説明

湿式画像形成装置

【課題】簡易な方式でパッチ画像のクリーニングが可能な湿式画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間転写体130にスクイズローラー140を当接して配置する。スクイズローラー140には、バイアスを切り替えるための電圧供給装置141、及びクリーニング部材142が配設される。そして、パッチ画像中のトナー粒子を引き付けるように設定したバイアス電圧を電圧供給装置141によりスクイズローラー140に印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に関し、液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、現像装置を用いて感光体上に静電潜像がトナーにより現像される。そして、例えば、感光体上に現像された静電潜像が記録用紙に転写されて画像が形成されることになる。このような画像形成装置の転写プロセスでは、一般に静電転写方式が採用されている。
【0003】
トナー像を被転写体である用紙に転写する場合は、感光体に対向するように配置された用紙の裏面から転写ローラー等により電圧を印加し、感光体と記録用紙との間に電界を形成してこの電界によりトナー像を記録用紙に静電吸着させている。
【0004】
そして、その後、定着装置により加圧定着することにより転写されたトナー像を記録用紙に定着させている。
【0005】
一方で、近年、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー像の乱れが生じにくい液体現像剤を用いた湿式現像装置が知られている。この湿式現像装置は、トナーの平均粒子径が0.1〜2μmと小さいので高解像度の画像が得られる、液体のため流動性が高いことから均一な画像が得られる、等の利点を有している。
【0006】
この湿式画像形成装置では、装置各部に与えるバイアス電位をはじめとする様々な要素から成る画像形成条件を変化させることで画像濃度などの画像品質を調節することが可能である。また、装置の個体差、経時変化や温湿度など装置の周囲環境の変化に起因してトナー像の画像濃度が異なることがある。
【0007】
それゆえ、上記要素のうち画像濃度に影響を与える画像形成条件を調整することで画像濃度を制御する濃度制御技術が従来より提案されている。
【0008】
一般的には光学的な検知手法を用いてパッチ画像のトナー量を検知し、その結果を現像装置にフィードバックする方式が採られている。
【0009】
たとえば、画像形成領域外に複数の濃度諧調からなるパッチ画像(検知パターン)を形成し、これを光学的な検知手法によって読み取ることにより、基準のトナー量範囲に入っているか判断する。
【0010】
高画質、安定性などが求められるオンデマンド印刷装置においては、このような検知工程をきめ細かく行い、画像濃度を安定化させることが必要となる。
【0011】
一方で、検知用のパッチ画像のクリーニングも重要である。当該パッチ画像(検知パターン)のクリーニングに関しては、一般的には、転写ローラーにクリーニング部を設けて対応する。しかしながら、この方式ではクリーニング不良があった場合に、パッチ画像(検知パターン)が用紙に裏写りする危険性がある。
【0012】
特許文献1によれば、当該パッチ画像を転写部材に転写した後にクリーニングする方式が提案されているが、クリーニングのための専用部材を設ける必要がある。
【0013】
また、特許文献2によれば、レジマーククリーナを用いて検知パターンのクリーニングを実行する方式が提案されているが、当該文献においても専用部材を設ける必要がある。
【0014】
また、特許文献3によれば、スイープローラーを用いて潜像担持体上の非画像部のカブリトナー、また画像部の余剰トナーを除去する方式が提案されているが、パッチ画像のクリーニングについては記載がなく、上記と同様の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平11−15284号公報
【特許文献2】特開2006−84792号公報
【特許文献3】特開2006−189639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、簡易な方式でパッチ画像のクリーニングが可能な湿式画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いて像担持体上にトナー像を形成する湿式画像形成装置であって、像担持体に画像パターンを形成する作像部と、濃度検知用の画像パターンの濃度を検知して、濃度を制御する濃度制御部と、像担持体に形成された画像パターンにおける余剰のキャリア液を除去するためのスクイズ部と、像担持体に形成された画像パターンを転写部材に転写するための転写部と、濃度検知用の画像パターンをスクイズ部に転写させるためにスクイズ部と像担持体との間に電界を生じさせる電圧印加部とを備える。
【0018】
好ましくは、スクイズ部は、クリーニング装置を含む。
好ましくは、濃度検知用の画像パターンは、作像部により転写部材に転写される画像間に形成される。
【0019】
好ましくは、濃度制御部は、スクイズ部に転写された濃度検知用の画像パターンの濃度を検知する。
【0020】
特に、スクイズ部の少なくとも一部は光を透過する部材からなる中空形状で設けられ、濃度制御部は、光を発光する発光部と、発光部に対して対向して設けられる光を受光する受光部とを含み、発光部および受光部の一方は、スクイズ部の中空形状内に配置される。
【0021】
好ましくは、スクイズ部は、画像パターンの搬送方向に従う濃度制御部の下流側であり、かつ、転写部の上流側に配置される。
【発明の効果】
【0022】
本発明に従う湿式画像形成装置は、像担持体に形成された画像パターンにおける余剰のキャリア液を除去するためのスクイズを設け、濃度検知用の画像パターンをスクイズ部に転写させるためにスクイズ部と像担持体との間に電界を生じさせる電圧印加部をさらに設ける。当該構成により、新たな構成を設けることなく、スクイズ部に画像パターンを移動させて濃度検知用の画像パターンを簡易な方式でクリーニングすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に従うスクイズローラー140と中間転写体130のニップ部を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態の変形例1に従う湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形例2に従う湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】本発明の実施の形態の変形例3に従う湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図6】本発明の実施の形態の変形例4に従う湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図7】本発明の実施の形態の変形例5に従うスクイズローラー140の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一であるものとする。
【0025】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0026】
図1を参照して、本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置には、ドラム状の像担持体である感光体110が設けられ、感光体110の周辺には矢印で示す回転方向の順に除電器112、帯電装置113、露光装置114、現像装置の現像ローラー106、濃度検知センサー120、中間転写体130、クリーニング装置111がそれぞれ配設される。
【0027】
感光体110の表面は、帯電装置113により所定の表面電位に一様に帯電される。そして、その後、露光装置114により画像情報の露光を行ない、感光体110の表面に静電潜像を形成する。次いで、感光体110上の静電潜像は、現像装置の現像ローラー106によりトナー粒子およびキャリア液を含む液体現像剤で現像され、感光体110の表面にトナー像が形成される。このとき、トナー粒子だけでなく分散媒であるキャリア液も感光体110の表面に付着する。
【0028】
そして、感光体110の表面に形成されたトナー像は、中間転写体130との対向部である一次転写部に運ばれる。そして、一次転写部では、中間転写体130が矢印の方向に搬送され、中間転写体130に印加されたトナー粒子と逆極性の電圧の力により感光体110上のトナー粒子は中間転写体130に転写される。そして、トナー粒子が転写された中間転写体130に転写されたトナー像は、加圧ローラー150との間で記録用紙へ二次転写されて画像が形成されることになる。そして、図示しない定着部に搬送されトナー像が定着される。
【0029】
一方、一次転写部を通過した後の感光体110上には、クリーニング装置111が設けられており、感光体110上に残留した転写残トナー粒子およびキャリア液を回収する。また、除電器112により感光体110の表面上の電荷は除電される。
【0030】
また、中間転写体130の周辺には、矢印で示す回転方向の順に感光体110、スクイズローラー140、加圧ローラー150およびクリーニング装置131がそれぞれ配設される。
【0031】
二次転写部を通過した後の中間転写体130上に残留した転写残トナー粒子およびキャリア液は、クリーニング装置131により回収される。
【0032】
これらの工程を繰り返し行なうことにより、次々に画像が印字される。
ここで、液体現像剤は、キャリア液である絶縁性液体と、静電潜像を現像するトナー粒子と、トナー粒子を分散させる分散剤とを主要成分としている。
【0033】
キャリア液としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば特に制限することなく使用することができるが、例えば、キャリア液として、イソパラフィン系のアイソパー(G、H、L、Mなど)(エクソンモビール)、IPソルベント(1620、2028、2835など)(出光興産)や、パラフィン系のモレスコホワイト(P−40,P−70,P−120)(松村石油研究所)を挙げることができる。また、シリコンオイル、ミネラルオイルを用いることも可能である。
【0034】
トナー粒子は、主として、樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料を樹脂中に均一に分散させる機能と、記録用紙に定着させる際のバインダとしての機能がある。
【0035】
トナー粒子としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。トナー用結着樹脂としては、たとえばポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。またこれらの樹脂を複数、混合して用いることも可能である。
【0036】
また、トナーの着色に用いられる顔料および染料も一般に市販されているものを用いることができる。たとえば、顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としてはソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0037】
液体現像剤の調整方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調整することができる。たとえば、結着剤樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ローラーミルなどを用いて溶融混練して均一に分散させ、得られた分散体をたとえばジェットミルによって微粉砕する。得られた微粉末をたとえば風力分級機などにより分級することで、所望の粒径の着色トナーを得ることができる。そして、得られたトナー粒子をキャリア液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。
【0038】
トナーの平均粒径は、湿式画像形成方式を採用しているため、0.1μm〜5μmとすることが可能である。0.1μm未満では現像性が大きく低下し、5μmより大きい粒径では画像品位が低下するため、0.1〜5μmに設定することが望ましい。
【0039】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜50%程度が適当である。
【0040】
10%未満の場合、トナー粒子に沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題があり、また、必要な画像濃度を得るため、多量の液体現像剤を供給する必要があり、記録用紙に付着するキャリア液が増加し、定着時に乾燥させた際の蒸気の処理が問題となる可能性がある。一方で、50%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も取り扱いが困難になる可能性がある。
【0041】
液体現像剤の粘度は、25℃において、0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下が望ましい。10000mPa・sより大きくなると液体現像剤の攪拌や送液等の取り扱いが困難となり、均一な液体現像剤を供給する装置の負担が大きくなる可能性がある。
【0042】
次に、本発明の実施の形態に従う現像装置の構成について、概略について簡単に説明する。
【0043】
現像装置には、感光体110と加圧接触される現像ローラー106と、トナー粒子およびキャリア液を含む液体現像剤を貯蔵した現像槽101とが設けられ、現像槽101に汲み上げローラー102の一部が浸漬されている場合が示されている。汲み上げローラー102と現像ローラー106の間には互いに接触された搬送ローラー104が設けられる。本例においては、汲み上げローラー102等は、矢印の方向に回転し、搬送ローラー104を介して現像ローラー106に液体現像剤が供給される。
【0044】
汲み上げローラー102には、規制ブレード103が設けられる。規制ブレード103により汲み上げローラー102で汲み上げられる液体現像剤量が規制されて搬送ローラー104に供給される。
【0045】
また、搬送ローラー104の周辺には、クリーニング装置105が設けられる。そして、搬送ローラー104を介して現像ローラー106に液体現像剤が移動する。残留した液体現像剤についてはクリーニング装置105により回収される。
【0046】
また、現像ローラー106の周辺には、クリーニング装置107が設けられる。残留した液体現像剤についてはクリーニング装置107により回収される。
【0047】
現像ローラー106により感光体110に搬送された荷電されたトナー粒子は感光体110上において画像部を現像する。
【0048】
そして、本例においては、感光体110の周辺において、濃度検知センサー120を設けた構成が示されている。
【0049】
濃度検知センサー120は、濃度検知用の画像パターンであるパッチ画像から画像濃度を検知し、検知結果に基づいて画像濃度を調整する制御が実行される。パッチ画像は、例えば、中間調濃度を有するデータが用いられる。なお、パッチ画像は、通常のトナー像と、次の通常のトナー像との間に作像することが可能である。当該方式により効率的に画像濃度の制御を実行することが可能である。
【0050】
濃度検知センサー120は、後述するが発光部と受光部とを有する光学センサーであり、被測定対象に発光部から光を照射し、その反射光を受光部で検出することにより、被測定対象の光学的な濃度を検知するためのセンサーである。
【0051】
例えば、検知結果に基づき画像濃度を制御する方式の例として、汲み上げローラー102、搬送ローラー104と現像ローラー106の周速比を制御することが挙げられる。この方式を取れば、現像ローラー106に受け渡される液体現像剤量は、汲み上げローラー102、搬送ローラー104との周速比に比例するため、画像濃度を基準に合わせて制御することが可能である。なお、当該方式に限られず、現像ローラー106から感光体110を用いて現像する際や、その後の転写過程における電界を調整することによって画像濃度を調整してもよい。
【0052】
なお、本例においては、現像装置が一台のみ配置されているが、カラー画像形成のために複数台配置してもよい。
カラー現像の方式、中間転写の方式などは任意に設定すればよく、それに合わせた任意の配置構成をとることができる。また、現像ローラーや中間転写体は図ではローラー形状となっているが、ベルト構成としてもよい。
【0053】
本実施の形態においては、中間転写体130にスクイズローラー140を当接して配置する。なお、スクイズローラー140は、加圧ローラー150よりも上流側に設けられ、濃度検知センサー120よりも下流側に設けられている。
【0054】
スクイズローラー140には、バイアスを切り替えるための電圧供給装置141、及びクリーニング部材142が配設される。
【0055】
ここで、スクイズローラー140としては、導電性を有する弾性体の層を有するローラーでもよいし、また、多孔質物質より成り、液体現像剤中のキャリア液を部材の毛管力によって吸収する部材からなるものでもよい。
【0056】
また、外形はローラー形状に限らず、例えばベルト等でもよい。また、弾性体の層を有するローラーであれば、適切な力でスクイズローラー140を中間転写体130に押しつけることにより、余剰のキャリア液を液体現像剤層から掻き取ることにより除去することが可能である。
【0057】
この時、液体現像剤中のトナー粒子を中間転写体130に引き付けるバイアス電圧をかけて、圧力を適切な値に設定しておくことによりスクイズローラー140との接触によってトナー像が乱れることを防ぐことが可能である。
【0058】
また、液吸収部材を用いた場合も同様に、適切な圧力に設定しておくことによりトナー像が乱れることを防ぐことが可能である。さらに、スクイズローラー140とトナー粒子間に斥力を生じさせるようなバイアス電圧を印加し、トナー粒子がスクイズローラーに付着することを防ぐようにすることも可能である。
【0059】
本例においては、このスクイズローラー140を用いて、濃度検知用の画像パターンであるパッチ画像をクリーニングする。
【0060】
図2は、本発明の実施の形態に従うスクイズローラー140と中間転写体130のニップ部を説明する図である。
【0061】
ここでは、パッチ画像201と通常のトナー像202とがそれぞれ作像され中間転写体130に転写された場合が示されている。
【0062】
図2(A)を参照して、まず、パッチ画像201がニップ部に突入する前は、中間転写体130にかかるバイアス電圧により生じた電界により、図中矢印で示すクーロン力が働いている。これによって、パッチ画像201中のトナー粒子およびトナー像202中のトナー粒子は中間転写体130に引き付けられている状態である。
【0063】
パッチ画像201がニップ部に突入する直前に、パッチ画像201中のトナー粒子を引き付けるように設定したバイアス電圧を電圧供給装置141によりスクイズローラー140に印加する。
【0064】
このことにより、図2(B)に示されるようにスクイズローラー140の周りには、液体現像剤中のトナー粒子を引き付ける電界及びクーロン力が生じる。これにより、パッチ画像201中のトナー粒子はスクイズローラー140に引き付けられ、周りのキャリア液と共にスクイズローラー140に移動する。
【0065】
パッチ画像201がニップ部を通過した後、トナー像202がニップ部を通過する前に、スクイズローラー140に印加していた電圧を解除、もしくはトナー粒子が中間転写体130に吸着するような電圧印加条件とする。その状態において、トナー像202がスクイズローラー140と中間転写体130のニップ部に突入する。
【0066】
図2(C)には、トナー像202を乱さず、キャリア液が除去される場合が示されている。
【0067】
そして、本実施の形態に従うスクイズローラー140には、除去したトナーを清掃するためのクリーニング部材142が設けられる。これにより、スクイズローラー140がクリアな状態でパッチ画像およびトナー像に当接するため、トナー付着によるスクイズ機能、トナー除去機能の劣化や、スクイズローラー140に付着したトナー粒子が画像を乱すということを防止することが可能である。なお、本例においては、クリーニング部材としてブレード形状のものについて説明するが、クリーニング部材の形態は特にこれに限られず、必要に合わせて適切なものを選択すればよく、例をあげればブラシ等でもよい。スクイズローラー140に回収したキャリア液及びパッチ画像のトナー粒子は、再利用するようにすることにより、ランニングコストを低減することが可能である。
【0068】
本例においては、スクイズローラー140を用いてパッチ画像を移動させてクリーニングすることが可能であるため、新たな構成を設けることなく、簡易な方式でパッチ画像をクリーニングすることが可能である。
【0069】
なお、以上の例では、スクイズローラー140が中間転写体130に当接して設けられている構成を説明したが、スクイズローラー140を中間転写体130と微小間隔を介して対向するように設けても良い。この場合、スクイズローラー140の表面が中間転写体130との対向位置において中間転写体130の表面とは逆方向に移動するようにスクイズローラー140を駆動することが好ましい。中間転写体130上に形成された画像におけるキャリア液は、スクイズローラー140と中間転写体130とを架橋するようにスクイズローラー140側に移動し、余剰キャリア液の回収を行うことができる。
【0070】
(変形例)
図3は、本発明の実施の形態の変形例1に従う湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0071】
図3を参照して、本発明の実施の形態の変形例1に従う湿式画像形成装置は、図1の湿式画像形成装置と比較して、スクイズローラー140等の位置が異なる。
【0072】
ここでは、感光体110上に設けられている場合が示されている。当該スクイズローラー140は、液体現像剤の搬送路において、加圧ローラー150のニップ部より上流、濃度検知センサー120よりも下流に位置していればどのような位置に配置しても良い。
【0073】
当該構成においても上記と同様の効果を得ることが可能である。
図4は、本発明の実施の形態の変形例2に従う湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0074】
図4を参照して、本発明の実施の形態の変形例2に従う湿式画像形成装置は、図1の湿式画像形成装置と比較して、濃度検知センサー120の位置が異なる。
【0075】
ここでは、濃度検知センサー120が中間転写体130の周囲に設けられている場合が示されている。
【0076】
当該構成においても上記と同様の効果を得ることが可能である。
図5は、本発明の実施の形態の変形例3に従う湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0077】
図5を参照して、本発明の実施の形態の変形例3に従う湿式画像形成装置は、図1の湿式画像形成装置と比較して、濃度検知センサー120の位置が異なる。
【0078】
ここでは、濃度検知センサー120がスクイズローラー140の周囲に設けられている場合が示されている。
【0079】
具体的には、スクイズローラー140上、クリーニング部材142より上流側に配置される。
【0080】
すなわち、スクイズローラー140によりパッチ画像をスクイズローラー140側に移動させた後に濃度検知センサー120によりパッチ画像の画像濃度を検知する。
【0081】
当該構成においても上記と同様の効果を得ることが可能である。
図6は、本発明の実施の形態の変形例4に従う湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0082】
図6を参照して、本発明の実施の形態の変形例4に従う湿式画像形成装置は、図3の湿式画像形成装置と比較して、濃度検知センサー120の位置が異なる。
【0083】
ここでは、濃度検知センサー120がスクイズローラー140の周囲に設けられている場合が示されている。
【0084】
具体的には、スクイズローラー140上、クリーニング部材142より上流側に配置される。
【0085】
すなわち、スクイズローラー140によりパッチ画像をスクイズローラー140側に移動させた後に濃度検知センサー120によりパッチ画像の画像濃度を検知する。
【0086】
当該構成においても上記と同様の効果を得ることが可能である。
図7は、本発明の実施の形態の変形例5に従うスクイズローラー140の構成を説明する図である。
【0087】
図7を参照して、ここでは、スクイズローラー140は、一例として、導電性プラスチックや、硬質ガラス、合成樹脂等の透明材料からなる中空形状であるものとする。そして、濃度検知センサー120は発光部301と受光部302とを含むものとする。そして、発光部301と受光部302とがスクイズローラー140を介して対向して配置されているものとする。一例として、発光部301がスクイズローラー140の外側に設けられ、受光部302がスクイズローラー140の内側に設けられる場合が示されている。かかる構成をとった場合の光学検知方式は、光が発光部301から照射されトナー層を通過した後、受光部302に入射した透過光の強度を計測するものを使用することが可能となる。よって、光学検知方式の自由度を高めることが可能である。なお、発光部301をスクイズローラー140の中空形状の内側に、受光部302を発光部301と対向したスクイズローラー140の外側に配置することも可能である。
【0088】
なお、スクイズローラー140の全面を透明材料とする必要はなく、移動したパッチ画像の画像濃度を濃度検知センサー120が検知することが可能であれば、その一部を透明材料とすることにより実現することが可能である。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
101 現像槽、102 汲み上げローラー、103 規制ブレード、104 搬送ローラー、105,107,111,131 クリーニング装置、106 現像ローラー、110 感光体、112 除電器、113 帯電装置、114 露光装置、120 濃度検知センサー、130 中間転写体、140 スクイズローラー、141 電圧供給装置、142 クリーニング部材、150 加圧ローラー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いて像担持体上にトナー像を形成する湿式画像形成装置であって、
前記像担持体に画像パターンを形成する作像部と、
濃度検知用の画像パターンの濃度を検知して、濃度を制御する濃度制御部と、
前記像担持体に形成された画像パターンにおける余剰のキャリア液を除去するためのスクイズ部と、
前記像担持体に形成された画像パターンを転写部材に転写するための転写部と、
前記濃度検知用の画像パターンを前記スクイズ部に転写させるために前記スクイズ部と前記像担持体との間に電界を生じさせる電圧印加部とを備える、湿式画像形成装置。
【請求項2】
前記スクイズ部は、クリーニング装置を含む、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項3】
前記濃度検知用の画像パターンは、前記作像部により前記転写部材に転写される画像間に形成される、請求項1または2記載の湿式画像形成装置。
【請求項4】
前記濃度制御部は、前記スクイズ部に転写された前記濃度検知用の画像パターンの濃度を検知する、請求項1〜3のいずれかに記載の湿式画像形成装置。
【請求項5】
前記スクイズ部の少なくとも一部は光を透過する部材からなる中空形状で設けられ、
前記濃度制御部は、光を発光する発光部と、前記発光部に対して対向して設けられる光を受光する受光部とを含み、
前記発光部および前記受光部の一方は、前記スクイズ部の中空形状内に配置される、請求項4に記載の湿式画像形成装置。
【請求項6】
前記スクイズ部は、前記画像パターンの搬送方向に従う前記濃度制御部の下流側であり、かつ、前記転写部の上流側に配置される、請求項1〜3のいずれかに記載の湿式画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−252187(P2012−252187A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125135(P2011−125135)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】