説明

測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラム、測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、測位装置

【課題】移動しつつ現在位置を計算する場合において、出力位置の直進性、連続性及び追従性を向上し、真の位置との乖離が小さい出力位置を算出することができる測位装置の制御方法等を提供すること。
【解決手段】測位装置20が、測位位置情報生成ステップと、測位装置20が、速度情報、加速度情報及び進行方向情報の少なくとも1つを構成要素とする移動状態情報を生成する移動状態情報生成ステップと、測位装置20が、移動状態情報に示される構成要素の変化を示す移動状態変化情報を生成する移動状態変化情報生成ステップと、測位装置20が、移動状態変化情報に基づいて、回帰直線Lを生成するための基礎情報の数を決定する基礎情報数決定ステップと、測位装置20が、回帰直線を生成する回帰直線生成ステップと、測位装置20が、現在時刻における回帰直線L上の位置を示す回帰直線上位置情報を生成する回帰直線上位置情報生成ステップ等を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動しつつ測位を行う測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラム、測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び測位装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星航法システムである例えば、GPS(Global Positioning System)を利用してGPS受信機の現在位置を測位する測位システムが実用化されている。
GPS受信機は、例えば、3個以上のGPS衛星から信号を受信し、信号が各GPS衛星から発信された時刻とGPS受信機に到達した時刻との差(以後、遅延時間と呼ぶ)によって、各GPS衛星とGPS受信機との間の距離(以後、擬似距離と呼ぶ)を求める。そして、各GPS衛星から受信した信号に乗せられている各GPS衛星の衛星軌道情報と、上述の擬似距離を使用して、現在位置の測位演算を行って測位位置を算出するようになっている。
ところが、測位位置は、GPS衛星からの信号の受信状態等によって精度が劣化し、真の位置との乖離が大きくなる場合がある。
これに対して、前回の測位位置と速度ベクトルから現在の予想位置を算出し、その予想位置と現在の測位位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平8―68651号公報(図4等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の技術においては、前回の測位位置の精度、前回の速度ベクトルの精度又は現在の測位位置の精度が低いときには、算出した出力位置の精度も劣化するという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、移動しつつ現在位置を計算する場合において、出力位置の直進性、連続性及び追従性を向上し、真の位置との乖離が小さい出力位置を算出することができる測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラム、測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び測位装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、複数の基礎情報に基づいて回帰直線を生成し、測位によって生成した測位位置情報と前記回帰直線上の位置である回帰直線上位置を示す回帰直線上位置情報とを平均化処理して出力位置を示す出力位置情報を生成する測位装置が、前記測位位置情報を生成する測位位置情報生成ステップと、前記測位装置が、前記測位装置の移動速度を示す速度情報、前記測位装置の加速度を示す加速度情報及び前記測位装置の進行方向を示す進行方向情報の少なくとも1つを構成要素とする移動状態情報を生成する移動状態情報生成ステップと、前記測位装置が、前記移動状態情報に示される前記構成要素の変化を示す移動状態変化情報を生成する移動状態変化情報生成ステップと、前記測位装置が、前記移動状態変化情報に基づいて、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を決定する基礎情報数決定ステップと、前記測位装置が、前記回帰直線を生成する回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、現在時刻における前記回帰直線上の位置を示す回帰直線上位置情報を生成する回帰直線上位置情報生成ステップと、前記測位装置が、前記回帰直線上位置情報と前記測位位置情報とを平均化処理し、前記出力位置情報を生成する出力位置情報生成ステップと、前記測位装置が、前記出力位置情報を出力する出力位置情報出力ステップと、を有することを特徴とする測位装置の制御方法により達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、前記測位装置の制御方法は、前記回帰直線生成ステップを有し、さらに、前記回帰直線上位置情報生成ステップを有する。そして、前記回帰直線上位置と前記測位位置情報とを平均化処理する。
このように、前記測位装置は、前回の測位位置と速度ベクトルという前回測位時の情報のみに基づいて現在の予想位置を算出するのではなくて、複数の前記基礎情報に基づいて前記回帰直線を生成し、現在時刻における前記回帰直線上の位置を示す前記回帰直線上位置情報を生成することができる。そして、前記回帰直線上位置情報と前記測位位置情報を平均化処理するから、前記出力位置情報に示される出力位置の直進性及び連続性が向上する。
さらに、前記測位装置の制御方法は、前記基礎情報数決定ステップを有するから、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化に応じて、前記基礎情報の数を維持、削減又は増加することができる。
例えば、前記測位装置の移動状態の変化が大きく、前記基礎情報数削減範囲内に示される範囲内であれば、前記測位装置は、前記基礎情報数を削減することができる。前記基礎情報の数が少ないほど、少数の新しい前記基礎情報に基づいて前記回帰直線を生成することができるから、変化に対応した前記回帰直線上の位置を算出することができる。そして、前記回帰直線上位置情報に示される位置自体が、変化に対応する追従性が向上し、真の位置と近くなる結果、前記出力位置情報に示される出力位置の追従性も向上する。
一方、例えば、前記測位装置の移動状態の変化が小さく、前記基礎情報数増加範囲内に示される範囲内であれば、前記測位装置は、前記基礎情報数を増加することができる。前記基礎情報の数が多いほど、新しい少数の情報の影響を低減することができるから、前記回帰直線上の位置自体の直進性及び連続性が向上する。この結果、前記出力位置情報に示される出力位置の直進性及び連続性が高くなる。
上述のように、前記測位装置の制御方法によれば、前記測位装置の移動状態に応じて、移動状態の変化が大きい場合には前記基礎情報の数を削減することによって追従性を向上し、前記測位装置の移動状態の変化が小さい場合には前記基礎情報の数を多くすることによって直進性及び連続性を向上することができる。
これにより、移動しつつ現在位置を計算する場合において、出力位置の直進性、連続性及び追従性を向上し、真の位置との乖離が小さい出力位置を算出することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記測位装置は、前記基礎情報数決定ステップにおいて、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数削減範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を削減し、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数増加範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を増加する構成となっていることを特徴とする測位装置の制御方法である。
【0008】
第2の発明の構成によれば、前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数削減範囲内であれば、前記基礎情報の数を削減することができ、前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数増加範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を増加することができる。
【0009】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明のいずれかの構成において、前記測位装置は、前記基礎情報数決定ステップにおいて、いずれか1つの前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数削減範囲内である場合に、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を削減することを特徴とする測位装置の制御方法である。
【0010】
第3の発明の構成によれば、前記測位装置は、すべての前記構成要素の変化が前記基礎情報数削減範囲内である場合ではなくて、いずれか1つの前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数削減範囲内である場合に、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を削減するから、前記出力位置情報の追従性が一層向上する。
【0011】
第4の発明は、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの構成において、前記測位装置は、前記基礎情報数決定ステップにおいて、すべての前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数増加範囲内である場合に、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を増加することを特徴とする測位装置の制御方法である。
【0012】
例えば、複数の前記構成要素のうち、一つの前記構成要素の変化が小さい場合に、前記基礎情報の数を増加すると、等速移動しつつ急に進行方向を変化する場合など、前記出力位置情報の追従性が要求される場合に、追従性が不十分となり、出力位置が真の位置と乖離することになる。
この点、第4の発明の構成によれば、前記測位装置は、前記基礎情報数決定ステップにおいて、すべての前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数増加範囲内である場合にのみ、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を増加するから、追従性を確保しつつ、直進性及び連続性が要求されることが確実な場合において、直進性及び連続性を向上することができる。
【0013】
前記目的は、第5の発明によれば、コンピュータに、複数の基礎情報に基づいて回帰直線を生成し、測位によって生成した測位位置情報と前記回帰直線上の位置である回帰直線上位置を示す回帰直線上位置情報とを平均化処理して出力位置を示す出力位置情報を生成する測位装置が、前記測位位置情報を生成する測位位置情報生成ステップと、前記測位装置が、前記測位装置の移動速度を示す速度情報、前記測位装置の加速度を示す加速度情報及び前記測位装置の進行方向を示す進行方向情報の少なくとも1つを構成要素とする移動状態情報を生成する移動状態情報生成ステップと、前記測位装置が、前記移動状態情報に示される前記構成要素の変化を示す移動状態変化情報を生成する移動状態変化情報生成ステップと、前記測位装置が、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数削減範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を削減し、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数増加範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を増加する基礎情報数決定ステップと、前記測位装置が、前記回帰直線を生成する回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、現在時刻における前記回帰直線上の位置を示す回帰直線上位置情報を生成する回帰直線上位置情報生成ステップと、前記測位装置が、前記回帰直線上位置情報と前記測位位置情報とを平均化処理し、前記出力位置情報を生成する出力位置情報生成ステップと、前記測位装置が、前記出力位置情報を出力する出力位置情報出力ステップと、を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムによって達成される。
【0014】
第5の発明の構成によれば、第1の発明と同様に、移動しつつ現在位置を計算する場合において、出力位置の直進性、連続性及び追従性を向上することができる。
【0015】
前記目的は、第6の発明によれば、コンピュータに、複数の基礎情報に基づいて回帰直線を生成し、測位によって生成した測位位置情報と前記回帰直線上の位置である回帰直線上位置を示す回帰直線上位置情報とを平均化処理して出力位置を示す出力位置情報を生成する測位装置が、前記測位位置情報を生成する測位位置情報生成ステップと、前記測位装置が、前記測位装置の移動速度を示す速度情報、前記測位装置の加速度を示す加速度情報及び前記測位装置の進行方向を示す進行方向情報の少なくとも1つを構成要素とする移動状態情報を生成する移動状態情報生成ステップと、前記測位装置が、前記移動状態情報に示される前記構成要素の変化を示す移動状態変化情報を生成する移動状態変化情報生成ステップと、前記測位装置が、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数削減範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を削減し、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数増加範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を増加する基礎情報数決定ステップと、前記測位装置が、前記回帰直線を生成する回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、現在時刻における前記回帰直線上の位置を示す回帰直線上位置情報を生成する回帰直線上位置情報生成ステップと、前記測位装置が、前記回帰直線上位置情報と前記測位位置情報とを平均化処理し、前記出力位置情報を生成する出力位置情報生成ステップと、前記測位装置が、前記出力位置情報を出力する出力位置情報出力ステップと、を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって達成される。
【0016】
前記目的は、第7の発明によれば、複数の基礎情報に基づいて回帰直線を生成し、測位によって生成した測位位置情報と前記回帰直線上の位置である回帰直線上位置を示す回帰直線上位置情報とを平均化処理して出力位置を示す出力位置情報を生成する測位装置であって、前記測位位置情報を生成する測位位置情報生成手段と、前記測位装置の移動速度を示す速度情報、前記測位装置の加速度を示す加速度情報及び前記測位装置の進行方向を示す進行方向情報の少なくとも1つを構成要素とする移動状態情報を生成する移動状態情報生成手段と、前記移動状態情報に示される前記構成要素の変化を示す移動状態変化情報を生成する移動状態変化情報生成手段と、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数削減範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を削減し、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数増加範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を増加する基礎情報数決定手段と、前記回帰直線を生成する回帰直線生成手段と、現在時刻における前記回帰直線上の位置を示す回帰直線上位置情報を生成する回帰直線上位置情報生成手段と、前記回帰直線上位置情報と前記測位位置情報とを平均化処理し、前記出力位置情報を生成する出力位置情報生成手段と、前記出力位置情報を出力する出力位置情報出力手段と、を有することを特徴とする測位装置によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る測位システム10を示す概略図である。
図1に示すように、測位システム10は、端末20を有する。端末20は、測位衛星である例えば、GPS衛星12a,12b,12c及び12dからの信号である信号S1,S2,S3及びS4を受信することができる。この端末20は、測位装置の一例である。
端末20は、自動車18に搭載されて、道路R上を移動している。
【0019】
端末20は、例えば、道路R上において測位演算を連続的に実施し、取得した位置情報を地図情報とともに表示するカーナビゲーション装置である。端末20が表示する出力位置は、真の位置との乖離が小さいことが必要である。ここで、出力位置とは、端末20が後述の表示装置34に表示する位置を意味する。図1のA1乃至A9、及び、B1乃至B10は出力位置を示す。出力位置と真の位置との乖離を小さくするためには、端末20の移動状態に対応して、直進性、連続性及び追従性を確保する必要がある。
【0020】
ここで直進性が高いとは、端末20が実際にまっすぐに移動しているときに、算出した出力位置が、既に計測した複数の出力位置に基づいて生成した直線上にあることをいう。例えば、端末20が図1の位置A6を算出して表示する場合に、位置A6は、位置A1乃至位置A5に基づいて生成した直線C1上にあるから、端末20が表示する出力位置は直進性が高い。
これに対して、端末20が位置B6を算出して表示する場合に、位置B6は、位置B1乃至位置B5に基づいて生成した直線C2上にないから、端末20が表示する位置は直進性が低い。
【0021】
そして、連続性が高いとは、端末20が等速で移動しているときに、複数の出力位置において、各出力位置間の間隔が等しいことをいう。例えば、端末20が位置A1乃至A6を算出して表示する場合に、位置A1と位置A2との距離Ad1と、位置A2とA3との距離Ad2とは等しいというように、各位置A1等の間隔は等しいから、端末20が表示する出力位置は連続性が高い。
これに対して、端末20が位置B1乃至B6を算出して表示する場合に、位置B1とB2との距離Bd1と、位置B2とB3との距離Bd2は異なる。このため、端末20が表示する出力位置は連続性が低い。
【0022】
また、追従性が高いとは、端末20の移動速度、加速度、移動方向が変化する場合に、出力位置がその変化した状態に対応している状態をいう。
例えば、図1位置A5とA6との間隔よりも、位置A6とA7との間の間隔が大きくなっているが、この間隔の変化が、実際の移動速度を反映している場合に、出力位置の追従性が高い。
また、図1で位置A7からA8への移動方向が、位置A7から位置A8の移動方向とは異なっているが、この移動方向の変化が、実際の移動方向の変化に対応している場合に、出力位置の追従性が高い。
これに対して、図1で位置B6と位置B7を出力する時間間隔において、移動速度が速くなっているにもかかわらず、図1のように位置B5とB6との間隔と、位置B6とB7との間の間隔がほぼ同じ場合は、出力位置の追従性は低い。
また、図1で位置B8と位置B9を出力する時間間隔において、端末20の移動方向が変化しているにもかかわらず、図1のように位置B7からB8への移動方向と、位置B8からB9への移動方向がほぼ同じであって、実際の移動方向の変化に対応していない場合は、出力位置の追従性は低い。
【0023】
測位演算を連続的に行い、現在位置を道路地図上に表示する端末20においては、端末20が実際には道路R上において等速で直進している場合に、表示する出力位置の直進性及び連続性が低ければ出力位置が不正確である可能性が大きい。
また、端末20が、実際には道路R上において移動方向を変更する場合に、表示する出力位置の追従性が低ければ、出力位置が不正確である可能性が大きい。
【0024】
この点、端末20は、以下の構成によって、位置A1乃至位置A9のように、直進性、連続性及び追従性を向上し、真の位置との乖離の少ない出力位置を表示することができる。
【0025】
なお、端末20は例えば、カーナビゲーション装置であるが、その他に、携帯電話機、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistance等であってもよく、また、これらに限らない。
なお、本実施の形態とは異なり、GPS衛星12a等は4個に限らず例えば、3個でもよいし、5個以上でもよい。
【0026】
(端末20の主なハードウエア構成について)
図2は端末20の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図2に示すように、端末20は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス22を有する。
このバス22には、CPU(Central Processing Unit)24、記憶装置26、外部記憶装置28等が接続されている。記憶装置26は例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。外部記憶装置28は例えば、HDD(Hard Disk Drive)等である。
【0027】
また、このバス22には、各種情報等を入力するための入力装置30、GPS衛星12a等から信号S1等を受信するためのGPS装置32及び各種情報を表示するための表示装置34が接続されている。
【0028】
(端末20の主なソフトウエア構成について)
図3は、端末20の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図3に示すように、端末20は、各部を制御する制御部100、図2のGPS装置32に対応するGPS部102、図2の表示装置34に対応する表示部104等を有する。
端末20は、また、各種プログラムを格納する第1記憶部110、各種情報を格納する第2記憶部150を有する。第2記憶部は、後述の回帰直線Lを生成するためのサンプル情報152を格納するBuff1、その他の情報を格納するBuff2から構成されている。サンプル情報152に示されるサンプルP1等は、基礎情報の一例である。
【0029】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、測位プログラム112を格納している。測位プログラム112は、制御部100が、GPS部102によって受信した信号S1等に基づいて、測位位置Pを示す測位位置情報154を生成するためのプログラムである。この測位位置情報154は、測位位置情報の一例である。そして、測位プログラム112と制御部100は、測位位置情報生成手段の一例である。
具体的には、端末20は、例えば、3個以上のGPS衛星12a等から信号S1等を受信し、信号S1等が各GPS衛星12a等から発信された時刻と端末20に到達した時刻との差である遅延時間によって、各GPS衛星12a等と端末20との間の距離である擬似距離を求める。そして、各GPS衛星12a等から受信した信号S1等に乗せられている各GPS衛星12a等の衛星軌道情報と、上述の擬似距離を使用して、現在位置の測位演算を行う。
制御部100は、生成した測位位置情報154を第2記憶部150のBuff2に格納する。
なお、端末20が測位開始当初に算出した、測位位置P1及びP2は、Buff1に格納され、後述の回帰直線Lの生成のためのサンプルとなる。
なお、本実施の形態とは異なり、端末20は、GPS衛星12a等からの信号S1等に基づく測位を行うのではなくて、例えば、GPS衛星12a等からの信号S1等と携帯電話基地局からの通信信号を組み合わせた測位を行ってもよいし、複数の携帯電話基地局からの通信信号による測位を行ってもよいし、無線LANを利用する測位を行ってもよい。
【0030】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、速度情報生成プログラム114を格納している。速度情報生成プログラム114は、制御部100が、GPS部102によって受信した信号S1等に基づいて、端末20の移動速度を示す速度情報156を生成するためのプログラムである。速度情報156は、速度情報の一例であり、移動状態情報の一例でもある。そして、速度情報生成プログラム114と制御部100は、移動状態情報生成手段の一例である。
具体的には、制御部100は、複数のGPS衛星12a等からの信号S1等のドップラー偏移等に基づいて、各GPS衛星12a等と端末20の相対速度を算出し、端末20の移動速度を示す速度情報156を生成する(例えば、特開平8−68651の段落〔0016〕乃至〔0018〕参照)。
制御部100は、生成した速度情報156を第2記憶部150のBuff2に格納する。図3に示すように、端末20は、前回の測位時の速度である前回速度V1を示す前回の速度情報156a及び、今回の測位時の速度である現在速度V2を示す現在の速度情報156bをBuff2に格納している。
【0031】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、加速度情報生成プログラム116を格納している。加速度情報生成プログラム116は、制御部100が、端末20の加速度を示す加速度情報158を生成するためのプログラムである。加速度情報158は、加速度情報の一例であり、移動状態情報の一例でもある。そして、加速度情報生成プログラム116と制御部100は、移動状態情報生成手段の一例である。
具体的には、制御部100は、現在の速度情報156bに示される現在速度V2と前回の速度情報156aに示される前回速度V1の差分を、現在時刻と前回測位時の時刻間の時間で除する(割り算する)ことによって、現在時刻における加速度を算出する。
制御部100は、生成した加速度情報158を第2記憶部150のBuff2に格納する。図3に示すように、端末20は、前回の測位時の加速度である前回加速度Vs1を示す前回の加速度情報158a及び、今回の測位時の加速度である現在加速度Vs2を示す現在の加速度情報158bをBuff2に格納している。
【0032】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、移動方向情報生成プログラム118を格納している。移動方向情報生成プログラム118は、制御部100が、端末20の移動方向を示す移動方向情報160を生成するためのプログラムである。移動方向情報160は、進行方向情報の一例であり、移動状態情報の一例でもある。そして、移動方向情報生成プログラム118と制御部100は、移動状態情報生成手段の一例である。
具体的には、制御部100は、複数のGPS衛星12a等からの信号S1等のドップラー偏移等に基づいて、各GPS衛星12a等と端末20の相対的な移動方向を算出し、端末20の移動方向を示す移動方向情報160を生成する(例えば、特開平8−68651の段落〔0016〕乃至〔0018〕参照)。
【0033】
なお、本実施の形態と異なり、端末20は、信号S1等に基づいて、速度情報156、加速度情報158及び移動方向情報160を生成するのではなくて、別途、加速度センサ及びジャイロ等を備えることによって、速度、加速度、移動方向を計測するようにしてもよい。
【0034】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、速度変化情報生成プログラム120を格納している。速度変化情報生成プログラム120は、制御部100が、端末20の移動速度の変化を示す速度変化情報162を生成するためのプログラムである。この速度変化情報162は移動状態変化情報の一例であり、速度変化情報生成プログラム120と制御部100は、移動状態情報生成手段の一例である。
具体的には、制御部100は、現在速度V2と前回速度V1の速度差分の絶対値を算出し、速度変化dVを示す速度変化情報162を生成する。
制御部100は、生成した速度変化情報162をBuff2に格納する。
【0035】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、加速度変化情報生成プログラム122を格納している。加速度変化情報生成プログラム122は、制御部100が、端末20の加速度の変化を示す加速度変化情報164を生成するためのプログラムである。この加速度変化情報164は移動状態変化情報の一例であり、加速度変化情報生成プログラム122と制御部100は、移動状態情報生成手段の一例である。
具体的には、制御部100は、現在加速度Vs2と前回加速度Vs1の加速度差分の絶対値を算出し、加速度変化dVsを示す加速度変化情報164を生成する。
制御部100は、生成した加速度変化情報164をBuff2に格納する。
【0036】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、移動方向変化情報生成プロム124を格納している。移動方向変化情報生成プロム124は、制御部100が、端末20の移動方向の変化を示す移動方向変化情報166を生成するためのプログラムである。この移動方向変化情報166は移動状態変化情報の一例であり、移動方向変化情報生成プロム124と制御部100は、移動状態情報生成手段の一例である。
具体的には、制御部100は、現在移動方向T2と前回移動方向T1の移動方向の角度差分の絶対値を算出し、移動方向変化dTを示す移動方向変化情報166を生成する。
制御部100は、生成した移動方向変化情報166をBuff2に格納する。
【0037】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、サンプル数決定プログラム126を格納している。サンプル数決定プログラム126は、制御部100が、速度変化情報162、加速度変化情報164及び移動方向変化情報166に基づいて、回帰直線Lを生成するためのサンプルの数を決定するためのプログラムである。すなわち、サンプル数決定プログラム126と制御部100は、基礎情報数決定手段の一例である。ここで、サンプル数とは、サンプル情報152に示されるサンプルP1等のうち、後述の回帰直線Lの生成に使用されるサンプルの数を意味する。
制御部100は、予めBuff2に格納している速度変化範囲情報168、加速度変化範囲情報170及び移動方向変化範囲情報172と、生成した速度変化情報162、加速度変化情報164及び移動方向変化情報166に基づいて、サンプル数を決定するようになっている。
なお、制御部100は、サンプル数決定プログラム126に基づいて、サンプル数とともに、回帰直線Lの生成に使用するサンプルも指定する。制御部100は、サンプル情報152に示されるサンプルP1等のうち、新しいサンプルを優先して指定する。
【0038】
例えば、制御部100は、速度変化dVがサンプル数減少速度範囲である毎秒5メートル(m/s)以上であるという条件、加速度変化dVsがサンプル数減少加速度範囲である毎秒の変化率が毎秒5メートル(m/s)以上であるという条件、又は、移動方向変化dTがサンプル数減少移動方向範囲である30度以上であるという条件のいずれかを満たす場合(以後、サンプル数減少条件を満たす場合と呼ぶ)に、サンプル数をそれまでの2分の1に減少するようになっている。
ただし、サンプル数の最少数は、2個である。
【0039】
また、制御部100は、速度変化dVがサンプル数増加速度範囲である毎秒5メートル(m/s)未満であるという条件、加速度変化dVsがサンプル数増加加速度範囲である毎秒の変化率が毎秒5メートル(m/s)未満であるという条件、及び、移動方向変化dTがサンプル数増加移動方向範囲である5度以下であるという条件のすべてを満たす場合(以後、サンプル数増加条件を満たす場合と呼ぶ)に、サンプル数を1つ増加するようになっている。
ただし、サンプル数の最大数は予め規定されており、例えば、4個である。
【0040】
図4は、Buff1内のサンプルの一例を示す図である。
図4に示すように、Buff1には、後述の測位位置P及び出力位置Qが格納される。
図4(a)乃至図4(i)は、最初の測位時t1から時間が経過するにつれて、Buff1に新たなサンプルが入力される状態を示しており、図4(f)の時点で、サンプル数減少条件を満たす状態になっている。なお、図4の時刻t1等は、最初の測位位置情報154の生成時をt1とし、以後順次、t2、t3等として示している。Buff1に格納することができるサンプルの最大数は、例えば、4個である。
図4(a)乃至図4(d)に示す最初の測位時t1から時刻t4までは、サンプルが順次格納されていき、これらのサンプルがすべて後述の回帰直線Lの生成に使用される。図4(e)に示す時刻t5においては、サンプル数減少条件もサンプル数増加条件も満たしていないから、時刻t4に引き続いて、Buff1に格納されているすべてのサンプルが回帰直線Lの生成に使用される。
そして、図4(f)の時刻t6の時点で、サンプル数減少条件を満たすから、端末20は、回帰直線Lに使用されるサンプル数を、その直前の時刻t5におけるサンプル数の2分の1の2個に減少する。このため、端末20は、回帰直線Lの生成に、図4(f)のP2及びQ1は使用せず、Q2及びQ3のみを使用する。
図4(g)に示す時刻t7においては、サンプル数減少条件もサンプル数増加条件も満たしていないから、図4(f)のサンプル数が維持される。
図4(h)に示す時刻t8においても、同様に、図4(g)のサンプル数が維持される。
【0041】
図4(i)に示す時刻t9においては、サンプル数増加条件が満たされているから、端末20は、サンプル数を、図4(h)の状態から1個増加させる。このため、時刻t9においては、サンプルQ4,Q5及びQ6の3個のサンプルを回帰直線Lの生成に使用する。
【0042】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、回帰直線生成プログラム128を格納している。回帰直線生成プログラム128は、制御部100が、上述のサンプル数決定プログラム126によって決定したサンプル及びサンプル数で、回帰直線Lを示す回帰直線情報174を生成するためのプログラムである。すなわち、回帰直線生成プログラム128と制御部100は、回帰直線生成手段の一例である。
【0043】
図5は、回帰直線Lの生成方法の一例等を示す図である。
例えば、図4(e)に示す時刻t5においては、制御部100は、図5(a)に示すように、P1,P2,Q1及びQ2の4個のサンプルに基づいて、回帰直線Lを算出する。
また、図4(f)に示す時刻t6においては、制御部100は、図5(b)に示すように、Q2及びQ3の2個のサンプルに基づいて、回帰直線Lを算出する。
制御部100は、生成した回帰直線情報174をBuff2に格納する。
【0044】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、回帰直線上位置情報生成プログラム130を格納している。回帰直線上位置情報生成プログラム130は、制御部100が、現在時刻における回帰直線L上の位置Prを示す回帰直線上位置情報176を生成するためのプログラムである。この回帰直線上位置情報176は回帰直線上位置情報の一例であり、回帰直線上位置情報生成プログラム130と制御部100は、回帰直線上位置情報生成手段の一例である。
【0045】
制御部100は、例えば、図5(a)に示すように、現在時刻t5における回帰直線L上の位置Prを算出する。
制御部100は、生成した回帰直線上位置情報176をBuff2に格納する。
【0046】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、出力位置情報生成プログラム132を格納している。出力位置情報生成プログラム132は、制御部100が、回帰直線上位置情報176と測位位置情報154を平均化処理し、出力するための出力位置情報178を生成するためのプログラムである。出力位置情報178は出力位置情報の一例であり、出力位置情報生成プログラム132と制御部100は出力位置情報生成手段の一例である。
例えば、制御部100は、図5(a)に示すように、測位位置P5と回帰直線上位置Prを、例えば、時刻t4と時刻t5におけるGPS衛星12a等からの信号S1等の平均信号強度等の受信環境に応じて重み付けし、測位位置P5と回帰直線上位置Prとの間のいずれかの位置を出力位置Q3として算出する。
制御部100は、生成した出力位置情報178をBuff2に格納する。
【0047】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、出力位置情報出力プログラム134を格納している。出力位置情報出力プログラム134は、制御部100が、出力位置情報178を表示装置34に出力するためのプログラムである。この出力位置情報出力プログラム134と制御部100は、出力位置情報出力手段の一例である。
【0048】
図3に示すように、端末20は、第1記憶部110に、出力位置情報格納プログラム136を格納している。出力位置情報格納プログラム136は、制御部100が、出力位置情報178を、サンプル情報152として、Buff1に格納するためのプログラムである。
なお、測位開始時であって、サンプル情報152に示されるサンプル数が回帰直線Lを生成することができる最少数量の2個未満である場合には、制御部100は、測位位置情報154をそのまま出力するようになっている。そして、制御部100は、測位開始時の測位位置P1及びP2もまた、サンプル情報152として、Buff1に格納する。
【0049】
端末20は、上述のように構成されている。
上述のように、端末20は、回帰直線Lを生成することができ、さらに、回帰直線上位置情報176(図3参照)を生成することができる。そして、端末20は、回帰直線上位置情報176と測位位置情報154とを平均化処理して、出力位置情報178を生成することができる。このように、端末20は、前回の測位位置と速度ベクトルという前回測位時の情報のみに基づいて現在の予想位置を算出するのではなくて、複数のサンプルに基づいて回帰直線Lを生成し、現在時刻における回帰直線L上の位置を算出する。そして、回帰直線上位置情報176と測位位置情報154を平均化処理するから、出力位置の直進性及び連続性が向上する。
さらに、端末20は、速度変化情報162、加速度変化情報164及び移動方向変化情報166(図3参照)に応じて、回帰直線Lを生成するためのサンプル数を減少又は増加することができる。これにより、出力位置の直進性及び連続性を一層向上し、さらに、追従性も向上することができる。
上述のように、端末20は、その移動状態の変化が大きく、上述のサンプル数減少条件を満たす状態であれば、サンプル数を削減する。サンプル数が少ないほど、少数の新しいサンプルに基づいて回帰直線Lを生成することができるから、変化に対応した回帰直線L上の位置を算出することができる。そして、回帰直線L上の位置Pr自体が真の位置と近くなる結果、出力位置情報178の追従性が高くなる。
一方、例えば、端末20は、その移動状態の変化が小さく、サンプル数増加条件を満たす状態であれば、サンプル数を増加することができる。サンプル数が多いほど、新しい少数の情報の影響を低減することができるから、回帰直線L上の位置Pr自体の直進性及び連続性が向上する。この結果、出力位置情報178の直進性及び連続性が高くなる。
上述のように、端末20は、その移動状態に応じて、移動状態の変化が大きい場合にはサンプル数を削減することによって追従性を向上し、端末20の移動状態の変化が小さい場合にはサンプル数を多くすることによって直進性及び連続性を向上することができる。
これにより、移動しつつ現在位置を計算する場合において、出力位置の直進性、連続性及び追従性を向上することができる。
【0050】
また、上述のように、端末20は、速度変化情報162が速度変化範囲情報168に規定される条件を満たすという条件、加速度変化情報164が加速度変化範囲情報170に規定される条件を満たすという条件、及び、移動方向変化情報166が移動方向変化範囲情報172に規定される条件の、すべてを満たす場合ではなくて、いずれか1つの条件を満たす場合に、回帰直線Lを生成するためのサンプル数を削減するから、出力位置情報178の追従性が一層向上する。
【0051】
さらに、端末20は、速度変化情報162が速度変化範囲情報168に規定される条件、加速度変化情報164が加速度変化範囲情報170に規定される条件、及び、移動方向変化情報166が移動方向変化範囲情報172に規定される条件のすべてを満たす場合に、回帰直線Lを生成するためのサンプルの数を増加するから、追従性を確保しつつ、直進性及び連続性が要求されることが確実な場合において、直進性及び連続性を向上することができる。
【0052】
以上が本実施の形態に係る測位システム10の構成であるが、以下、その動作例を主に図6を使用して説明する。
図6は本実施の形態に係る測位システム10の動作例を示す概略フローチャートである。
【0053】
まず、端末20は、測位位置情報154(図3参照)を生成する(図6のステップST1)。このステップST1は、測位位置情報生成ステップの一例である。
続いて、端末20は、速度情報156、加速度情報158及び移動方向情報160(図3参照)を生成する(ステップST2)。このステップST2は、移動状態情報生成ステップの一例である。
【0054】
続いて、端末20は、速度変化情報162、加速度変化情報164及び移動方向変化情報166(図3参照)を生成する(ステップST3)。このステップST3は、移動状態変化情報生成ステップの一例である。
続いて、端末20は、回帰直線Lの生成に使用するサンプルの数を決定する(ステップST4)。このステップST4は、基礎情報数決定ステップの一例である。例えば、端末20は、速度変化dVが5m/s以上であるという条件、加速度変化dVが5m/s以上であるという条件、又は移動方向変化dTが30度以上であるという条件のいずれかを満たすと判断した場合(サンプル数減少条件を満たした場合)には、図4(f)に示すように、サンプル数をその直前の2分の1にする。
【0055】
続いて、端末20は、回帰直線Lを生成する(ステップST5)。このステップST5は、回帰直線生成ステップの一例である。
続いて、端末20は、回帰直線上位置Prを算出し、回帰直線上位置情報176を生成する(ステップST6)。このステップST6は、回帰直線上位置情報生成ステップの一例である。
続いて、端末20は、出力位置情報178(図3参照)を生成する(ステップST7)。このステップST7は、出力位置情報生成ステップの一例である。
続いて、端末20は、出力位置情報178を出力する(ステップST8)。このステップST8は、出力位置情報出力ステップの一例である。
【0056】
上述のステップST1乃至ステップST8によって、端末20は、出力位置の直進性、連続性及び追従性を確保することができる。
以下、本実施の形態の効果について、特に、追従性の向上を中心に説明する。
【0057】
図7は、本実施の形態の端末20が回帰直線Lを生成する方法の一例を示す図である。
端末20の真の位置は、時刻経過につれて、図7(a)のR1乃至R8のように推移し、時刻t5において移動方向を大きく変更しているという前提で、以下の説明をする。なお、説明の便宜上、測位位置P6、P7及びP8は、真の位置R6,R7及びR8とほぼ同視し得るものと仮定して、以下の説明をする。
【0058】
図7(b)に示す時刻t6において、端末20は移動方向を大きく変更しており、これは、サンプル数減少条件を満たすものとする。このため、端末20は、回帰直線Lを生成するためのサンプル数を、直前まで4個であったとすれば、その2分の1の2個に減少させる。そして、端末20は、Q2及びQ3の2個のサンプルに基づいて回帰直線Lを生成し、現在時刻t6における回帰直線上位置Prを算出し、例えば、回帰直線上位置Prと測位位置P6との中間地点である出力位置Q4を算出する。
時刻t7においては、端末20は、図7(c)に示すように、Q3,Q4の2個のサンプルに基づいて回帰直線Lを生成し、現在時刻t7における回帰直線上位置Prを算出し、例えば、回帰直線上位置Prと測位位置P7との中間地点である出力位置Q5を算出する。
そして、時刻t8においては、端末20は、図7(d)に示すように、Q4,Q5の2個のサンプルに基づいて回帰直線Lを生成し、現在時刻t8における回帰直線上位置Prを算出し、例えば、回帰直線上位置Prと測位位置P8との中間地点である出力位置Q6を算出する。
図7(b)乃至図7(d)に示すように、出力位置Qと真の位置との距離(真の位置と同視し得ると仮定した測位位置との距離)は、時刻t6からt8の短時間に小さくなっている。
【0059】
図8は、本実施の形態との対比するための一例を示す図である。
図8(a)乃至図8(c)においては、実際の移動方向が大きく変更したにもかかわらず、サンプル数を4個に維持しており、時刻t8にいたっても、測位位置P8と真の位置との乖離は図7(d)の場合と比較して、依然として大きい。
【0060】
このように、端末20は、サンプル数減少条件を満たした場合には、回帰直線Lを生成するためのサンプルの数を減少するから、出力位置の追従性を向上することができる。
【0061】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の測位位置情報生成ステップと、移動状態情報生成ステップと、移動状態変化情報生成ステップと、基礎情報数決定ステップと、回帰直線生成ステップと、回帰直線上位置情報生成ステップと、出力位置情報生成ステップと、出力位置情報出力ステップ等を実行させるための測位装置の制御プログラムとすることができる。
また、このような測位装置の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【0062】
これら測位装置の制御プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewritable)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0063】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る測位システムを示す概略図である。
【図2】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図3】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図4】Buff1内のサンプルの一例を示す図である。
【図5】回帰直線の生成方法の一例等を示す図である。
【図6】測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【図7】本実施の形態による回帰直線の生成方法の一例等を示す図である。
【図8】本実施の形態の対比例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10・・・測位システム、12a,12b,12c,12d・・・GPS衛星、20・・・端末、112・・測位プログラム、114・・・速度情報生成プログラム、116・・・加速度情報生成プログラム、118・・・移動方向情報生成プログラム、120・・・速度変化情報生成プログラム、122・・・加速度変化情報生成プログラム、124・・・移動方向変化情報生成プログラム、126・・・サンプル数決定プログラム、128・・・回帰直線生成プログラム、130・・・回帰直線上位置情報生成プログラム、132・・・出力位置情報生成プログラム、134・・・出力位置情報出力プログラム、136・・・出力位置情報格納プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基礎情報に基づいて回帰直線を生成し、測位によって生成した測位位置情報と前記回帰直線上の位置である回帰直線上位置を示す回帰直線上位置情報とを平均化処理して出力位置を示す出力位置情報を生成する測位装置が、前記測位位置情報を生成する測位位置情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記測位装置の移動速度を示す速度情報、前記測位装置の加速度を示す加速度情報及び前記測位装置の進行方向を示す進行方向情報の少なくとも1つを構成要素とする移動状態情報を生成する移動状態情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記移動状態情報に示される前記構成要素の変化を示す移動状態変化情報を生成する移動状態変化情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記移動状態変化情報に基づいて、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を決定する基礎情報数決定ステップと、
前記測位装置が、前記回帰直線を生成する回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、現在時刻における前記回帰直線上の位置を示す回帰直線上位置情報を生成する回帰直線上位置情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記回帰直線上位置情報と前記測位位置情報とを平均化処理し、前記出力位置情報を生成する出力位置情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記出力位置情報を出力する出力位置情報出力ステップと、
を有することを特徴とする測位装置の制御方法。
【請求項2】
前記測位装置は、前記基礎情報数決定ステップにおいて、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数削減範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を削減し、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数増加範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を増加する構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の測位装置の制御方法。
【請求項3】
前記測位装置は、前記基礎情報数決定ステップにおいて、いずれか1つの前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数削減範囲内である場合に、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を削減することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の測位装置の制御方法。
【請求項4】
前記測位装置は、前記基礎情報数決定ステップにおいて、すべての前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数増加範囲内である場合に、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を増加することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の測位装置の制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
複数の基礎情報に基づいて回帰直線を生成し、測位によって生成した測位位置情報と前記回帰直線上の位置である回帰直線上位置を示す回帰直線上位置情報とを平均化処理して出力位置を示す出力位置情報を生成する測位装置が、前記測位位置情報を生成する測位位置情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記測位装置の移動速度を示す速度情報、前記測位装置の加速度を示す加速度情報及び前記測位装置の進行方向を示す進行方向情報の少なくとも1つを構成要素とする移動状態情報を生成する移動状態情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記移動状態情報に示される前記構成要素の変化を示す移動状態変化情報を生成する移動状態変化情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数削減範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を削減し、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数増加範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を増加する基礎情報数決定ステップと、
前記測位装置が、前記回帰直線を生成する回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、現在時刻における前記回帰直線上の位置を示す回帰直線上位置情報を生成する回帰直線上位置情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記回帰直線上位置情報と前記測位位置情報とを平均化処理し、前記出力位置情報を生成する出力位置情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記出力位置情報を出力する出力位置情報出力ステップと、
を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
複数の基礎情報に基づいて回帰直線を生成し、測位によって生成した測位位置情報と前記回帰直線上の位置である回帰直線上位置を示す回帰直線上位置情報とを平均化処理して出力位置を示す出力位置情報を生成する測位装置が、前記測位位置情報を生成する測位位置情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記測位装置の移動速度を示す速度情報、前記測位装置の加速度を示す加速度情報及び前記測位装置の進行方向を示す進行方向情報の少なくとも1つを構成要素とする移動状態情報を生成する移動状態情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記移動状態情報に示される前記構成要素の変化を示す移動状態変化情報を生成する移動状態変化情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数削減範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を削減し、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数増加範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を増加する基礎情報数決定ステップと、
前記測位装置が、前記回帰直線を生成する回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、現在時刻における前記回帰直線上の位置を示す回帰直線上位置情報を生成する回帰直線上位置情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記回帰直線上位置情報と前記測位位置情報とを平均化処理し、前記出力位置情報を生成する出力位置情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記出力位置情報を出力する出力位置情報出力ステップと、
を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】
複数の基礎情報に基づいて回帰直線を生成し、測位によって生成した測位位置情報と前記回帰直線上の位置である回帰直線上位置を示す回帰直線上位置情報とを平均化処理して出力位置を示す出力位置情報を生成する測位装置であって、
前記測位位置情報を生成する測位位置情報生成手段と、
前記測位装置の移動速度を示す速度情報、前記測位装置の加速度を示す加速度情報及び前記測位装置の進行方向を示す進行方向情報の少なくとも1つを構成要素とする移動状態情報を生成する移動状態情報生成手段と、
前記移動状態情報に示される前記構成要素の変化を示す移動状態変化情報を生成する移動状態変化情報生成手段と、
前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数削減範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を削減し、前記移動状態変化情報に示される前記構成要素の変化が予め規定した基礎情報数増加範囲内である場合には、前記回帰直線を生成するための前記基礎情報の数を増加する基礎情報数決定手段と、
前記回帰直線を生成する回帰直線生成手段と、
現在時刻における前記回帰直線上の位置を示す回帰直線上位置情報を生成する回帰直線上位置情報生成手段と、
前記回帰直線上位置情報と前記測位位置情報とを平均化処理し、前記出力位置情報を生成する出力位置情報生成手段と、
前記出力位置情報を出力する出力位置情報出力手段と、
を有することを特徴とする測位装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−40784(P2007−40784A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224087(P2005−224087)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】