説明

滑り軸受

【課題】製造コストの上昇を抑制しつつ、摺動面が高い耐摩耗性を有する滑り軸受を提供する。
【解決手段】球面滑り軸受1は、外輪滑り面11Aを有する外輪11と外輪滑り面11Aに対向し、外輪滑り面11Aに接触する内輪滑り面12Aを有する内輪12とを備えている。そして、外輪滑り面11Aには、βサイアロンを主成分とし、残部不純物からなるβサイアロン皮膜11Bが形成されている。さらに、内輪滑り面12Aにも、βサイアロンを主成分とし、残部不純物からなるβサイアロン皮膜12Bが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り軸受に関し、より特定的には、βサイアロンを主成分とする皮膜を有する構成部品を備えた滑り軸受に関するものである。
【背景技術】
【0002】
滑り軸受は、互いに接触して配置される2つの部材が相対的に摺動可能な構成を有している。ここで、滑り軸受を構成する部材の摺動面(他の部材に接触して摺動する面)には、高い耐摩耗性が要求される。これに対し、摺動面に硬質の金属層を形成する対策が採用される場合がある(たとえば特許文献1)。これにより、摺動面の耐摩耗性が向上し、滑り軸受の耐久性が向上する。
【特許文献1】特開2007−85445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、滑り軸受は広範な用途に適用され、質量の大きい構造物を支持する苛酷な用途にも使用される。このような場合、摺動面に金属層を形成するのみでは、必ずしも十分な耐摩耗性を得ることはできない。
【0004】
これに対し、摺動面に金属よりもさらに耐摩耗性に優れたセラミックスの皮膜を形成する対策が考えられる。また、セラミックスの皮膜を容易に形成する方法として、摺動面に対する溶射を採用することができる。ここで、皮膜を構成するセラミックス材料としては、たとえば酸化物系セラミックスであるアルミナ(酸化アルミニウム;Al)、酸化チタン(TiO)、酸化クロム(Cr)や窒化物系セラミックスである窒化珪素(Si)などが挙げられる。
【0005】
しかしながら、アルミナ、酸化チタンあるいは酸化クロムを皮膜の素材として採用した場合、上記苛酷な用途においては、摺動面の耐摩耗性は必ずしも十分であるとはいえない。一方、窒化珪素を皮膜の素材として採用すれば、高い耐摩耗性が期待される。しかし、窒化珪素を素材として溶射を実施した場合、窒化珪素が分解するという問題がある。そのため、窒化珪素の皮膜を摺動面に形成するためには、溶射以外の方法を採用する必要があり、滑り軸受の製造コストが高くなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、製造コストの上昇を抑制しつつ、摺動面が高い耐摩耗性を有する滑り軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面における滑り軸受は、第1の摺動面を有する第1部材と、第1の摺動面に対向し、第1の摺動面に接触する第2の摺動面を有する第2部材とを備えている。そして、第1の摺動面および第2の摺動面の少なくともいずれか一方には、βサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる皮膜が形成されている。
【0008】
本発明の他の局面における滑り軸受は、第1の摺動面を有する第1部材と、第1の摺動面に対向し、第1の摺動面に接触する第2の摺動面を有する第2部材とを備えている。そして、第1の摺動面および第2の摺動面の少なくともいずれか一方には、βサイアロンを主成分とし、残部溶射添加剤および不純物からなる皮膜が形成されている。
【0009】
本発明者は、滑り軸受の摺動面に低コストな皮膜を形成し、摺動面の耐摩耗性を向上させる方策について検討を行なった。その結果、以下のような知見が得られ、本発明に想到した。βサイアロンは、一般的な溶射温度においても安定で、溶射の際における分解が問題とならない。したがって、アルミナ、酸化チタン等の酸化物系セラミックスと同様に、溶射による皮膜形成が可能である。そのため、皮膜の素材としてβサイアロンを採用することにより、皮膜形成のためのコストを抑制することができる。また、βサイアロン皮膜(βサイアロンを主成分とする皮膜)は、アルミナ、酸化チタン等の酸化物系セラミックスからなる皮膜に比べて高い耐摩耗性を有している。そのため、摺動面にβサイアロン皮膜を形成することにより、高い耐摩耗性を摺動面に付与することができる。以上のように、本発明の一の局面における滑り軸受によれば、製造コストの上昇を抑制しつつ、摺動面が高い耐摩耗性を有する滑り軸受を提供することができる。
【0010】
また、本発明の他の局面における滑り軸受は、基本的には上記本発明の一の局面における滑り軸受と同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。しかし、本発明の他の局面における滑り軸受では、βサイアロン皮膜が溶射添加剤を含む点で上記本発明の一の局面における滑り軸受とは異なっている。本発明の他の局面における滑り軸受によれば、たとえばβサイアロンよりも融点の低い溶射添加剤の採用により、密着強度やち密性の高いβサイアロン皮膜の形成が容易となる。
【0011】
なお、溶射添加剤としては、シリカ(SiO)などを採用することができる。また、上記本発明の一の局面における滑り軸受と同等の作用効果を奏するためには、皮膜に占める溶射添加剤の割合は20質量%以下であることが望ましい。
【0012】
上記滑り軸受においては、上記皮膜は封孔処理されていてもよい。これにより、皮膜の気孔率を低下させ、皮膜の密着性を向上させることができる。
【0013】
上記滑り軸受においては、上記皮膜は多孔質となっていてもよい。これにより、皮膜に形成された孔(ポア)に潤滑剤が貯留され、滑り軸受の耐久性が向上する。
【0014】
上記滑り軸受は、風力発電装置のナセルを、ナセルを支持する架台に対して回転可能に支持する滑り軸受として用いてもよい。
【0015】
風力発電装置の増速機、発電機など格納した機械室であるナセルは質量が大きく、これを支持する滑り軸受の摺動面には高い耐摩耗性が要求される。そのため、摺動面が高い耐摩耗性を有する本発明の滑り軸受の適用が有効である。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から明らかなように、本発明の滑り軸受によれば、製造コストの上昇を抑制しつつ、摺動面が高い耐摩耗性を有する滑り軸受を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における滑り軸受である球面滑り軸受の構成を示す概略断面図である。また、図2は、図1の要部を拡大して示す概略部分断面図である。図1および図2を参照して、実施の形態1における球面滑り軸受について説明する。
【0019】
図1を参照して、実施の形態1の球面滑り軸受1は、第1部材としての環状の外輪11と、外輪11の内周側に配置された第2部材としての環状の内輪12とを備えている。外輪11の内周面には球面形状を有する第1の摺動面としての外輪滑り面11Aが形成されており、内輪12の外周面には、球面形状を有する第2の摺動面としての内輪滑り面12Aが形成されている。そして、外輪滑り面11Aと内輪滑り面12Aとが互いに対向するとともに接触するように、外輪11と内輪12とは配置されている。
【0020】
以上の構成により、球面滑り軸受1の外輪11と内輪12とは、互いに相対的に周方向に滑ることにより回転および揺動可能となっている。また、外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aが球面形状であることにより、調心角αの範囲で外輪11の回転軸と内輪12の回転軸とが角度をなすことができる。
【0021】
そして、図2を参照して、外輪滑り面11Aには、βサイアロンを主成分とし、残部不純物からなるβサイアロン皮膜11Bが形成されている。さらに、内輪滑り面12Aにも、βサイアロンを主成分とし、残部不純物からなるβサイアロン皮膜12Bが形成されている。そのため、本実施の形態おける球面滑り軸受1は、製造コストの上昇を抑制しつつ、摺動面(外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12A)が高い耐摩耗性を有する滑り軸受となっている。
【0022】
なお、上記不純物は、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。また、外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aの少なくともいずれか一方には、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤の皮膜が形成されていてもよい。つまり、βサイアロン皮膜11B,12Bの表面には、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤の皮膜を形成してもよい。
【0023】
さらに、上記本実施の形態においては、βサイアロン皮膜11B,12Bは、βサイアロンを主成分とし、残部溶射添加剤および不純物からなる皮膜であってもよい。たとえばβサイアロンの融点を低下させる溶射添加剤の採用により、一様なβサイアロン皮膜11B,12Bが形成された球面滑り軸受1を、容易に提供することができる。上記不純物は、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。
【0024】
次に、本実施の形態における滑り軸受の製造方法について説明する。図3は、実施の形態1における滑り軸受の製造方法の概略を示すフローチャートである。
【0025】
図3を参照して、本実施の形態における滑り軸受の製造方法においては、まず、工程(S10)として成形体準備工程が実施される。具体的には、工程(S10)では、たとえば高炭素クロム軸受鋼であるSUJ2などの鋼材に対して、鍛造、切削などの加工が施され、外輪11および内輪12の形状に成形加工された成形体が準備される。
【0026】
次に、工程(S20)として熱処理工程が実施される。この工程(S20)では、たとえば工程(S10)において準備された鋼からなる形成体に対して焼入硬化処理および焼戻処理が実施されて、当該成形体が所望の硬度に硬化される。
【0027】
次に、工程(S30)として前処理工程が実施される。具体的には、たとえば上記成形体の外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aに該当する領域に対してサンドブラスト処理が実施されて、当該表面の粗さが所望の粗さとなるように調整される。このサンドブラスト処理は、たとえばアルミナ、炭化ケイ素などの粒子を当該表面に衝突させることにより実施することができる。
【0028】
次に、工程(S40)として溶射工程が実施される。具体的には、まず、上記成形体の外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aに該当する領域が露出するとともに、当該領域以外の領域を覆うように、成形体に対してマスキングが施される。その後、外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aに対して、加熱されたβサイアロンの粉末が溶射される。このβサイアロンの粉末は、たとえば燃焼合成法を採用した製造プロセスにより、安価に製造することができる。また、当該βサイアロンの粉末に対しては、必要に応じて溶射添加剤を添加してもよい。これにより、外輪滑り面11Aおよび内輪滑り面12Aにβサイアロン皮膜11B,12B(溶射皮膜)が形成される。
【0029】
次に、工程(S50)として封孔処理工程が実施される。具体的には、工程(S40において形成されたβサイアロン皮膜11B,12Bの表面に封孔剤を塗布した後、所定温度に加熱することにより、封孔剤を硬化する。これにより、βサイアロン皮膜11B,12Bの気孔率が低下し、皮膜の密着性が向上する。なお、この工程(S50)は、潤滑剤を保持させる等の目的でβサイアロン皮膜11B,12Bを多孔質な状態としたい場合、省略することができる。
【0030】
次に、工程(S60)として仕上げ工程が実施される。工程(S40)において形成されたβサイアロン皮膜11B,12Bが研磨され、表面が平滑にされるとともに、所望の厚みに膜厚が調整される。これにより、実施の形態1における外輪11および内輪12が完成する。また、必要に応じて、外輪滑り面11Aおよび/または内輪滑り面12Aに、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤の皮膜を形成してもよい。
【0031】
そして、工程(S70)として組立工程が実施される。具体的には、工程(S10)〜(S60)において作製された外輪11と内輪12とが組み合わされて、実施の形態1における球面滑り軸受1が組立てられる。以上の工程により、本実施の形態における球面滑り軸受1が完成する。
【0032】
(実施の形態2)
次に、本発明の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図4は、実施の形態2における滑り軸受であるナセル支持用滑り軸受を備えた風力発電装置のナセル支持構造を示す概略断面図である。また、図5は、図4のナセル支持用滑り軸受を拡大して示す概略断面図である。
【0033】
図4を参照して、実施の形態2における風力発電装置90は、風車の主軸を支持するとともに当該主軸に接続された増速機、発電機などを格納する機械室であるナセル91と、ナセル91を支持するタワー95とを備えている。ナセル91の内部には、モータおよび当該モータの主軸の回転を減速する減速機を含むヨー駆動装置92が配置されている。そして、ヨー駆動装置92には、ヨー駆動装置92の出力ギアであるピニオンギア93が接続されている。また、ナセル91は、ナセル91の底部にナセル支持部99を有している。ナセル支持部99は外周側の端部が軸方向に屈曲した屈曲部を含む円盤状の形状を有している。さらに、ナセル支持部99には、互いに対向する一対のブレーキパッド94Aを有するブレーキキャリパー94が接続されている。
【0034】
一方、タワー95の上部には、一対のブレーキパッド94Aの間にその一部が進入するように、平板円環状の形状を有するブレーキディスク97が配置されている。さらに、ブレーキディスク97上には、円環状の形状を有し、内周面96Dにギアが形成されたタワー支持部96が配置されている。また、タワー支持部96の内周面96Dに形成されたギアは、上記ヨー駆動装置92に接続されたピニオンギア93と噛み合っている。ブレーキディスク97およびタワー支持部96は、タワー95に対して固定されている。また、タワー支持部96の端面(上面96A)とナセル支持部99の端面(底面99A)、およびタワー支持部96の外周面96Bとナセル支持部99の上記屈曲部の内周面99Bとは接触し、互いに摺動可能となっている。つまり、タワー支持部96とナセル支持部99とは、ナセル支持用滑り軸受2を構成している。
【0035】
すなわち、ナセル支持用滑り軸受2は、風力発電装置90のナセル91を、ナセル91を支持する架台であるタワー95に対して回転可能に支持するナセル支持用滑り軸受である。そして、ナセル支持用滑り軸受2は、第1の摺動面としての底面99Aおよび内周面99Bを有する第1部材としてのナセル支持部99と、ナセル支持部99の底面99Aおよび内周面99Bにそれぞれ対向し、ナセル支持部99の底面99Aおよび内周面99Bに接触する第2の摺動面としての上面96Aおよび外周面96Bを有する第2部材としてのタワー支持部96とを備えている。
【0036】
そして、実施の形態2におけるナセル支持用滑り軸受は、実施の形態1における球面滑り軸受と、基本的には同様の構成を有している。具体的には、図5を参照して、ナセル支持部99の底面99Aおよび内周面99Bには、βサイアロンを主成分とし、残部不純物からなるβサイアロン皮膜99Cが形成されている。また、タワー支持部96の上面96Aおよび外周面96Bにも、βサイアロンを主成分とし、残部不純物からなるβサイアロン皮膜96Cが形成されている。なお、βサイアロン皮膜96C,99Cは、実施の形態1の場合と同様に、βサイアロンを主成分とし、残部溶射添加剤および不純物からなるものであってもよい。
【0037】
次に、風力発電装置90のナセル支持構造の動作について説明する。ナセル91に固定されたヨー駆動装置92が動作すると、ヨー駆動装置92に接続されたピニオンギア93が回転する。ここで、上述のようにピニオンギア93とタワー支持部96の内周面96Dに形成されたギアとが噛み合っているため、ナセル91は、ナセル支持用滑り軸受2により支持されつつ、タワー95に対して回転する。このとき、ブレーキキャリパー94は、ナセル支持部99に対して固定されているため、ナセル91とともに回転する。そして、タワー95に対して固定されたブレーキディスク97を一対のブレーキパッド94Aが挟みつけることにより、ナセル91が所望の位置で停止する。これにより、風力発電装置90の周囲における風向に応じて、風力発電装置90の主軸の回転軸を所望の方向に調整することができる。
【0038】
ここで、ナセル91をタワー95に対して回転可能に支持する軸受として、転がり軸受を用いることも可能である。しかし、転がり軸受は回転に要するエネルギーが小さいため、上記ブレーキキャリパー94を含むブレーキシステムが大型化、重量化するという問題がある。ブレーキシステムはナセル91とともにタワー95上に設置されるため、小型化、軽量化されることが望ましい。これに対し、上述のようにナセル支持用滑り軸受2を採用することにより、ブレーキシステムを小型化、軽量化することが可能となる。
【0039】
さらに、ナセル91は、増速機、発電機などを格納する機械室であって、質量の大きい部材である。そのため、当該ナセル91を支持する滑り軸受の摺動面には、高い耐摩耗性が要求される。これに対し、本発明の滑り軸受であるナセル支持用滑り軸受2は、上記構成を有するため、製造コストの上昇を抑制しつつ、摺動面(底面99A、内周面99B、上面96Aおよび外周面96B)が高い耐摩耗性を有する滑り軸受となっている。なお、ナセル支持用滑り軸受2は、実施の形態1の球面滑り軸受1と同様に、タワー支持部96およびナセル支持部99の所望の領域(摺動面)にβサイアロンを溶射することにより、製造することができる。
【0040】
上記実施の形態においては、本発明の滑り軸受の一例として、球面滑り軸受1およびナセル支持用滑り軸受2について説明したが、本発明の滑り軸受はこれに限られず、摺動面に高い耐摩耗性が要求される種々の形態の滑り軸受に適用することができる。また、上記実施の形態においては、互いに接触する摺動面の両方にβサイアロン皮膜が形成される場合について説明したが、いずれか一方の摺動面に特に高い耐摩耗性が要求される場合、当該一方のみにβサイアロン皮膜が形成されてもよい。
【0041】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の滑り軸受は、摺動面に高い耐摩耗性が要求される滑り軸受に、特に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施の形態1における球面滑り軸受の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す概略部分断面図である。
【図3】実施の形態1における滑り軸受の製造方法の概略を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態2におけるナセル支持用滑り軸受を備えた風力発電装置のナセル支持構造を示す概略断面図である。
【図5】図4のナセル支持用滑り軸受を拡大して示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 球面滑り軸受、2 ナセル支持用滑り軸受、11 外輪、11A 外輪滑り面、11B,12B βサイアロン皮膜、12 内輪、12A 内輪滑り面、90 風力発電装置、91 ナセル、92 ヨー駆動装置、93 ピニオンギア、94 ブレーキキャリパー、94A ブレーキパッド、95 タワー、96 タワー支持部、96A 上面、96B 外周面、96C,99C サイアロン皮膜、96D 内周面、97 ブレーキディスク、99 ナセル支持部、99A 底面、99B 内周面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の摺動面を有する第1部材と、
前記第1の摺動面に対向し、前記第1の摺動面に接触する第2の摺動面を有する第2部材とを備え、
前記第1の摺動面および前記第2の摺動面の少なくともいずれか一方には、βサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる皮膜が形成されている、滑り軸受。
【請求項2】
第1の摺動面を有する第1部材と、
前記第1の摺動面に対向し、前記第1の摺動面に接触する第2の摺動面を有する第2部材とを備え、
前記第1の摺動面および前記第2の摺動面の少なくともいずれか一方には、βサイアロンを主成分とし、残部溶射添加剤および不純物からなる皮膜が形成されている、滑り軸受。
【請求項3】
前記溶射添加剤はシリカである、請求項2に記載の滑り軸受。
【請求項4】
前記皮膜に占める前記溶射添加剤の割合は20質量%以下である、請求項2または3に記載の滑り軸受。
【請求項5】
前記皮膜は封孔処理されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の滑り軸受。
【請求項6】
前記皮膜は多孔質となっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の滑り軸受。
【請求項7】
風力発電装置のナセルを、前記ナセルを支持する架台に対して回転可能に支持する滑り軸受として用いられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の滑り軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−1997(P2010−1997A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161933(P2008−161933)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】