説明

現像剤搬送装置及びプロセスカートリッジ

【課題】 物流によって、現像剤収容部内の現像剤が凝集した場合に、現像剤搬送部材の駆動を規制する現像剤搬送装置において、装置を小型化することである。
【解決手段】 現像剤収容部15の内部に配置され、回転により現像剤を搬送する現像剤搬送部材25と、現像剤搬送部材25を回転させるために必要な駆動力が所定の大きさを超えた場合に駆動入力部32から現像剤搬送部材25に駆動力が伝達されるのを規制する状態を取り得るクラッチ70と、を備え、クラッチ70は現像剤収容部15の内部に取り付けられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に用いられる現像剤搬送装置、およびこの現像剤搬送装置を備えたプロセスカートリッジに関する。
【0002】
ここで、現像剤搬送装置とは、画像形成装置に用いられる現像剤を搬送する装置である。例えば、プロセスカートリッジや現像剤補給カートリッジ、電子写真画像形成装置における現像剤搬送手段などが含まれる。
【0003】
画像形成装置とは、記録媒体に画像を形成するものである。電子写真プロセスを用いて画像を形成する電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザービームプリンタなど)、電子写真ファクシミリ装置などが含まれる。
【0004】
また、記録媒体とは、画像を形成される物であって、例えば、記録シート、OHPシート等である。
【背景技術】
【0005】
従来、画像形成装置において、感光体ドラム、及び、これに作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化し、画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。プロセスカートリッジ方式は、装置のメンテナンスをユーザ自身で行うことができるため、操作性を向上できる。
【0006】
プロセスカートリッジは、クリーニング装置(以下、クリーニングユニットと称す)と現像装置(以下、現像ユニットと称す)から形成される。クリーニングユニットは、感光体ドラム、感光体ドラムの表面を清掃するクリーニング部材等を有する。現像ユニットは、感光体ドラムに現像剤を供給する現像ローラ、現像剤を収容する現像剤収容部等を有する。
【0007】
一方、プロセスカートリッジ方式の一つとして、現像剤補給方式が知られている。この方式は、現像剤補給カートリッジの現像剤補給開口とプロセスカートリッジの現像剤受入開口を接続し、現像剤補給カートリッジからプロセスカートリッジへ現像剤を補給する構成を取っている。
【0008】
現像剤補給方式において、現像剤補給カートリッジから補給された新しい現像剤と、現像ユニット内の古い現像剤が不均一に混ざると画像弊害を起こす。そこで、現像剤補給方式のプロセスカートリッジは、以下の構成が取られている(例えば、特許文献1)。
【0009】
現像ユニットは、現像部と現像剤収容部に分けられる。現像部と現像剤収容部は、感光体ドラムの回転軸方向(以下、「長手方向」という)の両端に設けられた開口によって接続している。現像剤収容部には、現像剤を搬送するための現像剤搬送部材と現像剤を撹拌する現像剤攪拌部材が設けられている。現像剤搬送部材と現像剤攪拌部材によって現像ユニット内で現像剤を循環させることで、新しい現像剤と古い現像剤を均一に混ぜている。
【0010】
しかしながら、現像剤収容部内の現像剤は、物流によって、押し固められ凝集する場合がある。特に、物流時のプロセスカートリッジに、その長手方向が鉛直方向を向く姿勢を取らせ、且つ、現像剤搬送部材の搬送方向下流側が底面になる状態にすると、凝集した現像剤が現像剤搬送部材の搬送方向下流側に溜まる。この状態でプロセスカートリッジを使用すると、凝集した現像剤が現像剤搬送部材によって更に押し固められるため、現像剤搬送部材を駆動させるために必要なトルクが上昇する可能性がある。
【0011】
その対策として、特許文献2のように現像剤撹拌部材と現像剤搬送部材の駆動ギア列上にクラッチを設けた構成がある。同一の駆動源で現像剤撹拌部材と現像剤搬送部材を駆動させる場合において、駆動源に過負荷がかかった場合には、クラッチによって現像剤搬送部材の回転を止めて、現像剤撹拌部材のみを回転させる構成である。
【0012】
また、特許文献3のようにトルクリミッタを現像剤撹拌部材の駆動ギアに連結させ、過負荷がかかると、現像剤撹拌部材の駆動を遮断し、トナーシール引き駆動のみ回転させる構成がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−014890号公報(図4)
【特許文献2】特開平11−160985号公報(図1)
【特許文献3】特開2009−116039号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献2、3の構成では、クラッチやトルクリミッタを駆動ギア列上に設けるため、装置の大型化につながる。
【0015】
よって上記課題を鑑み、本発明は、クラッチを現像剤収容部の内部に設けることで装置の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本出願に係る代表的な構成は、画像形成装置に用いられる現像剤搬送装置において、現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部の内部に配置され、回転により現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、前記現像剤搬送部材を駆動させる駆動力が入力される駆動入力部と、前記駆動入力部から前記現像剤搬送部材に駆動力を伝える状態と、前記現像剤搬送部材を回転させるために必要な駆動力が所定の大きさを超えた場合に前記駆動入力部から前記現像剤搬送部材に駆動力が伝達されるのを規制する状態と、を取り得るクラッチと、を備え、前記クラッチは前記現像剤収容部の内部に取り付けられることを特徴とする現像剤搬送装置である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、クラッチを現像剤収容部の内部に設けることで現像剤搬送装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態における現像ユニットの概略断面図
【図2】本発明の実施の形態における電子写真画像形成装置の概略断面図
【図3】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジと現像剤補給カートリッジの主断面図
【図4】本発明の実施の形態における画像形成装置内におけるプロセスカートリッジと現像剤補給カートリッジの全体像を示す斜視図
【図5】本発明の実施の形態における、プロセスカートリッジの全体像を示す分解斜視図
【図6】本発明の実施の形態における現像剤補給カートリッジの構成を示す概略斜視図
【図7】本発明の実施の形態におけるクラッチ部の分解斜視図
【図8】本発明の実施の形態における現像剤搬送部材のクラッチ部周囲を示す概略断面図
【図9】係合部材を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る現像剤搬送装置およびこれを採用したプロセスカートリッジ、カラー画像形成装置について、図面に則して説明する。
【0020】
<実施例1>
[画像形成装置の全体構成]
最初に、画像形成装置の全体構成について、図2、図3を参照して説明する。図2は、カラー電子写真画像形成装置の概略を示す断面模式図である。図3は、プロセスカートリッジと現像剤補給カートリッジの主断面図である。
【0021】
図2に示す画像形成装置100は、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーレーザプリンタであり、記録媒体Sにカラー画像形成を行う。画像形成装置100は、プロセスカートリッジ方式である。この方式は、プロセスカートリッジP、及び、現像剤補給カートリッジTを画像形成装置本体100Aに取り外し可能に装着して、記録媒体Sにカラー画像を形成するものである。
【0022】
以下の説明において、画像形成装置本体(以下、「装置本体」という)100Aとは、画像形成装置100の構成からプロセスカートリッジP、及び、現像剤補給カートリッジTを除いた装置構成部分のことである。
【0023】
装置本体100Aには、第1〜第4のプロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)、及び、現像剤補給カートリッジT(TY、TM、TC、TK)を水平方向に並べて配設している。各プロセスカートリッジP、及び、現像剤補給カートリッジTは、互いに同様の電子写真プロセス機構を有しており、現像剤の色や、現像剤の充填量が各々異なるものである。プロセスカートリッジP、及び、現像剤補給カートリッジTには、それぞれ装置本体100Aから回転駆動力が伝達される。また、プロセスカートリッジPには、装置本体100Aからバイアス(帯電バイアス、現像バイアス等)が供給される。プロセスカートリッジP、及び、現像剤補給カートリッジTは、それぞれ独立に装置本体100Aに着脱可能である。
【0024】
本実施例における各プロセスカートリッジPは、図3に示すようにクリーニングユニット1と現像ユニット10から形成される。クリーニングユニット1は、感光体ドラム2と、この感光体ドラム2に作用する帯電ローラ3、及び、クリーニング部材6を備える。現像ユニット10は、感光体ドラム2上の静電潜像を現像するための現像手段を有する。クリーニングユニット1と、現像ユニット10とは、互いに揺動可能に結合されている。
【0025】
第1のプロセスカートリッジPYは、現像剤収容部15内にイエロー(Y)の現像剤を収容しており、感光体ドラム2にY色の現像剤像を形成する。同様に、第2のプロセスカートリッジPMは、マゼンタ(M)、第3のプロセスカートリッジPCは、シアン(C)、第4のプロセスカートリッジPKは、ブラック(K)の現像剤を収容している。
【0026】
一方、第1の現像剤補給カートリッジTYは、補給枠体40内にイエロー(Y)の現像剤を収容しており、同色の現像剤を収納したプロセスカートリッジPYにY色の現像剤を補給する。同様に、第2の現像剤補給カートリッジTMは、マゼンタ(M) の現像剤を収容しており、同色の現像剤を収納したプロセスカートリッジPMにM色の現像剤を補給する。同様に、第3の現像剤補給カートリッジTCは、シアン(C)の現像剤を収容しており、同色の現像剤を収納したプロセスカートリッジPCにC色の現像剤を補給する。同様に、第4の現像剤補給カートリッジTKは、ブラック(K)の現像剤を収容しており、同色の現像剤を収納したプロセスカートリッジPKにK色の現像剤を補給する。
【0027】
図3に示すように、現像剤補給カートリッジTの補給枠体40には、プロセスカートリッジPに現像剤を補給するための現像剤補給開口43が設けられている。プロセスカートリッジPの現像剤収容部15には、現像剤補給開口43に対応した現像剤受入口23が設けられている。装置本体100AにプロセスカートリッジPと、現像剤補給カートリッジTが装着されると、現像剤補給開口43と現像剤受入口23は、連通し、現像剤補給カートリッジTからプロセスカートリッジPへ現像剤が補給される。
【0028】
なお、プロセスカートリッジPと現像剤補給カートリッジTの詳細は、後述する。
【0029】
プロセスカートリッジP(PY・PM・PC・PK)の上方には、図2に示すように、露光手段としてのレーザスキャナユニットLBが配設されている。レーザスキャナユニットLBは、画像情報に対応してレーザ光Lを出力する。レーザ光Lは、感光体ドラム2の表面を走査露光する。
【0030】
プロセスカートリッジP(PY・PM・PC・PK)の下方には、一次転写部材としての中間転写ベルトユニット110が配設されている。中間転写ベルトユニット110は、可撓性を有する無端の転写ベルト111と、転写ベルト111を張設して回動させる駆動ローラ112、従動ローラ113、二次転写対向ローラ114を有する。各プロセスカートリッジPの感光体ドラム2は、転写ベルト111に接している。感光体ドラム2と転写ベルト111の接触部N1が一次転写部である。転写ベルト111の内側には、感光体ドラム2に対向させて一次転写ローラ115を配設している。二次転写対向ローラ114に対向する位置には二次転写手段としての二次転写ローラ117が配置されている。転写ベルト111と二次転写ローラ117の接触部N2が二次転写部である。
【0031】
中間転写ベルトユニット110の下方には、給送ユニット120が配設されている。給送ユニット120は、記録媒体Sを搬送する記録媒体搬送手段であって、記録媒体Sを収容した給送トレイ121、給出ローラ122を有する。
【0032】
装置本体100A内の上方には、定着ユニット130が配設されている。装置本体100Aの上面は、排出トレイ100aとなっている。
【0033】
[画像形成動作]
次に、フルカラー画像の形成動作について、図2を参照して説明する。図2は、カラー電子写真画像形成装置の概略断面図である。フルカラー画像の形成動作は、以下の通りである。
【0034】
第1〜第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の感光体ドラム2が図2の矢印A方向に所定の速度で回転駆動される。転写ベルト111は、矢印Bの方向(感光体ドラム回転に順方向)に回転駆動される。このとき、転写ベルト111の速度は、感光体ドラム2の速度に対応している。同時にレーザスキャナユニットLBが駆動される。
【0035】
レーザスキャナユニットLBの駆動に同期して、各カートリッジPの帯電ローラ3が所定の極性・電位で感光体ドラム2の表面を一様に帯電する。レーザスキャナユニットLBは、各色の画像信号に応じたレーザ光Lで各感光体ドラム2の表面を走査露光する。これにより、各感光体ドラム2の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像ローラ11により現像される。現像ローラ11は現像剤担持体であって、像担持体としての感光体ドラム2に形成された潜像を現像する現像剤を担持する。
【0036】
上記の画像形成動作により、第1のカートリッジPYの感光体ドラム2には、Y色の現像剤像が形成される。そして、Y色の現像剤像が転写ベルト111上に一次転写される。同様に第2のカートリッジPM、第3のカートリッジPC、第4のカートリッジPKの現像剤像が転写ベルト111上に重畳され、4色フルカラーの未定着の現像剤像が形成される。各プロセスカートリッジPにおいて、一次転写後に感光体ドラム2の表面に残留した現像剤は、クリーニング部材6によって除去される。
【0037】
一方、トレイ121に収容されている記録媒体Sが所定の制御タイミングで給送される。二次転写ニップ部N2に導入された記録媒体Sの表面に転写ベルト111上の4色重畳の現像剤像が一括転写される。
【0038】
記録媒体Sは、転写ベルト111の表面から分離されて定着ユニット130へ導入される。そして、定着ニップ部で加熱・加圧される。これにより、現像剤像が記録媒体Sに定着される。その後、定着済みの記録媒体Sが排出トレイ100aに搬送されることでフルカラー画像の形成動作が完了する。
【0039】
[プロセスカートリッジの全体的な構成]
次に、プロセスカートリッジPの全体構成について、図3、図4、図5を用いて説明する。図3は、プロセスカートリッジと現像剤補給カートリッジの主断面図である。図4は、画像形成装置内におけるプロセスカートリッジと現像剤補給カートリッジの全体像を示す斜視図である。図5は、プロセスカートリッジの全体像を示す斜視図である。
【0040】
図3に示すように、カートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、クリーニングユニット1と現像ユニット10から形成されている。
【0041】
最初に、クリーニングユニット1について説明する。クリーニングユニット1は、クリーニング枠体7に、感光体ドラム2と、帯電ローラ3と、クリーニング部材6を有している。
【0042】
感光体ドラム2は、クリーニング枠体7によって回転自在に支持されている。感光体ドラム2の一端には、図4に示すように、ドラム駆動カップリング2aが設けられている。感光体ドラム2とドラム駆動カップリング2aは、一体的に形成されている。ドラム駆動カップリング2aは、装置本体100Aのカップリング(不図示)と係合する。ドラム駆動カップリング2aに装置本体の駆動モータ(不図示)の駆動力の伝達されることで、感光体ドラム2が図3の矢印A方向に所定の速度で回転駆動される。
【0043】
帯電ローラ3は、感光体ドラム2に接触しながら従動回転する。帯電ローラ3は、図3に示すように、帯電ローラ軸受4を介して、クリーニング枠体7に取り付けられる。帯電ローラ3は、帯電ローラ3の回転中心と感光体ドラム2の回転中心を結ぶ線に沿って、図3の矢印E方向に移動可能に取り付けられる。帯電ローラ3の回転軸3aは、帯電ローラ軸受4に回転可能に支持されている。帯電ローラ軸受4は、帯電ローラ加圧部材5によって感光体ドラム2に向かって付勢される。
【0044】
クリーニング部材6は、先端の弾性ゴムブレード6aと支持板金6bから構成されている。弾性ゴムブレード6aの先端は、感光体ドラム2の回転方向(図3の矢印A方向)に対してカウンター方向に当接させている。クリーニング部材6は、感光体ドラム2に残留した現像剤を除去する。クリーニング部材6によって感光体ドラム2の周面から除去された現像剤は、クリーニング枠体7の除去現像剤収容部7aに収容される。
【0045】
次に、現像ユニット10について説明する。現像ユニット10は、図3に示すように、現像ユニット10内の各種要素を支持する現像枠体14を有する。現像枠体14は、現像部16と現像剤収容部15とに分けられる。
【0046】
現像部16には、現像ローラ11、現像剤供給ローラ(以下、「供給ローラ」と称す)12、現像ブレード13が設けられている。現像ローラ11は、感光体ドラム2と接触して矢印D方向に回転する。供給ローラ12は、現像ローラ11と接触しながら、矢印F方向に回転する。供給12ローラには、二つの役割がある。一つは、現像ローラ11上に現像剤を供給することである。もう一つは、現像に供給されずに現像ローラ11上に残留した現像剤を剥ぎ取ることである。現像ブレード13は、現像ローラ11の周面上に接触することで、現像ローラ11上の現像剤の層厚を規制する。
【0047】
一方、現像剤収容部15は、現像剤補給カートリッジTから補給される現像剤が収納されている。現像剤収容部15の詳細は、後述する。
【0048】
次に、クリーニングユニット1と現像ユニット10の結合について説明する。図5に示すように、クリーニング枠体7は、クリーニング結合穴8(8R、8L)を有する。現像枠体14には、図3、図5に示すように、長手方向両端に現像側板19(19R、19L)が設けられている。現像側板19(19R、19L)は、現像結合穴20(20R、20L)を有する。クリーニング結合穴8(8R、8L)と現像結合穴20(20R、20L)は、図3、図5に示すように、結合軸21(21R、21L)と嵌合することにより揺動可能に結合される。これにより、クリーニングユニット1と現像ユニット10が結合する。
【0049】
クリーニングユニット1と現像ユニット10の間には、図5に示すように、加圧バネ22が両端に配置される。加圧バネ22の付勢力によって、現像ユニット10は、現像結合穴20を中心に矢印G方向の回転モーメントを得る。これにより、現像ローラ11が感光体ドラム2に当接する。
【0050】
本実施例において、現像ローラ11は、感光体ドラム2に接触して配置されているが、所定間隔を設けて配置される構成であってもよい。
【0051】
[現像剤補給カートリッジの全体的な構成]
次に、現像剤補給カートリッジTの構成について、図3、図6を参照して説明する。図3は、プロセスカートリッジと現像剤補給カートリッジの主断面図である。図6は、現像剤補給カートリッジTの構成を示す斜視図である。
【0052】
現像剤補給カートリッジTは、図3に示すように、現像剤を収容するための補給枠体40を有している。補給枠体40には、プロセスカートリッジPに現像剤を補給するための現像剤補給開口43を有する。現像剤補給開口43の下部には、現像剤補給シャッタ44が設けられている。通常、現像剤補給シャッタ44は閉じているが、装置本体100AにプロセスカートリッジPと現像剤補給カートリッジTが装着された状態において、開く構成になっている。
【0053】
補給枠体40内には、補給搬送部材41と補給攪拌部材42が設けられている。補給搬送部材41と補給攪拌部材42は、補給枠体40によって回転可能に支持されている。補給搬送部材41は、補給枠体40内の現像剤を現像剤補給開口43に向けて搬送する。補給搬送部材41は、図6に示すように、表面にらせん状のフィン41aと戻しフィン41bが形成されたスクリュー部材である。フィン41aは、矢印Q方向に現像剤を搬送する。戻しフィン41bは、フィン41aと逆方向に現像剤を搬送する。補給攪拌部材42の役割は、二つある。一つは、補給枠体40内の現像剤を攪拌することである。もう一つは、攪拌した現像剤を補給搬送部材41に送ることである。補給攪拌部材42は、補給攪拌棒42aと補給攪拌シート42bから形成されている。補給搬送部材41の上部には、カバー部材47が設けられている。カバー部材47は、現像剤補給開口43と補給搬送部材41の長手方向の一部を覆っている。カバー部材47には、戻し穴47aが設けられている。
【0054】
補給搬送部材41と補給攪拌部材42の長手方向の一端には、それぞれ補給搬送カップリング45と補給攪拌カップリング46が設けられている。補給搬送カップリング45と補給攪拌カップリング46は、装置本体100Aのカップリング(不図示)と係合する。補給搬送カップリング45と補給攪拌カップリング46に装置本体100Aの駆動モータ(不図示)の駆動力の伝達されることで、補給搬送部材41と補給攪拌部材42が所定の速度で回転駆動される。
【0055】
現像剤補給カートリッジT内の現像剤の搬送について説明する。補給枠体40内の現像剤は、補給攪拌部材42によって攪拌され、補給搬送部材41へ送られる。補給搬送部材41に送られた現像剤は、カバー部材47まで搬送されるとカバー部材47によって一部が規制される。これにより、現像剤補給開口43から排出される現像剤の量が一定となる。カバー部材47内に搬送された現像剤は、現像剤補給開口43からプロセスカートリッジPへ排出される。現像剤補給開口43から落下しなかった現像剤は、戻しフィン41bによって、戻し穴47aから補給攪拌部材42へ送られ、再び撹拌される。
【0056】
[現像剤搬送装置の構成]
次に、画像形成装置100で用いられる現像剤搬送手段(現像剤搬送装置)9の構成について、図1を参照して説明する。図1(a)は、封止部材80がある状態における現像ユニット10の概略断面図である。図1(b)は、封止部材80の一部が引かれた状態における現像ユニット10の概略断面図である。
【0057】
本実施例では現像ユニットに設けられた現像剤収容部15および、現像剤収容部15に取り付けられた現像剤搬送部材25等の部材によって現像剤搬送装置9が構成される。
【0058】
現像剤収容部15は、図1に示すように、仕切り部29によって第一収容部15aと第二収容部15bに区分けられる。第一収容部15aと第二収容部15bは、長手方向の両端に設けられた第一開口17と第二開口18によって接続している。
【0059】
第一収容部15aには、現像剤受入開口23が設けられている。現像剤受入開口23は、現像剤補給カートリッジTの現像剤補給開口43と接続する。現像剤補給開口43と現像剤受入開口23が接続することで、現像剤補給カートリッジTからプロセスカートリッジPへ現像剤が補給される。現像剤受入開口23の上部には、現像剤受入シャッタ26が配置されている。通常、現像剤受入シャッタ26は閉じているが、装置本体100AにプロセスカートリッジPと現像剤補給カートリッジTが装着された状態において、開く構成になっている。
【0060】
第二収容部15bは、現像開口28を介して現像部16と接続している。プロセスカートリッジPの未使用時において、現像開口28は、封止部材80で封止されている。ここで現像開口28は、現像剤収容部15から現像剤を排出するための開口部である。封止部材80は、この現像開口28に取り付けられ、プロセスカートリッジPの物流時に現像剤収容部15から現像剤が漏れるのを防止している。封止部材80は、現像開口28面に溶着等で接着される。
【0061】
封止部材80の長手方向の一端は、図1に示すように折り返されて、現像枠体14に設けられたシール開口14aを通過して現像枠体14の外部に延伸している。シール開口14aには、シール部材51が設けられる。シール部材51は、シール開口14aから現像剤が漏れるのを防止する。封止部材80の折り返し部80aの長手方向の端部80bは、現像枠体14の外部において、巻取り部材38と結合している。封止部材80は、巻取り軸部38bに両面テープ等によって接着される。プロセスカートリッジPを使用する際、封止部材80は、巻取り部材38で巻き取られることによって除去される。巻取り部材38は、封止部材80を現像開口28から取り外す(除去する)ための除去部材である。
【0062】
第一収容部15aには、現像剤攪拌部材24が設けられている。現像剤攪拌部材24の役割は、二つある。一つは、現像剤収容部15内の現像剤と現像剤補給カートリッジTから補給された現像剤を混ぜることである。もう一つは、混ぜた現像剤を矢印H方向へ搬送することである。すなわち現像剤搬送部材25を第1の現像剤搬送部材としたとき、現像剤撹拌部材は第2の現像剤搬送部材となる。この現像剤攪拌部材24は、現像攪拌軸24aの周囲に設けられた現像支持軸24bに攪拌バネ24cを取り付けた構成になっている。
【0063】
第二収容部15bには、現像剤搬送部材25が設けられている。現像剤搬送部材25は、矢印J方向(現像剤搬送方向)に現像剤を搬送するスクリュー部材である。このとき、現像剤攪拌部材24による現像剤搬送速度は、現像剤搬送部材25による現像剤搬送速度よりも遅い設定となっている。
【0064】
現像ユニット10内の現像剤の搬送について説明する。現像剤補給カートリッジTから補給された現像剤は、第一収容部15a内で、現像剤攪拌部材24によって現像剤収容部15内の現像剤と混ぜられる。混ぜられた現像剤は、第一開口17を介して第二収容部15bへ送られる。第二収容部15bにおいて、現像剤は、現像剤搬送部材25によって、現像開口28から現像部16へ搬送される。現像部16に搬送された現像剤は、供給ローラ12を介して現像ローラ11に送られ、現像される。現像に供給されなかった現像剤は、再び現像部16から第二収容部15bに戻る。その後、現像剤搬送部材25によって、第二開口18から第一収容部15aに搬送される。現像剤はこの状態を繰り返すことで循環される。
【0065】
[現像ユニットの駆動構成]
次に、現像ユニットの駆動構成について、図1、図5を参照して説明する。図1は、現像ユニットの概略断面図である。図5は、プロセスカートリッジPの全体像を示す斜視図である。
【0066】
図1に示すように、現像ローラ11の一端には、現像ローラ11に駆動を伝達するための現像ローラギア30が設けられている。供給ローラ12の一端には、供給ローラ12に駆動を伝達するための供給ローラギア31が設けられている。現像剤搬送部材25の一端には、現像剤搬送部材25に駆動を伝達するための現像搬送ギア32が設けられている。現像剤攪拌部材24の一端には、現像剤攪拌部材24に駆動を伝達するための第一現像攪拌ギア33が設けられている。現像搬送ギア32は、現像剤搬送部材25を回転させる駆動力が入力される駆動入力部である。
【0067】
現像剤攪拌部材24の他端には、現像剤攪拌部材24からの駆動を伝達するための第二現像攪拌ギア34が設けられている。
【0068】
一方、現像ユニット10の長手方向の一端には、図5に示すように、現像駆動カップリング27が設けられている。現像駆動カップリング27は、装置本体100Aのカップリング(不図示)と係合する。現像駆動カップリング27は、装置本体の駆動モータ(不図示)の駆動力が伝達されると、所定の速度で回転する。
【0069】
装置本体100Aの駆動モータの駆動力は、現像駆動カップリング27から以下の経路で伝達される。
【0070】
現像駆動カップリング27の駆動は、図1に示すように、現像駆動カップリング27のギア部27aから第一アイドラギア35と第二アイドラギア36を介して、現像ローラギア30と供給ローラギア31へ伝達される。これにより、現像ローラ11と供給ローラ12が駆動する。
【0071】
また、第一アイドラギア35の駆動は、第一現像攪拌ギア33にも伝達され、現像剤攪拌部材24が駆動する。現像剤攪拌部材24の駆動は、第二現像攪拌ギア34から第三アイドラギア37を介して現像搬送ギア32に伝達され、現像剤搬送部材25が駆動する。
【0072】
また、第三アイドラギア37の駆動は、第四アイドラギア39にも伝達される。第四アイドラギアの駆動は、巻取り部材38に伝達され、巻取り部材38が回転する。これにより、封止部材80が巻き取られ、現像開口28から除去される。
【0073】
プロセスカートリッジPが装置本体100Aに装着されて、新品状態を検知された時に、現像駆動カップリング27が駆動されることで、封止部材80の巻き取りが開始する。
【0074】
このとき、現像駆動カップリング27には、現像ローラ11、供給ローラ12、現像剤撹拌部材24、現像剤搬送部材25、封止部材80の巻き取り部材38、それらの駆動に要する負荷トルクがかかる。
【0075】
特に、物流により、第二収容部15bにおける現像剤搬送部材25による現像剤搬送方向Jの下流側、かつ、第一収容部15aにおける現像剤撹拌部材24による現像剤搬送方向Hの上流側に現像剤が凝集した場合、負荷トルクが最も大きくなることがわかっている。
【0076】
その理由の一つは、現像剤搬送部材25と現像剤撹拌部材24の駆動が開始された際に、第一収容部15a内を移動する現像剤の速度が第二収容部15bを移動する現像剤の速度と比べて遅いためである。これにより第二開口18を通って、第二収容部15bから第一収容部15aに搬送された現像剤が、現像剤搬送方向Jの下流側に詰まりやすくなる。現像剤が詰まった後も、現像剤搬送部材25が駆動され続けると現像剤搬送部材25を駆動させるために必要な負荷トルクが上昇してしまうことになる。
【0077】
一方、現像剤搬送方向Jの上流側に現像剤が凝集した場合には、第二収容部15bの現像剤搬送速度が第一収容部15aの現像剤搬送速度と比べて速く、また、第二収容部15bの現像剤搬送方向Jの下流側に空間があるため、現像剤の凝集は解消されていく。そのため現像剤搬送方向Jの下流側に現像剤が凝集することに比べて、現像剤搬送方向Jの上流側に現像剤が凝集した場合には現像剤搬送部材25の負荷トルクは小さい。
【0078】
現像剤搬送方向Jの下流側に現像剤が凝集した場合に、負荷トルクが上昇する課題の対策として、本実施例では、最も負荷トルクがかかる現像剤搬送部材25に対して、第二収容部15bの内部にクラッチ部70を設けている。このクラッチ部70は、現像剤収容部15の中にあって、現像剤搬送部材25と、現像搬送ギア32の間、かつ、それぞれと同軸上に設けられている。
【0079】
現像剤収容部15の内部にクラッチ部70を収めることにより、現像剤収容部15の外部にクラッチ部70を設ける場合より、現像装置及びプロセスカートリッジの小型化を達成できる。
【0080】
現像剤搬送部材25の負荷トルクが一定以上の場合、クラッチ部70が動作し、駆動が遮断される。現像剤搬送部材25の駆動が遮断されている間、第四アイドラギア39への駆動伝達は行われているため、封止部材80の巻き取りは継続して行われる。封止部材80の巻き取りが行われると、図1(b)に示すように、封止部材80の折り返し部から現像開口28が開き始める。それによって、第二収容部15bに凝集された現像剤が、現像部16に落ち始める。現像部16に現像剤が落ちることで、現像剤搬送部材25を駆動させるための負荷トルクが減少し、現像搬送ギア32の駆動が現像剤搬送部材25に伝達され、現像剤搬送部材25が駆動開始する。
【0081】
また、現像剤搬送部材25の駆動が遮断された際も、現像剤撹拌部材24は駆動され続けるので、現像剤撹拌部材24によっても現像剤の凝集を解消させることができる。
【0082】
なお、現像剤収容部の第二収容部15bにおける現像剤搬送部材25による現像剤搬送方向Jの上流側、かつ、第一収容部15aにおける現像剤撹拌部材24による現像剤搬送方向Hの下流側に現像剤が凝集した場合は現像剤搬送部材25の駆動が遮断されない。その理由は、前述したように、凝集された現像剤がほぐされながら搬送されていくため現像剤搬送部材25の負荷トルクが大きく上昇しないためである。このとき、クラッチ部70は動作しない。
【0083】
すなわち、クラッチ部70を動作させ、現像剤搬送部材25の駆動を遮断させる必要が特にあるのは、現像剤搬送方向Jの下流側にて現像剤が凝集している場合である。このときクラッチ部70が配置された現像剤搬送方向Jの上流側では、現像剤は凝集していないので、現像剤の影響によってクラッチ部70の動作不良が生じることは抑制される。
【0084】
[クラッチ部の構成]
次に本実施例におけるクラッチ部の詳細な構成について、図7、図8を用いて説明する。図7は、現像搬送部材とクラッチ部の分解斜視図である。図8(a)は、現像搬送部材の駆動中におけるクラッチ部の概略断面図である。図8(b)は、現像搬送部材の駆動遮断時におけるクラッチ部の概略断面図である。
【0085】
図7に示すように、現像剤搬送部材25の同軸上に弾性部材である圧縮コイルバネ(以下、圧縮バネとよぶ)71と、係合部材72を取り付けた状態で、現像剤収容部15の第二収容部15bに取り付け、現像枠体14の外側から現像搬送ギア32を取り付ける。このとき、圧縮バネ71は現像剤搬送部材25のバネ受け面25eと係合部材72のバネ受け部72eの間で保持される。
また、係合部材72の内周部72bと現像搬送ギア32の外周部32aは係合する。
【0086】
次に、図7、図8(a)を用いて、現像剤搬送部材25の駆動時の状態を説明する。
係合部材72の内周部72bには、リブ状の駆動伝達部72c、72dが設けられている。現像剤搬送部材25は円筒部25bを有し、駆動伝達部72c、72dと対向する位置にスリット25aを有する。係合部材72は、円筒部25bに対して、内周部72bが軸方向に移動可能に係合している。
【0087】
係合部材72が低負荷で軸方向に移動できるために、スリット25aの幅を、駆動伝達部72c、72dの幅より大きい関係としている。
【0088】
駆動伝達部72c、72dは、現像搬送ギア32の駆動力を受け、現像剤搬送部材25に駆動力を伝達する機能をもつ。また現像搬送ギア32は、現像剤搬送部材の回転軸に対して傾斜し、前記係合部材72と係合する斜面(以下、カム面32b)を有する。現像搬送ギア32の駆動は、カム面32bが、駆動伝達部72c、72dに接触し、係合部材72に駆動力を伝える。その後、駆動伝達部72c、72dは、現像剤搬送部材25のスリット25aに係合した状態で被駆動伝達面25c、25dと接触し、現像剤搬送部材25の駆動が行われる。
【0089】
次に、図7、図8(b)を用いて、現像剤搬送部材25の駆動遮断時の状態を説明する。
現像剤搬送部材25の負荷トルクが一定以上になると、係合部材72の駆動伝達部72c、72dは回転中の現像搬送ギア32のカム面32bに沿って、圧縮バネ71が圧縮する方向(矢印V方向)に移動する。このとき、係合部材72の駆動伝達部72c、72dにかかる軸方向の力は圧縮バネ71から係合部材72にかかる力よりも大きくなっている。そして、図8(b)に示すように、駆動伝達部72c、72dがカム面32bの頂点32dと接触する位置まで達すると、現像搬送ギア32から、係合部材72への回転駆動伝達は行われなくなる。このとき、現像搬送ギア32が空転する。この動作によって、現像剤搬送部材25への駆動が遮断される。
【0090】
すなわち、係合部材72は、現像剤搬送部材25に駆動力を伝える位置(駆動伝達位置)(図8(a)参照)と、現像搬送部材25に駆動力が伝わるのを規制する規制位置(図8(b)参照)とを移動可能な移動部材である。係合部材72は圧縮バネ71によって駆動伝達位置に向けて付勢されているが、現像剤搬送部材25を駆動させるために必要な駆動力(負荷トルク)が所定の大きさを超えると、駆動伝達位置から規制位置に移動する。
【0091】
本実施例では、現像搬送ギア32の駆動1周期に2回、係合部材72の移動が行われる。現像剤搬送部材25の回転トルクが一定以下になると、現像搬送ギア32のカム面32bによって、現像剤搬送部材25の駆動が開始される。
【0092】
以上より、圧縮バネ71と係合部材72のみを追加した簡易構成で、負荷トルクが一定以上になると駆動遮断できる。
【0093】
本実施例では、上述したように現像剤搬送方向Jにおいて、クラッチ部70は現像剤搬送部材25の上流側に設けている。そのため現像剤搬送方向Jの下流側にて現像剤が凝集し現像剤搬送部材25の負荷トルクが大きくなった場合であっても、現像剤搬送方向Jの上流側に位置するクラッチ部70の周囲では現像剤の密度は比較的小さい。現像剤搬送部材25へ伝達される駆動力を遮断する場合に、係合部材72が移動しても、係合部材72が現像剤から受ける抵抗力は小さくなる。その結果、クラッチ部70は現像剤によって作動不良を起こすことなく確実に駆動力の伝達を遮断する。
【0094】
また図9に係合部材72を図8の矢印V方向の下流側から見た正面図を示す。図9に示されるように係合部材72には係合部材72を貫通する貫通穴70gが設けられている。この貫通穴70gは、係合部材72が移動する際に、係合部材72の周囲にある現像剤が通過することを許容する。この結果係合部材72が現像剤から受ける抵抗がより低減されクラッチ部70の作動不良はより抑制される。
【0095】
以上、説明したように、クラッチ部70を現像剤収容部15の内部に設けることで、現像剤の凝集による負荷トルクの上昇を抑えつつ装置の小型化を達成できる。特に本実施例では、現像剤搬送部材25の現像剤搬送方向Jの上流側にクラッチ部70を設けることで、クラッチ部70の作動不良が抑制され、クラッチ部70は確実に現像剤搬送部材25の駆動を遮断することができる。
【0096】
また本実施例では、現像剤収容部15および、現像剤収容部15に設けられた現像剤撹拌部材24、現像剤搬送部材25、封止部材80、クラッチ部70等を有する現像剤搬送装置9をプロセスカートリッジの現像ユニット10に採用した。一方で、現像剤補給カートリッジにおいても、先に説明した現像剤搬送装置の構成を採用することで、同様の効果を得ることができる。
【0097】
またクラッチ部70は本実施例の構成に限らず、トルクリミッタ、摩擦クラッチ等、別構成のクラッチを用いても同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0098】
2 感光体ドラム
9 現像剤搬送装置
11 現像ローラ
15 現像剤収容部
15a 第一収容部
15b 第二収容部
24 現像剤攪拌部材
25 現像剤搬送部材
25a スリット
25b 円筒部
25c、25d 被駆動伝達面
25e バネ受け面
32 現像搬送ギア
32a 第一円筒部
32b カム面
32c 第二円筒部
32d 頂点
70 クラッチ部
71 圧縮バネ
72 係合部材
72b 内周部
72c、72d 駆動伝達部
72e バネ受け部
120 給送ユニット
121 給送トレイ
122 給出ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に用いられる現像剤搬送装置において、
現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部の内部に配置され、回転により現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、
前記現像剤搬送部材を駆動させる駆動力が入力される駆動入力部と、
前記駆動入力部から前記現像剤搬送部材に駆動力を伝える状態と、前記現像剤搬送部材を回転させるために必要な駆動力が所定の大きさを超えた場合に前記駆動入力部から前記現像剤搬送部材に駆動力が伝達されるのを規制する状態と、を取り得るクラッチと、
を備え、
前記クラッチは前記現像剤収容部の内部に取り付けられることを特徴とする現像剤搬送装置。
【請求項2】
前記クラッチは前記現像剤搬送部材が現像剤を搬送する現像剤搬送方向において、前記現像剤搬送部材の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の現像剤搬送装置。
【請求項3】
前記クラッチは、前記現像剤搬送部材に駆動力を伝達する駆動伝達位置と、前記現像剤搬送部材に駆動力が伝達されるのを規制する規制位置とを移動可能な移動部材と、前記移動部材を前記駆動伝達位置に向けて付勢する弾性部材を有することを特徴とする請求項1または2に記載の現像剤搬送装置。
【請求項4】
前記駆動入力部は、前記移動部材と係合する斜面を有し、
前記現像剤搬送部材を回転させるために必要な駆動力が所定の大きさを超えた場合に、前記移動部材は、前記斜面に沿って前記駆動伝達位置から前記規制位置に移動することを特徴とする請求項3に記載の現像剤搬送装置。
【請求項5】
前記移動部材には、前記移動部材が移動する際に、現像剤が通過することを許容する貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の現像剤搬送装置。
【請求項6】
前記現像剤収容部から現像剤を排出するための開口部と、
前記開口部に取り付けられ、前記開口部を封止する封止部材と、
前記封止部材を前記開口部から取り外すための除去部材と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【請求項7】
前記現像剤収容部は、第一収容部と、第二収容部に区分けられ、
前記第二収容部は、前記現像剤搬送部材と前記クラッチが配置され、前記第一収容部と接続しており、
前記現像剤搬送部材が回転する際に、前記第二収容部を移動する現像剤の速度は、前記第一収容部を移動する現像剤の速度より速いことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【請求項8】
前記第一収容部の内部に配置され、回転することによって現像剤を撹拌する現像剤撹拌部材を備えることを特徴とする請求項7に記載の現像剤搬送装置。
【請求項9】
画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
潜像が形成される像担持体と、
前記潜像を現像するための現像剤を担持する現像剤担持体と、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置と、
を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−76755(P2013−76755A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215332(P2011−215332)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】