説明

炎症及び免疫関連使用のための置換縮合環化合物

本発明は、構造式(I)又は(II)の化合物:
【化34】


又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグに関し、式中、L、L、Y、R、R、R、R10、環A、環B、環C、及び環Dは本明細書で定義される。これらの化合物は、免疫抑制剤として、並びに、炎症状態、アレルギー疾患、及び免疫疾患の治療と予防に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2007年2月16日出願の米国仮特許出願第60/901,949号の利益を主張するものである。この出願の全教示内容は、参照することで本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、免疫抑制、又は、炎症状態、アレルギー疾患、及び免疫疾患の治療若しくは予防に使用することができる生物学的に活性な化学物質に関する。
【背景技術】
【0003】
炎症は、病原体の侵入から哺乳動物を守るメカニズムである。しかしながら、一過性の炎症は哺乳類を感染から守るのに必要であるのに対し、制御されない炎症は組織に損傷を与え、多くの疾患の潜在的原因となる。炎症は、通常、抗原がT細胞抗原受容体と結合することによって引き起こされる。抗原がT細胞と結合することにより、Ca2+遊離活性化Ca2+チャネル(CRAC)などのカルシウムイオンチャネルを介して細胞へのカルシウム流入が引き起こされる。カルシウムイオン流入は、次に、これらの細胞の活性化、及びサイトカイン産生を特徴とする炎症反応を誘発するシグナルカスケードを引き起こす。
【0004】
インターロイキン2(IL−2)は、細胞へのカルシウムイオン流入に反応してT細胞により分泌されるサイトカインである。IL−2は、免疫システムの多くの細胞に対する免疫作用を調節する。例えば、IL−2は、細胞周期のG1期からS期への進行を促進するT細胞増殖に必要な潜在的T細胞マイトジェンであり;NK細胞の成長を刺激し;B細胞に成長因子として作用すると共に、抗体の合成を刺激する。
【0005】
IL−2は免疫反応には有用であるが、種々の問題の原因となり得る。IL−2は、血液脳関門及び脳血管の内皮に損傷を与える。このような影響は、例えば、疲労、見当識障害、及びうつ病などの、IL−2治療に伴う神経精神性の副作用の潜在的な原因となる場合がある。IL−2は、ニューロンの電気生理学的挙動の変化ももたらす。
【0006】
T細胞及びB細胞の両方への作用により、IL−2は免疫反応の主たる中心的調節因子である。IL−2は、炎症反応、腫瘍監視、及び造血において役割を有する。さらに、IL−1、TNF−α、及びTNF−β分泌の誘発、並びに末梢白血球中におけるIFN−γ合成の刺激など、他のサイトカインの産生にも影響を与える。
【0007】
IL−2を産生できないT細胞は不活性(アネルギー性)となる。これにより、これらの細胞は、今後起こり得る抗原性のいかなる刺激に対しても潜在的に不活性となる。その結果、IL−2産生を阻害する薬剤を用いて、免疫抑制、又は、炎症及び免疫疾患の治療若しくは予防を行なうことができる。この手法は、シクロスポリン、FK506、及びRS61443などの免疫抑制剤によって臨床的に確認されている。この概念実証にも関わらず、IL−2の産生を阻害する薬剤は理想からは程遠い状態にある。他の問題の中でも、効力の限界、及び望ましくない副作用(用量依存性の腎毒性及び高血圧を含む)がその使用を妨げている。
【0008】
IL−2以外の炎症誘発性サイトカインの過剰産生も、多くの自己免疫疾患に関連付けられている。例えば、好酸球の産生を増加させるサイトカインであるインターロイキン5(IL−5)は、喘息において増加する。IL−5の過剰産生は、喘息状態の気管支粘膜中での好酸球の蓄積を伴い、これはアレルギー性炎症の特徴である。従って、好酸球の蓄積を伴う喘息及び他の炎症疾患の患者は、IL−5の産生を阻害する新規の薬物開発によって恩恵を受けるであろう。
【0009】
インターロイキン4(IL−4)及びインターロイキン13(IL−13)は、炎症性腸疾患及び喘息で見られる平滑筋の過剰収縮のメディエーターとして認識されている。従って、喘息及び炎症性腸疾患の患者は、IL−4及びIL−13の産生を阻害する新規の薬物開発によって恩恵を受けるであろう。
【0010】
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)は、顆粒球及びマクロファージ系列集団の成熟化の調節因子であり、炎症性及び自己免疫疾患における重要な因子であることが指摘されている。自己免疫疾患が、抗GM−CSF抗体ブロックによって改善することが示されている。従って、炎症性又は自己免疫疾患の患者は、GM−CSFの産生を阻害する新規の薬物開発によって恩恵を受けるであろう。
【0011】
免疫抑制、又は炎症疾患、アレルギー疾患、及び自己免疫疾患の治療若しくは予防に現在用いられている薬物の1つ以上の欠点を克服する新規な薬物が、継続的に求められている。新規な薬物に所望される性質としては、現在治療が不可能、若しくはうまく治療ができない疾患や障害に対する効力、新しい作用メカニズム、経口バイオアベイラビリティ、及び/又は副作用の低減が挙げられる。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、CRACイオンチャネルの活性を阻害し、かつ、IL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α、及びIFN−γの産生を阻害する化合物を提供することによって、上述の要求を満たすものである。これらの化合物は、免疫抑制、及び/又は、炎症状態、アレルギー疾患、及び免疫疾患の治療若しくは予防に対して特に有用である。
【0013】
一実施形態において、本発明は、構造式(I)によって表される化合物:
【化1】

又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグに関し、式中:
Lは、−NRC(R)−、−C(R)NR−、−C(O)−、−NR−C(O)−、−C(O)−NR−、−C(S)−、−C(NR)−、−NR−C(S)−、−C(S)−NR−、−NR−C(NR)−、−C(NR)−NR−、−NRC(O)NR−、−NRC(S)NR−、−NRC(NR)NR−、−S(O)NR−、−NRS(O)−、−NRS(O)NR−、−NRC(R)NR−、−CR=CR−、−N=CR−、−CR=N−、−NR−N=CR−、及び−CR=N−NR−からなる群から選択されるリンカーであり;
Yは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
Rはそれぞれ独立して、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
及びRはそれぞれ独立して、置換基であり;
はそれぞれ独立して、−H、ハロ、アルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、又は−C(O)NRであり;
はそれぞれ独立して、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
及びRはそれぞれ独立して、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;又はR及びRは、これらに結合する窒素と共に、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、又は置換基を有していてもよいヘテロアリールであり;
環Aは1〜6個の置換基で任意に置換されていてもよい、但し、環Aは任意に置換された二重結合で置換されておらず、環Aからの炭素原子は二重結合の一部を形成しており;
環Bは、1〜3個の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、構造式(II)によって表される化合物:
【化2】

又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグに関し、式中:
はリンカーであり;
は置換基を有していてもよいアリール又は置換基を有していてもよいヘテロアリールであり;
10は、H、ハロ、シアノ、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
環Cは1〜6個の置換基で任意に置換されていてもよく;
環Dは1〜3個の置換基で任意に置換されていてもよく;
Y、R、R、Rは構造式(I)と同様に定義される。
【0015】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、−L−Yは共に、−OCH
【化3】

ではない。
【0016】
本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、免疫細胞(例:マスト細胞、T細胞、及び/又はB細胞)の活性化(例:抗原に反応してサイトカイン産生及び/又は増殖、及び/又はマスト細胞脱顆粒)を阻害するのに特に有用である。特に、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、免疫細胞の活性化を制御する特定のサイトカインの産生を阻害することができる。例えば、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、IL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α、INF−γ、又はこれらの組み合わせの産生を阻害することができる。さらに、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、CRACイオンチャネルなどの、免疫細胞の活性化に関与する1種類以上のイオンチャネルの活性を調節することができる。
【0017】
一実施形態では、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、マスト細胞脱顆粒の阻害に特に有用である。マスト細胞脱顆粒は、アレルギー反応に関与している。
【0018】
本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、免疫抑制に特に有用であり、又は炎症状態、アレルギー疾患、及び免疫疾患の治療若しくは予防に特に有用である。
【0019】
本発明は、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグと、薬理学的に許容される担体又は賦形剤とを含む医薬組成物も包含する。これらの組成物は、追加の薬剤をさらに含んでもよい。これらの組成物は、免疫抑制に有用であり、かつ、炎症状態、アレルギー疾患、及び免疫疾患の治療若しくは予防に有用である。
【0020】
本発明はさらに、炎症状態、アレルギー疾患、及び免疫疾患を治療若しくは予防する方法も包含し、この方法には、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。これらの方法は、追加の薬剤を、別々に、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグとの混合組成物の形で、対象に投与する工程を含むこともできる。
【0021】
本発明はさらに、対象の免疫システムを抑制する方法も包含し、この方法には、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。これらの方法は、追加の薬剤を、別々に、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグとの混合組成物の形で、対象に投与する工程を含むこともできる。
【0022】
本発明はさらに、T細胞及び/又はB細胞の増殖の阻害を含む、in vivo又はin vitroで免疫細胞の活性化を阻害する方法も包含し、この方法には、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を、細胞に投与する工程を含む。
【0023】
本発明はさらに、in vivo又はin vitroで、細胞中でのサイトカインの産生(例:IL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α、及び/又はINF−γの産生)を阻害する方法も包含し、この方法には、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を、細胞へ投与する工程を含む。
【0024】
本発明はさらに、in vivo又はin vitroで、イオンチャネル活性(例:CRACチャネル活性)を調節する方法も包含し、この方法には、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0025】
本発明のすべての方法は、本発明の化合物単独で実施してもよく、又は、他の免疫抑制剤、抗炎症剤、アレルギー疾患の治療のための薬剤、若しくは免疫疾患の治療のための薬剤などの、他の薬剤と組み合わせて実施してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(定義)
特に断りのない限り、本明細書で用いる以下の用語は、次のように定義する。
【0027】
本明細書で用いる「芳香環」又は「アリール」という用語は、炭素及び水素原子を含む、単環若しくは多環の芳香環又は芳香環ラジカルを意味する。適切なアリール基の例としては、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、ナフチル、並びに、5,6,7,8−テトラヒドロナフチルなどのベンゾ縮合炭素環部分が挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は無置換であってよく、又は、アルキル(好ましくは、低級アルキル、又は1個以上のハロで置換されたアルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくは、低級アルコキシ)、アルキルスルファニル、シアノ、ハロ、アミノ、及びニトロを含むがこれらに限定されない1つ以上の置換基で置換されていてもよい。特定の実施形態では、アリール基は単環であり、該環は6個の炭素原子を含む。
【0028】
本明細書で用いる「アルキル」という用語は、直鎖又は分岐鎖の飽和非環式炭化水素基であり、通常1〜10個の炭素原子を有する。飽和直鎖アルキルの代表的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、及びn−デシルであり、一方、飽和分岐鎖アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、2,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルヘキシル、2,4−ジメチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルヘキシル、4,4−ジメチルヘキシル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチル−2−エチルペンチル、2−メチル−3−エチルペンチル、2−メチル−4−エチルペンチル、2−メチル−2−エチルヘキシル、2−メチル−3−エチルヘキシル、2−メチル−4−エチルヘキシル、2,2−ジエチルペンチル、3,3−ジエチルヘキシル、2,2−ジエチルヘキシル、3,3−ジエチルヘキシルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるアルキル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。置換基の例としては、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルスルファニル、オキソ、ハロ、アシル、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールスルファニル、アリールアミノ、カルボシクリル(carbocyclyl)、カルボシクリルオキシ(carbocyclyloxy)、カルボシクリルチオ(carbocyclylthio)、カルボシクリルアミノ(carbocyclylamino)、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルチオなどが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、アルキル部分のいずれの炭素も、酸素(=O)、硫黄(=S)、又は窒素(=NR22、ここでR22は−H、アルキル、アセチル、又はアラルキル)で置換されていてもよい。本発明の化合物には、通常、低級アルキルが好ましい。
【0029】
アルキレンという用語は、2つの部分と結合する2箇所の結合点を有するアルキル基若しはシクロアルキル基(例えば、{−CH−}、−{CHCH−}、
【化4】

などであり、ここで、括弧は結合点を表す)のことである。アルキレン基は、1つ以上の置換基で置換されていても、未置換であってもよい。
【0030】
アラルキル基とは、アルキレンリンカーによって別の部分と結合しているアリール基のことである。アラルキル基は、1つ以上の置換基で置換されていても、未置換であってもよい。
【0031】
本明細書で用いる「アルコキシ」という用語は、酸素原子によって別の部分と結合しているアルキル基のことである。アルコキシ基は、1つ以上の置換基で置換されていても、未置換であってもよい。
【0032】
本明細書で用いる「アルキルスルファニル」という用語は、二価の硫黄原子によって別の部分と結合しているアルキル基のことである。アルキルスルファニル基は、1つ以上の置換基で置換されていても、未置換であってもよい。
【0033】
本明細書で用いる「アリールスルファニル」という用語は、二価の硫黄原子によって別の部分と結合しているアリール基のことである。アリールスルファニル基は、1つ以上の置換基で置換されていても、未置換であってもよい。
【0034】
本明細書で用いる「アルキルエステル」という用語は、式−C(O)OR32によって表される基のことであり、ここで、R32はアルキル基である。低級アルキルエステルは、式−C(O)OR32によって表される基のことであり、ここで、R32は低級アルキル基である。
【0035】
本明細書で用いる「ヘテロアルキル」という用語は、−O−、−S−、又は−NR27−で置換されたアルキル鎖に1つ以上の炭素を有するアルキル基のことであり、ここで、R27はH又は低級アルキルである。ヘテロアルキル基は、1つ以上の置換基で置換されていても、未置換であってもよい。
【0036】
本明細書で用いる「アルキルアミノ」という用語は、窒素と結合している1個の水素原子がアルキル基で置換されているアミノ基のことである。本明細書で用いる「ジアルキルアミノ」という用語は、窒素と結合している2個の水素原子がアルキル基で置換されているアミノ基のことであり、アルキル基は同じであっても異なっていてもよい。アルキルアミノ基及びジアルキルアミノ基は、1つ以上の置換基で置換されていても、未置換であってもよい。
【0037】
本明細書で用いる「アルケニル」という用語は、通常2〜10個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する。直鎖及び分岐鎖のアルケニルの代表的な例としては、ビニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、1−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、3−オクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、2−デセニル、3−デセニル、などが挙げられる。アルケニル基は、1つ以上の置換基で置換されていても、未置換であってもよい。
【0038】
本明細書で用いる「アルキニル」という用語は、通常2〜10個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する。直鎖及び分岐鎖のアルキニルの代表的な例としては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、2−ヘプチニル、6−ヘプチニル、1−オクチニル、2−オクチニル、7−オクチニル、1−ノニニル、2−ノニニル、8−ノニニル、1−デシニル、2−デシニル、9−デシニル、などが挙げられる。アルキニル基は、1つ以上の置換基で置換されていても、未置換であってもよい。
【0039】
本明細書で用いる「シクロアルキル」という用語は、通常3〜14個の炭素原子を有する、単環若しくは多環の飽和アルキルラジカルを意味する。シクロアルキルの代表的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカヒドロナフチル、オクタヒドロペンタレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル、などが挙げられる。シクロアルキル基は、1つ以上の置換基で置換されていても、未置換であってもよい。
【0040】
本明細書で用いる「シクロアルケニル」という用語は、環系に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、通常5〜14個の炭素原子を有する、環状の非芳香族アルケニルラジカルを意味する。シクロアルケニルの代表的な例としては、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、シクロオクタトリエニル、シクロオクタテトラエニル、シクロノネニル、シクロノナジエニル、シクロデセニル、シクロデカジエニル、などが挙げられる。シクロアルケニル基は、1つ以上の置換基で置換されていても、未置換であってもよい。
【0041】
本明細書で用いる「ヘテロシクリル」という用語は、単環若しくは多環の複素環(通常、3〜14員環)を意味し、飽和環若しくは不飽和非芳香環である。3員ヘテロシクリルは3個までのヘテロ原子を含むことができ、4〜14員ヘテロシクリルは、1〜約8個のヘテロ原子を含むことができる。各へテロ原子は、四級化されていてもよい窒素;酸素;並びに、スルホキシド及びスルホンを含む硫黄から独立して選択される。ヘテロシクリルは、任意のヘテロ原子又は炭素原子を介して結合することができる。代表的なヘテロシクリルの例としては、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、4H−ピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、などが挙げられる。ヘテロ原子は、当業者に公知の保護基で置換されてもよく、例えば、窒素上の水素がtert−ブトキシカルボニル基で置換されていてもよい。さらに、ヘテロシクリルは1つ以上の置換基(ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアリールを含むが、これらに限定されない)で任意に置換されていてもよい。本定義で意図するのは、そのような置換複素環基のうち安定な異性体のみである。
【0042】
本明細書で用いる「ヘテロアルキル」という用語は、単環若しくは多環の複素環(通常、3〜14員環)を意味し、どちらも飽和環である。3員ヘテロシクリルは3個までのヘテロ原子を含むことができ、4〜14員ヘテロシクリルは、1〜約8個のヘテロ原子を含むことができる。各へテロ原子は、四級化されていてもよい窒素;酸素;並びに、スルホキシド及びスルホンを含む硫黄から独立して選択される。ヘテロシクリルは、任意のヘテロ原子又は炭素原子を介して結合することができる。代表的なヘテロシクリルの例としては、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、などが挙げられる。ヘテロ原子は、当業者に公知の保護基で置換されてもよく、例えば、窒素上の水素がtert−ブトキシカルボニル基で置換されていてもよい。さらに、ヘテロシクリルは1つ以上の置換基(ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアリールを含むが、これらに限定されない)で任意に置換されていてもよい。本定義で意図するのは、そのような置換複素環基のうち安定な異性体のみである。
【0043】
本明細書で用いる「芳香族複素環」又は「ヘテロアリール」という用語は、炭素原子の環員及び1個以上のヘテロ原子の環員(例えば、酸素、硫黄、若しくは窒素など)を含む、単環若しくは多環のヘテロ芳香環(又は、そのラジカル)を意味する。通常、ヘテロ芳香環は、5〜約14個の環員を有し、そのうちの少なくとも1個の環員は、酸素、硫黄、及び窒素から選択されるヘテロ原子である。別の実施形態では、ヘテロ芳香環は、5又は6員環であり、1〜約4個のヘテロ原子を含むことができる。別の実施形態では、ヘテロ芳香環系は、7〜14個の環員を有し、1〜約7個のヘテロ原子を含むことができる。代表的なヘテロアリールの例としては、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリジニル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、インドリジニル、イミダゾピリジニル、イソチアゾリル、テトラゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キナゾリニル、プリニル、ピロロ[2,3]ピリミジル、ピラゾロ[3,4]ピリミジル、又はベンゾ(b)チエニル、などが挙げられる。ヘテロアリール基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0044】
ヘテロアラルキル基とは、アルキレンリンカーを介して別の部分と結合しているヘテロアリール基のことである。ヘテロアラルキル基は、1つ以上の置換基で置換されていても、未置換であってもよい。
【0045】
本明細書で用いる「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、−F、−Cl、−Br、又は−Iを意味する。
【0046】
本明細書で用いる「ハロアルキル」という用語は、1個以上の−Hがハロ基で置き換えられたアルキル基を意味する。ハロアルキル基の例としては、−CF、−CHF、−CCl、−CHCHBr、−CHCH(CHCHBr)CH、−CHICH、などが挙げられる。
【0047】
本明細書で用いる「ハロアルコキシ」という用語は、1個以上の−Hがハロ基で置き換えられるアルコキシ基を意味する。ハロアルコキシ基の例としては、−OCF、及び−OCHFが挙げられる。
【0048】
本明細書で用いる「リンカー」とは、1〜6個の原子が連続して直鎖状に連結した状態のジラジカルを意味し、式(II)に示すように、本発明の化合物のY基を環Dに共有結合で連結するものである。連続して直鎖状に連結した状態のリンカーの原子は、飽和若しくは不飽和の共有結合によって結合することができる。リンカーとしては、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、カルボニル、チオカルボニル、アミド、チオアミド、エステル、イミノ、ウレイド、グアナジノ(guanadino)、ヒドラジニル、及びスルフォニルアミノのジラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。好適なリンカーは、−NRC(R)−、−C(R)NR−、−C(O)−、−NR−C(O)−、−C(O)−NR−、−C(S)−、−C(NR)−、−NR−C(S)−、−C(S)−NR−、−NR−C(NR)−、−C(NR)−NR−、−NRC(O)NR−、−NRC(S)NR−、−NRC(NR)NR−、−S(O)NR−、−NRS(O)−、−NRS(O)NR−、−NRC(R)NR−、−CR=CR−、−N=CR−、−CR=N−、−NR−N=CR−、及び−CR=N−NR−である。
【0049】
「連続して直鎖状に連結した状態」という用語は、原子の途切れのない直鎖状のアレイ又は列を形成するように互いに連結することを意味する。例えば、所定の数の連続して直鎖状に連結した状態の原子を有する本明細書で述べる化合物のリンカーは、途切れのない鎖を形成するように互いに連結した少なくともその数の原子を有するが、そのように連結していない追加の原子(例:環系に含まれる分岐鎖又は原子)を含んでもよい。
【0050】
「生物学的等価体」及び「生物学的等価体性置換」という用語は、本技術分野で一般的に認識される意味と同じである。生物学的等価体は、外殻電子層が実質的に同一であるとみなされる、原子、イオン、又は分子である。生物学的等価体という用語は、通常、分子全体とは対照的に、分子全体の一部の意味で用いられる。生物学的等価体性置換は、最初の生物学的等価体の生物活性を維持するか、若しくはわずかに変化させることを期待して、1個の生物学的等価体を用いて別の生物学的等価体に置き換えることを含む。この場合の生物学的等価体は、従って、類似の大きさ、形状、及び電子密度を有する原子、又は原子団である。エステル、アミド、又はカルボン酸の好ましい生物学的等価体は、水素結合受容部位を2個有する化合物である。一実施形態では、エステル、アミド、又はカルボン酸の生物学的等価体は、任意に置換された1H−イミダゾリル、任意に置換されたオキサゾリル、1H−テトラゾリル、[1,2,4]トリアゾリル、又は任意に置換された[1,2,4]オキサジアゾリルなどの、5員環の単環式へテロアリール環である。
【0051】
本明細書で用いる、「対象」、「患者」、及び「動物」という用語は、交換可能に用いられ、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ミニブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、及びヒトが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい対象、患者又は動物は、ヒトである。
【0052】
本明細書で用いる「低級」という用語は、炭素原子を4個まで有する基のことである。例えば、「低級アルキル」とは、1〜4個の炭素原子を有するアルキルラジカルのことであり、「低級アルケニル」、又は「低級アルキニル」とは、それぞれ、2〜4個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、又はアルキニルラジカルである。低級アルコキシ又は低級アルキルスルファニルとは、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ又はアルキルスルファニルである。通常は、低級の置換基が好ましい。
【0053】
アルキル置換基など、特定の置換基が、所与の構造又は部分に複数存在する場合、置換基の種類(identity)は各場合で独立しており、その構造又は部分におけるその置換基の他の存在と同じであっても、異なっていてもよい。さらに、特定の実施形態及び本発明の例示化合物における個々の置換基は、そのような個々の置換基が好ましいと明確に述べられていなくても、或いは他の置換基と組み合わせて明確に示されていなくても、本発明の化合物における他のそのような置換基と組み合わせることが好ましい。
【0054】
本発明の化合物は、本明細書において、その化学構造及び/又は化学名によって定義される。化合物が化学構造と化学名の両方で示され、化学構造と化学名が矛盾する場合、化合物の同定に対しては、化学構造が優先する。
【0055】
アルキル、アルコキシ、アルキルスルファニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキル基の適切な置換基としては、本発明の安定な化合物を形成するものであればいかなる置換基も含まれる。アルキル、アルコキシ、アルキルスルファニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキルの置換基の例としては、アルキル、アルコキシ、アルキルスルファニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、−C(O)NR2324、−NR25C(O)R26、ハロ、−OR25、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、−C(O)R25、−NR2324、−SR25、−C(O)OR25、−OC(O)R25、−NR25C(O)NR2324、−OC(O)NR2324、−NR25C(O)OR26、−S(O)25、又は−S(O)NR2324が挙げられ、R23及びR24はそれぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、又はヘテロアラルキルであり;又はR23及びR24は、これらに結合する窒素と共に、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり;及びR25及びR26はそれぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、又はヘテロアラルキルである。
【0056】
さらに、アルキル、シクロアルキル、アルキレン、ヘテロシクリル、並びに、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アラルキル、及びヘテロアラルキル基の飽和部分も、=O、=S、=N−R22で置換されていてもよい。
【0057】
ヘテロシクリル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルキル基は、窒素原子を含む場合は、置換されていても、未置換であってもよい。ヘテロアリール基の芳香環中の窒素原子が置換基を有する場合、窒素は四級窒素であってもよい。
【0058】
本発明により想定される置換基及び変数の選択と組み合わせは、安定な化合物の形成をもたらすもののみである。本明細書で用いる「安定」という用語は、製造するのに十分な安定性を有し、本明細書で詳細に述べる目的(例:対象への治療的、又は予防的投与)に対して有用であるよう十分な時間にわたり化合物の完全性を維持する化合物のことである。通常、そのような化合物は、過剰な湿気が存在しない場合、40℃以下の温度で少なくとも1週間安定である。そのような選択と組み合わせは、当業者には明らかであり、過度の実験を行なわずに決定することができる。
【0059】
特に断りのない限り、反応性官能基(カルボキシ、ヒドロキシ、及びアミノ部分などであるが、これらに限定されない)を有する本発明の化合物は、それらの保護された誘導体も含む。「保護された誘導体」とは、一ヶ所又は複数ヶ所の反応性部位が1個以上の保護基によってブロックされた化合物である。カルボキシ部分に対する適切な保護基としては、ベンジル、tert−ブチル、などが挙げられる。アミノ及びアミド基に対する適切な保護基としては、アセチル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、などが挙げられる。ヒドロキシに対する適切な保護基としては、ベンジル、トリメチルシリル(TMS)などが挙げられる。他の適切な保護基は当業者に公知であり、T.W.Greene,Protecting Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,Inc.1981に記載のものが挙げられ、当該文献の教示全てを参照によって本明細書に組み込んだものとする。
【0060】
本明細書で用いる「本発明の化合物(単数又は複数)」という用語、及びこれに類似の用語は、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグのことであり、その保護された誘導体も含む。
【0061】
特に断りのない限り、本明細書で用いる「プロドラッグ」という用語は、加水分解、酸化、又はそうでなければ生物的条件下(in vitro若しくはin vivo)で反応して本発明の化合物を提供することができる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグは、生物的条件下でのそのような反応時にのみ活性となってもよいが、反応していない形態で活性を有していてもよい。本発明で意図するプロドラッグの例としては、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド、及び生加水分解性ホスフェート類似体などの生加水分解性部分を有する、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物の類似体又は誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグの他の例としては、−NO、−NO、−ONO、若しくは−ONO部分を有する、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物の誘導体が挙げられる。プロドラッグは、通常、1 BURGER’S MEDICINAL CHEMISTRY AND DRUG DISCOVERY (1995) 172−178,949−982(Manfred E.Wolff ed.,5th ed)に記載の公知の方法を用いて調製することができ、当該文献の教示全てを参照によって本明細書に組み込んだものとする。
【0062】
特に断りのない限り、本明細書で用いる「生加水分解性アミド」、「生加水分解性エステル」、「生加水分解性カルバメート」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」、及び「生加水分解性ホスフェート類似体」という用語は:1)化合物の生物活性を破壊することなく、取り込み、作用の持続時間、若しくは作用の開始など、in vivoでの有利な性質をその化合物に付与するものであるか;又は、2)それ自体は生物的に不活性であるが、in vivoで生物学的に活性な化合物に転換されるものであるかのいずれかである、アミド、エステル、カルバメート、カーボネート、ウレイド、又はホスフェート類似体を各々意味する。生加水分解性アミドの例としては、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、及びアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。生加水分解性エステルの例としては、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル、及びコリンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。生加水分解性カルバメートの例としては、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、ヘテロ環式及びヘテロ芳香族アミン、並びにポリエーテルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書で用いる「薬理学的に許容される塩」という用語は、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物の1つの酸性及び塩基性基から形成される塩のことである。塩の例としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クロリド、ブロミド、ヨージド、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酸性酒石酸塩、アスコルビン酸塩、琥珀酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩))といった塩が挙げられるが、これらに限定されない。「薬理学的に許容される塩」という用語は、さらに、カルボン酸官能基などの酸性官能基を有する式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物と、薬理学的に許容される無機塩基若しくは有機塩基とから調製される塩のことでもある。適切な塩基としては、ナトリウム、カリウム、及びリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウム及び亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、及び無置換若しくはヒドロキシ置換のモノ−、ジ−、又はトリアルキルアミンなどの有機アミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル,N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ−、ビス−、若しくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)−アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、又はトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのモノ−、ビス−、若しくはトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキル)−アミン;N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−アミン、又はトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン;N−メチル−D−グルカミン;並びに、アルギニン、リシン、などのアミノ酸、が挙げられるが、これらに限定されない。「薬理学的に許容される塩」という用語は、さらに、アミノ官能基などの塩基性官能基を有する式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物と、薬理学的に許容される無機酸若しくは有機酸とから調製される塩のことでもある。適切な酸としては、硫酸水素塩、クエン酸、酢酸、シュウ酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硝酸、リン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルカロン酸、糖酸、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
本明細書で用いる「薬理学的に許容される溶媒和物」という用語は、1個以上の溶媒分子と、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物の1個以上の分子との会合によって形成される溶媒和物のことである。溶媒和物という用語には水和物(例:半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物など)が含まれる。
【0065】
本明細書で用いる「包接化合物」という用語は、ゲスト分子(例:溶媒、若しくは水)がその内部に取り込まれている空間(例:チャネル)を有する結晶格子形態である本発明の化合物若しくはその塩を意味する。
【0066】
本明細書で用いる「喘息」という用語は、可逆性気道閉塞、気道炎症、及び種々の刺激に対する気道の反応性の上昇を特徴とする肺の疾患、障害、又は状態を意味する。
【0067】
「免疫抑制」とは、免疫機能の低下をもたらす免疫システムのいずれかの構成要素の機能障害のことである。この機能障害は、リンパ球機能の全血アッセイ、リンパ球増殖の検出、及びT細胞表面抗原の発現の評価を含む従来の手段によって測定することができる。一つの具体的な方法としては、抗ヒツジ赤血球(SRBC)一次(IgM)抗体反応アッセイ(通常、プラークアッセイと称する)がある。この方法、及び他の方法は、Luster,M.I.,Portier,C.,Pait,D.G.,White,K.L.,Jr.,Gennings,C.,Munson,A.E.,and Rosenthal,G.J.(1992).”Risk Assessment in Immunotoxicology I:Sensitivity and Predictability of Immune Tests.”Fundam.Appl.Toxicol.,18,200−210に記載されている。別の特に有用なアッセイは、T細胞依存性免疫原に対する免疫反応の測定である(Dean,J.H.,House,R.V.,and Luster,M.I.(2001).”Immunotoxicology:Effects of,and Responses to,Drugs and Chemicals.”In Principles and Methods of Toxicology: Fourth Edition(A.W.Hayes,Ed.),pp.1415−1450,Taylor & Francis,Philadelphia,Pennsylvania)。
【0068】
本発明の化合物は、免疫疾患を有する対象の治療に使用することができる。本明細書で用いる「免疫疾患」及びこれに類似の用語は、自己免疫疾患を含む、動物の免疫システムによって引き起こされる疾患、障害、又は状態を意味する。免疫疾患は、免疫要素を有する疾患、障害、又は状態、及び、実質的に若しくは完全に免疫システムの媒介による疾患、障害、又は状態を含む。自己免疫疾患は、動物自身の免疫システムが誤って自己を攻撃し、それによって動物自身の体内の細胞、組織、及び/又は器官が標的となるものである。例えば、自己免疫反応は、多発性硬化症では神経系に対して向けられ、クローン病では腸に向けられる。全身性エリテマトーデス(狼瘡)などの他の自己免疫疾患では、同じ疾患でも影響を受ける組織及び器官は個体によって異なる場合がある。狼瘡を有する人で、皮膚及び関節に影響を受ける人もいれば、皮膚、腎臓、及び肺に影響を受ける人もいる。最終的には、免疫システムによる特定の組織への損傷は、膵臓のインスリン産生細胞の破壊を伴う1型糖尿病のように、恒久的なものとなり得る。本発明の化合物及び方法を用いて改善することができる具体的な自己免疫疾患としては、神経系の自己免疫疾患(例:多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群などの自己免疫性神経病、及び自己免疫性ブドウ膜炎)、血液の自己免疫疾患(例:自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、及び自己免疫性血小板減少症)、血管の自己免疫疾患(例:側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、ウェゲナー肉芽腫症などの脈管炎、及びベーチェット病)、皮膚の自己免疫疾患(例:乾癬、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、及び白斑)、胃腸系の自己免疫疾患(例:クローン病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、及び自己免疫性肝炎)、内分泌腺の自己免疫疾患(例:1型又は免疫媒介性糖尿病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、並びに副腎の自己免疫疾患);並びに複数の器官の自己免疫疾患(結合組織、及び筋骨格系疾患を含む)(例:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、強直性脊椎炎などの脊椎関節症、及びシェーグレン症候群)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、移植片対宿主病及びアレルギー疾患など、免疫システムの媒介による他の疾患も、本明細書における免疫疾患の定義に含まれる。数多くの免疫疾患が炎症によって引き起こされるため、免疫疾患とみなされる疾患と炎症疾患とみなされる疾患のいくつかは重複している。本発明の目的のために、このような重複疾患の場合は、免疫疾患又は炎症疾患のいずれかとみなす場合がある。本明細書における「免疫疾患の治療」とは、免疫疾患を有するか、そのような疾患の症状があるか、若しくはそのような疾患の素因を有する対象へ、自己免疫疾患、その症状、若しくはその疾患素因の治癒、軽減、変化、影響、又は予防を目的として、本発明の化合物又は組成物を投与することである。
【0069】
本明細書で用いる「アレルギー疾患」という用語は、通常は無害である物質に対してのアレルギー反応を伴う疾患、状態、又は障害を意味する。このような物質は、環境中に存在する場合もあり(室内空気汚染物質、及び空気アレルゲンなど)、又は、非環境物質(皮膚アレルギー又は食物アレルギーなどを引き起こす物質)でもあり得る。アレルゲンが体内へ侵入する経路は数多くあり、吸入、経口摂取、皮膚との接触、又は注入(虫刺を含む)が含まれる。多くのアレルギー疾患が、アレルギー性抗体IgEを産生しやすい体質であるアトピーと関連している。IgEは体内のどこにでもあるマスト細胞を感作することができるため、アトピー体質の個体は2種類以上の器官で疾患を発症することが多い。本発明の目的のために、アレルギー疾患は、感作アレルゲンへの再曝露によって発生するいかなる過敏症も含み、これは引き続いて炎症メディエーターの放出の原因となる。アレルギー疾患としては、アレルギー性鼻炎(例:枯草熱)、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、慢性若しくは再発性中耳炎、薬物反応、虫刺反応、ラテックス反応、結膜炎、蕁麻疹、アナフィラキシー及びアナフィラキシー様反応、アトピー性皮膚炎、喘息、並びに食物アレルギーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
本発明の化合物を用いて、炎症疾患を有する対象の予防又は治療を行うことができる。本明細書で用いる「炎症疾患」とは、体内組織の炎症若しくは炎症要素を有することを特徴とする疾患、障害、又は状態を意味する。これらには、局所的な炎症反応、及び全身性炎症が含まれる。そのような炎症疾患の例としては、植皮拒絶反応を含む移植拒絶反応;関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、骨吸収の増加を伴う骨疾患を含む関節の慢性炎症疾患;回腸炎、潰瘍性大腸炎、バレット症候群、及びクローン病などの炎症性腸疾患;喘息、成人呼吸窮迫症候群、及び慢性閉塞性気道疾患などの炎症性肺疾患;角膜異栄養症、トラコーマ、オンコセルカ症、ブドウ膜炎、交感性眼炎、及び眼内炎を含む目の炎症疾患;歯肉炎、及び歯根膜炎を含む歯肉の慢性炎症疾患;結核症;癩病;尿毒症の合併症、糸球体腎炎、及びネフローゼを含む腎臓の炎症疾患;硬化性皮膚炎、乾癬、及び湿疹を含む皮膚の炎症疾患;神経系の慢性脱髄疾患、多発性硬化症、エイズ関連神経変性及びアルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、並びにウイルス性若しくは自己免疫性脳炎を含む中枢神経系の炎症疾患;自己免疫疾患、免疫複合体血管炎、全身性狼瘡、及び紅斑性狼瘡;全身性エリテマトーデス(SLE);並びに心筋症、虚血性心疾患、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症などの心臓の炎症疾患;さらには、子癇前症、慢性肝不全、脳及び脊髄外傷、並びに癌を含む、著しい炎症要素を伴う種々の他の疾患、が挙げられる。グラム陽性若しくはグラム陰性ショック、出血性若しくはアナフィラキシー性ショック、又は、例えば炎症誘発性サイトカインに付随するショックなど、炎症誘発性サイトカインに反応して癌化学療法によって引き起こされるショック、などに例示される身体の全身性炎症もあり得る。このようなショックは、例えば、癌化学療法に用いられる化学療法薬剤によって誘発され得る。本明細書における「炎症疾患の治療」とは、炎症疾患を有するか、そのような疾患の症状があるか、若しくはそのような疾患の素因を有する対象に、炎症疾患、その症状、若しくはその疾患素因の治癒、軽減、変化、影響、又は予防を目的として、本発明の化合物又は組成物を投与することである。
【0071】
「有効量」とは、対象へ投与した際に有益な結果が達成される化合物の量のことであり、又は、in vivo若しくはin vitroで所望の活性を有する化合物の量のことである。炎症疾患及び自己免疫疾患の場合、有益な臨床的結果とは、疾患若しくは障害に付随する症状の程度又は重症度の低減、及び/又は、治療を行なわない場合と比較して、対象の生存期間の延長及び生活の質の向上が含まれる。対象へ投与する化合物の正確な量は、疾患若しくは状態の種類並びに重症度、及び全般的な健康状態、性別、年齢、体重、及び薬物への許容度などの対象の特性に依る。また、炎症疾患、自己免疫疾患、アレルギー疾患の程度、重症度、及び種類、又は、求める免疫抑制の程度にも依ることになる。当業者であれば、これらの及び他の要因に応じて、適切な投与量を決定することができるであろう。開示化合物の有効量としては、通常、1日あたり約1mg/mm〜約10グラム/mmの範囲であり、好ましくは、1日あたり10mg/mm〜約1グラム/mmの範囲である。
【0072】
本発明の化合物は、1箇所以上のキラル中心、及び/又は二重結合を有することができ、従って、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、エナンチオマー、又はジアステレオマーなどの立体異性体として存在することができる。本発明によると、本発明の化合物を含む、本明細書で示される化学構造は、対応する化合物のエナンチオマー及び立体異性体のすべてを包含し、すなわち、純粋な立体異性体(例:純粋な幾何異性体、純粋なエナンチオマー、又は純粋なジアステレオマー)、並びにエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何異性体の混合物の両方の形態を包含する。場合によっては、1つのエナンチオマー、ジアステレオマー、若しくは幾何異性体が、他に比べて優れた活性又は改善された毒性若しくは動力学的特性を有することがある。その場合は、本発明の化合物のそのようなエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何異性体が好ましい。
【0073】
「IL−2の産生を阻害する」及びこれに類似の用語は、IL−2の合成の阻害(例:転写(mRNA発現)、若しくは翻訳(タンパク質発現)の阻害によって)、及び/又は、IL−2を産生及び/又は分泌する能力を有する細胞(例:Tリンパ球)内でのIL−2の分泌の阻害を意味する。同様に、「IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α、又はINF−γの産生を阻害する」という用語は、合成の阻害(例:転写若しくは翻訳の阻害により)、及び/又は、これらのサイトカインを産生及び/又は分泌する能力を有する細胞内での分泌の阻害を意味する。
【0074】
本明細書で用いる、化合物を「実質的に」含む組成物とは、組成物が、約80重量%超、より好ましくは約90重量%超、さらにより好ましくは約95重量%超、最も好ましくは約97重量%超の化合物を含有することを意味する。
【0075】
本明細書で用いる、化合物を「実質的に含まない」組成物とは、組成物が約20重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、さらにより好ましくは約5重量%未満、最も好ましくは約3重量%未満の化合物を含有することを意味する。
【0076】
本明細書で用いる「実質的に完了した」反応物とは、反応物が、所望の生成物を約80重量%超含有することを意味し、より好ましくは所望の生成物を約90重量%超含有すること、さらにより好ましくは所望の生成物を約95重量%超含有すること、最も好ましくは所望の生成物を約97重量%超含有することを意味する。
【0077】
本明細書で用いる、ラセミ混合物とは、分子内のすべてのキラル中心に対して、1つのエナンチオマーが約50%であり、それに対応するエナンチオマーも約50%であることを意味する。本発明は、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物の、純粋エナンチオマー、エナンチオマー濃縮混合物、純粋ジアステレオマー、ジアステレオマー濃縮混合物、及びラセミ混合物のすべてを包含する。
【0078】
エナンチオマー及びジアステレオマー混合物は、キラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高速液体クロマトグラフィー、キラル塩錯体としての化合物の結晶化、又はキラル溶媒中での化合物の結晶化など、公知の方法によって構成成分であるエナンチオマー又は立体異性体に分割することができる。エナンチオマー及びジアステレオマーは、公知の不斉合成法により、ジアステレオマー又はエナンチオマー的に純粋な中間体、試薬、及び触媒から得ることもできる。
【0079】
患者、例えば、獣医学的用途若しくは家畜の改良用に非ヒト動物に、又は、臨床的用途用にヒトに投与する場合、本発明の化合物は、通常、単離された形態として、或いは医薬組成物中の単離された形態として投与される。本明細書で用いる「単離された」とは、本発明の化合物が、(a)植物若しくは細胞などの自然源、好ましくはバクテリア培養物、又は(b)合成有機化学反応混合物のいずれかの他の成分から分離されていることを意味する。従来の技術によって、本発明の化合物は精製されることが好ましい。本明細書で用いる「精製された」とは、単離された際に、単離物が、単離物の重量に対して、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%の本発明の単一の化合物を含有することを意味する。
【0080】
安定な構造をもたらす置換基の選択及び組み合わせのみを意図している。そのような選択及び組み合わせは、当業者にとっては明らかであり、過度の実験を行なわずに決定することができる。
【0081】
以下に示す詳細な説明及び例示の実施例を参照することで、本発明をさらに十分に理解することができ、これらは本発明の限定されない実施形態を例示することを意図したものである。
【0082】
(特定の実施形態)
本発明は、免疫抑制に対して特に有用な、又は、炎症状態、免疫疾患、及びアレルギー疾患の治療若しくは予防に対して特に有用な化合物及び医薬組成物に関する。
【0083】
一実施形態において、本発明は、構造式(I)によって表される化合物:
【化5】

又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグに関し、式中:
Lは、−NRC(R)−、−C(R)NR−、−C(O)−、−NR−C(O)−、−C(O)−NR−、−C(S)−、−C(NR)−、−NR−C(S)−、−C(S)−NR−、−NR−C(NR)−、−C(NR)−NR−、−NRC(O)NR−、−NRC(S)NR−、−NRC(NR)NR−、−S(O)NR−、−NRS(O)−、−NRS(O)NR−、−NRC(R)NR−、−CR=CR−、−N=CR−、−CR=N−、−NR−N=CR−、及び−CR=N−NR−からなる群から選択されるリンカーであり;
Yは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
Rは、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
及びRはそれぞれ独立して、置換基であり;
はそれぞれ独立して、−H、ハロ、アルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、又は−C(O)NRであり;
はそれぞれ独立して、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
及びRはそれぞれ独立して、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;又はR及びRは、これらに結合する窒素と共に、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、又は置換基を有していてもよいヘテロアリールであり;
環Aは1〜6個の置換基で任意に置換されていてもよい、但し、環Aは任意に置換された二重結合で置換されておらず、環Aからの炭素原子は二重結合の一部を形成しており;
環Bは1〜3個の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0084】
別の実施形態において、本発明は、構造式(II)によって表される化合物:
【化6】

又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグに関し、式中:
はリンカーであり;
は置換基を有していてもよいアリール又は置換基を有していてもよいヘテロアリールであり;
10は、H、ハロ、シアノ、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
環Cは1〜6個の置換基で任意に置換されていてもよく;
環Dは1〜3個の置換基で任意に置換されていてもよく;
Y、R、R、Rは構造式(I)と同様に定義される。
【0085】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、−L−Yは共に、−OCH
【化7】

ではない。
【0086】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Lは、−NRC(R)−、−C(R)NR−、−C(O)−、−NR−C(O)−、−C(O)−NR−、−C(S)−、−C(NR)−、−NR−C(S)−、−C(S)−NR−、−NR−C(NR)−、−C(NR)−NR−、−NRC(O)NR−、−NRC(S)NR−、−NRC(NR)NR−、−S(O)NR−、−NRS(O)−、−NRS(O)NR−、−NRC(R)NR−、−CR=CR−、−N=CR−、−CR=N−、−NR−N=CR−、及び−CR=N−NR−からなる群から選択され、Rはそれぞれ独立して、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;Rはそれぞれ独立して、−H、ハロ、アルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、又は−C(O)NRである。いくつかの実施形態において、RはHである。いくつかの実施形態において、Rはメチルなどの低級アルキルである。
【0087】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Lは、−NRCH−、−CHNR−、−C(O)−、−NR−C(O)−、−C(O)−NR−、−C(S)−、−NR−C(S)−、−C(S)−NR−、−NRC(O)NR−、−NRC(S)NR−、−NRS(O)−、−NRC(R)NR−、−CR=CR−、又は−NR−N=CR−である。いくつかの実施形態において、RはHである。いくつかの実施形態において、Rはメチルなどの低級アルキルである。
【0088】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Lは、−NRCH−、−CHNR−、−C(O)−、−NR−C(O)−、−C(O)−NR−、−C(S)−、−NR−C(S)−、−C(S)−NR−、−NRC(O)NR−、−NRC(S)NR−、−NRS(O)−、−NRC(R)NR−、−CR=CR−、又は−NR−N=CR−である。いくつかの実施形態において、RはHである。いくつかの実施形態において、Rはメチルなどの低級アルキルである。
【0089】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Lは−NH−C(O)−又は−C(O)−NH−である。
【0090】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Lは−NH−C(O)−又は−C(O)−NH−である。
【0091】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Lは−NH−CH−又は−CH−NH−である。
【0092】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Lは−NH−CH−又は−CH−NH−である。
【0093】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環A及び環Bは両方とも未置換である。
【0094】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環Aは未置換である。
【0095】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環Aは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、−OR、−SR、−NR、−C(O)NR、−NRC(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)SR、−SC(O)R、−C(S)NR、−NRC(S)R、−C(S)R、−C(S)OR、−OC(S)R、−C(S)SR、−SC(S)R、−C(NR)NR、−NRC(NR)R、−C(NR)R、−C(NR)OR、−OC(NR)R、−C(NR)SR、−SC(NR)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−SC(O)OR、−SC(O)NR、−SC(O)SR、−NRC(O)SR、−OC(O)SR、−OC(S)OR、−OC(S)NR、−NRC(S)OR、−NRC(S)NR、−SC(S)OR、−SC(S)NR、−SC(S)SR、−NRC(S)SR、−OC(S)SR、−OC(NR)OR、−OC(NR)NR、−NRC(NR)OR、−NRC(NR)NR、−SC(NR)OR、−SC(NR)NR、−SC(NR)SR、−NRC(NR)SR、−OC(NR)SR、−S(O)、−S(O)NR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−S(O)OR、−OS(O)、又は−OS(O)OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR、−OP(S)(OR、及び−P(S)(ORからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換され;pは1又は2である。
【0096】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環Aは、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルキル、又は低級ハロアルコキシからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換される。
【0097】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環Bは未置換である。
【0098】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環Bは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、−OR、−SR、−NR、−C(O)NR、−NRC(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)SR、−SC(O)R、−C(S)NR、−NRC(S)R、−C(S)R、−C(S)OR、−OC(S)R、−C(S)SR、−SC(S)R、−C(NR)NR、−NRC(NR)R、−C(NR)R、−C(NR)OR、−OC(NR)R、−C(NR)SR、−SC(NR)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−SC(O)OR、−SC(O)NR、−SC(O)SR、−NRC(O)SR、−OC(O)SR、−OC(S)OR、−OC(S)NR、−NRC(S)OR、−NRC(S)NR、−SC(S)OR、−SC(S)NR、−SC(S)SR、−NRC(S)SR、−OC(S)SR、−OC(NR)OR、−OC(NR)NR、−NRC(NR)OR、−NRC(NR)NR、−SC(NR)OR、−SC(NR)NR、−SC(NR)SR、−NRC(NR)SR、−OC(NR)SR、−S(O)、−S(O)NR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−S(O)OR、−OS(O)、又は−OS(O)OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR、−OP(S)(OR、及び−P(S)(ORからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換され;pは1又は2である。
【0099】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環Bは、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルキル、低級アルキルスルファニル、シアノ、ニトロ、又は低級ハロアルコキシからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換される。
【0100】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環C及び環Dは両方とも未置換である。
【0101】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環Cは未置換である。
【0102】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環Cは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、−OR、−SR、−NR、−C(O)NR、−NRC(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)SR、−SC(O)R、−C(S)NR、−NRC(S)R、−C(S)R、−C(S)OR、−OC(S)R、−C(S)SR、−SC(S)R、−C(NR)NR、−NRC(NR)R、−C(NR)R、−C(NR)OR、−OC(NR)R、−C(NR)SR、−SC(NR)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−SC(O)OR、−SC(O)NR、−SC(O)SR、−NRC(O)SR、−OC(O)SR、−OC(S)OR、−OC(S)NR、−NRC(S)OR、−NRC(S)NR、−SC(S)OR、−SC(S)NR、−SC(S)SR、−NRC(S)SR、−OC(S)SR、−OC(NR)OR、−OC(NR)NR、−NRC(NR)OR、−NRC(NR)NR、−SC(NR)OR、−SC(NR)NR、−SC(NR)SR、−NRC(NR)SR、−OC(NR)SR、−S(O)、−S(O)NR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−S(O)OR、−OS(O)、又は−OS(O)OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR、−OP(S)(OR、及び−P(S)(ORからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換され;pは1又は2である。
【0103】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環Cは、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルキル、又は低級ハロアルコキシからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換される。
【0104】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環Dは未置換である。
【0105】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環Dは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、−OR、−SR、−NR、−C(O)NR、−NRC(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)SR、−SC(O)R、−C(S)NR、−NRC(S)R、−C(S)R、−C(S)OR、−OC(S)R、−C(S)SR、−SC(S)R、−C(NR)NR、−NRC(NR)R、−C(NR)R、−C(NR)OR、−OC(NR)R、−C(NR)SR、−SC(NR)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−SC(O)OR、−SC(O)NR、−SC(O)SR、−NRC(O)SR、−OC(O)SR、−OC(S)OR、−OC(S)NR、−NRC(S)OR、−NRC(S)NR、−SC(S)OR、−SC(S)NR、−SC(S)SR、−NRC(S)SR、−OC(S)SR、−OC(NR)OR、−OC(NR)NR、−NRC(NR)OR、−NRC(NR)NR、−SC(NR)OR、−SC(NR)NR、−SC(NR)SR、−NRC(NR)SR、−OC(NR)SR、−S(O)、−S(O)NR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−S(O)OR、−OS(O)、又は−OS(O)OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR、−OP(S)(OR、及び−P(S)(ORからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換され;pは1又は2である。
【0106】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、環Dは、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルキル、低級アルキルスルファニル、シアノ、ニトロ、又は低級ハロアルコキシからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換される。
【0107】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは置換基を有していてもよいアリール又は置換基を有していてもよいヘテロアリールである。
【0108】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは、置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいピリジル、置換基を有していてもよいフリル、置換基を有していてもよいチエニル、置換基を有していてもよいピロリル、置換基を有していてもよいオキサゾリル、置換基を有していてもよいイミダゾリル、置換基を有していてもよいインドリジニル、置換基を有していてもよいチアゾリル、置換基を有していてもよいイソオキサゾリル、置換基を有していてもよいピラゾリル、置換基を有していてもよいイソチアゾリル、置換基を有していてもよいピリダジニル、置換基を有していてもよいピリミジニル、置換基を有していてもよいピラジニル、置換基を有していてもよいトリアジニル、置換基を有していてもよいトリアゾリル、置換基を有していてもよいチアジアゾリル、置換基を有していてもよいピラジニル、置換基を有していてもよいキノリニル、置換基を有していてもよいイソキノリニル、置換基を有していてもよいインダゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサゾリル、置換基を有していてもよいベンゾフリル、置換基を有していてもよいベンゾチアゾリル、置換基を有していてもよいインドリジニル、置換基を有していてもよいイミダゾピリジニル、置換基を有していてもよいイソチアゾリル、置換基を有していてもよいテトラゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサゾリル、置換基を有していてもよいベンゾチアゾリル、置換基を有していてもよいベンゾチアジアゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサジアゾリル、置換基を有していてもよいインドリル、置換基を有していてもよいテトラヒドロインドリル、置換基を有していてもよいアザインドリル、置換基を有していてもよいイミダゾピリジル、置換基を有していてもよいキナゾリニル、置換基を有していてもよいプリニル、置換基を有していてもよいピロロ[2,3]ピリミジル、置換基を有していてもよいピリドピリミジル、置換基を有していてもよいピラゾロ[3,4]ピリミジル、又は置換基を有していてもよいベンゾ(b)チエニルからなる群から選択される。
【0109】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは、置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいピリジニル、又は置換基を有していてもよい[1,2,3]チアジアゾリルである。
【0110】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは:
【化8】

からなる群から選択され、
式中:
12は、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキル、又は低級ハロアルコキシであり;
13は、H、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキル、又は低級ハロアルコキシである。
【0111】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキルである。
【0112】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは、低級アルキル、シクロヘキシル、又はシクロペンチルである。
【0113】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは、置換基を有していてもよいヘテロシクリルであり、例えば、置換基を有していてもよいモルホリニル、ピペラジニル(piperadinyl)、ピペラジニル(piperazinyl)等である。
【0114】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは、置換基を有していてもよいアリール又は置換基を有していてもよいヘテロアリールである。
【0115】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは、置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいピリジル、置換基を有していてもよいフリル、置換基を有していてもよいチエニル、置換基を有していてもよいピロリル、置換基を有していてもよいオキサゾリル、置換基を有していてもよいイミダゾリル、置換基を有していてもよいインドリジニル、置換基を有していてもよいチアゾリル、置換基を有していてもよいイソオキサゾリル、置換基を有していてもよいピラゾリル、置換基を有していてもよいイソチアゾリル、置換基を有していてもよいピリダジニル、置換基を有していてもよいピリミジニル、置換基を有していてもよいピラジニル、置換基を有していてもよいトリアジニル、置換基を有していてもよいトリアゾリル、置換基を有していてもよいチアジアゾリル、置換基を有していてもよいピラジニル、置換基を有していてもよいキノリニル、置換基を有していてもよいイソキノリニル、置換基を有していてもよいインダゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサゾリル、置換基を有していてもよいベンゾフリル、置換基を有していてもよいベンゾチアゾリル、置換基を有していてもよいインドリジニル、置換基を有していてもよいイミダゾピリジニル、置換基を有していてもよいイソチアゾリル、置換基を有していてもよいテトラゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサゾリル、置換基を有していてもよいベンゾチアゾリル、置換基を有していてもよいベンゾチアジアゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサジアゾリル、置換基を有していてもよいインドリル、置換基を有していてもよいテトラヒドロインドリル、置換基を有していてもよいアザインドリル、置換基を有していてもよいイミダゾピリジル、置換基を有していてもよいキナゾリニル、置換基を有していてもよいプリニル、置換基を有していてもよいピロロ[2,3]ピリミジル、置換基を有していてもよいピリドピリミジル、置換基を有していてもよいピラゾロ[3,4]ピリミジル、又は置換基を有していてもよいベンゾ(b)チエニルからなる群から選択される。
【0116】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは、置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいピリジニル、又は置換基を有していてもよい[1,2,3]チアジアゾリルである。
【0117】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは:
【化9】

からなる群から選択され、
式中:
12は、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキル、又は低級ハロアルコキシであり;
13は、H、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキル、又は低級ハロアルコキシである。
【0118】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキルである。
【0119】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは、低級アルキル、シクロヘキシル、又はシクロペンチルである。
【0120】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Yは、置換基を有していてもよいヘテロシクリルであり、例えば、置換基を有していてもよいモルホリニル、ピペラジニル(piperadinyl)、ピペラジニル(piperazinyl)等である。
【0121】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ハロアルキル、−C(O)NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)SR、−C(S)NR、−C(S)R、−C(S)OR、−C(S)SR、−C(NR)NR、−C(NR)R、−C(NR)OR、−C(NR)SR、−S(O)、又は−S(O)NRからなる群から選択され、pは1又は2である。
【0122】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ハロアルキル、−C(O)NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)SR、−C(S)NR、−C(S)R、−C(S)OR、−C(S)SR、−C(NR)NR、−C(NR)R、−C(NR)OR、−C(NR)SR、−S(O)、又は−S(O)NRからなる群から選択され、pは1又は2である。
【0123】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、R及びRはそれぞれ、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ハロアルキル、−C(O)NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)SR、−C(S)NR、−C(S)R、−C(S)OR、−C(S)SR、−C(NR)NR、−C(NR)R、−C(NR)OR、−C(NR)SR、−S(O)、又は−S(O)NRからなる群から独立して選択され、pは1又は2である。
【0124】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは、置換基を有していてもよいアルキル又は置換基を有していてもよいフェニルである。
【0125】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは、−C(O)OR、−C(O)NR、又は、−OR若しくは−OC(O)Rで任意に置換されていてもよい低級アルキルである。
【0126】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは、置換基を有していてもよいアルキル又は置換基を有していてもよいフェニルであり;Rは、−C(O)OR、−C(O)NR、又は、−OR若しくは−OC(O)Rで任意に置換されていてもよい低級アルキルである。
【0127】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは低級アルキルである。
【0128】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは、−C(O)OH、−C(O)OCH、−CHOH、
【化10】

である。
【0129】
式(I)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは低級アルキルであり;Rは、−C(O)OH、−C(O)OCH、−CHOH、
【化11】

である。
【0130】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは、置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいピリジル、置換基を有していてもよいフリル、置換基を有していてもよいチエニル、置換基を有していてもよいピロリル、置換基を有していてもよいオキサゾリル、置換基を有していてもよいイミダゾリル、置換基を有していてもよいインドリジニル、置換基を有していてもよいチアゾリル、置換基を有していてもよいイソオキサゾリル、置換基を有していてもよいピラゾリル、置換基を有していてもよいイソチアゾリル、置換基を有していてもよいピリダジニル、置換基を有していてもよいピリミジニル、置換基を有していてもよいピラジニル、置換基を有していてもよいトリアジニル、置換基を有していてもよいトリアゾリル、置換基を有していてもよいチアジアゾリル、置換基を有していてもよいピラジニル、置換基を有していてもよいキノリニル、置換基を有していてもよいイソキノリニル、置換基を有していてもよいインダゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサゾリル、置換基を有していてもよいベンゾフリル、置換基を有していてもよいベンゾチアゾリル、置換基を有していてもよいインドリジニル、置換基を有していてもよいイミダゾピリジニル、置換基を有していてもよいイソチアゾリル、置換基を有していてもよいテトラゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサゾリル、置換基を有していてもよいベンゾチアゾリル、置換基を有していてもよいベンゾチアジアゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサジアゾリル、置換基を有していてもよいインドリル、置換基を有していてもよいテトラヒドロインドリル、置換基を有していてもよいアザインドリル、置換基を有していてもよいイミダゾピリジル、置換基を有していてもよいキナゾリニル、置換基を有していてもよいプリニル、置換基を有していてもよいピロロ[2,3]ピリミジル、置換基を有していてもよいピリドピリミジル、置換基を有していてもよいピラゾロ[3,4]ピリミジル、又は置換基を有していてもよいベンゾ(b)チエニルからなる群から選択される。
【0131】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは置換基を有していてもよいフェニルである。
【0132】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは未置換である。
【0133】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−OR、−SR、−NR、−C(O)NR、−NRC(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)SR、−SC(O)R、−C(S)NR、−NRC(S)R、−C(S)R、−C(S)OR、−OC(S)R、−C(S)SR、−SC(S)R、−C(NR)NR、−NRC(NR)R、−C(NR)R、−C(NR)OR、−OC(NR)R、−C(NR)SR、−SC(NR)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−SC(O)OR、−SC(O)NR、−SC(O)SR、−NRC(O)SR、−OC(O)SR、−OC(S)OR、−OC(S)NR、−NRC(S)OR、−NRC(S)NR、−SC(S)OR、−SC(S)NR、−SC(S)SR、−NRC(S)SR、−OC(S)SR、−OC(NR)OR、−OC(NR)NR、−NRC(NR)OR、−NRC(NR)NR、−SC(NR)OR、−SC(NR)NR、−SC(NR)SR、−NRC(NR)SR、−OC(NR)SR、−S(O)、−S(O)NR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−S(O)OR、−OS(O)、又は−OS(O)OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR、−OP(S)(OR、及び−P(S)(ORからなる群から選択された1〜5個の置換基で置換され;pは1又は2である。
【0134】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、Rは−NH又は−NHC(O)CHである。
【0135】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、R10はHである。
【0136】
式(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、R10は低級アルキルである。
【0137】
式(I)又は(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、R12は低級アルキル又はハロである。
【0138】
式(I)又は(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、R13はそれぞれ独立して、低級アルキル又はハロである。
【0139】
式(I)又は(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、R12及びR13はそれぞれ独立して、低級アルキル又はハロである。
【0140】
式(I)又は(II)によって表される化合物のいくつかの実施形態において、R12は低級アルキル又はハロであり;R13は、H、低級アルキル、又はハロである。
【0141】
別の実施形態において、本発明は:
2−[6−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピオン酸;
2−[6−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピオン酸メチルエステル;
2,6−ジフルオロ−N−[5−(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−2−オキソ−エチリデン)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル]−ベンズアミド;
酢酸2−[6−(2,5−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピルエステル;
2,6−ジフルオロ−N−[5−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチリデン)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル]−ベンズアミド;及び、
その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグからなる群から選択される化合物に関する。
【0142】
別の実施形態において、本発明は:
2,6−ジフルオロ−N−(5−フェニル−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル)−ベンズアミド;
2,6−ジフルオロ−N−(5−フェニル−6−メチル−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル)−ベンズアミド;
2,6−ジフルオロ−N−[5−(4−アミノ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル]−ベンズアミド;
2,6−ジフルオロ−N−[5−(4−アセチルアミノ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル]−ベンズアミド;及び、
その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグからなる群から選択される化合物に関する。
【0143】
本明細書で開示される特徴、具体的な実施形態、及び特定の置換基はすべて、いかなる組み合わせも可能である。本明細書で開示する特徴、実施形態、又は置換基は各々、同じ、同等の、若しくは類似の目的を達成する別の特徴、実施形態、又は置換基に置き換えることができる。化合物の場合、本明細書で開示するいずれの化学式の変数に対する具体的な数値(例:本明細書で開示する例示化合物中で示される値)は、安定な構造をもたらすいかなる組み合わせも可能である。さらに、1つの種類の化学構造の置換基に対する具体的な値は(好ましいか否かを問わず)、同一の又は異なる種類の化学構造の他の置換基に対する値と(好ましいか否かを問わず)、組み合わせることができる。従って、明確に断りのない限り、開示される特徴、実施形態、又は置換基の各々は、同等の若しくは類似の一般的な一連の特徴、実施形態、又は置換基の一例に過ぎない。
【0144】
別の実施形態では、本発明は、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを有効成分として含み、かつ、薬理学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。この組成物は、免疫抑制に有用であり、又は、炎症状態、アレルギー疾患、若しくは免疫疾患の治療若しくは予防に有用である。
【0145】
別の実施形態では、本発明は、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグの有効量を投与することを含む、それを必要とする患者に免疫抑制を施す方法、又は、炎症状態、免疫疾患、若しくはアレルギー疾患の治療若しくは予防を施す方法に関する。
【0146】
別の実施形態では、本発明は、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、それを必要とする患者に免疫抑制を施す方法、又は、炎症状態、免疫疾患、若しくはアレルギー疾患の治療若しくは予防を施す方法に関する。
【0147】
別の実施形態では、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、免疫細胞(例:T細胞及び/又はB細胞)の活性化(例:抗原に反応しての活性化)の阻害、及び/又は、T細胞及び/又はB細胞の増殖の阻害に特に有用である。免疫細胞活性化の指標としては、T細胞によるIL−2の分泌、T細胞及び/又はB細胞の増殖、などが挙げられる。一実施形態では、免疫細胞の活性化、及び/又は、T細胞及び/又はB細胞の増殖は、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを哺乳類(例:ヒト)に投与することによって、哺乳類(例:ヒト)内で阻害される。
【0148】
別の実施形態では、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、免疫細胞活性化を制御する特定のサイトカインの産生を阻害することができる。例えば、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、IL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、INF−γ、TNF−α、及びこれらの組み合わせの産生を阻害することができる。一実施形態では、サイトカイン産生は、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを哺乳類(例:ヒト)に投与することによって、哺乳類(例:ヒト)内で阻害される。
【0149】
別の実施形態では、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、CRACイオンチャネルなど、免疫細胞の活性化に関与する1種類以上のイオンチャネルの活性を調節することができる。一実施形態では、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物は、CRACイオンチャネルの作用を直接的又は間接的に阻害することにより、免疫細胞(例:T細胞、B細胞、及び/又はマスト細胞)へのカルシウムイオンの流入を阻害することができる。一般的に、細胞が化合物と接触した際のICRAC電流の低下は、化合物がCRACイオンチャネルを阻害したという1つの指標となる。ICRAC電流は、例えば、以下に示す実施例でさらに詳細に説明するパッチクランプ技術を用いて測定することができる。一実施形態では、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物は、哺乳類(例:ヒト)におけるイオンチャネル(例:CRACイオンチャネル)の調節を行なう。一実施形態では、1つ以上のイオンチャネルの活性は、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを哺乳類(例:ヒト)に投与することによって、哺乳類(例:ヒト)内で阻害される。
【0150】
別の実施形態では、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、マスト細胞の脱顆粒を阻害することができる。マスト細胞脱顆粒の阻害は、本明細書の実験部分に記載されているように、或いは、当業者に公知の任意の方法によって決定することができる。一実施形態では、マスト細胞脱顆粒は、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを哺乳類(例:ヒト)に投与することによって、哺乳類(例:ヒト)内で阻害される。
【0151】
(本発明の例示化合物)
本発明の例示化合物を下記の表1に示す。
【0152】
表1
【表1−1】

【表1−2】

【0153】
(作用機序)
抗原に反応することによるTリンパ球の活性化は、カルシウムイオン振動による。Tリンパ球内でのカルシウムイオン振動は、T細胞抗原受容体の刺激によって引き起こされ、保存作動させたCa2+遊離活性化Ca2+(CRAC)チャネルを通じたカルシウムイオン流入を伴う。さらに、マスト細胞の抗原誘発性脱顆粒も、カルシウムイオン流入によって開始されることが示されている。CRACイオンチャネルの分子構造は明らかではないが、チャネルの詳細な電気生理学的特徴は分かっている。従って、CRACイオンチャネルの調節(例:阻害)は、ICRAC電流の調節(例:阻害)を測定することで測定することができる。T細胞中でのカルシウムイオン振動は、T細胞の活性化にとって重要ないくつかの転写因子(例:NFAT、Oct/Oap、及びNFκB)の活性化と関係している(Lewis,Biochemical Society Transactions(2003),31:925−929、当該文献の教示全てを参照によって本明細書に組み込んだものとする)。理論に束縛されるものではないが、本発明の化合物は、CRACイオンチャネルの作用を阻害するため、免疫細胞の活性化を阻害するものと考えられる。
【0154】
(治療及び予防の方法)
本発明によると、式(I)、(II)のいずれか一つ若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ、又は、式(I)、(II)のいずれか一つ若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を、免疫抑制が必要な患者、又は炎症状態、免疫疾患、若しくはアレルギー疾患の治療又は予防が必要な患者に投与する。そのような患者は、治療未経験であってもよく、又は従来の治療に対して部分的に反応したか若しくはまったく反応しないという経験をしていてもよい。
【0155】
対象中の、免疫抑制、或いは、特定の炎症状態、免疫疾患、又はアレルギー疾患の反応性は、直接測定することができ(例:本発明の化合物の投与後の炎症性サイトカイン(IL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α、INF−γ、など)の血中レベルの測定)、又は疾患の原因及び進行に対する認識に基づいて推定することもできる。式(I)、(II)のいずれか一つ若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、ヒトへの使用の前に、所望の治療的若しくは予防的作用に関して、in vitro又はin vivoでのアッセイを行なうことができる。例えば、炎症状態、免疫疾患、若しくはアレルギー疾患の既知の動物モデルを使用して、本発明の化合物の安全性及び有効性を実証することができる。
【0156】
(本発明の化合物の調製)
アミドカップリング反応の一般的手順
【化12】

【0157】
アミン誘導体(化合物r又はs)(19.2mmol)を塩化メチレン中に溶解し、0℃に冷却した。反応混合物にピリジン(3.87ml、48mmol)を加え、続いて、塩化アシル(k)(19.2mmol)を加えた。この混合物を35分間室温に温め、その間に水を加え、塩化メチレンと水との層の間に反応混合物を区分した。有機層を回収し、NaSOなどの乾燥剤で乾燥させ、その後、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーを用いて生成物を精製し、アミドリンカーを有する本発明の化合物(化合物j又はm)を得た(スキームIを参照)。
【0158】
Lが−NHC(S)−又は−C(S)NH−である本発明の化合物は、アミドリンカーを有する化合物をローソン試薬で処理することにより調製することができる。
【0159】
−CH−NH−又は−NH−CH−リンカーを有する本発明の化合物は、−NHC(S)−又は−C(S)NH−リンカーを有する化合物をラネーニッケルと接触させることにより調製することができる。あるいは、−CH−NH−又は−NH−CH−リンカーを有する本発明の化合物は、−C(O)−NH−又は−NH−C(O)−リンカーをそれぞれ有する化合物を、例えば、水素化ホウ素ナトリウムで還元することにより調製することができる(2004年7月22日出願の米国特許出願第10/897,681号を参照されたい。当該文献の内容全体を参照によって本明細書に組み込んだものとする)。
【化13】

【0160】
−C(O)−リンカーを有する本発明の化合物は、化合物n又はoをAlClの存在下で酸塩化物(k)と反応させ、カルボニルリンカーを有する本発明の化合物(化合物p又はq)を生成するフリーデル・クラフツアシル化反応により調製することができる(スキームIIを参照)。
【0161】
−C(S)−リンカーを有する本発明の化合物は、ローソン試薬又はピリジン中のPで処理することにより、カルボニルリンカーを有する化合物から調製することができる。
【化14】

【0162】
スルホンアミドリンカーを有する本発明の化合物(化合物u又はv)は、スキームIIIに示すように、アミン誘導体(化合物r又はs)をスルホニルクロリド誘導体(t)と反応させることにより調製することができる。一般に、アミン誘導体(化合物r又はs)をアルコールなどの極性溶媒中に溶解し、スルホニルクロリド誘導体(t)を加える。反応物は、通常、約50℃〜約100℃に加熱される。
【化15】

【0163】
尿素リンカーを有する本発明の化合物(化合物x又はy)は、スキームIVに示すように、アミン誘導体(化合物r又はs)をイソシアネート(w)と反応させることにより調製することができる。一般に、ジクロロメタン(DCM)などの非極性の非プロトン性溶媒にアミン誘導体(化合物r又はs)を溶解し、これに、イソシアネート(w)を室温で加える。反応物は、通常、約5分間〜約1時間攪拌し、尿素リンカーを有する本発明の化合物(化合物x又はy)を得る。
【0164】
チオ尿素リンカー(−NHC(S)NH−)を有する本発明の化合物は、尿素リンカーを有する化合物をローソン試薬で処理することにより調製することができる。
【化16】

【0165】
ヒドラジニルリンカー(−NH−N=CH−)を有する本発明の化合物は、NaNO水溶液(1当量)を濃縮HCl中にアミン誘導体(化合物r又はs)(1当量)の溶液に約0℃で加えることにより調製することができる。溶液を約0℃で約15分〜約1時間攪拌後、濃縮HCl中の2.4当量のSnClを加え、反応物を約0℃で約1時間攪拌し、塩化ヒドラジニウム中間体(化合物z又はaa)を得る。この塩化ヒドラジニウム中間体(化合物z又はaa)を酢酸中に溶解し、メタノールなどのアルコール及びアルデヒド(bb)を加える。反応物を室温で約1時間攪拌し、ヒドラジニルリンカーを有する本発明の化合物(化合物cc又はdd)を得る(スキームVを参照)。
【化17】

【0166】
アミン基がY(−C(O)NH−)に結合しているアミドリンカーを有する本発明の化合物は、ピリジン中で酸塩化物化合物(化合物ee又はff)とアミン誘導体(化合物ii)とを組み合わせ、アミドリンカーを有する本発明の化合物(化合物jj又はkk)を生成することにより調製することができる(スキームVIを参照)。反応条件は、上記のアミドカップリングの一般的手順で述べたものと同様である。
【化18】

【0167】
二重結合リンカーを有する本発明の化合物は、化合物mm又は化合物nnとリン酸トリエチルなどの亜リン酸トリアルキルとの混合物を非極性の非プロトン性溶媒中で加熱し、リン酸ジアルキル誘導体(化合物oo又はpp)を生成することことにより調製することができる。次いで、リン酸ジアルキル誘導体(化合物oo又はpp)をエーテルなどの極性の非プロトン性溶媒中に溶解し、約−25℃〜約−78℃に冷却し、ヘキサメチルジシラザンナトリウム(NaHMDS)を加える。約5分〜約30分後、アルデヒド(化合物bb)を加え、溶液を約15分〜約1時間攪拌し、その後、室温に温める。反応物を塩化アンモニウム水溶液で急冷し、二重結合リンカーを有する本発明の化合物(化合物qq又はrr)を生成する(スキームVIIを参照)。
【化19】

【0168】
アミンリンカーを有する化合物(化合物ss又はtt)は、アミン誘導体(化合物r又はs)(1等量)、トリフェニルビスムチン(III)(1.1〜1.5等量)、及びCu(OAc)(1.1〜1.5等量)の混合物をジクロロメタン中で室温にて約2〜12時間攪拌することにより調製することができる(スキームVIIIを参照)。
【0169】
(医薬組成物及び剤形)
本発明の医薬組成物及び剤形は、1種類以上の有効成分を相対量含有し、所与の医薬組成物又は剤形を用いて、免疫抑制、又は炎症状態、免疫疾患、及びアレルギー疾患の治療若しくは予防が可能なように製剤される。好ましい医薬組成物及び剤形は、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、若しくは包接化合物を含み、1種類以上の追加の活性薬剤を任意に組み合わせてもよい。
【0170】
本発明の単位剤形は、経口投与、粘膜投与(例:経鼻、舌下、腟内、頬側、若しくは直腸内)、非経口投与(例:皮下、静脈内、ボーラス注入、筋肉内、若しくは動脈内)、又は経皮投与によって患者に投与するのに適している。剤形の例としては、錠剤;カプレット;軟質弾性ゼラチンカプセルなどのカプセル;カシェ剤;トローチ剤;口中錠;分散液;坐薬;軟膏;パップ剤(湿布薬);ペースト剤;粉末;包帯剤;クリーム剤;硬膏剤;溶液剤;パッチ剤;エアゾール剤(例:鼻腔スプレー剤若しくは吸入剤);ゲル剤;懸濁液(例:水性若しくは非水性懸濁液、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョン)、溶液剤、及びエリキシル剤を含む、患者への経口投与若しくは粘膜投与に適した液状の剤形;患者への非経口投与に適した液状の剤形;並びに、患者への非経口投与に適した液状の剤形へ戻すことができる滅菌固体(例:結晶若しくは非結晶固体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
本発明の剤形の組成、形状、及び種類は、通常、その用途に応じて様々である。例えば、粘膜投与に適した剤形は、同じ適応症の治療に用いられる経口投与の剤形に比べて、有効成分の含有量を少なくすることができる。本発明のこの側面は、当業者であれば容易に明らかとなるであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.,Mack Publishing,Easton PAを参照されたい。
【0172】
典型的な医薬組成物及び剤形は、1種類以上の賦形剤を含む。適切な賦形剤は、薬学分野の当業者には公知であり、適切な賦形剤の限定されない例を本明細書で示す。特定の賦形剤が、医薬組成物又は剤形に含有させるのに適しているかどうかは、本技術分野で公知の種々の要因に依存しており、その要因には、剤形を患者へ投与する方法などが含まれるが、これらに限定されない。例えば、錠剤などの経口剤形は、非経口剤形への使用には適さない賦形剤を含有することができる。
【0173】
特定の賦形剤が適するかどうかは、剤形中の特定の有効成分に依る場合もある。例えば、ある有効成分の分解は、ラクトースなどのある賦形剤、又は水との接触によって促進される場合がある。1級又は2級アミン(例:N−デスメチルベンラファキシン及びN,N−ジデスメチルベンラファキシン)を含む有効成分は、特にそのような促進された分解の影響を受けやすい。従って、本発明は、ラクトースを、存在していたとしても、ほとんど含有していない医薬組成物及び剤形を包含する。本明細書で用いる「ラクトースを含有しない」という用語は、ラクトースの存在量が、存在していたとしても、有効成分の分解速度を著しく高めるのに十分な量ではないことを意味する。本発明の、ラクトースを含有しない組成物は、本技術分野で公知であり、例えば、U.S.Pharmacopia(USP)SP(XXI)/NF(XVI)、に挙げられている賦形剤を含むことができる。一般に、ラクトースを含有しない組成物は、有効成分、結合剤/充填剤、及び滑沢剤を、薬理学的に適合性があり薬理学的に許容される量含む。好ましいラクトースを含有しない剤形は、有効成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0174】
さらに、本発明は、水が、ある化合物の分解を促進する場合があることから、有効成分を含有する無水の医薬組成物及び剤形を包含する。例えば、水の添加(例:5%)は、有効期間又は長期間にわたる製剤の安定性などの特性を調べるための長期保存のシミュレーション法として、医薬分野では広く受け入れられている。例えば、Jens T.Carstensen(1995)Drug Stability:Principles & Practice,2d.Ed.,Marcel Dekker,NY,NY,379−80を参照されたい。実際には、水と熱がある化合物の分解を加速させる。従って、製剤の製造、取り扱い、包装、保存、輸送、及び使用の最中に、水分及び/又は湿気に遭遇することがよくあるので、製剤に対する水の影響は非常に重要であり得る。
【0175】
本発明の無水の医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分量の成分、及び低水分又は低湿度の条件を用いて作製することができる。ラクトース、及び1級若しくは2級アミンを含む少なくとも1種類の有効成分を含有する医薬組成物及び剤形は、製造、包装、及び/又は保存の最中に、水分及び/又は湿気への著しい接触が予見される場合は、無水であることが好ましい。
【0176】
無水の医薬組成物は、その無水性が維持される方法で作製し保存するべきである。従って、無水組成物は、適切な製剤キット中に含めることができるように、水への接触を防ぐことが知られている材料を用いて包装することが好ましい。適切な包装材の例としては、密封されたホイル、プラスチック、単位剤形容器(例:バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0177】
本発明はさらに、有効成分が分解する速度を低下させる1種類以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形を包含する。本明細書において「安定剤」と称するそのような化合物としては、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pH緩衝液、又は塩緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0178】
賦形剤の量及び種類と同様に、剤形中の有効成分の量及び具体的な種類は、患者への投与経路などの要因に応じて異なる場合があるが、これに限定されない。しかし、本発明の典型的な剤形は、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを、約1mg〜約1000mgの量、好ましくは約50mg〜約500mgの量、最も好ましくは約75mg〜約350mgの量を含有する。式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグの典型的な一日の全投与量は、一日あたり約1mg〜約5000mgの範囲とすることができ、好ましくは一日あたり約50mg〜約1500mg、より好ましくは一日あたり約75mg〜約1000mgである。任意の患者に対する適切な投与量及び剤形を決定することは、本技術分野の範囲内である。
【0179】
(経口剤形)
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、錠剤(例:咀嚼錠)、カプレット、カプセル、及び液体(例:矯味剤入りシロップ)などだがこれらに限定されない、個々の剤形として提供することができる。そのような剤形は、所定量の有効成分を含有し、当業者に公知の薬学的方法によって作製することができる。一般的には、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.,Mack Publishing,Easton PAを参照されたい。
【0180】
本発明の典型的な経口剤形は、従来の医薬品配合技術に従い、有効成分(単数又は複数)を少なくとも1種類の賦形剤との混合物として組み合わせることによって作製される。賦形剤は、投与に所望される製剤の形状に応じて、広範囲にわたる種々の形状を取ることができる。例えば、経口液体剤形又はエアロゾル剤形に用いるのに適した賦形剤としては、水、グリコール、オイル、アルコール、矯味料、保存料、及び着色剤が挙げられるが、これらに限定されない。固形の経口剤形(例:粉末、錠剤、カプセル、及びカプレット)に用いるのに適した賦形剤の例としては、デンプン、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
投与が容易であることから、錠剤及びカプセルが最も有利な経口単位剤形の代表であり、この場合固体賦形剤が用いられる。所望する場合、標準的な水性又は非水性技術によって錠剤をコーティングすることができる。そのような剤形は、薬学的ないずれの方法を用いても作製することができる。一般的に、医薬組成物及び剤形は、有効成分を、液体担体、微細に分割された固体担体、又はその両方と均一かつ均質に混合し、次いで、必要であれば、生成物を所望の形状へ成形することによって作製される。
【0182】
例えば、錠剤は、圧縮又は成型によって作製することができる。圧縮錠剤は、任意に賦形剤が混合されていてもよい、粉末状若しくは顆粒状などの自由流動形状の有効成分を、適切な機械で圧縮することによって作製することができる。成型錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤した粉末状化合物の混合物を、適切な機械で成型することによって作製することができる。
【0183】
本発明の経口剤形に用いることができる賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、及び滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物及び剤形に用いるのに適した結合剤としては、コーンスターチ、じゃがいもデンプン、若しくは他のデンプン、ゼラチン、アラビアゴムなどの天然及び合成ガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例:エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例:番号2208、2906、2910)、微結晶セルロース、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
微結晶セルロースの適切な形としては、AVICEL−PH−101、AVICEL−PH−103、AVICEL RC−581、AVICEL−PH−105(FMC Corporation、American Viscose Division、Avicel Sales、Marcus Hook、PA、より入手可能)として市販されている材料、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一つの具体的な結合剤としては、AVICEL RC−581として市販されている、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの混合物である。適切な無水又は低水分量の賦形剤又は添加剤としては、AVICEL−PH−103J及びStarch 1500LMが挙げられる。
【0185】
本明細書で開示する医薬組成物及び剤形に使用するのに適した充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例:顆粒状、又は粉末状)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物中の結合剤又は充填剤は、通常、医薬組成物若しくは剤形の約50〜約99重量パーセントで存在する。
【0186】
崩壊剤は、水性環境に曝露された場合に崩壊する錠剤を提供するために本発明の組成物に用いられる。過剰の崩壊剤を含有する錠剤は保存中に崩壊する場合もあるが、一方、崩壊剤の量が少なすぎる錠剤は、所望の速度で、又は所望の条件下で崩壊しない場合がある。従って、有効成分の放出に悪影響を及ぼすような過剰量でも過少量でもない十分な量の崩壊剤を用いて本発明の固形経口剤形を形成するべきである。使用する崩壊剤の量は製剤の種類によって異なり、当業者であれば容易に認識される。典型的な医薬組成物は、約0.5〜約15重量パーセント、好ましくは約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
【0187】
本発明の医薬組成物及び剤形に使用可能な崩壊剤は、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、ナトリウムスターチグリコレート、じゃがいもデンプン若しくはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0188】
本発明の医薬組成物及び剤形で使用可能な滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例:落花生油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる滑沢剤としては、例えば、サイロイドシリカゲル(AEROSIL200、W.R.Grace Co.of Baltimore,MD、の製造による)、合成シリカの凝固エアロゾル(Degussa Co.of Plano,TX、より市販)、CAB−O−SIL(Cabot Co.of Boston,MA、より市販の熱分解法による二酸化ケイ素製品)、及びこれらの混合物が挙げられる。滑沢剤は、用いる場合は、通常、それを混合する医薬組成物又は剤形の約1重量パーセント未満の量で使用する。
【0189】
(放出制御剤形)
本発明の有効成分は、当業者に公知の制御放出手段又は送達装置によって投与することができる。例としては、これらに限定されないが、米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、及び第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、及び第5,733,566号に記載のものが挙げられ、これらの各々は参照することで本明細書に組み入れられる。このような剤形を用いて、1種類以上の有効成分を徐放又は制御放出させることができ、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透系、多層コーティング剤、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、又はこれらの組み合わせを様々な割合で使用して所望の放出特性を得ることができる。本明細書に記載のものを含む当業者に公知の適切な放出制御製剤は、本発明の有効成分と共に使用するにあたって容易に選択することができる。従って、本発明は、制御放出に適合する錠剤、カプセル、ジェルキャップ、およびカプレットなどだがこれらに限定されない経口投与に適する単位剤形を包含する。
【0190】
すべての放出制御医薬物は、放出制御ではない対応物によって達成されるものと比べて薬物療法を優れたものに改善するという共通の目的を有している。理想的には、医学治療において最適に設計された放出制御製剤を使用するということは、最小限の薬物を使用して、最短時間で状態を治療又は制御することを特徴とする。放出制御製剤の長所としては、薬物活性の延長、投与頻度の減少、及び患者の服薬遵守の向上が挙げられる。さらに、放出制御製剤を用いることによって、作用の発現時間、又は、例えば薬物の血中濃度などの他の特性に影響を与え、従って、副作用(例:悪影響)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0191】
ほとんどの放出制御製剤は、所望の治療効果を速やかに生じさせる量の薬物(有効成分)をまず放出し、そして、徐々に、かつ継続的に、長時間にわたってこのレベルの治療効果又は予防効果を維持する他の量の薬物を放出するように設計されている。体内の薬物をこの一定レベルに維持するためには、代謝され、身体から排泄される薬物の量を補充する割合でその薬物が剤形から放出されなければならない。有効成分の放出制御は、これらに限定されないが、pH、温度、酵素、水、又は他の生理学的条件若しくは化合物を含む種々の条件によって刺激され得る。
【0192】
本発明の特定の長期放出製剤は、治療若しくは予防有効量の、式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含有し、微結晶セルロース、及び、任意に、エチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの混合物でコーティングされたヒドロキシプロピルメチルセルロースをさらに含む球状体である。そのような長期放出製剤は、その全教示内容が参照することで本明細書に組み入れられる、米国特許第6,274,171号、に従って作製することができる。
【0193】
本発明の特定の放出制御製剤は、約6重量%〜約40重量%の式(I)、(II)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、約50重量%〜約94重量%の微結晶セルロース、NF、及び、任意に約0.25重量%〜約1重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、USP、を含有し、この場合、球状体はエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから成るフィルムコーティング組成物によってコーティングされる。
【0194】
(非経口剤形)
非経口剤形は、これらに限定されないが、皮下、静脈内(ボーラス注入を含む)、筋肉内、及び動脈内を含む種々の経路で患者に投与することができる。これらの投与形態では、不純物に対しておきる患者の自己免疫能を回避するため、非経口剤形は、滅菌されているか、又は患者に投与する前に滅菌することが可能であることが好ましい。非経口剤形の例としては、注射用にすぐに使用できる溶液、薬理学的に許容される媒体中に溶解又は懸濁してすぐに注射用にできる乾燥製剤、注射用にすぐに使用できる懸濁液、及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0195】
本発明の非経口剤形を提供するのに使用可能である適切な媒体は、当業者に公知である。例としては、注射用水USP;これらに限定されないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、並びに乳酸リンゲル注射液などの水性媒体;これらに限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどの水混和性媒体;並びに、これらに限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルなどの非水性賦形剤、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0196】
本明細書に開示される1種類以上の有効成分の溶解性を高める化合物も、本発明の非経口剤形に組み込むことができる。
【0197】
(経皮、局所、及び粘膜剤形)
本発明の経皮、局所、及び粘膜剤形としては、点眼液、スプレー、エアロゾル、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、エマルジョン、懸濁液、又は当業者に公知の他の剤形が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980 & 1990)16th and 18th eds.,Mack Publishing,Easton PA、及び、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms(1985)4th ed.,Lea & Febiger,Philadelphiaを参照されたい。口腔内の粘膜組織の治療に好適な剤形は、口腔洗浄薬として、又は経口ゲルとして製剤することができる。さらに、経皮剤形としては、皮膚に適用して特定の期間着用し、所望の量の有効成分を浸透させることができる、「リザーバ型」又は「マトリクス型」のパッチが挙げられる。
【0198】
本発明に包含されている経皮、局所、及び粘膜剤形を提供するため使用できる適切な賦形剤(例:担体及び希釈剤)、並びに他の材料は、医薬分野の当業者には公知であり、所与の医薬組成物又は剤形が適用される特定の組織に応じたものとなる。この事実を念頭に置いた場合、典型的な賦形剤としては、ローション、チンキ、クリーム、エマルジョン、ゲル、又は軟膏を形成するための水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されず、これらは無毒性であって、薬理学的に許容されるものである。所望の場合、保湿剤又は湿潤剤を医薬組成物及び剤形に添加することもできる。このような追加成分の例は、本技術分野で公知である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980 & 1990)16th and 18th eds.,Mack Publishing,Easton PAを参照されたい。
【0199】
治療を受ける具体的な組織に応じて、本発明の有効成分による治療の前に、これと組み合わせて、又はこれに引き続いて、追加の成分を使用することができる。例えば、浸透促進剤を用いて、有効成分の組織への送達を促進することができる。適切な浸透促進剤としては、アセトン;エタノール、オレイルアルコール、テトラヒドロフリルアルコールなどの種々のアルコール;ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシド;ジメチルアセタミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドンなどのピロリドン;コリドングレード(Kollidon grade)(ポビドン、ポリビドン);尿素;並びに、Tween80(ポリソルベート80)及びSpan60(ソルビタンモノステアレート)などの種々の水溶性又は不溶性の糖エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0200】
医薬組成物若しくは剤形のpH、又は、医薬組成物若しくは剤形が投与される組織のpHを調整して、1種類以上の有効成分の送達を改善することもできる。同様に、溶媒担体の極性、イオン強度、又は浸透圧を調整することによって送達を改善することができる。ステアリン酸塩などの化合物を医薬組成物又は剤形に添加することによって、1種類以上の有効成分の親水性又は親油性を有利に変化させ、送達を改善することもできる。ここで、ステアリン酸塩は、製剤に対する脂質性の賦形剤として、乳化剤若しくは界面活性剤として、並びに送達促進剤若しくは浸透促進剤として作用することができる。有効成分の種々の塩、水和物、又は溶媒和物を用いて、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
【0201】
(併用療法)
免疫抑制、又は炎症状態、アレルギー疾患、及び免疫疾患の治療若しくは予防を、これらを必要とする患者に対して行なう方法は、本発明の化合物が投与されているその患者に対して、有効量の1種類以上の他の活性薬剤を投与することをさらに含むことができる。このような活性薬剤としては、免疫抑制、又は炎症状態、アレルギー疾患、若しくは免疫疾患に従来から使用されているものを挙げることができる。これらの他の活性薬剤は、本発明の化合物と併用して投与された場合に、他の有効性を提供するものであってもよい。例えば、他の治療薬としては、ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、免疫抑制剤、及びこれらの適切な混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。このような併用療法において、本発明の化合物及び他の薬剤(単数又は複数)は共に、従来の方法によって対象(例:ヒト、男性又は女性)に投与される。これらの薬剤は単一の剤形で又は別々の剤形で投与することができる。他の治療薬及び剤形の有効量は、当業者に公知である。また、他の治療薬の最適な有効量の範囲を決定することは、十分に当業者が行なう範囲内である。
【0202】
別の治療薬を対象に投与する本発明の一実施形態では、本発明の化合物の有効量は、他の治療薬が投与されない場合の有効量よりも少ない。別の実施形態では、従来の薬剤の有効量は、本発明の化合物が投与されない場合、その有効量よりも少ない。この方法により、いずれかの薬剤の多量投与による好ましくない副作用を最小限に抑えることができる。他の考え得る利点(投与計画の改善及び/又は薬物費用の削減を含むが、これらに限定されない)は当業者にとって明らかであろう。
【0203】
自己免疫、アレルギー及び炎症状態に関連する一実施形態において、他の治療薬は、ステロイド又は非ステロイド性抗炎症剤とすることができる。特に有用な非ステロイド性抗炎症剤としては、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロクス酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミック酸、トルフェナム酸、ジフルニサル、フルフェニサル、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム;アスピリン、サリチル酸ナトリウム、コリントリサリチル酸マグネシウム、サルサレート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、スルファサラジン、及びオルサラジンを含むサリチル酸誘導体;アセトアミノフェン及びフェナセチンを含むパラアミノフェノール誘導体;インドメタシン、スリンダク、及びエトドラクを含むインドール及びインデン酢酸;トルメチン、ジクロフェナク、及びケトロラクを含むヘテロアリール酢酸;メフェナム酸及びメクロフェナム酸を含むアントラニル酸(フェナム酸類);オキシカム(ピロキシカム、テノキシカム)及びピラゾリジンジオン(フェニルブタゾン、オキシフェンタルタゾン(oxyphenthartazone))を含むエノール酸;ナブメトンを含むアルカノン、並びに薬理学的に許容されるこれらの塩及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。NSAIDに関するより詳細な説明は、Paul A.Insel,Analgesic−Antipyretic and Antiinflammatory Agents and Drugs Employed in the Treatment of Gout,in Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 617−57(Perry B.Molinhoff and Raymond W.Ruddon eds.,9th ed.1996)、及び、Glen R.Hanson,Analgesic,Antipyretic and Anti−Inflammatory Drugs in Remington:The Science and Practice of Pharmacy Vol II 1196−1221(A.R.Gennaro ed.19th ed.1995)を参照されたい。当該文献の内容全体を参照によって本明細書に組み込んだものとする。
【0204】
特にアレルギー疾患に関しては、他の治療薬は、抗ヒスタミン剤であってよい。有用な抗ヒスタミン剤としては、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デスロラタジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、クロルシクリジン、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、ドキセピン、カルビノキサミン、クレマスチン、トリペレナミン、ブロムフェニラミン、ヒドロキシジン、シクリジン、メクリジン、シプロヘプタジン、フェニンダミン、アクリバスチン、アゼラスチン、レボカバスチン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。抗ヒスタミン剤に関するより詳細な説明は、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(2001)651−57,10th ed.を参照されたい。
【0205】
免疫抑制剤としては、グルココルチコイド、コルチコステロイド(プレドニゾン又はソルメドロールなど)、T細胞遮断薬(シクロスポリンA及びFK506など)、プリン類似体(アザチオプリン(イムラン)など)、ピリミジン類似体(シトシンアラビノシドなど)、アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、フェニルアラニンマスタード、ブスルファン、及びシクロホスファミドなど)、葉酸拮抗薬(アミノプテリン及びメトトレキセートなど)、抗生物質(ラパマイシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、ピューロマイシン、及びクロラムフェニコールなど)、ヒトIgG、抗リンパ球グロブリン(ALG)、並びに抗体(抗CD3(OKT3)、抗CD4(OKT4)、抗CD5、抗CD7、抗IL−2受容体、抗アルファ/ベータTCR、抗ICAM−1、抗CD20(リツキサン)、抗IL−12、及び免疫毒素に対する抗体)が挙げられる。
【0206】
当業者であれば、前記及び他の有用な併用療法を理解し、正しく認識するであろう。このような併用療法の利点として考えられるものとして、異なる効力特性、有害な副作用を最小限にするために個々の有効成分の各々の使用量を削減できること、相乗的な効力の向上、投与若しくは使用における利便性の向上、及び/又は化合物の調製若しくは製剤化の全体的な費用の削減、が挙げられる。
【0207】
(他の実施形態)
本発明の化合物は、研究ツールとして(例えば、他のCRAC阻害剤として考えられるもの、又はIL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α、及び/又はINF−γ阻害剤の評価のためのポジティブコントロールとして)使用することができる。本発明の化合物及び組成物に関するこれらの、及び他の用途及び実施形態は、当業者にとって明らかであろう。
【0208】
本発明は、本発明の化合物の調製について詳細に説明する以下の実施例を参照することで、さらに明確となる。材料及び方法の両方に関して、本発明の目的及び関心から逸脱することなく様々に変更できることは、当業者にとって明らかであろう。以下の実施例は、本発明の理解を助けるために記載するものであって、ここに記載し請求する本特許を特に限定するものとして解釈されるべきではない。当業者が実施する範囲内である、現在公知の又は今後開発される全ての同等物との置換も含む本発明の変形、及び製剤の変更又は実験計画の僅かな変更は、本明細書に記載の本発明の範囲内に入るものと考えられる。
【0209】
(実施例)
(実験の理論的根拠)
理論に束縛されるものではないが、本発明の化合物がCRACイオンチャネルを阻害し、それによりIL−2の産生、並びに炎症、アレルギー、及び免疫反応に関与する他の主要なサイトカインの産生を阻害すると考えられる。以下の実施例はこのような特性を実証するものである。
【0210】
(材料及び一般的方法)
以下で使用した試薬及び溶媒は、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee、Wisconsin、USA)などの市販業者から入手可能である。H−NMR及び13C−NMRスペクトルは、Varian 300MHz NMR spectrometerにより記録した。重要なピークを、以下の順で列挙した:δ(ppm):化学シフト、多重性(s:単一線;d:二重線;t:三重線;q:四重線;m:多重線;br s:ブロード単一線)、ヘルツ(Hz)を単位とする結合定数、及びプロトン数。
【0211】
パッチクランプ試験は、密封した全細胞構成において、21〜25℃で行った。コンピュータを用いたパッチクランプアンプシステム(EPC−9、HEKA、ラムブレヒト、ドイツ)により、高分解能での電流記録が得られた。パッチピペットは、標準細胞内液の充填の後、2〜4MΩの抵抗値であった。全細胞構成の確立後すぐに、50〜200msの長さで−100〜+100mVの範囲にわたるランプ電圧を、300〜400秒間、0.5Hzの周期で供給した。細胞内の陰イオンとしてグルタミン酸塩を使用する場合、全ての電圧を、外部溶液と内部溶液との間の液間電位差が10mVになるように較正した。電流を2.9kHzでフィルタリングし、10μs間隔でデジタル化した。容量性電流及び直列抵抗を測定し、EPC−9の自動キャパシタンス補正機能を使用して各電圧ランピングの前に較正した。膜電流の低分解能における一時的な生成を、個々のランプ電流記録から−80mV又は+80mVでの電流振幅を抽出することにより評価した。
【0212】
実施例1:本発明の代表的な例示化合物の合成
本発明の化合物は、一般に、米国特許出願第10/897,681号、及び米国仮特許出願第60/611,913号に記載の方法と類似の方法を用いて調製することができる。当該文献の内容全体を参照によって本明細書に組み込んだものとする。
【0213】
アミドカップリング反応の一般的手順
【化20】

【0214】
アミン誘導体(化合物r又はs)(19.2mmol)を塩化メチレン中に溶解し、0℃に冷却した。反応混合物にピリジン(3.87ml、48mmol)を加え、続いて、塩化アシル(k)(19.2mmol)を加えた。この混合物を35分間室温に温め、その間に水を加え、塩化メチレンと水との層の間に反応混合物を区分した。有機層を回収し、NaSOなどの乾燥剤で乾燥させ、その後、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーを用いて生成物を精製し、アミドリンカーを有する本発明の化合物(化合物j又はm)を得た(スキームIを参照)。
【0215】
化合物1:2−[6−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピオン酸
A.(2,6−ジフルオロ−N−(5−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)ベンズアミドナトリウム塩の調製
【化21】

6−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(a)を2,6−ジフルオロ−ベンゾイルクロリド(b)とカップリングさせ、標準的なカップリング手順に従ってアミドを生成した。フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、ケトンである(2,6−ジフルオロ−N−(5−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)ベンズアミド(c)を純粋な形で得た。ESMS計算値(C1713NO):301.1;実測値:301.0(M+H)。
【0216】
次に、(2,6−ジフルオロ−N−(5−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)ベンズアミド(c)(146mg、0.485mmol)をTHF(2mL)に溶解し、次いで、水素化ナトリウム(29mg、0.728mmol)を加えた。反応混合物を1時間攪拌し、(2,6−ジフルオロ−N−(5−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)ベンズアミドナトリウム塩(d)を生成した。これを次の工程で直接用いた。
【0217】
B.2−[6−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピオン酸(化合物1)の調製
【化22】

テトラヒドロフラン(THF)中の2,2−ジブロモ−プロピオニルブロミド(e)の溶液を−78℃に冷却した。ペンタン中のtert−ブチルリチウム(t−BuLi)を加え、−78℃で1時間攪拌し、0℃に温めた。攪拌を0℃で30分間継続し、中間体(f)を生成した。その後、混合物を−78℃に冷却し、THF中の(2,6−ジフルオロ−N−(5−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)ベンズアミド(d)のナトリウム塩の溶液を加えた。反応混合物を0℃に温め、その後、室温で5分間温めた後、水と1N NaOH溶液で急冷した。反応混合物を酢酸エチルで洗浄し、水層を分離し、HCl(aq)で酸性化し、2−[6−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピオン酸(化合物1)を沈殿させた。溶離液として塩化メチレン/メタノールを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、純粋な2−[6−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピオン酸(化合物1)を単離した(120mg、22%収率)。
H NMR(300MHz、CDCl) δ 7.62(s、1H)、7.58〜7.55(m、1H)、7.41〜7.24(m、3H)、7.02(t、J=8.3Hz、2H)、2.95〜2.91(m、2H)、2.72(t、J=6.6Hz、2H)、2.17(s、3H)、1.88〜1.79(m、2H)ppm。
ESMS計算値(C2017NO):357.1;実測値:358.1(M+H)。
【0218】
化合物2:2−[6−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピオン酸メチルエステル
【化23】

次に、2−[6−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピオン酸(化合物1)(13mg、0.036mmol)をジエチルエーテルに溶解し、過剰なトリメチルシリルジアゾメタン(TMSCHN)を室温で加えた。15分後、反応物を酢酸で急冷し、減圧下で濃縮した。溶離液として酢酸エチル/ヘキサンを用いたシリカゲルクロマトグラフィー精製により、生成物である2−[6−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピオン酸メチルエステル(10mg、75%収率)を得た。
H NMR(300MHz、CDCl) δ 7.62(s、1H)、7.56〜7.54(m、1H)、7.48〜7.26(m、3H)、7.02(t、J=8.3Hz、2H)、3.80(s、3H)、2.78〜2.70(m、4H)、2.17(s、3H)、1.87〜1.78(m、2H)ppm。
ESMS計算値(C2119NO):371.1;実測値:372.1(M+H)。
【0219】
化合物3:2,6−ジフルオロ−N−[5−(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−2−オキソ−エチリデン)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル]−ベンズアミド
N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N9−エチルカルボジイミド(EDC)又はジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下、化合物1をモルホリンと反応させることにより化合物3を調製した。
H NMR(300MHz、CDCl) δ 7.79(s、1H)、7.50(s、1H)、7.43〜7.31(m、3H)、7.02(t、J=8.1Hz、2H)、3.74〜3.66(m、7H)、3.52〜3.43(m、3H)、2.50〜2.41(m、1H)、2.36〜2.30(m、1H)、2.09(s、3H)、1.91〜1.79(m、2H)ppm。
ESMS計算値(C2424):426.2;実測値:427.2(M+H)。
【0220】
化合物5:2,6−ジフルオロ−N−[5−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチリデン)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル]−ベンズアミド
【化24】

化合物1(100mg、0.278mmol)をTHF(5ml)に溶解し、0℃に冷却した。その後、水素化リチウムアルミニウム(560ul、1M溶液)を加え、反応物を1時間にわたり室温に温めた。反応物を水で急冷し、MgSOで乾燥させ、濾過した。カラムクロマトグラフィーにより生成物を精製し、純粋な2,6−ジフルオロ−N−[5−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチリデン)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル]−ベンズアミド(化合物5)を36mg(41%収率)得た。
H NMR(300MHz、CDCl) δ 7.68(s、1H)、7.50(s、1H)、7.45〜7.26(m、3H)、7.90(t、J=8.1Hz、2H)、4.32(s、2H)、2.68(t、J=6.3Hz、2H)、2.54(t、J=6.7Hz、2H)、2.05(s、3H)、1.85〜1.76(m、2H)ppm。
ESMS計算値(C2019NO):343.1;実測値:344.0(M+H)。
【0221】
化合物4:酢酸2−[6−(2,5−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピルエステル
【化25】

化合物5(25mg、0.073mmol)を塩化メチレン(2mL)に室温で溶解した。2当量の無水酢酸を加え、反応物を1時間攪拌した。その後、過剰な無水酢酸を加え、さらに30分間攪拌した。水を加え、水相をCHClで抽出した。ヘキサン及び酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィーにより生成物を精製し、純粋な化合物4を15mg(53%収率)得た。
H NMR(300MHz、CDCl) δ 7.72(s、1H)、7.50(s、1H)、7.44〜7.30(m、3H)、7.03〜6.98(m、2H)、4.76(s、2H)、3.37〜3.29(m、2H)、2.70〜2.66(m、2H)、2.56〜2.52(m、2H)、2.11(s、3H)、2.06(s、3H)、ppm。
ESMS計算値(C2221NO):385.1;実測値:386.3(M+H)。
【0222】
化合物6:2,6−ジフルオロ−N−(5−フェニル−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル)−ベンズアミド
【化26】

Allinger(J.Org.Chem.1962,27,70−6、その教示全てを参照によって組み込んだものとする)に記載の方法に従って、2−アミノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−ペンゾシクロヘプテン−5−オン(g)を調製した。標準的なアミンカップリング手順を用いて、化合物(g)を2,6−ジフルオロ−ベンゾイルクロリド(b)とカップリングし、2,6−ジフルオロ−N−(5−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル)−ベンズアミド(h)を高収率で得た。化合物(h)(75mg、0.24mmol)を乾燥THF(2ml)に溶解し、フェニルマグネシウムブロミド溶液(エーテル中1M、0.732mmol)を室温で加えた。反応混合物を3時間攪拌し、3N HClで急冷した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、シリカゲルクロマトグラフィー精製により生成物である2,6−ジフルオロ−N−(5−フェニル−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル)−ベンズアミド(化合物6)(73mg、82%収率)を得た。
H NMR(300MHz、CDCl) δ 7.78(s、1H)、7.67(d、J=2.1Hz、1H)、7.43〜7.35(m、2H)、7.32〜7.28(m、4H)、7.02〜6.94(m、3H)、6.45(t、J=7.3Hz、1H)、2.68(t、J=6.9Hz、2H)、2.25〜2.15(m、2H)、2.03〜1.96(m、2H)ppm。
ESMS計算値(C2419NO):375.1;実測値:376.2(M+H)。
【0223】
化合物7:2,6−ジフルオロ−N−(5−フェニル−6−メチル−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル)−ベンズアミド
化合物7は、出発材料として2−アミノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−ペンゾシクロヘプテン−5−オン(g)の代わりに2−アミノ−6−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−ペンゾシクロヘプテン−5−オン(Allinger,J.Org.Chem.1962,27,70−6を参照)を用いた以外は、化合物6の調製に用いた方法と同様の方法により調製した。
H NMR(300MHz、CDCl) δ 7.65(d、J=2.1Hz、1H)、7.58(s、1H)、7.43〜7.2(m、5H)、7.13〜7.10(m、2H)、7.02〜6.96(m、2H)、6.77(d、J=8.1Hz、1H)、2.72(t、J=7.2Hz、2H)、2.27〜2.18(m、2H)、2.05〜1.99(m、2H)、1.96(s、3H)ppm。
ESMS計算値(C2521NO):389.2;実測値:390.3(M+H)。
【0224】
化合物8:2,6−ジフルオロ−N−[5−(4−アミノ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル]−ベンズアミド
【化27】

ベンズヒドリリデン−(4−ブロモ−フェニル)−アミン(i)(500mg、1.49mmol)の溶液をTHF(2mL)中で−78℃に冷却した。n−BuLi(ヘキサン中1.6Mの930uL)を加え、溶液を濃紅色にした。10分後、2,6−ジフルオロ−N−(5−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル)−ベンズアミド(h)(234mg、0.74mmol)を加え、反応物を0℃に温めた。0℃で15分後、HCl(aq)(6M、0.5mL)を加え、反応物をさらに15分間攪拌し、その後、重炭酸ナトリウムで急冷し、酢酸エチルで抽出した。カラムクロマトグラフィーにより生成物を精製し、純粋な化合物8を126mg(44%収率)得た。
H NMR(300MHz、CDCl) δ 7.75〜7.74(m、1H)、7.65(d、J=2.7Hz、1H)、7.61(s、1H)、7.48〜7.37(m、2H)、7.11〜6.98(m、5H)、6.66〜6.61(m、2H)、6.33(t、J=8.8Hz、1H)、3.68(s、2H)、2.95(t、J=6.1Hz、1H)、2.76〜2.71(m、1H)、2.66〜2.64(m、2H)、2.22〜2.13(m、2H)ppm。
ESMS計算値(C2420O):390.2;実測値:391.2(M+H)。
【0225】
化合物9:2,6−ジフルオロ−N−[5−(4−アセチルアミノ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル]−ベンズアミド
化合物9は、ピリジンの存在下で化合物8を無水酢酸と反応させることにより、或いは、トリエチルアミンの存在下で化合物8を塩化アセチルと反応させることにより調製した。
H NMR(300MHz、CDCl) δ 7.68(s、2H)、7.44〜7.35(m、3H)、7.24〜7.21(m、2H)、7.05〜6.99(m、3H)、6.42(t、J=6.0Hz、1H)、2.67(t、J=6.3Hz、2H)、2.2〜2.15(m、5H)、2.01〜1.94(m、2H)。
ESMS計算値(C2622):432.2;実測値:433.2(M+H)。
【0226】
実施例2:IL−2産生の阻害
ジャーカット細胞を96ウェルプレート(1%FBS培地中、1ウェルあたり50万個の細胞)に播種し、次に、本発明の試験化合物を種々の濃度で添加した。10分後、細胞をPHA(最終濃度2.5μg/ml)によって活性化し、CO下で37℃にて20時間インキュベートした。最終体積は200μLであった。インキュベートの後、細胞を遠心分離し、上清を回収して、IL−2産生のアッセイの前に−70℃で保存した。市販のELISAキット(IL−2 Eli−pair、Diaclone Research、ブザンソン、フランス)を用いてIL−2の産生を検出し、そこから用量反応曲線を作成した。非刺激の対照に対して、刺激後の最大IL−2産生の50%が阻害される濃度をIC50値として算出した。
【表2】

【0227】
上記のデータから分かるように、本発明の特定の化合物はナノモル濃度でIL−2産生を阻害する。IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α、及びINF−γなどの他のサイトカインの阻害は、サイトカインごとに市販のELISAキットを使用して、同様の方法で試験することができる。
【0228】
実施例3:RBL細胞、ジャーカット細胞、及びプライマリーT細胞におけるICRAC電流の阻害に関するパッチクランプ試験
一般に、ホールセルパッチクランプ方法を用いて、ICRACを仲介するチャネルに対する本発明の化合物の効果を調べる。このような実験においては、パッチした細胞に対するベースライン測定を行う。次に、試験対象の化合物を外液中の細胞に注ぎかけ(又は吹き付け)、ICRACに対する化合物の効果を測定する。ICRACを調節(例:阻害)する化合物は、本発明において、CRACイオンチャネル活性の調節に有用な化合物である。
【0229】
1)RBL細胞
(細胞)
ラットの好塩基球性白血病細胞(RBL−2H3)を、95%空気/5%COの雰囲気下、10%ウシ胎仔血清を添加したDMEM培地で増殖させる。細胞は、使用する1〜3日前にカバーガラス上に播種する。
【0230】
(記録条件)
個々の細胞の膜電流を、パッチクランプ技術の全細胞構成を使用して、EPC10(HEKA Electronik、ラムブレヒト、ドイツ)により記録する。電極(抵抗2〜5MΩ)は、ホウケイ酸ガラス製の毛細管(Sutter Instruments、Novato、Ca)から作製する。記録は室温にて行う。
【0231】
(細胞内ピペット液)
細胞内ピペット液は、Cs−グルタミン酸塩 120mM;CsCl 20mM;CsBAPTA 10mM;CsHEPES 10mM;NaCl 8mM;MgCl 1mM;IP3 0.02mMを含有し、pHはCsOHにより7.4に調整している。実験を行なうまでは、溶液を氷上で保存し、遮光しておく。
【0232】
(細胞外液)
細胞外液は、NaCl 138mM;NaHEPES 10mM;CsCl 10mM;CaCl 10mM;グルコース 5.5mM;KCl 5.4mM;KHPO 0.4mM;NaHPO・HO 0.3mMを含有し、NaOHによりpH=7.4に調整している。
【0233】
(化合物の処理)
各化合物は、10mMのストック溶液からDMSOを用いて希釈列を調製した。最終DMSO濃度は常に0.1%に維持する。
【0234】
(実験手順)
CRAC電流を、−100mVから+100mVまでの電圧のランピングの下、50ミリ秒のプロトコルを使用して2秒毎にモニターする。試験ランピング間の膜電位は0mVに保持する。通常の実験においては、内向き電流のピークは、50〜100秒以内に出現する。ICRAC電流が安定したところで、細胞外液中の試験化合物を細胞に注ぎかける。試験の最後に、保持されているICRAC電流をコントロール化合物(SKF96365、10μM)で試験し、電流の阻害が依然として可能であることを確認する。
【0235】
(データ解析)
MATLABを用いたオフライン解析において、−80mVのランプ電圧での内向き電流の振幅を測定することにより、ICRAC電流レベルを求める。各濃度におけるICRAC電流の阻害は、同一の細胞からの実験当初のピーク振幅を用いて算出する。各化合物のIC50値及びヒル係数は、個々のデータポイント全てを単一のヒル方程式に当てはめることによって推定する。
【0236】
(結果)
本発明の化合物は、約1μM、好ましくは500nM、及びそれ以下の濃度でICRAC電流を阻害すると考えられる。
【0237】
2)ジャーカット細胞
(細胞)
ジャーカットT細胞をカバーガラス上で増殖させ、記録用チャンバーに移し、以下の組成の標準修飾リンゲル液中に保持する:NaCl 145mM、KCl 2.8mM、CsCl 10mM、CaCl 10mM、MgCl 2mM、グルコース 10mM、HEPES・NaOH 10mM、pH7.2。
【0238】
(細胞外液)
細胞外液は、10mMのCaNaR、11.5mMのグルコース、及び種々の濃度の試験化合物を含有する。
【0239】
(細胞内ピペット液)
標準の細胞内ピペット液は、Cs−グルタミン酸塩 145mM、NaCl 8mM、MgCl 1mM、ATP 0.5mM、GTP 0.3mMを含有し、pHはCsOHにより7.2に調整する。この溶液に、10mM Cs−BAPTAと4.3〜5.3mM CaClとの混合物を添加し、[Ca2+]iが100〜150nMの安定レベルとなるように緩衝させる。
【0240】
(パッチクランプ記録)
パッチクランプ試験は、密にシール形成された全細胞構成内において、21〜25℃で行う。コンピュータを用いたパッチクランプアンプシステム(EPC−9、HEKA、ラムブレヒト、ドイツ)により、高分解能の電流記録を得る。Sylgard(登録商標)でコーティングしたパッチピペットに標準細胞内液を充填した後の抵抗値は、通常、2〜4MΩである。全細胞構成の確立後すぐに、50msの長さで−100〜+100mVの範囲にわたるランプ電圧を、300〜400秒間、0.5Hzの周期で、保持電位である0mVから供給する。全ての電圧を、外部溶液と内部溶液との間の液間電位差が10mVになるように較正する。電流を2.3kHzでフィルタリングし、100μs間隔でデジタル化する。容量性電流及び直列抵抗を測定し、EPC−9の自動キャパシタンス補正機能を使用して各電圧ランピングの前に較正する。
【0241】
(データ解析)
CRACの活性化前の一番最初のランピング(通常1〜3)を2kHzでデジタルフィルタリングし、プールし、続く全ての電流記録のリーク減算(leak‐subtraction)に使用する。低分解能での内向き電流の一時的な発生を、−80mV又は任意の電圧での電流振幅を測定することにより、リーク補正した個々のランプ電流記録から抽出する。
本発明の化合物は、ジャーカット細胞においてICRAC電流を阻害すると考えられる。
【0242】
3)プライマリーT細胞
(プライマリーT細胞の調製)
プライマリーT細胞は、ヒト全血サンプルに、2mlの全血に100μLのRosetteSep(登録商標)ヒトT細胞濃縮混合物を添加することによって得られる。この混合物を室温で20分間インキュベートし、次に2%FBSを含む同体積のPBSで希釈する。この混合物をRosetteSep(登録商標)DM−L濃縮培地(density medium)上に積層し、続いて室温にて1200gで20分間遠心分離する。濃縮されたT細胞を、血漿/濃縮培地界面からに回収し、次に2%FBSを含むPBSで2回洗浄し、RBL細胞について記載の手順に従ってパッチクランプ試験に使用した。
本発明の化合物は、ヒトプライマリーT細胞においてICRAC電流を阻害すると考えられる。
【0243】
実施例4:プライマリーヒトPBMC内での複数のサイトカインの阻害
末梢血単核細胞(PBMCs)を、本発明の化合物、又は公知のサイトカイン産生阻害剤であるサイクロスポリンA(CsA)の種々の濃度での存在下、フィトヘマグルチニン(PHA)によって刺激する。市販のヒトELISAアッセイキット(Cell Science,Inc.製)を使用し、製造元の説明書に従って、サイトカイン産生の測定を行う。
本発明の化合物は、IL−2の強力な阻害剤であり、プライマリーヒトPBM細胞内におけるIL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−γ、及びINF−αの強力な阻害剤であると考えられる。さらに、本発明の化合物は、抗炎症性サイトカインであるIL−10は阻害しないと考えられる。
【0244】
実施例5:RBL細胞における脱顆粒の阻害
(手順):
アッセイを実施する前日に、96ウェルプレート中でコンフルエントな状態まで増殖させたRBL細胞を37℃で少なくとも2時間インキュベートする。各ウェルの培地を、2μLg/mlの抗DNP IgEを含む100μLの新鮮な培地に交換する。
【0245】
翌日、細胞をPRS(2.6mMグルコース及び0.1%BSA)で一回洗浄し、160μLのPRSを各ウェルに添加した。試験化合物を所望の濃度の10倍の溶液として20μLずつウェルに添加し、20〜40分間37℃でインキュベートする。20μLの10×マウス抗IgE(10μL/mL)を添加する。SKF96365を陽性対照として用いる。最大の脱顆粒は、通常、抗IgEの添加後15〜40分で発生する。
【0246】
(結果)
本発明の化合物は、RBL細胞の脱顆粒を阻害すると考えられる。
【0247】
実施例6:T細胞における走化性の阻害
(T細胞の単離)
ヘパリン処置した全血(ブタ又はヒト)のアリコット20mlを、Ficoll Hypaqueによる密度勾配遠心分離にかける。末梢血単核細胞(PBMCs)がリンパ球及び単球を含むことを示すバフィーコート層を1回洗浄し、12mLの不完全RPMI1640培地中に再懸濁した後、ゼラチンコートしたT75培養フラスコ中に37℃で1時間静置する。単球が除去された末梢血リンパ球(PBLs)であることを示す非付着細胞を完全RPMI培地中に再懸濁し、活性ナイロンウールを疎に充填した加温培地で平衡化したカラムに載置する。37℃で1時間後、追加培地でカラムを洗浄することで付着しないT細胞集団を溶出する。このT細胞調製物を遠心分離し、5mLの不完全RPMI培地中で再懸濁し、血球計数器を用いて細胞計数を行う。
【0248】
(細胞遊走アッセイ)
各T細胞調製物のアリコットをCalcien AM(TefLabs)で標識し、1.83mMのCaCl及び0.8mMのMgClを含むpH7.4のHEPES緩衝ハンクス平衡塩類溶液(HHBSS)中、2.4×10/mLの濃度で懸濁させる。次に、0、20nM、200nM、若しくは2000nMの試験化合物を含む、又は20nMのEDTAを含むHHBSSを等容量添加し、細胞を37℃で30分間インキュベートする。この細胞懸濁液(60,000細胞)の50μLのアリコットを、HHBSS中の10ng/mLのMIP−1αを含むウェル上に付着させたNeuroprobe ChemoTx 96ウェルケモタキシスユニットの膜上(細孔サイズ5μm)に配置する。T細胞を37℃で2時間移動させ、次に、膜の頂端部の細胞をふき取る。次に、ケモタキシスユニットをCytoFluor 4000(PerSeptive BioSystems)に設置し、各ウェルの蛍光を測定する(励起及び発光波長は、それぞれ450及び530nm)。各ウェルの移動細胞数の測定は、膜を付着させる前にケモタキシスユニットの下部ウェルに配置した標識細胞の一連の倍数希釈液の蛍光を測定することで作成された検量線から求められる。
【0249】
(結果)
本発明の化合物は、ブタT細胞及びヒトT細胞の遊走反応を阻害すると考えられる。
【0250】
本明細書において引用される全ての刊行物、特許出願、特許、及びその他の文書は、その全内容が参照することで本明細書に組み入れられる。矛盾が存在する場合は、定義を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法、及び実施例は例示するだけのものであり、いかなる形であれ本発明を限定することを意図したものではない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I)の化合物:
【化28】

又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグであって、式中:
Lは、−NRC(R)−、−C(R)NR−、−C(O)−、−NR−C(O)−、−C(O)−NR−、−C(S)−、−C(NR)−、−NR−C(S)−、−C(S)−NR−、−NR−C(NR)−、−C(NR)−NR−、−NRC(O)NR−、−NRC(S)NR−、−NRC(NR)NR−、−S(O)NR−、−NRS(O)−、−NRS(O)NR−、−NRC(R)NR−、−CR=CR−、−N=CR−、−CR=N−、−NR−N=CR−、及び−CR=N−NR−からなる群から選択されるリンカーであり;
Yは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
Rはそれぞれ独立して、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
及びRはそれぞれ独立して、置換基であり;
はそれぞれ独立して、−H、ハロ、アルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、又は−C(O)NRであり;
はそれぞれ独立して、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
及びRはそれぞれ独立して、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキル;又はR及びRは、これらに結合する窒素と共に、置換基を有していてもよいヘテロシクリル又は置換基を有していてもよいヘテロアリールであり;
環Aは1〜6個の置換基で任意に置換されていてもよい、但し、環Aは任意に置換された二重結合で置換されておらず、環Aからの炭素原子は二重結合の一部を形成しており;
環Bは、1〜3個の置換基で任意に置換されていてもよい。
【請求項2】
Yが置換基を有していてもよいアリール又は置換基を有していてもよいヘテロアリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいピリジル、置換基を有していてもよいフリル、置換基を有していてもよいチエニル、置換基を有していてもよいピロリル、置換基を有していてもよいオキサゾリル、置換基を有していてもよいイミダゾリル、置換基を有していてもよいインドリジニル、置換基を有していてもよいチアゾリル、置換基を有していてもよいイソオキサゾリル、置換基を有していてもよいピラゾリル、置換基を有していてもよいイソチアゾリル、置換基を有していてもよいピリダジニル、置換基を有していてもよいピリミジニル、置換基を有していてもよいピラジニル、置換基を有していてもよいトリアジニル、置換基を有していてもよいトリアゾリル、置換基を有していてもよいチアジアゾリル、置換基を有していてもよいピラジニル、置換基を有していてもよいキノリニル、置換基を有していてもよいイソキノリニル、置換基を有していてもよいインダゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサゾリル、置換基を有していてもよいベンゾフリル、置換基を有していてもよいベンゾチアゾリル、置換基を有していてもよいインドリジニル、置換基を有していてもよいイミダゾピリジニル、置換基を有していてもよいイソチアゾリル、置換基を有していてもよいテトラゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサゾリル、置換基を有していてもよいベンゾチアゾリル、置換基を有していてもよいベンゾチアジアゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサジアゾリル、置換基を有していてもよいインドリル、置換基を有していてもよいテトラヒドロインドリル、置換基を有していてもよいアザインドリル、置換基を有していてもよいイミダゾピリジル、置換基を有していてもよいキナゾリニル、置換基を有していてもよいプリニル、置換基を有していてもよいピロロ[2,3]ピリミジル、置換基を有していてもよいピリドピリミジル、置換基を有していてもよいピラゾロ[3,4]ピリミジル、又は置換基を有していてもよいベンゾ(b)チエニルからなる群から選択される請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Yが置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいピリジニル、又は置換基を有していてもよい[1,2,3]チアジアゾリルである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Yが:
【化29】

からなる群から選択され、
式中:
12がハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキル、又は低級ハロアルコキシであり;
13がH、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキル、又は低級ハロアルコキシである請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Yが置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Yが低級アルキル、シクロヘキシル、又はシクロペンチルである請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Lが−NR−C(O)−又は−C(O)−NR−である請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Lが−NRC(R)−又は−C(R)NR−である請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
及びRがそれぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ハロアルキル、−C(O)NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)SR、−C(S)NR、−C(S)R、−C(S)OR、−C(S)SR、−C(NR)NR、−C(NR)R、−C(NR)OR、−C(NR)SR、−S(O)、又は−S(O)NRからなる群から選択され、pが1又は2である請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
が置換基を有していてもよいアルキル又は置換基を有していてもよいフェニルであり;
が−C(O)OR、−C(O)NR、又は、−OR若しくは−OC(O)Rで任意に置換されていてもよい低級アルキルである請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が低級アルキルであり;
が−C(O)OH、−C(O)OCH、−CHOH、
【化30】

である請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
環Aが未置換である請求項1〜12に記載の化合物。
【請求項14】
環Aが置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、−OR、−SR、−NR、−C(O)NR、−NRC(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)SR、−SC(O)R、−C(S)NR、−NRC(S)R、−C(S)R、−C(S)OR、−OC(S)R、−C(S)SR、−SC(S)R、−C(NR)NR、−NRC(NR)R、−C(NR)R、−C(NR)OR、−OC(NR)R、−C(NR)SR、−SC(NR)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−SC(O)OR、−SC(O)NR、−SC(O)SR、−NRC(O)SR、−OC(O)SR、−OC(S)OR、−OC(S)NR、−NRC(S)OR、−NRC(S)NR、−SC(S)OR、−SC(S)NR、−SC(S)SR、−NRC(S)SR、−OC(S)SR、−OC(NR)OR、−OC(NR)NR、−NRC(NR)OR、−NRC(NR)NR、−SC(NR)OR、−SC(NR)NR、−SC(NR)SR、−NRC(NR)SR、−OC(NR)SR、−S(O)、−S(O)NR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−S(O)OR、−OS(O)、又は−OS(O)OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR、−OP(S)(OR、及び−P(S)(ORからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換され;pが1又は2である請求項1〜12に記載の化合物。
【請求項15】
環Aがハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルキル、又は低級ハロアルコキシからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換される請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
環Bが未置換である請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
環Bが置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、−OR、−SR、−NR、−C(O)NR、−NRC(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)SR、−SC(O)R、−C(S)NR、−NRC(S)R、−C(S)R、−C(S)OR、−OC(S)R、−C(S)SR、−SC(S)R、−C(NR)NR、−NRC(NR)R、−C(NR)R、−C(NR)OR、−OC(NR)R、−C(NR)SR、−SC(NR)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−SC(O)OR、−SC(O)NR、−SC(O)SR、−NRC(O)SR、−OC(O)SR、−OC(S)OR、−OC(S)NR、−NRC(S)OR、−NRC(S)NR、−SC(S)OR、−SC(S)NR、−SC(S)SR、−NRC(S)SR、−OC(S)SR、−OC(NR)OR、−OC(NR)NR、−NRC(NR)OR、−NRC(NR)NR、−SC(NR)OR、−SC(NR)NR、−SC(NR)SR、−NRC(NR)SR、−OC(NR)SR、−S(O)、−S(O)NR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−S(O)OR、−OS(O)、又は−OS(O)OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR、−OP(S)(OR、及び−P(S)(ORからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換され;pが1又は2である請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
環Bがハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルキル、低級アルキルスルファニル、シアノ、ニトロ、又は低級ハロアルコキシからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換される請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物が:
2−[6−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピオン酸;
2−[6−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピオン酸メチルエステル;
2,6−ジフルオロ−N−[5−(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−2−オキソ−エチリデン)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル]−ベンズアミド;
酢酸2−[6−(2,5−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン]−プロピルエステル;
2,6−ジフルオロ−N−[5−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチリデン)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル]−ベンズアミド;及び
その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを細胞に投与する工程を含む、免疫細胞活性化を阻害する方法。
【請求項21】
前記化合物を対象に投与することによって、前記対象内で免疫細胞活性化を阻害する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象がヒトである請求項20に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを細胞に投与する工程を含む、前記細胞内のサイトカイン産生を阻害する方法。
【請求項24】
前記化合物を対象に投与することによって、前記対象内でサイトカイン産生を阻害する請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記対象がヒトである請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記サイトカインが、IL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、IFN−γ、TNF−α、及びその組み合わせからなる群から選択される請求項23、請求項24、又は請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記サイトカインがIL−2である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを細胞に投与する工程を含む、前記細胞内で免疫細胞活性化に関与するイオンチャネルを調節する方法。
【請求項29】
前記イオンチャネルが対象内であり、前記化合物を前記対象に投与することによって前記イオンチャネルを調節する請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記対象がヒトである請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記イオンチャネルがCa2+遊離活性化Ca2+チャネル(CRAC)である請求項28、請求項29、又は請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを前記細胞に投与する工程を含む、抗原に反応してT細胞及び/又はB細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項33】
前記化合物を対象に投与することによって、T細胞及び/又はB細胞の増殖を前記対象内で阻害する請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記対象がヒトである請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを対象に投与する工程を含む、それを必要とする前記対象内における免疫疾患の治療又は予防方法。
【請求項36】
前記対象がヒトである請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記疾患が、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、自己免疫性ブドウ膜炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、ウェゲネル肉芽腫症などの脈管炎、ベーチェット病、乾癬、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、白斑、クローン病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、1型又は免疫介在性糖尿病、グレーブズ病、橋本甲状腺炎、自己免疫性卵巣炎及び睾丸炎、副腎の自己免疫疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発生筋炎、皮膚筋炎、強直性脊椎炎、及びシェーグレン症候群からなる群から選択される請求項35又は請求項36に記載の方法。
【請求項38】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを対象に投与する工程を含む、それを必要とする前記対象内における炎症状態の治療又は予防方法。
【請求項39】
前記対象がヒトである請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記疾患が、移植拒絶反応、植皮拒絶反応、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、骨吸収の増加を伴う骨疾患;炎症性腸疾患、回腸炎、潰瘍性大腸炎、バレット症候群、クローン病;喘息、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性気道疾患;角膜異栄養症、トラコーマ、オンコセルカ症、ブドウ膜炎、交感性眼炎、眼内炎;歯肉炎、歯根膜炎;結核症;癩病;尿毒症の合併症、糸球体腎炎、ネフローゼ;硬化性皮膚炎、乾癬、湿疹;神経系の慢性脱髄疾患、多発性硬化症、エイズ関連神経変性、アルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ウィルス性又は自己免疫性脳炎;自己免疫疾患、免疫複合体性血管炎、全身性狼瘡及び紅斑性狼瘡;全身性エリテマトーデス(SLE);心筋症、虚血性心疾患、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、子癇前症;慢性肝不全、脳及び脊髄損傷、及び癌から選択される請求項38又は請求項39に記載の方法。
【請求項41】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを対象に投与する工程を含む、それを必要とする前記対象の免疫システムの抑制方法。
【請求項42】
前記対象がヒトである請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを前記細胞に投与する工程を含む、マスト細胞脱顆粒を阻害する方法。
【請求項44】
前記化合物を対象に投与することによって、前記対象内におけるマスト細胞脱顆粒を阻害する請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記対象がヒトである請求項44に記載の方法。
【請求項46】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを対象に投与する工程を含む、それを必要とする前記対象内におけるアレルギー疾患の治療又は予防方法。
【請求項47】
前記対象がヒトである請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記疾患が、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、慢性中耳炎、再発性中耳炎、薬物反応、虫刺反応、ラテックス反応、結膜炎、蕁麻疹、アナフィラキシー反応、アナフィラキシー様反応、アトピー性皮膚炎、喘息、又は食物アレルギーである請求項46又は請求項47に記載の方法。
【請求項49】
薬学的に許容される担体、及び請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項50】
1つ以上の追加の治療薬をさらに含む請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記追加の治療薬が、免疫抑制剤、抗炎症剤、及びその適切な混合物からなる群から選択される請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記追加の治療薬が、ステロイド、非ステロイド系抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、及びその適切な混合物からなる群から選択される請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項53】
構造式(II)の化合物:
【化31】

又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグであって、式中:
Yは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
はリンカーであり;
は置換基を有していてもよいアリール又は置換基を有していてもよいヘテロアリールであり;
10は、H、ハロ、シアノ、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
はそれぞれ独立して、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
及びRはそれぞれ独立して、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキル;又はR及びRは、これらに結合する窒素と共に、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、又は置換基を有していてもよいヘテロアリールであり;
環Cは1〜6個の置換基で任意に置換されていてもよく;
環Dは1〜3個の置換基で任意に置換されていてもよく、
但し、−L−Yは共に、−OCH
【化32】

ではない。
【請求項54】
が−NRC(R)−、−C(R)NR−、−C(O)−、−NR−C(O)−、−C(O)−NR−、−C(S)−、−C(NR)−、−NR−C(S)−、−C(S)−NR−、−NR−C(NR)−、−C(NR)−NR−、−NRC(O)NR−、−NRC(S)NR−、−NRC(NR)NR−、−S(O)NR−、−NRS(O)−、−NRS(O)NR−、−NRC(R)NR−、−CR=CR−、−N=CR−、−CR=N−、−NR−N=CR−、及び−CR=N−NR−からなる群から選択されるリンカーであり;
式中、
Rはそれぞれ独立して、H、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキルであり;
はそれぞれ独立して、−H、ハロ、アルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、又は−C(O)NRである請求項53に記載の化合物。
【請求項55】
Yが置換基を有していてもよいアリール又は置換基を有していてもよいヘテロアリールである請求項53又は請求項54に記載の化合物。
【請求項56】
Yが置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいピリジル、置換基を有していてもよいフリル、置換基を有していてもよいチエニル、置換基を有していてもよいピロリル、置換基を有していてもよいオキサゾリル、置換基を有していてもよいイミダゾリル、置換基を有していてもよいインドリジニル、置換基を有していてもよいチアゾリル、置換基を有していてもよいイソオキサゾリル、置換基を有していてもよいピラゾリル、置換基を有していてもよいイソチアゾリル、置換基を有していてもよいピリダジニル、置換基を有していてもよいピリミジニル、置換基を有していてもよいピラジニル、置換基を有していてもよいトリアジニル、置換基を有していてもよいトリアゾリル、置換基を有していてもよいチアジアゾリル、置換基を有していてもよいピラジニル、置換基を有していてもよいキノリニル、置換基を有していてもよいイソキノリニル、置換基を有していてもよいインダゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサゾリル、置換基を有していてもよいベンゾフリル、置換基を有していてもよいベンゾチアゾリル、置換基を有していてもよいインドリジニル、置換基を有していてもよいイミダゾピリジニル、置換基を有していてもよいイソチアゾリル、置換基を有していてもよいテトラゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサゾリル、置換基を有していてもよいベンゾチアゾリル、置換基を有していてもよいベンゾチアジアゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサジアゾリル、置換基を有していてもよいインドリル、置換基を有していてもよいテトラヒドロインドリル、置換基を有していてもよいアザインドリル、置換基を有していてもよいイミダゾピリジル、置換基を有していてもよいキナゾリニル、置換基を有していてもよいプリニル、置換基を有していてもよいピロロ[2,3]ピリミジル、置換基を有していてもよいピリドピリミジル、置換基を有していてもよいピラゾロ[3,4]ピリミジル、又は置換基を有していてもよいベンゾ(b)チエニルからなる群から選択される請求項55に記載の化合物。
【請求項57】
Yが置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいピリジニル、又は置換基を有していてもよい[1,2,3]チアジアゾリルである請求項56に記載の化合物。
【請求項58】
Yが:
【化33】

からなる群から選択され、
式中:
12がハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキル、又は低級ハロアルコキシであり;
13がH、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキル、又は低級ハロアルコキシである請求項57に記載の化合物。
【請求項59】
Yが置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、又は置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキルである請求項53又は請求項54に記載の化合物。
【請求項60】
Yが低級アルキル、シクロヘキシル、又はシクロペンチルである請求項59に記載の化合物。
【請求項61】
が−NR−C(O)−又は−C(O)−NR−である請求項53〜60のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項62】
が−NRC(R)−又は−C(R)NR−である請求項53〜60のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項63】
が置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいピリジル、置換基を有していてもよいフリル、置換基を有していてもよいチエニル、置換基を有していてもよいピロリル、置換基を有していてもよいオキサゾリル、置換基を有していてもよいイミダゾリル、置換基を有していてもよいインドリジニル、置換基を有していてもよいチアゾリル、置換基を有していてもよいイソオキサゾリル、置換基を有していてもよいピラゾリル、置換基を有していてもよいイソチアゾリル、置換基を有していてもよいピリダジニル、置換基を有していてもよいピリミジニル、置換基を有していてもよいピラジニル、置換基を有していてもよいトリアジニル、置換基を有していてもよいトリアゾリル、置換基を有していてもよいチアジアゾリル、置換基を有していてもよいピラジニル、置換基を有していてもよいキノリニル、置換基を有していてもよいイソキノリニル、置換基を有していてもよいインダゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサゾリル、置換基を有していてもよいベンゾフリル、置換基を有していてもよいベンゾチアゾリル、置換基を有していてもよいインドリジニル、置換基を有していてもよいイミダゾピリジニル、置換基を有していてもよいイソチアゾリル、置換基を有していてもよいテトラゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサゾリル、置換基を有していてもよいベンゾチアゾリル、置換基を有していてもよいベンゾチアジアゾリル、置換基を有していてもよいベンゾオキサジアゾリル、置換基を有していてもよいインドリル、置換基を有していてもよいテトラヒドロインドリル、置換基を有していてもよいアザインドリル、置換基を有していてもよいイミダゾピリジル、置換基を有していてもよいキナゾリニル、置換基を有していてもよいプリニル、置換基を有していてもよいピロロ[2,3]ピリミジル、置換基を有していてもよいピリドピリミジル、置換基を有していてもよいピラゾロ[3,4]ピリミジル、又は置換基を有していてもよいベンゾ(b)チエニルからなる群から選択される請求項53〜62のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項64】
が置換基を有していてもよいフェニルである請求項63に記載の化合物。
【請求項65】
が未置換である請求項64に記載の化合物。
【請求項66】
が置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−OR、−SR、−NR、−C(O)NR、−NRC(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)SR、−SC(O)R、−C(S)NR、−NRC(S)R、−C(S)R、−C(S)OR、−OC(S)R、−C(S)SR、−SC(S)R、−C(NR)NR、−NRC(NR)R、−C(NR)R、−C(NR)OR、−OC(NR)R、−C(NR)SR、−SC(NR)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−SC(O)OR、−SC(O)NR、−SC(O)SR、−NRC(O)SR、−OC(O)SR、−OC(S)OR、−OC(S)NR、−NRC(S)OR、−NRC(S)NR、−SC(S)OR、−SC(S)NR、−SC(S)SR、−NRC(S)SR、−OC(S)SR、−OC(NR)OR、−OC(NR)NR、−NRC(NR)OR、−NRC(NR)NR、−SC(NR)OR、−SC(NR)NR、−SC(NR)SR、−NRC(NR)SR、−OC(NR)SR、−S(O)、−S(O)NR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−S(O)OR、−OS(O)、又は−OS(O)OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR、−OP(S)(OR、及び−P(S)(ORからなる群から選択された1〜5個の置換基で置換され;pが1又は2である請求項64に記載の化合物。
【請求項67】
が−NH又は−NHC(O)CHである請求項66に記載の化合物。
【請求項68】
10がHである請求項53〜67のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項69】
10が低級アルキルである請求項53〜67のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項70】
環Cが未置換である請求項53〜69に記載の化合物。
【請求項71】
環Cが置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、−OR、−SR、−NR、−C(O)NR、−NRC(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)SR、−SC(O)R、−C(S)NR、−NRC(S)R、−C(S)R、−C(S)OR、−OC(S)R、−C(S)SR、−SC(S)R、−C(NR)NR、−NRC(NR)R、−C(NR)R、−C(NR)OR、−OC(NR)R、−C(NR)SR、−SC(NR)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−SC(O)OR、−SC(O)NR、−SC(O)SR、−NRC(O)SR、−OC(O)SR、−OC(S)OR、−OC(S)NR、−NRC(S)OR、−NRC(S)NR、−SC(S)OR、−SC(S)NR、−SC(S)SR、−NRC(S)SR、−OC(S)SR、−OC(NR)OR、−OC(NR)NR、−NRC(NR)OR、−NRC(NR)NR、−SC(NR)OR、−SC(NR)NR、−SC(NR)SR、−NRC(NR)SR、−OC(NR)SR、−S(O)、−S(O)NR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−S(O)OR、−OS(O)、又は−OS(O)OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR、−OP(S)(OR、及び−P(S)(ORからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換され;pが1又は2である請求項53〜69に記載の化合物。
【請求項72】
環Cがハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルキル、又は低級ハロアルコキシからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換される請求項71に記載の化合物。
【請求項73】
環Dが未置換である請求項53〜72のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項74】
環Dが置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいヘテロシクリル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよいアラルキル、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、−OR、−SR、−NR、−C(O)NR、−NRC(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)SR、−SC(O)R、−C(S)NR、−NRC(S)R、−C(S)R、−C(S)OR、−OC(S)R、−C(S)SR、−SC(S)R、−C(NR)NR、−NRC(NR)R、−C(NR)R、−C(NR)OR、−OC(NR)R、−C(NR)SR、−SC(NR)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−SC(O)OR、−SC(O)NR、−SC(O)SR、−NRC(O)SR、−OC(O)SR、−OC(S)OR、−OC(S)NR、−NRC(S)OR、−NRC(S)NR、−SC(S)OR、−SC(S)NR、−SC(S)SR、−NRC(S)SR、−OC(S)SR、−OC(NR)OR、−OC(NR)NR、−NRC(NR)OR、−NRC(NR)NR、−SC(NR)OR、−SC(NR)NR、−SC(NR)SR、−NRC(NR)SR、−OC(NR)SR、−S(O)、−S(O)NR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−S(O)OR、−OS(O)、又は−OS(O)OR、−OP(O)(OR、−P(O)(OR、−OP(S)(OR、及び−P(S)(ORからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換され;pが1又は2である請求項53〜72のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項75】
環Dがハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルキル、低級アルキルスルファニル、シアノ、ニトロ、又は低級ハロアルコキシからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で置換される請求項74に記載の化合物。
【請求項76】
前記化合物が:
2,6−ジフルオロ−N−(5−フェニル−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル)−ベンズアミド;
2,6−ジフルオロ−N−(5−フェニル−6−メチル−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル)−ベンズアミド;
2,6−ジフルオロ−N−[5−(4−アミノ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル]−ベンズアミド;
2,6−ジフルオロ−N−[5−(4−アセチルアミノ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ペンゾシクロヘプテン−2−イル]−ベンズアミド;及び
その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグからなる群から選択される請求項53に記載の化合物。
【請求項77】
請求項53〜76のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを細胞に投与する工程を含む、免疫細胞活性化を阻害する方法。
【請求項78】
前記化合物を対象に投与することによって、前記対象内で免疫細胞活性化を阻害する請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記対象がヒトである請求項78に記載の方法。
【請求項80】
請求項53〜76のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを細胞に投与する工程を含む、前記細胞内のサイトカイン産生を阻害する方法。
【請求項81】
前記化合物を対象に投与することによって、前記対象内でサイトカイン産生を阻害する請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記対象がヒトである請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記サイトカインが、IL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、IFN−γ、TNF−α、及びその組み合わせからなる群から選択される請求項80、請求項81、又は請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記サイトカインがIL−2である請求項83に記載の方法。
【請求項85】
請求項53〜76のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを細胞に投与する工程を含む、前記細胞内で免疫細胞活性化に関与するイオンチャネルを調節する方法。
【請求項86】
前記イオンチャネルが対象内であり、前記化合物を前記対象に投与することによって前記イオンチャネルを調節する請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記対象がヒトである請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記イオンチャネルがCa2+遊離活性化Ca2+チャネル(CRAC)である請求項85、請求項86、又は請求項87に記載の方法。
【請求項89】
請求項53〜76のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを前記細胞に投与する工程を含む、抗原に反応してT細胞及び/又はB細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項90】
前記化合物を対象に投与することによって、T細胞及び/又はB細胞の増殖を前記対象内で阻害する請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記対象がヒトである請求項90に記載の方法。
【請求項92】
請求項53〜76のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを対象に投与する工程を含む、それを必要とする前記対象内における免疫疾患の治療又は予防方法。
【請求項93】
前記対象がヒトである請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記疾患が、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、自己免疫性ブドウ膜炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、ウェゲネル肉芽腫症などの脈管炎、ベーチェット病、乾癬、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、白斑、クローン病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、1型又は免疫介在性糖尿病、グレーブズ病、橋本甲状腺炎、自己免疫性卵巣炎及び睾丸炎、副腎の自己免疫疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発生筋炎、皮膚筋炎、強直性脊椎炎、及びシェーグレン症候群からなる群から選択される請求項92又は請求項93に記載の方法。
【請求項95】
請求項53〜76のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを対象に投与する工程を含む、それを必要とする前記対象内における炎症状態の治療又は予防方法。
【請求項96】
前記対象がヒトである請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記疾患が、移植拒絶反応、植皮拒絶反応、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、骨吸収の増加を伴う骨疾患;炎症性腸疾患、回腸炎、潰瘍性大腸炎、バレット症候群、クローン病;喘息、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性気道疾患;角膜異栄養症、トラコーマ、オンコセルカ症、ブドウ膜炎、交感性眼炎、眼内炎;歯肉炎、歯根膜炎;結核症;癩病;尿毒症の合併症、糸球体腎炎、ネフローゼ;硬化性皮膚炎、乾癬、湿疹;神経系の慢性脱髄疾患、多発性硬化症、エイズ関連神経変性、アルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ウィルス性又は自己免疫性脳炎;自己免疫疾患、免疫複合体性血管炎、全身性狼瘡及び紅斑性狼瘡;全身性エリテマトーデス(SLE);心筋症、虚血性心疾患、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、子癇前症;慢性肝不全、脳及び脊髄損傷、及び癌から選択される請求項95又は請求項96に記載の方法。
【請求項98】
請求項53〜76のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを対象に投与する工程を含む、それを必要とする前記対象の免疫システムの抑制方法。
【請求項99】
前記対象がヒトである請求項98に記載の方法。
【請求項100】
請求項53〜76のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを前記細胞に投与する工程を含む、マスト細胞脱顆粒を阻害する方法。
【請求項101】
前記化合物を対象に投与することによって、前記対象内におけるマスト細胞脱顆粒を阻害する請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記対象がヒトである請求項101に記載の方法。
【請求項103】
請求項53〜76のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを対象に投与する工程を含む、それを必要とする前記対象内におけるアレルギー疾患の治療又は予防方法。
【請求項104】
前記対象がヒトである請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記疾患が、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、慢性中耳炎、再発性中耳炎、薬物反応、虫刺反応、ラテックス反応、結膜炎、蕁麻疹、アナフィラキシー反応、アナフィラキシー様反応、アトピー性皮膚炎、喘息、又は食物アレルギーである請求項103又は請求項104に記載の方法。
【請求項106】
薬学的に許容される担体、及び請求項53〜76のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項107】
1つ以上の追加の治療薬をさらに含む請求項106に記載の医薬組成物。
【請求項108】
前記追加の治療薬が、免疫抑制剤、抗炎症剤、及びその適切な混合物からなる群から選択される請求項107に記載の医薬組成物。
【請求項109】
前記追加の治療薬が、ステロイド、非ステロイド系抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、及びその適切な混合物からなる群から選択される請求項108に記載の医薬組成物。


【公表番号】特表2010−519206(P2010−519206A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549637(P2009−549637)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/002077
【国際公開番号】WO2008/103310
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(504151848)シンタ ファーマシューティカルズ コーポレーション (72)
【Fターム(参考)】