説明

物体保持装置の清掃システム、物体保持装置の清掃装置、及び物体保持装置の清掃方法

【課題】基板保持部材の上面(基板載置面)を効率良く清掃する。
【解決手段】清掃ユニット40は、基板搬入装置により粘着ローラ42の外周面が基板載置面に当接する位置に搬送される。そして、基板搬出装置により清掃ユニット40が基板ホルダ50に対しX軸方向に相対移動されることにより、基板載置面上の塵が粘着ローラ42に付着して除去される。そして、清掃ユニット40は、基板搬出装置により粘着ローラ42の外周面が基板載置面から離間する位置に搬送される。したがって、基板載置面の清掃に人員を要さず、その清掃効率に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体保持装置の清掃システム、物体保持装置の清掃装置、及び物体保持装置の清掃方法に係り、更に詳しくは、保持対象の物体の搬出及び搬入の少なくとも一方が、その物体を下方から支持する支持部材を用いて行われる物体保持装置の清掃システム、及び清掃装置並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子、半導体素子(集積回路等)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、例えばステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが主として用いられている。
【0003】
この種の露光装置としては、露光対象の基板が基板ステージ装置の備えられた基板ホルダの上面(基板載置面)に載置されて露光処理され、その露光済みの基板が基板ホルダ上から搬出された後、次の露光対象基板が基板ホルダ上に搬入されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように、基板ホルダ上では基板交換が繰り返し行われるため、基板載置面には、例えば基板と基板ホルダとの摩擦接触による摩耗粉などの塵が付着する。ここで、基板載置面に塵が付着していると、基板ホルダに載置された基板の平坦度が低くなり、露光精度の低下を招く可能性がある。そこで、従来、基板載置面に付着した塵を、例えば柄付き粘着ローラなどの清掃用具を用いて人手により除去していた。
【0005】
しかしながら、近年の基板の大型化に伴い基板ホルダも大型化し、その基板載置面の面積が非常に大きくなっており、上記清掃用具を用いて人手により塵を除去する方法では、基板載置面の清掃に人員を要し、その清掃効率が良くなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,559,928号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の事情の下でなされたもので、第1の観点からすると、物体をその上面に保持する物体保持装置を含み、前記物体保持装置に対する前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方が、前記物体を下方から支持する物体支持部材を用いて行われる物体処理装置における前記物体保持装置の清掃システムであって、前記物体保持装置の上面を清掃可能な清掃部材を含む清掃装置と;前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方を行う際に、前記物体支持部材を搬送する支持部材搬送装置と;を備え、前記支持部材搬送装置が、前記清掃装置を前記基板保持部材に対して前記物体保持装置の上面に平行な一軸方向に相対移動させることにより、前記清掃装置による前記物体保持装置の上面の清掃が行われる物体保持装置の清掃システムである。
【0008】
これによれば、物体保持装置の上面を清掃するための清掃部材を有する清掃装置は、その物体保持装置に対する基板の搬入、及び搬出の少なくとも一方を行う支持部材搬送装置により、物体保持装置の平行な一軸方向にその物体保持装置に対して相対移動される。従って、人出による清掃に比べて省力化が図られるとともに、支持部材搬送装置を用いて清掃装置を物体保持装置に対して相対移動させるので、新たに清掃装置を駆動する装置を設けなくても良い。
【0009】
本発明は、第2の観点からすると、物体をその上面に保持する物体保持装置を含み、前記物体保持装置に対する前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方が前記物体を下方から支持する物体支持部材を用いて行われる物体処理装置における前記物体保持装置の清掃装置であって、前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方を行う際に前記物体支持部材を保持する支持部材搬送装置に保持される本体部と;前記物体保持装置の上面を清掃可能な清掃部材と;を含み、前記支持部材搬送装置に前記本体部が保持された状態で、前記支持部材搬送装置により前記基板保持部材に対して前記物体保持装置の上面に平行な一軸方向に相対移動されることにより前記清掃部材を用いて前記物体保持装置の上面の清掃を行う物体保持装置の清掃装置である。
【0010】
これによれば、物体保持装置の上面を清掃するための清掃部材を有する清掃装置は、その物体保持装置に対する基板の搬入、及び搬出の少なくとも一方を行う支持部材搬送装置により保持され、物体保持装置の平行な一軸方向にその物体保持装置に対して相対移動される。従って、人出による清掃に比べて省力化が図られるとともに、支持部材搬送装置を用いて清掃装置を物体保持装置に対して相対移動させるので、新たに清掃装置を駆動する装置を設けなくても良い。
【0011】
本発明は、第3の観点からすると、物体をその上面に保持する物体保持装置を含み、前記物体保持装置に対する前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方が、前記物体を下方から支持する物体支持部材を用いて行われる物体処理装置における前記物体保持装置の清掃方法であって、清掃部材を含む清掃装置を前記物体保持装置の上面を清掃可能な位置に位置させることと;前記清掃可能な位置に位置された前記清掃装置を、前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方を行う際に前記物体支持部材を搬送する支持部材搬送装置により、前記基板保持部材に対して前記物体保持装置の上面に平行な一軸方向に相対移動させることと;を含む物体保持装置の清掃方法である。
【0012】
これによれば、物体保持装置の上面を清掃するための清掃部材を有する清掃装置は、その物体保持装置に対する基板の搬入、及び搬出の少なくとも一方を行う支持部材搬送装置により、物体保持装置の平行な一軸方向にその物体保持装置に対して相対移動される。従って、人出による清掃に比べて省力化が図られるとともに、支持部材搬送装置を用いて清掃装置を物体保持装置に対して相対移動させるので、新たに清掃装置を駆動する装置を設けなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態の液晶露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2(A)は、図1の液晶露光装置が有する基板ホルダを示す平面図であり、図2(B)は、液晶露光装置で基板の搬送に用いられる基板トレイを示す平面図である。
【図3】液晶露光装置で用いられる清掃ユニットを示す平面図である。
【図4】基板ホルダ及び基板ホルダにセットされた清掃ユニットを示す断面図である。
【図5】清掃ユニット及び基板搬出装置を示す平面図である。
【図6】基板ステージ、基板搬入装置及び保持装置それぞれを一部省略して示す断面図であり、清掃ユニットが保持装置により保持された状態が示されている。
【図7】第2の実施形態の基板ホルダ及び基板ホルダにセットされた清掃ユニットの断面図であり、清掃ユニットのユニット本体から基板載置面に向けて気体が噴出されるとともに基板載置面上の気体がユニット本体に吸引される状態が示されている。
【図8】図8(A)及び図8(B)は、第3の実施形態の基板ホルダ、清掃ユニット及びカバー部材の断面図であり、清掃ユニット及びカバー部材が基板ホルダにセットされる前後の状態が示されている。
【図9】第1の変形例に係る基板ホルダ及び基板ホルダにセットされた清掃ユニットを示す断面図である。
【図10】第2の変形例に係る基板ホルダ及び基板ホルダにセットされた清掃ユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、図1〜図6に基づいて説明する。
【0015】
図1には、第1の実施形態に係る液晶露光装置10の構成が概略的に示されている。液晶露光装置10は、例えば液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0016】
液晶露光装置10は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、基板Pを保持する基板ホルダ50を含む基板ステージ装置PST、基板ホルダ50上に基板Pを搬入する基板搬入装置60(図6参照)、基板ホルダ50上から基板Pを搬出する基板搬出装置70、及びこれらの制御系等を含んでいる。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でこれに直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0017】
照明系IOPは、例えば米国特許第5,729,331号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。また、照明光ILの波長は、波長選択フィルタにより、例えば要求される解像度に応じて適宜切り替えることが可能になっている。
【0018】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたマスクMが、例えば真空吸着(あるいは静電吸着)により固定されている。マスクステージMSTは、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(図示省略)により、走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向にそれぞれ適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、不図示のレーザ干渉計を含むマスク干渉計システムにより計測される。
【0019】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの図1における下方において、不図示の装置本体(ボディ)に支持されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第5,729,331号明細書に開示された投影光学系と同様に構成されている。すなわち、投影光学系PLは、レンズモジュールなどを含む光学系(鏡筒)を複数有し、その複数の光学系は、Y軸方向に沿って、いわゆる千鳥状に配列されている(マルチレンズ投影光学系とも称される)。複数の光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。前述の照明系IOPは、複数の光学系に対応した複数の照明光ILをそれぞれマスクMに照射するように構成されている。このため、マスクM上には、千鳥状に配置された複数の照明光ILの照明領域が形成されるとともに、投影光学系PLの下方に配置された基板P上には、複数の光学系それぞれに対応して、千鳥状に配置された複数の照明光ILの照射領域が形成される。液晶露光装置10では、基板P上に形成される複数の照射領域が合成されることにより、千鳥状に配置された複数の光学系から成る投影光学系PLが、Y軸方向を長手方向とする単一の長方形状(帯状)のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。
【0020】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、投影光学系PLの像面側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布された基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向(X軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向(X軸方向)に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMのパターンが転写される。すなわち、液晶露光装置10では、照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0021】
基板ステージ装置PSTは、定盤12、基板ステージ20などを備えている。
【0022】
定盤12は、平面視で(+Z側から見て)X軸方向を長手方向とする、例えば石材により形成された矩形の板状部材から成り、その上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。定盤12は、防振装置13を介して床面F上に設置された装置本体の一部であるベース15上に搭載されている。
【0023】
基板ステージ20は、X粗動ステージ23X、X粗動ステージ23X上に搭載され、X粗動ステージ23Xと共に、いわゆるガントリー式のXY二軸ステージ装置を構成するY粗動ステージ23Y、Y粗動ステージ23Yの+Z側(上方)に配置された微動ステージ21、微動ステージ21上に固定された基板ホルダ50、及び定盤12上で微動ステージ21を下方から支持する重量キャンセル装置30などを含む。
【0024】
X粗動ステージ23Xは、平面視でY軸方向を長手方向とする矩形枠状の部材から成り、その中央部にY軸方向を長手方向とする長孔状の開口部(図示省略)が形成されている。X粗動ステージ23Xは、X軸方向に延びる不図示のガイド部材上に搭載されており、例えば露光時のスキャン動作時などにリニアモータなどを含むXステージ駆動系によりX軸方向に所定のストロークで駆動される。
【0025】
Y粗動ステージ23Yは、平面視ほぼ正方形の矩形枠状の部材から成り、その中央部に矩形の開口部(図示省略)が形成されている。Y粗動ステージ23Yは、X粗動ステージ23X上にリニアガイド装置28を介して搭載されており、例えば露光時のステップ動作時などにリニアモータなどを含むYステージ駆動系によりX粗動ステージ23X上でY軸方向に所定のストロークで駆動される。また、Y粗動ステージ23Yは、X粗動ステージ23XがX軸方向に所定のストロークで移動する際、X粗動ステージ23Xと一体的にX軸方向に移動する。
【0026】
微動ステージ21は、平面視ほぼ正方形の高さの低い直方体状の部材から成り、Y粗動ステージ23Yの上方に配置されている。微動ステージ21は、それぞれ不図示であるがY粗動ステージ23Yに固定された固定子と、微動ステージ21に固定された可動子とから成る複数のボイスコイルモータ(あるいはリニアモータ)を含む微動ステージ駆動系により、Y粗動ステージ23Y上で6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy、θz方向)に微少駆動される。また、微動ステージ21は、上記ボイスコイルモータを介してY粗動ステージ23Yに誘導されることにより、該Y粗動ステージ23Yと共にX軸方向、及び/又はY軸方向にXY平面に沿って所定のストロークで移動する。微動ステージ21のXY平面内の位置情報は、微動ステージ21に固定された不図示の移動鏡(Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡と、X軸に直交する反射面を有するX移動鏡とを含む)に測長ビームを照射する不図示の干渉計(Y移動鏡を用いて微動ステージ21のY位置を計測するY干渉計と、X移動鏡を用いて微動ステージ21のX位置を計測するX干渉計とを含む)を含む干渉計システムにより、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。微動ステージ駆動系、及び干渉計システムの構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0027】
基板ホルダ50は、微動ステージ21の上面上に固定されている。基板ホルダ50は、その上面に載置された基板Pを吸着保持し、該基板Pを平坦に矯正する。基板ホルダ50の構成については、後に詳しく説明する。以下、基板ホルダ50の上面を基板載置面とも称する。
【0028】
重量キャンセル装置30は、Z軸方向に延びる一本の柱状の部材から成り、レベリング装置32と称される装置を介して、微動ステージ21を水平面に対してチルト可能(XY平面に平行な軸線周りに微少角度回転可能)な状態で下方から支持している。重量キャンセル装置30は、X粗動ステージ23X、及びY粗動ステージ23Yそれぞれの開口部内に挿入されている。重量キャンセル装置30は、その下端部に複数のエアベアリング33を有しており、定盤12上に微少なクリアランスを介して浮上支持されている。重量キャンセル装置30は、そのZ軸方向に関する重心高さ位置で複数の連結装置34を介してY粗動ステージ23Yに接続されている。連結装置34は、重量キャンセル装置30の+X側、−X側、+Y側、及び−Y側それぞれに設けられている(+Y側の連結装置34は図示省略)。これにより、重量キャンセル装置30は、Y粗動ステージ23Yと一体的にY軸方向、及び/又はX軸方向に定盤12上で移動する。
【0029】
重量キャンセル装置30は、不図示の空気ばねを有しており、空気ばねが発生する鉛直方向上向きの力により、微動ステージ21、レベリング装置32、基板ホルダ50などの重量(鉛直方向下向きの力)をキャンセルし、これにより微動ステージ駆動系が有するボイスコイルモータの負荷を軽減する。なお、図1では模式化されて示されているが、レベリング装置32、連結装置34、重量キャンセル装置30の詳細な構成、及び動作については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書などに開示されている。
【0030】
ここで、液晶露光装置10において、基板ホルダ50への基板Pの搬入(ロード)、及び基板ホルダ50からの基板Pの搬出(アンロード)は、基板Pを基板トレイ90(図2(B)参照)上に載置した状態で、それぞれ基板搬入装置60(図6参照)、及び基板搬出装置70を用いて行われる。なお、図面の錯綜を避ける観点から、図1では基板搬入装置60の図示が省略され、図6では基板搬出装置70の図示が省略されている。
【0031】
基板トレイ90は、図2(B)に示されるように、X軸に平行に延び、かつY軸方向に所定間隔で配置された複数(例えば9本)の支持部材95と、Y軸に平行に延び、かつX軸方向に所定間隔で配置された複数(例えば5本)の補剛部材96及び複数(例えば2本)の連結部材97とを含む。支持部材95は、YZ断面矩形の中空の棒状部材から成る。最も+Y側の支持部材95の+Y端と最も−Y側の支持部材95の−Y端とのY軸方向に関する距離は、基板P(図2(B)では、二点鎖線(仮想線)により示されている)のY軸方向の寸法よりも小さい。補剛部材96は、9本の支持部材95それぞれの長手方向中間部の上面に形成された溝(不図示)にその全体が挿入された状態で該中間部に固定されており、9本の支持部材95を接続している。すなわち、補剛部材96の上面のZ位置は、支持部材95の上面のZ位置よりも低くなっている。+X側の連結部材97は、9つの支持部材95の+X端部それぞれの上面に形成された溝(不図示)にその一部が挿入された状態で固定されており、9本の支持部材95を連結している。また、−X側の連結部材97は、9本の支持部材95の−X端部それぞれの上面に形成された溝(不図示)にその一部が挿入された状態で固定されており、9本の支持部材95を連結している。すなわち、一対の連結部材97は、支持部材95の上面から上方に突き出している(図1参照)。+X側及び−X側の連結部材97間の間隔は、基板PのX軸方向の寸法よりも幾分長く設定されている。すなわち、基板トレイ90は、複数の細長い部材が組み合わされて格子状に形成されており、9本の支持部材95を用いて基板Pを下方から支持する。また、9本の支持部材95それぞれの−X端部には、−X側が+X側よりも細くなるテーパ面を有するテーパ部材94a(円錐台状の部材)が取り付けられており、9本の支持部材95それぞれの+X端部には、+X側が−X側よりも細くなるテーパ面を有するテーパ部材94bが取り付けられている。
【0032】
基板ホルダ50は、図1及び図2(A)から分かるように、高さの低い略直方体形状の外形を有する部材から成る。基板ホルダ50には、図2(A)に示されるように、+Z側に開口する平面視格子状の一連の格子溝53が形成されている。格子溝53は、X軸方向に延び、かつY軸方向に所定間隔で形成された複数(例えば9つ)のX溝53Xと、Y軸方向に延び、かつX軸方向に所定間隔で形成された複数(例えば5つ)のY溝53Yとから成る。すなわち、基板載置面は、9つのX溝53Xと5つのY溝53Yとにより複数(合計48個)の矩形領域に区画されている。また、基板載置面には、基板Pを真空吸着するための図示しない複数の開口が形成されている。
【0033】
9つのX溝53Xは、基板トレイ90(図2(B)参照)の9本の支持部材95に対応する間隔で並んでおり、かつそれぞれが対応する支持部材95を挿入可能な深さ及び幅を有している。また、9つのX溝53Xそれぞれは、そのX軸方向の長さが基板ホルダ50のX軸方向の寸法と同じであり、基板ホルダ50の+X端及び−X端において開口している。5つのY溝53Yは、基板トレイ90(図2(B)参照)の5つの補剛部材96に対応する間隔で並んでおり、かつそれぞれが対応する補剛部材96を挿入可能な深さ及び幅を有している。また、5つのY溝53Yそれぞれは、そのY軸方向の長さが、最も+Y側のX溝53Xの+Y端と最も−Y側のX溝53Xの−Y端とのY軸方向に関する距離と同じである。また、基板ホルダ50のX軸方向の寸法は、基板Pよりも幾分小さく、かつ基板トレイ90(図2(B)参照)の+X側及び−X側の連結部材97の間隔よりも小さい。基板ホルダ50のY軸方向の寸法は、基板Pよりも幾分小さい。したがって、基板Pを支持した基板トレイ90を基板ホルダ50の真上に位置させた状態から下降させると、その9本の支持部材95及び5本の補剛部材96が基板ホルダ50の格子溝53内に挿入されるとともに、2つの連結部材97が基板ホルダ50の外縁の外側に位置される。このとき、基板Pを支持する9本の支持部材95それぞれの上面(基板支持面)のZ位置が、基板ホルダ50の基板載置面のZ位置よりも低くなり、基板Pのみが基板載置面上に載置される。
【0034】
基板搬入装置60は、図6に示されるように、第1搬送ユニット61a及び第2搬送ユニット61bを含む。第1搬送ユニット61aは、定盤12(図1参照)の+X端部上方の所定位置(基板交換位置と称する)に位置する基板ステージ20(図1参照)の上方であって、投影光学系PL(図1参照)の+X側に配置されている。
【0035】
第2搬送ユニット61bは、第1搬送ユニット61aの+X側に、架台80上に搭載された状態で配置されている。架台80は、その上面がXY平面に平行になるように床面F(図1参照)上に設置されている。第2搬送ユニット61bは、一対のXガイド部材62b、一対のXガイド部材62bそれぞれに対応して設けられた一対のXスライド部材63b、及び基板トレイ90(図2(B)参照)の+X側の端部を保持する保持部材64bを有する。
【0036】
一対のXガイド部材62bそれぞれは、X軸方向に延びる部材から成り、Y軸方向に所定間隔で配置されている。Xガイド部材62bは、後述する昇降装置67により上下動される。なお、図6では、−Y側のXガイド部材62bは+Y側のXガイド部材62bに対し紙面手前側に配置されている。
【0037】
一対のXスライド部材63bそれぞれは、対応するXガイド部材62bに対してX軸方向にスライド可能な状態で、Xガイド部材62bの内側面(+Y側のXガイド部材62bの−Y側面、−Y側のXガイド部材62bの+Y側面)に機械的に係合している。Xスライド部材63bは、対応するXガイド部材62bに取り付けられたモータを含むボールねじ装置により、X軸方向に所定のストロークで駆動される。なお、Xスライド部材63aを駆動する駆動装置としては、リニアモータ、ベルト駆動装置、ワイヤ駆動装置などを用いることもできる。
【0038】
保持部材64bは、Y軸方向に延びるXZ断面矩形の棒状の部材から成り、支持部材65を介してXスライド部材63bに吊り下げ状態で固定されている。保持部材64bの−X側の面には、+X側が−X側よりも狭くなるテーパ面により規定される凹部66bがY軸方向に所定間隔で複数(例えば9つ)形成されている。なお、図6では、1つの凹部66bのみが図示されているが、それ以外の8つの凹部66bは紙面奥行き方向の手前側又は奥側に形成されている。9つの凹部66bは、基板トレイ90(図2(B)参照)の9つのテーパ部材94bに対応する間隔で並んでいる。保持部材64bは、その9つの凹部66bそれぞれに、対応するテーパ部材94bが挿入されることにより、基板トレイ90の+X端部を保持する。
【0039】
昇降装置67は、一対のXガイド部材62bそれぞれに対応して各1つ設けられている(図6では、−Y側の昇降装置67は+Y側の昇降装置67に対し紙面手前側に配置されている)。昇降装置67は、複数(例えば一対)のスライド機構69、一対のスライド機構69を作動させる送りねじ装置71などを有する。
【0040】
一対のスライド機構69は、架台80とXガイド部材62bとの間にX軸方向に離間して配置されている。スライド機構69は、架台80の上面に固定されたXY平面に平行な板状部材から成るベース73、該ベース73上に配置された複数(例えば一対)のスライド部材75、77などを含む。スライド部材75は、ベース73の上面に固定されたX軸方向に延びるXガイド部材73aにX軸方向にスライド可能に支持されている。スライド部材75の上面は+X側が−X側よりも高くなるように傾斜している。スライド部材77は、スライド部材75の上方に位置するようにXガイド部材62bの下面に固定されている。スライド部材77は、その下面がスライド部材75の上面と平行になっており、スライド部材75の上面に固定されたガイド部材75aにスライド部材75の上面の傾斜方向に沿ってスライド可能に係合している。スライド部材77は、ベース73の上面に固定されたZガイド79にZ軸方向にスライド可能に係合している。一対のスライド機構69それぞれのスライド部材75は、棒状の連結部材71bにより機械的に連結されており、一体的にX軸方向に移動する。
【0041】
送りねじ装置71は、その外周に雄ねじが形成されたX軸方向に延びる棒状の雄ねじ部材71aを有する。雄ねじ部材71aは、+X側のスライド機構69のスライド部材75に固定されたナットに螺合しており、モータなどを含む駆動装置85により回転駆動されるようになっている。送りねじ装置71は、主制御装置により制御される。
【0042】
以上のように構成される昇降装置67では、図6に示される状態から、駆動装置85により雄ねじ部材71aが、X軸周りの一方向に回転駆動されると、+X側及び−X側のスライド部材75が+X方向に移動し、+X側及び−X側のスライド部材77、Xガイド部材62b及び保持部材64bが下降する。また、雄ねじ部材71aが、X軸周りの他方向に回転駆動されると、+X側及び−X側のスライド部材75が−X方向に移動し、+X側及び−X側のスライド部材77、Xガイド部材62b及び保持部材64bが上昇する(図6参照)。
【0043】
第1搬送ユニット61aの構成は、保持部材64aの−X側の面に9つの凹部66aが形成されている点を除き、第2搬送ユニット61bと概ね同じである。すなわち、第1搬送ユニット61aは、図示しない架台上に搭載されており、一対のXガイド部材62a、一対のXガイド部材62aに対応して設けられた一対のXスライド部材63a、基板トレイ90の−X側の端部を保持する保持部材64a、一対のXガイド部材62aそれぞれを上下動させる、昇降装置67と同じ構成の昇降装置(不図示)などを有している。なお、図6に示される状態では、保持部材64a、64bそれぞれは、その移動上限位置にあり、移動上限位置にある両保持部材64a、64bにより基板トレイ90を保持した場合、基板トレイ90を基板載置面よりも高い位置に位置させることができる。
【0044】
以上より、基板搬入装置60は、第1搬送ユニット61aの保持部材64a及び第2搬送ユニット61bの保持部材64bにより、基板Pを支持した基板トレイ90の−X端部(テーパ部材94a)及び+X端部(テーパ部材94b)を保持(狭持)した状態で、両保持部材64a、64bを同期してX軸及びZ軸方向に移動させることにより、基板Pを基板ホルダ50に搬入する。
【0045】
図1に戻り、基板搬出装置70は、上述のように、基板Pの基板ホルダ50上からの搬出に用いられる。基板搬出装置70は、基板交換位置に位置する基板ステージ20の+X側であって、基板搬入装置60(図6参照)の第2搬送ユニット61bが有する+Y側及び−Y側の昇降装置67間に、床面F上に設置された架台39上に搭載された状態で配置されている。基板搬出装置70は、走行ユニット81、複数のエア浮上装置83(図5参照)を有している。
【0046】
走行ユニット81は、図5に示されるように、架台39の上面中央部に固定されたXガイド部材88と、該Xガイド部材88上に搭載されたXスライド部材84とを含む。Xガイド部材88は、X軸方向に延びる部材から成る。Xスライド部材84は、不図示の駆動装置により、Xガイド部材88上でX軸方向に所定のストロークで駆動される。Xスライド部材84を駆動する駆動装置としては、リニアモータ、ボールねじ装置、ベルト駆動装置、ワイヤ駆動装置などを用いることもできる。Xスライド部材84は、−X側(基板ステージ装置PST側)の端部に吸着部材49を有している。吸着部材49には、例えば不図示の真空吸引装置が接続されており、その−X側の面で基板トレイ90(図2(B)参照)の+X側の連結部材97を吸着保持する。なお、基板トレイ90(図2(B)参照)を吸着保持する吸着部材49に換えて、基板トレイ90(図2(B)参照)を機械的に保持(把持)するメカニカルチャックをXスライド部材84に設けても良い。
【0047】
エア浮上装置83は、X軸方向に延びる板状の部材から成り、架台39上に搭載されている。エア浮上装置83は、多孔質部材を含み、高圧気体(例えば、空気)を噴出することにより、支持部材95を浮上又は半浮上させる機能を有する。エア浮上装置83は、図5から分かるように、例えば合計8台設けられており、そのうちの4台が走行ユニット81の+Y側に所定間隔で配置されており、その他の4台が走行ユニット81の−Y側に所定間隔で配置されている。8台のエア浮上装置83それぞれは、配置が異なる点を除き実質的に同じものである。走行ユニット81の+Y側及び−Y側それぞれの4台のエア浮上装置83の間隔は、基板トレイ90(図2(B)参照)における9本の支持部材95のうちの中央の支持部材95の+Y側及び−Y側それぞれの4本の支持部材95の間隔に対応しており、8台のエア浮上装置83を用いて基板トレイ90(図2(B)参照)の中央の支持部材95を除く8本の支持部材95を下方から支持できるようになっている。
【0048】
以上より、基板搬出装置70は、そのXスライド部材84が有する吸着部材49により、基板Pを支持した基板トレイ90の+X端部(+X側の連結部材97)を保持した状態で、X軸方向に移動させることにより、基板Pを基板ホルダ50上から搬出する。
【0049】
ここで、基板交換の際、搬入される基板Pの裏面に元から付着していた塵が基板ホルダ50の上面(基板載置面)に付着したり、基板ホルダ50と基板Pとの摩擦接触により発生した摩耗粉などの塵が基板載置面に付着することがある。基板載置面に塵が付着していると、基板載置面に吸着保持された基板Pの平坦度が低くなり、露光精度の低下を招いてしまう。そこで、本実施形態では、基板載置面を適宜清掃するために、基板ホルダ50の清掃システムを導入している。この清掃システムは、清掃ユニット40、上述した基板搬入装置60、基板搬出装置70などにより構成される。
【0050】
清掃ユニット40は、図3に示されるように、基板トレイ90とほぼ同様な構成を有するユニット本体41と、該ユニット本体41の隣接する支持部材91間に架設されたY軸方向を軸線方向とする複数の粘着ローラ42とを含む。
【0051】
ユニット本体41は、X軸方向に延び、Y軸方向に所定間隔で配置された複数(例えば9本)の支持部材91と、Y軸方向に延び、9本の支持部材91それぞれの中間部を連結する5本の補剛部材92と、Y軸方向に延び、9本の支持部材91の+X端部を連結する連結部材93とを有している。支持部材91の−X端にはテーパ部材94aと同様のテーパ部材98aが取り付けられており、支持部材91の+X端にはテーパ部材94bと同様のテーパ部材98bが取り付けられている。ユニット本体41は、その支持部材91の上面に補剛部材92及び連結部材93それぞれが挿入される溝が形成されておらず、補剛部材92及び連結部材93が支持部材91の上面に固定されている点(補剛部材92及び連結部材93それぞれの下面のZ位置と支持部材91の上面のZ位置とが同じである点)、並びに−X側の連結部材を有していない点が基板トレイ90と異なる。なお、ユニット本体41では、後述するように、基板トレイ90と異なり、その補剛部材92がY溝53Yに挿入される必要がないので、補剛部材92のX軸方向の寸法は、Y溝53Yの幅よりも大きくても良く、補剛部材92のZ軸方向の寸法も特に制限されない。したがって、補剛部材92の剛性を容易に確保できる。
【0052】
粘着ローラ42は、ユニット本体41における最も−X側の補剛部材92の−X側及び隣接する補剛部材92間それぞれに、Y軸方向に所定間隔で複数(例えば8つ)配置されている(合計40個)。粘着ローラ42は、そのY軸方向に延びる軸42aが、隣接する支持部材91それぞれの上面に固定された軸受部材43により回転自在に支持されている。粘着ローラ42は、その軸線方向(Y軸方向)の長さが、基板載置面における9つのX溝53Xと5つのY溝53Yとにより区画される合計48個の矩形領域(図2(A)参照)それぞれのY軸方向の寸法よりも幾分長く設定されている。粘着ローラ42の外径はY溝53Yの溝幅よりも大きく設定されている。粘着ローラ42は、例えば、金属製のローラ部材と、該ローラ部材の外周面に巻き付けられたポリウレタンを主成分とするエラストマ樹脂製の粘着ゲルシートとを含む。したがって、この粘着ゲルシートを適宜水洗いすることによりその粘着力を容易に復活できる。
【0053】
以上のように構成された清掃ユニット40は、後に詳述するように、基板ホルダ50の清掃時に、その9つの支持部材91の下部が、基板ホルダ50の9つのX溝53X(図2(A)参照)に挿入される。
【0054】
ここで、図4に示されるように、基板ホルダ50の9つのX溝53X(図2(A)参照)それぞれを規定する底面には、複数の凹部47がX軸方向に所定間隔で形成されている。複数の凹部47それぞれには、支持装置45の下部が収容されている。支持装置45は、Zアクチュエータ45aと、Zアクチュエータ45aによりZ軸方向に駆動(上下動)されるパッド45bとを含み、X溝53Xに挿入された基板トレイ90の支持部材95(図2(B)参照)又は清掃ユニット40の支持部材91を下方から支持する。パッド45bは、図示しない気体供給装置(例えばコンプレッサ)に接続された例えば多孔質部材を含み、そのパッド面(上面)から上方に加圧気体を噴出可能になっている。支持装置45は、パッド45bから噴出される加圧気体の静圧によりX溝53Xに挿入された支持部材を下方から浮上(半浮上を含む)支持する。すなわち、支持装置45は、パッド45bにより支持部材を浮上支持する気体静圧軸受けとしての機能と、Zアクチュエータ45aにより支持部材を上下動させる昇降装置としての機能とを併せ持つ。Zアクチュエータ45aの駆動(内圧制御)、及びパッド45bへの気体供給は、主制御装置により制御される。複数のZアクチュエータ45aは、主制御装置により、複数のパッド45bのZ位置が同じになるように同期制御される。したがって、基板トレイ90及び清掃ユニット40は、複数のパッド45bによりXY平面に平行に支持される。なお、図4では、図面の錯綜を避ける観点から、X溝53X、凹部47、支持装置45、支持部材91、粘着ローラ42の数は、実際よりも少なく示されている。なお、支持装置45では、Zアクチュエータ45aとして、例えば送りねじ機構、カム機構、リニアモータ、エアシリンダなど用いることができる。この場合、支持部材の支持高さの調整は、例えばリニアエンコーダなどを用いて行われる。
【0055】
支持装置45は、露光時などに、パッド45bにより基板トレイ90の支持部材95を下方から支持した状態でその支持部材95の上面が基板載置面よりも低くなるように、予めZアクチュエータ45aを用いてパッド45bの高さを調整する(このときのパッド45bのZ位置を露光位置と称する)。これにより、上述したように、基板Pを支持した基板トレイ90が基板ホルダ50に搬入される際、基板Pのみが基板載置面上に載置される。
【0056】
一方、支持装置45は、基板ホルダ50の清掃時に、パッド45bにより清掃ユニット40の支持部材91を支持した状態で複数の粘着ローラ42それぞれの外周面が基板載置面に当接するように、Zアクチュエータ45aを用いてパッド45bのZ位置を調整する(このときのパッド45bのZ位置を清掃位置と称する)。清掃ユニット40の支持部材91が支持装置45により支持された状態で、その支持部材91の上面のZ位置は基板載置面のZ位置よりも高くなっており(図4参照)、補剛部材92の下面のZ位置は基板載置面のZ位置よりも高くなっている。したがって、清掃ユニット40の9つの支持部材91それぞれが支持装置45により浮上支持された状態で、清掃ユニット40にX軸方向の外力を作用させると、複数の粘着ローラ42が基板載置面上を転がるとともに、9つの支持部材91それぞれがX溝53X内において支持装置45上(パッド45b上)をX軸方向(外力の方向)に低摩擦で滑走し、5つの補剛部材92それぞれが基板載置面上をX軸方向(外力の方向)に移動する。なお、Zアクチュエータ45aを用いてパッド45bのZ位置を微調整することにより粘着ローラ42の基板載置面に対する当接圧を調整することができる。
【0057】
上述のようにして構成された液晶露光装置10(図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスク搬送装置(マスクローダ)によって、マスクステージMST上へのマスクMのロードが行われる。また、基板搬入装置60(図6参照)によって、基板ホルダ50上への基板Pの搬入(ロード)が行なわれる。詳述すると、基板Pは、図示しない外部搬送装置により、基板トレイ90上に載置され、基板搬入装置60により、基板交換位置に待機する基板ステージ20の基板ホルダ50に基板トレイ90ごと載置される。ここで、基板交換位置とは、基板搬出装置70の吸着部材49が基板トレイ90の+X側の連結部材97を吸着保持することができる位置でもある。基板Pが基板ホルダ50に基板トレイ90ごと載置されるとき、基板トレイ90は、その9本の支持部材95及び5本の補剛部材96が基板ホルダ50内(格子溝53内)に挿入されて、9本の支持部材95それぞれが支持装置45のパッド45bに支持され、基板Pのみが基板載置面上に載置される。ここで、気体吸引装置が駆動されることにより基板載置面に形成された開口が減圧されて、基板Pが基板載置面に吸着保持される。これにより、基板Pが基板載置面に倣うように平坦に矯正される。
【0058】
その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、アライメント計測の終了後、露光動作が行なわれる。この露光動作は従来から行われているものと同様であるのでその詳細な説明は省略するものとする。露光済みの基板Pは、基板搬出装置70により基板ホルダ50上から搬出(アンロード)される。詳述すると、先ず、基板トレイ90は、支持装置45(図4参照)のZアクチュエータ45aにより、その5本の補剛部材96がY溝53Y内から抜け出るとともにその9本の支持部材95の下部がX溝53X内に留まる位置まで上昇される。このとき、9本の支持部材95の上面が基板載置面よりも高くなり、基板Pが基板載置面から離間する。すなわち、基板Pは、基板トレイ90の9本の支持部材95により支持される。
【0059】
次いで、基板Pを支持する基板トレイ90は、支持装置45(図4参照)のパッド45bから支持部材95に向けて噴出される加圧気体の静圧により浮上される。そして、エア浮上装置83から加圧気体が噴出されるとともに、Xスライド部材84が−X方向(基板ホルダ50に接近する方向)に駆動されて吸着部材49が基板トレイ90の+X側の連結部材97を吸着保持する。この状態で、吸着部材49が+X方向に駆動されて、基板トレイ90が基板ホルダ50からエア浮上装置83に浮上状態で受け渡される。なお、この受け渡しの際における基板ホルダ50の+X端とエア浮上装置83の−X端との間隔は、基板トレイ90のX軸方向の寸法よりも短くなっており、基板トレイ90は、基板ホルダ50からエア浮上装置83に確実に(脱落することなく)受け渡される。エア浮上装置83に受け渡された基板Pは、基板トレイ90から離脱されて、外部搬送装置に受け渡され、例えば液晶露光装置10外部に搬送される。そして、外部搬送装置により搬送された別の基板Pが、基板搬入装置60に受け渡されて基板ホルダ50上に搬入(ロード)される。このように、液晶露光装置10では、基板ホルダ50上の基板Pの交換が繰り返し行われることにより、複数枚の基板Pに連続して露光処理が行われる。
【0060】
ここで、例えば上記露光処理の合間(具体的には、例えば基板Pが30枚露光処理される毎に1回)などに、主制御装置の指示の下、清掃システムにより基板ホルダ50の清掃が行われる。以下に、清掃システムによる清掃手順を説明する。
【0061】
基板ホルダ50の清掃は、清掃ユニット40(図3参照)を用いて行われる。清掃ユニット40は、清掃が行われないときには、図6に示されるように、専用の保持装置44により基板搬入装置60の上方(第2搬送ユニット61b寄りの上方)の待機位置に保持されている。保持装置44は、複数のZアクチュエータ44aと、複数のZアクチュエータ44aに対応して設けられ、そのZアクチュエータ44aによりZ軸方向に駆動(上下動)される吸着パッド44bとを含む。すなわち、保持装置44は、清掃ユニット40の例えば最も−X側の補剛部材92及び連結部材93それぞれを、吸着パッド44bにより例えば真空吸引などにより吸着保持し、Zアクチュエータ44aにより清掃ユニット40を上下動させることができる。保持装置44のZアクチュエータ44aの駆動、及び吸着パッド44bによる吸着動作は、主制御装置により制御される。清掃ユニット40は、保持装置44により待機位置に保持された状態で、その9つの支持部材91(図3参照)それぞれのY位置が、基板ホルダ50の9つのX溝53X(図2(A)参照)それぞれのY位置に個別に一致している。
【0062】
主制御装置は、先ず、保持装置44の複数のZアクチュエータ44aを同期駆動して待機位置にある清掃ユニット40を降下させるとともに、第1搬送ユニット61aの昇降装置及び第2搬送ユニット61bの昇降装置67(以下、複数の昇降装置と称する)を同期駆動して保持部材64a、64bそれぞれをその移動上限位置まで上昇させて、清掃ユニット40のテーパ部材98a、98bと、対応する保持部材64b、64aとをほぼ同じ高さに位置させる。
【0063】
そして、主制御装置は、保持部材64a、64bを、それぞれ+X方向、−X方向に移動させて、保持部材64aの9つの凹部66aそれぞれを対応するテーパ部材98aに嵌合させるとともに保持部材64bの9つの凹部66bそれぞれを対応するテーパ部材98bに嵌合させて、2つのテーパ部材98a、98bにより清掃ユニット40を狭持(保持)した後、保持装置44の複数の吸着パッド44bによる清掃ユニット40の吸着を解除する。この状態から、主制御装置は、保持部材64a、64bを−X方向へ同期移動させて、清掃ユニット40を、基板載置面の真上に位置させる。ここで、主制御装置は、支持装置45(図4参照)のZアクチュエータ45aを駆動して、パッド45bを上記露光位置から上記清掃位置に移動(上昇)させるとともに、パッド45bから加圧気体を噴出させる。
【0064】
次いで、主制御装置は、複数の昇降装置を同期駆動し、保持部材64a、64bと共に清掃ユニット40を下降させて、その9つの支持部材91(図3参照)それぞれを対応するX溝53X(図2(A)参照)に挿入していく。そして、主制御装置は、清掃ユニット40の9本の支持部材91それぞれがパッド45bにより浮上支持されたときに複数の昇降装置を停止させた後、保持部材64a、64bをそれぞれ−X方向、+X方向に移動させて保持部材64a、64bによる清掃ユニット40の保持を解除する。一方、9本の支持部材91(図3参照)それぞれがパッド45bにより浮上支持されたときに、複数の粘着ローラ42の外周面が基板載置面に当接する(図4参照)。この状態では、9本の支持部材91それぞれの上面及び5本の補剛部材92それぞれの下面は、基板載置面よりも高い位置にある。ここで、主制御装置は、エア浮上装置83から加圧気体を噴出させるとともに、Xスライド部材84を、−X方向(基板ホルダ50に接近する方向)に駆動し、吸着部材49により清掃ユニット40の連結部材93を吸着保持させる。
【0065】
次いで、主制御装置は、Xスライド部材84を+X方向に駆動することにより、清掃ユニット40を+X方向に移動させる。このとき、清掃ユニット40では、その9本の支持部材91それぞれがX溝53X内を+X方向に滑走し、該支持部材91の+X側部が、X溝53Xの+X端から抜け出て、対応するエア浮上装置83上を滑走する。一方、支持部材91の滑走と同時に基板載置面に当接する複数の粘着ローラ42それぞれが、基板載置面との間に作用する摩擦力により基板載置面上を転がり、その外周面に基板載置面上に付着した塵が捕捉される。このとき、Xスライド部材84は、+X方向のみに駆動されても良いし、+X方向に駆動された後−X方向に駆動されても良い(X軸方向に往復して駆動されても良い)が、いずれにしてもXスライド部材84は、基板載置面の全領域に対し少なくとも1つの粘着ローラ42の外周面が最低一度は当接するように駆動制御される。なお、上述の如く粘着ローラ42の外径はY溝53Yの溝幅よりも大きく設定されており、清掃ユニット40をX軸方向に駆動する際、粘着ローラ42がY溝53Yに落ち込むことが防止され、清掃ユニット40の移動が阻害されることはない。
【0066】
以上のようにして、基板載置面の清掃が終了後、清掃ユニット40は、基板ホルダ50から基板搬出装置70、外部搬送装置に順次受け渡され、外部搬送装置により液晶露光装置10外部に搬送されて次回の清掃に備えられるか、或いは基板ホルダ50から基板搬入装置60に受け渡された後、基板搬入装置60から保持装置44に受け渡され、保持装置44により基板搬入装置60上方の待機位置に保持されて次回の清掃に備えられる。なお、清掃ユニット40を基板ホルダ50から基板搬出装置70に受け渡す際、清掃ユニット40を、粘着ローラ42を基板載置面に当接させた状態で転がしながら+X方向に移動させても良いし、清掃ユニット40を支持装置45により上昇させて粘着ローラ42を基板載置面から離間させた状態で+X方向に移動させても良い。但し、後者の場合には、連結部材93の上昇に併せて吸着部材49を上昇させた後に、清掃ユニット40を+X方向に移動させる必要がある。また、清掃ユニット40を搬出する際、基板ホルダ50から基板搬出装置70又は基板搬入装置60に受け渡さずに、例えば基板ホルダ50から人手により搬出しても良い。
【0067】
以上説明した第1の実施形態の液晶露光装置10が有する清掃ユニット40では、そのユニット本体41が基板トレイ90とほぼ同様な構成とされている。これにより、清掃ユニット40を、基板トレイ90を基板ホルダ50上に搬入する基板搬入装置60を用いて(専用の搬送装置を設けることなく)基板ホルダ50上に搬入できる。また、基板トレイ90を基板ホルダ50上から搬出する基板搬出装置70を用いて(専用の駆動装置を設けることなく)、基板ホルダ50上に搬入された清掃ユニット40の清掃動作を行うことができる。また、基板搬出装置70を用いて(専用の搬送装置を設けることなく)清掃ユニット40を基板ホルダ50上から搬出することができる。すなわち、本実施形態によると、基板ホルダ50との間で基板Pの交換を行う基板交換装置(基板搬入装置60及び基板搬出装置70を含む)を用いて、基板ホルダ50との間で清掃ユニット40の受け渡しを行うことができるとともに、基板ホルダ50上に搬入された清掃ユニット40の清掃動作を行うことができる。
【0068】
また、ユニット本体41に、複数(例えば8個)の粘着ローラ42が基板載置面のY軸方向に関する全範囲をカバーするように、それぞれ回転自在に、かつそれぞれの外周面が基板載置面に当接可能に設けられている。これにより、清掃ユニット40を、その複数の粘着ローラ42それぞれの外周面を基板載置面に当接させた状態でX軸方向に所定ストロークで駆動するだけで基板載置面全体を自動的にしかも短時間で清掃することができる。したがって、例えば柄付き粘着ローラなどの清掃用具を用いて人手により清掃する場合と比べ、清掃に人員を要さず、かつ清掃に要する時間を大幅に短縮できる。
【0069】
また、基板載置面のY軸方向に関する全範囲をカバーする複数(例えば8つ)の粘着ローラ42から成る粘着ローラ列が、X軸方向に複数列(例えば5列)並んでいるので、基板載置面全体を清掃するのに要する清掃ユニット40のX軸方向に関する駆動ストロークを短くすることができ、より短時間で基板載置面全体を清掃することができる。
【0070】
また、清掃ユニット40の9つの支持部材91それぞれが複数の支持装置45によりそのX軸方向に関する複数箇所を支持されるので、ユニット本体41の撓みによる変形を抑えることができ、これにより、全ての粘着ローラ42の外周面をほぼ均一な力で基板載置面に当接させることができる。
【0071】
また、支持装置45により清掃ユニット40の支持部材91の支持高さを微調整することにより、粘着ローラ42の外周面の基板載置面に対する当接圧を適宜所望の大きさに調整することができる。これにより、粘着ローラ42の塵捕捉能力を向上させることができる。
【0072】
また、清掃ユニット40の支持部材91の下部をX軸方向に延びるX溝53Xに挿入した状態でXスライド部材84をX軸方向に駆動するので、清掃ユニット40をX軸方向に直進案内することができる。また、この際、支持部材91を支持装置45により浮上支持させるので、支持部材91をX軸方向に低摩擦で滑走させることができる。したがって、走行ユニット81に掛かる負荷が低減され、かつ発塵が防止される。
【0073】
また、清掃ユニット40は、その複数の粘着ローラ42が基板載置面に当接した状態で、すなわち複数の粘着ローラ42が基板載置面に支持された状態でX軸方向に駆動されるので、Xスライド部材84(吸着部材49)により清掃ユニット40の+X端部(連結部材93)を保持した状態でX軸方向に駆動するだけで、清掃ユニット40を安定した状態でX軸方向に移動させることができる。
【0074】
また、例えば柄付き粘着ローラなどの清掃用具を用いて人手により清掃する場合に比べ、清掃に用いられる部材(例えば清掃ユニット40)が、基板ホルダ50周辺に設けられたX反射鏡、Y反射鏡、基準指標などの精密部品に接触するおそれがなく、これらの位置ずれ、破損などが防止される。
【0075】
また、図示は省略されているが、基板ステージ装置PSTの構成上、基板ホルダ50は、投影光学系PLを支持する装置本体の一部の下方から完全に外れた位置に位置させることができないので、例えば柄付き粘着ローラなどの清掃用具を用いて基板載置面を清掃する場合、基板ホルダ50と投影光学系PLを支持する装置本体の一部との間の高さ方向の狭いスペースで清掃用具を操作しなければならず、その作業性の悪さが問題となっていた。本実施形態では、上述の如く清掃システムが自動的に(人手によらず)清掃するので、このような問題は生じない。
【0076】
次に、他の実施形態について説明する。以下の実施形態では、上記第1の実施形態で説明した部材と同様の構成及び機能を有する部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0077】
《第2の実施形態》
第2の実施形態の液晶露光装置では、上記第1の実施形態と比べ、清掃システムの構成が異なるのみなので、以下、清掃システムについてのみ説明する。第2の実施形態の清掃システムでは、上記第1の実施形態と比べ、清掃ユニットの構成が異なる。図7に示されるように、第2の実施形態の清掃ユニット140では、上記第1の実施形態と比べ、その外形は同じであるが、基板ホルダ50の清掃時にそのユニット本体141の内部から基板載置面に向けて気体が噴出される点、及び基板載置面上の気体がユニット本体141の内部に吸引される点が異なる。
【0078】
第2の実施形態の清掃ユニット140では、その5本の補剛部材192それぞれの内部にY軸方向に延びる複数の内部管路101が形成されている。複数の内部管路101は、基板載置面のY軸方向に関するほぼ全域をカバーするようにY軸方向に所定間隔で並んでいる。内部管路101は、支持部材191の上部及び補剛部材192の下部を貫通する1つ又は複数の貫通孔151を介して該支持部材191の内部と連通している。また、内部管路101は、補剛部材192の下部を貫通する複数の貫通孔153を介して該補剛部材192の外部(基板載置面側)と連通している。なお、図7では、図面の錯綜を避ける観点から、内部管路101、X溝53X、支持部材191、補剛部材192、支持装置45などの個数が、実際よりも少なく示されている。
【0079】
また、+X側の保持部材64bの9つの凹部66b(図6参照)それぞれに対応する箇所には、その一端が図示しない気体供給装置(例えばコンプレッサ)又は気体吸引装置(例えばバキューム装置)に選択的に接続される図示しない可撓性配管(例えばフレキシブルチューブ)の他端が接続されており、上記気体供給装置に連通する凹部66bに圧縮気体を供給可能となっており、上記気体吸引装置に連通する凹部66bから気体を吸引可能となってる。また、ユニット本体141の+X側の9つのテーパ部材98b(図6参照)それぞれには、X軸方向に貫通する貫通孔(不図示)が形成されており、この貫通孔を介して支持部材191の内部と外部とが連通する。また、支持部材191内のX軸方向に延びる空間部191aにより、上記気体供給装置から上記可撓性配管、テーパ部材98bを介して、この支持部材191に供給される気体が−X方向に案内され、又は該支持部材191からテーパ部材98b、上記可撓性配管を介して気体吸引装置に吸引される気体が+X方向に案内される。
【0080】
以下、本実施形態の清掃システムによる基板ホルダ50の基板載置面の清掃手順を説明する。主制御装置は、先ず、上記第1の実施形態と同様にして、待機位置にある清掃ユニット140を、基板搬入装置60により基板ホルダ50に搬入した後、Xスライド部材84(図5参照)をX軸方向に駆動することにより清掃ユニット140を基板ホルダ50に対しX軸方向に相対移動させる。また、主制御装置は、これと並行して、保持部材64bの9つの凹部66bのうちのいくつか(例えば5つ)を上記気体供給装置に連通させるとともに9つの凹部66bのうちの残り全て(例えば4つ)を上記気体供給装置に連通させた後、上記気体供給装置及び上記気体吸引装置を駆動する。これにより、上記気体供給装置に連通する支持部材191内に圧縮気体が供給され、空間部191a、貫通孔151、内部管路101、貫通孔153を介して該圧縮気体が基板載置面に向けて噴出されるとともに、基板載置面上の気体が、上記気体吸引装置に連通する貫通孔153、内部管路101、貫通孔151、空間部191aを介して上記気体吸引装置に吸引される。
【0081】
このとき、噴出された圧縮気体により基板載置面に付着した一部の塵は吹き飛ばされ、基板載置面に強固に付着した残りの塵が剥離し易くなる。そして、この剥離し易くなった塵は粘着ローラ42により粘着除去される。また、基板載置面上から吸引される気体と共に基板載置面に付着した一部の塵が吸引され、基板載置面に強固に付着した塵が剥離し易くなる。そして、この剥離し易くなった塵は粘着ローラ42により粘着除去される。
【0082】
以上の説明から分かるように、本実施形態の清掃システムによると、基板載置面の清掃を、基板載置面への気体の噴出又は基板載置面上からの気体の吸引と、粘着ローラ42による粘着除去との二段構えにより行うことで、基板載置面に付着した塵を根こそぎ除去することができる。また、このように基板載置面の清掃を二段構えにより行うことで、粘着ローラ42の剛性を低くしても塵を充分に捕捉できるため、粘着ローラのローラ部材として、金属製のものよりも剛性の低いプラスチック製のもの、エラストマ製のものなどを用いることができ、これにより、粘着ローラ42及び基板ホルダ50の損傷が防止される。
【0083】
また、気体吸引装置に接続された複数の貫通孔153から基板載置面上の気体を吸引可能なので、清掃時にこれらの貫通孔153を有する補剛部材192がY溝53Yの上方に差し掛かったときに、Y溝53Y内の塵などを吸引することができる。
【0084】
《第3の実施形態》
第3の実施形態の液晶露光装置では、上記第2の実施形態と比べ、清掃システムの構成が異なるのみなので、以下、清掃システムについてのみ説明する。第3の実施形態の清掃システムでは、上記第2の実施形態と比べ、図8(A)及び図8(B)に示されるように、基板ホルダの清掃時に清掃ユニット140を覆うカバー部材200が用いられる点が異なる。
【0085】
カバー部材200は、図8(A)に示されるようにXZ断面が略逆U字状の、かつYZ断面が略逆U字状の箱形の部材から成り、その大きさは、清掃ユニット140のほぼ全域を上方から覆うことが可能な大きさに設定されている。カバー部材200の−X側及び+X側の側壁部それぞれの中央下部には、ユニット本体141の上部を挿入可能な矩形の切り欠き部200a、200bが形成されている。すなわち、切り欠き部200aのZ軸方向の長さは、ユニット本体141の高さ寸法(支持部材191の高さ寸法)よりも小さく、切り欠き部200bのZ軸方向の長さは、切り欠き部200aよりもユニット本体141の連結部材93の高さ寸法の分だけ大きい。
【0086】
また、基板ホルダ50の+X端面には、カバー部材200の+Y側及び−Y側の側壁部双方を係止する細長い係止部材201が、基板ホルダ50の+Y端面から+Y方向に突出し、かつ基板ホルダ50の−Y端面から−Y方向に突出した状態で固定されている。基板ホルダ50の−X端面にも、同様に、係止部材201が固定されている。
【0087】
カバー部材200は、基板ホルダ50の清掃が行われないときには、図8(A)に示されるように、その切り欠き200aを規定する上面がユニット本体141(支持部材191)の−X端部上に載置され、かつその切り欠き200bを規定する上面がユニット本体141の+X端部(連結部材93)上に載置された状態、すなわち清掃ユニット140に載置された状態で、清掃ユニット140と共に例えば液晶露光装置10外部に位置される。なお、カバー部材200が清掃ユニット140に載置された状態では、清掃ユニット140の上部(補剛部材192及び粘着ローラ42)がカバー部材200により上方及び側方から覆われる。
【0088】
カバー部材200が載置された清掃ユニット140は、基板ホルダ50の清掃時に、例えば外部搬送装置(不図示)により液晶露光装置10内部に搬送され、基板搬入装置60に受け渡される。そして、カバー部材200が載置された清掃ユニット140は、基板搬入装置60の保持部材64a、64bに保持された状態で基板載置面の真上に搬送される(図8(A)参照)。
【0089】
ここで、係止部材201のZ位置は、図8(A)に示される状態で、該係止部材201の上面とカバー部材200の+Y側及び−Y側の側壁部の下面とのZ軸方向に関する距離D1が、支持部材191の下面と支持装置45のパッド45bの上面とのZ軸方向に関する距離D2よりも短くなるように設定されている。したがって、この状態から複数の昇降装置により保持部材64a、64bが下降されると、カバー部材200の+Y側及び−Y側の側壁部が係止部材201の上面に載置された後、清掃ユニット140の支持部材191が支持装置45のパッド45bにより浮上支持される。このとき、図8(B)から分かるように、カバー部材200と清掃ユニット140とが離間し、切り欠き200aを規定する上面とユニット本体141の−X端部上面との間に所定のクリアランスが形成され、切り欠き200bを規定する上面とユニット本体141の+X端部上面との間に所定のクリアランスが形成される。このようにして、カバー部材200が基板ホルダ50にセットされ、基板載置面がカバー部材200により上側、+Y側及び−Y側から覆われる。
【0090】
そして、図8(B)に示される状態、すなわちカバー部材200が基板ホルダ50にセットされた状態で、上記第2の実施形態と同様に基板ホルダ50の清掃が行われる。この際、清掃ユニット140は、カバー部材200に干渉することなく切り欠き200a、200b内をX軸方向に移動する。また、基板載置面及び清掃ユニット140上部がカバー部材200により上側、+Y側及び−Y側から覆われているため、ユニット本体141(補剛部材192)から噴出された気体は、基板ホルダ50とカバー部材200との間で撹拌されて、貫通孔153、内部管路101、貫通孔151、空間部191a(それぞれ図7参照)を介して気体吸引装置に吸引される。したがって、ユニット本体141から基板載置面に向けて気体を噴出するのに代えて又はこれに加えて、例えば、ユニット本体141からカバー部材200に向けて気体を噴出するようにしても良い。
【0091】
本実施形態によると、カバー部材200により清掃ユニット140の上部及び基板載置面を上方及び側方から覆いつつ基板載置面の清掃を行うので、清掃ユニット140から噴出された気体により基板載置面上の塵が巻き上げられてもこの塵が外部(例えば周辺装置など)に飛散することが防止される。
【0092】
なお、上記第1〜第3の各実施形態に係る液晶露光措置の構成は、一例であって、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、上記第1〜第3の各実施形態では、基板載置面の清掃の際に、静止状態の基板ホルダ50に対し清掃ユニットをX軸方向に移動させているが、これに限らず、例えば、静止状態の清掃ユニットに対し基板ホルダ50(X粗動ステージ23X)をX軸方向に移動させても良いし、基板ホルダ50及び清掃ユニット双方をX軸方向に異なる速度で同時に移動させても良く、要は、基板ホルダ50と清掃ユニットとをX軸方向に相対移動させれば良い。
【0093】
上記第1〜第3の各実施形態では、粘着ローラ42の軸42aの両端それぞれを回転自在に支持する軸受部材43が支持部材91又は支持部材191(以下、単に支持部材と称する)に直接固定されているが、これに代えて、例えば、図9に示されるように、粘着ローラ42の軸42aの両端それぞれを、XY平面に平行な一対の板ばね300を含む平行板ばね装置を介して支持部材に固定しても良い。詳述すると、一対の板ばね300それぞれは、支持部材の上面に固定された固定ピン303に、互いにZ軸方向に離間して取り付けられている。そして、粘着ローラ42の軸42aの一端又は他端を回転自在に支持する軸受部材305が一対の板ばね300により狭持されている。これにより、粘着ローラ42を基板載置面に当接させた際に、一対の板ばね300が+Z方向に弾性変形し、この弾性変形により一対の板ばね300に生ずる−Z方向の弾性力(復元力)が軸受部材305を介して粘着ローラ42に伝達される。したがって、仮に支持装置45による清掃ユニットの支持高さの調整が正確に行われていなくても、粘着ローラ42の外周面を、二対の板ばね300の弾性力により基板載置面にほぼ規定の圧力で押しつけることができ、これにより粘着ローラ42の塵捕捉能力の低下が防止される。なお、粘着ローラ42を基板載置面側に付勢する部材として、板ばね300に代えて、例えばコイルスプリングなどを用いても良い。
【0094】
上記第1〜第3の各実施形態では、図10に示されるように、清掃ユニット240のユニット本体241におけるX軸方向に隣接する粘着ローラ42間に、毛ブラシ401を、粘着ローラ42と同時に基板載置面に当接するように設けても良い。毛ブラシ401は、軸受部材403に支持されたY軸方向に延びる軸部材401aと、該軸部材401aの外周面から該軸部材401aの径方向に突出する多数の弾性を有する毛部材401bとを含む。これにより、清掃ユニットと基板ホルダ50とがX軸方向に相対移動される際、毛ブラシ401の毛部材401bを基板載置面に当接させて、基板載置面に強固に付着した塵を毛ブラシ401で擦り取って剥離させた後、粘着ローラ42により粘着除去又は真空吸引により吸引することができる。なお、毛ブラシ401は、ユニット本体に対し回転可能としても良いし、ユニット本体に対し固定しても(回転不能に設けても)良い。なお、毛ブラシ401をユニット本体に対し回転可能とする場合は、毛部材401bをY軸方向に延びる軸線周りの全周に亘って設けることが好ましいが、毛ブラシ401をユニット本体に対し固定する場合は、必ずしもその必要はなく、基板載置面に当接する箇所にのみ部分的に設けても良い。また、毛ブラシ401を、ユニット本体に対し例えばボルト、磁石などを用いて着脱可能に設けても良い。これにより、毛ブラシ401の交換、メンテナンス等を容易に行うことができる。なお、基板載置面と摺動させる部材としては、毛部材401bに限らず、毛部材401bのように軟質で弾性のある部材であれば、どのような部材であっても良い。
【0095】
上記第1〜第3の各実施形態では、清掃ユニットに粘着ローラ42及び補剛部材の双方が設けられているが、粘着ローラ42は、清掃ユニットの隣接する支持部材間に架設され、補剛部材と同じ機能(隣接する支持部材の間隔を一定に保つ機能)を有するので、補剛部材は必ずしも設ける必要はない。
【0096】
上記第1〜第3の各実施形態では、粘着ローラ42の外径がY溝53Yの幅よりも大きくされることにより粘着ローラ42のY溝53Yへの落ち込みが防止されているが、これに限らず、例えば、粘着ローラ42がY溝53Y上に差し掛かるときに、清掃ユニットを上昇させるように制御することで、粘着ローラ42のY溝53Yへの落ち込みのみならず、Y溝53Yの縁に粘着ローラ42が衝突することが防止される。これにより、粘着ローラ42及びY溝53Yの縁が損傷することが防止される。
【0097】
上記第1〜第3の各実施形態では、粘着ローラ42を、清掃ユニットのユニット本体に、例えばボルト、磁石などを用いて着脱可能に設けても良い。これにより、粘着ローラ42の交換、メンテナンスなどを容易に行うことができる。
【0098】
上記第2及び第3の各実施形態では、清掃ユニット140の補剛部材192に、気体噴出用又は気体吸引用の内部管路、貫通孔が形成されているが、これに代えて、例えば、粘着ローラの内部に、気体噴出用及び気体吸引用の少なくとも一方の気体流路を形成して、粘着ローラの外周面から気体噴出及び気体吸引の少なくとも一方を行っても良い。
【0099】
上記第2及び第3の各実施形態では、清掃ユニット140を用いて気体噴出及び気体吸引を行っているが、これに代えて又はこれに加えて、基板ホルダ50の基板吸着に用いられる開口(不図示)を用いて気体噴出又は気体吸引を行うようにしても良い。
【0100】
上記第1〜第3の各実施形態では、清掃ユニットの+X端部(連結部材93)を保持する基板搬出装置70を用いて清掃ユニットを基板ホルダ50に対しX軸方向に相対移動させているが、これに限らず、例えば、基板搬入装置60の保持部材64a、64bにより清掃ユニットの−X端部(テーパ部材98a)及び+X端部(テーパ部材98b)を保持した状態で保持部材64a、64bをX軸方向に同期駆動することにより、清掃ユニットを基板ホルダ50に対しX軸方向に相対移動させても良い。但し、この場合、清掃ユニットの支持部材のX軸方向の寸法を、保持部材64a、64bが基板ホルダ50に衝突しない程度に設定する必要がある。また、この場合、基板搬入装置60により清掃ユニットの支持高さを調整することにより、粘着ローラ42の基板載置面に対する当接圧を調整できる。また、この場合、清掃ユニットを支持装置45により支持させる必要はない。また、この場合、保持部材64a、64bによりX軸方向の両端を保持された清掃ユニットのユニット本体が撓むことで、仮に清掃ユニットの支持高さの調整が正確に行われていなくても粘着ローラ42の外周面を基板載置面に必要充分な圧力で当接させることができる。また、この場合、清掃ユニットを基板搬入装置60により基板ホルダ50に搬入し、基板載置面の清掃が終了後、基板搬入装置60から保持装置44に受け渡して待機位置に移動させても良いし、基板搬入装置60から外部搬送装置に受け渡して液晶露光装置10外部に搬出しても良い。このようにすれば、清掃ユニットを基板搬入装置60から基板搬出装置70に受け渡す必要がなく、効率が良い。なお、基板搬入装置60に代えて、例えば専用の搬送装置を用いて清掃ユニットの+Y端部及び−Y端部を保持して基板ホルダ50に対しX軸方向に相対移動させても良い。
【0101】
上記第1〜第3の各実施形態では、清掃ユニットの少なくとも1つの支持部材と、これをX溝53X内で支持する支持装置のパッドとをX軸方向に相対移動可能に嵌合する形状としても良い。具体的には、支持部材の下面及びパッドの上面の一方にX軸方向に延びる溝を形成し、他方にこの溝に嵌合する突部を形成する。これにより、清掃ユニットをX軸方向に確実に直進案内することができる。
【0102】
上記第1〜第3の各実施形態では、基板載置面のY軸方向に関する全範囲をカバーする、粘着ローラ42がY軸方向に例えば8つ並んで成る粘着ローラ列がX軸方向に5列設けられているが、これに限らず、例えば、この粘着ローラ列がX軸方向に1列〜4列又は6列以上設けられても良い。この場合、基板載置面全体を清掃するためには、粘着ローラ列の数に応じて、清掃ユニットのX軸方向への駆動ストロークを変える必要がある。
【0103】
上記第1〜第3の各実施形態では、粘着ローラ42が基板載置面のY軸方向に関する全範囲をカバーするようにY軸方向に例えば8つ並べて設けられているが、これに限らず、例えば、粘着ローラ42をY軸方向に例えば1つ〜7つ、すなわち粘着ローラ42を基板載置面のY軸方向に関する一部をカバーするように設けても良い。但し、この場合、基板載置面全体を清掃するためには、清掃ユニットと基板ホルダ50とをX軸方向に相対移動させることに加えて、これらをY軸方向にも相対移動させる必要がある。
【0104】
上記第1〜第3の各実施形態では、清掃ユニットのユニット本体が複数の棒状部材が組み合わされて構成されているが、これに限らず、ユニット本体を、例えば、XY平面に平行な板状部材により構成しても良い。この場合、粘着ローラを、例えばユニット本体に吊り下げ状態で回転可能に支持させれば良い。
【0105】
上記第1〜第3の各実施形態では、液晶露光装置は、基板トレイ90と清掃ユニットを備えているが、これに代えて、液晶露光装置は、例えば、基板トレイ90と、該基板トレイ90に着脱可能な複数の粘着ローラを備えることとしても良い。これにより、基板トレイ90は、基板トレイ本来の用途に用いることができるとともに、複数の粘着ローラが装着されることにより清掃ユニットのユニット本体としても用いることができる。但し、基板トレイ90を清掃ユニットのユニット本体として用いる場合、支持装置45による支持部材95の支持高さを上記第1〜第3の各実施形態よりも高くして補剛部材96の下面を基板載置面よりも高い位置に位置させる必要がある。
【0106】
上記第1〜第3の各実施形態では、基板搬入装置60及び基板搬出装置70が主制御装置により自動的に作動されることとしているが、これに代えて、例えば、オペレータのスイッチ操作などにより任意に作動させることとしても良い。
【0107】
上記第1〜第3の各実施形態では、支持装置45が基板ホルダ50の9つのX溝53X全てに設けられているが、必ずしも9つのX溝53X全てに設けられる必要はなく、要は、基板トレイ90及び清掃ユニットを水平面に平行に安定して支持できるように配置されていれば良い。
【0108】
上記第1〜第3の各実施形態では、基板搬出装置70により清掃ユニットが基板ホルダ50上から搬出されているが、これに代えて、例えば、基板搬入装置60を用いて清掃ユニットを基板ホルダ50上から搬出しても良い。
【0109】
上記第2及び第3の各実施形態では、5本の補剛部材192それぞれに複数の内部管路101を形成して、これらのいくつかを気体噴出用とし、残る全てを気体吸引用としているが、これに限らず、例えば、5本の補剛部材192それぞれに基板ホルダ50のY軸方向に関するほぼ全範囲に亘る1つの内部管路を形成し、これを気体噴出用又は気体吸引用にしても良い。具体的には、例えば、5つの内部管路のうちの3つを気体噴出用とし、残る2つを気体吸引用とすれば良い。
【0110】
上記第2及び第3の各実施形態では、5本の補剛部材192の少なくとも1つに、内部管路101を、X軸方向に並べて複数形成しても良い。
【0111】
上記第2及び第3の各実施形態の清掃ユニットに形成された内部管路101、貫通孔151、153の配置、数などは、例示であって、適宜変更可能である。
【0112】
上記第2及び第3の各実施形態において、基板トレイ90に、ユニット本体141と同様に、その補剛部材96に気体の噴出部及び吸引部の少なくとも一方を設けることにより、基板搬出装置70により基板Pを搬出しつつ基板載置面を清掃することができる。
【0113】
上記第3の実施形態では、清掃ユニット140を用いて気体噴出及び気体吸引を行っているが、これに代えて又はこれに加えて、カバー部材に気体噴出用及び気体吸引用の少なくとも一方の気体流路を形成し、カバー部材から気体噴出及び気体吸引の少なくとも一方を行っても良い。
【0114】
上記第3の実施形態では、カバー部材200として箱形のものが用いられているが、これに限らず、カバー部材として、例えば、XY平面に平行な平板状の部材、X軸方向から見た側面視略逆U字状、略L字状の部材などの少なくとも基板載置面を上方から覆うことができる部材を用いても良い。
【0115】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0116】
また、上記実施形態では、投影光学系PLが、複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、オフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。
【0117】
また、上記実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍系のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は拡大系及び縮小系のいずれでも良い。
【0118】
また、上記実施形態においては、光透過性のマスク基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
【0119】
また、露光装置の用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0120】
なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。
【0121】
なお、本発明に係る露光装置は、一辺の長さが500mm以上の基板が露光対象物である場合に特に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上説明したように、本発明の物体保持装置の清掃システム、及び物体保持装置の清掃装置は、物体保持装置の清掃に適している。
【符号の説明】
【0123】
10…液晶露光装置、40…清掃ユニット、41…ユニット本体、42…粘着ローラ、45…支持装置、50…基板ホルダ、53X…X溝、53Y…Y溝、60…基板搬入装置、70…基板搬出装置、90…基板トレイ、91…支持部材、92…補剛部材、P…基板、PST…基板ステージ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体をその上面に保持する物体保持装置を含み、前記物体保持装置に対する前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方が、前記物体を下方から支持する物体支持部材を用いて行われる物体処理装置における前記物体保持装置の清掃システムであって、
前記物体保持装置の上面を清掃可能な清掃部材を含む清掃装置と;
前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方を行う際に、前記物体支持部材を搬送する支持部材搬送装置と;を備え、
前記支持部材搬送装置が、前記清掃装置を前記基板保持部材に対して前記物体保持装置の上面に平行な一軸方向に相対移動させることにより、前記清掃装置による前記物体保持装置の上面の清掃が行われる物体保持装置の清掃システム。
【請求項2】
前記清掃装置は、前記支持部材搬送装置が前記物体支持部材を用いて前記物体を搬送する際に前記物体支持部材の移動経路から退避した退避位置に待機し、
前記支持部材搬送装置は、前記物体保持装置の清掃時に前記清掃装置を前記退避位置から前記物体保持装置に搬送する請求項1に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項3】
前記支持部材搬送装置は、前記物体の搬送時に前記物体支持部材を保持する保持部材を有し、
前記清掃装置は、前記物体保持装置の清掃時に前記保持部材に保持される請求項1又は2に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項4】
前記基板支持部材は、前記一軸方向に延びる第1の棒状部材を複数備え、前記複数の第1の棒状部材を用いて前記物体を下方から支持し、
前記清掃装置は、前記一軸方向に延びる第2の棒状部材を複数備え、
前記第1及び第2の棒状部材は、それぞれ前記物体保持装置の上面に形成された凹部内に収容される請求項1〜3のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項5】
前記物体支持部材は、前記物体の搬入時及び搬出時の少なくとも一方において、その一部が前記物体保持装置の上面に形成された凹部内に収容され、かつ前記凹部内に配置された所定のガイド部材に支持された状態で、前記支持部材搬送装置により前記基板保持部材に対して前記一軸方向に相対移動され、
前記清掃装置は、前記物体保持装置の清掃時に、その一部が前記凹部内に収容され、かつ前記ガイド部材に支持された状態で、前記支持部材搬送装置により前記基板保持部材に対して前記一軸方向に相対移動される請求項1〜4のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項6】
前記物体保持装置は、前記清掃装置の前記物体保持装置の上面に直交する方向の位置を調整可能な調整装置を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項7】
前記清掃部材は、前記物体保持装置の上面に当接可能な当接部材を含み、
前記支持部材搬送装置は、前記清掃部材が前記物体保持装置の上面に当接した状態で前記清掃装置を前記基板保持部材に対して前記一軸方向に相対移動させることにより、前記物体保持装置の上面を清掃する請求項1〜6のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項8】
前記当接部材は、前記物体保持装置の上面に平行な平面内で前記一軸方向に直交する軸線周りに回転可能で、その外周面が前記物体保持装置の上面に当接するローラを含む請求項7に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項9】
前記ローラは、その外周面に粘着部材を有する請求項8に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項10】
前記ローラは、前記一軸方向に所定間隔で複数設けられる請求項8又は9に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項11】
前記物体保持装置の上面には、前記物体保持装置の上面に平行な平面内で前記一軸方向に直交する方向に延び、前記物体支持装置の一部が収容される溝が形成され、
前記ローラの外径は、前記溝幅よりも大きい請求項8〜10のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項12】
前記当接部材は、前記物体保持部材の上面に摺動するブラシを含む請求項7〜11のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項13】
前記清掃装置は、前記当接部材が着脱可能である請求項1〜12のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項14】
前記清掃装置は、前記当接部材を前記物体保持装置の上面に対して付勢する付勢部材を有する請求項1〜13のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項15】
前記清掃部材は、前記基板保持部材の上面に所定の隙間を介して対向する対向部材を含み、
前記対向部材は、前記基板保持部材の上面と前記対向部材との間の気体を吸引することにより前記物体保持装置の上面を清掃する請求項1〜14のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項16】
前記対向部材は、前記物体保持装置の上面に対して気体を噴出する請求項15に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項17】
前記清掃装置は、前記物体保持装置上を覆うカバー部材を有する請求項16に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項18】
前記物体処理装置は、前記物体にエネルギビームを用いて所定のパターンを形成するパターン形成装置を含む露光装置である請求項1〜17のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項19】
物体をその上面に保持する物体保持装置を含み、前記物体保持装置に対する前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方が前記物体を下方から支持する物体支持部材を用いて行われる物体処理装置における前記物体保持装置の清掃装置であって、
前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方を行う際に前記物体支持部材を保持する支持部材搬送装置に保持される本体部と;
前記物体保持装置の上面を清掃可能な清掃部材と;を含み、
前記支持部材搬送装置に前記本体部が保持された状態で、前記支持部材搬送装置により前記基板保持部材に対して前記物体保持装置の上面に平行な一軸方向に相対移動されることにより前記清掃部材を用いて前記物体保持装置の上面の清掃を行う物体保持装置の清掃装置。
【請求項20】
前記清掃部材は、前記物体保持装置の上面に当接可能な当接部材を含み、
前記支持部材搬送装置は、前記清掃部材が前記物体保持装置の上面に当接した状態で前記清掃装置を前記基板保持部材に対して前記一軸方向に相対移動させることにより、前記物体保持装置の上面を清掃する請求項19に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項21】
前記当接部材は、前記物体保持装置の上面に平行な平面内で前記一軸方向に直交する軸線周りに回転可能で、その外周面が前記物体保持装置の上面に当接するローラを含む請求項20に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項22】
前記ローラは、その外周面に粘着部材を有する請求項21に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項23】
前記ローラは、前記一軸方向に所定間隔で複数設けられる請求項21又は22に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項24】
前記物体保持装置の上面には、前記物体保持装置の上面に平行な平面内で前記一軸方向に直交する方向に延び、前記物体支持装置の一部が収容される溝が形成され、
前記ローラの外径は、前記溝幅よりも大きい請求項21〜23のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項25】
前記当接部材は、前記物体保持部材の上面に摺動するブラシを含む請求項20〜24のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項26】
前記当接部材が前記本体部に対して着脱可能である請求項20〜25のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項27】
前記当接部材を前記物体保持装置の上面に対して付勢する付勢部材を更に有する請求項20〜26のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項28】
前記清掃部材は、前記基板保持部材の上面に所定の隙間を介して対向する対向部材を含み、
前記対向部材は、前記基板保持部材の上面と前記対向部材との間の気体を吸引することにより前記物体保持装置の上面を清掃する請求項19〜27のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項29】
前記対向部材は、前記物体保持装置の上面に対して気体を噴出する請求項28に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項30】
前記物体保持装置上を覆うカバー部材を更に有する請求項29に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項31】
物体をその上面に保持する物体保持装置を含み、前記物体保持装置に対する前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方が、前記物体を下方から支持する物体支持部材を用いて行われる物体処理装置における前記物体保持装置の清掃方法であって、
清掃部材を含む清掃装置を前記物体保持装置の上面を清掃可能な位置に位置させることと;
前記清掃可能な位置に位置された前記清掃装置を、前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方を行う際に前記物体支持部材を搬送する支持部材搬送装置により、前記基板保持部材に対して前記物体保持装置の上面に平行な一軸方向に相対移動させることと;を含む物体保持装置の清掃方法。
【請求項32】
前記支持部材搬送装置が前記物体支持部材を用いて前記物体を搬送する際に、前記清掃装置を前記物体支持部材の移動経路から退避した退避位置に待機させることと;
前記物体保持装置の清掃を行う際に、前記支持部材搬送装置により前記清掃装置を前記退避位置から前記清掃可能な位置に搬送することと;を更に含む請求項31に記載の物体保持装置の清掃方法。
【請求項33】
前記清掃部材は、前記物体保持装置の上面に当接可能な当接部材を含み、
前記相対移動させることでは、前記当接部材と前記物体保持装置の上面とを摺動させる請求項31又は32に記載の物体保持装置の清掃方法。
【請求項34】
前記清掃部材は、前記基板保持部材の上面に所定の隙間を介して対向する対向部材を含み、
前記相対移動させることでは、前記対向部材により前記基板保持部材の上面と前記対向部材との間の気体を吸引する請求項31〜33のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃方法。
【請求項35】
前記相対移動させることでは、前記対向部材により前記基板保持部材の上面と前記対向部材との間に気体を噴出する請求項34に記載の物体保持装置の清掃方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−76876(P2012−76876A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223377(P2010−223377)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】