説明

燃料タンク用弁装置および燃料タンクの通気装置

【課題】燃料タンク用弁装置は、給油時に満タン液位に達したときにオートストップを機能させるとともに、過給油を確実に防止し、さらにオートストップ後に給油口からの燃料の溢れ出しを防止する。
【解決手段】燃料タンク用弁装置は、ケーシング20と、弁機構40とを備える。弁機構40は、第1弁接続孔47bを有する第1弁体41と、第1弁接続孔47bを開閉する第2弁体50とを有する。第1弁体41は、第2連通路37Pの圧力が所定の第1圧力値Pr1を超えているときに閉弁方向への力で移動することで弁流路20Pを全閉する。第2弁体50は、第1弁体41が弁流路20Pを閉じている状態にて、第2連通路37Pの圧力が第1圧力値Pr1より大きい所定の第2圧力値Pr2を超えたときに、第1弁接続孔47bからの圧力を受けて移動することで第1弁接続孔47bを開き、弁流路20Pを連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクのタンク内圧を調整する燃料タンク用弁装置および燃料タンクの通気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃料タンク用弁装置を用いた蒸発燃料処理装置として、例えば、特許文献1の構成が知られている。すなわち、蒸発燃料処理装置は、燃料タンクの上部に装着された満タン規制弁およびロールオーバー弁と、満タン規制弁およびロールオーバー弁に外部通路を介して接続されたキャニスタと、ロールオーバー弁に接続された外部通路に設けられたチェック弁とを備えている。満タン規制弁は、給油時に閉じ、ロールオーバー弁は車両の傾斜時などに、燃料タンク内の燃料液位に応じてフロートを昇降させることで外部への通気を確保するとともに燃料タンクからの燃料の流出を防止している。また、チェック弁は、燃料タンクの内圧が上昇したときに、2段階で開くことにより、タンク内圧が所定値以上になるのを防止するとともに、給油時における過給油を防止している。
【0003】
しかし、従来の蒸発燃料処理装置では、給油時における過給油を十分に防止することができないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4035022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決することを踏まえ、給油時にオートストップを機能させるとともに、過給油を確実に防止し、さらにオートストップ後に給油口からの燃料の溢れ出しを防止することができる燃料タンク用弁装置およびこれを用いた燃料タンクの通気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
適用例1は、燃料タンク内と外部とを連通遮断する燃料タンク用弁装置において、
上記外部に接続される第1連通路と、上記燃料タンクに接続される第2連通路と、上記第1連通路と上記第2連通路とを接続する弁流路を形成する弁室とを有するケーシングと、
上記弁室に収納され、上記第1連通路および第2連通路の圧力に応じて上記弁流路を開閉する弁機構と、
を備え、
上記弁機構は、
上記第1連通路の通路面積より大きくかつ第1連通路および第2連通路からの圧力を受ける受圧面と、上記弁流路の一部を形成する第1弁接続孔とを有する第1弁体と、
上記第1弁接続孔を開閉する第2弁体と、
を有し、
上記第1弁体は、上記第2連通路の圧力が所定の第1圧力値を超えているときに、上記受圧面が受ける閉弁方向への力で移動することで上記弁流路を全閉するように構成され、
上記第2弁体は、上記第1弁体が上記弁流路を閉じている状態にて、上記第2連通路の圧力が上記第1圧力値より大きい所定の第2圧力値を超えたときに、上記第1弁接続孔からの圧力を受けて閉弁状態から移動することで上記第1弁接続孔を開き、上記弁流路を連通するように構成されていること、
を特徴とする。
【0008】
適用例1にかかる燃料タンク用弁装置を用いた燃料タンクにおいて、給油ガンからインレットパイプを通じて燃料タンク内へ給油をすると、燃料遮断弁などの閉弁動作により、タンク内圧が上昇し、これに伴いインレットパイプ内に燃料液位が上昇して、給油ガンのオートストップ機能が働く。上昇したタンク内圧は、燃料タンク用弁装置の第2連通路を通じて第1弁体の受圧面に加わり、第1圧力値を超えたときに、第1弁体を移動させることで弁流路を全閉する。これにより、タンク内圧は、外部へ逃げることなく、燃料タンク用弁装置により維持されるから、インレットパイプ内の燃料液位が保たれ、過給油が防止される。このとき、タンク内圧が所定の第2圧力値を超えた場合には、第2弁体が弁流路を開き、第1弁接続孔を開くことで、タンク内圧が外部へ逃がされる。したがって、燃料タンク用弁装置は、給油時におけるタンク内圧が徐々に低下したり、大きくなり過ぎることがなく、過給油を防止する第2圧力値で維持することができる。
【0009】
燃料タンク用弁装置は、第1弁体と第2弁体とがタンク内圧を受ける開弁圧の設定だけで、過給油防止機構を簡単に実現することができる。
【0010】
燃料タンク用弁装置は、ロールオーバー弁とキャニスタなどの外部との接続管に配置することができ、燃料遮断弁などの構成を改良することで過給油防止機構を設けた場合に比べて、燃料タンクシステムが複雑な構成になることもない。
【0011】
[適用例2]
適用例2において、 上記第1弁体は、
上記第1連通路の開口周縁部に着座することで上記弁流路を開閉するシート面と、該シート面を貫通し上記第1連通路に接続される第2弁接続孔とを有する弁部と、
上記弁部に装着された支持部であって、上記第1弁接続孔を形成した底壁と該底壁の外周部から円筒状に突設された側壁とを有し、上記弁部とともに収納室を形成するカップ形状の支持部とを備え、
上記第2弁体は、
上記収納室に、上記第1弁接続孔を開閉するように収納され、
上記弁流路は、上記第1弁体と上記ケーシングの内壁との間に形成され上記シート面によって開閉される第1弁流路と、上記第1弁接続孔、上記収納室および上記第2弁接続孔により形成され、上記第2弁体によって開閉される第2弁流路とを備えている構成をとることができる。
【0012】
[適用例3]
適用例3の上記ケーシングは、上記弁室を形成する内壁に第1弁体の移動をガイドするとともに上記第1弁流路を形成するガイド突条を備えている構成をとることができる。
【0013】
[適用例4]
適用例4の第1弁体は、上記収納室を形成する内壁に、上記第2弁流路を形成するリブを突設している構成をとることができる。
【0014】
[適用例5]
適用例5において、上記第2弁体は、ボール弁であり、
上記支持部の底壁は、傾斜面を備え、該傾斜面は、上記第2弁体を載置しかつ該第2弁体がその重力により上記第1弁接続孔に向けて移動するように構成することができる。この構成により、給油を終えて、車両が走行したときに、ボール弁である第2弁体が傾斜面を移動して、第1弁接続孔が開かれ、タンク内圧が逃がされ、燃料タンク用弁装置が開弁するから、燃料タンク内と外部への通気が確保される。
【0015】
[適用例6]
適用例6において、
上記第2弁体は、底壁と、該底壁の外周部から円筒状に突設された側壁とを有し、上記底壁および側壁とにより収納部を形成するカップ形状であって、上記第1弁体の収納室内に摺動可能に収納されており、上記第2弁体の底壁は、上記第2弁接続孔を開閉する弁部を備えた構成をとることができる。この構成により、第2弁体をカップ形状で形成し、その底壁に形成した弁部が第1弁接続孔の開口周縁部に着座するので、適用例5に比べて、燃料タンク用弁装置の角度依存性が小さい。また、第1弁接続孔は、適用例5にかかるボール弁を用いた第2弁体と比べて、大きな面積に設定することができる。よって、大流量の気流を流すことができ、タンク内圧の急激な上昇を抑制することができる。
【0016】
[適用例7]
適用例7において、
上記第2弁体の側壁は、上記収納部を形成する壁面に、上記第2弁流路を形成するリブが突設されている構成をとることができる。
【0017】
[適用例8]
適用例8において、
上記第2弁体の底壁は、第2弁接続孔と上記収納部とを接続する第3弁接続孔を備え、
さらに、上記弁機構は、ボール弁から形成され、上記収納部に収納された第3弁体を備え、
上記第2弁体の底壁は、第3弁体がその重力により上記第3弁接続孔に向けて移動するように形成した傾斜面を備えている構成をとることができる。
【0018】
[適用例9]
適用例9において、
上記第2連通路と上記第2弁接続孔との間に、第2連通路から第2弁接続孔へ流れる流体が第2弁体に直接当たるのを避ける迂回路を形成する遮蔽部材を備えた構成をとることができる。
【0019】
[適用例10]
上述の適用例にかかる燃料タンク用弁装置、および第1および第2燃料遮断弁を用いた燃料タンクの通気装置において、
上記第1燃料遮断弁は、
燃料タンクの外部に接続される第1接続通路と、該第1接続通路と上記燃料タンク内とを接続する第1弁室とを形成する第1ケーシングと、
上記第1弁室に収納され燃料タンクの燃料液位が第1の液位を越えたときに上昇することで上記第1接続通路を閉じる第1フロート機構と、
を有し、
第2燃料遮断弁は、
上記燃料タンク用弁装置の第2連通路に接続され上記第1接続通路より通路面積の小さい第2接続通路と、該第2接続通路と燃料タンク内とを接続する第2弁室とを形成する第2ケーシングと、
上記第2弁室に収納され燃料タンクの燃料液位が上記第1の液位より高い第2の液位を越えたときに上昇することで上記第2接続通路を閉じる第2フロート機構と、
を有する構成をとることができる。
【0020】
[適用例11]
適用例11において、上記第1燃料遮断弁の第1ケーシングと上記燃料タンク用弁装置のケーシングは一体に組み付けられている構成をとることができる。
【0021】
[適用例12]
適用例12において、上記第2燃料遮断弁の第2ケーシングと上記燃料タンク用弁装置のケーシングは一体に組み付けられている構成をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施例にかかる燃料タンク用弁装置を搭載した燃料タンクの通気装置を説明する説明図である。
【図2】燃料タンク用弁装置を示す断面図である。
【図3】燃料タンク用弁装置を分解した断面図である。
【図4】燃料タンク用弁装置を一部破断して分解した斜視図である。
【図5】第1弁体の閉弁動作を説明する説明図である。
【図6】図5の6−6線に沿った断面図である。
【図7】第2弁体の開弁動作を説明する説明図である。
【図8】第2弁体の開弁動作を説明する説明図である。
【図9】給油時におけるタンク内圧を説明する説明図である。
【図10】第2実施例にかかる燃料タンク用弁装置を示す断面図である。
【図11】第3実施例にかかる燃料タンク用弁装置を示す断面図である。
【図12】燃料タンク用弁装置を分解した断面図である。
【図13】燃料タンク用弁装置を分解して一部破断した斜視図である。
【図14】燃料タンク用弁装置の動作を説明する説明図である。
【図15】図14に続く動作を説明する説明図である。
【図16】図15に続く動作を説明する説明図である。
【図17】第4実施例にかかる燃料タンク用弁装置を搭載した燃料タンクの通気装置を説明する説明図である。
【図18】満タン規制弁に燃料タンク用弁装置を組み付けた状態を示す断面図である。
【図19】第5実施例にかかる燃料タンク用弁装置を搭載した燃料タンクの通気装置を説明する説明図である。
【図20】ロールオーバー弁に燃料タンク用弁装置を組み付けた状態を示す断面図である。
【図21】第6実施例にかかる燃料タンクの通気装置を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
A.第1実施例
(1) 燃料タンクの通気装置FSの概略構成
図1は本発明の第1実施例にかかる燃料タンク用弁装置を搭載した燃料タンクの通気装置を説明する説明図である。燃料タンクの通気装置FSは、扁平の燃料タンクFT内の上壁に取り付けられた、いわゆるアウトタンク式の満タン規制弁FFV(第1燃料遮断弁)およびロールオーバー弁FCV(第2燃料遮断弁)と、燃料タンクFTの外部に配置された燃料タンク用弁装置10と、キャニスタCNと、これらを接続する接続配管とを備えている。満タン規制弁FFVは、第1接続通路CP1と上記燃料タンクFT内とを接続する第1弁室FFVaとを形成する第1ケーシングFFVbと、上記第1弁室FFVaに収納された第1フロート機構FU1とを備えており、給油時に燃料タンクFT内の燃料液位が第1の液位FL1に達したときに、第1フロート機構FU1を上昇させて第1接続通路CP1を閉じる弁である。
ロールオーバー弁FCVは、車両が傾斜した場合であっても、外部への通気を確保するように配置されており、満タン規制弁FFVの第1接続通路CP1より通路面積の小さい第2接続通路CP2と、第2接続通路CP2と燃料タンクFT内とを接続する第2弁室FCVaとを形成する第2ケーシングFCVbと、第2弁室FCVaに収納された第2フロート機構FU2とを備えており、燃料タンクFTの燃料液位が上記第1の液位FL1より高い第2の液位FL2を越えたときに上昇することで、第2接続通路CP2を閉じる弁である。
これらの弁は、燃料タンクFTの外部に対する通気を確保するとともに燃料の流出を防止している。満タン規制弁FFVは、第1配管P1を介してキャニスタCNに接続されている。燃料タンク用弁装置10は、第2配管P2を通じてロールオーバー弁FCVに接続され、さらに第3配管P3を通じてキャニスタCNに接続されており、給油時に、オートストップ機能や過給油を防止する機能を有している。
【0024】
(2) 燃料タンク用弁装置10の構成および作用
図2は燃料タンク用弁装置10を示す断面図である。燃料タンク用弁装置10は、弁室20Sを形成するケーシング20と、弁室20S内に収納された弁機構40とを備えている。弁機構40は、弁室20Sに形成された弁流路20Pを開閉する第1弁体41および第2弁体50を備えており、第1弁体41および第2弁体50が受ける圧力に応じて通路を開閉する。
【0025】
(2)−1 ケーシング20の構成
図3は燃料タンク用弁装置10を分解した断面図、図4は燃料タンク用弁装置10の分解した斜視図である。ケーシング20は、第1弁室形成部材31と、第2弁室形成部材35とを備え、これらで弁室20Sを形成している。第1弁室形成部材31は、円板状の上壁32と、上壁32の外周部から下方へ突出した円筒部33と、上壁32の中心部から上方へ突出した第1連通路34Pを有する第1の接続管部34とを備えている。上壁32には、弁室20S側に向けて突出したシール部32aが形成されている。シール部32aは第1連通路34Pに臨んで配置されている。円筒部33の内壁には、軸方向にガイド突条33aがリブ形状に複数(図示では8箇所)形成されており、これらのガイド突条33aの間が側部通路33bになっている。第1の接続管部34は、図1に示す第3配管P3を介してキャニスタCNに接続されている。第1の接続管部34の外周部には、第3配管P3を接続するための第1接続部34aを有している。なお、第1接続部34aには、ファーツリなどの環状突部を形成することで第3配管P3に対する抜止め力を高めた状態で接続してもよい。
【0026】
第2弁室形成部材35は、弁室20Sの開口を閉じる円板状の通路壁部36と、通路壁部36から下方へ突出し第2連通路37Pを形成した第2の接続管部37とを備えている。通路壁部36の外周部は、接合段部36aになっており、円筒部33の下端に溶着接合される。また、通路壁部36の上面は、放射状に支持突部36bが突設されており、弁機構40を載置するとともに、支持突部36bの間に通路を形成している。第2の接続管部37は、図1に示す第2配管P2を介してロールオーバー弁FCVに接続されている。第2の接続管部37の外周部には、第2配管P2を接続するための第2接続部37aを有している。なお、第2接続部37aには、ファーツリなどの環状突部を形成することで第2配管P2に対する抜止め力を高めた状態で接続してもよい。
【0027】
(2)−2 弁機構40の構成
弁機構40は、弁室20S内に収納され、第1弁体41と、第2弁体50とを備えている。第1弁体41は、円板部43と側壁44とからなる弁部42と、弁部42に接合されるカップ形状の支持部45とを備えている。円板部43の上面には、シール部32aに着離するシート面43aが形成されている。円板部43の中央部に、第1連通路34Pに接続される第2弁接続孔43bが貫通している。また、円板部43の外周部に、側壁44が円筒状に形成されている。側壁44の外周部には、フランジ44aが形成され、その下部が段部44bになっている。また、側壁44の内周部には、リブ44cが軸方向に複数所定間隔で形成され、その間を通路44dとしている。支持部45は、円筒状の側壁46と、側壁46の下部に形成された底壁47とを備え、これらがカップ形状に一体に形成されている。底壁47は、上面が中央に向けて傾斜した傾斜面47aになっている。底壁47には、第2連通路37Pに接続される第1弁接続孔47bが形成されている。第1弁接続孔47bの開口周縁部は、第2シート面47cになっており、第2弁体50が着離することで第1弁接続孔47bを開閉する。第2弁体50は、鋼球のボール弁であり、傾斜面47a上に載置されており、第1弁接続孔47bを閉じる方向への力を受けている。
【0028】
弁機構40は、第1弁体41および第2弁体50により、第1連通路34Pおよび第2連通路37Pとの圧力差および、両弁体の自重との釣り合いにより弁流路20Pをそれぞれ開閉する。ここで、図2に示すように、弁流路20Pは、第1弁体41によって開閉される第1弁流路20Paと、第2弁体50によって開閉される第2弁流路20Pbとを備えている。図5は第1弁体41の閉弁動作を説明する説明図、図6は図5の6−6線に沿った断面図である。第1弁流路20Paは、第2連通路37Pから、支持突部36bの間の通路36c、ガイド突条33aの間の側部通路33bから第1連通路34Pに至る通路である。第1弁体41は、第2連通路37Pからの圧力をその受圧面で受けて、第2連通路37Pの圧力が所定の第1圧力値Pr1を超えているときに、閉弁方向への力で移動することで、シート面43aがシール部32aに着座することで第1弁流路20Paを全閉するように構成されている。
【0029】
図7は第2弁体の開弁動作を説明する説明図である。第2弁流路20Pbは、第2連通路37Pから、第1弁接続孔47b、収納室40S、リブ44cの間に形成された通路44d、および第2弁接続孔43bから第1連通路34Pに至る通路である。第2弁体50は、第1弁体41が第1弁流路20Paを閉じている状態にて、第2連通路37Pの圧力を第1弁接続孔47bを通じて受けて、第2連通路37Pの圧力が所定の第2圧力値Pr2を超えているときに第1弁接続孔47bから離れる方向へ移動することにより、第1弁接続孔47bを開き、弁流路20Pの第1弁流路20Paを連通するように構成されている。
【0030】
(3) 燃料タンクの通気装置FSの動作
図1において、給油ガンからインレットパイプIPを通じて燃料タンクFT内への給油をすることにより、燃料タンクFT内の燃料液位が第1の液位FL1(満タン液位)に達して満タン規制弁FFVが閉じると、タンク内圧が上昇し、給油ガンのオートストップ機能が働く。このときロールオーバー弁FCVは、その閉弁液位である第2の液位FL2に達していないので開いた状態を維持する。上昇したタンク内圧は、ロールオーバー弁FCV、第2配管P2、図2に示す燃料タンク用弁装置10の第2連通路37P、第1弁体41の受圧面41Fに加わる。そして、図5に示すように、第1弁体41に加わる上方(閉弁方向)への力が第1弁体41および第2弁体50の自重を上回ると、第1弁体41が上方へ移動し、シート面43aがシール部32aに着座して第1連通路34Pを閉じる。これにより、タンク内圧が燃料タンク用弁装置10により維持される。すなわち、給油の際に、満タン規制弁FFVが閉じた後に、タンク内圧は維持され、インレットパイプIP内の燃料液位を保ち、追加給油を防止する。そして、図7に示すように、タンク内圧が所定の第2圧力値Pr2を超えた場合には、第2弁体50が第2シート面47cから離れて、第1弁接続孔47bを開く。これにより、タンク内圧は、第2連通路37P、第1弁接続孔47b、収納室40S、第2弁接続孔43b、第1連通路34Pを通じてキャニスタCNに逃がされて急激に上昇することが抑えられ、インレットパイプIPからの吹き返しなどを防止することができる。さらに、給油を終えて、車両が走行すると、図8に示すように、第2弁体50は、傾斜面47aを移動して、第1弁接続孔47bを開く。これにより、第1弁流路20Paを通じて、タンク内圧が逃がされる。
【0031】
図9は給油時におけるタンク内圧を説明する説明図であり、縦軸がタンク内圧、横軸に給油開始からの時間を示す。図9において、給油の開始時刻t0から、時刻t1にて、燃料タンクFT内の燃料液位が満タン液位を超えると満タン規制弁FFVの閉弁によりタンク内圧が上昇し、さらに、ロールオーバー弁FCVを通じて、燃料タンク用弁装置10の第1弁体41に圧力が加わり、第1圧力値Pr1を超えると、図5に示すように第1弁体41が第1弁流路20Paを閉じることで、タンク内圧が上昇する。そして、タンク内圧は、第2圧力値Pr2を超えると、図7に示すように、第2弁体50が開弁して(時刻t2〜t3)、タンク内圧が第2圧力値Pr2まで低下する。そして、時刻t3以後にて、図5に示すように、第1弁体41が閉弁状態を維持するから、タンク内圧は第2圧力値Pr2に維持される。これにより、タンク内圧が第2圧力値Pr2以下に低下しないから、インレットパイプIP内の燃料液位を保ち、追加給油を防止する。そして、給油を終えて、車両が走行すると、図8に示すように、第2弁体50は、傾斜面47aを移動して、第2弁流路20Pbを開く(時刻t4)。これにより、タンク内圧が逃がされ、さらに第1弁体41が開くから、図1に示すように、燃料タンクFT内は、ロールオーバー弁FCV、燃料タンク用弁装置10を通じて通気が確保される。
【0032】
(4) 実施例の作用・効果
上記実施例により、以下の作用・効果を奏する。
(4)−1 燃料タンク用弁装置10は、給油時に、オートストップを働かせる第1圧力値Pr1に維持するから、インレットパイプIP内の燃料液位が保たれ、過給油が防止される。
【0033】
(4)−2 燃料タンク用弁装置10は、タンク内圧が第1圧力値Pr1より大きい第2圧力値Pr2を超えた場合には、第2弁体50が弁流路20Pを開き、第1弁接続孔47bを開くことで、タンク内圧を外部へ逃がすから、インレットパイプIPの給油口からの燃料の溢れ出しを防止するとともに、燃料タンクを保護することができる。
【0034】
(4)−3 燃料タンク用弁装置10は、第1弁体41と第2弁体50とがタンク内圧を受ける開弁圧の設定だけで、過給油防止機構を簡単に実現することができる。
【0035】
(4)−4 燃料タンク用弁装置10は、ロールオーバー弁とキャニスタなどの外部との接続管に配置することができ、燃料遮断弁などの構成を改良することで過給油防止機構を設けた場合に比べて、燃料タンクシステムが複雑な構成になることもない。
【0036】
(4)−5 図5および図7に示すように、燃料タンク用弁装置10は、車両の振動に伴って第2弁体50が移動しても、第2弁体50がリブ44cの下端に当たって、リブ44cの間の通路44dで通気路が確保されているから、第2弁接続孔43bへの通路を閉じることがなく、燃料タンク内を密閉にしない。
【0037】
B.第2実施例
図10は第2実施例にかかる燃料タンク用弁装置を示す断面図である。第2実施例にかかる燃料タンク用弁装置10Bは、弁機構40Bの第1弁体41Bの構成に特徴を有する。すなわち、第1弁体41Bは、カップ形状の支持部45Bの上端に弁部42Bを備えている。弁部42Bには、ケーシング20Bのシール部32Baに着座するシート面43Baが形成されている。弁部42Bがシート面43Baに着座することにより、第1弁体41Bは、第1弁流路20Paを全閉する。このように、第1弁体41は、第1圧力値Pr1で第1弁流路20Paを全閉できる構成であれば、その構成は特に限定されない。
【0038】
C.第3実施例
図11は第3実施例にかかる燃料タンク用弁装置10Cを示す断面図である。第3実施例にかかる燃料タンク用弁装置10Cは、弁機構40Cを3つの弁体から構成したことに特徴を有する。すなわち、弁機構40Cは、第1弁体41Cと、第2弁体50Cと、鋼球のボールからなる第3弁体60Cとを備えている。
【0039】
図12は燃料タンク用弁装置10Cを分解した断面図、図13は燃料タンク用弁装置10Cを分解した斜視図である。図12および図13において、第1弁体41Cは、円板状の弁部42Cと、弁部42Cに組み付けられカップ形状の支持部45Cとを備え、これらに囲まれた収納室40S−Cを形成している。弁部42Cには、シール部32Caに着離するシート面43Caおよび第2弁接続孔43Cbが形成されている。支持部45Cは、円筒状の側壁46Cと、側壁46Cの下部に形成された底壁47Cとを備えている。側壁46Cの内壁には、リブ46Caが軸方向に複数所定間隔で形成され、その間を通路46Cbとしている。底壁47Cには、第2連通路37P−Cに接続された第1弁接続孔47Cbが形成されている。第1弁接続孔47Cbの開口周縁部は、第2シート面47Ccになっており、第2弁体50Cが着離することで第1弁接続孔47Cbを開閉する。
【0040】
第2弁体50Cは、底壁51Cと、側壁52Cとを備え、上部へ開口した収納部50C−Sを有するカップ形状に形成され、スプリング54Cにより閉弁方向に付勢されている。底壁51Cには、平面の弁部51Caが形成されている。弁部51Caは、第1弁体41Cの第1弁接続孔47Cbの第2シート面47Ccに着離することで第1弁接続孔47Cbを開閉する。また、弁部51Caの中央部には、第1弁接続孔47Cbに接続される第3弁接続孔51Cbが形成されている。第3弁接続孔51Cbの開口周縁部は、第3シート面51Ccになっており、第3弁体60Cが着離することで第3弁接続孔51Cbを開閉する。底壁51Cには、上面が中央に向けて傾斜した傾斜面51Cdになっている。側壁52Cの収納部50C−S側の壁面には、リブ52Caが形成され、その間を通路としている。スプリング54Cは、底壁51Cと第1弁体41の弁部42との間に掛け渡されて閉弁方向に付勢している。
【0041】
また、第2弁室形成部材35Cの上部であって第2連通路37P−Cの開口周縁部に遮蔽部材70Cが一体に形成されている。遮蔽部材70Cは、ほぼ円板状の遮蔽部71Cと、遮蔽部71Cの下部外周から複数突設された脚部72Cとを備え、脚部72Cの間に迂回路73Cを形成している。迂回路73Cは、第2連通路37P−Cからの気流によって第2弁体50Cおよび第3弁体60Cへ開弁方向に大きな力が加わるのを回避するために、気流の流れを遮蔽部71Cに当てることで側方に向けている。
【0042】
燃料タンク用弁装置10Cの動作について説明する。図11において、燃料タンク用弁装置10Cは、タンク内圧を、第2連通路37P、第1弁体41Cの受圧面で受ける。そして、図14に示すように、弁機構40Cに加わる上方(閉弁方向)への力が第1弁体41C、第2弁体50Cおよび第3弁体60Cの自重を上回ると、これらが一体になって上方へ移動し、シート面43Caがシール部32Caに着座して第1連通路34P−Cを閉じる。これにより、タンク内圧が燃料タンク用弁装置10Cにより維持される。
【0043】
そして、図15に示すように、タンク内圧が所定の第2圧力値Pr2を超えた場合には、第2弁体50Cの弁部51Caが第1弁体41Cの第2シート面47Ccから離れて、第1弁接続孔47Cbを開く。これにより、第2連通路37P−Cからの気流が、迂回路73C、第1弁接続孔47Cb、収納室40S−C、第2弁接続孔43Cb、第1連通路34P−Cを通じて流れ、タンク内圧が、キャニスタCN(図1参照)に逃がされて急激に上昇することが抑えられ、インレットパイプIP(図1参照)からの吹き返しなどを防止することができる。なお、第3弁接続孔51Cbを通じて第3弁体60Cに、その開弁圧より大きな圧力が加わった場合には、第3弁体60Cは、第3シート面51Ccから離れて、上方へ移動して開弁する。これにより、第2連通路37P−Cからの気流は、第3弁接続孔51Cb、収納部50C−Sから第2弁接続孔43Cbを通じても流れ、タンク内圧を一層抑制することができる。
【0044】
さらに、給油を終えて、車両が走行すると、図16に示すように、第3弁体60Cが傾斜面51Cd上を移動して、第3弁接続孔51Cbを開くと、第3弁接続孔51Cbから収納部50C−S、第2弁接続孔43Cbを通じて気流が流れ、タンク内圧が逃がされる。
【0045】
図11に示すように、第3実施例にかかる燃料タンク用弁装置10Cによれば、第2弁体50Cの弁部51Caが平面で第2シート面47Ccに着座するので、燃料タンク用弁装置10Cの角度依存性が小さい。また、第1弁接続孔47Cbは、平面の弁部51Caで開閉されるので、第1実施例にかかるボール弁を用いた第2弁体50と比べて、大きな面積に設定することができる。よって、大流量の気流を流すことができ、タンク内圧の急激な上昇を抑制することができる。
【0046】
D.第4実施例
図17は第4実施例にかかる燃料タンク用弁装置を搭載した燃料タンクの通気装置を説明する説明図である。本実施例は、燃料タンク用弁装置10Dを満タン規制弁FFV−D(第1燃料遮断弁)と一体に組み付けた構成に特徴を有する。図18は満タン規制弁FFV−Dの付近を拡大した断面図である。満タン規制弁FFV−DのケーシングFFVb−Eには、燃料タンク用弁装置10Dが一体に組み付けられている。図17に示すように、燃料タンク用弁装置10Dは、ロールオーバー弁FCVに第2配管P2を介して接続され、第1配管P1を介してキャニスタCNに接続されている。本実施例によれば、燃料タンク用弁装置10Dの取付構造の簡略化や、燃料タンク用弁装置10Dを満タン規制弁FFV−Dに接続するための配管を簡略化することができる。
【0047】
E.第5実施例
図19は第5実施例にかかる燃料タンク用弁装置を搭載した燃料タンクの通気装置を説明する説明図である。本実施例は、燃料タンク用弁装置10Eをロールオーバー弁FCV−E(第2燃料遮断弁)と一体に組み付けた構成に特徴を有する。図20はロールオーバー弁FCV−Eの付近を拡大した断面図である。ロールオーバー弁FCV−Eの第2ケーシングFCVb−Eの上部のスペースには、燃料タンク用弁装置10Eが一体に組み付けられている。燃料タンク用弁装置10Eは、ロールオーバー弁FCV−Eの第2接続通路CP2に接続されるとともに、第2配管P2を介してキャニスタCN(図19)に接続されている。本実施例によっても、第4実施例と同様に、燃料タンク用弁装置10Eの取付構造の簡略化や、燃料タンク用弁装置10Eをロールオーバー弁FCV−Eに接続するための配管を簡略化することができる。
【0048】
F.第6実施例
図21は第6実施例にかかる燃料タンクの通気装置を説明する説明図である。本実施例は、燃料タンク用弁装置10Fを燃料ポンプFPに一体化した構成に特徴を有する。すなわち、燃料タンクFTの上壁には、タンク開口FTaが形成され、このタンク開口FTaを蓋体FTbによって塞いでいる。蓋体FTbには、燃料ポンプFP、燃料タンク用弁装置10Fおよびロールオーバー弁FCVが装着されている。燃料ポンプFPには、燃料タンク用弁装置10Fが一体に組み付けられている。本実施例によれば、燃料タンク用弁装置10Fなどを燃料ポンプFPと一体化することで、つまりモジュール化することにより、構成を簡単にし、取付作業も容易になる。
【0049】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0050】
上記実施例では、第2弁体として、ボール弁およびカップ形状の弁体を用いたが、これに限らず、金属の薄板から形成されたプレートや、ポペット弁であってもよい。
【0051】
上記実施例における第1および第2弁体は、圧力とその自重との釣り合いにより開閉するように構成したが、これに限らず、閉弁または開弁の方向へ付勢するスプリングを補助的に用いてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10…燃料タンク用弁装置
10B…燃料タンク用弁装置
10C…燃料タンク用弁装置
10D…燃料タンク用弁装置
10E…燃料タンク用弁装置
10F…燃料タンク用弁装置
20…ケーシング
20B…ケーシング
20D…ケーシング
20E…ケーシング
20S…弁室
20P…弁流路
20Pa…第1弁流路
20Pb…第2弁流路
31…第1弁室形成部材
32…上壁
32a…シール部
32Ba…シール部
32Ca…シール部
33…円筒部
33a…ガイド突条
33b…側部通路
34…第1の接続管部
34P…第1連通路
34P−C…第1連通路
34a…第1接続部
35…第2弁室形成部材
35C…第2弁室形成部材
36…通路壁部
36a…接合段部
36b…支持突部
36c…通路
37…第2の接続管部
37P…第2連通路
37P−C…第2連通路
37a…第2接続部
40…弁機構
40S−C…収納室
40B…弁機構
40C…弁機構
40S…収納室
41…第1弁体
41F…受圧面
41B…第1弁体
41C…第1弁体
42…弁部
42B…弁部
42C…弁部
43…円板部
43a…シート面
43Ba…シート面
43Ca…シート面
43b…第2弁接続孔
43Cb…第2弁接続孔
44…側壁
44a…フランジ
44b…段部
44c…リブ
44d…通路
45…支持部
45B…支持部
45C…支持部
46…側壁
46C…側壁
46Ca…リブ
46Cb…通路
47…底壁
47C…底壁
47a…傾斜面
47b…第1弁接続孔
47c…第2シート面
47Cb…第1弁接続孔
47Cc…第2シート面
50…第2弁体
50C−S…収納部
50C…第2弁体
51C…底壁
51Ca…弁部
51Cb…第3弁接続孔
51Cc…第3シート面
51Cd…傾斜面
52C…側壁
52Ca…リブ
54C…スプリング
60C…第3弁体
70C…遮蔽部材
71C…遮蔽部
72C…脚部
73C…迂回路
CN…キャニスタ
CP1…第1接続通路
CP2…第2接続通路
FCV…ロールオーバー弁
FCV−E…ロールオーバー弁
FCVa…第2弁室
FCVb…第2ケーシング
FCVb−E…第2ケーシング
FFV…満タン規制弁
FFV−D…満タン規制弁
FFVa…第1弁室
FFVb…第1ケーシング
FFVb−D…第1ケーシング
FP…燃料ポンプ
FS…燃料タンクの通気装置
FT…燃料タンク
FTa…タンク開口
FTb…蓋体
FU1…第1フロート機構
FU2…第2フロート機構
IP…インレットパイプ
P1…第1配管
P2…第2配管
P3…第3配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク(FT)内と外部とを連通遮断する燃料タンク用弁装置において、
上記外部に接続される第1連通路(34P)と、上記燃料タンク(FT)に接続される第2連通路(37P)と、上記第1連通路(34P)と上記第2連通路(37P)とを接続する弁流路(20P)を形成する弁室(20S)とを有するケーシング(20)と、
上記弁室(20S)に収納され、上記第1連通路(34P)および第2連通路(37P)の圧力に応じて上記弁流路(20P)を開閉する弁機構(40)と、
を備え、
上記弁機構(40)は、
上記第1連通路(34P)の通路面積より大きくかつ第1連通路(34P)および第2連通路(37P)からの圧力を受ける受圧面と、上記弁流路(20P)の一部を形成する第1弁接続孔(47b)とを有する第1弁体(41)と、
上記第1弁接続孔(47b)を開閉する第2弁体(50)と、
を有し、
上記第1弁体(41)は、上記第2連通路(37P)の圧力が所定の第1圧力値(Pr1)を超えているときに、上記受圧面が受ける閉弁方向への力で移動することで上記弁流路(20P)を全閉するように構成され、
上記第2弁体(50)は、上記第1弁体(41)が上記弁流路(20P)を閉じている状態にて、上記第2連通路(37P)の圧力が上記第1圧力値(Pr1)より大きい所定の第2圧力値(Pr2)を超えたときに、上記第1弁接続孔(47b)からの圧力を受けて閉弁状態から移動することで上記第1弁接続孔(47b)を開き、上記弁流路(20P)を連通するように構成されていること、
を特徴とする燃料タンク用弁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料タンク用弁装置において、
上記第1弁体(41)は、
上記第1連通路(34P)の開口周縁部に着座することで上記弁流路(20P)を開閉するシート面(43a)と、該シート面(43a)を貫通し上記第1連通路(34P)に接続される第2弁接続孔(43b)とを有する弁部(42)と、
上記弁部(42)に装着された支持部(45)であって、上記第1弁接続孔(47b)を形成した底壁(47)と該底壁(47)の外周部から円筒状に突設された側壁(46)とを有し、上記弁部(42)とともに収納室(40S)を形成するカップ形状の支持部(45)とを備え、
上記第2弁体(50)は、
上記収納室(40S)に、上記第1弁接続孔(47b)を開閉するように収納され、
上記弁流路(20P)は、上記第1弁体(41)と上記ケーシング(20)の内壁との間に形成され上記シート面(43a)によって開閉される第1弁流路(20Pa)と、上記第1弁接続孔(47b)、上記収納室(40S)および上記第2弁接続孔(43b)により形成され、上記第2弁体(50)によって開閉される第2弁流路(20Pb)とを備えている燃料タンク用弁装置。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料タンク用弁装置において、
上記ケーシング(20)は、上記弁室(20S)を形成する内壁に第1弁体(41)の移動をガイドするとともに上記第1弁流路(20Pa)を形成するガイド突条(33a)を備えている燃料タンク用弁装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の燃料タンク用弁装置において、
上記第1弁体(41)は、上記収納室(40S)を形成する内壁に、上記第2弁流路(20Pb)を形成するリブ(44c)を突設している燃料タンク用弁装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の燃料タンク用弁装置において、
上記第2弁体(50)は、ボール弁であり、
上記支持部(45)の底壁(47)は、傾斜面(47a)を備え、該傾斜面(47a)は、上記第2弁体(50)を載置しかつ該第2弁体(50)がその重力により上記第1弁接続孔(47b)に向けて移動するように形成されている燃料タンク用弁装置。
【請求項6】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の燃料タンク用弁装置において、
上記第2弁体(50C)は、底壁(51C)と、該底壁(51C)の外周部から円筒状に突設された側壁(52C)とを有し、上記底壁(51C)および側壁(52C)とにより収納部(50C−S)を形成するカップ形状であって、上記第1弁体(41C)の収納室(40S−C)内に摺動可能に収納されており、
上記第2弁体(50C)の底壁(51C)は、上記第1弁接続孔(47Cb)を開閉する弁部(51Ca)を備えた燃料タンク用弁装置。
【請求項7】
請求項6に記載の燃料タンク用弁装置において、
上記第2弁体(50C)の側壁(52C)は、上記収納部(50C−S)を形成する壁面に、上記第2弁流路(20Pb)を形成するリブ(52Ca)が突設されている燃料タンク用弁装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の燃料タンク用弁装置において、
上記第2弁体(50C)の底壁(51C)は、上記第1弁接続孔(47Cb)と上記収納部(50C−S)とを接続する第3弁接続孔(51Cb)を備え、
さらに、上記弁機構(40C)は、ボール弁から形成され、上記収納部(50C−S)に収納された第3弁体(60C)を備え、
上記第2弁体(50C)の底壁(51C)は、上記第3弁体(60C)がその重力により上記第3弁接続孔(51Cb)に向けて移動するように形成した傾斜面(51Cd)を備えている燃料タンク用弁装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の燃料タンク用弁装置において、
上記第2連通路(37P−C)と上記第1弁接続孔(47Cb)との間に、上記第2連通路(37P−C)から上記第1弁接続孔(47Cb)へ流れる流体が上記第2弁体(50C)に直接当たるのを避ける迂回路(73C)を形成する遮蔽部材(70C)を備えた燃料タンク用弁装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の燃料タンク用弁装置、および第1および第2燃料遮断弁を用いた燃料タンクの通気装置において、
上記第1燃料遮断弁は、
燃料タンク(FT)の外部に接続される第1接続通路(CP1)と、該第1接続通路(CP1)と上記燃料タンク(FT)内とを接続する第1弁室(FFVa)とを形成する第1ケーシング(FFVb)と、
上記第1弁室(FFVa)に収納され燃料タンク(FT)の燃料液位が第1の液位(FL1)を越えたときに上昇することで上記第1接続通路(CP1)を閉じる第1フロート機構(FU1)と、
を有し、
上記第2燃料遮断弁は、
上記燃料タンク用弁装置(10)の第2連通路(37P)に接続され上記第1接続通路(CP1)より通路面積の小さい第2接続通路(CP2)と、該第2接続通路(CP2)と燃料タンク(FT)内とを接続する第2弁室(FCVa)とを形成する第2ケーシング(FCVb)と、
上記第2弁室(FCVa)に収納され燃料タンク(FT)の燃料液位が上記第1の液位(FL1)より高い第2の液位(FL2)を越えたときに上昇することで上記第2接続通路(CP2)を閉じる第2フロート機構(FU2)と、
を有する、燃料タンクの通気装置。
【請求項11】
請求項10に記載の燃料タンク用弁装置において、
上記第1燃料遮断弁の第1ケーシング(FFVb−D)と上記燃料タンク用弁装置(10D)のケーシング(20D)は一体に組み付けられている燃料タンクの通気装置。
【請求項12】
請求項10に記載の燃料タンク用弁装置において、
上記第2燃料遮断弁の第2ケーシング(FCVb−E)と上記燃料タンク用弁装置(10E)のケーシング(20E)は一体に組み付けられている燃料タンクの通気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−47169(P2012−47169A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110906(P2011−110906)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】