説明

無線通信装置

【課題】 所定の帯域の電磁波を用いて複数の通信回路のいずれか1つと通信すること。
【解決手段】 所定の帯域の電磁波を送受信する通信制御部500と、アンテナ505との相対位置が固定され、アンテナ505が強電磁波を送信しているときに通信制御部500と通信可能な非接触型ICメモリ330と、アンテナ505との相対位置が可変の非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kと、アンテナ505が弱電磁波を送信しているときに非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kが通信制御部500と通信可能となる第1の相対位置と、アンテナ505が強磁波を送信しているときに通信不可能となる第2の相対位置とに非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kを移動させるモータと、第1の相対位置で弱電磁波に切換え、第2の相対位置で強電磁波に切換える制御部100とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関し、特に、電磁波で駆動する非接触型データ記憶回路とデータアクセス可能な無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、カラーで画像を形成する画像形成装置がある。この画像形成装置は、1つの感光体ドラムと、トナー像を感光体ドラムに形成するシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色それぞれに対応した4つの現像ユニットとを備えている。この画像形成装置では、感光体ドラムと、4つの現像ユニットとは消耗品であり、それぞれ単独で取替えることが可能となっている。
【0003】
この感光体ドラムと、4つの現像ユニットとを独立して管理する画像形成装置が特開2001−22230号公報に記載されている。特開2001−22230号公報には、画像形成装置本体に装着されるトナーカートリッジやプロセスカートリッジなどの複数の画像形成用カートリッジに搭載された不揮発性記憶素子内蔵の非接触通信ICタグとの間で、非接触方式でデータの送受信が可能な通信装置を備え、前記通信装置は、送信アンテナ1個及び受信アンテナ1個の組み合わせ、又は送受信兼用アンテナ1個と、前記複数の非接触通信ICタグの情報を個別に読み出し又は書込可能とする制御部とが設けられた画像形成装置が記載されている。
【0004】
しかしながら、この画像形成装置では、複数の非接触通信ICタグの情報を個別に読み出し又は書込可能とする制御部を設けているが、複数の非接触通信ICタグが同一の帯域を使用して通信する場合には、混信して通信することができない。
【特許文献1】特開2001−22230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述した問題点を解決するために成されたもので、この発明の目的の1つは、所定の帯域の電磁波を用いて複数の通信回路のいずれか1つと通信することが可能な無線通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、無線通信装置は、所定の帯域の電磁波を送受信する通信手段と、通信手段との相対位置が固定され、通信手段が少なくとも第1の強度で電磁波を送信しているときに通信手段と通信可能な第1通信回路と、通信手段との相対位置が可変の第2通信回路と、通信手段が第1の強度より弱い第2の強度で電磁波を送信しているときに第2通信回路が通信手段と通信可能となる第1の相対位置と、通信手段が第1の強度で電磁波を送信しているときに第2通信回路が通信手段と通信不可能となる第2の相対位置とに第2通信回路を移動させる移動手段と、第2の通信回路と通信手段との相対位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段により第2通信回路と通信手段とが第1の相対位置にあることが検出されているときは通信手段が出力する電磁波を第2の強度に切換え、位置検出手段により第2の相対位置にあることが検出されているときは通信手段が出力する電磁波を第1の強度に切換える切換手段とを備える。
【0007】
この発明に従えば、第2通信回路と通信手段との相対位置を検出し、第2通信回路と通信手段とが第1の相対位置にあることが検出されているときは通信手段が出力する電磁波を第2の強度に切換える。第1通信回路は、第2の強度の電磁波を出力する通信手段と通信することが不可能なため、通信手段は、第2通信回路とのみ通信することが可能となる。また、位置検出手段により第2の相対位置にあることが検出されているときは通信手段が出力する電磁波を第1の強度に切換える。第2通信回路は、第2の相対位置にあるとき第1の強度の電磁波を出力する通信手段と通信することが不可能なため、通信手段は、第1通信回路とのみ通信することが可能となる。その結果、所定の帯域の電磁波を用いて複数の通信回路のいずれか1つと通信することが可能な無線通信装置を提供することができる。
【0008】
この発明の他の局面によれば、無線通信装置は、所定の帯域の電磁波を送受信する通信手段と、通信手段との相対位置が固定され、通信手段が少なくとも第1の強度で電磁波を送信しているときに通信手段と通信可能な第1通信回路と、通信手段との相対位置が可変の第2通信回路と、通信手段が第1の強度より弱い第2の強度で電磁波を送信しているときに第2通信回路が通信手段と通信可能となる第1の相対位置と、通信手段が第1の強度で電磁波を送信しているときに第2通信回路が通信手段と通信不可能となる第2の相対位置とに第2通信回路を交互に移動させる移動手段と、通信手段が第1の強度で電磁波を送信して第1通信回路と通信して通信可能な状態から通信不可能な状態となったとき、通信手段が出力する電磁波を第2の強度に切換え、通信手段が第2の強度で電磁波を送信して通信手段が第2通信回路と通信して通信可能な状態から通信不可能な状態となったとき、通信手段が出力する電磁波を第1の強度に切換える切換手段とを備える。
【0009】
この発明に従えば、第2通信回路が、第1の相対位置と、第2の相対位置とに交互に移動する。第2通信回路が第2相対位置にあるとき、通信手段が第1の強度で電磁波を送信すると、通信手段は第1通信回路とのみ通信可能となる。第2通信回路が第1相対位置にあるときは、第1の強度で電磁波を送信する通信手段は、第1通信回路と第2通信回路の双方で電磁波が受信されるために、双方が出力する電磁波が混信して通信不可能な状態となる。このとき、通信手段が出力する電磁波を第2の強度に切換えることにより、通信手段は第2通信回路とのみ通信が可能となる。そして、第2通信回路が第2の相対位置に移動すると、通信不可能となる。このとき、通信手段が出力する電磁波を第1の強度に切換えることにより、通信手段は第1通信回路とのみ通信可能となる。その結果、所定の帯域の電磁波を用いて複数の通信回路のいずれか1つと通信することが可能な無線通信装置を提供することができる。
【0010】
好ましくは、画像を形成するための画像形成手段をさらに備え、第1通信回路は、画像形成手段の感光体ユニットに取付けられ、第2通信回路は、画像形成手段の現像ユニットに取付けられる。
【0011】
好ましくは、第1通信回路および第2通信回路それぞれは、記憶手段を含み、通信手段は、第1通信回路に感光体ユニットに関する情報を記憶させ、第2通信回路に現像ユニットに関する情報を記憶させる。感光体ユニットまたは現像ユニットが装置から取り外されたあとでも、それらに関する情報を現物とともに移動させることができる。
【0012】
好ましくは、通信手段は、第2通信回路に情報を記憶させることができなかった場合には、第1通信回路に、通信できなかった第2通信回路に記憶させる予定の情報をバックアップとして記憶させる。記憶容量を節減することができる。
【0013】
好ましくは、通信手段は、第2通信回路と次に通信可能となる前に、第1通信回路に記憶させていたバックアップ情報を読出し、第2通信回路と通信可能となったときに、バックアップ情報を記憶させる。
【0014】
好ましくは、第1通信回路および第2通信回路は、通信手段から受信した電磁波で動作する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0016】
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態における画像形成装置1000の概略構成を示す模式的断面図である。本実施の形態における画像形成装置1000は、4サイクル方式のカラープリンタである。
【0017】
図1を参照して、画像形成装置1000は、現像ラック200と、感光体ユニット300と、制御部100と、高電圧供給部400と、レーザー出力部140とを備える。現像ラック200は図中矢印方向(時計回り)に回転する。
【0018】
現像ラック200は、シアン(C)のトナーと現像器220Cとを有する現像ユニット210Cと、マゼンタ(M)のトナーと現像器220Mとを有する現像ユニット210Mと、イエロー(Y)のトナーと現像器220Yとを有する現像ユニット210Yと、ブラック(K)のトナーと現像器220Kとを有する現像ユニット210Kと、モータ111とを含む。
【0019】
なお、現像ユニット210C,210M,210Y,210Kおよび感光体ユニット300はカートリッジ化されており、それら単体で画像形成装置1000に装着または着脱可能である。このため、ユーザが容易に交換可能である。
【0020】
感光体ユニット300は、感光体ドラム310と、帯電器320とを含む。感光体ドラム310は図中において矢印方向(反時計周り)に回転する。
【0021】
制御部100は、現像ラック200と、高電圧供給部400と、レーザー出力部140と、モータ制御部110とを制御する機能を有する。
【0022】
制御部100は、画像形成制御に応じてモータ制御部110を制御する。モータ制御部110は、制御部100からの制御信号に従ってモータ111を駆動する。これにより、現像ラック200は、画像形成制御に応じて回転、停止を繰返す。現像ラック200は図中矢印方向(時計回り)に回転する。このため、現像ラック200に含まれる現像ユニット210C,210M,210Y,210Kおよび現像器220C,220M,220Y,220Kは、現像ラック200の回転に伴い移動する。
【0023】
制御部100は、制御信号を出力するタイミングから現像ラック200の位置を検出する。なお、現像ラック200の回転する位置を検出するためのセンサを設けて、現像ラック200の位置を検出するようにしてもよい。
【0024】
帯電器320は、高電圧供給部400により高電圧が印加されることにより、反時計周りに回転している感光体ドラム310の表面を帯電させる。
【0025】
レーザー出力部140は、制御部100の制御に応じて、感光体ドラム310の帯電している表面にレーザービームを照射することにより、静電潜像を形成する。以下においては、感光体ドラム310の表面に静電潜像を形成する処理を静電潜像形成処理とも称する。静電潜像形成処理は、カラー画像を構成する各色ごと、具体的には、C、M,Y,Kごとに順次行なわれる。制御部100は、C、M,Y,Kの各々の静電潜像形成処理ごとに、現像ラック200を回転させ、順次、対応する色の現像器220を感光体ドラム310に最も近づいた位置(以下においては、作像位置とも称する)に停止させる。
【0026】
高電圧供給部400は、制御部100の制御に応じて、現像器220C,220M,220Y,220Kにも高電圧を印加する。高電圧供給部400は、現像器220C,220M,220Y,220Kのうち作像位置にある現像器に高電圧を印加する。
【0027】
高電圧(現像バイアス電圧)が印加されることにより、帯電したトナーは、感光体ドラム310の静電潜像が形成された表面に吸着する。これにより、感光体ドラム310の表面にトナー像が形成される。以下においては、感光体ドラム310の表面にトナー像を形成する処理をトナー像形成処理とも称する。トナー像形成処理は、現像器220C,220M,220Y,220Kごとに順次行なわれる。すなわち、感光体ドラム310の表面には、順次、対応する色のトナー像が形成される。
【0028】
画像形成装置1000は、さらに、中間転写ベルト430と、ローラ410,420と、給紙トレイ401と、給紙部405と、定着器450と、排紙トレイ460とを備える。
【0029】
中間転写ベルト430は、ローラ410およびローラ420の回転動作により、図中で時計周りに回転する。中間転写ベルト430の回転に伴い、感光体ドラム310の表面に形成されたトナー像が、中間転写ベルト430に転写される。以下においては、感光体ドラム310の表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト430の表面に転写する処理を中間転写処理とも称する。中間転写ベルト430にトナー像が転写される動作は、C、M,Y,Kの各色に対し、行なわれる。
【0030】
中間転写ベルト430の表面には、中間転写ベルト430が1回転する毎にC,M,Y,Kの順にトナー像が重ねて形成される。したがって、中間転写ベルト430が4回転することにより、中間転写ベルト430の表面には、C,M,Y,K全てのトナー像(カラー画像)が重ねて形成される。
【0031】
給紙トレイ401は、カラー画像を転写する紙を保持する。
【0032】
給紙部405は、給紙トレイ401に保持されている紙を中間転写ベルト430を回転させているローラ420へ送る。
【0033】
中間転写ベルト430の表面に形成されたカラー画像は、ローラ420の回転動作により、給紙部405から送られてきた紙に転写される。そして、画像が転写された用紙は、ローラ420の動作により、定着器450へ送られる。
【0034】
高電圧供給部400は、制御部100の制御に応じて、定着器450にも高電圧を印加する。
【0035】
定着器450は、高電圧供給部400により高電圧が印加されることにより、送られてきた画像転写済み用紙の表面のトナーを熱で溶かしつつ、ローラで画像転写済み用紙に圧力をかけて、紙にトナーを定着させる。その後、定着器450は、トナーを定着させた紙を排紙トレイ460に送る。
【0036】
以上の動作により、カラー画像を紙に複写することが可能となる。
【0037】
現像ユニット210Cの表面には、非接触型ICメモリ230Cが取り付けられている。現像ユニット210Mの表面には、非接触型ICメモリ230Mが取り付けられている。現像ユニット210Yの表面には、非接触型ICメモリ230Yが取り付けられている。現像ユニット210Kの表面には、非接触型ICメモリ230Kが取り付けられている。以下においては、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kを総括的に非接触型ICメモリ230とも称する。
【0038】
現像ユニット210C,210M,210Y,210Kは時計回りに回転するので、現像ユニット210C,210M,210Y,210Kの表面にそれぞれ取り付けられた非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kも時計回りに回転する。
【0039】
非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kは、無線でデータアクセスされることにより現像ユニット情報の記憶および読出しが可能なメモリである。現像ユニット情報には、IDコード、シリアル番号、製造日、ロット番号、カートリッジの判別情報、色情報、トナー消費量、現像ユニットが新品であるか否かの情報、現像ユニットがリサイクルして使用された回数情報等が含まれる。
【0040】
感光体ユニット300の表面には、非接触型ICメモリ330が取り付けられている。非接触型ICメモリ330は、無線でデータアクセスされることにより感光体ユニットに関する情報の記憶および読出しが可能なメモリである。
【0041】
画像形成装置1000は、さらに、通信制御部500と、アンテナ505とを備える。通信制御部500は、制御部100により制御されることにより、通信手段として機能するアンテナ505を利用して無線で非接触型ICメモリ230,330と通信する。アンテナ505は、通信制御部500に接続されている。
【0042】
図2は、通信制御部500の内部構成を示すブロック図である。なお、図2は、通信制御部500に接続されている制御部100およびアンテナ505、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230K,330も示している。
【0043】
図2を参照して、通信制御部500は、通信制御回路502と、変調部510と、送信回路540と、コンデンサ506と、受信回路550と、復調回路552とを含む。
【0044】
制御部100は、通信制御回路502へ、たとえば、現像ユニット情報を含んだデータ信号DATAと、通信制御回路502を制御するための制御信号CTとを送信する。
【0045】
通信制御回路502は、制御信号CTに応じて、後述する所定の制御を行なう。通信制御回路502は、また、制御部100から受信したデータ信号DATAを変調部510へ出力する。
【0046】
変調部510は、入力された信号を振幅変調して、搬送波に重畳した信号を送信回路540に出力する。
【0047】
送信回路540は、増幅回路542を有する。増幅回路542は、A級増幅回路またはAB級増幅回路である。なお、増幅回路542は、A級増幅回路またはAB級増幅回路に限定されることなく、増幅させる際ひずみが少ない他の方式の増幅回路であってもよい。
【0048】
増幅回路542は、電子ボリューム542Aを備える。電子ボリューム542Aには、通信制御回路502から切換信号が入力される。通信制御回路502は、制御信号CTに応じて、電子ボリューム542Aに対し切換信号を出力する。すなわち、通信制御回路502は、増幅回路542の増幅率を切換える制御を行なう。電子ボリュームは、入力される切換信号に応じて抵抗値を変化させ、増幅回路542における増幅率を切換える。これにより、変調部510から入力される信号は、振幅の大きな信号または振幅の小さな信号のいずれかに増幅される。
【0049】
アンテナ505は、コイルで形成されている。なお、アンテナ505と、コンデンサ506とにより共振回路が構成されている。共振回路は、送信回路540および受信回路550とに接続されている。送信回路540は、アンテナ505を利用して強電磁波または弱電磁波を出力する。
【0050】
増幅回路542において、大きな増幅率で増幅された信号がアンテナ505に供給されると、アンテナ505から強電磁波が出力される。増幅回路542において、小さな増幅率で増幅された信号がアンテナ505に供給されると、アンテナ505から弱電磁波が出力される。電子ボリューム542Aの値は、アンテナ505から出力される電磁波の強度により定められる。電磁波の強度と電子ボリューム542Aの値との関係については後に詳述する。
【0051】
受信回路550は、アンテナ505で受信された信号を、増幅して復調回路552へ出力する。復調回路552では、受信回路550から出力された信号を復調して、通信制御回路502へ出力する。
【0052】
通信制御回路502は、復調回路552から出力された信号を受信データRDATAとして、制御部100へ送信する。
【0053】
図3は、非接触型ICメモリの内部構成を示すブロック図である。非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230K,330の内部構成は全て同じであるので、ここでは、非接触型ICメモリ230Cについて説明する。
【0054】
図3を参照して、非接触型ICメモリ230Cは、アンテナ238と、コンデンサ239と、CPU231と、ROM(Read Only Memory)232と、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)233と、変調回路234と、
復調回路235と、整流・平滑回路236と、バス237とを含む。CPU231、ROM232、EEPROM233、変調回路234および復調回路235は、バス237に接続され、バス237との間でデータを授受する。
【0055】
なお、本発明では、非接触型ICメモリ230Cにおけるデータを記憶するメモリとして、EEPROMを利用しているが、これに限定されることなく、不揮発的にデータを記憶保持可能な構成を有する回路であれば、EEPROMの代わりに別のメモリを利用してもよい。
【0056】
アンテナ238は、コイルで形成されており、アンテナ238とコンデンサ239とにより共振回路が構成されている。アンテナ238は、アンテナ505から送信された電磁波を受信して、整流・平滑回路236および復調回路235に出力する。整流・平滑回路236は、入力された信号を平滑化して一定電圧にして、CPU231、ROM232およびEEPROM233に電圧を供給する。すなわち、非接触型ICメモリ230Cは、受信した信号により動作電力を得る。復調回路235は入力された信号を復調する。
【0057】
ROM232には、CPU231を制御するための制御プログラムが記録されている。CPU231は、制御プログラムにより、復調回路235により復調された信号に応じて、所定の処理を行なう。復調された信号は、コマンドとアドレスとを含む。CPU231は、読出しを指示するコマンドの場合には、EEPROM233の指定されたアドレスのデータを読出し、アンテナ238から出力するように、変調回路234に出力する。また、CPU231は、書込を指示するコマンドの場合には、EEPROM233の指定されたアドレスに、コマンドとともに受信されたデータを書込む。
【0058】
次に、アンテナ505と、非接触型ICメモリ330,230C,230M,230Y,230Kとの位置関係について説明する。感光体ユニット300は、画像形成装置1000に固定されるために、アンテナ505と感光体ユニット300に取付けられた非接触型ICメモリ330との相対位置は固定される。上述したように、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kは、画像形成動作に伴って回転する現像ユニット210C,210M,210Y,210Kに取付けられるので、画像形成動作に伴って非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kとアンテナ505との相対位置が変化する。
【0059】
図4は、アンテナ505と、非接触型ICメモリ330,230C,230M,230Y,230Kとの位置関係を説明するための図である。図4(A)は、現像ユニット210Cでトナー像形成処理が行なわれている状態のアンテナ505と、非接触型ICメモリ330,230C,230M,230Y,230Kとの位置関係を示す図である。図を参照して、現像ユニット210Cでトナー像形成処理が行なわれている状態では、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kのうち、現像ユニット210Cに取付けられた非接触型ICメモリ230Cがアンテナ505に最も近くなる。そして、アンテナ505と感光体ユニット300に取付けられた非接触型ICメモリ330との間の距離Lは、アンテナ505と現像ユニット210Cに取付けられた非接触型ICメモリ330Cとの間の距離l1より大きい。また、距離Lは、アンテナ505と現像ユニット210Kに取付けられた非接触型ICメモリ330Kとの間の距離l2、アンテナ505と現像ユニット210Yに取付けられた非接触型ICメモリ330Yとの間の距離l3、アンテナ505と現像ユニット210Mに取付けられた非接触型ICメモリ330Mとの間の距離l4のいずれよりも短い。
【0060】
図4(A)に示す位置関係にあるとき、アンテナ505からは、弱電磁波を出力する。弱電磁波は、アンテナ505に距離が最も近い非接触型ICメモリ230Cとの間で通信が可能であるが、アンテナ505から距離が遠い他の非接触型ICメモリ230M,230Y,230K,330との間では通信が不可能となる強度である。したがって、通信制御部500は、非接触型ICメモリ230Cとのみ通信を行なうことになる。このようにして定まる強度の弱電磁波がアンテナ505から出力されるように、電子ボリューム542Aの値が決定される。
【0061】
図4(B)は、現像ラック200が回転する途中の状態におけるアンテナ505と、非接触型ICメモリ330,230C,230M,230Y,230Kとの位置関係を示す図である。ここでは、シアン用の現像ユニット210Cでのトナー像形成処理から黒用の現像ユニット210Kでのトナー像形成処理に移行段階の状態を示している。図を参照して、アンテナ505と感光体ユニット300に取付けられた非接触型ICメモリ330との間の距離Lは、アンテナ505と現像ユニット210Kに取付けられた非接触型ICメモリ330Kとの間の距離l5、アンテナ505と現像ユニット210Yに取付けられた非接触型ICメモリ330Yとの間の距離l6、アンテナ505と現像ユニット210Mに取付けられた非接触型ICメモリ330Mとの間の距離l7、アンテナ505と現像ユニット210Cに取付けられた非接触型ICメモリ330Cとの間の距離l8のいずれよりも短い。すなわち、シアン用の現像ユニット210Cでのトナー像形成処理から黒用の現像ユニット210Kでのトナー像形成処理に移行段階の状態では、感光体ユニット300に取付けられた非接触型ICメモリ330が、アンテナ505に距離が最も近くなる。
【0062】
図4(B)に示す位置関係にあるとき、アンテナ505からは強電磁波を出力する。強電磁波は、アンテナ505に距離が最も近い非接触型ICメモリ330との間で通信が可能であるが、アンテナ505から距離が遠い他の非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kとの間では通信が不可能となる強度である。このようにして定まる強度の強電磁波がアンテナ505から出力されるように、電子ボリューム542Aの値が決定される。したがって、通信制御部500は、非接触型ICメモリ330とのみ通信を行なうことになる。
【0063】
図4(C)は、現像ユニット210Kでトナー像形成処理が行なわれている状態のアンテナ505と、非接触型ICメモリ330,230C,230M,230Y,230Kとの位置関係を示す図である。図を参照して、現像ユニット210Kでトナー像形成処理が行なわれている状態では、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kのうち、現像ユニット210Kに取付けられた非接触型ICメモリ230Cがアンテナ505に最も近くなる。そして、アンテナ505と感光体ユニット300に取付けられた非接触型ICメモリ330との間の距離Lは、アンテナ505と現像ユニット210Kに取付けられた非接触型ICメモリ330Cとの間の距離l1より大きい。また、距離Lは、アンテナ505と現像ユニット210Yに取付けられた非接触型ICメモリ330Yとの間の距離l2、アンテナ505と現像ユニット210Mに取付けられた非接触型ICメモリ330Mとの間の距離l3、アンテナ505と現像ユニット210Cに取付けられた非接触型ICメモリ330Cとの間の距離l4のいずれよりも短い。
【0064】
図4(C)に示す位置関係にあるとき、アンテナ505からは、弱電磁波を出力する。弱電磁波は、アンテナ505に距離が最も近い非接触型ICメモリ230Kとの間で通信が可能であるが、アンテナ505から距離が遠い他の非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,330との間では通信が不可能となる強度である。したがって、通信制御部500は、非接触型ICメモリ230Kとのみ通信を行なうことになる。
【0065】
図5は、本実施の形態における画像形成装置1000で実行される通信処理の流れを示すフローチャートである。図5を参照して、まず、現像ラック200の位置が検出される(ステップS01)。そして、現像ラック200の位置が第1範囲内にあるか否かが判断される(ステップS02)。第1範囲とは、通信制御部500が、弱電磁波を出力している場合に、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kのいずれかとのみ通信可能となる現像ラックの位置をいう。例えば、図4(A)または図4(C)に示した位置を含む。この第1範囲は、弱電磁波の強度に依存し、弱電磁波の強度が定まれば、第1範囲が定まる。したがって、弱電磁波の強度に応じた第1範囲を予め定めておけばよい。第1範囲は、現像ラック200の非接触型ICメモリ230Cとのみ通信可能となる範囲と、非接触型ICメモリ230Mとのみ通信可能となる範囲と、非接触型ICメモリ230Yとのみ通信可能となる範囲と、非接触型ICメモリ230Kとのみ通信可能となる範囲との4つを含む。
【0066】
現像ラック200が第1範囲にある場合はステップS03に進み、第1範囲にない場合はステップS04に進む。ステップS03では、電子ボリューム542Aを制御して増幅率を小さくし、アンテナ505から弱電磁波を出力させる。現像ラック200が第1範囲あるので、アンテナ505から弱電磁波を出力させることにより、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kのいずれかとのみ通信可能となる。アンテナ505から弱電磁波が出力されるので、非接触型ICメモリ330とは通信することはない。
【0067】
一方ステップS04では、現像ラック200が第2範囲にあるか否かが判断される。第2範囲とは、通信制御部500が、強電磁波を出力している場合に、非接触型ICメモリ330とのみ通信可能となる現像ラックの位置をいう。例えば、図4(B)に示した位置を含む。現像ラック200が第2範囲にある場合には、通信制御部500は、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kのいずれとも通信することはない。この第2範囲は、強電磁波の強度に依存し、強電磁波の強度が定まれば、第2範囲が定まる。したがって、強電磁波の強度に応じた第2範囲を予め定めておけばよい。第2範囲は、現像器220C、220M,220Y,220Kそれぞれが作像位置にある状態から次の現像器220C、220M,220Y,220Kが作像位置となる状態に現像ラック200が回転する途中にそれぞれ1つ存在する範囲を含む。具体的には、第2範囲は、現像器220Cが作像位置にある状態から次の現像器220Kが作像位置となる状態に現像ラック200が回転する途中、現像器220Kが作像位置にある状態から次の現像器220Yが作像位置となる状態に現像ラック200が回転する途中、現像器220Yが作像位置にある状態から次の現像器220Mが作像位置となる状態に現像ラック200が回転する途中、現像器220Mが作像位置にある状態から次の現像器220Cが作像位置となる状態に現像ラック200が回転する途中にそれぞれ1つの範囲が存在する。
【0068】
なお、現像ラック200が第1範囲にも第2範囲にもない場合には、通信制御部500は、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230K,330のいずれとも通信することはない。通信制御部500が、強電磁波を出力しているとすると、非接触型ICメモリ330は、少なくとも強電磁波を受信して通信可能となる。一方、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kのいずれかも、強電磁波を受信して通信可能となる場合がある。このため、非接触型ICメモリ330と、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kのいずれかとが、同時に通信可能となるため、複数の非接触型ICメモリに同じ処理を実行させることになる。このため、非接触型ICメモリに読出しコマンドを送信した場合には、複数の非接触型ICメモリから電磁波が同時に出力されるので、複数の電磁波が混信して通信制御部500でデータを受信することができない。また、非接触型ICメモリに書込コマンドを送信した場合には、複数の非接触型ICメモリに同じデータが同じアドレスに書込まれてしまう。このため、データを書込むための非接触型ICメモリを特定することができない。
【0069】
ステップS04で、現像ラック200が第2範囲にあると判断された場合にはステップS05に進み、第2範囲にないと判断された場合にはステップS06に進む。したがって、ステップS06に進む場合は、現像ラック200が、第1範囲および第2範囲のいずれにもないときである。ステップS05では、電子ボリューム542Aを制御して増幅率を大きくし、アンテナ505から強電磁波を出力させる。現像ラック200が第2範囲あるので、アンテナ505から強電磁波を出力させることにより、非接触型ICメモリ330とのみ通信可能となる。アンテナ505から強電磁波が出力されても、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kとは通信することはない。
【0070】
ステップS06では、電磁波の出力を停止させる。なお、電位波の出力を停止させることなく、搬送波のみを送信するようにしてもよい。通信データとしてコマンドが送信されなければ、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230K,330に起電力を生じさせてもそれらで処理は何ら実行されないからである。
【0071】
ステップS03またはステップS05の後、処理はステップS07に進む。一方、ステップS06の後処理は、ステップS01に戻る。
【0072】
上述したように、通信制御部500は、現像ラック200が第1範囲にある場合には、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kのいずれかと通信可能であり、現像ラック200が第2範囲にある場合には、非接触型ICメモリ330とのみ通信可能である。このため、ステップS07では、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230K,330のいずれかと通信して、ユニットコードを読出す。ユニットコードは、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230K,330の予め定められたアドレスに記憶さている。ユニットコードは、現像ユニット210C,210M,210Y,210K、または感光体ユニット300ごとに予め付されたコードである。
【0073】
ステップS08では、ユニットコードの読出しに成功したか否かが判断される。読出しに成功した場合にはステップS09に進み、失敗した場合にはステップS01に戻る。ステップS09では、読出したユニットコードがいずれに付されたものかが判断され、感光体ユニット300に付されたユニットコードの場合にはステップS13に進み、現像ユニット210C,210M,210Y,210Kに付されたユニットコードの場合にはステップS10に進む。
【0074】
ステップS10では、現像ユニット210C,210M,210Y,210Kに取付けられた非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kにデータの書込または読出しをするための現像器用処理のサブルーチンが実行される。そして、現像器用処理が成功したかか否かがサブルーチンの返り値に基づいて判断され(ステップS11)、処理が成功した場合には処理をステップS01に戻し、失敗した場合にはステップS12に進む。ステップS12では、現像ラック200の位置が未だ第1範囲にあるか否かが判断され、第1範囲にある場合にはステップS10に戻り、第1範囲にない場合にはステップS01に戻る。すなわち、現像ラック200が第1範囲にある間は、ステップS10の現像器用処理が成功するまで、現像器用処理が繰返される。
【0075】
ステップS13では、感光体ユニット300に取付けられた非接触型ICメモリ330にデータの書込または読出しをするための感光体ユニット用処理のサブルーチンが実行される。そして、感光体ユニット用処理が成功したかか否かがサブルーチンの返り値に基づいて判断され(ステップS14)、処理が成功した場合には処理をステップS01に戻し、失敗した場合にはステップS15に進む。ステップS15では、現像ラック200の位置が未だ第2範囲にあるか否かが判断され、第2範囲にある場合にはステップS13に戻り、第2範囲にない場合にはステップS01に戻る。すなわち、現像ラック200が第2範囲にある間は、ステップS13の感光体ユニット用処理が成功するまで、感光体ユニット用処理が繰返される。
【0076】
図6は、図5のステップS10で実行される現像器用処理の流れを示すフローチャートである。図6を参照して、制御部100が備えるメモリに、書込失敗データが記憶されているか否かが判断される(ステップS21)。この書込失敗データは、後述するステップS27でメモリに記憶される。制御部100はメモリを有し、書込失敗データを格納するために予め定められたアドレスで定まる領域を確保している。この領域に、書込失敗データがステップS26で記憶される。メモリは、例えば、EEPROMやFeRAM(Ferroelectric RAM)である。
【0077】
書込失敗データが記憶されている場合にはステップS22に進み、記憶されていない場合にはステップS22をスキップしてステップS23に進む。ステップS22では、書込失敗データをメモリから読出す。
【0078】
ステップS23では、書込データを生成する。書込データは、トナー消費量、使用回数など等である。また、書込失敗データが読込まれた場合には、書込失敗データを更新した書込データが生成される。
【0079】
ステップS24では、生成された書込データを非接触型ICメモリ230に書込むためのコマンドと書込データとが送信される。そして、書込データを送信した非接触型ICメモリ230からの返信信号から、書込が成功したか否かが判断される(ステップS25)。書込が成功した場合にはステップS28に進み、失敗した場合にはステップS26に進む。
【0080】
ステップS28では、成功を示すコードを返り値として処理を図5のステップS11に戻す。一方、ステップS26では、メモリにステップS23で生成した書込データを書込失敗データとしてメモリに記憶する。そして、失敗を示すコードを返り値として処理を図5のステップS11に戻す(ステップS27)。
【0081】
このように、現像器用処理では、現像ラック200が第1範囲にある間に、非接触型ICメモリ230に書込データが書込まれる。書込に失敗した場合には、メモリに一時的に記憶された書込データが格納され、次回にその非接触型ICメモリ230と通信可能となったときに、読出されて非接触型ICメモリ230に書込まれる。
【0082】
図7は、図5のステップS13で実行される現像器用処理の流れを示すフローチャートである。図7を参照して、制御部100が備えるメモリに、書込失敗データが記憶されているか否かが判断される(ステップS31)。この書込失敗データは、図6のステップS26でメモリに記憶されたデータである。上述したメモリの書込失敗データを格納するために予め定められたアドレスに、書込失敗データが記憶されているか否かが判断される。
【0083】
書込失敗データが記憶されている場合にはステップS32に進み、記憶されていない場合にはステップS22をスキップしてステップS33に進む。
【0084】
ここでメモリに記憶されている書込失敗データは、現像ラック200が第2範囲に位置する直前の第1範囲に位置するときに、非接触型ICメモリ230への書込を失敗したデータである。ステップS32では、書込失敗データをメモリから読出す。
【0085】
ステップS33では、書込データを生成する。書込データは、例えば感光体ユニットの使用期間、使用回数など等である。また、書込失敗データが読込まれた場合には、書込失敗データと、その書込を失敗した現像ユニットのユニットコードとが書込データに含まれる。
【0086】
ステップS34では、生成された書込データを非接触型ICメモリ330に書込むためのコマンドと書込データとが送信される。そして、書込データを送信した非接触型ICメモリ330からの返信信号から、書込が成功したか否かが判断される(ステップS35)。書込が成功した場合にはステップS36に進み、失敗した場合にはステップS40に進む。
【0087】
ステップS36では、次に現像ラック200が第1範囲の位置となる場合に通信の相手となる非接触型ICメモリ230に書込むべき書込失敗データが、非接触型ICメモリ330に記憶されているか否かが判断される。非接触型ICメモリ330の、非接触型ICメモリ230に書込むべき書込失敗データが記憶されているアドレスから書込失敗データを読み出すコマンドを送信することにより実行される。書込失敗データが読み出された場合には、ステップS37に進み、読み出されない場合にはステップS39に進む。
【0088】
ステップS37では、書込失敗データを受信し、非接触型ICメモリ330の書込失敗データが記憶されていた領域から書込失敗データを削除するコマンドを送信する。そして、受信した書込失敗データを制御部100のメモリの予め定められたアドレスに記憶する。
【0089】
ステップS39では、成功を示すコードを返り値として処理を図5のステップS14に戻す。一方、ステップS40では、失敗を示すコードを返り値として処理を図5のステップS14に戻す。
【0090】
本実施の形態における画像形成装置1000では、現像ラック200が第1範囲に位置するときに、弱電磁波を出力して現像器用処理を実行する。また、現像ラック200が第2範囲に位置するときに強電磁波を出力して感光体ユニット用処理が実行される。このため、通信制御部500は、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230K,330のいずれか1つとのみ通信が可能となる。
【0091】
また、現像器用処理において書込に失敗した場合には、書込失敗データが制御部100のメモリに一時的に記憶される。そして、次に現像ラック200が第2範囲に位置するときに、書込失敗データが非接触型ICメモリ330に記憶される。さらに、書込に失敗した非接触型ICメモリ230通信可能となる第1範囲に現像ラックが位置する直前の、第2第1範囲に現像ラックが位置するときに、非接触型ICメモリ330に記憶された書込失敗データが読出され、現像ラック200が第1範囲に位置するときに書込失敗データが更新された書込データ、または、書込失敗データが非接触型ICメモリ230に記憶される。このため、メモリには、最大でも1つの書込失敗データを確保すればよいので、メモリを有効に活用することができる。
【0092】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態における画像形成装置1000は、現像ラック200の位置を検出して、通信制御部500が出力する電磁波の強度を切換えることにより、いずれか1つの非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230K,330との通信を可能とするものであった。第2の実施の形態における画像形成装置は、現像ラック200の位置を検出することなく、いずれか1つの非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230K,330との通信を可能とする。このため、第1の実施の形態における画像形成装置1000と異なるところは、現像ラック200の位置を検出するためのセンサを有しない点である。その他の構成は第1の実施の形態における画像形成装置1000と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0093】
図8は、第2の実施の形態における画像形成装置で実行される通信処理の流れを示すフローチャートである。図8を参照して、まず、フラグの初期化が実行される(ステップS51)。状態フラグに「0」が設定され、出力フラグに「弱」が設定される。状態フラグは、電磁波の強度を切換えてから非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230K,330のいずれかと通信が成功したことを示すフラグであり、電磁波の強度を切換えてから通信が成功した場合に「1」とされ、電磁波の強度が切換えられた時点で「0」とされる。出力フラグは、電磁波の強度を示すフラグであり、強電磁波が出力されている場合に「強」とされ、弱電磁波が出力されている場合に「弱」とされる。
【0094】
そして、通信制御部500に弱電磁波を出力させる(ステップS52)。通信制御部500が弱電磁波を出力している間は、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kのいずれかと通信が可能な状態となる。非接触型ICメモリ330とは通信はできない。そして、通信制御部500に、ユニットコードを読出すコマンドを出力させる(ステップS53)。現像ラック200が回転して、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kのいずれかと通信が可能となる時点で、ユニットコードが受信されるはずである。ユニットコードが受信されたか否かが判断され(ステップS54)、受信された場合にステップS56に進み、受信されない場合にステップS55に進む。ステップS55では、状態フラグが判断され、「1」の場合にはステップS61に進み、「0」の場合にはステップS53に戻る。すなわち、電磁波の強度を切換えてからユニットコードの読取が成功するまで、ステップS53のユニットコードを読取る処理が繰返される。そして、読取が成功すると状態フラグに「1」を設定する(ステップS56)。
【0095】
現像ラック200が画像形成動作に伴ってさらに回転すると、通信可能であった非接触型ICメモリ230が通信不可能な状態となる。この通信可能な状態から通信不可能となる状態への遷移を、ユニットコードの読出しが成功したか否かにより検出する(ステップS54)。失敗した場合にはステップS55に進む。一度、通信に成功した時点で状態フラグは、ステップS56で「1」に設定されているため、ステップS55で真の判断がなされて、ステップS61に進む。ステップS61では、弱電磁波を強電磁波に切換える処理が実行される。そして、ステップS61の処理の後ステップS53に戻る。
【0096】
次に、通信制御部500が強電磁波を出力している場合、通信制御部500に、ユニットコードを読出すコマンドを出力させる(ステップS53)。すると非接触型ICメモリ330が通信可能となる。また、現像ラック200の位置によっては、非接触型ICメモリ230C,230M,230Y,230Kのいずれかが通信可能の場合がある。しかし、同時に2つの非接触型ICメモリ330,230が通信可能な場合には、電磁波が混信してユニットコードを受信することができない。これを、ステップS54で検出する。ユニットコードが受信されない場合には、ステップS55に進むが、状態フラグは後述するように電磁波の強度が切換えられる時点で「0」に設定されるため(図9のステップS72またはステップS74)、ステップS53に戻る。すなわち、非接触型ICメモリ330からユニットコードが受信されることを条件にステップS56に進む。
【0097】
さらに、通信制御部500が強電磁波を出力している場合、非接触型ICメモリ330とのみ通信可能な状態から、現像ラック200が回転すると、非接触型ICメモリ230のいずれかと通信可能な状態となる。しかし、同時に2つの非接触型ICメモリ330,230が通信可能な場合には、電磁波が混信してユニットコードを受信することができない。これがステップS54で検出されて、ユニットコードが受信されない場合にステップS55に進むが、先に非接触型ICメモリ330とのみの通信が成功した時点で状態フラグが「1」に設定されている(ステップS56)。このため、ステップS55で真の判断がなされてステップS61に進み、弱電磁波に切換えられる。このため、通信制御部500は、非接触型ICメモリ330との通信ができなくなり、電磁波が混信することがない。
【0098】
ステップS57では、読出したユニットコードがいずれに付されたものかが判断され、感光体ユニット300に付されたユニットコードの場合にはステップS59に進み、現像ユニット210C,210M,210Y,210Kに付されたユニットコードの場合にはステップS58に進む。
【0099】
ステップS58では、図6に示した現像器用処理が実行される。そして、現像器用処理が成功したか否かが判断され(ステップS60)、成功した場合にはステップS53に戻り、失敗した場合にはステップS61に進む。
【0100】
一方、ステップS59では、図7に示した感光体ユニット用処理が実行される。そして、感光体ユニット用処理が成功したか否かが判断され(ステップS60)、成功した場合にはステップS53に戻り、失敗した場合にはステップS61に進む。ステップS61では、電磁波出力切換え処理が実行される。
【0101】
図9は、図8のステップS63で実行される電磁波強度切換処理の流れを示すフローチャートである。図9を参照して、出力フラグが参照され(ステップS71)、出力フラグに「強」が設定されている場合にはステップS72に進み、「弱」が設定されている場合にはステップS74に進む。ステップS72では、出力フラグに「弱」が設定され、状態フラグが「0」にリセットされる。そして、ステップS73では弱電磁波を出力するように電磁波の強度が切換えられる。
【0102】
一方、ステップS74では、出力フラグに「強」が設定され、状態フラグが「0」にリセットされる。そして、ステップS75では強電磁波を出力するように電磁波の強度が切換えられる。
【0103】
以上説明したように、第2の実施の形態における画像形成装置1000では、電磁波の強度を切換えた後にユニットコードの読取が可能となったことを検出して、通信する対象の非接触型ICメモリを特定する。その後、ユニットコードの読取ができなくなった時点で、電磁波の強度を切換えるようにしている。したがって、電磁波の強度を切換えるだけで、複数の非接触型ICメモリのいずれか1つと通信することが可能となる。
【0104】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおける画像形成装置の概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】通信制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】非接触型ICメモリの内部構成を示すブロック図である。
【図4】アンテナと非接触型ICメモリとの位置関係を説明するための図である。
【図5】本実施の形態における画像形成装置で実行される通信処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図5のステップS10で実行される現像器用処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図5のステップS13で実行される現像器用処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態における画像形成装置で実行される通信処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS63で実行される電磁波強度切換処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0106】
100 制御部、111 モータ、140 レーザー出力部、200 現像ラック、230C,230M,230Y,230K,330 非接触型ICメモリ、234 変調回路、235 復調回路、236 整流・平滑回路、237 バス、238 アンテナ、239 コンデンサ、300 感光体ユニット、310 感光体ドラム、320 帯電器、330 非接触型ICメモリ、500 通信制御部、502 通信制御回路、505 アンテナ、506 コンデンサ、510 変調部、540 送信回路、542 増幅回路、542A 電子ボリューム、550 受信回路、552 復調回路、1000 画像形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の帯域の電磁波を送受信する通信手段と、
前記通信手段との相対位置が固定され、前記通信手段が少なくとも第1の強度で電磁波を送信しているときに前記通信手段と通信可能な第1通信回路と、
前記通信手段との相対位置が可変の第2通信回路と、
前記通信手段が前記第1の強度より弱い第2の強度で電磁波を送信しているときに前記第2通信回路が前記通信手段と通信可能となる第1の相対位置と、前記通信手段が前記第1の強度で電磁波を送信しているときに前記第2通信回路が前記通信手段と通信不可能となる第2の相対位置とに前記第2通信回路を移動させる移動手段と、
前記第2通信回路と前記通信手段との相対位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により前記第2通信回路と前記通信手段とが第1の相対位置にあることが検出されているときは前記通信手段が出力する電磁波を第2の強度に切換え、前記位置検出手段により前記第2の相対位置にあることが検出されているときは前記通信手段が出力する電磁波を前記第1の強度に切換える切換手段とを備えた、無線通信装置。
【請求項2】
所定の帯域の電磁波を送受信する通信手段と、
前記通信手段との相対位置が固定され、前記通信手段が少なくとも第1の強度で電磁波を送信しているときに前記通信手段と通信可能な第1通信回路と、
前記通信手段との相対位置が可変の第2通信回路と、
前記通信手段が前記第1の強度より弱い第2の強度で電磁波を送信しているときに前記第2通信回路が前記通信手段と通信可能となる第1の相対位置と、前記通信手段が前記第1の強度で電磁波を送信しているときに前記第2通信回路が前記通信手段と通信不可能となる第2の相対位置とに前記第2通信回路を交互に移動させる移動手段と、
前記通信手段が前記第1の強度で電磁波を送信して前記第1通信回路と通信して通信可能な状態から通信不可能な状態となったとき、前記通信手段が出力する電磁波を前記第2の強度に切換え、前記通信手段が前記第2の強度で電磁波を送信して前記通信手段が前記第2通信回路と通信して通信可能な状態から通信不可能な状態となったとき、前記通信手段が出力する電磁波を前記第1の強度に切換える切換手段とを備えた、無線通信装置。
【請求項3】
画像を形成するための画像形成手段をさらに備え、
前記第1通信回路は、前記画像形成手段の感光体ユニットに取付けられ、
前記第2通信回路は、前記画像形成手段の現像ユニットに取付けられる、請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第1通信回路および第2通信回路それぞれは、記憶手段を含み、
前記通信手段は、前記第1通信回路に感光体ユニットに関する情報を記憶させ、前記第2通信回路に現像ユニットに関する情報を記憶させる、請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記通信手段は、前記第2通信回路に情報を記憶させることができなかった場合には、前記第1通信回路に、前記通信できなかった前記第2通信回路に記憶させる予定の情報をバックアップとして記憶させる、請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記通信手段は、前記第2通信回路と次に通信可能となる前に、前記第1通信回路に記憶させていたバックアップ情報を読出し、前記第2通信回路と通信可能となったときに、バックアップ情報を記憶させる、請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記第1通信回路および前記第2通信回路は、前記通信手段から受信した電磁波で動作する、請求項1または2に記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−135399(P2006−135399A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319225(P2004−319225)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】