説明

無線LANシステム及びそれに用いられる無線LAN端末、管理サーバ

【課題】 安定した通信を行えるようにするとともに通信効率を向上させ、無線LAN端末を使用するユーザが快適に基幹ネットワークにアクセスできる無線LANシステムを提供する。
【解決手段】 無線LAN電話装置1は、電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリスト及びその無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とそのときの無線LAN電話装置1の位置情報とから成る無線LANアクセスポイント情報を、複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況を管理する管理サーバ2に送信するとともに、管理サーバ2から通知された最適無線LANアクセスポイントに接続するように制御する。また、管理サーバ2は、無線LAN電話装置1から送信されてくる無線LANアクセスポイント情報と複数の無線LANアクセスポイントの輻輳状況とから通信に最適な無線LANアクセスポイントを選択し、無線LAN電話装置1に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANシステム及びそれに用いられる無線LAN端末、管理サーバに関するものであり、特に、無線LAN端末を、複数の無線LANアクセスポイントのうちから通信に最適な無線LANアクセスポイントに接続できるようにした無線LANシステム及びそれに用いられる無線LAN端末、管理サーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、2.4GHz帯を使用するIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers;電気電子学会)802.11bに準拠した無線LANが安価に提供されるようになり、広く普及してきている。また、5GHz帯を使用するIEEE802.11aやIEEE802.11gに準拠した更に高速な無線LANも実現されようとしている。
【0003】
このような無線LANを利用して無線LAN端末から基幹ネットワークへのアクセスを無線でできるようにした無線LANシステムにおいて、ユーザが無線LAN端末で基幹ネットワークにアクセスするためには、先ず、無線LAN端末を無線LANアクセスポイントに接続する必要がある。
【0004】
1つの無線LANアクセスポイントの無線通信可能範囲、いわゆるサービスエリアはさほど広いものではないので、無線LANアクセスポイントの設置数が多いほどユーザの利便性は高まることになる。そこで、最近では、このような無線LANアクセスポイントは、オフィスや家庭内に限らず、公衆エリアの店舗などにも設置されるようになっており、その設置数は増加の一途をたどっている。
【0005】
そして、このように、無線LANアクセスポイントが多数設置されている状況においては、ある特定の場所の無線LAN端末が接続できる無線LANアクセスポイントが複数存在するという場合が多く発生する。
【0006】
このような場合、即ち、接続可能な無線LANアクセスポイントが複数存在する場合、無線LAN端末は、各無線LANアクセスポイントから発信されている各電波の電波強度を測定し、その電波強度をバーの本数を変えるなどの方法によって表示する。そして、ユーザは、その無線LAN端末の表示を参考にして、電波強度の最も大きい無線LANアクセスポイントに接続するというのが、従来から行われている無線LAN端末の無線LANアクセスポイントへの接続手順である。
【0007】
また、複数の固定無線通信装置のうちのいずれかと移動しながら通信可能な無線通信装置において、各固定無線通信装置が送出するMACフレームのBCHの送出タイミングに同期して自分自身の受信する周波数チャネルを変更する無線通信装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003―289561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、接続可能な無線LANアクセスポイントが複数存在する場合において、各無線LANアクセスポイントから発信されている電波の電波強度に基づいて、接続する無線アクセスポイントを選択する従来の接続手順では、ある1つの無線LANアクセスポイントの周辺に多くの無線LAN端末が集中して存在する場合には、それらの無線LAN端末が全て、その1つの無線LANアクセスポイントに接続されることになる。その場合、その1つの無線LANアクセスポイントの処理能力は限られているので、その1つの無線LANアクセスポイントは、接続された各無線LAN端末との通信を時分割で行うことになる。即ち、単位時間当たりの無線LAN端末毎の通信量は低減してしまうことになり、各無線LAN端末を使用しているユーザは快適に基幹ネットワークにアクセスできなくなる。
【0009】
通常、基幹ネットワークで処理できる通信量は無線LANアクセスポイントで処理できる通信量に比して十分に大きいので、上述のような場合には、複数の無線LAN端末が、接続可能な複数の無線LANアクセスポイントに数量的にバランス良く接続されれば、無線LAN端末毎の通信量は増加し、無線LANシステムの通信効率は良くなる。
【0010】
また、上述した従来の無線LANシステムにおいて、無線LAN端末が表示する各無線LANアクセスポイントから発信されている各電波の電波強度は、バーの本数を変えるなどの単純な方法で表示されているので、例えば、電波の2次変調方式がOFDM(直交周波数分割多重方式)である場合は、複数のキャリア(搬送波)のキャリア毎の電波強度は判別できない。従って、ある無線LANアクセスポイントからの電波強度は大きいと表示されている場合であっても、複数のキャリアのうちの1つのキャリアの電波強度はさほど大きくない場合もあり、そのような場合、その無線LANアクセスポイントとの通信は不安定になることがある。そのとき、実は、接続可能な他の無線LANアクセスポイントであれば、安定した通信ができるのであるが、ユーザは単純な電波強度の表示で判断するしかないので、安定した通信のできる無線LANアクセスポイントを選択することができないという問題があった。
【0011】
即ち、複数の接続可能な無線LANアクセスポイントが存在する場合において、その複数の無線LANアクセスポイントのうちから、輻輳状況や詳細な電波強度のような条件も含めて通信に最適な無線LANアクセスポイントを選択して接続するようにできれば、安定した通信を行うことができ、また、無線LANシステム全体の通信効率を向上させることができ、無線LAN端末を使用するユーザが快適に基幹ネットワークにアクセスできるようになる。
【0012】
また、特許文献1に記載の従来技術は、移動する無線通信装置のハンドオーバ処理にかかる時間を短縮することはできるが、複数の固定無線通信装置のうちから、通信に最適な固定無線通信装置を選択して通信することにより通信効率を向上させるというものではない。
【0013】
本発明は、上記の点に鑑み、安定した通信を行うことができるようにするとともに通信効率を向上させ、無線LAN端末を使用するユーザが快適に基幹ネットワークにアクセスできる無線LANシステム及びそれに用いられる無線LAN端末、管理サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、基幹ネットワークと、前記基幹ネットワークに接続されている複数の無線LANアクセスポイントと、前記複数の無線LANアクセスポイントのいずれかに無線LANで接続して前記基幹ネットワークにアクセスする無線LAN端末とを有する無線LANシステムにおいて、前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況を管理する管理サーバを前記基幹ネットワーク上に設けるとともに、前記無線LAN端末は、前記無線LANアクセスポイントからの電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリスト及びその無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とそのときの該無線LAN端末の位置情報とから成る無線LANアクセスポイント情報を前記管理サーバに送信するとともに、前記管理サーバから通知された最適無線LANアクセスポイント情報に示される最適無線LANアクセスポイントに接続するように制御する制御手段を備え、前記管理サーバは、前記無線LAN端末から送信されてくる前記無線LANアクセスポイント情報と前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況とから前記無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択し、選択した最適な無線LANアクセスポイントを示す最適無線LANアクセスポイント情報を前記無線LAN端末に通知する選択通知手段を備えるようにしたものである。
【0015】
この構成によれば、前記制御手段は、該無線LAN端末が前記無線LANアクセスポイントからの電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリスト及びその無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とそのときの該無線LAN端末の位置情報とから成る無線LANアクセスポイント情報を前記管理サーバに送信する。前記選択通知手段は、前記制御手段により送信された無線LANアクセスポイント情報と前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況とから前記無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択し、選択した最適な無線LANアクセスポイントを示す最適無線LANアクセスポイント情報を前記無線LAN端末に通知する。そして、前記制御手段が前記選択通知手段により通知された最適無線LANアクセスポイントに接続するように制御することにより、前記無線LAN端末は最適無線LANアクセスポイントに接続される。
【0016】
また、請求項2の発明は、基幹ネットワークと、前記基幹ネットワークに接続されている複数の無線LANアクセスポイントと、前記複数の無線LANアクセスポイントのいずれかに無線LANで接続して前記基幹ネットワークにアクセスする無線LAN端末とを有する無線LANシステムにおいて、前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況を管理する管理サーバを前記基幹ネットワーク上に設けるとともに、前記無線LAN端末は、GPS衛星からの情報信号を受信して自己の位置情報を得る位置情報取得手段と、前記無線LANアクセスポイントからの電波を受信しその電波の電波情報を得る電波情報取得手段と、前記電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリスト及びその無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とそのときの該無線LAN端末の位置情報とから成る無線LANアクセスポイント情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された無線LANアクセスポイント情報を前記管理サーバに送信するとともに、前記管理サーバから通知された最適無線LANアクセスポイント情報に示される最適無線LANアクセスポイントに接続するように制御する制御手段とを備え、前記管理サーバは、前記無線LAN端末から送信されてくる前記無線LANアクセスポイント情報を登録する登録手段と、前記登録手段に既に登録されている無線LANアクセスポイント情報と前記無線LAN端末から送信されてきた無線LANアクセスポイント情報と前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況とから前記無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択し、選択した最適な無線LANアクセスポイントを示す最適無線LANアクセスポイント情報を前記無線LAN端末に通知する選択通知手段とを備えるようにしたものである。
【0017】
この構成によれば、前記無線LAN端末は、自己の位置情報と前記無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とを得ることができ、該無線LAN端末が前記無線LANアクセスポイントからの電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリスト及びその無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とそのときの該無線LAN端末の位置情報とから成る無線LANアクセスポイント情報を前記記憶手段に記憶する。そして、前記制御手段が前記記憶手段に記憶された無線LANアクセスポイント情報を前記管理サーバに送信するので、前記管理サーバの前記登録手段には、前記無線LAN端末から送信されてくる前記無線LANアクセスポイント情報が登録される。前記選択通知手段は、前記登録手段に既に登録されている無線LANアクセスポイント情報と前記無線LAN端末から送信されてきた無線LANアクセスポイント情報と前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況とから前記無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択し、選択した最適な無線LANアクセスポイントを示す最適無線LANアクセスポイント情報を前記無線LAN端末に通知する。そして、前記制御手段が前記選択通知手段により通知された最適無線LANアクセスポイントに接続するように制御することにより、前記無線LAN端末は最適無線LANアクセスポイントに接続される。
【0018】
また、請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記電波情報取得手段が電波情報を得るために受信する前記無線LANアクセスポイントからの電波は、無線LANアクセスポイントがSSID(Service Set-Identifier)を放送する放送電波であることを特徴としている。
【0019】
この構成によれば、各無線LANアクセスポイントからはそれぞれのSSIDが常に放送されているので、いずれのSSIDを受信できたかによっていずれの無線LANアクセスポイントに接続可能であるかを検索することができる。
【0020】
また、請求項4の発明では、請求項3の発明において、前記電波情報取得手段は、前記電波情報として前記放送電波の種類、チャネル、電波強度、SSIDを取得することを特徴としている。
【0021】
この構成によれば、前記管理サーバに送信される無線LANアクセスポイント情報に含まれる電波情報には、無線LAN端末が受信できる電波の種類、チャネル、電波強度、SSIDという電波の詳細な情報が含まれることになり、前記管理サーバの選択通知手段は、無線LAN端末が受信できる電波の詳細な情報に基づいて無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択することができる。
【0022】
また、請求項5の発明では、請求項4の発明において、前記放送電波の変調方式がOFDM(直交周波数分割多重方式)である場合は、前記電波強度は前記放送電波の複数の搬送波毎の電波強度であることを特徴としている。
【0023】
この構成によれば、前記管理サーバに送信される無線LANアクセスポイント情報に含まれる電波情報には、無線LAN端末が受信できる電波の複数の搬送波毎の電波強度という更に詳細な情報が含まれることになり、前記管理サーバの選択通知手段は、無線LAN端末が受信できる電波の更に詳細な情報に基づいて無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択することができる。
【0024】
また、請求項6の発明では、請求項1〜請求項5の発明において、前記無線LANアクセスポイント情報は、その無線LANアクセスポイント情報に含まれる電波情報が得られたときの日時を示す日時情報を含むことを特徴としている。
【0025】
この構成によれば、前記管理サーバに送信される無線LANアクセスポイント情報には、その無線LANアクセスポイント情報に含まれる電波情報が得られたときの日時を示す日時情報という更に詳細な情報が含まれることになり、前記管理サーバの選択通知手段は、更に詳細な情報に基づいて無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択することができる。
【0026】
また、請求項7の発明では、請求項1〜請求項6の発明において、前記無線LANアクセスポイント情報は、その無線LANアクセスポイント情報を得た無線LAN端末を識別する端末識別情報を含むことを特徴としている。
【0027】
この構成によれば、前記管理サーバに送信される無線LANアクセスポイント情報には、その無線LANアクセスポイント情報を得た無線LAN端末を識別する端末識別情報という更に詳細な情報が含まれることになり、前記管理サーバの選択通知手段は、更に詳細な情報に基づいて無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択することができる。
【0028】
また、請求項8の発明では、請求項1〜請求項7の発明において、前記無線LAN端末は、携帯電話回線を介して前記基幹ネットワークにアクセスできる携帯電話機能を有し、前記無線LAN端末と前記管理サーバとが前記携帯電話回線を介して前記無線LANアクセスポイント情報及び前記最適無線LANアクセスポイント情報を送受信することを特徴としている。
【0029】
この構成によれば、前記無線LAN端末と前記管理サーバとの間で前記無線LANアクセスポイント情報及び前記最適無線LANアクセスポイント情報を送受信するために、一旦、適当な無線LANアクセスポイントに接続し、最適無線LANアクセスポイントの通知を受けた後にその最適無線LANアクセスポイントに接続を切り替えるという無駄な接続切り替え処理を行う必要がなくなる。
【0030】
また、請求項9の発明は、基幹ネットワークと、前記基幹ネットワークに接続されている複数の無線LANアクセスポイントと、前記基幹ネットワーク上に設けられ前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況を管理する管理サーバとを有する無線LANシステムで用いられ、前記複数の無線LANアクセスポイントのいずれかに無線LANで接続して前記基幹ネットワークにアクセスする無線LAN端末であって、GPS衛星からの情報信号を受信して自己の位置情報を得る位置情報取得手段と、前記無線LANアクセスポイントからの電波を受信しその電波の電波情報を得る電波情報取得手段と、前記電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリスト及びその無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とそのときの該無線LAN端末の位置情報とから成る無線LANアクセスポイント情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された無線LANアクセスポイント情報を前記管理サーバに送信するとともに、前記管理サーバから通知された最適無線LANアクセスポイント情報に示される最適無線LANアクセスポイントに接続するように制御する制御手段とを備える無線LAN端末を提供するものである。
【0031】
この構成によれば、前記無線LAN端末は、自己の位置情報と前記無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とを得ることができ、該無線LAN端末が前記無線LANアクセスポイントからの電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリスト及びその無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とそのときの該無線LAN端末の位置情報とから成る無線LANアクセスポイント情報を前記記憶手段に記憶する。そして、前記制御手段が前記記憶手段に記憶された無線LANアクセスポイント情報を前記管理サーバに送信するので、前記管理サーバは、前記無線LAN端末から送信されてくる前記無線LANアクセスポイント情報を登録し、既に登録されている無線LANアクセスポイント情報と前記無線LAN端末から送信されてきた無線LANアクセスポイント情報と前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況とから前記無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択することができる。そして、前記制御手段は、前記管理サーバから前記管理サーバが選択した最適な無線LANアクセスポイントの通知を受け、その最適無線LANアクセスポイントに接続するように制御する。
【0032】
また、請求項10の発明は、基幹ネットワークと、前記基幹ネットワークに接続されている複数の無線LANアクセスポイントと、前記複数の無線LANアクセスポイントのいずれかに無線LANで接続して前記基幹ネットワークにアクセスする無線LAN端末とを有する無線LANシステムで用いられ、前記基幹ネットワーク上に設けられ前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況を管理する管理サーバであって、前記無線LAN端末から送信されてくる、前記無線LAN端末が前記無線LANアクセスポイントからの電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリスト及びその無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とそのときの該無線LAN端末の位置情報とから成る無線LANアクセスポイント情報を登録する登録手段と、前記登録手段に既に登録されている無線LANアクセスポイント情報と前記無線LAN端末から送信されてきた無線LANアクセスポイント情報と前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況とから前記無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択し、選択した最適な無線LANアクセスポイントを示す最適無線LANアクセスポイント情報を前記無線LAN端末に通知する選択通知手段とを備える管理サーバを提供するものである。
【0033】
この構成によれば、前記管理サーバは、前記無線LAN端末から送信されてくる前記無線LANアクセスポイント情報を登録し、既に登録されている無線LANアクセスポイント情報と前記無線LAN端末から送信されてきた無線LANアクセスポイント情報と前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況とから前記無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択し、選択した最適な無線LANアクセスポイントを示す最適無線LANアクセスポイント情報を前記無線LAN端末に通知する。これにより、前記無線LAN端末を最適無線LANアクセスポイントに接続することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、無線LAN端末が複数の無線LANアクセスポイントのうちから輻輳状況や詳細な電波強度のような条件も含めて通信に最適な無線LANアクセスポイントに接続されるので、安定した通信を行うことができるようにするとともに通信効率を向上させ、無線LAN端末を使用するユーザが快適に基幹ネットワークにアクセスできる無線LANシステムを実現することができる。
【0035】
また、本発明によると、複数の無線LANアクセスポイントのうちから輻輳状況や詳細な電波強度のような条件も含めて通信に最適な無線LANアクセスポイントに接続し、安定した通信を行うことができるようにするとともに無線LANシステムの通信効率を向上させ、使用するユーザが快適に基幹ネットワークにアクセスできる無線LAN端末を実現することができる。
【0036】
また、本発明によると、無線LAN端末を複数の無線LANアクセスポイントのうちから輻輳状況や詳細な電波強度のような条件も含めて通信に最適な無線LANアクセスポイントに接続し、安定した通信を行うことができるようにするとともに無線LANシステムの通信効率を向上させ、無線LAN端末を使用するユーザが快適に基幹ネットワークにアクセスできるようにすることができる管理サーバを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態の無線LANシステムの要部構成を示すブロック図である。図1に示す無線LANシステムは、無線LAN電話装置(無線LAN端末)1、管理サーバ2、無線LANアクセスポイント3a、3b、ルータ4、インターネット網5、ルータ6、ゲートウェイ7、公衆回線網8、加入者電話装置9、基地局10、有線LAN30、GPS(Global Positioning System)衛星40から構成されている。
【0038】
図1に示すように、無線LANを構築するための無線LANアクセスポイント3a、3bと、管理サーバ2と、ルータ4と、ゲートウェイ7とが有線LAN30に接続されている。また、有線LAN30は、ルータ6が接続されたインターネット網5にルータ4を介して接続されるとともに、加入者電話装置9と基地局10とが接続された公衆回線網8にゲートウェイ7を介して接続されている。
【0039】
また、点線で示したAは無線LANアクセスポイント3aの無線通信可能なサービスエリアを示し、点線で示したBは無線LANアクセスポイント3bの無線通信可能なサービスエリアを示している。無線LANアクセスポイント3a、3bは、サービスエリアAの一部とサービスエリアBの一部が重なるように配置されており、無線LAN電話装置1は、サービスエリアA、Bの重なった部分に位置しているので、無線LANアクセスポイント3a、3bのいずれにも無線LANによって接続可能である。尚、無線LANアクセスポイント3a、3bの周辺には無線LANアクセスポイント3a、3bに接続可能な図示しない他の無線LAN端末が多数存在しているものとする。
【0040】
無線LAN電話装置1は、無線LANアクセスポイント3a、3bのいずれか一方に接続されると、有線LAN30、ルータ4、インターネット網5、ルータ6などから成るIP(Internet Protocol)ネットワーク(基幹ネットワーク)にアクセス可能となる。また、IPネットワーク上に音声を伝送するVoIP(Voice Over IP)と呼ばれる技術を用いてIPネットワークを介して他のVoIP電話装置(不図示)と通話を行ったり、公衆回線網8とIPネットワークとを接続するための中継機能を備えるゲートウェイ7を介して、加入者電話装置9と通話を行ったりするVoIP電話機能を有している。
【0041】
また、無線LAN電話装置1は、基地局10との間で無線信号を送受信し、公衆回線網8を介して加入者電話装置9や他の携帯電話装置(不図示)と通話を行う携帯電話機能を有している。また、この携帯電話回線、即ち、基地局10、公衆回線網8、ゲートウェイ8を通じてIPネットワークにアクセスすることもできる。
【0042】
更に、無線LAN電話装置1は、GPS衛星40からの情報信号を受信して自己の位置(緯度、経度など)を計測するGPS機能を有している。
【0043】
管理サーバ2は、管理サーバ2の管理対象となる全無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況、即ち、各無線LANアクセスポイントに現在どれだけの無線LAN端末が接続されているかを管理する機能と、無線LAN電話装置1を接続する無線LANアクセスポイントとしていずれの無線LANアクセスポイントが通信に最適な無線LANアクセスポイントであるかを選択する機能とを有する。詳細は後述する。
【0044】
また、無線LAN電話装置1、管理サーバ2、ゲートウェイ7などのIPネットワーク上にある各装置には、IPアドレスなどのIPネットワーク上の識別情報が予め付与されている。
【0045】
図2は、図1に示す無線LAN電話装置1の要部構成を示すブロック図である。図2に示す無線LAN電話装置1は、制御回路11、表示部12、入力部13、メモリ14、GPS受信部15、無線LAN送受信部16、公衆送受信部17、音声変換部18、スピーカ19、マイクロホン20から構成されている。
【0046】
表示部12は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)から成り、このLCDには制御回路11の制御に基づく表示が行われる。また、入力部13は、テンキーやカーソルキーなどの操作キーから成り、制御回路11は、無線LAN電話装置1のユーザが入力部13のいずれの操作キーをどのように操作したかを認識し、そのキー操作に応じた処理をメモリ14に記憶されたプログラムに従って実行する。
【0047】
メモリ14は、ROMやRAMなどの記憶素子から成り、無線LAN電話装置1が実行する実行プログラムなどが記憶されている。また、メモリ14は、各種の実行プログラムを実行するうえでのワーキングメモリとして使用されるとともに、後述する管理サーバ2へ送信する無線LANアクセスポイント情報なども記憶される。
【0048】
GPS受信部15は、GPS衛星40からの情報信号を受信して無線LAN電話装置1の位置を計測し、計測した無線LAN電話装置1の位置情報(緯度、経度など)を制御回路11に与える。
【0049】
無線LAN送受信部16は、無線LANアクセスポイントから送られてくる電波を受信し、受信した電波信号に含まれるIPパケット(IPネットワーク上を伝送するためのデータ形式)を制御回路11に与え、制御回路11からのIPパケットを電波信号に変換して無線LANアクセスポイントに送出する。また、無線LANアクセスポイントから送られてくる放送電波を受信し、その受信した放送電波の種類(例えば、IEEE802.11b準拠の電波か、IEEE802.11a準拠の電波かなど)、チャネル、電波強度、及びその放送電波に含まれる無線LANアクセスポイントを特定するためのSSID(Service Set-Identifier) などの電波情報を制御回路11に与える。
【0050】
公衆送受信部17は、基地局10から送られてくる無線信号を受信し、その受信した無線信号が音声信号の場合はその音声信号を音声変換部18に与え、IPパケットの場合はそのIPパケットを制御回路11に与える。また、音声変換部18からの音声信号を無線信号に変換して基地局10に送出し、制御回路11からのIPパケットを無線信号に変換して基地局10に送出する。
【0051】
制御回路11は、無線LAN送受信部16及び/または公衆送受信部17から与えられるIPパケットを分解して制御データや音声データを得るとともに、送信する制御データや音声データをパケット化したIPパケットを生成して無線LAN送受信部16及び/または公衆送受信部17に与える。また、GPS受信部15や無線LAN送受信部16などから与えられる情報を処理してメモリ14に記憶する。
【0052】
音声変換部16は、制御回路11によりパケット分解して得られた音声データ及び/または公衆送受信部17で受信した基地局からの無線信号が変換された音声信号をアナログ信号に変換してスピーカ19に供給する。また、マイクロホン20から入力されるアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換して制御回路11に供給したり、マイクロホン20から入力されるアナログ音声信号を無線信号に変換して公衆送受信部17に供給したりする。
【0053】
図3は、図1に示す管理サーバ2の要部構成を示すブロック図である。図3に示す管理サーバ2は、例えば、パーソナルコンピュータにより構成されるもので、制御回路21、表示部22、入力部23、メモリ24、有線LANI/F(インターフェース)25から構成されている。
【0054】
表示部22は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイから成り、このCRTディスプレイには制御回路21の制御に基づく表示が行われる。また、入力部23は、例えば、テンキー、カーソルキー、文字キーなどを有するキーボードから成り、制御回路21は、管理サーバ2の操作者が入力部23のキーボードをどのように操作したかを認識し、その操作に応じた処理をメモリ24に記憶されたプログラムに従って実行する。
【0055】
メモリ24は、ROM、RAM、ハードディスクなどの記憶素子から成り、管理サーバ2が実行する実行プログラムなどが記憶されている。また、メモリ24には、無線LAN電話装置1を含む無線LAN端末から送信されてくる無線LANアクセスポイント情報や、管理サーバ2の管理対象となる全無線LANアクセスポイントの輻輳状況などの情報や、気象情報などのIPネットワークを介して取得できる様々な情報がデータベースとして記憶される。
【0056】
有線LANI/F25は、有線LAN30を通じて送られてくるIPパケットを取り込んで制御回路21に与え、また、制御回路21からのIPパケットを有線LAN30に送出する。
【0057】
制御回路21は、有線LANI/F25により取り込んだIPパケットを分解して制御データを得るとともに、送信する制御データをパケット化したIPパケットを生成して有線LANI/F25に与える。また、制御回路21は、各無線LANアクセスポイントの輻輳状況、即ち、各無線LANアクセスポイントに現在どれだけの無線LAN端末が接続されているかを管理するとともに、メモリ24に記憶されている前記データベースの情報に基づいて、接続要求のあった無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択する。
【0058】
次に、このような構成の無線LANシステムにおける無線LAN電話装置1の無線LANアクセスポイントへの接続動作を図4を参照して説明する。図4は、図1に示す無線LANシステムにおける無線LAN電話装置1の無線LANアクセスポイントへの接続処理を示すシーケンス図である。
【0059】
ユーザが、無線LAN電話装置1を無線LANアクセスポイントに接続するために、入力部13を所定操作すると、先ず、無線LAN電話装置1は、無線LANアクセスポイントから送信されている電波を受信することによって接続可能な無線LANアクセスポイントを検索する(ステップS1)。本実施例では、無線LAN電話装置1は、サービスエリアA、Bの重なった位置に存在しているので、無線LAN電話装置1の無線LAN送受信部16は、無線LANアクセスポイント3a、3bのそれぞれから送信されている2つの電波を受信することになる。
【0060】
ここで、この無線LANアクセスポイントから送信されている電波というのは、SSIDの放送電波である。SSIDとは通信相手を特定するための一種のキーワードであり、無線LANでは、無線LAN端末が無線LANアクセスポイントに設定されているSSIDを取得し、同じSSIDを使用して通信を行うことにより、通信を行う無線LANアクセスポイントを特定し、他の無線LANアクセスポイントと混信することがないようにしている。このため、各無線LANアクセスポイントは各無線LANアクセスポイントに設定されたSSIDを常に放送している。従って、無線LAN端末は、このSSID放送電波を受信することによって、接続可能な無線LANアクセスポイントを検索することができる。
【0061】
従って、本実施例の場合、無線LAN電話装置1は、無線LANアクセスポイント3a、3bのそれぞれからのSSID放送電波を受信することによって、接続可能な無線LANアクセスポイントとして無線LANアクセスポイント3a、3bを検索することができる。
【0062】
更に、このとき、無線LAN電話装置1の無線LAN送受信部16は、受信した電波の種類、チャネル、電波強度、SSIDなどの電波情報を制御回路11に与え、制御回路11は、その電波情報と、そのときの日時情報と、GPS受信部15から与えられる無線LAN電話装置1の位置情報と、無線LAN電話装置1に付与されたIPアドレスなどの無線LAN端末を識別するための端末識別情報とから成る無線LANアクセスポイント情報をメモリ14に記憶する。
【0063】
即ち、無線LANアクセスポイントからの電波を受信した日時情報と、その時点での無線LAN電話装置1の位置情報と、その位置において電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリストとそれぞれの無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報が、無線LAN端末1を識別する端末識別情報とともに、無線LANアクセスポイント情報としてメモリ14に記憶されることになる。このとき、受信した電波がOFDMで変調された電波である場合は、複数のキャリア(搬送波)の各キャリア毎の電波強度が計測され、記憶される。
【0064】
次に、無線LAN電話装置1は、無線LANアクセスポイント3a、3bのいずれか一方との接続を確立する(ステップS2)。接続する無線LANアクセスポイントはいずれであってもよく、ここでは、無線LANアクセスポイント3aに接続するものとする。このとき、無線LAN電話装置1の制御回路11は、無線LANアクセスポイント3aのSSIDを付与したRTS(Request To Send)信号を生成して無線LAN送受信部16から送信し、このRTS信号を受信した無線LANアクセスポイント3aは、そのとき無線LAN電話装置1と通信可能な状態であれば、換言すれば、他の無線LAN端末と通信中でなければ、このRTS信号に対するCTS(Clear To Send)信号を無線LAN電話装置1に返送する。以上で無線LAN電話装置1と無線LANアクセスポイント3aとの接続が確立する。
【0065】
そして、無線LAN電話装置1は、ステップS1でメモリ14に記憶した無線LANアクセスポイント情報を無線LANアクセスポイント3aを経由して管理サーバ2に送信する(ステップS3)。
【0066】
このとき、無線LAN電話装置1の制御回路11は、送信する無線LANアクセスポイント情報を管理サーバ2のIPアドレスとともにパケット化したIPパケットを生成して無線LAN送受信部16を介して送信する。無線LANアクセスポイント3aは、受信したIPパケットを有線LAN30上に送出する。そして、管理サーバ2の有線LANI/F25は、有線LAN30よりこのIPパケットを取り込み、制御回路21に与える。制御回路21は、このIPパケットを無線LAN電話装置1から送信された無線LANアクセスポイント情報に分解し、メモリ24のデータベースに記憶する。
【0067】
このようにして、管理サーバ2のメモリ24のデータベースには、無線LAN電話装置1から送信された無線LANアクセスポイント情報が登録される。同様にして、このデータベースには、無線LAN電話装置1を含むこの無線LANシステムに参加する全ての無線LAN端末のそれぞれの無線LAN端末から送信された無線LANアクセスポイント情報が登録される。また、管理サーバ2のメモリ24のデータベースには、管理サーバ2の管理対象となる全無線LANアクセスポイントの輻輳状況などの情報も記憶されている。
【0068】
次に、無線LAN電話装置1からの無線LANアクセスポイント情報を受けた管理サーバ2の制御回路21は、メモリ24のデータベースの情報を用いて、現在の時間において無線LAN電話装置1が位置する地点で、無線LAN電話装置1との通信に最適な無線LANアクセスポイントを選択する(ステップS4)。本実施例の場合では、無線LANアクセスポイント3a、3bのいずれか一方が無線LAN電話装置1との通信に適した無線LANアクセスポイントとして選択されることになり、ここでは無線LANアクセスポイント3bが選択されたものとする。
【0069】
この選択は、メモリ24のデータベースに登録されている多数の無線LAN端末による多数の地点における各無線LANアクセスポイントの電波状態や、各無線LANアクセスポイントの現在及び過去の輻輳状況などを総合的に判断して行われる。尚、気象情報などのIPネットワークを介して取得できる様々な情報を利用して更に総合的に判断するようにすることも可能である。
【0070】
そして、管理サーバ2は、選択した最適な無線LANアクセスポイントを示す最適無線LANアクセスポイント情報を無線LANアクセスポイント3aを経由して無線LAN電話装置1に通知する(ステップS5)。このとき、管理サーバ2の制御回路21は、送信する最適無線LANアクセスポイント情報を無線LAN電話装置1のIPアドレスとともにパケット化したIPパケットを生成して有線LANI/F25に与え、有線LANI/F25はこのIPパケットを有線LAN30に送出する。無線LANアクセスポイント3aは、このIPパケットを電波に変換して送信し、無線LAN電話装置1の無線LAN送受信部16はこのIPパケットを受信し、制御回路11に与える。制御回路11は、このIPパケットを管理サーバ2から送信された最適無線LANアクセスポイント情報に分解し、管理サーバ2が選択した最適な無線LANアクセスポイントを知ることになる。
【0071】
そして、最適な無線LANアクセスポイントの通知を受けた無線LAN電話装置1は、その通知された最適な無線LANアクセスポイントと接続する(ステップS6)。ここでは、最適な無線LANアクセスポイントとして無線LANアクセスポイント3bが通知されたので、無線LAN電話装置1は、接続する無線LANアクセスポイントを無線LANアクセスポイント3aから無線LANアクセスポイント3bに切り替える。
【0072】
このようにして、無線LAN電話装置1は、電波状態や輻輳状況などからみて通信に最適な無線LANアクセスポイントに接続される。
【0073】
次に、本発明の第2実施形態の無線LANシステムを説明する。第2実施形態の無線LANシステムの構成は図1に示す無線LANシステムの構成と同じであり、第2実施形態の無線LANシステムを構成する無線LAN電話装置1及び管理サーバ2の構成は図2、図3に示す無線LAN電話装置1及び管理サーバ2の構成と同じであるので、その説明は省略する。
【0074】
図5は、第2実施形態の無線LANシステムにおける無線LAN電話装置1の無線LANアクセスポイントへの接続処理を示すシーケンス図である。
【0075】
ユーザが、無線LAN電話装置1を無線LANアクセスポイントに接続するために、入力部13を所定操作すると、先ず、無線LAN電話装置1は、無線LANアクセスポイントから送信されている電波を受信することによって接続可能な無線LANアクセスポイントを検索する(ステップS11)。本実施例では、無線LAN電話装置1は、サービスエリアA、Bの重なった位置に存在しているので、無線LAN電話装置1の無線LAN送受信部16は、無線LANアクセスポイント3a、3bのそれぞれから送信されている2つの電波を受信することになる。
【0076】
尚、この無線LANアクセスポイントから送信されている電波というのは、上述したSSIDの放送電波である。本実施例の場合、無線LAN電話装置1は、無線LANアクセスポイント3a、3bのそれぞれからのSSID放送電波を受信することによって、接続可能な無線LANアクセスポイントとして無線LANアクセスポイント3a、3bを検索することができる。
【0077】
更に、このとき、無線LAN電話装置1の無線LAN送受信部16は、受信した電波の種類、チャネル、電波強度、SSIDなどの電波情報を制御回路11に与え、制御回路11は、その電波情報と、そのときの日時情報と、GPS受信部15から与えられる無線LAN電話装置1の位置情報と、無線LAN電話装置1に付与されたIPアドレスなどの無線LAN端末を識別するための端末識別情報とから成る無線LANアクセスポイント情報をメモリ14に記憶する。
【0078】
即ち、無線LANアクセスポイントからの電波を受信した日時情報と、その時点での無線LAN電話装置1の位置情報と、その位置において電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリストとそれぞれの無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報が、無線LAN端末1を識別する端末識別情報とともに、無線LANアクセスポイント情報としてメモリ14に記憶されることになる。このとき、受信した電波がOFDMで変調された電波である場合は、複数のキャリア(搬送波)の各キャリア毎の電波強度が計測され、記憶される。
【0079】
次に、無線LAN電話装置1は、所定の電話番号に発呼して携帯電話回線を確立する(ステップS12)。そして、この携帯電話回線、即ち、基地局10、公衆回線網8、ゲートウェイ8を通じてIPネットワーク上の管理サーバ2にアクセスし、メモリ14に記憶した無線LANアクセスポイント情報を管理サーバ2に送信する(ステップS13)。
【0080】
そして、管理サーバ2のメモリ24のデータベースには、無線LAN電話装置1から送信された無線LANアクセスポイント情報が登録される。同様にして、このデータベースには、無線LAN電話装置1を含むこの無線LANシステムに参加する全ての無線LAN端末からそれぞれの無線LAN端末から送信された無線LANアクセスポイント情報が登録される。また、管理サーバ2のメモリ24のデータベースには、管理サーバ2の管理対象となる全無線LANアクセスポイントの輻輳状況などの情報も記憶されている。
【0081】
次に、無線LAN電話装置1からの無線LANアクセスポイント情報を受けた管理サーバ2の制御回路21は、メモリ24のデータベースの情報を用いて、現在の時間において無線LAN電話装置1が位置する地点で、無線LAN電話装置1との通信に最適な無線LANアクセスポイントを選択する(ステップS14)。本実施例の場合では、無線LANアクセスポイント3a、3bのいずれか一方が無線LAN電話装置1との通信に適した無線LANアクセスポイントとして選択されることになり、ここでは無線LANアクセスポイント3bが選択されたものとする。
【0082】
この選択は、メモリ24のデータベースに登録されている多数の無線LAN端末による多数の地点における各無線LANアクセスポイントの電波状態や、各無線LANアクセスポイントの現在及び過去の輻輳状況などを総合的に判断して行われる。尚、気象情報などのIPネットワークを介して取得できる様々な情報を利用して更に総合的に判断するようにすることも可能である。
【0083】
そして、管理サーバ2は、選択した最適な無線LANアクセスポイントを示す最適無線LANアクセスポイント情報を携帯電話回線を経由して無線LAN電話装置1に通知する(ステップS15)。そして、最適な無線LANアクセスポイントの通知を受けた無線LAN電話装置1は、その通知された最適な無線LANアクセスポイントと接続する(ステップS16)。ここでは、最適な無線LANアクセスポイントとして無線LANアクセスポイント3bが通知されたので、無線LAN電話装置1は、無線LANアクセスポイント3bに接続されることになる。
【0084】
このようにして、無線LAN電話装置1は、電波状態や輻輳状況などからみて通信に最適な無線LANアクセスポイントに接続される。このように、無線LAN電話装置1と管理サーバ2との間のやり取りを携帯電話回線で行うことにより、第1実施形態の無線LANシステムでの接続処理のように、最適無線LANアクセスポイント情報の通知後に無線LANアクセスポイントへの接続を切り替えるという無駄な処理が発生する可能性を無くすことができる。
【0085】
また、ステップS11で無線LAN電話装置1が接続可能な無線LANアクセスポイントを検索できなかった場合に、管理サーバ2にそのことを通知すれば、管理サーバ2は、メモリ24のデータベースに登録されている情報から無線LAN電話装置1を接続するのに最適な無線LANアクセスポイントの場所等の情報を携帯電話回線を介して無線LAN電話装置1に通知し、無線LAN電話装置1はその通知された情報を表示部12に表示することにより、ユーザが無線LAN電話装置1を接続するのに最適な無線LANアクセスポイントの場所等を知るというようにすることも可能である。
【0086】
以上、説明したように、本実施形態の無線LANシステムによれば、無線LAN電話装置1の周辺に複数の接続可能な無線LANアクセスポイントが存在する場合において、管理サーバ2がその複数の無線LANアクセスポイントのうちから、輻輳状況や詳細な電波強度のような条件も含めて通信に最適な無線LANアクセスポイントを選択して無線LAN電話装置1に通知し、無線LAN電話装置1は、その通知された最適な無線LANアクセスポイントに接続されることになる。
【0087】
この最適な無線LANアクセスポイントは、メモリ24のデータベースに登録されている多数の無線LAN端末による多数の地点における各無線LANアクセスポイントの電波状態や、各無線LANアクセスポイントの現在及び過去の輻輳状況などを総合的に判断して選択されているので、最適な無線LANアクセスポイントに接続された無線LAN電話装置1は安定した通信を行うことができ、また、無線LANシステム全体の通信効率を向上させることができ、無線LAN電話装置1を使用するユーザは快適にIPネットワークにアクセスできるようになる。
【0088】
尚、本実施形態の無線LANシステムでは、無線LAN電話装置1は、管理サーバ2から通知された最適な無線LANアクセスポイントに自動的に接続するようにしているが、管理サーバ2から通知された最適な無線LANアクセスポイントを無線LAN電話装置1の表示部12に表示し、ユーザがその表示を参考に無線LANアクセスポイントに接続するようにしても良い。
【0089】
また、本実施形態の無線LANシステムでは、ユーザが無線LAN電話装置1を無線LANアクセスポイントに接続するために入力部13を所定操作した際に、無線LANアクセスポイント情報を管理サーバ2に送信するようにしているが、無線LANアクセスポイント情報を管理サーバ2に送信するタイミングは、これに限定されるものではなく、任意のタイミングで送信するようにしても良い。
【0090】
また、本実施形態の無線LANシステムでは、管理サーバ2は有線LAN30に接続されているが、管理サーバ2はIPネットワーク上のどの位置に接続されていても良いし、公衆回線網8に接続されていても良い。
【0091】
尚、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各部の構成等を適宜に変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態の無線LANシステムの要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す無線LAN電話装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す管理サーバの要部構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す無線LANシステムにおける無線LAN電話装置の無線LANアクセスポイントへの接続処理を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の第2実施形態の無線LANシステムにおける無線LAN電話装置の無線LANアクセスポイントへの接続処理を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0093】
1 無線LAN電話装置
2 管理サーバ
3a、3b 無線LANアクセスポイント
4、6 ルータ
5 インターネット網
7 ゲートウェイ
8 公衆回線網
9 加入者電話装置
10 基地局
11 制御回路(制御手段)
12 表示部
13 入力部
14 メモリ(記憶手段)
15 GPS受信部(位置情報取得手段)
16 無線LAN送受信部(電波情報取得手段)
17 公衆送受信部
18 音声変換部
19 スピーカ
20 マイクロホン
21 制御回路(選択通知手段)
22 表示部
23 入力部
24 メモリ(登録手段)
25 有線LANI/F
30 有線LAN
40 GPS衛星
A、B サービスエリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基幹ネットワークと、前記基幹ネットワークに接続されている複数の無線LANアクセスポイントと、前記複数の無線LANアクセスポイントのいずれかに無線LANで接続して前記基幹ネットワークにアクセスする無線LAN端末とを有する無線LANシステムにおいて、
前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況を管理する管理サーバを前記基幹ネットワーク上に設けるとともに、
前記無線LAN端末は、前記無線LANアクセスポイントからの電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリスト及びその無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とそのときの該無線LAN端末の位置情報とから成る無線LANアクセスポイント情報を前記管理サーバに送信するとともに、前記管理サーバから通知された最適無線LANアクセスポイント情報に示される最適無線LANアクセスポイントに接続するように制御する制御手段を備え、
前記管理サーバは、前記無線LAN端末から送信されてくる前記無線LANアクセスポイント情報と前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況とから前記無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択し、選択した最適な無線LANアクセスポイントを示す最適無線LANアクセスポイント情報を前記無線LAN端末に通知する選択通知手段を備えることを特徴とする無線LANシステム。
【請求項2】
基幹ネットワークと、前記基幹ネットワークに接続されている複数の無線LANアクセスポイントと、前記複数の無線LANアクセスポイントのいずれかに無線LANで接続して前記基幹ネットワークにアクセスする無線LAN端末とを有する無線LANシステムにおいて、
前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況を管理する管理サーバを前記基幹ネットワーク上に設けるとともに、
前記無線LAN端末は、
GPS衛星からの情報信号を受信して自己の位置情報を得る位置情報取得手段と、
前記無線LANアクセスポイントからの電波を受信しその電波の電波情報を得る電波情報取得手段と、
前記電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリスト及びその無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とそのときの該無線LAN端末の位置情報とから成る無線LANアクセスポイント情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された無線LANアクセスポイント情報を前記管理サーバに送信するとともに、前記管理サーバから通知された最適無線LANアクセスポイント情報に示される最適無線LANアクセスポイントに接続するように制御する制御手段と、
を備え、
前記管理サーバは、
前記無線LAN端末から送信されてくる前記無線LANアクセスポイント情報を登録する登録手段と、
前記登録手段に既に登録されている無線LANアクセスポイント情報と前記無線LAN端末から送信されてきた無線LANアクセスポイント情報と前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況とから前記無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択し、選択した最適な無線LANアクセスポイントを示す最適無線LANアクセスポイント情報を前記無線LAN端末に通知する選択通知手段と、
を備えることを特徴とする無線LANシステム。
【請求項3】
前記電波情報取得手段が電波情報を得るために受信する前記無線LANアクセスポイントからの電波は、無線LANアクセスポイントがSSID(Service Set-Identifier)を放送する放送電波であることを特徴とする請求項2に記載の無線LANシステム。
【請求項4】
前記電波情報取得手段は、前記電波情報として前記放送電波の種類、チャネル、電波強度、SSIDを取得することを特徴とする請求項3に記載の無線LANシステム。
【請求項5】
前記放送電波の変調方式がOFDM(直交周波数分割多重方式)である場合は、前記電波強度は前記放送電波の複数の搬送波毎の電波強度であることを特徴とする請求項4に記載の無線LANシステム。
【請求項6】
前記無線LANアクセスポイント情報は、その無線LANアクセスポイント情報に含まれる電波情報が得られたときの日時を示す日時情報を含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の無線LANシステム。
【請求項7】
前記無線LANアクセスポイント情報は、その無線LANアクセスポイント情報を得た無線LAN端末を識別する端末識別情報を含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の無線LANシステム。
【請求項8】
前記無線LAN端末は、携帯電話回線を介して前記基幹ネットワークにアクセスできる携帯電話機能を有し、前記無線LAN端末と前記管理サーバとが前記携帯電話回線を介して前記無線LANアクセスポイント情報及び前記最適無線LANアクセスポイント情報を送受信することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の無線LANシステム。
【請求項9】
基幹ネットワークと、前記基幹ネットワークに接続されている複数の無線LANアクセスポイントと、前記基幹ネットワーク上に設けられ前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況を管理する管理サーバとを有する無線LANシステムで用いられ、前記複数の無線LANアクセスポイントのいずれかに無線LANで接続して前記基幹ネットワークにアクセスする無線LAN端末であって、
GPS衛星からの情報信号を受信して自己の位置情報を得る位置情報取得手段と、
前記無線LANアクセスポイントからの電波を受信しその電波の電波情報を得る電波情報取得手段と、
前記電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリスト及びその無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とそのときの該無線LAN端末の位置情報とから成る無線LANアクセスポイント情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された無線LANアクセスポイント情報を前記管理サーバに送信するとともに、前記管理サーバから通知された最適無線LANアクセスポイント情報に示される最適無線LANアクセスポイントに接続するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする無線LAN端末。
【請求項10】
基幹ネットワークと、前記基幹ネットワークに接続されている複数の無線LANアクセスポイントと、前記複数の無線LANアクセスポイントのいずれかに無線LANで接続して前記基幹ネットワークにアクセスする無線LAN端末とを有する無線LANシステムで用いられ、前記基幹ネットワーク上に設けられ前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況を管理する管理サーバであって、
前記無線LAN端末から送信されてくる、前記無線LAN端末が前記無線LANアクセスポイントからの電波を受信できた無線LANアクセスポイントのリスト及びその無線LANアクセスポイントからの電波の電波情報とそのときの該無線LAN端末の位置情報とから成る無線LANアクセスポイント情報を登録する登録手段と、
前記登録手段に既に登録されている無線LANアクセスポイント情報と前記無線LAN端末から送信されてきた無線LANアクセスポイント情報と前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれの輻輳状況とから前記無線LAN端末を接続する最適な無線LANアクセスポイントを選択し、選択した最適な無線LANアクセスポイントを示す最適無線LANアクセスポイント情報を前記無線LAN端末に通知する選択通知手段と、
を備えることを特徴とする管理サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−67103(P2006−67103A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245429(P2004−245429)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】