説明

混合ピペット

ピペットが、内部通路と第1端部と第2端部とを有する管状体を、備えている。管状体は、内向きに変形されて、ピペットの内部通路内に狭窄部又は狭いスリットを作っている。真空がピペットに適用されると、溶液がピペット内に吸い込まれ、スリットは、溶液に含まれる物質(例えば細菌のコロニー)の塊を緩やかに変形し分離しながら、溶液の速度を増大させる。変形された細菌コロニーがスリットを通過するとき、細菌溶液は、速度の増大によってピペット内に作られた乱流によって、混合される。細菌コロニーの大きさは、細菌を2回以上スリットを通して循環させるようにピペット流れ方向を交互に変えることによって、更に低減される。スリットへの傾斜入口は、サイクルの逆転の間に油状の細菌がスリットを詰まらせるのを、防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液中に懸濁されている細菌コロニー試料を混合して移送するのに使用されるピペットに関する。特に、本発明は、生食懸濁液中の細菌コロニー試料を、同時に、バラバラにして混合する、成形形状部分を有する薄壁管に、関する。管は、また、ピペット移送システムとして機能するのに十分な長さを、有している。ピペット管は、光学的に透明なプラスチックを押し出して作ることができ、その場合、電子検知システムに組み入れて、混合されている細菌/生食溶液のマクファーランド濁度を測定することもできる。
【背景技術】
【0002】
入院患者のサンプルの迅速且つ正確な処理は、疾患を診断し、正しい滅菌薬を投与するために、重要である。現在、微生物学者は、患者のサンプルを集め、それを、培地が充填されたペトリ皿に載せている。そして、その皿は、温度制御環境下で培養される。細菌コロニーがペトリ皿中で見えるようになると、コロニーの幾つか又は全部が、綿棒、金属棒、又は、他の器具によって、ペトリ皿から取り除かれ、生食溶液で満たされた試験管に挿入される。そして、細菌コロニーは、一般的には手によって、試験管中で生食溶液と混合される。そして、混合物は、薬剤の種々のタイプや濃度の下で培養して細菌成長をモニターするための、器具中に、入れられる。そして、最も有効な薬剤が確定される。
【0003】
本件譲受人は、O'Bear他の米国特許第5,869,005号に記載されている、細菌/生食溶液混合物を受けるためのテストパターン(test card)、及び、Fanning他の米国特許第5,762,873号に記載されている、微生物同定及び感受性テストのためのテストパターンを処理する分析器具、を開発した。Bishop他の米国特許第5,697,409号は、'873特許の器具に組み入れられた、希釈及びピペット操作ステーションを、示している。'873特許の器具は、譲受人によって「Vitek 2」器具として市販されており、先の段落に記載された生食充填試験管での細菌のコロニーの手動混合がオフラインを生じた後に、多数の試験管を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,869,005号
【特許文献2】米国特許第5,762,873号
【特許文献3】米国特許第5,697,409号
【特許文献4】米国特許第5,174,162号
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0072664号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの細菌コロニーは、油性成分を有しており、部分的にのみ溶解するので、生食溶液には小さな塊が残る。これらの小さな塊は、分析器具の性能に影響する。上述したように、検査技師は、現在、綿棒や他の器具によってペトリ皿培地から細菌コロニーを取り除くことによって、溶液を調製している。そして、綿棒は、生食充填試験管の内部に挿入され、管壁に対して回転されて、細菌コロニー溶液を破砕して混合する。この方法は、時間がかかり、自動化するのが困難である。コロニーの混合は、例えば超音波振動子や回転ボールを用いる機械的混合方法によって改善できるが、これらの方法を用いることによって細菌に伝達される運動エネルギーが、細菌を破壊し、それにより、感受性テストの結果に影響する。したがって、これらの方法は、この用途には、うまく機能しない。
【0006】
関連する他の従来技術としては、Miyake他の米国特許第5,174,162号、Hansen他の米国特許出願公開第2008/0072664号がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様は、細菌溶液を混合するための、一部品(one-piece)からなる低コストのピペットである。このピペットは、患者試料の自動器具診断のためのシステムと連結して使用するのに適している。
【0008】
ピペットは、内部通路と第1端部と第2端部とを有する管状体を、備えている。ピペットの第1端部の開口の直径は、連動する電子ピペッターのポンプ作動が、溶液中に懸濁している細菌コロニーを、容易に集め、真空を用いることによってピペットの内部通路内に引き込むことができるような、大きさに、設定されている。開口の上方では、管状体が、内向きに変形して、ピペットの内部通路内に、狭窄部又はスリットを作っている。真空がピペットに適用されて、細菌溶液がピペット内に引き込まれると、スリットは、細菌コロニーを緩やかに変形し分離しながら、細菌溶液の速度を増大させる。変形された細菌コロニーがスリットを通過するとき、細菌溶液は、速度の増大によってピペット内に作られた乱流によって、混合される。細菌コロニーの大きさは、細菌がスリットを通って2回以上循環するようにピペット流れ方向を交互に変えることによって、更に低減される。スリットへの傾斜入口も、循環が反転する間に油性細菌がスリットに詰まるのを、防止する。スリット開口は、大きさと、狭窄形状(スリットへの出口)から管内径への変位とが、増大すると、細菌コロニーが自由になって生食溶液中により均一に分散されるのを、可能とする。
【0009】
スリットへの入口及び出口は、対称的形状である必要はない。一つの可能な実施形態では、それらは対称である。更に、一実施形態の混合ピペットでは、他の開口端部の近くに第2スリットがある。この実施形態では、ピペット全体が対称であり、2個の開口端部の近くに2個のスリットがあり、各スリットは、スリットへの入口及び出口を有しており、その入口及び出口は、対称でもよく対称でなくてもよい。
【0010】
混合ピペットチップ(tip)の実用試作機は、生食充填試験管において細菌コロニー試料を混合することの実行可能性を、実証した。細菌溶液を混合する方法は、混合チップを電子制御ピペッターに接続することによって、容易に自動化できる。
【0011】
本件の混合ピペット構造は、溶液中で異なる物質を混合するための安価で簡単な方法を必要とする他の産業においても、使用できる。
【0012】
別の態様は、ピペット操作システムであり、それは、真空源及びチップを有する電子ピペッターと、ピペットの供給と、を備えている。ピペットの各々は、概ね円筒状の細長い管状体を備えており、管状体は、管内径を有する内部通路と、管状体の第1端部の第1開口と、管状体の第2端部の第2開口と、を有している。電子ピペッターのチップは、管状体の第2端部内に嵌るようになっている。管状体は、更に、第1端部と第2端部との間に内向き変形部を備え、ピペットの内部通路内に狭いスリットを作っている。スリットは、一方の側に傾斜入口を、及び、他方の側に傾斜出口を、有している。傾斜入口及び傾斜出口は、管内径と狭いスリットとの間に変位を提供している。傾斜入口と傾斜出口とは、対称でもよく対称でなくてもよい。
【0013】
他の態様は、ピペットを作る方法である。その方法は、プラスチック材料を、概ね円筒状の管状体内に押し出す、ステップを、有しており、管状体は、管内径を有する内部通路と、管状体の第1端部の第1開口と、管状体の第2端部の第2開口と、を有している。更に、その方法は、管状体において、第1端部と第2端部との間に内向き変形部を形成して、ピペットの内部通路内に狭いスリットを作る、ステップを、有しており、スリットは、一方の側に傾斜入口を、及び、他方の側に傾斜出口を、有しており、傾斜入口及び傾斜出口は、管内径と狭いスリットとの間に変位を提供している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】好ましい実施形態の混合ピペットの斜視図である。
【図2】図1のピペットの正面図である。
【図3】図1及び図2のピペットの縦断面図である。
【図4】図2の線4−4に沿った断面図である。
【図5】細菌のコロニーを含んでいる溶液を試験管から引き込むためにピペット操作システムによって使用されている、図1〜4の混合ピペットを示す、略図である。
【図6】図5のピペット内へのサンプル及びコロニーの引き込みを示す図であり、サンプル中に存在する細菌のコロニーは、ピペットの混合構造を用いることによって、より均一な混合物中へ混合されている。
【図7】サンプル及びコロニーが試験管へ戻される分注を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照すると、図1は、好ましい実施形態の混合ピペット10の斜視図である。図2は、ピペット10の正面図であり、図3は、ピペット10の縦断面図であり、図4は、図2の線4−4断面図である。
【0016】
ピペット10は、円筒壁30を有する、概ね円筒状で細長い管状体12の形態を、有している。壁30は、管内径Dを有する内部通路13を、画定している。ピペットは、第1端部14と、第2端部16と、管状体12の第1端部の開口18と、管状体12の第2端部の第2開口19と、を有している。
【0017】
円筒壁30は、第1端部14と第2端部16との間に、少なくとも1個の内向き変形部20を、備えている。図の実施形態では、2個の変形部20A、20Bが設けられており、一方は第1端部14に近く、他方は第2端部16に近い。図3及び図4に最も良く示されるように、変形部20は、ピペットの内部通路13内に狭窄部又は狭いスリット22を作るように、道具を用いて、壁30の一部32を内向きに変形させることによって、作られる。スリット22は、壁30の湾曲した半径方向の傾斜構造部24Aによって、スリットの一方側に画定された、傾斜入口を、有している。スリット22は、更に、湾曲した半径方向の傾斜構造部24Bによって、スリットの他方側に形成された、傾斜出口を、有している。スリット22への傾斜入口及び傾斜出口は、管内径Dと狭いスリット22との間に、変位を提供する。傾斜入口と傾斜出口とは、(図3に示されるように)図の実施形態では対称であるが、それは重要ではなく、例えば、スリット22の上方のピペットの内部通路13に、より大きな渦度及び混合を、提供するために、入口が、ある傾斜形状を有し、出口が、他の異なる傾斜形状を有してもよい。例えば、傾斜角度は、一方向(吸込)で乱流作動を生じさせ、分注時に別の作動を生じさせるように、異ならせてもよい。そのような非対称は、例えば、表面24の角度又は形状をスリット22の内側に向けて(中央に向けて)変えることによって、作ることができる。
【0018】
図1〜3に示されるように、第1端部と第2端部との間には、2個の内向き変形部20A、20Bがあり、内向き変形部20の各々は、ピペット10の内部通路13内の狭いスリット22によって、特徴付けられており、スリットは、図3に最も良く示されるように、傾斜入口及び傾斜出口を有しており、傾斜入口及び傾斜出口は、管内径と狭いスリットとの間に変位を提供している。ピペットは、更に、追加の変形部領域を有してもよい。図2の構成の利点は、ピペットが対称であり又は「両端が同じ形」であり、及び、どちらの端を取り上げてピペッターに挿入するかを問題としない。
【0019】
図5は、図1〜4の混合ピペットを示す略図であり、その混合ピペットは、試験管100内の生食溶液(saline solution)102中の細菌コロニー104を含むサンプルを混合するために、電子ピペッターシステム110によって使用されている。試験管100は、適当な構造物によって支持されているが、それは、重要ではなく、それ故、説明は省略している。細菌コロニー104は、初めは、試験管中で少しだけ凝集している。試験管は、ピペッターシステム110の下方の位置へ、1個ずつ移動される。ピペッターシステム110は、回転ピペッター112を有しており、回転ピペッター112は、ピペット10の開口端部にぴったり嵌るチップ(tip)を、有している。ピペッター112は、真空源に接続している管116を、有している。その管は、ピペッター112の通路118に接続している。ピペッター112は、矢印120で示されるように、上下に移動し、矢印122で示されるように、軸回りに回転する。ドラム132は、ピペッター112のためのピペット10の供給を、含んでいる。可動プレート134は、ドラム132の底のスロット(図示せず)の下方に、配置されている。ドラム132及びピペッター112の、構造及び作動は、Bishop他の米国特許第5,697,409に詳細に記載されているピペット操作ステーションに従うようになっており、その内容は、参照することによって、ここに組み込まれる。更に、ピペッターシステムの詳細は、特に重要ではなく、Bishop他の'409特許から大きく変更できる。
【0020】
試験管は、試験管100内に存在している細菌コロニー104を完全に混合するために、位置Aから位置Bへ移動する。位置Bでは、ピペッター112は、チップ114がピペット10の端部内に挿入されるように、ドラム132からピペット10の一つを取り上げる。そして、ピペットは、位置Bで示されるように、試験管100内へ下降する。
【0021】
ピペット管の開口14、19の直径は、電子ピペッターシステム110のポンプ作動が溶液102中の懸濁している細菌コロニー104を容易に集めることができるように、従来のピペットチップより十分に大きい。真空がピペットに引き込まれると、溶液102及び細菌コロニー104が、矢印150で示されるように、ピペット10内に引き込まれる。溶液102及びコロニー104は、ピペットに引き込まれ、変形部20Aを過ぎて、上方の変形部20Bの略レベルまで、移動する。スリット22(図4)は、細菌コロニーを、緩やかに、変形し、壊し、或いは、分離しながら、「ベンチュリ」効果によって、細菌溶液の速度を増大させる。変形された細菌コロニーがスリット22を通過するとき、細菌溶液は、速度の増大によって作られた、変形部20Aの上方におけるピペット10の内部の乱流と、混合される。細菌粒子サイズは、細菌をスリットを通して戻して試験管100内に循環させるためにピペッター流れ方向を交互に変えることによって、及び、できる限り、このプロセスを2回以上繰り返すことによって、更に低減される。湾曲した傾斜壁24A、24Bによってできた、スリット22への傾斜入口は、油状の細菌がサイクルの逆転の間に狭いスリット22を塞いでしまうのを、防止する。スリット22開口は、大きさと、狭い疑似楕円形状(quasi-elliptical profile)(図4)から(図3に示されるような)管内径Dへの変位とが、増大すると、細菌粒子が自由になるのを可能とする(「楕円」という用語は、この明細書では数学的に厳格な意味で使用されておらず、むしろ、図4に示されるように、ピペットの壁32が実際の壁30に対して変形する時にスリット22によって画定された非常に平らな通路を述べるための、大雑把な表現として、使用されている)。
【0022】
混合プロセスの間、ピペットの直径及び長さと、試験管中の溶液の体積と、に依存するが、試験管中の溶液の多く、おそらく50%又はそれ以上を、ピペットの内部に引き上げることが可能である。図6を参照のこと。そして、ピペッターシステムのコントローラが、真空を解除し、ピペットの上部開口内への空気の流れが、ピペット10内の溶液の所定体積を試験管内へ逆流させる。図7を参照のこと。変形部20Aを過ぎて試験管内へ戻る溶液の流れは、更なる混合を提供する。必要に応じて、図6及び図7のサイクルを繰り返すことができる。溶液が真空によってピペット10内に保持されている間、ピペットは、システム110に設けられたマクファーランド(McFarland)センサー140のレベルに引き上げることができる。マクファーランドセンサー140は、ピペット内の溶液の濁度を測定する。マクファーランドセンサー140の詳細は公知であるので、その説明は省略する。マクファーランドセンサーの使用は、ピペットがガラスや透明プラスチック樹脂のような光学的に透明な材料でできていることを、必要とする。
【0023】
図5を再び参照すると、ピペット混合が実行された後、試験管は位置Cに進められる。溶液のマクファーランドテストは、位置C(又は下流処理場所)の試験管で実施される。そして、他の試験管が、ピペッター112の下方の位置に移動し、処理を繰り返す。1つのバッチの全試験管が混合された後、試験管は、処理機中で培養される。一実施例では、試験管が、「Vitek 2」器具内のカセット内に配置され、サンプルが、上記のFanning他の'873特許に記載されているように、テストパターンに自動的に積み込まれる。
【0024】
ピペットを作るための好ましい方法は、概ね円筒形状の管状体10内にプラスチック材料を押し出すことである。管状体10は、管内径を有する内部通路13と、管状体の第1端部の第1開口と、管状体の第2端部の第2開口と、を有している。管状体は、更に、第1端部と第2端部との間に、少なくとも1個の内向き変形部20を有するように形成されて、ピペットの内部通路内に狭いスリット22を作っている。この形成ステップは、プラスチック材料が器具によって比較的暖められている内に、実行できる。或いは、プラスチック材料は、冷却して硬くしてもよく、その場合、局部的加熱が、変形部が形成される部位に加えられて、材料を柔らかくし、そして、器具によって内向きに形成する。スリット22は、図3に示されるように、一方の側に傾斜入口を有し、他方の側に傾斜出口を有しており、傾斜入口及び傾斜出口は、管内径と狭いスリットとの間に変位を提供している。
【0025】
前述から、当然ながら、次のような細菌溶液を混合する方法を記載できる。その方法は、
(1)混合ピペット10を用意するステップであって、混合ピペットは、概ね円筒状の細長い管状体12を備えており、管状体は、管内径を有する内部通路13と、管状体の第1端部14の第1開口18と、管状体の第2端部16の第2開口19と、を有しており、管状体は、更に、第1端部と第2端部との間に内向き変形部20を備えて、ピペットの内部通路13内に狭いスリット22を作っており、スリットは、一方の側に傾斜入口を、及び、他方の側に傾斜出口を、有しており、(湾曲した傾斜24で作られた)傾斜入口及び傾斜出口は、管内径と狭いスリットとの間に変位を提供している、ステップと、
(2)混合ピペット10の第1端部14を、細菌溶液を含む容器100内へ(図5)配置する、ステップと、
(3)混合ピペットの第2端部16に真空を適用して(図5、図6)、細菌溶液を、スリット22を過ぎてピペットの内部通路13内に引き込む、ステップであって、スリットは、細菌コロニー104を緩やかに変形し分離しながら、内部通路13内の溶液102の速度を増大させる、ステップと、
を有している。
【0026】
一実施形態では、方法は、容器(図7)中に溶液を分注するステップ(4)を更に備えており、ステップ(3)及びステップ(4)を少なくとも2回繰り返す。
【0027】
一実施形態では、ステップ(3)は、混合ピペットの第2端部16に連結された電子ピペッター112によって、自動的に実行される。
【0028】
一実施形態では、溶液が、ステップ(3)に従って、スリット22を過ぎて混合ピペットの内部通路に保持されている間に、細菌溶液のマクファーランド濁度を測定するステップを、更に含んでいる。
【0029】
開示された実施形態の詳細を変更することは、可能である。例えば、異なる傾斜角、異なる外形形状、及び変形部の異なる数を、採用できる。そのような別の形態は、乱流の正確な特性を変えるが、混合原理は同じである。そのような実施形態の全てにおいて、狭い楕円形のスリットは、細菌コロニーを緩やかに押し込んで分散させ、スリット22を通る溶液/コロニーの加速は、混合乱流を作り、半径方向の傾斜変位24は、詰まりを防止する。本件の混合ピペット構造は、溶液中で異なる物質を混合するための安価で簡単な方法を必要とする他の産業においても、使用できる。本発明の範囲に関する全ての論点は、添付の請求の範囲を参照することによって、求められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合ピペットであって、
概ね円筒状の細長い管状体を備えており、管状体は、管内径を有する内部通路と、管状体の第1端部の第1開口と、管状体の第2端部の第2開口と、を有しており、
管状体は、更に、第1端部と第2端部との間に内向き変形部を備えて、ピペットの内部通路内に狭いスリットを作っており、スリットは、一方の側に傾斜入口を、及び、他方の側に傾斜出口を、有しており、傾斜入口及び傾斜出口は、管内径と狭いスリットとの間に変位を提供している、
ことを特徴とする混合ピペット。
【請求項2】
管状体が、第1端部と第2端部との間に、少なくとも2個の内向き変形部を、備えており、各内向き変形部は、ピペットの内部通路内の狭いスリットによって特徴付けられており、スリットは、傾斜入口及び傾斜出口を有しており、傾斜入口及び傾斜出口は、管内径と狭いスリットとの間に変位を提供している、
請求項1記載の混合ピペット。
【請求項3】
管状体が、2個の上記内向き変形部を備えており、第1内向き変形部は第1端部に近く、第2内向き変形部は第2端部に近い、
請求項2記載の混合ピペット。
【請求項4】
2個の内向き変形部は、混合ピペットが第1端部及び第2端部において対称性を有するように、配置されている、
請求項3記載の混合ピペット。
【請求項5】
ピペットが、光学的に透明である、
請求項1記載の混合ピペット。
【請求項6】
少なくとも1個のスリットにおける傾斜入口と傾斜出口とが、対称的である、
請求項2記載の混合ピペット。
【請求項7】
少なくとも1個のスリットにおける傾斜入口と傾斜出口とが、非対称的である、
請求項2記載の混合ピペット。
【請求項8】
傾斜入口と傾斜出口とが、対称的である、
請求項1記載の混合ピペット。
【請求項9】
傾斜入口と傾斜出口とが、非対称的である、
請求項1記載の混合ピペット。
【請求項10】
ピペット操作システムであって、
真空源及びチップを有する電子ピペッターと、
ピペットの供給と、を備えており、
各ピペットは、
(1)概ね円筒状の細長い管状体を備えており、管状体は、管内径を有する内部通路と、管状体の第1端部の第1開口と、管状体の第2端部の第2開口と、を有しており、電子ピペッターのチップが管状体の第2端部に嵌るようになっており、
(2)管状体は、更に、第1端部と第2端部との間に内向き変形部を備えて、ピペットの内部通路内に狭いスリットを作っており、スリットは、一方の側に傾斜入口を、及び、他方の側に傾斜出口を、有しており、傾斜入口及び傾斜出口は、管内径と狭いスリットとの間に変位を提供している、
ことを特徴とするピペット操作システム。
【請求項11】
細菌コロニーを含有する細菌溶液を含む試験管を、更に備えており、ピペットの第1端部の開口の径が、電子ピペッターをポンプ作動によって、溶液中に懸濁している細菌コロニーを、集めて、真空を用いてピペットの内部通路内に引き込むことができるような、寸法に、設定されている、
請求項10記載のピペット操作システム。
【請求項12】
ピペットが、透明材料でできている、
請求項10記載のピペット操作システム。
【請求項13】
ピペット内の細菌溶液のマクファーランド濁度を測定するための器具を、更に備えている、
請求項12記載のピペット操作システム。
【請求項14】
ピペットの、傾斜入口と傾斜出口とが、対称的である、
請求項10記載のピペット操作システム。
【請求項15】
ピペットの、傾斜入口と傾斜出口とが、非対称的である、
請求項10記載のピペット操作システム。
【請求項16】
細菌溶液を混合する方法であって、
(1)混合ピペットを用意するステップであって、混合ピペットは、概ね円筒状の細長い管状体を備えており、管状体は、管内径を有する内部通路と、管状体の第1端部の第1開口と、管状体の第2端部の第2開口と、を有しており、管状体は、更に、第1端部と第2端部との間に内向き変形部を備えて、ピペットの内部通路内に狭いスリットを作っており、スリットは、一方の側に傾斜入口を、及び、他方の側に傾斜出口を、有しており、傾斜入口及び傾斜出口は、管内径と狭いスリットとの間に変位を提供している、ステップと、
(2)混合ピペットの第1端部を細菌溶液を含む容器内へ配置するステップと、
(3)混合ピペットの第2端部に真空を適用して、細菌溶液を、スリットを過ぎてピペットの内部通路内に引き込む、ステップであって、スリットは、細菌コロニーを緩やかに変形し分離しながら、内部通路内の溶液の速度を増大させる、ステップと、
を有していることを特徴とする方法。
【請求項17】
溶液を容器内に分注するステップ(4)を、更に有しており、ステップ(3)及びステップ(4)を繰り返す、
請求項16記載の方法。
【請求項18】
ステップ(3)を、混合ピペットの第2端部に連結された電子ピペッターによって自動的に実行する、
請求項16記載の方法。
【請求項19】
細菌溶液が、ステップ(3)に従って、スリットを過ぎて混合ピペットの内部通路に保持されている間に、細菌溶液のマクファーランド濁度を測定するステップを、更に有している、
請求項19記載の方法。
【請求項20】
ピペットを作る方法であって、
プラスチック材料を、概ね円筒状の管状体内に押し出す、ステップであって、管状体は、管内径を有する内部通路と、管状体の第1端部の第1開口と、管状体の第2端部の第2開口と、を有している、ステップと、
次いで、管状体において、更に、第1端部と第2端部との間に内向き変形部を形成して、ピペットの内部通路内に狭いスリットを作る、ステップであって、スリットは、一方の側に傾斜入口を、及び、他方の側に傾斜出口を、有しており、傾斜入口及び傾斜出口は、管内径と狭いスリットとの間に変位を提供している、ステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項21】
内向き変形部を形成するステップが、互いに対称的な、傾斜入口及び傾斜出口を、形成するステップを、含んでいる、
請求項20記載の方法。
【請求項22】
内向き変形部を形成するステップが、互いに非対称的な、傾斜入口及び傾斜出口を、形成するステップを、含んでいる、
請求項20記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−500116(P2012−500116A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523791(P2011−523791)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/004428
【国際公開番号】WO2010/021654
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(502073946)バイオメリュー・インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】bioMerieux, Inc.
【Fターム(参考)】