説明

漏水検出装置および漏水検出方法

【課題】地中に埋設された水道配管等の漏水位置を高精度に検出する。
【解決手段】漏水検出装置10は、配管5の検査区間の両端の位置A・Bに設置された振動検出装置20A・20Bと、水中音と共通する周波数成分を有する配管振動の信号を共通周波数成分信号として振動検出装置20A・20B毎に抽出する共通周波数成分抽出部34と、各振動検出手段20A・20Bの共通周波数成分信号を相互相関処理する相関処理部35と、相互相関処理の結果に基づいて、配管5の漏水を検知するための漏水検知部36と、各振動検出装置20A・20Bに対応する共通周波数成分信号の伝播時間の差Δτを求める時間差算出部37と、伝播時間の差Δτに基づいて配管5の漏水位置Pを検出するための漏水位置算出部38とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設された水道配管等の漏水位置を高精度に検出する漏水検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地中に埋設された水道配管(以下、配管ともいう)等における漏水が問題視されている。特に、都心部においては、自動車や列車等が引き起こす振動によりセメント製の配管等が脆くなり、漏水が生じやすくなっている。このような状況の下、配管等における漏水位置を検出する方法が検討されている。
【0003】
配管等における漏水位置を検出する方法の一つとして、調査員が耳で振動を確かめる方法がある。この方法では、調査員が地表から耳で漏水音を聞いて、その漏水音が一番良く聞こえる位置を特定する。それから、その場所を堀り、配管等を調べて漏水が生じているか否かを確認する。
【0004】
しかしながら、この方法では、配管等の振動を調査員が耳で調べているので、漏水位置を高精度に検出するためには熟練した技能が必要とされる。
【0005】
また、他の方法として、配管の弁のような地表から露出している2箇所の位置で、配管上の振動信号を同時にとらえ、相互相関処理することにより漏水位置を求める方法もある。詳しくは、2箇所で検出した振動の信号を相互相関処理して、伝播時間の差を求める。そして、その伝播時間の差と、検出した2箇所の位置の距離と、配管を伝播する振動の伝播速度とから漏水位置を算出する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−201859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の漏水検知方法では、漏水による振動以外のノイズの振動が配管等に加わると、相互相関処理した波形のピーク値が漏水に起因するものであるか否かの判別が難しい。それゆえ、漏水位置の検出精度が必ずしも高くないという問題がある。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、地中に埋設された水道配管等の漏水位置を高精度に検出する漏水検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するために以下の手段を講じる。
【0009】
請求項1に対応する発明は、地中に埋設された水道配管の漏水位置を検出する漏水検出装置であって、前記水道配管の検査区間の両端に設置された、水中マイクと振動センサとを有する複数の振動検出手段と、前記振動検出手段毎に、前記水中マイクにより検出された水中音と前記振動センサにより検出された配管振動との共通周波数成分を有する共通周波数成分信号を生成する手段と、前記各振動検出手段の共通周波数成分信号を相互相関処理する相関処理手段と、前記相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水を検知するための漏水検知手段と、前記漏水検知手段により漏水が生じたことが検知された場合、前記各振動検出手段に対応する共通周波数成分信号の伝播時間の差を求める時間差算出手段と、前記時間差算出手段により算出された伝播時間の差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するための手段とを備えた漏水検出装置である。
【0010】
請求項2に対応する発明は、地中に埋設された水道配管の漏水位置を検出する漏水検出装置であって、前記水道配管の検査区間内の1箇所に設置された水中マイクと、前記検査区間の両端に設置された複数の振動センサと、前記水中マイクにより検出された水中音と前記各振動センサにより検出された配管振動とをそれぞれ相互相関処理して第1相関関数を算出する第1相関処理手段と、前記各振動センサに対応する第1相関関数を相互相関処理する第2相関処理手段と、前記第2相関処理手段による相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水を検知するための漏水検知手段と、前記漏水検知手段により漏水が生じたことが検知された場合、前記各振動センサに対応する第1相関関数が最大値を有する際の時間差を求める時間差算出手段と、前記時間差算出手段により算出された時間差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するための手段とを備えた漏水検出装置である。
【0011】
請求項3に対応する発明は、地中に埋設された水道配管の漏水位置を検出する漏水検出装置であって、前記水道管の検査区間の両端に設置された複数の水中マイクと、前記検査区間内の1箇所に設置された振動センサと、前記各水中マイクにより検出された水中音と前記振動センサにより検出された配管振動とをそれぞれ相互相関処理して第3相関関数を算出する第3相関処理手段と、前記各振動センサに対応する第3相関関数を相互相関処理する第4相関処理手段と、前記第4相関処理手段による相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水を検知するための漏水検知手段と、前記漏水検知手段により漏水が生じたことが検知された場合、前記各振動センサに対応する第3相関関数が最大値を有する際の時間差を求める時間差算出手段と、前記時間差算出手段により算出された時間差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するための手段とを備えた漏水検出装置である。
【0012】
請求項4に対応する発明は、地中に埋設された水道配管に設置された水中マイクと、前記水中マイクの設置箇所と同一箇所に設置された振動センサと、前記水中マイクにより検出された水中音と前記振動センサにより検出された配管振動とを相互相関処理する相関処理手段と、前記相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するための漏水位置検出手段とを備えた漏水検出装置である。
【0013】
請求項5に対応する発明は、請求項4に対応する漏水検出装置において、前記漏水位置検出手段は、前記水道配管の漏水を検知するための漏水検知手段と、前記漏水検知手段により漏水が生じたことが検知された場合、前記水中音と前記配管振動との伝播時間の差を求める時間差算出手段と、前記時間差算出手段により算出された伝播時間の差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するための手段とを備えた漏水検出装置である。
【0014】
請求項6に対応する発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に対応する漏水検出装置であって、前記相関処理手段により求めた相互相関関数の波形にローパスフィルタ処理をする手段を備えた漏水検出装置である。
【0015】
請求項7に対応する発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に対応する漏水検出装置であって、前記相関処理手段により求めた相互相関関数の値に対し、予め設定された値以上の値を出力する手段を備えた漏水検出装置である。
【0016】
請求項8に対応する発明は、地中に埋設された水道配管の検査区間の両端に設置された、水中マイクと振動センサとを有する複数の振動検出手段から水中音と配管振動とのデータを収集するデータ収集ステップと、前記水中マイクにより検出された水中音と前記振動センサにより検出された配管振動との共通周波数成分を有する共通周波数成分信号を前記振動検出手段毎に生成するステップと、前記各振動検出手段の共通周波数成分信号を相互相関処理する相関処理ステップと、前記相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水を検知するための漏水検知ステップと、前記漏水検知ステップにより漏水が生じたことが検知された場合、前記各振動検出手段に対応する共通周波数成分信号の伝播時間の差を求める時間差算出ステップと、前記時間差算出ステップにより算出された伝播時間の差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するステップとを備えた漏水検出方法である。
【0017】
請求項9に対応する発明は、地中に埋設された水道配管の検査区間内の1箇所に設置された水中マイクから水中音のデータを収集するステップと、前記検査区間の両端に設置された複数の振動センサから配管振動のデータを収集するステップと、前記水中マイクにより検出された水中音と前記各振動センサにより検出された配管振動とをそれぞれ相互相関処理して第1相関関数を算出する第1相関処理ステップと、前記各振動センサに対応する第1相関関数を相互相関処理する第2相関処理ステップと、前記第2相関処理ステップによる相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水を検知する漏水検知ステップと、前記漏水検知ステップにより漏水が生じたことが検知された場合、前記各振動センサに対応する第1相関関数が最大値を有する際の時間差を求める時間差算出ステップと、前記時間差算出ステップにより算出された時間差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するステップとを備えた漏水検出方法である。
【0018】
請求項10に対応する発明は、地中に埋設された水道管の検査区間の両端に設置された複数の水中マイクから水中音のデータを収集するステップと、前記検査区間内の1箇所に設置された振動センサから配管振動のデータを収集するステップと、前記各水中マイクにより検出された水中音と前記振動センサにより検出された配管振動とをそれぞれ相互相関処理して第3相関関数を算出する第3相関処理ステップと、前記各振動センサに対応する第3相関関数を相互相関処理する第4相関処理ステップと、前記第4相関処理ステップによる相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水を検知するための漏水検知ステップと、前記漏水検知ステップにより漏水が生じたことが検知された場合、前記各振動センサに対応する第3相関関数が最大値を有する際の時間差を求める時間差算出ステップと、前記時間差算出ステップにより算出された時間差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するステップとを備えた漏水検出方法である。
【0019】
請求項11に対応する発明は、地中に埋設された水道配管に設置された水中マイクから水中音のデータを収集するステップと、前記水中マイクの設置箇所と同一箇所に設置された振動センサから配管振動のデータを収集するステップと、前記水中マイクにより検出された水中音と前記振動センサにより検出された配管振動とを相互相関処理する相関処理ステップと、前記相関処理ステップによる相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するステップとを備えた漏水検出方法である。
【0020】
なお、本発明は、装置毎に「装置」又は「プログラム」として表現してもよく、また、システム又は装置毎に「方法」として表現してもよい。すなわち、本発明は、任意のカテゴリーで表現可能となっている。
【0021】
<作用>
従って、本発明は以上のような手段を講じたことにより、以下の作用を有する。
【0022】
請求項1・8に対応する発明は、地中に埋設された水道配管の検査区間の両端に設置された、水中マイクと振動センサとを有する複数の振動検出手段と、水中音と配管振動との共通周波数成分信号を振動検出手段毎に生成する手段と、各振動検出手段の共通周波数成分信号を相互相関処理する相関処理手段と、相互相関処理の結果に基づいて、水道配管の漏水位置を検出するための手段とを備えた構成により、水中音と配管振動との共通周波数成分を求めてから相互相関処理することができるので、地中に埋設された水道配管等における漏水位置を高精度に検出できる。
【0023】
請求項2・9に対応する発明は、地中に埋設された水道配管の検査区間内の1箇所に設置された水中マイクと、検査区間の両端に設置された複数の振動センサと、水中音と配管振動とをそれぞれ相互相関処理して第1相関関数を算出する第1相関処理手段と、各振動センサに対応する第1相関関数を相互相関処理する第2相関処理手段と、第2相関処理手段による相互相関処理の結果に基づいて、水道配管の漏水位置を検出するための手段とを備えた構成により、水中音と配管振動とを相互相関処理しているので、水道配管の漏水位置を高精度に検出できる。
【0024】
請求項3・10に対応する発明は、地中に埋設されたの検査区間の両端に設置された複数の水中マイクと、検査区間内の1箇所に設置された振動センサと、各水中マイクにより検出された水中音と振動センサにより検出された配管振動とをそれぞれ相互相関処理して第3相関関数を算出する第3相関処理手段と、各振動センサに対応する第3相関関数を相互相関処理する第4相関処理手段と、第4相関処理手段による相互相関処理の結果に基づいて、水道配管の漏水位置を検出するための手段とを備えた構成により、配管振動と水中音とを相互相関処理しているので、水道配管等の漏水位置を高精度に検出できる。
【0025】
請求項4・11に対応する発明は、地中に埋設された水道配管に設置された水中マイクと、水中マイクの設置箇所と同一箇所に設置された振動センサと、水中音と配管振動とを相互相関処理する相関処理手段と、相互相関処理の結果に基づいて、水道配管の漏水位置を検出するための漏水位置検出手段とを備えた構成により、水中音と配管振動とを相互相関処理して漏水位置を検出するので、地中に埋設された配管等における漏水位置を高精度に検出できる。また、漏水検出装置は、水道配管の1箇所に設置した水中マイクと振動センサとによる振動の信号から漏水位置を求めるので、漏水位置を簡易に求めることができる。
【0026】
請求項5に対応する発明は、請求項4に対応する漏水検出装置において、漏水位置検出手段は、水道配管の漏水を検知するための漏水検知手段と、漏水が生じたことが検知された場合、水中音と配管振動との伝播時間の差を求める時間差算出手段と、時間差算出手段により算出された伝播時間の差に基づいて、水道配管の漏水位置を検出するための手段と
を備えているので、水中音と配管振動とを相互相関関数から漏水位置を求めることができる。
【0027】
請求項6に対応する発明は、請求項1〜5のいずれか1項に対応する漏水検出装置であって、相関処理手段により求めた相互相関関数の波形にローパスフィルタ処理をする手段
を備えているので、相互相関関数からノイズ成分を除去することができる。
【0028】
請求項7に対応する発明は、請求項1〜6のいずれか1項に対応する漏水検出装置であって、相関処理手段により求めた相互相関関数の値に対し、予め設定された値以上の値を出力する手段を備えているので、相互相関関数の波形のピーク値を容易に判別することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、地中に埋設された水道配管等の漏水位置を高精度に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0031】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係る漏水検出装置10の構成を示す模式図である。
【0032】
漏水検出装置10は、振動検出装置20とデータ処理装置30とを備えている。
【0033】
振動検出装置20は、水中マイク21と振動センサ22とから構成されるものであり、配管5上に一定間隔で設けられた消火栓等に設置される。
【0034】
水中マイク21は、配管5内に取り付けられ、水中音を検出するものである。また、水中マイク21は、検出した水中音を示す「水中音データ」を水中音データ収集部31に送出する。
【0035】
振動センサ22は、配管5に取り付けられ、配管5の配管振動を検出するものである。また、振動センサ22は、検出した配管振動を示す「配管振動データ」を配管振動データ収集部32に送出する。
【0036】
なお、本実施形態では便宜上、位置Aおよび位置Bに対応するものに添え字AおよびBを付して表記する。例えば、配管5に漏水が生じた場合、その漏水位置Pを挟みこむ位置Aおよび位置Bに設置された振動検出装置をそれぞれ20A・20Bと表記する。
【0037】
データ処理装置30は、水中音データ収集部31と配管振動データ収集部32・共通周波数成分分析部33・共通周波数成分抽出部34・相関処理部35・漏水検知部36・時間差算出部37・漏水位置算出部38・記憶部39とを備え、振動検出装置20により検出された信号に基づき配管5の漏水位置Pを検出する。
【0038】
水中音データ収集部31は、水中マイク21により検出された水中音データを収集するものである。また、水中音データ収集部31は、収集した水中音データを共通周波数成分分析部33に送出する。
【0039】
配管振動データ収集部32は、振動センサ22により検出された配管振動データを収集するものである。また、配管振動データ収集部32は、収集した配管振動データを共通周波数成分分析部33に送出する。
【0040】
共通周波数成分分析部33は、水中音データ収集部31から送出された水中音データと配管振動データ収集部32から送出された配管振動データとに基づいて、水中音と配管振動との共通周波数成分(クロススペクトル)を求めるものである。また、共通周波数成分分析部33は、共通周波数成分のデータを共通周波数成分抽出部34に送出する。
【0041】
共通周波数成分抽出部34は、共通周波数成分分析部33から共通周波数成分のデータを受け取ると、その共通周波数成分をフィルタの係数として、「共通周波数成分信号Y(t)」を生成する。具体的には、水中音と共通する周波数成分を有する配管振動の信号を共通周波数成分信号として抽出する。また、共通周波数成分抽出部34は、共通周波数成分信号Y(t)のデータを相関処理部35に送出する。
【0042】
相関処理部35は、バッチ処理で順々に選択される検査区間の両端に設置された各振動検出装置の共通周波数成分信号を相互相関処理するものである。
【0043】
具体的には、相関処理部35は、位置Aおよび位置Bの区間が検査区間として選択された場合、位置Aにおける共通周波数成分信号Y(t)と、位置Bにおける共通周波数成分信号をY(t)とから、下式(1)により相互相関関数ΦAB(τ)を求める。
【数1】

【0044】
また、相関処理部35は、相互相関関数ΦAB(τ)のデータを漏水検知部36に送出する。
【0045】
漏水検知部36は、相関処理部35から送出された相互相関関数ΦAB(τ)のデータに基づいて、配管5の漏水を検知するものである。具体的には、位置Aおよび位置Bの間の検査区間に対応する相互相関関数ΦAB(τ)が予め設定された設定値T以上の場合には、検査区間内に漏水が生じたと判定し、設定値Tより小さい場合には漏水は生じていないと判定する。そして、漏水検知部36は、これらの判定結果を時間差算出部37に送出する。
【0046】
時間差算出部37は、漏水検知部36により漏水が生じたことが検知された場合、相互相関関数ΦAB(τ)が最大値を有するときの時間差Δτを求めるものである。
【0047】
すなわち、漏水が生じた場合には、その漏水位置Pを挟みこむ位置Aおよび位置Bに設置された振動検出装置20Aと20Bとに対応する共通周波数成分信号Y(t)およびY(t)は、それぞれ図2(A)および図2(B)に示すようなピーク値を有する波形となる。そして、これらの波形は、漏水位置Pと、位置Aおよび位置Bとのそれぞれの距離に応じて、伝播時間が送れて到達する。そこで、振動検出装置20Aおよび20Bの共通周波数成分信号Y(t)とY(t)とを相互相関処理すると、時間差がΔτとなるところに卓越したピーク値を有する相互相関関数ΦAB(τ)が得られることになる(図2(C)参照)。それゆえ、時間差算出部37は、相互相関関数ΦAB(τ)のピーク値を求めることにより、共通周波数成分信号Y(t)とY(t)との時間差Δτを求めることができる。
【0048】
漏水位置算出部38は、漏水検知部36により検査区間に漏水が生じたことが検知された場合、漏水位置Pを求めるものである。具体的は、位置Aおよび位置Bの間の検査区間に漏水が生じたことが検知された場合、位置Aと位置Bとの間の距離LABの値と配管振動の伝播速度Ckの値とを記憶部39から読み出す。そして、時間差算出部37により算出された時間差Δτの値を下式(2)に代入して、振動検出装置20Aが設置された位置Aから漏水位置Pまでの距離lを算出する。
【0049】
=(LAB−Ck・Δτ)/2 ・・・・・・(2)
また、漏水位置算出部38は、距離lの情報から漏水位置Pの位置情報を外部出力装置等に出力する。
【0050】
記憶部39は、位置Aと位置Bとの間の距離LABの値や配管振動の伝播速度Ckの値、配管図などのデータを記憶するものである。
【0051】
次に、本実施形態に係る漏水検出装置10の動作を図3のフローチャートを用いて説明する。
【0052】
前提として、漏水が生じていると推定される位置Pが、予め選択されているものとする。これにより、位置Pの近傍の位置A〜Nに存在する給水栓等が検査対象として選択される。
【0053】
かかる前提のもと、各位置A〜Nにおいて、水中音データ収集部31および配管振動データ収集部32により、水中音データおよび配管振動データが収集される(ステップS1)。
【0054】
水中音データおよび配管振動データが収集されると、水中音と配管振動との各位置A〜Nにおける共通周波数成分が共通周波数成分分析部33により分析される。さらに、それをフィルタ係数として、各位置A〜Nにおける共通周波数成分信号Y(t)〜Y(t)が共通周波数成分抽出部34により生成される(ステップS2)。なお、この際、振幅の大きさは規格化される。
【0055】
続いて、相関処理部35により、各位置A〜Nのうち、検査区間として設定される2点間の共通周波数成分信号が順々に相互相関処理される(ステップS3)。例えば、図4において、位置Aと位置B〜Eとのそれぞれにおける共通周波数成分信号が相互相関処理される。
【0056】
次に、相互相関処理により求められた相互相関関数ΦAB(τ)の値が設定値Tより大きいか否かが漏水検知部36により判定される。判定の結果、相互相関関数が設定値Tより大きい値(ピーク値)を有する場合は、漏水が生じたと判定される(ステップS4−Yes,S5)。例えば、図4においては、位置Aと位置Bとにおける共通周波数成分信号の相互相関関数ΦAB(τ)がピーク値を有することとなり、位置Aと位置Bとの間で漏水が生じたことが検知される。
【0057】
漏水が生じたことが検知された場合、共通周波数成分信号Y(t)とY(t)の伝播時間の差Δτが時間差算出部37により算出される(ステップS6)。
【0058】
続いて、漏水位置算出部38により漏水位置Pが算出される(ステップS7)。具体的には、各位置A〜Nのうち、基準位置として設定された位置Aから漏水位置Pまでの距離lが算出される。そして、距離lに基づき、配管図上における漏水位置Pの位置情報等が外部出力される。これにより、漏水検出処理が終了する。
【0059】
一方、ステップS4において、相互相関処理による相互相関関数ΦAB(τ)の値が設定値Tより小さい場合、漏水は生じていないと判定される。これにより、漏水検出処理が終了する(ステップS4−No,S8)。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る漏水検出装置10は、配管5の検査区間の両端の位置A・Bに設置された振動検出装置20A・20Bと、振動検出装置20A・20B毎に、水中音と共通する周波数成分を有する配管振動の信号を共通周波数成分信号として抽出する共通周波数成分抽出部34と、各振動検出手段20A・20Bの共通周波数成分信号を相互相関処理する相関処理部35と、相互相関処理の結果に基づいて、配管5の漏水を検知するための漏水検知部36と、各振動検出装置20A・20Bに対応する共通周波数成分信号の伝播時間の差Δτを求める時間差算出部37と、伝播時間の差Δτに基づいて配管5の漏水位置Pを検出するための漏水位置算出部38とを備えており、水中音と配管振動との共通周波数成分信号Y(t)を求めてから相互相関処理するので、地中に埋設された配管5等における漏水位置Pを高精度に検出できる。
【0061】
すなわち、位置Aにおける水中音および配管振動の双方の共通周波数成分信号を求めた上で、さらに、位置Bにおける相互相関処理の結果と相互相関処理を行なうので、ノイズに対する影響を少なくすることができ、漏水位置Pの検出精度を向上することができる。これにより、漏水が生じている配管5の破損位置を同定し、速やかに処置することができ、水資源等の社会的な財産を守ることにも資する。
【0062】
なお、共通周波数成分抽出部34において、配管振動と共通する周波数成分を有する水中音の信号が共通周波数成分信号として抽出されても同様の議論が成立することはいうまでもない。
【0063】
<第2の実施形態>
図5は本発明の第2の実施形態に係る漏水検出装置10の構成を示す模式図である。なお、既に説明した部分と同一部分には、ほぼ同一符号を付し重複した説明を省略する。また、以下の各実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
【0064】
本実施形態においては、第1の実施形態における共通周波数成分分析部33・共通周波数成分抽出部34・相関処理部35に代えて、第1相関処理部40・第2相関処理部41を備える。
【0065】
第1相関処理部40は、配管5の1箇所の位置に取り付けられた水中マイク21Aにより検出された水中音を基準とし、複数箇所の振動センサ22A・22Bにより検出された配管振動の各々と相互相関処理するものである。これにより、水中音と相関のある配管振動の信号のみを抽出することができる。
【0066】
具体的には、水中マイク21の水中音をW(t)とし、2つの振動センサ22A・22Bの配管振動をK(t),K(t)として、下式(3)・(4)により相互相関関数φAA(τ),φAB(τ)を求める。
【数2】

【0067】
第2相関処理部41は、第1相関処理部40により求められた2つの相互相関関数φAA(τ)・φAB(τ)をさらに相互相関処理するものである。すなわち、第2相関処理部41は、下式(5)に基づき、振動センサ22A・22Bの配管振動に対応する相互相関関数φAA(τ)・φAB(τ)から相互相関関数ΦAB(τ)を求める。
【数3】

【0068】
上述したように、本実施形態に係る漏水検出装置10は、配管5の1箇所に設置された水中マイク21Aと、配管5の複数の位置に設置された複数の振動センサ22A・22Bと、水中マイク21Aにより検出された水中音W(t)と各振動センサ22A・22Bにより検出された配管振動K(t),K(t)とをそれぞれ相互相関処理する第1相関処理部40と、第1相関処理部40により求められた相互相関関数φAA(τ),φAB(τ)をさらに相互相関処理する第2相関処理部41とを備えており、水中音と配管振動とを相互相関処理しているので、配管5の漏水位置Pを高精度に検出できる。
【0069】
すなわち、位置Aにおける水中音および配管振動の双方を用いて相互相関処理を行なった上で、さらに、位置Bにおける相互相関処理の結果と相互相関処理を行なうので、ノイズに対する影響を少なくすることができ、漏水位置Pの検出精度を向上することができる。
【0070】
なお、図6に示すように、配管5の1箇所の位置に取り付けられた振動センサ22Bにより検出された配管振動を基準とし、複数箇所に取り付けられた水中マイク21A・21Bにより検出された水中音とそれぞれ相互相関処理することにより、漏水位置を検出することもできる。この場合は、第1相関処理部40・第2相関処理部41の代わりに、第3相関処理部42・第4相関処理部43を備え、配管振動と相関のある水中音の信号のみが抽出されて相互相関関数のピーク値の検出が行なわれる。
【0071】
すなわち、複数の位置に設置された複数の水中マイク21A・21Bと、1箇所に設置された振動センサ22Bと、各水中マイク21A・21Bにより検出された水中音と振動センサ22Bにより検出された配管振動とをそれぞれ相互相関処理する第3相関処理部42と、第3相関処理部42により求められた相互相関関数をさらに相互相関処理する第4相関処理部43と備えることにより、配管振動と水中音とを相互相関処理しているので、配管5の漏水位置Pを高精度に検出できる。
【0072】
<第3の実施形態>
図7は本発明の第3の実施形態に係る漏水検出装置10の構成を示す模式図である。
【0073】
本実施形態においては、配管5の複数の箇所で検出された信号ではなく、1箇所で検出された信号に基づいて漏水位置Pを求める。
【0074】
相関処理部35は、配管5の同一の位置に設置された水中マイク21と振動センサ22とにより検出された水中音と配管振動との相互相関処理を行なう。
【0075】
例えば、水中マイク21により検出された水中音をW(t)とし、振動センサ22により検出された配管振動をK(t)として、下式(6)により相互相関関数Φ(τ)を求める。
【数4】

【0076】
漏水検知部36は、相関処理部35により求められた相互相関関数Φ(τ)に基づいて、配管5の漏水を検知するものである。具体的には、位置Aおよび位置Bの間の検査区間に対応する相互相関関数Φ(τ)が予め設定された設定値T以上の値を有する場合には、検査区間内に漏水が生じたと判定し、設定値Tより小さい場合には漏水は生じていないと判定する。そして、漏水検知部36は、これらの判定結果を時間差算出部37に送出する。
【0077】
時間差算出部37は、漏水検知部36により漏水が生じたことが検知された場合、相互相関関数Φ(τ)が最大値を有するときの時間差Δτを求めるものである。また、時間差算出部37は、求めた時間差Δτを漏水位置算出部38に送出する。
【0078】
漏水位置算出部38は、漏水検知部36により検査区間内に漏水が生じたことが検知された場合、漏水位置Pを求めるものである。具体的は、位置Aおよび位置Bの間の検査区間内に漏水が生じたことが検知された場合、水中音の伝播速度Cwの値と、配管振動の伝播速度Ckとの値とを記憶部39から読み出す。それから、水中マイク21と振動センサ22とが設置された位置Aから漏水位置Pまでの距離lを下式(6)に基づいて算出する。
【0079】
=Δτ・(Cw−Ck) ・・・・・・(6)
記憶部39は、水中音の伝播速度Cwの値や配管振動の伝播速度Ckの値などのデータを記憶するものである。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係る漏水検出装置10は、地中に埋設された配管5に設置された水中マイク21と、水中マイク21の設置箇所と同一箇所に設置された振動センサ22と、水中マイク21により検出された水中音と振動センサ22により検出された配管振動とを相互相関処理する相関処理部35と、相関処理部35による相互相関処理の結果に基づいて、配管5の漏水を検知するための漏水検知部36と、漏水検知部36により漏水が生じたことが検知された場合、水中音と配管振動との伝播時間の差Δτを求める時間差算出部37と、時間差算出部37により算出された伝播時間の差Δτに基づいて、配管5の漏水位置Pを検出するための漏水位置算出部38とを備えており、水中音と配管振動とを相互相関処理して漏水位置を検出するので、地中に埋設された配管5における漏水位置を高精度に検出できる。
【0081】
また、漏水検出装置10は、1箇所に設置された振動検出装置20により検出された信号に基づき漏水位置Pを求めるものである。それゆえ、配管5の複数箇所に振動検出装置20を設置する必要がないので、漏水位置Pを簡易に求めることができる。
【0082】
すなわち、配管5において、2点間の検査区間の距離がわからない場合であっても、漏水位置Pを求めることができる。
【0083】
なお、本実施形態に係る漏水検出装置10においては、振動検出装置20を1箇所にしか設置しないため、水中音および配管振動の伝播方向を求めることが困難な場合がある。この場合であっても、振動検出装置20を少しずらしてから波形を調べることにより、それらの伝播方向を容易に求めることができる。
【0084】
なお、相関処理部35による相互相関処理をする際に、低周波数帯域の信号のみを通過させる「ローパスフィルタ処理」を実行してもよい。一般的に、水中マイクや振動センサによる検出信号の相互相関処理の結果は、ノイズ等を含むので、最大値を判別することが難しい。そこで、低周波数帯域の信号のみを通過させるローパスフィルタ処理を行なうことで、相互相関関数からノイズ成分による細かいギザギザの波形を無くすことができ、本来の相関処理結果のみを得ることができる。具体的には、図8(A)に示すような相互相関関数の波形が、図8(B)に示すような滑らかな波形となる。これにより、相互相関関数の値が最大値となるときの時間差Δτを求める際、その最大値の判別が容易になり、さらに高精度に漏水位置Pを検出できるようになる。
【0085】
また、相関処理部35において、予め設定された閾値Th以上の値を出力する「閾値フィルタ処理」を行なってもよい。これにより、閾値Thより低い値が全てフィルタリングされる。具体的には、図8(A)に示すような相互相関関数の波形が、図8(C)に示すようなピークを持った波形となる。これにより、最大値の判別が容易となるので、さらに高精度に漏水を検出できるようになる。
【0086】
<その他>
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る漏水検出装置10の構成を示す模式図である。
【図2】同実施形態に係る共通周波数成分信号の波形および相互相関関数の波形を示す図である。
【図3】同実施形態に係る漏水検出装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】同実施形態に係る検査区間の概念を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る漏水検出装置10の構成を示す模式図である。
【図6】同実施形態に係る漏水検出装置10の変形例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る漏水検出装置10の構成を示す模式図である。
【図8】同実施形態に係る漏水検出装置のローパスフィルタ処理および閾値フィルタ処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0088】
5・・・配管、10・・・漏水検出装置、20・・・振動検出装置、21・・・水中マイク、
22・・・振動センサ、30・・・データ処理装置、31・・・水中音データ収集部、
32・・・配管振動データ収集部、33・・・共通周波数成分分析部、
34・・・共通周波数成分抽出部、35・・・相関処理部、36・・・漏水検知部、
37・・・時間差算出部、38・・・漏水位置算出部、39・・・記憶部、
40・・・第1相関処理部、41・・・第2相関処理部、42・・・第3相関処理部、
43・・・第4相関処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設された水道配管の漏水位置を検出する漏水検出装置であって、
前記水道配管の検査区間の両端に設置された、水中マイクと振動センサとを有する複数の振動検出手段と、
前記振動検出手段毎に、前記水中マイクにより検出された水中音と前記振動センサにより検出された配管振動との共通周波数成分を有する共通周波数成分信号を生成する手段と、
前記各振動検出手段の共通周波数成分信号を相互相関処理する相関処理手段と、
前記相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水を検知するための漏水検知手段と、
前記漏水検知手段により漏水が生じたことが検知された場合、前記各振動検出手段に対応する共通周波数成分信号の伝播時間の差を求める時間差算出手段と、
前記時間差算出手段により算出された伝播時間の差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するための手段と
を備えたことを特徴とする漏水検出装置。
【請求項2】
地中に埋設された水道配管の漏水位置を検出する漏水検出装置であって、
前記水道配管の検査区間内の1箇所に設置された水中マイクと、
前記検査区間の両端に設置された複数の振動センサと、
前記水中マイクにより検出された水中音と前記各振動センサにより検出された配管振動とをそれぞれ相互相関処理して第1相関関数を算出する第1相関処理手段と、
前記各振動センサに対応する第1相関関数を相互相関処理する第2相関処理手段と、
前記第2相関処理手段による相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水を検知するための漏水検知手段と、
前記漏水検知手段により漏水が生じたことが検知された場合、前記各振動センサに対応する第1相関関数が最大値を有する際の時間差を求める時間差算出手段と、
前記時間差算出手段により算出された時間差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するための手段と
を備えたことを特徴とする漏水検出装置。
【請求項3】
地中に埋設された水道配管の漏水位置を検出する漏水検出装置であって、
前記水道管の検査区間の両端に設置された複数の水中マイクと、
前記検査区間内の1箇所に設置された振動センサと、
前記各水中マイクにより検出された水中音と前記振動センサにより検出された配管振動とをそれぞれ相互相関処理して第3相関関数を算出する第3相関処理手段と、
前記各振動センサに対応する第3相関関数を相互相関処理する第4相関処理手段と、
前記第4相関処理手段による相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水を検知するための漏水検知手段と、
前記漏水検知手段により漏水が生じたことが検知された場合、前記各振動センサに対応する第3相関関数が最大値を有する際の時間差を求める時間差算出手段と、
前記時間差算出手段により算出された時間差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するための手段と
を備えたことを特徴とする漏水検出装置。
【請求項4】
地中に埋設された水道配管に設置された水中マイクと、
前記水中マイクの設置箇所と同一箇所に設置された振動センサと、
前記水中マイクにより検出された水中音と前記振動センサにより検出された配管振動とを相互相関処理する相関処理手段と、
前記相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するための漏水位置検出手段と
を備えたことを特徴とする漏水検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の漏水検出装置において、
前記漏水位置検出手段は、
前記水道配管の漏水を検知するための漏水検知手段と、
前記漏水検知手段により漏水が生じたことが検知された場合、前記水中音と前記配管振動との伝播時間の差を求める時間差算出手段と、
前記時間差算出手段により算出された伝播時間の差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するための手段と
を備えたことを特徴とする漏水検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の漏水検出装置であって、
前記相関処理手段により求めた相互相関関数の波形にローパスフィルタ処理をする手段
を備えたことを特徴とする漏水検出装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の漏水検出装置であって、
前記相関処理手段により求めた相互相関関数の値に対し、予め設定された値以上の値を出力する手段
を備えたことを特徴とする漏水検出装置。
【請求項8】
地中に埋設された水道配管の検査区間の両端に設置された、水中マイクと振動センサとを有する複数の振動検出手段から水中音と配管振動とのデータを収集するデータ収集ステップと、
前記水中マイクにより検出された水中音と前記振動センサにより検出された配管振動との共通周波数成分を有する共通周波数成分信号を前記振動検出手段毎に生成するステップと、
前記各振動検出手段の共通周波数成分信号を相互相関処理する相関処理ステップと、
前記相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水を検知するための漏水検知ステップと、
前記漏水検知ステップにより漏水が生じたことが検知された場合、前記各振動検出手段に対応する共通周波数成分信号の伝播時間の差を求める時間差算出ステップと、
前記時間差算出ステップにより算出された伝播時間の差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するステップと
を備えたことを特徴とする漏水検出方法。
【請求項9】
地中に埋設された水道配管の検査区間内の1箇所に設置された水中マイクから水中音のデータを収集するステップと、
前記検査区間の両端に設置された複数の振動センサから配管振動のデータを収集するステップと、
前記水中マイクにより検出された水中音と前記各振動センサにより検出された配管振動とをそれぞれ相互相関処理して第1相関関数を算出する第1相関処理ステップと、
前記各振動センサに対応する第1相関関数を相互相関処理する第2相関処理ステップと、
前記第2相関処理ステップによる相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水を検知する漏水検知ステップと、
前記漏水検知ステップにより漏水が生じたことが検知された場合、前記各振動センサに対応する第1相関関数が最大値を有する際の時間差を求める時間差算出ステップと、
前記時間差算出ステップにより算出された時間差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するステップと
を備えたことを特徴とする漏水検出方法。
【請求項10】
地中に埋設された水道管の検査区間の両端に設置された複数の水中マイクから水中音のデータを収集するステップと、
前記検査区間内の1箇所に設置された振動センサから配管振動のデータを収集するステップと、
前記各水中マイクにより検出された水中音と前記振動センサにより検出された配管振動とをそれぞれ相互相関処理して第3相関関数を算出する第3相関処理ステップと、
前記各振動センサに対応する第3相関関数を相互相関処理する第4相関処理ステップと、
前記第4相関処理ステップによる相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水を検知するための漏水検知ステップと、
前記漏水検知ステップにより漏水が生じたことが検知された場合、前記各振動センサに対応する第3相関関数が最大値を有する際の時間差を求める時間差算出ステップと、
前記時間差算出ステップにより算出された時間差に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するステップと
を備えたことを特徴とする漏水検出方法。
【請求項11】
地中に埋設された水道配管に設置された水中マイクから水中音のデータを収集するステップと、
前記水中マイクの設置箇所と同一箇所に設置された振動センサから配管振動のデータを収集するステップと、
前記水中マイクにより検出された水中音と前記振動センサにより検出された配管振動とを相互相関処理する相関処理ステップと、
前記相関処理ステップによる相互相関処理の結果に基づいて、前記水道配管の漏水位置を検出するステップと
を備えたことを特徴とする漏水検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−51776(P2008−51776A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231143(P2006−231143)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】