説明

片面段ボール製封筒の製造方法及びそれに用いる打ち抜き型

【課題】片面段ボールを用いたクッション性を有する封筒を製作することができると共に、サックマシンを使用して自動的に糊付け及び折り重ねを行うことができるようにして、作業能率を大幅に向上させる。
【解決手段】片面段ボール原紙を、その中心原紙の波状段部の突条が封筒の長さ方向になるようにして封筒の展開形状に裁断する。ブランクス1における封筒表面部2と封筒裏面部3との境界部に、罫線5をつけると共に、該罫線5の外側に連続するミシン目状罫線6,6をつける。封筒表面部2と封筒裏面部3の夫々の幅方向の両端部において、封筒表面部2にあっては外方に向けて一斉に圧潰し、封筒裏面部3にあっては内方に向けて一斉に圧潰する。封筒表面部2と封筒裏面部3の夫々の糊しろ部の適所に、ライン状に接着剤16を塗布する。封筒裏面部3を罫線5から折り返して封筒表面部2に重合する。フラップ4に剥離紙付き両面粘着テープ17を貼着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は片面段ボール製封筒の製造方法およびそれに用いる打ち抜き型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
精密機械、電気部品、医療器具、宝飾品、化粧品、CD、カセットテープ等の衝撃を嫌うものを包装するためのクッション性を有する封筒が種々提案されており、例えば特開2004−244037号公報(特許文献1)には、封筒内にプラスチック気泡シート緩衝材を内装した封筒が開示されている。
【0003】
しかし、斯かる封筒にあっては、廃棄するときに封筒(紙)とプラスチック気泡シート緩衝材とを分離しなければならず、廃棄するときに手間がかかる。また、製造する上においても、封筒内にこれとは別体のプラスチック気泡シート緩衝材を内装する手間と時間を要するものであり、多くの材料と手間がかかる分コスト高になる。
【0004】
ところで、波状段部に形成された中心原紙とこれの両面又は片面に貼着されるライナーとからなる段ボールには、次の通りの特性がある。
イ. クッション性を有する。
ロ. 廃棄するときに、何ら手を加えることなくそのままで廃棄することができる。
ハ. 古紙配合率100%の場合、容器包装リサイクル法上で規定されている紙マークの 表示が不要である。
【0005】
従来においても、斯かる段ボールの特性を利用すべく片面段ボールを用いて製作した封筒も提案された。
【0006】
該封筒は、片面段ボールを、その中心原紙の波状段部の突条が縦方向、即ち封筒の長さ方向になるようにして、長方形の表面部の左側縁に長方形の裏面部を連成すると共に、前記表面部の上端縁にフラップを連成し、前記表面部の上に裏面部を折り重ねた後、表面部の右側縁と下端縁に連成した貼着片を夫々該裏面部上に折り返し、該貼着片をその内面に塗布した接着剤をもって裏面部に貼着することによって封筒とするものである。
【0007】
斯かる封筒の場合には、上記の如く片面段ボールを、その中心原紙の波状段部の突条が縦方向、即ち封筒の長さ方向になるようにして用いるものであると共に、表面部と裏面部は横方向に、即ち中心原紙の波状段部の突条と直交する方向に連成されているものである。
【0008】
このため、表面部上に裏面部を折り返すための罫線をつけるとき、該罫線は中心原紙の波状段部の突条に沿ってつけることになる。しかし、このように罫線を中心原紙の波状段部の突条に沿ってつける場合には、サックマシンと呼ばれる自動糊付け、折畳み装置を利用することができない。何故なら、該サックマシンにより自動的に折り曲げるときに、中心原紙の波状段部の突条に沿って折り曲げるため、即ちどの位置でも容易に折れ曲がるため、正確に罫線の位置で折り曲げることができないからである。よって、全ての工程を手作業で行わなければならないため作業能率が悪く、多大な労力と時間を要するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−244037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、上記特性を有する段ボールのうちで片面段ボールを用いると共に、その中心原紙側から加工を施すことにより、片面ダンボールを用いたクッション性を有する封筒を製作することができると共に、サックマシンを使用して自動的に糊付け及び折り重ねを行うことができるようにして、作業能率を大幅に向上させることができるようになした片面段ボール製封筒の製造方法及びそれに用いる打ち抜き型を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
而して、本発明に係る片面ダンボール製封筒の製造方法は、以下の工程からなることを特徴とするものである。
a.片面段ボール原紙を、その中心原紙の波状段部の突条が封筒の長さ方向になるようにして、長方形の表面部の下端縁に長方形の裏面部を連成すると共に、前記表面部の上端縁にフラップを連成した封筒の展開形状に裁断する工程。
b.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部と封筒裏面部との境界部に、後記糊しろ部を残して中心原紙側から封筒裏面部を折り返すための折り曲げ用罫線をつけると共に、該罫線の外側に連続するミシン目状罫線をつける工程。
c.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部とフラップとの境界部に、中心原紙側から折り曲げ用罫線をつける工程。
d.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部と封筒裏面部との境界部において、前記封筒裏面部を折り返すための罫線を囲むように、封筒表面部と封筒裏面部の夫々に物品包装時に封筒に膨らみを与えるための台形状の折り曲げ用罫線をつける工程。
e.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部と封筒裏面部の夫々の幅方向の両端部において、糊しろ部とすべく、中心原紙の波状段部の突条を、封筒表面部にあっては外方に向けて一斉に圧潰し、封筒裏面部にあっては内方に向けて一斉に圧潰する工程。
f.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部と封筒裏面部との境界部において、前記封筒裏面部を折り返すための罫線を挟んで封筒表面部と封筒裏面部の夫々を圧潰する工程。
g.展開形状に裁断されたブランクスにおけるフラップにおいて、その中心原紙の波状段部の突条を全て一斉に圧潰する工程。
h.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部と封筒裏面部の夫々の糊しろ部の適所に、ライン状に接着剤を塗布する工程。
i.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒裏面部を折り曲げ用罫線から折り返して封筒表面部に重合する工程。
j.封筒裏面部を封筒表面部に折り返して重合した状態のブランクスにおける幅方向の両端部を加圧し、夫々の糊しろ部を貼着する工程。
k.封筒裏面部を封筒表面部に折り返して重合した状態のブランクスにおけるフラップに剥離紙付き両面粘着テープを貼着する工程。
尚、上記工程中においてa〜gの工程は、場合によっては先後逆にして行っても良い。
【0012】
また、本発明に係る上記製造方法において用いる打ち抜き型は、木型と、該木型の上面に突設する、長方形の表面部の下端縁に長方形の裏面部を連成すると共に、前記表面部の上端縁にフラップを連成した封筒の展開形状に裁断する切断刃と、前記切断刃内における封筒表面部と封筒裏面部との境界部に位置する箇所に、封筒の長さ方向と直交するよう配置した、封筒裏面部折り返し用罫線刃と、前記封筒裏面部折り返し用罫線刃の両側に連続するよう配置した、ミシン目状罫線をつける鋸歯状罫線刃と、前記切断刃内における封筒表面部とフラップとの境界部に位置する箇所に、封筒の長さ方向と直交するよう配置した、フラップ折り返し用罫線刃と、前記切断刃内における封筒表面部と封筒裏面部との境界部に位置する箇所に、前記封筒裏面部折り返し用罫線刃を囲むようにして配置した上下一対の台形状の罫線刃と、前記切断刃内における封筒表面部と封筒裏面部の夫々の幅方向の両端部に位置する箇所に配置した、夫々が封筒の長さ方向に沿った帯板状の台部と、該帯板状の台部の上面に保持した、硬質スポンジからなる、角柱の一方の側面を斜めに切断した軸断面逆台形状の加圧部とからなり、封筒表面部にあっては夫々の加圧部が傾斜面を外側に、封筒裏面部にあっては夫々の加圧部が傾斜面を内側にしてなる加圧体と、前記切断刃内における封筒表面部と封筒裏面部との境界部において、前記封筒裏面部を折り返すための罫線刃を挟んだ位置に配置した硬質スポンジからなる加圧体と、前記切断刃内におけるフラップの箇所に配置したコルクからなる加圧体と、前記切断刃の外周に配置した、ブランクスの前記切断刃からの離れを良くするための硬質スポンジからなる弾性体とからなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る製造方法によれば、片面段ボールを、その中心原紙の波状段部の突条が縦方向、即ち封筒の長さ方向になるようにして用いるものであると共に、封筒の表面部と裏面部は縦方向に、即ち中心原紙の波状段部の突条に沿って連成しているものである。そして、これにより封筒裏面部を封筒表面部側に折り返すための罫線は、中心原紙につけられ、且つ該中心原紙の波状段部の突条と直交するようにつけられるものである。したがって、ブランクスにおいて罫線ははっきりと明確につき、封筒裏面部をサックマシンを使用して自動的に折り返すとき、罫線から無理なく正確に折り返すことができるものである。
【0014】
また、封筒裏面部を折り返すための罫線の上下両側は所定の範囲で加圧して押し潰してあるあると共に、該罫線の左右両側には、これに連続するミシン目状罫線がついて柔軟性が付与されえているから、より一層罫線からの折り返しをスムーズに行うことができると共に、前記の通り封筒の裏面部を折り返すための罫線の上下両側の押し潰しにより、折り返した封筒裏面部と封筒表面部とがフラットな状態で重なるようになるものである。
【0015】
また、展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部と封筒裏面部の夫々の幅方向の両端部には、糊しろ部とすべく、中心原紙の波状段部の突条を、封筒表面部にあっては外方に向けて一斉に圧潰し、封筒裏面部にあっては内方に向けて一斉に押し潰しているが、これはサックマシンを使用して自動的に封筒裏面部を封筒表面部に重合した状態のブランクスの幅方向の両端部を加圧したとき、封筒表面部の糊しろ部に対して封筒裏面部の糊しろ部が自然に外方に滑ってずれるようになしたものである。これにより封筒裏面部はその幅方向の両端部が外方に押し出されるように作用し、ピンと張った状態で封筒表面部に貼着されることになるものである。
【0016】
若し、このように糊しろ部を押し潰さないでサックマシンによって自動的に処理しようとすると、封筒表面部と封筒裏面部の合わせ目でそれらの中心原紙の波状段部同士が嵌まり合ったとき、封筒裏面部の糊しろ部はそれ以上外側にずれることができなくなり、よって中央部が弓形に彎曲した状態のまま両端部が貼着されることになる。尚、この状態は図7に仮想線で示している。そしてこの場合にはフラップを閉じることができなくなる。
【0017】
また、上記の如く封筒表面部と封筒裏面部の幅方向の両端部を押し潰して糊しろ部としたことにより、これに接着剤をライン状に塗布したときに、該接着剤の封筒の上下方向への拡がりを少なくすることができるものである。即ち、このようになさない場合には、塗布した接着剤が中心原紙の波状段部の溝を伝わって上下方向に長く伸び、フラップにまで付着することになるものである。これでは封筒を製造することができない。そして、本発明は上記の如く押し潰して糊しろ部となし、該糊しろ部に、折り返し部から封筒の長さ方向の所定の範囲まで適量の接着剤を塗布することにより、接着剤が食み出さず、充分な接着強度で貼着を行うことができるものである。
【0018】
また、封筒裏面部を折り返すための罫線を囲むように、封筒表面部と封筒裏面部の夫々に台形状の折り曲げ用罫線をつけているから、この部分が所謂まちの役目をなし、体積の大きい物品を包装するときに封筒を無理なく膨らませることができるものである。
【0019】
また、フラップを、その中心原紙の波状段部の突条を全て一斉に押し潰しているから、剥離紙付き両面粘着テープへの接着面積が広くなり、且つフラップを閉じたときには、封筒表面部の外面との密着度が高まるものである。
【0020】
また、本発明に係る打ち抜き型によれば、上記製造方法におけるa〜gの工程を一度に処理することができるものである。したがって、能率よく製造作業を行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の製造方法によって形成したブランクスの斜視図である。
【図2】図1中A部分の拡大図である。
【図3】図1中B部分の拡大図である。
【図4】図1中C部分の拡大図である。
【図5】図1中D部分の拡大図である。
【図6】図1中E部分の拡大図である。
【図7】本発明の製造方法によって製造した片面段ボール製封筒の斜視図である。
【図8】図7中F部分の拡大図である。
【図9】本発明の製造方法に用いる打ち抜き型の平面図である。
【図10】図9中I−I線切断部端面図である。
【図11】図9中II−II線切断部端面図である。
【図12】切断刃と加圧体部分のプレス時の状態の拡大断面図である。
【図13】罫線刃部分のプレス時の状態の拡大断面図である。
【図14】コルクからなる加圧体部分のフラップへのプレス時の状態の拡大断面図である。
【図15】鋸歯状罫線刃の斜視図である。
【図16】サックマシンにおける糊付けと折り返し装置部分の概略的構成図である。
【図17】ブランクスの移送ベルトの部分側面図である。
【図18】サックマシンによる糊付けからブランクスの糊しろ部加圧工程までの概略的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図中、1はブランクスであり、本発明の製造方法におけるa〜gまでの工程を経過した状態のものである。また、該ブランクス1において2は長方形の封筒表面部、3は前記封筒表面部2の下端縁に連成した長方形の封筒裏面部、4は前記封筒表面部2の上端縁に連成したフラップである。
【0024】
また、5は前記封筒表面部2と封筒裏面部3との境界部につけた前記封筒裏面部3を折り返すための罫線である。6,6は前記罫線5の外側に連続してつけたミシン目状罫線である。7は前記封筒表面部2とフラップ4との境界部につけた罫線である。8,9は前記罫線5を囲むように、封筒表面部2と封筒裏面部3の夫々につけた台形状の罫線である。
【0025】
10,11は封筒表面部2の幅方向の両端部に形成した糊しろ部である。12,13は封筒裏面部3の幅方向の両端部に形成した糊しろ部である。14,15は封筒表面部2と封筒裏面部3の前記罫線5を挟んで押し潰した部分である。16はライン状に塗布した接着剤、17は剥離紙付き両面粘着テープである。
【0026】
而して、本発明に係る片面段ボール製封筒の製造方法は、以下の工程からなるものである。
a.片面段ボール原紙(図示せず。)を、その中心原紙の波状段部の突条が封筒の長さ方向になるようにして、長方形の表面部2の下端縁に長方形の裏面部3を連成すると共に、前記表面部2の上端縁にフラップ4を連成した封筒の展開形状に裁断する工程。
b.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部2と封筒裏面部3との境界部に、後記糊しろ部を残して中心原紙側から、封筒裏面部3を折り返すための折り曲げ用罫線5をつけると共に、該罫線5の外側に連続するミシン目状罫線6,6をつける工程。
c.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部2とフラップ4との境界部に、中心原紙側から折り曲げ用罫線7をつける工程。
d.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部2と封筒裏面部3との境界部において、前記封筒裏面部3を折り返すための罫線5を囲むように、封筒表面部2と封筒裏面部3の夫々に物品包装時に封筒に膨らみを与えるための台形状の折り曲げ用罫線8,9をつける工程。
e.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部2と封筒裏面部3の夫々の幅方向の両端部において、糊しろ部10,11,12,13とすべく、中心原紙の波状段部の突条を、封筒表面部2にあっては外方に向けて一斉に圧潰し、封筒裏面部3にあっては内方に向けて一斉に圧潰する工程。
f.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部2と封筒裏面部3との境界部において、前記封筒裏面部3を折り返すための罫線5を挟んで封筒表面部2と封筒裏面部3の夫々を圧潰する工程。
g.展開形状に裁断されたブランクスにおけるフラップ4において、その中心原紙の波状段部の突条を全て一斉に圧潰する工程。
h.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部2と封筒裏面部3の夫々の糊しろ部10,11,12,13の適所に、ライン状に接着剤16,16を塗布する工程。
i.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒裏面部3を折り曲げ用罫線5から折り返して封筒表面部2に重合する工程。
j.封筒裏面部3を封筒表面部2に折り返して重合した状態のブランクスにおける幅方向の両端部を加圧し、夫々の糊しろ部10と12、11と13を貼着する工程。
k.封筒裏面部3を封筒表面部2に折り返して重合した状態のブランクスにおけるフラップ4に剥離紙付き両面粘着テープ17を貼着する工程。
尚、上記工程中においてa〜gの工程は、場合によっては先後逆にして行っても良い。
【0027】
次に、上記製造方法に用いる打ち抜き型について説明する。
図中、18は打ち抜き型である。また、該打ち抜き型18は、木型19と、該木型19の上面に突設する、長方形の表面部の下端縁に長方形の裏面部を連成すると共に、前記表面部の上端縁にフラップを連成した封筒の展開形状に裁断する切断刃20と、前記切断刃20内における封筒表面部と封筒裏面部との境界部に位置する箇所に、封筒の長さ方向と直交するよう配置した、封筒裏面部折り返し用罫線刃21と、前記封筒裏面部折り返し用罫線刃21の両側に連続するよう配置した、ミシン目状罫線をつける鋸歯状罫線刃22,23と、前記切断刃20内における封筒表面部とフラップとの境界部に位置する箇所に、封筒の長さ方向と直交するよう配置した、フラップ折り返し用罫線刃24と、前記切断刃20内における封筒表面部と封筒裏面部との境界部に位置する箇所に、前記封筒裏面部折り返し用罫線刃21を囲むようにして配置した上下一対の台形状の罫線刃25,26と、前記切断刃20内における封筒表面部と封筒裏面部の夫々の幅方向の両端部に位置する箇所に配置した、夫々が封筒の長さ方向に沿った帯板状の台部27,27,27,27と、該帯板状の台部27,27,27,27の上面に保持した、硬質スポンジからなる、角柱の一方の側面を斜めに切断した軸断面逆台形状の加圧部28′,28′,28′,28′とからなり、封筒表面部にあっては夫々の加圧部28′,28′が傾斜面28a′,28a′を外側に、封筒裏面部にあっては夫々の加圧部28′,28′が傾斜面28a′,28a′を内側にしてなる加圧体28,28,28,28と、前記切断刃20内における封筒表面部と封筒裏面部との境界部において、前記封筒裏面部を折り返すための罫線刃21を挟んだ位置に配置した硬質スポンジからなる加圧体29,30と、前記切断刃20内におけるフラップの箇所に配置したコルクからなる加圧体31と、前記切断刃20の外周に配置した、ブランクスの前記切断刃20からの離れを良くするための硬質スポンジからなる弾性体32とからなるものである。
【0028】
次に、上記打ち抜き型18を用いた片面段ボール製封筒の製造工程について説明する。
先ず、打ち抜き型18をプレス成形機(図示せず。)の固定台に位置決め固定する。次に、所定の大きさの片面段ボール原紙(図示せず。)を、その中心原紙が打ち抜き型18と対向するようにし且つ中心原紙の波状段部の突条が打ち抜き型18の罫線刃21と直交するようにして可動台に位置決め固定する。次に、可動台を固定台に所定のプレス圧力で押し付ける。これにより打ち抜き型18をもって前記封筒の製造方法におけるa〜gの工程を一度に処理することができる。
【0029】
以上の工程によって、図1に示す状態となったブランクス1は、次にサックマシンを使用して自動的に糊付け及び折り返しを行う。33,33はブランクス1をその幅方向の両端部又は中央部を上下から挟んで一枚宛移送する移送ベルトである。尚、ブランクス1は封筒裏面部3側が移送方向の前部となる。該移送ベルト33,33によって移送されたブランクス1の糊しろ部10,11,12,13には、図18(a)に示す如く、所定のタイミングで接着剤16を噴出する接着剤塗布装置34,34をもって接着剤16をライン状に塗布する。次に、図18(b)に示す如く、折り返し装置35における突き上げロール36が所定のタイミングで上昇し、ブランクス1の移送方向先端を突き上げる。これによりブランクス1の移送方向先端は上部に返し部を設けた垂直なガイド板37に突き当たり、ブランクス1の進行につれてその先端は図18(c)に示す如く次第にガイド板37に摺接しつつ上昇する。尚、このときまでには突き上げロール36は再び元の位置まで降下する。そして、ブランクス1が更に進行すると、図18(d)に示す如く封筒裏面部3が罫線5の部分から折り返され、更に図18(e)に示す如く封筒裏面部3が封筒表面部2に重なったときに、その中央上面をロール38に押されて移送される。そして、図18(f)に示す如くブランクス1の糊しろ部を加圧ロール39が加圧して封筒に形成した後、最後にブランクス1のフラップ4に剥離紙付き両面粘着テープ17を貼着するものである。
【符号の説明】
【0030】
1 ブランクス
2 封筒表面部
3 封筒裏面部
4 フラップ
5 罫線
6,6 ミシン目状罫線
7 罫線
8,9 台形状の罫線
10,11,12,13 糊しろ部
14,15 押し潰し部分
16 接着剤
17 剥離紙付き両面粘着テープ
18 打ち抜き型
19 木型
20 切断刃
21 罫線刃
22,23 鋸歯状罫線刃
24 罫線刃
25,26 台形状の罫線刃
27 台部
28′ 加圧部
28 加圧体
29,30 加圧体
31 加圧体
32 加圧体
33 移送ベルト
34,34 接着剤塗布装置
35 折り返し装置
36 突き上げロール
37 ガイド板
38 ロール
39 加圧ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程からなることを特徴とする片面段ボール製封筒の製造方法。
a.片面段ボール原紙を、その中心原紙の波状段部の突条が封筒の長さ方向になるようにして、長方形の表面部の下端縁に長方形の裏面部を連成すると共に、前記表面部の上端縁にフラップを連成した封筒の展開形状に裁断する工程。
b.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部と封筒裏面部との境界部に、後記糊しろ部を残して中心原紙側から、封筒裏面部を折り返すための折り曲げ用罫線をつけると共に、該罫線の外側に連続するミシン目状罫線をつける工程。
c.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部とフラップとの境界部に、中心原紙側から折り曲げ用罫線をつける工程。
d.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部と封筒裏面部との境界部において、前記封筒裏面部を折り返すための罫線を囲むように、封筒表面部と封筒裏面部の夫々に物品包装時に封筒に膨らみを与えるための台形状の折り曲げ用罫線をつける工程。
e.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部と封筒裏面部の夫々の幅方向の両端部において、糊しろ部とすべく、中心原紙の波状段部の突条を、封筒表面部にあっては外方に向けて一斉に圧潰し、封筒裏面部にあっては内方に向けて一斉に圧潰する工程。
f.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部と封筒裏面部との境界部において、前記封筒裏面部を折り返すための罫線を挟んで封筒表面部と封筒裏面部の夫々を圧潰する工程。
g.展開形状に裁断されたブランクスにおけるフラップにおいて、その中心原紙の波状段部の突条を全て一斉に圧潰する工程。
h.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒表面部と封筒裏面部の夫々の糊しろ部の適所に、ライン状に接着剤を塗布する工程。
i.展開形状に裁断されたブランクスにおける封筒裏面部を折り曲げ用罫線から折り返して封筒表面部に重合する工程。
j.封筒裏面部を封筒表面部に折り返して重合した状態のブランクスにおける幅方向の両端部を加圧し、夫々の糊しろ部を貼着する工程。
k.封筒裏面部を封筒表面部に折り返して重合した状態のブランクスにおけるフラップに剥離紙付き両面粘着テープを貼着する工程。
【請求項2】
木型と、該木型の上面に突設する、長方形の表面部の下端縁に長方形の裏面部を連成すると共に、前記表面部の上端縁にフラップを連成した封筒の展開形状に裁断する切断刃と、前記切断刃内における封筒表面部と封筒裏面部との境界部に位置する箇所に、封筒の長さ方向と直交するよう配置した、封筒裏面部折り返し用罫線刃と、前記封筒裏面部折り返し用罫線刃の両側に連続するよう配置した、ミシン目状罫線をつける鋸歯状罫線刃と、前記切断刃内における封筒表面部とフラップとの境界部に位置する箇所に、封筒の長さ方向と直交するよう配置した、フラップ折り返し用罫線刃と、前記切断刃内における封筒表面部と封筒裏面部との境界部に位置する箇所に、前記封筒裏面部折り返し用罫線刃を囲むようにして配置した上下一対の台形状の罫線刃と、前記切断刃内における封筒表面部と封筒裏面部の夫々の幅方向の両端部に位置する箇所に配置した、夫々が封筒の長さ方向に沿った帯板状の台部と、該帯板状の台部の上面に保持した、硬質スポンジからなる、角柱の一方の側面を斜めに切断した軸断面逆台形状の加圧部とからなり、封筒表面部にあっては夫々の加圧部が傾斜面を外側に、封筒裏面部にあっては夫々の加圧部が傾斜面を内側にしてなる加圧体と、前記切断刃内における封筒表面部と封筒裏面部との境界部において、前記封筒裏面部を折り返すための罫線刃を挟んだ位置に配置した硬質スポンジからなる加圧体と、前記切断刃内におけるフラップの箇所に配置したコルクからなる加圧体と、前記切断刃の外周に配置した、ブランクスの前記切断刃からの離れを良くするための硬質スポンジからなる弾性体とからなることを特徴とする打ち抜き型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−208310(P2010−208310A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87327(P2009−87327)
【出願日】平成21年3月7日(2009.3.7)
【出願人】(506357815)フジケース株式会社 (1)
【Fターム(参考)】