無機微粒子の製造方法
【課題】アーク放電を行なわずに均一な粒子径を有する無機微粒子を提供すること。
【解決手段】無機微粒子を構成する無機材料をチャンバー2内で懸架し、チャンバー2内を10−5〜10−3Paに減圧し、不活性ガスをチャンバー2内に導入してチャンバー2内の圧力を100〜50000Paに調整した後、無機材料を通電加熱する無機微粒子の製造方法、および無機微粒子を製造するためのチャンバー2が外部空間と遮断して設けられ、チャンバー2内で無機材料を懸架し、通電加熱するための導電性懸架材A3および導電性懸架材B4が懸架されてなり、チャンバー2の内部空間を減圧するための減圧管5およびチャンバー2の内部空間に不活性ガスを導入するための不活性ガス導入管6がそれぞれチャンバー2の内部空間と接続されている無機微粒子の製造装置。
【解決手段】無機微粒子を構成する無機材料をチャンバー2内で懸架し、チャンバー2内を10−5〜10−3Paに減圧し、不活性ガスをチャンバー2内に導入してチャンバー2内の圧力を100〜50000Paに調整した後、無機材料を通電加熱する無機微粒子の製造方法、および無機微粒子を製造するためのチャンバー2が外部空間と遮断して設けられ、チャンバー2内で無機材料を懸架し、通電加熱するための導電性懸架材A3および導電性懸架材B4が懸架されてなり、チャンバー2の内部空間を減圧するための減圧管5およびチャンバー2の内部空間に不活性ガスを導入するための不活性ガス導入管6がそれぞれチャンバー2の内部空間と接続されている無機微粒子の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機微粒子の製造方法に関する。さらに詳しくは、例えば、各種触媒、磁気記録媒体、電子デバイスなどに使用することが期待される無機微粒子の製造方法および該製造方法に好適に使用しうる無機微粒子の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属微粒子を製造する方法として、一般にアーク放電を利用する方法が知られているが、この方法によれば、得られる金属微粒子の粒子径のばらつきが大きいという欠点がある。そこで、かかる欠点を解消する方法として、放電用電極および金属母材を近接して配置し、これらの間に電圧を印加することによってアーク放電を発生させ、生成した金属微粒子を回収する前段階で冷却する金属微粒子の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この方法には、やはりアーク放電が採られているので、得られる金属微粒子の粒子径にバラツキが生じるおそれがあるため、アーク放電を使用せずに均一な粒子径を有する金属微粒子を製造する方法の開発が望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−241812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、アーク放電を使用しないで均一な粒子径を有する金属微粒子などの無機微粒子を容易に製造しうる方法および該無機微粒子の製造方法に好適に使用しうる無機微粒子の製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無機微粒子の製造方法は、無機微粒子の原料である無機材料をチャンバー内で懸架し、該チャンバー内を10−5〜10−3Paに減圧し、不活性ガスを該チャンバー内に導入して該チャンバー内の圧力を100〜50000Paに調整した後、前記無機材料を通電加熱することを特徴とする。本発明の無機微粒子の製造方法によれば、アーク放電を使用しなくても、均一な粒子径を有する無機微粒子を容易に製造することができる。
【0007】
なお、本明細書にいう不活性ガスとは、無機微粒子を製造する際に用いられる金属材料に対して不活性なガスをいう。より詳しくは、前記不活性ガスは、無機微粒子を製造する際に用いられる金属材料と化学反応を起こさないガスを意味する。したがって、不活性ガスの種類は、無機材料の種類によって異なるので、無機微粒子を製造する際に用いられる金属材料の種類に応じて不活性ガスを適宜選択して用いることが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス、窒素ガスなどが挙げられる。
【0008】
本発明の無機微粒子の製造方法において、無機材料が貴金属またはその合金からなり、不活性ガスとして二酸化炭素ガスを用いた場合には、貴金属またはその合金からなる微粒子を均一な粒子径で容易に製造することができる。
【0009】
本発明の無機微粒子の製造方法において、貴金属またはその合金からなる無機材料を、炭素からなる無機材料保持体を用いてチャンバー内で無機材料を懸架し、不活性ガスとして二酸化炭素ガスを用いて該無機材料保持体を通電加熱した場合には、生成する無機微粒子の表面にカーボンを付着させがたくすることができる。
【0010】
本発明の無機微粒子の製造方法において、無機材料が炭素または金属からなり、不活性ガスとしてヘリウムガスまたはアルゴンガスを用いた場合には、炭素微粒子や金属微粒子を均一な粒子径で容易に製造することができる。
【0011】
本発明の無機微粒子の製造方法において、炭素からなる無機材料を用いた場合には、無機材料保持体を使用せずに直接通電加熱することにより、炭素微粒子を製造することができる。
【0012】
本発明の無機微粒子の製造方法において、タングステン、モリブデンまたはタンタルからなる無機材料保持体を用いてチャンバー内で金属からなる無機材料を懸架し、不活性ガスとしてヘリウムガスまたはアルゴンガスを用いて前記無機材料保持体を通電加熱した場合には、生成する無機微粒子の表面にカーボンなどの付着がなく、粒度分布の幅が狭く、均一な粒子径を有する無機微粒子を製造することができる。
【0013】
本発明の無機微粒子を製造するための製造装置は、無機微粒子を製造するためのチャンバーが外部空間と遮断して設けられ、無機材料を懸架し、通電加熱するための導電性懸架材Aおよび導電性懸架材Bが該チャンバー内で懸架され、チャンバーの内部空間を減圧するための減圧管およびチャンバーの内部空間に不活性ガスを導入するための不活性ガス導入管がそれぞれチャンバーの内部空間と接続されていることを特徴とする。本発明の無機微粒子の製造装置によれば、アーク放電を使用しなくても、均一な粒子径を有する無機微粒子を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の無機微粒子の製造方法および製造装置によれば、アーク放電を使用しないで均一な粒子径を有する無機微粒子を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の無機微粒子の製造方法は、無機微粒子の原料として用いられる無機材料をチャンバー内で懸架し、該チャンバー内を10−5〜10−3Paに減圧し、不活性ガスを該チャンバー内に導入して該チャンバー内の圧力を100〜50000Paに調整した後、前記無機材料保持体を通電加熱することを特徴とする。
【0016】
本発明は、従来のようなアーク放電ではなく通電加熱を使用し、さらにただ単に通電加熱を行なうのではなく、あらかじめチャンバー内を10−5〜10−3Paに減圧しておいた後、該チャンバー内の圧力が100〜50000Paとなるように不活性ガスを導入する点に、1つの大きな特徴を有する。本発明は、前記特徴を有するので、均一な粒子径を有する無機微粒子を容易に製造することができる。
【0017】
無機微粒子の原料として用いられる無機材料は、本発明の方法によって無機微粒子が生成するのであれば特に限定がない。前記無機材料の代表例としては、炭素などの非金属や、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウムなどの典型金属をはじめ、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、モリブデン、タングステン、銀、鉛、錫、白金、金などの遷移金属が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの無機材料は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、無機材料として、2種類以上の金属からなる合金を用いてもよい。
【0018】
無機材料の形状としては、例えば、ワイヤ状、粒子状、粉末状、プレート状などが挙げられるが、本発明は、かかる例示によって限定されるものではない。
【0019】
無機材料は、これに直接通電することによって通電加熱されてもよく、あるいは無機材料保持体で無機材料を保持し、該無機材料保持体に通電することによって通電加熱されてもよい。
【0020】
無機材料に直接通電をすることにより、無機材料を通電加熱する場合には、無機材料を保持するための無機材料保持体を使用しなくても無機微粒子を製造することができる。代表的な無機材料の形態としては、例えば、直径が500μm〜10mm程度、長さが500μm〜5mm程度の板状体や棒状体などが挙げられる。
【0021】
無機材料に直接通電をする際の好適な無機材料として、例えば、炭素からなる無機材料などが挙げられる。例えば、カーボンロッドなどの炭素からなる無機材料を直接通電加熱した場合には、無機材料を保持するための無機材料保持体を使用せずに効率よく炭素微粒子を製造することができる。
【0022】
無機材料保持体で無機材料を保持し、該無機材料保持体に通電をすることにより、無機材料を加熱する場合、無機材料保持体として、通電加熱によって発熱するものが用いられる。
【0023】
無機材料保持体は、無機材料の種類、通電加熱をする際の雰囲気などに応じて適宜選択して用いることが好ましい。
【0024】
例えば、無機材料が貴金属またはその合金からなり、不活性ガスとして二酸化炭素ガスを用いた場合には、貴金属またはその合金の微粒子を均一な粒子径で容易に製造することができる。この場合、無期材料保持体は、貴金属またはその合金の微粒子を均一な粒子径で容易に製造する観点から、炭素でつくられていることが好ましい。炭素からなる無機材料保持体の具体例としては、カーボンボート、カーボンロッド(炭素棒)、カーボンチューブなどが挙げられる。カーボンロッドを用いる場合、その周囲に無機材料を捲回すればよく、またカーボンチューブを用いる場合、その内部に無機材料を挿入すればよい。炭素からなる無機材料保持体のなかでは、生成する無機微粒子の表面にカーボンが付着しがたくする観点から、カーボンボートが好ましい。
【0025】
なお、貴金属の具体例としては、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウムおよびオスミウムが挙げられ、これらの貴金属は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの貴金属は、合金として用いてもよい。貴金属合金としては、例えば、白金−ロジウム合金、白金−ルテニウム合金などが挙げられる。
【0026】
無機材料が炭素または金属からなり、不活性ガスとしてヘリウムガスまたはアルゴンガスを用いる場合、炭素微粒子や金属微粒子を均一な粒子径で容易に製造することができる。
【0027】
無機材料が金属からなる場合、炭素微粒子や金属微粒子を均一な粒子径で容易に製造する観点から、無機材料保持体は、タングステン、モリブデンまたはタンタルでつくられていることが好ましい。その無機材料保持体の形状の具体例としては、ボート、線、ロッド、チューブなどが挙げられる。線またはロッドを用いる場合、その周囲に無機材料を捲回させればよく、またチューブを用いる場合、その内部に無機材料を挿入すればよい。無機材料保持体のなかでは、無機材料の大きさや形状に制約を受けがたいことから、ボート、線およびロッドが好ましい。なお、無機材料を構成する金属の種類には特に限定がなく、その例としては、前記典型金属および前記遷移金属が挙げられる。
【0028】
無機材料保持体の形状がカーボンボートやタングステンボートなどのボートに代表される形状を有する無機材料保持体である場合、例えば、図1の実施態様に示されるように、その断面形状がV字状、U字状などの形状を有する無機材料保持体(ボート)1などが挙げられる。無機材料保持体(ボート)1の長さaは、無機材料の形状や大きさなどによって異なるので一概には決定することができないが、例えば、無機材料が線状を有する場合、線状の無機材料を収容することができる長さであることが好ましい。無機材料保持体(ボート)1の長さaは、通常、20〜100mm程度、好ましくは30〜80mm程度である。また、無機材料保持体(ボート)1の無機材料を保持する箇所における幅(無機材料保持体(ボート)1の上端部における間隔)bは、無機材料の形状や大きさなどによって異なるので一概には決定することができないが、例えば、断面形状が円形の線状の無機材料を用いる場合には、その直径よりも大きいことが好ましい。無機材料を保持する箇所における幅bは、通常、1.5〜5mm程度である。
【0029】
カーボンロッド、タングステンロッドなどのロッド、またはタングステン線などの線としては、例えば、その断面形状が円形、楕円形、三角形、四角形などであるロッドまたは線が挙げられる。これらのなかでは、無機材料と接触させて効率よく無機材料を蒸発させる観点から、その断面形状は、円形または楕円形であることが好ましく、円形であることがより好ましい。ロッドまたは線の長さは、特に限定されないが、通常、20〜100mm程度、好ましくは30〜80mm程度である。また、ロッドまたは線の直径は、特に限定されないが、ロッドの場合、通常、1〜5mm程度であり、線の場合、通常、100μm〜1mm程度である。
【0030】
無機材料保持体1は、本発明の無機微粒子の製造装置のチャンバー内で懸架される。本発明の無機微粒子の製造方法および該製造方法に用いられる製造装置を図面に基づいて説明する。
【0031】
図2は、本発明の無機微粒子の製造方法に好適に使用しうる無機微粒子の製造装置の一実施態様を示す概略説明図である。
【0032】
図2において、無機微粒子を製造するためのチャンバー2が外部空間と遮断して設けられている。チャンバー2内で、無機材料(図示せず)または無機材料保持体1の一端を懸架するための導電性懸架材A3および無機材料保持体1の他端を懸架するための導電性懸架材B4が懸架されている。導電性懸架材A3および導電性懸架材B4は、それぞれ外部電源(図示せず)と接続され、蓋部7とは電気的に絶縁されている。また、チャンバー2の内部空間を減圧するための減圧管5およびチャンバー2の内部空間に不活性ガスを導入するための不活性ガス導入管6がそれぞれチャンバー2の内部空間と接続されている。
【0033】
チャンバー2は、外部から無機材料保持体1を容易に観察することができるようにするために、例えば、石英ガラスなどの耐熱性ガラスでつくられていることが好ましい。また、チャンバー2の上下に配設されている蓋部7および底板8は、それぞれ、例えば、ステンレス鋼などの金属からなるプレートで形成されていればよい。チャンバー2と蓋部7との境界およびチャンバー2と底板8との境界には、チャンバー2の密閉性を高めるために、シール部材9が配設されている。シール部材9としては、例えば、シリコーンゴムなどのゴムからなるOリングなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0034】
チャンバー2の高さおよび外径は、特に限定されないが、通常、高さは25〜40cm程度、外径は15〜30cm程度であることが、無機微粒子を効率よく製造する観点から好ましい。
【0035】
チャンバー2内で無機材料(図示せず)または無機材料保持体1を懸架する位置は、特に限定されないが、無機材料または無機材料保持体1を通電加熱したときに無機微粒子を効率よく製造する観点から、チャンバー2の高さの中央部よりもやや下部であることが好ましく、チャンバー2の下からチャンバー2の全体の高さの25〜50%程度の位置であることがより好ましい。
【0036】
本発明においては、まず、減圧管5から脱気をすることにより、チャンバー2内を減圧する。チャンバー2内の減圧の程度は、無機微粒子が空気中に含まれている酸素などによって酸化されるのを防止する観点から、10−3Pa以下であり、減圧度が高くなるにしたがって減圧に要する時間が長くなるので生産性を高める観点から、10−5Pa以上である。チャンバー2内が所定の真空度に到達した後には、減圧管5に配設されているバルブ(図示せず)を閉にすることにより、減圧状態を維持する。
【0037】
次に、減圧されたチャンバー2内に不活性ガスを導入することにより、その内圧が100〜50000Paとなるように調整する。
【0038】
無機材料が貴金属またはその合金からなり、無機材料保持体が炭素からなる無機材料保持体である場合、不活性ガスは、炭素の付着量が少ない貴金属またはその合金からなる微粒子を製造する観点から、二酸化炭素ガスであることが好ましい。また、無機材料が炭素または金属からなり、無機材料保持体がタングステン、モリブデンまたはタンタルからなる場合、均一な粒子径を有する炭素微粒子や金属微粒子を製造する観点から、不活性ガスは、ヘリウムガスまたはアルゴンガスであることが好ましい。
【0039】
チャンバー2内に不活性ガスを導入し、チャンバー2内の圧力を調整することにより、得られる無機微粒子の粒子径を所望の粒子径に容易に制御することができる。一般に、チャンバー2内の圧力を低くするにしたがって、得られる無機微粒子の粒子径が小さくなり、またチャンバー2内の圧力が高くなるにしたがって、得られる無機微粒子の粒子径が大きくなる傾向がある。チャンバー2内の圧力は、均一な無機微粒子を得る観点から、100Pa以上であり、粗大な無機微粒子が生成するのを抑制する観点から、50000Pa以下である。例えば、無機材料として炭素を用い、チャンバー2内の不活性ガスの圧力を100〜150Paに調節した場合には、粒子径が10〜15nm程度のカーボン微粒子が得られる。
【0040】
なお、チャンバー2内の圧力は、例えば、水銀マノメーターや真空計などの圧力計10で測定することができる。
【0041】
次に、チャンバー2内の無機材料(図示せず)に直接電圧を印加するかまたは無機材料保持体1に電圧を印加する。
【0042】
無機材料(図示せず)に直接電圧を印加する場合、無機材料への電圧の印加は、導電性懸架材A3および導電性懸架材B4をそれぞれ無機材料と接続し、導電性懸架材A3および導電性懸架材B4を外部電源(図示せず)と接続することによって行なうことができる。また、無機材料保持体1に電圧を印加する場合、導電性懸架材A3および導電性懸架材B4をそれぞれ無機材料保持体1と接続し、導電性懸架材A3および導電性懸架材B4を外部電源(図示せず)と接続することによって行なうことができる。導電性懸架材A3および導電性懸架材B4は、例えば、ステンレス鋼、銅、真鍮、鉄などの導電性を有する金属でつくられていればよく、本発明は、かかる金属の種類によって限定されるものではない。
【0043】
なお、図2に示される無機微粒子の製造装置では、図1に示される無機材料保持体1が使用されており、無機材料保持体1と導電性懸架材A3および導電性懸架材B4とをそれぞれ接続することにより、通電するように構成されている。
【0044】
導電性懸架材A3および導電性懸架材B4に接続されている外部電源(図示せず)から電圧を印加することにより、無機材料は、直接通電加熱されるか、または無機材料保持体1を通電加熱することによって加熱される。
【0045】
無機材料または無機材料保持体1に通電するときの電流値は、無機微粒子を効率よく生成させる観点から、好ましくは10A以上、好ましくは20A以上、さらに好ましくは30A以上であり、均一な粒子径を有する無機微粒子を得る観点から、好ましくは100A以下、より好ましくは90A以下、さらに好ましくは80A以下である。また、無機材料または無機材料保持体1に電流を印加するときの電圧は、無機材料または無機材料保持体1が有する抵抗値などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、好ましくは5〜110V、より好ましくは10〜100Vである。電圧を印加する時間は、無機材料または無機材料保持体1の大きさや印加される電流値などによって異なるので一概には決定することができない。通常、電圧を印加する時間は、無機材料が蒸発するのに要する時間であればよい。
【0046】
このようにして無機材料または無機材料保持体1を通電加熱することにより、無機材料が蒸発し、蒸発した無機材料がチャンバー2内に存在している不活性ガスと衝突することにより、無機微粒子が生じる。生成した無機微粒子は、チャンバー2の内壁などに付着する。付着した無機微粒子は、チャンバー2内を大気圧に戻した後、例えば、刷毛などを用いて回収することができる。
【0047】
なお、無機材料が空気中の酸素などと酸化などの化学反応することを避ける場合には、チャンバー2内を大気圧に戻すときに不活性ガスを導入することが好ましい。生成した無機微粒子が例えば貴金属微粒子などのように空気中の酸素と反応しがたい粒子である場合や、空気中に含まれている酸素などと化学反応を生じても支障がない場合などには、チャンバー2内に大気を導入することにより、チャンバー2内を大気圧に戻してもよい。
【0048】
回収された無機微粒子の粒子径は、その製造条件によって異なるので一概には決定することができない。無機微粒子の粒子径は、通常、3〜1000nm程度の範囲内にある。
【0049】
本発明によれば、空気と接触したときに速やかに酸化したり、酸化被膜を形成する化学的安定性が低い卑金属などからなる金属微粒子を容易に製造することができる。その一例として、例えば、アルミニウムなどの化学的安定性が低い金属は、空気と接触することによって短時間で酸化アルミニウムに変化するが、本発明によれば、このようなアルミニウムなどの化学的安定性が低い金属からなる微粒子を化学的に変化させずにそのままの状態で製造することができる。このようにして得られた無機微粒子は、例えば、燃料電池用触媒、磁気記録媒体、電子デバイスなどに使用することが期待される。
【実施例】
【0050】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0051】
実施例1〜8
図2に示される無機微粒子の製造装置を用いた。より具体的には、チャンバー2(石英ガラス製、外径:160mm、高さ:330mm)内に、無機材料として、表1に示す金属線(直径500μm、長さ10mm)をタングステン線(直径0.5mm、長さ5cm)に捲回したものをチャンバー2の底面から140mmの位置に、ステンレス鋼(SUS304)製の導電性懸架材A3および導電性懸架材B4で懸架した。なお、無機材料として、炭素棒(直径:5mm、長さ:0.9mm)を用いた場合には、金属製固定端子で固定することにより、導電性懸架材A3および導電性懸架材B4で懸架した。
【0052】
次に、減圧管5からチャンバー2内の空気を排気し、チャンバー2の内圧が1.0×10−4Paとなるまで減圧した後、不活性ガスとしてヘリウムガスを不活性ガス導入管6から導入し、チャンバー2の内圧を133Paとなるように調整した。その後、導電性懸架材A3と導電性懸架材B4との間に、表1に示される電流値および電圧を有する交流電流を30秒間印加した。その結果、チャンバー2内には、煙状の無機微粒子が生成し、チャンバー2の内壁に付着した。
【0053】
不活性ガス導入管6からヘリウムガスを導入することにより、チャンバー2の内圧を大気圧にまで戻した後、チャンバー2の内壁などに付着した無機微粒子を回収し、その物性として、無機微粒子の粒度分布および平均粒子径を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
【0054】
〔粒度分布〕
カーボン下地膜の上で、得られた無機微粒子を分散させ、透過電子顕微鏡で観察して求めた。この方法は、特に粒子径が数nmオーダーのときに適している。
【0055】
〔平均粒子径〕
無機微粒子の粒度分布が揃っている場合には100個程度の粒子を用いるが、通常は300〜400個の無機微粒子の粒子径を透過電子顕微鏡で観察して求め、その平均値を算出した。
【0056】
【表1】
【0057】
次に、実施例1〜6および実施例8で得られた各金属微粒子の透過電子顕微鏡写真をそれぞれ順に図3〜9に示す。
【0058】
なお、図4は、実施例2で得られたアルミニウム微粒子が空気中の酸素と接触することによって酸化することを防止するために、カーボンコートが施されたアルミニウム微粒子の透過電子顕微鏡写真である。図6、図8および図9は、それぞれ順に、実施例4で得られた鉄微粒子を空気中に取り出すことによって酸化したときの鉄微粒子の透過電子顕微鏡写真、実施例6で得られたコバルト微粒子を空気中に取り出すことによって酸化したときのコバルト微粒子の透過電子顕微鏡写真および実施例8で得られたニッケル微粒子を空気中に取り出すことによって酸化したときのニッケル微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【0059】
表1および図3〜9に示された結果から、各実施例によれば、アーク放電を使用しなくても、粒度分布の幅が狭く、均一な粒子径を有する無機微粒子が得られることがわかる。
【0060】
実施例9〜15
図2に示される無機微粒子の製造装置を用いた。より具体的には、チャンバー2(石英ガラス製、外径:160mm、高さ:330mm)内に、無機材料として、表2に示す貴金属粉末(平均粒子径:数μm)を表2に示す量で無機材料保持体1としてカーボンボート(長さa:50mm、無機材料を保持する箇所における幅b:3mm、断面形状:V字状)に入れ、このカーボンボートをチャンバー2の底面から140mmの位置に、ステンレス鋼(SUS304)製の導電性懸架材A3および導電性懸架材B4で懸架した。
【0061】
次に、減圧管5からチャンバー2内の空気を排気し、チャンバー2の内圧が1.0×10−4Paとなるまで減圧した後、不活性ガスとして二酸化炭素ガスを不活性ガス導入管6から導入し、チャンバー2の内圧を10000Paとなるように調整した。その後、導電性懸架材A3と導電性懸架材B4との間に、50Aの電流値および30Vの電圧を有する交流電流を30秒間印加した。その結果、チャンバー2内には、煙状の貴金属微粒子が生成し、チャンバー2の内壁に付着した。
【0062】
不活性ガス導入管6から空気を導入することにより、チャンバー2の内圧を大気圧にまで戻した後、チャンバー2の内壁などに付着した無機微粒子を回収し、その物性として、貴金属微粒子の粒度分布および平均粒子径を実施例1と同様の方法で調べた。その結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
次に、実施例9〜15で得られた炭素被覆金属微粒子の透過電子顕微鏡写真をそれぞれ順に図10〜16に示す。
【0065】
表2および図10〜16に示された結果から、実施例9〜15によれば、アーク放電を使用しなくても、粒度分布の幅が比較的狭く、均一な粒子径を有する無機微粒子が得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の無機材料保持体の一実施態様を示す概略説明図である。
【図2】本発明の無機微粒子の製造装置の一実施態様を示す概略説明図である。
【図3】本発明の実施例1で得られた銀微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の実施例2で得られたアルミニウム微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の実施例3で得られた金微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例4で得られた鉄微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の実施例5で得られた炭素微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図8】本発明の実施例6で得られたコバルト微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図9】本発明の実施例8で得られたニッケル微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図10】本発明の実施例9で得られた金微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図11】本発明の実施例10で得られた銀微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図12】本発明の実施例11で得られた白金微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図13】本発明の実施例12で得られたロジウム微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図14】本発明の実施例13で得られたルテニウム微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図15】本発明の実施例14で得られた白金−ロジウム微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図16】本発明の実施例15で得られた白金−ルテニウム微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0067】
1 無機材料保持体
2 チャンバー
3 導電性懸架材A
4 導電性懸架材B
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機微粒子の製造方法に関する。さらに詳しくは、例えば、各種触媒、磁気記録媒体、電子デバイスなどに使用することが期待される無機微粒子の製造方法および該製造方法に好適に使用しうる無機微粒子の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属微粒子を製造する方法として、一般にアーク放電を利用する方法が知られているが、この方法によれば、得られる金属微粒子の粒子径のばらつきが大きいという欠点がある。そこで、かかる欠点を解消する方法として、放電用電極および金属母材を近接して配置し、これらの間に電圧を印加することによってアーク放電を発生させ、生成した金属微粒子を回収する前段階で冷却する金属微粒子の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この方法には、やはりアーク放電が採られているので、得られる金属微粒子の粒子径にバラツキが生じるおそれがあるため、アーク放電を使用せずに均一な粒子径を有する金属微粒子を製造する方法の開発が望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−241812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、アーク放電を使用しないで均一な粒子径を有する金属微粒子などの無機微粒子を容易に製造しうる方法および該無機微粒子の製造方法に好適に使用しうる無機微粒子の製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無機微粒子の製造方法は、無機微粒子の原料である無機材料をチャンバー内で懸架し、該チャンバー内を10−5〜10−3Paに減圧し、不活性ガスを該チャンバー内に導入して該チャンバー内の圧力を100〜50000Paに調整した後、前記無機材料を通電加熱することを特徴とする。本発明の無機微粒子の製造方法によれば、アーク放電を使用しなくても、均一な粒子径を有する無機微粒子を容易に製造することができる。
【0007】
なお、本明細書にいう不活性ガスとは、無機微粒子を製造する際に用いられる金属材料に対して不活性なガスをいう。より詳しくは、前記不活性ガスは、無機微粒子を製造する際に用いられる金属材料と化学反応を起こさないガスを意味する。したがって、不活性ガスの種類は、無機材料の種類によって異なるので、無機微粒子を製造する際に用いられる金属材料の種類に応じて不活性ガスを適宜選択して用いることが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス、窒素ガスなどが挙げられる。
【0008】
本発明の無機微粒子の製造方法において、無機材料が貴金属またはその合金からなり、不活性ガスとして二酸化炭素ガスを用いた場合には、貴金属またはその合金からなる微粒子を均一な粒子径で容易に製造することができる。
【0009】
本発明の無機微粒子の製造方法において、貴金属またはその合金からなる無機材料を、炭素からなる無機材料保持体を用いてチャンバー内で無機材料を懸架し、不活性ガスとして二酸化炭素ガスを用いて該無機材料保持体を通電加熱した場合には、生成する無機微粒子の表面にカーボンを付着させがたくすることができる。
【0010】
本発明の無機微粒子の製造方法において、無機材料が炭素または金属からなり、不活性ガスとしてヘリウムガスまたはアルゴンガスを用いた場合には、炭素微粒子や金属微粒子を均一な粒子径で容易に製造することができる。
【0011】
本発明の無機微粒子の製造方法において、炭素からなる無機材料を用いた場合には、無機材料保持体を使用せずに直接通電加熱することにより、炭素微粒子を製造することができる。
【0012】
本発明の無機微粒子の製造方法において、タングステン、モリブデンまたはタンタルからなる無機材料保持体を用いてチャンバー内で金属からなる無機材料を懸架し、不活性ガスとしてヘリウムガスまたはアルゴンガスを用いて前記無機材料保持体を通電加熱した場合には、生成する無機微粒子の表面にカーボンなどの付着がなく、粒度分布の幅が狭く、均一な粒子径を有する無機微粒子を製造することができる。
【0013】
本発明の無機微粒子を製造するための製造装置は、無機微粒子を製造するためのチャンバーが外部空間と遮断して設けられ、無機材料を懸架し、通電加熱するための導電性懸架材Aおよび導電性懸架材Bが該チャンバー内で懸架され、チャンバーの内部空間を減圧するための減圧管およびチャンバーの内部空間に不活性ガスを導入するための不活性ガス導入管がそれぞれチャンバーの内部空間と接続されていることを特徴とする。本発明の無機微粒子の製造装置によれば、アーク放電を使用しなくても、均一な粒子径を有する無機微粒子を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の無機微粒子の製造方法および製造装置によれば、アーク放電を使用しないで均一な粒子径を有する無機微粒子を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の無機微粒子の製造方法は、無機微粒子の原料として用いられる無機材料をチャンバー内で懸架し、該チャンバー内を10−5〜10−3Paに減圧し、不活性ガスを該チャンバー内に導入して該チャンバー内の圧力を100〜50000Paに調整した後、前記無機材料保持体を通電加熱することを特徴とする。
【0016】
本発明は、従来のようなアーク放電ではなく通電加熱を使用し、さらにただ単に通電加熱を行なうのではなく、あらかじめチャンバー内を10−5〜10−3Paに減圧しておいた後、該チャンバー内の圧力が100〜50000Paとなるように不活性ガスを導入する点に、1つの大きな特徴を有する。本発明は、前記特徴を有するので、均一な粒子径を有する無機微粒子を容易に製造することができる。
【0017】
無機微粒子の原料として用いられる無機材料は、本発明の方法によって無機微粒子が生成するのであれば特に限定がない。前記無機材料の代表例としては、炭素などの非金属や、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウムなどの典型金属をはじめ、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、モリブデン、タングステン、銀、鉛、錫、白金、金などの遷移金属が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの無機材料は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、無機材料として、2種類以上の金属からなる合金を用いてもよい。
【0018】
無機材料の形状としては、例えば、ワイヤ状、粒子状、粉末状、プレート状などが挙げられるが、本発明は、かかる例示によって限定されるものではない。
【0019】
無機材料は、これに直接通電することによって通電加熱されてもよく、あるいは無機材料保持体で無機材料を保持し、該無機材料保持体に通電することによって通電加熱されてもよい。
【0020】
無機材料に直接通電をすることにより、無機材料を通電加熱する場合には、無機材料を保持するための無機材料保持体を使用しなくても無機微粒子を製造することができる。代表的な無機材料の形態としては、例えば、直径が500μm〜10mm程度、長さが500μm〜5mm程度の板状体や棒状体などが挙げられる。
【0021】
無機材料に直接通電をする際の好適な無機材料として、例えば、炭素からなる無機材料などが挙げられる。例えば、カーボンロッドなどの炭素からなる無機材料を直接通電加熱した場合には、無機材料を保持するための無機材料保持体を使用せずに効率よく炭素微粒子を製造することができる。
【0022】
無機材料保持体で無機材料を保持し、該無機材料保持体に通電をすることにより、無機材料を加熱する場合、無機材料保持体として、通電加熱によって発熱するものが用いられる。
【0023】
無機材料保持体は、無機材料の種類、通電加熱をする際の雰囲気などに応じて適宜選択して用いることが好ましい。
【0024】
例えば、無機材料が貴金属またはその合金からなり、不活性ガスとして二酸化炭素ガスを用いた場合には、貴金属またはその合金の微粒子を均一な粒子径で容易に製造することができる。この場合、無期材料保持体は、貴金属またはその合金の微粒子を均一な粒子径で容易に製造する観点から、炭素でつくられていることが好ましい。炭素からなる無機材料保持体の具体例としては、カーボンボート、カーボンロッド(炭素棒)、カーボンチューブなどが挙げられる。カーボンロッドを用いる場合、その周囲に無機材料を捲回すればよく、またカーボンチューブを用いる場合、その内部に無機材料を挿入すればよい。炭素からなる無機材料保持体のなかでは、生成する無機微粒子の表面にカーボンが付着しがたくする観点から、カーボンボートが好ましい。
【0025】
なお、貴金属の具体例としては、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウムおよびオスミウムが挙げられ、これらの貴金属は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの貴金属は、合金として用いてもよい。貴金属合金としては、例えば、白金−ロジウム合金、白金−ルテニウム合金などが挙げられる。
【0026】
無機材料が炭素または金属からなり、不活性ガスとしてヘリウムガスまたはアルゴンガスを用いる場合、炭素微粒子や金属微粒子を均一な粒子径で容易に製造することができる。
【0027】
無機材料が金属からなる場合、炭素微粒子や金属微粒子を均一な粒子径で容易に製造する観点から、無機材料保持体は、タングステン、モリブデンまたはタンタルでつくられていることが好ましい。その無機材料保持体の形状の具体例としては、ボート、線、ロッド、チューブなどが挙げられる。線またはロッドを用いる場合、その周囲に無機材料を捲回させればよく、またチューブを用いる場合、その内部に無機材料を挿入すればよい。無機材料保持体のなかでは、無機材料の大きさや形状に制約を受けがたいことから、ボート、線およびロッドが好ましい。なお、無機材料を構成する金属の種類には特に限定がなく、その例としては、前記典型金属および前記遷移金属が挙げられる。
【0028】
無機材料保持体の形状がカーボンボートやタングステンボートなどのボートに代表される形状を有する無機材料保持体である場合、例えば、図1の実施態様に示されるように、その断面形状がV字状、U字状などの形状を有する無機材料保持体(ボート)1などが挙げられる。無機材料保持体(ボート)1の長さaは、無機材料の形状や大きさなどによって異なるので一概には決定することができないが、例えば、無機材料が線状を有する場合、線状の無機材料を収容することができる長さであることが好ましい。無機材料保持体(ボート)1の長さaは、通常、20〜100mm程度、好ましくは30〜80mm程度である。また、無機材料保持体(ボート)1の無機材料を保持する箇所における幅(無機材料保持体(ボート)1の上端部における間隔)bは、無機材料の形状や大きさなどによって異なるので一概には決定することができないが、例えば、断面形状が円形の線状の無機材料を用いる場合には、その直径よりも大きいことが好ましい。無機材料を保持する箇所における幅bは、通常、1.5〜5mm程度である。
【0029】
カーボンロッド、タングステンロッドなどのロッド、またはタングステン線などの線としては、例えば、その断面形状が円形、楕円形、三角形、四角形などであるロッドまたは線が挙げられる。これらのなかでは、無機材料と接触させて効率よく無機材料を蒸発させる観点から、その断面形状は、円形または楕円形であることが好ましく、円形であることがより好ましい。ロッドまたは線の長さは、特に限定されないが、通常、20〜100mm程度、好ましくは30〜80mm程度である。また、ロッドまたは線の直径は、特に限定されないが、ロッドの場合、通常、1〜5mm程度であり、線の場合、通常、100μm〜1mm程度である。
【0030】
無機材料保持体1は、本発明の無機微粒子の製造装置のチャンバー内で懸架される。本発明の無機微粒子の製造方法および該製造方法に用いられる製造装置を図面に基づいて説明する。
【0031】
図2は、本発明の無機微粒子の製造方法に好適に使用しうる無機微粒子の製造装置の一実施態様を示す概略説明図である。
【0032】
図2において、無機微粒子を製造するためのチャンバー2が外部空間と遮断して設けられている。チャンバー2内で、無機材料(図示せず)または無機材料保持体1の一端を懸架するための導電性懸架材A3および無機材料保持体1の他端を懸架するための導電性懸架材B4が懸架されている。導電性懸架材A3および導電性懸架材B4は、それぞれ外部電源(図示せず)と接続され、蓋部7とは電気的に絶縁されている。また、チャンバー2の内部空間を減圧するための減圧管5およびチャンバー2の内部空間に不活性ガスを導入するための不活性ガス導入管6がそれぞれチャンバー2の内部空間と接続されている。
【0033】
チャンバー2は、外部から無機材料保持体1を容易に観察することができるようにするために、例えば、石英ガラスなどの耐熱性ガラスでつくられていることが好ましい。また、チャンバー2の上下に配設されている蓋部7および底板8は、それぞれ、例えば、ステンレス鋼などの金属からなるプレートで形成されていればよい。チャンバー2と蓋部7との境界およびチャンバー2と底板8との境界には、チャンバー2の密閉性を高めるために、シール部材9が配設されている。シール部材9としては、例えば、シリコーンゴムなどのゴムからなるOリングなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0034】
チャンバー2の高さおよび外径は、特に限定されないが、通常、高さは25〜40cm程度、外径は15〜30cm程度であることが、無機微粒子を効率よく製造する観点から好ましい。
【0035】
チャンバー2内で無機材料(図示せず)または無機材料保持体1を懸架する位置は、特に限定されないが、無機材料または無機材料保持体1を通電加熱したときに無機微粒子を効率よく製造する観点から、チャンバー2の高さの中央部よりもやや下部であることが好ましく、チャンバー2の下からチャンバー2の全体の高さの25〜50%程度の位置であることがより好ましい。
【0036】
本発明においては、まず、減圧管5から脱気をすることにより、チャンバー2内を減圧する。チャンバー2内の減圧の程度は、無機微粒子が空気中に含まれている酸素などによって酸化されるのを防止する観点から、10−3Pa以下であり、減圧度が高くなるにしたがって減圧に要する時間が長くなるので生産性を高める観点から、10−5Pa以上である。チャンバー2内が所定の真空度に到達した後には、減圧管5に配設されているバルブ(図示せず)を閉にすることにより、減圧状態を維持する。
【0037】
次に、減圧されたチャンバー2内に不活性ガスを導入することにより、その内圧が100〜50000Paとなるように調整する。
【0038】
無機材料が貴金属またはその合金からなり、無機材料保持体が炭素からなる無機材料保持体である場合、不活性ガスは、炭素の付着量が少ない貴金属またはその合金からなる微粒子を製造する観点から、二酸化炭素ガスであることが好ましい。また、無機材料が炭素または金属からなり、無機材料保持体がタングステン、モリブデンまたはタンタルからなる場合、均一な粒子径を有する炭素微粒子や金属微粒子を製造する観点から、不活性ガスは、ヘリウムガスまたはアルゴンガスであることが好ましい。
【0039】
チャンバー2内に不活性ガスを導入し、チャンバー2内の圧力を調整することにより、得られる無機微粒子の粒子径を所望の粒子径に容易に制御することができる。一般に、チャンバー2内の圧力を低くするにしたがって、得られる無機微粒子の粒子径が小さくなり、またチャンバー2内の圧力が高くなるにしたがって、得られる無機微粒子の粒子径が大きくなる傾向がある。チャンバー2内の圧力は、均一な無機微粒子を得る観点から、100Pa以上であり、粗大な無機微粒子が生成するのを抑制する観点から、50000Pa以下である。例えば、無機材料として炭素を用い、チャンバー2内の不活性ガスの圧力を100〜150Paに調節した場合には、粒子径が10〜15nm程度のカーボン微粒子が得られる。
【0040】
なお、チャンバー2内の圧力は、例えば、水銀マノメーターや真空計などの圧力計10で測定することができる。
【0041】
次に、チャンバー2内の無機材料(図示せず)に直接電圧を印加するかまたは無機材料保持体1に電圧を印加する。
【0042】
無機材料(図示せず)に直接電圧を印加する場合、無機材料への電圧の印加は、導電性懸架材A3および導電性懸架材B4をそれぞれ無機材料と接続し、導電性懸架材A3および導電性懸架材B4を外部電源(図示せず)と接続することによって行なうことができる。また、無機材料保持体1に電圧を印加する場合、導電性懸架材A3および導電性懸架材B4をそれぞれ無機材料保持体1と接続し、導電性懸架材A3および導電性懸架材B4を外部電源(図示せず)と接続することによって行なうことができる。導電性懸架材A3および導電性懸架材B4は、例えば、ステンレス鋼、銅、真鍮、鉄などの導電性を有する金属でつくられていればよく、本発明は、かかる金属の種類によって限定されるものではない。
【0043】
なお、図2に示される無機微粒子の製造装置では、図1に示される無機材料保持体1が使用されており、無機材料保持体1と導電性懸架材A3および導電性懸架材B4とをそれぞれ接続することにより、通電するように構成されている。
【0044】
導電性懸架材A3および導電性懸架材B4に接続されている外部電源(図示せず)から電圧を印加することにより、無機材料は、直接通電加熱されるか、または無機材料保持体1を通電加熱することによって加熱される。
【0045】
無機材料または無機材料保持体1に通電するときの電流値は、無機微粒子を効率よく生成させる観点から、好ましくは10A以上、好ましくは20A以上、さらに好ましくは30A以上であり、均一な粒子径を有する無機微粒子を得る観点から、好ましくは100A以下、より好ましくは90A以下、さらに好ましくは80A以下である。また、無機材料または無機材料保持体1に電流を印加するときの電圧は、無機材料または無機材料保持体1が有する抵抗値などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、好ましくは5〜110V、より好ましくは10〜100Vである。電圧を印加する時間は、無機材料または無機材料保持体1の大きさや印加される電流値などによって異なるので一概には決定することができない。通常、電圧を印加する時間は、無機材料が蒸発するのに要する時間であればよい。
【0046】
このようにして無機材料または無機材料保持体1を通電加熱することにより、無機材料が蒸発し、蒸発した無機材料がチャンバー2内に存在している不活性ガスと衝突することにより、無機微粒子が生じる。生成した無機微粒子は、チャンバー2の内壁などに付着する。付着した無機微粒子は、チャンバー2内を大気圧に戻した後、例えば、刷毛などを用いて回収することができる。
【0047】
なお、無機材料が空気中の酸素などと酸化などの化学反応することを避ける場合には、チャンバー2内を大気圧に戻すときに不活性ガスを導入することが好ましい。生成した無機微粒子が例えば貴金属微粒子などのように空気中の酸素と反応しがたい粒子である場合や、空気中に含まれている酸素などと化学反応を生じても支障がない場合などには、チャンバー2内に大気を導入することにより、チャンバー2内を大気圧に戻してもよい。
【0048】
回収された無機微粒子の粒子径は、その製造条件によって異なるので一概には決定することができない。無機微粒子の粒子径は、通常、3〜1000nm程度の範囲内にある。
【0049】
本発明によれば、空気と接触したときに速やかに酸化したり、酸化被膜を形成する化学的安定性が低い卑金属などからなる金属微粒子を容易に製造することができる。その一例として、例えば、アルミニウムなどの化学的安定性が低い金属は、空気と接触することによって短時間で酸化アルミニウムに変化するが、本発明によれば、このようなアルミニウムなどの化学的安定性が低い金属からなる微粒子を化学的に変化させずにそのままの状態で製造することができる。このようにして得られた無機微粒子は、例えば、燃料電池用触媒、磁気記録媒体、電子デバイスなどに使用することが期待される。
【実施例】
【0050】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0051】
実施例1〜8
図2に示される無機微粒子の製造装置を用いた。より具体的には、チャンバー2(石英ガラス製、外径:160mm、高さ:330mm)内に、無機材料として、表1に示す金属線(直径500μm、長さ10mm)をタングステン線(直径0.5mm、長さ5cm)に捲回したものをチャンバー2の底面から140mmの位置に、ステンレス鋼(SUS304)製の導電性懸架材A3および導電性懸架材B4で懸架した。なお、無機材料として、炭素棒(直径:5mm、長さ:0.9mm)を用いた場合には、金属製固定端子で固定することにより、導電性懸架材A3および導電性懸架材B4で懸架した。
【0052】
次に、減圧管5からチャンバー2内の空気を排気し、チャンバー2の内圧が1.0×10−4Paとなるまで減圧した後、不活性ガスとしてヘリウムガスを不活性ガス導入管6から導入し、チャンバー2の内圧を133Paとなるように調整した。その後、導電性懸架材A3と導電性懸架材B4との間に、表1に示される電流値および電圧を有する交流電流を30秒間印加した。その結果、チャンバー2内には、煙状の無機微粒子が生成し、チャンバー2の内壁に付着した。
【0053】
不活性ガス導入管6からヘリウムガスを導入することにより、チャンバー2の内圧を大気圧にまで戻した後、チャンバー2の内壁などに付着した無機微粒子を回収し、その物性として、無機微粒子の粒度分布および平均粒子径を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
【0054】
〔粒度分布〕
カーボン下地膜の上で、得られた無機微粒子を分散させ、透過電子顕微鏡で観察して求めた。この方法は、特に粒子径が数nmオーダーのときに適している。
【0055】
〔平均粒子径〕
無機微粒子の粒度分布が揃っている場合には100個程度の粒子を用いるが、通常は300〜400個の無機微粒子の粒子径を透過電子顕微鏡で観察して求め、その平均値を算出した。
【0056】
【表1】
【0057】
次に、実施例1〜6および実施例8で得られた各金属微粒子の透過電子顕微鏡写真をそれぞれ順に図3〜9に示す。
【0058】
なお、図4は、実施例2で得られたアルミニウム微粒子が空気中の酸素と接触することによって酸化することを防止するために、カーボンコートが施されたアルミニウム微粒子の透過電子顕微鏡写真である。図6、図8および図9は、それぞれ順に、実施例4で得られた鉄微粒子を空気中に取り出すことによって酸化したときの鉄微粒子の透過電子顕微鏡写真、実施例6で得られたコバルト微粒子を空気中に取り出すことによって酸化したときのコバルト微粒子の透過電子顕微鏡写真および実施例8で得られたニッケル微粒子を空気中に取り出すことによって酸化したときのニッケル微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【0059】
表1および図3〜9に示された結果から、各実施例によれば、アーク放電を使用しなくても、粒度分布の幅が狭く、均一な粒子径を有する無機微粒子が得られることがわかる。
【0060】
実施例9〜15
図2に示される無機微粒子の製造装置を用いた。より具体的には、チャンバー2(石英ガラス製、外径:160mm、高さ:330mm)内に、無機材料として、表2に示す貴金属粉末(平均粒子径:数μm)を表2に示す量で無機材料保持体1としてカーボンボート(長さa:50mm、無機材料を保持する箇所における幅b:3mm、断面形状:V字状)に入れ、このカーボンボートをチャンバー2の底面から140mmの位置に、ステンレス鋼(SUS304)製の導電性懸架材A3および導電性懸架材B4で懸架した。
【0061】
次に、減圧管5からチャンバー2内の空気を排気し、チャンバー2の内圧が1.0×10−4Paとなるまで減圧した後、不活性ガスとして二酸化炭素ガスを不活性ガス導入管6から導入し、チャンバー2の内圧を10000Paとなるように調整した。その後、導電性懸架材A3と導電性懸架材B4との間に、50Aの電流値および30Vの電圧を有する交流電流を30秒間印加した。その結果、チャンバー2内には、煙状の貴金属微粒子が生成し、チャンバー2の内壁に付着した。
【0062】
不活性ガス導入管6から空気を導入することにより、チャンバー2の内圧を大気圧にまで戻した後、チャンバー2の内壁などに付着した無機微粒子を回収し、その物性として、貴金属微粒子の粒度分布および平均粒子径を実施例1と同様の方法で調べた。その結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
次に、実施例9〜15で得られた炭素被覆金属微粒子の透過電子顕微鏡写真をそれぞれ順に図10〜16に示す。
【0065】
表2および図10〜16に示された結果から、実施例9〜15によれば、アーク放電を使用しなくても、粒度分布の幅が比較的狭く、均一な粒子径を有する無機微粒子が得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の無機材料保持体の一実施態様を示す概略説明図である。
【図2】本発明の無機微粒子の製造装置の一実施態様を示す概略説明図である。
【図3】本発明の実施例1で得られた銀微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の実施例2で得られたアルミニウム微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の実施例3で得られた金微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例4で得られた鉄微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の実施例5で得られた炭素微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図8】本発明の実施例6で得られたコバルト微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図9】本発明の実施例8で得られたニッケル微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図10】本発明の実施例9で得られた金微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図11】本発明の実施例10で得られた銀微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図12】本発明の実施例11で得られた白金微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図13】本発明の実施例12で得られたロジウム微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図14】本発明の実施例13で得られたルテニウム微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図15】本発明の実施例14で得られた白金−ロジウム微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図16】本発明の実施例15で得られた白金−ルテニウム微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0067】
1 無機材料保持体
2 チャンバー
3 導電性懸架材A
4 導電性懸架材B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機微粒子を製造する方法であって、無機微粒子の原料である無機材料をチャンバー内で懸架し、該チャンバー内を10−5〜10−3Paに減圧し、不活性ガスを該チャンバー内に導入して該チャンバー内の圧力を100〜50000Paに調整した後、前記無機材料を通電加熱することを特徴とする無機微粒子の製造方法。
【請求項2】
無機材料が貴金属またはその合金からなり、不活性ガスとして二酸化炭素ガスを用いる請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
炭素からなる無機材料保持体を用いてチャンバー内で無機材料を懸架し、該無機材料保持体を通電加熱する請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
無機材料が炭素または金属からなり、不活性ガスとしてヘリウムガスまたはアルゴンガスを用いる請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
炭素からなる無機材料を直接通電加熱する請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
タングステン、モリブデンまたはタンタルからなる無機材料保持体を用いてチャンバー内で金属からなる無機材料を懸架し、該無機材料保持体を通電加熱する請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
無機微粒子を製造するための製造装置であって、無機微粒子を製造するためのチャンバーが外部空間と遮断して設けられ、無機材料を懸架し、通電加熱するための導電性懸架材Aおよび導電性懸架材Bが該チャンバー内で懸架され、チャンバーの内部空間を減圧するための減圧管およびチャンバーの内部空間に不活性ガスを導入するための不活性ガス導入管がそれぞれチャンバーの内部空間と接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法に用いられる無機微粒子の製造装置。
【請求項1】
無機微粒子を製造する方法であって、無機微粒子の原料である無機材料をチャンバー内で懸架し、該チャンバー内を10−5〜10−3Paに減圧し、不活性ガスを該チャンバー内に導入して該チャンバー内の圧力を100〜50000Paに調整した後、前記無機材料を通電加熱することを特徴とする無機微粒子の製造方法。
【請求項2】
無機材料が貴金属またはその合金からなり、不活性ガスとして二酸化炭素ガスを用いる請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
炭素からなる無機材料保持体を用いてチャンバー内で無機材料を懸架し、該無機材料保持体を通電加熱する請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
無機材料が炭素または金属からなり、不活性ガスとしてヘリウムガスまたはアルゴンガスを用いる請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
炭素からなる無機材料を直接通電加熱する請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
タングステン、モリブデンまたはタンタルからなる無機材料保持体を用いてチャンバー内で金属からなる無機材料を懸架し、該無機材料保持体を通電加熱する請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
無機微粒子を製造するための製造装置であって、無機微粒子を製造するためのチャンバーが外部空間と遮断して設けられ、無機材料を懸架し、通電加熱するための導電性懸架材Aおよび導電性懸架材Bが該チャンバー内で懸架され、チャンバーの内部空間を減圧するための減圧管およびチャンバーの内部空間に不活性ガスを導入するための不活性ガス導入管がそれぞれチャンバーの内部空間と接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法に用いられる無機微粒子の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−66547(P2009−66547A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238983(P2007−238983)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】
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