説明

測定装置のための評価及び最適化

精度及び正確度に基づいて全体の測定不確実性(TMU)を求めることによって、測定装置を評価し、最適化する方法及び関連したプログラムである。TMUは、線形回帰分析に基づいて、正味残余誤差から基準測定システムの不確実性(URMS)を除去することによって計算される。TMUは、被試験測定システムが製品の実際のばらつきを検出する能力を有するかどうかについて客観的かつより正確に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有効な半導体製造には、極めて精密で正確な測定装置が必要である。特に、製造プロセスにおいてより良好な品質を獲得し、不良品を少なくするためには、測定装置の公差を小さくする必要がある。例えば、非特許文献1には、2001年における分離ラインの制御に必要な精度は1.8nmであることが記載されている。残念なことに、多数の理由により、測定装置の潜在的な測定能力を正確に評価し最適化するのは困難である。例えば、一般に、評価装置により、考慮中の種々の機器へのアクセスが制限された。さらに、各々の機器は、実際の製造場面で該機器がどのように動作するかについて有効な心証を得るために、広範な条件下で評価する必要がある。最終的に、必要とされるパラメータ及び該パラメータをどのように測定すべきかに関する、広く受け入れられた基準がない。その結果、製造のリソグラフィ要件と比較するための、意味のある長さの単位で測定装置の不確実性を計算する適切な解決法が、なかなか見つからなかった。
【0003】
現在の評価方法は、多くの場合、機器の繰り返し精度及び再現性(repeatability and reproducibility,R&R)に基づいている。限界寸法(critical dimension,CD)測定装置の場合には、評価は、部分的に構築された製品ウェーハの代表的なサンプルを製造ラインから抜き取ることによって行なわれることが多い。次に、静的繰り返し精度及び長期再現性を推定できるように、評価中の機器上にレシピ(プログラム命令)が実装される。例えば、所与の製品レベルの測定値についての静的繰り返し精度を求めるために、レシピを実装し、CD測定装置がウェーハ上の特定の場所に移動するようにする。測定の繰り返し精度は、獲得されたデータの標準偏差から求められる。精度とも呼ばれる長期再現性は、各々の測定間に、サンプルが、秒単位から日単位までの範囲の任意の長さの時間だけ機器から取り除かれる点を除いては、静的繰り返し精度と同様の方法で求められる。残念なことに、測定値が間違っている場合には、測定値の繰り返し精度及び再現性は意味をもたない。正確度も考慮しなければならない。上述の方法は、ピッチ標準を用いる較正によって適切な倍率を保証する以外に、機器の正確度を評価するものではない。正確度が考慮されない理由の一つは、半導体技術が進歩する速度のために、通常、いずれの基準も極めて急速に時代遅れになるため、一般に、許容される正確度の基準が入手できないことである。これらの方法の結果、被試験測定システムが信頼できるものであるという誤解が生じるようになった。
【0004】
測定装置の評価のための1つの提案された解決法は、精度に加えて正確度に関する新しいパラメータを導入するというものである。非特許文献2を参照されたい。この手法は、例えば、焦点・露光量マトリックス(focus and exposure matrix,FEM)ウェーハと呼ばれるウェーハを構築することで、サンプルとして標準的な製品ウェーハを用いることから逸脱している。この方法では、高く評価されている基準測定システム(RMS)を用いることにより、FEM上の種々の場について、実際のCD値が求められる。この手法に引き続き、被試験機器からのRMS値及び測定値は、両方の変数が誤差に左右され得る状況に対して有効な線形回帰法によって比較される。FEMウェーハが、通常の製造ライン環境の下で相当な時間が経過した後でなければ生じない製品のばらつきの例を提供するので、FEMウェーハの使用は有利である。この方法の重要なパラメータには、回帰の傾斜、平均オフセット、及び非直線性と呼ばれる「適合性の乏しさ(poorness of fit)」のパラメータが含まれる。しかしながら、繰り返し精度、再現性、及び正確度についてのこのパラメータの組の存在にもかかわらず、依然として、機器を評価又は最適化するために、どのようにこれらの種々のパラメータを組み合わせるかを、評価装置が幾分任意に判断する必要がある。
【0005】
【非特許文献1】International Technology Roadmap for Semiconductor 1999年版
【非特許文献2】Banke及びArchie著、「Characteristics of Accuracy for CD Metrology」、SPIEの予稿集、第3677巻、pp.291−308、1999年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記に鑑みて、当業界には、測定装置を評価し、最適化する改善された方法に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、精度及び正確度に基づいて全体の測定不確実性(total measurement uncertainty,TMU)を求めることによって、測定装置を評価し、最適化する方法に関する。TMUは、線形回帰分析に基づいて、正味残余誤差(net residual error)から基準測定システムの不確実性(URMS)を除去することによって計算される。TMUは、被試験測定システムが製品の実際のばらつきを検出する能力を有するかどうかについて、客観的かつより正確に表示する。
【0008】
本発明の前記及び他の特徴は、本発明の以下のより特定的な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態が、同じ表示が同じ要素を示す、次の図を参照して、詳細に説明される。
【0010】
明確にするためだけに、説明には、次の見出し、すなわちI.データ分析、II.評価方法、III.最適化方法、IV.結論が含まれる。説明全体を通して特定のタイプの測定システムについて述べられるが、本発明の教示は、いずれのタイプの測定システムにも適用可能であることを理解すべきである。
【0011】
I.データ分析
被試験測定システム(以下、「measurement system under test,MSUT」)の全測定不確実性(以下、「TMU」)を求めるために、MSUTの測定データの組と基準測定システム(以下、「RMS」)の測定データの組を比較する必要がある。こうしたデータの組を比較するための従来の技術が、図1に示されるような、該データの組を互いに対してプロットすることによって得られる線形回帰である。次のデータ分析は、本発明が用いる線形回帰の形態を説明する論文である非特許文献2から得られる。ここで用いられる精度は、あるシグマ(σ)値と呼ばれる。
【0012】
一つの変数を別の変数に回帰させるとき、この2つの変数間の関係についての仮説が立てられる。図1を参照すると、MSUT、例えばCD SEMが、1組の参照標準、すなわち、RMS、例えばCD AFMからのものと比べて、一次に線形に動作すると仮定する。こうしたモデルは、次の式:
【数1】

のように、傾斜β及び切片αによって表される。
ここで、y及びxは、それぞれi番目の従属変数及び独立変数を表し、εは、このモデルからのi番目の偏差すなわち残差である。以下により詳細に説明されるように、測定装置の評価及び最適化のデータ分析及び方法に関して、独立変数xは、MSUTを指し、従属変数yは、RMSを指す。
【0013】
通常最小二乗(以下、「ordinary least−squares,OLS」)法は、独立変数(MSUT)において誤差を仮定しない、1つのタイプの一般的な線形回帰分析である。しかしながら、特に半導体業界の測定用途の場合は、この仮定が有効でない状況が存在する。いつ又はどのような条件の下でOLSを用いることを許容し得るかについて、幾らか示す基準がある。1つの基準は、全てのx値の標準偏差と比較すると小さい、独立変数σの精度に基づいている。
【数2】

OLS法の許容可能な使用についての別の基準は、
【数3】

である。
【0014】
推定傾斜がほぼ1の場合には、OLSが有効であるために、独立測定値(MSUT)の精度を、従属変数(RMS)の精度よりずっと小さくするか、又は良好なものにしなければならないことが容易に分かる。恐らく、未知のMSUTの正確度を試験する際に最も重要なことは、この正確度の評価に用いられる結果として生じるパラメータに対する、参照標準における不確実性の影響である。これを説明するためには、測定システムの正確度を適切に評価するための、y(RMS)変数及びx(MSUT)変数の誤差に対処し、結果として生じる最適ラインの傾斜及び切片を推定する線形回帰法が必要である。
【0015】
1964年に導入され、ジョン・マンデルによって1984年に改訂されたマンデルの線形回帰は、両方の変数が誤差に左右され得るときに、最小二乗法を処理する方法を提供する。より一般化されたこの回帰分析の利点の1つは、xの誤差がゼロ(σ=0)の場合でさえも、x及びyの全ての程度の誤差に使用できることである。マンデル法に影響を及ぼす1つのパラメータが、
【数4】

によって定義される、変数λ(ここでは、「比率変数」と呼ばれる)である。
ここで、σ及びσは、それぞれy(RMS)測定値及びx(MSUT)測定値の精度である。マンデル法においては、これらの精度が、正確度ではなく反復のみに基づいていることを理解することが重要である。本発明によると、比率変数λは、
【数5】

として再定義される。
ここで、以下により完全に説明されるように、URMSは、RMS精度(σRMS)又は独自に求められるRMSの全測定不確実性(TMURMS)として定義されるRMSの「不確実性」であり、UMSUTは、訂正されたMSUTの精度又は訂正されたMSUTのTMUの精度として定義されるMSUTの「不確実性」である。TMURMSは、ここに説明されるRMSに適用された方法、すなわちRMSをMSUTとして扱う方法を用いて求めることができる。「TMURMS」と示されていない限り、「TMU」は、MSUTのTMUを指す。
【0016】
マンデル法の目的は、各々の測定値について、信頼性のレベルをもつ何らかの尺度を用いて、適切な手順の分析を開始することである。この回帰から結果として生じる重要な測定基準が、最適ラインの傾斜:
【数6】

である。
ここで、Sxx、Syy及びSxyは、
【数7】

によって定義されるような、生データからの二乗の合計である。
ここで、Nは、順序対の数である。OLSが有効である一般的な線形回帰の場合は、独立変数(MSUT)の不確実性はゼロに向かい、比率変数λは、∞に向かう。比率変数λが無限大に近づくときの傾斜の推定値は、Sxy/Sxxであり、全ての誤差が、y(RMS)測定値と比べてx(MSUT)測定値内にあるとき、比率変数λはゼロに近づき、傾斜の推定値は、Syy/Sxyとなる。これは、xをyに回帰させることに似ており、マンデルの回帰法の別の特徴を示すものである。分析は、x変数及びy変数に関して対称であり、xがyに回帰されるか、yがxに回帰されるかは重要でない。
【0017】
この方法から結果として生じる別の測定基準が、次の
【数8】

として定義される、測定装置の訂正された精度である。
定義されたように、傾斜

が小さい程、RMS値の所与の変化についての、MSUT測定値の変化が大きくなる。MSUTが試験中の他のツールより小さい(良好な)精度を示し、しかも大きい(さらに悪い)傾斜を有することがあるので、訂正された精度の使用は有用である。傾斜が大きいほど、測定用ツールの感度が低くなり、一方、精度が小さい程、測定が確固たるものになり、わずかな変化に敏感になり得る。これらの2つの推定値の積は、訂正されていない、生の精度に対する均衡として働く。したがって、2つの異なるMSUTの同等の訂正された精度については、より小さい推定傾斜

を有するシステムは、より大きい精度σに適合し、同等の訂正された精度を生み出すことができる。換言すれば、傾斜は、RMS較正尺度に対応するように精度を訂正する。
【0018】
訂正された精度についての抑制及び均衡として、傾斜についての仕様も必要である。一定のオフセットを維持するために、1の傾斜(すなわち、傾斜=1)をもつ測定システムを有することが望ましく、このオフセットは、傾斜が1に等しくない場合、RMS値の関数として変化する。この状況が、製造環境における訂正をより複雑なものにする。
【0019】
回帰分析の別のパラメータが、推定切片

である。このパラメータは、推定傾斜によって決まる。その結果、1次回帰分析、すなわち、

の2つのパラメータは、統計的に互いに独立したものではない。さらに、x=0において切片がyの値であるので、その値の直感的意味を得るのは困難である。この回帰のパラメータの代わりに、オフセットと呼ばれる別のパラメータを用い、ここで
【数9】

として定義する。
ここで、

は、較正労力の測定平均値である。このパラメータは、回帰分析から独立している。このことを理解し、MSUTにかかる較正労力について、その測定値をRMS値に対して回帰させることを考慮するとき、オフセットは、RMSと比べるとMSUTの近さを反映するものである。
【0020】
別の抑制は、x対yの関係を線形として説明できるかどうかを調べるために、データを試験する必要があるということである。この抑制は、残余誤差を考慮することによって完了する。残余誤差の定義は、マンデルの場合と比べると一般的な線形回帰(例えば、OLS)の場合に異なる。データの各順序対におけるOLSの残余誤差dは、
【数10】

として定義される。
ここで、

は、それぞれOLS回帰の推定切片及び推定傾斜である。正味残余誤差Dは、これらの残差の平均二乗誤差の平方根であり、
【数11】

として表される。
しかしながら、この残差の定義は、マンデルの方法が、RMSをMSUTと比較する状況に適用されたときには、正しいものでない。正しい正味残余誤差Dは、
【数12】

によって与えられる。
正味残余誤差Dは、誤差の系統的成分及びランダム成分の両方からなる。ここに説明されるデータ収集及び分析方法は、反復によって誤差のランダム成分を評価し、精度の推定値を本質的に形成する段階を含む。それぞれx(MSUT)変数及びy(RMS)変数について、精度の推定値σ及びσが与えられた場合には、データの組:
【数13】

の入力分散を見積もることが可能である。
【0021】
傾斜は、訂正された精度のパラメータへの導入と同様の理由で、上記の定義に含まれる。マンデルの正味残余誤差Dの二乗対入力分散の比は、系統的誤差をデータの組におけるランダム誤差と区別するパラメータである。この量は、ここでは「非線形性」パラメータ:
【数14】

と呼ばれる。
統計的に1より著しく大きいものとして非線形性を示すことができるとき、回帰は、データが著しい非線形の系統的動作を含むことを示す。
【0022】
本発明は、たとえその測定値が、回帰傾斜

及び切片

によって訂正されても、MSUTがどれくらい良好に測定するかを測定要件と直接比較可能な形態で概説する、ここでは「全測定不確実性」(以下、「TMU」)と呼ばれる測定基準を求める。TMU測定基準は、一般的な線形回帰測定基準から、又は好ましくはマンデルの測定基準から得ることができる。特に、TMUは、マンデルの正味残余誤差Dから得ることができる。マンデルの正味残余誤差Dは、RMS不確実性(URMS)、MSUT不確実性(UMSUT)、及びこれらの機器からの測定値間の関係における何らかの非線形性からの寄与を含む。同様に、TMUは、一般的な線形回帰の正味残余誤差Dから得ることができ、RMS不確実性からの寄与、すなわちこの場合はRMS精度(σRMS)、訂正されたMSUTの精度、及びこれらの機器からの測定値間の関係における何らかの非線形性からの寄与を含む。
【0023】
概念的には、TMUは、RMS不確実性(URMS)からの寄与がない正味残余誤差(D又はD)である。TMUは、MSUTの測定値に他の全ての寄与を割り当てる。上述のように、「RMS不確実性」(URMS)は、RMS精度、又は独自に求められるRMSの全測定不確実性(TMURMS)として定義される。つまり、一例では、URMSは、単にRMS精度(σRMS)を考慮することができ、すなわちσRMSは、RMSについてのTMUの推定値として用いられる。しかしながら、RMSがその精度と実質的に異なるTMUを有する場合には、TMURMSを比率変数λ(式5)に入力し、マンデルの正味残余誤差D及びTMUの定義を求めることができる。TMURMSは、RMSについて独立して得ることができ、すなわち別のRMSと比較して、RMSをMSUTとして扱うことができる。上記に基づいて、マンデルの線形回帰についてのTMUを、
【数15】

として定義することができる。
ここで、Dは、マンデルの正味残余誤差である。同様に、一般的な線形回帰についてのTMU、例えば、OLSは、
【数16】

として定義することができる。
ここで、Dは、正味残余誤差である。
【0024】
マンデルの線形回帰に対して、比率変数λを計算するために、訂正されたMSUTの精度が、最初にMSUT不確実性(UMSUT)として用いられるとき、場合によっては、式15からのMSUTについての、次に求められるTMU値が、MSUTについての訂正された精度(すなわち、UMSUT)と実質的に異なり得ることを理解すべきである。この場合、求められるTMUを、比率変数λ(式5)の定義における訂正されたMSUTの精度に代入した状態で、線形回帰を繰り返すことができる。同様に、次に求められるMSUTについてのTMUが、依然として用いられたMSUT不確実性と実質的に異なる場合には、MSUT不確実性(UMSUT)及びTMUが十分に収束し、首尾一貫した結果を示すまで、TMUの新しい推定値の各々を、比率変数λ(式5)におけるMSUT不確実性(UMSUT)に代入した状態で、線形回帰を繰り返すことができる。
【0025】
この方法を実行する技術及びこれらの2つのシステムによって用いられる測定技術の性質によって、アーチファクト自体からの望ましくない寄与があり得ることも理解すべきである。適切に設計されたこの方法の用途は、この寄与を最小限に抑えるか又はなくすようにすべきである。
【0026】
TMUは、精度及び正確度の両方に起因する誤差が存在する場合に対処するので、精度の推定値だけの場合より正しいMSUT不確実性の推定値を提供する。対照的に、マンデルの線形回帰法は、両方の変数が機器の精度にのみ左右される場合に対処するだけである。したがって、TMUは、MSUTのデータが、図1の直線SLプロットを生成する理想的な動作からどのように逸脱するかについての、又はMSUTが正確に測定できないことについてのより客観的かつ総合的な尺度である。しかしながら、TMUと、一般に測定誤差と考えられるもの、すなわち、ランダム誤差及び系統的誤差の寄与の全ての可能な源の平方和との間に違いがあることを理解すべきである。特に、倍率較正誤差及びオフセット誤差による系統的誤差は、原則として、較正に十分な注意が払われる場合に、小さな寄与まで任意に減少させることができるので、TMU内に含まれない。較正に十分な注意が払われる場合、TMUは、所与のタイプの測定について達成できる限度を示す。結果として、それはシステムの固有の測定値に匹敵する測定値を示す。
【0027】
II.評価方法
図2から図6までを参照して、被試験測定システム(MSUT)を評価する方法及びプログラムが説明される。
【0028】
図2Aを参照すると、第1の実施形態によるMSUTを評価する方法のフロー図が示される。
【0029】
第1のステップS1において、MSUTの評価に用いるためのアーチファクトを準備する。図3を参照すると、ここで用いられる「アーチファクト」は、基板16上に設けられた複数の構造8を指す。アーチファクトは、特定のMSUTについての、関心ある特定の半導体プロセスにおけるばらつきを表すために生成される。一実施形態において、アーチファクトは、実際の製品から得られるプロセス重視のサンプルとすることができる。図3は、露出不足の構造10と、理想的な構造12(「レコードのプロセス」(POR)構造と呼ばれる)と、露出過度のアンダーカット14とを含む、特定のプロセスについての例示的な構造を示す。アーチファクト8は、製造中に生じ得る種々のシナリオの全ての適正な表示を含むように構築すべきである。形成されたアーチファクトのタイプは、例えば、評価を必要とする測定のタイプ、測定を変える製造プロセス、及び温度、プローブの損傷、製造された製品の構造又は材料などのような、測定を変える測定パラメータに基づいて大きく変わることがある。
【0030】
図2Aに戻ると、ステップS2において、基準測定システム(RMS)を用いてアーチファクト8(図3)の限界寸法を測定し、RMSのデータの組を生成する。寸法は、例えば、ライン幅、深さ、高さ、側壁の角度、上部コーナー部の丸み、又は何らかの有用な寸法の少なくとも1つを含むことができる。RMSは、特定の産業又は製造プロセス内で信頼されている何らかの測定システムである。測定ステップは、アーチファクトを特徴付け、構造の位置及び基準値を詳述する文書化をもたらすステップを含む。このステップの一部として、RMS不確実性(URMS)を計算する。この計算は、現在知られている又は後に開発されるいずれかの方法、例えば、標準偏差分析によってRMS精度(σRMS)を計算するステップを含むことができる。代替的に、この計算は、ここに開示される方法に従ってTMURMSを計算するステップを含むことができる。すなわち、RMSをMSUTとして処理し、別のRMSと比較することができる。
【0031】
ステップS3において、MSUTを用いて同じ寸法を測定し、MSUTデータの組を生成する。このステップは、現在知られているか又は後に開発されるいずれかの方法によるMSUTの長期再現性(精度)研究を行うステップを含む。このステップの一部として、MSUTデータの組からのMSUT精度σMSUTも、現在知られているか又は後に開発されるいずれかの方法、例えば、標準偏差分析によって計算される。
【0032】
再び図1を参照すると、CD SEMの形態のMSUT対AFMの形態のRMSによって測定されたデータのプロットが示される。上記のデータ分析部分に説明されるように、MSUTが完全な測定用ツールである場合、互いにプロットされたとき、すなわちy=xであるとき、データの組が直線(図1のSL)を形成するはずである。すなわち、その線は、同一のデータポイントによって生成されるときに、1の傾斜と、0の切片とを有するはずである。しかしながら、MSUT及びアーチファクトが無数のプロセス変動に左右されるので、MSUTは決して完全な測定用ツールにならない。大抵の場合、0の切片又は1の傾斜は起こりにくく、さらに悪いことに、データ内にピーク又は曲率を有することがある。この全てが、MSUTの不正確度を示す。
【0033】
ステップS4−ステップS5(図2A)は、上述のデータ分析によるMSUTの全測定不確実性(TMU)の計算を表す。第1の部分であるステップS4において、上述のような、MSUT及びRMSのデータの組のマンデルの線形回帰が遂行される。マンデルの線形回帰は、傾斜、MSUTの正味残余誤差(すなわち、RMSデータの組と比較したMSUTデータの組)、MSUTの訂正された精度、及び平均オフセットのパラメータを生成する。
【0034】
次に、ステップS5において、TMUが、式:
【数17】

によって求められる。
ここで、Dは、マンデルの正味残余誤差(式12)であり、DRMSは、RMS不確実性、すなわち、RMS精度(σRMS)、又は独自に求められるTMURMSである。換言すれば、MSUTについてのTMUは、正味残余誤差(D)からRMS不確実性(URMS)を除去することによって求められる。
【0035】
ステップS6において、求められたTMUが、MSUT不確実性(UMSUT)と実質的に異なるかどうかについての判断がなされる。ステップS4−S5の第1のサイクルにおいて、MSUT不確実性は、訂正された精度である。後のサイクルにおいて、MSUT不確実性は、MSUTの既に求められたTMU値である。上述のように、ステップS6がイエスである場合、既に求められたTMU値が、比率変数λ(式5)におけるMSUT不確実性(UMSUT)(ステップS7)に代入された状態で、マンデルの線形回帰を繰り返すことができる。MSUT不確実性(UMSUT)及びTMUが十分に収束し、首尾一貫した結果を示すまで、マンデルの線形回帰分析を繰り返すことが好ましい。どれだけの量が「十分な収束」であるか、又は「実質的に異なる」かは、例えば、百分率によるなど、ユーザ定義とすることができる。
【0036】
ステップS6における判断が「ノー」である場合、求められたTMU値がMSUTについての最終TMUである、すなわち、十分な収束が行われたと考えられる。最終TMUに基づいて、MSUTの客観的な評価が達成される。
【0037】
図2Bを参照すると、第2の実施形態によってMSUTを評価する方法のフロー図が示される。この実施形態は、線形回帰を、例えばOLSのような何らかの一般的な線形回帰とできる点を除くと、図2Aの実施形態と実質的に類似している。この場合、TMUは、式:
【数18】

によって定義される。
ここで、Dは、正味残余誤差(式11)であり、URMSは、RMS不確実性、すなわち、RMS精度(σRMS)、又は独自に求められるTMURMSである。ステップS5における求められたTMUが、最終TMUである。
【0038】
評価の例
図4を参照すると、2つのCD SEM(CD SEM A及びCD SEM B)からの測定値を高く評価されているRMSと比較するグラフが図示される。用いられているアーチファクトは、関心ある形態としてレジストの分離ラインの最大寸法を有する焦点・露光量マトリックス(FEM)ウェーハであった。これは、トランジスタを切り換えることができる速度を決定する主要な半導体処理ステップと類似しているので、特に重要な幾何学的形状及び材料である。したがって、この製造のステップにおけるより緊密で正確な制御により、非常に高速で収益性の高いコンピュータ・チップをより多く製造することが可能になる。この場合のRMSは、実際のCD、すなわちレジストの最大ライン幅を求めるのに信頼されている原子間力顕微鏡(AFM)であった。
【0039】
理想的には、このデータは、1の傾斜及びゼロのオフセットを有する直線に沿って位置するはずである。非線形性(式14)のパラメータは、最適ラインの周りのデータの分散を特徴付ける。この分散の変動は、この変動の全てが再現性によって測定されたランダム測定変動による場合に、非線形性が1に等しくなるように正規化される。この場合、CDSEM Aは、100の非線形性を有し、CDSEM Bは、137の値を有する。両方とも、気をもみたくなる程大きな数である。このデータから得られる次の表は、TMUパラメータの改善された客観性をさらに示す。
【表1】

【0040】
この例は、キーとしての精度を用いて、精度を含むが正確度からの寄与も含む、ロードマップ・パラメータとTMUとの間の極度の矛盾を示す。レジスト分離ラインの特定の例において、問題は、ライン形状、及びMSUTがどれだけ良好に所望の限界寸法を測定するかに対して重大な変化をもち得る印刷プロセス中の極度のレジスト損失に関連するものである。図5は、このFEMウェーハ上の形態の1つについての多数のAFM像を示す。AFM像は、エッジ粗さ、上部コーナー部の丸み、及びアンダーカットさえも示す。図6を参照すると、グラフは、FEM全体にわたる形態の高さ及び側壁の角度のばらつきを示す。水平方向軸上には、フォトリソグラフィ・ステッパの焦点設定値がある。このFEM全体にわたって、形態の高さは3倍変化する。さらに、側壁の角度の大幅なばらつきがある。
【0041】
III.最適化方法
上述の評価方法及びTMU計算のための用途は、測定システムの最適化にある。MSUTの最適化のための従来の方法は、測定条件及びアルゴリズム設定値を求め、測定の精度及びオフセットを最小限に抑えるというものである。しかしながら、上述のようにTMUを最小化することにより、より客観的かつ総合的な判断がなされる。
【0042】
図7Aに戻ると、第1の実施形態によってMSUTを最適化する方法のフロー図が示される。第1のステップS1において、評価方法に関して上述された構造8(図3)、すなわちアーチファクトを構成する。
【0043】
ステップS2(図7A)は、基準測定システム(RMS)を用いて、測定パラメータにより複数の構造の寸法を測定し、RMSデータの組を生成するステップを含む。ここで用いられる「測定パラメータ」は、制御可能に変更でき、測定の結果に影響を与える何らかの測定条件又は分析パラメータを指す。「測定パラメータ」はまた、条件及びパラメータの組み合わせ、又はこれらの1つの変形を含むこともできる。例えば、MSUTのタイプによって測定パラメータを変えてもよい。例えば、SEMの場合には、測定パラメータは、データ平滑化量、アルゴリズム設定値、ビーム・ランディング・エネルギー、電流、エッジ検出アルゴリズム、走査速度などの少なくとも1つを含むことができる。スキャタロメータの場合には、測定パラメータは、スペクトル平均時間枠、スペクトル波長帯、入射角、測定領域、選択された波長の密度、理論モデルにおける多数の調整可能な特性などの少なくとも1つを含むことができる。AFMの場合には、測定パラメータは、走査の数、走査間の時間枠、走査速度、データ平滑化量、測定領域、先端形状などの少なくとも1つを含むことができる。測定パラメータを選択するステップ(図示せず)を、最適化方法に含ませてもよい。続いて、RMS不確実性(URMS)を計算する。この計算は、現在知られている又は後に開発されるいずれかの方法、例えば、標準偏差分析によってRMS精度(σRMS)を計算するステップを含むことができる。代替的に、この計算は、ここで開示される方法によるTMURMSを計算するステップを含むことができる。すなわち、RMSをMSUTとして処理し、別のRMSと比較することができる。
【0044】
次のステップS3において、MSUTを用いて同じ測定パラメータにより複数の構造の同じ寸法を測定し、MSUTデータの組を生成する。続いて、MSUTデータの組からMSUT精度を計算する。
【0045】
ステップS4は、評価方法に関して上述されたように、MSUT及びRMSデータの組のマンデルの線形回帰分析を行い、訂正されたMSUT精度及びMSUTについての正味残余誤差を求めるステップを含む。
【0046】
次にステップS5において、TMUは、式:
【数19】

によって求められる。
ここで、Dは、マンデルの正味残余誤差(式12)であり、URMSは、RMS不確実性、すなわち、RMS精度(σRMS)又は独自に求められるTMURMSである。換言すれば、MSUTについてのTMUは、正味残余誤差DからRMS不確実性(URMS)を除去することによって求められる。
【0047】
ステップS6において、求められたTMUがMSUT(UMSUT)の不確実性と実質的に異なるかどうかについての判断がなされる。上述のように、ステップS4−S5の第1のサイクルにおいて、MSUT不確実性は、訂正された精度である。後のサイクルにおいて、MSUT不確実性は、MSUTの既に求められたTMU値である。上述のように、ステップS6が、「イエス」である場合、既に求められたTMU値が、比率変数λ(式5)におけるMSUT不確実性(UMSUT)(ステップS7)に代入された状態で、マンデルの線形回帰を繰り返すことができる。MSUT不確実性(UMSUT)及びTMUが十分に収束し、首尾一貫した結果を示すまで、マンデルの線形回帰分析を繰り返すことが好ましい。どれだけの量が「十分な収束」又は「実質的に異なる」かは、例えば、百分率によるなど、ユーザ定義とすることができる。
【0048】
ステップS6における判断が「ノー」である場合、求められたTMUは、その測定パラメータについての最終TMUと考えられ、処理はステップS8に進む。
【0049】
ステップS8において、別の測定パラメータ(例えば、CD SEM平滑化フィルタ調整)が存在するかどうかについての判断がなされる。ステップS8が「イエス」である場合、ステップS3からステップS7までを、別の測定パラメータについて繰り返すことができる。この繰り返すステップは、如何なる数の測定パラメータについても繰り返すことができる。結果として得られたデータは、対応する測定パラメータ及び/又はアーチファクトの構造を有する多数のTMUを含む。ステップS8が「ノー」になる場合、処理はステップS9に進む。
【0050】
ステップS9は、最小TMUに基づいて最適測定パラメータを求めることによって、MSUTを最適化するステップを含む。特に、最小TMUは、対応する複数の測定パラメータの複数の全体測定不確実性から選択される。対応する測定パラメータは、MSUTを用いるための不明確かつ不正確な環境を表す。
【0051】
図7Bを参照すると、第2の実施形態によりMSUTを最適化する方法のフロー図が示される。この実施形態は、線形回帰を、何らかの一般的な線形回帰、例えば、OLSにすることができる点を除くと、図7Aの実施形態と実質的に類似している。この場合、TMUは、式:
【数20】

によって定義される。
ここで、Dは、正味残余誤差(式11)であり、URMSは、RMS不確実性、すなわち、RMS精度(σRMS)又は独自に求められるTMURMSである。さらに、ステップS5において測定パラメータについて求められたTMUが、その特定の測定パラメータの最終TMUと考えられる。ステップS6及びステップS7は、図7Aの説明に関するステップS8及びS9と同一である。
【0052】
最適化の例
図8を参照すると、レジスト分離ラインの幾何形状についてCD SEMの測定条件を最適化することから得られた例が、図示される。CD SEMの開始条件は、前述されたCD SEMの1つのものであった。幾つかの獲得条件及びアルゴリズム設定値が、この調査において最適化されたが、図8に示されるグラフは、更に別のアルゴリズム分析の前に、生のCD SEMの波形に対してなされた平滑化の量を変化させた結果を示す。特に、この平滑化によるノイズの低減は、訂正された精度を減少させる際にプラス効果をもつ。しかしながら、TMUの観点からは、この傾向が反対になる。TMUを支配するこの傾向からも明らかなように、このことは、平滑化が進むにつれて、アーチファクト内のプロセス変化の追跡の正確度の損失が大きくなることを示唆する。
【0053】
IV.結論
評価及び最適化方法の特定の実施形態が上述されたが、特定のステップを省略することも、変えることもできることを理解すべきである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に与えられるもの以外の何らかの特定の実施形態に限定すべきではない。
【0054】
前記の説明において、説明された方法ステップは、メモリに格納されたプログラムの命令を実行するコンピュータ・システムのCPUのようなプロセッサによって実行できることが理解されるであろう。ここに説明される種々の装置、モジュール、機構、及びシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにおいて実現することができ、図示された以外の方法で区分化できることが理解される。これらは、何らかのタイプのコンピュータ、又はここに説明される方法を実行するために適合される他の装置によって実装することができる。ハードウェア及びソフトウェアの一般的な組み合わせは、取り込まれ実行されたときに、ここに説明される方法を実行するようにコンピュータ・システムを制御するコンピュータ・プログラムを有する汎用コンピュータ・システムとすることができる。代替的に、本発明の機能タスクの1つ又はそれ以上を実行するための専用ハードウェアを含む特殊用途向けコンピュータを用いることもできる。本発明はまた、ここに説明される方法及び機能の実装を可能にする全ての特徴を含み、コンピュータ・システムに取り込まれたときに、これらの方法及び機能を実行できるコンピュータ・プログラム内に内蔵することもできる。この状況において、コンピュータ・プログラム、ソフトウェア・プログラム、プログラム、プログラム製品、又はソフトウェアは、情報処理能力を有するシステムに、特定の機能を直接実行させるか、又は(a)別の言語、コード、又は記号との会話後、及び/又は(b)異なる材料形態における再生後に実行させるように意図された、何らかの言語、コード、又は記号における1組の命令の何らかの表現を意味する。
【0055】
本発明は、上に概説された特定の実施形態と併せて説明されたが、当業者には、多くの代替物、訂正物、及び変形物が明らかであろう。したがって、上述された本発明の実施形態は、制限のためではなく、例示的なものであることが意図される。上記の特許請求の範囲に定められる本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更をなすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、被試験測定システムを評価し、最適化するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】被試験測定システム対基準測定システムのデータのグラフを示す。
【図2A】本発明の評価方法の実施形態のフロー図を示す。
【図2B】本発明の評価方法の実施形態のフロー図を示す。
【図3】測定のためのアーチファクトの多数の断面図を示す。
【図4】被試験CD走査電子顕微鏡(SEM)対原子間力顕微鏡(AFM)の2つの基準測定システムのデータのグラフを示す。
【図5】アーチファクトの1つの形態についてのAFM像を示す。
【図6】フォトリソグラフ・ステッパの焦点及び線量による、種々の形態にわたる形態の高さ及び側壁の角度のばらつきのグラフを示す。
【図7A】本発明の最適化方法の実施形態のフロー図を示す。
【図7B】本発明の最適化方法の実施形態のフロー図を示す。
【図8】全測定不確実性と訂正された精度対図7A−図7Bに示される最適化プロセスからのSEMデータ平滑化量のグラフを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験測定システム(MSUT)を評価する方法であって、
(a)複数の構造を有する基板を設け、
(b)基準測定システム(RMS)により前記複数の構造の寸法を測定して第1のデータの組を生成し、前記第1のデータの組からRMS不確実性(URMS)を計算し、ここでRMS不確実性(URMS)は、RMS精度及び独自に求められたRMSの全測定不確実性(TMURMS)の1つとして定義され、
(c)前記MSUTを用いて前記複数の構造の前記寸法を測定して第2のデータの組を生成し、前記第2のデータの組から該MSUTの精度を計算し、
(d)前記第1及び第2のデータの組の線形回帰分析を行って前記MSUTの訂正された精度及び正味残余誤差を求め、
(e)前記正味残余誤差から前記RMS不確実性(URMS)を除去することによって、前記MSUTの全側定不確実性(TMU)を求める、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数の構造は半導体プロセスにおけるばらつきを表すものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記寸法が、ライン幅、深さ、高さ、側壁の角度、及び上部コーナー部の丸みの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記MSUTの前記TMUは、Dが前記残余誤差であるとして、式:
【数1】

によって求められる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
マンデルの線形回帰を用いて前記線形回帰を計算し、比率変数λは、UMSUTが前記MSUTの訂正された精度及び該MSUTの前記TMUの1つとして定義されるMSUT不確実性であるとして、式:
【数2】

によって定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記MSUTの前記TMUは、ステップ(e)の後の前記MSUT不確実性(UMSUT)と実質的に異なる場合に、ステップ(d)及びステップ(e)が、前記比率変数λを求める際の該MSUT不確実性(UMSUT)として該MSUTの該TMUを用いて繰り返される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記MSUTの前記TMUは、Dが前記マンデルの正味残余誤差であるとして、式:
【数3】

によって求められる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
被試験測定システム(MSUT)を最適化する方法であって、
(a)複数の構造を設け、
(b)基準測定システム(RMS)を用いて測定パラメータにより前記複数の構造の寸法を測定して第1のデータの組を生成し、前記第1のデータの組から、RMS精度及び別個に求められたRMSの全測定不確実性(TMURMS)の1つとして定義されるRMS不確実性(URMS)を計算し、
(c)前記MSUTを用いて、前記測定パラメータにより前記複数の構造の前記寸法を測定して第2のデータの組を生成し、前記第2のデータの組から該MSUT精度を計算し、
(d)前記第1及び第2のデータの組の線形回帰分析を行って前記MSUTの訂正された精度及び正味残余誤差を求め、
(e)前記正味残余誤差から前記RMS不確実性(URMS)を除去することによって、前記MSUTの全測定不確実性(TMU)を求め、
(f)少なくとも1つの他の測定パラメータについて、ステップ(c)からステップ(e)までを繰り返し、
(g)最小の全測定不確実性に基づいて最適な測定パラメータを求めることによって、前記MSUTを最適化する、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
評価されるべき一組の測定パラメータを選択するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記MSUTがSEMであり、測定パラメータが、データ平滑化量、アルゴリズム設定値、ビーム・ランディング・エネルギー、電流、エッジ検出アルゴリズム、及び走査速度の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記MSUTがスキャタロメータであり、測定パラメータが、スペクトルの平均時間枠、スペクトルの波長帯、入射角、測定領域、選択された波長の密度、理論モデルにおける多数の調整可能な特性の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記MSUTがAFMであり、測定パラメータが、走査の数、走査間の時間枠、走査速度、データの平滑化量、測定領域、先端形状の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の構造は半導体プロセスにおけるばらつきを表すものである、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記寸法が、ライン幅、深さ、高さ、側壁の角度、及び上部コーナー部の丸みの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記MSUTの前記TMUは、Dが前記残余誤差であるとして、式:
【数4】

によって求められる、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
マンデルの線形回帰を用いて前記線形回帰を計算し、比率変数λは、UMSUTが前記MSUTの訂正された精度及び該MSUTの前記TMUの1つとして定義されるMSUT不確実性であるとして、式:
【数5】

によって定義される、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記MSUTの前記TMUは、ステップ(e)の後の前記MSUT不確実性(UMSUT)と実質的に異なる場合に、ステップ(d)及びステップ(e)が、前記比率変数λを求める際の該MSUT不確実性(UMSUT)として該MSUTの該TMUを用いて繰り返される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記MSUTの前記TMUは、Dが前記マンデルの正味残余誤差であるとして、式:
【数6】

によって求められる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
被試験測定システム(MSUT)を評価するために、内部に組み込まれたコンピュータ可読プログラム・コードを有するコンピュータ使用可能媒体を含むコンピュータ・プログラムであって、
(a)基準測定システム(RMS)により前記複数の構造の寸法を測定して第1のデータの組を生成し、前記第1のデータの組からRMS不確実性(URMS)を計算し、ここでRMS不確実性(URMS)は、RMS精度及び独自に求められたRMSの全測定不確実性(TMURMS)の1つとして定義されるように構成されたプログラム・コードと、
(b)前記MSUTにより前記複数の構造の前記寸法を測定して第2のデータの組を生成し、前記第2のデータの組から該MSUTの精度を計算するように構成されたプログラム・コードと、
(c)前記第1及び第2のデータの組の線形回帰分析を行い、前記MSUTの訂正された精度及び正味残余誤差を求めるように構成されたプログラム・コードと、
(d)前記正味残余誤差から前記RMS不確実性(URMS)を除去することによって、前記MSUTの全測定不確実性(TMU)を求めるように構成されたプログラム・コードと、
を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項20】
前記TMUを求めるように構成された前記コードは、Dが前記残余誤差であるとして、式:
【数7】

を実施する、請求項19に記載のプログラム。
【請求項21】
前記線形回帰を行うように構成された前記コードは、マンデル線形回帰を実施し、比率変数λは、UMSUTが前記MSUTの訂正された精度及び該MSUTの前記TMUの1つとして定義されるMSUT不確実性であるとして、式:
【数8】

によって定義される、請求項19に記載のプログラム。
【請求項22】
前記MSUTの前記TMUが前記MSUT不確実性(UMSUT)と実質的に異なる場合に、線形回帰分析を行うように構成されたプログラム・コードと、前記比率変数λを求める際の該MSUT不確実性(UMSUT)として該MSUTの該TMUを用いてTMUを求めるように構成されたプログラム・コードとを再実行するように構成されたプログラム・コードをさらに含む、請求項21に記載のプログラム。
【請求項23】
前記TMUを求めるように構成された前記コードは、Dが前記マンデルの正味残余誤差であるとして、式:
【数9】

を実施する、請求項21に記載のプログラム。
【請求項24】
被試験測定システム(MSUT)を最適化するために、内部に組み込まれたコンピュータ可読プログラム・コードを有するコンピュータ使用可能媒体を含むコンピュータ・プログラムであって、
(a)基準測定システム(RMS)を用いて測定パラメータにより複数の構造の寸法を測定して第1のデータの組を生成し、前記第1のデータの組から、RMS精度及び別個に求められたRMSの全測定不確実性(TMURMS)の1つとして定義されるRMS不確実性(URMS)を計算するように構成されたプログラム・コードと、
(b)前記MSUTを用いて前記測定システムにより前記複数の構造の前記寸法を測定して第2のデータの組を生成し、前記第2のデータの組から該MSUTの精度を計算するように構成されたプログラム・コードと、
(c)前記第1及び第2のデータの組の線形回帰分析を行い、前記MSUTの訂正された精度及び正味残余誤差を求めるように構成されたプログラム・コードと、
(d)前記正味残余誤差から前記RMS不確実性(URMS)を除去することによって、前記MSUTの全測定不確実性(TMU)を求めるように構成されたプログラム・コードと、
(e)対応する複数の測定パラメータの複数の全測定不確実性から選択された最小の全測定不確実性に基づいて最適な測定パラメータを求めることによって、前記MSUTを最適化するように構成されたプログラム・コードと、
を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項25】
前記TMUを求めるように構成された前記コードは、Dが前記マンデルの正味残余誤差であるとして、式:
【数10】

を実施する、請求項24に記載のプログラム。
【請求項26】
前記線形回帰を行うように構成された前記コードはマンデルの線形回帰を実施し、比率変数λはUMSUTが訂正された前記MSUTの精度及び該MSUTの前記TMUの1つとして定義されるMSUT不確実性であるとして、式:
【数11】

によって定義される、請求項24に記載のプログラム。
【請求項27】
前記MSUTの前記TMUが前記MSUT不確実性(UMSUT)と実質的に異なる場合に、線形回帰分析を行うように構成されたプログラム・コードと、前記比率変数λを求める際の該MSUT不確実性(UMSUT)として該MSUTの該TMUを用いてTMUを求めるように構成されたプログラム・コードとを再実行するように構成されたプログラム・コードをさらに含む、請求項26に記載のプログラム。
【請求項28】
前記TMUを求めるように構成された前記コードは、Dが前記マンデルの正味残余誤差であるとして、式:
【数12】

を実施する、請求項26に記載のプログラム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−510912(P2006−510912A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563147(P2004−563147)
【出願日】平成14年12月20日(2002.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2002/041180
【国際公開番号】WO2004/059247
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】