説明

無線アダプタ

【課題】電池駆動のブルートゥース無線機器の場合、ブルートゥース無線の接続自体は常に維持している為、電池の消費を完全に抑えることが出来ないという課題があった。
【解決手段】特小無線の親子機間の通信を実施している際は、その通信内容によりブルートゥース回路を完全に停止し、無線機器の電池寿命をより延ばす構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス、水、電気等のメータによる検針データを無線により伝達する無線アダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ガスの使用量を計測するガスメータに、無線による検針のシステムが導入され、普及している。
【0003】
このシステムにおいて、ガスメータからの検針データを無線子機から無線データとして無線親機へ送信し、この無線データを受信した無線親機は接続されたハンディターミナルへ検針データとして送信する装置も考案されている。この装置において、無線親機とハンディターミナルとの接続は、ブルートゥース規格に従った無線通信で行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、この様なブルートゥース規格に従った無線装置を装備する機器は電池駆動機器である事が多々あり、その様な場合、電池の消費を少しでも抑える為、電池の残量に応じてブルートゥース無線回路を低消費電力モードに移行させるようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−348377号公報
【特許文献2】特開2006−254317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の文献による無線機器の場合、ブルートゥース無線の接続自体は維持している為、ブルートゥース無線回路は動作し続け、電池の消費を完全に抑えることが出来ないという課題があった。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、無線親子機間の通信を実施している際は、その通信内容によりブルートゥース回路を完全に停止し、機器の電池寿命をより延ばすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
電池で駆動される無線アダプタにおいて、ハンディターミナルとの通信用のブルートゥース回路と、無線子機との通信用の特小無線回路と、前記特小無線回路の通信時間を予測する予測手段と、二つの回路を制御する制御部とを備え、前記制御部は、特小無線回路動作時は前記予測手段により想定される通信時間に応じてブルートゥース無線回路の電源を切断する制御をするようにした無線アダプタである。
【発明の効果】
【0009】
予測手段を備えたことにより、ブルートゥース無線回路の再接続に要するタイムロスを回避することができ、これによって、ブルートゥース無線回路の電源を切断することができるという特有の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における無線アダプタのシステム図
【図2】本発明の実施の形態1における無線アダプタの構成図
【図3】本発明の実施の形態1における特小無線の通信時間(メータ1台)を示す図
【図4】本発明の実施の形態1における特小無線の通信時間(メータ複数台)を示す図
【図5】本発明の実施の形態2における無線アダプタの構成図
【図6】本発明の実施の形態3における無線アダプタの構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の電池で駆動される無線アダプタは、ハンディターミナルとの通信用のブルートゥース回路と、無線子機との通信用の特小無線回路と、前記特小無線回路の通信時間を予測する予測手段と、二つの回路を制御する制御部とを備え、前記制御部は、特小無線回路動作時は前記予測手段により想定される通信時間に応じてブルートゥース無線回路の電源を切断する制御をするようにしたものである。
【0012】
これにより、ブルートゥース無線回路の接続維持に要していた電流消費を削減することができる。
【0013】
また、前記予測手段の結果に応じて、前記ブルートゥース無線回路の電源の入り切りを前記制御部が行うようにしたものである。
【0014】
これにより、頻繁なブルートゥース無線回路の電源入り切りを回避しながらも、電流消費を削減することができる。
【0015】
次に、前記ブルートゥース無線回路の電源を切断した際、再度接続に要する時間を演算し、演算結果時間分を前倒しして電源投入を前記制御部が行うようにしたものである。
【0016】
これにより、ブルートゥース無線の通信接続に影響を与えることなく、電流消費を削減することができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態における無線アダプタのシステム図である。図1において、1はハンディターミナル、2はブルートゥース回路(ハンディターミナル内蔵)、3は無線アダプタ、4はブルートゥース回路(無線アダプタ内蔵)、5は特小無線回路、6は無線子機、7はガスメータである。
【0019】
図2は本発明の実施の形態における無線アダプタの構成図である。図2において、8は電池、9は予測手段、10は制御部である。
【0020】
図3、図4は、予測手段が想定する特小無線の通信時間を示す図であり、図3は子機個別通信時を表し、図4はn台の子機への一括通信時を表す。
【0021】
以下、図1、図2及び図3、図4を参照しながら本発明の無線アダプタの動作について説明する。
【0022】
ハンディターミナル1よりガスメータ7の検針を行う場合、まずハンディターミナル1は内臓のブルートゥース回路2を動作させ、無線アダプタ3内蔵のブルートゥース回路4
との接続を完了させる。接続後、検針データの子機への要求信号を無線アダプタ3へ送ることにより、無線アダプタ3は特小無線回路5により無線子機6へ検針データ要求信号を送信し、この信号を受信した無線子機6はガスメータ7との通信より検針データを取り込み、ここまでとは逆の経路によりハンディターミナル1へ検針データが送られる。
【0023】
無線アダプタ3は電池8で駆動され、ブルートゥース回路4と特小無線回路5の二つの無線回路を内臓し、それぞれの動作を制御部10がコントロールしている。また、予測手段9は、制御部10が特小無線回路5を駆動する条件に応じて特小無線に要する所要時間を算出し、その結果を制御部10へフィードバックする。そして、制御部10は、この結果よりブルートゥース回路4への電源供給の切断時間を決定する。
【0024】
1台のガスメータの検針データを取り込みたい場合には、図3に示す様に、特小無線による無線子機個別通信を実施する。この時、無線アダプタ3は、まず無線子機6の呼び出し(t1時間)を行い、無線子機6からの確認応答(t2時間)を待つ。確認応答が受信できたなら、改めてメータ検針データ要求(t3時間)を送信する。メータ検針データ要求を受信した無線子機6は、ガスメータ7と通信し、検針データを無線子機6に取り込む(t4時間)。取り込んだ検針データは、無線子機6より無線アダプタ3へ送られ(t5時間)、無線アダプタ3はデータ受領確認の信号を無線子機6に送り(t6時間)、特小無線の通信が完了する。
【0025】
この様に、1台のガスメータの検針データ取り込みには、特小無線の通信時間として、「t1+t2+t3+t4+t5+t6=Ta」時間所要することが予測される。t1〜t6の各通信時間は、通信電文長より決まっている為一定であるが、実際の無線通信では外部からの影響で無線通信が妨げられることにより通信出来ない場合がある。この時は、通信を送った側がある一定時間受信待ちを行い、それでも受信データを受け取れない場合にはタイムアウト処理を行うが、この時間は正常に通信できるt1〜t6の各通信時間より遥かに長い為、特小無線の通信時間の最短所要時間としては「Ta」時間と予測できる。
【0026】
次に、複数台のガスメータの検針データを一斉に取り込みたい場合の動作について説明する。
【0027】
図4に示す様に、無線アダプタ3は、まず無線子機の一斉呼び出し(t7時間)を行う。無線子機がA〜Dの4台であった場合、一斉呼び出しを受けた無線子機はあらかじめ決められた順番に無線アダプタ3への検針データの応答を行う。それぞれ、無線子機Aからの検針データ応答(t8時間)、無線子機Bからの検針データ応答(t8時間)、無線子機Cからの検針データ応答(t8時間)、無線子機Dからの検針データ応答(t8時間)となる。
【0028】
この様に、各無線子機からの検針データ応答の時間は「t8」時間で一定である為、n台の無線子機の場合、ガスメータの検針データ取り込みには、特小無線の通信時間として、
「t7+t8×n=Tb」時間所要することが予測される。t8の通信時間は、通信電文長より決まっている為一定であるが、実際の無線通信では外部からの影響で無線通信が妨げられることにより通信出来ない場合がある。この時は、通信出来ない無線子機は「受信不可」扱いとして認識し、受信可能な無線子機のみのデータを受け取る為、特小無線の通信時間の最短所要時間としては「Tb」時間と予測できる。
【0029】
以上までに述べた様に、無線アダプタ3は、1台のガスメータの場合には「Ta」時間、複数のガスメータの場合には「Tb」時間、特小無線回路5を動作させることによりガ
スメータの検針データを取り込んでいるが、この時間はそれぞれ予測可能であり、ハンディターミナル1に内臓のブルートゥース回路2と無線アダプタ3に内蔵のブルートゥース回路4とは無線通信を行っている必要がない為、接続を切ることが可能である。
【0030】
その為、無線アダプタ3内蔵の制御部10は、ブルートゥース回路4の電源を切ることにより、余計な電流消費を抑えることが出来る。
【0031】
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態における無線アダプタの構成図である。図5において、実施の形態1と異なる点は、さらに比較手段11を備えた点である。
【0032】
比較手段11は、無線アダプタ3に予め設定された時間「Td」と、予測手段9による予測結果である「Ta」もしくは「Tb」とを比較するものである。そして、比較手段11による比較結果により、Ta>Td、もしくは、Tb>Tdとなった場合には、制御部10は、ブルートゥース無線回路の電源を切断するように制御する。逆に、Ta<Td、もしくは、Tb<Tdとなった場合には、制御部10は、ブルートゥース無線回路の電源を切断しないように制御する。
【0033】
このように比較手段11を用いて制御部10に制御を行わせることによって、例えば、ガスメータの検針ではなく、無線アダプタ3と無線子機6との通信のみを行う場合など、特小無線の通信時間が明らかに短いと予測される場合には、制御部10はブルートゥース回路4の電源の切断を行わない様にすることができる。一方で、特小無線の通信時間が長いと予測される場合には一旦切断し、必要なタイミングで再度電源投入する。
【0034】
これにより、様々な状況にあわせて、接続に時間のかかるブルートゥース無線回路の頻繁な電源入り切りを回避しながらも、電流消費を削減することができる。
【0035】
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態における無線アダプタの構成図である。図6において、実施の形態1と異なる点は、さらに記憶手段12を備えた点である。
【0036】
記憶手段12は、実際のブルートゥース無線の接続に必要となった時間(実績)を記憶するものである。そして、記憶手段12に記憶された実績時間を用いて、制御部10は、予測手段9による予測結果である「Ta」もしくは「Tb」に対して補正をかける。すなわち、特小無線が終了してから改めてブルートゥース無線の接続を実施した場合、ブルートゥース無線の再接続の時間を待つ必要があるのに対し、実施の形態1で示したように特小無線通信の最短所要時間として定義されている「Ta」と「Tb」に、記憶手段12に記憶された実績時間を用いて、ブルートゥース回路4の電源の再投入時間(特小無線通信の最短所要時間を短縮補正)を決定し、特小無線の通信終了間際にブルートゥース無線の接続を完了しているようにする。
【0037】
このように、制御部10は、ブルートゥース回路4とハンディターミナル1内蔵のブルートゥース回路2との通常接続時間をデータとして認識することにより、ブルートゥース無線の接続時間を適切に切断することができる。そして、これらのデータに基づいて、特小無線の通信が終了する前よりブルートゥース回路4を動作させ、特小無線の通信後に遅延なくブルートゥース無線通信が出来る様に、あらかじめブルートゥース接続を完了させておくようにする。
【0038】
この様にすることで、ブルートゥース無線の通信接続に影響を与えることなく、電流消費を削減することができる。
【0039】
なお、本実施の形態では実施の形態1との違いで説明をしたが、実施の形態2と組み合わせて構成することもできる点はいうまでもない。実施の形態2における比較手段と記憶手段とを組み合わせることによって、より適切な制御ができるようになり、ブルートゥース無線の通信接続に影響を与えることなく、電流消費を削減することができる。
【0040】
また、以上のシステムは、ガスの自動検針だけでなく、水道や電気などの流量を検針するシステムであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように本発明にかかる無線アダプタは、特小無線の通信時間を予測して、ブルートゥース無線回路への電源を切断することにより、通信に影響を与えることなく、電池の消費を抑えることができる。
【0042】
また、ブルートゥース無線の再接続の為の時間を考慮して、ブルートゥース無線回路への電源を投入することにより、通信接続への影響もなくすことができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ハンディターミナル
2 ブルートゥース回路
3 無線アダプタ
4 ブルートゥース回路
5 特小無線回路
6 無線子機
7 ガスメータ
8 電池
9 予測手段
10 制御部
11 比較手段
12 記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池で駆動される無線アダプタにおいて、ハンディターミナルとの通信用のブルートゥース回路と、無線子機との通信用の特小無線回路と、前記特小無線回路の通信時間を予測する予測手段と、二つの回路を制御する制御部とを備え、前記制御部は、特小無線回路動作時は前記予測手段により想定される通信時間に応じてブルートゥース無線回路の電源を切断する制御をすることを特徴とする無線アダプタ。
【請求項2】
前記予測手段の結果に応じて、前記ブルートゥース無線回路の電源の入り切りを前記制御部が行うことを特徴とした請求項1記載の無線アダプタ。
【請求項3】
前記ブルートゥース無線回路の電源を切断した際、再度接続に要する時間を演算し、演算結果時間分を前倒しして電源投入を前記制御部が行うことを特徴とした請求項2記載の無線アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−178667(P2012−178667A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39785(P2011−39785)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】