説明

熱交換器の伝熱管状態検出装置およびその方法

【課題】本発明は、熱交換器の伝熱管で発生する欠陥と伝熱管の形状変化を同時に検出する装置に関する。
【解決手段】本発明は、熱交換器の伝熱管の欠陥を検出する第1検出部、および前記伝熱管の形状変化を検出する第2検出部とを含み、前記第1検出部および前記第2検出部は、円筒状本体の同一の円周位置にそれぞれ配置され、前記円筒状本体の長さ方向に一定距離を有するように装着されて前記伝熱管内部に挿入されることを特徴とする熱交換器の伝熱管状態検出装置を提供する。熱交換器の伝熱管に対する欠陥のみを単に探知する従来技術に比べ、本発明によると、欠陥だけでなく、欠陥の発生と成長を促進させる形状変化の類型を確認し、その程度を同時に測定することによって、欠陥の早期検出に対する信頼性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器の伝熱管に対する状態を検出する装置に関するものであって、より詳細には、熱交換器の伝熱管で発生する欠陥および伝熱管の形状変化を同時に検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、熱交換器の伝熱管は、原子力発電所の蒸気発生器伝熱管、腹水器伝熱管、または火力発電所の伝熱管などがある。熱交換器の伝熱管は、内外面に亀裂、磨耗、孔食、粒界腐食などのような欠陥が存在する場合がある。従来、熱交換器の伝熱管に対する欠陥を検出するため、非破壊的な方法として渦電流検査方法がある。
【0003】
従来の渦電流検査方法は、内面非接触式(non−surface riding)コイルが装着された探触子(probe)を用いる方法と、内面接触式(surface riding)コイルが装着された探触子を用いる方法が代表的である。
【0004】
従来の内面非接触式コイル探触子は、代表的にボビン(Bobbin)コイル探触子および多重配列(multi array)コイル探触子があり、コイルが伝熱管内面と一定の間隔を有するように製作されている。しかし、従来の内面非接触式コイル探触子の場合、伝熱管内外面の形状変化が伝熱管内面とコイルの間の間隔変化によって渦電流信号を発生させ、形状変化位置に欠陥が共に存在する場合、欠陥信号と形状変化信号が区別されないため、欠陥を検出するのが困難であるという技術的な弱点が存在する問題点がある。
このような問題点を解決するために開発された回転型コイル(rotating pancake coil)探触子は、コイル下部にスプリングを装着し、検査時にコイルが伝熱管内面と常に接触するように製作された内面接触型探触子である。前記回転型コイル探触子は、モータ(motor)を用いて前記探触子を円周方向に回転させながら、同時に伝熱管の下向または上向に直線移動し、螺旋型に伝熱管を検査する方式である。しかし、従来の回転型コイル探触子は、伝熱管内外面に形状変化が存在する場合、コイルと内面が常に接触しているので、間隔変化によって渦電流信号を最小化することができるため、形状変化と関係なく欠陥をもたらした渦電流信号のみを検出するという問題点があった。
【0005】
このように、従来の探触子別の特性のため、現在遂行されている発電設備伝熱管の渦電流検査方法としては、まず、ボビンコイル探触子のような内面非接触式探触子を用いて検査を実施した後、異常信号が発見された伝熱管部位に対して内面接触式回転型コイル探触子を用いて欠陥を精密に探知するという手順が適用されている。従って、従来の検査方法は、伝熱管に発生した欠陥とその周辺の形状変化を同時に探知して区別することは不可能である。
【0006】
一方、熱交換器の伝熱管は拡管、拡管遷移部、曲管部、局部的な領域が内径方向につぶれて入り込んでいる陥没(dent)と外径方向に膨らんだ突出(bulge)などのように、内外面に様々な類型の形状変化が存在する場合もある。韓国出願番号第10−2004−0006391号は、熱交換器伝熱管に対する形状変化のみを測定するために発明された渦電流探触子であって、形状変化位置に存在する欠陥を検出することができないという技術的な制約がある。
【0007】
このような形状変化は、伝熱管に局部的な残留応力をもたらして欠陥、特に亀裂性欠陥を誘発する構造的な因子として作用するため、渦電流検査上において欠陥と共に形状変化を同時に探知して区別する技術の開発が切実に要求されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような従来技術を改善するために案出されたものであって、熱交換器伝熱管の内外面に存在する欠陥を検出すると同時に、形状変化の存在有無と類型を確認し、その位置と程度を3次元的に測定する装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成し、従来技術の問題点を解決するため、本発明は、熱交換器の伝熱管の欠陥を検出する第1検出部、および前記伝熱管の形状変化を検出する第2検出部とを含み、前記第1検出部および前記第2検出部は、円筒状本体の同一の円周位置にそれぞれ配置され、前記円筒状本体の長さ方向に一定距離を有するように装着されて前記伝熱管内部に挿入されることを特徴とする熱交換器の伝熱管状態検出装置を提供する。
また、本発明の他の態様による熱交換器の伝熱管状態を検出する方法は、第1検出部で前記伝熱管の欠陥を検出する段階と、第2検出部で前記伝熱管の形状変化を検出する段階と、測定部で前記検出された欠陥と前記検出された形状変化信号を収集し、前記欠陥の発生位置および前記形状変化の程度を測定する段階とを含み、前記第1検出部および前記第2検出部は、円筒状本体の同一の円周位置にそれぞれ配置され、前記円筒状本体の長さ方向に一定距離を有するように装着されて前記伝熱管内部に挿入されることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施例による熱交換器の伝熱管状態を検出する装置およびその方法を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施例による熱交換器の伝熱管状態を検出する探触子の構造を示した図である。
【0012】
図1を参照すると、前記探触子は、欠陥検出用渦電流コイル(1)を内面接触用コイル支持本体(2)に挿入し、形状変化検出用渦電流コイル(7)を内面非接触用コイル支持本体(8)に挿入する。
【0013】
欠陥検出用渦電流コイル(1)および形状変化検出用渦電流コイル(7)は、それぞれ円筒状の探触子本体(3、5、6)内の同一の円周位置にそれぞれ配置され、円筒状の探触子本体(3、5、6)の長さ方向に一定距離を有するように装着されて前記伝熱管内部に挿入される。
【0014】
内面接触用コイル支持本体(2)とスプリング内装用探触子本体(3)は、円筒状の上部探触子本体(5)と下部探触子本体(6)に固定され、内面接触用コイル支持本体(2)がスプリング内装用探触子本体(3)から離脱することを防止する。
【0015】
円筒状の探触子本体(3、5、6)は、前記伝熱管内部に挿入された時、前記本体の外面が前記伝熱管内面と接触することなく、円周上で一定の間隔を維持しながら前記伝熱管の中心に位置するように前記伝熱管内面と弾性を有して接続する中心維持用の上部支持脚(9)および下部支持脚(10)によって支持される。欠陥検出用渦電流コイル(1)と形状変化検出用渦電流コイル(7)の間の円筒状探触子本体の中間地点に、前記伝熱管内面と弾性を有して接続する支持脚(9、10)を含む。
【0016】
探触子本体(3、5、6)が回転および直線移動する時、支持脚(9、10)は、回転せずに直線移動のみなされるように、支持脚(9、10)両端にベアリング(10)が設置される。
【0017】
上部支持脚(9)は、前記探触子の先端をワッシャー(12)とボルト(13)で締め、上部探触子本体(5)から離脱することを防止する。
【0018】
下部支持脚(10)と前記探触子の終端は、欠陥検出用渦電流コイル(1)および形状変化検出用渦電流コイル(7)の交流信号送信と渦電流信号受信のための導線(15、16)が円筒状の探触子本体(3、5、6)の内部空間(17)を介して連結されたコンダクタソケット(18)と締結用ナット(19)で締められる。コンダクタソケット(18)と締結用ナット(19)は、下部支持脚(10)が下部探触子本体(6)から離脱することを防止するのと同時に、前記探触子の回転および直線運動の駆動力とコイルの電気的送受信信号を伝達するように構成される。
【0019】
図2および図3は、それぞれ、図1に示された探触子において、欠陥検出用渦電流コイルと関連したA−A面およびB−B面の断面図を示した図である。
【0020】
図2および図3を参照すると、欠陥検出用渦電流コイル(1)は、水平方向および垂直方向に互いに交差するように巻線されたコイルであって、内面接触用コイル支持本体(2)に挿入され、円筒状のスプリング内装用探触子本体(3)に装着される。欠陥検出用渦電流コイル(1)は、前記熱交換器の伝熱管内部に挿入され、モータによって回転されると同時に、前記伝熱管の下向または上向に直線移動しながら、前記伝熱管の内外面に存在する亀裂、磨耗、孔食、粒界腐食などのような欠陥による渦電流信号を検出する。スプリング内装用探触子本体(3)は、同一の円周上に一定の円周距離を置き、2つ以上の互いに異なる欠陥検出用渦電流コイルを同時に装着する。内面接触用コイル支持本体(2)の両端下部には、被検査体である伝熱管の内面と欠陥検出用渦電流コイル(1)が常に接触するように1組のスプリング(4、14)が設置される。ここで、内面接触用コイル支持本体(2)の両端は、円筒状の上部探触子本体(5)と下部探触子本体(6)に固定され、内面接触用コイル支持本体(2)とスプリング(4、14)がスプリング内装用探触子本体(3)の外に離脱することを防止する。欠陥検出用渦電流コイル(1)は、交流信号送信と渦電流信号受信のための導線(15)が円筒状探触子本体(3、5、6)の内部空間(17)を介して連結される。
【0021】
図4および図5は、それぞれ、図1に示された探触子において、形状変化検出用渦電流コイルと関連したC−C面およびD−D面の断面図を示した図である。
【0022】
図4および図5を参照すると、形状変化検出用渦電流コイル(7)は、渦状態で巻線されたコイルであって、非接触用コイル支持本体(8)に挿入され、円筒状の下部探触子本体(6)の外面に被検査体である前記伝熱管の内面と一定の間隔を有するように固定される。形状変化検出用渦電流コイル(7)は、交流信号送信と渦電流信号受信のための導線(16)が円筒状探触子本体(6)の内部空間(17)を介して連結される。形状変化検出用渦電流コイル(7)は、前記熱交換器の伝熱管内部に挿入され、前記モータによって回転されると同時に、前記伝熱管の下向または上向に直線移動しながら、前記伝熱管の拡管、陥没、突出などのような形状変化によってもたらされる渦電流信号を検出する。非接触用コイル支持本体(8)は、同一の円周上に一定の円周距離を置き、2つ以上の互いに異なる形状変化検出用渦電流コイルを同時に装着する。
【0023】
図6、7、8、9は、前記伝熱管の中、拡管遷移部外面が局部的に陥没し、それに対応する内面に単一円周方向の亀裂が形成された第1伝熱管を対象に、本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置を用いて、欠陥と形状変化を同時に探知する一例の方法に関する一実施例である。
【0024】
図6は、本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置にて第1伝熱管の単一円周方向の亀裂を検出した場合の一例であって、欠陥検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅の円周および長さ方向位置別の分布図である。
【0025】
図6を参照すると、横軸は0〜360°範囲を有する伝熱管の円周方向位置を、縦軸は前記伝熱管の長さ方向位置を意味し、各位置で得られた信号振幅の変化を明暗の差で示している。第1水平線(20)と第1垂直線(21)は、最も大きい信号振幅値を表した欠陥発生地点を示し、前記欠陥発生地点を前記長さ方向位置(29mm)、円周方向位置(185°)に定位した(位置を定めた)。第1グラフ(22)は、第1水平線(20)上に置かれている領域の円周位置別の信号振幅変化を示し、第2グラフ(23)は、第1垂直線(21)上に置かれている領域の長さ位置別の信号振幅変化を示している。
【0026】
図7は、本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置にて第1伝熱管の単一円周方向の亀裂を検出した場合の一例であって、欠陥検出用渦電流コイルから検出された渦電流信号に対する振幅分布の3次元形状図である。
【0027】
図7を参照すると、前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、前記欠陥検出用渦電流コイルから検出された渦電流信号に対する振幅分布の3次元形状図によって、前記熱交換器の伝熱管で発生した欠陥の数が1つであり、その位置(24)を立体的に把握することができる。
【0028】
前記欠陥検出用渦電流コイルおよび前記形状変化検出用渦電流コイルは、図1に示されたように、長さ方向に任意の距離を有して前記探触子に装着されているため、前記伝熱管の検査時に同一の長さ位置地点に対して前記2つのコイル間の長さ方向の距離で収集される渦電流信号の時差が発生する。これは、前記探触子の移動速度または位置測定を通した計算から同一の長さ方向位置情報を有するように矯正が可能であり、円周方向位置の場合は、前記2つのコイルがすべて同一の円周に装着されているため、別途の矯正が必要でない。
【0029】
図8は、本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置にて第1伝熱管の局部的な陥没を検出した場合の一例であって、形状変化検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅の円周および長さ方向位置別の分布図である。
【0030】
図8を参照すると、前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、形状変化検出用渦電流コイルから検出された渦電流信号振幅を欠陥検出用渦電流コイルと同一の長さ方向位置情報を有するように矯正を遂行し、第2水平線(25)と第2垂直線(26)の位置を、欠陥発生地点を定位した第1水平線(20)と第1垂直線(21)の位置と同一するようにする。第3グラフ(27)は、第2水平線(25)上に置かれている領域の円周位置別の信号振幅変化を示し、第4グラフ(28)は、第2垂直線(26)上に置かれている領域の長さ位置別の信号振幅変化を示している。第3グラフ(27)を参照すると、欠陥の発生地点が円周位置上で最も大きい程度の陥没(29)が存在する地点である。第4グラフ(28)を参照すると、欠陥の発生地点が長さ位置上では、拡管部(30)と非拡管部(31)との境界(遷移)領域が陥没(32)した地点である。
【0031】
図9は、本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置にて第1伝熱管の局部的な陥没を検出した場合の一例であって、形状変化検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅分布の3次元形状図である。
【0032】
図9を参照すると、前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、前記渦電流信号に対する振幅分布の3次元形状図によって拡管部(30−1)および非拡管部(31−1)の直径変化と、その境界領域が陥没(29−1、32−1)した形状変化を立体的に確認することができる。
【0033】
図10、11、12、13は、前記伝熱管の中、長さ方向として約40mm区間に渡って円周上の約60°範囲区間が外径方向に突出し、それに対応する中央部内面に単一軸方向の亀裂が形成された第2伝熱管を対象に、本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置を用いて欠陥と形状変化を同時に探知する一例の方法の一実施例である。
【0034】
図10は、本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置にて第2伝熱管の単一軸方向を検出した場合の一例であって、欠陥検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅の円周および長さ方向位置別の分布図である。
【0035】
図10を参照すると、欠陥検出用渦電流コイルから検出された渦電流信号の変化を明暗の差で示し、第3水平線(33)と第3垂直線(34)は、最も大きい信号振幅値を示した欠陥発生地点を長さ方向位置(26.5mm)および円周方向位置(178°)で定位した。第5グラフ(35)は、第3水平線(33)上に置かれている領域の円周位置別の信号振幅変化を示し、第6グラフ(36)は、第3垂直線(34)上に置かれている領域の長さ位置別の信号振幅変化を示している。
【0036】
図11は、本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置にて第2伝熱管の単一軸方向の亀裂を検出した場合の一例であって、欠陥検出用渦電流コイルから検出された渦電流信号に対する振幅分布の3次元形状図である。
【0037】
図11を参照すると、前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、前記欠陥検出用渦電流コイルから検出された渦電流信号に対する振幅分布の3次元形状図によって、前記伝熱管の欠陥が1つであり、その位置(37)を立体的に確認することができる。
【0038】
図12は、本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置にて第2伝熱管の突出を検出した場合の一例であって、形状変化検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅の円周および長さ方向位置別の分布図である。
【0039】
図12を参照すると、熱交換器の伝熱管状態検出装置は、形状変化検出用渦電流コイルから検出された渦電流信号振幅を前記欠陥検出用渦電流コイルと同一の長さ方向位置情報を有するように矯正を遂行する。前記矯正に従って、第4水平線(38)および第4垂直線(39)は、それぞれ欠陥発生地点を定位した第3水平線(33)および第3垂直線(34)の位置と同一である。第7グラフ(40)は、第4水平線(38)上の領域の円周位置別信号の振幅変化を示し、第8グラフ(41)は、第4垂直線(39)上の領域の長さ位置別信号の振幅変化を示している。前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、第7グラフ(40)から欠陥の発生地点が円周位置上の一定部分が突出する区間内において突出量が最も大きい頂上地点(42)であることを把握することができる。また、前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、第8グラフ(41)から長さ位置上に欠陥発生地点を中心として長さ方向に上下20mmずつ、全体約40mm区間が突出(43)していることを把握することができる。
【0040】
図13は、本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置にて第2伝熱管の突出を検出した場合の一例であって、形状変化検出用渦電流コイルから検出された渦電流信号に対する振幅分布の3次元形状図である。
【0041】
図13を参照すると、前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、前記形状変化検出用渦電流コイルから出力された渦電流信号に対する振幅分布の3次元形状図によって、前記信号振幅の分布から約40mm長さに渡って円周上の一部区間が突出する形状変化(42−1、43−1)を立体的に確認することができる。
【0042】
図14は、本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置にて第1伝熱管の陥没を検出した場合の一例であって、形状変化検出用渦電流コイルから検出された渦電流信号の振幅結果から形状変化の程度を定量化して示した円周および長さ方向位置別の半径測定値の分布図である。
【0043】
図14を参照すると、前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、形状変化の3次元的な程度が既に知られている寸法の形状変化が内在した補正用標準試験片を用いて、形状変化検出用渦電流コイルから検出された渦電流信号振幅と寸法変化値の間の相関関係をまず求める。前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、前記相関関係から実際に伝熱管で測定された形状変化による渦電流信号振幅値を寸法として換算することによって、前記伝熱管での形状変化を定量化して検出することができる。前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、図14に示されたように、各位置で測定された半径値を、半径指標(44)を用いて明暗の差で定量化して示す。第5水平線(45)および第5垂直線(46)は、前記半径が最も小さく示される地点、すなわち陥没が最も大きい地点を長さ方向位置(29mm)と円周方向位置(185°)で定位する。第9グラフ(47)は、第5水平線(45)上の領域の円周位置別の半径変化を示し、第10グラフ(48)は、第5垂直線(46)上の領域の長さ位置別の半径変化を示している。前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、第9グラフ(47)から円周方向185°位置地点に存在する陥没の最大程度(49)が、陥没が発生しない180°に対応する円周方向5°地点(50)と比較して、半径が約0.20mm減少したと測定する。前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、第10グラフ(48)から前記伝熱管の非拡管部半径(51)が8.40mmであり、拡管部半径(52)が8.62mmで、拡管による半径増加量が約0.22mmであることを検出することができる。また、前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、第10グラフ(48)から前記伝熱管の非拡管部(51)と拡管部(52)との境界(遷移)領域に存在する陥没の程度を拡管部(52)と比較する時、その最大半径減少量(53)が約0.35mmであるという詳細な定量的測定結果を求めることができる。
【0044】
図15は、本発明の一実施例による熱交換器の伝熱管状態を検出する装置の構成を示した図であって、伝熱管状態検出装置(1500)は、第1検出部(1510)、第2検出部(1520)、および測定部(1530)とを含む。
【0045】
第1検出部(1510)は、円筒状本体の同一の円周上に一定の円周距離で離隔配置される2つ以上の互いに異なる欠陥検出用渦電流コイルを含むものであって、前記熱交換器の伝熱管で発生する欠陥を検出する。前記欠陥検出用渦電流コイルは、水平方向および垂直方向で互いに交差するように巻線されており、スプリングを介して前記伝熱管の内面と接触する。
【0046】
第1検出部(1510)は、モータによって回転されると同時に、前記伝熱管の下向または上向に直線移動し、前記伝熱管の内外面に存在する亀裂、磨耗、孔食、または粒界腐食のような欠陥を検出する。
【0047】
第2検出部(1520)は、円筒状本体の同一の円周上に一定の円周距離で離隔配置された2つ以上の互いに異なる形状変化検出用渦電流コイルを含むものであって、前記熱交換器の伝熱管で発生する形状変化を検出する。前記形状変化検出用渦電流コイルは渦状態で巻線され、前記伝熱管の内面と接触しないように一定の間隔を維持する。
【0048】
第2検出部(1520)は、モータによって回転されると同時に、前記伝熱管の下向または上向に直線移動し、前記伝熱管の拡管、陥没または突出による形状変化の存在有無を検出することができる。
【0049】
第1検出部(1510)および第2検出部(1520)は、図1に示されたように、円筒状探触子本体(3、5、6)の同一の円周位置にそれぞれ配置され、円筒状探触子本体(3、5、6)の長さ方向に一定距離を有するように装着されて前記伝熱管内部に挿入されることによって、前記伝熱管内部の欠陥と形状変化を検出することができる。
【0050】
測定部(1530)は、前記検出された欠陥と前記検出された形状変化信号を収集し、前記欠陥の発生位置および前記形状変化の程度を測定する。測定部(1530)は、前記検出された欠陥と前記検出された形状変化に対する類型を確認し、前記欠陥の発生位置および前記形状変化の程度に対する3次元的な寸法を測定することができる。
【0051】
図16は、本発明の一実施例による熱交換器の伝熱管状態を検出する方法の流れ図を示した図である。
【0052】
段階(1610)で、熱交換器の伝熱管状態検出装置は、第1検出部を介して前記伝熱管の欠陥を検出する。この時、前記第1検出部は、前記熱交換器の伝熱管内部に挿入され、モータによって回転されると同時に、前記伝熱管の下部または上部に直線移動し、前記伝熱管内外面に存在する亀裂、磨耗、孔食、または粒界腐食のような欠陥を検出することができる。
【0053】
段階(1620)で、前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、第2検出部を介して前記伝熱管の形状変化を検出する。この時、前記第2検出部は、前記熱交換器の伝熱管内部に挿入され、前記モータによって回転されると同時に、前記伝熱管の下向または上向に直線移動し、前記伝熱管の拡管、陥没または突出による形状変化の存在有無を検出することができる。
【0054】
段階(1630)で、前記熱交換器の伝熱管状態検出装置は、測定部を介して前記検出された欠陥と前記検出された形状変化信号を収集し、前記欠陥の発生位置および前記形状変化の程度を測定することができる。
【0055】
以上のように、本発明は限定された実施例と図面によって説明されているが、前記実施例に限定されるものではなく、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から種々の修正および変形が可能であろう。
【0056】
従って、本発明の思想は、添付の特許請求の範囲により解釈されるべきであり、その均等または等価的変形が本発明の範囲に属するということは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によって、熱交換器の伝熱管で発生する欠陥と共に形状変化を同時に探知して区別する検出装置を提供する。
【0058】
また、熱交換器の伝熱管で発生する欠陥に対する根本的な構造的原因を究明し、欠陥が発生する可能性の高い形状変化が存在する場合、位置情報を提供して欠陥検出に対するエラー発生の可能性を減少させる。
【0059】
また、熱交換器の伝熱管に対する欠陥のみを単に探知する場合と対比し、欠陥の発生と成長を促進させる形状変化の類型を確認し、その程度を測定することによって、早期検出に対する信頼性を向上させる。
【0060】
また、熱交換器の伝熱管で発生した欠陥周辺の形状変化の程度を測定し、欠陥に加わる応力とその後の成長挙動を予測することによって、熱交換器の伝熱管で発生する恐れのある欠陥の危険度に対する評価を行う。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施例による熱交換器の伝熱管状態を検出する探触子の構造を示した図である。
【図2】図1で示された探触子において、A−A面に対する断面図を示した図である。
【図3】図1で示された探触子において、B−B面に対する断面図を示した図である。
【図4】図1で示された探触子において、C−C面に対する断面図を示した図である。
【図5】図1で示された探触子において、D−D面に対する断面図を示した図である。
【図6】本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置を用いて伝熱管に存在する単一円周方向の亀裂を検出した場合の一例であって、欠陥検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅の円周および長さ方向の位置別分布図である。
【図7】本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置を用いて伝熱管に存在する単一円周方向の亀裂を検出した場合の一例であって、欠陥検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅分布の3次元形状図である。
【図8】本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置を用いて伝熱管に存在する局部的な陥没を検出した場合の一例であって、形状変化検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅の円周および長さ方向の位置別分布図である。
【図9】本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置を用いて伝熱管に存在する局部的な陥没を検出した場合の一例であって、形状変化検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅分布の3次元形状図である。
【図10】本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置を用いて伝熱管に存在する単一軸方向の亀裂を検出した場合の一例であって、欠陥検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅の円周および長さ方向の位置別分布図である。
【図11】本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置を用いて伝熱管に存在する単一軸方向の亀裂を検出した場合の一例であって、欠陥検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅分布の3次元形状図である。
【図12】本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置を用いて伝熱管に存在する突出を検出した場合の一例であって、形状変化検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅の円周および長さ方向の位置別分布図である。
【図13】本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置を用いて伝熱管に存在する突出を検出した場合の一例であって、形状変化検出用コイルから検出された渦電流信号に対する振幅分布の3次元形状図である。
【図14】本発明による熱交換器の伝熱管状態検出装置を用いて伝熱管に存在する陥没を検出した場合の一例であって、形状変化検出用コイルから検出された渦電流信号振幅結果から形状変化の程度を定量化して示した円周および長さ方向の位置別半径測定値の分布図である。
【図15】本発明の一実施例による熱交換器の伝熱管状態を検出する装置の構成を示した図である。
【図16】本発明の一実施例による熱交換器の伝熱管状態を検出する方法の流れ図を示した図である。
【符号の説明】
【0062】
1:欠陥検出用渦電流コイル
2:内面接触用コイル支持本体
3:スプリング内装用探触子本体
4、14:スプリング
5:上部探触子本体
6:下部探触子本体
7:形状変化検出用渦電流コイル
8:非接触用コイル支持本体
9:中心維持用上部支持脚
10:中心維持用下部支持脚
11:ベアリング
12:ワッシャー
13:ボルト
15、16:導線
17:内部空間
18:コンダクタソケット
19:締結用ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器の伝熱管状態を検出する装置であって、
前記伝熱管の欠陥を検出する第1検出部と、
前記伝熱管の形状変化を検出する第2検出部とを含み、
前記第1検出部および前記第2検出部は、
円筒状本体の同一の円周位置にそれぞれ配置され、前記円筒状本体の長さ方向に一定距離を有するように装着されて前記伝熱管内部に挿入されることを特徴とする熱交換器の伝熱管状態検出装置。
【請求項2】
前記検出された欠陥と前記検出された形状変化信号を収集し、前記欠陥の発生位置および前記形状変化の程度を測定する測定部を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の伝熱管状態検出装置。
【請求項3】
前記第1検出部は、
モータによって回転されると同時に前記伝熱管の下向および上向に直線移動し、前記伝熱管の内外面に存在する亀裂、磨耗、孔食、または粒界腐食を検出することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の伝熱管状態検出装置。
【請求項4】
前記第2検出部は、
モータのよって回転されると同時に前記伝熱管の下向または上向に直線移動し、前記伝熱管の拡管、陥没、または突出による形状変化の存在有無を検出することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の伝熱管状態検出装置。
【請求項5】
第1検出部は、前記円筒状本体の同一の円周上に一定の円周距離で離隔配置される2つ以上の渦電流コイルを含み、
前記渦電流コイルのうちの1つは、水平方向および垂直方向に互いに交差されるように巻線されたことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の伝熱管状態検出装置。
【請求項6】
前記第2検出部は、前記円筒状本体の同一の円周上に一定の円周距離で離隔配置される2つ以上の渦電流コイルを含み、
前記渦電流コイルのうちの1つは、渦状態で巻線されたことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の伝熱管状態検出装置。
【請求項7】
前記第1検出部は、前記伝熱管の欠陥を検出するための渦電流コイルを含み、
前記渦電流コイルは、スプリングを介して前記伝熱管の内面と接触することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の伝熱管状態検出装置。
【請求項8】
前記第2検出部は、前記伝熱管の形状変化を検出するための渦電流コイルを含み、
前記渦電流コイルは、前記伝熱管の内面と接触しないように一定の間隔を維持することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の伝熱管状態検出装置。
【請求項9】
前記円筒状本体の先端および後端に前記伝熱管内面と弾性を有して接続する支持脚を更に含み、
前記円筒状本体は、前記支持脚によって前記伝熱管の中心に位置するように支持されることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の伝熱管状態検出装置。
【請求項10】
前記第1検出部は、前記伝熱管の欠陥を検出するための第1渦電流コイルを含み、
前記第2検出部は、前記伝熱管の形状変化を検出するための第2渦電流コイルを含み、
前記第1渦電流コイルと前記第2渦電流コイルは、それぞれ前記円筒状本体に長さ方向に一定距離を有するように装着され、
前記第1渦電流コイルと前記第2渦電流コイルの間の円筒状本体の中間地点と両端に前記伝熱管内面と弾性を有して接触する支持脚を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の伝熱管状態検出装置。
【請求項11】
前記測定部は、
前記検出された欠陥と前記検出された形状変化に対する類型を確認し、前記欠陥の発生位置および前記形状変化の程度に対する3次元的な寸法を測定することを特徴とする請求項2に記載の熱交換器の伝熱管状態検出装置。
【請求項12】
熱交換器の伝熱管状態を検出する方法であって、
第1検出部で前記伝熱管の欠陥を検出する段階と、
第2検出部で前記伝熱管の形状変化を検出する段階と、
測定部で前記検出された欠陥と前記検出された形状変化信号を収集し、前記欠陥の発生位置および前記形状変化の程度を測定する段階とを含み、
前記第1検出部および前記第2検出部は、
円筒状本体の同一の円周位置にそれぞれ配置され、前記円筒状本体の長さ方向に一定距離を有するように装着されて前記伝熱管内部に挿入されることを特徴とする熱交換器の伝熱管状態検出方法。



【図15】
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【図16】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−24855(P2007−24855A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−281527(P2005−281527)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(500002490)コリア アトミック エナジー リサーチ インスティチュート (20)
【出願人】(502043352)コリア ハイドロ アンド ニュークリア パワー カンパニー リミティッド (23)
【Fターム(参考)】