説明

無端状部材駆動装置および画像形成装置

【課題】無端状部材の配置によらず無端状部材を支持する回転支持部材の位置を決めること。
【解決手段】無端状部材(B)を支持する回転支持部材(Rj)と、前記回転支持部材(Rj)を回転可能に支持すると共に前記無端状部材(B)に張力を発生させる張架方向に対して交差する方向に前記回転支持部材(Rj)を移動可能に支持する軸受部(18)と、前記回転支持部材(Rj)を位置決めする位置決め部(18a)と、を備え、前記無端状部材(B)の回転時に回転支持部材(Rj)に作用する前記張架方向に対して交差する方向の力により前記回転支持部材(Rj)を移動させて位置決めをする無端状部材駆動装置(BM)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状部材駆動装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無端状部材を備えた画像形成装置に関する技術として、下記の特許文献1〜3記載の技術が知られている。
特許文献1としての特開2006−162659号公報には、アイドルローラ(53)の端部に転写ベルト(51)のビード(58)が接触するプーリ(57)が回転可能に支持され、アイドルローラ(53)の回転軸を支持し且つプーリ(57)と接触する傾斜可能なローラ傾動レバー(64)を設けた構成において、転写ベルト(51)が片寄ると、プーリ(57)がビード(58)に押されて、接触するローラ傾動レバー(64)が傾斜することで、アイドルローラ(53)が転写ベルト(51)の片寄りを打ち消す方向に傾斜する技術が記載されている。
【0003】
また、特許文献1には、アイドルローラ(53)は、ベルトフレーム(61)に回転可能に支持されたアーム(63)に支持されており、転写ベルト(51)に張力を付与するスプリング(59)の力と、アーム(63)の回転とにより、死点を通過するとアイドルローラ(53)が元の位置に戻らなくなり、蛇行の補正が安定しないことがあったが、これに応じて、転写ベルト(51)の用紙(11)を保持する面を水平方向に配置し、水平方向端部に配置されたアイドルローラ(53)の回転軸(O2)を、アーム(63)の回転軸(63a)よりも下方に配置することで、アイドルローラ(53)等の自重で、アーム(63)を死点の下側に安定して移動させる技術が記載されている。
【0004】
特許文献2としての特開2001−80782号公報には、エンドレスベルト9aを支持する寄り補正ローラ9eの両端部の軸受部15a,15bを、リンク16a,16bを介して支持ブロック17a,17bで移動可能な状態で支持し、エンドレスベルト9aが片寄って寄る力が発生すると、エンドレスベルト9aの裏面に設けられたリブ19a,19bが補正ローラ9eに力を伝達してリンク16a,16bが傾斜することで、寄り補正ローラ9eが傾斜して片寄りを解消する技術が記載されている。
特許文献3としての特開平4−317936号公報には、寄り補正ローラ6の両端部を傾斜リンク17a,17bを介して、移動可能に支持し、感光体ベルト1が傾斜すると、傾斜リンク17a,17bが傾斜して、寄り補正ローラ6が、感光体ベルト1の片寄りを補正する方向に傾斜する技術が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−162659号公報(「0022」〜「0045」、「0098」〜「0104」、図3〜図13、図28〜図31)
【特許文献2】特開2001−80782号公報(「0039」〜「0062」、図1〜図3)
【特許文献3】特開平4−317936号公報(「0011」〜「0013」、図2、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、無端状部材の配置によらず無端状部材の蛇行を低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の無端状部材駆動装置は、
駆動力を受けて回転し表裏平面状で無端状の無端状部材と、
前記無端状部材を支持する回転支持部材と、
前記回転支持部材を回転可能に支持すると共に前記無端状部材に張力を発生させる張架方向に対して交差する方向に前記回転支持部材を移動可能に支持する軸受部と、前記回転支持部材を位置決めする位置決め部と、を有する軸受部材と、
を備え、
前記無端状部材の回転時に回転支持部材に作用する前記張架方向に対して交差する方向の力により前記回転支持部材を移動させて位置決めをする
ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無端状部材駆動装置において、
前記回転支持部材の回転軸に支持された被位置決め部と、
前記張架方向に対して交差する方向に延び且つ前記被位置決め部の外周に接触して支持することで、前記回転支持部材を移動可能に支持する孔部により構成された前記軸受部と、
前記孔部の前記回転支持部材移動方向の端面により構成された前記位置決め部であって、前記回転支持部材の回転軸の軸方向に対して、軸方向外側に行くほど回転軸の径方向外側に傾斜する傾斜面を有する前記位置決め部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の無端状部材駆動装置において、
前記張架方向に対して交差する方向に延びる楕円形状または長方形状、あるいは、円弧状の前記孔部、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の無端状部材駆動装置において、
前記回転支持部材の軸方向両端部に配置され、前記無端状部材が片寄った場合に前記無端状部材の端縁が接触する端縁接触部、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
前記技術的課題を解決するために、請求項5記載の画像形成装置は、
媒体を帯状の無端状部材表面に保持して搬送する媒体搬送装置により構成された請求項1ないし4のいずれかに記載の無端状部材駆動装置と、
前記媒体に可視像を形成する可視像形成装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記技術的課題を解決するために、請求項6記載の画像形成装置は、
可視像を形成させる可視像形成装置と、
前記可視像形成装置で形成された可視像を前記帯状の無端状部材により構成された中間転写体表面に転写させる一次転写器と、
前記中間転写体を備えた中間転写体駆動装置により構成された請求項1ないし4のいずれかに記載の無端状部材駆動装置と、
前記中間転写体表面の可視像を媒体に二次転写させる二次転写器と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、無端状部材の配置によらず無端状部材の蛇行を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合と比べて、位置決めされた回転支持部材で蛇行を低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合と比べて、容易に形成することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、端縁接触部で無端状部材の片寄りを検知することができ、無端状部材の片寄りに連動して回転支持部材を片寄った方向に移動させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、媒体を搬送する無端状部材の配置によらず無端状部材の蛇行を低減することができる。
請求項6に記載の発明によれば、中間転写体により構成された無端状部材の配置によらず無端状部材の蛇行を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2は本発明の実施例1のベルトモジュールの要部拡大斜視図である。
図3は図2のベルトモジュールにおいて媒体搬送ベルトを取り外した状態の説明図である。
図4はプリンタの要部説明図であり、図4Aは媒体搬送ベルトが回転していない状態の要部説明図、図4Bは媒体搬送ベルトが回転中の状態の要部説明図である。なお、図4では後側枠体等についての図示は省略する。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、画像が記録される媒体の一例としての記録媒体Sが収容される給紙容器TR1が下部に収容されており、上面には媒体排出部TRhが設けられている。また、プリンタUの左上部には操作部UIが設けられている。
実施例1のプリンタUは、画像形成装置本体U1と、画像形成装置本体U1の右側下端部に設けられた回転中心U2aを中心として開閉可能な開閉部U2を有する。前記開閉部U2は、現像剤の補給や故障した部材の交換や紙詰まりした記録媒体Sを除去するために画像形成装置本体U1の内部を開放する開放位置と、画像形成動作が実行される通常時に保持される閉塞位置との間を移動可能に構成されている。
【0017】
プリンタUは、プリンタUの各種制御を行う制御部Cと、制御部Cにより作動を制御される画像処理部GS、像書込装置駆動回路DL、および電源装置E等を有している。電源装置Eは、後述の帯電器の一例としての帯電ロールCRy,CRm,CRc,CRk、現像剤保持体の一例としての現像ロールG1y,G1m,G1c,G1kおよび転写器の一例としての転写ロールT1y,T1m,T1c,T1k等に電圧を印加する。
【0018】
前記画像処理部GSは、外部の画像情報送信装置等から入力された印刷情報を、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)の4色の画像に対応した潜像形成用の画像情報に変換して、所定のタイミングで像書込装置駆動回路DLに出力する。像書込装置駆動回路DLは、入力された各色の画像情報に応じて駆動信号を潜像書込装置ROSに出力する。前記潜像書込装置ROSは、駆動信号に応じて、各色の画像書き込み用の画像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkを出射する。
【0019】
図1において、前記潜像書込装置ROSの右方にはY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)の各色の可視像の一例としてのトナー像を形成する可視像形成装置の一例としてのプロセスカートリッジUY,UM,UC,UKが配置されている。
図1,図4において、K(黒)のプロセスカートリッジUKは回転する像保持体の一例としての感光体Pkを有する。前記感光体Pkの周囲には、帯電器の一例としての帯電ロールCRk、感光体Pk表面の静電潜像を可視像に現像する現像装置Gk、感光体Pk表面を除電する除電部材Jk、感光体Pk表面に残留した現像剤を除去する像保持体清掃器の一例としての感光体クリーナCLk等が配置されている。
【0020】
図1,図4において、前記感光体Pkは、帯電ロールCRkと対向する帯電領域Q1kで帯電ロールCRkにより表面を一様に帯電された後、潜像形成領域Q2kでレーザビームLkにより潜像が書き込まれる。書き込まれた静電潜像は現像装置Gkと対向する現像領域Qgkにおいて静電潜像が可視像化される。
実施例1の黒色のプロセスカートリッジUKは、感光体Pk、帯電ロールCRk、現像装置Gk、除電部材Jk、感光体クリーナCLk等が一体的に構成された着脱体により構成されており、開閉部U2を開放位置に移動した状態で画像形成装置本体U1に対して着脱可能に構成されている。
他の色のプロセスカートリッジUY,UM,UCも、黒色のプロセスカートリッジUKと同様に、画像形成装置本体U1に対して着脱可能に構成されている。
【0021】
図1〜図4において、前記感光体Py〜Pkの右方には、開閉部U2に支持された無端状部材駆動装置の一例であり且つ媒体搬送装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、無端状部材の一例としての媒体搬送ベルトBを有する。また、前記ベルトモジュールBMには、媒体搬送ベルトBを支持する駆動支持部材の一例としての駆動ロールRdと、回転支持部材の一例としての従動ロールRjとが支持されており、前記駆動ロールRdおよび従動ロールRjにより、媒体搬送ベルトBを回転可能に支持する保持搬送部材支持系の一例としてのベルト支持ロールRd+Rjが構成されている。また、前記ベルトモジュールBMには、各感光体Py〜Pkに対向して配置された転写器の一例としての転写ロールT1y〜T1kと、清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbとが支持されている。
【0022】
媒体搬送ベルトBの下方に配置された給紙容器TR1の記録媒体Sは、給紙部材Rpにより取り出され、記録媒体搬送路SHに搬送される。
記録媒体搬送路SHの記録媒体Sは、記録媒体搬送部材の一例としての媒体搬送ロールRaにより搬送され、給紙時期調整部材の一例としてのレジロールRrに送られる。レジロールRrは、所定のタイミングで、媒体搬送ベルトBに前記記録媒体Sを搬送され、前記媒体搬送ベルトB表面に保持されて上方に搬送される。
手差し給紙部TR0から給紙される場合、手差し給紙部材Rp1により給紙された記録媒体Sは、媒体搬送ロールRaにより前記レジロールRrに搬送され、媒体搬送ベルトBに搬送される。
【0023】
前記媒体搬送ベルトBに保持された記録媒体Sは、前記感光体Py〜Pkと接触する前記転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kを順次通過する。
前記転写領域Q3y〜Q3kにおいて媒体搬送ベルトBの裏面側に配置された転写ロールT1y〜T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから所定のタイミングでトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧が印加される。
多色画像の場合、前記各感光体Py〜Pk上のトナー像は前記転写ロールT1y〜T1kにより媒体搬送ベルトB上の記録媒体Sに重ねて転写される。また、単色画像、いわゆる、モノクロ画像の場合、感光体Pk上にK(黒)のトナー像のみが形成され、このK(黒)のトナー像のみが転写ロールT1kにより記録媒体Sに転写される。
トナー像転写後の感光体Py〜Pkは、除電領域Qjy〜Qjkで除電部材Jy〜Jkにより除電された後、清掃領域Q4y〜Q4kにおいて感光体クリーナCLy〜CLkにより表面に残留したトナーが回収されて清掃され、再び帯電ロールCRy〜CRkにより帯電される。
【0024】
前記トナー像が転写された記録媒体Sは、定着器の一例としての定着装置Fの加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとが圧接して形成する定着領域Q5で定着される。画像が定着された記録媒体Sは、案内部材の一例としてのガイドコロRgkにより案内されて、媒体排出部材の一例としての排出ロールRhから媒体排出部TRhに排出される。
記録媒体Sが離隔した後の前記媒体搬送ベルトBは、前記ベルトクリーナCLbにより清掃される。
両面印刷が行われる場合には、排出ロールRhが逆回転駆動して、切替部材GT1により媒体反転路SH2に記録媒体Sが搬送され、表裏が反転した状態でレジロールRrに再送される。
なお、実施例1の定着装置F、排出ロールRhの下側の駆動ロール、切替部材GT1、媒体反転路SH2の下側のガイド面は、一体化された交換可能な定着装置、いわゆる、定着ユニットU3により構成されている。また、排出ロールRhの上側の従動部材は、開閉部U2に支持されている。
【0025】
(ベルトモジュールの説明)
図2、図3においてベルトモジュールBMは媒体搬送ベルトBを支持する支持体の一例としての枠体1を有している。枠体1は、前側の前側枠体2と、後側の後側枠体3と、前記前側枠体2及び後側枠体3を連結する連結枠体4とを有している。前記連結枠体4は略平行に伸びる下側連結枠体4aおよび上側連結枠体4bを有しており、前記各連結枠体4a,4bは、前記前側枠体2および後側枠体3を連結している。
前記下側連結枠体4aおよび上側連結枠体4bは2枚の枠体間連結部材4c,4dにより連結されている。
【0026】
前記前側枠体2及び後側枠体3の上端部には、前記駆動ロールRdの駆動軸Rd1を回転可能に支持する駆動軸受6が支持されている。
図3において、2点鎖線で示すように前記前側枠体2及び後側枠体3の間には前記転写ロールT1k,T1c,T1m,T1yが前記駆動ロールRd下方に略平行に配置されており、回転可能且つ図示しないばねにより前記感光体Pk,Pc,Pm,Pyに押し当てられる方向に移動する力を受けながら支持されている。
前記前側枠体2、後側枠体3及び連結枠体4等により、実施例1の枠体1が構成されている。
【0027】
また、前記前側枠体2及び後側枠体3の下端には、軸受取付部の一例として、上下方向に延びる前後一対の軸受取付口2a,3aが形成されている。前記軸受取付口2a,3aには、軸受部材の一例として、前記従動ロールの従動軸Rj1を回転可能に支持する従動軸受7が上下方向に移動可能に支持されている。前記従動軸受7と、前記軸受取付口2a,3aの上端面との間には、張力付与部材の一例として、従動軸受7を下方に移動させる力を付与する張力バネ8が装着されている。
【0028】
図5は実施例1の従動ロールおよび従動軸受の要部説明図であり、図2のV−V線断面図であり、図5Aは媒体搬送ベルトが後側に寄った状態の説明図、図5Bは媒体搬送ベルトが前側に寄った状態の説明図である。
図5において、回転支持部材の一例としての実施例1の従動ロールRjは、支持部材本体の一例として、前記従動軸Rj1の軸方向中央部に配置され媒体搬送ベルトBを支持するロール本体11を有する。前記ロール本体11の両端部には、端縁接触部の一例であり且つ輪縁部材の一例としての円板状のフランジ12が支持されている。なお、実施例1の従動ロールRjでは、前記フランジ12どうしの間に媒体搬送ベルトBが支持され、フランジ12どうしの間隔は媒体搬送ベルトBの幅と同等、もしくはベルト幅よりも広く設定されている。
【0029】
前記従動軸Rj1は、フランジ12の軸方向両外側に大径部13が形成されており、大径部13の軸方向両端部に小径部14が形成されている。すなわち、実施例1の従動軸Rj1は、いわゆる段付きシャフトにより構成されている。
前記従動軸Rj1の小径部14には、被位置決め部の一例として、円板状の小軸受16が装着されている。前記小軸受16は、大径部13の外端部の段差部分に突き当てられた状態で位置決めされており、小軸受16の外側に配置された位置固定部材の一例としてのEリング17により軸方向に移動不能に支持されている。
【0030】
図2〜図5において、前記従動軸Rj1の両端部を支持する前記従動軸受7は、媒体搬送ベルトBを張架する張力バネ8により張力を発生させる方向である上下方向に対して、交差する方向である左右方向に延びる軸受部18を有する。実施例1の軸受部18は、張力発生方向である上下方向に直交する左右方向に延びる長孔により構成されており、前記長孔の短径が前記小軸受16の外形に対応して形成されており、長径が小軸受16の外形よりも長く形成されている。なお、実施例1では、軸受部18は長孔形状に形成されているが、形状は長孔形状に限定されず、例えば、左右方向に延びる長方形状とすることも可能であり、また直交、すなわち90°に限定されず、90°近傍の任意の角度に設定可能である。
図5において、長孔により構成された前記軸受部18の左端面には、小軸受16が接触して従動ロールRjの位置決めを行う位置決め部の一例としての位置決め面18aが形成されている。図5において、前記位置決め面18aは、従動ロールRjの従動軸Rj1の軸方向に対して、軸方向外側に行くほど従動軸Rj1の径方向外側である左側に傾斜する傾斜面により構成されている。すなわち、実施例1では、軸方向から見た場合に、軸方向外側に行くに連れて、長孔の長径が長くなっている前記軸受部18により構成されている。
【0031】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた無端状部材駆動装置の一例である実施例1のベルトモジュールBMでは、媒体搬送ベルトBが駆動されていない状態では、図4Aに示すように、従動軸受7の長孔状の軸受部18の内面に、小軸受16の外表面が接触した状態で、左右方向に移動自由な状態で支持されている。したがって、従動ローラRjが、軸受部18および小軸受16を介して、従動軸受7に左右方向に移動自由な状態で回転可能に支持されている。このとき、前記従動ローラRjは、張力バネ8により発生する媒体搬送ベルトBの張力により反発力を受けるため、反発力が小さくなる状態である従動ローラRjと駆動ローラRdとの距離が最も短くなった状態、すなわち、図4Aに示すように軸受部18の長孔の左右方向中央部近傍で停止した状態となる。
【0032】
前記媒体搬送ベルトBが回転駆動すると、媒体搬送ベルトBの回転に伴って発生するモーメントにより、従動ロールRjが左方に移動する力を受ける。このとき、図4Aに示す状態から、図4Bに示すように、従動軸受7に左右方向に移動自由な状態で支持された従動ロールRjは左方に移動する。そして、前記従動ロールRjは、小軸受16が軸受部18の左端面の位置決め面18aに突き当てられた状態で停止し、位置決めされる。したがって、前記媒体搬送ベルトBの回転中は、従動ロールRjは、位置決め面18aに位置決めされた状態で媒体搬送ベルトBを支持し、媒体搬送ベルトBの回転に伴って従動回転する。
【0033】
図5において、前記媒体搬送ベルトBが回転中に、駆動ロールRdと従動ロールRjとの間の平行度等により幅方向に片寄ったり、蛇行したりすることがある。図5Aにおいて、媒体搬送ベルトBが後方に片寄ると、媒体搬送ベルトBの後端縁が後側のフランジ12に接触し、従動ロールRjが後側に押される力を受ける。これに伴って従動ロールRjが軸方向後方に移動すると、小軸受16と位置決め面18aとの接触位置が後方にずれる。このとき、実施例1では、小軸受16が突き当てられる位置決め面18aが、軸方向外側に行くに連れて左側に傾斜する傾斜面により構成されているため、従動ロールRjの軸方向後方への移動により、図5Bに示すように、軸方向前側が軸方向後側に比べて右方に傾斜した状態となる。図5Bに示す状態では、媒体搬送ベルトBが前方に移動する力を受けるため、媒体搬送ベルトBの片寄りが補正される。逆に、図5Bの状態において、媒体搬送ベルトBが前側に片寄って、前側にフランジ12に媒体搬送ベルトBの前端縁が接触すると、従動ロールRjが前方に移動して、片寄りを補正するように傾斜する。
【0034】
したがって、実施例1のベルトモジュールBMでは、媒体搬送ベルトBの回転を利用して、従動ロールRjの位置が所定の位置に確実に位置決めされると共に、傾斜面により構成された位置決め面18aに媒体搬送ベルトBの回転を利用して押し当てられた状態で、従動ロールRjが軸方向に移動して片寄りが補正される。すなわち、従来技術では、回転移動するアームに支持された場合には、所定の位置に位置決めするために所定の位置側に付勢するバネを使用する必要があったり、重力を利用する場合には媒体搬送ベルトBの搬送面を水平にする必要がある等の配置の制約があったが、これらの場合に比べて、実施例1では、配置によらず媒体搬送ベルトB自体の回転力を利用して所定の位置に位置決めがされると共に、バネ等の部品点数が削減されている。
【0035】
また、従来のベルト搬送装置の場合、軸の平行度等の軸の位置決め精度によりベルトの蛇行量が変化しベルトに対する負荷が左右されてしまい、部品精度にて軸間の平行度等を保つ必要性があったり、場合によっては組み立て時にベルトの軸上の位置を調整する必要性がでてくるため、組み立て治具等が必要になっていた。これに対して、実施例1では、初期状態で軸Rd,Rjが傾いていようが、媒体搬送ベルトBの従動軸Rj上の位置がどこにあろうが、一旦駆動を開始すると媒体搬送ベルトBの蛇行が止まる釣り合い位置に媒体搬送ベルトBが必ず向かう特性を有する。したがって、実施例1のベルトモジュールBMでは、従来技術に比べて、高精度の軸の位置決め精度や、組み立て時の精度も必要がない構成になっている。
【実施例2】
【0036】
図6は実施例2の従動ロールおよび従動軸受の要部説明図であり、実施例1の図5に対応する図であり、図6Aは媒体搬送ベルトが後側に寄った状態の説明図、図6Bは媒体搬送ベルトが前側に寄った状態の説明図である。
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図6において、実施例2の画像形成装置では、前側の従動軸受7′のみに傾斜面が形成されており、後側の従動軸受7″には、傾斜面が形成されておらず、軸方向に沿って形成された位置決め面18a″を有する長孔18′により構成されている。このとき、前記位置決め面18a″の従動ロールRj移動方向の位置は、前側従動軸受7′の傾斜面18a′の軸方向中央部の位置に対応して形成されている。
【0037】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の画像形成装置では、実施例1と同様に、媒体搬送ベルトBの回転力を利用して、小軸受16が位置決め面18a′,18″に突き当てられて従動ローラRjの位置が位置決めされる。また、図6Aに示すように前記媒体搬送ベルトBが後側に片寄ると、従動ローラRjが突き当てられて位置決めされたまま軸方向に移動し、図6Bに示す状態となって片寄りが補正されると共に、図6Bに示すように媒体搬送ベルトBが前側に片寄ると、従動ローラRjが軸方向に移動して図6Aの状態となり、片寄りが補正される。
【実施例3】
【0038】
図7は実施例3の画像形成装置の全体説明図である。
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図7において、実施例3の画像形成装置の一例としてのデジタルカラー複写機Uは、画像記録装置の一例としてのプリンタ部U1′、画像読取り装置の一例としてのイメージスキャナU2′、自動原稿搬送装置U3′を有している。
前記自動原稿搬送装置U3′は、イメージスキャナU2′上面の透明な原稿台の一例としてのプラテンガラスPG上に支持されている。
前記自動原稿搬送装置U3′は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて載置される原稿給紙部の一例としての原稿給紙トレイTG1を有している。前記原稿給紙トレイTG1に載置された複数の各原稿Giは順次プラテンガラスPG上の複写位置を通過して、原稿排出部材の一例としての原稿排出ロールGR2から、原稿排出部の一例としての原稿排紙トレイTG2に排出されるように構成されている。
前記自動原稿搬送装置U3′は、その後端部に設けた左右方向に延びる回転軸により前記プラテンガラスPG上面に対して回動可能であり、手動原稿読取り時に原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置く場合に上方に回動される。
前記イメージスキャナU2′は、利用者が複写開始等の作動指令信号を入力操作する操作部UIを有している。
前記透明なプラテンガラスPGの下方には原稿画像を読み取るための露光光学系Aが配置されている。
【0039】
前記自動原稿搬送装置U3′でプラテンガラスPG上面に搬送されて前記複写位置を通過する原稿または手動でプラテンガラスPG上に置かれた原稿からの反射光は、前記露光光学系Aを介して、固体撮像素子CCDで電気信号に変換される。
画像処理部IPSは、固体撮像素子CCDから入力される電気信号を画像情報に変換して一時的に記憶し、前記画像情報を所定の時期に潜像形成用の画像情報として、潜像形成装置駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路DLに出力する。
レーザ駆動回路DLは、入力された画像情報に応じて駆動信号を潜像形成装置ROSに出力する。なお、前記操作部UI、画像処理部IPSおよびレーザ駆動回路DLと、後述の現像ロールR0、1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1k、2次転写ロールT2b等にバイアス電圧を印加する電源回路E等の動作は制御部Cにより制御される。
前記画像処理部IPSが出力するYMCKの4色の画像情報が入力されたレーザ駆動回路DLは、入力された前記各色の画像情報に応じた各色の駆動信号を所定の時期に、各色の潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSk,に出力する。
【0040】
像保持体の一例としての感光体Py,Pm,Pc,Pkは、それぞれ、耐電部材の一例としての帯電ロールCRy,CRm,CRc,CRkにより一様に帯電された後、前記各色の潜像形成装置ROSy〜ROSkの出力する潜像書き込み光Lによりその表面に静電潜像が形成される。前記感光体Py,Pm,Pc,Pk表面の静電潜像はそれぞれ、各現像器Gy,Gm,Gc,Gkと対向する現像領域において、可視像の一例としての各色YMCKのトナー像に現像される。前記各色の現像器Gy,Gm,Gc,Gkの現像容器Vには、現像剤収用容器の一例としてのトナーカートリッジTy〜Tkから各色の現像剤が補給される。
前記感光体Py,Pm,Pc,Pk表面に現像された各色YMCKのトナー像は、前記各感光体Py,Pm,Pc,Pkと、無端状部材の一例であり且つ中間転写体の一例としての中間転写ベルトB′とが接触する1次転写領域Q3に搬送される。前記各1次転写領域Q3において中間転写ベルトB′の裏面側に配置された一次転写器の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから所定の時期に現像剤の帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。前記各感光体Py〜Pk上のトナー像は前記各1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kに対向する1次転写領域Q3において中間転写ベルトB′に順次重ねて1次転写される。1次転写後の感光体Py,Pm,Pc,Pk表面の残留現像剤は、像保持体清掃器の一例としての感光体クリーナCLpで除去される。
前記各感光体Py〜Pk、各色の潜像形成装置ROSy〜ROSk、各色の現像器Gy〜Gkによって、前記各感光体Py〜Pk上に各色のトナー像を形成する可視像形成装置の一例として、各色のトナー像形成装置UY,UM,UC,UKが構成される。
【0041】
前記各色の感光体Py,Pm,Pc,Pkの下方には左右一対の案内部材の一例としてのスライドレールSR,SRにより、被案内枠体の一例としてのスライドフレームF1が前後方向に移動可能に支持されている。前記スライドフレームF1には、実施例3の無端状部材駆動装置の一例であり且つ中間転写体駆動装置の一例としてのベルトモジュールBM′の支持枠体であるベルトフレームF2が支持されている。前記ベルトフレームF2は、中間転写ベルトB′が感光体Py〜Pkに接触する上昇した動作位置と、中間転写ベルトB′が感光体Py〜Pkから下方に離れた保守位置の一例としてのメンテナンス位置との間で昇降可能に支持されている。前記ベルトモジュールBM′がメンテナンス位置に下降した状態では、前記スライドフレームF1およびこれに支持されたベルトモジュールBM′を、前記感光体Py〜Pkと摩擦接触させることなく、プリンタ部U1′に対して出入させることができるように構成されている。
前記スライドフレームF1を前後移動させる構成およびベルトモジュールBM′を昇降させる構成は、例えば、特開平8−171248号公報に記載されていて従来公知であり、従来公知の種々の構成を採用することが可能である。
【0042】
前記ベルトモジュールBM′は、前記中間転写ベルトB′と、駆動支持部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、張力付与部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としての複数のアイドラロールRfおよび二次転写対向部材の一例としてのバックアップロールT2aを含むベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aと、前記4個の1次転写ロールTy,Tm,Tc,Tkとを有している。そして、前記中間転写ベルトB′は前記ベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。すなわち、実施例3では、ベルトモジュールBM′は、無端状部材を支持する回転支持部材の一例として、ベルト駆動ロールRd、テンションロールRt、ウォーキングロールRw、複数のアイドラロールRfおよびバックアップロールT2aを有する。
【0043】
前記バックアップロールT2aに接する中間転写ベルトB′の表面に対向して、二次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bが配置されており、中間転写ベルトB′および2次転写ロールT2bの対向する領域には2次転写領域Q4が形成される。前記2次転写ロールT2bには制御部Cにより制御される電源回路Eから所定の時期に現像剤の帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。前記2次転写ロールT2bに対向して配置された前記バックアップロールT2aは接地されており、前記2次転写ロールT2bに2次転写電圧が印加されたときには、前記2次転写ロールT2bおよびバックアップロールT2a間には2次転写電界が形成される。前記バックアップロールT2aおよび2次転写ロールT2bにより2次転写器T2が構成される。
前記4個の1次転写ロールTy,Tm,Tc,Tkおよび中間転写ベルトB′を含むベルトモジュールBM′と、2次転写器T2等により、トナー像形成装置UY,UM,UC,UKの感光体Py〜Pk表面に形成されたトナー像を記録媒体Sに転写する転写装置BM′+T2が構成されている。
【0044】
前記プリンタ部U1′の下部には、記録媒体Sを収容した給紙容器TR1〜TR3および給紙用媒体搬送路SH1が設けられている。また、前記給紙用媒体搬送路SH1には手差給紙部TR4から給紙できるように構成されている。前記給紙容器TR1〜TR3に収容された記録媒体Sは、所定の時期に取出部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、捌き部材の一例としてのさばきロールRsで1枚づつ分離されて、搬送部材の一例としての複数の搬送ロールRaにより、給紙時期調整部材の一例としてのレジロールRrに搬送される。また、手差給紙部TR4から給紙された記録媒体Sは搬送ロールRaによりレジロールRrに搬送される。前記レジロールRrに搬送された記録媒体Sは、前記中間転写ベルトB′に1次転写された多重トナー像または単色トナー像が2次転写領域Q4に移動するのに時期を合わせて、2次転写領域Q4に搬送される。
前記2次転写領域Q4を記録媒体Sが通過する際、2次転写ロールT2bに前記2次転写電圧が印加されるので、前記中間転写ベルトB′に重ねて1次転写されたカラートナー像は、前記2次転写領域Q4において一括して記録媒体Sに2次転写される。
2次転写後の中間転写ベルトB′は、無端状部材清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbにより残留現像剤が除去される。
【0045】
トナー像が2次転写された前記記録媒体Sは、転写後案内部材SG、媒体搬送部材HBにより定着装置Fに搬送される。定着装置Fは、一対の圧接する加圧定着部材の一例としての加熱ロールFh、および、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpを有しており、前記加熱ロールFhおよび加圧ロールFpの接触領域により定着領域Q5が形成されている。前記記録媒体S上のトナー像は前記定着領域Q5を通過する際に、加熱定着される。トナー像が定着された記録媒体Sは、排出用媒体搬送路SH2または両面記録用媒体搬送路SH3に搬送される。排出用媒体搬送路SH2に搬送された記録媒体Sは、媒体排出部の一例としての排紙トレイTRhに排出され、両面記録用媒体搬送路SH3に搬送された記録媒体Sは表裏反転されてから前記レジロールRrに再送される。
前記符号Rp,Rs,Ra,Rr,SG,HB,SH1,SH2,SH3等で示された要素により搬送装置SHが構成されている。
前記符号SH1,SH2,SH3で示された要素により媒体搬送路SH1〜SH3が構成されている。また、前記符号Rp,Rs,Ra,Rr,HB等で示された要素により媒体搬送部材Rp,Rs,Ra,Rr,HBが構成されている。
【0046】
図7において、実施例3の画像形成装置Uでは、前記ウォーキングロールRwが、実施例1の従動ロールRjと同様に構成されている。
【0047】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の画像形成装置Uでは、無端状部材の一例としての中間転写ベルトB′を支持し且つ蛇行を防止するウォーキングロールRwが、中間転写ベルトB′の回転力を利用して、確実に位置決めされる。また、前記中間転写ベルトB′が片寄ると、実施例1と同様に、ウォーキングロールRwが片寄りを補正する方向に傾斜して片寄りが補正される。
【0048】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H06)を下記に例示する。
(H01)前記各実施例において、画像形成装置の一例としてのプリンタや複写機を例示したが、これに限定されず、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、実施例1の媒体搬送ベルトは、電子写真方式の画像形成装置に限定されず、インクジェット記録方式やサーマルヘッド方式等をはじめリソグラフ等の印刷機など、任意の画像形成方式の画像形成装置に適用可能である。また、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆる、モノクロの画像形成装置により構成することも可能である。更に、任意の画像形成方式の画像形成装置に留まらず、完成品や部品等の商品、本やDVDや衣類等の配達物、工事現場や建設現場で取り扱われる資材や廃材等の運送物など、任意の物品を運ぶための無端状部材、いわゆるベルトコンベア状の装置に適用できることはいうまでもない。
【0049】
(H02)前記実施例において、無端状部材の一例として媒体搬送ベルトBと中間転写ベルトB′を例示したが、これに限定されず、例えば、ベルト状の感光体や、ベルト状の定着装置等の位置決めをする必要があり、片寄りの発生する可能性のある無端状部材に適用可能である。
(H03)前記実施例において、回転支持部材として、無端状部材の蛇行を防止する機能を有する従動ロールRjおよびウォーキングロールRwを例示したが、この構成に限定されず、蛇行を防止する機能を有しない構成、例えば、軸方向両端を支持する軸受部材を、実施例2の後側の軸受部材7″とすることも可能であり、実施例3のテンションロールRtやアイドラロールRf等に適用することも可能である。
【0050】
(H04)前記実施例において、従動ロールRjの軸受部材7が張力バネ8で付勢される構成、すなわち、媒体搬送ベルトに張力を付与する機能を有する従動ロールRjを例示したが、この構成に限定されず、張力を付与する機能を有しない回転支持部材に適用可能である。
(H05)前記実施例において、軸受部18の形状を長孔状の場合を例示したが、例えば、駆動軸Rdを中心とする円弧状として、従動軸Rjが駆動軸Rdに対して振り子のように移動可能に構成したり、傾斜する長方形状等、任意の形状とすることが可能である。
【0051】
(H06)前記実施例において、端縁接触部の一例として、輪縁状、円板状のフランジ12を例示したが、この構成に限定されず、例えば、従動軸Rj1にフランジ12に対応する大径の端縁接触部の一例としての段部を形成した、いわゆる段付きシャフトとすることも可能であり、従動軸にフランジ12を圧入したり、回転可能に支持したり等、任意の構成を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は本発明の実施例1のベルトモジュールの要部拡大斜視図である。
【図3】図3は図2のベルトモジュールにおいて媒体搬送ベルトを取り外した状態の説明図である。
【図4】図4はプリンタの要部説明図であり、図4Aは媒体搬送ベルトが回転していない状態の要部説明図、図4Bは媒体搬送ベルトが回転中の状態の要部説明図である。
【図5】図5は実施例1の従動ロールおよび従動軸受の要部説明図であり、図2のV−V線断面図であり、図5Aは媒体搬送ベルトが後側に寄った状態の説明図、図5Bは媒体搬送ベルトが前側に寄った状態の説明図である。
【図6】図6は実施例2の従動ロールおよび従動軸受の要部説明図であり、実施例1の図5に対応する図であり、図6Aは媒体搬送ベルトが後側に寄った状態の説明図、図6Bは媒体搬送ベルトが前側に寄った状態の説明図である。
【図7】図7は実施例3の画像形成装置の全体説明図である。
【符号の説明】
【0053】
7,7′,7″…軸受部材、
16…被位置決め部、
18,18′,18″…軸受部,孔部、
18a,18a′,18a″…位置決め部,傾斜面、
B,B′…無端状部材、
B′…中間転写体、
BM…媒体搬送装置、
BM,BM′…無端状部材駆動装置、
BM′…中間転写体駆動装置、
Rj,Rw…回転支持部材、
S…媒体、
T1y,T1m,T1c,T1k…一次転写器、
T2…二次転写器、
U…画像形成装置、
UY,UM,UC,UK…可視像形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を受けて回転し表裏平面状で無端状の無端状部材と、
前記無端状部材を支持する回転支持部材と、
前記回転支持部材を回転可能に支持すると共に前記無端状部材に張力を発生させる張架方向に対して交差する方向に前記回転支持部材を移動可能に支持する軸受部と、前記回転支持部材を位置決めする位置決め部と、を有する軸受部材と、
を備え、
前記無端状部材の回転時に回転支持部材に作用する前記張架方向に対して交差する方向の力により前記回転支持部材を移動させて位置決めをする
ことを特徴とする無端状部材駆動装置。
【請求項2】
前記回転支持部材の回転軸に支持された被位置決め部と、
前記張架方向に対して交差する方向に延び且つ前記被位置決め部の外周に接触して支持することで、前記回転支持部材を移動可能に支持する孔部により構成された前記軸受部と、
前記孔部の前記回転支持部材移動方向の端面により構成された前記位置決め部であって、前記回転支持部材の回転軸の軸方向に対して、軸方向外側に行くほど回転軸の径方向外側に傾斜する傾斜面を有する前記位置決め部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の無端状部材駆動装置。
【請求項3】
前記張架方向に対して交差する方向に延びる楕円形状または長方形状、あるいは、円弧状の前記孔部、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の無端状部材駆動装置。
【請求項4】
前記回転支持部材の軸方向両端部に配置され、前記無端状部材が片寄った場合に前記無端状部材の端縁が接触する端縁接触部、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無端状部材駆動装置。
【請求項5】
媒体を帯状の無端状部材表面に保持して搬送する媒体搬送装置により構成された請求項1ないし4のいずれかに記載の無端状部材駆動装置と、
前記媒体に可視像を形成する可視像形成装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
可視像を形成させる可視像形成装置と、
前記可視像形成装置で形成された可視像を前記帯状の無端状部材により構成された中間転写体表面に転写させる一次転写器と、
前記中間転写体を備えた中間転写体駆動装置により構成された請求項1ないし4のいずれかに記載の無端状部材駆動装置と、
前記中間転写体表面の可視像を媒体に二次転写させる二次転写器と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−237080(P2009−237080A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80883(P2008−80883)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】