無線通信端末および無線通信装置
【課題】 ホップ数に依存せずに端末間のスループットの公平性の向上を実現することができる無線通信端末を提供する。
【解決手段】 キューFQは、パケット受信部10によって受信された、送信元の識別子が関連付けられているパケットをキューイングする。キューDQは、自局において発生した、自局の識別子が関連付けられているパケットをキューイングする。記憶部13は、キューFQまたはDQから出力されたパケットに関連付けられている端末の識別子を端末リスト100として記憶する。選択部14は、キューFQまたはDQの先頭に格納されているパケットの送信元の識別子が端末リスト100に記録されていない場合に、そのパケットをキューFQまたはDQから読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、出力したパケットの送信元の識別子を端末リスト100に記録する。
【解決手段】 キューFQは、パケット受信部10によって受信された、送信元の識別子が関連付けられているパケットをキューイングする。キューDQは、自局において発生した、自局の識別子が関連付けられているパケットをキューイングする。記憶部13は、キューFQまたはDQから出力されたパケットに関連付けられている端末の識別子を端末リスト100として記憶する。選択部14は、キューFQまたはDQの先頭に格納されているパケットの送信元の識別子が端末リスト100に記録されていない場合に、そのパケットをキューFQまたはDQから読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、出力したパケットの送信元の識別子を端末リスト100に記録する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線局間で無線通信を直接行うことにより各種のデータを中継する無線通信端末および無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信端末が、基地局を介さずに端末間で無線通信を直接行うことにより各種のデータを中継する区間を無線通信区間内に含む無線通信ネットワークはマルチホップネットワークと呼ばれている。特に無線マルチホップネットワークにおいては、ホップ数(中継区間の数)の違いによって、端末間でスループットの格差が生じる問題が指摘されている。
特許文献1には、これに鑑み、ホップ数の違いによる端末間のスループット格差を改善するための技術が開示されている。この特許文献1によれば、送信端末は宛先までのホップ数を検出し、ホップ数に応じたサイズにデータをフラグメント化して送信する。また、中継端末はホップ数ごとにキューを備え、大きなホップ数に対応したキューに挿入されたデータを優先的に次の端末へ送信する。
【特許文献1】特開2003−273788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、無線マルチホップネットワークのルーティングプロトコルには、次にどの端末へデータを転送すればよいか(次ホップ端末)を調査するだけで、宛先までのホップ数を検出しないものもあり、このような場合には、データ中継に関する端末間の公平性を確保することができないという問題点があった。
【0004】
また、最大ホップ数を実際よりも大きな値に見込んでしまうと、使用されないキューが存在することになり、バッファメモリの浪費につながってしまう。一方、最大ホップ数を小さな値に見込んでしまうと、想定外のホップ数に対応したデータをいずれかのキューに格納したとしても、想定した動作は期待できなくなってしまう。このように、ホップ数ごとに準備されるキューの数の決定が困難であるという問題点もあった。さらに、同一のホップ数であっても、遅延に対して厳しいデータ(動画コンテンツデータ等)や、遅延に対して寛容なデータ(メールの送受信データ等)等、データの種類は様々であり、いわゆるQoS(Quality of Service)を制御するためには、このようなデータの違いによる区別が必要である。
【0005】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、ホップ数に依存せずに端末間のスループットの公平性の向上を実現することができる無線通信端末および無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信端末において、他局からのデータを受信する受信手段と、他局へデータを送信する送信手段と、前記受信手段によって受信された、送信元の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、自局において発生した、該自局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または自局の識別情報を記憶する記憶手段と、前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられた識別情報が、前記記憶手段によって記憶されていない場合に、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、出力したデータに関連付けられている識別情報を前記記憶手段に格納する制御手段とを具備することを特徴とする無線通信端末である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無線通信端末において、前記制御手段はさらに、前記第1および第2のキューの先頭に格納されている各データに関連付けられている識別情報がいずれも前記記憶手段によって記憶されている場合には、記憶されている識別情報を消去し、前記第1または第2のキューの先頭からデータを読み出して前記送信手段へ出力すると共に、出力したデータに関連付けられている識別情報を前記記憶手段に格納することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信端末において、他局からのデータを受信する受信手段と、他局へデータを送信する送信手段と、前記受信手段によって他局から受信された、該他局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、自局において発生した、該自局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または自局の識別情報と、前記第1および第2のキューから前記送信手段へ出力されたデータのデータ量とを関連付けて記憶する記憶手段と、前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられている識別情報に対応した前記データ量に基づいて、前記第1または第2のキューの先頭のデータを読み出すかどうか判断し、データを読み出すと判断した場合には、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、当該データに関連付けられている識別情報に対応した前記記憶手段中の前記データ量を更新する制御手段とを具備することを特徴とする無線通信端末である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の無線通信端末において、前記制御手段はさらに、前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられている識別情報に対応した前記データ量が所定量に到達していない場合、または前記データ量に当該データのデータ量を加算した量が所定量に到達していない場合に、当該データを前記第1または第2のキューの先頭から読み出して前記送信手段へ出力すると共に、当該データに関連付けられている識別情報に対応した前記記憶手段中の前記データ量に当該データのデータ量を加算することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載の無線通信端末において、前記データに対して複数の優先度を設定し、該複数の優先度ごとに前記第1および第2のキューを具備することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかの項に記載の無線通信端末において、予め設定された回数だけ前記データの送信が失敗した場合に、前記制御手段は、送信が失敗したデータ以外のデータを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載の無線通信端末において、キューイング対象のデータのリンク種別を判別する判別手段と、リンク種別がダウンリンクのデータをキューイングする第3のキューとを備え、前記制御手段は、前記第3のキューからもデータを読み出して前記送信手段へ出力することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の無線通信端末において、前記制御手段は、前記第1又は第2のキューからデータを読み出す割合と前記第3のキューからデータを読み出す割合とを合わせることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の無線通信端末において、前記制御手段は、前記第1及び第2のキューのキュー長の合計値と前記第3のキューのキュー長に応じて、前記第1又は第2のキューからのデータ読み出しと前記第3のキューからのデータ読み出しの割合を制御することを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜請求項9に記載の無線通信端末において、前記第2のキューへのキューイングを最優先に行うことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項7〜請求項9に記載の無線通信端末において、前記第3のキューへのキューイングを最優先に行うことを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信装置において、他局からのデータを受信する受信手段と、他局へデータを送信する送信手段と、前記受信手段によって受信された、送信元の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、自装置の配下の局において発生した、該配下局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または配下局の識別情報を記憶する記憶手段と、前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられた識別情報が、前記記憶手段によって記憶されていない場合に、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、出力したデータに関連付けられている識別情報を前記記憶手段に格納する制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信装置において、他局からのデータを受信する受信手段と、他局へデータを送信する送信手段と、前記受信手段によって他局から受信された、該他局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、自装置の配下の局において発生した、該配下局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または配下局の識別情報と、前記第1および第2のキューから前記送信手段へ出力されたデータのデータ量とを関連付けて記憶する記憶手段と、前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられている識別情報に対応した前記データ量に基づいて、前記第1または第2のキューの先頭のデータを読み出すかどうか判断し、データを読み出すと判断した場合には、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、当該データに関連付けられている識別情報に対応した前記記憶手段中の前記データ量を更新する制御手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ホップ数に依存せずに端末間のスループットの公平性の向上を実現することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による無線通信システムの構成を示す概略構成図である。以下、図中の各構成について説明する。端末1としての端末1a〜1dは無線通信端末であり、マルチホップ接続により無線通信を行う機能を備えた携帯電話、PHS(登録商標)(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistance)、固定型もしくは携帯型のパーソナルコンピュータ等の端末である。基地局2は端末1dとは直接通信を行うことができるが、端末1a〜1cとは直接通信を行うことはできない。図1において、各端末1a〜1dおよび基地局2を中心とする円は、各端末1a〜1dおよび基地局2からの電波到達範囲を示している。なお、基地局2は図示せぬネットワークに接続され、ネットワークを介して他の基地局等と通信を行う。
【0021】
各端末1a〜1dは、自局が発信元となってデータを送信する場合に、データをパケットに分割して送信する。また、端末1a〜1dは、他局から受信したパケットを次の端末へ(端末1dは基地局2へ)送信する。ただし、各端末1a〜1dは、隣接している端末(電波の到達する範囲に存在する端末)と同時にはパケットの送信を行わないものとする。隣接している端末同士が同時に送信を行った場合には、パケットの衝突等により、正常な通信を行うことができないものとする。端末1aによって送信されたパケットは、端末1b,1c,1dを経由して基地局2へ到達する。同様に、端末1bによって送信されたパケットは端末1cおよび1dを経由し、端末1cによって送信されたパケットは端末1dを経由して基地局2へ到達する。
【0022】
図2は、本実施形態による端末1(端末1a〜1d)の構成を示すブロック図である。なお、図2においては、データの中継に関する構成のみを図示し、他の構成については図示を省略している。以下、図中の各構成について説明する。
パケット受信部10(受信手段)は他の端末から図示せぬアンテナを介してパケットを受信し、復調処理等を行う。パケット振り分け部11は、パケットに付加されている、送信元端末を識別するための送信元識別子の内容に応じて、パケット受信部10から出力されたパケット、および自局で発生したパケットを予め指定されたキューへ振り分ける。
【0023】
パケットキュー部12は、FIFO方式(First In First Out)でパケットをキューイングするキューFQ(第1のキュー)およびキューDQ(第2のキュー)を備えている。キューFQは、他局から転送されてきたパケット(パケットに付加された送信元識別子が自局の識別子と異なるパケット)をキューイングするためのキューである。また、キューDQは、自局で発生したパケット(パケットに付加された送信元識別子が自局の識別子と同一のパケット)をキューイングするためのキューである。
【0024】
記憶部13(記憶手段)は、パケットキュー部12のキューFQから出力されたデータに関連付けられている他局の送信元識別子、およびキューDQから出力されたパケットに関連付けられている自局の送信元識別子を端末リスト100として記憶する。図3は端末リスト100の内容例を示している。NULLは、識別子が記録されていない領域を示している。選択部14(制御手段)は、パケットキュー部12のキューFQおよびキューDQのいずれかの先頭からパケットの読み出しを行う。この選択部14は、端末リスト100を参照し、キューFQまたはキューDQの先頭のパケットに対して、端末リスト100に記録されていない識別子が送信元識別子として関連付けられている場合に、そのパケットをキューFQまたはキューDQの先頭から読み出してパケット送信部15(送信手段)へ出力すると共に、出力したパケットに関連付けられている送信元識別子を記憶部13の端末リスト100に記録する。パケット送信部15は、パケットに対して変調処理等を行い、アンテナを介して他の端末または基地局2へパケットを送信する。
【0025】
次に、本実施形態による端末1の動作について説明する。端末1へ他の端末からパケットが送信された場合、パケット受信部10は図示せぬアンテナを介してそのパケットを受信し、復調処理等を行った後、パケットをパケット振り分け部11へ出力する。パケット振り分け部11は、パケット受信部10から出力されたパケット、または自局で発生したパケットに付加されている送信元識別子を調べる。送信元識別子が自局の識別子と異なる場合には、パケット振り分け部11はパケットをパケットキュー部12のキューFQの最後尾へ格納し、送信元識別子が自局の識別子と同一である場合には、パケットをキューDQの最後尾へ格納する。
【0026】
以下、図4および図5を用いて選択部14の動作を説明する。図4および図5は端末1d内のキューに係る構成を示したものである。キューFQ,DQおよび記憶部13内の端末リスト100が図4(a)のようであったとする。自局が送信元であるパケットが、図4(a)の状態になる前にキューDQから出力された結果、端末リスト100には自局(端末1d)の識別子が記録されている。キューFQおよびDQの先頭のパケットは、それぞれ端末1aからのパケットと自局からのパケットである。
【0027】
選択部14は、キューFQおよびDQのそれぞれの先頭のパケットに関連付けられている送信元識別子と、端末リスト100に記録されている識別子とを比較する。キューFQの先頭に端末1aからのパケットがあり、かつ、端末リスト100には端末1aの識別子は記録されていないので、選択部14はキューFQの先頭から端末1aからのパケットを読み出し、パケット送信部15へ出力する。また、選択部14は、端末リスト100に端末1aの識別子を記録する(図4(b))。
【0028】
続いて、上記と同様にして、選択部14はキューFQから、端末1cが送信元であるパケットを読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、端末リスト100に端末1cの識別子を記録する(図4(c))。さらに、選択部14はキューFQから、端末1bが送信元であるパケットを読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、端末リスト100に端末1bの識別子を記録する(図5(a))。
【0029】
この状態において、キューFQの先頭には端末1cからのパケットがあり、キューDQの先頭には自局(端末1d)からのパケットがある。また、端末1cの識別子も端末1dの識別子も端末リスト100に記録されている。この場合、選択部14は端末リスト100に記録されている識別子をクリア(消去)した上で、キューDQから、自局が送信元であるパケットを読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、端末リスト100に端末1dの識別子を記録する(図5(b))。続いて、上述した動作と同様に、選択部14はキューFQから、端末1cが送信元であるパケットを読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、端末リスト100に端末1cの識別子を記録する(図5(c))。以後、この動作が繰り返される。
【0030】
図6は、上述した選択部14の動作を示すフローチャートである。以下、図6を用いて選択部14の詳細な動作を説明する。選択部14は、スケジューラによって管理されるタイミングで動作を開始する。選択部14は、キューFQにパケットが格納されているかどうか判断する(ステップS601)。キューFQにパケットが格納されていない場合には、ステップS605へ進む。
【0031】
一方、キューFQにパケットが格納されている場合には、選択部14は記憶部13中の端末リスト100を参照し、キューFQの先頭のパケットに関連付けられている送信元の識別子が端末リスト100に記録されているかどうか判断する(ステップS602)。送信元の識別子が端末リスト100に記録されている場合には、ステップS605へ進む。一方、送信元の識別子が端末リスト100に記録されていない場合には、選択部14はキューFQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力し(ステップS603)、そのパケットの送信元の識別子を端末リスト100に記録する(ステップS604)。
【0032】
キューFQにパケットが格納されていなかった場合(ステップS601においてNOの場合)、およびキューFQにパケットが格納されていても、そのパケットの送信元の識別子が端末リスト100に記録されている場合(ステップS602においてYESの場合)には、選択部14は、キューDQに自局からのパケットが格納されているかどうか判断する(ステップS605)。パケットが格納されていなかった場合には、ステップS607へ進む。一方、パケットが格納されていた場合には、選択部14は記憶部13中の端末リスト100を参照し、キューDQの先頭のパケットに関連付けられている送信元の識別子、すなわち自局の識別子が端末リスト100に記録されているかどうか判断する(ステップS606)。自局の識別子が端末リスト100に記録されていた場合にはステップS607へ進み、そうでなければステップS608へ進む。
【0033】
ステップS607では、選択部14は、端末リスト100に記録されている識別子を全て消去する。そして、ステップS608へ進む。
ステップS608では、キューDQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力する。次いで、選択部14は、出力したパケットの送信元の識別子を端末リスト100に記録する(ステップS604)。ステップS604の後はステップS601に戻り、上記の動作が繰り返される。
【0034】
なお、選択部14の動作は、キューFQとキューDQの調査順を入れ換えた図7のようであってもよい。図7においては、図6におけるキューの調査順を入れ換えただけであり、選択部14の詳細な動作は図6と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
上述したように本実施形態においては、キューFQまたはDQの先頭に格納されているパケットに関連付けられている送信元の識別子が記憶部13中の端末リスト100に記録されていない場合に、選択部14がそのパケットをキューFQまたはDQの先頭から読み出すと共に、読み出したパケットに関連付けられている識別子を端末リスト100に記録する。これにより、キュー数の動的な変化や複雑な計算を必要とせず、また、ホップ数に依存せずに、特定の送信元のパケットが他の送信元のパケットよりも偏って送信されるのを防止し、端末間のスループットの公平性を向上することができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図8は、第2の実施形態による端末1の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、QoSを考慮した公知の優先キューイング技術を利用するため、優先度に応じた複数のキューがパケットキュー部12に設けられている。この例においては、n個の優先度が設定され、各優先度に対応して2n個のキューFQ1〜FQnおよびキューDQ1〜DQnが設けられている。
【0037】
パケット振り分け部11は、パケット受信部10から出力されたパケットと、自局で発生したパケットとの優先度に応じて、およびパケットに関連付けられている送信元識別子に応じて、パケットをパケットキュー部12のキューFQ1〜FQn,DQ1〜DQnのいずれかに格納する。優先度に関しては、例えば動画コンテンツデータ等、遅延に厳しいデータのパケットは優先度が高く設定され、メールの送受信データ等、遅延に寛容なデータのパケットは優先度が低く設定される。
【0038】
選択部14は、各優先度に設定された頻度で、その優先度に対応したキューからパケットを読み出し、パケット送信部15へ出力する。すなわち、選択部14は、高い優先度に対応したキューからは高い頻度でパケットを読み出し、低い優先度に対応したキューからは低い頻度でパケットを読み出す。どの優先度のパケットをどのような頻度および割合で読み出すのかは、実装される優先キューイング技術等に依存する。また、各優先度におけるキューからのパケットの読み出しは、図6または図7に示される動作に従って行われる。
【0039】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態における端末リスト100には、パケットのデータ量が記録されるデータ量フィールドが設けられている。端末リスト100には、選択部14によって読み出されてパケット送信部15へ出力されたパケットに付加された端末の識別子と、その識別子が付加されたパケットの累計データ量とが図9に示されるように関連付けられて記録されている。第1および第2の実施形態においては1パケットが出力されると、次に端末リスト100の内容がクリアされるまで、そのパケットの送信元と同じ送信元のパケットの読み出しはスキップされるが、本実施形態においてはパケットのデータ量の累計が最大データ量に達するまで、同じ送信元のパケットの読み出しはスキップされない。
【0040】
以下、本実施形態による選択部14の動作について説明する。キューFQまたはDQの先頭に格納されているパケットに関連付けられている送信元の識別子が記憶部13中の端末リスト100に記録されていない場合には、選択部14はキューFQまたはDQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、そのパケットの送信元の識別子およびデータ量を端末リスト100に追加する。また、パケットに関連付けられている送信元の識別子が端末リスト100に記録されており、かつ、その識別子に関連付けられているデータ量が所定の最大データ量に到達していない場合には、選択部14はキューFQまたはDQからそのパケットを読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、そのパケットのデータ量を端末リスト100のデータ量フィールドの値に加算し、データ量フィールドの値を更新する。
【0041】
図10および図11は、選択部14の動作を示すフローチャートである。以下、図10および図11を用いて選択部14の詳細な動作を説明する。選択部14は、スケジューラによって管理されるタイミングで動作を開始する。選択部14は、キューFQにパケットが格納されているかどうか判断する(ステップS1001)。キューFQにパケットが格納されていない場合には、図11のステップS1008へ進む。
【0042】
一方、キューFQにパケットが格納されている場合には、選択部14は記憶部13中の端末リスト100を参照し、キューFQの先頭のパケットに関連付けられている送信元の識別子が端末リスト100に記録されているかどうか判断する(ステップS1002)。
送信元の識別子が端末リスト100に記録されていない場合には、ステップS1006へ進む。一方、送信元の識別子が端末リスト100に記録されている場合には、選択部14は、その識別子に関連付けられているデータ量フィールドの値(データ量)を参照し、その値が最大データ量よりも小さいかどうか判断する(ステップS1003)。データ量フィールドの値が最大データ量以上である場合には、図11のステップS1008へ進む。
【0043】
一方、データ量フィールドの値が最大データ量よりも小さい場合には、選択部14はキューFQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力し(ステップS1004)、端末リスト100においてそのパケットの送信元の識別子に対応したデータ量フィールドの値にそのパケットのデータ量を加算する(ステップS1005)。
【0044】
キューFQにパケットが格納されているが、そのパケットの送信元の識別子が端末リスト100に記録されていなかった場合(ステップS1002においてNOの場合)には、選択部14はキューFQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力する(ステップS1006)。続いて、選択部14は、出力したパケットの送信元の識別子を端末リスト100に記録すると共に、その識別子と関連付けられたデータ量フィールドにデータ量を記録する(ステップS1007)。ステップS1005およびS1007の後はステップS1001に戻り、上記の動作が繰り返される。
【0045】
キューFQにパケットが格納されていなかった場合(ステップS1001においてNOの場合)、およびキューFQにパケットが格納されていても、そのパケットの送信元の識別子に関連付けられているデータ量フィールドの値が最大データ量以上であった場合(ステップS1003においてNOの場合)には、選択部14はキューDQに自局からのパケットが格納されているかどうか判断する(図11のステップS1008)。パケットが格納されていなかった場合には、ステップS1013に進み、端末リスト100に記録されている識別子およびデータ量を消去する。一方、パケットが格納されていた場合には、選択部14は記憶部13中の端末リスト100を参照し、キューDQの先頭のパケットに関連付けられている送信元の識別子、すなわち自局の識別子が端末リスト100に記録されているかどうか判断する(ステップS1009)。
【0046】
自局の識別子が端末リスト100に記録されていなかった場合には、ステップS1014へ進む。一方、自局の識別子が端末リスト100に記録されていた場合には、選択部14は、その識別子に関連付けられているデータ量フィールドの値(データ量)を参照し、その値が最大データ量よりも小さいかどうか判断する(ステップS1010)。データ量フィールドの値が最大データ量よりも小さい場合には、選択部14はキューDQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力する(ステップS1011)。続いて、選択部14は、出力したパケットの送信元の識別子に対応した端末リスト100のデータ量フィールドの値にそのパケットのデータ量を加算する(ステップS1012)。
【0047】
一方、データ量フィールドの値が最大データ量以上である場合には、選択部14は、端末リスト100に記録されている識別子およびデータ量を消去し(ステップS1013)、キューDQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力する(ステップS1014)。続いて、選択部14は、出力したパケットの送信元の識別子を端末リスト100に記録すると共に、その識別子と関連付けられたデータ量フィールドにデータ量を記録する(ステップS1015)。ステップS1014およびS1017の後は図10のステップS1001に戻り、上記の動作が繰り返される。キューFQおよびDQの調査順は上記と逆であってもよい。
【0048】
なお、ステップS1003およびS1010においてデータ量フィールドの値と最大データ量との比較が行われるが、その比較方法として以下の2つが挙げられる。
(1)端末リスト100のデータ量フィールドの値に、対象となるパケットのデータ量を加算した値と最大データ量との比較を行う。
(2)対象となるパケットのデータ量を加算せずに、現在のデータ量フィールドの値と最大データ量との比較を行う。
システムとしてどちらかに統一すれば、上記の2つの比較方法のいずれを用いてもよい。
【0049】
また、図12に示されるように端末リスト100に完了フラグフィールドを設け、データ量フィールドの値が最大データ量に到達した場合には完了フラグをON、到達していない場合には完了フラグをOFFとし、完了フラグのON・OFFに応じて、キューからのパケットの読み出しを判断するようにしてもよい。さらに、本実施形態においても第2の実施形態と同様に、優先度ごとにキューを設けるようにしてもよい。
【0050】
上述したように本実施形態においては、キューFQまたはDQの先頭に格納されている判断対象のパケットの送信元の識別子に対応した、端末リスト100に記録されているデータ量が所定の最大データ量に到達していない場合、または端末リスト100に記録されているデータ量に判断対象のパケットのデータ量を加算した量が最大データ量に到達していない場合に、選択部14が判断対象のデータをキューFQまたはDQの先頭から読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、出力したデータのデータ量に基づいて、対応した端末リスト100中のデータ量を更新する。これにより、パケット間のデータ量の違いによる公平性を考慮しながら、端末間のスループットの公平性を向上することができる。
【0051】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図13および図14は、本実施形態による端末1の構成を示すブロック図である。本実施形態においてはOSI(Open Systems Interconnection)の7階層モデルにおける特定のレイヤーに対して、第1〜第3の実施形態のいずれかが適用される。図13においては、レイヤー3(IPレイヤー)およびレイヤー2(リンクレイヤー)の構成が示されており、レイヤー2に対して第1〜第3の実施形態のいずれかを適用した構成となっている。
【0052】
以下、図中の各構成について説明する。パケット入力部16は、入力されたパケットをIPレイヤーのパケット振り分け部11aへ出力する。パケット振り分け部11aは、パケットの優先度に応じてパケットをキュー120a〜122aのいずれかの最後尾に格納する。キュー120a〜122aは優先度ごとに設けられたキューである。選択部14aは、優先度に応じた頻度でキュー120a〜122aからパケットを読み出し、リンクレイヤーのパケット振り分け部11bへ出力する。
【0053】
パケット振り分け部11bは、パケットの優先度およびパケットの送信元の識別情報に応じて、パケットをキューFQ1b〜FQ3b,DQ1b〜DQ3bのいずれかの最後尾に格納する。キューFQ1b〜FQ3b,DQ1b〜DQ3bも優先度ごとに設けられたキューである。選択部14bは、各優先度に設定された頻度で、その優先度に対応したキューからパケットを読み出し、パケット送信部15へ出力する。各優先度のキューからのパケットの読み出しに関しては、第1〜第3の実施形態と同様に、記憶部13中の端末リスト100に記録されている情報に基づいて、選択部14bはいずれかのキューからパケットを読み出す。
【0054】
図14においては、レイヤー3(IPレイヤー)に対して第1〜第3の実施形態のいずれかを適用した構成となっている。IPレイヤーにおいては、優先度ごとにキューFQ1a〜FQ3a,DQ1a〜DQ3aが設けられ、リンクレイヤーにおいては、優先度ごとにキュー120b〜122bが設けられている。IPレイヤーのパケット振り分け部11aは、パケットの優先度およびパケットの送信元の識別情報に応じて、パケットをキューFQ1a〜FQ3a,DQ1a〜DQ3aのいずれかの最後尾に格納する。また、選択部14aは、各優先度に設定された頻度で、その優先度に対応したキューから、記憶部13中の端末リスト100に記録されている情報に基づいてパケットを読み出し、パケット振り分け部11bへ出力する。
【0055】
リンクレイヤーのパケット振り分け部11bは、パケットの優先度に応じてパケットをキュー120b〜122bのいずれかの最後尾に格納する。また、選択部14bは、優先度に応じた頻度でキュー120b〜122bからパケットを読み出し、パケット送信部15へ出力する。
【0056】
第1〜第3の実施形態をIPレイヤーに適用する場合には、送信元の識別情報としてIPアドレスを用いればよい。一方、リンクレイヤーに関しては、中継されるパケットに付与されるMACアドレスは、パケットが中継されるごとに書き換えられてしまうので、第1〜第3の実施形態をリンクレイヤーに適用する場合には、IPレイヤーからリンクレイヤーへ送信元の識別情報を通知するか、リンクレイヤーに関するパケットのヘッダを拡張して、送信元の識別情報を格納する必要がある。なお、第1〜第3の実施形態が適用されるレイヤーは本実施形態に限定されない。
【0057】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態においては、パケット送信部15によるパケットの送信が失敗した場合、選択部14は再度同じパケットを同じキューから読み出してパケット送信部15へ出力する。なお、送信が成功するまでは、キューFQおよびDQによってパケットが保持され、送信が成功したパケットは消去される。パケット送信部15へ出力したパケットの送信が連続して失敗した結果、送信の失敗回数が所定回数に到達した場合、選択部14は他のキューからパケットを読み出し、パケット送信部15へ出力する。
【0058】
送信が所定回数だけ失敗したパケットの代わりにパケット送信部15へ出力されたパケットの送信が成功した場合には、選択部14は、そのパケットの送信元の識別子を、図15に示されるような内容の前借端末リストに記録し、前借回数を示す値が格納される前借回数フィールドの値を1とする。この前借端末リストは記憶部13に格納されている。また、送信が所定回数だけ失敗したパケットの代わりにパケット送信部15へ出力されたパケットの送信元の識別子が前借端末リストに既に登録されている場合には、選択部14は前借回数フィールドの値を1だけ増加させる。
【0059】
選択部14は、第1〜第4の実施形態と同様に端末リスト100に記録されている情報を消去するごとに、前借端末リスト中の前借回数フィールドの値を1ずつ減少させる。前借回数フィールドの値が0となった場合には、選択部14はその前借回数フィールドに対応した端末の識別子を前借端末リストから削除する。端末リスト100に記録された情報が消去された後にキューからの出力機会を得たパケットの送信元の識別子が前借端末リストに記録されている場合には、そのパケットの出力機会はスキップされる。しかし、その他のパケットの送信が所定回数だけ失敗したことにより、そのパケットの代わりに出力される場合には、この限りではない。以上のように、パケットの送信が失敗した場合でも、端末間の公平性を考慮しながら他のパケットの送信を行うことができる。
【0060】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図16は、本発明の第6の実施形態による無線通信端末の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、端末1には、パケットキュー部12に用意するキューとしてキューDLQを追加する。キューDLQは、他局から転送されてきたパケット(パケットに付加された送信元識別子が自局の識別子と異なるパケット)のうち、ダウンリンク(基地局から端末方向のリンク)のパケットをキューイングするためのキューである。こパケット選別のために経路表210を設けている。
【0061】
経路表210は、パケットの宛先ごとのリンク種別(ダウンリンクか、或いはアップリンク(端末から基地局方向のリンク)か)を格納している。経路表210は、端末1ごとに定義され、予め記憶部13(図16では図示せず)に記憶される。パケット振り分け部11は、パケット受信部10から受け取ったパケットのリンク種別を当該パケットの宛先を基にして経路表210から取得し、当該パケットをキューFQ或いはキューDLQに振り分ける。つまり、アップリンクのパケットはキューFQに格納し、ダウンリンクのパケットはキューDLQに格納する。
【0062】
また、端末1には図17に示されるRRリスト220を設ける。RRリスト220は、キューFQ又はDQとキューDLQからのパケット送信の有無を記録するリストである。RRリスト220のUフラグがONならば、キューFQ又はDQからのパケット送信が行われたことを表す。RRリスト220のDフラグがONならば、キューDLQからのパケット送信が行われたことを表す。
【0063】
次に、図18を参照して、選択部14の動作を説明する。図18は、図16に示す選択部14の処理フロー図である。
図18において、選択部14は、RRリスト220からUフラグを読み出し(S2001)、UフラグがONならばDフラグを読み出す(S2002)。この結果、DフラグがONならば、RRリスト220をリセットしてUフラグ及びDフラグをOFFにする(S2003)。
【0064】
一方、UフラグがOFFならば、キューFQ又はキューDQにパケットが格納されているかを判断する(ステップS2004)。キューFQ及びキューDQにパケットが格納されていない場合には(ステップS2004、NO)、ステップS2013へ進む。
【0065】
次いで、キューDQにパケットが格納されている場合には(ステップS2005、YES)、端末リスト100を検索し、キューDQの先頭のパケットの送信元識別子が端末リスト100に未登録であるか否かを判断する(ステップS2006)。未登録ならば(ステップS2006、YES)、キューDQの先頭のパケットを読み出してパケット送信部15に出力する(ステップS2007)。登録済みならば(ステップS2006、NO)、ステップS2008へ進む。
【0066】
一方、キューDQにパケットが格納されていない場合には(ステップS2005、NO)、端末リスト100を検索し、キューFQの先頭のパケットの送信元識別子が端末リスト100に未登録であるか否かを判断する(ステップS2008)。未登録ならば(ステップS2008、YES)、キューFQの先頭のパケットを読み出してパケット送信部15に出力する(ステップS2009)。登録済みならば(ステップS2008、NO)、端末リスト100に記録されている識別子を全て消去し、ステップS2005へ戻る。
【0067】
次いで、キューDQ或いはFQからパケットを出力後、当該出力したパケットの送信元識別子を端末リスト100に記録する(ステップS2011)。次いで、RRリスト220のUフラグをONする(ステップS2012)。
【0068】
上記ステップS2004の判断の結果、キューFQ及びキューDQにパケットが格納されていない場合(ステップS2004、NO)、ステップS2013でキューDLQにパケットが格納されているか否かを判断する。キューDLQにパケットが格納されている場合には(ステップS2013、YES)、キューDLQの先頭のパケットを読み出してパケット送信部15に出力する(ステップS2014)。次いで、RRリスト220のDフラグをONする(ステップS2015)。
【0069】
一方、キューDLQにパケットが格納されていない場合には(ステップS2013、NO)、キューFQ又はキューDQにパケットが格納されているかを判断する(ステップS2016)。キューFQ及びキューDQにパケットが格納されていない場合には(ステップS2016、NO)、処理を終了する。キューFQ又はキューDQにパケットが格納されている場合には(ステップS2016、YES)、RRリスト220のUフラグをOFFし(ステップS2017)、ステップS2005へ移行する。
【0070】
なお、上記図18の実施例では、キューFQ又はキューDQにパケットが格納されている場合に、キューDQの方からパケットの有無を調査したが、キューFQとキューDQの調査順を入れ換えてもよい。
【0071】
上述したように本実施形態によれば、キューDLQからパケットを1つ送信するごとに、キューFQ又はキューDQのいずれかからパケットを1つ送信する。
【0072】
次に、図19を参照して、パケット振り分け部11の動作を説明する。図19は、図16に示すパケット振り分け部11の処理フロー図である。
図19において、パケット振り分け部11は、パケット受信部10からのパケット又は自端末発のパケットを受け取ると、当該パケットの宛先からそのリンク種別を経路表210に基づいて判断する(ステップS2101)。
【0073】
アップリンクならば(ステップS2101、YES)、さらに当該パケットが自端末からのパケットであるのかをその送信元識別子に基づいて判断する(ステップS2102)。自端末からならば(ステップS2102、YES)、キューDQの使用済みメモリ容量に当該パケットのサイズを加えた値が、キューDQの最大メモリ容量以下であるか判断する(ステップS2103)。最大メモリ容量以下ならば(ステップS2103、YES)、キューDQに当該パケットを入力する(ステップS2104)。最大メモリ容量を超えるならば(ステップS2103、NO)、当該パケットを廃棄する(ステップS2105)。
【0074】
一方、自端末からのパケットではないならば(ステップS2102、NO)、キューFQの使用済みメモリ容量に当該パケットのサイズを加えた値が、キューFQの最大メモリ容量以下であるか判断する(ステップS2106)。最大メモリ容量以下ならば(ステップS2106、YES)、キューFQに当該パケットを入力する(ステップS2107)。最大メモリ容量を超えるならば(ステップS2106、NO)、当該パケットを廃棄する(ステップS2105)。
【0075】
上記ステップS2101の判断の結果、リンク種別がダウンリンクならば(ステップS2101、NO)、キューDLQの使用済みメモリ容量に当該パケットのサイズを加えた値が、キューDLQの最大メモリ容量以下であるか判断する(ステップS2108)。最大メモリ容量以下ならば(ステップS2108、YES)、キューDLQに当該パケットを入力する(ステップS2109)。最大メモリ容量を超えるならば(ステップS2108、NO)、当該パケットを廃棄する(ステップS2105)。
【0076】
なお、上記図19の実施例では、リンク種別を最初に判別したが、リンク種別と自端末発の判別順を入れ換えてもよい。最初に自端末発の判別を行う実施例の処理フロー図を図20に示す。図20では、最初に自端末発の判別を行い(ステップS2201)、次いで、リンク種別の判別を行う(ステップS2202)。
【0077】
図19の実施例によれば、アップリンクのパケットは、自端末発であるか、他端末発であるかによってキューDQ或いはFQに振り分けられるので、アップリンクのみで公平にパケット送信のスケジューリングを行うことができる。
【0078】
一方、図20の実施例によれば、自端末発のパケットは、リンク種別にかかわらず、キューDQに振り分けられる。この実施例は、自端末発のパケットと多端末からの転送パケットとを別キューにキューイングして転送用のキューを確保する場合に適している。
【0079】
なお、第6の実施形態は、各種の応用が可能である。例えば、図21に示すように、上記第2の実施形態と同様に、優先度に応じた複数のキューをパケットキュー部12に設けてもよい。
【0080】
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。本実施形態においては、図16のパケットキュー部12に備わる各キューDLQ、FQ、DQのキュー長に応じて、それぞれのキューからの送出割合を可変にする。具体的には、キューDQとキューFQは仮想的に一つのキューとみなし、キューDQのキュー長とキューFQのキュー長を加算した値をキューDLQのキュー長と比較する。ここで、キューDQのキュー長とキューFQのキュー長を加算した値を仮想キュー長ULQlen、キューDLQのキュー長をキュー長DLQlenとすると、仮想キュー長ULQlenとキュー長DLQlenに応じた重みを持ったWRR(Weighted Round Robin)或いはWFQ(Weighted Fair Queuing)等のアルゴリズムを、「キューDQとキューFQは仮想的に一つのキューとみなしたもの」と「キューDLQ」に適用する。この場合のスケジューリングアルゴリズムを図22に示す。図22は、本発明の第7の実施形態に係る選択部の処理フロー図である。
【0081】
図22において、選択部14は、キューDQ又はキューFQにあるパケットが送出権を獲得した場合(ステップS3001、YES)、上記した第6の実施形態と同様に、キューDQ又はキューFQのいずれかからパケットを送出し、端末リスト100にそのパケットの送信元識別子を登録する(ステップS3002〜S3008)。次いで、仮想キュー長ULQlenの値を一つ減じる(ステップS3009)。
【0082】
一方、キューDLQにあるパケットが送出権を獲得した場合(ステップS3001、NO)、キューDLQからパケットを送出する(ステップS3010)。次いで、キュー長DLQlenを一つ減じる(ステップS3011)。
【0083】
これにより、選択部14は、仮想キュー長ULQlenおよびキュー長DLQlenを管理し、各キュー長ULQlen、DLQlenに応じて、仮想キューとキューDLQからの送出割合を制御する。
【0084】
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。本実施形態においては、上述した実施形態を無線LANシステムに適用するための変形を行っている。図23は、本発明の第8の実施形態による無線LANシステムの構成を示す概略構成図である。図23において、端末300は無線LAN用の端末の機能を有する。アクセスポイント装置(AP)400は無線LAN用のアクセスポイントの機能を有する無線通信装置である。例えば、端末300およびAP400は、IEEE802.11で規定される無線LANの仕様に準拠したものである。
【0085】
図23の無線LANシステムでは、各AP400は、自己の配下の端末300のパケット送受を行うと共に、他のAP400配下の端末300のパケットの転送を行う。つまり、上記した実施形態では、各端末1が無線マルチホップネットワークの中継装置として機能したが、本実施形態では各AP400が無線マルチホップネットワークの中継装置として機能する。
【0086】
このために、AP400は、上記した実施形態において端末1が有していた本発明に係る構成要素を具備する。例えば、AP400は、図2に示される端末1が有していた、パケット振り分け部11、パケットキュー部12、選択部14及び端末リスト100を具備する。そして、キューDQには自己の配下の端末300から発せられたパケットをキューイングする。キューFQには他のAP400から受信したパケットをキューイングする。ここで、AP400がパケットの発端末がどのAP400の配下に属しているのかを認識できるようにする。例えば、AP400に、各AP400ごとの配下に属する端末300の一覧表を設ける。或いは、パケット内の所定位置に、発端末が属しているAP400の識別子を設定する。これにより、AP400のパケット振り分け部11は、振り分け対象のパケットが自AP400配下の端末300から発せられたのか、或いは他のAP400から受信したのかを判別することができる。
【0087】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施形態による無線通信システムの構成を示す概略構成図である。
【図2】同第1の実施形態による無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【図3】同第1の実施形態における端末リストの内容を示す参考図である。
【図4】同第1の実施形態による選択部の動作を説明するための参考図である。
【図5】同第1の実施形態による選択部の動作を説明するための参考図である。
【図6】同第1の実施形態による選択部の動作を示すフローチャートである。
【図7】同第1の実施形態による選択部の他の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態による無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における端末リストの内容を示す参考図である。
【図10】同第3の実施形態による選択部の動作を示すフローチャートである。
【図11】同第3の実施形態による選択部の動作を示すフローチャートである。
【図12】同第3の実施形態における端末リストの内容を示す参考図である。
【図13】本発明の第4の実施形態による無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【図14】同第4の実施形態による無線通信端末の他の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第5の実施形態における前借端末リストの内容を示す参考図である。
【図16】本発明の第6の実施形態による無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【図17】図16に示すRRリスト220の構成図である。
【図18】図16に示す選択部14の処理フロー図である。
【図19】図16に示すパケット振り分け部11の処理フロー図である。
【図20】図16に示すパケット振り分け部11の他の実施例における処理フロー図である。
【図21】本発明の第6の実施形態による無線通信端末の他の実施例の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第7の実施形態に係る選択部の処理フロー図である。
【図23】本発明の第8の実施形態による無線LANシステムの構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0089】
1・・・端末、2・・・基地局、10・・・パケット受信部、11・・・パケット振り分け部、12・・・パケットキュー部、13・・・記憶部、14・・・選択部、15・・・パケット送信部、16・・・パケット入力部、DQ,FQ,DLQ・・・キュー、210・・・経路表、220・・・RRリスト、300・・・無線LAN端末、400・・・無線LANアクセスポイント装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線局間で無線通信を直接行うことにより各種のデータを中継する無線通信端末および無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信端末が、基地局を介さずに端末間で無線通信を直接行うことにより各種のデータを中継する区間を無線通信区間内に含む無線通信ネットワークはマルチホップネットワークと呼ばれている。特に無線マルチホップネットワークにおいては、ホップ数(中継区間の数)の違いによって、端末間でスループットの格差が生じる問題が指摘されている。
特許文献1には、これに鑑み、ホップ数の違いによる端末間のスループット格差を改善するための技術が開示されている。この特許文献1によれば、送信端末は宛先までのホップ数を検出し、ホップ数に応じたサイズにデータをフラグメント化して送信する。また、中継端末はホップ数ごとにキューを備え、大きなホップ数に対応したキューに挿入されたデータを優先的に次の端末へ送信する。
【特許文献1】特開2003−273788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、無線マルチホップネットワークのルーティングプロトコルには、次にどの端末へデータを転送すればよいか(次ホップ端末)を調査するだけで、宛先までのホップ数を検出しないものもあり、このような場合には、データ中継に関する端末間の公平性を確保することができないという問題点があった。
【0004】
また、最大ホップ数を実際よりも大きな値に見込んでしまうと、使用されないキューが存在することになり、バッファメモリの浪費につながってしまう。一方、最大ホップ数を小さな値に見込んでしまうと、想定外のホップ数に対応したデータをいずれかのキューに格納したとしても、想定した動作は期待できなくなってしまう。このように、ホップ数ごとに準備されるキューの数の決定が困難であるという問題点もあった。さらに、同一のホップ数であっても、遅延に対して厳しいデータ(動画コンテンツデータ等)や、遅延に対して寛容なデータ(メールの送受信データ等)等、データの種類は様々であり、いわゆるQoS(Quality of Service)を制御するためには、このようなデータの違いによる区別が必要である。
【0005】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、ホップ数に依存せずに端末間のスループットの公平性の向上を実現することができる無線通信端末および無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信端末において、他局からのデータを受信する受信手段と、他局へデータを送信する送信手段と、前記受信手段によって受信された、送信元の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、自局において発生した、該自局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または自局の識別情報を記憶する記憶手段と、前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられた識別情報が、前記記憶手段によって記憶されていない場合に、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、出力したデータに関連付けられている識別情報を前記記憶手段に格納する制御手段とを具備することを特徴とする無線通信端末である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無線通信端末において、前記制御手段はさらに、前記第1および第2のキューの先頭に格納されている各データに関連付けられている識別情報がいずれも前記記憶手段によって記憶されている場合には、記憶されている識別情報を消去し、前記第1または第2のキューの先頭からデータを読み出して前記送信手段へ出力すると共に、出力したデータに関連付けられている識別情報を前記記憶手段に格納することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信端末において、他局からのデータを受信する受信手段と、他局へデータを送信する送信手段と、前記受信手段によって他局から受信された、該他局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、自局において発生した、該自局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または自局の識別情報と、前記第1および第2のキューから前記送信手段へ出力されたデータのデータ量とを関連付けて記憶する記憶手段と、前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられている識別情報に対応した前記データ量に基づいて、前記第1または第2のキューの先頭のデータを読み出すかどうか判断し、データを読み出すと判断した場合には、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、当該データに関連付けられている識別情報に対応した前記記憶手段中の前記データ量を更新する制御手段とを具備することを特徴とする無線通信端末である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の無線通信端末において、前記制御手段はさらに、前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられている識別情報に対応した前記データ量が所定量に到達していない場合、または前記データ量に当該データのデータ量を加算した量が所定量に到達していない場合に、当該データを前記第1または第2のキューの先頭から読み出して前記送信手段へ出力すると共に、当該データに関連付けられている識別情報に対応した前記記憶手段中の前記データ量に当該データのデータ量を加算することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載の無線通信端末において、前記データに対して複数の優先度を設定し、該複数の優先度ごとに前記第1および第2のキューを具備することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかの項に記載の無線通信端末において、予め設定された回数だけ前記データの送信が失敗した場合に、前記制御手段は、送信が失敗したデータ以外のデータを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載の無線通信端末において、キューイング対象のデータのリンク種別を判別する判別手段と、リンク種別がダウンリンクのデータをキューイングする第3のキューとを備え、前記制御手段は、前記第3のキューからもデータを読み出して前記送信手段へ出力することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の無線通信端末において、前記制御手段は、前記第1又は第2のキューからデータを読み出す割合と前記第3のキューからデータを読み出す割合とを合わせることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の無線通信端末において、前記制御手段は、前記第1及び第2のキューのキュー長の合計値と前記第3のキューのキュー長に応じて、前記第1又は第2のキューからのデータ読み出しと前記第3のキューからのデータ読み出しの割合を制御することを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜請求項9に記載の無線通信端末において、前記第2のキューへのキューイングを最優先に行うことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項7〜請求項9に記載の無線通信端末において、前記第3のキューへのキューイングを最優先に行うことを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信装置において、他局からのデータを受信する受信手段と、他局へデータを送信する送信手段と、前記受信手段によって受信された、送信元の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、自装置の配下の局において発生した、該配下局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または配下局の識別情報を記憶する記憶手段と、前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられた識別情報が、前記記憶手段によって記憶されていない場合に、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、出力したデータに関連付けられている識別情報を前記記憶手段に格納する制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信装置において、他局からのデータを受信する受信手段と、他局へデータを送信する送信手段と、前記受信手段によって他局から受信された、該他局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、自装置の配下の局において発生した、該配下局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または配下局の識別情報と、前記第1および第2のキューから前記送信手段へ出力されたデータのデータ量とを関連付けて記憶する記憶手段と、前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられている識別情報に対応した前記データ量に基づいて、前記第1または第2のキューの先頭のデータを読み出すかどうか判断し、データを読み出すと判断した場合には、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、当該データに関連付けられている識別情報に対応した前記記憶手段中の前記データ量を更新する制御手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ホップ数に依存せずに端末間のスループットの公平性の向上を実現することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による無線通信システムの構成を示す概略構成図である。以下、図中の各構成について説明する。端末1としての端末1a〜1dは無線通信端末であり、マルチホップ接続により無線通信を行う機能を備えた携帯電話、PHS(登録商標)(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistance)、固定型もしくは携帯型のパーソナルコンピュータ等の端末である。基地局2は端末1dとは直接通信を行うことができるが、端末1a〜1cとは直接通信を行うことはできない。図1において、各端末1a〜1dおよび基地局2を中心とする円は、各端末1a〜1dおよび基地局2からの電波到達範囲を示している。なお、基地局2は図示せぬネットワークに接続され、ネットワークを介して他の基地局等と通信を行う。
【0021】
各端末1a〜1dは、自局が発信元となってデータを送信する場合に、データをパケットに分割して送信する。また、端末1a〜1dは、他局から受信したパケットを次の端末へ(端末1dは基地局2へ)送信する。ただし、各端末1a〜1dは、隣接している端末(電波の到達する範囲に存在する端末)と同時にはパケットの送信を行わないものとする。隣接している端末同士が同時に送信を行った場合には、パケットの衝突等により、正常な通信を行うことができないものとする。端末1aによって送信されたパケットは、端末1b,1c,1dを経由して基地局2へ到達する。同様に、端末1bによって送信されたパケットは端末1cおよび1dを経由し、端末1cによって送信されたパケットは端末1dを経由して基地局2へ到達する。
【0022】
図2は、本実施形態による端末1(端末1a〜1d)の構成を示すブロック図である。なお、図2においては、データの中継に関する構成のみを図示し、他の構成については図示を省略している。以下、図中の各構成について説明する。
パケット受信部10(受信手段)は他の端末から図示せぬアンテナを介してパケットを受信し、復調処理等を行う。パケット振り分け部11は、パケットに付加されている、送信元端末を識別するための送信元識別子の内容に応じて、パケット受信部10から出力されたパケット、および自局で発生したパケットを予め指定されたキューへ振り分ける。
【0023】
パケットキュー部12は、FIFO方式(First In First Out)でパケットをキューイングするキューFQ(第1のキュー)およびキューDQ(第2のキュー)を備えている。キューFQは、他局から転送されてきたパケット(パケットに付加された送信元識別子が自局の識別子と異なるパケット)をキューイングするためのキューである。また、キューDQは、自局で発生したパケット(パケットに付加された送信元識別子が自局の識別子と同一のパケット)をキューイングするためのキューである。
【0024】
記憶部13(記憶手段)は、パケットキュー部12のキューFQから出力されたデータに関連付けられている他局の送信元識別子、およびキューDQから出力されたパケットに関連付けられている自局の送信元識別子を端末リスト100として記憶する。図3は端末リスト100の内容例を示している。NULLは、識別子が記録されていない領域を示している。選択部14(制御手段)は、パケットキュー部12のキューFQおよびキューDQのいずれかの先頭からパケットの読み出しを行う。この選択部14は、端末リスト100を参照し、キューFQまたはキューDQの先頭のパケットに対して、端末リスト100に記録されていない識別子が送信元識別子として関連付けられている場合に、そのパケットをキューFQまたはキューDQの先頭から読み出してパケット送信部15(送信手段)へ出力すると共に、出力したパケットに関連付けられている送信元識別子を記憶部13の端末リスト100に記録する。パケット送信部15は、パケットに対して変調処理等を行い、アンテナを介して他の端末または基地局2へパケットを送信する。
【0025】
次に、本実施形態による端末1の動作について説明する。端末1へ他の端末からパケットが送信された場合、パケット受信部10は図示せぬアンテナを介してそのパケットを受信し、復調処理等を行った後、パケットをパケット振り分け部11へ出力する。パケット振り分け部11は、パケット受信部10から出力されたパケット、または自局で発生したパケットに付加されている送信元識別子を調べる。送信元識別子が自局の識別子と異なる場合には、パケット振り分け部11はパケットをパケットキュー部12のキューFQの最後尾へ格納し、送信元識別子が自局の識別子と同一である場合には、パケットをキューDQの最後尾へ格納する。
【0026】
以下、図4および図5を用いて選択部14の動作を説明する。図4および図5は端末1d内のキューに係る構成を示したものである。キューFQ,DQおよび記憶部13内の端末リスト100が図4(a)のようであったとする。自局が送信元であるパケットが、図4(a)の状態になる前にキューDQから出力された結果、端末リスト100には自局(端末1d)の識別子が記録されている。キューFQおよびDQの先頭のパケットは、それぞれ端末1aからのパケットと自局からのパケットである。
【0027】
選択部14は、キューFQおよびDQのそれぞれの先頭のパケットに関連付けられている送信元識別子と、端末リスト100に記録されている識別子とを比較する。キューFQの先頭に端末1aからのパケットがあり、かつ、端末リスト100には端末1aの識別子は記録されていないので、選択部14はキューFQの先頭から端末1aからのパケットを読み出し、パケット送信部15へ出力する。また、選択部14は、端末リスト100に端末1aの識別子を記録する(図4(b))。
【0028】
続いて、上記と同様にして、選択部14はキューFQから、端末1cが送信元であるパケットを読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、端末リスト100に端末1cの識別子を記録する(図4(c))。さらに、選択部14はキューFQから、端末1bが送信元であるパケットを読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、端末リスト100に端末1bの識別子を記録する(図5(a))。
【0029】
この状態において、キューFQの先頭には端末1cからのパケットがあり、キューDQの先頭には自局(端末1d)からのパケットがある。また、端末1cの識別子も端末1dの識別子も端末リスト100に記録されている。この場合、選択部14は端末リスト100に記録されている識別子をクリア(消去)した上で、キューDQから、自局が送信元であるパケットを読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、端末リスト100に端末1dの識別子を記録する(図5(b))。続いて、上述した動作と同様に、選択部14はキューFQから、端末1cが送信元であるパケットを読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、端末リスト100に端末1cの識別子を記録する(図5(c))。以後、この動作が繰り返される。
【0030】
図6は、上述した選択部14の動作を示すフローチャートである。以下、図6を用いて選択部14の詳細な動作を説明する。選択部14は、スケジューラによって管理されるタイミングで動作を開始する。選択部14は、キューFQにパケットが格納されているかどうか判断する(ステップS601)。キューFQにパケットが格納されていない場合には、ステップS605へ進む。
【0031】
一方、キューFQにパケットが格納されている場合には、選択部14は記憶部13中の端末リスト100を参照し、キューFQの先頭のパケットに関連付けられている送信元の識別子が端末リスト100に記録されているかどうか判断する(ステップS602)。送信元の識別子が端末リスト100に記録されている場合には、ステップS605へ進む。一方、送信元の識別子が端末リスト100に記録されていない場合には、選択部14はキューFQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力し(ステップS603)、そのパケットの送信元の識別子を端末リスト100に記録する(ステップS604)。
【0032】
キューFQにパケットが格納されていなかった場合(ステップS601においてNOの場合)、およびキューFQにパケットが格納されていても、そのパケットの送信元の識別子が端末リスト100に記録されている場合(ステップS602においてYESの場合)には、選択部14は、キューDQに自局からのパケットが格納されているかどうか判断する(ステップS605)。パケットが格納されていなかった場合には、ステップS607へ進む。一方、パケットが格納されていた場合には、選択部14は記憶部13中の端末リスト100を参照し、キューDQの先頭のパケットに関連付けられている送信元の識別子、すなわち自局の識別子が端末リスト100に記録されているかどうか判断する(ステップS606)。自局の識別子が端末リスト100に記録されていた場合にはステップS607へ進み、そうでなければステップS608へ進む。
【0033】
ステップS607では、選択部14は、端末リスト100に記録されている識別子を全て消去する。そして、ステップS608へ進む。
ステップS608では、キューDQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力する。次いで、選択部14は、出力したパケットの送信元の識別子を端末リスト100に記録する(ステップS604)。ステップS604の後はステップS601に戻り、上記の動作が繰り返される。
【0034】
なお、選択部14の動作は、キューFQとキューDQの調査順を入れ換えた図7のようであってもよい。図7においては、図6におけるキューの調査順を入れ換えただけであり、選択部14の詳細な動作は図6と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
上述したように本実施形態においては、キューFQまたはDQの先頭に格納されているパケットに関連付けられている送信元の識別子が記憶部13中の端末リスト100に記録されていない場合に、選択部14がそのパケットをキューFQまたはDQの先頭から読み出すと共に、読み出したパケットに関連付けられている識別子を端末リスト100に記録する。これにより、キュー数の動的な変化や複雑な計算を必要とせず、また、ホップ数に依存せずに、特定の送信元のパケットが他の送信元のパケットよりも偏って送信されるのを防止し、端末間のスループットの公平性を向上することができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図8は、第2の実施形態による端末1の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、QoSを考慮した公知の優先キューイング技術を利用するため、優先度に応じた複数のキューがパケットキュー部12に設けられている。この例においては、n個の優先度が設定され、各優先度に対応して2n個のキューFQ1〜FQnおよびキューDQ1〜DQnが設けられている。
【0037】
パケット振り分け部11は、パケット受信部10から出力されたパケットと、自局で発生したパケットとの優先度に応じて、およびパケットに関連付けられている送信元識別子に応じて、パケットをパケットキュー部12のキューFQ1〜FQn,DQ1〜DQnのいずれかに格納する。優先度に関しては、例えば動画コンテンツデータ等、遅延に厳しいデータのパケットは優先度が高く設定され、メールの送受信データ等、遅延に寛容なデータのパケットは優先度が低く設定される。
【0038】
選択部14は、各優先度に設定された頻度で、その優先度に対応したキューからパケットを読み出し、パケット送信部15へ出力する。すなわち、選択部14は、高い優先度に対応したキューからは高い頻度でパケットを読み出し、低い優先度に対応したキューからは低い頻度でパケットを読み出す。どの優先度のパケットをどのような頻度および割合で読み出すのかは、実装される優先キューイング技術等に依存する。また、各優先度におけるキューからのパケットの読み出しは、図6または図7に示される動作に従って行われる。
【0039】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態における端末リスト100には、パケットのデータ量が記録されるデータ量フィールドが設けられている。端末リスト100には、選択部14によって読み出されてパケット送信部15へ出力されたパケットに付加された端末の識別子と、その識別子が付加されたパケットの累計データ量とが図9に示されるように関連付けられて記録されている。第1および第2の実施形態においては1パケットが出力されると、次に端末リスト100の内容がクリアされるまで、そのパケットの送信元と同じ送信元のパケットの読み出しはスキップされるが、本実施形態においてはパケットのデータ量の累計が最大データ量に達するまで、同じ送信元のパケットの読み出しはスキップされない。
【0040】
以下、本実施形態による選択部14の動作について説明する。キューFQまたはDQの先頭に格納されているパケットに関連付けられている送信元の識別子が記憶部13中の端末リスト100に記録されていない場合には、選択部14はキューFQまたはDQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、そのパケットの送信元の識別子およびデータ量を端末リスト100に追加する。また、パケットに関連付けられている送信元の識別子が端末リスト100に記録されており、かつ、その識別子に関連付けられているデータ量が所定の最大データ量に到達していない場合には、選択部14はキューFQまたはDQからそのパケットを読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、そのパケットのデータ量を端末リスト100のデータ量フィールドの値に加算し、データ量フィールドの値を更新する。
【0041】
図10および図11は、選択部14の動作を示すフローチャートである。以下、図10および図11を用いて選択部14の詳細な動作を説明する。選択部14は、スケジューラによって管理されるタイミングで動作を開始する。選択部14は、キューFQにパケットが格納されているかどうか判断する(ステップS1001)。キューFQにパケットが格納されていない場合には、図11のステップS1008へ進む。
【0042】
一方、キューFQにパケットが格納されている場合には、選択部14は記憶部13中の端末リスト100を参照し、キューFQの先頭のパケットに関連付けられている送信元の識別子が端末リスト100に記録されているかどうか判断する(ステップS1002)。
送信元の識別子が端末リスト100に記録されていない場合には、ステップS1006へ進む。一方、送信元の識別子が端末リスト100に記録されている場合には、選択部14は、その識別子に関連付けられているデータ量フィールドの値(データ量)を参照し、その値が最大データ量よりも小さいかどうか判断する(ステップS1003)。データ量フィールドの値が最大データ量以上である場合には、図11のステップS1008へ進む。
【0043】
一方、データ量フィールドの値が最大データ量よりも小さい場合には、選択部14はキューFQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力し(ステップS1004)、端末リスト100においてそのパケットの送信元の識別子に対応したデータ量フィールドの値にそのパケットのデータ量を加算する(ステップS1005)。
【0044】
キューFQにパケットが格納されているが、そのパケットの送信元の識別子が端末リスト100に記録されていなかった場合(ステップS1002においてNOの場合)には、選択部14はキューFQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力する(ステップS1006)。続いて、選択部14は、出力したパケットの送信元の識別子を端末リスト100に記録すると共に、その識別子と関連付けられたデータ量フィールドにデータ量を記録する(ステップS1007)。ステップS1005およびS1007の後はステップS1001に戻り、上記の動作が繰り返される。
【0045】
キューFQにパケットが格納されていなかった場合(ステップS1001においてNOの場合)、およびキューFQにパケットが格納されていても、そのパケットの送信元の識別子に関連付けられているデータ量フィールドの値が最大データ量以上であった場合(ステップS1003においてNOの場合)には、選択部14はキューDQに自局からのパケットが格納されているかどうか判断する(図11のステップS1008)。パケットが格納されていなかった場合には、ステップS1013に進み、端末リスト100に記録されている識別子およびデータ量を消去する。一方、パケットが格納されていた場合には、選択部14は記憶部13中の端末リスト100を参照し、キューDQの先頭のパケットに関連付けられている送信元の識別子、すなわち自局の識別子が端末リスト100に記録されているかどうか判断する(ステップS1009)。
【0046】
自局の識別子が端末リスト100に記録されていなかった場合には、ステップS1014へ進む。一方、自局の識別子が端末リスト100に記録されていた場合には、選択部14は、その識別子に関連付けられているデータ量フィールドの値(データ量)を参照し、その値が最大データ量よりも小さいかどうか判断する(ステップS1010)。データ量フィールドの値が最大データ量よりも小さい場合には、選択部14はキューDQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力する(ステップS1011)。続いて、選択部14は、出力したパケットの送信元の識別子に対応した端末リスト100のデータ量フィールドの値にそのパケットのデータ量を加算する(ステップS1012)。
【0047】
一方、データ量フィールドの値が最大データ量以上である場合には、選択部14は、端末リスト100に記録されている識別子およびデータ量を消去し(ステップS1013)、キューDQの先頭からパケットを読み出してパケット送信部15へ出力する(ステップS1014)。続いて、選択部14は、出力したパケットの送信元の識別子を端末リスト100に記録すると共に、その識別子と関連付けられたデータ量フィールドにデータ量を記録する(ステップS1015)。ステップS1014およびS1017の後は図10のステップS1001に戻り、上記の動作が繰り返される。キューFQおよびDQの調査順は上記と逆であってもよい。
【0048】
なお、ステップS1003およびS1010においてデータ量フィールドの値と最大データ量との比較が行われるが、その比較方法として以下の2つが挙げられる。
(1)端末リスト100のデータ量フィールドの値に、対象となるパケットのデータ量を加算した値と最大データ量との比較を行う。
(2)対象となるパケットのデータ量を加算せずに、現在のデータ量フィールドの値と最大データ量との比較を行う。
システムとしてどちらかに統一すれば、上記の2つの比較方法のいずれを用いてもよい。
【0049】
また、図12に示されるように端末リスト100に完了フラグフィールドを設け、データ量フィールドの値が最大データ量に到達した場合には完了フラグをON、到達していない場合には完了フラグをOFFとし、完了フラグのON・OFFに応じて、キューからのパケットの読み出しを判断するようにしてもよい。さらに、本実施形態においても第2の実施形態と同様に、優先度ごとにキューを設けるようにしてもよい。
【0050】
上述したように本実施形態においては、キューFQまたはDQの先頭に格納されている判断対象のパケットの送信元の識別子に対応した、端末リスト100に記録されているデータ量が所定の最大データ量に到達していない場合、または端末リスト100に記録されているデータ量に判断対象のパケットのデータ量を加算した量が最大データ量に到達していない場合に、選択部14が判断対象のデータをキューFQまたはDQの先頭から読み出してパケット送信部15へ出力すると共に、出力したデータのデータ量に基づいて、対応した端末リスト100中のデータ量を更新する。これにより、パケット間のデータ量の違いによる公平性を考慮しながら、端末間のスループットの公平性を向上することができる。
【0051】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図13および図14は、本実施形態による端末1の構成を示すブロック図である。本実施形態においてはOSI(Open Systems Interconnection)の7階層モデルにおける特定のレイヤーに対して、第1〜第3の実施形態のいずれかが適用される。図13においては、レイヤー3(IPレイヤー)およびレイヤー2(リンクレイヤー)の構成が示されており、レイヤー2に対して第1〜第3の実施形態のいずれかを適用した構成となっている。
【0052】
以下、図中の各構成について説明する。パケット入力部16は、入力されたパケットをIPレイヤーのパケット振り分け部11aへ出力する。パケット振り分け部11aは、パケットの優先度に応じてパケットをキュー120a〜122aのいずれかの最後尾に格納する。キュー120a〜122aは優先度ごとに設けられたキューである。選択部14aは、優先度に応じた頻度でキュー120a〜122aからパケットを読み出し、リンクレイヤーのパケット振り分け部11bへ出力する。
【0053】
パケット振り分け部11bは、パケットの優先度およびパケットの送信元の識別情報に応じて、パケットをキューFQ1b〜FQ3b,DQ1b〜DQ3bのいずれかの最後尾に格納する。キューFQ1b〜FQ3b,DQ1b〜DQ3bも優先度ごとに設けられたキューである。選択部14bは、各優先度に設定された頻度で、その優先度に対応したキューからパケットを読み出し、パケット送信部15へ出力する。各優先度のキューからのパケットの読み出しに関しては、第1〜第3の実施形態と同様に、記憶部13中の端末リスト100に記録されている情報に基づいて、選択部14bはいずれかのキューからパケットを読み出す。
【0054】
図14においては、レイヤー3(IPレイヤー)に対して第1〜第3の実施形態のいずれかを適用した構成となっている。IPレイヤーにおいては、優先度ごとにキューFQ1a〜FQ3a,DQ1a〜DQ3aが設けられ、リンクレイヤーにおいては、優先度ごとにキュー120b〜122bが設けられている。IPレイヤーのパケット振り分け部11aは、パケットの優先度およびパケットの送信元の識別情報に応じて、パケットをキューFQ1a〜FQ3a,DQ1a〜DQ3aのいずれかの最後尾に格納する。また、選択部14aは、各優先度に設定された頻度で、その優先度に対応したキューから、記憶部13中の端末リスト100に記録されている情報に基づいてパケットを読み出し、パケット振り分け部11bへ出力する。
【0055】
リンクレイヤーのパケット振り分け部11bは、パケットの優先度に応じてパケットをキュー120b〜122bのいずれかの最後尾に格納する。また、選択部14bは、優先度に応じた頻度でキュー120b〜122bからパケットを読み出し、パケット送信部15へ出力する。
【0056】
第1〜第3の実施形態をIPレイヤーに適用する場合には、送信元の識別情報としてIPアドレスを用いればよい。一方、リンクレイヤーに関しては、中継されるパケットに付与されるMACアドレスは、パケットが中継されるごとに書き換えられてしまうので、第1〜第3の実施形態をリンクレイヤーに適用する場合には、IPレイヤーからリンクレイヤーへ送信元の識別情報を通知するか、リンクレイヤーに関するパケットのヘッダを拡張して、送信元の識別情報を格納する必要がある。なお、第1〜第3の実施形態が適用されるレイヤーは本実施形態に限定されない。
【0057】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態においては、パケット送信部15によるパケットの送信が失敗した場合、選択部14は再度同じパケットを同じキューから読み出してパケット送信部15へ出力する。なお、送信が成功するまでは、キューFQおよびDQによってパケットが保持され、送信が成功したパケットは消去される。パケット送信部15へ出力したパケットの送信が連続して失敗した結果、送信の失敗回数が所定回数に到達した場合、選択部14は他のキューからパケットを読み出し、パケット送信部15へ出力する。
【0058】
送信が所定回数だけ失敗したパケットの代わりにパケット送信部15へ出力されたパケットの送信が成功した場合には、選択部14は、そのパケットの送信元の識別子を、図15に示されるような内容の前借端末リストに記録し、前借回数を示す値が格納される前借回数フィールドの値を1とする。この前借端末リストは記憶部13に格納されている。また、送信が所定回数だけ失敗したパケットの代わりにパケット送信部15へ出力されたパケットの送信元の識別子が前借端末リストに既に登録されている場合には、選択部14は前借回数フィールドの値を1だけ増加させる。
【0059】
選択部14は、第1〜第4の実施形態と同様に端末リスト100に記録されている情報を消去するごとに、前借端末リスト中の前借回数フィールドの値を1ずつ減少させる。前借回数フィールドの値が0となった場合には、選択部14はその前借回数フィールドに対応した端末の識別子を前借端末リストから削除する。端末リスト100に記録された情報が消去された後にキューからの出力機会を得たパケットの送信元の識別子が前借端末リストに記録されている場合には、そのパケットの出力機会はスキップされる。しかし、その他のパケットの送信が所定回数だけ失敗したことにより、そのパケットの代わりに出力される場合には、この限りではない。以上のように、パケットの送信が失敗した場合でも、端末間の公平性を考慮しながら他のパケットの送信を行うことができる。
【0060】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図16は、本発明の第6の実施形態による無線通信端末の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、端末1には、パケットキュー部12に用意するキューとしてキューDLQを追加する。キューDLQは、他局から転送されてきたパケット(パケットに付加された送信元識別子が自局の識別子と異なるパケット)のうち、ダウンリンク(基地局から端末方向のリンク)のパケットをキューイングするためのキューである。こパケット選別のために経路表210を設けている。
【0061】
経路表210は、パケットの宛先ごとのリンク種別(ダウンリンクか、或いはアップリンク(端末から基地局方向のリンク)か)を格納している。経路表210は、端末1ごとに定義され、予め記憶部13(図16では図示せず)に記憶される。パケット振り分け部11は、パケット受信部10から受け取ったパケットのリンク種別を当該パケットの宛先を基にして経路表210から取得し、当該パケットをキューFQ或いはキューDLQに振り分ける。つまり、アップリンクのパケットはキューFQに格納し、ダウンリンクのパケットはキューDLQに格納する。
【0062】
また、端末1には図17に示されるRRリスト220を設ける。RRリスト220は、キューFQ又はDQとキューDLQからのパケット送信の有無を記録するリストである。RRリスト220のUフラグがONならば、キューFQ又はDQからのパケット送信が行われたことを表す。RRリスト220のDフラグがONならば、キューDLQからのパケット送信が行われたことを表す。
【0063】
次に、図18を参照して、選択部14の動作を説明する。図18は、図16に示す選択部14の処理フロー図である。
図18において、選択部14は、RRリスト220からUフラグを読み出し(S2001)、UフラグがONならばDフラグを読み出す(S2002)。この結果、DフラグがONならば、RRリスト220をリセットしてUフラグ及びDフラグをOFFにする(S2003)。
【0064】
一方、UフラグがOFFならば、キューFQ又はキューDQにパケットが格納されているかを判断する(ステップS2004)。キューFQ及びキューDQにパケットが格納されていない場合には(ステップS2004、NO)、ステップS2013へ進む。
【0065】
次いで、キューDQにパケットが格納されている場合には(ステップS2005、YES)、端末リスト100を検索し、キューDQの先頭のパケットの送信元識別子が端末リスト100に未登録であるか否かを判断する(ステップS2006)。未登録ならば(ステップS2006、YES)、キューDQの先頭のパケットを読み出してパケット送信部15に出力する(ステップS2007)。登録済みならば(ステップS2006、NO)、ステップS2008へ進む。
【0066】
一方、キューDQにパケットが格納されていない場合には(ステップS2005、NO)、端末リスト100を検索し、キューFQの先頭のパケットの送信元識別子が端末リスト100に未登録であるか否かを判断する(ステップS2008)。未登録ならば(ステップS2008、YES)、キューFQの先頭のパケットを読み出してパケット送信部15に出力する(ステップS2009)。登録済みならば(ステップS2008、NO)、端末リスト100に記録されている識別子を全て消去し、ステップS2005へ戻る。
【0067】
次いで、キューDQ或いはFQからパケットを出力後、当該出力したパケットの送信元識別子を端末リスト100に記録する(ステップS2011)。次いで、RRリスト220のUフラグをONする(ステップS2012)。
【0068】
上記ステップS2004の判断の結果、キューFQ及びキューDQにパケットが格納されていない場合(ステップS2004、NO)、ステップS2013でキューDLQにパケットが格納されているか否かを判断する。キューDLQにパケットが格納されている場合には(ステップS2013、YES)、キューDLQの先頭のパケットを読み出してパケット送信部15に出力する(ステップS2014)。次いで、RRリスト220のDフラグをONする(ステップS2015)。
【0069】
一方、キューDLQにパケットが格納されていない場合には(ステップS2013、NO)、キューFQ又はキューDQにパケットが格納されているかを判断する(ステップS2016)。キューFQ及びキューDQにパケットが格納されていない場合には(ステップS2016、NO)、処理を終了する。キューFQ又はキューDQにパケットが格納されている場合には(ステップS2016、YES)、RRリスト220のUフラグをOFFし(ステップS2017)、ステップS2005へ移行する。
【0070】
なお、上記図18の実施例では、キューFQ又はキューDQにパケットが格納されている場合に、キューDQの方からパケットの有無を調査したが、キューFQとキューDQの調査順を入れ換えてもよい。
【0071】
上述したように本実施形態によれば、キューDLQからパケットを1つ送信するごとに、キューFQ又はキューDQのいずれかからパケットを1つ送信する。
【0072】
次に、図19を参照して、パケット振り分け部11の動作を説明する。図19は、図16に示すパケット振り分け部11の処理フロー図である。
図19において、パケット振り分け部11は、パケット受信部10からのパケット又は自端末発のパケットを受け取ると、当該パケットの宛先からそのリンク種別を経路表210に基づいて判断する(ステップS2101)。
【0073】
アップリンクならば(ステップS2101、YES)、さらに当該パケットが自端末からのパケットであるのかをその送信元識別子に基づいて判断する(ステップS2102)。自端末からならば(ステップS2102、YES)、キューDQの使用済みメモリ容量に当該パケットのサイズを加えた値が、キューDQの最大メモリ容量以下であるか判断する(ステップS2103)。最大メモリ容量以下ならば(ステップS2103、YES)、キューDQに当該パケットを入力する(ステップS2104)。最大メモリ容量を超えるならば(ステップS2103、NO)、当該パケットを廃棄する(ステップS2105)。
【0074】
一方、自端末からのパケットではないならば(ステップS2102、NO)、キューFQの使用済みメモリ容量に当該パケットのサイズを加えた値が、キューFQの最大メモリ容量以下であるか判断する(ステップS2106)。最大メモリ容量以下ならば(ステップS2106、YES)、キューFQに当該パケットを入力する(ステップS2107)。最大メモリ容量を超えるならば(ステップS2106、NO)、当該パケットを廃棄する(ステップS2105)。
【0075】
上記ステップS2101の判断の結果、リンク種別がダウンリンクならば(ステップS2101、NO)、キューDLQの使用済みメモリ容量に当該パケットのサイズを加えた値が、キューDLQの最大メモリ容量以下であるか判断する(ステップS2108)。最大メモリ容量以下ならば(ステップS2108、YES)、キューDLQに当該パケットを入力する(ステップS2109)。最大メモリ容量を超えるならば(ステップS2108、NO)、当該パケットを廃棄する(ステップS2105)。
【0076】
なお、上記図19の実施例では、リンク種別を最初に判別したが、リンク種別と自端末発の判別順を入れ換えてもよい。最初に自端末発の判別を行う実施例の処理フロー図を図20に示す。図20では、最初に自端末発の判別を行い(ステップS2201)、次いで、リンク種別の判別を行う(ステップS2202)。
【0077】
図19の実施例によれば、アップリンクのパケットは、自端末発であるか、他端末発であるかによってキューDQ或いはFQに振り分けられるので、アップリンクのみで公平にパケット送信のスケジューリングを行うことができる。
【0078】
一方、図20の実施例によれば、自端末発のパケットは、リンク種別にかかわらず、キューDQに振り分けられる。この実施例は、自端末発のパケットと多端末からの転送パケットとを別キューにキューイングして転送用のキューを確保する場合に適している。
【0079】
なお、第6の実施形態は、各種の応用が可能である。例えば、図21に示すように、上記第2の実施形態と同様に、優先度に応じた複数のキューをパケットキュー部12に設けてもよい。
【0080】
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。本実施形態においては、図16のパケットキュー部12に備わる各キューDLQ、FQ、DQのキュー長に応じて、それぞれのキューからの送出割合を可変にする。具体的には、キューDQとキューFQは仮想的に一つのキューとみなし、キューDQのキュー長とキューFQのキュー長を加算した値をキューDLQのキュー長と比較する。ここで、キューDQのキュー長とキューFQのキュー長を加算した値を仮想キュー長ULQlen、キューDLQのキュー長をキュー長DLQlenとすると、仮想キュー長ULQlenとキュー長DLQlenに応じた重みを持ったWRR(Weighted Round Robin)或いはWFQ(Weighted Fair Queuing)等のアルゴリズムを、「キューDQとキューFQは仮想的に一つのキューとみなしたもの」と「キューDLQ」に適用する。この場合のスケジューリングアルゴリズムを図22に示す。図22は、本発明の第7の実施形態に係る選択部の処理フロー図である。
【0081】
図22において、選択部14は、キューDQ又はキューFQにあるパケットが送出権を獲得した場合(ステップS3001、YES)、上記した第6の実施形態と同様に、キューDQ又はキューFQのいずれかからパケットを送出し、端末リスト100にそのパケットの送信元識別子を登録する(ステップS3002〜S3008)。次いで、仮想キュー長ULQlenの値を一つ減じる(ステップS3009)。
【0082】
一方、キューDLQにあるパケットが送出権を獲得した場合(ステップS3001、NO)、キューDLQからパケットを送出する(ステップS3010)。次いで、キュー長DLQlenを一つ減じる(ステップS3011)。
【0083】
これにより、選択部14は、仮想キュー長ULQlenおよびキュー長DLQlenを管理し、各キュー長ULQlen、DLQlenに応じて、仮想キューとキューDLQからの送出割合を制御する。
【0084】
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。本実施形態においては、上述した実施形態を無線LANシステムに適用するための変形を行っている。図23は、本発明の第8の実施形態による無線LANシステムの構成を示す概略構成図である。図23において、端末300は無線LAN用の端末の機能を有する。アクセスポイント装置(AP)400は無線LAN用のアクセスポイントの機能を有する無線通信装置である。例えば、端末300およびAP400は、IEEE802.11で規定される無線LANの仕様に準拠したものである。
【0085】
図23の無線LANシステムでは、各AP400は、自己の配下の端末300のパケット送受を行うと共に、他のAP400配下の端末300のパケットの転送を行う。つまり、上記した実施形態では、各端末1が無線マルチホップネットワークの中継装置として機能したが、本実施形態では各AP400が無線マルチホップネットワークの中継装置として機能する。
【0086】
このために、AP400は、上記した実施形態において端末1が有していた本発明に係る構成要素を具備する。例えば、AP400は、図2に示される端末1が有していた、パケット振り分け部11、パケットキュー部12、選択部14及び端末リスト100を具備する。そして、キューDQには自己の配下の端末300から発せられたパケットをキューイングする。キューFQには他のAP400から受信したパケットをキューイングする。ここで、AP400がパケットの発端末がどのAP400の配下に属しているのかを認識できるようにする。例えば、AP400に、各AP400ごとの配下に属する端末300の一覧表を設ける。或いは、パケット内の所定位置に、発端末が属しているAP400の識別子を設定する。これにより、AP400のパケット振り分け部11は、振り分け対象のパケットが自AP400配下の端末300から発せられたのか、或いは他のAP400から受信したのかを判別することができる。
【0087】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施形態による無線通信システムの構成を示す概略構成図である。
【図2】同第1の実施形態による無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【図3】同第1の実施形態における端末リストの内容を示す参考図である。
【図4】同第1の実施形態による選択部の動作を説明するための参考図である。
【図5】同第1の実施形態による選択部の動作を説明するための参考図である。
【図6】同第1の実施形態による選択部の動作を示すフローチャートである。
【図7】同第1の実施形態による選択部の他の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態による無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における端末リストの内容を示す参考図である。
【図10】同第3の実施形態による選択部の動作を示すフローチャートである。
【図11】同第3の実施形態による選択部の動作を示すフローチャートである。
【図12】同第3の実施形態における端末リストの内容を示す参考図である。
【図13】本発明の第4の実施形態による無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【図14】同第4の実施形態による無線通信端末の他の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第5の実施形態における前借端末リストの内容を示す参考図である。
【図16】本発明の第6の実施形態による無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【図17】図16に示すRRリスト220の構成図である。
【図18】図16に示す選択部14の処理フロー図である。
【図19】図16に示すパケット振り分け部11の処理フロー図である。
【図20】図16に示すパケット振り分け部11の他の実施例における処理フロー図である。
【図21】本発明の第6の実施形態による無線通信端末の他の実施例の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第7の実施形態に係る選択部の処理フロー図である。
【図23】本発明の第8の実施形態による無線LANシステムの構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0089】
1・・・端末、2・・・基地局、10・・・パケット受信部、11・・・パケット振り分け部、12・・・パケットキュー部、13・・・記憶部、14・・・選択部、15・・・パケット送信部、16・・・パケット入力部、DQ,FQ,DLQ・・・キュー、210・・・経路表、220・・・RRリスト、300・・・無線LAN端末、400・・・無線LANアクセスポイント装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信端末において、
他局からのデータを受信する受信手段と、
他局へデータを送信する送信手段と、
前記受信手段によって受信された、送信元の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、
自局において発生した、該自局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、
前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または自局の識別情報を記憶する記憶手段と、
前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられた識別情報が、前記記憶手段によって記憶されていない場合に、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、出力したデータに関連付けられている識別情報を前記記憶手段に格納する制御手段と、
を具備することを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記制御手段はさらに、前記第1および第2のキューの先頭に格納されている各データに関連付けられている識別情報がいずれも前記記憶手段によって記憶されている場合には、記憶されている識別情報を消去し、前記第1または第2のキューの先頭からデータを読み出して前記送信手段へ出力すると共に、出力したデータに関連付けられている識別情報を前記記憶手段に格納することを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信端末において、
他局からのデータを受信する受信手段と、
他局へデータを送信する送信手段と、
前記受信手段によって他局から受信された、該他局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、
自局において発生した、該自局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、
前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または自局の識別情報と、前記第1および第2のキューから前記送信手段へ出力されたデータのデータ量とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられている識別情報に対応した前記データ量に基づいて、前記第1または第2のキューの先頭のデータを読み出すかどうか判断し、データを読み出すと判断した場合には、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、当該データに関連付けられている識別情報に対応した前記記憶手段中の前記データ量を更新する制御手段と、
を具備することを特徴とする無線通信端末。
【請求項4】
前記制御手段はさらに、前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられている識別情報に対応した前記データ量が所定量に到達していない場合、または前記データ量に当該データのデータ量を加算した量が所定量に到達していない場合に、当該データを前記第1または第2のキューの先頭から読み出して前記送信手段へ出力すると共に、当該データに関連付けられている識別情報に対応した前記記憶手段中の前記データ量に当該データのデータ量を加算することを特徴とする請求項3に記載の無線通信端末。
【請求項5】
前記データに対して複数の優先度を設定し、該複数の優先度ごとに前記第1および第2のキューを具備することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載の無線通信端末。
【請求項6】
予め設定された回数だけ前記データの送信が失敗した場合に、前記制御手段は、送信が失敗したデータ以外のデータを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの項に記載の無線通信端末。
【請求項7】
キューイング対象のデータのリンク種別を判別する判別手段と、
リンク種別がダウンリンクのデータをキューイングする第3のキューとを備え、
前記制御手段は、前記第3のキューからもデータを読み出して前記送信手段へ出力することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載の無線通信端末。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1又は第2のキューからデータを読み出す割合と前記第3のキューからデータを読み出す割合とを合わせることを特徴とする請求項7に記載の無線通信端末。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第1及び第2のキューのキュー長の合計値と前記第3のキューのキュー長に応じて、前記第1又は第2のキューからのデータ読み出しと前記第3のキューからのデータ読み出しの割合を制御することを特徴とする請求項7に記載の無線通信端末。
【請求項10】
前記第2のキューへのキューイングを最優先に行うことを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかの項に記載の無線通信端末。
【請求項11】
前記第3のキューへのキューイングを最優先に行うことを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかの項に記載の無線通信端末。
【請求項12】
他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信装置において、
他局からのデータを受信する受信手段と、
他局へデータを送信する送信手段と、
前記受信手段によって受信された、送信元の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、
自装置の配下の局において発生した、該配下局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、
前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または配下局の識別情報を記憶する記憶手段と、
前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられた識別情報が、前記記憶手段によって記憶されていない場合に、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、出力したデータに関連付けられている識別情報を前記記憶手段に格納する制御手段と、
を具備することを特徴とする無線通信装置。
【請求項13】
他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信装置において、
他局からのデータを受信する受信手段と、
他局へデータを送信する送信手段と、
前記受信手段によって他局から受信された、該他局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、
自装置の配下の局において発生した、該配下局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、
前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または配下局の識別情報と、前記第1および第2のキューから前記送信手段へ出力されたデータのデータ量とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられている識別情報に対応した前記データ量に基づいて、前記第1または第2のキューの先頭のデータを読み出すかどうか判断し、データを読み出すと判断した場合には、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、当該データに関連付けられている識別情報に対応した前記記憶手段中の前記データ量を更新する制御手段と、
を具備することを特徴とする無線通信装置。
【請求項1】
他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信端末において、
他局からのデータを受信する受信手段と、
他局へデータを送信する送信手段と、
前記受信手段によって受信された、送信元の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、
自局において発生した、該自局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、
前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または自局の識別情報を記憶する記憶手段と、
前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられた識別情報が、前記記憶手段によって記憶されていない場合に、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、出力したデータに関連付けられている識別情報を前記記憶手段に格納する制御手段と、
を具備することを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記制御手段はさらに、前記第1および第2のキューの先頭に格納されている各データに関連付けられている識別情報がいずれも前記記憶手段によって記憶されている場合には、記憶されている識別情報を消去し、前記第1または第2のキューの先頭からデータを読み出して前記送信手段へ出力すると共に、出力したデータに関連付けられている識別情報を前記記憶手段に格納することを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信端末において、
他局からのデータを受信する受信手段と、
他局へデータを送信する送信手段と、
前記受信手段によって他局から受信された、該他局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、
自局において発生した、該自局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、
前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または自局の識別情報と、前記第1および第2のキューから前記送信手段へ出力されたデータのデータ量とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられている識別情報に対応した前記データ量に基づいて、前記第1または第2のキューの先頭のデータを読み出すかどうか判断し、データを読み出すと判断した場合には、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、当該データに関連付けられている識別情報に対応した前記記憶手段中の前記データ量を更新する制御手段と、
を具備することを特徴とする無線通信端末。
【請求項4】
前記制御手段はさらに、前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられている識別情報に対応した前記データ量が所定量に到達していない場合、または前記データ量に当該データのデータ量を加算した量が所定量に到達していない場合に、当該データを前記第1または第2のキューの先頭から読み出して前記送信手段へ出力すると共に、当該データに関連付けられている識別情報に対応した前記記憶手段中の前記データ量に当該データのデータ量を加算することを特徴とする請求項3に記載の無線通信端末。
【請求項5】
前記データに対して複数の優先度を設定し、該複数の優先度ごとに前記第1および第2のキューを具備することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載の無線通信端末。
【請求項6】
予め設定された回数だけ前記データの送信が失敗した場合に、前記制御手段は、送信が失敗したデータ以外のデータを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの項に記載の無線通信端末。
【請求項7】
キューイング対象のデータのリンク種別を判別する判別手段と、
リンク種別がダウンリンクのデータをキューイングする第3のキューとを備え、
前記制御手段は、前記第3のキューからもデータを読み出して前記送信手段へ出力することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載の無線通信端末。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1又は第2のキューからデータを読み出す割合と前記第3のキューからデータを読み出す割合とを合わせることを特徴とする請求項7に記載の無線通信端末。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第1及び第2のキューのキュー長の合計値と前記第3のキューのキュー長に応じて、前記第1又は第2のキューからのデータ読み出しと前記第3のキューからのデータ読み出しの割合を制御することを特徴とする請求項7に記載の無線通信端末。
【請求項10】
前記第2のキューへのキューイングを最優先に行うことを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかの項に記載の無線通信端末。
【請求項11】
前記第3のキューへのキューイングを最優先に行うことを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかの項に記載の無線通信端末。
【請求項12】
他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信装置において、
他局からのデータを受信する受信手段と、
他局へデータを送信する送信手段と、
前記受信手段によって受信された、送信元の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、
自装置の配下の局において発生した、該配下局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、
前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または配下局の識別情報を記憶する記憶手段と、
前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられた識別情報が、前記記憶手段によって記憶されていない場合に、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、出力したデータに関連付けられている識別情報を前記記憶手段に格納する制御手段と、
を具備することを特徴とする無線通信装置。
【請求項13】
他局と無線通信を直接行うことによりデータを中継する無線通信装置において、
他局からのデータを受信する受信手段と、
他局へデータを送信する送信手段と、
前記受信手段によって他局から受信された、該他局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第1のキューと、
自装置の配下の局において発生した、該配下局の識別情報が関連付けられているデータをキューイングする第2のキューと、
前記第1または第2のキューから出力されたデータに関連付けられている他局または配下局の識別情報と、前記第1および第2のキューから前記送信手段へ出力されたデータのデータ量とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記第1または第2のキューの先頭に格納されているデータに関連付けられている識別情報に対応した前記データ量に基づいて、前記第1または第2のキューの先頭のデータを読み出すかどうか判断し、データを読み出すと判断した場合には、当該データを前記第1または第2のキューから読み出して前記送信手段へ出力すると共に、当該データに関連付けられている識別情報に対応した前記記憶手段中の前記データ量を更新する制御手段と、
を具備することを特徴とする無線通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2006−74720(P2006−74720A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52917(P2005−52917)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
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