積吐出回数で前記液状体収容容器から供給される前記液状体の供給量を検出することを特徴とする上記の液滴吐出装置。
【0015】
この構成によれば、キャリッジ毎の液状体の供給量を、同じくキャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドの累積吐出回数で知ることができる。そのため、測定装置が不要になり、装置の小型化が図られる。
【0016】
(適用例5)前記キャリッジは、搭載された前記液滴吐出ヘッドから吐出される液状体の吐出幅が想定されており、前記複数のキャリッジが、前記複数のキャリッジ移動機構により、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に各々移動され配置されることによって、配置された複数のキャリッジが構成するトータルの吐出幅は、少なくとも、前記基板の被吐出領域の幅を覆う長さを有することを特徴とする上記の液滴吐出装置。
【0017】
この構成によれば、基板の被吐出領域の幅を、複数のキャリッジが複数のキャリッジ移動機構により移動配置されて構成するトータルの吐出幅で覆うことができる。そのため、液状体収容容器に収容される液状体の残重量によって任意の被吐出領域に移動配置させて、基板を、複数のキャリッジが配置された方向とは直交する方向に移動させながら、液滴吐出ヘッドから液状体を吐出し、基板にパターンを描画することができる。その結果、キャリッジ間の液状体収容容器に収容される液状体の残量の差を低減することができるとともに、様々な描画パターンへの対応および描画時間の短縮が可能になる。
【0018】
(適用例6)液状体を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドが搭載された複数のキャリッジとを備え、被吐出対象である基板を複数の前記キャリッジに対して移動させ、前記基板上に前記液状体を吐出して描画する液滴吐出装置の描画制御方法であって、前記キャリッジに搭載される前記液滴吐出ヘッドに供給される前記液状体の供給量を、前記キャリッジ毎に検出する液量検出工程と、検出された前記キャリッジ毎の前記液状体の前記供給量に基づいて、複数の前記キャリッジ間で供給される前記液状体の前記供給量を略同じにするように、複数の前記キャリッジを、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に複数の列状に、移動させ配置するキャリッジ移動工程と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置の描画制御方法。
【0019】
(適用例7)前記キャリッジは、前記液滴吐出ヘッドに供給する前記液状体を収容する液状体収容容器を備えていることを特徴とする上記の液滴吐出装置の描画制御方法。
【0020】
これらの方法によれば、キャリッジ移動工程により、複数のキャリッジを複数の列状に配置して、対向する基板を当該列と略直交する方向に移動させながら、キャリッジに搭載された液滴吐出ヘッドから液状体を吐出して基板上にパターンを描画することができる。このとき、液量検出工程において、キャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドに供給される液状体の供給量を、キャリッジ毎に検出することができる。そして、複数のキャリッジ移動機構によって、液状体の供給量の多いキャリッジを吐出頻度の低い被吐出領域に移動し、液状体の供給量の少ないキャリッジを吐出頻度の高い被吐出領域に移動させ、描画作業を実施することができる。
【0021】
これにより、キャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドに供給される液状体の供給量において、キャリッジ間の差を低減することができる。また、キャリッジに備えられた液状体収容容器に収容される液状体の残量において、キャリッジ間の差を低減することができる。そのため、キャリッジに備えられた液状体収容容器において、新の液状体の補充時期もしくは液状体収容容器の交換時期のばらつきを低減させることができ、キャリッジ間で新旧の液状体が混在することを低減させることが可能になる。その結果、1つの基板上で旧の液状体によって描画された部分と新の液状体によって描画された部分とができることを防止でき、描画品質のばらつきを低減させることができる。
【0022】
(適用例8)前記液量検出工程は、前記液状体収容容器内に収容される前記液状体の残重量を測定する重量測定工程をさらに有し、前記重量測定工程で測定された前記液状体の残重量に基づいて、前記液状体の供給量を検出することを特徴とする上記の液滴吐出装置の描画制御方法。
【0023】
この方法によれば、液状体収容容器毎の液状体の残重量を重量測定装置で測定することができる。そのため、液状体収容容器に収容される液状体の収容量を知ることができ、液状体の供給量を正確に検出することができる。
【0024】
(適用例9)前記液量検出工程は、前記液滴吐出ヘッドの累積吐出回数で前記液状体収容容器から供給される前記液状体の供給量を検出することを特徴とする上記の液滴吐出装置の描画制御方法。
【0025】
この方法によれば、キャリッジ毎の液状体の供給量を、同じくキャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドの累積吐出回数で知ることができる。そのため、測定装置が不要になり、装置の小型化が図られるとともに、液滴吐出ヘッドからの液状体の供給量を正確に検出することができる。
【0026】
(適用例10)前記キャリッジは、搭載された前記液滴吐出ヘッドから吐出される前記液状体の吐出幅が想定されており、前記キャリッジ移動工程は、複数の前記キャリッジが構成するトータルの吐出幅が、少なくとも、前記基板の被吐出領域の幅を覆うように、複数の前記キャリッジを、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に各々移動させ配置することを特徴とする上記の液滴吐出装置の描画制御方法。
【0027】
この方法によれば、基板の被吐出領域の幅を、複数のキャリッジが複数のキャリッジ移動機構により移動配置されて構成するトータルの吐出幅で覆うことができる。そのため、液状体収容容器に収容される液状体の残重量によって任意の被吐出領域に移動配置させて、基板を、複数のキャリッジが配置された方向とは直交する方向に移動させながら、液滴吐出ヘッドから液状体を吐出し、基板にパターンを描画することができる。その結果、キャリッジ間の液状体収容容器に収容される液状体の残量の差を低減することができるとともに、様々な描画パターンへの対応および描画時間の短縮が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明で参照する図面では、説明および図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0029】
(液滴吐出装置の全体構成について)
まず、本実施形態における液滴吐出装置を、図1および図2を参照して説明する。図1は液滴吐出装置の概略構成を示す平面図であり、図2は液滴吐出装置の概略構成を示す正面図である。なお、図1および図2中のX方向はテーブルの移動方向を示し、Y方向は複数のキャリッジの移動方向を示し、Z方向は、X方向とY方向とに直交する方向を示している。
この液滴吐出装置は、いわゆるフラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれ、液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出法により、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。
【0030】
図1および図2に示すように、液滴吐出装置100は、テーブル10と、テーブル移動機構12と、複数のキャリッジ14と、第1のキャリッジ移動機構16と、第2のキャリッジ移動機構18と、制御装置20と、メンテナンス部24と、基台22とを備えている。
基台22は、例えば、平板状の石材などの熱膨張係数が小さい材料から形成されており、Y方向に一定の幅を有し、X方向に沿って延びるように4本の脚部26に支持されている。また、基台22のZ方向の下部には、制御装置20が設けられている。
【0031】
テーブル移動機構12は、テーブル10と、2つのリニアモータ30とを有している。 2つのリニアモータ30は、基台22のZ方向上面にX方向に沿って平行に配置されている。テーブル10は、平板状の部材であり、Z方向上面に基板Bを着脱可能に保持する載置面10Aを有している。テーブル10は、基台22に配置された2つのリニアモータ30の上方に配設されている。
【0032】
リニアモータ30は、図示しない固定子と可動子を有しており、固定子は基台22に、可動子はテーブル10に設けられている。テーブル移動機構12は、制御装置20からの指令に基づいて可動子のコイルが通電されることにより、テーブル10をX方向に往復移動させることができる。
【0033】
図1および図2に示すように、第1のキャリッジ移動機構16は、2つのリニアモータ32と、4本の支柱34とを備えている。リニアモータ32のそれぞれは、テーブル移動機構12に配置されたテーブル10に対してZ方向に空間を有する状態で、テーブル移動機構12のリニアモータ30と直交するようにY方向に延びて2本の支柱34に支持され、互いに平行に配設されている。
【0034】
第2のキャリッジ移動機構18は、2つのリニアモータ36と、4本の支柱38とを備えている。リニアモータ36のそれぞれは、テーブル移動機構12に配置されたテーブル10に対してZ方向に空間を有する状態でY方向に延びるように、2本の支柱38に支持され互いに平行に配設されている。第2のキャリッジ移動機構18は、第1のキャリッジ移動機構16に対して、X方向に一定の間隔を有し、平行に配設されている。
【0035】
キャリッジ14は、本実施形態においては、8個設けられており、4個のキャリッジ14は第1のキャリッジ移動機構16に、残りの4個のキャリッジ14は第2のキャリッジ移動機構18に割り当てられ配置されている。以降、説明を分かりやすくするため、キャリッジ14は、キャリッジ14i(iは1から8の自然数)と表し、第1のキャリッジ移動機構16に配置された4個のキャリッジ14をキャリッジ141〜144、第2のキャリッジ移動機構18に配置された4個のキャリッジ14をキャリッジ145〜148と表す。
【0036】
キャリッジ14iは、複数の液滴吐出ヘッド40が搭載されている。キャリッジ141〜144は、液滴吐出ヘッド40側が図2中Z方向下方、すなわち、テーブル10に載置された基板Bの上面に対向するように、2つのリニアモータ32のZ方向上方に配設されている。リニアモータ32は、図示しない固定子と可動子を有しており、固定子は支柱34に支持され、可動子はキャリッジ141〜144にそれぞれ設けられている。第1のキャリッジ移動機構16は、制御装置20からの指令に基づいて可動子のコイルが通電されることにより、キャリッジ141〜144をY方向に沿って、個別に往復移動させ、それぞれを任意の位置に停止させ保持することができる。
【0037】
キャリッジ145〜148は、液滴吐出ヘッド40側が図2中Z方向下方、すなわち、テーブル10に載置された基板Bの上面に対向するように、2つのリニアモータ36のZ方向上方に配設されている。リニアモータ36は、図示しない固定子と可動子を有しており、固定子は支柱38に支持され、可動子はキャリッジ145〜148にそれぞれ設けられている。第2のキャリッジ移動機構18は、制御装置20からの指令に基づいて可動子のコイルが通電されることにより、キャリッジ145〜148をY方向に沿って、個別に往復移動させ、それぞれを任意の位置に停止させ保持することができる。
キャリッジ14iの詳細については後述する。
【0038】
メンテナンス部24は、第1のキャリッジ移動機構16と第2のキャリッジ移動機構118とを挟んで、テーブル移動機構12のテーブル10の待機位置のX方向反対に設けられており、2つのリニアモータ30のZ方向上方に配設されている。メンテナンス部24は、リニアモータ30の可動子が設けられ、制御装置20からの指令に基づいて可動子のコイルが通電されることにより、X方向に往復移動することができる。
【0039】
メンテナンス部24は、図示しない吸引ユニットとワイピングユニットとを有している。メンテナンス部24は、X方向に移動することにより、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18により移動されるキャリッジ14iに搭載された液滴吐出ヘッド40と、吸引ユニットおよびワイピングユニットとを対向させることができる。
吸引ユニットは、液滴吐出装置100の非稼働時に、液滴吐出ヘッド40のノズル面を封止してノズルの乾燥を防止すると共に、液滴吐出ヘッド40のノズルから増粘した液状体を吸引除去する役割を果たす。ワイピングユニットは、液滴吐出ヘッド40のノズル面に付着する汚れを払拭する役割を果たす。
【0040】
このような液滴吐出装置100は、複数のキャリッジ14を列状に配置し、列状に配置された複数のキャリッジ14と略直交する方向にテーブル10を移動させながら、複数のキャリッジ14に搭載された複数の液滴吐出ヘッド40から液状体を液滴として吐出して、テーブル10に搭載されたワークとしての基板Bに液状体で所望のパターンを形成することができる。
【0041】
(液滴吐出ヘッドの構成について)
次に、液滴吐出ヘッドについて、図3を参照して説明する。図3は、液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は底面側から見た斜視図、(b)は底面図である。図3中のX方向、Y方向およびZ方向は、図1に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一の方向を示す。
図3(a)に示すように、液滴吐出ヘッド40は、液状体導入部42と、ヘッド基板44と、ヘッド本体46と、コネクタ48とを備えている。
【0042】
液状体導入部42は、方形に形成され、2連の接続針50を有し、ヘッド基板44の一面に設けられている。ヘッド基板44は、長手方向の長さが液状体導入部42の長手方向の長さより長い長方形の板状に形成され、液状体導入部42が設けられている面に、さらに2個のコネクタ48が設けられている。ヘッド本体46は、方形に形成され、液状体導入部42が設けられている面とは反対側のヘッド基板44の面に、液状体導入部42と対峙するように設けられている。
【0043】
ヘッド本体46は、液状体導入部42に連なるポンプ部52と、ポンプ部52に連なるノズルプレート54と、を有している。ノズルプレート54のノズル面56には、複数のノズル58(例えば、180個)が形成されている。図3(b)に示すように、複数のノズル58は、ノズル面56にY方向に沿って所定のピッチ間隔Pを有して互いに平行なノズル列59aおよび59bを形成している。ノズル列59aおよび59bは、ノズル列59aおよび59bのノズル58同士がX方向にP/2の間隔だけずれた位置に形成されている。
【0044】
ポンプ部52には、図示しない圧電素子が設けられており、当該圧電素子を駆動することによって、液状体導入部42から供給されてきた液状体をノズル58から液滴として吐出する。1つのノズル58に対応して1つの圧電素子が設けられており、それぞれのノズル58毎に独立して液滴を吐出することができる。同時に、1つの液滴吐出ヘッド40は、図3(b)に示すように液滴吐出ヘッド40から液状体が吐出される吐出幅Lを有している。
【0045】
(キャリッジの構成について)
キャリッジ14iを、図2、図4および図5を参照して説明する。図4は1つのキャリッジの底面図である。図5は、キャリッジに搭載された液状体収容容器としてのタンクを説明する図である。図4および図5中のX方向、Y方向およびZ方向は、図1に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一の方向を示す。
【0046】
キャリッジ14iは、図2および図4に示すように、ヘッドプレート60と、12個の液滴吐出ヘッド40n(nは、1〜12の整数)と、タンク62k(kは1から8の自然数)とを有している。ヘッドプレート60は、ステンレス等からなる上面視略平行四辺形の板状部材であり、12個の液滴吐出ヘッド40nを、ノズル面56がZ方向下方に突出するよう搭載し、キャリッジ14iのZ方向下方に設けられている。キャリッジ14iのZ方向上方にはタンク62kが設けられている。
【0047】
図4に示すように、12個の液滴吐出ヘッド40nは、6個ずつに二分されX方向に所定の間隔をあけて、ヘッド列64aおよび64bを形成している。ヘッド列64aおよび64bは、X方向から所定の角度θを有する方向に延びるように構成されている。そのため、図4中のX方向から見たとき、各キャリッジ14iにおいて、12個の液滴吐出ヘッド40nは、これらの全ノズル列59aおよび59bで1つの描画ラインを構成すべく、そのノズル列59aおよび59bが連続するように配設されている。同時に、1つのキャリッジ14iは、12個の液滴吐出ヘッド40nから液状体が吐出される吐出幅Mを有している。
【0048】
図5に示すように、タンク62kは、箱形状に形成され、予め脱気した液状体を内部に貯留して、キャリッジ14iのZ方向上面側に設けられている。また、タンク62kの下側には、液量検出機構を構成するタンク62kの重量を検出する重量測定装置66が設けられている。なお、図5は図を分かりやすくするために1つの液滴吐出ヘッド40nへの液状体の供給状態を示している。
そして、タンク62kから供給される液状体は、供給チューブ68により圧力調整弁70を介して、液滴吐出ヘッド40nに供給される。また、供給チューブ68に介設された圧力調整弁70は、タンク62kに貯蔵された液状体の水頭値と液滴吐出ヘッド40nとの間の水頭差を調整して、液滴吐出ヘッド40nからの液ダレを防止する。
【0049】
また、液滴吐出装置100において、図1に示すようにキャリッジ14iが配置されたとき、図1中Y方向において隣接するキャリッジ14i間のそれぞれ端部に位置する液滴吐出ヘッド40n同士は、そのノズル列59aおよび59bがY方向において連続し、8個のキャリッジ141〜148全体としても1つの描画ラインが形成されるようになっている。この描画ラインは、被吐出対象である基板Bの被吐出領域を覆う長さに構成されている。
【0050】
(液滴吐出装置の制御について)
次に、図6を参照して、液滴吐出装置100の制御系について説明する。図6は液滴吐出装置100の主要構成を示すブロック図である。液滴吐出装置100は、基板Bを搭載したテーブル10を搬送するテーブル移動機構12、液滴吐出ヘッド40nを搭載したキャリッジ14i、キャリッジ14iを搬送する第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18を有する描画部80と、液量検出機構を含む検出部82と、メンテナンス部24と、これらを統括制御する制御装置20と、を備えている。
【0051】
検出部82は、各タンク62kに接続した重量測定装置66を有している。重量測定装置66は、タンク62kの重量を所定の期間毎に測定しており、この測定値を随時制御装置20に送るようにしている。この測定値は、満液の状態のタンク62kを測定した測定値を基準にしており、計測した重量からタンク62kの重量を減算することで、タンク62k内部の液状体の重量を測定している。
【0052】
制御装置20は、制御系の主要部となる制御部84と、液滴吐出ヘッド40nを吐出駆動させるヘッドドライバ86と、テーブル移動機構12、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18を駆動するモータドライバ88とインターフェース96とを備えている。
【0053】
制御部84は、CPU(Central Processing Unit)90、メモリ部92、およびハードディスク94を備えている。
CPU90は、描画処理等の各種処理を実行する。メモリ部92は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read-Only Memory)などを含んだ構成を有している。RAMは、ホストコンピュータ93からインターフェース96を介して入力される描画データを格納したり、CPU90によって実行される描画処理等のプログラムを一時的に展開したり、各種データを一時的に格納したりする。
【0054】
ここで、描画データは、液状体で基板Bに描画すべきパターンを指示するものであり、描画すべきパターンがビットマップ状に表現されている。なお、描画データは、ホストコンピュータ93によって生成され、ホストコンピュータ93からインターフェース96を介して制御部84に入力される。
ROMは、例えば不揮発性半導体メモリで構成され、各液滴吐出ヘッド40nの駆動周波数を制御する吐出制御プログラムの他、CPU90が実行する各種のプログラムが格納されている。
【0055】
ハードディスク94には、キャリッジ14iのそれぞれの移動、すなわちキャリッジ移動工程を制御するキャリッジ移動プログラム110と、液滴吐出ヘッド40nの吐出状態を管理する吐出管理プログラム112と、がインストールされている。
【0056】
吐出管理プログラム112は、上記の液滴吐出ヘッド40nの駆動周波数により各液滴吐出ヘッド40nの累積ショット数をカウントして液量検出機構としても機能するショット数プログラムと、各液滴吐出ヘッド40nの累積使用時間をカウントする使用時間プログラムと、各液滴吐出ヘッド40nの累積ショット数および累積使用時間のカウント値、および重量測定装置66から送られる測定値を保持する管理データ領域と、を備えている。管理データ領域は、キャリッジ14i毎に区分されており、これらカウント値および測定値がキャリッジ14i毎に管理できるようになっている。各タンク62kの測定値は、重量測定装置66から送られる新たな測定値により常時更新される。
【0057】
ヘッドドライバ86は、CPU90からの指令に基づいて、キャリッジ14iの各液滴吐出ヘッド40nを個別に制御する。モータドライバ88は、CPU90からの指令に基づいて、テーブル移動機構12、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18のそれぞれのモータを個別に制御する。
【0058】
インターフェース96は、ホストコンピュータ93から受け取った描画データを制御部84に出力したり、制御部84から受け取った各種情報をホストコンピュータ93に出力したりする。
【0059】
そして、基板Bに描画を開始する際には、CPU90は、吐出管理プログラム112を起動し、管理データに基づいてキャリッジ14i毎に搭載されたタンク62kの液状体の残量Tを確認する。次いで、CPU90は、上記の吐出管理プログラム112の結果をホストコンピュータ93から送られた描画パターンに照らして、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18より、描画に適したキャリッジ14iを選択し、それぞれ適切な位置に移動させる。
【0060】
(液滴吐出装置の描画制御方法について)
次に、本実施形態の液滴吐出装置の描画制御方法について、図7および図8を参照して説明する。図7は、液滴吐出装置の描画の流れを説明する図である。図8は、キャリッジの初期配置を示す図である。
【0061】
この描画制御方法は、各キャリッジ14iを、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18により、描画エリアにおいて、描画パターンとキャリッジ14iに搭載されたタンク62kに収容される液状体の収容量とに基づいて選択的に移動させ描画することにより、それぞれのキャリッジ14iに搭載されたタンク62kに収納される液状体の使用量のばらつきを低減して、新旧の液状体が混在することを低減させるように液滴吐出装置100を制御するものである。なお、液滴吐出ヘッド40nから供給される液状体の供給量は、タンク62kに収容される液状体の収容量から算出される。この作業は、ホストコンピュータ93から制御部84に描画指令が入力されると、CPU90によって開始される。
【0062】
ステップS1の第1のキャリッジ移動配置工程において、液滴吐出装置100の8個のキャリッジ14iを、被吐出対象である基板Bとその基板Bへの描画パターンに応じて、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18により、それぞれの初期位置に移動させ配置する。
本実施形態では、図8に示すように、基板Bの被吐出領域Rをキャリッジ14iの配設方向(Y方向)に沿って8個に分割し、中央の4/8領域には第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ145〜148を配置する。基板Bの搬送方向から見て、Y方向(+)側の2/8領域には第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ143,144を、Y方向(−)側の2/8領域には第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ141,142を配置する。
【0063】
このように配置することにより、8個のキャリッジ141〜148全体として形成される描画ラインは、被吐出対象である基板Bの被吐出領域RのY方向の幅を覆うことができる。このとき、キャリッジ141〜148に搭載されるタンク621〜628は、吐出される液状体がフル充填されている。なお、タンク62kに収納される液状体は、収容量が空の状態を0とし満液の状態を10としたときの、0から10までの10段階の数字で示される。図8中キャリッジ14i上に示される数字は、液状体の残量Tを示す。
【0064】
ステップS2の基板搬入工程において、基板Bが、図示しない移載ロボットにより図8中X方向(−)側から液滴吐出装置100に搬入され、テーブル10の載置面10Aに、例えば、真空吸着により吸着され載置される。
【0065】
ステップS3は、描画工程と液量管理工程から構成されており、描画工程において、基板Bへの描画作業が実施される。テーブル10に載置された基板Bを、テーブル移動機構12により図8中X(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。
液量管理工程においては、制御部84で、液滴吐出ヘッド40nの使用状態(累積ショット数)および各キャリッジ14iに搭載されたタンク62kに収容される液状体の重量が、リアルタイムで管理されている。
【0066】
すなわち、前述の吐出管理プログラム112は、液滴吐出装置100の稼動中に常時稼動しており、基板Bへの描画作業の進行に伴い、各液滴吐出ヘッド40nの累積吐出回数等、種々の管理データを逐次更新している。また、例えば、メンテナンス部24に臨むキャリッジ14iの各液滴吐出ヘッド40nが、吸引ユニットにフラッシング(捨て吐出)をした場合、または吸引機構によるノズル吸引を行った場合には、これらの処理がショット数に換算され、換算値を付加した累積ショット数のカウント値が、管理データ領域で保持される。
さらに、検出部82では、各タンク62kに設けられた重量測定装置66により、タンク62kの重量を所定の期間毎に測定しており、この測定値を随時制御装置20に送るようにしている。この測定値は、管理データ領域で保持される。
【0067】
また、このとき、各キャリッジ14iに設けられたそれぞれのタンク62kに収容される液状体の残量Tを求める。タンク62kに収容される液状体の残量Tは、上述の制御部84の管理データ領域に保持された累積ショット数のカウント値およびタンク62kの重量測定値により求められる。
液滴吐出ヘッド40nの累積ショット数からタンク62kに収納される液状体の残量Tを求める場合は、液滴吐出装置100に搭載された図示しない吐出重量測定装置により、各液滴吐出ヘッド40nから吐出されるノズル58毎の液滴吐出量を計測し、このノズル58毎の液滴吐出量に累積ショット数を乗じて液状体の使用量を求める。そして、初期に充填された液状体の重量から使用量を減算してタンク62k内部の液状体の重量(液状体残量)を求める。
【0068】
タンク62kの重量測定値からタンク62kに収納される液状体の残量Tを求める場合は、計測した重量からタンク62kの重量を減算することで、タンク62k内部の液状体の重量を測定している。
このようにして、1枚の基板Bへの描画が終了し、ステップS4に移行する。
【0069】
ステップS4のキャリッジ選定工程において、移動させるキャリッジ14iを選定する。この選定は、複数のキャリッジ14i間でタンク62kの液状体の収容量が平均化するように、ステップS3の液量管理工程で求めた各キャリッジ14iの液状体の残量Tと描画パターンとに基づいて行う。
【0070】
そしてステップS5の第2のキャリッジ移動配置工程において、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18により、液状体の残量Tの少ないキャリッジ14iを吐出頻度の低い吐出領域に移動し、液状体の残量Tの多いキャリッジ14iを吐出頻度の高い吐出領域に移動させ配置する。
このキャリッジ14iの選定および移動配置によるキャリッジ14i間でキャリッジ14iに搭載された液滴吐出ヘッド40nからの液状体の供給量を略同じにすること、すなわち、キャリッジ14i間ごとに収容される液状体の収容量の平均化の詳細については、後述する。
【0071】
ステップS6において、次に描画する基板Bがあるか否かを判定し、基板Bがないと(NO)と判定されると、液滴吐出装置100の描画作業は終了する。次の描画する基板Bがある(YES)と判定されると、ステップS2に移行し、新たな基板Bが搬入され描画作業を繰り返す。
【0072】
(キャリッジ間の液状体の収容量の平均化について)
キャリッジ間の液状体の収容量の平均化について、図9を参照して説明する。図9(a)〜(c)は、テーブル10の上面に搭載された基板Bとキャリッジ14iとの位置関係を説明する図である。なお、図中キャリッジ14iに記載された数字は、前述のタンク62kに収容されている液状体の残量Tを示す0から10までの10段階の数字である。
【0073】
基板Bの被吐出領域Rは、液状体が吐出されるキャリッジ14iの液状体の吐出幅Mm(mは1から8の自然数)に対応して、8つの被吐出領域Rr(rは1から8の自然数)が構成される。すなわち、キャリッジ141により吐出される被吐出領域をR1、キャリッジ142により吐出される領域をR2、以下同様に、キャリッジ148により吐出される領域をR8とする。被吐出領域Rrの描画パターンにより液滴吐出ヘッド40nから吐出される液状体の量が異なり、タンク62kに収容されている液状体の残量Tに差が生ずる。液滴吐出装置100は、既に所定枚数の基板Bに描画作業を行っており、タンク62kに収容されている液状体の残量Tは差が生じている。この差は、吐出管理プログラム112により管理されている。
【0074】
本実施形態では、所定枚数の基板Bの描画作業が終了した時点で、図9(a)に示すように、キャリッジ141〜148に搭載されるタンク621〜628の残量Tが、10段階で8,7,7,8,6,7,7,6である場合を例にとり説明する。この場合は、上記所定の枚数の基板Bを描画する場合、被吐出領域R1〜R8での液状体の使用量は、10段階で2,3,3,2,4,3,3,4となる。
そのため、残量Tの多いキャリッジ14i、残量Tの少ないキャリッジ14iを選択して、液状体の使用量の少ない被吐出領域Rr、使用量の多い被吐出領域Rrに移動する。
【0075】
具体的には、図9(b)に示すように、第1のキャリッジ移動機構16に搭載されたキャリッジ141〜144を、基板BのY方向中央に集めるようにそれぞれ移動させ、被吐出領域R5〜R8に対向させる。第2のキャリッジ移動機構18に搭載されたキャリッジ145,146を、Y方向(−)側に移動させ、被吐出領域R1,R2に対向させる。第2のキャリッジ移動機構18に搭載されたキャリッジ147,148を、Y方向(+)側に移動させ、被吐出領域R3,R4に対向させる。
【0076】
その後、基板Bの描画作業を実施する。上記と同様の枚数の基板Bを描画するのに使用される液状体の使用量は、被吐出領域R1〜R8で、10段階で2,3,3,2,4,3,3,4となる。そのため、図9(c)に示すように、上記と同様の枚数の基板Bの描画作業が終了した時点では、キャリッジ141〜148に搭載されるタンク621〜628の残量Tは、10段階ですべて4となる。
【0077】
上述の選定および配置方法は1例であって、これに限定されない。キャリッジ14iに搭載されるタンク62kの液状体の収容量と被吐出領域Rrへの描画パターンとによって、無限な組合せがある。すなわち、本実施形態では、第1のキャリッジ移動機構16に配置されたキャリッジ141〜144とおよび第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ145〜148が、それぞれ移動機構毎に接し列を構成しているが、これに限定されない。例えば、それぞれのキャリッジ14iが1つおきに配置されていてもよいし、一部のキャリッジ14iが接し、その他のキャリッジ14iは分離していてもよい。キャリッジ14iに搭載されるタンク62kの液状体の収容量と被吐出領域Rrへの描画パターンとによって、配置されればよい。
【0078】
以下、実施形態の効果を記載する。
【0079】
(1)上述の液滴吐出装置100は、基板Bへの描画作業において、吐出管理プログラム112および重量測定装置66によって、キャリッジに14iに搭載されたタンク62kに収容される液状体の残量Tを、キャリッジ14i毎に管理することができる。換言すると、キャリッジ14i間でキャリッジ14iに搭載された液滴吐出ヘッド40nからの液状体の供給量を管理することができる。そして、基板Bに描画するパターンの種類およびタンク62kに収容される液状体の残量Tに基づいて、第1のキャリッジ移動機構16および第2のキャリッジ移動機構18によって、液状体の残量Tの多いキャリッジ14iを吐出頻度の高い被吐出領域に移動配置し、液状体の収容量の少ないキャリッジ14iを吐出頻度の低い被吐出領域に移動配置させ、描画作業を実施することができる。
【0080】
これにより、タンク62kに収容される液状体の残量Tに関して、キャリッジ14i間のばらつきを低減することができる。そのため、新の液状体の補充時期の違いを低減させることができ、キャリッジ14i間で新旧の液状体が混在することを低減させることができる。その結果、1つの基板B上で旧の液状体によって描画された部分と新の液状体によって描画された部分とができることを防止でき、描画品質のばらつきを低減させることができる。
【0081】
(2)本実施形態では、タンク62kに収容される液状体の残量Tのキャリッジ14i間のばらつきを低減することができる。そのため、タンク62kを交換するタイプの液滴吐出装置100にあっては、タンク62kの交換時期を同じくすることができる。そのため、タンク62kの交換に要するトータルの時間を低減することができ生産効率の向上が図れる。
【0082】
(3)従来の液滴吐出装置では、新旧の液状体が混在を防ぐため、キャリッジ14iのタンク62kに収容される液状体の残量Tをそれぞれ等しくするべく、メンテナンス部24の吸引ユニットにおいて、液状体の残量Tの多いキャリッジ14iの液状体を吸引し廃棄していた。上述の液滴吐出装置100では、キャリッジ14iのタンク62kに収容される液状体の残量Tのばらつきを低減することができるため、吸引され廃棄される液状体を低減させることができる。
液晶表示装置等のカラーフィルタ、有機EL装置等の表示装置の製造に用いられる液状体は、特殊な液状体であり非常に高価なものである。従って、表示装置の製造コストの低減に寄与することができる。
【0083】
(4)本実施形態では、キャリッジ14iおよびキャリッジ14iに搭載させる液滴吐出ヘッド40nの使用頻度のばらつきを低減させることができる。そのため、キャリッジ14iおよび液滴吐出ヘッド40nの交換のタイミングを合わせることができ、交換に要するトータルの時間を低減することができる。従って、メンテナンスの効率化に寄与できる。
【0084】
(5)本実施形態では、キャリッジ14iの使用頻度の偏りを防止することができ、キャリッジ14iの寿命を延ばすことが可能になる。従って、液滴吐出装置100の信頼性向上に寄与できる。
【0085】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変形や改良を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。なお、これら変形例においては、上述の実施形態と同じ構成部材についてはその符号を等しくし、その詳細な説明を省略する。
【0086】
(変形例1)上記実施形態では、1枚の基板Bの被吐出領域Rに、液滴吐出装置100から液滴を吐出して描画することを例にとり説明したが、これに限定されない。変形例1を示す図である図10に示すように、それぞれ被吐出領域Qを有する複数の基板Cに液状体が吐出して、それぞれに描画してもよい。本変形例1では、テーブル10のX方向に所定の間隔をおいて3枚、Y方向に所定の間隔をおいて3枚、計9枚の基板Qが載置された場合を例にとり説明する。なお、図10では、一部省略している。
【0087】
図10(a)に示すように、液滴吐出装置100は、Y方向中央に第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ141〜144を配置し、Y方向(+)側に第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ147,148を、Y方向(−)側には第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ145,146を配置する。そして、テーブル10に載置された9枚の基板Cを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。
【0088】
この場合、キャリッジ141,144の吐出領域は、基板Cを配置した時の隙間を含み、キャリッジ142,143,145〜148は、基板Cの被吐出領域Qに液状体を吐出する。そのため、キャリッジ141,144は、液状体の使用量が少なく、タンク621,624に収容される液状体の残量Tは、他のタンク622,623,625〜628より隙間分だけ多くなる。
【0089】
次の描画作業を行う場合は、図10(b)に示すように、キャリッジ141,147をY方向(−)側にキャリッジ14i幅分移動させ、キャリッジ144,146をY方向(+)側にキャリッジ14i幅分移動させる。そして、テーブル10に載置された9枚の基板Cを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。
【0090】
この場合、キャリッジ146,147の吐出領域は、基板Cを配置した時の隙間を含み、キャリッジ141〜145,148は、基板Cの被吐出領域Qに液状体を吐出する。そのため、キャリッジ146,147は、液状体の使用量が隙間分少なくなる。その結果、2回の描画作業によって、タンク621,624,626,627に収容される液状体の残量Tは、タンク622,623,625,628より隙間分だけ多くなる。
【0091】
次の描画作業を行う場合は、図10(c)に示すように、キャリッジ142,147をY方向(−)側にキャリッジ14i幅分移動させ、キャリッジ143,146をY方向(+)側にキャリッジ14i幅分移動させる。そして、テーブル10に載置された9枚の基板Cを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。
【0092】
この場合、キャリッジ142,143の吐出領域は、基板Cを配置した時の隙間を含み、キャリッジ141,144〜148は、基板Cの被吐出領域Qに液状体を吐出する。そのため、キャリッジ142,143は、液状体の使用量が隙間分少なくなる。その結果、3回の描画作業によって、タンク621〜624,626,627に収容される液状体の残量Tは、タンク625,628より隙間分だけ多くなる。
【0093】
次の描画作業を行う場合は、図10(d)に示すように、キャリッジ141,142をY方向(−)側にキャリッジ14i幅分移動させ、キャリッジ143,144をY方向(+)側にキャリッジ14i幅分移動させる。また、キャリッジ148をY方向(−)側にキャリッジ14i幅2つ分移動させ、キャリッジ145をY方向(+)側にキャリッジ14i幅2つ分移動させる。そして、テーブル10に載置された9枚の基板Cを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。
【0094】
この場合、キャリッジ145,148の吐出領域は、基板Cを配置した時の隙間を含み、キャリッジ141〜144,146,147は、基板Cの被吐出領域Qに液状体を吐出する。そのため、キャリッジ145,148は、液状体の使用量が隙間分少なくなる。その結果、4回の描画作業によって、タンク621〜628に収容される液状体の残量Tは、すべてほぼ同一になり、タンク62kに収容される液状体の残量Tは平均化される。
【0095】
このような複数の基板Cをテーブル10に載置した描画作業においても、上記実施形態と同様な効果を奏することができる。なお、この基板Cの枚数、キャリッジ14iの選定配置方法は1例であって、これに限定されない。基板Cの枚数、大きさ、配置および被吐出領域Qへの描画パターンによって、無限な組合せがある。
また、本変形例1は、9枚の基板Cを配置した場合を例にとり説明したが、これに限定されない。1枚の大型基板に複数の被吐出領域Qを設け、描画作業後に分割するいわゆる多数個取りにも対応可能である。
【0096】
(変形例2)上記実施形態では、基板BのY方向の被吐出領域Rの幅と、複数のキャリッジ14iが構成する吐出幅が略同等な場合を例にとり説明したが、これに限定されない。基板BのY方向の被吐出領域Rの幅が、複数のキャリッジ14iが構成する吐出幅より狭くてもよい。本変形例2では、複数のキャリッジ14iが構成する吐出幅の半分の幅を有する基板Dに対して描画する場合を例にとり説明する。
【0097】
変形例2を示す図である図11(a)に示すように、液滴吐出装置100は、Y方向中央に第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ145〜148を配置し、Y方向(+)側に第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ143,144を、Y方向(−)側には第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ141,142を配置する。また、基板Dは、テーブル10のY方向中央に載置される。このように配置することにより、基板Dは、キャリッジ145〜148が構成する吐出幅に収まる。
【0098】
そして、テーブル10に載置された9枚の基板Dを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ145〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。このとき、キャリッジ141〜144は、液状体を吐出しない。そのため、キャリッジ141〜144に搭載されるタンク621〜624は液状体がフル充填のままであり、キャリッジ145〜148に搭載されるタンク625〜628は液状体が描画作業1回分だけ使用されている。
【0099】
次の描画作業を行う場合は、図11(b)に示すように、キャリッジ141,142,147,148をY方向(+)側にキャリッジ14i幅2つ分移動させ、キャリッジ143,144,145,146をY方向(−)側にキャリッジ14i幅2つ分移動させる。そして、テーブル10に載置された基板Dを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜144に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、所定のパターンを描画する。このとき、キャリッジ145〜148は、液状体を吐出しない。
【0100】
そのため、キャリッジ141〜144に搭載されるタンク621〜624は、液状体が描画作業1回分だけ使用されている。キャリッジ145〜148に搭載されるタンク625〜628は、すでに液状体が描画作業1回分だけ使用されている。その結果、2回の描画作業によって、タンク621〜628に収容される液状体の残量Tは、すべてほぼ同一になり、タンク62kに収容される液状体の残量Tは平均化される。
【0101】
このようなY方向の被吐出領域Sの幅が、複数のキャリッジ14iが構成する吐出幅より狭い基板Dへの描画作業においても、上記実施形態と同様な効果を奏することができる。なお、この基板Dのサイズ、キャリッジ14iの選定配置方法は1例であって、これに限定されない。基板Dのサイズおよび被吐出領域Sへの描画パターンによって、無限な組合せがある。
【0102】
(変形例3)上記実施形態では、キャリッジ14iがX方向に重ならないように配置した場合を例にとり説明したが、これに限定されない。変形例3を示す図である図12(a),(b)に示すように、一部もしくはすべてのキャリッジ14iがX方向で重複してもかまわない。
【0103】
まず、基板Eのサイズが複数のキャリッジ14iが構成する吐出幅より狭く、被吐出領域Uに液状体を多く吐出する必要がある場合について説明する。液滴吐出装置100は、図12(a)に示すように、テーブル10のY方向中央に第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ141〜144および第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ145〜148を配置する。また、テーブル10のY方向中央には基板Eが載置される。
【0104】
このように配置することにより、基板Eの被吐出領域Uは、キャリッジ141〜144とキャリッジ145〜148とが並列して構成する吐出幅内に収まる。そして、テーブル10に載置された基板Eを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、基板E上に所定のパターンを描画する。
【0105】
この場合、1枚の基板Eに対して、1回のテーブル10の移動により、キャリッジ141〜144もしくはキャリッジ145〜148だけで描画する場合に比較して、同一領域に2倍の吐出を行うことができる。そのため、描画時間を短縮することが可能になり、製造効率の向上を図ることができる。また、打ち込み密度を上げて、高精細な画像表示装置を製造することが可能になる。
【0106】
次いで、基板Fの被吐出領域Vの一部の領域に液状体を多く吐出する必要がある場合、例えば、基板Fの被吐出領域Vを6つの被吐出領域Vv(vは1から6の自然数)に分割して被吐出領域V3,V5に液状体を多く吐出する必要がある場合について説明する。
【0107】
液滴吐出装置100は、図12(b)に示すように、テーブル10のY方向中央に第2のキャリッジ移動機構18に配設されたキャリッジ145〜148を並べて配置し、第1のキャリッジ移動機構16に配設されたキャリッジ141,144を、Y方向において、キャリッジ145,148の両側にそれぞれ配置する。このように配置することによって、基板Fの被吐出領域V1〜V6は、キャリッジ14iの全吐出幅に覆われる。さらに、第1のキャリッジ移動機構16により、キャリッジ142を被吐出領域V3にキャリッジ143を被吐出領域V5に配置する。そして、テーブル10に載置された基板Fを、テーブル移動機構12によりX(+)方向に移動させながら、キャリッジ141〜148に搭載される液滴吐出ヘッド40nから液状体を液滴として吐出させ、基板F上に所定のパターンを描画する。
【0108】
被吐出領域V3,V5には、他の被吐出領域VVより液状体を多く吐出する必要があるため、キャリッジ141,144,145〜148からはほぼ同一量の液状体を吐出して、被吐出領域V3,V5に対する液状体の不足分は、キャリッジ142,143から吐出される液状体で補填される。なお、キャリッジ142,143は、基板Fの被吐出領域V2〜V5間を第1のキャリッジ移動機構16により移動可能になっており、被吐出領域V2〜V5間の任意の位置で液状体を吐出することができる。
【0109】
そのため、キャリッジ142,143に搭載されるタンク622,623に収容される液状体の残量を他のタンク62kと同じになるように調整することができる。従って、タンク62kに収容される液状体の残量Tに関して、キャリッジ14i間のばらつきを低減することができるとともに、さまざまな描画パターンに対応することが可能にある。
【0110】
本変形例3では、キャリッジ141,144,145〜148からはほぼ同一量の液状体を吐出する場合を例に説明したがこれに限定されない。例えば、液状体を補填するキャリッジ142,143とX方向で重複するキャリッジ14iとの間で液状体の吐出量を調整してもよい。このようにすることにより、タンク62kに収容される液状体の残量Tのばらつきの低減方法およびさまざまな描画パターンに対応する組合せの自由度が増加することができる。
【0111】
上述の実施形態では、キャリッジ14iが8個設けられており、4個のキャリッジ14は第1のキャリッジ移動機構16に、残りの4個のキャリッジ14は第2のキャリッジ移動機構18に割り当てられ配置されている場合を例にとり説明したが、これに限定されない。キャリッジ14iは、描画される基板の大きさ、描画パターン、液状体の打ち込み密度によって、数を増やすことも減ずることも可能である。また、キャリッジ移動機構も描画される基板の大きさ、描画パターン、液状体の打ち込み密度によって、数を増やすことが可能である。キャリッジ14iおよびキャリッジ移動機構の数を増やすことにより、基板への描画作業の高速化、高密度化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】液滴吐出装置の概略構成を示す平面図。
【図2】液滴吐出装置の概略構成を示す正面図。
【図3】液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は底面側から見た斜視図、(b)は底面図。
【図4】キャリッジの底面図。
【図5】キャリッジに搭載されたタンクを説明する図。
【図6】液滴吐出装置の主要構成を示すブロック図。
【図7】液滴吐出装置の描画の流れを説明する図。
【図8】キャリッジの初期配置を示す図。
【図9】基板とキャリッジとの位置関係を説明する図。
【図10】変形例1を示す図。
【図11】変形例2を示す図。
【図12】変形例3を示す図。
【符号の説明】
【0113】
10…テーブル、12…テーブル移動機構、14,14i…キャリッジ、16…第1のキャリッジ移動機構、18…第2のキャリッジ移動機構、20…制御装置、40,40n…液滴吐出ヘッド、58…ノズル、62,62k…液状体収容容器としてのタンク、66…重量測定装置、80…描画部、82…検出部、84…制御部、86…ヘッドドライバ、88…モータドライバ、100…液滴吐出装置、110…キャリッジ移動プログラム、112…吐出管理プログラム、B,C,D,E,F…基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状体を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドが搭載された複数のキャリッジとを備え、被吐出対象である基板を複数の前記キャリッジに対して移動させ、前記基板上に前記液状体を吐出して描画する液滴吐出装置であって、
前記キャリッジに搭載される前記液滴吐出ヘッドに供給される前記液状体の供給量を、前記キャリッジ毎に検出する液量検出手段と、
前記基板の移動方向に対して略直交する方向に並列して設けられるとともに、複数の前記キャリッジを、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に個別に移動させ保持する複数のキャリッジ移動機構と、
を有し、
前記液量検出手段が検出した前記液状体の前記供給量に基づいて、複数の前記キャリッジ間で前記液状体の前記供給量を略同じにするように、前記キャリッジを移動させ配置することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記キャリッジは、前記液滴吐出ヘッドに供給する前記液状体を収容する液状体収容容器を備えていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記液量検出手段は、前記液状体収容容器内に収容される前記液状体の残重量を測定する重量測定装置を含み、前記重量測定装置で測定された前記液状体の残重量に基づいて、前記液状体の供給量を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記液量検出手段は、前記液滴吐出ヘッドの累積吐出回数で前記液状体収容容器から供給される前記液状体の供給量を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記キャリッジは、搭載された前記液滴吐出ヘッドから吐出される前記液状体の吐出幅が想定されており、
前記複数のキャリッジが、前記複数のキャリッジ移動機構により、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に各々移動され配置されることによって、配置された複数のキャリッジが構成するトータルの吐出幅は、少なくとも、前記基板の被吐出領域の幅を覆う長さを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
液状体を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドが搭載された複数のキャリッジとを備え、被吐出対象である基板を複数の前記キャリッジに対して移動させ、前記基板上に前記液状体を吐出して描画する液滴吐出装置の描画制御方法であって、
前記キャリッジに搭載される前記液滴吐出ヘッドに供給される前記液状体の供給量を、前記キャリッジ毎に検出する液量検出工程と、
検出された前記キャリッジ毎の前記液状体の前記供給量に基づいて、複数の前記キャリッジ間で供給される前記液状体の前記供給量を略同じにするように、複数の前記キャリッジを、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に複数の列状に、移動させ配置するキャリッジ移動工程と、
を備えたことを特徴とする液滴吐出装置の描画制御方法。
【請求項7】
前記キャリッジは、前記液滴吐出ヘッドに供給する前記液状体を収容する液状体収容容器を備えていることを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出装置の描画制御方法。
【請求項8】
前記液量検出工程は、前記液状体収容容器内に収容される前記液状体の残重量を測定する重量測定工程をさらに有し、前記重量測定工程で測定された前記液状体の残重量に基づいて、前記液状体の供給量を検出することを特徴とする請求項6または7に記載の液滴吐出装置の描画制御方法。
【請求項9】
前記液量検出工程は、前記液滴吐出ヘッドの累積吐出回数で前記液状体収容容器から供給される前記液状体の供給量を検出することを特徴とする請求項6または7に記載の液滴吐出装置の描画制御方法。
【請求項10】
前記キャリッジは、搭載された前記液滴吐出ヘッドから吐出される前記液状体の吐出幅が想定されており、
前記キャリッジ移動工程は、複数の前記キャリッジが構成するトータルの吐出幅が、少なくとも、前記基板の被吐出領域の幅を覆うように、複数の前記キャリッジを、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に各々移動させ配置することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の液滴吐出装置の描画制御方法。
【請求項1】
液状体を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドが搭載された複数のキャリッジとを備え、被吐出対象である基板を複数の前記キャリッジに対して移動させ、前記基板上に前記液状体を吐出して描画する液滴吐出装置であって、
前記キャリッジに搭載される前記液滴吐出ヘッドに供給される前記液状体の供給量を、前記キャリッジ毎に検出する液量検出手段と、
前記基板の移動方向に対して略直交する方向に並列して設けられるとともに、複数の前記キャリッジを、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に個別に移動させ保持する複数のキャリッジ移動機構と、
を有し、
前記液量検出手段が検出した前記液状体の前記供給量に基づいて、複数の前記キャリッジ間で前記液状体の前記供給量を略同じにするように、前記キャリッジを移動させ配置することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記キャリッジは、前記液滴吐出ヘッドに供給する前記液状体を収容する液状体収容容器を備えていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記液量検出手段は、前記液状体収容容器内に収容される前記液状体の残重量を測定する重量測定装置を含み、前記重量測定装置で測定された前記液状体の残重量に基づいて、前記液状体の供給量を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記液量検出手段は、前記液滴吐出ヘッドの累積吐出回数で前記液状体収容容器から供給される前記液状体の供給量を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記キャリッジは、搭載された前記液滴吐出ヘッドから吐出される前記液状体の吐出幅が想定されており、
前記複数のキャリッジが、前記複数のキャリッジ移動機構により、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に各々移動され配置されることによって、配置された複数のキャリッジが構成するトータルの吐出幅は、少なくとも、前記基板の被吐出領域の幅を覆う長さを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
液状体を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドが搭載された複数のキャリッジとを備え、被吐出対象である基板を複数の前記キャリッジに対して移動させ、前記基板上に前記液状体を吐出して描画する液滴吐出装置の描画制御方法であって、
前記キャリッジに搭載される前記液滴吐出ヘッドに供給される前記液状体の供給量を、前記キャリッジ毎に検出する液量検出工程と、
検出された前記キャリッジ毎の前記液状体の前記供給量に基づいて、複数の前記キャリッジ間で供給される前記液状体の前記供給量を略同じにするように、複数の前記キャリッジを、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に複数の列状に、移動させ配置するキャリッジ移動工程と、
を備えたことを特徴とする液滴吐出装置の描画制御方法。
【請求項7】
前記キャリッジは、前記液滴吐出ヘッドに供給する前記液状体を収容する液状体収容容器を備えていることを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出装置の描画制御方法。
【請求項8】
前記液量検出工程は、前記液状体収容容器内に収容される前記液状体の残重量を測定する重量測定工程をさらに有し、前記重量測定工程で測定された前記液状体の残重量に基づいて、前記液状体の供給量を検出することを特徴とする請求項6または7に記載の液滴吐出装置の描画制御方法。
【請求項9】
前記液量検出工程は、前記液滴吐出ヘッドの累積吐出回数で前記液状体収容容器から供給される前記液状体の供給量を検出することを特徴とする請求項6または7に記載の液滴吐出装置の描画制御方法。
【請求項10】
前記キャリッジは、搭載された前記液滴吐出ヘッドから吐出される前記液状体の吐出幅が想定されており、
前記キャリッジ移動工程は、複数の前記キャリッジが構成するトータルの吐出幅が、少なくとも、前記基板の被吐出領域の幅を覆うように、複数の前記キャリッジを、前記基板の移動方向に対して略直交する方向に各々移動させ配置することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の液滴吐出装置の描画制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−125615(P2009−125615A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300199(P2007−300199)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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