説明

無線通信システム

【課題】センター局装置と端末局装置とが無線により通信するに際して、端末局装置において不要な通報の再生を回避し、効果的な通報を行うことができる無線通信システムを提供する。
【解決手段】報知情報を出力可能な端末局と、無線により端末局と接続されるセンター局とを備え、センター局から端末局へ報知情報を送信し、端末局が受信した報知情報を出力する無線通信システムを、センター局は、端末局へ報知する報知情報を作成する報知情報作成部を備え、端末局は、端末局無線部で受信した報知情報を読出して出力する読出し出力部と、読出し出力部で読出した報知情報を記録する記録部と、記録部に記録した報知情報を再生出力する再生部と、端末局に設定された判定条件に基づいて、記録部に記録した報知情報を再生するか否かを判定する再生可否判定部とを備えるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センター局装置と端末局装置とが互いに無線により通信する無線通信システムに関し、例えば、市町村防災無線システム等の同報無線システムおよび地域防災無線システムに関するものである。同報無線システムは、例えば、市町村単位に設置され、屋外拡声装置等を用いて、地域住民へ防災等に関する情報を伝えるものである。なお、市町村防災無線システムのみならず、地域防災無線システムにおいても、同報機能を有する場合もある。
【背景技術】
【0002】
従来の無線通信システムにおける情報の伝達方法としては、例えば、市町村防災デジタル無線通信システムが知られている。この市町村防災デジタル無線通信システムのような一般的な同報無線システムにおいては、行政機関にセンター局を設置し、行政管轄地区の屋外や施設内に複数の端末局装置を設置して、センター局装置から災害関連情報等の報知情報をこれら端末局装置へ同報無線により送信し、各端末局装置で受信した報知情報を、音声通報としてスピーカから拡声出力することが行われている。一般的な同報無線システムでは、センター局装置から複数の端末局装置へ、報知情報を単一方向に無線送信することが行われる。
【0003】
また、同報無線システムを構成する端末局装置に付随して備え付けられる録音再生機能は、通報済みの音声通報内容の再確認用として利用されてきた。具体的には、通常の通報であれば、センター局装置から送信される通報音声は、無線回線を介して、端末局装置に接続しているスピーカからリアルタイムに拡声出力することで、端末局装置近辺に在住している地域一般住民へ報知情報の伝達を実現する。しかし、何らかの事情や都合によって当該拡声通報を聴話することの出来なかった地域一般住民のためを考慮して、端末局装置は拡声出力すると同時に、端末局装置内の保存部へ、当該通報音声を録音保存する。通報内容を明確に聴話出来なかった地域一般住民は、端末局装置の設置場所に赴き、端末局装置を再生操作することで、端末局装置に録音された通報内容を再確認することが出来る。
或いは、端末局装置近辺に不在であったため通報が有ったことすら判らない地域一般住民に対しては、端末局装置に配備される表示部等を見ることで、まず初めに何らかの通報があったことを認識する。聴話が必要であると判断した地域一般住民は、端末局装置の設置場所に赴き、端末局装置を再生操作することで通報内容を聴話することが可能となる。
【0004】
また、同報無線システムを構成する端末局装置は、屋外に設置することで不特定多数の一般住民に報知情報を伝送する端末局装置と、戸別単位で屋内に設置し報知情報を受信して出力する戸別受信機とがある。この2種類の端末局装置は、例えば、普段当該装置の扱いに不慣れな一般住民が操作することを考慮して、録音音声の再生を行う場合は、簡単な操作手順により、再生操作が可能であるように配慮した構成にて実現している。
具体的には、一例として、操作部に再生用スイッチを設置し、当該スイッチを押下することで、最も新しく録音された通報音声から順に再生が開始される。また、当該スイッチを再押下することで、2番目に新しく録音された通報音声を再生する手順としている。
【0005】
図8には、従来のデジタル同報無線システムの構成例を示してある。図8に示されるデジタル同報無線システムでは、センター局装置110と、複数の端末局装置130(1)〜130(n)と、複数の戸別受信機140(1)〜140(m)を設けてある。
センター局装置110には、制御部111や無線部112やアンテナ113を有して無線通信を行う基地局無線送受信装置101と、操作者により操作されて各種の指令などを受け付ける操作卓102が備えられている。
各端末局装置130(1)〜130(n)には、制御部131や無線部132やアンテナ133を有して無線通信を行う端末局本体装置103と、音声を拡声出力するトランペットスピーカ134と、通報済音声を録音し操作者の指示によって録音内容を再生出力する録音再生装置135と、が備えられており、また、録音再生装置135には、操作者の操作を受け付け通報音声の録音再生を制御する録音再生部136と、再生した音声を操作者へ出力するモニタスピーカ137と、が備えられている。
ここで、各端末局装置130(1)〜130(n)では、録音再生装置135を端末局装置本体103の外部装置として接続しているが、例えば、録音再生装置135と同等の機能を有する機能部を、端末局装置本体103の内部(例えば、端末局装置本体103内の制御部131の内部)に備えるような構成とすることもできる。
【0006】
各戸別受信機140(1)〜140(m)には、操作者の操作を受け付け通報音声の録音再生を制御する録音再生部141と、音声を操作者へ出力するモニタスピーカ142と、が備えられている。
【0007】
下記の特許文献1には、親局装置から、通報情報に関する重要度情報を子局装置に対して無線送信し、子局装置では、重要度情報に基づいて通報情報を重要度が高いものから優先させて記憶する無線通信システムが記載されている。また、下記の特許文献2には、センター局装置では、音声の情報及び文字の情報を子局装置に対して無線により送信し、子局装置では、音声の情報及び文字の情報を受信し、受信された音声の情報に基づいて音声を出力し、受信された文字の情報に基づいて文字を表示出力する無線通信システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-244484公報
【特許文献2】特開2007-259100公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のようなデジタル同報無線システムでは、例えば、通報内容を聞き逃した地域一般住民が、端末局130に録音登録された通報内容を再生し聴話する場合には、地域一般住民が端末局装置130の再生操作を実施する。再生操作を行うと、当該端末局のモニタスピーカ137から録音音声が、最も新しく録音した通報内容から、より古く録音した通報内容の順に、順番に再生し出力することになる。
図9および図10には、デジタル同報無線システムの端末局装置130に付属する録音再生機能の動作例を示してある。図9は、従来技術における録音動作シーケンスを示す図であり、センター局装置110から端末局装置130への録音指定有通報を受信したとき、端末局装置130の記憶部の録音領域へ通報音声を保存する一例を示している。図9において、横軸は録音領域、縦軸は経過時間である。端末局装置130において、録音指定有通報を通報1から順番に受信していくと、逐次録音領域に通報内容を保存していくことになる。ここで、録音動作を継続し続け、録音領域の空き領域が無くなる状態に達すると、最も古く保存された通報1の録音領域が削除され、その空き領域に、最も新しい通報Nの録音内容が上書きされることになる。
【0010】
また、図10は、従来技術における再生動作シーケンスを示す図であり、図9で録音領域に保存された通報音声を再生する順番の一例を示している。操作者が再生操作を実施すると、最も新しく録音された通報Nから順番に、録音領域に保存されている通報内容を再生出力することになる。
しかしながら、このような構成では、例えば、端末局装置130に録音された通報音声が、複数存在する場合は、最新の録音内容から順番に遡りながら再生されていくことになる。端末局装置130に録音された通報音声が、操作者が求める通報音声のみであれば問題は無いが、例えば、録音指定有り音声通報を実施した日時が、現在より遥か過去の時点であり、且つ当該音声通報が、消去されずに端末局装置130に保持され続けている場合、提供情報の劣化が発生しているのにも関わらず、地域一般住民に聴話させてしまうといった課題があった。
また、デジタル同報無線システムが最も活用される緊急災害時等においては、普段から端末局装置130の操作に手馴れた操作者が再生操作を実行するとは限らないため、操作に不慣れな操作者でも、容易に複数の録音内容から必要な情報のみを、操作者に提供する必要があった。
【0011】
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、センター局装置と端末局装置(例えば、屋外拡声装置や戸別受信機)とが無線により通信するに際して、端末局装置において不要な通報の再生を回避し、効果的な通報を行うことができる無線通信システムなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための、本願発明の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
報知情報を出力可能な端末局と、無線により端末局と接続されるセンター局とを備え、センター局から端末局へ報知情報を送信し、端末局が受信した報知情報を出力する無線通信システムであって、
前記センター局は、センター局制御部と、センター局制御部で作成した報知情報を端末局へ無線通信するセンター局無線部と、端末局と無線通信するためのセンター局アンテナとを備え、
前記センター局制御部は、端末局へ報知する報知情報を作成する報知情報作成部を備え、
前記端末局は、センター局と無線通信するための端末局アンテナと、センター局から無線通信された報知情報を受信する端末局無線部と、端末局制御部とを備え、
前記端末局制御部は、端末局無線部で受信した報知情報を読出して出力する読出し出力部と、読出し出力部で読出した報知情報を記録する記録部と、記録部に記録した報知情報を再生出力する再生部と、端末局に設定された判定条件に基づいて、記録部に記録した報知情報を再生するか否かを判定する再生可否判定部とを備えることを特徴とする無線通信システム。
【発明の効果】
【0013】
本願発明によれば、端末局で記録した報知情報を再生する際は、不要であるのにも関わらず保存されているものを含む複数の報知情報の中から、地域一般住民に知らせたい報知情報のみを再生出力することができる。
【0014】
なお、前記センター局制御部が、さらに、報知情報を端末局で記録するか否かを指定する記録指定情報を作成する記録指定情報作成部を備えることもできる。このようにすると、報知情報の内容に応じて、センター局で記録の要否を指定できるので、端末局で受信した報知情報を全て記録する必要がなく、記録領域を有効に使用することができる。
また、前記センター局制御部が、報知情報を端末局へ送信する送信時刻を送信時刻情報として作成する送信時刻情報作成部を備えることもできる。このようにすると、各端末局において、送信時刻情報に基づいて、記録部に記録した報知情報を再生するか否かを判定することができる。また、同一の報知情報については同一の送信時刻として、再生するか否かを判定することができる。
また、前記センター局制御部が、端末局で記録した報知情報を再生する期限である再生期限情報を作成する再生期限情報作成部を備えることもできる。このようにすると、報知情報の内容に応じて、センター局から報知情報の再生期限を設定することができる。
また、前記センター局制御部が、端末局で記録した報知情報を再生するか否かを設定する再生可否情報を作成する再生可否情報作成部を備えることもできる。このようにすると、報知情報の内容に応じて、センター局から報知情報の再生可否を設定することができる。
また、前記端末局制御部が、さらに、報知情報を受信した受信時刻を受信時刻情報として作成する受信時刻情報作成部を備えることもできる。このようにすると、各端末局において、各受信時刻情報に基づいて、記録部に記録した報知情報を再生するか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態における無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例における録音動作シーケンスを示す図である。
【図3】本発明の第1実施例における再生動作シーケンスを示す図である。
【図4】本発明の第2実施例における録音動作シーケンスを示す図である。
【図5】本発明の第2実施例における再生動作シーケンスを示す図である。
【図6】本発明の第3実施例における録音動作シーケンスを示す図である。
【図7】本発明の第3実施例における再生動作シーケンスを示す図である。
【図8】従来技術における無線通信システムの構成例を示す図である。
【図9】従来技術における録音動作シーケンスを示す図である。
【図10】従来技術における再生動作シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態では、市区町村などの防災に関する無線通信システムであるデジタル同報無線システムに本発明を適用した場合を示す。
本実施の形態に係るデジタル同報通信システムは、例えば、災害時に行政機関から住民に対して災害関連情報を報知する等の用途として用いられ、センター局装置から同報無線送信した報知情報を、所定の場所に設置された複数の端末局装置などで受信して出力する。具体例として、60MHz帯(54〜70MHz)における市町村デジタル防災無線通信方式であるTDMA−TDD方式による防災行政用のデジタル同報無線システムにおいて、同報無線回線を利用して、センター局装置と端末局装置などとの間で、音声情報や他の符号情報等による通報を行う機能を備える。
【0017】
本実施の形態に係るデジタル同報無線システムでは、例えば、災害が発生した時などに、行政機関から住民に対して災害関連の情報を一斉通報により報知することが行われる。具体的には、センター局装置に設置された操作卓や基地局無線送受信装置により、各地域における屋外や一般家庭や集会所や学校などに設置された端末局装置などに対して、災害に関する情報や、緊急指令の情報や、避難勧告の情報などを、通話による音声情報或いは文字情報等の非音声情報による報知情報として送信して、住民へ報知情報を伝達する。
また、端末局装置などでは、録音再生装置を接続し或いは内蔵し、センター局装置から録音指定有り情報を付加して受信した音声情報等の通報内容を録音する処理を行う。
また、端末局装置などでは、録音再生装置を接続し或いは内蔵し、録音された音声情報と共に保存された録音時刻情報(第1の時刻情報)と、操作者が再生操作を行った時点の現在時刻情報(第2の時刻情報)との時間差に基づいて、再生する録音内容を選択して出力する処理を行い、当該端末局装置或いは付属する外部接続箱に配備されるモニタスピーカから再生音声を出力する。
ここで、本実施形態における音声情報、録音は、それぞれ、本発明における報知情報、記録に相当する。
なお、センター局装置が送信する報知情報は、音声情報に限られず、端末局装置などでは、記録内容(録音内容を含む)としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、センター局装置から端末局装置などの間で音声帯域を用いて伝送されるデータ情報や制御情報などを用いることができる。
また、通信システムとしては、例えば、端末局装置が固定的に設置されるような固定系の通信システムに適用されてもよく、或いは、端末局装置が携帯電話のように移動可能な通信システムに適用されてもよい。なお、本実施の形態では、複数の端末局装置はそれぞれの地域の場所に設置されており、複数の戸別受信機は例えば市町村内の住居に戸別毎(世帯毎)に設置されている或いはそれぞれの操作者(所有者)により携帯されている。
また、一般に、基地局装置(本実施例では、センター局装置)から端末局装置などへの通信の方向を下りと言い、端末局装置などから基地局装置(本実施例では、センター局装置)への通信の方向を上りと言う。
【0018】
図1には、本実施の形態に係るデジタル同報無線システムの構成例を示してある。本実施の形態に係るデジタル同報無線システムでは、センター局装置10と、複数であるn個の端末局装置30(1)〜30(n)と、複数であるm個の戸別受信機40(1)〜40(m)を設けてある。なお、複数の端末局装置30(1)〜30(n)の数nや、複数の戸別受信機40(1)〜40(m)の数mとしては、それぞれ、種々な数が用いられてもよい。
また、図1には、センター局装置10と端末局装置30(1)との間の無線回線21や、センター局装置10と端末局装置30(n)との間の無線回線22や、センター局装置10と戸別受信機40(1)との間の無線回線23を示してある。
また、本実施の形態では、各端末局装置30(1)〜30(n)の構成や動作は同様であるため、1個の端末局装置30(1)のみについて符号を付して構成を示してあり、また、各戸別受信機40(1)〜40(m)の構成や動作は同様であるため、1個の戸別受信機40(1)のみについて符号を付して構成を示してある。
また、本実施の形態では、主に、センター局装置10と端末局装置30(1)〜30(n)との間で通信する場合について説明するが、例えば、端末局装置30(1)〜30(n)と同様な構成や動作を、戸別受信機40(1)〜40(m)に適用することも可能である。
【0019】
センター局装置10には、センター局制御部11やセンター局無線部12やセンター局アンテナ13を有し無線通信を行う基地局無線送受信装置1と、操作者により操作されて各種の指令などを受け付ける操作卓2が備えられている。操作卓2は、基地局無線送受信装置1に対して、操作員による緊急情報等の音声信号の送出等を行うものであり、操作員が入力するためのキーボード等の入力手段や、LCDディスプレイ等の表示出力手段を備える。センター局無線部12は、端末局装置30に対し、音声信号や制御信号を無線で送信する。センター局アンテナ13は、端末局と無線通信するためのアンテナである。
センター局制御部11は、端末局へ報知する報知情報を作成する報知情報作成部と、報知情報を端末局で記録するか否かを指定する記録指定情報を作成する記録指定情報作成部と、報知情報を端末局へ送信する送信時刻を送信時刻情報として作成する送信時刻情報作成部と、端末局で記録した報知情報を再生する期限である再生期限情報を作成する再生期限情報作成部と、端末局で記録した報知情報を再生するか否かを設定する再生可否情報を作成する再生可否情報作成部とを備える。前記送信時刻情報は、端末局に記録した報知情報を再生するか否かを判定するための判定情報である。
センター局制御部11は、ハードウエア構成としては、CPU(Central Processing Unit)と制御部11の動作プログラム等を格納するメモリを備えており、CPUは、この動作プログラムに従って動作する。
【0020】
各端末局装置30(1)〜30(n)には、端末局制御部31や端末局無線部32や端末局アンテナ33を有し無線通信を行う端末局本体装置3と、音声を拡声出力するトランペットスピーカ34と、通報音声を録音し操作者の操作により録音内容の再生出力を行う録音再生装置35とが備えられている。録音再生装置35には、操作者の操作を受け付け通報音声の録音再生を制御する録音再生部36と、再生した音声を操作者へ出力するモニタスピーカ37とが備えられている。録音再生部36には、通報音声を録音するための記憶部である録音領域(不図示)が設けられている。端末局アンテナ33は、センター局と無線通信するためのアンテナである。端末局無線部32は、センター局から無線通信された報知情報を受信する。
端末局制御部31は、端末局無線部32で受信した報知情報を読出して出力する読出し出力部と、読出し出力部で読出した報知情報を記録する記録部と、記録部に記録した報知情報を再生出力する再生部と、センター局から送信された判定情報に基づき端末局に設定された判定条件に基づいて、記録部に記録した報知情報を再生するか否かを判定する再生可否判定部とを備える。前記再生可否判定部は、センター局から送信された判定情報に基づき、再生するか否かを判定することもできる。
端末局制御部31は、ハードウエア構成としては、CPU(Central Processing Unit)と端末局制御部31の動作プログラム等を格納するメモリを備えており、CPUは、この動作プログラムに従って動作する。
なお、前記端末局制御部31が、さらに、報知情報を受信した受信時刻を受信時刻情報として作成する受信時刻情報作成部を備えることもできる。このようにすると、各端末局において、各受信時刻情報に基づいて、記録部に記録した報知情報を再生するか否かを判定することができる。
【0021】
ここで、本実施の形態では、録音再生装置35を端末局装置本体3の外部装置として接続しているが、例えば、録音再生装置35と同等の機能を有する機能部を、端末局装置本体3の内部(例えば、端末局装置本体3内の制御部31の内部)に備えるような構成とすることもできる。
各戸別受信機40(1)〜40(m)には、操作者の操作を受け付け通報音声の録音再生を制御する録音再生部41と、音声を操作者へ出力するモニタスピーカ42と、が備えられている。
ここで、本実施の形態では、センター局装置10に対して、複数の端末局装置30(1)〜30(n)や複数の戸別受信機40(1)〜40(m)が直接的に無線回線21〜23を介して接続されるシステム構成を示すが、例えば、中継局装置を設けて、センター局装置10と複数の端末局装置30(1)〜30(n)や複数の戸別受信機40(1)〜40(m)とが中継局装置を介して接続されるようなシステム構成が用いられても良い。
【0022】
(第1実施例)
本発明の第1実施例を説明する。本例では、センター局装置10の基地局無線送受信装置1が、端末局装置30(1)〜30(n)および戸別受信装置40(1)〜40(m)と、無線回線21〜23により接続される。本例では、端末局装置30(1)では、録音指定有り音声通報(記録指定有りの報知情報)を受信して、トランペットスピーカ34から拡声出力すると同時に、当該通報内容を録音再生装置35の録音再生部36に録音するが、同時に通報を受信した時刻を録音再生部36に記録する。このように、通報を受信した時刻を通報内容の録音とともに、端末局装置30の記憶部の録音領域に記録しておく。
ここで、本実施例では、例えば「録音してから24時間以上経過している通報内容は再生を行わない。」等の判定条件を、録音再生部36に予め登録しておく。この判定条件の登録は、例えば、端末局3の操作入力部(不図示)から操作員が行うことができる。
【0023】
次に、録音再生部36における通報音声の録音動作について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1実施例における録音動作シーケンスを示す図である。図2において、横軸は録音領域、縦軸は経過時間である。録音再生部36の録音領域に1件も通報音声が録音されていない状態から、端末局装置30に録音指定有り通報1が受信されると、録音再生部36の録音領域の先頭から順番に通報音声が録音される。このとき、各録音情報毎に当該情報の録音時刻(第1の時刻)も記録しておく。次に、録音指定有り通報2が受信すると、前記、通報1を記録した録音領域の次の領域から、同じ様に当該録音情報と録音時刻を記録していく。このようにして、例えば、図2において、通報1の録音時刻として「1日8:00(8時)」が記録され、通報2の録音時刻として「1日10:00」が記録され、通報Nの録音時刻として「2日20:00」が記録される。
【0024】
次に、図2に示すように録音領域に情報が保存された状態において、操作者が再生操作を実行したときの録音再生部36の再生動作について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の第1実施例における再生動作シーケンスを示す図であり、図2において、通報音声の録音をN回目まで実施した時点で、操作者が録音内容を再生しようとした場合の再生動作を記載した図である。
操作者が、2日23:00(2日の23時)に再生動作を実施すると、最新の録音内容である、録音時刻2日20:00の通報Nから再生が開始される。通報Nの再生が終了すると、引き続き、次に新しい録音内容である、録音時刻2日18:00の通報N−1が再生される。同様の再生動作によって、録音時刻2日15:00の通報4の再生が終了すると、次に再生する録音内容は通報3となるはずである。しかし、通報3の第1の時刻である録音時刻は1日12:00であり、操作者が再生操作を行った第2の時刻である2日23:00において、第1の時刻から第2の時刻までは、24時間以上経過していることになるので、予め録音再生部36に登録した判定条件である「録音してから24時間以上経過している通報内容は再生を行わない。」に該当し、通報3以降の録音内容は再生されることがない。
【0025】
このように、図2および図3に示されるような第1実施例では、録音時刻から一定期間経過した通報内容は、操作者が再生できる情報から除外することが出来るので、既に聴話する必要のない過去の録音内容まで、操作者が聴話することがない。
なお、本例では、端末局装置30側で通報を取得する時刻である第1の時刻を、録音時刻としているが、前記第1の時刻を、センター局装置10からの送信時刻としてもよい。この場合は、センター局装置10から通報内容と共に送信時刻情報を端末局装置30へ送信し、上記実施例と同様に録音領域に保存することで、送信時刻から一定期間経過した通報内容は、操作者が再生できる情報から除外することが可能となる。
【0026】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例を説明する。第1実施例では、録音時刻或いは送信時刻(第1の時刻)と、録音内容を再生する現在時刻(第2の時刻)との差に基づいて、例えば、現在時刻から24時間以前の録音内容は再生しない等、予め、端末局に再生条件を設けておき、再生の可否を判定していたが、本実施例では、再生条件をセンター局装置10側から任意に設定可能とし、また、一度端末局30に設定してしまった再生条件を、変更或いは有効或いは無効とすることを可能にする。
【0027】
第2実施例における録音動作の一例を、図4を用いて説明する。図4は、本発明の第2実施例における録音動作シーケンスを示す図であり、録音再生部36における通報音声の録音動作を示す図である。図4において、横軸は録音領域、縦軸は経過時間である。第2実施例の録音動作は第1実施例で記載した録音動作と殆ど変わらないが、第1実施例では各通報内容毎に録音時刻を記録していたところを、本実施例では、センター局装置10側で再生期限情報を生成し、センター局装置10から通報内容と共に再生期限情報を端末局装置30へ送信し、第1実施例と同様に、端末局装置30の録音領域に保存することとしている。
【0028】
図4に示すように、録音再生部36の録音領域に1件も通報音声が録音されていない状態から、端末局装置30に録音指定有り通報1が受信されると、録音再生部36の録音領域の先頭から順番に通報音声が録音される。このとき、各録音情報毎に当該情報の再生期限情報も記録しておく。次に、録音指定有り通報2が受信されると、前記、通報1を記録した録音領域の次の領域から、同じ様に当該録音情報と再生期限情報を記録していく。このようにして、例えば、図4において、通報1の再生期限として「1日24:00」が記録され、通報2の再生期限として「1日24:00」が記録され、通報Nの再生期限として「2日24:00」が記録される。
【0029】
次に、図4に示すように録音領域に情報が保存された状態において、操作者が再生操作を実行したときの録音再生部36の再生動作について、図5(a)を用いて説明する。図5(a)は、本発明の第2実施例における再生動作シーケンスを示す図であり、図4において、通報音声の録音をN回目まで実施した時点で、操作者が録音内容を再生しようとした場合の再生動作を示す図である。
操作者が2日11:00に再生動作を実施すると、最新の録音内容である通報Nの再生期限情報を参照し、再生期限である「2日24:00」に達していないので、再生が開始される。通報Nの再生が終了すると、引き続き、次に新しい録音内容である通報N−1の再生期限情報を参照し、再生期限である「2日24:00」に達していないので、再生が開始される。同様の再生動作によって通報4の再生が終了すると、次に再生する録音内容は通報3となるはずである。しかし、通報3の再生期限は「1日24:00」であり、操作者が再生操作を行った2日11:00において、すでに再生期限を経過していることになるので、通報3以降の録音内容が再生されることがない。
【0030】
このように、図4および図5(a)に示されるような一例では、センター局装置10側で、端末局装置30の操作者が再生できる情報の有効期限を設定することが出来るので、既に必要のない過去の録音内容まで、操作者が聴話してしまうことがない。また、各通報毎の内容に応じて、各通報毎に再生期限を変えて設定することも可能である。
【0031】
また、本例では、録音内容を再生できる有効期限を、センター局装置10側から任意に設定可能としたが、場合によっては当該再生期限を変更したい要望や、或いは、録音内容を無効にしたい要望が想定される。この場合、各通報単位でセンター局装置10から送信される再生期限情報を、変更して再送信することを可能とする。
図5(b)は、通報音声の録音をN回目まで実施した時点で、通報3の再生期限を変更したときの再生動作を記載した図である。本例では、再生期限1日24:00であった通報3の再生期限情報が、再生期限2日24:00に変更されることで、前記実施例では通報Nから通報4までしか再生出来なかったのに対し、通報3まで再生が可能となる。
【0032】
(第3実施例)
第2実施例では、録音内容を再生できる有効期限を、センター局装置側から任意に設定可能としたが、場合によっては、当該録音内容を無効にし、再生しないようにする要望が想定される。第3実施例では、端末局装置30に保存した録音内容の再生期限に関わりなく、センター局装置10側から任意に有効又は無効を設定できるようにする。
【0033】
第3実施例における録音動作の一例を、図6を用いて説明する。図6は、本発明の第3実施例における録音動作シーケンスを示す図であり、録音再生部36における通報音声の録音動作を示す図である。図6において、横軸は録音領域、縦軸は経過時間である。第3実施例の録音動作は第2実施例で記載した録音動作と殆ど変わらないが、本実施例では、センター局装置10側で再生可否情報を生成し、センター局装置10から再生可否情報を端末局装置30へ送信し、第2実施例と同様に、端末局装置30の録音領域に保存することとしている。
【0034】
図6に示すように、録音再生部36の録音領域に1件も通報音声が録音されていない状態から、端末局装置30に録音指定有り通報1が受信されると、録音再生部36の録音領域の先頭から順番に通報音声が録音される。このとき、各録音情報毎に当該情報の再生期限情報を記録しておく。次に、録音指定有り通報2が受信されると、前記、通報1を記録した録音領域の次の領域から、同じ様に当該録音情報と再生期限情報とを記録していく。このようにして、例えば、図6において、通報1の再生期限として「1日24:00」が記録され、通報2の再生期限として「1日24:00」が記録され、通報Nの再生期限として「2日24:00」が記録される。
【0035】
次に、図6に示すように録音領域に情報が保存された状態において、センター局装置30から再生禁止の制御情報が届いていない場合に、操作者が再生操作を実行したときの録音再生部36の再生動作について、図7(a)を用いて説明する。図7(a)は、本発明の第3実施例における再生動作シーケンスを示す図であり、図6において、通報音声の録音をN回目まで実施した時点で、センター局装置30から再生禁止の制御情報が届いていない場合に、操作者が録音内容を再生しようとした場合の再生動作を示す図である。この場合は、前記図5(a)の場合と同様に、通報Nから通報4までの再生が行われる。
【0036】
図7(b)は、通報音声の録音をN回目まで実施した時点で、操作者が録音内容を再生しようとした場合の再生動作を記載した図であり、既に通報Nの録音内容に対してセンター局装置30から再生禁止の制御情報が届いた時点の状態である。なお、再生可否情報は、各通報内容と共に端末局装置へ送信することもできるが、通報内容と別に端末局装置へ送信することもできる。また、例えば、通報Nにより、通報2の再生可否情報を送信することもできる。
操作者が2日11:00に再生動作を実施する場合、最新の録音内容である通報Nから、再生期限内の通報4までの各設定を参照する。ここで通報Nの設定は「再生禁止」であるため、再生は行われない。前記図7(a)の例では、通報Nから通報4までを再生したが、図7(b)の例では、通報Nを除いた通報N−1から通報4までを再生する。
【0037】
なお、上述の第1〜第3実施例では、センター局からの通報を全て録音指定有り通報としているが、全ての通報を記録するような場合には、録音指定有り通報(記録指定情報)を省略することができる。
また、本発明は、本発明に係る処理を実行するシステムとしてだけでなく、装置、方法として、或いは、このような方法やシステムを実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして把握することができる。
また、本発明は、CPUがメモリに格納された制御プログラムを実行することにより制御する構成としてもよく、また、ハードウエア回路として構成してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1・・基地局無線送受信装置、2・・操作卓、3・・端末局本体、10・・センター局装置、11・・センター局制御部、12・・センター局無線部、13・・センター局アンテナ、21・・無線回線、22・・無線回線、23・・無線回線、30・・端末局装置、31・・端末局制御部、32・・端末局無線部、33・・端末局アンテナ、34・・トランペットスピーカ、35・・録音再生装置、36・・録音再生部、37・・モニタスピーカ、40・・戸別受信機、41・・録音再生部、42・・モニタスピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
報知情報を出力可能な端末局と、無線により端末局と接続されるセンター局とを備え、センター局から端末局へ報知情報を送信し、端末局が受信した報知情報を出力する無線通信システムであって、
前記センター局は、センター局制御部と、センター局制御部で作成した報知情報を端末局へ無線通信するセンター局無線部と、端末局と無線通信するためのセンター局アンテナとを備え、
前記センター局制御部は、端末局へ報知する報知情報を作成する報知情報作成部を備え、
前記端末局は、センター局と無線通信するための端末局アンテナと、センター局から無線通信された報知情報を受信する端末局無線部と、端末局制御部とを備え、
前記端末局制御部は、端末局無線部で受信した報知情報を読出して出力する読出し出力部と、読出し出力部で読出した報知情報を記録する記録部と、記録部に記録した報知情報を再生出力する再生部と、端末局に設定された判定条件に基づいて、記録部に記録した報知情報を再生するか否かを判定する再生可否判定部とを備えることを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−227799(P2011−227799A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98530(P2010−98530)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】