説明

測定用プローブ

【課題】 測定用プローブの個体差を低減し、メンテナンス性を向上させる分離型のプローブ構成を提供する。
【解決手段】 先端に被測定面2aに接触するスタイラス12と他端部にレーザ光を反射する反射面13を形成した可動部材11と、可動部材を軸の中心部に保持する空気軸受17と、空気軸受を保持する第1ハウジング部40と、反射面13にレーザ光を集光するレンズ22と、このレンズを保持する第2ハウジング部50とを備え、第1ハウジング部40と第2ハウジング部50をそれぞれ両者を前記レンズ及び前記反射面が前記レーザ光の光軸と一致するように着脱自在に装着可能としているので、レーザ光を集光するレンズ22を生産時に装着した後は、点検時などにレンズ22の取り外しを行う必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品や金型などの被測定物の表面に接触して被測定物の自由曲面の表面形状測定、面粗さや段差の形状測定などを高精度に測定する二次元又は三次元の形状測定装置に用いられる測定用プローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学部品や金型などの被測定物の非球面物体の表面形状を高精度に測定する装置として、被測定物の表面に接触するプローブを備えた形状測定装置が広く用いられている。形状測定装置は、被測定物の表面に接触する測定プローブを有し、この測定プローブを被測定物に接触させた状態で、両者がほぼ一定の力になるように測定プローブ高さ位置を制御しつつ、被測定物の表面に沿って相対的に移動させ、測定プローブと基準面の位置関係から被測定物の表面形状を測定するものである。
【0003】
ここで、従来の3次元形状測定装置について説明する。図5は、3次元形状測定装置の概略構成図である。3次元形状測定装置100は、図5において、石定盤1上に載置されたレンズ等の被測定物2の測定面2aに、移動体103に取り付けられた測定用プローブ105の先端を追従させて、被測定物2の表面形状を測定するように構成されている。被測定物2が搭載されている石定盤101には、支持部を介してX参照ミラー106、Y参照ミラー107、Z参照ミラー108がそれぞれ配置されている。
【0004】
測定用プローブ105が設けられた移動体103には、Xステージ109およびYステージ110が設けられており、被測定物2の測定面2aの表面形状に追従してX軸方向、Y軸方向に移動体103と測定用プローブ105を移動できる構成となっている。
【0005】
さらに、移動体103にはレーザ測長光学系104が設けられており、測定用プローブ105の位置情報として、光干渉法によって、X参照ミラー106を基準としてX座標、Y参照ミラー107を基準としてY座標、Z参照ミラー108を基準としてZ座標がそれぞれ測長され、被測定物の表面形状を測定した時の測定用プローブ105の位置情報を得ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
ここで、測定用プローブ105は、測定用プローブ105の先端に設けられたスタイラスに加わる力がほぼ一定の力になるようにその位置を制御するため、位置測定機構によってその相対位置が検出され、オートフォーカス制御されている。図6は、三次元形状測定装置におけるプローブの構成を示す模式図である。
【0007】
測定用プローブ105は、スタイラス112及び反射部材113を備えた可動部材111を有しており、可動部材111は、Z方向の移動を弾性的に規制する弾性部材、具体的には板ばね114によって支えられている。可動部材111は板ばね114に吊るされた状態で被測定面2aに追従して上下するように駆動機構が設けられる。
【0008】
上述の位置測定機構は、可動部材111とガイド部115の相対位置を、レーザ光を用いて測定する。すなわち、光源117からの光をダイクロックミラー121により反射させて可動部材111に到達させ、可動部材からの反射光をピンホール板125a,125bを透過させてセンサ126a,126bにより受光する。センサ126a,126bの出力は誤差信号発生部127に入力され、当該誤差信号発生部127からのフォーカス誤差信号がサーボ回路128に送信される。駆動機構129は、サーボ回路128からの信号を受けて、相対位置測定機構から得られた可動部材111とガイド部115の相対位置がほぼ一定になるように測定用プローブを移動させ、可動部材111のガイド部115に対するZ方向の相対位置が所定位置になるように制御する。これにより、被測定面2aに対して常に一定の測定押圧で測定が行われる。(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
上記の測定用プローブの具体的な構成を図7を用いて説明する。プローブ本体116は、箱状のケーシング130で形成され、その下部に円筒形のハウジング132を有するプローブ先部105を脱着可能に装着している。プローブ先部105先端部には、空気軸受131が装着されており、その上部にリング状の突起部材133を設け、その上部に可動部材111を吊るした板ばね114を載置する。ハウジング132の上端部には、内側にレンズ取付け部材134が固定される。レンズ取付け部材134は、レンズ122を挿入した後、レンズ固定部材135の外周部に設けられた雄ネジをレンズ取付け部材134の内周部に設けた雌ネジに挿入してレンズ122をハウジング132に一体的に固定する。
【特許文献1】特開平10−170243号公報
【特許文献2】特開平6−265340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記図7に示したような従来の測定用プローブでは、スタイラス先端部の接触子の磨耗、板状の弾性部材の変位や破損などによって、測定用プローブを点検や交換する時に、プローブ先部105のハウジング132をプローブ本体116のケーシング130から取り外して行う必要があった。このとき、レンズ122もハウジング132と一体的に構成されているため、プローブ本体116から取り外される。よって、スタイラス先端部の接触子の磨耗などに伴う部品の交換や点検後において、レンズとレーザ光の光軸の再調整が必要であり、前記点検や交換時に長時間を要し、たとえば、当該3次元形状測定装置を使用する使用現場での作業は、多大な手間を要するものであった。
【0011】
本発明は、装置の生産現場だけでなく、使用している現場においても部品の交換を容易にしてサービス性を向上させた測定用プローブを提供することを目的としている。さらに、コンパクトなプローブとするとともに、反射光を強くして、ノイズ成分の少ない強い干渉強度が得られる測定用プローブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の測定用プローブを提供する。
【0013】
上記目的を達成するために本発明の第1態様によれば、スタイラスを被測定物の表面に沿って相対的に移動させて前記被測定物の形状を測定するときに、光源から発光されたレーザ光を光学系により反射面に導き前記反射面上で反射した反射光を受光するセンサからの出力に基づいて、前記スタイラスが前記被測定物から受ける圧力を調整可能に構成された前記形状測定装置に用いられる前記測定用プローブにおいて、
前記光学系により導かれた前記レーザ光を前記反射面上に集光させるレンズを保持するレンズ保持部材を保持する第1ハウジング部と、
一端にスタイラスを他端に前記反射面を備えた棒状の可動部材をその軸方向に移動可能に保持する軸受を保持し、前記レンズを透過したレーザ光が前記反射面に到達可能な位置に脱着自在に前記第1ハウジング部に対して連結可能に構成された第2ハウジング部と、を備える測定用プローブを提供する。
【0014】
上記構成において、測定用プローブは、被測定物の形状を測定するために、スタイラスを被測定物表面に接触させた状態で被測定物に対して相対的に移動する。測定用プローブは、被測定物からスタイラスが受ける力を制御するために、レーザ光を用い、一端に反射面を備え軸受けによって保持される可動部材及び反射面にレーザ光を集光させるレンズ保持部材によって保持されるレンズを備える。軸受けは第2ハウジング部に保持されるとともにレンズ保持部材は第1ハウジングに保持される。第1ハウジング部と第2ハウジング部は連結した時に、前記レンズ及び前記反射面が前記レーザ光の光軸と一致するように脱着自在に構成されているため、連結時においては、可動部材の位置測定を行うことができ、また、可動部材を第1ハウジングから分離して点検・交換などの作業をすることができる。
【0015】
本発明の第2態様によれば、前記第1及び第2ハウジング部は、一方の端部に他方に挿入される挿入部を備え、
前記他方の端部に前記挿入部が嵌め込まれる受け部と、前記挿入部が前記受け部に挿入された状態で前記受け部を締め付けて固定する締め付け部とを備える第1態様の測定用プローブを提供する。
【0016】
本発明の第3態様によれば、前記第1ハウジング部は、端部にフランジ部を備える筒形状の前記レンズ保持部材を挿入可能な大きさの穴を有する筒状部材で構成され、内壁に前記フランジ部を係止する係止部と、上端に前記光学系を収容する本体ハウジング部と連結する連結部と、を備える第1又は第2態様の測定用プローブを提供する。
【0017】
上記構成において、第1ハウジング部は、レンズにレーザ光を導く光学系を収納する本体ハウジング部と別体で構成されており、本体ハウジング部の下方に連結することができる。したがって、第1ハウジング部の上側開口からレンズ保持部材を挿入するとともに、レンズ保持部材のフランジ部によって第1ハウジング部に対するレンズ保持部材の位置を決めることができる。
【0018】
本発明の第4態様によれば、前記第1ハウジング部は、さらに、前記第1ハウジング部の外側に位置する操作部と、前記操作部に連動して前記第1ハウジング部でのレンズ保持部材の光軸方向の位置を変更させるように動く連動部とを備える調整機構を備え、前記操作部を動かして前記レンズの前記光軸方向の位置を調整可能である第1から第3態様のいずれか1つの測定用プローブを提供する。
【0019】
本発明の第5態様によれば、前記調整機構は、前記第1ハウジング部の壁を貫通して軸中心に回転可能に配置され、前記第1ハウジング部の外側に位置する端部に前記操作部を備えるとともに前記第1ハウジング部の内側に位置する端部にその回転中心から偏心させて設けられた係合部を有する棒状部材で構成された前記連動部と、
前記レンズ保持部材に設けられかつ前記係合部と係合する被係合部とを備える第4態様の測定用プローブを提供する。
【0020】
上記各構成において、第1ハウジング部に対するレンズ保持部材の位置を変更することができるようなものであれば、調整機構としてどのような機構を用いてもよく、例えば、カムとカムフォロア、ラックピニオンなどの係合により駆動力を伝達させるような機構を利用することができる。
【0021】
本発明の第6態様によれば、前記係合部は、前記棒状部材の軸方向に延在するピンであり、
前記被係合部は、前記光軸に対して略直交する方向に延在し、前記ピンと略同じ幅を有する長穴で構成されている第1ハウジング部第5態様の測定用プローブを提供する。
【0022】
本発明の第7態様によれば、第1から第6態様のいずれか1つの測定用プローブを用いた形状測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、空気軸受を保持する第2ハウジング部と、反射面にレーザ光を集光するレンズを保持する第1ハウジング部とを備え、前記第2ハウジング部と第1ハウジング部を着脱自在に構成しているで、例えば、スタイラスの交換時などにおいてはスタイラスが保持されている第2ハウジング部のみを第1ハウジング部から取り外せばよく、レーザ光を集光するレンズを取り外す必要がない。よって、レーザ光の光軸に対してレンズの位置がずれることがなく、スタイラスの点検、交換などにおいて、従来行っていたレーザ光の光軸の再調整をする必要がなくなる。
【0024】
また、第1及び第2ハウジング部の一方に設けられた挿入部と、他方に設けられた挿入部が嵌め込まれる受け部とによって両者を連結し、締め付け部によって受け部を締めつけるように構成すれば、両者を簡易に脱着することができる。
【0025】
また、本発明の第3態様によれば、第1ハウジング部を本体ハウジングと脱着自在に構成しているため、本体ハウジング部の光軸方向下流側から第1ハウジング部を脱着することができる。よって、本体ハウジング部の光学系に影響を及ぼすことなく第1ハウジング部を固定することができる。またレンズを保持するレンズ保持部材を第1ハウジング部に上側から挿入し、フランジ部で係止することにより、第1ハウジング部に対するレンズ保持部材の位置を一律に決めることができ、第1ハウジング部の構成を簡単にすることができるとともにレンズの位置の調整をすることもできる。
【0026】
また、レンズの位置を外部から調整可能とすれば、焦点距離の小さいレンズを使用した時のレンズやレンズの取付け位置のばらつき及び反射面の位置のばらつき等に対して、レンズ位置を調整することにより常にレーザ光の集光位置を反射面に合わせることができる。従って、焦点距離の小さいレンズを使用して、コンパクトに構成することができるとともに、光をより小さく集光できるので、反射光が強くなりノイズ成分の少ない強い干渉強度が得られる。また、反射面にうねり等があった時に生じる波面収差も起こりにくくなる。
【0027】
また、レンズ保持部材に設けられた長穴と長穴に嵌入するピンによりレンズ保持部材を移動させるようにすれば、レンズ保持部材の光軸方向の位置調整のための機構を簡単な構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の測定用プローブを用いた一実施形態に係る測定用プローブについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の測定用プローブを用いた形状測定装置の概略構成を示す斜視図である。
【0029】
形状測定装置20は、図5に示した従来の形状測定装置100と測定用プローブの構成以外はほぼ共通し、保持台10に載置された被測定物2の測定面2aに測定プローブ1の先端が接触した状態で、相対的に移動することによって、被測定物2における測定面2aの形状について3次元測定を行う装置である。
【0030】
形状測定装置20は、下部石定盤10上に固定された被測定物2に対し、測定プローブ1をX,Y方向に移動させて、測定用プローブ1と被測定物2の測定面2aとを相対的に走査するものである。すなわち、石定盤10上に載置されたレンズ等の被測定物2の測定面2aに、移動体3に取り付けられた測定用プローブ1の先端を追従させ、被測定物2の表面の各点の位置情報を測定することによって被測定物の形状を測定する。被測定物2が搭載されている石定盤10には、支持部を介してX参照ミラー6、Y参照ミラー7、Z参照ミラー8がそれぞれ配置されている。
【0031】
測定用プローブ1が設けられた移動体3には、Xステージ9aおよびYステージ9bが設けられており、測定用プローブ1を被測定物2の測定面2aの表面形状に追従してX軸方向、Y軸方向に移動体3と移動させる。測定用プローブ1は、Z軸方向への自重分はばね39aにより支持されており、また、後述するようにリニアモータ39によりZ軸方向へ移動可能に構成される。
【0032】
さらに、移動体3にはレーザ測長光学系4が設けられており、測定用プローブ1の位置情報として、光干渉法によって、X参照ミラー6を基準としてX座標、Y参照ミラー7を基準としてY座標、Z参照ミラー8を基準としてZ座標がそれぞれ測長されることにより、被測定物の表面形状を測定した時のスタイラスの位置情報を得ることができる
【0033】
次に測定用プローブ1について説明する。測定用プローブ1は、移動体3に設けられており、プローブ本体16と、その下部に装着されたプローブ先部15とを備える。プローブ本体16は、ケーシング21の中に、プローブ先部15に光源27からのレーザ光Gを到達させる光学系と当該レーザ光Gの反射光を受光するセンサ36a,36bを収容する。これらは、後述するように測定用プローブ1は、先端に設けられたスタイラス12に加わる力がほぼ一定の力になるように当該センサ36a,36bの出力に基づいてオートフォーカス制御によりその位置を調整する制御に用いられる。
【0034】
図2は、本発明の実施の形態にかかる測定用プローブの断面図である。プローブ先部15は、プローブ本体16のケーシング21下部と脱着自在に連結し、プローブ本体16のケーシング21に連結する第1ハウジング部50及び第1ハウジング部50の下端側へ脱着可能に連結する第2ハウジング部40を有する。
【0035】
第1ハウジング部50には、レーザ光Fzを反射面13に集光するレンズ22が保持されている。また、第2ハウジング部40には、先端に被測定面2aに接触するスタイラス12と他端部にレーザ光を反射する反射面13を形成した可動部材11を保持する空気軸受17が装着されている。
【0036】
プローブ先部15の具体的構成について説明する。最初に第2ハウジング部40について説明する。図3は、図2の測定用プローブの第2ハウジング部の分解斜視図である。第2ハウジング部40は、第1ハウジング50に挿入される薄肉部40aを上端に備えまた軸受固定用の細径部40bを下端に備えた円筒形状のハウジング本体49を備える。ハウジング本体49の薄肉部40aは、第1ハウジング部50のハウジング本体65の下端に設けられた受け部50a(図4参照)に嵌入して、第2ハウジング部40を第1ハウジング部の下側に連結する。
【0037】
軸受固定用細径部40bは、空気軸受17を嵌入した状態で保持する。空気軸受17は、図3に示すように、その軸受本体42に空気を誘導する通路41を備え、この通路41に小さな孔を開けて軸としての可動部材11に送風して軸受けを形成している。軸受本体42の上面側44には、後述するように可動部材11が挿入されたときその弾性部材14と接触する位置決め部(図示なし)で位置決めされた2個の鋼球45が載置される。また、空気軸受17の外壁は、第2のハウジング部のハウジング本体49で形成し、空気軸受17の通路41に空気を送る空気継ぎ手46と空気を外部に放出する排出口47がハウジング本体49に設けられている。空気軸受17は、軸受本体42に可動部材11を挿入した状態では、可動部材11をZ軸方向にのみ移動可能で、X軸方向及びY軸方向へは移動させることなく保持する。
【0038】
可動部材11の先端(図3において下端)には、可動部材のネジ穴11aと雄ネジ12aで螺合したスタイラス12が固定されている。スタイラス12は、被測定面2aに接触する部材であり、スタイラス12の先端部にはルビーやダイヤモンドの接触子43が固着されている。また、可動部材の他端(図3において上端)には、板バネで構成された弾性部材14が設けられている。また、弾性部材14の表面には、部分的にレーザ光を反射する反射面13が設けられている。スタイラス12及び反射面13を備える可動部材11は、可動部材11の他端部に固着された弾性部材14によって吊るされた状態で支えられる。
【0039】
弾性部材14は、軸受け本体上面44に位置決めされた2個の鋼球45の上に載置され点接触で支持される。スタイラス12の先端に設けられた接触子43が被測定物2の表面2aに接触し、被測定物2から上向きの力を受けると、その力に応じて可動部材11がZ軸方向上側に移動し、その結果、板バネの表面に設けられた反射面13のZ軸方向位置が変化する。反射面13の位置は後述するように、レーザによるオートフォーカス制御により、測定プローブ1全体のZ軸方向への移動によって一定位置に維持され、スタイラスが被測定物2の表面から受ける力が一定になるように調整されるようになっている。
【0040】
次に、第1ハウジング部50について説明する。図4は図2の測定用プローブの第1ハウジング部の分解斜視図である。第1ハウジング部50は、レーザを集光するための集光レンズ22を固定するレンズ取付部材51、プローブ本体16のケーシング21と連結するプローブ取付部材53、プローブ取付部材53と連結し、レンズ取付部材51を固定するハウジング本体65とを備える。
【0041】
レンズ取付部材51は、上端にフランジ部51aが設けられた円筒状部材であり、その外壁の中間部分に軸方向に直交する方向に延在する長穴62が設けられている。長穴62は、レンズ取付部材51の軸方向の幅が短い長穴であり、その幅は後述するピン60の幅と略同じに形成されている。レンズ取り付け部材は、通し穴の下部にネジ51bに形成されており、レンズ22を通し穴の下部から挿入した後、外周に当該ネジ51bと螺合するようにネジ切り52aされたレンズ固定部材52をネジ止めして固定する。すなわち、レンズ取付部材51の下部には雌ネジを、レンズ固定部材52には雄ネジを形成し、レンズ固定部材52を回転して固定する。
【0042】
プローブ取付部材53は、筒状に構成され、プローブ取付部材53の外壁上部には、プローブ本体16のケーシング21と螺合するためのネジ53aが設けられている。筒の開口は、その上部がレンズ取付部材51のフランジ部51aの外径寸法よりも小径に構成される一方、その下部がレンズ取付部材51のフランジ部51aの外径寸法よりも大径に構成される。プローブ取付部材の内周壁にはネジ53bが設けられており、ハウジング本体65の上部に設けられたネジ50bと螺合する。
【0043】
ハウジング本体65は、上部にプローブ取付部材53と連結するためのネジ50bが設けられ、下部に第2ハウジング部の挿入部40aが挿入される受け部50a及び当該受け部50aを締め付ける締め付け部55が設けられた筒状部材である。締め付け部55は、ハウジング本体65の壁に軸方向に直交して設けられた切込54及び当該切込54により形成された締め付け片55a及び締め付け片55aの両端部に設けられた2つの固定用小片55bから構成される。固定用小片55bは、それぞれ対応する位置に雌ネジが設けられており、固定用ツマミ56を当該雌ネジに廻し込んでいくことにより、2つの固定用小片55bが近接して、締め付け片55aが締め付けられる。第2ハウジング部40に設けた挿入部40a及び第1のハウジング50に設けた受け部50aは面接触で連結されるので、第1及び第2ハウジング部がレンズと反射面とが平行になるように連結される。よって、着脱時に光軸のズレが起りにくくなる。
【0044】
第1ハウジング部50は、レンズ22を固定したレンズ取付部材51を、ハウジング本体65に挿入した状態で、プローブ取付部材53とハウジング本体65とをネジ止めして組み立てられる。プローブ取付部材53とハウジング本体65は、両者を完全にネジ止めした時に、図2に示すように、レンズ取付部材51のフランジ51a上面とプローブ取付部材53の間に隙間Lが形成されるように構成される。レンズ取付部材51は、この隙間Lの幅でZ軸方向へ移動可能であり、この隙間の幅が後述するレンズ22の調整範囲となる。
【0045】
レンズ取付部材51の位置調整は、ハウジング本体65に設けられた位置調整ツマミ59を操作することにより行う。位置調整ツマミ59は、ハウジング本体の外壁を貫通して設けられたネジ状の部材であり、その先端部に位置調整ツマミ59の回転軸に対して偏心して形成されたピン60を備える。ピン60は、長穴62に挿入されてレンズ取付部材51と係合する。操作者が位置調整ツマミ59を回転させると偏心して設けられているピン60が上下に移動し、係合するレンズ取付部材51は、ピンの上下動に応じてレンズ22とともにZ軸方向へ移動する。位置調整ツマミ59を操作してレンズ22の位置を所望の位置に調整した後、ビス63でレンズ取付部材51を固定する。
【0046】
本実施形態にかかるプローブを組み立てるには、まず、第2ハウジング部40と第1ハウジング部50とを連結する。上述のように第1ハウジング部50のハウジング本体65の受け部50aには、締め付け片55aと固定用小片部55bとが形成されており、第2ハウジングの挿入部40aを第1ハウジング部50に挿入して固定用ツマミ56を廻して締め付け片55aを締めることによって、第1のハウジング50と第2のハウジング40とがしっかりと固定する。第2ハウジング部40と第1ハウジング部50の接触面、すなわち、第2ハウジング部40では接触面57,第1ハウジング部50では接触面58はともに面形状であり、両者を面接触で固定するため、両者の相対位置が一定になる。
【0047】
次に、第2ハウジング部40と第1ハウジング部50が連結したプローブ先端部15を、プローブ本体16の下部にネジ止めする。すなわち、プローブ取付部材53のネジ部53aをケーシング21に設けられたネジ穴に螺合させてプローブ先部15をプローブ本体16に取り付ける。
【0048】
プローブ本体16は、ケーシング21中に可動部材11または反射部材13とレンズ22の相対位置を測定する光学部材を備え、相対位置測定で得られたデータから可動部材11または反射部材13とレンズ22の相対位置がほぼ一定になるようにオートフォーカス制御に用いる。これにより、被測定面2aに対して常に一定の測定押圧で測定が行われる。
【0049】
プローブ本体は、相対位置を測定する光学部材として、半導体レーザ27、コリメートレンズ28、偏光ビームスプリッタ29、λ/4波長板30、ダイクロックミラー31、レンズ33、ハーフミラー34、ピンホール板35a、35b、光検出器36a、36bを備える。
【0050】
半導体レーザ27はレーザ光Gを発光する。半導体レーザ27から発光されたレーザ光Gが、コリメートレンズ28、偏光ビームスプリッタ29、λ/4波長板30をそれぞれ通過した後、ダイクロックミラー31で反射し、プローブ先部に到達する。プローブ先部では、レーザ光がレンズ22によって可動部材11の反射面13上に集光する。
【0051】
反射面13により反射されたレーザ光Gはレンズ22に戻り、ダイクロックミラー31及び偏光ビームスプリッタ29で全反射し、レンズ33で集光されるとともにハーフミラー34で2つに分離され、それぞれピンホール板35a、35bを通過して2つの光検出器36a、36bで受光される。
【0052】
2つの光検出器36a、36bによる検出出力は誤差信号発生部37に入力される。誤差信号発生部37からはフォーカス誤差信号がサーボ回路38に出力され、サーボ回路38にてリニアモータ39が駆動制御されて、フォーカス誤差信号がゼロになるような位置にフォーカシングされる。プローブ本体16が上記フォーカシングされた位置にあるときは、スタイラスは所定の測定力で被測定物に当接する。
【0053】
上記のように、本実施形態にかかる測定用プローブによれば、可動部材11を保持する空気軸受17と、レンズ22とをそれぞれ別のハウジング部40,50によりを保持するとともに、両ハウジング40,50を着脱自在に装着可能としているので、レーザ光を集光するレンズ22を工場での生産時に装着してしまえば、その後、使用時に取り外しを行う必要が無くなる。従って、スタイラス12の接触子43が磨耗した時や弾性部材14が破損した時には、第2ハウジング部40を第1ハウジング部50から取外して簡単に交換や点検を行うことができ、サービス性が良くなる。すなわち、レンズ22をプローブ本体から取外す必要がないため、例えば接触子43が磨耗した時のスタイラスの交換などの作業において、従来行っていたレンズ22とレーザ光の光軸の調整をする必要がない。
【0054】
また、第1ハウジング部50と第2ハウジング部40を連結する際に、一方のハウジング部の端部を他方に挿入される挿入部40aを備え、他方のハウジング部の端部に前記挿入部40aが嵌め込まれる受け部50a及び前記挿入部40aが挿入された状態で、前記受部50aを締め付けて固定する締め付け部材とを備えているので、着脱時に他の部分に悪影響を与えることがなくなる。すなわち、第2ハウジング部40と第1ハウジング部50とを螺合するように構成すると、第2ハウジング部40と第1ハウジング部50の着脱時に、プローブ本体16のケーシング21とプローブ取付部材53とのネジ止め部や、第1ハウジング部50の本体65とプローブ取付部材53とはネジ止め部が緩むおそれがあり、プローブ先部15とプローブ本体16とが緩んで光軸がずれて測定が不安定にある可能性がある。上記実施態様においては、このような問題を防止することができる。
【0055】
また、レンズ22の位置を外部から調整可能としているので、焦点距離の小さいレンズを使用した場合のレンズ22やレンズ22の取付け位置のバラツキ及び反射面13の位置のバラツキ等に対して、レンズ位置を調整することにより常にレーザ光Fzの集光位置を反射面13に合わせることができる。したがって、焦点距離の小さいレンズを使用して、コンパクトに構成することができるとともに、光をより小さく集光することができる。よって、反射光が強くなりノイズ成分の少ない強い干渉強度が得られると共に、反射面にうねり等があった時に生じる波面収差も起こりにくくなる。すなわち、焦点距離が大きく焦点深度の大きい焦点距離が長いレンズを使用する必要がないため、プローブが大きくなるという問題を解消することができる。
【0056】
また、第2ハウジング部40と第1ハウジング部50の接触面、すなわち、第2ハウジング部40では接触面57、第1ハウジング部50では接触面58はともに面形状として、面接触で装着可能としているので、レンズと反射面とが平行に装着し易くなり、着脱時に起り易い光軸のズレが起りにくくなるとともに作業性がよくなる。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。たとえば、プローブ本体のハウジング、第1及び第2ハウジング部40,50をそれぞれ連結するための構造は、上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、第2ハウジング部40に第1ハウジング部50を嵌め込むように構成してもよいし、ネジ機構により両者を連結するように構成してもよい。
【0058】
また、第1及び第2ハウジング部40,50が脱着可能に分離されていることが必要であるが、プローブ本体のハウジングと第1ハウジング部とは必ずしも別部材で構成されている必要はなく、両者が一体的に構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の測定用プローブは、光学部品や金型等の非球面物体の表面形状を測定する三次元形状測定装置だけでなく、半導体製造用のウエハや磁気記憶ディスクなどの薄板材の平坦度や厚み等を測定する形状測定装置等の測定用プローブに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態における測定用プローブを用いた形状測定装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における測定用プローブの断面図である。
【図3】図2の測定用プローブの本発明の第2ハウジング部の分解斜視図である。
【図4】図2の測定用プローブの本発明の第1ハウジング部の分解斜視図である。
【図5】従来の三次元形状測定装置の全体概略斜視図である。
【図6】従来の三次元形状測定装置における位置測定機構の構成図である。
【図7】従来の三次元形状測定装置のプローブの一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0061】
1 測定用プローブ
2 被測定物
2a 被測定面
11 可動部材
12 スタイラス
13 反射面
15 プローブ先部
16 プローブ本体
22 レンズ
31 空気軸受
40 第2ハウジング部
50 第1ハウジング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタイラスを被測定物の表面に沿って相対的に移動させて前記被測定物の形状を測定するときに、光源から発光されたレーザ光を光学系により反射面に導き前記反射面上で反射した反射光を受光するセンサからの出力に基づいて、前記スタイラスが前記被測定物から受ける圧力を調整可能に構成された形状測定装置に用いられる前記測定用プローブにおいて、
前記光学系により導かれた前記レーザ光を前記反射面上に集光させるレンズを保持するレンズ保持部材を保持する第1ハウジング部と、
一端にスタイラスを他端に前記反射面を備えた棒状の可動部材をその軸方向に移動可能に保持する軸受を保持し、前記レンズ及び前記反射面が前記レーザ光の光軸と一致するように脱着自在に前記第1ハウジング部に対して連結可能に構成された第2ハウジング部と、を備えることを特徴とする、測定用プローブ。
【請求項2】
前記第1及び第2ハウジング部は、一方の端部に他方に挿入される挿入部を備え、
前記他方の端部に前記挿入部が嵌め込まれる受け部と、前記挿入部が前記受け部に挿入された状態で前記受け部を締め付けて固定する締め付け部とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の測定用プローブ。
【請求項3】
前記第1ハウジング部は、端部にフランジ部を備える筒形状の前記レンズ保持部材を挿入可能な大きさの穴を有する筒状部材で構成され、内壁に前記フランジ部を係止する係止部と、上端に前記光学系を収容する本体ハウジング部と連結する連結部と、を備えることを特徴とする、請求項1又は2記載の測定用プローブ。
【請求項4】
前記第1ハウジング部は、さらに、前記第1ハウジング部の外側に位置する操作部と、前記操作部に連動して前記第1ハウジング部でのレンズ保持部材の光軸方向の位置を変更させるように動く連動部とを備える調整機構を備え、前記操作部を動かして前記レンズの前記光軸方向の位置を調整可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の測定用プローブ。
【請求項5】
前記調整機構は、
前記第1ハウジング部の壁を貫通して軸中心に回転可能に配置され、前記第1ハウジング部の外側に位置する端部に前記操作部を備えるとともに前記第1ハウジング部の内側に位置する端部にその回転中心から偏心させて設けられた係合部を有する棒状部材で構成された前記連動部と、
前記レンズ保持部材に設けられかつ前記係合部と係合する被係合部とを備えることを特徴とする、請求項4に記載の測定用プローブ。
【請求項6】
前記係合部は、前記棒状部材の軸方向に延在するピンであり、
前記被係合部は、前記光軸に対して略直交する方向に延在し、前記ピンと略同じ幅を有する長穴で構成されていることを特徴とする、請求項5記載の測定用プローブ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つの測定用プローブを用いた形状測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−3253(P2006−3253A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180701(P2004−180701)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】