説明

無機化合物を含む廃棄物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置及び耐熱性組成物

【課題】この発明は、アスベストなどの有害廃棄物の処理により、有用な耐熱性組成物を作ることを目的としたものである。
【解決手段】この発明は、ポリ塩化アルミニウム及び有機物、又はほう素化合物、りん酸水素アンモニウム、ナトリウム化合物及び有機物を含有する水溶液を含浸させた針状無機化合物を含む廃棄物を焼成する炉床を移動可能の架台上に設置し、前記炉床の上方にバーナーを備えた焼成装置を昇降可能に対向設置して焼成炉を構成し、該焼成炉に排気処理機能を有する排気装置を付設すると共に、前記廃棄物の供給装置を付設したことを特徴とする無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置により、目的を達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、合成ゾノライト、ガラス繊維等の針状無機化合物を含む廃棄物を焼成処理し、有用な耐熱性組成物を製造する製造装置及び耐熱性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近来針状無機化合物の無害化処理が重視され、色々な方法が提案され、一部実施されている。特にアスベスト廃棄物は早急に対処しなければ後世に禍根を残すことになると言われており、我が国においても、年間100万トンの廃棄処理量が予測されている。
【0003】
現在知られている処理技術としては、1500℃以上の高温でプラズマ溶融スラグ化技術、ハロゲン化合物を使用した700℃での無害化技術などがあるが、前記は膨大なエネルギーを必要とするか、従前の有害物反応を単に転用しているに過ぎず、何れも処理による有用物の再生はなかった。前記各処理を行わないアスベスト廃棄物は、厳封して埋設するしか有効な処理方法が知られていなかった。
【0004】
本願発明の発明者は、先にアスベスト廃棄物の処理の際の各種問題点(例えば飛散性が大きい)を解決する為の水溶液を開発した(特許文献1)。前記アスベスト廃棄物を前記水溶液に含浸させて飛散を防止すると共に、前記水溶液を含浸させたアスベスト廃棄物を400℃〜1000℃で加熱することにより、耐熱性、難燃性、導電性等に優れた有用な組成物を製造することに成功したのである。
【特許文献1】特開2007−160235
【特許文献2】特許第4081775号公報
【特許文献3】特許第4081776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来アスベスト廃棄物の処理は、1500℃以上の高温炉で溶融処理しているが(特許文献2,3)、斯かる高温炉により加熱溶融するには膨大なエネルギーを必要とするのみならず、これにより生じた溶融スラグについて特別の用途はなかった。従ってエネルギーが膨大になるのみならず、生成物の価値がきわめて低い問題点があった。
【0006】
またアスベスト廃棄物は、微小粒子が飛散し、危害を及ぼすおそれがあるので、作業上特別の配慮を必要とする問題点もあった。
【0007】
更に高温炉の為に頻繁なメンテナンスを必要とするのみならず、溶融炉の耐用年限も短いなど、高温炉自体にも幾多の問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、無機化合物を含む廃棄物等(以下「アスベスト廃棄物」という)を炭素アルミニウム複合化合物に含浸させ、又はアスベスト廃棄物に炭素アルミニウム複合化合物を被覆し、これを加熱炉で400℃〜1000℃に加熱することにより、耐熱性組成物としたので、前記従来の問題点中特に有用物に再生できる点を改善したのである。
【0009】
従来の溶融炉においては、溶融液となり、冷却すれば全体が硝子質の大塊となるにすぎなかったが、本願発明は、炉床が外気に開放されると共に、加熱温度も400℃〜1000℃であるから、加熱処理物は冷却して取扱い容易の粒状にすることができる。また従来高温の溶融炉の為に取扱いが困難であったアスベスト廃棄物の取扱いがきわめて容易になると共に、アスベスト廃棄物の処理により有用な耐熱性組成物を円滑容易に製産することができるようになり、前記従来の問題点を悉く改善したのである。
【0010】
又炉床を設置した架台を移動可能とすることによって、加熱装置により適温加熱ができる合理的耐熱組成物の製造装置を得たのである。
【0011】
即ちこの発明は、処理水溶液を含有させた無機化合物を含む廃棄物を焼成する炉床を移動可能の架台に設置し、前記炉床の上方にバーナーを備えた焼成装置を所定間隔を保ち対向設置して焼成炉を構成し、前記焼成装置には、燃料の供給装置と、排気処理機能を有する排気装置を付設すると共に、前記燃焼炉の外側上部へ廃棄物の供給装置を設けたことを特徴とする無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置であり、ポリ塩化アルミニウム及び有機物、又はほう素化合物、りん酸水素アンモニウム、ナトリウム化合物及び有機物を含有する水溶液を含浸させた針状無機化合物を含む廃棄物を焼成する炉床を移動可能の架台上に設置し、前記炉床の上方にバーナーを備えた焼成装置を昇降可能に対向設置して焼成炉を構成し、該焼成炉に排気処理機能を有する排気装置を付設すると共に、前記廃棄物の供給装置を付設したことを特徴とする無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置である。
【0012】
又他の発明は、焼成炉は複数台並列設置し、夫々の焼成炉に対応して排気装置を付設したものであり、焼成炉は、平面視矩形状であって、炉床の架台はその長手方向へ往復移動可能としたものである。
【0013】
次に他の発明は、無機化合物を含む廃棄物を焼成する炉床を水平方向へ移動する環状のコンベア状に設置し、前記炉床の上方へ焼成装置を昇降可能に設置し、前記焼成装置に排気装置を付設して焼成炉を構成したことを特徴とする無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置である。
【0014】
又他の発明は、ターンテーブルの周辺上部へ請求項1記載の炉床を等間隔で設置し、前記炉床の通過軌跡の上部へ、少なくとも1つの炉床の廃棄物を加熱できる焼成装置を昇降可能に設置すると共に、前記焼成装置には、加熱時に生じる排気の処理装置を連設して焼成炉を構成したことを特徴とする無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置である。
【0015】
更に他の発明は、処理水溶液を含有させた無機化合物を含む廃棄物を焼成する炉床を水平方向へ移動する環状のコンベア状に設置し、前記炉床の上方へ焼成装置を昇降可能に設置し、前記焼成装置に排気装置を付設し、前記コンベアは、前進後退可能に構成し、前記焼成装置の一側上部に、前記無機化合物を含む廃棄物の供給装置を設置したことを特徴とする無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置であり、排気装置は、吸引ダクト、冷却塔、減温室、集塵機及び集塵用ファンとしたものである。
【0016】
次に組成物の発明は、請求項1,2,5,6又は7記載の装置を用いて製造したことを特徴とする耐熱性組成物である。
【0017】
この発明において使用するポリ塩化アルミニウム及び有機物を含有する水溶液について説明すれば、次のとおりである。
【0018】
前記ポリ塩化アルミニウムとは、[AI(OH)Cl6−n(1<n<5)で表される物質で、OHが架橋したアルミニウムの多核錯体を水成分とするものの水溶液をいう。この製造方法に限定はないが、例えば水酸化アルミニウムを塩酸に溶解させ、加圧下又は要すれば溶解助剤を加え、これに重合促進剤として硫酸基を添加して反応させたものが好ましい。溶解助剤や重合促進剤はこの水溶液の効果を損なわない限り、特に限定はない。前記式中、mは10以下が好ましい。
【0019】
前記有機物としては、炭素アルミニウム複合化合物の炭素源として必須である「有機物」は特に限定はないが、常温で液体の有機物又は水溶性有機物がポリ塩化アルミニウムを含有する水系分散液に分散又は溶解し易い点が好ましい。前記有機物として樹脂があるが、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂がある。
【0020】
又水溶性有機物でない、炭素粒子、粘土鉱物質粒子、ほう砂及び木質粒子からなる群より、選ばれた1種以上の粒子又はアスベスト等の無機化合物粒子存在下に水溶液中に、溶解又は分散する。
【0021】
次に炭素粒子としては、例えば木炭、竹炭等が挙げられ、木屑、カンナ屑等の木質粒子、廃紙、段ボール、シュレッダー紙等の紙類、オカラ残渣、トウモロコシ、麦、稲等の残渣、籾殻、蕎麦殻等の穀類殻等が挙げられる。また粘土鉱物粒子としては、珪藻土、ジルコンフラワー、ベントナイト、陶土等が好ましい。
【0022】
この発明に使用する炉床は、400℃〜1000℃に耐え得る耐火煉瓦その他の耐火物が用いられる。前記炉床の材料について、特別の限定はないが、400℃〜1000℃に加熱し、ついで冷却する操作を繰り返すので、従来公知の炉床材中、前記加熱冷却に耐え得るものが好ましい。特に上限は1000℃であるが、1500℃にも耐え得る材質が好ましい。
【0023】
この発明における加熱は、ガスバーナー(都市ガスを含む各種気体燃料使用)を主とするが、オイルバーナーを使用することができる。また水溶液に含まれた有機物が、加熱によって生じる分解ガスのみが酸素と結合して完全燃焼するので、その燃焼による温度が400℃〜1000℃になることが好ましい。例えば加熱装置を昇降調節し、又はガスバーナーなどの燃料供給量を制御して温度制御する。前記温度制御により耐熱性組成物の生成される加熱時間が異なるので、温度は正しく把握する必要がある。例えば、400℃の加熱の場合は60分間加熱処理し、1000℃の場合は10分間加熱処理することにより、目的を達成する。
【0024】
この発明の炉床の架台は移動可能であるから、ガスバーナー直下の品温が他部分より上昇した場合には、前記架台を若干移動して均等加熱処理とすることができる。
【0025】
この発明における加熱処理温度は、400℃〜1000℃であるが、600℃〜1000℃が好ましく、800℃〜1000℃が最も好ましい。但し加熱可能範囲としては、400℃〜2000℃であるが、1000℃〜2000℃ともなれば、炉床の材質も限定しなければならないし、繰り返し使用による炉床の損傷もはげしく、炉床の修理交換も必要となるので、連続使用1年間以上の耐久炉床として、加熱温度を400℃〜1000℃とした。然し乍ら実施温度としては効率上800℃〜1000℃を用いる。
【0026】
この発明における架台は、炉床の重量に耐え得る強度を有する枠体の左右(図1)端の下部に車輪を取り付け(前後夫々設け、少なくとも合計4個の車輪)、該車輪を床上に敷設したレール上へ架設する。従って炉床及び架台は平面視矩形が好ましい。また炉床をコンベア状に設置したり、ターンテーブル上に設置する場合にも前記強度を要することは当然である。
【0027】
前記加熱装置は、所定間隔をおいて前後に2つの装置を並列し、該装置の間に排気装置及びその冷却装置が設けてある。
【0028】
この発明の製造装置は、1台でも勿論よいが、2台の方がより効率的に用いることが出来る。前記架台型炉床について述べたが、環状コンベア状の炉床を設置した場合も2台並列型であることを妨げない。前記の場合には、コンベアは焼成との連続性を可能にし、その長さが長くなる。また炉床の前進と後退はコンベアの進行方向を可逆運転すれば、容易に実現できる。
【0029】
又炉床をターンテーブルの周縁上に等間隔に配置し、前記炉床を加熱する焼成装置を、前記炉床の通過位置の上方へ設置すれば、事実上連続焼成することができる。即ち焼成装置下の炉床上の廃棄物は常時焼成され、焼成装置外に位置する炉床へは廃棄物を積み込み、又は焼成物を取り出すことになるからである。
【0030】
前記発明において、コンベア状に炉床を設けた場合には、コンベアの速度を調整し、焼成装置の下方を通過する時間が焼成時間と合致できるようにすれば、炉床上の廃棄物は移動しつつ焼成されるので連続加工とすることができる。
【0031】
この発明においては、炉床と焼成装置との間に空間が介在するので、廃棄物中の可燃物は自動的に空中の酸素を採って燃焼し、酸素不足を生じるおそれはない。
【0032】
この発明における処理すべき無機物の供給は、材料タンクから自動的かつ定量宛供給することが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
この発明によれば、炉床の上部に焼成装置を昇降可能に架設したので、昇降により温度調節し、適温で適時間焼成できる効果がある。又炉床を移動することができるので、焼成と取り出しを別場所で行うことができる効果がある。
【0034】
この発明において、炉床をコンベア状に設置した場合には、架台の運転と異なり、コンベアの移動により炉床の移動、停止、逆行などを全自動かつ正確に行い得る効果がある。更に炉床と焼成装置との間に空間を介在させたので、有機物の燃焼に必要な酸素を自給できる効果がある。
【0035】
又炉床をターンテーブル上へ設置すれば、廃棄物の処理と取り出しとをターンテーブル中心に集中させ、合理化処理ができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
この発明は、ポリ塩化アルミニウム及び有機物を含有する水溶液を含浸させた針状無機化合物を含む廃棄物を焼成する炉床を架台上に設置し、前記架台はレール上へ架設して移動可能とし、前記炉床の上方にバーナーを備えた焼成装置を昇降可能に対向設置して、焼成炉を構成し、該焼成炉に排気処理機能を有する排気装置を付設すると共に、前記無機化合物の供給装置を付設する。
【0037】
前記は2台の焼成装置を所定間隔をおいて並列設置してあり、各焼成装置の延長線上に取り出し、スペースが設けられている。また取り出しスペースと、焼成装置との間に廃棄物の供給装置が設けてあって、炉床の移動に合わせて廃棄物を供給し、全炉床上へ均等量の廃棄物を載せるようにしてある。
【0038】
前記焼成装置の機枠には油圧シリンダーが縦設され、前記油圧シリンダーのロッドが機枠に固定されており、ロッドの昇降により焼成装置が昇降する。前記焼成装置の昇降は油圧シリンダーとロッドに限定されるものではなく、その構造に制約なく、公知の装置を使用して昇降させることができる。
【実施例1】
【0039】
この発明の実施例を図1,2,3について説明すると、平面視矩形状の炉床1を架台2上に設置し、前記架台2の左右両端部(図1)の下部に車輪3,3を取り付け(2対設ける)、前記車輪3,3をレール4上へ架設する。前記炉床1の上方に、所定間隔でバーナー装置6,6を設置した焼成装置5をワイヤー7,7で吊下し、該ワイヤー7,7は案内具8,8を介して油圧シリンダー9のロッド11に連結して、矢示71のように昇降可能とし、この発明の製造装置10を構成した。前記架台2は矢示36,37のようにレール4上を移動することができる。
【0040】
前記製造装置10を2つ、所定間隔Lを保って並列設置し(図2)、前記製造装置10とその冷却スペース18の間へ排気管12、冷却塔13及び減温塔14を夫々設置しており、前記冷却塔13は排気管15aにより減温塔14と連結し、前記減温塔14は排気管15を介して集塵機16と連結し、集塵機16は排気管15bを介して集塵用ファン17を連結してある。また焼成装置5と、冷却位置18,18との間に廃棄物の供給塔19を設け、計量器20を経て炉床1上へ前記廃棄物を供給する。前記集塵機16は多層の濾過層を経て集塵用ファン17を介し、煙突21に連結される。前記濾過層で分離した塵芥はヒーター22により焼却され、焼却灰は排出口23を経て外界へ放出される。前記炉床の一側には製品の取り出し口24が設けてあり、取り出し口24は移送パイプ25を介して製品タンク26と連結されている(図7)。前記における排気は、矢示76のように冷却塔13へ入り、矢示77,78,79,80,81のように減温塔14、集塵機16,集塵用ファン17を経て煙突21から排出される。また製品は移送パイプ25を経て矢示82のように製品タンクへ留る。
【0041】
前記実施例について、その使用状態を説明する。図6において、廃アスベストをスクリューコンベア41から矢示83のように処理槽27に投入する。そこで油圧ポンプ84から送油パイプを介し、矢示85,86のように送油し、プッシャー28を進退させる。ついでプッシャー28で粉砕機29に押し込み、粉砕して貯槽30に落下させる。この場合にアスベストは1cm以下に粉砕してあるので、水溶液に対し、浮遊状態にある。そこで撹拌器31で撹拌し、前記アスベスト細片と、水溶液とは均等に混合させてある。前記において貯槽30へはパイプ42を介して矢示34のように水溶液を送入しているので、この水溶液とアスベストとを混合する。
【0042】
次に前記混合水溶液を破砕ポンプ32により、パイプ33を介して矢示73のように供給塔19に送り、計量器20を経て炉床1上に適量宛供給する(図5)。この供給量が多い時には供給塔から矢示74のようにパイプ75から戻ることになっている。前記炉床1と架台2aよりなる燃焼用台車2,2を待機位置から燃焼位置に戻すと共に、焼成装置5のバーナーに点火し、炉床1に近接してアスベストを燃焼させる。例えば800℃で燃焼させると、水溶液中の有機物も燃焼する。この場合に炉床1と焼成装置5とは間隔があけてあるので、有機物から生じた可燃気体の燃焼に必要な空気(酸素)は自由、かつ適量自動的に供給される。従って酸素不足により不完全燃焼を生じるおそれはない。前記における燃焼温度はバーナーの燃料供給量と、焼成装置5と炉床1との間隔によって調節することができる。
【0043】
前記燃焼を20分継続したならば、燃焼用台車2を待機位置に移動させて、炉床上の焼成物を冷却する。一方燃焼により生じた排気は、排気管12によって集められ、冷却塔13、減温塔14及び排気ダクト15並びに集塵機16を経て煙突から外界へ放出される。
【0044】
実施例1の図5において、待機位置(冷却位置)における動作を説明する。待機位置においては、吸引ヘッド56,56からパイプ57により排気を吸入し、矢示58,58のように移送し、パイプ15と連結して冷却塔13に到り、以下図7によって処理される。また焼成処理して得た耐熱性組成物は、図5中取り出し口24から移送パイプ25を経て製品タンク26へ収容される。
【0045】
又廃棄物は、供給塔19から分岐管59及び59aとパイプ60を経て矢示61,62のように並列した2つの炉床1,1a上へ供給される。図中63,63は廃棄物投入口の開閉蓋、64は排気吸入口の開閉蓋である。
【0046】
次に図7において冷却水ポンプ65から給水パイプ66を介し、矢示67のように減温塔14へ冷却水を散水し、減温する。図中68はコンプレッサー、69は活性炭ホッパー、70は消石灰ホッパー、71は集塵ファンである。
【実施例2】
【0047】
この発明の他の実施例を図8について説明する。前記実施例1は、アスベスト廃棄物を間欠的に加熱、冷却する方式であり、一定時間(例えば20分〜60分)毎に焼成する方式である。実施例2は、連続的に焼成し、冷却する連続焼成方式である。
【0048】
即ち実施例2の製造装置を図8について説明すると、焼成装置35の下方と、冷却位置36に炉床1を移動させる為のコンベア38を環状に敷設する。前記コンベア38上へ炉床片39,39を密に取り付ける。この場合に、コンベア38が水平方向へ移動する場合には、各炉床片39,39は相互に密接して、一連の炉床を形成するが(図8(a))、前記コンベア38がスプロケットに沿って湾曲する場合には、炉床1は各炉床片39,39に分かれ、スプロケット部におけるコンベアの湾曲移動にも何等の不都合はないような形状構造にしてある。図8に示すように各炉床片39,39は段部を有して相互に重なり、水平移動に際しては水平かつ液密に一体的炉床40を形成しているので、アスベストを含む水溶液は漏洩することなく、炉床上に溜まって加熱燃焼される。そこで前記実施例1と同様に、例えば800℃で20分間焼成され、耐熱性組成物となる。
【0049】
実施例2においては、焼成装置35の長さ宛に連続焼成することができる。この場合には、冷却時にも焼成できるので、連続焼成とほぼ同一である。
【0050】
次に、焼成装置35を通過するのに、20分かかる速度で焼成すれば、連続的に移動しつつ、連続的に焼成と冷却ができるので、アスベスト廃棄物を連続焼成し、結果的に耐火物を連続製産することができる。
【実施例3】
【0051】
この発明の他の実施例を図9(a)、(b)に基づいて説明すると、中央部を回転軸45に固定したターンテーブル46の周縁部へ、炉床44,44を等間隔(θ=60度)に設置する。前記炉床44,44の移動軌跡の上方へ前記炉床44を加熱する為の焼成装置43を昇降可能に設置する。前記炉床44内には耐火金属よりなるトレー47を設置する。
【0052】
前記実施例において、焼成装置43,43は図9(a)中直径対称的に設置され、そこでターンテーブル46を矢示48の方向へ60度回転すると、A,D位置で焼成された廃棄物は夫々B,E位置へ移り、トレー47を案内51上へ取り出して次工程(耐火物取り出し工程)へ矢示49,49のように移動する。この場合に、CFの位置にあった炉床44,44にはトレー47を矢示53のようにセットすると共に、タンク52から廃棄物が供給された後、前記炉床とトレー47は焼成装置43の下部へ移行される。
【0053】
前記実施例における炉床上からのトレー47の取り出し、または炉床44上へのトレー47のセットは、自動装置で行われる(図示してない)。例えばトレー47の上縁に環を設け、鉤で吊り上げたり、トレーの縁を摘んで持ち上げたり、従来公知の装置を利用して適宜取り出す。また新しいトレーの設置についても同様である。前記トレーの取り出しまたはセットは、焼成時間(ターンテーブルの間欠停止時間)に行われるので、取り出しまたはセット時間は十分あり、急速な作業(例えば1分間〜5分間)でなく、緩徐な作業(例えば10分間以上)で十分であるから、正確かつ確実に動作するロボットを用いることができる。図中50,54は軸受け、55は架台、56はモータ、57,58はギヤーである。
【0054】
前記焼成装置43は、前記実施例1,2と同様に、燃焼に必要な空気の供給パイプ53及び排気パイプ55がセットされ、排気パイプ55には冷却塔、減温室、固気分離装置、その他の装置が連設されているが、前記実施例と同一に付省略した。
【0055】
前記実施例3は廃棄物の連続焼成の一例として説明したものであって、具体的構造(例えば炉床の形状、構造、トレーの取り出しとセットその他)は公知技術を適宜用いる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明の実施例の一部省略し、一部断面した正面図。
【図2】同じく一部を省略した平面図。
【図3】同じく一部を省略した側面図。
【図4】同じく焼成装置と排気処理の装置との関係を示す一部を省略した正面図。
【図5】同じく待機位置を示す位置を省略した縮小正面図。
【図6】同じくアスベスト廃棄物と、塩化アルミニウム複合水溶液との混合装置の理論を示す説明図。
【図7】同じく排気処理装置の実施例を示す説明図。
【図8】(a)同じく他の実施例の一部を省略した正面図、(b)同じく炉床片とコンベアとの関係を示す拡大図、(c)同じく炉床の一部断面拡大図。
【図9】(a)同じく他の実施例の一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した(a)中X−X断面図。
【符号の説明】
【0057】
1 炉床
2 燃焼用台車
2a 架台
3 車輪
4 レール
5 焼成装置
6 バーナー装置
7 ワイヤー
8 案内具
9 油圧シリンダー
10 製造装置
11 ロッド
12 排気管
13 冷却塔
14 減温塔
15 排気ダクト
16 集塵機
17 集塵用ファン
18 冷却位置
19 供給塔
20 計量器
21 煙突
22 ヒーター
23 排出口
24 製品の取り出し口
25 移送パイプ
26 製品タンク
27 処理槽
28 プッシャー
29 粉砕機
30 貯槽
31 撹拌器
32 粉砕ポンプ
43 焼成装置
44 炉床
46 ターンテーブル
47 トレー
52 タンク
53 給気パイプ
55 排気パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理水溶液を含有させた無機化合物を含む廃棄物を焼成する炉床を移動可能の架台に設置し、前記炉床の上方にバーナーを備えた焼成装置を所定間隔を保ち対向設置して焼成炉を構成し、前記焼成装置には、燃料の供給装置と、排気処理機能を有する排気装置を付設すると共に、前記燃焼炉の外側上部へ廃棄物の供給装置を設けたことを特徴とする無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置。
【請求項2】
ポリ塩化アルミニウム及び有機物、又はほう素化合物、りん酸水素アンモニウム、ナトリウム化合物及び有機物を含有する水溶液を含浸させた針状無機化合物を含む廃棄物を焼成する炉床を移動可能の架台上に設置し、前記炉床の上方にバーナーを備えた焼成装置を昇降可能に対向設置して焼成炉を構成し、該焼成炉に排気処理機能を有する排気装置を付設すると共に、前記廃棄物の供給装置を付設したことを特徴とする無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置。
【請求項3】
焼成炉は複数台並列設置し、夫々の焼成炉に対応して排気装置を付設したことを特徴とした請求項1又は2記載の無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置。
【請求項4】
焼成炉は、平面視矩形状であって、炉床の架台はその長手方向へ往復移動可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載の無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置。
【請求項5】
無機化合物を含む廃棄物を焼成する炉床を水平方向へ移動する環状のコンベア状に設置し、前記炉床の上方へ焼成装置を昇降可能に設置し、前記焼成装置に排気装置を付設して焼成炉を構成したことを特徴とする無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置。
【請求項6】
処理水溶液を含有させた無機化合物を含む廃棄物を焼成する炉床を水平方向へ移動する環状のコンベア状に設置し、前記炉床の上方へ焼成装置を昇降可能に設置し、前記焼成装置に排気装置を付設し、前記コンベアは、前進後退可能に構成し、前記焼成装置の一側上部に、前記無機化合物を含む廃棄物の供給装置を設置したことを特徴とする無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置。
【請求項7】
ターンテーブルの周辺上部へ請求項1記載の炉床を等間隔で設置し、前記炉床の通過軌跡の上部へ、少なくとも1つの炉床の廃棄物を加熱できる焼成装置を昇降可能に設置すると共に、前記焼成装置には、加熱時に生じる排気の処理装置を連設して焼成炉を構成したことを特徴とする無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置。
【請求項8】
排気装置は、吸引ダクト、冷却塔、減温塔、集塵機及び集塵用ファンとしたことを特徴とする請求項1,2,5,6又は7記載の無機化合物の焼成処理による耐熱性組成物の製造装置。
【請求項9】
請求項1,2,5,6又は7記載の装置を用いて製造したことを特徴とする耐熱性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−94606(P2010−94606A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267576(P2008−267576)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(308033663)株式会社HI−VAN (1)
【Fターム(参考)】