無線ICタグの位置特定システム、並びに位置特定装置
【課題】無線ICタグの向き(指向性)をリーダ/ライタのアンテナの指向性に対して、常に最良の向きに装着されない、又は移動するなど、ばらばらなため、無線ICタグが十分な電波強度でリーダ/ライタからの読み取り電波を受信できないという問題を解消して、無線ICタグの安定した読み取りを可能にし、無線ICタグの位置を正確に特定する。
【解決手段】この位置特定システムは、読取り用の使用周波数を切替えながら、異なる偏波の方向を有する電波である垂直偏波、水平偏波、右回り円偏波、左回り円偏波などを用いて、固有IDを記憶した無線ICタグから固有IDを読み取る、複数のリーダ/ライタと、異なる偏波の方向を有する電波を用いてリーダ/ライタに固有IDの読み取りを行わせた結果、異なる偏波の方向を有する電波ごとに得られた、各固有IDについての受信信号の強度を用いて、無線ICタグの位置を算出する位置特定装置とを有する。
【解決手段】この位置特定システムは、読取り用の使用周波数を切替えながら、異なる偏波の方向を有する電波である垂直偏波、水平偏波、右回り円偏波、左回り円偏波などを用いて、固有IDを記憶した無線ICタグから固有IDを読み取る、複数のリーダ/ライタと、異なる偏波の方向を有する電波を用いてリーダ/ライタに固有IDの読み取りを行わせた結果、異なる偏波の方向を有する電波ごとに得られた、各固有IDについての受信信号の強度を用いて、無線ICタグの位置を算出する位置特定装置とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ICタグの位置を判定する位置判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体技術やIT技術の進歩により、電池無しでも交信距離が確保できるなど、無線ICタグに適した高性能なチップが供給されるようになってきたことと、これに伴う応用分野の拡大による量産化の結果、低価格化が進んだ結果、無線ICタグ(RFID,RFタグ、電子タグともいう)の導入が急速に拡大しつつある。
【0003】
無線ICタグは、商品などの物に識別コードをつけて物を管理する用途(自動認識)で使われ始めたが、そのような自動認識だけでなく、その位置を判定する使用方法も提案される。例えば、無線ICタグから発信される無線信号をリーダ/ライタにより読み取り、そのリーダ/ライタが受け取った情報をサーバに送信して、サーバによりその無線ICタグの位置を特定するシステムが提案されている(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特開2005−303402号公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の位置を特定するシステムにおいて、リーダ/ライタが無線ICタグから受信した無線信号の強度を測定し、その強度に基づいてリーダ/ライタからその無線ICタグでの距離、及び距離に基づいて位置を判定することが考えられる。
【0005】
しかし、リーダ/ライタが無線ICタグから受信する無線信号の強度は、無線ICタグのアンテナの指向性とリーダ/ライタのアンテナの指向性の相関関係(交信角度)や、無線ICタグがいわゆるヌル点(デッドポイント、デッドゾーン、ヌルポイント、不感帯ともいう;以下単にヌル点という)に位置することなどの要因によって、容易に変化してしまい、正確な位置の特定が困難であるという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、無線ICタグの向き(指向性)を、リーダ/ライタのアンテナの指向性に対して、常に最良の向きに装着されていない、又は移動するなど、ばらばらなため、無線ICタグが十分な電波強度でリーダ/ライタからの読み取り電波を受信できないという問題を解消して、無線ICタグの安定した読み取りを可能にし、無線ICタグの位置を正確に特定できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、本発明は以下の特徴を有している。
【0008】
本発明の第1の態様は、位置特定システムとして提案される。
【0009】
この位置特定システムは、異なる偏波の方向を有する電波(例えば、垂直偏波、水平偏波、右回り円偏波、左回り円偏波など)を用いて、識別情報(例えば、固有ID)を記憶した識別情報保持装置(例えば、無線ICタグ)から識別情報を読み取る、複数の読み取り手段(例えば、リーダ/ライタ)と、異なる偏波の方向を有する電波を用いて読み取り手段に識別情報の読み取りを行わせた結果、異なる偏波の方向を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置の位置を算出する位置特定手段(例えば、位置特定装置)とを有することを特徴としている。
【0010】
かかる位置特定システムによれば、異なる偏波の方向を有する電波によって、無線ICタグ、より詳しくはそのアンテナがどのような方向を向いていても、無線ICタグに十分な電波強度で読み取り電波を受信できるようにして、安定して無線ICタグの読み取り及びその位置特定を行うことができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、異なる中心周波数の電波(例えば、割り当て周波数帯を複数に分割した場合のチャネル)を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置(例えば、無線ICタグ)から識別情報(例えば、固有ID)を読み取る、複数の読み取り手段(例えば、リーダ/ライタ)と、異なる中心周波数の電波を用いて読み取り手段に識別情報の読み取りを行わせた結果、異なる中心周波数の電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置の位置を算出する位置特定手段(例えば、位置特定装置)とを有することを特徴としている。
【0012】
かかる位置特定システムによれば、異なる中心周波数を有する電波を用いることによって、ある無線ICタグがある中心周波数の電波を用いた場合ではヌル点に位置していても、別の中心周波数を有する電波を用いる場合には、波長の相違からヌル点に位置しないようになり、その結果無線ICタグに十分な電波強度で読み取り電波を受信できるようにして、安定して無線ICタグの読み取り及びその位置特定を行うことができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、上記第1及び第2の態様の組み合わせであって、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波を用いて、識別情報(例えば、固有ID)を記憶した識別情報保持装置(例えば、無線ICタグ)から識別情報を読み取る、複数の読み取り手段(例えば、リーダ/ライタ)と、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波を用いて読み取り手段に識別情報の読み取りを行わせた結果、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置の位置を算出する位置特定手段(位置特定装置)とを有することを特徴としている。
【0014】
本発明の第4の態様は、位置特定装置として提案される。この位置特定装置は、識別情報(例えば、固有ID)を記憶した識別情報保持装置(例えば、無線ICタグ)から、異なる偏波の方向を有する電波(例えば、垂直偏波、水平偏波、右回り円偏波、左回り円偏波など)を用いて識別情報を読み取る複数の読み取り手段(例えば、リーダ/ライタ)に、読み取り処理を実行させる読み取り指示部と、読み取り手段が識別情報の読み取りを実行した結果得られる情報である、異なる偏波の方向を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を受け取り、各識別情報についてこの受信信号の強度を読み取り手段ごとに記録する読み取り結果記憶部と、読み取り手段ごとに記録された、各識別情報についての受信信号の強度を用いて識別情報保持装置の位置を算出する位置算出部とを有することを特徴としている。
【0015】
かかる位置特定装置によれば、異なる偏波の方向を有する電波によって、無線ICタグ、より詳しくはそのアンテナがどのような方向を向いていても、無線ICタグに十分な電波強度で読み取り電波を受信できるようにして、安定して無線ICタグの読み取り及びその位置特定を行うことができる。
【0016】
本発明の第5の態様は、位置特定装置として提案される。この位置特定装置は、識別情報(例えば、固有ID)を記憶した識別情報保持装置(例えば、無線ICタグ)から、異なる中心周波数の電波(例えば、割り当て周波数帯を複数に分割した場合のチャネル)を用いて識別情報を読み取る複数の読み取り手段(リーダ/ライタ)に、読み取り処理を実行させる読み取り指示部と、読み取り手段が識別情報の読み取りを実行した結果得られる情報である、異なる中心周波数を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を受け取り、各識別情報についてこの受信信号の強度を読み取り手段ごとに記録する読み取り結果記憶部と、読み取り手段ごとに記録された、各識別情報についての受信信号の強度を用いて識別情報保持装置の位置を算出する位置算出部とを有することを特徴としている。
【0017】
かかる位置特定装置によれば、異なる中心周波数を有する電波を用いることによって、ある無線ICタグがある中心周波数の電波を用いた場合ではヌル点に位置していても、別の中心周波数を有する電波を用いる場合には、波長の相違からヌル点に位置しないようになり、その結果無線ICタグに十分な電波強度で読み取り電波を受信できるようにして、安定して無線ICタグの読み取り及びその位置特定を行うことができる。
【0018】
本発明の第6の態様は、第4及び第5の態様の組み合わせである位置特定装置として提案される。すなわち、この位置特定装置は、識別情報(例えば、固有ID)を記憶した識別情報保持装置(例えば、無線ICタグ)から、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波を用いて識別情報を読み取る複数の読み取り手段(例えば、リーダ/ライタ)に、読み取り処理を実行させる読み取り指示部と、読み取り手段が識別情報の読み取りを実行した結果得られる情報である、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を受け取り、各識別情報についてこの受信信号の強度を読み取り手段ごとに記録する読み取り結果記憶部と、読み取り手段ごとに記録された、各識別情報についての受信信号の強度を用いて識別情報保持装置の位置を算出する位置算出部とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来の技術では無線ICタグのアンテナの方向がばらばらであって読み取りが困難な場合であっても、それら無線ICタグに十分な電波強度でリーダ/ライタからの無線信号を受信できるようにし、その結果より高い精度で位置特定を行うことが可能となる。
【0020】
本発明の別の態様によれば、無線ICタグがヌル点に位置する場合であっても、キャリア波の周波数を変化させることによってヌル点の発生位置を変化させ、いずれの位置にある無線ICタグであっても、より高い精度で位置特定を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態を説明する。
[1.第1の実施の形態にかかる位置検出システムの構成例]
図1は、本実施の形態にかかる位置特定システムの構成例を示すブロック図である。
【0022】
この位置特定システム1は、無線ICタグの読み取りを行うリーダ/ライタ10と、リーダ/ライタ10の読み取り動作を制御すると共に、リーダ/ライタ10が読み取った無線ICタグ20からの無線信号の強度に基づいて、その無線ICタグの位置を特定する位置特定装置30とを有している。
【0023】
[1.1.リーダ/ライタ]
図2に、リーダ/ライタ10の構成例を示す機能ブロック図を掲げる。
リーダ/ライタ10は、CPUなどで構成される制御部101と、制御部101に接続された回路であって、変調、復調、増幅など無線送受信を実行する回路である送受信部102と、送受信部102から供給される変調された搬送波を、アンテナ1031、1032、1033、1034に選択的に供給するスイッチ部106と、スイッチ部に接続されたアンテナ1031、1032、1033、1034とを有している。
【0024】
制御部101は、位置特定装置30からの命令を受け取り、これに応じて送受信部102を駆動させ、また送受信部102から出力されたデータ(無線ICタグ20から読み取った固有IDなど)を位置特定装置30に渡す機能を有している。また、制御部101は、アンテナ1031、1032、1033、1034を選択的に駆動させるよう、スイッチ部106に切り替え命令を送る。
【0025】
送受信部102は、アンテナ103を介して無線ICタグ20と無線により交信を行う機能を有する。送受信部102は、変調部104と復調部105とを有している。変調部104は、制御部101から受け取った所定のコマンド、リクエスト、命令などの情報に応じた信号を所定の変調方式で変調してキャリア波を生成する。復調部105は、無線ICタグ20が記憶しているデータに応じた信号に基づいて所定の変調方式で変調されたキャリア波を復調し、当該データに応じた信号を取り出し、制御部101に渡す。
【0026】
アンテナ1031、1032、1033、1034(これらを総称するときは「アンテナ103」という)は、偏波の方向が互いに異なる電波を放射するアンテナであって、例えば、アンテナ1031は縦(垂直)方向の偏波を放射するダイポールアンテナ、アンテナ1032は横(水平)方向の偏波を放射するダイポールアンテナ、アンテナ1033は右回り円偏波を放射する円偏波パッチアンテナ、アンテナ1034は左回り円偏波を放射する円偏波パッチアンテナである。
【0027】
これらアンテナ1031、1032、1033、1034には、スイッチ部106によって変調されたキャリア波が選択的に供給される。スイッチ部106によって選択されたアンテナ103は、送受信部102、より詳しくは変調部104から受け取ったキャリア波を空中に放射し、選択された偏波の方向を有する電波を無線ICタグ20に向けて放射すると共に、無線ICタグ20から放射されたキャリア波を受信し、このキャリア波を送受信部102、より詳しくは復調部105に供給する。復調部105は、無線ICタグ20から送信される、負荷変調などのキャリア波の受信強度を測定する機能を有し、復調の結果得られた信号と共に、その受信強度を制御部101に渡す。
【0028】
なお、アンテナ103は、必ずしもリーダ/ライタ10の筐体内に格納されている必要はなく、リーダ/ライタ10本体とは別体となったアンテナユニットとしてもよい。アンテナユニットは、送信用アンテナ/受信用アンテナとこれを保護するためのケースで構成されている。アンテナユニットは、制御部101及び送受信部102を格納したリーダ/ライタ本体とは、別体の装置又はユニットになっており、リーダ/ライタ本体とケーブルなどで接続される。従って、アンテナユニットは、リーダ/ライタ本体から離れた場所であっても設置できる様になっている。一のリーダ/ライタ本体に、複数のアンテナユニットであって、それぞれ異なる場所に設置されたアンテナユニットを接続し、リーダ/ライタ本体が複数のアンテナユニットを切り替えながら使用するようにしてもよい。
【0029】
また、別の構成例としては、リーダ/ライタ10に接続される複数のアンテナユニットのうちの一つのアンテナユニットをリーダ/ライタ10内に組み込む構成としても本実施の形態は成立する。
【0030】
制御部101は、無線ICタグ20の読み出しをアンテナ1031、1032、1033、1034の切り替えを行いながら行う。また、制御部101は各アンテナ1031、1032、1033、1034ごとに、読み出しを行った場合に無線ICタグ20から返答として送信された電波の受信強度を記録する。
【0031】
[1.2.無線ICタグ]
図3に無線ICタグ20の構成例を示す機能ブロック図を掲げる。
【0032】
無線ICタグ20は、メモリ201と、制御部202と、送受信部203と、アンテナ204とを有している。メモリ201は、商品情報、発送者情報などの識別コード(固有ID)など、読み取り対象となる情報を記憶している記憶装置である(システム構成の柔軟性のために、ユニークな固有IDのみを無線タグに持たせ、商品情報、発送者情報などの識別情報を、上位側に接続されたDBに持たせる場合もある)。制御部202は、リーダ/ライタ10からのコマンド、リクエスト、命令などを解釈し、これに応答する動作を実行する。送受信部203は、リーダ/ライタ10と同様に、変調部(図略)、復調部(図略)を有しており、リーダ/ライタ10と交信を行うために信号の変調/復調を行う。アンテナ204はリーダ/ライタ10からのキャリア波を受信し、これを送受信部203に供給及び給電すると共に、送受信部203からの変調されたキャリア波を受け取り、これをリーダ/ライタ10に受信させる様、空中に放射する。
【0033】
[1.3.位置特定装置]
位置特定装置30は、リーダ/ライタ10の読み取り動作を制御すると共に、無線ICタグ20からの電波の受信強度に基づいて、その無線ICタグ20の位置を特定する機能を有する。
【0034】
位置特定装置30は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置などの外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。前記ROM、若しくはハードディスク装置などに情報処理装置を位置特定装置30として機能させるためのプログラム、又は位置特定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することにより位置特定装置30が実現され、若しくは位置特定方法が実行される。
【0035】
図4に、位置特定装置30の一例を示す機能ブロック図を掲げる。
位置特定装置30は、読み取り指示部301と、読み取り結果記憶部302と、位置算出部303とを有している。
読み取り指示部301は、位置特定を行う場合に、まず各リーダ/ライタ10に、読み取り処理を実行するよう命令を出す機能を有する。各リーダ/ライタ10は、この命令に応じて、偏波の方向の異なる電波を切り替えながら読み取り処理を実行する。すなわち、上述のアンテナ構成例においては、垂直偏波を用いて交信領域内にあるすべての無線ICタグ20の読み取りが実行され、次に、水平偏波を用いて交信領域内にあるすべての無線ICタグ20の読み取りが実行され、次に、右回り円偏波を用いて交信領域内にあるすべての無線ICタグ20の読み取りが実行され、最後に右回り円偏波を用いて交信領域内にあるすべての無線ICタグ20の読み取りが実行される。また、必要に応じて、リーダ/ライタ10の読取り周波数として使用するチャネルを切替ながら、上記偏波の切替を行うことも効果的である。
【0036】
各偏波を用いた読み取り処理において、各リーダ/ライタ10は、そのリーダ/ライタ10の交信領域に存在するすべての無線ICタグ20と交信を行い、交信の結果読み取りに成功した固有IDすべてを位置特定装置30、より詳しくは読み取り結果記憶部302に通知する。
【0037】
読み取り結果記憶部302は、各リーダ/ライタ10が通知した読み取り結果を記憶する機能を有する。図5に、読み取り結果記憶部302が記憶する読み取り結果データの一例を示す。図5に示す読み取り結果データは、ある一つのリーダ/ライタ10からの読み取り結果をテーブルとして記憶している例を示している。このようなテーブル50は、各リーダ/ライタ10について、一つずつ読み取り結果記憶部302に記憶される。
【0038】
テーブル50は、リーダ/ライタ10が読み取った固有IDごとに一つのレコード501を有している。各レコード501は、固有IDを格納する固有IDフィールド502,垂直偏波を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納する垂直偏波フィールド503,水平偏波を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納する水平偏波フィールド504,右回り円偏波を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納する右回り円偏波フィールド505、左回り円偏波を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納する左回り円偏波フィールド506、各偏波を用いた場合の電波強度を総合的に判断して決定した評価電波強度フィールド507,及び評価電波強度に基づいて決定される推定距離フィールド508を有している。なお、各偏波を用いた場合の電波強度を総合的に判断する方法はいろいろ考えられるが、この実施の形態では、最も強い電波強度を評価電波強度とする。
【0039】
さて、固有IDフィールド502には、リーダ/ライタ10から通知された固有IDが格納される。なお、一のレコードには一つの固有IDが格納されるため、一回の読み取り操作で例えば、50個の固有IDが読み取られた場合には、50個のレコード501がテーブル50に作られることとなる。
【0040】
各偏波フィールド503〜506には受信した電波の強度に相当する情報が格納される。
【0041】
推定距離フィールド508は、評価電波強度フィールド507に格納された評価電波強度に基づいて推定される距離、すなわち、そのレコードに対応する固有IDを有する無線ICタグと、このリーダ/ライタ10との推定距離が格納される。なお、推定距離は、後述する位置算出部303によって算出される情報であって、この例ではテーブル50の一部としているが、必ずしもテーブル50の一部である必要はない。
【0042】
先にも述べているが、上記テーブル50は、各リーダ/ライタ10について一つ作成される。従って、一つの無線ICタグ20と各リーダ/ライタ10間のそれぞれの推定距離が最終的に読み取り結果記憶部302に記憶される。
【0043】
図4に戻り、位置特定装置30の構成例の説明を続ける。
位置算出部303は、評価電波強度フィールド507に格納された評価電波強度に基づいて各リーダ/ライタ10と各固有IDを有する無線ICタグ20の間の推定距離を算出し、各推定距離に基づいて、各固有IDを有する無線ICタグ20を算出する。
【0044】
図6は、位置算出部303が評価電波強度から推定距離を算出するために用いるデータの一例を示す。図に示すデータは、評価電波強度(縦軸)の値に応じて、推定距離を一意に定めるためのグラフである。例えば、評価電波強度100(単位は例えば、dB,μVなど)であれば推定距離は0,評価電波強度50であれば推定距離L、評価電波強度25であれば、推定距離2Lというように定めることができる。かかるデータは、無線ICタグ20とリーダ/ライタ10との距離を変えながら電波強度の統計を取るなどして、作成する方法が考えられるが、その他の方法によってこのようなデータを作成しても構わない。
【0045】
図7は、位置算出部303が、評価電波強度から算出された推定距離に基づいて、無線ICタグ20の推定位置を算出した結果を格納するテーブルの例を示す。なお、この例では、2つの異なるリーダ/ライタ10(以下、リーダ/ライタA,リーダ/ライタBと呼んで区別する)を用いて位置特定を行うものとする。このテーブル70は、固有IDごとに一つのレコード701を有している。各レコード701は、固有IDを格納する固有IDフィールド702,リーダ/ライタAとの推定距離を格納する第1推定距離フィールド703,リーダ/ライタBとの推定距離を格納する第2推定距離フィールド704,及び固有IDに対応する無線ICタグ20の推定位置を格納する推定位置フィールド705を有している。
【0046】
推定位置フィールド705に格納される推定位置は、第1推定距離フィールド703及び第2推定距離フィールド704に格納される推定距離に基づいて、位置算出部303が算出する。図8は、第1推定距離フィールド703及び第2推定距離フィールド704に格納される推定距離に基づいて推定位置を算出する方法の概念図である。この例では、ある空間(例えば、倉庫)に2つのリーダ/ライタA,Bが設けられている。リーダ/ライタAの位置を点P、リーダ/ライタAの位置を点Qとする。
【0047】
ある無線ICタグ20とリーダ/ライタAの推定距離がL1であって、その無線ICタグ20とリーダ/ライタBの推定距離がL2であるとする。すると、この無線ICタグは点Pを中心とした半径L1の円801上であって、かつ点Pを中心とした半径L2の円802上を満たす位置に存在すると考えられる。すなわち、円801と円802の交点を求めることにより、無線ICタグ20の推定位置を得ることができる。
【0048】
なお、推定位置は必ずしも座標情報でなくともよく、ある広がりを持ったエリア(例えば、空間を16の区画に分割して得られる個々の区画)を特定する情報を推定位置としてもよい。図8に示す例では、交点が2つ存在するため、一意に座標を定めることができない。このような場合には、これら2つの交点を含むエリアを推定位置とするようにしてもよい。
【0049】
上記のようにして算出した推定位置は、それぞれのレコード701の推定位置フィールド705に格納される。位置特定装置30は、このテーブル70を参照することにより、固有IDごとの推定位置を出力し、ユーザに各無線ICタグ20の推定位置を提供することが可能となる。
【0050】
[2.第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態は、リーダ/ライタ10が放射する読み取り用電波の周波数を切り替えて交信領域内の無線ICタグ20の読み取りを行い、読み取りの際に無線ICタグ20から受信する信号の強度を測定し、測定した信号の受信強度に基づいてその無線ICタグ20の位置を特定する。
【0051】
第2の実施の形態にかかる位置特定システムの構成は、第1の実施の携帯と同様であるので、位置特定システムの構成の説明は省略する。
【0052】
図9は、第2の実施の形態にかかるリーダ/ライタ10’の構成例を示すブロック図である。なお、第1の実施の形態にかかるリーダ/ライタ10と同様の構成要素については、同じ参照番号を付する。
【0053】
リーダ/ライタ10’は、CPUなどで構成される制御部101と、制御部101に接続された回路であって、変調、復調、増幅など無線送受信を実行する回路である送受信部102と、送受信部102に接続されたアンテナ103とを有している。制御部101は、位置特定装置30からの命令を受け取り、これに応じて送受信部102を駆動させ、また送受信部102から出力されたデータ(無線ICタグ20から読み取った固有IDなど)を位置特定装置30に渡す機能を有している。
【0054】
送受信部102は、アンテナ103を介して無線ICタグ20と無線により交信を行う機能を有する。送受信部102は、変調部104’と復調部105とを有している。変調部104’は、制御部101から受け取った所定のコマンド、リクエスト、命令などの情報に応じた信号を所定の変調方式で変調してキャリア波を生成する。変調部104’は、キャリア波の周波数を選択的に切り替えて変調を行うことができる。
【0055】
図10に変調部104’の構成例を示す機能ブロック図を掲げる。図10に示す構成例では、変調部104’は複数のキャリア波発生部10011〜10019を有している。この例では、UHF帯(952.0MHz〜954MHz)のリーダ/ライタ10であって、上記の帯域を200KHzステップで分けた9つのチャネルにそれぞれのキャリア波発生部10011〜10019が対応している。従って、キャリア波発生部10011〜10019が発生するキャリア波の波長はそれぞれ異なっており、各キャリア波発生部10011〜10019の選択時に、交信領域内に生ずるヌル点の位置が波長に応じて変化すると予想できる。
【0056】
なお、上記構成例では、チャネル毎にキャリア波発生部を設けるとしたが、1つの周波数シンセサイザ回路によりキャリア波の周波数を切り替える構成としても構わない。
【0057】
スイッチ部1002は、キャリア波発生部10011〜10019のいずれか一の出力をキャリア波として選択し、変調回路1003に渡す。なお、どのキャリア波発生部10011〜10019からの出力信号を選択するかは、制御回路1005からの指令によって決定される。
【0058】
変調回路1003は、スイッチ部1002によって選択されたキャリア波発生部1001からの出力信号を、制御回路1005から受け取った情報信号(例えば、メッセージ、コマンド、などを表すビット列)により所定の変調方式を用いて変調する。
【0059】
増幅回路1004は、変調回路1003によって変調された出力信号(キャリア波)をアンテナより放射できる出力レベルに増幅して、アンテナに給電する。
【0060】
すなわち、上記構成を有する変調部104’は無線ICタグ20の読み取り信号をその周波数、すなわち波長を変えて出力することが可能である。この波長が異なるキャリア波ごとに無線ICタグ20の読み取りを行う。
【0061】
図9に戻り、リーダ/ライタ10’の説明を続ける。
復調部105は、無線ICタグ20が記憶しているデータに応じた信号に基づいて所定の変調方式(例えば負荷変調など)で変調されたキャリア波を復調し、当該データに応じた信号を取り出し、制御部101に渡す。また、復調部105は、無線ICタグ20から送信される、負荷変調などのキャリア波の受信強度を測定する機能を有し、復調の結果得られた信号と共に、その受信強度を制御部101に渡す。
【0062】
アンテナ103は、送受信部102、より詳しくは変調部104’から受け取ったキャリア波を空中に放射し、電波を無線ICタグ20に向けて放射すると共に、無線ICタグ20から送信された負荷変調などのキャリア波を受信し、このキャリア波を送受信部102、より詳しくは復調部105に供給する。
【0063】
なお、アンテナ103は、必ずしもリーダ/ライタ10’の筐体内に格納されている必要はなく、リーダ/ライタ10’本体とは別体となったアンテナユニットとしてもよい。アンテナユニットは、送信用アンテナ/受信用アンテナとこれを保護するためのケースで構成されている。アンテナユニットは、制御部101及び送受信部102を格納したリーダ/ライタ本体とは、別体の装置又はユニットになっており、リーダ/ライタ本体とケーブルなどで接続される。従って、アンテナユニットは、リーダ/ライタ本体から離れた場所であっても設置できる様になっている。一つのリーダ/ライタ本体に、複数のアンテナユニットであって、それぞれ異なる場所に設置されたアンテナユニットを接続し、リーダ/ライタ本体が複数のアンテナユニットを切り替えながら使用するようにしてもよい。
【0064】
また、別の構成例としては、リーダ/ライタ10’に接続される複数のアンテナユニットのうちの一つのアンテナユニットをリーダ/ライタ10’内に組み込む構成としても本実施の形態は成立する。
【0065】
制御部101は、無線ICタグ20の読み出しをスイッチ部1002にキャリア波発生部1001の切り替えを行わせながら行わせる。また、制御部101はキャリア波(この例ではチャネル)ごとに、読み出しを行った場合に無線ICタグ20から返答として送信された電波の受信強度を記録する。記録された電波の受信強度は位置特定装置30に渡される。
【0066】
第2の実施の形態における位置特定装置30は、第1の実施の形態とほぼ同じであり、異なる点は、読み取り結果記憶部302に記憶されるデータである。
【0067】
図11は、第2の実施の形態における読み取り結果記憶部302に記憶されるデータ(読み取り結果データ)の例を示す図である。図11に示す読み取り結果データは、ある一つのリーダ/ライタ10からの読み取り結果をテーブルとして記憶している例を示している。このようなテーブル110は、各リーダ/ライタ10’について、一つずつ読み取り結果記憶部302に記憶される。
【0068】
テーブル110は、リーダ/ライタ10’が読み取った固有IDごとに一つのレコード1101を有している。各レコード1101は、固有IDを格納する固有IDフィールド1102,キャリア波発生部10011(チャネル1に対応する周波数のキャリア波を発生する)を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納するチャネル1フィールド1103、キャリア波発生部10012(チャネル2に対応する周波数のキャリア波を発生する)を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納するチャネル2フィールド1104、…、キャリア波発生部10019(チャネル9に対応する周波数のキャリア波を発生する)を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納するチャネル9フィールド1105、各チャネルのキャリア波を用いた場合の電波強度を総合的に判断して決定した評価電波強度フィールド1106,及び評価電波強度に基づいて決定される推定距離フィールド1107を有している。なお、テーブル110はチャネル3〜8に対応するチャネルフィールドを有するものであるが、図中では省略している。
【0069】
さて、固有IDフィールド1102には、リーダ/ライタ10’から通知された固有IDが格納される。なお、一のレコードには一つの固有IDが格納されるため、一回の読み取り操作で例えば、50個の固有IDが読み取られた場合には、50個のレコード1101がテーブル50に作られることとなる。
【0070】
各チャネルフィールド1103〜1105には受信した電波の強度に相当する情報が格納される。
【0071】
評価電波強度フィールド1106には、各チャネルのキャリア波を用いた場合の電波強度を総合的に判断して得られた値が格納される。各チャネルのキャリア波を用いた場合に無線ICタグから受信する電波強度を総合的に判断する方法はいろいろ考えられるが、この実施の形態では、最も強い電波強度を評価電波強度とする。
【0072】
推定距離フィールド1107は、評価電波強度フィールド1106に格納された評価電波強度に基づいて推定される距離、すなわち、そのレコードに対応する固有IDを有する無線ICタグ20と、このリーダ/ライタ10’との推定距離が格納される。なお、推定距離は、後述する位置算出部303によって算出される情報であって、この例ではテーブル110の一部としているが、必ずしもテーブル110の一部である必要はない。
【0073】
先にも述べているが、上記テーブル110は、各リーダ/ライタ10’について一つ作成される。従って、一つの無線ICタグ20と各リーダ/ライタ10間のそれぞれの推定距離が最終的に読み取り結果記憶部302に記憶される。
【0074】
位置算出部303は、評価電波強度フィールド1107に格納された評価電波強度に基づいて各リーダ/ライタ10’と各固有IDを有する無線ICタグ20の間の推定距離を算出し、各推定距離に基づいて、各固有IDを有する無線ICタグ20を算出する。
【0075】
この推定位置の算出方法については、第1の実施の形態と同様なので、その詳細は省略する。
【0076】
このように、本実施の形態にかかる位置特定システム1及び位置特定装置30は、無線ICタグの読み取り電波のキャリア周波数を切り替えながら読み取り処理を行うため、読み取り電波のヌル点を変化させることができる。そのため、ある周波数のキャリア波を用いた読み取り時においては、ヌル点に位置するため、リーダ/ライタ10’に応答しなかった無線ICタグ20であっても、別の周波数のキャリア波を用いた読み取り時においては、ヌル点からはずれる可能性があり、いずれかの周波数では無線ICタグ20からの受信強度が正しく得られることが期待できる。そして、それぞれのキャリア波を用いた場合に得られた受信強度を総合的判断することにより、正しい無線ICタグ20からの受信強度を得ることができ、より正確若しくは適切な無線ICタグ20の位置特定が可能となる。
【0077】
[3.変形例、その他]
(1)リーダ/ライタ10、10’が出力する受信強度を示すデータにタイムスタンプ(時刻情報)を付して位置特定装置30に渡し、位置特定装置30は時刻ごとにテーブル110を生成し、時刻ごとの無線ICタグ20の推定位置を出力するようにしてもよい。
【0078】
(2)第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせても本発明は成立する。すなわち、各周波数のキャリア波ごとに、偏波の方向を切り替えながら無線ICタグ20の読み取りを行い、無線ICタグ20からリーダ/ライタ10(10’)へ返される信号の強度(受信信号強度)を測定して、測定結果に基づいて無線ICタグ20の推定位置を出力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】位置特定システムの構成例を示すブロック図
【図2】リーダ/ライタの構成例を示す機能ブロック図
【図3】無線ICタグの構成例を示す機能ブロック図
【図4】位置特定装置の一例を示す機能ブロック図
【図5】読み取り結果記憶部が記憶する読み取り結果データの一例を示す図
【図6】位置算出部が受信信号の強度から推定距離を算出するために用いるデータの一例を示す図
【図7】位置算出部が、受信信号の強度から算出された推定距離に基づいて、無線ICタグの推定位置を算出した結果を格納するテーブルの例を示す図
【図8】第1推定距離フィールド及び第2推定距離フィールドに格納される推定距離に基づいて推定位置を算出する方法の概念図
【図9】第2の実施の形態にかかるリーダ/ライタの構成例を示す機能ブロック図
【図10】変調部の構成例を示す機能ブロック図
【図11】第2の実施の形態において読み取り結果記憶部が記憶する読み取り結果データの一例を示す図
【符号の説明】
【0080】
1 …位置特定システム
10…リーダ/ライタ
20…無線ICタグ
30…位置特定装置
301…読み取り指示部
302…読み取り結果記憶部
303…位置算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ICタグの位置を判定する位置判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体技術やIT技術の進歩により、電池無しでも交信距離が確保できるなど、無線ICタグに適した高性能なチップが供給されるようになってきたことと、これに伴う応用分野の拡大による量産化の結果、低価格化が進んだ結果、無線ICタグ(RFID,RFタグ、電子タグともいう)の導入が急速に拡大しつつある。
【0003】
無線ICタグは、商品などの物に識別コードをつけて物を管理する用途(自動認識)で使われ始めたが、そのような自動認識だけでなく、その位置を判定する使用方法も提案される。例えば、無線ICタグから発信される無線信号をリーダ/ライタにより読み取り、そのリーダ/ライタが受け取った情報をサーバに送信して、サーバによりその無線ICタグの位置を特定するシステムが提案されている(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特開2005−303402号公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の位置を特定するシステムにおいて、リーダ/ライタが無線ICタグから受信した無線信号の強度を測定し、その強度に基づいてリーダ/ライタからその無線ICタグでの距離、及び距離に基づいて位置を判定することが考えられる。
【0005】
しかし、リーダ/ライタが無線ICタグから受信する無線信号の強度は、無線ICタグのアンテナの指向性とリーダ/ライタのアンテナの指向性の相関関係(交信角度)や、無線ICタグがいわゆるヌル点(デッドポイント、デッドゾーン、ヌルポイント、不感帯ともいう;以下単にヌル点という)に位置することなどの要因によって、容易に変化してしまい、正確な位置の特定が困難であるという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、無線ICタグの向き(指向性)を、リーダ/ライタのアンテナの指向性に対して、常に最良の向きに装着されていない、又は移動するなど、ばらばらなため、無線ICタグが十分な電波強度でリーダ/ライタからの読み取り電波を受信できないという問題を解消して、無線ICタグの安定した読み取りを可能にし、無線ICタグの位置を正確に特定できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、本発明は以下の特徴を有している。
【0008】
本発明の第1の態様は、位置特定システムとして提案される。
【0009】
この位置特定システムは、異なる偏波の方向を有する電波(例えば、垂直偏波、水平偏波、右回り円偏波、左回り円偏波など)を用いて、識別情報(例えば、固有ID)を記憶した識別情報保持装置(例えば、無線ICタグ)から識別情報を読み取る、複数の読み取り手段(例えば、リーダ/ライタ)と、異なる偏波の方向を有する電波を用いて読み取り手段に識別情報の読み取りを行わせた結果、異なる偏波の方向を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置の位置を算出する位置特定手段(例えば、位置特定装置)とを有することを特徴としている。
【0010】
かかる位置特定システムによれば、異なる偏波の方向を有する電波によって、無線ICタグ、より詳しくはそのアンテナがどのような方向を向いていても、無線ICタグに十分な電波強度で読み取り電波を受信できるようにして、安定して無線ICタグの読み取り及びその位置特定を行うことができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、異なる中心周波数の電波(例えば、割り当て周波数帯を複数に分割した場合のチャネル)を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置(例えば、無線ICタグ)から識別情報(例えば、固有ID)を読み取る、複数の読み取り手段(例えば、リーダ/ライタ)と、異なる中心周波数の電波を用いて読み取り手段に識別情報の読み取りを行わせた結果、異なる中心周波数の電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置の位置を算出する位置特定手段(例えば、位置特定装置)とを有することを特徴としている。
【0012】
かかる位置特定システムによれば、異なる中心周波数を有する電波を用いることによって、ある無線ICタグがある中心周波数の電波を用いた場合ではヌル点に位置していても、別の中心周波数を有する電波を用いる場合には、波長の相違からヌル点に位置しないようになり、その結果無線ICタグに十分な電波強度で読み取り電波を受信できるようにして、安定して無線ICタグの読み取り及びその位置特定を行うことができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、上記第1及び第2の態様の組み合わせであって、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波を用いて、識別情報(例えば、固有ID)を記憶した識別情報保持装置(例えば、無線ICタグ)から識別情報を読み取る、複数の読み取り手段(例えば、リーダ/ライタ)と、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波を用いて読み取り手段に識別情報の読み取りを行わせた結果、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置の位置を算出する位置特定手段(位置特定装置)とを有することを特徴としている。
【0014】
本発明の第4の態様は、位置特定装置として提案される。この位置特定装置は、識別情報(例えば、固有ID)を記憶した識別情報保持装置(例えば、無線ICタグ)から、異なる偏波の方向を有する電波(例えば、垂直偏波、水平偏波、右回り円偏波、左回り円偏波など)を用いて識別情報を読み取る複数の読み取り手段(例えば、リーダ/ライタ)に、読み取り処理を実行させる読み取り指示部と、読み取り手段が識別情報の読み取りを実行した結果得られる情報である、異なる偏波の方向を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を受け取り、各識別情報についてこの受信信号の強度を読み取り手段ごとに記録する読み取り結果記憶部と、読み取り手段ごとに記録された、各識別情報についての受信信号の強度を用いて識別情報保持装置の位置を算出する位置算出部とを有することを特徴としている。
【0015】
かかる位置特定装置によれば、異なる偏波の方向を有する電波によって、無線ICタグ、より詳しくはそのアンテナがどのような方向を向いていても、無線ICタグに十分な電波強度で読み取り電波を受信できるようにして、安定して無線ICタグの読み取り及びその位置特定を行うことができる。
【0016】
本発明の第5の態様は、位置特定装置として提案される。この位置特定装置は、識別情報(例えば、固有ID)を記憶した識別情報保持装置(例えば、無線ICタグ)から、異なる中心周波数の電波(例えば、割り当て周波数帯を複数に分割した場合のチャネル)を用いて識別情報を読み取る複数の読み取り手段(リーダ/ライタ)に、読み取り処理を実行させる読み取り指示部と、読み取り手段が識別情報の読み取りを実行した結果得られる情報である、異なる中心周波数を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を受け取り、各識別情報についてこの受信信号の強度を読み取り手段ごとに記録する読み取り結果記憶部と、読み取り手段ごとに記録された、各識別情報についての受信信号の強度を用いて識別情報保持装置の位置を算出する位置算出部とを有することを特徴としている。
【0017】
かかる位置特定装置によれば、異なる中心周波数を有する電波を用いることによって、ある無線ICタグがある中心周波数の電波を用いた場合ではヌル点に位置していても、別の中心周波数を有する電波を用いる場合には、波長の相違からヌル点に位置しないようになり、その結果無線ICタグに十分な電波強度で読み取り電波を受信できるようにして、安定して無線ICタグの読み取り及びその位置特定を行うことができる。
【0018】
本発明の第6の態様は、第4及び第5の態様の組み合わせである位置特定装置として提案される。すなわち、この位置特定装置は、識別情報(例えば、固有ID)を記憶した識別情報保持装置(例えば、無線ICタグ)から、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波を用いて識別情報を読み取る複数の読み取り手段(例えば、リーダ/ライタ)に、読み取り処理を実行させる読み取り指示部と、読み取り手段が識別情報の読み取りを実行した結果得られる情報である、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を受け取り、各識別情報についてこの受信信号の強度を読み取り手段ごとに記録する読み取り結果記憶部と、読み取り手段ごとに記録された、各識別情報についての受信信号の強度を用いて識別情報保持装置の位置を算出する位置算出部とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来の技術では無線ICタグのアンテナの方向がばらばらであって読み取りが困難な場合であっても、それら無線ICタグに十分な電波強度でリーダ/ライタからの無線信号を受信できるようにし、その結果より高い精度で位置特定を行うことが可能となる。
【0020】
本発明の別の態様によれば、無線ICタグがヌル点に位置する場合であっても、キャリア波の周波数を変化させることによってヌル点の発生位置を変化させ、いずれの位置にある無線ICタグであっても、より高い精度で位置特定を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態を説明する。
[1.第1の実施の形態にかかる位置検出システムの構成例]
図1は、本実施の形態にかかる位置特定システムの構成例を示すブロック図である。
【0022】
この位置特定システム1は、無線ICタグの読み取りを行うリーダ/ライタ10と、リーダ/ライタ10の読み取り動作を制御すると共に、リーダ/ライタ10が読み取った無線ICタグ20からの無線信号の強度に基づいて、その無線ICタグの位置を特定する位置特定装置30とを有している。
【0023】
[1.1.リーダ/ライタ]
図2に、リーダ/ライタ10の構成例を示す機能ブロック図を掲げる。
リーダ/ライタ10は、CPUなどで構成される制御部101と、制御部101に接続された回路であって、変調、復調、増幅など無線送受信を実行する回路である送受信部102と、送受信部102から供給される変調された搬送波を、アンテナ1031、1032、1033、1034に選択的に供給するスイッチ部106と、スイッチ部に接続されたアンテナ1031、1032、1033、1034とを有している。
【0024】
制御部101は、位置特定装置30からの命令を受け取り、これに応じて送受信部102を駆動させ、また送受信部102から出力されたデータ(無線ICタグ20から読み取った固有IDなど)を位置特定装置30に渡す機能を有している。また、制御部101は、アンテナ1031、1032、1033、1034を選択的に駆動させるよう、スイッチ部106に切り替え命令を送る。
【0025】
送受信部102は、アンテナ103を介して無線ICタグ20と無線により交信を行う機能を有する。送受信部102は、変調部104と復調部105とを有している。変調部104は、制御部101から受け取った所定のコマンド、リクエスト、命令などの情報に応じた信号を所定の変調方式で変調してキャリア波を生成する。復調部105は、無線ICタグ20が記憶しているデータに応じた信号に基づいて所定の変調方式で変調されたキャリア波を復調し、当該データに応じた信号を取り出し、制御部101に渡す。
【0026】
アンテナ1031、1032、1033、1034(これらを総称するときは「アンテナ103」という)は、偏波の方向が互いに異なる電波を放射するアンテナであって、例えば、アンテナ1031は縦(垂直)方向の偏波を放射するダイポールアンテナ、アンテナ1032は横(水平)方向の偏波を放射するダイポールアンテナ、アンテナ1033は右回り円偏波を放射する円偏波パッチアンテナ、アンテナ1034は左回り円偏波を放射する円偏波パッチアンテナである。
【0027】
これらアンテナ1031、1032、1033、1034には、スイッチ部106によって変調されたキャリア波が選択的に供給される。スイッチ部106によって選択されたアンテナ103は、送受信部102、より詳しくは変調部104から受け取ったキャリア波を空中に放射し、選択された偏波の方向を有する電波を無線ICタグ20に向けて放射すると共に、無線ICタグ20から放射されたキャリア波を受信し、このキャリア波を送受信部102、より詳しくは復調部105に供給する。復調部105は、無線ICタグ20から送信される、負荷変調などのキャリア波の受信強度を測定する機能を有し、復調の結果得られた信号と共に、その受信強度を制御部101に渡す。
【0028】
なお、アンテナ103は、必ずしもリーダ/ライタ10の筐体内に格納されている必要はなく、リーダ/ライタ10本体とは別体となったアンテナユニットとしてもよい。アンテナユニットは、送信用アンテナ/受信用アンテナとこれを保護するためのケースで構成されている。アンテナユニットは、制御部101及び送受信部102を格納したリーダ/ライタ本体とは、別体の装置又はユニットになっており、リーダ/ライタ本体とケーブルなどで接続される。従って、アンテナユニットは、リーダ/ライタ本体から離れた場所であっても設置できる様になっている。一のリーダ/ライタ本体に、複数のアンテナユニットであって、それぞれ異なる場所に設置されたアンテナユニットを接続し、リーダ/ライタ本体が複数のアンテナユニットを切り替えながら使用するようにしてもよい。
【0029】
また、別の構成例としては、リーダ/ライタ10に接続される複数のアンテナユニットのうちの一つのアンテナユニットをリーダ/ライタ10内に組み込む構成としても本実施の形態は成立する。
【0030】
制御部101は、無線ICタグ20の読み出しをアンテナ1031、1032、1033、1034の切り替えを行いながら行う。また、制御部101は各アンテナ1031、1032、1033、1034ごとに、読み出しを行った場合に無線ICタグ20から返答として送信された電波の受信強度を記録する。
【0031】
[1.2.無線ICタグ]
図3に無線ICタグ20の構成例を示す機能ブロック図を掲げる。
【0032】
無線ICタグ20は、メモリ201と、制御部202と、送受信部203と、アンテナ204とを有している。メモリ201は、商品情報、発送者情報などの識別コード(固有ID)など、読み取り対象となる情報を記憶している記憶装置である(システム構成の柔軟性のために、ユニークな固有IDのみを無線タグに持たせ、商品情報、発送者情報などの識別情報を、上位側に接続されたDBに持たせる場合もある)。制御部202は、リーダ/ライタ10からのコマンド、リクエスト、命令などを解釈し、これに応答する動作を実行する。送受信部203は、リーダ/ライタ10と同様に、変調部(図略)、復調部(図略)を有しており、リーダ/ライタ10と交信を行うために信号の変調/復調を行う。アンテナ204はリーダ/ライタ10からのキャリア波を受信し、これを送受信部203に供給及び給電すると共に、送受信部203からの変調されたキャリア波を受け取り、これをリーダ/ライタ10に受信させる様、空中に放射する。
【0033】
[1.3.位置特定装置]
位置特定装置30は、リーダ/ライタ10の読み取り動作を制御すると共に、無線ICタグ20からの電波の受信強度に基づいて、その無線ICタグ20の位置を特定する機能を有する。
【0034】
位置特定装置30は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置などの外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。前記ROM、若しくはハードディスク装置などに情報処理装置を位置特定装置30として機能させるためのプログラム、又は位置特定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することにより位置特定装置30が実現され、若しくは位置特定方法が実行される。
【0035】
図4に、位置特定装置30の一例を示す機能ブロック図を掲げる。
位置特定装置30は、読み取り指示部301と、読み取り結果記憶部302と、位置算出部303とを有している。
読み取り指示部301は、位置特定を行う場合に、まず各リーダ/ライタ10に、読み取り処理を実行するよう命令を出す機能を有する。各リーダ/ライタ10は、この命令に応じて、偏波の方向の異なる電波を切り替えながら読み取り処理を実行する。すなわち、上述のアンテナ構成例においては、垂直偏波を用いて交信領域内にあるすべての無線ICタグ20の読み取りが実行され、次に、水平偏波を用いて交信領域内にあるすべての無線ICタグ20の読み取りが実行され、次に、右回り円偏波を用いて交信領域内にあるすべての無線ICタグ20の読み取りが実行され、最後に右回り円偏波を用いて交信領域内にあるすべての無線ICタグ20の読み取りが実行される。また、必要に応じて、リーダ/ライタ10の読取り周波数として使用するチャネルを切替ながら、上記偏波の切替を行うことも効果的である。
【0036】
各偏波を用いた読み取り処理において、各リーダ/ライタ10は、そのリーダ/ライタ10の交信領域に存在するすべての無線ICタグ20と交信を行い、交信の結果読み取りに成功した固有IDすべてを位置特定装置30、より詳しくは読み取り結果記憶部302に通知する。
【0037】
読み取り結果記憶部302は、各リーダ/ライタ10が通知した読み取り結果を記憶する機能を有する。図5に、読み取り結果記憶部302が記憶する読み取り結果データの一例を示す。図5に示す読み取り結果データは、ある一つのリーダ/ライタ10からの読み取り結果をテーブルとして記憶している例を示している。このようなテーブル50は、各リーダ/ライタ10について、一つずつ読み取り結果記憶部302に記憶される。
【0038】
テーブル50は、リーダ/ライタ10が読み取った固有IDごとに一つのレコード501を有している。各レコード501は、固有IDを格納する固有IDフィールド502,垂直偏波を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納する垂直偏波フィールド503,水平偏波を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納する水平偏波フィールド504,右回り円偏波を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納する右回り円偏波フィールド505、左回り円偏波を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納する左回り円偏波フィールド506、各偏波を用いた場合の電波強度を総合的に判断して決定した評価電波強度フィールド507,及び評価電波強度に基づいて決定される推定距離フィールド508を有している。なお、各偏波を用いた場合の電波強度を総合的に判断する方法はいろいろ考えられるが、この実施の形態では、最も強い電波強度を評価電波強度とする。
【0039】
さて、固有IDフィールド502には、リーダ/ライタ10から通知された固有IDが格納される。なお、一のレコードには一つの固有IDが格納されるため、一回の読み取り操作で例えば、50個の固有IDが読み取られた場合には、50個のレコード501がテーブル50に作られることとなる。
【0040】
各偏波フィールド503〜506には受信した電波の強度に相当する情報が格納される。
【0041】
推定距離フィールド508は、評価電波強度フィールド507に格納された評価電波強度に基づいて推定される距離、すなわち、そのレコードに対応する固有IDを有する無線ICタグと、このリーダ/ライタ10との推定距離が格納される。なお、推定距離は、後述する位置算出部303によって算出される情報であって、この例ではテーブル50の一部としているが、必ずしもテーブル50の一部である必要はない。
【0042】
先にも述べているが、上記テーブル50は、各リーダ/ライタ10について一つ作成される。従って、一つの無線ICタグ20と各リーダ/ライタ10間のそれぞれの推定距離が最終的に読み取り結果記憶部302に記憶される。
【0043】
図4に戻り、位置特定装置30の構成例の説明を続ける。
位置算出部303は、評価電波強度フィールド507に格納された評価電波強度に基づいて各リーダ/ライタ10と各固有IDを有する無線ICタグ20の間の推定距離を算出し、各推定距離に基づいて、各固有IDを有する無線ICタグ20を算出する。
【0044】
図6は、位置算出部303が評価電波強度から推定距離を算出するために用いるデータの一例を示す。図に示すデータは、評価電波強度(縦軸)の値に応じて、推定距離を一意に定めるためのグラフである。例えば、評価電波強度100(単位は例えば、dB,μVなど)であれば推定距離は0,評価電波強度50であれば推定距離L、評価電波強度25であれば、推定距離2Lというように定めることができる。かかるデータは、無線ICタグ20とリーダ/ライタ10との距離を変えながら電波強度の統計を取るなどして、作成する方法が考えられるが、その他の方法によってこのようなデータを作成しても構わない。
【0045】
図7は、位置算出部303が、評価電波強度から算出された推定距離に基づいて、無線ICタグ20の推定位置を算出した結果を格納するテーブルの例を示す。なお、この例では、2つの異なるリーダ/ライタ10(以下、リーダ/ライタA,リーダ/ライタBと呼んで区別する)を用いて位置特定を行うものとする。このテーブル70は、固有IDごとに一つのレコード701を有している。各レコード701は、固有IDを格納する固有IDフィールド702,リーダ/ライタAとの推定距離を格納する第1推定距離フィールド703,リーダ/ライタBとの推定距離を格納する第2推定距離フィールド704,及び固有IDに対応する無線ICタグ20の推定位置を格納する推定位置フィールド705を有している。
【0046】
推定位置フィールド705に格納される推定位置は、第1推定距離フィールド703及び第2推定距離フィールド704に格納される推定距離に基づいて、位置算出部303が算出する。図8は、第1推定距離フィールド703及び第2推定距離フィールド704に格納される推定距離に基づいて推定位置を算出する方法の概念図である。この例では、ある空間(例えば、倉庫)に2つのリーダ/ライタA,Bが設けられている。リーダ/ライタAの位置を点P、リーダ/ライタAの位置を点Qとする。
【0047】
ある無線ICタグ20とリーダ/ライタAの推定距離がL1であって、その無線ICタグ20とリーダ/ライタBの推定距離がL2であるとする。すると、この無線ICタグは点Pを中心とした半径L1の円801上であって、かつ点Pを中心とした半径L2の円802上を満たす位置に存在すると考えられる。すなわち、円801と円802の交点を求めることにより、無線ICタグ20の推定位置を得ることができる。
【0048】
なお、推定位置は必ずしも座標情報でなくともよく、ある広がりを持ったエリア(例えば、空間を16の区画に分割して得られる個々の区画)を特定する情報を推定位置としてもよい。図8に示す例では、交点が2つ存在するため、一意に座標を定めることができない。このような場合には、これら2つの交点を含むエリアを推定位置とするようにしてもよい。
【0049】
上記のようにして算出した推定位置は、それぞれのレコード701の推定位置フィールド705に格納される。位置特定装置30は、このテーブル70を参照することにより、固有IDごとの推定位置を出力し、ユーザに各無線ICタグ20の推定位置を提供することが可能となる。
【0050】
[2.第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態は、リーダ/ライタ10が放射する読み取り用電波の周波数を切り替えて交信領域内の無線ICタグ20の読み取りを行い、読み取りの際に無線ICタグ20から受信する信号の強度を測定し、測定した信号の受信強度に基づいてその無線ICタグ20の位置を特定する。
【0051】
第2の実施の形態にかかる位置特定システムの構成は、第1の実施の携帯と同様であるので、位置特定システムの構成の説明は省略する。
【0052】
図9は、第2の実施の形態にかかるリーダ/ライタ10’の構成例を示すブロック図である。なお、第1の実施の形態にかかるリーダ/ライタ10と同様の構成要素については、同じ参照番号を付する。
【0053】
リーダ/ライタ10’は、CPUなどで構成される制御部101と、制御部101に接続された回路であって、変調、復調、増幅など無線送受信を実行する回路である送受信部102と、送受信部102に接続されたアンテナ103とを有している。制御部101は、位置特定装置30からの命令を受け取り、これに応じて送受信部102を駆動させ、また送受信部102から出力されたデータ(無線ICタグ20から読み取った固有IDなど)を位置特定装置30に渡す機能を有している。
【0054】
送受信部102は、アンテナ103を介して無線ICタグ20と無線により交信を行う機能を有する。送受信部102は、変調部104’と復調部105とを有している。変調部104’は、制御部101から受け取った所定のコマンド、リクエスト、命令などの情報に応じた信号を所定の変調方式で変調してキャリア波を生成する。変調部104’は、キャリア波の周波数を選択的に切り替えて変調を行うことができる。
【0055】
図10に変調部104’の構成例を示す機能ブロック図を掲げる。図10に示す構成例では、変調部104’は複数のキャリア波発生部10011〜10019を有している。この例では、UHF帯(952.0MHz〜954MHz)のリーダ/ライタ10であって、上記の帯域を200KHzステップで分けた9つのチャネルにそれぞれのキャリア波発生部10011〜10019が対応している。従って、キャリア波発生部10011〜10019が発生するキャリア波の波長はそれぞれ異なっており、各キャリア波発生部10011〜10019の選択時に、交信領域内に生ずるヌル点の位置が波長に応じて変化すると予想できる。
【0056】
なお、上記構成例では、チャネル毎にキャリア波発生部を設けるとしたが、1つの周波数シンセサイザ回路によりキャリア波の周波数を切り替える構成としても構わない。
【0057】
スイッチ部1002は、キャリア波発生部10011〜10019のいずれか一の出力をキャリア波として選択し、変調回路1003に渡す。なお、どのキャリア波発生部10011〜10019からの出力信号を選択するかは、制御回路1005からの指令によって決定される。
【0058】
変調回路1003は、スイッチ部1002によって選択されたキャリア波発生部1001からの出力信号を、制御回路1005から受け取った情報信号(例えば、メッセージ、コマンド、などを表すビット列)により所定の変調方式を用いて変調する。
【0059】
増幅回路1004は、変調回路1003によって変調された出力信号(キャリア波)をアンテナより放射できる出力レベルに増幅して、アンテナに給電する。
【0060】
すなわち、上記構成を有する変調部104’は無線ICタグ20の読み取り信号をその周波数、すなわち波長を変えて出力することが可能である。この波長が異なるキャリア波ごとに無線ICタグ20の読み取りを行う。
【0061】
図9に戻り、リーダ/ライタ10’の説明を続ける。
復調部105は、無線ICタグ20が記憶しているデータに応じた信号に基づいて所定の変調方式(例えば負荷変調など)で変調されたキャリア波を復調し、当該データに応じた信号を取り出し、制御部101に渡す。また、復調部105は、無線ICタグ20から送信される、負荷変調などのキャリア波の受信強度を測定する機能を有し、復調の結果得られた信号と共に、その受信強度を制御部101に渡す。
【0062】
アンテナ103は、送受信部102、より詳しくは変調部104’から受け取ったキャリア波を空中に放射し、電波を無線ICタグ20に向けて放射すると共に、無線ICタグ20から送信された負荷変調などのキャリア波を受信し、このキャリア波を送受信部102、より詳しくは復調部105に供給する。
【0063】
なお、アンテナ103は、必ずしもリーダ/ライタ10’の筐体内に格納されている必要はなく、リーダ/ライタ10’本体とは別体となったアンテナユニットとしてもよい。アンテナユニットは、送信用アンテナ/受信用アンテナとこれを保護するためのケースで構成されている。アンテナユニットは、制御部101及び送受信部102を格納したリーダ/ライタ本体とは、別体の装置又はユニットになっており、リーダ/ライタ本体とケーブルなどで接続される。従って、アンテナユニットは、リーダ/ライタ本体から離れた場所であっても設置できる様になっている。一つのリーダ/ライタ本体に、複数のアンテナユニットであって、それぞれ異なる場所に設置されたアンテナユニットを接続し、リーダ/ライタ本体が複数のアンテナユニットを切り替えながら使用するようにしてもよい。
【0064】
また、別の構成例としては、リーダ/ライタ10’に接続される複数のアンテナユニットのうちの一つのアンテナユニットをリーダ/ライタ10’内に組み込む構成としても本実施の形態は成立する。
【0065】
制御部101は、無線ICタグ20の読み出しをスイッチ部1002にキャリア波発生部1001の切り替えを行わせながら行わせる。また、制御部101はキャリア波(この例ではチャネル)ごとに、読み出しを行った場合に無線ICタグ20から返答として送信された電波の受信強度を記録する。記録された電波の受信強度は位置特定装置30に渡される。
【0066】
第2の実施の形態における位置特定装置30は、第1の実施の形態とほぼ同じであり、異なる点は、読み取り結果記憶部302に記憶されるデータである。
【0067】
図11は、第2の実施の形態における読み取り結果記憶部302に記憶されるデータ(読み取り結果データ)の例を示す図である。図11に示す読み取り結果データは、ある一つのリーダ/ライタ10からの読み取り結果をテーブルとして記憶している例を示している。このようなテーブル110は、各リーダ/ライタ10’について、一つずつ読み取り結果記憶部302に記憶される。
【0068】
テーブル110は、リーダ/ライタ10’が読み取った固有IDごとに一つのレコード1101を有している。各レコード1101は、固有IDを格納する固有IDフィールド1102,キャリア波発生部10011(チャネル1に対応する周波数のキャリア波を発生する)を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納するチャネル1フィールド1103、キャリア波発生部10012(チャネル2に対応する周波数のキャリア波を発生する)を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納するチャネル2フィールド1104、…、キャリア波発生部10019(チャネル9に対応する周波数のキャリア波を発生する)を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ20から受信した電波強度を格納するチャネル9フィールド1105、各チャネルのキャリア波を用いた場合の電波強度を総合的に判断して決定した評価電波強度フィールド1106,及び評価電波強度に基づいて決定される推定距離フィールド1107を有している。なお、テーブル110はチャネル3〜8に対応するチャネルフィールドを有するものであるが、図中では省略している。
【0069】
さて、固有IDフィールド1102には、リーダ/ライタ10’から通知された固有IDが格納される。なお、一のレコードには一つの固有IDが格納されるため、一回の読み取り操作で例えば、50個の固有IDが読み取られた場合には、50個のレコード1101がテーブル50に作られることとなる。
【0070】
各チャネルフィールド1103〜1105には受信した電波の強度に相当する情報が格納される。
【0071】
評価電波強度フィールド1106には、各チャネルのキャリア波を用いた場合の電波強度を総合的に判断して得られた値が格納される。各チャネルのキャリア波を用いた場合に無線ICタグから受信する電波強度を総合的に判断する方法はいろいろ考えられるが、この実施の形態では、最も強い電波強度を評価電波強度とする。
【0072】
推定距離フィールド1107は、評価電波強度フィールド1106に格納された評価電波強度に基づいて推定される距離、すなわち、そのレコードに対応する固有IDを有する無線ICタグ20と、このリーダ/ライタ10’との推定距離が格納される。なお、推定距離は、後述する位置算出部303によって算出される情報であって、この例ではテーブル110の一部としているが、必ずしもテーブル110の一部である必要はない。
【0073】
先にも述べているが、上記テーブル110は、各リーダ/ライタ10’について一つ作成される。従って、一つの無線ICタグ20と各リーダ/ライタ10間のそれぞれの推定距離が最終的に読み取り結果記憶部302に記憶される。
【0074】
位置算出部303は、評価電波強度フィールド1107に格納された評価電波強度に基づいて各リーダ/ライタ10’と各固有IDを有する無線ICタグ20の間の推定距離を算出し、各推定距離に基づいて、各固有IDを有する無線ICタグ20を算出する。
【0075】
この推定位置の算出方法については、第1の実施の形態と同様なので、その詳細は省略する。
【0076】
このように、本実施の形態にかかる位置特定システム1及び位置特定装置30は、無線ICタグの読み取り電波のキャリア周波数を切り替えながら読み取り処理を行うため、読み取り電波のヌル点を変化させることができる。そのため、ある周波数のキャリア波を用いた読み取り時においては、ヌル点に位置するため、リーダ/ライタ10’に応答しなかった無線ICタグ20であっても、別の周波数のキャリア波を用いた読み取り時においては、ヌル点からはずれる可能性があり、いずれかの周波数では無線ICタグ20からの受信強度が正しく得られることが期待できる。そして、それぞれのキャリア波を用いた場合に得られた受信強度を総合的判断することにより、正しい無線ICタグ20からの受信強度を得ることができ、より正確若しくは適切な無線ICタグ20の位置特定が可能となる。
【0077】
[3.変形例、その他]
(1)リーダ/ライタ10、10’が出力する受信強度を示すデータにタイムスタンプ(時刻情報)を付して位置特定装置30に渡し、位置特定装置30は時刻ごとにテーブル110を生成し、時刻ごとの無線ICタグ20の推定位置を出力するようにしてもよい。
【0078】
(2)第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせても本発明は成立する。すなわち、各周波数のキャリア波ごとに、偏波の方向を切り替えながら無線ICタグ20の読み取りを行い、無線ICタグ20からリーダ/ライタ10(10’)へ返される信号の強度(受信信号強度)を測定して、測定結果に基づいて無線ICタグ20の推定位置を出力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】位置特定システムの構成例を示すブロック図
【図2】リーダ/ライタの構成例を示す機能ブロック図
【図3】無線ICタグの構成例を示す機能ブロック図
【図4】位置特定装置の一例を示す機能ブロック図
【図5】読み取り結果記憶部が記憶する読み取り結果データの一例を示す図
【図6】位置算出部が受信信号の強度から推定距離を算出するために用いるデータの一例を示す図
【図7】位置算出部が、受信信号の強度から算出された推定距離に基づいて、無線ICタグの推定位置を算出した結果を格納するテーブルの例を示す図
【図8】第1推定距離フィールド及び第2推定距離フィールドに格納される推定距離に基づいて推定位置を算出する方法の概念図
【図9】第2の実施の形態にかかるリーダ/ライタの構成例を示す機能ブロック図
【図10】変調部の構成例を示す機能ブロック図
【図11】第2の実施の形態において読み取り結果記憶部が記憶する読み取り結果データの一例を示す図
【符号の説明】
【0080】
1 …位置特定システム
10…リーダ/ライタ
20…無線ICタグ
30…位置特定装置
301…読み取り指示部
302…読み取り結果記憶部
303…位置算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる偏波の方向を有する電波を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置から識別情報を読み取る、複数の読み取り手段と、
異なる偏波の方向を有する電波を用いて前記読み取り手段に識別情報の読み取りを行わせた結果、異なる偏波の方向を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置の位置を算出する位置特定手段と
を有することを特徴とする位置特定システム。
【請求項2】
異なる中心周波数の電波を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置から識別情報を読み取る、複数の読み取り手段と、
異なる中心周波数の電波を用いて前記読み取り手段に識別情報の読み取りを行わせた結果、異なる中心周波数の電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置の位置を算出する位置特定手段と
を有することを特徴とする位置特定システム。
【請求項3】
異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置から識別情報を読み取る、複数の読み取り手段と、
異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波を用いて前記読み取り手段に識別情報の読み取りを行わせた結果、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置の位置を算出する位置特定手段と
を有することを特徴とする位置特定システム。
【請求項4】
識別情報を記憶した識別情報保持装置から、異なる偏波の方向を有する電波を用いて識別情報を読み取る複数の読み取り手段に、読み取り処理を実行させる読み取り指示部と、
前記読み取り手段が識別情報の読み取りを実行した結果得られる情報である、異なる偏波の方向を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を受け取り、各識別情報についてこの受信信号の強度を読み取り手段ごとに記録する読み取り結果記憶部と、
前記読み取り手段ごとに記録された、各識別情報についての受信信号の強度を用いて識別情報保持装置の位置を算出する位置算出部と
を有することを特徴とする、位置特定装置。
【請求項5】
識別情報を記憶した識別情報保持装置から、異なる中心周波数の電波を用いて識別情報を読み取る複数の読み取り手段に、読み取り処理を実行させる読み取り指示部と、
前記読み取り手段が識別情報の読み取りを実行した結果得られる情報である、異なる中心周波数を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を受け取り、各識別情報についてこの受信信号の強度を読み取り手段ごとに記録する読み取り結果記憶部と、
前記読み取り手段ごとに記録された、各識別情報についての受信信号の強度を用いて識別情報保持装置の位置を算出する位置算出部と
を有することを特徴とする、位置特定装置。
【請求項6】
識別情報を記憶した識別情報保持装置から、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波を用いて識別情報を読み取る複数の読み取り手段に、読み取り処理を実行させる読み取り指示部と、
前記読み取り手段が識別情報の読み取りを実行した結果得られる情報である、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を受け取り、各識別情報についてこの受信信号の強度を読み取り手段ごとに記録する読み取り結果記憶部と、
前記読み取り手段ごとに記録された、各識別情報についての受信信号の強度を用いて識別情報保持装置の位置を算出する位置算出部と
を有することを特徴とする、位置特定装置。
【請求項1】
異なる偏波の方向を有する電波を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置から識別情報を読み取る、複数の読み取り手段と、
異なる偏波の方向を有する電波を用いて前記読み取り手段に識別情報の読み取りを行わせた結果、異なる偏波の方向を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置の位置を算出する位置特定手段と
を有することを特徴とする位置特定システム。
【請求項2】
異なる中心周波数の電波を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置から識別情報を読み取る、複数の読み取り手段と、
異なる中心周波数の電波を用いて前記読み取り手段に識別情報の読み取りを行わせた結果、異なる中心周波数の電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置の位置を算出する位置特定手段と
を有することを特徴とする位置特定システム。
【請求項3】
異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置から識別情報を読み取る、複数の読み取り手段と、
異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波を用いて前記読み取り手段に識別情報の読み取りを行わせた結果、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を用いて、識別情報を記憶した識別情報保持装置の位置を算出する位置特定手段と
を有することを特徴とする位置特定システム。
【請求項4】
識別情報を記憶した識別情報保持装置から、異なる偏波の方向を有する電波を用いて識別情報を読み取る複数の読み取り手段に、読み取り処理を実行させる読み取り指示部と、
前記読み取り手段が識別情報の読み取りを実行した結果得られる情報である、異なる偏波の方向を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を受け取り、各識別情報についてこの受信信号の強度を読み取り手段ごとに記録する読み取り結果記憶部と、
前記読み取り手段ごとに記録された、各識別情報についての受信信号の強度を用いて識別情報保持装置の位置を算出する位置算出部と
を有することを特徴とする、位置特定装置。
【請求項5】
識別情報を記憶した識別情報保持装置から、異なる中心周波数の電波を用いて識別情報を読み取る複数の読み取り手段に、読み取り処理を実行させる読み取り指示部と、
前記読み取り手段が識別情報の読み取りを実行した結果得られる情報である、異なる中心周波数を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を受け取り、各識別情報についてこの受信信号の強度を読み取り手段ごとに記録する読み取り結果記憶部と、
前記読み取り手段ごとに記録された、各識別情報についての受信信号の強度を用いて識別情報保持装置の位置を算出する位置算出部と
を有することを特徴とする、位置特定装置。
【請求項6】
識別情報を記憶した識別情報保持装置から、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波を用いて識別情報を読み取る複数の読み取り手段に、読み取り処理を実行させる読み取り指示部と、
前記読み取り手段が識別情報の読み取りを実行した結果得られる情報である、異なる偏波の方向と中心周波数を有する電波ごとに得られた、各識別情報についての受信信号の強度を受け取り、各識別情報についてこの受信信号の強度を読み取り手段ごとに記録する読み取り結果記憶部と、
前記読み取り手段ごとに記録された、各識別情報についての受信信号の強度を用いて識別情報保持装置の位置を算出する位置算出部と
を有することを特徴とする、位置特定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−303972(P2007−303972A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132809(P2006−132809)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【出願人】(391065769)株式会社セタ (89)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【出願人】(391065769)株式会社セタ (89)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]