説明

無線映像送信装置および無線映像受信装置ならびにこれらを備えた無線映像伝送システム

【課題】無線映像伝送システムにおいて、ハンドオーバの実施時や、回線状況が悪化した場合でも、高品質な映像データの伝送を実現する。
【解決手段】無線カメラ2は、映像データを生成する撮像部3と、映像データから画像領域が互いに異なる優先映像データおよび非優先映像データを生成する映像切り出し部12と、第1、第2のアクセスポイントAP1、AP2のそれぞれと通信する第1、第2無線通信部15、16と、第1、第2無線通信部の無線通信を制御する通信制御部17とを備え、通信制御部17は、優先映像データと非優先映像データとをそれぞれ個別の2つの映像ストリームとして第1、第2の無線通信部から送信することが可能であり、無線通信の回線状況と、ハンドオーバの実施状況とに基づき、2つの映像ストリームについて第1、第2の無線通信部からの送信の適否をそれぞれ決定する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアクセスポイント(基地局)を切り替えながら無線通信によって映像信号を送受信するための無線映像送信装置および無線映像受信装置ならびにこれらを備えた無線映像伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信において、移動体端末(例えば、携帯電話)は、移動中に複数のアクセスポイントを切り替えるハンドオーバを実施することにより、広域なエリアで無線通信を維持できることが知られている。一方、移動体通信では、アクセスポイントのカバーエリア(すなわち、電波が届く範囲)の境界付近において回線状況が悪化したり、ハンドオーバの実施時に通信が一時的に途切れたりするといった問題がある。特に、映像を伝送するシステムでは、音声通信等に比べて伝送する情報量が大きいため、高い伝送品質を実現するためには上記のような問題への対処は不可欠である。
【0003】
これに対し、映像伝送システムにおいて、動画像の各フレームの静止画像を分割したブロックを、その重要度にしたがって注目ブロックと非注目ブロックとに分類し、符号量の削減が必要な場合には非注目ブロックに対して優先的に符号削減を行うことにより、通信時の回線状況が悪化した場合でも少なくとも画像の主要部分について高品質の再生を可能とした技術が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、移動体端末において、基地局との間で信号を送受信する2系統の送受信系を設け、ハンドオーバを実施する際に、切替元の基地局との通信に関わっていない方の送受信系を用いて切替先の基地局との間でハンドオーバに関わる制御信号を送受信することにより、ハンドオーバの実施時における通信断時間を短縮する技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−94578号公報
【特許文献2】特開2000−102050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術は、符号化処理において非注目ブロックに対して優先的に符号削減を行うことによって1つのストリームを生成する構成であり、例えば、画像サーバからクライアント装置に対して動画像を配信するシステム等においては有効であるものの、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイント等を利用する移動体通信への適用を考えた場合には、回線状況等に応じて制御可能な符号量の範囲が小さいという問題があった。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の従来技術では、PHS(Personal Handyphone System)などの帯域保証されたネットワークにおいて、2系統の送受信系によってハンドオーバの実施時における通信断時間を短縮できるものの、帯域保証のない無線LANアクセスポイント等を利用する移動体通信では、高品質な伝送を期待できないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、ハンドオーバの実施時や、アクセスポイントのカバーエリアの境界付近において回線状況が悪化した場合でも、映像の乱れや画質の低下を抑制して高品質な映像データの伝送を実現する無線映像送信装置および無線映像受信装置ならびにこれらを備えた無線映像伝送システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の無線映像送信装置は、被写体を撮像して映像データを生成する撮像部と、前記映像データに基づき、少なくとも画像領域または画像解像度が互いに異なるように生成された優先映像データおよび非優先映像データを生成するデータ生成部と、前記優先映像データおよび前記非優先映像データを符号化する映像符号化部と、第1のアクセスポイントと通信する第1の無線通信部と、前記第1のアクセスポイントのハンドオーバ先候補である第2のアクセスポイントと通信する第2の無線通信部と、前記第1および第2の無線通信部による無線通信を制御する通信制御部とを備え、前記通信制御部は、前記第1のアクセスポイントとの間の通信の回線状況と、前記第2のアクセスポイントへのハンドオーバの実施状況とに基づき、前記2つの映像ストリームの前記第1および第2の無線通信部からの送信適否を決定し、符号化された前記優先映像データと前記非優先映像データとを個別の2つの映像ストリームとして前記第1および第2の無線通信部から送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、ハンドオーバの実施時や、アクセスポイントのカバーエリアの境界付近において回線状況が悪化した場合でも、映像の乱れや画質の低下を抑制して高品質な映像データの伝送を実現できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】無線映像伝送システム1の概略構成図
【図2】図1の無線映像伝送システム1の詳細構成を示すブロック図
【図3】無線映像伝送システム1における映像ストリームの伝送方法の一例を示す模式図
【図4】映像符号化部13による符号化後のデータの構成例を示す図
【図5】映像送信部14による送信データの構成例を示す図
【図6】無線カメラ2による映像ストリームの送信動作を示すフロー図
【図7】無線カメラ2の2ストリームモードAにおける映像ストリーム送信の説明図
【図8】無線カメラ2の2ストリームモードBにおける映像ストリーム送信の説明図
【図9】無線映像伝送システム1におけるアクセスポイントAP1、AP2間の距離と受信信号強度との関係を示す説明図((A)アクセスポイント間の距離小(B)アクセスポイント間の距離大)
【図10】PC3による映像ストリームの受信動作を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、被写体を撮像して映像データを生成する撮像部と、前記映像データに基づき、少なくとも画像領域または画像解像度が互いに異なるように生成された優先映像データおよび非優先映像データを生成するデータ生成部と、前記優先映像データおよび前記非優先映像データを符号化する映像符号化部と、第1のアクセスポイントと通信する第1の無線通信部と、前記第1のアクセスポイントのハンドオーバ先候補である第2のアクセスポイントと通信する第2の無線通信部と、前記第1および第2の無線通信部による無線通信を制御する通信制御部とを備え、前記通信制御部は、前記第1のアクセスポイントとの間の通信の回線状況と、前記第2のアクセスポイントへのハンドオーバの実施状況とに基づき、前記第1および第2の無線通信部からの送信適否を決定し、符号化された前記優先映像データと前記非優先映像データとを個別の2つの映像ストリームとして前記第1および第2の無線通信部から送信する無線映像送信装置である。
【0013】
これによると、優先映像データおよび非優先映像データを個別の映像ストリームとして送信すると共に、当該各映像ストリームの送信の適否を回線状況やハンドオーバの実施状況に基づき判定するため、優先映像データおよび非優先映像データの符号量を独立して制御することが可能となり、無線通信において制御可能な符号量の範囲を拡大することができる。したがって、ハンドオーバの実施時や、アクセスポイントのカバーエリアの境界付近において回線状況が悪化した場合でも、映像の乱れや画質の低下を抑制して高品質な映像データの伝送を実現できる。
【0014】
また、第2の発明は、上記第1の発明に関し、前記通信制御部は、前記回線状況が、前記送信適否に関わる第1の基準を満たさない場合、前記2つの映像ストリームの双方を前記第1の無線通信部から前記第1のアクセスポイントに対して送信することを決定する構成とする。
【0015】
これによると、受信側装置では、各映像ストリームの受信状況に応じて優先映像データおよび非優先映像データの一方または双方を表示等のための映像データとして適宜利用することができるため、第1のアクセスポイントのカバーエリアの境界付近等において回線状況が悪化した場合でも高品質な映像データの伝送を実現できる。
【0016】
また、第3の発明は、上記第2の発明に関し、前記通信制御部は、前記回線状況が、前記第1の基準よりも低い第2の基準を満たさない場合、前記2つの映像ストリームの一方を前記第2の無線通信部から前記第2のアクセスポイントに対して送信することを決定する構成とする。
【0017】
これによると、ハンドオーバ先となり得る第2のアクセスポイントに対して、ハンドオーバ前から映像ストリームを送信するため、ハンドオーバの実施時においても高品質な映像データの伝送を実現できる。
【0018】
また、第4の発明は、上記第1から第3の発明の何れかに関し、前記通信制御部は、前記第1のアクセスポイントから前記第2のアクセスポイントへのハンドオーバが完了した場合、前記第1のアクセスポイントに対する前記2つの映像ストリームの送信を停止する一方、前記2つの映像ストリームの双方を前記第2の無線通信部から前記第2のアクセスポイントに対して送信することを決定する構成とする。
【0019】
これによると、受信側装置では、各映像ストリームの受信状況に応じて優先映像データおよび非優先映像データの一方または双方を表示等のための映像データとして適宜利用することができるため、ハンドオーバの完了後の第2のアクセスポイントのカバーエリアの境界付近において回線状況が悪化した場合でも高品質な映像データの伝送を実現できる。
【0020】
また、第5の発明は、上記第1から第4の発明の何れかに係る無線映像送信装置と通信する無線映像受信装置であって、前記第1および第2のアクセスポイントを介して前記無線映像送信装置から送信された前記2つの映像ストリームを受信するデータ受信部と、受信した少なくとも1つの映像ストリームに含まれる映像データを復号する映像復号部とを備えた構成とする。
【0021】
これによると、複数の映像ストリームの受信状況に応じて複数の異なる映像データを表示等のための映像データとして適宜利用することができるため、ハンドオーバの実施時や、アクセスポイントのカバーエリアの境界付近において回線状況が悪化した場合でも、映像の乱れや画質の低下を抑制して高品質な映像データの伝送を実現できる。
【0022】
また、第6の発明は、上記第5の発明に関し、前記無線映像受信装置に対して、前記第2のアクセスポイントへのハンドオーバの完了を通知するハンドオーバ完了通知部を更に備えた構成とする。
【0023】
これによると、映像データの送信側(無線映像送信装置)においてハンドオーバ完了のタイミングを確実に把握することができるため、高品質な映像データの伝送が可能となる。
【0024】
また、第7の発明は、上記第5または第6の発明に関し、前記データ受信部が、同種の映像ストリームを複数受信した場合、それら各映像ストリームの受信状況に応じて、前記映像復号部にて復号されるストリームを選択する映像ストリーム選択部を更に備えた構成とする。
【0025】
これによると、受信状況がより良好な映像ストリームに基づき映像を再生することができるため、高品質な映像データの伝送が可能となる。
【0026】
また、第8の発明は、上記第5から第7の発明の何れかに関し、さらに表示部を備え、ハンドオーバ中の優先映像の表示位置を、前記回線状況に応じて固定する構成とする。
【0027】
これによると、ハンドオーバ中の優先映像の表示位置を固定することにより、電波状況が悪い場合でも見やすい映像を表示することができる。
【0028】
また、第9の発明は、上記第1から第4の発明の何れかに係る無線映像送信装置と、上記第5から第8の発明の何れかに係る無線映像受信装置とを備えた無線映像伝送システムである。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は本発明に係る無線映像伝送システム1の概略構成図である。無線映像伝送システム1は、無線通信によって映像信号を送信する無線映像送信装置としての無線カメラ2と、この無線カメラ2から送信された映像信号を受信する無線映像受信装置としてのPC(Personal Computer)3とから主として構成される。無線カメラ2は、2つのアクセスポイントAP1、AP2およびIP(Internet Protocol)ネットワーク4を介してPC3と通信可能に接続される。ここで、IPネットワーク4は、イーサネット(登録商標)等の周知のネットワーク規格に準拠したLAN(Local Area Network)から構成されるが、これに限らず、WAN(Wide-Area Network)やインターネットを利用しても良い。
【0031】
アクセスポイントAP1、AP2は、互いに同一の構成を有する電波中継器であり、無線カメラ2との間で無線通信が可能である。アクセスポイントAP1、AP2のカバーエリア5、6は、無線カメラ2が通信可能な領域を画成しており、互いの境界付近の一部の領域が重なるように設定されている。無線映像伝送システム1では、ユーザUが無線カメラ2を使用しながら別のカバーエリアに移動すると、無線カメラ2はハンドオーバを実施する(アクセスポイントAP1、AP2を一方から他方に切り替える)ことによりPC3との通信を維持する。
【0032】
ここでは、説明の便宜上、ハンドオーバ元であるアクセスポイントAP1と、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAP2との2つのアクセスポイントを備えた例を示すが、実用上はより多くのアクセスポイントおよびそのカバーエリアが存在することが望ましい。
【0033】
図2は図1の無線映像伝送システム1の詳細構成を示すブロック図であり、図3は無線映像伝送システムにおける映像ストリームの伝送方法の一例を示す模式図であり、図4は映像符号化部13による符号化後のデータの構成例を示す図であり、図5は映像送信部14による送信データの構成例を示す図である。
【0034】
図2に示すように、無線カメラ2において、撮像部11は、図示しない光学レンズ系やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)等からなる固体撮像素子を備え、光学レンズ系から固体撮像素子の撮像面に入射する被写体像を撮像して撮像映像データ(映像信号)を生成する。
【0035】
映像切り出し部12は、図3にも示すように、撮像部11により生成された撮像映像データから注目領域(ROI:Region of Interest)の切り出しを適宜実施する。ユーザは、画像における所定の領域を注目領域として事前に設定しておくことができる。或いは、ユーザは、後述するPC3の映像表示部25において表示された映像を見ながら注目領域を設定してもよい。また、ユーザの操作を介さずに、画像中の人や自動車などの移動物体を周知の画像認識処理等によって自動的に認識し、その移動物体を含む領域を注目領域として設定することも可能である。
【0036】
映像符号化部13は、映像切り出し部12から出力された注目領域に関する注目映像データと、撮像部11から出力された撮像映像データ(映像切り出し部12による切り出しが実施された場合には、注目領域外の静止した背景等を含む非注目領域に関する非注目映像データ)を、MPEG2(Moving Picture Experts Group phase 2)等に準拠した周知の圧縮符号化技術を用いて符号化する。ここで、映像符号化部13は、注目領域や非注目領域に含まれる画素ブロック毎に符号量の割り当てを制御することができる。なお、注目領域と非注目領域とは画像領域が互いに異なるが、必ずしも排他的である必要はなく、一部を重複させた構成も可能である。
【0037】
また、映像符号化部13は、後述する送信制御部18により、設定される符号量となるように符号化するが、発生する符号量が多く、設定値を超えるような場合には、撮像部11から出力された撮像映像データを縮小して解像度を下げ、その後に、符号化を実施する。撮像映像データの解像度を下げることで、発生する符号量抑制が可能となり、非注目領域を符号化するための符号量を大幅に削減できる。
【0038】
ここで、撮像部11から映像符号化部13に入力された撮像映像データ(非注目映像データ)は、例えば、図4(A)に示すように、Iピクチャ(Intra Picture)やPピクチャ(Predictive Picture)等の画像を含むデータ列として映像符号化部13から出力される。また、映像切り出し部12から映像符号化部13に入力された注目映像データは、例えば、図4(B)に示すように、各IピクチャやPピクチャ等の画像毎に注目領域の位置を示す位置情報が付加されたデータ列として映像符号化部13から出力される。
【0039】
映像送信部14は、映像符号化部13において符号化された各映像データをIPパケット化し、個別の映像ストリームとして出力する。つまり、図3にも示すように、映像切り出し部12による切り出しが実施された場合には、注目領域に関する注目映像データは、ハンドオーバの実施時や回線状況の悪化時において伝送品質を確保するために優先されるべき優先映像ストリームとして送信される。一方、非注目領域に関する非注目映像データは、優先する必要のない非優先映像ストリームとして送信される。
【0040】
ここで、映像符号化部13から映像送信部14に入力された非注目映像データの画像(ここでは、Iピクチャ)は、例えば、図5(A)に示すように、所定の画像サイズをもってRTPヘッダ、UDPヘッダ、IPヘッダが付加されてパケット化される。また、映像符号化部13から映像送信部14に入力された注目映像データの画像(ここでは、Iピクチャ)は、例えば、図5(B)に示すように、位置情報と共にRTPヘッダ、UDPヘッダ、IPヘッダが付加されてパケット化される。なお、Differentiated ServicesなどのQoS保証の仕組みを利用して、優先映像ストリームを優先的に伝送することも可能である。
【0041】
第1無線通信部15は、図示しないアンテナを介してアクセスポイントAP1との間でIEEE 802.11a/b/g等の無線LANの通信規格に準拠した無線通信を行う。映像送信部14にてIPパケット化された各映像データは、第1無線通信部15からアクセスポイントAP1を介してPC3に向けて送信される。ここで、注目映像データと、撮像部11から出力された映像データ(非注目映像データ)とは、個別の映像ストリームとして送信される。なお、第1無線通信部15は、無線通信の回線状況を把握する指標となる受信信号強度を検出することが可能である。
【0042】
また、第2無線通信部16は、第1無線通信部15と同様の構成および機能を有する。第2無線通信部16は、第1無線通信部15が通信中のアクセスポイント(ここでは、アクセスポイントAP1)とは異なるハンドオーバ先となり得るアクセスポイント(ここでは、アクセスポイントAP2)の存在を予め設定された周期で検出し、このハンドオーバ先候補のアクセスポイントとの間で無線通信を行う。第2無線通信部16は、アクセスポイントの検出時には、受信信号強度を測定しておき、後述するハンドオーバ時に、複数のAP2候補が存在する場合には、受信信号強度の測定結果に基づき、より受信信号強度の大きいAP2を選択するように動作する。
【0043】
なお、無線カメラ2において、アクセスポイントAP1からアクセスポイントAP2へのハンドオーバが実施された後は、第1無線通信部15と第2無線通信部16とは互いに逆の機能を果たすことになる。
【0044】
通信制御部17は、第1および第2無線通信部15、16による無線通信の制御を始めとして、無線映像伝送システム1における通信を統括制御する。通信制御部17において、送信制御部18は、映像切り出し部12および映像符号化部13の動作を制御することにより、PC3に対する各映像データの送信を制御する。また、送信モード決定部19は、無線通信の回線状況とハンドオーバの実施状況とに基づき、高品質な映像データの伝送を実現するために無線カメラ2が実行すべき動作モードを予め設定された複数の動作モードの中から決定する。これにより、送信制御部18は、決定された動作モードにしたがって各映像データの送信を制御する。
【0045】
一方、受信側のPC3において、NW(ネットワーク)通信部21は、IPネットワーク4を介してアクセスポイントAP1、AP2に接続されており、TCP/IPプロトコル等の周知のプロトコルに準拠して、無線カメラ2との間で映像ストリームや各種制御情報の送受信を実行する。
【0046】
映像受信部22は、受信データを蓄積するバッファ機能を有しており、NW通信部21により無線カメラ2から受信したIPパケットに含まれる符号化された映像データを映像復号部23に対して出力する。映像復号部23では映像受信部22からの各映像データが復号される。ここで復号された注目映像データおよびこれに対応する非注目映像データは、図3にも示したように、必要に応じて映像合成部24において合成される。このようにして取得された映像データは、液晶ディスプレイ等を備えた映像表示部25において表示される。
【0047】
なお、後述するハンドオーバの実施時には、映像表示部25において表示される注目領域の位置を固定するとよい。その場合、注目領域の表示位置は、優先映像ストリームの送信時に無線カメラ2側から指定することができる。これにより、ユーザにハンドオーバ中であることを認識させることができると共に、ハンドオーバ中の注目領域の見やすさが向上する。また、この場合、注目領域の位置の固定の要否は、無線カメラ2における受信信号強度の大きさに応じて決定することができ、例えば、受信信号強度が予め設定した閾値よりも小さい場合にのみ注目領域の位置を固定するとよい。これにより、受信信号強度が大きい場合には、ハンドオーバ中であっても注目領域の位置が固定されないため、より自然な映像表示が可能となる。
【0048】
受信制御部26は、映像受信部22、映像復号部23および映像合成部24の動作を制御することにより、PC3に対する各映像データの受信および表示を制御する。また、ストリーム選択部27は、受信制御部26と共同し、映像受信部22によって同種の映像ストリームが複数受信された場合(すなわち、無線カメラ2の第1、第2無線通信部15、16からそれぞれ同種の映像ストリームが送信された場合)、各映像ストリームの受信状況に応じて、映像復号部23にて復号すべき映像ストリームを選択する。
【0049】
なお、PC3は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース等から構成されており、上記各部の機能の一部または全てを所定のアプリケーションソフトウェアの処理により実現することができる。
【0050】
上記構成の無線カメラ2では、通信制御部17が、無線通信の回線状況とハンドオーバの実施状況とに基づき、各映像ストリームについて第1、第2無線通信部15、16からの送信の適否を決定する。この通信制御部17による各映像ストリームの送信の適否の決定は、次の3つの動作モードが選択的に実行されることにより具現化される。
【0051】
ここで、無線カメラ2の3つの動作モードは、撮像部11から出力された撮像映像データを1つの映像ストリームとして第1無線通信部15からアクセスポイントAP1に対して送信する1ストリームモードと、注目映像データを含む優先映像ストリームおよび非注目映像データを含む非優先映像ストリームを第1無線通信部15からアクセスポイントAP1に対して送信する2ストリームモードA(ハンドオーバなし)と、注目映像データを含む優先映像ストリームおよび非注目映像データを含む非優先映像ストリームを第1無線通信部15からアクセスポイントAP1に対して送信し、且つ、注目映像データを含む優先映像ストリームのみを第2無線通信部16からアクセスポイントAP2に対して送信する2ストリームモードB(ハンドオーバあり)とからなる。
【0052】
図6は無線カメラ2による映像ストリームの送信動作を示すフロー図であり、図7は無線カメラ2の2ストリームモードA(ハンドオーバなし)における映像ストリーム送信の説明図であり、図8は無線カメラ2の2ストリームモードB(ハンドオーバあり)における映像ストリーム送信の説明図である。
【0053】
無線カメラ2が起動すると、まず、第1無線通信部15は、図1に示したように、現在位置が属するカバーエリア5に対応するアクセスポイントAP1に接続される。一方、現時点で通信を行う必要のない(すなわち、後にハンドオーバ先となるアクセスポイントAP2と通信する)第2無線通信部16では、アクセスポイントAP1の受信信号強度が検出される(ST101)。なお、第1無線通信部15により、AP1の受信信号強度を検出する構成とすることも可能である。
【0054】
ここで、検出された受信信号強度が予め設定した第1の基準値Xを越えている場合(ST101:Yes)、送信モード決定部19は、無線通信の回線状況が良好であると判断して1ストリームモードを実施する。また、受信信号強度の値が第1の基準値Xよりも小さく(ST101:No)かつ第2の基準値Yよりも大きい場合(ST102:Yes)、送信モード決定部19は、無線通信の回線状況がやや悪化していると判断して2ストリームモードAを実施する。さらに、受信信号強度の値が第2の基準値Y以下である場合(ST102:No)、送信モード決定部19は、ハンドオーバの実施を必要とする程度まで無線通信の回線状況が悪化したと判断して2ストリームモードB(ハンドオーバあり)を実施する。
【0055】
1ストリームモード(ST101:Yes)では、映像切り出し部12による注目領域の切り出し動作が停止される(ST103)。これにより、撮像部11から出力された撮像映像データは、そのまま映像符号化部13において符号化され(ST104)、第1無線通信部15からアクセスポイントAP1を介してPC3に向けて1つの映像ストリームとして送信される(ST105)。
【0056】
この1ストリームモードでは、図1に示したように、無線カメラ2の現在位置はカバーエリア5内における比較的電波の届き安い場所(中央付近等)にあるため、従来の伝送方法と同様に、注目領域の切り出し等による符号量の削減を行わない場合でも十分な伝送帯域を確保できる。
【0057】
2ストリームモードA(ST102:Yes)では、映像切り出し部12による注目領域の切り出し動作が開始される(ST106)。これにより、映像符号化部13において、注目映像データおよび非注目映像データがそれぞれ符号化され(ST107)、それぞれ優先映像ストリームおよび非優先映像ストリームとして、第1無線通信部15からアクセスポイントAP1を介してPC3に送信される(ST108)。
【0058】
この2ストリームモードAでは、図7に示すように、無線カメラ2の現在位置はカバーエリア5の内における比較的電波の届き難い場所(境界付近等)にある。しかしながら、PC3では、無線カメラ2から送信された優先映像ストリームおよび非優先映像ストリームの一方または双方を表示等のための映像データとして適宜利用することができるため、回線状況が悪化した場合でも高品質な映像データの伝送を実現できる。
【0059】
2ストリームモードB(ST102:No)では、上述のステップST106、ST107とそれぞれ同様のステップST109、ST110が実施される。続いて、送信制御部18は、PC3からハンドオーバの完了通知を受信していない場合(ST111:No)、上述のステップST108と同様のステップST112を実行し、更に、第2無線通信部16からアクセスポイントAP2を介してPC3に向けて優先映像ストリームのみを送信する(ST113)。なお、ユーザによって予め定められた規定時間内にPC3からハンドオーバの完了通知を受信していない場合には、送信制御部18は、無線カメラ2がハンドオーバ可能な位置にない(すなわち、全てのアクセスポイントのカバーエリアから外れた)と判定してユーザに対してエラー表示等をしてもよい。
【0060】
一方、送信制御部18は、PC3からハンドオーバの完了通知を受信すると(ST111:Yes)、ステップST112において開始した第1無線通信部15からの優先映像ストリームおよび非優先映像ストリームの送信を停止する(ST114)。続いて、送信制御部18は、優先映像ストリームに加えて非優先映像ストリームを第2無線通信部16からアクセスポイントAP2を介してPC3に送信する(ST115)。
【0061】
この2ストリームモードBでは、図8に示すように、無線カメラ2の現在位置はカバーエリア5とカバーエリア6とが重なる両カバーエリアの境界にある。しかしながら、ハンドオーバ先となり得る第2のアクセスポイントに対して、符号削減された優先映像ストリームが送信されるため、ハンドオーバ実施中でも高品質な映像データの伝送を実現できる。また、PC3は、各映像ストリームの受信状況に応じて注目映像データ(優先映像データ)および非注目映像データ(非優先映像データ)の一方または双方を表示等のための映像データとして適宜利用することができるため、ハンドオーバの完了後の第2のアクセスポイントのカバーエリアの境界付近において回線状況が悪化した場合でも高品質な映像データの伝送を実現できる。
【0062】
上記一連のステップは、最終的に通信制御部17において全ての送信動作が完了したと判断される(ST116:Yes)まで、繰り返し実施される。
【0063】
このように、無線カメラ2では、優先映像データおよび非優先映像データを個別の映像ストリームとして送信すると共に、当該各映像ストリームの送信の適否を回線状況やハンドオーバの実施状況に基づき判定するため、優先映像データおよび非優先映像データの符号量を独立して制御することが可能となり、無線通信において制御可能な符号量の範囲を拡大することができる。したがって、ハンドオーバの実施時や、アクセスポイントのカバーエリアの境界付近において回線状況が悪化した場合でも、映像の乱れや画質の低下を抑制して高品質な映像データの伝送を実現できる。
【0064】
なお、上記ステップST114においては、非優先映像ストリームのみの送信を停止する(すなわち、優先映像ストリームのみを送信する)ことも可能である。この場合、ハンドオーバ元のアクセスポイントAP1に対して送信する優先映像ストリームとしては、ハンドオーバ先とは異なる特定の映像データ(例えば、Iピクチャ)のみを送信することもできる。これにより、ハンドオーバ元のアクセスポイントに対する伝送帯域を節約することが可能となる。また、ハンドオーバ元への映像データの送信を一部継続することにより、再びアクセスポイントAP1へのハンドオーバが実施された場合でも高品質な映像データの伝送を確保できるという利点もある。
【0065】
また、上記ステップ112においては、優先映像ストリームのみを送信することも可能である。この場合、ハンドオーバ元のアクセスポイントAP1に対して送信する映像ストリームとしては、ハンドオーバ先とは異なる特定の映像データ(例えば、Iピクチャ)のみを送信することもできる。これにより、ハンドオーバ元のアクセスポイントに対する伝送帯域を節約することが可能となる。
【0066】
また、上記ステップST113においては、第2無線通信部16からPC3に向けて優先映像ストリームのみを送信する構成としたが、優先映像ストリームについて必要な伝送帯域を確保できず、且つ非優先映像ストリームの方がより符号量が小さい場合には、非優先映像ストリームのみを送信する構成も可能である。このステップST113に関する変更例の詳細について図9を参照して説明する。
【0067】
図9は無線映像伝送システム1におけるアクセスポイントAP1、AP2間の距離と受信信号強度との関係を示す説明図である。ここで、(A)はアクセスポイント間の距離が小さい場合、(B)はアクセスポイント間の距離が大きい場合を示している。
【0068】
図9(A)に示すように、アクセスポイントAP1、AP2間の距離が比較的小さく、それらが重なる領域(斜線部分参照)において受信信号強度が比較的大きい(すなわち、確保できる可用帯域が比較的大きい)場合、優先映像ストリームを送信するのに好適である。一方、図9(B)に示すように、アクセスポイントAP1、AP2間の距離が比較的大きく、それらが重なる領域(斜線部分参照)において受信信号強度が比較的小さい(すなわち、確保できる可用帯域が比較的小さい)場合、非優先映像ストリームを送信するのに好適である。このように、優先映像ストリームを伝送できない可用帯域の場合でも、非優先映像ストリームを送信することにより、映像の途切れを軽減できるという利点がある。
【0069】
なお、ステップST101、ステップST102において、AP1に関する受信信号強度を用いて、送信モードを決定したが、AP2に関する受信信号強度を用いることも可能である。例えば、AP1の受信強度よりもAP2の受信強度が大きい場合には、2ストリームモードを介すことなく、1ストリームモードで、送信先をAP2に切り替えるという制御が可能である。
【0070】
図10はPC3による映像ストリームの受信動作を示すフロー図である。PC3において映像ストリームの受信が開始されると、ストリーム選択部27は、映像受信部22において1つの映像ストリームのみが受信されているか否かを判定する(ST201)。ここで、無線カメラ2において1ストリームモードが実施されることにより、1つの映像ストリームのみがPC3で受信されている場合(Yes)、その映像ストリームは、映像復号部23にて復号され(ST202)、映像合成部24による合成処理を経ることなく(ST203)、映像表示部25において表示される。
【0071】
また、ステップST201において1つの映像ストリームのみが受信されていない場合(No)、ストリーム選択部27は、更に、映像受信部22において2つの映像ストリームが受信されているか否かを判定する(ST204)。ここで、無線カメラ2において2ストリームモードAが実施されることにより、2つの映像ストリームがPC3で受信されている場合(Yes)、それら映像ストリームは、映像復号部23にてそれぞれ復号され(ST205)、復号された注目映像データおよびこれに対応する非注目映像データは、映像合成部24において合成され(ST206)、映像表示部25において表示される。
【0072】
また、ステップST204において2つの映像ストリームのみが受信されていない場合(No)、ストリーム選択部27は、更に、映像受信部22において3つの映像ストリームが受信されているか否かを判定する(ST207)。ここで、無線カメラ2において2ストリームモードBが実施されることにより、3つの映像ストリームがPC3で受信されている場合(Yes)、ストリーム選択部27は、それら映像ストリームに含まれる2つの優先映像ストリーム(同種の映像ストリーム)の一方を、それら優先映像ストリームの受信状況の良否に応じて(例えば、パケットロス率やジッタ変動を指標として)、映像復号部23にて復号すべき映像ストリームとして選択する(ST208)。これにより、受信状況がより良好な映像ストリームに基づき映像を再生することができるため、高品質な映像データの伝送が可能となる。なお、受信状況の良否の指標としては、復号時のシンタクスエラーの頻度を用いてもよい。
【0073】
続いて、ストリーム選択部27は、ステップST208において選択した一方の優先映像ストリームがハンドオーバ先に送られたものであるか否かを判定し(ST209)、ハンドオーバ先に送られたものでない場合には(No)、上述のステップST205、ST206とそれぞれ同様のステップST210、ST211を実行する。一方、優先映像ストリームがハンドオーバ先に送られたものである場合(ST209:Yes)、受信制御部26は、ステップST210、ST211を実行する前に、無線カメラ2に対してハンドオーバが完了した旨を知らせるためのハンドオーバ完了通知を送信する(ST212)。これにより、無線カメラ2においてハンドオーバ完了のタイミングを確実に把握することができるため、高品質な映像データの伝送が可能となる。
【0074】
上記一連のステップは、最終的に受信制御部26において全ての送信動作が完了したと判断される(ST213:Yes)まで、繰り返し実施される。
【0075】
本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。
【0076】
たとえば、本発明に係る無線映像送信装置としては、上述の無線カメラに限らず、少なくとも無線通信機能と映像データの送信機能を有するものであればよい。また、本発明に係る無線映像受信装置としては、上述のPCに限らず、少なくとも無線映像送信装置から映像データを受信し、その受信した映像データを復号する機能を有するものであればよい。
【0077】
また、上記実施形態では、注目領域の切り出しにより互いに画像領域の異なる優先映像データ(注目映像データ)および非優先映像データ(非注目映像データ)を生成する構成としたが、例えば、映像データの符号化にH.264 SVC等のスケーラブルコーデックを用いることにより、互いに画像解像度が異なる優先映像データおよび非優先映像データを生成する構成も可能である。この場合、量子化値を制御することより、優先映像データでは、注目領域を高画質に符号化すると共に、非注目領域を低画質で符号化し、一方、非優先映像データでは、注目領域を低画質に符号化すると共に、非注目領域を高画質で符号化することができる。
【0078】
なお、上記実施形態に示した本発明に係る無線映像送信装置および無線映像受信装置ならびにこれらを備えた無線映像伝送システムの各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係る無線映像送信装置および無線映像受信装置ならびにこれらを備えた無線映像伝送システムは、ハンドオーバの実施時や、アクセスポイントのカバーエリアの境界付近において回線状況が悪化した場合でも、映像の乱れや画質の低下を抑制して高品質な映像データの伝送を実現可能とし、複数のアクセスポイント(基地局)を切り替えながら無線通信によって映像信号を送受信するための無線映像送信装置および無線映像受信装置ならびにこれらを備えた無線映像伝送システムとして有用である。
【符号の説明】
【0080】
1 無線映像伝送システム
2 無線カメラ(無線映像送信装置)
3 PC(無線映像受信装置)
11 撮像部
12 映像切り出し部(データ生成部)
13 映像符号下部
15 第1無線通信部
16 第2無線通信部
17 通信制御部
23 映像受信部(データ受信部)
26 受信制御部(ハンドオーバ完了通知部)
27 ストリーム選択部
AP1 第1のアクセスポイント
AP2 第2のアクセスポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して映像データを生成する撮像部と、
前記映像データに基づき、少なくとも画像領域または画像解像度が互いに異なるように生成された優先映像データおよび非優先映像データを生成するデータ生成部と、
前記優先映像データおよび前記非優先映像データを符号化する映像符号化部と、
第1のアクセスポイントと通信する第1の無線通信部と、
前記第1のアクセスポイントのハンドオーバ先候補である第2のアクセスポイントと通信する第2の無線通信部と、
前記第1および第2の無線通信部による無線通信を制御する通信制御部と
を備え、
前記通信制御部は、前記第1のアクセスポイントとの間の通信の回線状況と、前記第2のアクセスポイントへのハンドオーバの実施状況とに基づき、前記第1および第2の無線通信部からの送信適否を決定し、符号化された前記優先映像データと前記非優先映像データとを個別の2つの映像ストリームとして前記第1および第2の無線通信部から送信することを特徴とする無線映像送信装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、前記回線状況が、前記送信適否に関わる第1の基準を満たさない場合、前記2つの映像ストリームの双方を前記第1の無線通信部から前記第1のアクセスポイントに対して送信することを決定する請求項1に記載の無線映像送信装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記回線状況が、前記第1の基準よりも低い第2の基準を満たさない場合、前記2つの映像ストリームの一方を前記第2の無線通信部から前記第2のアクセスポイントに対して送信することを決定する請求項2に記載の無線映像送信装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記第1のアクセスポイントから前記第2のアクセスポイントへのハンドオーバが完了した場合、前記第1のアクセスポイントに対する前記2つの映像ストリームの送信を停止する一方、前記2つの映像ストリームの双方を前記第2の無線通信部から前記第2のアクセスポイントに対して送信することを決定する請求項1から請求項3の何れかに記載の無線映像送信装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の無線映像送信装置と通信する無線映像受信装置であって、
前記第1および第2のアクセスポイントを介して前記無線映像送信装置から送信された前記2つの映像ストリームを受信するデータ受信部と、
受信した少なくとも1つの映像ストリームに含まれる映像データを復号する映像復号部と
を備えたことを特徴とする無線映像受信装置。
【請求項6】
前記無線映像受信装置に対して、前記第2のアクセスポイントへのハンドオーバの完了を通知するハンドオーバ完了通知部を更に備えたことを特徴とする請求項5に記載の無線映像受信装置。
【請求項7】
前記データ受信部が、同種の映像ストリームを複数受信した場合、それら各映像ストリームの受信状況に応じて、前記映像復号部にて復号される映像ストリームを選択するストリーム選択部を更に備えたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の無線映像受信装置。
【請求項8】
さらに表示部を備え、ハンドオーバ中の優先映像の表示位置を、前記回線状況に応じて固定する請求項5から請求項7の何れかに記載の無線映像受信装置。
【請求項9】
請求項1から請求項4の何れかに記載の無線映像送信装置と、請求項5から請求項8の何れかに記載の無線映像受信装置とを備えた無線映像伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−191519(P2012−191519A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54652(P2011−54652)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】