焦点検出装置
【課題】ブルーミングを抑制しながら、広いダイナミックレンジで焦点検出を行う。
【解決手段】AFモジュールの焦点検出部の基板表面に配置されるラインセンサを、複数のフォトダイオードおよびラインセンサ用画素信号読み出し回路によって構成し、余剰電荷を切替制御によって排出するアンチブルーミングゲート(ABG)をフォトダイオードの傍に設ける。そして、アンチブルーミングゲートの閾値電圧Vt、およびフォトダイオードの空乏化電圧VPD0を、最大照度時の発生電荷数Qmaxよりもアンチブルーミングゲート(ABG)を通って排出される流出電荷数LQの方が多く、かつ、最小照度時であって電荷蓄積容量(MEM)の飽和電荷量QMEMSだけフォトダイオードに電荷蓄積された状態で発生する電荷数Qminよりも流出電荷数LQが少なくなるように、規定する。
【解決手段】AFモジュールの焦点検出部の基板表面に配置されるラインセンサを、複数のフォトダイオードおよびラインセンサ用画素信号読み出し回路によって構成し、余剰電荷を切替制御によって排出するアンチブルーミングゲート(ABG)をフォトダイオードの傍に設ける。そして、アンチブルーミングゲートの閾値電圧Vt、およびフォトダイオードの空乏化電圧VPD0を、最大照度時の発生電荷数Qmaxよりもアンチブルーミングゲート(ABG)を通って排出される流出電荷数LQの方が多く、かつ、最小照度時であって電荷蓄積容量(MEM)の飽和電荷量QMEMSだけフォトダイオードに電荷蓄積された状態で発生する電荷数Qminよりも流出電荷数LQが少なくなるように、規定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフ型カメラなどの撮影装置に搭載される焦点検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフ型カメラでは、自動焦点調節(AF)機構として位相差方式の焦点検出装置が搭載されている。焦点検出装置の被写体像が投影されるエリアには、ラインセンサをそれぞれ並列させた複数のラインセンサ群が2つ1組となって2次元的に配置されている。各ラインセンサは、複数のフォトダイオードを並列させた配置構成であり、各フォトダイオードに生じる信号電荷は画素信号として読み出される。
【0003】
通常、ラインセンサは電荷蓄積型センサであり、ラインセンサの傍に配置されるモニタセンサによって電荷蓄積時間が調整される(例えば、特許文献1、2参照)。ラインセンサの各フォトダイオードの受ける光量は被写体の明るさ分布によって異なるため、ラインセンサの電荷蓄積時間はそれぞれ独立して制御されている。
【0004】
フォトダイオードなどの光電変換素子を備えたモニタセンサは、モニタ対象となっているフォトダイオードの光強度(光量)をリアルタイムで検出する。モニタセンサから出力される信号が所定の閾値を超えると、対応するラインセンサの電荷蓄積(積分)を終了させる。これにより、フォトダイオードがダイナミックレンジを超える光を受光してオーバフローするのを防ぐ。
【0005】
ラインセンサに蓄積された電荷は、一時的にキャパシタ等のメモリ部に格納される。すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、一連の画素信号が被写体像の画像信号として出力され、デフォーカス量を求める演算処理が行われる。
【0006】
強い光の入射によってフォトダイオードの飽和電荷量を超えた電荷が生成されると、光電変換素子から電荷が溢れ出し、隣接画素へ流出する、いわゆるブルーミング現象が生じる。また、電荷を転送してからフォトダイオードに生じる電荷が電荷蓄積部に漏れることによっても、同様の問題が生じる。
【0007】
このようなブルーミングを防ぐため、CMOSセンサなどのアドレス型撮像素子では、光電変換部に生じた不要電荷を排出する制御スイッチ、すなわちアンチブルーミングゲート(ABG)が配設される(特許文献3参照)。
【0008】
露光期間においてABGはOFF状態であり、ABGが障壁となって蓄積電荷は排出されることなく、過剰な光によって生じた不要電荷はABGの障壁を越えてドレインなどに排出される。蓄積電荷が転送された状態になると、ABGがON状態に切り替えられる。そのため、電荷転送の後生成された不要電荷はそのままABGを通って排出され、隣接画素へ流出することを防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−145792号公報
【特許文献2】特開2004−272238号公報
【特許文献3】特開2004−111590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、各ラインセンサの光電変換素子の電荷蓄積時間は被写体の明るさ分布に応じてバラツキがあり、被写体の非常に明るい部分と暗い部分どちらも検出する必要がある。そのため、非常に広いダイナミックレンジが焦点検出装置の光電変換素子に要求される。このことは、引用文献2のような各光電変換素子の電荷蓄積時間が一定であるイメージセンサと大きく相違する。
【0011】
したがって、焦点検出装置に使用されるラインセンサでは、光量が極端に少ないときに電荷漏れを極力無くし、光量が過剰なときには不要電荷を十分に排出できるように構成しなければならない。すなわち、幅広いダイナミックレンジで焦点検出を可能にするため、ABGなどの電荷排出ゲートによる電荷流出の障壁をより精緻に設定しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の焦点検出装置は、被写体像の投影領域に並ぶ複数のラインセンサと、複数のラインセンサの側にそれぞれ配置され、それぞれ対応するラインセンサの受光量をモニタリングする複数のモニタセンサと、複数のラインセンサに蓄積された電荷に基づいて被写体像の画像信号を出力する画像信号出力手段とを備える。例えば、焦点検出装置は一眼レフ型カメラなどの撮影装置に適用される。また、ラインセンサは、例えばCMOSセンサなどアドレス型撮像素子によって構成される。
【0013】
本発明のラインセンサは、フォトダイオードなどの光電変換素子と、光電変換素子に蓄積された電荷を格納する電荷格納部と、光電変換素子に蓄積された電荷を電荷格納部に転送する電荷転送ゲートと、光電変換素子に蓄積される電荷を排出する電荷排出ゲートとを備える。電荷排出ゲートは、露光期間中に電荷流出の電気的障壁を形成し、例えば、光電変換素子に関して電荷格納部の反対側にトランジスタなどで構成される電荷排出ゲートが設けられ、露光期間中はゲートを閉じた状態に設定される。
【0014】
本発明では、ラインセンサの電荷排出ゲートの電気的障壁が所定条件に基づいて定められる。すなわち、電荷排出ゲートから排出される電荷数が、最大照度のときには光電変換素子に発生する電荷数より大きく、かつ、最小照度のときであって電荷格納部の飽和電荷量に相当する電荷が光電変換素子に蓄積された状態のときには光電変換素子に発生する電荷数よりも小さくなるように、電荷排出ゲートの閾値電圧および光電変換素子の空乏化電圧が定められる。
【0015】
ここで、閾値電圧は、電荷流出の電気的障壁を規定する電荷排出ゲートの電位を示し、空乏化電圧は、電荷が蓄積されていないときの光電変換素子の電位を示す。また、最大照度、最小照度は、ラインセンサの性能特性などによってあらかじめ定められている。
【0016】
本発明では、露光期間中に電気的障壁を形成する電荷排出ゲートから流出する電荷数が、非常に強い光、弱い光どちらによっても適正なものとなるように設定されている。オーバフローが生じるような露光量になっても不要電荷排出ゲートを通って不要電荷が十分に排出されるため、ブルーミングの発生を防ぐことが可能となり、また、光量が非常に少ない場合には流出する電荷数が十分に少ないため、ラインセンサの電荷蓄積期間を適切な期間で終了させることが可能となり、ダイナミックレンジの広い焦点検出が行われる。
【0017】
照度が低いときにはできる限り流出する電荷数を抑えるのが望ましい。そのため、最小照度のときであって電荷格納部の飽和電荷量に相当する電荷が光電変換素子に蓄積された状態のときには、光電変換素子に発生する電荷数の1/10、さらには1/100以下となるように、電荷排出ゲートの閾値電圧および光電変換素子の空乏化電圧を定めるのがよい。
【0018】
例えば、空乏化電圧が以下の式を満たすように設定される。
ΔVMEMmax≦Vrst−(VPD0+ΔVFD)
ただし、電荷格納部の飽和電荷量に相当するフォトダイオード電圧をΔVMEMmax、空乏化電圧をVPD0、リセット電圧をVrst、フローティングディフュージョン(FD)における所望電圧であるFD出力電圧をΔVFDと表す。
【0019】
また、以下の式を満足するように空乏化電圧VPD0が設定される。ただし、電荷蓄積容量の飽和電荷量をQMEMS、飽和電荷量QMEMSだけ電荷が蓄積されたときのフォトダイオード電圧をVPDQ、フォトダイオードの飽和電荷量をQPDMとする。
QPDM≧QMEMS×VPD0/(VPD0−VPDQ)
【0020】
本発明の他の局面における焦点検出装置用ラインセンサは、光電変換素子と、光電変換素子に蓄積された電荷を格納する電荷格納部と、光電変換素子に蓄積された電荷を電荷格納部に転送する電荷転送ゲートと、電荷格納部に転送された蓄積電荷を画素信号として出力する画素信号読み出し回路と、光電変換素子に蓄積される電荷を排出する電荷排出ゲートとを備え、電荷排出ゲートから排出される電荷数が、最大照度のときには光電変換素子に発生する電荷数より大きく、かつ、最小照度のときであって電荷格納部の飽和電荷量に相当する電荷が光電変換素子に蓄積された状態のときには光電変換素子に発生する電荷数よりも小さくなるように、電荷排出ゲートの閾値電圧および光電変換素子の空乏化電圧が定められることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明によれば、ブルーミングを抑制しながら、広いダイナミックレンジで焦点検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態であるデジタルカメラの模式的内部構成図である。
【図2】焦点検出部の基板配置を示した図である。
【図3】焦点検出部のブロック図である。
【図4】ラインセンサ、モニタセンサ、AGC回路の接続関係を示した図である。
【図5】ラインセンサ用画素信号読み出し回路の電気回路図である。
【図6】図5の画素信号読み出し回路の模式的な断面図である。
【図7】モニタセンサの電気回路図である。
【図8】被写体からの光を受けてフォトダイオードに電荷が蓄積されている状態を示した図である。
【図9】電荷がフォトダイオードから転送される状態を示した図である。
【図10】不要電荷がフォトダイオードから排出されている状態を示した図である。
【図11】フローティングディフュージョンのリセット状態を示した図である。
【図12】フローティングディフュージョンのリセット状態を示した図である。
【図13】電荷蓄積容量からフローティングディフュージョンへの電荷転送を示した図である。
【図14】電荷蓄積容量からフローティングディフュージョンへの電荷転送を示した図である。
【図15】アンチブルーミングゲート(ABG)を超えてフォトダイオードから流出する(リークする)電荷数とフォトダイオード電圧との関係を示した図である。
【図16】最大照度時の電荷流出を示した図である。
【図17】最小照度時の電荷流出を示した図である。
【図18】空乏化電圧と電荷蓄積容量の最大電圧との関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本実施形態について説明する。
【0024】
図1は、本実施形態であるデジタルカメラの模式的内部構成図である。
【0025】
一眼レフ型デジタルカメラ10は、本体12と、本体12に着脱自在な交換レンズ14とを備え、本体12内部には、ペンタゴナルダハプリズム(以下、ペンタプリズムという)16、クイックリターンミラー18、フォーカルプレーンシャッタ20、CCDなどの撮像素子22が設けられている。
【0026】
ROM36、RAM37、CPU38を含むシステムコントロール回路30は、カメラ10の撮影動作を制御し、周辺制御回路32、表示部33、AFモジュール24、測光IC23、EEPROM39等に制御信号を出力する。周辺制御回路32は、フォーカルプレーンシャッタ20、絞り(図示せず)、撮像素子22など露光機構を制御し、また、レンズメモリ13からレンズ情報を取得する。
【0027】
電源ボタン(図示せず)の操作によってカメラ10がON状態になると、撮影可能な撮影モードに設定される。撮影光学系15を通った光は、クイックリターンミラー18によってペンタプリズム16の方向へ導かれ、被写体像がピント板17に形成される。ユーザーは、ファインダ窓(図示せず)を通して被写体像を視認する。撮影のためレリーズボタン(図示せず)が半押しされると、ペンタプリズム16の傍に配置される測光IC23が、TTL測光方式に従い、被写体の明るさを検出する。また、クイックリターンミラー18の下方に配置されるAFモジュール24が、位相差方式に従って合焦状態を検出する。
【0028】
撮影光学系15を通った光の一部は、クイックリターンミラー18を透過し、サブミラー19によってAFモジュール24に導かれる。AFモジュール24は、コンデンサーレンズ26、セパレータレンズ27、視野マスク29、焦点検出部40を備え、撮像面(撮像素子22の受光面)と等価な位置(共役面)に配置された視野マスク29によって分割された被写体像は、セパレータレンズ27によって焦点検出部40に再結像される。焦点検出部40は、対になって投影された被写体像の画像信号を出力する。
【0029】
システムコントロール回路30は、AFモジュール24から送られてくる画像信号に基づき、デフォーカス量および焦点調節を行う。すなわち、AFモジュール24によって検出されるデフォーカス量およびピントずれの方向に従い、AFモータドライバ34へ制御信号を出力する。AFモータ35は、AFモータドライバ34からの駆動信号に基づき、撮影光学系15内のフォーカシングレンズをシフトさせる。合焦状態に達するまで一連の焦点検出、レンズ駆動が行われる。
【0030】
レリーズ半押し状態において焦点調整が行われ、被写体の明るさが検出されると、システムコントロール回路30は、露出値、すなわちシャッタースピードおよび絞り値を演算、決定する。そしてレリーズボタンが全押しされると、一連の記録動作処理が実行される。すなわち、クイックリターンミラー18、絞り、およびシャッタ20の動作によって被写体像が撮像素子22に形成され、1フレーム分の画像信号が撮像素子22から信号処理回路25へ出力される。信号処理回路25ではデジタル画像データが生成され、画像データがEEPROM39へ格納される。
【0031】
図2は、焦点検出部の基板配置を示した図である。
【0032】
焦点検出部40は、CMOS型ラインセンサを複数配設させた一体型基板によって構成される。焦点検出デバイス40の表面には、被写体像の縦方向に沿った基板上下方向にラインセンサ群EA1、EA2が設置され、被写体像の横方向に沿った基板左右方向にラインセンサ群EB1、EB2が設置されている。ラインセンサ群EA1、EA2、およびEBA1、EB2はそれぞれ基板中心部を挟んで互いに対向する。
【0033】
視野マスク29、コンデンサーレンズ26、セパレータレンズ27を含む結像光学系は、瞳分割によって2組の被写体像対を形成し、ラインセンサ群EA1、EA2の配置された投影領域、およびラインセンサ群EB1、EB2の配置された投影領域に対し、一対の被写体像をそれぞれ結像させる。
【0034】
各ラインセンサ群は、所定間隔で左右もしくは上下方向に並ぶ複数のラインセンサによって構成され、ラインセンサ群EA1、EA2のラインセンサは左右方向に沿って並列し、ラインセンサ群EB1、EB2のラインセンサは上下方向に沿って並列している。各ラインセンサは、複数のフォトダイオード、画素信号読み出し回路(ともにここでは図示せず)を備える。
【0035】
ラインセンサ群EA1は、9つのラインセンサLSA1〜LSA9によって構成されており、基準ラインセンサとして機能する。一方、ラインセンサ群EA2を構成するラインセンサLSA11〜LSA19は、参照ラインセンサとして機能する。同様に、ラインセンサ群EB1を構成するラインセンサLSB1〜LSB5は基準センサ、ラインセンサ群EB2を構成するラインセンサLSB6〜LSB10は参照ラインセンサとして機能する。
【0036】
ラインセンサ群EA1のLSA1〜LSA9、ラインセンサ群EB1のラインセンサLSB1〜LSB5の側には、電荷転送用の垂直シフトレジスタVSR1〜VSR9、VSS1〜VSS5が設置されており、ラインセンサ群EA2、EB2の各ラインセンサに対しても、垂直シフトレジスタVSR11〜VSR19、VSS6〜VSS10が同様に配置されている。
【0037】
ラインセンサ群EA1、EB1には、一連のモニタセンサLMA1〜LMA9、LMB1〜LMB5がそれぞれ対応するラインセンサの側に配置されている。モニタセンサLMA1〜LMA9、LMB1〜LMB5は、複数の微小センサをラインセンサに沿って並列させた構成であり、対応するラインセンサの領域を複数のエリアに分割してモニタリングする。
【0038】
モニタセンサLMA1〜LMA9は、それぞれラインセンサLSA1〜LSA9の側面に沿ってライン状に配置され、対応するラインセンサの受ける光量(光強度)と同じ光量を受け、光量に応じた信号をモニタ信号として出力する。モニタセンサLMB1〜LMB5も、ラインセンサLSB1〜LSB5の受光量をモニタリングするためモニタ信号を出力する。
【0039】
また、ラインセンサ群EA1、EB1の各モニタセンサの傍には、暗電流成分を検知するOB(Optical Black)モニタセンサOBA1〜OBA9、OBB1〜OBB5が配置されており、検出される暗電流成分に基づいてモニタセンサから出力されるモニタ信号が補正される。
【0040】
AGC回路42は、各モニタセンサから逐次出力されるモニタ信号値を閾値と比較し、オートゲインコントロールによってラインセンサの積分時間を制御する。閾値は、焦点検出に必要な光量が対象となるラインセンサに入射しているか否かを判断する指標値であり、ラインセンサのオーバフローを防ぐように設定されている。
【0041】
モニタ信号値が閾値を超えると、積分終了を示すモニタ信号が論理回路44に送られる。論理回路44は、対応するラインセンサ、すなわちモニタリング対象となっているラインセンサの電荷蓄積(積分)を終了させるための制御信号を出力する。ラインセンサに制御信号が送信されると、電荷蓄積が終了するとともに、一時的に電荷がラインセンサ内で格納される。
【0042】
ラインセンサの電荷蓄積時間は、ライセンサのモニタリング対象エリア毎に独立制御されており、被写体の光強度分布に応じて各ラインセンサの電荷蓄積時間が調整される。すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、各ラインセンサの垂直シフトレジスタ、および電荷転送機能をもつ列回路45、46の水平シフトレジスタによって画素信号が順番に読み出されていく。これにより、各ラインセンサの画素信号読み出し回路(ここでは図示せず)において蓄積電荷が電圧変換、増幅処理され、画素信号が出力される。
【0043】
各ラインセンサから読み出された一連の画素信号は、列回路45、46においてノイズ除去処理、増幅処理される。そして、一連の画素信号は、被写体像の画像信号としてシステムコントロール回路30へ送られる。システムコントロール回路30では、対になっているラインセンサ群の画像信号に基づいて位相差が検出され、デフォーカス量が求められる。
【0044】
図3は、焦点検出部のブロック図である。図4は、ラインセンサ、モニタセンサ、AGC回路の接続関係を示した図である。図3、図4を用いて、ラインセンサの電荷蓄積時間(積分時間)の制御について説明する。
【0045】
なお、図3では、垂直方向に沿って延びるラインセンサ対LSA5、LSA15、水平方向に沿って延びるラインセンサ対LSB3、LSB8と、それに応じたモニタセンサLMA5およびLMB3のみを図示し、それ以外のラインセンサ、モニタセンサは省略している。また、図4では、ラインセンサの電荷蓄積終了タイミングをわかりやすく説明のため、図2に示す実際の配置とは異なる配置でラインセンサ、モニタセンサを図示している。
【0046】
ラインセンサLSA5は、ラインセンサ用画素信号読み出し回路PSA5を挟んで向かい合うフォトダイオード対を上下方向に沿って並べた構成であり、ラインセンサ用画素信号読み出し回路によって各フォトダイオードから電荷が読み出される。他のラインセンサLSA15、LSB3、LSB8も同様に画素信号読み出し回路PSA15、PSB3、PSB8を挟んで向かい合うフォトダイオード対を並列させた構成になっている。
【0047】
ラインセンサLSA5の傍に配置されたモニタセンサLMA5は、フォトダイオードを有する微小センサを垂直方向に沿って複数個並べた構成であり、モニタセンサ用画素信号読み出し回路(ここでは図示せず)によって蓄積電荷が読み出される。ラインセンサLSB3の傍に配置されたモニタセンサLSB3も同様の構成になっている。
【0048】
AGC回路42HSは、モニタセンサLMB3から出力されるモニタ信号の電圧レベルが閾値を超えるか否かを検知し、閾値に達すると電荷蓄積(積分)終了を知らせるモニタ信号を論理回路44に出力する。モニタリング対象となっているラインセンサLSB3の電荷蓄積時間(積分時間)は、AGC回路42HSによって調整される。AGC回路42HSの閾値は、ラインセンサLSB3のダイナミックレンジを考慮した値に設定されており、論理回路44からのVMS信号によって設定される。モニタセンサLMA5をモニタリングするAGC回路42V5も同様の構成である。
【0049】
図4では、1つのラインセンサLSB3を図示している。対向位置にあるモニタセンサLMB3は、それぞれフォトダイオードを有する複数の微小センサから構成されており、ここでは、便宜上3つの微小センサM1〜M3、M4〜M6、M7〜M9から構成されるものとする。
【0050】
上述したように、ラインセンサLSB3は、多数のフォトダイオード対を配列させた構成であり、モニタセンサLMB3の微小センサM1〜M9は、それぞれ割り当てられた所定数のフォトダイオードの領域についてモニタリングを行っている。
【0051】
ここでは、3つの測距ゾーンSZ1〜SZ3がラインセンサLSB3に対して規定されており、AGC回路42HSは、モニタセンサM1〜M3、M4〜M6、M7〜M9とそれぞれ接続されるモニタセンサ群42H31、42H32、42H33から構成されており、測距ゾーンSZ1〜SZ3の積分時間をそれぞれ調整する。モニタセンサ群42H31、42H32、42H33は、微小センサM1〜M3、M4〜M6、M7〜M9からの出力信号をそれぞれ検知するため、測距ゾーンSZ1〜SZ3に合わせて3つのモニタセンサ検出部AGC1〜AGC3、AGC4〜AGC6、AGC7〜AGC9をそれぞれ備えている。
【0052】
ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ1を例に挙げると、瞳分割による一対の被写体像が焦点検出部40に投影されると、ラインセンサLSA1の測距ゾーンSZ1およびモニタセンサM1〜M3に電荷が蓄積される。3つの微小センサM1〜M3に入力される光量は、被写体の明るさ分布によってそれぞれ異なるため、モニタセンサ検出部AGC1〜AGC3が積分終了を知らせるモニタ信号を出力するタイミングは異なる。
【0053】
例えば、モニタセンサM1〜M3の微小センサM1に強い光が入射する一方で微小センサM2、M3に入射する光が弱い場合、検出部AGC1に入力するモニタ信号の電圧値が検出部AG2、AG3よりも先に閾値を超え、電荷蓄積終了を知らせるモニタ信号を論理回路44へ出力する。
【0054】
論理回路44は、検出部AGC1から終了信号を受けると、ラインセンサLSB3の測距ゾーンの電荷蓄積を終了させる。ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ1の各フォトダイオードに蓄積された電荷は、電荷蓄積容量(ここでは図示せず)に一時的に格納される。検出部AGC2、あるいは検出部AGC3が最も早く積分終了のモニタ信号を出力した場合も、ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ1の電荷蓄積が同様に終了する。
【0055】
このようなラインセンサの電荷蓄積が、ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ2、SZ3についても、同じように行われる。すなわち、微小センサM4〜M6、M7〜M9のいずれかにおいて閾値を超えるモニタ信号が出力されると、ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ2、SZ3の電荷蓄積をその時点で終了する。
【0056】
すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると(あるいはその前に所定時間が経過すると)、各ラインセンサから画素信号が出力される。上下方向にあるラインセンサ群EA1、EA2(図2参照)から出力される画素信号は、列回路46に転送される(図2、3参照)。一方、左右方向にあるラインセンサ群EB1、EB2から出力される画素信号は、列回路45へ転送される。
【0057】
列回路45、46においては、出力された画素信号に対してノイズ除去、増幅処理が画素信号に対して行われる。これにより、ラインセンサ群EA1、EA2に対する一対の被写体像に応じた画像信号は、オフセット回路64においてオフセットされた後、出力切替回路66を通じてシステムコントロール回路30へ出力される。一方、ラインセンサ群EB1、EB2に対する一対の被写体像に応じた画像信号は、オフセット回路62においてオフセットされた後、出力切替回路68を通じてシステムコントロール回路30へ出力される。
【0058】
システムコントロール回路30は、論理回路44の動作を制御するとともに、各AGC回路からのモニタ信号を選択的に検知する。モニタ出力選択回路56では、システムコントロール回路30により指定されたモニタ信号が出力され、出力切替回路68からシステムコントロール回路30に送られる。また、OBモニタ出力選択回路52から選択的に出力されるOBモニタ信号は、出力切替回路66を介してシステムコントロール回路30に送られる。なお、OBモニタ信号、モニタ信号は、レベルシフト回路53、55によってそれぞれ出力信号の基準電位がシフトされる。
【0059】
論理回路44は、ラインセンサの電荷蓄積を終了させるとき、選択回路58を通じて電荷蓄積終了を知らせる信号をシステムコントロール回路30に出力する。また、すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、選択回路60を通じて電荷蓄積終了を知らせる信号をシステムコントロール回路30へ送る。システムコントロール回路30は、これらのモニタ信号、終了信号に基づいて、各ラインセンサの積分時間、AGC回路のゲインを制御する。
【0060】
図5は、ラインセンサ用画素信号読み出し回路の電気回路図である。図6は、図5の画素信号読み出し回路の模式的な断面図である。図7は、モニタセンサの電気回路図である。
【0061】
図5には、ラインセンサLSB3における一組のフォトダイオード対120Aj、120Bjおよびそれに接続されるラインセンサ用画素信号読み出し回路130jに関する回路構成を示している。フォトダイオード対120Aj、120Bjは、ともにラインセンサ用画素信号読み出し回路130jと接続されている。
【0062】
ラインセンサ用画素信号読み出し回路130jは、不要電荷の掃き出しをスイッチ制御するアンチブルーミングゲート(ABG)121A、121B、一時的に電荷を格納する電荷蓄積容量(MEM)124A、124B、フォトダイオード対120Aj、120Bjに蓄積された電荷を電荷蓄積容量124A、124Bに転送する転送ゲート(TG)122A、122Bを備える。
【0063】
さらに、ラインセンサ用画素信号読み出し回路130jは、FDA(Floating Diffusion Amplifier)に基づく電荷検出機構を備え、電荷注入されるフローティングディフュージョン(FD)125、電荷蓄積容量124A、124Bの蓄積電荷を転送するフローティングディフュージョンゲート(FDG)123A、123B、リセットゲート(RG)26、ソースフォロアアンプ127、および選択ゲート128を備える。
【0064】
図6には、フォトダイオード120Aj付近の焦点検出部40の基板断面が図示されている。n−sub基板の上にp型層(p−well)を形成し、その上にpn接合のフォトダイオード120Ajが構成される。また、フォトダイオード120Ajの表面にp+層を形成することにより、埋め込み型フォトダイオードが構成される。電荷蓄積容量124Aも同様のMOS型ダイオードの構成になっている。
【0065】
なお、フォトダイオード120Ajの上方には開口部(図示せず)が設けられており、開口部を除く部分を遮光膜で覆うことによってフォトダイオード120Aj以外の光入射が防止されている。
【0066】
アンチブルーミングゲート(ABG)121A、転送ゲート(TG)122A、フローティングディフュージョンゲート(FDG)123A、リセットゲート(RG)124Aは、それぞれ表面に電荷転送電極(ゲート電極)を配設したトランジスタによって構成されており、それぞれ電荷読み出しタイミングに合わせてパルス信号が入力される。
【0067】
転送ゲート(TG)122A、フローティングディフュージョンゲート(FDG)123Aの開閉により、電荷蓄積容量124A、およびn+層から成るフローティングディフュージョン(FD)125にそれぞれ電荷が転送される。また、アンチブルーミングゲート(ABG)121Aの開閉により、フォトダイオード120Ajの不要電荷が、n+層129を介してドレインとなる電源VDDAに掃き出される。
【0068】
図7には、フォトダイオード120Ajをモニタリングする微小センサ140mを示している。フォトダイオード142に接続されるモニタセンサ用画素信号読み出し回路144は、アンチブルーミングゲート(ABG)151、転送ゲート(TG)152、リセットゲート(RG)154、さらには電荷蓄積容量(MEM)153、ソースフォロアアンプ155を備える。
【0069】
被写体からの光がラインセンサに到達すると、フォトダイオード120Aj、120Bjの光電変換によって信号電荷(画素信号)が生じ、光量に応じて電荷が蓄積されていく。一方、モニタセンサ140mの光電変換部142に生じる信号電荷は、電荷蓄積153を介して図2、3に示したAGC回路へ随時出力される。
【0070】
モニタ信号が閾値を超えると、フォトダイオード120Ajの電荷蓄積が終了し、蓄積電荷は転送ゲート122A、122Bを通って電荷蓄積容量123A、123Bに一時的に転送される。他のフォトダイオード対の電荷蓄積がすべて終了するまで、蓄積電荷は電荷蓄積容量123A、123Bにそれぞれ保存される。
【0071】
他のラインセンサの電荷蓄積が終了すると、フォトダイオード120Aj、120Bjにおいて生じ、電荷蓄積容量123A、123Bにそれぞれ格納されていた電荷は、別々に、または混合されてフローティングディフュージョン(FD)125に注入される。そして、ソースフォロアアンプ127によって画素信号(電圧信号)が出力される。画素信号が出力されると、リセットゲート126の動作によってフローティングディフュージョン124がリセットされる。
【0072】
次に、図8〜図14を用いて電荷生成〜画素信号読み出しまでのフローを説明する。図8〜図14では、図6に示した回路断面に合わせて基板の各構成要素の電位状態を示している。
【0073】
図8は、被写体からの光を受けてフォトダイオードに電荷が蓄積されている状態を示した図である。フォトダイオード120Ajに電荷が蓄積されていないときの空乏化電圧をVPD0で表し、焦点検出部40の基板表面を基準電圧0とする。
【0074】
電荷蓄積中、アンチブルーミングゲート(ABG)121A、転送ゲート(TG)122Aはローレベルであり、フォトダイオード120Ajに電荷が蓄積されていく。電荷蓄積の間、ABG121Aを通って電荷が排出されないように、ABG121Aはローレベル、OFF状態に設定されている。ABG121Aのローレベルにおける電圧(以下、閾値電圧という)Vtは、電荷蓄積中に電気的障壁となって電荷漏出を防ぐ一方、過剰な光によって発生する不要電荷に対してはABG121Aの障壁を越えて十分排出されるように設定されている。
【0075】
図9は、電荷がフォトダイオードから転送される状態を示した図である。フォトダイオード120Ajの電荷蓄積が終了すると、転送ゲート(TG)122Aがハイレベル、すなわちON状態となる。これにより、フォトダイオード120Ajに蓄積された電荷が電荷蓄積容量124Aへ一時的に格納される。
【0076】
図10は、不要電荷がフォトダイオードから排出されている状態を示した図である。電荷が電荷蓄積容量124Aに転送されると、ブルーミングが生じないようにABG121Aがハイレベルとなる。これにより、フォトダイオード120Ajに発生する不要電荷は排出される。
【0077】
図11、12は、フローティングディフュージョンのリセット状態を示した図である。リセットゲート(RG)126をハイレベルに切り替えることによって、フローティングディフュージョン125の電位を初期状態にリセットし、リセットゲート(RG)126を再びローレベルにしてリセット電圧Vrstを検知する。
【0078】
図13、14は、電荷蓄積容量からフローティングディフュージョンへの電荷転送を示した図である。フローティングディフュージョンゲート(FDG)125をハイレベルにすることによって、電荷蓄積容量124Aに保存されていた電荷がフローティングディフュージョン(FD)125に転送される。そして、フローティングディフュージョンゲート(FDG)125を再びローレベルに切り替えることによって、フローティングディフュージョン(FD)125の電圧変化が画素信号の電圧として検出される。
【0079】
図15は、アンチブルーミングゲート(ABG)を超えてフォトダイオードから流出する(リークする)電荷数とフォトダイオード電圧との関係を示した図である。図16は、最大照度時の電荷流出を示した図である。図17は、最小照度時の電荷流出を示した図である。図15〜図17を用いて、アンチブルーミングゲート(ABG)の閾値電圧設定について説明する。
【0080】
図15に示すグラフでは、横軸をフォトダイオードの電圧VPD(V)、縦軸をアンチブルーミングゲート(ABG)からのリーク電子数(以下では、流出電荷数という)LQ(e−/s)とし、フォトダイオード電圧VPDと流出電荷数LQとの関係をグラフ化している。フォトダイオード電圧VPDは、電荷が蓄積されていないとき、すなわち光が照射されないときの空乏化電圧VPD0が最大となり、光強度が大きくなるに従ってフォトダイオード電圧VPDが下がっていく。
【0081】
フォトダイオード電圧VPDと流出電荷数LQは指数関数の関係にあり、フォトダイオード電圧VPD(蓄積電荷)が大きくなるほど流出電荷数LQも多くなる。アンチブルーミングゲート(ABG)の閾値電圧Vtと空乏化電圧VPD0が定められると、フォトダイオード電圧VPDと流出電荷数LQの関係は、図15に示す直線Lsに従う。すなわち、あるフォトダイオード電圧VPDにおける流出電荷数LQは直線Lsによって求められる。
【0082】
ここでは、空乏化電圧VPD0=1V、飽和電荷量のフォトダイオード電圧(以下、飽和フォトダイオード電圧という)VPDQ=0V、閾値電圧VtがVts(=0.5V)のときに直線Lsが規定される。フォトダイオード電圧VPDと流出電荷数LQの関係を示す直線Lsは、ラインセンサの性能特性、空乏化電圧VPD0、閾値電圧Vtsを変えることによって直線の傾き(比例の大きさ)、切片も変わる。
【0083】
閾値電圧Vtは電荷がアンチブルーミングゲート(ABG)を超えるときの障壁の大きさを示すことから、閾値電圧Vtの大きさによって流出電荷数LQも変化する。閾値電圧Vtが大きくなると、電荷がフローティングディフュージョンゲート(ABG)の障壁を越えにくくなって流出電荷数LQが下がる。逆に、閾値電圧Vtが小さく設定されると電荷がフローティングディフュージョンゲート(ABG)から容易に漏れ出る。
【0084】
図16では、非常に強い光によるフォトダイオードの蓄積電荷を示している。強い光によってフォトダイオードの飽和電荷量QPDm付近まで電荷が蓄積されると、電荷がフォトダイオードから溢れやすくなる。そのため、転送ゲート(TG)へ漏れることなくアンチブルーミングゲート(ABG)を介して電荷を流出させるような閾値電圧Vtを設定しなければならない。
【0085】
一方、図17では、非常に弱い光によるフォトダイオードの蓄積電荷を示している。光強度が小さい場合であっても、一部電荷はフローティングディフュージョンゲート(ABG)の障壁を超えて流出する。弱い光のときに流出電荷数LQを極力抑えなければ、AGC回路の閾値電圧付近までフォトダイオードに電荷が蓄積されても、フォトダイオードに発生する電荷数を上回るペースで電荷が流出してしまい、いつまでもAGC回路の閾値に応じた電荷数まで電荷が蓄積されない。すなわち、電荷蓄積容量(MEM)の飽和電荷量QMEMSに相当する電荷がフォトダイオードに蓄積された状況でリークする電荷数を抑えなければならない。
【0086】
このように、照度が非常に大きいときには発生する過剰電荷を十分排出し、照度が非常に小さい場合にはリークする電荷数を十分に小さくしなければならない。そのため、閾値電圧Vtを、最大照度のときフォトダイオードに発生する電荷数Qmaxと最小照度のときフォトダイオードに発生する電荷数Qminを考慮した値に設定する。
【0087】
ただし、最大照度は、フォトダイオードのリニア出力可能な限界照度であり、フォトダイオードの性能特性によってあらかじめ定められている。最小照度は、光電変換可能な限界照度を示し、同様にフォトダイオードの性能特性によって規定される。
【0088】
図15の直線Lsは、最大照度のときにアンチブルーミングゲート(ABG)を通って流出する電荷数が、発生電荷数Qmaxと等しい。上述したように、直線Lsの閾値電圧Vtsをさらに小さくすると、流出電荷数が増加するために直線Lsは上に移動する。したがって、直線Lsの閾値電圧Vtsよりも小さい閾値電圧Vtを設定することにより、最大照度のときに発生する余剰電荷はアンチブルーミングゲート(ABG)を介して排出され、電荷蓄積容量などに流入しない。
【0089】
一方、最小照度のときの閾値電圧Vtの限度を考えると、電荷蓄積容量の飽和電荷量分だけフォトダイオードに電荷が蓄積されている状態で限界となる閾値電圧Vtを設定する必要がある。光強度が非常に小さい場合、長い露光期間かけて電荷蓄積容量の飽和電荷量QMEMsにまで達する。この状況でフォトダイオードに発生する電荷数以上にフォトダイオードの蓄積電荷がABGを介して漏れ出てしまうと、最小照度の条件下でいつまでも蓄積電荷を転送可能な状況にならない。
【0090】
したがって、フォトダイオード電圧VPDが電荷蓄積容量(MEM)の飽和電荷量QMEMSに相当する飽和フォトダイオード電圧VPDQであるとき(図15参照)、フォトダイオードに発生する最小照度時の電荷数Qminと比べて漏出する電荷数は十分小さくなければならない。
【0091】
図15に示す直線Lmは、閾値電圧Vtm、空乏化電圧V’PD0に従って定められており、フォトダイオード電圧VPDが飽和フォトダイオード電圧VPDQであるときの流出電荷数LQは、最小照度時の発生電荷数Qminと等しい。したがって、直線Lmの閾値電圧Vtmよりも大きい閾値電圧Vtを設定することにより、漏出する電荷数を発生電荷数よりも少なくすることができる。
【0092】
直線Lmと直線Lsに挟まれた領域TRは、最大照度、最小照度のとき必要とされる条件を満足する。したがって、フォトダイオード電圧VPDと流出電荷数LQの比例関係が領域TRに収まるように、フォトダイオードの空乏化電圧VPD0、アンチブルーミングゲート(ABG)の閾値電圧Vtを定めればよい。
【0093】
しかしながら、広いダイナミックレンジを確保するためには、最小照度のときの流出電荷数LQを、発生電荷数Qminの1/100倍以下に抑えることが望まれる。この場合、流出電荷数LQが1/100倍になる直線Lnと直線Lsに挟まれた領域TSに収まるように、フォトダイオードの空乏化電圧VPD0、アンチブルーミングゲート(ABG)の閾値電圧Vtが設定される。
【0094】
このような条件に基づいて設定されたアンチブルーミングゲート(ABG)の閾値電圧Vtとフォトダイオードの空乏化電圧VPD0は、アンチブルーミングの発生防止と広いダイナミックレンジ確保の両方を満足する。その一方で、焦点検出部40の基板川迫にお家は、以下に述べる条件を満足する空乏化電圧VPD0が求められる。
【0095】
図18は、空乏化電圧と電荷蓄積容量の最大電圧との関係を示した図である。電荷蓄積容量の飽和電荷量に相当する電圧ΔVMEMmaxと、空乏化電圧VPD0と、リセット電圧Vrstと、FD出力電圧ΔVFDは、以下の関係式を満たす必要がある。ただし、FD出力電圧ΔVFDは、フローティングディフュージョン(FD)における所望電圧を示す。
ΔVMEMmax≦Vrst−(VPD0+ΔVFD) ・・・・(1)
【0096】
(1)式は、図18に示す電位差ΔVGがあることを要求し、上記(1)式を満たすように、空乏化電圧が設定される。
【0097】
さらに、以下の式を満足するように空乏化電圧VPD0が設定される。ただし、電荷蓄積容量の飽和電荷量をQMEMS、飽和電荷量QMEMSだけ電荷が蓄積されたときのフォトダイオード電圧をVPDQ、フォトダイオードの飽和電荷量をQPDMとする。
QPDM≧QMEMS×VPD0/(VPD0−VPDM) ・・・・(2)
【0098】
(2)式は、フォトダイオードの飽和電荷量QPDMが電荷蓄積容量(MEM)の飽和電荷量QMEMSよりも十分大きいか、すなわち、フォトダイオードが電荷蓄積容量と比べて十分に電荷を蓄積できるか否かを判別する。
【0099】
このように本実施形態によれば、AFモジュール24の焦点検出部40の基板表面には、複数のラインセンサから成るクロス状のラインセンサ群EA1、EA2、EB1、EB2を構成し、ラインセンサ群EA1、EA2の各ラインセンサに傍にはラインセンサの入射光をモニタリングするモニタセンサMA1〜MA9、MB1〜MB5を配置させる。
【0100】
各ラインセンサを構成する複数のフォトダイオードおよびラインセンサ用画素信号読み出し回路では、余剰電荷を切替制御によって排出するアンチブルーミングゲート(ABG)をフォトダイオードの傍に設け、フォトダイオードに電荷を蓄積している間、アンチブルーミングゲート(ABG)は電荷リークの障壁となる。
【0101】
そして、アンチブルーミングゲートの閾値電圧Vt、およびフォトダイオードの空乏化電圧VPD0は、最大照度時の発生電荷数Qmaxよりもアンチブルーミングゲート(ABG)を通って排出される流出電荷数LQの方が多く、かつ、最小照度時であって電荷蓄積容量(MEM)の飽和電荷量QMEMSだけフォトダイオードに電荷蓄積された状態で発生する電荷数Qminよりも流出電荷数LQが少なくなるように、規定される。
【0102】
焦点検出の場合、イメージセンサとは異なり、各ラインセンサの電荷蓄積時間は別々に制御され、また、エッジ部分などの輝度変化を弱い光強度でも検出する必要があるため、広いダイナミックレンズが必要とされる。本実施形態によれば、ラインセンサのダイナミックレンジを十分広く設定してもブルーミングが生じず、光強度に関係なくフォトダイオードの蓄積電荷を出力し、各画素の輝度レベルを精度よく出力することが可能となる。
【0103】
測距については、多点測距、あるいは画面中心部のみ測距するように構成してもよく、ラインセンサ数、ラインセンサ群の数、および、ラインセンサの配列方向は任意である。また、一眼レフ型カメラ以外のカメラに適用してもよく、携帯電話などカメラ機能を備えた撮影装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0104】
10 一眼レフ型デジタルカメラ
24 AFモジュール(焦点検出装置)
40 焦点検出部
120Aj、120Bj フォトダイオード(光電変換素子)
121A アンチブルーミングゲート(電荷排出ゲート)
122A 転送ゲート
124A 電荷蓄積容量(電荷格納部)
Vt 閾値電圧
VPD0 空乏化電圧
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフ型カメラなどの撮影装置に搭載される焦点検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフ型カメラでは、自動焦点調節(AF)機構として位相差方式の焦点検出装置が搭載されている。焦点検出装置の被写体像が投影されるエリアには、ラインセンサをそれぞれ並列させた複数のラインセンサ群が2つ1組となって2次元的に配置されている。各ラインセンサは、複数のフォトダイオードを並列させた配置構成であり、各フォトダイオードに生じる信号電荷は画素信号として読み出される。
【0003】
通常、ラインセンサは電荷蓄積型センサであり、ラインセンサの傍に配置されるモニタセンサによって電荷蓄積時間が調整される(例えば、特許文献1、2参照)。ラインセンサの各フォトダイオードの受ける光量は被写体の明るさ分布によって異なるため、ラインセンサの電荷蓄積時間はそれぞれ独立して制御されている。
【0004】
フォトダイオードなどの光電変換素子を備えたモニタセンサは、モニタ対象となっているフォトダイオードの光強度(光量)をリアルタイムで検出する。モニタセンサから出力される信号が所定の閾値を超えると、対応するラインセンサの電荷蓄積(積分)を終了させる。これにより、フォトダイオードがダイナミックレンジを超える光を受光してオーバフローするのを防ぐ。
【0005】
ラインセンサに蓄積された電荷は、一時的にキャパシタ等のメモリ部に格納される。すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、一連の画素信号が被写体像の画像信号として出力され、デフォーカス量を求める演算処理が行われる。
【0006】
強い光の入射によってフォトダイオードの飽和電荷量を超えた電荷が生成されると、光電変換素子から電荷が溢れ出し、隣接画素へ流出する、いわゆるブルーミング現象が生じる。また、電荷を転送してからフォトダイオードに生じる電荷が電荷蓄積部に漏れることによっても、同様の問題が生じる。
【0007】
このようなブルーミングを防ぐため、CMOSセンサなどのアドレス型撮像素子では、光電変換部に生じた不要電荷を排出する制御スイッチ、すなわちアンチブルーミングゲート(ABG)が配設される(特許文献3参照)。
【0008】
露光期間においてABGはOFF状態であり、ABGが障壁となって蓄積電荷は排出されることなく、過剰な光によって生じた不要電荷はABGの障壁を越えてドレインなどに排出される。蓄積電荷が転送された状態になると、ABGがON状態に切り替えられる。そのため、電荷転送の後生成された不要電荷はそのままABGを通って排出され、隣接画素へ流出することを防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−145792号公報
【特許文献2】特開2004−272238号公報
【特許文献3】特開2004−111590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、各ラインセンサの光電変換素子の電荷蓄積時間は被写体の明るさ分布に応じてバラツキがあり、被写体の非常に明るい部分と暗い部分どちらも検出する必要がある。そのため、非常に広いダイナミックレンジが焦点検出装置の光電変換素子に要求される。このことは、引用文献2のような各光電変換素子の電荷蓄積時間が一定であるイメージセンサと大きく相違する。
【0011】
したがって、焦点検出装置に使用されるラインセンサでは、光量が極端に少ないときに電荷漏れを極力無くし、光量が過剰なときには不要電荷を十分に排出できるように構成しなければならない。すなわち、幅広いダイナミックレンジで焦点検出を可能にするため、ABGなどの電荷排出ゲートによる電荷流出の障壁をより精緻に設定しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の焦点検出装置は、被写体像の投影領域に並ぶ複数のラインセンサと、複数のラインセンサの側にそれぞれ配置され、それぞれ対応するラインセンサの受光量をモニタリングする複数のモニタセンサと、複数のラインセンサに蓄積された電荷に基づいて被写体像の画像信号を出力する画像信号出力手段とを備える。例えば、焦点検出装置は一眼レフ型カメラなどの撮影装置に適用される。また、ラインセンサは、例えばCMOSセンサなどアドレス型撮像素子によって構成される。
【0013】
本発明のラインセンサは、フォトダイオードなどの光電変換素子と、光電変換素子に蓄積された電荷を格納する電荷格納部と、光電変換素子に蓄積された電荷を電荷格納部に転送する電荷転送ゲートと、光電変換素子に蓄積される電荷を排出する電荷排出ゲートとを備える。電荷排出ゲートは、露光期間中に電荷流出の電気的障壁を形成し、例えば、光電変換素子に関して電荷格納部の反対側にトランジスタなどで構成される電荷排出ゲートが設けられ、露光期間中はゲートを閉じた状態に設定される。
【0014】
本発明では、ラインセンサの電荷排出ゲートの電気的障壁が所定条件に基づいて定められる。すなわち、電荷排出ゲートから排出される電荷数が、最大照度のときには光電変換素子に発生する電荷数より大きく、かつ、最小照度のときであって電荷格納部の飽和電荷量に相当する電荷が光電変換素子に蓄積された状態のときには光電変換素子に発生する電荷数よりも小さくなるように、電荷排出ゲートの閾値電圧および光電変換素子の空乏化電圧が定められる。
【0015】
ここで、閾値電圧は、電荷流出の電気的障壁を規定する電荷排出ゲートの電位を示し、空乏化電圧は、電荷が蓄積されていないときの光電変換素子の電位を示す。また、最大照度、最小照度は、ラインセンサの性能特性などによってあらかじめ定められている。
【0016】
本発明では、露光期間中に電気的障壁を形成する電荷排出ゲートから流出する電荷数が、非常に強い光、弱い光どちらによっても適正なものとなるように設定されている。オーバフローが生じるような露光量になっても不要電荷排出ゲートを通って不要電荷が十分に排出されるため、ブルーミングの発生を防ぐことが可能となり、また、光量が非常に少ない場合には流出する電荷数が十分に少ないため、ラインセンサの電荷蓄積期間を適切な期間で終了させることが可能となり、ダイナミックレンジの広い焦点検出が行われる。
【0017】
照度が低いときにはできる限り流出する電荷数を抑えるのが望ましい。そのため、最小照度のときであって電荷格納部の飽和電荷量に相当する電荷が光電変換素子に蓄積された状態のときには、光電変換素子に発生する電荷数の1/10、さらには1/100以下となるように、電荷排出ゲートの閾値電圧および光電変換素子の空乏化電圧を定めるのがよい。
【0018】
例えば、空乏化電圧が以下の式を満たすように設定される。
ΔVMEMmax≦Vrst−(VPD0+ΔVFD)
ただし、電荷格納部の飽和電荷量に相当するフォトダイオード電圧をΔVMEMmax、空乏化電圧をVPD0、リセット電圧をVrst、フローティングディフュージョン(FD)における所望電圧であるFD出力電圧をΔVFDと表す。
【0019】
また、以下の式を満足するように空乏化電圧VPD0が設定される。ただし、電荷蓄積容量の飽和電荷量をQMEMS、飽和電荷量QMEMSだけ電荷が蓄積されたときのフォトダイオード電圧をVPDQ、フォトダイオードの飽和電荷量をQPDMとする。
QPDM≧QMEMS×VPD0/(VPD0−VPDQ)
【0020】
本発明の他の局面における焦点検出装置用ラインセンサは、光電変換素子と、光電変換素子に蓄積された電荷を格納する電荷格納部と、光電変換素子に蓄積された電荷を電荷格納部に転送する電荷転送ゲートと、電荷格納部に転送された蓄積電荷を画素信号として出力する画素信号読み出し回路と、光電変換素子に蓄積される電荷を排出する電荷排出ゲートとを備え、電荷排出ゲートから排出される電荷数が、最大照度のときには光電変換素子に発生する電荷数より大きく、かつ、最小照度のときであって電荷格納部の飽和電荷量に相当する電荷が光電変換素子に蓄積された状態のときには光電変換素子に発生する電荷数よりも小さくなるように、電荷排出ゲートの閾値電圧および光電変換素子の空乏化電圧が定められることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明によれば、ブルーミングを抑制しながら、広いダイナミックレンジで焦点検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態であるデジタルカメラの模式的内部構成図である。
【図2】焦点検出部の基板配置を示した図である。
【図3】焦点検出部のブロック図である。
【図4】ラインセンサ、モニタセンサ、AGC回路の接続関係を示した図である。
【図5】ラインセンサ用画素信号読み出し回路の電気回路図である。
【図6】図5の画素信号読み出し回路の模式的な断面図である。
【図7】モニタセンサの電気回路図である。
【図8】被写体からの光を受けてフォトダイオードに電荷が蓄積されている状態を示した図である。
【図9】電荷がフォトダイオードから転送される状態を示した図である。
【図10】不要電荷がフォトダイオードから排出されている状態を示した図である。
【図11】フローティングディフュージョンのリセット状態を示した図である。
【図12】フローティングディフュージョンのリセット状態を示した図である。
【図13】電荷蓄積容量からフローティングディフュージョンへの電荷転送を示した図である。
【図14】電荷蓄積容量からフローティングディフュージョンへの電荷転送を示した図である。
【図15】アンチブルーミングゲート(ABG)を超えてフォトダイオードから流出する(リークする)電荷数とフォトダイオード電圧との関係を示した図である。
【図16】最大照度時の電荷流出を示した図である。
【図17】最小照度時の電荷流出を示した図である。
【図18】空乏化電圧と電荷蓄積容量の最大電圧との関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本実施形態について説明する。
【0024】
図1は、本実施形態であるデジタルカメラの模式的内部構成図である。
【0025】
一眼レフ型デジタルカメラ10は、本体12と、本体12に着脱自在な交換レンズ14とを備え、本体12内部には、ペンタゴナルダハプリズム(以下、ペンタプリズムという)16、クイックリターンミラー18、フォーカルプレーンシャッタ20、CCDなどの撮像素子22が設けられている。
【0026】
ROM36、RAM37、CPU38を含むシステムコントロール回路30は、カメラ10の撮影動作を制御し、周辺制御回路32、表示部33、AFモジュール24、測光IC23、EEPROM39等に制御信号を出力する。周辺制御回路32は、フォーカルプレーンシャッタ20、絞り(図示せず)、撮像素子22など露光機構を制御し、また、レンズメモリ13からレンズ情報を取得する。
【0027】
電源ボタン(図示せず)の操作によってカメラ10がON状態になると、撮影可能な撮影モードに設定される。撮影光学系15を通った光は、クイックリターンミラー18によってペンタプリズム16の方向へ導かれ、被写体像がピント板17に形成される。ユーザーは、ファインダ窓(図示せず)を通して被写体像を視認する。撮影のためレリーズボタン(図示せず)が半押しされると、ペンタプリズム16の傍に配置される測光IC23が、TTL測光方式に従い、被写体の明るさを検出する。また、クイックリターンミラー18の下方に配置されるAFモジュール24が、位相差方式に従って合焦状態を検出する。
【0028】
撮影光学系15を通った光の一部は、クイックリターンミラー18を透過し、サブミラー19によってAFモジュール24に導かれる。AFモジュール24は、コンデンサーレンズ26、セパレータレンズ27、視野マスク29、焦点検出部40を備え、撮像面(撮像素子22の受光面)と等価な位置(共役面)に配置された視野マスク29によって分割された被写体像は、セパレータレンズ27によって焦点検出部40に再結像される。焦点検出部40は、対になって投影された被写体像の画像信号を出力する。
【0029】
システムコントロール回路30は、AFモジュール24から送られてくる画像信号に基づき、デフォーカス量および焦点調節を行う。すなわち、AFモジュール24によって検出されるデフォーカス量およびピントずれの方向に従い、AFモータドライバ34へ制御信号を出力する。AFモータ35は、AFモータドライバ34からの駆動信号に基づき、撮影光学系15内のフォーカシングレンズをシフトさせる。合焦状態に達するまで一連の焦点検出、レンズ駆動が行われる。
【0030】
レリーズ半押し状態において焦点調整が行われ、被写体の明るさが検出されると、システムコントロール回路30は、露出値、すなわちシャッタースピードおよび絞り値を演算、決定する。そしてレリーズボタンが全押しされると、一連の記録動作処理が実行される。すなわち、クイックリターンミラー18、絞り、およびシャッタ20の動作によって被写体像が撮像素子22に形成され、1フレーム分の画像信号が撮像素子22から信号処理回路25へ出力される。信号処理回路25ではデジタル画像データが生成され、画像データがEEPROM39へ格納される。
【0031】
図2は、焦点検出部の基板配置を示した図である。
【0032】
焦点検出部40は、CMOS型ラインセンサを複数配設させた一体型基板によって構成される。焦点検出デバイス40の表面には、被写体像の縦方向に沿った基板上下方向にラインセンサ群EA1、EA2が設置され、被写体像の横方向に沿った基板左右方向にラインセンサ群EB1、EB2が設置されている。ラインセンサ群EA1、EA2、およびEBA1、EB2はそれぞれ基板中心部を挟んで互いに対向する。
【0033】
視野マスク29、コンデンサーレンズ26、セパレータレンズ27を含む結像光学系は、瞳分割によって2組の被写体像対を形成し、ラインセンサ群EA1、EA2の配置された投影領域、およびラインセンサ群EB1、EB2の配置された投影領域に対し、一対の被写体像をそれぞれ結像させる。
【0034】
各ラインセンサ群は、所定間隔で左右もしくは上下方向に並ぶ複数のラインセンサによって構成され、ラインセンサ群EA1、EA2のラインセンサは左右方向に沿って並列し、ラインセンサ群EB1、EB2のラインセンサは上下方向に沿って並列している。各ラインセンサは、複数のフォトダイオード、画素信号読み出し回路(ともにここでは図示せず)を備える。
【0035】
ラインセンサ群EA1は、9つのラインセンサLSA1〜LSA9によって構成されており、基準ラインセンサとして機能する。一方、ラインセンサ群EA2を構成するラインセンサLSA11〜LSA19は、参照ラインセンサとして機能する。同様に、ラインセンサ群EB1を構成するラインセンサLSB1〜LSB5は基準センサ、ラインセンサ群EB2を構成するラインセンサLSB6〜LSB10は参照ラインセンサとして機能する。
【0036】
ラインセンサ群EA1のLSA1〜LSA9、ラインセンサ群EB1のラインセンサLSB1〜LSB5の側には、電荷転送用の垂直シフトレジスタVSR1〜VSR9、VSS1〜VSS5が設置されており、ラインセンサ群EA2、EB2の各ラインセンサに対しても、垂直シフトレジスタVSR11〜VSR19、VSS6〜VSS10が同様に配置されている。
【0037】
ラインセンサ群EA1、EB1には、一連のモニタセンサLMA1〜LMA9、LMB1〜LMB5がそれぞれ対応するラインセンサの側に配置されている。モニタセンサLMA1〜LMA9、LMB1〜LMB5は、複数の微小センサをラインセンサに沿って並列させた構成であり、対応するラインセンサの領域を複数のエリアに分割してモニタリングする。
【0038】
モニタセンサLMA1〜LMA9は、それぞれラインセンサLSA1〜LSA9の側面に沿ってライン状に配置され、対応するラインセンサの受ける光量(光強度)と同じ光量を受け、光量に応じた信号をモニタ信号として出力する。モニタセンサLMB1〜LMB5も、ラインセンサLSB1〜LSB5の受光量をモニタリングするためモニタ信号を出力する。
【0039】
また、ラインセンサ群EA1、EB1の各モニタセンサの傍には、暗電流成分を検知するOB(Optical Black)モニタセンサOBA1〜OBA9、OBB1〜OBB5が配置されており、検出される暗電流成分に基づいてモニタセンサから出力されるモニタ信号が補正される。
【0040】
AGC回路42は、各モニタセンサから逐次出力されるモニタ信号値を閾値と比較し、オートゲインコントロールによってラインセンサの積分時間を制御する。閾値は、焦点検出に必要な光量が対象となるラインセンサに入射しているか否かを判断する指標値であり、ラインセンサのオーバフローを防ぐように設定されている。
【0041】
モニタ信号値が閾値を超えると、積分終了を示すモニタ信号が論理回路44に送られる。論理回路44は、対応するラインセンサ、すなわちモニタリング対象となっているラインセンサの電荷蓄積(積分)を終了させるための制御信号を出力する。ラインセンサに制御信号が送信されると、電荷蓄積が終了するとともに、一時的に電荷がラインセンサ内で格納される。
【0042】
ラインセンサの電荷蓄積時間は、ライセンサのモニタリング対象エリア毎に独立制御されており、被写体の光強度分布に応じて各ラインセンサの電荷蓄積時間が調整される。すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、各ラインセンサの垂直シフトレジスタ、および電荷転送機能をもつ列回路45、46の水平シフトレジスタによって画素信号が順番に読み出されていく。これにより、各ラインセンサの画素信号読み出し回路(ここでは図示せず)において蓄積電荷が電圧変換、増幅処理され、画素信号が出力される。
【0043】
各ラインセンサから読み出された一連の画素信号は、列回路45、46においてノイズ除去処理、増幅処理される。そして、一連の画素信号は、被写体像の画像信号としてシステムコントロール回路30へ送られる。システムコントロール回路30では、対になっているラインセンサ群の画像信号に基づいて位相差が検出され、デフォーカス量が求められる。
【0044】
図3は、焦点検出部のブロック図である。図4は、ラインセンサ、モニタセンサ、AGC回路の接続関係を示した図である。図3、図4を用いて、ラインセンサの電荷蓄積時間(積分時間)の制御について説明する。
【0045】
なお、図3では、垂直方向に沿って延びるラインセンサ対LSA5、LSA15、水平方向に沿って延びるラインセンサ対LSB3、LSB8と、それに応じたモニタセンサLMA5およびLMB3のみを図示し、それ以外のラインセンサ、モニタセンサは省略している。また、図4では、ラインセンサの電荷蓄積終了タイミングをわかりやすく説明のため、図2に示す実際の配置とは異なる配置でラインセンサ、モニタセンサを図示している。
【0046】
ラインセンサLSA5は、ラインセンサ用画素信号読み出し回路PSA5を挟んで向かい合うフォトダイオード対を上下方向に沿って並べた構成であり、ラインセンサ用画素信号読み出し回路によって各フォトダイオードから電荷が読み出される。他のラインセンサLSA15、LSB3、LSB8も同様に画素信号読み出し回路PSA15、PSB3、PSB8を挟んで向かい合うフォトダイオード対を並列させた構成になっている。
【0047】
ラインセンサLSA5の傍に配置されたモニタセンサLMA5は、フォトダイオードを有する微小センサを垂直方向に沿って複数個並べた構成であり、モニタセンサ用画素信号読み出し回路(ここでは図示せず)によって蓄積電荷が読み出される。ラインセンサLSB3の傍に配置されたモニタセンサLSB3も同様の構成になっている。
【0048】
AGC回路42HSは、モニタセンサLMB3から出力されるモニタ信号の電圧レベルが閾値を超えるか否かを検知し、閾値に達すると電荷蓄積(積分)終了を知らせるモニタ信号を論理回路44に出力する。モニタリング対象となっているラインセンサLSB3の電荷蓄積時間(積分時間)は、AGC回路42HSによって調整される。AGC回路42HSの閾値は、ラインセンサLSB3のダイナミックレンジを考慮した値に設定されており、論理回路44からのVMS信号によって設定される。モニタセンサLMA5をモニタリングするAGC回路42V5も同様の構成である。
【0049】
図4では、1つのラインセンサLSB3を図示している。対向位置にあるモニタセンサLMB3は、それぞれフォトダイオードを有する複数の微小センサから構成されており、ここでは、便宜上3つの微小センサM1〜M3、M4〜M6、M7〜M9から構成されるものとする。
【0050】
上述したように、ラインセンサLSB3は、多数のフォトダイオード対を配列させた構成であり、モニタセンサLMB3の微小センサM1〜M9は、それぞれ割り当てられた所定数のフォトダイオードの領域についてモニタリングを行っている。
【0051】
ここでは、3つの測距ゾーンSZ1〜SZ3がラインセンサLSB3に対して規定されており、AGC回路42HSは、モニタセンサM1〜M3、M4〜M6、M7〜M9とそれぞれ接続されるモニタセンサ群42H31、42H32、42H33から構成されており、測距ゾーンSZ1〜SZ3の積分時間をそれぞれ調整する。モニタセンサ群42H31、42H32、42H33は、微小センサM1〜M3、M4〜M6、M7〜M9からの出力信号をそれぞれ検知するため、測距ゾーンSZ1〜SZ3に合わせて3つのモニタセンサ検出部AGC1〜AGC3、AGC4〜AGC6、AGC7〜AGC9をそれぞれ備えている。
【0052】
ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ1を例に挙げると、瞳分割による一対の被写体像が焦点検出部40に投影されると、ラインセンサLSA1の測距ゾーンSZ1およびモニタセンサM1〜M3に電荷が蓄積される。3つの微小センサM1〜M3に入力される光量は、被写体の明るさ分布によってそれぞれ異なるため、モニタセンサ検出部AGC1〜AGC3が積分終了を知らせるモニタ信号を出力するタイミングは異なる。
【0053】
例えば、モニタセンサM1〜M3の微小センサM1に強い光が入射する一方で微小センサM2、M3に入射する光が弱い場合、検出部AGC1に入力するモニタ信号の電圧値が検出部AG2、AG3よりも先に閾値を超え、電荷蓄積終了を知らせるモニタ信号を論理回路44へ出力する。
【0054】
論理回路44は、検出部AGC1から終了信号を受けると、ラインセンサLSB3の測距ゾーンの電荷蓄積を終了させる。ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ1の各フォトダイオードに蓄積された電荷は、電荷蓄積容量(ここでは図示せず)に一時的に格納される。検出部AGC2、あるいは検出部AGC3が最も早く積分終了のモニタ信号を出力した場合も、ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ1の電荷蓄積が同様に終了する。
【0055】
このようなラインセンサの電荷蓄積が、ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ2、SZ3についても、同じように行われる。すなわち、微小センサM4〜M6、M7〜M9のいずれかにおいて閾値を超えるモニタ信号が出力されると、ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ2、SZ3の電荷蓄積をその時点で終了する。
【0056】
すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると(あるいはその前に所定時間が経過すると)、各ラインセンサから画素信号が出力される。上下方向にあるラインセンサ群EA1、EA2(図2参照)から出力される画素信号は、列回路46に転送される(図2、3参照)。一方、左右方向にあるラインセンサ群EB1、EB2から出力される画素信号は、列回路45へ転送される。
【0057】
列回路45、46においては、出力された画素信号に対してノイズ除去、増幅処理が画素信号に対して行われる。これにより、ラインセンサ群EA1、EA2に対する一対の被写体像に応じた画像信号は、オフセット回路64においてオフセットされた後、出力切替回路66を通じてシステムコントロール回路30へ出力される。一方、ラインセンサ群EB1、EB2に対する一対の被写体像に応じた画像信号は、オフセット回路62においてオフセットされた後、出力切替回路68を通じてシステムコントロール回路30へ出力される。
【0058】
システムコントロール回路30は、論理回路44の動作を制御するとともに、各AGC回路からのモニタ信号を選択的に検知する。モニタ出力選択回路56では、システムコントロール回路30により指定されたモニタ信号が出力され、出力切替回路68からシステムコントロール回路30に送られる。また、OBモニタ出力選択回路52から選択的に出力されるOBモニタ信号は、出力切替回路66を介してシステムコントロール回路30に送られる。なお、OBモニタ信号、モニタ信号は、レベルシフト回路53、55によってそれぞれ出力信号の基準電位がシフトされる。
【0059】
論理回路44は、ラインセンサの電荷蓄積を終了させるとき、選択回路58を通じて電荷蓄積終了を知らせる信号をシステムコントロール回路30に出力する。また、すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、選択回路60を通じて電荷蓄積終了を知らせる信号をシステムコントロール回路30へ送る。システムコントロール回路30は、これらのモニタ信号、終了信号に基づいて、各ラインセンサの積分時間、AGC回路のゲインを制御する。
【0060】
図5は、ラインセンサ用画素信号読み出し回路の電気回路図である。図6は、図5の画素信号読み出し回路の模式的な断面図である。図7は、モニタセンサの電気回路図である。
【0061】
図5には、ラインセンサLSB3における一組のフォトダイオード対120Aj、120Bjおよびそれに接続されるラインセンサ用画素信号読み出し回路130jに関する回路構成を示している。フォトダイオード対120Aj、120Bjは、ともにラインセンサ用画素信号読み出し回路130jと接続されている。
【0062】
ラインセンサ用画素信号読み出し回路130jは、不要電荷の掃き出しをスイッチ制御するアンチブルーミングゲート(ABG)121A、121B、一時的に電荷を格納する電荷蓄積容量(MEM)124A、124B、フォトダイオード対120Aj、120Bjに蓄積された電荷を電荷蓄積容量124A、124Bに転送する転送ゲート(TG)122A、122Bを備える。
【0063】
さらに、ラインセンサ用画素信号読み出し回路130jは、FDA(Floating Diffusion Amplifier)に基づく電荷検出機構を備え、電荷注入されるフローティングディフュージョン(FD)125、電荷蓄積容量124A、124Bの蓄積電荷を転送するフローティングディフュージョンゲート(FDG)123A、123B、リセットゲート(RG)26、ソースフォロアアンプ127、および選択ゲート128を備える。
【0064】
図6には、フォトダイオード120Aj付近の焦点検出部40の基板断面が図示されている。n−sub基板の上にp型層(p−well)を形成し、その上にpn接合のフォトダイオード120Ajが構成される。また、フォトダイオード120Ajの表面にp+層を形成することにより、埋め込み型フォトダイオードが構成される。電荷蓄積容量124Aも同様のMOS型ダイオードの構成になっている。
【0065】
なお、フォトダイオード120Ajの上方には開口部(図示せず)が設けられており、開口部を除く部分を遮光膜で覆うことによってフォトダイオード120Aj以外の光入射が防止されている。
【0066】
アンチブルーミングゲート(ABG)121A、転送ゲート(TG)122A、フローティングディフュージョンゲート(FDG)123A、リセットゲート(RG)124Aは、それぞれ表面に電荷転送電極(ゲート電極)を配設したトランジスタによって構成されており、それぞれ電荷読み出しタイミングに合わせてパルス信号が入力される。
【0067】
転送ゲート(TG)122A、フローティングディフュージョンゲート(FDG)123Aの開閉により、電荷蓄積容量124A、およびn+層から成るフローティングディフュージョン(FD)125にそれぞれ電荷が転送される。また、アンチブルーミングゲート(ABG)121Aの開閉により、フォトダイオード120Ajの不要電荷が、n+層129を介してドレインとなる電源VDDAに掃き出される。
【0068】
図7には、フォトダイオード120Ajをモニタリングする微小センサ140mを示している。フォトダイオード142に接続されるモニタセンサ用画素信号読み出し回路144は、アンチブルーミングゲート(ABG)151、転送ゲート(TG)152、リセットゲート(RG)154、さらには電荷蓄積容量(MEM)153、ソースフォロアアンプ155を備える。
【0069】
被写体からの光がラインセンサに到達すると、フォトダイオード120Aj、120Bjの光電変換によって信号電荷(画素信号)が生じ、光量に応じて電荷が蓄積されていく。一方、モニタセンサ140mの光電変換部142に生じる信号電荷は、電荷蓄積153を介して図2、3に示したAGC回路へ随時出力される。
【0070】
モニタ信号が閾値を超えると、フォトダイオード120Ajの電荷蓄積が終了し、蓄積電荷は転送ゲート122A、122Bを通って電荷蓄積容量123A、123Bに一時的に転送される。他のフォトダイオード対の電荷蓄積がすべて終了するまで、蓄積電荷は電荷蓄積容量123A、123Bにそれぞれ保存される。
【0071】
他のラインセンサの電荷蓄積が終了すると、フォトダイオード120Aj、120Bjにおいて生じ、電荷蓄積容量123A、123Bにそれぞれ格納されていた電荷は、別々に、または混合されてフローティングディフュージョン(FD)125に注入される。そして、ソースフォロアアンプ127によって画素信号(電圧信号)が出力される。画素信号が出力されると、リセットゲート126の動作によってフローティングディフュージョン124がリセットされる。
【0072】
次に、図8〜図14を用いて電荷生成〜画素信号読み出しまでのフローを説明する。図8〜図14では、図6に示した回路断面に合わせて基板の各構成要素の電位状態を示している。
【0073】
図8は、被写体からの光を受けてフォトダイオードに電荷が蓄積されている状態を示した図である。フォトダイオード120Ajに電荷が蓄積されていないときの空乏化電圧をVPD0で表し、焦点検出部40の基板表面を基準電圧0とする。
【0074】
電荷蓄積中、アンチブルーミングゲート(ABG)121A、転送ゲート(TG)122Aはローレベルであり、フォトダイオード120Ajに電荷が蓄積されていく。電荷蓄積の間、ABG121Aを通って電荷が排出されないように、ABG121Aはローレベル、OFF状態に設定されている。ABG121Aのローレベルにおける電圧(以下、閾値電圧という)Vtは、電荷蓄積中に電気的障壁となって電荷漏出を防ぐ一方、過剰な光によって発生する不要電荷に対してはABG121Aの障壁を越えて十分排出されるように設定されている。
【0075】
図9は、電荷がフォトダイオードから転送される状態を示した図である。フォトダイオード120Ajの電荷蓄積が終了すると、転送ゲート(TG)122Aがハイレベル、すなわちON状態となる。これにより、フォトダイオード120Ajに蓄積された電荷が電荷蓄積容量124Aへ一時的に格納される。
【0076】
図10は、不要電荷がフォトダイオードから排出されている状態を示した図である。電荷が電荷蓄積容量124Aに転送されると、ブルーミングが生じないようにABG121Aがハイレベルとなる。これにより、フォトダイオード120Ajに発生する不要電荷は排出される。
【0077】
図11、12は、フローティングディフュージョンのリセット状態を示した図である。リセットゲート(RG)126をハイレベルに切り替えることによって、フローティングディフュージョン125の電位を初期状態にリセットし、リセットゲート(RG)126を再びローレベルにしてリセット電圧Vrstを検知する。
【0078】
図13、14は、電荷蓄積容量からフローティングディフュージョンへの電荷転送を示した図である。フローティングディフュージョンゲート(FDG)125をハイレベルにすることによって、電荷蓄積容量124Aに保存されていた電荷がフローティングディフュージョン(FD)125に転送される。そして、フローティングディフュージョンゲート(FDG)125を再びローレベルに切り替えることによって、フローティングディフュージョン(FD)125の電圧変化が画素信号の電圧として検出される。
【0079】
図15は、アンチブルーミングゲート(ABG)を超えてフォトダイオードから流出する(リークする)電荷数とフォトダイオード電圧との関係を示した図である。図16は、最大照度時の電荷流出を示した図である。図17は、最小照度時の電荷流出を示した図である。図15〜図17を用いて、アンチブルーミングゲート(ABG)の閾値電圧設定について説明する。
【0080】
図15に示すグラフでは、横軸をフォトダイオードの電圧VPD(V)、縦軸をアンチブルーミングゲート(ABG)からのリーク電子数(以下では、流出電荷数という)LQ(e−/s)とし、フォトダイオード電圧VPDと流出電荷数LQとの関係をグラフ化している。フォトダイオード電圧VPDは、電荷が蓄積されていないとき、すなわち光が照射されないときの空乏化電圧VPD0が最大となり、光強度が大きくなるに従ってフォトダイオード電圧VPDが下がっていく。
【0081】
フォトダイオード電圧VPDと流出電荷数LQは指数関数の関係にあり、フォトダイオード電圧VPD(蓄積電荷)が大きくなるほど流出電荷数LQも多くなる。アンチブルーミングゲート(ABG)の閾値電圧Vtと空乏化電圧VPD0が定められると、フォトダイオード電圧VPDと流出電荷数LQの関係は、図15に示す直線Lsに従う。すなわち、あるフォトダイオード電圧VPDにおける流出電荷数LQは直線Lsによって求められる。
【0082】
ここでは、空乏化電圧VPD0=1V、飽和電荷量のフォトダイオード電圧(以下、飽和フォトダイオード電圧という)VPDQ=0V、閾値電圧VtがVts(=0.5V)のときに直線Lsが規定される。フォトダイオード電圧VPDと流出電荷数LQの関係を示す直線Lsは、ラインセンサの性能特性、空乏化電圧VPD0、閾値電圧Vtsを変えることによって直線の傾き(比例の大きさ)、切片も変わる。
【0083】
閾値電圧Vtは電荷がアンチブルーミングゲート(ABG)を超えるときの障壁の大きさを示すことから、閾値電圧Vtの大きさによって流出電荷数LQも変化する。閾値電圧Vtが大きくなると、電荷がフローティングディフュージョンゲート(ABG)の障壁を越えにくくなって流出電荷数LQが下がる。逆に、閾値電圧Vtが小さく設定されると電荷がフローティングディフュージョンゲート(ABG)から容易に漏れ出る。
【0084】
図16では、非常に強い光によるフォトダイオードの蓄積電荷を示している。強い光によってフォトダイオードの飽和電荷量QPDm付近まで電荷が蓄積されると、電荷がフォトダイオードから溢れやすくなる。そのため、転送ゲート(TG)へ漏れることなくアンチブルーミングゲート(ABG)を介して電荷を流出させるような閾値電圧Vtを設定しなければならない。
【0085】
一方、図17では、非常に弱い光によるフォトダイオードの蓄積電荷を示している。光強度が小さい場合であっても、一部電荷はフローティングディフュージョンゲート(ABG)の障壁を超えて流出する。弱い光のときに流出電荷数LQを極力抑えなければ、AGC回路の閾値電圧付近までフォトダイオードに電荷が蓄積されても、フォトダイオードに発生する電荷数を上回るペースで電荷が流出してしまい、いつまでもAGC回路の閾値に応じた電荷数まで電荷が蓄積されない。すなわち、電荷蓄積容量(MEM)の飽和電荷量QMEMSに相当する電荷がフォトダイオードに蓄積された状況でリークする電荷数を抑えなければならない。
【0086】
このように、照度が非常に大きいときには発生する過剰電荷を十分排出し、照度が非常に小さい場合にはリークする電荷数を十分に小さくしなければならない。そのため、閾値電圧Vtを、最大照度のときフォトダイオードに発生する電荷数Qmaxと最小照度のときフォトダイオードに発生する電荷数Qminを考慮した値に設定する。
【0087】
ただし、最大照度は、フォトダイオードのリニア出力可能な限界照度であり、フォトダイオードの性能特性によってあらかじめ定められている。最小照度は、光電変換可能な限界照度を示し、同様にフォトダイオードの性能特性によって規定される。
【0088】
図15の直線Lsは、最大照度のときにアンチブルーミングゲート(ABG)を通って流出する電荷数が、発生電荷数Qmaxと等しい。上述したように、直線Lsの閾値電圧Vtsをさらに小さくすると、流出電荷数が増加するために直線Lsは上に移動する。したがって、直線Lsの閾値電圧Vtsよりも小さい閾値電圧Vtを設定することにより、最大照度のときに発生する余剰電荷はアンチブルーミングゲート(ABG)を介して排出され、電荷蓄積容量などに流入しない。
【0089】
一方、最小照度のときの閾値電圧Vtの限度を考えると、電荷蓄積容量の飽和電荷量分だけフォトダイオードに電荷が蓄積されている状態で限界となる閾値電圧Vtを設定する必要がある。光強度が非常に小さい場合、長い露光期間かけて電荷蓄積容量の飽和電荷量QMEMsにまで達する。この状況でフォトダイオードに発生する電荷数以上にフォトダイオードの蓄積電荷がABGを介して漏れ出てしまうと、最小照度の条件下でいつまでも蓄積電荷を転送可能な状況にならない。
【0090】
したがって、フォトダイオード電圧VPDが電荷蓄積容量(MEM)の飽和電荷量QMEMSに相当する飽和フォトダイオード電圧VPDQであるとき(図15参照)、フォトダイオードに発生する最小照度時の電荷数Qminと比べて漏出する電荷数は十分小さくなければならない。
【0091】
図15に示す直線Lmは、閾値電圧Vtm、空乏化電圧V’PD0に従って定められており、フォトダイオード電圧VPDが飽和フォトダイオード電圧VPDQであるときの流出電荷数LQは、最小照度時の発生電荷数Qminと等しい。したがって、直線Lmの閾値電圧Vtmよりも大きい閾値電圧Vtを設定することにより、漏出する電荷数を発生電荷数よりも少なくすることができる。
【0092】
直線Lmと直線Lsに挟まれた領域TRは、最大照度、最小照度のとき必要とされる条件を満足する。したがって、フォトダイオード電圧VPDと流出電荷数LQの比例関係が領域TRに収まるように、フォトダイオードの空乏化電圧VPD0、アンチブルーミングゲート(ABG)の閾値電圧Vtを定めればよい。
【0093】
しかしながら、広いダイナミックレンジを確保するためには、最小照度のときの流出電荷数LQを、発生電荷数Qminの1/100倍以下に抑えることが望まれる。この場合、流出電荷数LQが1/100倍になる直線Lnと直線Lsに挟まれた領域TSに収まるように、フォトダイオードの空乏化電圧VPD0、アンチブルーミングゲート(ABG)の閾値電圧Vtが設定される。
【0094】
このような条件に基づいて設定されたアンチブルーミングゲート(ABG)の閾値電圧Vtとフォトダイオードの空乏化電圧VPD0は、アンチブルーミングの発生防止と広いダイナミックレンジ確保の両方を満足する。その一方で、焦点検出部40の基板川迫にお家は、以下に述べる条件を満足する空乏化電圧VPD0が求められる。
【0095】
図18は、空乏化電圧と電荷蓄積容量の最大電圧との関係を示した図である。電荷蓄積容量の飽和電荷量に相当する電圧ΔVMEMmaxと、空乏化電圧VPD0と、リセット電圧Vrstと、FD出力電圧ΔVFDは、以下の関係式を満たす必要がある。ただし、FD出力電圧ΔVFDは、フローティングディフュージョン(FD)における所望電圧を示す。
ΔVMEMmax≦Vrst−(VPD0+ΔVFD) ・・・・(1)
【0096】
(1)式は、図18に示す電位差ΔVGがあることを要求し、上記(1)式を満たすように、空乏化電圧が設定される。
【0097】
さらに、以下の式を満足するように空乏化電圧VPD0が設定される。ただし、電荷蓄積容量の飽和電荷量をQMEMS、飽和電荷量QMEMSだけ電荷が蓄積されたときのフォトダイオード電圧をVPDQ、フォトダイオードの飽和電荷量をQPDMとする。
QPDM≧QMEMS×VPD0/(VPD0−VPDM) ・・・・(2)
【0098】
(2)式は、フォトダイオードの飽和電荷量QPDMが電荷蓄積容量(MEM)の飽和電荷量QMEMSよりも十分大きいか、すなわち、フォトダイオードが電荷蓄積容量と比べて十分に電荷を蓄積できるか否かを判別する。
【0099】
このように本実施形態によれば、AFモジュール24の焦点検出部40の基板表面には、複数のラインセンサから成るクロス状のラインセンサ群EA1、EA2、EB1、EB2を構成し、ラインセンサ群EA1、EA2の各ラインセンサに傍にはラインセンサの入射光をモニタリングするモニタセンサMA1〜MA9、MB1〜MB5を配置させる。
【0100】
各ラインセンサを構成する複数のフォトダイオードおよびラインセンサ用画素信号読み出し回路では、余剰電荷を切替制御によって排出するアンチブルーミングゲート(ABG)をフォトダイオードの傍に設け、フォトダイオードに電荷を蓄積している間、アンチブルーミングゲート(ABG)は電荷リークの障壁となる。
【0101】
そして、アンチブルーミングゲートの閾値電圧Vt、およびフォトダイオードの空乏化電圧VPD0は、最大照度時の発生電荷数Qmaxよりもアンチブルーミングゲート(ABG)を通って排出される流出電荷数LQの方が多く、かつ、最小照度時であって電荷蓄積容量(MEM)の飽和電荷量QMEMSだけフォトダイオードに電荷蓄積された状態で発生する電荷数Qminよりも流出電荷数LQが少なくなるように、規定される。
【0102】
焦点検出の場合、イメージセンサとは異なり、各ラインセンサの電荷蓄積時間は別々に制御され、また、エッジ部分などの輝度変化を弱い光強度でも検出する必要があるため、広いダイナミックレンズが必要とされる。本実施形態によれば、ラインセンサのダイナミックレンジを十分広く設定してもブルーミングが生じず、光強度に関係なくフォトダイオードの蓄積電荷を出力し、各画素の輝度レベルを精度よく出力することが可能となる。
【0103】
測距については、多点測距、あるいは画面中心部のみ測距するように構成してもよく、ラインセンサ数、ラインセンサ群の数、および、ラインセンサの配列方向は任意である。また、一眼レフ型カメラ以外のカメラに適用してもよく、携帯電話などカメラ機能を備えた撮影装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0104】
10 一眼レフ型デジタルカメラ
24 AFモジュール(焦点検出装置)
40 焦点検出部
120Aj、120Bj フォトダイオード(光電変換素子)
121A アンチブルーミングゲート(電荷排出ゲート)
122A 転送ゲート
124A 電荷蓄積容量(電荷格納部)
Vt 閾値電圧
VPD0 空乏化電圧
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像の投影領域に並ぶ複数のラインセンサと、
前記複数のラインセンサの側にそれぞれ配置され、それぞれ対応するラインセンサの受光量をモニタリングする複数のモニタセンサと、
前記複数のラインセンサに蓄積された電荷に基づいて被写体像の画像信号を出力する画像信号出力手段とを備え、
前記ラインセンサが、光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を格納する電荷格納部と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記電荷格納部に転送する電荷転送ゲートと、前記光電変換素子に蓄積される電荷を排出する電荷排出ゲートとを有し、
前記電荷排出ゲートから排出される電荷数が、最大照度のときには前記光電変換素子に発生する電荷数より大きく、かつ、最小照度のときであって前記電荷格納部の飽和電荷量に相当する電荷が前記光電変換素子に蓄積された状態のときには前記光電変換素子に発生する電荷数よりも小さくなるように、前記電荷排出ゲートの閾値電圧および前記光電変換素子の空乏化電圧が定められることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
最小照度のときであって前記電荷格納部の飽和電荷量に相当する電荷が前記光電変換素子に蓄積された状態のときには、前記光電変換素子に発生する電荷数の1/10以下となるように、前記不要電荷排出ゲートの閾値電圧および前記光電変換素子の空乏化電圧が定められることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
前記空乏化電圧が以下の式を満たすことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の焦点検出装置。
ΔVMEMmax≦Vrst−(VPD0+ΔVFD) ・・・・(1)
ただし、電荷格納部の飽和電荷量に相当するフォトダイオード電圧をΔVMEMmax、空乏化電圧をVPD0、リセット電圧をVrst、フローティングディフュージョン(FD)における所望電圧であるFD出力電圧をΔVFDと表す。
焦点検出装置。
【請求項4】
空乏化電圧VPD0が以下の式を満たすことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の焦点検出装置。
QPDM≧QMEMS×VPD0/(VPD0−VPDQ) ・・・・(2)
ただし、電荷蓄積容量の飽和電荷量をQMEMS、飽和電荷量QMEMSだけ電荷が蓄積されたときのフォトダイオード電圧をVPDQ、フォトダイオードの飽和電荷量をQPDMとする。
【請求項5】
請求項1に記載された焦点検出装置を備えた撮影装置。
【請求項6】
光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を格納する電荷格納部と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記電荷格納部に転送する電荷転送ゲートと、
前記電荷格納部に転送された蓄積電荷を画送信号として出力する画素信号読み出し回路と、
前記光電変換素子に蓄積される電荷を排出する電荷排出ゲートとを備え、
前記電荷排出ゲートから排出される電荷数が、最大照度のときには前記光電変換素子に発生する電荷数より大きく、かつ、最小照度のときであって前記電荷格納部の飽和電荷量に相当する電荷が前記光電変換素子に蓄積された状態のときには前記光電変換素子に発生する電荷数よりも小さくなるように、前記電荷排出ゲートの閾値電圧および前記光電変換素子の空乏化電圧が定められることを特徴とする焦点検出用ラインセンサ。
【請求項1】
被写体像の投影領域に並ぶ複数のラインセンサと、
前記複数のラインセンサの側にそれぞれ配置され、それぞれ対応するラインセンサの受光量をモニタリングする複数のモニタセンサと、
前記複数のラインセンサに蓄積された電荷に基づいて被写体像の画像信号を出力する画像信号出力手段とを備え、
前記ラインセンサが、光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を格納する電荷格納部と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記電荷格納部に転送する電荷転送ゲートと、前記光電変換素子に蓄積される電荷を排出する電荷排出ゲートとを有し、
前記電荷排出ゲートから排出される電荷数が、最大照度のときには前記光電変換素子に発生する電荷数より大きく、かつ、最小照度のときであって前記電荷格納部の飽和電荷量に相当する電荷が前記光電変換素子に蓄積された状態のときには前記光電変換素子に発生する電荷数よりも小さくなるように、前記電荷排出ゲートの閾値電圧および前記光電変換素子の空乏化電圧が定められることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
最小照度のときであって前記電荷格納部の飽和電荷量に相当する電荷が前記光電変換素子に蓄積された状態のときには、前記光電変換素子に発生する電荷数の1/10以下となるように、前記不要電荷排出ゲートの閾値電圧および前記光電変換素子の空乏化電圧が定められることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
前記空乏化電圧が以下の式を満たすことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の焦点検出装置。
ΔVMEMmax≦Vrst−(VPD0+ΔVFD) ・・・・(1)
ただし、電荷格納部の飽和電荷量に相当するフォトダイオード電圧をΔVMEMmax、空乏化電圧をVPD0、リセット電圧をVrst、フローティングディフュージョン(FD)における所望電圧であるFD出力電圧をΔVFDと表す。
焦点検出装置。
【請求項4】
空乏化電圧VPD0が以下の式を満たすことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の焦点検出装置。
QPDM≧QMEMS×VPD0/(VPD0−VPDQ) ・・・・(2)
ただし、電荷蓄積容量の飽和電荷量をQMEMS、飽和電荷量QMEMSだけ電荷が蓄積されたときのフォトダイオード電圧をVPDQ、フォトダイオードの飽和電荷量をQPDMとする。
【請求項5】
請求項1に記載された焦点検出装置を備えた撮影装置。
【請求項6】
光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を格納する電荷格納部と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記電荷格納部に転送する電荷転送ゲートと、
前記電荷格納部に転送された蓄積電荷を画送信号として出力する画素信号読み出し回路と、
前記光電変換素子に蓄積される電荷を排出する電荷排出ゲートとを備え、
前記電荷排出ゲートから排出される電荷数が、最大照度のときには前記光電変換素子に発生する電荷数より大きく、かつ、最小照度のときであって前記電荷格納部の飽和電荷量に相当する電荷が前記光電変換素子に蓄積された状態のときには前記光電変換素子に発生する電荷数よりも小さくなるように、前記電荷排出ゲートの閾値電圧および前記光電変換素子の空乏化電圧が定められることを特徴とする焦点検出用ラインセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−107628(P2011−107628A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265345(P2009−265345)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】
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