説明

無線通信カード

【課題】簡単な構成の付加により待ち受け状態を保持しているときのインターフェイスIC6の電流消費を低減した無線通信カード1を提供する。
【解決手段】情報機器2のカードスロット2(1)に装着可能な無線通信カード1で、内蔵アンテナ3を介して高周波信号を送受信するとともにベースバンド信号の処理や高周波信号の送受信を制御するベースバンドIC5と、インターフェイスIC5と情報機器2との間をインターフェイスするインターフェイスIC6と、インターフェイス用クロック信号発生回路7を備え、インターフェイス用クロック信号発生回路7は、無線通信カード1が高周波信号の送受信動作を行っているとき、インターフェイスIC6にクロック信号が供給され、無線通信カード1が受信信号の待ち受け動作を行っているとき、インターフェイスIC6へのクロック信号の供給を断つように制御する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信カードに係り、特に、情報機器のカードスロットに装着して高周波信号の送受信を行なう無線通信カードにおいて、高周波受信信号の待ち受け時に無線通信カード内で消費される電力を極力低減するようにした無線通信カードに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、PC(Personal Computer)やPDA(Personal Didital Assistant)等の情報機器においては、無線通信カードを装着可能なカードスロットを搭載することが汎用的に実施されるようになり、それによってカードスロットに無線通信カードを装着した当該情報機器と無線通信が可能な外部サーバー等との間において、無線通信によるインターネット通信やデータ通信が行われるようになっている。この場合、情報機器に使用される無線通信カードには、代表的なものとして、CDMA(Code Division Mutiple Access)方式のものが知られている。
【0003】
図3は、かかる既知の無線通信カードの要部構成の一例を示すブロック図である。
【0004】
図3に示されるように、この無線通信カード31は、その装着部31(1)をPC32のカードスロット32(1)に装着して使用されるもので、高周波無線信号の送受信を行う内蔵アンテナ33と、高周波信号を送信する信号送信部、高周波信号を受信する信号受信部、信号周波数を変換する周波数変換部を備えた高周波回路部34と、送信ベースバンド信号処理部、受信ベースバンド信号処理部、各部動作の制御部を備えたベースバンドIC(集積回路)35と、複数のインバータ段36(1)、36(2)及び外付け水晶振動子36(3)を有し、ベースバンドIC35とPC32との間に相互伝送されるベースバンド信号をインターフェイスするインターフェイスIC(集積回路)36とを備えている。この場合、インターフェイスIC36においては、インバータ段36(1)の入出力間に水晶振動子36(3)が接続され、インバータ段36(1)と水晶振動子36(3)によりインターフェイス用クロック発振回路36(4)が構成される。
【0005】
そして、高周波回路部34は、高周波信号入出力端が内蔵アンテナ33に接続され、ベースバンド信号入出力端がベースバンドIC35の第1入出力端に接続される。ベースバンドIC35は、制御端が制御線31(2)を通して装着部31(1)に接続され、第2入出力端がインターフェイスIC36の第1入出力端に接続される。インターフェイスIC36は、第2入出力端が装着部31(1)に接続され、電源端が電源ライン31(3)を通して装着部31(1)に接続される。
【0006】
前記構成を有する無線通信カード31は、次のように動作する。
【0007】
無線通信カード31の装着部31(1)をPC32のカードスロット32(1)内に装着すると、PC32側から電源ライン31(3)を通して無線通信カード31に電源が供給され、それにより無線通信カード31は、内部にある各回路部分がパワーオンリセットされ、初期設定状態になる。続いて、無線通信カード31は、インターフェイスIC36のデフォルト設定を行い、製品名や電源情報等を認識する。このようなデフォルト設定が行われると、PC32は、設定されたデフォルト情報や、PC32のメモリ(図示なし)に予めインストールされているドライバソフト情報、例えば、通信レート等の情報に基づいて、インターフェイスIC36の内部レジスタ(図示なし)にそれらの情報を設定する。このような動作経緯によって、無線通信カード31とPC32との間の接続設定が行われ、このような接続設定が行われ後で、無線通信カード31を介してPC32と他の情報機器(図示なし)との間で高周波無線信号による通信を行うことが可能になる。
【0008】
ここで、PC32から他の情報機器に信号(データ)を送信する場合、PC32から出力された送信用データは、カードスロット32(1)及び装着部31(1)を通して無線通信カード31に伝送され、次いで、インターフェイスIC36を通してベースバンドIC35に伝送される。ベースバンドIC35は、供給された送信用データを送信に適した形態の情報内容に変換し、高周波回路部34に供給する。高周波回路部34は、この送信用データを高周波信号に周波数変換するとともに、送信に適した信号レベルになるまで増幅し、増幅した送信用データを内蔵アンテナ33に供給し、内蔵アンテナ33から無線信号として送信する。
【0009】
一方、他の情報機器から送信された信号(データ)を受信する場合、内蔵アンテナ33が無線信号を受信すると、高周波回路部34は、受信信号を必要な信号レベルまで増幅するとともに、高周波信号をベースバンド信号に周波数変換し、そのベースバンド信号をベースバンドIC35に供給する。ベースバンドIC35は、ベースバンド信号を着信したことを検知すると、制御線31(2)を通して着信信号をPC32側に供給し、PC32を受信用データの受入れ状態に設定し、これと同時に、供給されたベースバンド信号をPC32に供給するのに適した形態の受信用データに変換し、得られた受信用データをインターフェイスIC36に供給する。インターフェイスIC36は、供給された受信用データを装着部31(1)及びカードスロット32(1)を通してPC32側に伝送し、PC32がその受信用データを処理する。
【0010】
この場合、無線通信カード31は、このような無線信号の送受信が行われている期間、無線信号の送受信を実行している通常の動作状態に保持されており、一方、無線信号の送受信が行われていない期間、無線信号の受信を待つ待ち受け状態に保持されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前記既知の無線通信カード31が通常の動作状態を保持しているとき、高周波回路部34、ベースバンドIC35、インターフェイスIC36等の各部においては、それぞれデータまたは高周波信号等の処理が行われているため、無線通信カード31内においてそれらの処理に見合った電流が消費されている。
【0012】
一方、当該無線通信カード31が待ち受け状態を保持しているとき、高周波回路部34、ベースバンドIC35、インターフェイスIC36等の各回路部分においては、データまたは高周波信号等の処理が行われていないにも係わらず、これらの回路部分がいずれも動作可能な状態になっているため、通常の動作状態を保持しているとき程でないにしても、無線通信カード31内においてそれぞれ最小限の電流が消費されていることになる。
【0013】
この点を具体的に述べると、一例として、無線通信カード31は、待ち受け状態を保持しているとき、約6mAの電流が消費されているもので、その内訳として、インターフェイスIC36で約4mAの電流が消費され、それ以外の回路部分で約2mAの電流が消費されている。ところで、携帯用無線通信装置として代表的な携帯電話機においては、待ち受け状態を保持しているとき、約2mAの電流が消費されているに過ぎず、それに比べると待ち受け状態を保持しているときの無線通信カード31の電流消費は、インターフェイスIC36における電流消費分だけ多いことになり、この点で無線通信カード31の電流消費、とりわけインターフェイスIC36の電流消費を少なくすることが要望されている。
【0014】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたもので、その目的は、簡単な構成の付加により待ち受け状態を保持しているときのインターフェイスICの電流消費を低減することを可能にした無線通信カードを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明による無線通信カードは、情報機器のカードスロットに装着可能な無線通信カードであって、アンテナを内蔵し、アンテナを介して高周波信号の送受信を行う高周波回路部と、高周波回路部に結合され、ベースバンド信号の処理や高周波信号の送受信を制御するベースバンドICと、ベースバンドICと情報機器との間をインターフェイスするインターフェイスICと、インターフェイスICを動作させるインターフェイス用クロック信号発生回路とを備え、インターフェイス用クロック信号発生回路は、無線通信カードが高周波信号の送受信動作を行っているときにインターフェイスICにクロック信号が供給され、無線通信カードが受信信号の待ち受け動作を行っているときにインターフェイスICへのクロック信号の供給が断たれるように制御される手段を具備する。
【0016】
前記手段によれば、無線通信カードが高周波信号の送受信動作を行っているとき、インターフェイス用クロック信号発生回路からインターフェイスICにクロック信号を供給し、無線通信カードが受信信号の待ち受け動作を行っているとき、インターフェイス用クロック信号発生回路からインターフェイスICへのクロック信号の供給を断つようにしたので、受信信号の待ち受け動作を行っているときには、インターフェイスICの動作を動作を実質的に停止することができ、それによりインターフェイスICの消費電流を大幅に低減させることができる。
【0017】
前記手段におけるインターフェイス用クロック信号発生回路は、独立したクロック信号発生回路であって、インターフェイスICにクロック信号を供給するときにそのクロック信号発生回路の電源がオンになり、インターフェイスICへのクロック信号の供給を断つときにそのクロック信号発生回路の電源がオフになるように制御される第1の構成を用いている。
【0018】
かかる第1の構成によれば、無線通信カードが受信信号の待ち受け動作を行っているとき、インターフェイス用クロック信号発生回路からインターフェイスICへのクロック信号の供給を断つ手段として、当該クロック信号発生回路の電源をオフにするようにしているので、簡単な構成の採用によって、インターフェイスICの消費電流を大幅に低減させることができる。
【0019】
前記手段におけるインターフェイス用クロック信号発生回路は、ベースバンドICを動作させるベースバンドIC用クロック信号発生回路と共用のものであって、インターフェイスICにクロック信号を供給するときにベースバンドIC用クロック信号発生回路からインターフェイスICに至るクロック信号の伝送経路を設定し、インターフェイスICへのクロック信号の供給を断つときにベースバンドIC用クロック信号発生回路からインターフェイスICに至るクロック信号の伝送経路を遮断するように制御される第2の構成を用いている。
【0020】
かかる第2の構成によれば、無線通信カードが受信信号の待ち受け動作を行っているとき、インターフェイス用クロック信号発生回路からインターフェイスICへのクロック信号の供給を断つ手段として、当該クロック信号発生回路からインターフェイスICに至るクロック信号の伝送経路を遮断するようにしているので、同じく簡単な構成の採用によって、インターフェイスICの消費電流を大幅に低減させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明に係わる無線通信カードの第1の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示されるように、第1の実施の形態による無線通信カード1は、その装着部1(1)をパソコン(PC)2のカードスロット2(1)に着脱自在に装着することにより使用されるもので、高周波無線信号の送受信を行う内蔵アンテナ3と、高周波信号を送信する信号送信部(図示なし)、高周波信号を受信する信号受信部(図示なし)、信号周波数を変換する周波数変換部(図示なし)を備えた高周波回路部4と、送信ベースバンド信号処理部(図示なし)、受信ベースバンド信号処理部(図示なし)、各部動作の制御部(図示なし)を備えたベースバンドIC(集積回路)5と、複数のインバータ段6(1)、6(2)を有し、ベースバンドIC5とPC2との間に相互伝送されるデータ信号をインターフェイスするインターフェイスIC(集積回路)6と、インバータ段7(1)と水晶振動子7(2)を有するインターフェイス用クロック発振回路7と、電源回路8と、第1制御線9と、第2制御線10と、電源ライン11とを備えている。
【0024】
そして、高周波回路部4は、高周波信号入出力端が内蔵アンテナ3に接続され、ベースバンド信号入出力端がベースバンドIC5の第1入出力端に接続される。ベースバンドIC5は、2つの制御端がそれぞれ第1制御線9及び第2制御線10を通して装着部1(1)に接続され、第2入出力端がインターフェイスIC6の第1入出力端に接続される。インターフェイスIC6は、第2入出力端が装着部1(1)に接続され、クロック信号入力端がインターフェイス用クロック発振回路7の出力端に接続され、電源端が電源ライン11を通して装着部1(1)に接続される。インターフェイス用クロック発振回路7は、電源端が電源回路8の出力端に接続される。電源回路8は、入力端が電源ライン11に接続され、制御端が第2制御線10に接続される。
【0025】
前記構成を有する第1の無線通信カード1は、次のように動作する。
【0026】
ただし、第1の無線通信カード1の動作においては、無線通信カード1の装着部1(1)をPC2のカードスロット2(1)内に装着したときの動作、PC2から図示されていない他の情報機器に信号(データ)を送信する場合の動作、他の情報機器から送信された信号(データ)を受信する場合の動作は、いずれも、前に説明した既知のこの種の無線通信カード31の対応するそれらの動作と同じである。このため、この無線通信カード1におけるそれらの動作の説明は、前記説明と重複することになるので、ここでは、それらの動作の説明を省略し、主としてインターフェイスIC6に関連する動作について説明する。
【0027】
いま、内蔵アンテナ3が無線信号を受信すると、高周波回路部4は、この受信信号を必要な信号レベルまで増幅するとともに、高周波信号をベースバンド信号に周波数変換し、そのベースバンド信号をベースバンドIC5に供給する。ベースバンドIC5は、ベースバンド信号が着信したことを検知すると、第1制御線9に着信信号を送出し、その着信信号を第1制御線9を通り、装着部1(1)及びカードスロット2(1)を通してPC2に供給する。PC2は、着信信号を受信すると、受信用データの受入れ状態に設定するとともに、カードスロット2(1)及び装着部1(1)を通して第2制御線10に制御信号を送出する。そのとき、この制御信号は、ベースバンドIC5及び電源回路8に供給される。ベースバンドIC5は、制御信号の供給によってベースバンド信号をインターフェイスIC6を通してPC2側に伝送するように動作し、電源回路8は、制御信号の供給によって動作電力をインターフェイス用クロック発振回路7に供給し、それによりインターフェイス用クロック発振回路7がクロック信号の発振動作を行い、得られたクロック信号をインターフェイスIC6に供給する。インターフェイスIC6は、クロック信号の供給により、ベースバンドIC5から供給されたデータ信号をクロック信号の周期に対応してPC2側に伝送する。このようにインターフェイス用クロック発振回路7がクロック信号の発振動作を行っている期間は、無線信号の送受信が逐次行われている期間であって、通常の動作状態に設定されている期間である。
【0028】
ここで、内蔵アンテナ3における無線信号を受信が一定期間途絶え、高周波回路部4からベースバンドIC5に供給されるベースバンド信号も一定期間途絶えると、ベースバンドIC5は、それまで第1制御線9に送出していた着信信号の送出を停止し、停止した旨を第1制御線9、装着部1(1)及びカードスロット2(1)を通してPC2に伝送する。PC2は、着信信号の停止を検知すると、受信用データの受入れ停止状態に設定するとともに、それまでカードスロット2(1)及び装着部1(1)を通して第2制御線10に送出していた制御信号の送出を停止する。このときも、制御信号の送出の停止は、ベースバンドIC5及び電源回路8に伝送される。ベースバンドIC5は、制御信号の供給停止によってデータ信号をインターフェイスIC6を通してPC2側に伝送する経路を閉じ、電源回路8は、制御信号の供給停止によってインターフェイス用クロック発振回路7への動作電力の供給を停止し、それによりインターフェイス用クロック発振回路7がクロック信号の発振動作を行わなくなり、クロック信号がインターフェイスIC6に供給されなくなる。このようにインターフェイス用クロック発振回路7がクロック信号の発振動作を停止している期間は、無線信号の送受信が一定期間行われていない期間であって、受信信号の待ち受け動作状態に設定されている期間である。
【0029】
ところで、インターフェイス用クロック発振回路7への電源供給が断たれ、クロック信号の発振動作が停止すると、インターフェイスIC6へのクロック信号の供給も断たれるので、インターフェイスIC6の各部も動作停止状態になり、インターフェイスIC6における電流消費が極めて小さくなるとともに、インターフェイス用クロック発振回路7における電流消費も皆無になる。
【0030】
このように、第1の実施の形態による無線通信カード1は、受信信号の待ち受け動作状態に設定されたとき、インターフェイス用クロック発振回路7への電源供給を断つという簡単な構成を用いることにより、インターフェイスIC6における電流の消費を既知のこの種の無線通信カード31に比べて大幅に低減させることができ、その結果、無線通信カード1の電力消費を大幅に低減することが可能になる。
【0031】
次に、図2は、本発明に係わる無線通信カードの第2の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図であり、インターフェイス用クロック発振回路7を、ベースバンドICを動作させるベースバンドIC用クロック信号発生回路と共用させるようにしてより構成の簡素化を図ったものである。
【0032】
図2に示されるように、第2の実施の形態による無線通信カード1は、その装着部1(1)をパソコン(PC)2のカードスロット2(1)に着脱自在に装着することにより使用されるもので、高周波無線信号の送受信を行う内蔵アンテナ3と、高周波信号を送信する信号送信部(図示なし)、高周波信号を受信する信号受信部(図示なし)、信号周波数を変換する周波数変換部(図示なし)を備えた高周波回路部4と、インバータ段5(2)と位相同期ループ(PLL)5(3)と水晶振動子5(4)を有し、ベースバンドIC5を動作させるベースバンドIC用クロック信号発生回路5(1)と、送信ベースバンド信号処理部(図示なし)、受信ベースバンド信号処理部(図示なし)、各部動作の制御部(図示なし)を備えたベースバンドIC(集積回路)5と、複数のインバータ段6(1)、6(2)を有し、ベースバンドIC5とPC2との間に相互伝送されるベースバンド信号をインターフェイスするインターフェイスIC(集積回路)6と、第1制御線9と、第2制御線10と、電源ライン11とを備えている。
【0033】
すなわち、第2の実施の形態による無線通信カード1は、インターフェイス用クロック発振回路を、ベースバンドICを動作させるベースバンドIC用クロック信号発生回路5(1)と共用するようにしたもので、第1の実施の形態による無線通信カード1の構成と比べ、インターフェイス用クロック発振回路7及び電源回路8を省略しているものである。この場合、ベースバンドIC用クロック信号発生回路5(1)は、その出力端が切替回路(図示なし)を通してインターフェイスIC6のクロック信号入力端に接続され、インターフェイスIC6にベースバンドIC用クロック信号発生回路5(1)からのクロック信号が選択的に供給されるようにしている。
【0034】
この第2の無線通信カード1の動作においても、無線通信カード1の装着部1(1)をPC2のカードスロット2(1)内に装着したときの動作、PC2から図示されていない他の情報機器に信号(データ)を送信する場合の動作、他の情報機器から送信された信号(データ)を受信する場合の動作は、いずれも、前に説明した既知のこの種の無線通信カード31の対応するそれらの動作と同じであるので、第2の無線通信カード1におけるそれらの動作の説明を省略し、ここでは、主としてベースバンドIC及びインターフェイスIC6に関連する動作について説明する。
【0035】
内蔵アンテナ3が無線信号を受信すると、高周波回路部4は、この受信信号を必要な信号レベルまで増幅するとともに、高周波信号をベースバンド信号に周波数変換し、そのベースバンド信号をベースバンドIC5に供給する。ベースバンドIC5は、ベースバンド信号が着信したことを検知すると、第1制御線9に着信信号を送出し、その着信信号を第1制御線9を通り、装着部1(1)及びカードスロット2(1)を通してPC2に供給する。PC2は、着信信号を受信すると、受信用データの受入れ状態に設定するとともに、カードスロット2(1)及び装着部1(1)を通して第2制御線10に制御信号を送出し、制御信号をベースバンドIC5に供給する。ベースバンドIC5は、制御信号の供給によって、データ信号をインターフェイスIC6を通してPC2側に伝送するように動作するとともに、ベースバンドIC用クロック信号発生回路5(1)とインターフェイスIC6とを結合している切替回路を接続状態に切替え、それによりベースバンドIC用クロック信号発生回路5(1)が出力するクロック信号をインターフェイスIC6に供給する。インターフェイスIC6は、クロック信号の供給により、ベースバンドIC5から供給されたデータ信号をクロック信号の周期に対応してPC2側に伝送する。この場合も、ベースバンドIC用クロック信号発生回路5(1)がクロック信号をインターフェイスIC6に供給している期間は、無線信号の送受信が逐次行われている期間であって、通常の動作状態に設定されている期間である。
【0036】
このような状態のとき、内蔵アンテナ3における無線信号を受信が一定期間途絶え、高周波回路部4からベースバンドIC5に供給されるベースバンド信号も一定期間途絶えると、ベースバンドIC5は、それまで第1制御線9に送出していた着信信号の送出を停止し、停止した旨を第1制御線9、装着部1(1)及びカードスロット2(1)を通してPC2に伝送する。PC2は、着信信号の停止を検知すると、受信用データの受入れ停止状態に設定するとともに、それまでカードスロット2(1)及び装着部1(1)を通して第2制御線10に送出していた制御信号の送出を停止する。このときも、制御信号の送出の停止は、ベースバンドIC5に伝送される。ベースバンドIC5は、制御信号の供給停止によってベースバンドIC用クロック信号発生回路5(1)とインターフェイスIC6とを結合している切替回路を非接続状態に切替え、クロック信号がインターフェイスIC6に供給されなくなる。この場合も、インターフェイス用クロック発振回路7がクロック信号の発振動作を停止している期間は、無線信号の送受信が一定期間行われていない期間であって、受信信号の待ち受け動作状態に設定されている期間である。
【0037】
ベースバンドIC用クロック信号発生回路5(1)とインターフェイスIC6とを結合している切替回路が非接続状態に切替えられると、インターフェイスIC6の各部も動作停止状態になり、インターフェイスIC6における電流消費が極めて小さくなるとともに、ベースバンドIC用クロック信号発生回路5(1)における電流消費もクロック信号がインターフェイスIC6に供給されないために若干少なくなる。
【0038】
このように、第2の実施の形態による無線通信カード1は、受信信号の待ち受け動作状態に設定されたとき、インターフェイスIC6へのクロック信号の供給を断つという簡単な構成を用いることにより、インターフェイスIC6における電流の消費を既知のこの種の無線通信カード31に比べて大幅に低減させることができ、その結果、無線通信カード1の電力消費を大幅に低減することが可能になる。
【0039】
なお、本発明に適用される無線通信カード1は、CDMA(Code Division Multiple Access)通信カードに用いて好適なものであるが、その適用範囲はCDMA通信カードに限られず、CDMA伝送方式に類似の伝送方式の通信カードに用いてもよいことは勿論である。
【0040】
また、前記各実施の形態においては、情報機器がパソコン(PC)である例を挙げて説明したが、本発明による情報機器はパソコン(PC)である場合に限られるものでなく、パソコン(PC)と同機能を備えた他の情報機器であってもよいことは勿論である。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、無線通信カードが高周波信号の送受信動作を行っているとき、インターフェイス用クロック信号発生回路からインターフェイスICにクロック信号を供給し、無線通信カードが受信信号の待ち受け動作を行っているとき、インターフェイス用クロック信号発生回路からインターフェイスICへのクロック信号の供給を断つようにしたので、受信信号の待ち受け動作を行っているときには、インターフェイスICの動作を動作を実質的に停止することができ、それによりインターフェイスICの消費電流を大幅に低減させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による無線通信カードの第1の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による無線通信カードの第2の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図である。
【図3】既知の無線通信カードの要部構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 無線通信カード
1(1) 装着部
2 パソコン(PC)
2(1) カードスロット
3 内蔵アンテナ
4 高周波回路部(RF)
5 ベースバンドIC(集積回路)
5(1) ベースバンドIC用クロック信号発生回路
5(2)、6(1)、6(2)、7(1) インバータ段
5(3) 位相同期ループ(PLL)
5(4)、7(2) 水晶振動子
6 インターフェイスIC(集積回路)
7 インターフェイス用クロック発振回路
8 電源回路
9 第1制御線
10 第2制御線
11 電源ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報機器のカードスロットに装着可能な無線通信カードであって、アンテナを内蔵し、前記アンテナを介して高周波信号の送受信を行う高周波回路部と、前記高周波回路部に結合され、ベースバンド信号の処理や高周波信号の送受信を制御するベースバンドICと、前記ベースバンドICと前記情報機器との間をインターフェイスするインターフェイスICと、前記インターフェイスICを動作させるインターフェイス用クロック信号発生回路とを備え、前記インターフェイス用クロック信号発生回路は、無線通信カードが高周波信号の送受信動作を行っているときに前記インターフェイスICにクロック信号が供給され、無線通信カードが受信信号の待ち受け動作を行っているときに前記インターフェイスICへのクロック信号の供給が断たれるように制御されることを特徴とする無線通信カード。
【請求項2】
前記インターフェイス用クロック信号発生回路は、独立したクロック信号発生回路であって、前記インターフェイスICにクロック信号を供給するときにそのクロック信号発生回路の電源がオンになり、前記インターフェイスICへのクロック信号の供給を断つときにそのクロック信号発生回路の電源がオフになるように制御されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信カード。
【請求項3】
前記インターフェイス用クロック信号発生回路は、前記ベースバンドICを動作させるベースバンドIC用クロック信号発生回路と共用のものであって、前記インターフェイスICにクロック信号を供給するときに前記ベースバンドIC用クロック信号発生回路から前記インターフェイスICに至るクロック信号の伝送経路を設定し、前記インターフェイスICへのクロック信号の供給を断つときに前記ベースバンドIC用クロック信号発生回路から前記インターフェイスICに至るクロック信号の伝送経路を遮断するように制御されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信カード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2004−349819(P2004−349819A)
【公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−142075(P2003−142075)
【出願日】平成15年5月20日(2003.5.20)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】