説明

無線通信システム、リレー局および無線リソース制御方法

【課題】リレー局から基地局に通知する情報量を極力抑えつつ、R−PUSCHへの無線リソースを適切に割り当てることができる無線通信システムを得ること。
【解決手段】基地局と、端末と、基地局と端末との間の無線通信を中継するリレー局2と、を備える無線通信システムであって、リレー局2は、端末との間の通信品質を測定する受信処理/品質測定部21と、通信品質と、端末から通知される端末のバッファデータ量と、に基づいて、中継対象の全ての端末からのトラヒック量を求めるスケジューラ23と、トラヒック量を含むリソース割り当て要求を基地局へ送信する送信処理部26と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と端末の間の無線信号を中継するリレー局を備える無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の各種無線通信システムでは、複数の端末にそれぞれ無線リソースを割り当てる周波数スケジューリングを採用している。たとえば、標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)で規格化されているLTE(Long Term Evolution)のシステムでは、下り回線(基地局から端末方向)でOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)を、上り回線(端末から基地局方向)でSC−FDMA(Single Carrier−Frequency Division Multiple Access)を、それぞれ無線アクセス方式として採用している。これらの方式では、周波数軸上に存在する複数の無線リソースのうち、無線リソースを与える対象の端末にとって品質の良い無線リソースを、その端末に割り当てる。このような無線リソースの割り当てが、周波数スケジューリングである。
【0003】
周波数スケジューリングを行なう装置(ここでは、たとえば基地局とする)は、各端末の品質情報を得るため、通常、パイロット信号と呼ばれる既知信号を送信する。そして、パイロット信号を受信した端末は、そのパイロット信号のレベルSNR(Signal to Noise power Ratio)や干渉波との信号レベル比SINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)を測定し、測定結果を品質情報として基地局へ送信する。基地局は、端末ごとに、その端末から取得した品質情報に基づいて、品質の良い無線リソースを割り当てる。このような周波数スケジューリングを行なうことにより、端末との通信で多くのビット数を送ることが可能な多値度の高い変調方式を使用することができる。また、誤り訂正のオーバーヘッドを少なくすることができる。これらのことから、システム全体のスループットが向上する。
【0004】
なお、無線リソースの品質は時々刻々と変化するため、一般には、パイロット信号を周期的に送信することにより、品質情報を周期的に更新する。また、パイロット信号は、各周波数無線リソースの一部の領域に埋め込まれて送信される。従って、パイロット信号を送信する周波数無線リソースの残りの領域では本来送るべき通信データを埋め込むことができる。ただし、パイロット信号のみを送ることも可能である。
【0005】
ところで、最近リレー伝送が注目されている。近年の通信の大容量化要求により、周波数がそれほど逼迫していない高い周波数帯を使うことが増えている。高い周波数帯では、一般的に無線信号の到達距離が短い。また、高い周波数帯を用いない場合にも、無線信号の到達距離がこれまでに比べて短くなる傾向にある。これは、大容量化を実現するためには、送信側が信号を送信する際の周波数帯域幅を広げる(広帯域化)必要があり、所要送信電力が高くなるのに対し、装置の送信電力に限界値が存在するためである。限界値が存在する条件化で、広帯域化を行うがゆえに、単位周波数毎に与えることのできる送信電力値が小さくなり、結果として無線信号の到達距離が短くなる。
【0006】
このような背景により、これまでと同様のサービスエリアを確保するために信号の中継を行なうリレー伝送に注目が集まっている。たとえば、3GPPでも、将来の無線システムの規格を策定するべく、LTE−Advancedという名の作業においてリレー局導入の検討を行っている(下記、非特許文献1参照)。
【0007】
リレー伝送を行う場合には、リレー局と端末との間で、前述したような周波数スケジューリングを行う。また、基地局とリレー局の間でも、リレー局と端末との間で使用する周波数帯域と同じ周波数帯域を使用するシステムが考えられている。なお、3GPPでは、端末からリレー局の方向のデータ伝送に使用するチャネルをPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)と呼び、リレー局から基地局方向のデータ伝送に使用するチャネルをR−PUSCHと呼ぶ。また、基地局からリレー局方向の、R−PUSCHの無線リソース情報を格納した制御信号の伝送に使用するチャネルをR−PDCCH(Physical Downlink Control Channel)と呼ぶ。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】3DPP,“TR 36.912 V9.0.0”,2009年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来のリレー伝送の技術によれば、基地局がR−PUSCHの無線リソースを割り当てる際に、PUSCHでのトラフィック量を考慮していないため、過剰な量の無線リソースを割り当てる場合がある。したがって、実際にR−PUSCHで伝送するデータ量より多くの無線リソースをR−PUSCHへ割当てることにより、無線リソースを無駄遣いする、という問題がある。そして、過剰に無線リソースを割り当てると、たとえば、リレー局を介さずに、直接基地局と通信を行う端末が他に存在する場合に、その端末に無線リソースを割り当てることができなくなる可能性がある、という問題がある。
【0010】
上記の問題を解決する方法として、PUSCHでのトラヒック量を考慮してR−PUSCHに無線リソースを割り当てる方法が考えられる。なお、ここでいうPUSCHでのトラヒック量とは、端末のデータバッファに実際に格納されているデータ量と、PUSCHの品質情報と、が含まれる。データバッファに格納されているデータ量が多い場合には、一般に、無線リソースの割り当てを増やすが、通信品質が悪い場合には、伝送速度が遅くなる。したがって、トラヒック量を考慮して割り当てを行なう場合には、データバッファに格納されているデータ量が多い場合には、R−PUSCHへの無線リソースの割り当てを多くし、PUSCHの通信品質が悪い場合にはR−PUSCHへの無線リソースの割り当てを少なくする。
【0011】
一方、上記のようにトラヒック量を考慮して割り当てを行なう場合には、基地局は、PUSCHでのトラック量を把握する必要がある。したがって、リレー局は、各端末から取得した、トラヒック量(バッファデータ量および品質情報)を、基地局に通知する必要がある。そのため、リレー局から基地局に通知する情報量が増加する、という問題がある。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、リレー局から基地局に通知する情報量を極力抑えつつ、R−PUSCHへの無線リソースを適切に割り当てることができる無線通信システム、リレー局および無線リソース制御方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、基地局と、端末と、前記基地局と前記端末との間の無線通信を中継するリレー局と、を備える無線通信システムであって、前記リレー局は、前記端末から受信した受信信号に基づいて、前記端末との間の通信品質を測定する品質測定手段と、前記端末の前記通信品質と、前記端末から通知される前記端末のバッファデータ量と、に基づいて、中継対象の全ての前記端末からの伝送量を示すトラヒック量を求めるスケジューラと、前記トラヒック量を含むリソース割り当て要求を前記基地局へ送信する送信処理手段と、を備え、前記基地局は、前記トラヒック量に基づいて、前記リレー局が中継対象の全ての前記端末から受信したデータを前記基地局へ中継するための前記リレー局と自身との間の通信に、無線リソースを割り当てる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、リレー局が、中継対象の各端末との間の通信品質と、各端末から基地局へ送信するデータ量と、に基づいて中継対象の全端末の伝送量を示すトラヒック量を含むリソース割り当て要求を基地局へ送信し、基地局が受信したトラヒック量に基づいて、前記端末との通信についてリレー局と基地局間の無線リソースを割り当てるようにしたので、リレー局から基地局に通知する情報量を極力抑えつつ、R−PUSCHへの無線リソースを適切に割り当てることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明にかかる無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、従来の無線通信システムにおけるR−PUSCHへの無線リソース割り当て方法の一例を示す図である。
【図3】図3は、R−PUSCHのデータフォーマットの一例を示す図である。
【図4】図4は、基地局の機能構成例を示す図である。
【図5】図5は、リレー局の機能構成例を示す図である。
【図6】図6は、端末の機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明にかかる無線通信システム、リレー局および無線リソース制御方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明にかかる無線通信システムの構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の無線通信システムは、基地局1と、端末3−1〜3−3と、基地局1と端末3−1〜3−3との間の通信を中継するリレー局2と、で構成される。
【0018】
本実施の形態では、リレー局2が、リレー伝送の対象とする端末3−1〜3−3のデータを、まとまった1つのデータ(以下、統合データという)として扱い、その統合データの量である統合データ量と、端末3−1〜3−3の各々の間の通信品質に基づいて求めた統合品質と、をトラヒック量として基地局1に対して通知する。そして、基地局1は、統合データ量と統合品質に基づいて、リレー局2から基地局1方向のデータ伝送に使用するチャネルであるR−PUSCHへの無線リソースを割り当てる。
【0019】
ここで、リレー局を含む従来の無線通信システムにおけるR−PUSCHへの無線リソース割り当て方法の一例について説明する。図2は、従来の無線通信システムにおけるR−PUSCHへの無線リソース割り当て方法の一例を示す図である。図2の無線通信システムでは、基地局1,端末3−1〜3−3は本実施の形態と同様であり、リレー局2aは本実施の形態のリレー局2と異なる従来の装置である。ただし、基地局1は、従来と同様、端末3−1〜3−3からPUSCHで伝送されるデータ量とは無関係にR−PUSCHに無線リソースを割り当てる。
【0020】
図2に示すような、従来の無線通信システムでは、端末3−1〜3−3が保持するバッファ(データバッファ)には、それぞれ各端末の右側に示すような量のデータ量(バッファデータ量)が格納されているとする。リレー局2aは、端末3−1〜3−3から取得した、通信品質や端末3−1〜3−3のバッファデータ量などに基づいて、端末3−1〜3−3からリレー局2aへのデータ伝送のチャネルであるPUSCHに対して端末ごとに無線リソースを割り当てる。そして、図2に示すように、端末3−1〜3−3は、自身のPUSCHに割り当てられた無線リソースを用いて、自身のバッファに格納されているデータ4−1〜4−3を送信する。
【0021】
一方、基地局1は、端末3−1〜3−3からPUSCHで伝送されるデータ量とは無関係に、たとえばリレー局2aから基地局1の間の通信品質などに基づいて、リレー局2aから基地局1のデータ伝送のチャネルであるR−PUSCHに無線リソースを割り当てる。図2では、割り当てリソース5−1,5−2,5−3は、それぞれ端末3−1,3−2,3−3との通信用のR−PUSCHに割り当てられた無線リソースの一例を概念的に示している。図2では、データ4−1,4−2,4−3のそれぞれの大きさが実際に伝送に使用する無線リソースを示しており、割り当てリソース5−1,5−2,5−3は、それぞれデータ4−1,4−2,4−3にくらべ大きく、過剰な割り当てとなっていることがわかる。
【0022】
図2で述べたような、過剰な割り当てを防ぐために、本実施の形態では、リレー局2が、PUSCHで伝送されるデータの量とPUSCHでの通信品質との情報をトラヒック量として基地局1へ通知する一方、トラヒック量は変化するため、定期的または変化のあった場合等に、トラヒック量を送信する必要があり、特にリレー伝送の対象の端末数が増えるとトラヒック量を送信する頻度が増す。しかし、リレー局2から基地局1へ送信される情報が増えることは無線リソースの有効利用の観点から好ましくない。
【0023】
したがって、本実施の形態では、リレー局2は、リレー伝送する端末3−1〜3−3のデータを1つの統合データとして扱い、また、端末3−1〜3−3の通信品質に基づいてひとつの統合通信品質として扱って、基地局1へ通知する。これにより、リレー局2から基地局1へ送信する情報を抑える。
【0024】
つぎに、図1に戻り、本実施の形態の動作を説明する。リレー局2は、中継対象の(リレー局2が無線接続可能な端末のうち、基地局1と通信中または通信を要求している端末)端末3−1〜3−3からそれぞれPUSCHを用いて送信された信号に基づいて、各端末との間の通信品質を測定する。端末3−1,3−2,3−3に対応する通信品質をそれぞれQ1,Q2,Q3とする。リレー局2は、統合通信品質として、Q1,Q2,Q3の平均通信品質Qavを以下の式(1)に従って求める(ステップS11)。
Qav=(Q1+Q2+Q3)/3 …(1)
【0025】
また、リレー局2は、端末3−1〜3−3からのリソース割り当て要求に含まれるバッファデータ量の合計を統合データ量として求める。なお、端末3−1〜3−3は、自身がリレー局2経由で基地局1へ送信するデータが発生した場合に、自身のバッファデータ量を含むリソース割り当て要求をリレー局2へ送信することとする。
【0026】
リレー局2は、トラヒック量(Qavおよび統合データ量)を含むリソース割り当て要求を制御信号として基地局1へ通知する。基地局1は、Qavに基づいてR−PUSCHの無線リソースを割り当てる(ステップS12)。そして、基地局1は、割り当てた無線リソースをリレー局2へ通知する(ステップS13)。
【0027】
なお、ここでは、式(1)にしたがってQavを求めるようにしたが、PUSCHに対して割り当てられた無線リソースの量が端末3−1,3−2,3−3間でそれぞれ異なる場合もある。このような場合には、端末ごとのPUSCHに対して割り当てられた無線リソースの量に基づいて重み係数を求め、重み係数を用いて重み付けを行なうことにより、加重平均によりQavを算出するようにしてもよい。
【0028】
また、PUSCHによって伝送されるトラヒック量は、リレー局2が端末3−1〜3−3にそれぞれに指定したPUSCHの無線リソース量、多値変調、誤り訂正の冗長度等によって決まる。したがって、これらの情報の1つ以上に基づいてQavと同等の情報を統合通信品質として求めるようにしてもよい。このように無線リソース量、多値変調、誤り訂正の冗長度等に基づいて通信品質と同等の情報が得られる理由は、リレー局2は、無線リソース量、多値変調、誤り訂正の冗長度を端末3−1〜3−3の間の通信品質に基づいて決定しているためである。
【0029】
図3は、R−PUSCHで伝送するデータのフォーマット(R−PUSCHのデータフォーマット)の一例を示す図である。図3に示すように、R−PUSCHのデータフォーマットは、受信する基地局1側で、端末3−1〜3−3のそれぞれから送信されたデータの切れ目が識別できるように、端末ごとに端末の識別子(ID:Identifier)と、その端末が送信するデータのデータ長と、を示す領域を設け、それらの領域の後にその端末からの送信データを格納し、そして、次の端末の端末識別子、データ長、…と順に続く。
【0030】
リレー局2は、基地局1から割り当てられた無線リソースを用いて、図3に示すようなデータフォーマットで、端末3−1〜3−3から受信した基地局2に送信するデータを、一連のデータとして送信する。なお、図3は一例であり、各要素の順番は、あらかじめ決定しておけば、どのような配置としてもよい。さらには、あらかじめ決定しておくことにより、端末識別子を用いないフォーマットとしてもよい。
【0031】
図4は、本実施の形態の基地局1の機能構成例を示す図である。図4に示すように、基地局1は、受信処理部11,信号分離部12,スケジューラ13,バッファ14,送信処理部15で構成される。
【0032】
受信処理部11はリレー局2から受信した信号に対して所定の受信処理および復調処理を実施する。信号分離部12は、受信処理部11による処理後の信号を制御信号とデータ信号とに分離する。信号分離部12は、制御信号については、その制御信号がR−PUSCHリソース割り当て要求を含む場合には、R−PUSCHリソース割り当て要求をスケジューラ13に通知する。また、信号分離部12は、データ信号については、図3に例示したようなデータフォーマットに基づいて、端末ごとの送信データを抽出し、抽出した送信データを基地局1が接続するネットワーク等に送信する。
【0033】
スケジューラ13は、R−PUSCHリソース割り当て要求に含まれるトラヒック量に基づいてR−PUSCHに対して無線リソースを割り当て、送信処理部15に割り当て結果をリレー局2へ送信するよう指示する。また、スケジューラ13は、下り方向(基地局1からリレー局2または端末3−1〜3−3の方向)のデータに対する無線リソースの割り当て(周波数スケジューリング)を行なう割り当て結果をリレー局2へ送信するよう送信処理部15へ指示する。この際、スケジューラ13は、バッファ14に蓄積された下り方向のデータ量に基づいてスケジューリングを行う。なお、バッファ14は、基地局1が接続するネットワーク等から受信した端末3−1〜3−3宛ての送信データをバッファリングするためのバッファである。
【0034】
送信処理部15は、スケジューラ13からの指示に基づいて、R−PUSCHの無線リソースの割り当て結果、下り方向のスケジューリング結果などを、それぞれ所定のフォーマットで定義された送信信号に格納して送信信号を生成し、生成した送信信号をリレー局2へ送信する。また、送信処理部15は、バッファ14に格納されている下り方向の送信データを所定のフォーマットで定義された送信信号に格納して送信信号を生成し、生成した送信信号をリレー局2へ送信する。
【0035】
図5は、本実施の形態のリレー局2の機能構成例を示す図である。図5に示すように、リレー局2は、受信処理/品質測定部21,信号分離部22,スケジューラ23,バッファ24,制御部25,送信処理部26で構成される。
【0036】
受信処理/品質測定部21は、端末3−1〜3−3が送信したパイロット信号を受信し、パイロット信号に基づいてそれぞれの端末との間の通信品質の測定を行う。また、端末3−1〜3−3からのPUSCHデータ信号(PUSCHで送信される通信データを含む信号)やリソース割当て要求の制御信号等に対する所定の受信処理を行う。さらに、受信処理/品質測定部21は、基地局1から受信したデータ信号(端末3−1〜3−3との通信データを含む信号)に対して所定の受信処理を行い、または、基地局1から受信したR−PUSCHに対する無線リソース割当て結果を含む制御信号に対する所定の受信を行う。
【0037】
なお、ここでは、受信処理/品質測定部21として、受信処理を行う機能部と、品質測定を行う機能部を1つの構成要素としているが、これに限らず、受信処理を行う受信処理部と、品質測定を行う品質測定部と、の2つを個別に備えるようにしてもよい。
【0038】
信号分離部22は、受信処理/品質測定部21による処理後の信号をデータ信号と制御信号に分離し、端末からのリソース割当て要求の制御信号であれば、その信号に含まれる情報をスケジューラ23へ渡し、R−PUSCHリソース割当て結果を通知する信号であれば、割り当て結果を制御部25へ渡し、データ信号(PUSCHデータ信号および基地局1から受信したデータ信号)であれば、その信号をバッファ24へ格納する。
【0039】
スケジューラ23は、受信処理/品質測定部21が測定した通信品質の測定結果(品質測定結果)に基づいて、PUSCHの無線リソース割り当てを行い、割り当て結果をPUSCHリソース割り当て結果として送信するよう送信処理部26に指示する。このときの無線リソース割り当ての方法はどのような方法を用いてもよいが、たとえば、ある端末との通信のPUSCHに無線リソースを割り当てる場合、その端末に対応する品質測定結果の良いチャネル(無線リソース)を割り当てる方法とする。
【0040】
また、スケジューラ23は、品質測定結果とバッファ24に蓄積されているPUSCHデータ量(PUSCHで送信されたデータ量)とに基づいて、基地局1へR−PUSCHリソース要求に含めるトラヒック量(統合データ量およびQav)を求め、送信処理部26へそのトラヒック量を含むR−PUSCHリソース要求を基地局1へ送信するよう指示する。
【0041】
制御部25は、信号分離部22から受け取ったR−PUSCHリソース割り当て結果に基づいて、送信処理部26に対して、基地局1への次回の送信タイミングで送るデータ量や、そのデータの送信元端末のIDなどを通知する。また、制御部25は、基地局1から受信したデータ信号の送信タイミングとデータ量を送信処理部26へ指示する。
【0042】
送信処理部26は、スケジューラ23からの指示に基づいて端末3−1〜3−3に対するPUSCHリソース割当て要求を所定のフォーマットに従って、送信信号として生成し、端末3−1〜3−3へ送信する。また、送信処理部26は、制御部25からの通知に基づいてR−PUSCHで送信するデータをバッファ24から読出し、所定のフォーマットに従って、送信信号として生成し、基地局1へ送信する。また、送信処理部26は、制御部25からの通知に基づいて端末3−1〜3−3へ送信するデータをバッファ24から読出し、所定のフォーマットに従って、送信信号として生成し、端末3−1〜3−3へ送信する。
【0043】
図6は、本実施の形態の端末3−1〜3−3の機能構成例を示す図である。端末3−1〜3−3は、それぞれ同様の構成とし、図6では、これらを代表して端末3として記載している。図6に示すように、端末3は、バッファ31,受信処理部32,信号分離部33,送信制御部34,送信処理部35で構成される。
【0044】
バッファ31は、ユーザ装置等から取得したリレー局2経由で基地局1向けに送信するデータを保存するバッファである。受信処理部32は、基地局1から送信されたたデータをリレー局2経由で受信し、受信したデータに所定の受信処理を施して、信号分離部33に出力する。信号分離部33は、受け取ったデータを制御信号とデータ(ユーザデータ)に分離し、データをユーザ装置等へ出力する。ここで分離される制御信号は、リレー局2が行った割り当て結果(スケジューリングの結果)を含む制御信号であり、送信制御部34へ出力される。
【0045】
送信制御部34は、バッファ31のデータ滞留量に基づいてリレー局2にリソース割り当て要求(送信要求)を送信するか否かを判断し、リソース割り当て要求を送信すると判断した場合は、バッファ31のデータ量(バッファデータ量)を含むリソース要求の送信を送信処理部35へ指示する。たとえば、バッファ31のデータ滞留量が所定のしきい値以上となった場合に、リレー局2にリソース割り当て要求を送信すると判断する。また、送信制御部34は、基地局1から受信した割り当て結果に基づいてバッファ31に格納されている基地局1宛てのデータを送信のタイミングや送信データ量等を決定し、決定した送信内容を送信処理部35へ指示する。また、送信制御部34は、周期的にパイロット信号を送信することを送信処理部35へ指示する。
【0046】
送信処理部35は、送信制御部34の指示に基づいて、ユーザデータ,リソース割り当て要求,パイロット信号等を送信する。
【0047】
このように、本実施の形態では、リレー局2が、端末3−1〜3−3との間の通信品質に基づいて1つの統合品質情報を求め、端末3−1〜端末3−3から基地局1へ送信するデータ量の合計を統合データ量とし、統合品質情報と統合データ量とを含むリソース割り当て要求を基地局1へ送信するようにした。そのため、リレー局2から基地局1に通知する情報量を極力抑えつつ、R−PUSCHへの無線リソースを適切に割り当てることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかる無線通信システム、リレー局および無線リソース制御方法は、基地局と端末の間の無線信号を中継するリレー局を備える無線通信システムに有用であり、特に、リレー局が多数の端末の無線信号を中継する無線通信システムに適している。
【符号の説明】
【0049】
1 基地局
2 リレー局
3−1〜3−3 端末
11,32 受信処理部
12,22,33 信号分離部
13,23 スケジューラ
14,24,31 バッファ
15,26,35 送信処理部
21 受信処理/品質測定部
25 制御部
34 送信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、端末と、前記基地局と前記端末との間の無線通信を中継するリレー局と、を備える無線通信システムであって、
前記リレー局は、
前記端末から受信した受信信号に基づいて、前記端末との間の通信品質を測定する品質測定手段と、
前記端末の前記通信品質と、前記端末から通知される前記端末のバッファデータ量と、に基づいて、中継対象の全ての前記端末からの伝送量を示すトラヒック量を求めるスケジューラと、
前記トラヒック量を含むリソース割り当て要求を前記基地局へ送信する送信処理手段と、
を備え、
前記基地局は、前記トラヒック量に基づいて、前記リレー局が中継対象の全ての前記端末から受信したデータを前記基地局へ中継するための前記リレー局と自身との間の通信に、無線リソースを割り当てる、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記トラヒック量を、前記端末から通知される前記端末のバッファデータ量と、中継対象の全ての前記端末についての前記通信品質の平均値と、する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記トラヒック量を、前記端末から通知される前記端末のバッファデータ量と、中継対象の全ての前記端末についての前記通信品質の加重平均値と、する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記加重平均値を求める際の重み係数を、前記端末から前記リレー局との通信に割り当てられている無線リソース量とする、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記基地局は、前記リレー局の中継対象の全ての前記端末を1つの端末との通信とみなして、前記リレー局と自身との間の通信に無線リソースを割り当てる、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記送信処理手段は、所定のフォーマットに基づいて、中継対象の全ての前記端末を連続して送信し、
前記基地局は、前記リレー局から受信した通信データを、前記所定のフォーマットに基づいて、前記端末ごとに分離する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記所定のフォーマットに、前記端末の識別子と、前記端末に対応する送信データの長さと、前記端末からの送信データと、を含める、
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
基地局と、端末と、前記基地局と前記端末との間の無線通信を中継するリレー局と、を備える無線通信システムにおける前記リレー局であって、
前記端末から受信した受信信号に基づいて、前記端末との間の通信品質を測定する品質測定手段と、
前記端末の前記通信品質と、前記端末から通知される前記端末のバッファデータ量と、に基づいて、中継対象の全ての前記端末からの伝送量を示すトラヒック量を求めるスケジューラと、
前記トラヒック量を含むリソース割り当て要求を前記基地局へ送信する送信処理手段と、
を備える、
ことを特徴とするリレー局。
【請求項9】
基地局と、端末と、前記基地局と前記端末との間の無線通信を中継するリレー局と、を備える無線通信システムにおける無線リソース制御方法であって、
前記リレー局が、前記端末から受信した受信信号に基づいて、前記端末との間の通信品質を測定する品質測定ステップと、
前記リレー局が、前記端末の前記通信品質と、前記端末から通知される前記端末のバッファデータ量と、に基づいて、中継対象の全ての前記端末からの伝送量を示すトラヒック量を求めるスケジューリングステップと、
前記リレー局が、前記トラヒック量を含むリソース割り当て要求を前記基地局へ送信する送信処理ステップと、
前記基地局が、前記トラヒック量に基づいて、前記リレー局が中継対象の全ての前記端末から受信したデータを前記基地局へ中継するための前記リレー局と自身との間の通信に、無線リソースを割り当てる割り当てステップと、
含むことを特徴とする無線リソース制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−97340(P2011−97340A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249055(P2009−249055)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】