説明

液滴吐出装置

【課題】キャリッジユニットを個々にメンテナンス処理しても、機能液滴吐出ヘッドの目詰まり等を有効に防止することができる液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】ワークをX軸方向に移動させるX軸テーブル42と、X軸テーブル42と協働しワークW上に描画を行う機能液滴吐出ヘッドおよびこれを搭載したキャリッジ75を有する複数のキャリッジユニットと、キャリッジユニットを1つずつメンテナンス処理するメンテナンス手段46と、キャリッジユニットを個々に移動させるY軸テーブル43と、Y軸テーブル43によるキャリッジユニットの移動軌跡上に配設され、複数のキャリッジユニットの全機能液滴吐出ヘッドからの捨て吐出を受けるフラッシングボックス241と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながらワーク上に機能液を吐出して描画を行う描画装置のワークテーブル(X軸テーブル)に、機能液滴吐出ヘッドの捨て吐出を受けるフラッシングボックスを備えた液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液滴吐出装置として、有機EL装置やカラーフィルタの製造に用いられるインクジェット方式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この液滴吐出装置は、石定盤上に、ワークである基板を搭載したX軸テーブルと、機能液滴吐出ヘッドを搭載したY軸テーブルとを有する描画装置を備えると共に、この描画装置に併設され、機台上に、機能液滴吐出ヘッドに対し機能液吸引やワイピングを行うメンテナンス装置を備えている。Y軸テーブルには、メインキャリッジが移動自在に垂設され、このメインキャリッジ(キャリッジ)にサブキャリッジ(ヘッドプレート)とこれに搭載した12個の機能液滴吐出ヘッドとから成るヘッドユニットが支持されている。一方、X軸テーブルには、基板がセットされると共にこの基板の主走査方向(X軸方向に)の前後に位置して、機能液滴吐出ヘッドからの機能液の捨て吐出(フラッシング)を受ける一対のフラッシングボックスが配設されている。
この場合、一対のフラッシングボックスは、機能液滴吐出ヘッドが基板に対し描画動作を開始する直前の相対的な往動および復動の開始時に、機能液滴吐出ヘッドからフラッシングを受けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−266673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の液滴吐出装置では、基板(ワーク)に対し、メインキャリッジに支持したヘッドユニットをX軸方向およびY軸方向に移動させながら機能液の吐出を行う必要があるため、ワークが大型である場合にはその処理(タクトタイム)に時間がかかる問題がある。かかる場合に、いわゆるラインプリンタのように、全機能液滴吐出ヘッドにより1の描画ラインを網羅するヘッドユニットを用いることが考えられるが、現実的には、ヘッドユニットとメインキ
ャリッジとから成るキャリッジユニットを、副走査方向に複数並べて1の描画ラインを構成することが好ましい。
また、キャリッジユニットに対応して、メンテナンス系の吸引ユニットやワイピングユニットも、キャリッジユニットと同数設ける必要がある。しかし、吸引ユニットやワイピングユニットを、キャリッジユニットと同数設けると、メンテナンス系の装置が大型化し、液滴吐出装置が極端に大きくなることが想定される。一方、キャリッジユニットを個々にメンテナンス処理すれば、吸引ユニットやワイピングユニットの数を減らすことができるが、この場合には、メンテナンス処理後の機能液滴吐出ヘッドが、他のキャリッジユニットの処理待ちの間に目詰まりしてしまうことが想定される。
【0005】
本発明は、キャリッジユニットを個々にメンテナンス処理しても、機能液滴吐出ヘッドの目詰まり等を有効に防止することができる液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液滴吐出装置は、ワークを搭載すると共にワークをX軸方向に移動させるX軸テーブルと、X軸テーブルと協働し描画エリアに臨んだワークに機能液を吐出してワーク上に描画を行う機能液滴吐出ヘッド、およびこれを搭載したキャリッジを有する複数のキャリッジユニットと、メンテナンスエリアに臨んだ複数のキャリッジユニットに対し、1つずつメンテナンス処理を行うメンテナンス手段と、複数のキャリッジユニットを描画エリアとメンテナンスエリアとの間で個々に移動させるY軸テーブルと、Y軸テーブルによるキャリッジユニットの移動軌跡上に配設され、複数のキャリッジユニットの全機能液滴吐出ヘッドからの捨て吐出を受けるフラッシングボックスと、を備えていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、メンテナンス手段は、機能液滴吐出ヘッドおよびこれを搭載したキャリッジを有する複数のキャリッジユニットに対し、1つずつメンテナンス処理を行うため、キャリッジユニットの数に対応してメンテナンス手段を複数設ける必要がない。一方、Y軸テーブルによるキャリッジユニットの移動軌跡上にフラッシングボックスを配設しているため、メンテナンス処理後のキャリッジユニットをこのフラッシングボックスの直上部に臨ませて、全機能液滴吐出ヘッドからの捨て吐出(フラッシング)を行わせることができる。すなわち、他のキャリッジユニットがメンテナンス処理している処理待ち時間に、処理後の機能液滴吐出ヘッドにフラッシングを行わせておくことにより、処理後の機能液滴吐出ヘッドの各吐出ノズルに、乾燥による目詰まり等が生ずることがない。すなわち、キャリッジユニットを個々にメンテナンス処理することで時間を要しても、機能液滴吐出ヘッドの目詰まり等を有効に防止することができる。なお、この場合のフラッシングは、機能液の無駄な消費を抑制すべく、所定の時間をおいて間欠的に行われることが好ましい。
【0008】
この場合、メンテナンス手段、Y軸テーブルおよび各機能液滴吐出ヘッドを制御する制御手段を、更に備え、制御手段は、メンテナンス処理後のキャリッジユニットを順にフラッシングボックスの直上部に送り、最後のキャリッジユニットのメンテナンス処理が終了するまでの間、メンテナンス処理後のキャリッジユニットの機能液滴吐出ヘッドに機能液の捨て吐出を行わせることが、好ましい。
【0009】
この構成によれば、メンテナンス処理することで時間を要しても、機能液滴吐出ヘッドの目詰まり等を有効に防止することができると共に、メンテナンス処理を効率良く行うことができる。
【0010】
これらの場合、メンテナンス手段は、機能液滴吐出ヘッドの各吐出ノズルから機能液を吸引する吸引ユニットと、吸引後の機能液滴吐出ヘッドのノズル面をワイピングシートにより払拭するワイピングユニットと、を有することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、吸引ユニットによる吸引処理と、ワイピングユニットによる払拭処理により、機能液滴吐出ヘッドの吐出機能を常に良好な状態に維持しておくことができる。
【0012】
これらの場合、フラッシングボックスは、X軸テーブルに搭載されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、装置のスペース効率を向上させることができると共に、Y軸テーブルによるキャリッジユニットの移動距離を極力短くすることができる。
【0014】
この場合、ワイピングユニットは、吸引ユニットに対し描画エリア側に配設されていることが、好ましい。
【0015】
この構成によれば、吸引ユニットから描画エリアへのキャリッジユニットの一方向への移動により、一連のメンテナンス処理を行うことができ、Y軸テーブルの制御を単純化することができると共に、キャリッジユニットに無駄な動きが生じない分、メンテナンス処理を短時間で効率良く行うことができる。
【0016】
これらの場合、X軸テーブルは、ワークを吸着載置する吸着テーブルと、吸着テーブルを回転させる回転テーブルと、回転テーブルを支持するテーブルベースと、を有し、フラッシングボックスは、テーブルベース上に搭載されていることが、好ましい。
【0017】
この構成によれば、フラッシングボックスが、ワークと共に回転テーブルにより回転調整されることがなく、フラッシングボックスを安定に設置しておくことができる。
【0018】
これらの場合、フラッシングボックスは、複数のキャリッジユニットが描画動作を開始する描画ホーム位置の直下に配設されていることが、好ましい。
【0019】
この構成によれば、全キャリッジユニットのメンテナンス処理が収容した段階で、全キャリッジユニットが自動的に描画待機状態となるため、メンテナンス処理から描画処理への移行を迅速に行うことができる。
【0020】
この場合、制御手段は、描画動作開始時に、複数のキャリッジユニットの全吐出ノズルからフラッシングボックスに捨て吐出を行わせることが、好ましい。
【0021】
この構成によれば、実描画動作の直前まで、機能液滴吐出ヘッドの吐出機能を良好な状態に維持することができる。
【0022】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0023】
本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0024】
これらの構成によれば、機能液滴吐出ヘッドの吐出機能を良好な状態に維持して、ワークへの描画を極めて高精度に行い得る液滴吐出装置を用いて製造されるため、信頼性の高い電気光学装置を製造することが可能となる。なお、電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)としては、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、電子放出装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)やSED(Surface-conduction Electron-Emitter Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置が考えられる。
【0025】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または上記した電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0026】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータの他、各種の電気製品がこれに該当する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る描画システムの平面模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の外観斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の正面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の側面図である。
【図6】ヘッドユニットの説明図であり、ヘッドユニットのヘッドプレート廻りを示した図である。
【図7】機能液滴吐出ヘッドの外観斜視図である。
【図8】本実施形態のヘッドプレートの説明図であり、(a)は、ヘッドプレートの外観斜視図、(b)は、ヘッドプレートを下側から見た図である。
【図9】本実施形態のヘッドプレートの変形例について説明した図であり、(a)は、ヘッドプレートの外観斜視図、(b)は、ヘッドプレートを下側から見た図である。
【図10】機能液供給手段の説明図であり、(a)は、圧力調整弁廻りの説明図、(b)は圧力調整弁の断面図である。
【図11】アングル架台廻りの外観斜視図である。
【図12】アングル架台廻りの背面図である。
【図13】分割吸引ユニット廻りの外観斜視図である。
【図14】分割吸引ユニット廻りの側面図である。
【図15】ワイピングユニット廻りの外観斜視図である。
【図16】ワイピングユニット廻りの側面図である。
【図17】横移動機構の説明図であり、(a)は、機能液滴吐出ヘッドと、ワイピング後かつ横移動機構駆動前のワイピングシートとの位置関係を示した図であり、(b)は、機能液滴吐出ヘッドと、ワイピング後かつ横移動機構駆動後のワイピングシートとの位置関係を示した図である。
【図18】描画装置の主制御系について説明したブロック図である。
【図19】定期メンテナンスにおける分割ヘッドユニットと、分割吸引ユニットとの位置関係を説明した図である。
【図20】定期メンテナンスにおける本実施形態の変形例について説明した図であり、(a)は、第1分割ヘッドユニットのワイピング時、(b)は、第2分割ヘッドユニットのワイピング時、(c)は、第6分割ヘッドユニットのワイピング時、における分割吸引ユニットとの位置関係を説明した図である。
【図21】ヘッド交換における分割ヘッドユニットと、分割吸引ユニットとの位置関係を説明した図である。
【図22】第5分割ヘッドユニットのメンテナンス時における分割吸引ユニットの位置関係を示した図である。
【図23】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図24】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図25】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図26】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図27】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図28】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図29】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図30】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図31】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図32】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図33】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図34】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図35】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図36】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図37】陰極の形成を説明する工程図である。
【図38】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図39】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図40】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して、本発明を適用した描画システムについて説明する。本実施形態の描画システムは、液晶表示装置等の、いわゆるフラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれ、R(赤)・G(緑)・B(青)の3色から成るカラーフィルタの着色層(詳細は後述する)を形成するものである。
【0029】
図1は、描画システムの平面模式図である。同図に示すように、描画システム1は、3組の描画ユニット2で構成されている。各描画ユニット2は、R・G・Bの各色にそれぞれ対応しており、ワークW(基板)を各描画ユニット2に順次導入することにより、ワークW上に着色層を1色分ずつ形成できるようになっている。
【0030】
図1に示すように、各描画ユニット2は、着色層を形成するための液滴吐出装置3と、液滴吐出装置3に並設され、ワークWを搬出入するワーク搬出入装置4と、各装置に接続され、描画ユニット2全体を制御する制御装置5と、を備えている。また、同図に示すように、液滴吐出装置3は、チャンバ装置6に収容されている。チャンバ装置6は、いわゆるサーマルチャンバであり、一定の温度条件でワークWに対する液滴吐出(描画)が行われるように、液滴吐出装置3全体を温度管理下で収容している。チャンバ装置6は、液滴吐出装置3全体を収容したボックス状のチャンバ本体11と、これを制御盤(図示省略)と、チャンバ本体11内の温度が一定となるように、温度管理を行う空気調和機器12と、を備えている。図示省略したが、チャンバ本体11の右側面前方には、ワーク搬入・搬出開口となる開閉扉が形成されており、液滴吐出装置3にワークWを導入する場合等には、開閉扉を介してチャンバ本体11内に収容された液滴吐出装置3にアクセスできるようになっている。
【0031】
液滴吐出装置3は、機能液滴吐出ヘッド72(図示省略)を備えており、R・G・Bのいずれか1色に対応した機能材料(フィルタ材料)を機能液溶媒に溶かした機能液を機能液滴吐出ヘッド72(図示省略)に導入して、ワークW上に機能液滴による描画を行う。ワーク搬出入装置4は、ワークWを移載するロボットアーム15を備えており、ロボットアーム15を介して、未処理(描画前)のワークWを描画ユニット2内に搬入してこれを液滴吐出装置3に導入すると共に、処理済み(描画済み)のワークWを液滴吐出装置3から回収してこれを描画ユニット2外に搬出する。ロボットアーム15は、上記の開閉扉からチャンバ本体11内の液滴吐出装置3にアクセス可能であり、液滴吐出装置3に対するワークWの導入・回収は、ロボットアーム15を、開閉扉からチャンバ本体11内に挿入して行われる。制御装置5は、パソコン等で構成されており、装置本体の他、モニタディスプレイや、CDドライブやDVDドライブ等の各種ドライブを備えている。
【0032】
なお、図中に示す符号18は、乾燥装置を設置するための設置スペースであり、状況に応じて、ワークWに吐出させた機能液の機能液溶媒を乾燥(気化)させるための乾燥装置を描画ユニット2内に設置可能となっている。
【0033】
次に、本発明の主要部となる液滴吐出装置3について説明する。図2ないし5に示すように、液滴吐出装置3は、床上に設置した大型の共通架台21と、共通架台21上に広く配設された装置本体22と、を備えている。同図に示すように、共通架台21上には、石定盤31およびアングル架台32が配設されていると共に、2組4個のスタンド34a・bからなる一対の支持スタンド33が立設されている。
【0034】
図2ないし5に示すように、装置本体22は、機能液滴吐出ヘッド72を有するヘッドユニット41と、石定盤31上に直接設置され、ワークWをセットするセットテーブル101を有し、セットテーブル101を介してワークWをX軸方向に移動(主走査)させるワーク移動手段42(X軸テーブル)と、一対の支持スタンド33上に配設され、ヘッドユニット41をY軸方向(副走査方向)に移動させるヘッド移動手段43(Y軸テーブル)と、セットテーブル101にその主要部が配設され、セットテーブル101に対するワークWの除給時に、ワークWをリフトアップすると共に、ワークWの静電気を除電するワーク除給手段44と、ヘッドユニット41(機能液滴吐出ヘッド72)に機能液を供給する機能液供給手段45と、アングル架台32上にその主要部が配設され、ヘッドユニット41(機能液滴吐出ヘッド72)を保守するメンテナンス手段46と、を備えている。
【0035】
また、図示省略したが、装置本体22は、各手段に液体を供給すると共に不要となった液体(機能液および洗浄液)を回収する液体供給回収手段や、各手段を駆動・制御するための圧縮エアーを供給するエアー供給手段、ワークWを(吸着)セットするためのエアー吸引手段等を備えている。この液滴吐出装置3に導入されるワークWは、セットテーブル101に横置きでセットされる縦1800mm×横1500mmの透明基板(ガラス基板)であり、予め、着色層を形成させる画素領域(後述する)が作り込まれている。
【0036】
この液滴吐出装置3では、ワーク移動手段42の駆動に同期して、機能液滴吐出ヘッド72を駆動することにより、ワークWの画素領域内に機能液を吐出させ、ワークWに描画処理(液滴吐出処理)を行う。すなわち、ヘッドユニット41とワーク移動手段42により、描画手段が構成されている。一方、ワーク交換等の非描画処理時には、ヘッド移動手段43を駆動して、(後述するキャリッジ75を介して)ヘッドユニット41をメンテナンス手段46に臨ませ、メンテナンス手段46により、機能液滴吐出ヘッド72のメンテナンス処理を行うようになっている。上述したように、液滴吐出装置3は、チャンバ装置6内に収容されており、一連の描画処理やメンテナンス処理を含むほとんどの処理は、チャンバ装置6内で行われる。
【0037】
なお、図3に示すように、ワーク移動手段42によるワークWの移動軌跡と、ヘッド移動手段43によるヘッドユニット41の移動軌跡と、が交わるが描画処理を行う描画エリア51となっている。また、ヘッド移動手段43によるヘッドユニット41の移動軌跡上の、メンテナンス手段46に臨む領域がメンテナンス処理を行うメンテナンスエリア52となっている。なお、メンテナンスエリア52は、ヘッドユニット41を交換するためのヘッド交換エリアを兼ねている。さらに、ワーク移動手段42の図示手前側の領域は、液滴吐出装置3に対するワークWの搬出入(導出入)を行うワーク搬出入エリア53となっており、このワーク搬出入エリア53に臨んで、上記したワーク搬出入装置4が設置されている。
【0038】
次に、液滴吐出装置3の各構成要素について説明する。図2ないし5に示すように、石定盤31は、略直方体に形成され、X軸方向に延在している。また、石定盤31は、その中央部からY軸方向の左右に張り出した張出部31aを有しており、平面視変形「十」字形に構成されている。アングル架台32は、アングル材を方形に組んで構成され、Y軸方向において石定盤31(の張出部31a)と並んで配設されている。
【0039】
これらの図に示すように、一対の支持スタンド33は、アングル架台32を挟むようにX軸方向(前後)に並んで配設されている。各支持スタンド33は、石定盤31およびアングル架台32の配設範囲に亘り、Y軸方向に延在しており、Y軸方向に整列した2組4本の支柱61と、4本の支柱61間を架渡した柱状支持部材62と、を有している。すなわち、一対の支持スタンド33は、4組8本の支柱61と、2つの柱状支持部材62を具備している。各支持スタンド33の2組の支柱61は、それぞれ長さが異なっている。そして、2組4本の支柱61が同じ高さとなるように、短い方の支柱1組が、石定盤31の張出部31aに立設されると共に、長い方の支柱1組が共通架台21上に立設される。
【0040】
柱状支持部材62は、同一端面を有する2つのブロック63a・bから構成される。両ブロック63a・bは、石材で構成されている。ブロック63aは、石定盤31に立設した2本の支柱61a間をY軸方向と平行になるように架設されている。同様に、ブロック63bは、共通架台21に立設した2本の支柱61bをY軸方向と平行になるように架設されている。すなわち、2本の支柱61aおよびブロック63aによりスタンド34aが構成され、2本の支柱61bおよびブロック63bによりスタンド34bが構成されている。これら両ブロック63a・bは、Y軸方向に対して、端面を相互に突き合わせた状態で連結されると共に、支柱61a・b上に固定される。そして、Y軸方向に連続して並設したブロック63a・bにより柱状支持部材62が構成されている。なお、各支柱61と柱状支持部材62との間に高さ調整プレート66を介設し、柱状支持部材62(の上端面)の高さを調整するようにしても良い(図5参照)。
【0041】
次に装置本体22の各手段について説明する。図6に示すように、ヘッドユニット41は、Y軸方向に整列配置された複数(7個)の分割ヘッドユニット71から構成されている。図5、図6および図8に示すように、各分割ヘッドユニット71は、12個の機能液滴吐出ヘッド72と、12個の機能液滴吐出ヘッド72を支持するヘッドプレート73と、各機能液滴吐出ヘッド72をヘッドプレート73に固定するための12個のヘッド保持部材74と、上記のヘッド移動手段43に支持されると共に、ヘッドプレート73を支持するキャリッジ75と、を備えている。
【0042】
すなわち、キャリッジ75と、これに支持されたヘッドプレート73によりキャリッジユニットが構成されている。キャリッジユニットは、ヘッド移動手段43のブリッジプレート141(後述する)に垂設されており、7つのキャリッジユニットは、ヘッド移動手段43により、Y軸方向(一方向)に対して個別に移動可能に構成されている。
【0043】
図7に示すように、機能液滴吐出ヘッド72は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針82を有する機能液導入部81と、機能液導入部81に連なる2連のヘッド基板83と、機能液導入部81の下方に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体84と、を備えている。接続針82は、図外の機能液タンク201(後述する)に接続され、機能液滴吐出ヘッド72のヘッド内流路に機能液を供給する。ヘッド本体84は、キャビティ85(ピエゾ圧電素子)と、吐出ノズル88が開口したノズル面87を有するノズルプレート86と、で構成されている。ノズル面87には、多数(180個)の吐出ノズル88から成るノズル列が2列形成されている。機能液滴吐出ヘッド72を吐出駆動すると、キャビティ85のポンプ作用により、吐出ノズル88から機能液滴を吐出する。
【0044】
図6および図8に示すように、ヘッドプレート73は、ステンレス等から成る平面視略平行四辺形の厚板で構成されている。ヘッドプレート73には、12個の機能液滴吐出ヘッド72を位置決めし、ヘッド保持部材74を介して、裏面側から各機能液滴吐出ヘッド72を固定するための12個の装着開口(図示省略)が形成されている。各ヘッドプレート73に形成された12個の装着開口は、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ位置ずれした状態で1列に配置されている。これにより、各機能液滴吐出ヘッド72は、ノズル列がY軸方向と平行になるように固定されると共に、12個の機能液滴吐出ヘッド72は、1列の液滴吐出ヘッド群を構成し、ヘッドプレート73に対して、そのノズル列の一部が(Y軸方向に)重複するように階段状に配置される。すなわち、各分割ヘッドユニット71に搭載された液滴吐出ヘッド群(12個の機能液滴吐出ヘッド72)のノズル列(吐出ノズル88)により、1本の分割描画ライン(部分描画ライン)が構成される。
【0045】
図5に示すように、キャリッジ75は、ヘッドプレート73を着脱自在に支持するキャリッジ本体91と、キャリッジ本体91の上面に取り付けられ、(ヘッドプレート73の)θ方向に対する位置補正を行うためのθ回転機構92と、θ回転機構92を介してキャリッジ本体91を吊設すると共に、ヘッド移動手段43に固定・支持された外観「I」形の吊設部材93と、を有している。
【0046】
図示省略したが、キャリッジ本体91には、ヘッドプレート73を位置決めするための位置決め機構が設けられている。これにより、ヘッドユニット41では、7つの分割ヘッドユニット71がY軸方向に整列配置される(図6参照)。すなわち、Y軸方向において、各分割ヘッドユニット71の各機能液滴吐出ヘッド72は、対応する位置関係(同一の配置位置)にある他の6つ機能液滴吐出ヘッド72と整列するように配置される。換言すれば、ヘッドプレート73が位置決めされることにより、それぞれ対応した位置関係にある7個の機能液滴吐出ヘッド72から成る機能液滴吐出ヘッド列が、X軸方向に並んで12列、Y軸方向に位置ずれした状態で配置されるようになっている。
【0047】
そして、7つの分割ヘッドユニット71を整列配置させると、各分割ヘッドユニット71の7本の分割描画ラインがY軸方向に連続して、ワークWの描画幅に対応する1描画ラインを構成すべく、各ヘッドプレート73が、位置決めされた状態で支持される。すなわち、分割描画ラインは、1描画ラインを7つに分割して各分割ヘッドユニット71に配したものであり、7つの分割ヘッドユニット71を整列配置させると、ヘッドプレート73が整列して、7本の分割描画ライン(12×7個の機能液滴吐出ヘッド72のノズル列)から成る1描画ラインが形成される。1描画ラインは、ワークWの縦置き・横置きに対応できるよう、ワークWの長辺の長さに対応して設定されており、1800mmとなっている。なお、ヘッドユニット41(全分割ヘッドユニット71)が描画エリア51に臨み、1描画ラインが形成される位置が、ヘッドユニット41の描画ホーム位置となっており、この位置でワークWの描画処理が行われる。
【0048】
なお、ヘッドプレート73に搭載される各機能液滴吐出ヘッド72のノズル列(吐出ノズル88)がY軸方向において連続して、分割描画ラインを形成可能なものであれば、ヘッドプレート73における機能液滴吐出ヘッド72の配置方法は任意に設定可能である。本実施形態では、ノズル列の一部がY軸方向に重複するように、12個の機能液滴吐出ヘッド72をヘッドプレート73に配しているが、ノズル列を重複させず、12個の機能液滴吐出ヘッド72の全吐出ノズル88により1描画ラインが構成されるように、12個の機能液滴吐出ヘッド72を配置してもよい。また、図9に示すように、12個の機能液滴吐出ヘッド72を二分して(複数列に)配置することも可能である。このように、複数の機能液滴吐出ヘッド72を複数列に分割して配置すれば、X軸方向におけるヘッドプレート73の幅を狭くすることができる。同様に、1描画ラインを形成可能であれば、分割ヘッドユニット71の配置も任意に設定可能である。また、当然のことながら、各分割ヘッドユニット71に搭載する機能液滴吐出ヘッド72の個数や、分割ヘッドユニット71数等も実情に応じて任意に設定可能である。
【0049】
図2ないし図5に示すように、ワーク移動手段42は、ワークWをセットするセットテーブル101と、セットテーブル101をX軸方向にスライド自在に支持するX軸エアースライダ102と、X軸方向に延在し、セットテーブル101を介してワークWをX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモータ103と、X軸リニアモータ103に並設され、X軸エアースライダ102の移動を案内する一対のX軸ガイドレール(図示省略)と、セットテーブル101の位置を把握するためのX軸リニアスケール104(図示省略)と、を備えている。
【0050】
図4および図5に示すように、セットテーブル101は、X軸エアースライダ102に支持されたθテーブル111に、ワークWを吸着セットする吸着テーブル112を積層したものである。θテーブル111は、X軸エアースライダ102に固定したθ固定部121(テーブルベース)と、吸着テーブル112を支持すると共に、θ固定部121に(θ軸方向に)回動可能に支持されたθ回転部122(回転テーブル)と、を有しており、吸着テーブル112を介して、ワークWをθ軸方向に回動することにより、ワークWのθ位置を微調整(補正)する。なお、θ固定部121には、後述するメンテナンス手段46のフラッシングユニット231が支持されている。
【0051】
吸着テーブル112は、ワークWを吸着セットするテーブル本体131と、テーブル本体131を支持する3組のテーブル支持部材132と、θテーブル111に固定され、テーブル支持部材132を介して、テーブル本体131を支持する支持ベース133と、を有している。テーブル本体131は、厚板状の石盤で構成され、平面視略正方形に形成されている。テーブル本体131の一辺は、ワークWの長辺の長さに合わせて1800mmに形成されており、ワークWを縦置きおよび横置きのいずれか任意の向きでセット可能になっている。図2および図3に示すように、テーブル本体131の表面には、ワークWを吸引するための吸引溝134が複数形成されている。そして、各吸引溝134には、上記したエアー吸引手段に連なる吸引孔(図示省略)が形成されており、吸引溝134を介して、ワークWに十分な吸引力を作用させることができるようになっている。
【0052】
3組のテーブル支持部材132は、θテーブル111の回転軸(θ軸)と、テーブル本体131の重心が一致するように、テーブル本体131を3点支持する。詳細は後述するが、吸着テーブル112には、ワーク除給手段44のリフトアップ機構161およびプリアライメント機構171が組み込まれて。そして、支持ベース133には、リフトアップ機構161およびプリアライメント機構171の主要部が配設されていると共に、テーブル本体131には、リフトアップ機構161の複数のリフトアップピン162を貫通させるための貫通孔135が整列して形成されている。
【0053】
X軸リニアモータ103、一対のX軸ガイドレール、およびX軸リニアスケール104は、上記した石定盤31上に直接載置されている。一対のX軸リニアモータ103を(同期させて)駆動すると、一対のX軸ガイドレールをガイドにしながら、X軸エアースライダ102をX軸方向に移動し、セットテーブル101にセットされたワークWがX軸方向に移動する。また、一対のX軸ガイドレールの間には、X軸リニアスケール104が併設されており、このX軸リニアスケール104に基づいて、機能液滴吐出ヘッド72の吐出タイミングが計られている。なお、一対のX軸リニアモータ103、一対のX軸ガイドレール、およびX軸リニアスケール104は、一対のX軸収容ボックス105内に収容されている。
【0054】
図2ないし図5に示すように、ヘッド移動手段43は、描画エリア51とメンテナンスエリア52を架け渡すと共に、ヘッドユニット41を、描画エリア51とメンテナンスエリア52との間で移動させるものである。ヘッド移動手段43は、上記した7つの分割ヘッドユニット71を1つずつ支持する7つのブリッジプレート141と、7つのブリッジプレート141がY軸方向に整列するよう、これを両持ちで支持する7組のY軸スライダ142と、Y軸方向に延在し、7組のY軸スライダ142を介して7つのブリッジプレート141をY軸方向に移動させる一対のY軸リニアモータ143と、Y軸方向に延在し、7つのブリッジプレート141の移動を案内する一対のY軸ガイドレール144(LMガイド)と、キャリッジ75を介してヘッドユニット41(機能液滴吐出ヘッド72)の移動位置を検出するY軸リニアスケール146(図示省略)と、を備えている。
【0055】
図5に示すように、ブリッジプレート141には、キャリッジ75を位置決めする挿通開口(図示省略)が形成されており、ブリッジプレート141は、挿通開口にキャリッジ75(吊設部材93)を挿通させ、これを固定している。また、各ブリッジプレート141上には、対応する分割ヘッドユニット71の機能液滴吐出ヘッド72を駆動するヘッド用電装ユニット145が搭載されている(図2および図3参照)。7つのヘッド用電装ユニット145は、隣り合ったブリッジプレートのヘッド用電装ユニット145が相互に干渉することがないよう千鳥状に配置され、ブリッジプレート141を効率よく配置できるようになっている。
【0056】
一対のY軸リニアモータ143および一対のY軸ガイドレール144は、上記した一対の支持スタンド33の柱状支持部材62に1つずつ直接設置されている。また、Y軸リニアスケール146は、一対の柱状支持部材62の一方に直接配設されている。本実施形態のヘッド移動手段43では、一対のY軸リニアモータ143を駆動して、7組のY軸スライダ142を同時にY軸方向に移動させることにより、7つの分割ヘッドユニット71から成るヘッドユニット41を一体として(1描画ラインを形成した状態で)Y軸方向に移動できるようになっている。一方、一対のY軸リニアモータ143を選択的に駆動することにより、7組のY軸スライダ142をそれぞれ独立して移動させ、各分割ヘッドユニット71を個別にY軸方向へ移動させることもできるようになっている。
【0057】
なお、図5に示すように、各柱状支持部材62には、その側面に一対のブラケット151が外向きに固定されており、一対のブラケット151には、Y軸収容ボックス152が支持されている。すなわち、一対の柱状支持部材62と並んで、一対のY軸収容ボックス152が配設されている。一対のY軸収容ボックス152には、独立移動可能な7つの分割ヘッドユニット71に対応し、各分割ヘッドユニット71(ヘッド用電装ユニット145)に接続するチューブやケーブル類を、各分割ヘッドユニット71の移動に追従可能に収容した7つのY軸ケーブル担持体153(ケーブルベア:登録商標)が、二分されて収容されている。この場合、二分して配置した7つのヘッド用電装ユニット145に対応させて、7つのY軸ケーブル担持体153を(4つと3つに)二分することが好ましい。
【0058】
ここで、一連の描画処理について説明する。描画処理に先立ち、先ず、ヘッド移動手段43を駆動して、ヘッドユニット41を描画エリア51(描画ホーム位置)に移動させる。一方、ワーク搬出入装置4を用いて、ワーク搬出入エリア53に位置するセットテーブル101に、未処理のワークWを導入する。セットテーブル101にワークWがセットされると、ワーク移動手段42が駆動して、ワークWを主走査(X軸)方向に往動させる。このワークWの往動と同期して、機能液滴吐出ヘッド72が選択的に駆動され、ワークWに対する機能液の選択的な吐出動作(描画処理)が行われる。
【0059】
上述したように、ヘッドユニット41の1描画ラインは、ワークWの長辺の長さに合わせて形成されているので、ワークWの縦置き・横置きに関わらず、ワークWの1往動により、1枚のワークWに対する描画処理を終えることができる。ワークWの一往動後、引き続きワーク移動手段42を駆動して、ワークWを復動させ、描画処理済みのワークWをワーク搬出入エリア53に移動させる。そして、ワーク搬出入装置4により、処理済みのワークWをセットテーブル101から回収する。
【0060】
本実施形態では、ヘッドユニット41に対し、ワークWを直接移動させる構成となっているが、固定したワークWに対し、ヘッドユニット41を移動させる構成としても良い。また、ワークWの往動時だけではなく、復動時にも機能液滴吐出ヘッド72の吐出駆動を行い、1往復動で描画処理を終了させる構成としても良い。さらに、1描画ラインをワークWの一辺(描画幅)よりも短く構成したヘッドユニット41を用いて描画処理を行うことも可能である。この場合、ワークWを移動させながら1描画ラインの描画を行う主走査と、主走査後にヘッドユニット41を1描画ライン分Y軸方向に移動させる副走査と、を交互に行うことにより、描画処理を行えばよい。
【0061】
なお、上述したが、ワーク移動手段42のX軸リニアモータ103、X軸ガイドレール、およびX軸リニアスケール104は、石定盤31上に直接支持されている。また、ヘッド移動手段43のY軸リニアモータ143、Y軸ガイドレール144、およびY軸リニアスケール146は、石材で構成された柱状支持部材62に直接支持されている。このように、ヘッド移動手段43およびワーク移動手段42の主要部を、平面度を出し易くかつ熱膨張率の小さい石材上に設置することにより、ワークWおよびヘッドユニット41を精度よく移動させることができ、ワークWに精度よく描画処理を行えるようになっている。
【0062】
次に、ワーク除給手段44について説明する。ワーク除給手段44は、ワーク搬出入エリア53に搬入された未処理のワークWをセットテーブル101にセット(導入)すると共に、処理済みのワークWをセットテーブル101から回収するためのものであり、リフトアップ機構161と、プリアライメント機構171と、除電手段181と、を備えている。
【0063】
図4および図5に示すように、リフトアップ機構161は、X軸方向およびY軸方向に整列配置され、吸着テーブル112(テーブル本体131)に形成された貫通孔135から出没する複数のリフトアップピン162を有している。そして、未処理のワークWをセットテーブル101に載置するときには、吸着テーブル112から(複数の)リフトアップピン162を突出させておき、上記したワーク搬出入装置4のロボットアーム15からワークWを受け取った後、リフトアップピン162を吸着テーブル112に没入させる。一方、吸着テーブル112からワークWを回収するときには、吸着テーブル112に没入しているリフトアップピン162を上昇させてワークWを吸着テーブル112からリフトアップ(離間)させる。リフトアップしたワークWに、ロボットアーム15が下側から臨み、ワークWが吸着テーブル112から回収される。
【0064】
図2ないし図5に示すように、プリアライメント機構171は、リフトアップ機構161により吸着テーブル112に載置された未処理のワークWを、テーブル本体131に対して位置決め(プリアライメント)するものであり、一対のX挟持部材(図示省略)でワークWの前後端を挟み込むことにより、ワークWの前後方向(X軸方向)の位置決めを行うX軸位置決めユニット172と、2組のY挟持部材(図示省略)でワークWの左右端を挟み込むことにより、ワークWの左右方向(Y軸方向)の位置決めを行うY軸位置決めユニット174と、を備えている。
【0065】
除電手段181は、軟X線を照射することにより、ワークWの裏面に剥離帯電した静電気を除去するものであり、例えばイオナイザで構成されている。除電手段181は、ワーク搬出入エリア53に臨んで配設され、ロボットアーム15からリフトアップ機構161に移動させるワークWや、吸着テーブル112からリフトアップ(離間)されるワークWに臨んで、効率的にワークWの静電気を除去できるようになっている。
【0066】
次に、機能液供給手段45について説明する。機能液供給手段45は、7つの分割ヘッドユニット71に対応する7つの機能液供給ユニット190で構成されており、各機能液供給ユニット190は、対応する分割ヘッドユニット71に機能液を供給する(図2および図3参照)。各機能液供給ユニット190は、機能液を貯留する複数(12個)の機能液タンク201を有するタンクユニット191と、各機能液タンク201および各機能液滴吐出ヘッド72を接続する複数(12本)の機能液供給チューブ193と、複数の機能液供給チューブ193に介設した複数(12個)の圧力調整弁211を有するバルブユニット192と、を有している。
【0067】
図2および図3に示すように、タンクユニット191は、上記した挿通開口を挟んで、ヘッド用電装ユニット145と対峙するように、上記したブリッジプレート141上に設置される。タンクユニット191に設けられた12個の機能液タンク201は、(12本の機能液供給チューブ193を介して)分割ヘッドユニット71に搭載された12個の機能液滴吐出ヘッド72にそれぞれ接続される。なお、機能液タンク201は、樹脂製のカートリッジケース205に、機能液を真空パックした機能液パック206を収容したカートリッジ形式のものであり、機能液パックには、予め脱気された機能液が貯留されている(図10参照)。
【0068】
図6に示すように、バルブユニット192は、12個の圧力調整弁211と、12個の圧力調整弁211を上記したヘッドプレート73に固定する12個のバルブ固定部材212と、を有している。図10に示すように、圧力調整弁211は、機能液タンク201に連なる1次室221と、機能液滴吐出ヘッド72に連なる2次室222と、1次室221および2次室222を連通する連通流路223と、をバルブハウジング224内に形成したものである。2次室222の1の面には外部に面してダイヤフラム225が設けられ、連通流路223にはダイヤフラム225により開閉動作する弁体226が設けられている。機能液タンク201から1次室221に導入された機能液は、2次室222を介して機能液滴吐出ヘッド72に供給されるが、その際、所定の調整基準圧力(ここでは大気圧)でもって、ダイヤフラム225が変位する。これにより、連通流路223に設けた弁体226が開閉動作し、2次室222の機能液圧力が僅かに負圧となるよう、2次室222内の圧力調整が為される。
【0069】
このような圧力調整弁211を機能液タンク201と機能液滴吐出ヘッド72との間に介設することにより、機能液タンク201の水頭に影響されることなく、機能液滴吐出ヘッド72に機能液を安定して供給することが可能となる。すなわち、機能液滴吐出ヘッド72(ノズル面87)の位置と、圧力調整弁211(ダイヤフラム225の中心)の位置との高低差により、機能液の供給圧が決定され、この高低差を所定の値とすることで、機能液の供給圧を所定圧に保つことができるようになっている。なお、弁体226の閉弁時において1次室221および2次室222は縁切りされており、圧力調整弁211は、機能液タンク側(1次側)で発生した脈動等を吸収するダンパー機能を有している。
【0070】
図6に示すように、12個のバルブ固定部材212は、Y軸方向に位置ずれする分割ヘッドユニット71の機能液滴吐出ヘッド72に倣い、Y軸方向に位置ずれして、ヘッドプレート73上に配設されている。このように、機能液滴吐出ヘッド72の配置に倣って圧力調整弁211を配置することにより、機能液滴吐出ヘッド72および圧力調整弁211間の機能液供給チューブ193の長さを一定とすることができ、各機能液滴吐出ヘッド72に対して、略同一供給圧の機能液を供給可能である。
【0071】
なお、本実施形態では、タンクユニット191をブリッジプレート141上に配設したが、ヘッドプレート73上に搭載する構成としてもよい。この場合、機能液タンク201から機能液滴吐出ヘッド72に至る機能液供給チューブ193(機能液流路)の長さを短く構成することができ、機能液を効率的に利用することができる。また、バルブユニット192の設置位置も、ヘッドプレート73上に限定されるものではなく、実情に応じて、ブリッジプレート141上に設けることも可能である。
【0072】
次に、メンテナンス手段46について説明する。メンテナンス手段46は、機能液滴吐出ヘッド72のメンテナンスを主目的としたものであり、フラッシングユニット231と、吸引ユニット232と、ワイピングユニット233と、ユニット昇降機構235と、を備えている。図5に示すように、フラッシングユニット231は、セットテーブル101に並設されている。吸引ユニット232、ワイピングユニット233、およびユニット昇降機構235は、アングル架台32に支持されている(図2〜4、図11、図12参照)。
【0073】
なお、メンテナンス手段46として、上記の各ユニットに加え、機能液滴吐出ヘッド72から吐出された機能液滴の飛行状態を検査する吐出検査ユニットや、機能液滴吐出ヘッド72から吐出された機能液滴の重量を測定する重量測定ユニット等を設けることが好ましい。
【0074】
フラッシングユニット231は、フラッシング動作、すなわち機能液滴吐出ヘッド72の予備吐出(捨て吐出)で吐出された機能液を受けるためのものであり、特に、ワークWに機能液を吐出させる直前に行う吐出前フラッシングを受けるためのものである。図5に示すように、フラッシングユニット231は、セットテーブル101に沿って配設され、機能液を受けるフラッシングボックス241と、上記したθテーブル111のθ固定部121に固定され、フラッシングボックス241を支持するボックス支持部材242と、で構成されている。
【0075】
フラッシングボックス241は、平面視長方形の箱状に形成されており、その底面には、機能液を吸収させる吸収材(図示省略)が敷設されている。フラッシングボックス241の短辺は、ヘッドユニット41のX軸方向における長さに対応して形成され、フラッシングボックス241の長辺は、テーブル本体131の一辺の長さ(1描画ラインの長さ)に一致させて形成されている。すなわち、フラッシングボックス241は、ヘッドユニット41を包含するように構成され、ヘッドユニット41に搭載された全機能液滴吐出ヘッド72からフラッシングされた機能液を一度に受けることができるように構成されている。
【0076】
ボックス支持部材242は、セットテーブル101(吸着テーブル112)の、X軸に直交し、上記したワーク搬出入エリア53と反対側(図示後方)に位置する辺に沿って、フラッシングボックス241を支持している。すなわち、フラッシングボックス241は、吸着テーブル112の、ワーク往動時の先端側となる辺に沿って、フラッシングボックス241が配設されるので、ワークWをX軸方向に往動すると、ヘッドユニット41は、フラッシングユニット231に臨んだ後、ワークWに臨むこととなる。したがって、吐出前フラッシングのためだけに、ヘッドユニット41を移動させることが不要となると共に、ワークWに臨む直前に吐出前フラッシングを行うことができる。また、セットテーブル101に対し、ワークWを導入・回収する際には、フラッシングボックス241は、ワーク搬出入エリア53の後方側に位置するため、ワークWの導入・回収の邪魔になることがない。なお、セットテーブル101をワーク搬出入エリア53に臨ませると、フラッシングボックス241は、描画エリア51に臨むよう支持され、ヘッドユニット41の直下に位置するようになっている(図5等参照)。
【0077】
さらに、ボックス支持部材242は、フラッシングボックス241の上端面が、吸着テーブル112にセットしたワークWの表面と略面一となるように、フラッシングボックス241を支持している。このように、フラッシングボックス241を吸着テーブル112と略面一に支持することにより、ヘッドユニット41にフラッシングボックス241が干渉することないと共に、フラッシングで吐出された機能液をフラッシングボックスに効率的に受けることができるようになっている。
【0078】
上述したように、本実施形態は、ワークWの往動時にのみ機能液滴吐出ヘッド72を吐出駆動させる構成であるが、ワークWの復動時にも機能液滴吐出ヘッド72を吐出させる場合には、フラッシングボックスを一対設け、セットテーブル101の、X軸と直交する2辺に沿って、これを配設することが好ましい。これにより、ワークWの往復動に伴う吐出駆動に直前にフラッシングを行うことができる。
【0079】
なお、フラッシング動作には、上記した吐出前フラッシングの他、ワークWの交換時のように、ワークWに対する描画を一時的に停止するときに行う定期フラッシングがあり、本実施形態では、この定期フラッシングにより吐出された機能液を、後述の吸引ユニット232によって受けるように構成されている。
【0080】
吸引ユニット232は、機能液滴吐出ヘッド72を吸引して、機能液滴吐出ヘッド72から機能液を強制的に排出させるものである。吸引ユニット232による機能液滴吐出ヘッド72の吸引は、機能液滴吐出ヘッド72のノズル詰まりを解消/防止するために行われる他、液滴吐出装置3を新設した場合や、機能液滴吐出ヘッド72のヘッド交換を行う場合などに、機能液タンク201から機能液滴吐出ヘッド72に至る機能液流路に機能液を充填するために行われる。
【0081】
図2〜図4、図11、図12に示すように、吸引ユニット232は、Y軸方向においてワイピングユニット233と隣接して配設され、メンテナンスエリア52に臨んでいる。吸引ユニット232は、ヘッドユニット41を構成する7つの分割ヘッドユニット71に対応して構成されている。すなわち、吸引ユニット232は、分割ヘッドユニット71単位で吸引を行う7つの分割吸引ユニット251を有している。7つの分割吸引ユニット251は、ヘッドユニット41を構成する7つの分割ヘッドユニット71の配置に倣い、Y軸方向に整列配置した状態で配置されている。
【0082】
図13および図14に示すように、7つの分割吸引ユニット251は、上記したユニット昇降機構235の昇降機構351(後述する)により、個々に昇降可能に支持されている。これらの図に示すように、各分割吸引ユニット251は、分割ヘッドユニット71に対して下側から臨み、機能液滴吐出ヘッド72のノズル面87に密着させるキャップ261を有するキャップユニット252と、キャップユニット252を支持するキャップ支持部材253と、キャップ支持部材253に組み込まれ、キャップ支持部材253を介してキャップユニット252を昇降させるキャップ昇降機構254と、密着させたキャップ261を介して機能液滴吐出ヘッド72に吸引力を作用させる吸引手段(図示省略)と、を備えている。
【0083】
図13および図14に示すように、キャップユニット252は、分割ヘッドユニット71に搭載された機能液滴吐出ヘッド72の並びに対応させて、12個のキャップ261をキャップベース262に配設したものである。すなわち、吸引ユニット232には、ヘッドユニット41における機能液滴吐出ヘッド72の配置パターンに倣って、12×7個(84個)のキャップ261が配置されており、ヘッドユニット41の全機能液滴吐出ヘッド72に、対応するキャップ261を密着させることが可能である。図示省略したが、各キャップ261には、大気開放弁が設けられており、この大気開放弁を吸引動作の最終段階で開弁することにより、キャップ261内に残留する機能液を吸引できるようになっている。
【0084】
図13および図14に示すように、キャップ支持部材253は、キャップユニット252を支持するキャップ支持プレート265と、キャップ支持プレート265を上下方向にスライド自在に支持するキャップスタンド266と、キャップスタンド266を支持するキャップ支持ベース267と、を有している。なお、キャップ支持プレート265の下面には、キャップ261の大気開放弁(図示省略)を開閉させるための一対のエアーシリンダ268が固定されている。
【0085】
図14に示すように、キャップ昇降機構254は、キャップスタンド266の上側に配設され、キャップ支持プレート265を介して、キャップユニット252を昇降自在に支持する第1昇降シリンダ271と、キャップスタンド266の下側に配設され、第1昇降シリンダ271を介して、キャップユニット252を昇降自在に支持する第2昇降シリンダ272と、を有している。第1昇降シリンダ271および第2昇降シリンダ272は、互いにストロークが異なるエアーシリンダで構成されており、第2昇降シリンダ272のストロークは、第1昇降シリンダ271のストロークよりも長く構成されている。そして、第1および第2昇降シリンダ271、272を選択的に駆動することにより、キャップユニット252の上昇位置が、キャップ261が機能液滴吐出ヘッド72に密着する第1位置と、第1位置よりも僅か(2〜3mm程度)に低い第2位置と、のいずれか一方に切り替えられる。具体的には、第1昇降シリンダ271を駆動すると、キャップユニット252を、所定の下降端位置から第1位置まで移動させることができ、第2昇降シリンダ272を駆動すると、キャップユニット252を第2位置まで移動させることができるようになっている。
【0086】
吸引手段は、分割ヘッドユニット71の12個の機能液滴吐出ヘッド72に吸引力を作用させる単一のエゼクタと、12個のキャップ261とエゼクタとを接続する吸引チューブと、を有している(いずれも図示省略)。エゼクタは、エアー供給チューブ(図示省略)を介して、上記したエアー供給手段に接続されている。エゼクタに接続した1本の吸引チューブは、ヘッダパイプ(図示省略)を介して複数(12本)の分岐吸引チューブ(図示省略)に分岐し、各キャップ261に接続される。吸引チューブには、液体供給回収手段の再利用タンク(後述する)が介設されており、エゼクタで吸引された機能液は、再利用タンクに貯留される。なお、同図では省略したが、各分岐吸引チューブのキャップ261の近傍には、キャップ261側から順に、機能液の有無を検出する液体センサ276、各分岐吸引チューブ内の圧力を検出する圧力センサ277(いずれも図18参照)、および各分岐吸引チューブを開閉するための吸引用バルブがそれぞれ設けられている。
【0087】
分割吸引ユニット251の吸引動作について説明する。吸引動作に先立ち、ヘッド移動手段43を駆動して、ヘッドユニット41をメンテナンスエリア52に移動させ、分割ヘッドユニット71の1つを分割吸引ユニット251に臨ませる。続いて、キャップ昇降機構254を駆動し、キャップユニット252を第1位置まで移動させる。これにより、分割吸引ユニット251に臨んだ分割ヘッドユニット71の全機能液滴吐出ヘッド72に、対応するキャップ261が密着する。次に、エアー供給手段からエゼクタに圧縮エアーを供給し、キャップ261を介して機能液滴吐出ヘッド72の吸引を行う。各機能液滴吐出ヘッド72から、機能液が一定量吸引されると、エゼクタに対する圧縮エアーの供給が停止される。そして、機能液滴吐出ヘッド72の吸引が終了すると、キャップ昇降機構254を駆動して、キャップユニット252を下降端位置まで移動させ、機能液滴吐出ヘッド72からキャップ261を離間させる。
【0088】
なお、機能液の吸引中は、液体センサ276および圧力センサ277の検出信号に基づいて、吸引動作のモニタリングが行われ、各キャップ261の吸引不良を検出できるようになっている。また、液体センサ276および圧力センサ277の検出結果に基づいて上記の吸引用バルブを開閉することにより、各機能液滴吐出ヘッド72から、吸引される機能液量を略一定とすることができ、吸引動作によって機能液が過剰に吸引されることを防止可能となっている。
【0089】
吸引ユニット232は、上記のような機能液滴吐出ヘッド72の吸引に供されるだけではなく、定期フラッシングの機能液を受けるように構成されている。すなわち、吸引ユニット232の各キャップ261は、フラッシングボックスの役割を兼ねており、定期フラッシングで各機能液滴吐出ヘッド72が吐出した機能液を、対応するキャップ261で受けるようになっている。この場合、キャップ昇降機構254が駆動され、キャップユニット252を第2位置まで上昇させる。これにより、キャップ261は、機能液滴吐出ヘッド72のノズル面87に対して僅か(2〜3mm)に離間した状態で支持され、定期フラッシングの機能液を効率よくキャップ261で受けられるようになっている。
【0090】
また、吸引ユニット232は、液滴吐出装置3の非描画処理時等に、機能液滴吐出ヘッド72を保管するためにも用いることが可能である。この場合、メンテナンスエリア52にヘッドユニット41を臨ませた後、キャップ昇降機構254を駆動して、キャップユニット252を第1位置まで移動させる。これにより、キャップ261が機能液滴吐出ヘッド72のノズル面87に密着して、ノズル面87が封止(キャッピング)され、機能液滴吐出ヘッド72(吐出ノズル88)の乾燥が防止される。
【0091】
次に、ワイピングユニット233について説明する。ワイピングユニット233は、機能液滴吐出ヘッド72の吸引等により、機能液が付着して汚れた各機能液滴吐出ヘッド72のノズル面87を、ワイピングシート281を用いて拭き取る(ワイピングする)ものである。図2〜4、図11、図12に示すように、ワイピングユニット233は、上記したユニット昇降機構235の、描画エリア51と吸引ユニット232との間、すなわちメンテナンスエリア52の描画エリア51側に配置されている。このような配置により、ワイピングユニット233は、吸引処理を終え、描画エリア51へ移動するヘッドユニット41(分割ヘッドユニット71)に順次臨むことができ、その機能液滴吐出ヘッド72にワイピング処理を行えるようになっている。
【0092】
図15および図16に示すように、ワイピングユニット233は、主要部が配設されたユニット本体282と、ユニット本体282をX軸方向にスライド自在に支持する横移動機構283と、を備えている。ユニット本体282は、ロール状に巻回したワイピングシート281を繰り出しながら巻き取ってゆくシート供給ユニット291と、機能液滴吐出ヘッド72の下側から臨み、ワイピングシート281でノズル面87を拭取る拭取りユニット292と、繰り出したワイピングシート281に洗浄液を散布する洗浄液供給ユニット293と、これらを支持するワイピングフレーム294と、を有している。なお、ワイピングシート281に供給される洗浄液は、比較的揮発性の高い機能液の溶剤であり、機能液滴吐出ヘッド72のノズル面87に付着する機能液を効率的に除去できるようになっている。
【0093】
ワイピングフレーム294は、方形のワイピングベース301と、X軸方向と平行になるように、ワイピングベース301に立設した一対のサイドフレーム302と、を有している。一対のサイドフレーム302の左側(描画領域側)には、シート供給ユニット291が配設され、その右側(吸引ユニット232側)上部には、拭取りユニット292が配設されている。また、サイドフレーム302には、シート供給ユニット291から拭取りユニット292に繰出されるワイピングシート281に臨むように、洗浄液供給ユニット293が支持されている。
【0094】
図15および図16に示すように、シート供給ユニット291は、ロール状のワイピングシート281を装填し、ワイピングシート281を(その延在方向に)繰り出す図示上側の繰出しリール311と、繰り出されたワイピングシート281を巻き取る図示下側の巻取りリール312と、巻取りリール312を巻取り回転させる巻取りモータ313と、巻取りモータ313の動力を巻取りリール312に伝達する動力伝達機構314と、繰出しリール311からのワイピングシート281を拭取りユニット292に送る中間ローラ315と、を有している。
【0095】
サイドフレーム302の外側に位置する繰出しリール311の軸端の一方には、巻取りモータ313に抗するように制動回転するトルクリミッタ316が設けられており、繰出されたワイピングシート281に一定の張力を付与できるようになっている。巻取りモータ313は、ギヤードモータで構成され、サイドフレーム302に固定されている。動力伝達機構314は、巻取りモータ313の出力端に固定した駆動プーリ317と、巻取りリール312の軸端に固定した従動プーリ318と、両プーリ317、318間に架け渡したタイミングベルト319と、を有している。巻取りモータ313が駆動すると、自身の減速ギア列を介してタイミングベルト319が走行し、巻取りリール312に動力が伝達される。中間ローラ315の軸端には、速度検出器320(図18参照)が設けられ、ワイピングシート281の送り速度を検出している。繰出しリール311、巻取りリール312、および中間ローラ315は、その軸線が、ワイピングシート281の幅方向であるX軸方向と平行になるように、サイドフレーム302に両持ち、かつ回転自在に軸支されている。すなわち、ワイピングシート281は、ワイピングシート281の幅方向(X軸方向)と直交する方向に、繰り出し送りされる。
【0096】
図15および図16に示すように、拭取りユニット292は、ワイピングシート281の幅に対応した軸方向の長さを有し、機能液滴吐出ヘッド72のノズル面87にワイピングシート281を当接させる拭取りローラ321と、拭取りローラ321を両持ちで支持する一対の軸受け部材322と、一対の軸受け部材322を介して拭取りローラ321を昇降させるローラ昇降機構323と、これらを支持すると共に、サイドフレーム302に固定された「L」字状の一対の軸受けフレーム324と、を有している。繰出しリール311から繰出されたワイピングシート281は、中間ローラ315を経て、拭取りローラ321を周回し、巻取りリール312に巻き取られるようになっている。
【0097】
拭取りローラ321は、自由回転ローラであり、軸線をX軸方向と一致させた状態で、一対の軸受け部材322に回転自在に軸支されている。すなわち、拭取りローラ321は、ヘッドユニット41に搭載された機能液滴吐出ヘッド72のノズル列と直交するよう支持されており、ノズル面87をノズル列方向に(縦拭きで)拭取ってゆくようになっている。この場合、機能液滴吐出ヘッド72のノズル面87の損傷を防止するため、拭取りローラ321を柔軟性と弾力性を有するゴム等で構成することが好ましい。ローラ昇降機構323は、一対のサイドフレーム302上に固定された一対のローラ昇降シリンダ325(エアーシリンダ)を有し、一対の軸受け部材322を昇降自在に支持している。すなわち、ローラ昇降シリンダ325を駆動すると、軸受け部材322を介して、拭取りローラ321がヘッドユニット41の機能液滴吐出ヘッド72のノズル面87に当接可能な所定の拭取り高さ位置まで昇降する。
【0098】
図15および図16に示すように、洗浄液供給ユニット293は、噴霧ノズルから成り、後述する洗浄液タンクに接続された複数の洗浄液ノズル331と、一対のサイドフレーム302に架け渡され、複数の洗浄液ノズル331を支持するノズル支持部材332と、を有している。ノズル支持部材332は、中間ローラ315と拭取りローラ321との間に設けられると共に、X軸方向(ワイピングシート281の幅方向)と平行になるように一対のサイドフレーム302に両持ちで支持されている。複数の洗浄液ノズル331は、中間ローラ315から拭取りローラ321に送られるワイピングシート281に臨んで配設される。この場合、ワイピングシート281の幅全体に洗浄液が均等に噴霧されるよう、複数の洗浄液ノズル331をX軸方向に均等に配置することが好ましい。なお、本実施形態では、ワイピングシート281の幅全体に洗浄液を供給させるため、複数の洗浄液ノズル331を具備しているが、洗浄液ノズル331をワイピングシート281の幅方向に移動させるノズル移動機構を設けることにより、洗浄液ノズル331を単一のもので構成することも可能である。
【0099】
横移動機構283は、ユニット本体282を介して、ワイピングシート281全体をその幅方向(X軸方向)に移動させるためのものである。上述したように、機能液滴吐出ヘッド72は、ヘッド保持部材74を介してヘッドプレート73に取り付けられており、ノズル列と直交したX軸方向に隣接する機能液滴吐出ヘッド72間には間隙を有している(図8参照)。したがって、ノズル列方向に沿って、機能液滴吐出ヘッド72の拭取りを行うと、ワイピングシート281には、ストライプ状に汚れが付着する(図17(a)参照)。すなわち、機能液滴吐出ヘッド72間の間隙に相当する部分は、拭取りに用いられず、ワイピングシート281の一部分のみが拭取りに供される。そこで、横移動機構283を設け、一旦拭取りを行ってストライプ状に汚れが付着したワイピングシート281を、X軸方向に横移動させることにより、機能液滴吐出ヘッド72に対するワイピングシート281の払拭位置を異ならせ、上記した間隙部分のワイピングシート281を有効に利用できるようにした(図17(b)参照)。なお、横移動機構283に代えて、ヘッドユニット41(分割ヘッドユニット71)をX軸方向に移動させる機構を設け、これをワイピングシート281に対して横移動させる構成としても同様の効果を得ることができる。
【0100】
図15および図16に示すように、横移動機構283は、ユニット本体282をX軸方向にスライド自在に支持する2組4個の横移動スライダ343と、2組4個の横移動スライダ343をX軸方向に移動させる横移動ボールねじ342と、横移動ボールねじ342を正逆回転させる横移動モータ341と、X軸方向に延在し、横移動スライダ343の移動をガイドする一対の横移動ガイド344と、上記したユニット昇降機構235(ベースプレート352)に固定され、これらを支持する横移動ベース345と、を備えている。横移動モータ341が駆動すると、横移動ボールねじ342を介して横移動スライダ343がX軸方向に(正逆)移動し、横移動ベース345に対して、ユニット本体282がX軸方向を移動する。
【0101】
本実施形態では、X軸方向に隣接する機能液滴吐出ヘッド72間の間隙は、ノズル列と直交する機能液滴吐出ヘッド72の短辺およそ1個分となっており、横移動機構283で横移動させる距離は、機能液滴吐出ヘッド72の短辺1個分に設定されている。すなわち、X軸方向における機能液滴吐出ヘッド72の配置ピッチの半ピッチ分を移動させるようにしている。ただし、この値は、機能液やワイピングシート281の種類やX軸方向における機能液滴吐出ヘッド72の配置ピッチ等に応じて変更可能である。なお、本実施形態の横移動機構283は、モータ駆動でユニット本体282をスライドさせているが、モータ駆動に代えて、ロッドレスシリンダ等を用いたエアー駆動のものとしても良い。
【0102】
ここで、ワイピングユニット233の一連の動作について説明する。先ず、洗浄液供給ユニット293を駆動して、洗浄液ノズル331から洗浄液を噴霧させ、ワイピングシート281に洗浄液を供給する。一方、ローラ昇降シリンダ325が駆動され、拭取りローラ321を拭取り高さ位置まで上昇させる。次に、巻取りモータ313が駆動され、洗浄液を含浸したワイピングシート281が拭取りローラ321に送られる。洗浄液を含浸したワイピングシート281が拭取りローラ321に送られると、巻取りモータ313の駆動が停止され、ワイピングシート281の送りが停止される。続いて、ヘッド移動手段43が駆動される。これにより、ヘッドユニット41は、搭載した機能液滴吐出ヘッド72のノズル面87を、洗浄液を含浸したワイピングシート281に当接させた(押し付けた)状態で、メンテナンスエリア52を移動してゆく。すなわち、ワイピングシート281に対して、機能液滴吐出ヘッド72のノズル面が摺動し、機能液滴吐出ヘッド72のノズル面87がワイピングシート281で払拭されてゆく。
【0103】
詳細は後述するが、本実施形態では、分割ヘッドユニット71単位でワイピングを行う構成となっており、7つの分割ヘッドユニット71を1個ずつ、順番にワイピングユニット233に臨ませることにより、分割ヘッドユニット71に搭載する機能液滴吐出ヘッド72を連続してワイピングする。そこで、このワイピングユニット233では、未使用のワイピングシート281で所定個分の分割ヘッドユニット71をワイピングした後、横移動機構283を駆動して、ワイピングシート281をX軸方向に移動させる。そして、さらに所定個分の分割ヘッドユニット71をワイピングした後、巻取りモータ313を駆動し、使用済みのワイピングシート281を送るようになっている。
【0104】
次に、ユニット昇降機構235について説明する。上記したメンテナンスエリア52は、機能液滴吐出ヘッド72の保守に用いられるだけではなく、吸引ユニット232やワイピングユニット233のメンテナンスや、キャリッジ75に搭載したヘッドプレート73を交換する(ヘッド交換)ための作業領域を兼ねている。そこで、ユニット昇降機構235は、機能液滴吐出ヘッド72を保守する所定のメンテナンス位置(アクセス位置)から、所定の退避位置まで、吸引ユニット232およびワイピングユニット233を下降させることにより、吸引ユニット232およびワイピングユニット233上に作業領域を確保するものである。
【0105】
図11および図12に示すように、ユニット昇降機構235は、吸引ユニット232の7つの分割吸引ユニット251およびワイピングユニット233のいずれか1個を支持する8つの昇降機構351を有しており、これらを、メンテナンス位置および退避位置の間で、それぞれ独立して昇降させることができるようになっている。図13ないし図16に示すように、昇降機構351は、上記したアングル架台32に架け渡したベースプレート352と、ベースプレート352に固定され、分割吸引ユニット251またはワイピングユニット233を昇降自在に支持するユニット昇降シリンダ353(エアーシリンダ)と、分割吸引ユニット251またはワイピングユニット233の昇降移動をガイドする一対のユニット昇降ガイド354と、を有している。
【0106】
ユニット昇降シリンダ353は、ベースプレート352を貫通しており、シリンダ本体は、ベースプレート352の下面中央位置に固定され、ピストンロッドは、分割吸引ユニット251またはワイピングユニット233に固定されている。ユニット昇降シリンダ353による昇降ストロークは、200mm〜400mmに設定されている。ユニット昇降ガイド354は、ベースプレート352を貫通し、上端を(ガイドする)分割吸引ユニット251またはワイピングユニット233に固定した一対のガイドシャフト355と、一対のガイドシャフト355に摺動自在に係合すると共に、ベースプレート352に固定された一対のフランジ付きリニアブッシュ356とで構成されている。一対のガイドシャフト355は、ユニット昇降シリンダ353を中心として、対称に配置されており、分割吸引ユニット251またはワイピングユニット233の昇降を安定してガイドできるようになっている。
【0107】
通常、ユニット昇降機構235は、吸引ユニット232およびワイピングユニット233を、メンテナンス位置に支持しており、吸引ユニット232およびワイピングユニット233や、ヘッド交換を行うときのみ、これらを退避位置まで下降させる。
【0108】
液体供給回収手段は、メンテナンス手段46のフラッシングユニット231からの廃液を廃液タンクに回収する廃液回収系と、吸引ユニット232で吸引した機能液および吸引ユニット232に吐出された機能液を再利用タンクに回収する機能液回収系と、洗浄液タンクを有し、ワイピングユニット233に洗浄液を供給する洗浄液供給系と、で構成されている(いずれも図示省略)。なお、装置本体22には、廃液回収系の廃液タンク、機能液回収系の再利用タンク、および洗浄液供給系の洗浄液タンクをまとめて収容するタンクキャビネットが配設されている。
【0109】
次に、図18を参照して、液滴吐出装置3の主制御系について説明する。同図に示すように、液滴吐出装置3は、ヘッドユニット41(機能液滴吐出ヘッド72)、およびワーク移動手段42、を有する描画部361と、ヘッド移動手段43を有するヘッド移動部362と、ワーク除給手段44を有するワーク除給部363と、メンテナンス手段46を有するメンテナンス部364と、各種センサを有し、各種検出を行う検出部365と、各部を駆動する駆動部366と、各部に接続され、液滴吐出装置3全体の制御を行う制御部367(制御装置5)と、を備えている。
【0110】
制御部367には、各手段を接続するためのインタフェース371と、一時的に記憶可能な記憶領域を有し、制御処理のための作業領域として使用されるRAM372と、各種記憶領域を有し、制御プログラムや制御データを記憶するROM373と、ワークWに描画を行うための描画データや、各手段からの各種データ等を記憶すると共に、各種データを処理するためのプログラム等を記憶するハードディスク374と、ROM373やハードディスク374に記憶されたプログラム等に従い、各種データを演算処理するCPU375と、これらを互いに接続するバス276と、が備えられている。
【0111】
そして、制御部367は、各手段からの各種データを、インタフェース371を介して入力すると共に、ハードディスク374に記憶された(または、CD−ROMドライブ等により順次読み出される)プログラムに従ってCPU375に演算処理させ、その処理結果を、各手段に出力することにより、装置全体を制御している。
【0112】
図19ないし図21を参照して、ヘッドユニット41のメンテナンスを行う場合を例に、液滴吐出装置3の制御について説明する。ヘッドユニット41のメンテナンスには、搭載した機能液滴吐出ヘッド72の機能維持・機能回復を図るために、ワークWの交換時に定期的に行われる定期メンテナンスと、分割ヘッドユニット71のヘッドプレート73を交換するヘッド交換と、が含まれており、ここでは、定期メンテナンスについての制御フローを説明した後、ヘッド交換の制御フローについて説明する。なお、説明の便宜のため、ヘッドユニット41の7つの分割ヘッドユニット71を、図示左側から第1〜第7分割ヘッドユニット71a〜gとした。同様に、吸引ユニット232の7つの分割吸引ユニット251も、図示左側から第1〜第7分割吸引ユニット251a〜gとした。
【0113】
定期メンテナンスは、ヘッドユニット41の全機能液滴吐出ヘッド72に対して、吸引ユニット232を用いて吸引した後、ワイピングユニット233を用いてワイピングするものである。図19(b)に示すように、定期メンテナンスの制御フローでは、先ず、ヘッド移動手段43が駆動され、ヘッドユニット41を構成する7つの分割ヘッドユニット71全てをメンテナンスエリア52に移動すると共に、これらを分割吸引ユニット251にそれぞれ臨ませる。次に、7つのキャップ昇降機構254を駆動して、7つのキャップユニット252を第1位置まで移動させ、ヘッドユニット41の全機能液滴吐出ヘッド72に、対応するキャップ261を密着させる。続いて、全分割吸引ユニット251のエゼクタに圧縮エアーを供給し、ヘッドユニット41の全機能液滴吐出ヘッド72を吸引する。
【0114】
全機能液滴吐出ヘッド72の吸引が終了すると、第1分割吸引ユニット251aのキャップ昇降機構254を駆動して、第1分割ヘッドユニット71aの機能液滴吐出ヘッド72からキャップ261を離間させる。続いて、ヘッド移動手段43を駆動して、第1分割ヘッドユニット71aを描画エリア51側へ移動させると共に、ワイピングユニット233を駆動して、第1分割ヘッドユニット71aの全機能液滴吐出ヘッド72にワイピングを行う。この間、第2〜第7分割ヘッドユニット71b〜gは、第2〜第7分割吸引ユニット251b〜gのキャップ261により、搭載した機能液滴吐出ヘッド72を封止(キャッピング)した状態で待機している。これにより、待機中の機能液滴吐出ヘッド72(の吐出ノズル88)が乾燥して、目詰まりすることを防止できる。
【0115】
第1分割ヘッドユニット71aに対するワイピングが終了間近になると、第2分割吸引ユニット251bのキャップ昇降機構254を駆動して、待機中の第2分割ヘッドユニット71bの機能液滴吐出ヘッド72からキャップ261を離間させる。そして、第1分割ヘッドユニット71aのワイピングが終了すると、ヘッド移動手段43の駆動を制御して、第1分割ヘッドユニット71aを描画エリア51に移動させると共に、ワイピングユニット233の横移動機構283を駆動して、ワイピングシート281をX軸方向に移動させる。続いて、第2分割ヘッドユニット71bを描画エリア51側へ移動させ、第2分割ヘッドユニット71bのワイピングを行う(図19(c)参照)。
【0116】
第2分割ヘッドユニット71bのワイピングが終了直前に、第3分割吸引ユニット251cのキャップ昇降機構254を駆動して、待機中の第3分割ヘッドユニット71cからキャップ261を離間させる。第2分割ヘッドユニット71bのワイピングが終了すると、ヘッド移動手段43の駆動を制御して、第2分割ヘッドユニット71bを描画エリア51に移動させると共に、ワイピングユニット233のシート供給ユニット291(巻取りモータ313)を駆動して、ワイピングシート281を繰り出し送りし、洗浄液を含浸させた未使用のワイピングシート281を拭取りユニット292(拭取りローラ321)に供給する。
【0117】
そして、ヘッド移動手段43を駆動して、第3分割ヘッドユニット71cのワイピングを行う。以下、待機中の第4〜第7分割ヘッドユニット71d〜gに対しても同様の動作が繰り返され、ワイピングと描画エリア51への移動とが、第4〜第7分割ヘッドユニット71c〜gの順で行われる。
【0118】
一方、全ての分割ヘッドユニット71のワイピングが終了するまでの間、描画エリア51に送られた(待機中の)分割ヘッドユニット71の機能液滴吐出ヘッド72は、所定の間隔で定期的に吐出駆動され、フラッシング動作が行われる。このとき、セットテーブル101は、ワーク交換のためにワーク搬出入エリア53に臨んでおり、描画エリア51で待機中の分割ヘッドユニット71は、フラッシングボックス241の直上部に臨んでフラッシングを行う。
【0119】
なお、本実施形態では、ワイピング前の分割ヘッドユニット71を、キャッピングした状態で待機させているが、キャップ261に向けて、所定の間隔で定期的にフラッシングさせながら(キャップ内フラッシングをさせながら)、これを待機させるように構成してもよい。この場合、第1分割ヘッドユニット71aからキャップ261を離間させる時に、第2〜第7分割吸引ユニット251b〜gのキャップ昇降機構254を駆動して、第2〜第7分割吸引ユニット251b〜gのキャップ261を第2位置に移動させる。
【0120】
もっとも、極めて揮発性が低い機能液を用いた場合のように、ワイピングのための待機時間が、機能液滴吐出ヘッド72の吐出性能にほとんど影響しない場合には、待機中のキャッピングやキャップ内フラッシングは必要ではない。この場合、ワイピングの待機中に、キャッピングやキャップ内フラッシングを行う必要がないため、吸引ユニット232を、7つ未満の分割吸引ユニット251で構成してもよい。特に、定期メンテナンスを行う頻度が少ない場合には、分割吸引ユニット251の減少が、全体のタクトタイムに与える影響は少なく、吸引ユニット232を、単一の分割吸引ユニット251で構成することが可能である。逆に、頻繁に定期メンテナンスを行う場合には、ワイピングのための待機時間が全体の処理時間に影響を与えるため、この待機時間を削減すべく、複数のワイピングユニット233を設けるようにしてもよい。
【0121】
また、図19に示すように、本実施形態では、ワイピング前の分割ヘッドユニット71は、ワイピングを待つ間移動せず、吸引が行われた位置に留まったままであるが、先に行われる分割ヘッドユニット71のワイピングが終了する毎に、描画エリア51側(ワイピングユニット233側)に位置して隣接する分割吸引ユニット251のキャップユニット252に順次移動させるようにしてもよい。
【0122】
図20を参照して具体的に説明する。同図(a)に示すように、(第1分割吸引ユニット251に臨む)第1分割ヘッドユニット71aがワイピングユニット233に移動すると、第2〜第7分割ヘッドユニット71b〜gを、第1〜第6分割吸引ユニット251a〜fまで移動させる。そして、同図(b)に示すように、第1分割ヘッドユニット71aのワイピングが終了し、第1分割吸引ユニット251に臨む第2分割ヘッドユニット71bがワイピングユニット233に移動すると、第3〜第7分割ヘッドユニット71c〜gを、第1〜第5分割吸引ユニット251a〜fまで移動させる。なお、この場合も、ワイピングが終了した分割ヘッドユニット71は、描画エリア51へ移動する。このように、(先にワイピングを行う)分割ヘッドユニット71のワイピングユニット233への移動に伴い、待機中の分割ヘッドユニット71を、隣接するワイピングユニット233側の分割吸引ユニットに移動させることにより、ヘッドユニット41(全分割ヘッドユニット71)のワイピングに要する時間を短縮することができる。
【0123】
さらに、本実施形態では、1個の分割ヘッドユニット71のワイピングが終了すると、ワイピングシート281を横移動させているが、横移動のタイミングは、実情(機能液の種類等)に応じて適宜設定可能である。例えば、2個の分割ヘッドユニット71のワイピングを行った後、ワイピングシート281を横移動させ、さらに2個の分割ヘッドユニット71のワイピングを行ってから、ワイピングシート281を繰り出すようにしてもよい。また、各分割ヘッドユニット71のヘッドプレート73等に、ワイピングシート281の汚れ具合を検出する汚れ検出手段(図示省略)を設けるなどして、ワイピングシート281の汚れ具合に応じて、ワイピングシート281を横送りすることも可能である。この場合、反射型のフォトセンサや、カメラ等で汚れ検出手段を構成すればよい。
【0124】
なお、定期メンテナンスでは、ヘッドユニット41を構成する全分割ヘッドユニット71に対し、吸引・ワイピングを行っているが、任意の1つの分割ヘッドユニット71に対してのみ、吸引・ワイピングを行うことができることはいうまでもない。この場合、吸引・ワイピングが行われる分割ヘッドユニット71が第1分割吸引ユニット251aに臨むよう、ヘッド移動手段43を駆動すればよい。
【0125】
次に、ヘッド交換の制御フローについて説明する。本実施形態では、ワイピングユニット233の上方、すなわち最も描画エリア51に近接したメンテナンスエリア52の上方が、ヘッド交換を行うためのヘッド交換エリアとなっており、先ず、ヘッド移動手段43を駆動して、ヘッド交換を行う分割ヘッドユニット71を、ワイピングユニット233まで移動させる。そして、ワイピングユニット233を支持するユニット昇降機構235の昇降機構351を駆動し、これを上記した待避位置まで移動させる。これにより、ワイピングユニット233の上方に作業スペースが生成され、効率よくヘッド交換を行うことができるようになっている。ヘッド交換が終了すると、上記した昇降機構351が再度駆動され、ワイピングユニット233および第1分割吸引ユニット251をメンテナンス位置まで上昇させる。なお、より有効に作業スペースを確保するため、ワイピングユニット233と隣接する第1分割ヘッドユニット71も待避位置まで移動させることが好ましい。
【0126】
第5分割ヘッドユニット71のヘッドプレート73を交換する場合を例に、ヘッド交換の一連のフローについて具体的に説明する。図21(b)に示すように、先ず、ヘッド移動手段43を駆動して、第5〜第7分割ヘッドユニット71e〜gをメンテナンスエリア52に移動させ、第5分割ヘッドユニット71eをワイピングユニット233に臨ませると共に、第6・第7分割ヘッドユニット71f・gを第2・第3分割吸引ユニット251b・cに臨ませる。そして、図21(c)に示すように、昇降機構351を駆動して、ワイピングユニット233および第1分割吸引ユニット251を待避位置まで移動させる。なお、第6・第7分割ヘッドユニット71f・gの移動位置は、これに限られるものではなく、例えば、第6・第7分割吸引ユニット251f・gに臨むように、これらを移動させてもよい(図21(c´)参照)。
【0127】
ヘッド交換の作業中に、作業外の分割ヘッドユニット71の機能液滴吐出ヘッド72の乾燥・目詰まりを防止するため、作業外の分割ヘッドユニット71には、キャッピングまたは(定期的な)フラッシングが行われる。すなわち、第6・第7分割ヘッドユニット71f・gが臨む分割吸引ユニット251(ここでは第2・第3分割吸引ユニット251b・c)のキャップ昇降機構254が駆動され、キャップユニット252が第1位置または第2位置まで移動する。そして、第1〜第4分割ヘッドユニット71a〜dでは、フラッシングボックス241に臨んでフラッシングが行われ、一方、第6・第7分割ヘッドユニット71f・gでは、キャッピングまたはキャップ内フラッシングが行われる。
【0128】
ヘッド交換作業が終了すると、第6・第7分割ヘッドユニット71f・gが臨む分割吸引ユニット251のキャップ昇降機構254が駆動され、第1位置または第2位置にあるキャップユニット252を下降端位置まで下降させると共に、上記の昇降機構351が駆動され、ワイピングユニット233および第1分割吸引ユニット251がメンテナンス位置まで上昇する。
【0129】
なお、本実施形態では、ヘッド交換時に、一部の分割ヘッドユニット71を描画エリア51に残しているが、ヘッドユニット41の全分割ヘッドユニット71を保守エリア52に移動させる構成としてもよい。この場合、7つの全分割ヘッドユニット71を対応する分割吸引ユニット251に臨ませる。そして、作業を行う分割ヘッドユニット71(ここでは第5分割ヘッドユニット71e)を除いた6つの分割ヘッドユニット71には、キャッピングを行うか、キャップ内フラッシングを行わせるようにする。
【0130】
また、吸引ユニット232の各分割吸引ユニット251またはワイピングユニット233をメンテナンスする場合には、メンテナンスを行うユニット自身の待避は行わず、これに隣接するユニット(各分割吸引ユニット251またはワイピングユニット233)を待避位置まで移動させるようになっている。特に、第1〜第6分割吸引ユニット251a〜fのメンテナンスを行う場合には、メンテナンスを行う分割吸引ユニット251に隣接する両側のユニットを退避位置まで移動させる(図22参照)。
【0131】
このように、制御部367では、各手段を統括制御することにより、これらを協働させ、各種処理を行うようになっている。
【0132】
次に、本実施形態の液滴吐出装置3を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、更にこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、及び薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板を言う。
【0133】
先ず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図23は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図24は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ600(フィルタ基体600A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図24(a)に示すように、基板(W)601上にブラックマトリクス602を形成する。ブラックマトリクス602は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス602を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス602を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0134】
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス602上に重畳する状態でバンク603を形成する。即ち、まず図24(b)に示すように、基板601及びブラックマトリクス602を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層604を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム605で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図24(c)に示すように、レジスト層604の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層604をパターニングして、バンク603を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク603とその下のブラックマトリクス602は、各画素領域607aを区画する区画壁部607bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド72により着色層(成膜部)608R、608G、608Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0135】
以上のブラックマトリクス形成工程及びバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体600Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク603の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)601の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク603(区画壁部607b)に囲まれた各画素領域607a内への液滴の着弾位置精度が向上する。
【0136】
次に、着色層形成工程(S103)では、図24(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド72によって機能液滴を吐出して区画壁部607bで囲まれた各画素領域607a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド72を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライブ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0137】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層608R、608G、608Bを形成する。着色層608R、608G、608Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図24(e)に示すように、基板601、区画壁部607b、および着色層608R、608G、608Bの上面を覆うように保護膜609を形成する。
即ち、基板601の着色層608R、608G、608Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜609が形成される。
そして、保護膜609を形成した後、カラーフィルタ600は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0138】
図25は、上記のカラーフィルタ600を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置620に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ600は図24に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0139】
この液晶装置620は、カラーフィルタ600、ガラス基板等からなる対向基板621、及び、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層622により概略構成されており、カラーフィルタ600を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板621およびカラーフィルタ600の外面(液晶層622側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板621側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0140】
カラーフィルタ600の保護膜609上(液晶層側)には、図25において左右方向に長尺な短冊状の第1電極623が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極623のカラーフィルタ600側とは反対側の面を覆うように第1配向膜624が形成されている。
一方、対向基板621におけるカラーフィルタ600と対向する面には、カラーフィルタ600の第1電極623と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極626が所定の間隔で複数形成され、この第2電極626の液晶層622側の面を覆うように第2配向膜627が形成されている。これらの第1電極623および第2電極626は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0141】
液晶層622内に設けられたスペーサ628は、液晶層622の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材629は液晶層622内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極623の一端部は引き回し配線623aとしてシール材629の外側まで延在している。
そして、第1電極623と第2電極626とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ600の着色層608R、608G、608Bが位置するように構成されている。
【0142】
通常の製造工程では、カラーフィルタ600に、第1電極623のパターニングおよび第1配向膜624の塗布を行ってカラーフィルタ600側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板621に、第2電極626のパターニングおよび第2配向膜627の塗布を行って対向基板621側の部分を作成する。その後、対向基板621側の部分にスペーサ628およびシール材629を作り込み、この状態でカラーフィルタ600側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材629の注入口から液晶層622を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0143】
実施形態の液滴吐出装置3は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板621側の部分にカラーフィルタ600側の部分を貼り合わせる前に、シール材629で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材629の印刷を、機能液滴吐出ヘッド72で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜624,627の塗布を機能液滴吐出ヘッド72で行うことも可能である。
【0144】
図26は、本実施形態において製造したカラーフィルタ600を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置630が上記液晶装置620と大きく異なる点は、カラーフィルタ600を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置630は、カラーフィルタ600とガラス基板等からなる対向基板631との間にSTN液晶からなる液晶層632が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板631およびカラーフィルタ600の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0145】
カラーフィルタ600の保護膜609上(液晶層632側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極633が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極633の液晶層632側の面を覆うように第1配向膜634が形成されている。
対向基板631のカラーフィルタ600と対向する面上には、カラーフィルタ600側の第1電極633と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極636が所定の間隔で形成され、この第2電極636の液晶層632側の面を覆うように第2配向膜637が形成されている。
【0146】
液晶層632には、この液晶層632の厚さを一定に保持するためのスペーサ638と、液晶層632内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材639が設けられている。
そして、上記した液晶装置620と同様に、第1電極633と第2電極636との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ600の着色層608R、608G、608Bが位置するように構成されている。
【0147】
図27は、本発明を適用したカラーフィルタ600を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置650は、カラーフィルタ600を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0148】
この液晶装置650は、カラーフィルタ600と、これに対向するように配置された対向基板651と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ600の上面側(観測者側)に配置された偏光板655と、対向基板651の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ600の保護膜609の表面(対向基板651側の面)には液晶駆動用の電極656が形成されている。この電極656は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極660が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極656の画素電極660とは反対側の面を覆った状態で配向膜657が設けられている。
【0149】
対向基板651のカラーフィルタ600と対向する面には絶縁層658が形成されており、この絶縁層658上には、走査線661及び信号線662が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線661と信号線662とに囲まれた領域内には画素電極660が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極660上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0150】
また、画素電極660の切欠部と走査線661と信号線662とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ663が組み込まれて構成されている。そして、走査線661と信号線662に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ663をオン・オフして画素電極660への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0151】
なお、上記の各例の液晶装置620,630,650は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0152】
次に、図28は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置700と称する)の要部断面図である。
【0153】
この表示装置700は、基板(W)701上に、回路素子部702、発光素子部703及び陰極704が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置700においては、発光素子部703から基板701側に発した光が、回路素子部702及び基板701を透過して観測者側に出射されるとともに、発光素子部703から基板701の反対側に発した光が陰極704により反射された後、回路素子部702及び基板701を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0154】
回路素子部702と基板701との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜706が形成され、この下地保護膜706上(発光素子部703側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜707が形成されている。この半導体膜707の左右の領域には、ソース領域707a及びドレイン領域707bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域707cとなっている。
【0155】
また、回路素子部702には、下地保護膜706及び半導体膜707を覆う透明なゲート絶縁膜708が形成され、このゲート絶縁膜708上の半導体膜707のチャネル領域707cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極709が形成されている。このゲート電極709及びゲート絶縁膜708上には、透明な第1層間絶縁膜711aと第2層間絶縁膜711bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜711a、711bを貫通して、半導体膜707のソース領域707a、ドレイン領域707bにそれぞれ連通するコンタクトホール712a,712bが形成されている。
【0156】
そして、第2層間絶縁膜711b上には、ITO等からなる透明な画素電極713が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極713は、コンタクトホール712aを通じてソース領域707aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜711a上には電源線714が配設されており、この電源線714は、コンタクトホール712bを通じてドレイン領域707bに接続されている。
【0157】
このように、回路素子部702には、各画素電極713に接続された駆動用の薄膜トランジスタ715がそれぞれ形成されている。
【0158】
上記発光素子部703は、複数の画素電極713上の各々に積層された機能層717と、各画素電極713及び機能層717の間に備えられて各機能層717を区画するバンク部718とにより概略構成されている。
これら画素電極713、機能層717、及び、機能層717上に配設された陰極704によって発光素子が構成されている。なお、画素電極713は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極713の間にバンク部718が形成されている。
【0159】
バンク部718は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層718a(第1バンク層)と、この無機物バンク層718a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層718b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部718の一部は、画素電極713の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部718の間には、画素電極713に対して上方に向けて次第に拡開した開口部719が形成されている。
【0160】
上記機能層717は、開口部719内において画素電極713上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層717aと、この正孔注入/輸送層717a上に形成された発光層717bとにより構成されている。なお、この発光層717bに隣接してその他の機能を有する他の機能層を更に形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成する事も可能である。
正孔注入/輸送層717aは、画素電極713側から正孔を輸送して発光層717bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層717aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0161】
発光層717bは、赤色(R)、緑色(G)、又は青色(B)の何れかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層717aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層717bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層717aを再溶解させることなく発光層717bを形成することができる。
【0162】
そして、発光層717bでは、正孔注入/輸送層717aから注入された正孔と、陰極704から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0163】
陰極704は、発光素子部703の全面を覆う状態で形成されており、画素電極713と対になって機能層717に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極704の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0164】
次に、上記の表示装置700の製造工程を図29〜図37を参照して説明する。
この表示装置700は、図29に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、及び対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0165】
まず、バンク部形成工程(S111)では、図30に示すように、第2層間絶縁膜711b上に無機物バンク層718aを形成する。この無機物バンク層718aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層718aの一部は画素電極713の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層718aを形成したならば、図31に示すように、無機物バンク層718a上に有機物バンク層718bを形成する。この有機物バンク層718bも無機物バンク層718aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部718が形成される。また、これに伴い、各バンク部718間には、画素電極713に対して上方に開口した開口部719が形成される。この開口部719は、画素領域を規定する。
【0166】
表面処理工程(S112)では、親液化処理及び撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層718aの第1積層部718aa及び画素電極713の電極面713aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極713であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層718bの壁面718s及び有機物バンク層718bの上面718tに施され、例えば4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド72を用いて機能層717を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部719から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0167】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体700Aが得られる。この表示装置基体700Aは、図1に示した液滴吐出装置3のセットテーブル101に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)及び発光層形成工程(S114)が行われる。
【0168】
図32に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド72から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部719内に吐出する。その後、図33に示すように、乾燥処理及び熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面713a)713上に正孔注入/輸送層717aを形成する。
【0169】
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層717aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層717aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層717aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層717a上に吐出しても、正孔注入/輸送層717aと発光層717bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層717bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒ならびに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層717aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層717a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層717aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層717aに均一に塗布することができる。
【0170】
そして次に、図34に示すように、各色のうちの何れか(図35の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部719)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層717a上に広がって開口部719内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部718の上面718t上に着弾した場合でも、この上面718tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部719内に転がり込み易くなっている。
【0171】
その後、乾燥工程等を行う事により、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図35に示すように、正孔注入/輸送層717a上に発光層717bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層717bが形成されている。
【0172】
同様に、機能液滴吐出ヘッド72を用い、図36に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層717bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)及び緑色(G))に対応する発光層717bを形成する。なお、発光層717bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決める事も可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライブ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0173】
以上のようにして、画素電極713上に機能層717、即ち、正孔注入/輸送層717a及び発光層717bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
【0174】
対向電極形成工程(S115)では、図37に示すように、発光層717b及び有機物バンク層718bの全面に陰極704(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極704は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極704の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0175】
このようにして陰極704を形成した後、この陰極704の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置700が得られる。
【0176】
次に、図38は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置800と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、及びこれらの間に形成される放電表示部803を含んで概略構成される。放電表示部803は、複数の放電室805により構成されている。これらの複数の放電室805のうち、赤色放電室805R、緑色放電室805G、青色放電室805Bの3つの放電室805が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0177】
第1基板801の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極806が形成され、このアドレス電極806と第1基板801の上面とを覆うように誘電体層807が形成されている。誘電体層807上には、各アドレス電極806の間に位置し、且つ各アドレス電極806に沿うように隔壁808が立設されている。この隔壁808は、図示するようにアドレス電極806の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極806と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁808によって仕切られた領域が放電室805となっている。
【0178】
放電室805内には蛍光体809が配置されている。蛍光体809は、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室805Rの底部には赤色蛍光体809Rが、緑色放電室805Gの底部には緑色蛍光体809Gが、青色放電室805Bの底部には青色蛍光体809Bが各々配置されている。
【0179】
第2基板802の図中下側の面には、上記アドレス電極806と直交する方向に複数の表示電極811が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層812、及びMgOなどからなる保護膜813が形成されている。
第1基板801と第2基板802とは、アドレス電極806と表示電極811が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極806と表示電極811は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極806,811に通電することにより、放電表示部803において蛍光体809が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0180】
本実施形態においては、上記アドレス電極806、表示電極811、及び蛍光体809を、図1に示した液滴吐出装置3を用いて形成することができる。以下、第1基板801におけるアドレス電極806の形成工程を例示する。
この場合、第1基板801を液滴吐出装置3のセットテーブル101に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド72により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、又はニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0181】
補充対象となる全てのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極806が形成される。
【0182】
ところで、上記においてはアドレス電極806の形成を例示したが、上記表示電極811及び蛍光体809についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極811の形成の場合、アドレス電極806の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体809の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド72から液滴として吐出し、対応する色の放電室805内に着弾させる。
【0183】
次に、図39は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置900と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置900を、その一部を断面として示してある。
この表示装置900は、互いに対向して配置された第1基板901、第2基板902、及びこれらの間に形成される電界放出表示部903を含んで概略構成される。電界放出表示部903は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部905により構成されている。
【0184】
第1基板901の上面には、カソード電極906を構成する第1素子電極906aおよび第2素子電極906bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極906aおよび第2素子電極906bで仕切られた部分には、ギャップ908を形成した導電性膜907が形成されている。すなわち、第1素子電極906a、第2素子電極906bおよび導電性膜907により複数の電子放出部905が構成されている。導電性膜907は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ908は、導電性膜907を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0185】
第2基板902の下面には、カソード電極906に対峙するアノード電極909が形成されている。アノード電極909の下面には、格子状のバンク部911が形成され、このバンク部911で囲まれた下向きの各開口部912に、電子放出部905に対応するように蛍光体913が配置されている。蛍光体913は、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの色の蛍光を発光するもので、各開口部912には、赤色蛍光体913R、緑色蛍光体913Gおよび青色蛍光体913Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0186】
そして、このように構成した第1基板901と第2基板902とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置900では、導電性膜(ギャップ908)907を介して、陰極である第1素子電極906aまたは第2素子電極906bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極909に形成した蛍光体913に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0187】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極906a、第2素子電極906b、導電性膜907およびアノード電極909を、液滴吐出装置3を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体913R,913G,913Bを、液滴吐出装置3を用いて形成することができる。
【0188】
第1素子電極906a、第2素子電極906bおよび導電性膜907は、図40(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図40(b)に示すように、予め第1素子電極906a、第2素子電極906bおよび導電性膜907を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極906aおよび第2素子電極906bを形成(液滴吐出装置3によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜907を形成(液滴吐出装置3によるインクジェット法)する。そして、導電性膜907を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板901および第2基板902に対する親液化処理や、バンク部911,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0189】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置3を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【符号の説明】
【0190】
3 液滴吐出装置、5 制御装置、41 ヘッドユニット、42 ワーク移動手段、43 ヘッド移動手段、46 メンテナンス手段、51 描画エリア、52 メンテナンスエリア、71 分割ヘッドユニット、72 機能液滴吐出ヘッド、73 ヘッドプレート、75 キャリッジ、87 ノズル面、88 吐出ノズル、111 θテーブル、112 吸着テーブル、121 θ固定部、122 θ回転部、131 テーブル本体、133 支持ベース、201 機能液タンク、232 吸引ユニット、233 ワイピングユニット、235 ユニット昇降機構、241 フラッシングボックス、281 ワイピングシート、283 横移動機構、291 シート供給ユニット、293 洗浄液供給ユニット、W ワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搭載すると共に当該ワークをX軸方向に移動させるX軸テーブルと、
前記X軸テーブルと協働し描画エリアに臨んだワークに機能液を吐出してワーク上に描画を行う機能液滴吐出ヘッド、およびこれを搭載したキャリッジを有する複数のキャリッジユニットと、
メンテナンスエリアに臨んだ前記複数のキャリッジユニットに対し、1つずつメンテナンス処理を行うメンテナンス手段と、
前記複数のキャリッジユニットを前記描画エリアと前記メンテナンスエリアとの間で個々に移動させるY軸テーブルと、
前記Y軸テーブルによる前記キャリッジユニットの移動軌跡上に配設され、前記複数のキャリッジユニットの全機能液滴吐出ヘッドからの捨て吐出を受けるフラッシングボックスと、を備えていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記メンテナンス手段、前記Y軸テーブルおよび前記各機能液滴吐出ヘッドを制御する制御手段を、更に備え、
前記制御手段は、前記メンテナンス処理後の前記キャリッジユニットを順に前記フラッシングボックスの直上部に送り、最後の前記キャリッジユニットの前記メンテナンス処理が終了するまでの間、
前記メンテナンス処理後の前記キャリッジユニットの前記機能液滴吐出ヘッドに機能液の捨て吐出を行わせることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記メンテナンス手段は、前記機能液滴吐出ヘッドの各吐出ノズルから機能液を吸引する吸引ユニットと、
吸引後の前記機能液滴吐出ヘッドのノズル面をワイピングシートにより払拭するワイピングユニットと、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記フラッシングボックスは、X軸テーブルに搭載されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記ワイピングユニットは、前記吸引ユニットに対し前記描画エリア側に配設されていることを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記X軸テーブルは、ワークを吸着載置する吸着テーブルと、前記吸着テーブルを回転させる回転テーブルと、前記回転テーブルを支持するテーブルベースと、を有し、
前記フラッシングボックスは、前記テーブルベース上に搭載されていることを特徴とする請求項4または5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記フラッシングボックスは、前記複数のキャリッジユニットが描画動作を開始する描画ホーム位置の直下に配設されていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記制御手段は、描画動作開始時に、前記複数のキャリッジユニットの全吐出ノズルから前記フラッシングボックスに捨て吐出を行わせることを特徴とする請求項7に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項9に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または請求項10に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2010−247152(P2010−247152A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89225(P2010−89225)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【分割の表示】特願2004−299443(P2004−299443)の分割
【原出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】