説明

無線式防水型機器、無線式防水型機器用の設定器、及び無線システム

【課題】防水性能を満たしながらも、通信周波数の設定を行うことができること。
【解決手段】他の機器との間で、無線信号を送受信する送受信部と、前記送受信部を制御する制御部と、を備えた無線式防水型機器において、筐体内の密閉空間に収納され、前記筐体外部からの要因を検知して、操作信号を出力する操作信号出力手段を備え、前記制御部は、前記操作信号を入力したときに、無線式防水型機器の通信周波数として設定可能な通信周波数のうち、予め設定された通信周波数の送受信状態に前記送受信部を設定して、通信開始を示す無線信号を送信し、前記送受信部を介して、無線式防水型機器の通信周波数を指定する無線信号を受信すると、該指定された通信周波数の送受信状態に前記送受信部を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線式防水型機器、及び無線式防水型機器用の設定器、及び無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災報知設備として、感知器と火災受信機とを信号線を介して接続したものが一般的であったが、近年、一部を無線化した火災報知設備が提案されている。この火災報知設備は、火災受信機は、信号線を介して無線式中継器と接続され、一方、無線式感知器は、無線を介して無線式中継器と接続される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような無線式の火災報知設備において、無線式感知器と無線式中継器とは、互いに無線信号を送受信するための通信周波数を同一に設定する必要がある。従来、無線式感知器と無線式中継器とは、筐体の背面側に露出して設けられた通信周波数設定用スイッチを操作して、互いに同一の通信周波数に設定していた。また、無線式感知器と無線式中継器とは、筐体の背面側に電池が露出して設けられており、筐体の背面側に露出して設けられた電池接続用コネクタに電池のコネクタを接続することにより、電源が供給されて動作状態となり、この状態で壁面等に取り付けて火災監視を行うようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008―004037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、設置場所の環境によっては、無線式感知器として防水型のものを取り付ける必要がある。その場合、防水性能を満たすためには、通信周波数設定用スイッチや電池接続用コネクタ、電池を筐体から露出して設けることができず、露出して設けなくても、通信周波数の設定や電源供給を行えることが望まれている。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、防水性能を満たしながらも、通信周波数の設定を行うことができる無線式防水型機器、無線式防水型機器用の設定器、及び無線システムを提供するものである。また、防水性能を満たしながらも、電源供給を行うことができる無線式防水型機器、無線式防水型機器用の設定器、及び無線システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、他の機器との間で、無線信号を送受信する送受信部と、前記送受信部を制御する制御部と、を備えた無線式防水型機器において、筐体内の密閉空間に収納され、前記筐体外部からの要因を検知して、操作信号を出力する操作信号出力手段を備え、前記制御部は、前記操作信号を入力したときに、無線式防水型機器の通信周波数として設定可能な通信周波数のうち、予め設定された通信周波数の送受信状態に前記送受信部を設定して、通信開始を示す無線信号を送信し、前記送受信部を介して、無線式防水型機器の通信周波数を指定する無線信号を受信すると、該指定された通信周波数の送受信状態に前記送受信部を設定することを特徴とする。
【0008】
また、筐体内の密閉空間に収納され、動作電源を供給する電池を備え、前記制御部は、前記電池からの電源供給を受けた状態で通常動作時よりも消費電力の少ない待機動作を行う低消費電力モードを工場出荷時に設定し、前記操作信号に基づいて、前記低消費電力モードを解除することを特徴とする。
【0009】
この発明は、他の機器との間で、無線信号を送受信する送受信部と、前記送受信部を制御する制御部と、を備えた無線式防水型機器用の設定器において、前記制御部は、前記無線式防水型機器の通信周波数として設定可能な全ての通信周波数の送受信状態に前記送受信部を循環的に切り替え、前記無線式防水型機器から送信される通信開始を示す無線信号を受信すると、当該通信開始を示す無線信号を受信したときの通信周波数の送受信状態に前記送受信部を設定して、無線式防水型機器の通信周波数を指定する無線信号を送信することを特徴とする。
【0010】
また、前記制御部は、前記無線式防水型機器の通信周波数として設定可能な全ての通信周波数の送受信状態に前記送受信部を循環的に切り替えて、無線信号の電界強度を測定することで、無線信号を受信したか否かを判定し、当該無線信号を受信したと判定した場合に、当該無線信号を受信したと判定したときの通信周波数の送受信状態で、前記送受信部を連続的に動作させて、前記無線信号の内容を解読することを特徴する。
【0011】
また、上記の無線式防水型機器と、上記の無線式防水型機器用の設定器とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る無線式防水型機器によれば、他の機器との間で、無線信号を送受信する送受信部と、前記送受信部を制御する制御部と、を備えた無線式防水型機器において、筐体内の密閉空間に収納され、前記筐体外部からの要因を検知して、操作信号を出力する操作信号出力手段を備え、前記制御部は、前記操作信号を入力したときに、無線式防水型機器の通信周波数として設定可能な通信周波数のうち、予め設定された通信周波数の送受信状態に前記送受信部を設定して、通信開始を示す無線信号を送信し、前記送受信部を介して、無線式防水型機器の通信周波数を指定する無線信号を受信すると、該指定された通信周波数の送受信状態に前記送受信部を設定するものであるので、通信周波数設定用の部材としての操作信号出力手段を筐体から露出して設けることなく、防水性能を満たしながらも、通信周波数の設定が行える。
【0013】
また、本発明に係る無線式防水型機器は、筐体内の密閉空間に収納され、動作電源を供給する電池を備え、前記制御部は、前記電池からの電源供給を受けた状態で通常動作時よりも消費電力の少ない待機動作を行う低消費電力モードを工場出荷時に設定し、前記操作信号に基づいて、前記低消費電力モードを解除するものであるので、電源供給用の部材としての電池を筐体から露出して設けることなく、防水性能を満たしながらも、通信周波数設定用の部材としての操作信号出力手段を用いて、低消費電力モードを解除して電源供給を行える。
【0014】
本発明に係る無線式防水型機器用の設定器は、他の機器との間で、無線信号を送受信する送受信部と、前記送受信部を制御する制御部と、を備えた無線式防水型機器用の設定器において、前記制御部は、前記無線式防水型機器の通信周波数として設定可能な全ての通信周波数の送受信状態に前記送受信部を循環的に切り替え、前記無線式防水型機器から送信される通信開始を示す無線信号を受信すると、当該通信開始を示す無線信号を受信したときの通信周波数の送受信状態に前記送受信部を切り替え、無線式防水型機器の通信周波数を指定する無線信号を送信するものであるので、無線式防水型機器の通信周波数の設定が行える。
【0015】
また、本発明に係る無線式防水型機器用の設定器は、前記制御部は、前記無線式防水型機器の通信周波数として設定可能な全ての通信周波数の送受信状態に前記送受信部を循環的に切り替えて、無線信号の電界強度を測定することで、無線信号を受信したか否かを判定し、当該無線信号を受信したと判定した場合に、当該無線信号を受信したと判定したときの通信周波数の送受信状態で、前記送受信部を連続的に動作させて、前記無線信号の内容を解読するものであるので、無線式防水型機器に予め設定された通信周波数を早く判別することができ、送受信部の受信動作に基づく消費電力を低減することができる。
【0016】
本発明に係る無線システムは、上記の無線式防水型機器と、上記の無線式防水型機器用の設定器とを備えたことを特徴とするものであるので、無線式防水型機器は、防水性能を満たしながらも、通信周波数の設定が行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係る火災報知設備のシステム構成図である。
【図2】実施の形態に係る感知器の主要構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る防水型感知器の主要構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態に係るリピータ中継器の主要構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態に係る無線式中継器の主要構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態に係る無線式防水型感知器の動作フローチャートである。
【図7】図6の通信周波数設定モードのフローチャートである。
【図8】実施の形態に係る設定器の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(全体構成)
図1は実施の形態に係る火災報知設備の一例を示すシステム構成図である。図1に示す火災報知設備は、一部を無線化した火災報知設備であり、監視対象となる建物に設置され、火災の発生を検知したときにこれを報知するシステムである。
【0019】
本実施の形態に係る火災報知設備100は、図1に示すように、火災受信機Aと、火災受信機Aに信号線CL1により接続された無線式中継器B1(第1中継器)と、火災受信機Aに信号線CL2により接続された無線式中継器B2(第1中継器)と、監視対象となる建物の各部屋の天井に配置される無線式の火災感知器D31、D32(DB)、D41、D42、D43と、無線式中継器B1と火災感知器D31、D32(DB)との間に介在して無線信号を中継するリピータ中継器C2、C3(第2中継器)とを備えている。無線式中継器Bは、電源線DCにより、火災受信機Aに配線接続されて電源供給を受けて動作する。また、信号線CL1、CL2には、無線式ではない一般型の火災感知器を接続可能である。なお、無線式の火災感知器D32(DB)は防水型の火災感知器であり、防水型火災感知器としての符号DBと火災感知器としての符号D32とを併記しているが、以降、防水型火災感知器として説明する場合は、必要に応じて、符号DBを用いて説明する場合がある。
【0020】
図1に示す設定器Eは、防水型火災感知器DBの通信周波数を設定するために使用する機器であるが、通信周波数以外の各種データの設定を行うことも可能である。
【0021】
なお、これ以降、無線式中継器B1、B2を無線式中継器B、火災感知器D31、D32、D41、D42、D43を火災感知器D、及びリピータ中継器C2、C3をリピータ中継器Cと総称する場合がある。また、無線式中継器B、リピータ中継器C、火災感知器Dを、端末機器と総称する場合がある。
【0022】
ここで、各無線式中継器B及びこの無線式中継器Bとの間で無線通信を行う火災感知器D及びリピータ中継器Cの集合をグループと称する。すなわち、無線式中継器B毎に1つのグループを構成する。図1の例では、無線式中継器B1及びこの無線式中継器B1との間で無線通信を行うリピータ中継器C2、C3と火災感知器D31、D32をグループG1と称する。また、無線式中継器B2及びこの無線式中継器B2との間で無線送受信を行う火災感知器D41、D42、D43をグループG2と称する。
【0023】
また、各グループにおいては、各端末機器B、C、Dは、通信周波数として、火災報知設備100のシステムとして利用可能な複数の通信周波数(例えば、1〜16チャンネル)のいずれかを設定可能に構成され、本実施の形態では、例えば、グループG1は1チャンネル、グループG2は2チャンネルとして、各端末機器B、C、D間の通信周波数は、グループ毎に個別の通信周波数が設定されるが、これに限定されない。
【0024】
(火災感知器D)
火災感知器Dは、火災現象に基づく検知対象物の物理量または物理的変化を検出し、検出内容に応じた状態信号を無線信号として送信する。火災感知器Dとして、例えば、検出した煙濃度に基づくアナログ値または火災信号を無線信号として出力する無線式の煙感知器、検出した周囲温度に基づくアナログ値または火災信号を無線信号として出力する無線式の熱感知器等が使用されている。
【0025】
図2は実施の形態における無線式火災感知器の主要構成を示すブロック図である。火災感知器Dは、制御回路1、電池2、定電圧回路3、電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、火災検出回路7、表示灯回路8、通信周波数設定用スイッチ9を備えている。
【0026】
電池2は、定電圧回路3に直流電圧を供給する。定電圧回路3は、電池2の直流電圧を所定電圧に制御し、制御回路1、送受信回路5、火災検出回路7、表示灯回路8に供給する。
【0027】
電圧検出回路4は、例えば、定電圧回路3に印加される電池2の直流電圧を検出し、検出電圧に応じた電池電圧検出信号を制御回路1に出力する。電圧検出回路4は、電池残量が低下したこと、あるいは電池切れの閾値より低下したことを検出すると、制御回路1に出力して、表示灯回路8を動作させると共に、電池切れの状態情報を含む状態信号を送受信回路5より出力させる。
【0028】
火災検出回路7は、火災現象に基づく煙または熱等の検知対象物の物理量または物理的変化を検出して、検出内容に応じた状態信号を制御回路1に出力する。表示灯回路8は、発光ダイオード(LED)の点灯動作を制御する回路で、例えば、電池切れの場合にはLEDを点滅し、火災検出回路7により火災が検出されたときには、その点滅と異なる周期でLEDを点滅する。
【0029】
送受信回路5は、無線信号を送受信するためのアンテナ6と接続されており、送信回路5aと受信回路5bとを備えている。受信回路5bは、所定周期で受信サンプリング動作を行ってアンテナ6から受信された無線信号を検出し、無線信号が自己宛の場合にはその内容に応じて受信処理を行う。そして、受信回路5bは、受信処理した信号を、制御回路1へ出力する。また、送信回路5aは、制御回路1に制御されて、状態信号などの信号の送信処理を行う。通信周波数設定用スイッチ9は、火災感知器Dの通信周波数を設定するスイッチである。
【0030】
制御回路1は、CPUを有し、火災検出回路7によって出力された信号に基づいて火災状態等を判別する状態判別部としての機能を有する。また、制御回路1は、火災状態であると判別した場合には、表示灯回路8を制御し、LEDの点滅によって警報を行う。また、制御回路1は、送受信回路5により受信された信号に基づいて必要な処理を行うと共に、必要に応じて送受信回路5を制御して無線式中継器Bあるいはリピータ中継器Cに状態信号や火災信号などを送信する。記憶素子1aは、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリからなり、制御回路1が実行するプログラムや各種データが格納されている。
【0031】
火災感知器Dは、詳細には図示しないが、筐体背面に露出して設けられた電池接続用のコネクタに、筐体背面側に露出して配置された電池2のコネクタを接続することにより、各回路に電源が供給されて、通常動作を行う監視モードとなる。また、火災感知器Dは、詳細には図示しないが、筐体背面に露出して設けられた通信周波数設定用スイッチ9を操作することにより、火災感知器Dの通信周波数として、グループ毎に個別の通信周波数が設定されている。そして、制御回路1は、通常動作を行う監視モードにおいて、グループ毎に設定された通信周波数の送受信状態に送受信回路5を設定して、無線信号の送受信を制御する。
【0032】
(防水型火災感知器DB)
防水型火災感知器DBは、火災感知器Dにおいて、防水性能を満たすように構造を変更したものである。
図3は実施の形態における無線式防水型火災感知器の主要構成を示すブロック図である。防水型火災感知器DBは、制御回路31、電池2、定電圧回路3、電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、火災検出回路7、表示灯回路8、リードスイッチ39を備えている。記憶素子11aは、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリからなり、制御回路31が実行するプログラムや各種データの他に、通信周波数設定モード用の通信周波数(デフォルト値)が格納されている。通信周波数設定モード用の通信周波数としては、防水型火災感知器DBの通信周波数として設定可能な、複数の通信周波数(例えば、1〜16チャンネル)のいずれか1つが予め設定されている。そして、後述の通信周波数設定作業により、防水型火災感知器DBの通信周波数が設定され、格納される。
防水型火災感知器DBは、火災感知器Dと比較して、制御回路31の動作内容も異なる。また、前述の通信周波数設定用スイッチ9の代わりに、防水型火災感知器DBの通信周波数を設定するための通信周波数設定モードの開始のトリガーとなるリードスイッチ39(操作信号出力手段の一例)を備えているが、その他の回路構成については火災感知器Dと基本的に同様である。
【0033】
防水型火災感知器DBは、カバー32とカバー32を覆う本体33により構成された筐体内に、密閉空間35が形成される。そして、防水型火災感知器DBを構成する全ての回路が密閉空間35内に収納されることによって、防水型としての防水性能を満たしている。なお、火災検出回路7を構成する熱式センサとしてのサーミスタ7aは、先端側が筐体外部に露出しているが、筐体からの挿通箇所を封止部材34で封止することにより、密閉空間35を保持している。なお、サーミスタ7aと同様の封止構造を利用して、必要に応じて、必要な回路構成(例えば、アンテナ6など)を筐体外部に露出してもよい。また、密閉空間35内を充填剤で充填してもよい。
【0034】
防水型火災感知器DBは、モードとして、低消費電力モードと通信周波数設定モードと監視モードとを有する。また、リードスイッチ39は、磁石が近接されることによりオンして、モードを切り替える操作信号を出力する機能を有している。この操作信号の入力に基づいて、制御回路31は、各モードを切り替えるモード設定部31bとして機能する。 以下、各モードに関して説明する。
【0035】
(1)低消費電力モード
低消費電力モードは、電池2からの電源供給を受けた状態で通常動作時(通信周波数設定モード、監視モード)よりも消費電力の少ない待機動作を行うモードであり、工場出荷時に設定してあるモードである。低消費電力モードにおいて、制御回路31はストップモードに設定されていて、制御回路31に設けられたクロック回路の動作クロックの発振が停止し、火災検出回路7、表示灯回路8、送受信回路5などの監視制御動作も停止することから、防水型火災感知器DBは、消費電力を最小限に抑えた待機状態となる。
【0036】
(2)通信周波数設定モード
通信周波数設定モードは、図1の設定器Eとの間で、無線信号を送受信することによって、設定器Eにより、防水型火災感知器DBの通信周波数の設定が可能なモードである。
設定モードにおいては、低消費電力モードが解除されて、制御回路31は、制御回路31に設けられたクロック回路の動作クロックの発振に基づいて、表示灯回路8、送受信回路5などの監視制御動作を行い、通信周波数設定処理を行う。このとき、モード設定部31bは、通信周波数設定モード用の通信周波数(デフォルト値)の通信周波数の送受信状態に送受信回路5を設定するが、本実施の形態では、デフォルト値として、例えば、16チャンネルが、記憶素子31aに格納されている。
通信周波数設定処理として、制御回路31は、まず、送受信回路5を介して、設定器Eに対して、通信開始を示す無線信号(設定モード開始信号)を送信し、つぎに、設定器Eから送信された防水型火災感知器DBの通信周波数を指定する無線信号を受信すると、該指定された通信周波数を、記憶素子31aに記憶して、以降、当該通信周波数の送受信状態に送受信回路5を制御することにより、防水型火災感知器DBの通信周波数として設定する。
【0037】
(3)監視モード
監視モードは、火災監視処理などの通常動作を行うモードである。監視モードにおいては、低消費電力モードが解除されて、制御回路31は、制御回路31に設けられたクロック回路の動作クロックの発振に基づいて、火災検出回路7、表示灯回路8、送受信回路5などの監視制御動作を行い、火災監視処理などを行う。このとき、モード設定部31bは、通信周波数設定モードにより設定された通信周波数の送受信状態に送受信回路5を設定するので、当該設定された通信周波数の無線信号を、制御回路31は、他の端末機器B、Cとの間で送受信することができる。
【0038】
(設定器E)
設定器Eは、防水型火災感知器DBの通信周波数設定モード時に、各種の無線信号を送受信することによって、防水型火災感知器DBの通信周波数の設定を行うものである。
【0039】
設定器Eは、図1に主要構成を示すブロック図が示されている。設定器Eは、制御回路41、記憶素子41a、送受信回路45、アンテナ46、表示回路48、操作回路49を備えている。
【0040】
制御回路41は、CPUを有し、設定器Eの全体を制御する。記憶素子41aは、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリからなり、制御回路41が実行するプログラムや各種データ、防水型火災感知器DBの通信周波数として設定可能な全ての通信周波数(例えば、1〜16チャンネル)、及び通信周波数の最小値(例えば、1チャンネル)、最大値(例えば、16チャンネル)が格納されている。送受信回路45は、アンテナ46を介して、各種の無線信号の送受信を行う。表示回路48は、受信した無線信号の情報や操作回路49の操作入力した情報などを表示する。操作回路49は、各種の情報を操作入力する。
【0041】
制御回路41は、防水型火災感知器DBの通信周波数を設定する場合、防水型火災感知器DBに設定可能な通信周波数(例えば、1〜16チャンネル)の送受信状態に、送受信回路45を循環的に切り替えて、防水型火災感知器DBから送信される通信開始を示す無線信号を受信したか否かを判断する。なお、送受信回路45の通信周波数を循環的に切り替えながら、まず、無線信号の電界強度を測定することで、無線信号を受信したか否かを判定し、当該無線信号を受信したと判定した場合に、当該無線信号を受信したと判定したときの通信周波数の送受信状態で、送受信回路45を連続的に動作させて、無線信号の内容を解読するものであるので、無線式防水型機器DBの無線信号の通信周波数を早く判別することができ、送受信回路45の受信動作に基づく消費電力を低減することができる。
そして、制御回路41は、通信開始を示す無線信号を受信した通信周波数の送受信状態に、送受信回路45を設定した状態で、操作回路39の操作入力に基づいて、送受信回路45を介して、防水型火災感知器DBの通信周波数を指定する信号を送信し、防水型火災感知器DBの通信周波数の設定作業を行う。
【0042】
なお、火災報知設備100において、グループG毎の通信周波数は、設定可能な通信周波数の最小値から設定され、グループGの数の増加に対応して、設定されていない通信周波数のうちで、より小さい値のものが順番に設定される運用が一般的である。そのため、デフォルト値として、設定可能な通信周波数の最大値が予め設定されている構成とすることで、例えば、システム運用後に、防水型火災感知器DBを増設するようなときに、通信周波数設定モードにおいて、通信開始を示す無線信号などの各種無線信号が、運用している火災報知設備100の無線信号と混信することが低減され、通信周波数の設定作業を良好に行うことができる。
【0043】
(リピータ中継器C)
リピータ中継器Cは、無線式中継器Bと火災感知器Dとの間に介在し、無線信号の中継を行う。そのリピータ中継器Cは、無線式中継器Bと火災感知器Dとの間で互いに電波が届かない場合に設けられる。図1のグループG1に示すリピータ中継器C2、C3のように、無線式中継器Bと火災感知器Dとの間に2台以上のリピータ中継器Cを設けて中継させることも可能である。
【0044】
図4は実施の形態におけるリピータ中継器の主要構成を示すブロック図である。
リピータ中継器Cは、制御回路11、電池2、定電圧回路3、電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、表示灯回路8、通信周波数設定用スイッチ9を備えている。リピータ中継器Cは、前述の火災感知器Dと異なり火災検出回路7を備えておらず、また、制御回路11の動作内容も異なるが、その他の構成については火災感知器Dと基本的に同様である。また、電池2の配置、電池2による電源供給方法、通信周波数設定用スイッチ9の配置、通信周波数の設定方法、及びこれらに関する制御回路11の制御については、火災感知器Dと基本的に同様である。なお、リピータ中継器Cに例えば図2の火災感知器Dに示すような火災検出回路7や煙や熱等を感知するセンサを設け、リピータ中継器Cが火災検出機能を有する構成としてもよい。
記憶素子11aは、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリからなり、制御回路11が実行するプログラムや各種データが格納されている。
【0045】
(無線式中継器B)
無線式中継器Bは、火災感知器D及びリピータ中継器Cとの間で無線信号を送受信し、火災感知器Dあるいはリピータ中継器Cからの無線信号を火災受信機Aに転送する機能を有している。
【0046】
図5は、実施の形態における無線式中継器の主要構成を示すブロック図である。
無線式中継器Bは、制御回路21、定電圧回路3、電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、表示灯回路8、通信周波数設定用スイッチ9、受信機I/F回路22、電源線用端子20a、信号線用端子20bを備える。無線式中継器Bは、前述の火災感知器Dやリピータ中継器Cのように電池駆動ではなく、火災受信機Aと電源線用端子20aとを接続する電源線DCを介して火災受信機AからDC電源を供給される。また、火災受信機Aと信号線用端子20bとが信号線CL(CL1、CL2)で接続されており、無線式中継器Bは受信機I/F回路22を介して火災受信機Aと信号を送受信する。また、制御回路21の動作内容及び記憶素子21aに記憶される情報が一部異なるが、その他の構成については火災感知器Dやリピータ中継器Cと基本的に同様である。また、通信周波数設定用スイッチ9の配置、通信周波数の設定方法、及びこれらに関する制御回路21の制御については、火災感知器Dと基本的に同様である。なお、無線式中継器Bに例えば図2の火災感知器Dに示すような火災検出回路7や煙や熱等を感知するセンサを設け、無線式中継器Bが火災検出機能を有する構成としてもよい。
記憶素子21aは、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリからなり、制御回路21が実行するプログラムや各種データなどが格納されている。
【0047】
なお、本実施の形態では、火災受信機Aは、信号線CLとは別の電源線DCにより、無線式中継器B用の電源を供給しているが、電源容量の点で問題ないならば、電源線DCを削除して、信号線CLにより、端末機器用の電源を供給することができる。その場合、無線式中継器Bは、図5において、電源線用端子20aに接続された各回路の一次側に、電源線用端子20aの代わりに、信号線用端子20bと受信機I/F回路22とを接続するようにする。
【0048】
つぎに、無線式中継器D、リピータ中継器C、火災感知器D、防水型火災感知器DBに、通信周波数の設定を行う動作について説明する。なお、防水型火災感知器DBについては、図6、図7の防水型火災感知器DBの動作フローチャートを用いて、全体の動作フローについても説明する。また、設定器Eについては、図8の設定器Eの動作フローチャートを用いて説明する。
【0049】
(防水型火災感知器DBの全体の動作フロー)
防水型火災感知器DBにおいては、図6に示すように、最初は低消費電力モードで起動しており(S1)、リードスイッチ39に磁石を近接させて、リードスイッチ39をオンしなければ(S2)、低消費電力モードを維持し(S1)、一方、リードスイッチ39に磁石を近接させて、リードスイッチ39をオンさせると(S2)、低消費電力モードを解除して(S3)、通信周波数設定モードに切り替える(S4)。
そして、通信周波数設定モードにおいて、再び、リードスイッチ39がオンされると(図7のS17)、通信周波数設定モードを終了して(図7のS18)、火災監視を行う監視モードに切り替え(S5)、リードスイッチ39がオンされるまで(S6)、監視モードを維持し(S5)、一方、リードスイッチ39がオンされると(S6)、監視モードを解除する。このとき、リードスイッチ39が一定時間以上オンされると(S7)、低消費電力モードに切り替わり(S1)、一定時間未満オンされると(S7)、通信周波数設定モードに切り替える(S4)。
【0050】
(通信周波数の設定)
通信周波数の設定は、無線式中継器B、リピータ中継器C及び無線式の火災感知器D、防水型火災感知器DBを各部屋の天井や壁などに設置する前に行う。
【0051】
無線式中継器B、リピータ中継器C、火災感知器Dにおいては、筐体背面に設けられた通信周波数設定用スイッチ9を操作して、例えば、グループG1は1チャンネル、グループG2は2チャンネルというように、グループ毎に個別の通信周波数を設定する。
つぎに、設定器Eを用いた防水型火災感知器DBの通信周波数の設定について説明する。まず、図6を用いて説明したように、リードスイッチ39に磁石を近接させて、リードスイッチ39をオンすることにより、防水型火災感知器DBのモードを、通信周波数設定モード(S4)とする。
すると、防水型火災感知器DBは、図7に示されるように、まず、表示灯回路8によって、通信周波数設定モードを示す表示を行う(S10)。つぎに、防水型火災感知器DBは、記憶素子31aに設定された通信周波数設定モード用の通信周波数(デフォルト値。例えば、16チャンネル)の送受信状態に送受信回路5を制御し(S11)、通信開始を示す無線信号(設定モード開始信号)を、設定器Eに対して、送信する(S12)。設定モード開始信号の送信は、設定器Eから送信される応答信号を受信するまで継続する(S13)。
【0052】
一方、設定器Eにおいては、図8に示されるように、記憶素子41aに設定された防水型火災感知器DBの全ての通信周波数Nのうち、まず、最少値の1チャンネルを選択し(S31)、選択した通信周波数の送受信状態に送受信回路45を制御する(S32)。 そして、送受信回路45を介して、受信した無線信号の電界強度Kを測定し(S33)、電界強度Kが閾値S以上であるかを判別する(S34)。電界強度Kが閾値S以上でなければ(S34)、この通信周波数Nでは、防水型火災感知器DBから設定モード開始信号が送信されていないと判断し、通信周波数Nを循環的に1インクリメントし(S35、S36)、また、通信周波数Nが最大値の16チャンネルであれば(S35)、通信周波数Nを最小値の1チャンネルに戻して(S37)、ステップS32乃至S34の動作を繰り返す。そして、電界強度Kが閾値S以上であれば(S34)、この通信周波数N(この場合は、16チャンネル)で、防水型火災感知器DBから設定モード開始信号が送信されている可能性があると判断し、この通信周波数Nの送受信状態に送受信回路45を制御して、連続受信を試み、無線信号を解読し、防水型火災感知器DBから送信される設定モード開始信号を受信したか否かの判断を継続する(S38)。そして、設定モード開始信号を受信した場合は、防水型火災感知器DBに対して、応答信号を送信する(S39)。そして、操作回路49を操作して、防水型火災感知器DBの通信周波数の1つ(この場合は、1チャンネル)を選択し、当該1チャンネルを指定する無線信号を送信する(S39)。
【0053】
防水型火災感知器DBは、当該防水型火災感知器DBの通信周波数を指定する無線信号を受信すると(S14)、通信周波数の設定として、1チャンネルを記憶素子31aに記憶し、設定記憶の旨を表示灯回路8で表示し(S15)、以降、1チャンネルの送受信状態に送受信回路5を制御する。その後、設定器Eに対して、応答信号を送信する(S16)。また、防水型火災感知器DBの通信周波数を指定する無線信号を受信しない場合は(S14)、ステップS17へ進む。
【0054】
一方、設定器Eは、防水型火災感知器DBから送信される応答信号を受信する動作を継続し(S42)、当該応答信号を受信すると(S42)、通信周波数の設定が完了したことを表示回路48に表示し(S43)、終了操作により、表示回路48の表示を消去するなどの必要な終了動作を行い、通信周波数の設定を終了する(S44)。
そして、防水型火災感知器DBは、リードスイッチ39に磁石を近接させて、リードスイッチ39がオンされることにより(S17)、表示回路8の表示を消去するなどの必要な終了動作を行い、通信周波数設定モードを終了して(S18)、図6に示されるように、監視モードに切り替える(S5)。リードスイッチ39がオンされない場合は(S17)、ステップS14に戻り、引き続き通信周波数の設定を行う。
【0055】
なお、図8の動作フローチャートにおいて、設定器Eは、一番小さい数字のチャンネルからインクリメントさせて電界強度Kを測定し、閾値Sを超えた時点でチャンネルのスキャンを中止して(S31〜S34)、当該チャンネルにおける信号解析を行うようにしたが(S38以降)、最終チャンネルまでスキャンした後、最大強度のチャンネルを設定して、当該チャンネルの信号解析を行うようにしてもよい。
【0056】
そして、電界強度K測定時に、防水型火災感知器DBから送信される無線信号以外のノイズや他の端末機器の無線信号を受信してしまうことも考えられることから、ステップS38のように、防水型火災感知器DBから送信される設定モード開始信号を受信しない場合に、当該信号を受信まで受信動作を継続せずに、所定時間の間、受信できない場合は、上記ノイズ等であったと判断し、次点で電界強度の大きいチャンネルを順次設定して、当該チャンネルの信号解析により、防水型火災感知器DBから送信される設定モード開始信号を受信できるか否かを判別するようにしてもよい。
【0057】
以上のように構成された火災報知設備においては、各端末機器B、C、Dは、グループG毎に、個別の通信周波数が設定される。そして、各火災感知器Dは、監視モード時に、自身の監視領域において火災発生の有無を監視する。そして、火災感知器Dが火災による煙や熱などの環境の変化を検知すると、火災検知を示す無線信号が、グループGに設定された通信周波数を用いて、送信される。この無線信号は、グループG内のリピータ中継器C、無線式中継器Bで受信することができ、必要なリピータ中継器Cを介して、あるいは直接、無線式中継器Bが無線信号を受信する。そして、無線式中継器Bから火災受信機Aに対し、信号線CLを介して、火災検知を示す検知情報が伝えられる。火災受信機Aは、火災の検知情報を受信すると、図示しない音響警報装置を制御して火災報知を行わせると共に、図示しない防火戸や排煙機、シャッター等を作動させて延焼を防ぐことができる。
【0058】
以上、説明したように、本発明に利用される無線式防水型機器は、他の機器(無線式中継器B、リピータ中継器C、設定器E)との間で、無線信号を送受信する送受信部(送受信回路5)と、前記送受信部5を制御する制御部(制御回路31)と、を備えた無線式防水型機器(防水型火災感知器DB)において、筐体内の密閉空間35に収納され、前記筐体外部からの要因を検知して、操作信号を出力する操作信号出力手段(リードスイッチ39)を備え、前記制御部31は、前記操作信号を入力したときに、無線式防水型機器DBの通信周波数として設定可能な通信周波数のうち、予め設定された通信周波数(デフォルト値)の送受信状態に前記送受信部5を設定して、通信開始を示す無線信号(設定モード開始信号)を送信し、前記送受信部5を介して、無線式防水型機器DBの通信周波数を指定する無線信号を受信すると、該指定された通信周波数の送受信状態に前記送受信部5を設定するものであるので、通信周波数設定用の部材としての操作信号出力手段39を筐体から露出して設けることなく、防水性能を満たしながらも、通信周波数の設定が行える。
【0059】
また、本発明に利用される無線式防水型機器DBは、筐体内の密閉空間35に収納され、動作電源を供給する電池2を備え、前記制御部31は、前記電池2からの電源供給を受けた状態で通常動作時よりも消費電力の少ない待機動作を行う低消費電力モードを工場出荷時に設定し、前記操作信号に基づいて、前記低消費電力モードを解除するものであるので、電源供給用の部材としての電池2を筐体から露出して設けることなく、防水性能を満たしながらも、通信周波数設定用の部材としての操作信号出力手段39を用いて、低消費電力モードを解除して電源供給を行える。
本発明に利用される無線式防水型機器DB用の設定器Eは、他の機器(無線式防水型機器DB)との間で、無線信号を送受信する送受信部(送受信回路45)と、前記送受信部45を制御する制御部(制御回路41)と、を備えた無線式防水型機器(無線式防水型火災感知器DB)用の設定器Eにおいて、前記制御部41は、前記無線式防水型機器DBの通信周波数として設定可能な全ての通信周波数の送受信状態に前記送受信部45を循環的に切り替え、前記無線式防水型機器DBから送信される通信開始を示す無線信号(設定モード開始信号)を受信すると、当該通信開始を示す無線信号を受信したときの通信周波数の送受信状態に前記送受信部45を設定して、無線式防水型機器DBの通信周波数を指定する無線信号を送信するものであるので、無線式防水型機器DBの通信周波数の設定が行える。
【0060】
また、本発明に利用される無線式防水型機器DB用の設定器Eは、前記制御部41は、前記無線式防水型機器DBの通信周波数として設定可能な全ての通信周波数の送受信状態に前記送受信部45を循環的に切り替えて、無線信号の電界強度を測定することで、無線信号を受信したか否かを判定し、当該無線信号を受信したと判定した場合に、当該無線信号を受信したと判定したときの通信周波数の送受信状態で、前記送受信部45を連続的に動作させて、前記無線信号の内容を解読するものであるので、無線式防水型機器DBに予め設定された通信周波数を早く判別することができ、送受信部45の受信動作に基づく消費電力を低減することができる。
【0061】
本発明に利用される無線システムは、上記の無線式防水型機器DBと、上記の無線式防水型機器DB用の設定器Eとを備えるものであるので、無線式防水型機器DBは、防水性能を満たしながらも、通信周波数の設定が行える。
【0062】
なお、本実施の形態では、低消費電力モードとして、制御回路31は、クロック回路の動作クロックの発振が停止するストップモードに設定されるものとして説明したが、ストップモード以外に、防水型火災感知器DBの消費電力を低減させるモードであってもよく、例えば、クロック回路の動作クロックの発振を低速としたり、消費電力の大きな回路の動作を停止させるものであってもよい。
【0063】
また、本実施の形態では、操作信号出力手段としてリードスイッチ39を用いて説明したが、筐体内の密閉空間35に収納され、筐体外部からの要因により、モード設定部31bのモードを切り替える操作信号を出力するものであればよく、例えば、その他の非接触型のスイッチなどでもよい。
【0064】
一例として、操作入力により光信号を出力する発光器を用いて、操作信号出力手段は、筐体外部からの要因として、光信号を受信する受光素子とすることができる。その場合、受光素子は、筐体から受光面を露出しつつ、その周囲は封止部材34で封止して、密閉空間35における防水性能を満たすようにする。低消費電力モードとしては、受光素子を間欠的に起動させるモードとすることが好適である。
【0065】
また、一例として、操作入力により電磁誘導信号を出力する電磁誘導信号出力器(例えば、リーダライタ)を用いて、操作信号出力手段は、筐体外部からの要因として、電磁誘導信号を受信する非接触型ICタグとすることができる。その場合、非接触型ICタグは、密閉空間35内に収納されるようにする。低消費電力モードとしては、非接触型ICタグを間欠的に起動させるモードとすることが好適であるが、非接触ICタグが電磁誘導により電流が供給されたことを、上記実施の形態におけるリードスイッチ39のように、ポート入力として、制御回路31に入力することにより、低消費電力モードとして、ストップモードを採用できて、より好適である。
【0066】
また、一例として、操作入力により無線信号を出力する設定器Eを用いて、操作信号出力手段は、筐体外部からの要因として、無線信号を受信する送受信回路5としてもよい。その場合、送受信回路5は、上記実施の形態で説明したように、密閉空間35内に収納されるようにする。低消費電力モードとしては、送受信回路5を監視モード等よりもより間欠的に起動させるモードとすることが好適である。
【0067】
また、リードスイッチ39は、筐体外部からの要因を検知して、操作信号を出力する操作信号出力手段の一例として説明したが、より限定的に解釈すれば、筐体外部に配置された設定部材(磁石など)を検知して、操作信号を出力する検知手段ともいうことができる。この検知手段として、例えば、ホール素子などの磁気検知素子などを用いることもできる。
【0068】
また、本実施の形態において、無線式防水型機器として防水型火災感知器DBを用いて説明したが、無線式中継器B、リピータ中継器C、及び火災報知設備に利用可能なそれ以外の端末機器についても、防水型火災感知器DBと同様の構成を適用することができる。
【0069】
また、本実施の形態において、モード設定部31bは、低消費電力モード、通信周波数設定モード、監視モードを切り替えるが、モードの切り替え順序については、上記実施の形態に限定されない。
【0070】
また、本実施の形態では、火災報知設備を例に挙げて説明したが、設置環境の異常を検出して報知する設備であればよく、例えば、ガス漏れ検知器を利用したガス漏れ報知設備とすることもできる。
【0071】
また、本実施の形態における火災報知設備としては、P型受信機を用いた火災報知設備、双方向通信機能を備えたR型受信機を用いた火災報知設備のいずれであっても、本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 制御回路、1a 記憶素子、2 電池、3 定電圧回路、4 電圧検出回路、5 送受信回路、5a 送信回路、5b 受信回路、6 アンテナ、7 火災検出回路、7a サーミスタ、8 表示灯回路、9 通信周波数設定用スイッチ、11 制御回路、11a 記憶素子、20a 電源線用端子、20b 信号線用端子、21 制御回路、21a 記憶素子、22 受信機I/F回路、31 制御回路、31a 記憶素子、31b モード設定部、32 カバー、33 本体、34 封止部材、35 密閉空間、39 リードスイッチ、41 制御回路、41a 記憶素子、45 送受信回路、46 アンテナ、48 表示回路、49 操作回路、100 火災報知設備、A 火災受信機、B 無線式中継器、C リピータ中継器、CL 信号線、D 火災感知器、DB 防水型火災感知器、DC 電源線、E 設定器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の機器との間で、無線信号を送受信する送受信部と、前記送受信部を制御する制御部と、を備えた無線式防水型機器において、
筐体内の密閉空間に収納され、前記筐体外部からの要因を検知して、操作信号を出力する操作信号出力手段を備え、
前記制御部は、前記操作信号を入力したときに、無線式防水型機器の通信周波数として設定可能な通信周波数のうち、予め設定された通信周波数の送受信状態に前記送受信部を設定して、通信開始を示す無線信号を送信し、前記送受信部を介して、無線式防水型機器の通信周波数を指定する無線信号を受信すると、該指定された通信周波数の送受信状態に前記送受信部を設定する
ことを特徴とする無線式防水型機器。
【請求項2】
筐体内の密閉空間に収納され、動作電源を供給する電池を備え、
前記制御部は、前記電池からの電源供給を受けた状態で通常動作時よりも消費電力の少ない待機動作を行う低消費電力モードを工場出荷時に設定し、前記操作信号に基づいて、前記低消費電力モードを解除する
ことを特徴とする請求項1記載の無線式防水型機器。
【請求項3】
他の機器との間で、無線信号を送受信する送受信部と、前記送受信部を制御する制御部と、を備えた無線式防水型機器用の設定器において、
前記制御部は、前記無線式防水型機器の通信周波数として設定可能な全ての通信周波数の送受信状態に前記送受信部を循環的に切り替え、前記無線式防水型機器から送信される通信開始を示す無線信号を受信すると、当該通信開始を示す無線信号を受信したときの通信周波数の送受信状態に前記送受信部を設定して、無線式防水型機器の通信周波数を指定する無線信号を送信する
ことを特徴とする無線式防水型機器の設定器。
【請求項4】
前記制御部は、前記無線式防水型機器の通信周波数として設定可能な全ての通信周波数の送受信状態に前記送受信部を循環的に切り替えて、無線信号の電界強度を測定することで、無線信号を受信したか否かを判定し、当該無線信号を受信したと判定した場合に、当該無線信号を受信したと判定したときの通信周波数の送受信状態で、前記送受信部を連続的に動作させて、前記無線信号の内容を解読する
ことを特徴する請求項3記載の無線式防水型機器の設定器。
【請求項5】
請求項1乃至2記載の無線式防水型機器と、請求項3乃至4の無線式防水型機器用の設定器とを備えたことを特徴とする無線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−3881(P2013−3881A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134904(P2011−134904)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】