説明

現像方法及び現像装置

現像スリーブの表面粗さ(Rz)が変化した場合や、アモルファスシリコン感光体を使用した場合であっても、現像スリーブから磁性一成分トナーを感光体に効率的に飛翔させて、良好な画像品質等が得られる現像方法及びそれを用いた現像装置を提供することを目的とする。
そのため、磁性一成分ジャンピング現像方法及びそれを用いた現像装置において、体積基準の粒度分布から算出される中心粒径が6.0〜7.8μmの範囲内の値であり、かつ球形化度が0.92〜0.98であり、さらに平均粒径が5.04μm以下のトナーを2.5〜10.0体積%の範囲で含有するトナーを使用するともに、トナー像における単位面積あたりのトナー量をAとしたときに、下記関係式(1)を満足する磁性一成分トナーを使用する。
0.6mg/cm2≦A≦0.9mg/cm2 (1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像方法及び現像装置に関し、特に、所定のアモルファスシリコン感光体に対しても、あるいは現像スリーブの表面粗さが変化したような場合であっても、良好な画像特性が得られる磁性一成分ジャンピング方式の現像方法及びそれを用いた現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機等の画像形成装置において、電子写真法を実施する場合、感光体の表面を所定極性に一様に帯電させた後、画像露光を行って静電荷像を形成し、次いで、形成した静電荷像を、トナーにより現像することにより、感光体上にトナー像を形成し、さらに、そのトナー像を用紙に転写及び定着させることによって、迅速に画像形成を行っている。
また、静電荷像の現像方法には、正規現像と反転現像とがあるが、デジタル機が普及している現在では、反転現像が主流となっている。この反転現像は、感光体と同極性に帯電されたトナーを、画像露光によって電位が低下した部分に付着させることによりトナー像を形成するものであり、光の未照射部が画像のバックグラウンド部となる。
【0003】
このような画像形成装置において、高画質化を図るために、通常、一成分系現像剤であればトナーの小粒径化、二成分系現像剤であればトナー及びキャリアの小粒径化、キャリアの低抵抗化等の手段が提案されている。
特に、トナーの体積中心粒径を小さくし、球形化することは、感光体に現像されるトナーの密度が高まり、つまり細密充填され、ベタ画像やグレー画像の均一性が向上し、露光されたドットサイズに対して、リニアに現像されることから高画質化に有効な手段である。
【0004】
ところで、二成分系現像剤を用いる方法は、初期的には、比較的安定して良質の画像を提供することができるものの、長期にわたり使用する場合、キャリアの劣化、すなわちスペント現象が起こるという問題が見られた。したがって、キャリアの帯電付与能力が低下し、長期間にわたり良質な画像が得られない等の問題や、トナーとキャリアの混合比率が一定に保ちにくいため長期耐久性に欠けるという問題が見られた。
【0005】
そこで、かかる問題点を回避するために、キャリアを併用せずに、トナーのみからなる一成分系現像剤を用いる現像方法が各種提案されており、なかでも所定量の磁性粒子を含む一成分系現像剤を用いた現像方法が提案されている。
このような磁性一成分現像方法として、例えば、磁性一成分ジャンピング方式と呼ばれる現像方法が提案されている(例えば、特許文献1)。より具体的には、所定距離だけ離間させた状態で感光体に対向して、磁石ローラを内蔵した現像スリーブからなる現像剤担持体が設けられた現像装置を使用するものである。そして、現像スリーブを回転させることによってトナーを搬送するとともに、現像スリーブと、磁性ブレードとの隙間を通過させて現像スリーブ上にトナー薄層を形成し、次いで、形成したトナー薄層における帯電トナーを飛翔させることによって、感光体表面の静電潜像を現像する現像方法である。
【特許文献1】特開昭55−18656号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された現像方法は、小粒径かつ球形の磁性一成分トナーを用いており、感光体における単位面積当りの現像量(A)を大きくした場合に、印刷画像のバックグラウンド部(高電位部)にトナー付着が生じやすいという問題が見られた。特に、現像スリーブの表面粗さ(Rz)が経時等により変化すると、トナーの搬送性や薄層トナーの状態が変化し、結果として、このようなトナー付着が生じやすいという問題が見られた。
また、アモルファスシリコン感光体を使用した画像形成装置においては、クリーニング装置として、クリーニングブレード及び摺擦ローラが多用されているが、このような場合に、印刷画像におけるトナー付着がさらに多くなりやすいという問題も見られた。すなわち、感光体における現像量が多くになるにつれて、感光体に付着したままの転写残トナーが多くなり、かかる転写残トナーが摺擦ローラによって強固に押付けられやすくなる。そのために、クリーニングブレードによって除去されずに残るトナー量が多くなり、ひいては、印刷画像におけるトナー付着が多くなるという問題が見られた。よって、白紙画像であれば黒点、グレーなどの高濃度画像であれば白点が発生しやすいという、画像印刷上の新たな問題も見られた。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、磁性一成分トナーにおける体積中心粒径と、球形化度と、体積粒径が所定値以下の微粉量と、現像量と、をそれぞれ所定範囲に制限することにより、現像スリーブの表面粗さ(Rz)が変化した場合や、アモルファスシリコン感光体を使用した場合であっても、現像スリーブから磁性一成分トナーを感光体に効率的に飛翔させて、良好な画像品質等が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、磁性一成分ジャンピング現像方式に適した現像方法及び現像装置であって、感光体への不要なトナー付着/残存が防止されて、黒点又は白点などの発生を有効に抑制しつつ、画像濃度が高い一方、カブリ濃度が低く、高画質画像が実現できる現像方法及び現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、磁性一成分トナーを現像スリーブから感光体に飛翔させて、当該感光体上に形成された静電潜像を現像し、所定のトナー像を形成するための現像方法であって、磁性一成分トナーとして、体積中心粒径が6.0〜7.8μmの範囲内の値であり、かつ球形化度が0.92〜0.98であり、さらに体積粒径が5.04μm以下のトナー量(微粉量)を2.5〜10.0体積%の範囲としたトナーを使用するとともに、トナー像における単位面積あたりのトナー量(現像量)をAとしたときに、下記関係式(1)を満足する現像方法が提供され、上述した問題を解決することができる。
0.6mg/cm2≦A≦0.9mg/cm2 (1)
すなわち、本発明の磁性一成分トナーのジャンピング現像方式に基づく現像方法によれば、トナーの体積中心粒径、球形化度、及び微粉量を所定範囲内の値に制限するとともに、感光体上の現像量(A)を所定範囲内の値に制限することにより、現像スリーブの表面粗さ(Rz)が変化した場合や、アモルファスシリコン感光体を使用した場合であっても、現像スリーブから磁性一成分トナーを感光体に効率的かつ精度良く飛翔させることができる。したがって、画像濃度が高い一方、カブリ濃度が低く、反転現像における画像のバックグラウンド部へのトナーの付着を防止することができる。また、それに伴う黒点又は白点発生などの画像不良を有効に防止することができる。さらに、トナー自体の小粒径に起因して、感光体上の単位面積あたりのトナー量(A)の値を高くして、ドット画像の再現性についても高めることができる。
【0009】
また、本発明の現像方法を実施するにあたり、現像スリーブの表面粗さをRzとしたときに、当該表面粗さ(Rz)が、下記関係式(2)を満足することが好ましい。
3.0μm≦Rz≦5.5μm (2)
すなわち、現像スリーブの表面粗さ(Rz)を所定範囲内の値とすることにより、均一なトナーの薄層を形成することができるため、画像濃度が高い一方、カブリ濃度が低くなり、さらにはトナー付着を少なくすることができる。
【0010】
また、本発明の現像方法を実施するにあたり、現像スリーブ上に形成されるトナー薄層における単位面積あたりのトナー量をBとしたときに、下記関係式(3)を満足することが好ましい。
0.6mg/cm2≦B≦0.90mg/cm2 (3)
すなわち、現像スリーブ上に形成されるトナー薄層における単位面積あたりのトナー量である現像量(B)を所定範囲内の値とすることにより、感光体の表面に対しても、トナーをより均一に現像することができることから、画像濃度が高い一方、カブリ濃度が低くなり、さらにはドットの再現性もさらに良好となる。
【0011】
また、本発明の現像方法を実施するにあたり、感光体が、アモルファスシリコン感光体であって、クリーニング装置として、クリーニングブレード及び摺擦ローラを併用して備えてあることが好ましい。
すなわち、所定のクリーニング装置を備えたアモルファスシリコン感光体を用いた場合であっても、長期間にわたって、画像濃度が高い一方、カブリ濃度が低くなり、さらにはトナー付着を少なくすることができる。
【0012】
また、本発明の現像方法を実施するにあたり、磁性一成分トナーが、結着樹脂100重量部に対して、磁性粉を30〜120重量部、電荷制御剤を0.1〜10重量部、ワックスを1〜10重量部の範囲で添加した樹脂組成物を、ターボミルにて粉砕後、アルピネ分級機を用いて分級してなることが好ましい。
このように製造した磁性一成分トナーを用いることにより、トナーの体積中心粒径、球形化度、及び微粉量を所定範囲内の値への制限がさらに容易となる。したがって、画像濃度が高い一方、カブリ濃度が低くなり、さらにはトナー付着を少なくすることができる。
【0013】
また、本発明の別の態様は、磁性一成分トナーを現像スリーブから感光体に飛翔させて、当該感光体上に形成された静電潜像を現像し、所定のトナー像を形成するための現像装置であって、磁性一成分トナーとして、体積中心粒径が6.0〜7.8μmの範囲内の値であり、かつ球形化度が0.92〜0.98であり、さらに体積粒径が5.04μm以下のトナー量(微粉量)を2.5〜10.0体積%の範囲としたトナーを使用するとともに、トナー像における単位面積あたりのトナー量をAとしたときに、下記関係式(1)を満足することを特徴とする現像装置である。
0.6mg/cm2≦A≦0.9mg/cm2 (1)
すなわち、本発明の磁性一成分トナーのジャンピング現像方式に基づく現像装置によれば、トナーの体積中心粒径、球形化度、及び微粉量を所定範囲内の値に制限するとともに、感光体上の現像量(A)についても所定範囲内の値に制限することにより、現像スリーブの表面粗さ(Rz)が変化した場合や、アモルファスシリコン感光体を使用した場合であっても、現像スリーブから磁性一成分トナーを感光体に効率的かつ精度良く飛翔させることができる。したがって、画像濃度が高い一方、カブリ濃度が低くなり、さらにはトナー付着を少なくすることができる。
【0014】
また、本発明の現像装置を構成するにあたり、現像スリーブの表面粗さをRzとしたときに、当該表面粗さ(Rz)が、下記関係式(2)を満足することが好ましい。
3.0μm≦Rz≦5.5μm (2)
すなわち、現像スリーブの表面粗さ(Rz)を所定範囲内の値とすることにより、現像スリーブ上に均一な厚さ及びトナー量(B)を有するトナー薄層を形成することができ、結果として、感光体に対して、均一に現像することができる。したがって、画像濃度が高い一方、カブリ濃度が低くなり、さらにはトナー付着を少なくすることができる。
【0015】
また、本発明の現像装置を構成するにあたり、現像スリーブ上に形成されるトナー薄層における単位面積あたりのトナー量をBとしたときに、下記関係式(3)を満足することが好ましい。
0.6mg/cm2≦B≦0.90mg/cm2 (3)
すなわち、現像スリーブ上に形成されるトナー薄層における単位面積あたりのトナー量である現像量(B)を所定範囲内の値とすることにより、感光体の表面に対しても、トナーをより均一に現像することができることから、画像濃度が高い一方、カブリ濃度が低くなり、さらにはドットの再現性もさらに良好となる。
【0016】
また、本発明の現像装置を構成するにあたり、感光体が、アモルファスシリコン感光体であって、クリーニング装置として、クリーニングブレード及び摺擦ローラを併用して備えてあることが好ましい。
すなわち、所定のクリーニング装置を備えたアモルファスシリコン感光体を用いた場合であっても、長期間にわたって、画像濃度が高い一方、カブリ濃度が低くなり、さらにはトナー付着を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】現像装置を備えた画像形成装置を説明するために供する図である。
【図2】画像形成装置中の感光体近傍の拡大図である。
【図3】トナーの球形化度と、感光体上の現像量との関係を説明するために供する図である。
【図4】トナーの球形化度と、画像濃度との関係を説明するために供する図である。
【図5】トナーの微粉量と、感光体上の現像量との関係を説明するために供する図である。
【図6】感光体上の現像量と、画像濃度との関係を説明するために供する図である。図である。
【図7】感光体上の現像量と、トナー付着の評価レベルとの関係を説明するために供する図である。
【図8】感光体上の現像量と、スリーブ上の現像量との関係を説明するために供する図である。
【図9】現像装置の拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、磁性一成分トナーを現像スリーブから感光体に飛翔させて、当該感光体上に形成された静電潜像を現像し、所定のトナー像を形成するための現像方法であって、いわゆる磁性一成分ジャンピング現像方式の現像方法である。そして、磁性一成分トナーとして、体積中心粒径が6.0〜7.8μmの範囲内の値であり、かつ球形化度が0.92〜0.98であり、さらに体積粒径が5.04μm以下のトナー量(微粉量)を2.5〜10.0体積%の範囲としたトナーを使用するともに、トナー像における単位面積あたりのトナー量(現像量)をAとしたときに、下記関係式(1)を満足する現像方法である。
0.6mg/cm2≦A≦0.9mg/cm2 (1)
以下、磁性一成分ジャンピング現像方式及びトナーに大別して、適宜図面を参照しながら、第1の実施形態における現像方法を説明する。
【0019】
1.磁性一成分ジャンピング現像方式
(1)現像方法
図1に示すような画像形成装置(デジタル複合機)1を用いて、感光体5上にトナー像を形成する際、すなわち、本発明の現像方法を実施するにあたり、一般に、トナーを含有する現像剤が、正極性に摩擦帯電された状態で、マグネット内蔵の現像スリーブ8a上に供給されて、そこに均一な厚さ及びトナー量を有するトナー薄層を形成する。そして、トナー薄層が感光体5と対向した現像位置へ搬送されると、感光体5と、回転する現像スリーブ8aとの間に交番バイアスが印加されて、トナーが感光体5に飛翔して、感光体5の表面にトナー像が形成される。
【0020】
ここで、使用する現像スリーブについて、その表面粗さ(Rz)が、3.0μm≦Rz≦5.5μmの関係を満足することが好ましい。
これにより、トナーの現像スリーブ表面への搬送性を確保した上で、現像スリーブ上の単位面積あたりのトナー量(B)を所定範囲内であって、かつ均一になるように形成することができる。したがって、感光体上に形成されるトナー量を適切量に調整し、ひいては高解像度、高画質化を図ることができる。
【0021】
すなわち、かかる現像スリーブの表面粗さ(Rz)が3.0μmより小さくなると、現像スリーブ表面へのトナーの搬送性が低下する傾向があり、現像スリーブ表面のトナー量(B)が低下したり、不均一になったりする場合がある。その結果、感光体上に現像されるトナー像におけるトナー量が所定範囲外となるためである。
一方、かかる現像スリーブの表面粗さ(Rz)が5.5μmより大きくなると、帯電量等が制御できないトナーが多くなるためである。したがって、現像スリーブ上に形成されるトナー薄層の厚さやトナー量(B)が不均一になり、その結果、感光体上に形成されるトナー量(A)を適切範囲に調整することが困難となる場合があるためである。
特に、アモルファスシリコン感光体を用いた場合、その表面粗さ(Rz)が所定範囲外の値になると、スリーブ表面の突起部から感光体へのリークが発生しやすくなり、その結果、画像黒点が発生する可能性が高くなる。
したがって、使用する現像スリーブについて、その表面粗さ(Rz)が、3.1μm≦Rz≦5.3μmの関係を満足することがより好ましく、3.3μm≦Rz≦5.1μmの関係を満足することがさらに好ましい。
【0022】
なお、現像スリーブの表面粗さ(Rz)は、JIS B0601−1994に規定された十点平均粗さ(Rz)を意味する。そして、かかる十点平均粗さ(Rz)は、例えば、表面粗さ測定器であるサーフコーダーSE−30D((株)小坂研究所製)を用いて測定することができる。
また、現像スリーブを構成する材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)等を挙げることができる。特に、耐久性や表面粗さ(Rz)の制御の容易性を考慮すると、ステンレス鋼を用いることがより好ましく、具体的には、SUS303、304、305、316等が挙げられる。
【0023】
(2)画像形成方法
また、図1は、本発明の現像方法が適用される画像形成装置1であり、一例として、デジタル複合機を示している。また、図2は、画像形成装置1中の感光体(感光体ドラムと称する場合がある。)5の近傍を拡大して示した拡大図である。そして、図2に示すように、デジタル複合機1の主要素である複合機本体2内の画像形成部3において、感光体5の回転方向(矢印A方向)に沿って、帯電ユニット4、露光ユニット7、現像ユニット8、転写ローラ13、摺擦ローラ24、クリーニングブレード25、除電装置10が配設されている。
【0024】
ここで、感光体5は、例えばアルミニウム製ドラムの表面に、アモルファスシリコン(a−Si)から成る感光層が積層されたものであり、帯電ユニット4により、表面を帯電させるようになっている。そして、画像読取部6で読み取られた原稿画像データに基づく露光ユニット7からのレーザビームを受けた表面に、帯電量を減衰させた静電潜像を形成する。
また、帯電ユニット4は、放電(例えばコロナ放電)することで感光体5の表面を帯電させるものであり、例えば、直径が細いワイヤー等を電極として、所定の高電圧を印加することにより放電するように構成されている。
また、露光ユニット7は、画像データに基づいて、光ビーム(例えばレーザビーム)を感光体5に照射し、感光体5の表面に静電潜像を形成させるための部材である。
さらに、現像ユニット8は、上述したように、感光体5に対向配置された現像スリーブ8aを備えている。そして、トナーコンテナ9から移送されてきた現像剤を、現像スリーブ8aにより感光体5の静電潜像に付着させることにより現像し、トナー像を形成する。
【0025】
また、除電装置10による除電後、帯電ユニット4によって均一に帯電された感光体5上に、露光ユニット7により静電潜像が記録される。その静電潜像を反転現像にて現像ユニット8において、トナー像として顕像化し、かかるトナー像を転写ローラ13にて被転写紙上に転写する。そして、この転写ローラ13で転写されなかった未転写トナーは、残留トナーとして、クリーニング部18中の摺擦ローラ24及びクリーニングブレード25により感光体5の表面から除去される。さらに、除去された残留トナーは、回収スクリュー26等のトナー回収装置によって、図示しない廃棄ボトルへと搬送される。
【0026】
また、トナー像が転写された用紙は、図1に示すように感光体5から分離され、定着ローラ対14aを有する定着部14に搬送されて、トナー像が定着される。すなわち、トナー像が転写された用紙は、熱ローラ(定着ローラ)と加圧ローラとの対からなる定着装置に導入され、そこを通過しながら、熱及び圧力によって用紙表面に定着される。
このようにして、定着部14を通過した用紙は、複数方向に分岐した用紙搬送路15に送られて、用紙搬送路15の分岐点に設けられた複数の経路切換ガイドを有する経路切換機構21、22、23によって搬送方向が振り分けられる。そして、そのまま、あるいは、用紙搬送路16に送られて両面コピーされた後に、第1排出トレイ17a、第2排出トレイ17b又は第3排出トレイ17cの用紙排出部に排出される。
【0027】
一方、トナー像転写後の感光体表面は、摺擦ローラと、摩擦接触することによって、所定の研磨処理が施されるとともに、クレーニングされる。その後、クリーニングブレード等からなるクリーニング装置によって、さらに感光体表面がクリーニングされ、感光体表面に残存するトナーが除去される。その後、LED等による光照射などによって感光体表面が除電され、これにより画像形成の一サイクルが完了し、次の画像形成が可能となる。
【0028】
2.磁性一成分トナー
(1)体積中心粒径
磁性一成分トナー(以下、単に、トナーと称する場合がある。)の体積中心粒径、すなわち、トナーの体積基準の粒度分布から算出される中心粒径を6.0〜7.8μmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるトナーの体積中心粒径が、6.0μm未満の値になると、微粉量が著しく増加したり、球形化度の制御が困難になったりするためである。一方、かかるトナーの体積中心粒径が、7.8μmを超えると、所定体積内への充填性が低下するため、現像スリーブ上の単位面積あたりのトナー量(B)や、トナー像における単位面積あたりのトナー量である現像量(A)の値の調整が困難となるためである。
したがって、トナーの体積中心粒径を6.1〜7.7μmの範囲内の値とすることがより好ましく、6.3〜7.5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0029】
なお、かかるトナーの体積中心粒径は、粒度分布測定装置、例えば、コールターマルチサイザTA−2(コールター社製)により、体積基準の粒度分布を測定して、当該粒度分布から算出することができる。
より具体的には、最初に、電解液として、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。もちろん既製品を使用することもでき、例えば、ISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が挙げられる。次いで、体積中心粒径を測定するに際して、調整した電解水溶液100〜150ml中に、分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を、0.1〜5ml加える。さらに、その中に、粒度分布を測定したい試料を2〜20mgの範囲で加えて、混合すると、懸濁した電解液が得られる。この懸濁した電解液を、超音波分散器内に収容した後、約1〜3分間、超音波分散処理を行い、測定試料とする。次いで、コールターマルチサイザTA−2により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積及び個数を各チャンネルごとに測定して、トナーの体積分布と個数分布とを算出することができる。すなわち、粒度分布測定装置を用いて、体積基準の粒度分布を測定し、その粒度分布からトナーの体積中心粒径を算出することができる。
【0030】
(2)球形化度
また、トナーの球形化度を0.92〜0.98の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるトナーの球形化度が、0.92未満の値になると、現像スリーブ上の単位面積あたりのトナー量(B)や、トナー像における単位面積あたりのトナー量である現像量(A)の値の調整が困難となるためである。
一方、かかるトナーの球形化度が、0.98を超えると、分級する際の歩留りが著しく低下したり、体積中心粒径の制御が困難となったりするためである。
したがって、トナーの球形化度を0.93〜0.97の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0031】
ここで、図3を参照して、トナーの球形化度と、トナー像における単位面積あたりのトナー量である感光体上の現像量(A)との関係を詳細に説明する。図3において、横軸にトナーの球形化度(−)が採って示してあり、縦軸に感光体上の現像量(mg/cm2)が採って示してある。また、図3中のデータは、後述する実施例1〜3及び比較例2〜5に相当するものである。なお、比較例1のデータは、微粉量が13.2重量%と極端に多いため、図3からデータをはずしてある。
かかる図3から理解できるように、トナーの球形化度が0.89〜0.93の範囲では、トナーの球形化度が増加するにつれて、感光体上の現像量も著しく増加し、約0.2〜0.87g/cm2となっている。一方、トナーの球形化度が0.93を超えると、トナーの球形化度が増加しても、感光体上の現像量はほぼ一定の値を示している。
したがって、トナーにおける体積中心粒径や微粉量等の関係もあるが、トナーの球形化度を0.92〜0.98の範囲内の値であれば、感光体上の現像量を比較的高い値に制御することができる。
【0032】
次いで、図4を参照して、トナーの球形化度と、画像濃度との関係を詳細に説明する。図4において、横軸にトナーの球形化度(−)が採って示してあり、縦軸に感光体上に所定の画像形成を行った場合の画像濃度(−)が採って示してある。すなわち、図4中のデータは、後述する実施例1〜3及び比較例2〜3に相当するものである。なお、比較例1のデータは、微粉量が13.2重量%と極端に多いため、図4からデータをはずしてある。
かかる図4から理解できるように、トナーの球形化度が0.90〜0.92の範囲では、トナーの球形化度が増加するにつれて、画像濃度の値も著しく増加し、約1.27〜1.32となっている。また、トナーの球形化度が0.92を超えて、0.99程度までの範囲では、トナーの球形化度が増加すると、画像濃度の値は除々に増加する傾向が見られている。
したがって、トナーにおける体積中心粒径や微粉量等の関係もあるが、トナーの球形化度を0.92〜0.98の範囲内の値であれば、感光体上に所定の画像形成を行った場合の画像濃度を少なくとも1.3以上の値に制御することができる。
【0033】
なお、上述したトナーの球形化度は、下式に沿って表すことができるとともに、フロー式粒子像分析装置、より具体的には、FPIAシリーズ(シスメックス社製)等を用いて測定することができる。より具体的には、容器中に、予め不純固形物等を除去した水100〜150mlを入れた後、その中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5mlの範囲で加え、さらに球形化度を測定する対象として磁性トナーを0.1〜0.5g加える。これを超音波分散器を用いて、1〜3分間分散処理し、分散濃度を3000〜10000個/μlに調整して、測定試料とする。次いで、FPIAシリーズ(シスメックス社製)を用いて、トナーの球形化度を測定する。
かかるフロー式粒子像分析装置では、磁性トナーの個数平均粒子径が測定され、所望の個数平均粒子径を設定することにより、所望の個数平均粒子径の範囲の磁性トナーの球形化度及び平均球形化度が自動的に算出される。すなわち、フロー式粒子像分析装置を用いて、トナーの粒子投影像を測定することができ、そのトナーの粒子投影像の結果から、トナーの粒子投影面積と同じ面積の円の周長(cm)及び粒子投影像の周長(cm)をそれぞれ算出することができる。したがって、下式より、トナーの球形化度を求めることができる。
【0034】
【数1】

【0035】
(3)微粉量
また、トナー全体量に対して、体積粒径が5.04μm以下のトナー量(微粉量)を2.5〜10.0体積%の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるトナーの微粉量が、2.5体積%未満の値になると、分級する際の歩留りが著しく低下したり、現像スリーブ上のトナー量(B)や、感光体上のトナー量(A)が過度に多くなって、トナー付着が生じやすくなったりするためである。一方、かかるトナーの微粉量が、10体積%を超えると、トナーの球形化度や体積中心粒径の制御が困難となるためである。すなわち、かかる微粉量が過度に多くなると、トナーの球形化度や体積中心粒径にかかわらず、現像スリーブ上のトナー量(B)や、感光体上のトナー量(A)が過度に少なくなる場合があるためである。
したがって、トナーの微粉量を2.5〜9.0体積%の範囲内の値とすることがより好ましく、3.0〜8.0体積%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
ここで、図5を参照して、トナーの微粉量と、トナー像における単位面積あたりのトナー量である感光体上の現像量(A)との関係を詳細に説明する。図5において、横軸にトナーの微粉量(体積%)が採って示してあり、縦軸に感光体上の現像量(mg/cm2)が採って示してある。また、図5中のデータは、後述する実施例1〜3及び比較例1〜5に相当するものである。
かかる図5から理解できるように、トナーの微粉量が1〜2体積%の範囲では、トナーの微粉量が増加するにつれて、感光体上の現像量も著しく低下し、0.9〜0.8g/cm2程度になっている。また、トナーの微粉量が2体積%を超えて、10体積%程度までの範囲では、トナーの微粉量が増加するにつれて、感光体上の現像量も除々に低下し、0.8〜0.7g/cm2程度になっている。さらに、トナーの微粉量が10体積%を超えると、感光体上の現像量がわずかに低下する傾向が見られている。
したがって、トナーにおける体積中心粒径や球形化度等の関係もあるが、トナーの微粉量を2.5〜10.0体積%の範囲内の値とすることにより、感光体上の現像量を比較的高い値に制御することができる。
なお、トナーの微粉量として、体積粒径が5.04μm以下のトナーを対象として測定するのは、かかる粒径以下のトナー量と、トナーの球形化度や体積中心粒径とが、良好な相関関係を示すことが別途判明しているためである。
【0036】
また、トナーの微粉量は、トナーの体積中心粒径を測定する際に、同時に測定することができる。すなわち、トナーの体積中心粒径と同様に、粒度分布測定装置、例えば、コールターマルチサイザTA−2(コールター社製)により、体積基準の粒度分布を測定して、当該粒度分布から算出することができる。
【0037】
(4)現像量
また、感光体上のトナー像における単位面積あたりのトナー量である現像量をAとしたときに、下記関係式(1)を満足することを特徴とする。
0.6mg/cm2≦A≦0.9mg/cm2 (1)
この理由は、かかるトナーの現像量が、0.6mg/cm2未満の値になると、画像濃度の値が低下したり、ばらついたりするためである。例えば、実施例1等に記載された条件で測定される画像濃度が1.3未満の値に低下するためである。
一方、かかるトナーの現像量が、0.9mg/cm2を超えると、感光体に付着した転写残トナーが多くなり、かかる転写残トナーが摺擦ローラによって強固に押付けられやすくなるためである。したがって、クリーニングされずに残るトナーの付着量が多くなるためである。
したがって、トナーの現像量を0.65〜0.8mg/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、0.68〜0.78mg/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0038】
ここで、図6を参照して、トナー像における単位面積あたりのトナー量である感光体上の現像量(A)と、画像濃度との関係を詳細に説明する。
図6において、横軸に感光体上の現像量(mg/cm2)が採って示してあり、縦軸に画像濃度(−)が採って示してある。また、図6中のデータは、実施例1〜3及び比較例2〜5に相当するものである。なお、比較例1のデータは、微粉量が13.2重量%と極端に多いため、図6のデータからはずしてある。
かかる図6から理解できるように、感光体上の現像量(A)が0.5〜0.7mg/cm2の範囲では、感光体上の現像量(A)が増加するにつれて、画像濃度も著しく増加し、1.26〜1.32程度となっている。また、感光体上の現像量(A)が0.7mg/cm2を超えると、感光体上の現像量(A)が増加しても、画像濃度も一定の高レベルを維持し、1.33〜1.34程度となっている。
したがって、トナーの体積中心粒径等の関係もあるが、感光体上の現像量(A)を0.6〜0.9mg/cm2の範囲内の値であれば、画像濃度について、比較的高い値で制御することができる。
【0039】
次いで、図7を参照して、感光体上の現像量(A)と、トナー付着性の評価レベルとの関係を詳細に説明する。図7において、横軸に感光体上の現像量(mg/cm2)が採って示してあり、縦軸に、トナー付着性の評価レベル(相対値)が採って示してある。また、図7中のデータは、実施例1〜3及び比較例2〜5に相当するものである。
かかる図7から理解できるように、感光体上の現像量(A)が0.4〜0.8mg/cm2の範囲では、感光体上の現像量(A)が増加しても、トナー付着性の評価レベル(相対値)は、1という低レベルで変化していない。一方、感光体上の現像量(A)が0.8mg/cm2を超えると、感光体上の現像量(A)が増加するにつれて、トナー付着性の評価レベル(相対値)が増加し、相対値が2〜3になっている。
したがって、トナーの体積中心粒径等の関係もあるが、感光体上の現像量(A)を0.6〜0.9mg/cm2の範囲内の値であれば、トナー付着性の評価レベル(相対値)について、所望値以下に、余裕をもって制御することができる。
【0040】
次いで、図8を参照して、感光体上の現像量(A)と、現像スリーブ上の単位面積あたりのトナー量、すなわち現像スリーブ上の現像量(B)との関係を詳細に説明する。図8において、横軸に感光体上の現像量(mg/cm2)が採って示してあり、縦軸に、現像スリーブ上の現像量(B)が採って示してある。なお、図8中に示すデータは、実施例1〜3及び比較例1〜5の現像剤とは異なるトナーを別途作成して得られた評価結果である。
かかる図8から理解できるように、現像スリーブ上の現像量(B)が約0.5〜0.8mg/cm2の範囲では、現像スリーブ上の現像量(B)と、感光体上の現像量(A)とはほぼ直線的な関係を示している。
したがって、トナーの体積中心粒径等の関係もあるが、現像スリーブ上の現像量(B)を適宜調整することにより、感光体上の現像量(A)を0.5〜0.8mg/cm2の範囲内の値に容易に制御することができる。
【0041】
なお、感光体上の単位面積当たりのトナー量である現像量(A)は、後述する実施例1等に示すように、現像剤の供給側(現像スリーブ)と感光体との間に現像バイアス電圧を印加した状態で現像して、測定することができる。したがって、トナーの現像量(A)は、トナー自体の粒子の状態(大きさ、粒度分布等)に加え、現像バイアス電圧の値によって調整することができると言える。すなわち、トナーの現像量(A)を所定範囲に調整するためには、現像バイアス電圧(現像スリーブに印加される電位)として、250〜350Vの直流電位と、0.5〜2.0KV(振幅)の交流電位(周波数:1〜5Hz)を重畳した交番バイアス電位を印加して、測定することができる。
一方、現像スリーブ上の単位面積当たりのトナー量である現像量(B)についても、感光体上の現像量(A)の測定方法に準じて、測定することができる。
【0042】
(5)嵩密度
また、トナーの嵩密度を0.35〜0.55g/cm3の範囲内の値とすることが好ましい。これにより、上述したトナーの特定形態や体積平均粒径と相まって、より高画質の画像を得ることができる。
なお、トナーの嵩密度は次のようにして測定することができる。すなわち、容器に磁性一成分トナー30gを取り、篩い付きロート上に静かに注ぎ入れる。次いで、ロート下に、30cm3受器を置き、篩い上の磁性トナーを刷毛で90秒間かき回して磁性トナーを分散落下させる。最後に、受器内の磁性トナーの重量を秤量して、下記式からトナーの嵩密度を算出することができる。
嵩密度(g/cm3)=磁性トナー重量(g)/受器容積(cm3
【0043】
(6)構成成分
(6)−1 結着樹脂
トナーの構成成分の一つである結着樹脂としては、特に制限されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂が好適に使用される。
特に、これらの熱可塑性樹脂の中でも、スチレンモノマの単独重合体であるスチレン系樹脂や、スチレンモノマとアクリルモノマーとの共重合体であるスチレン−アクリル系共重合樹脂、さらには、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との縮重合や共縮重合によって得られるポリエステル系樹脂であることが好ましい。
但し、耐オフセット性を向上させたり、トナー強度を高めたりするために、必要により、架橋剤や熱硬化性樹脂を、上述した熱可塑性樹脂と組み合わせで使用したり、一部架橋構造を導入することも好ましい。
また、このような結着樹脂の軟化点(高化式フローテスターにより測定)を110〜150℃の範囲内の値とすることが好ましく、120〜140℃の範囲内の値とすることがより好ましい。なお、かかる結着樹脂の軟化点は、高化式フローテスターにより測定することができる。
また、結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、得られたトナー同士の融着し、保存安定性の低下を防止するとともに、トナーの定着性を確保するために、55〜70℃の範囲内の値とすることが好ましい。なお、かかる結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。
【0044】
(6)−2 電荷制御剤
本発明に使用するトナーは、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を著しく向上させ、耐久性や安定性に優れた特性等を得るために、電荷制御剤、特に正電荷制御剤を配合しても良い。また、かかる電荷制御剤の添加量を、結着樹脂100重量部当り、0.1〜10重量部の範囲内の値とすることが好ましく、1〜5重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、正電荷制御剤の具体例としては、アジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体などのニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZなどのニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を例示することができる。これらは、単独で又は2種以上を併用して使用してもよい。特に、ニグロシン化合物は、より迅速な立ち上がり性が得られる観点から、最適である。
また、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマーなども正帯電性電荷制御剤として使用することができる。
【0045】
(6)−3 ワックス
本発明に使用するトナーは、定着性やオフセット性を向上させるためにワックスを配合することが好ましい。その場合、結着樹脂100重量部当り、ワックスの添加量を1〜10重量部の範囲内の値とすることが好ましく、2〜5重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
この理由は、ワックスをこのような範囲内の添加量とすることにより、定着性が良好となるとともに、オフセット性や像スミアリングをより効率的に防止することができるためである。また、ワックスをこのような範囲内の添加量とすることにより、トナーの体積中心粒径や球形化度、さらには微粉量の調整の容易になるためである。
また、このようなワックス類としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、弗素系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0046】
(6)−4 磁性粉
また、磁性一成分トナーは、結着樹脂中に磁性粉を含有するが、かかる磁性粉の添加量を、結着樹脂100重量部当り、30〜120重量部の範囲内の値になるように配合することが好ましく、50〜100重量部の範囲内の値になるように配合することがより好ましい。すなわち、磁性キャリアなどを使用することなく、一成分トナーとして単独で、磁力を利用して、現像域にこの供給することができるためである。また、このような範囲内の添加量とすることにより、トナーの体積中心粒径や球形化度、さらには微粉量の調整の容易になるためである。
また、このような磁性粉の種類としては、例えば、四三酸化鉄(Fe)、三二酸化鉄(γ−Fe)、酸化鉄亜鉛(ZnFe)、酸化鉄イットリウム(YFe12)、酸化鉄カドミウム(CdFe)、酸化鉄ガドリウム(GdFe12)、酸化鉄銅(CuFe)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ネオジウム(NdFeO)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マンガン(MnFe)、酸化鉄ランタン(LaFeO)、フェライト類、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等を一種単独あるいは二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、磁性粉の粒子形状についても特に制限されず、球状、立方体状、不定形等の任意の形状でよい。また、磁性粉の平均粒子径を0.1〜1μmの範囲内の値、特に0.1〜0.5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
さらにまた、磁性粉の表面を、チタン系カップリング剤やシラン系カップリング剤を用いて表面処理することも好ましい。
【0047】
(7)外添剤
また、トナー(トナー粒子)に対しては、必要によって、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の無機微粒子(通常、平均粒径が0.3μm以下)、ポリメチルメタクリレート等の有機微粉末、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩等の一種単独又は二種以上を組み合わせて外添することもよい。これにより、トナー粒子の流動性や保存安定性等を著しく高めることができる。
また、アルミナや酸化チタン等の微粒子を外添した場合には、感光体表面を適度に研磨することが可能で、有効に画像流れを防止することができる。さらに、上記の外添剤を添加することにより、トナーの感光体表面への付着力を低下させることができ、感光体表面へのトナー付着を防止することができる。
なお、外添剤の添加量は、トナー本来の特性を損なわない範囲、例えば、トナー粒子100重量部当り、2.0重量部以下となるような量で使用するのが好ましい。
【0048】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、磁性一成分ジャンピング現像法により、現像スリーブから磁性一成分トナーを飛翔させて、感光体上に形成された静電潜像を現像することにより、所定のトナー像を形成する現像装置であって、磁性一成分トナーとして、体積基準の粒度分布から算出される中心粒径が6.0〜7.8μmの範囲内の値であり、かつ球形化度が0.92〜0.98であり、さらに粒径が5.04μm以下のトナーを2.5〜10.0体積%の範囲で含有するトナーを使用するともに、トナー像における単位面積あたりのトナー量をAとしたときに、下記関係式(1)を満足することを特徴とする現像装置である。
0.6mg/cm2≦A≦0.9mg/cm2 (1)
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に、第2の実施形態の現像装置について、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0049】
まず、基本的な現像装置の構成について説明する。すなわち、このような現像装置としては、例えば、図9に示したような、現像装置8を用いることができる。この現像装置8は、マグネットローラ81bを現像スリーブ8aに固定内蔵させた現像剤担持体81と、スパイラル状の第一撹拌搬送部材82と、同じくスパイラル状の第二撹拌搬送部材83とを備えている。また、現像スリーブ8aの右上方部には、下面に磁石85aを備えたブレード(現像剤規制部材)85が現像スリーブ8aから所定距離隔てて配設されている。現像スリーブ8aに内蔵されたマグネットローラ81bのブレードの対向位置には、磁極S2(第1磁極)が着磁され、磁極S2から時計回りに約80°の位置に磁極N2(第2磁極)が着磁されている。
【0050】
一方、感光体1の対向位置に磁極N1(第3磁極)、磁極N1から反時計回りに約80°の位置に磁極S1(第4磁極)が着磁されている。また、第二撹拌搬送部材83の右側側壁にはトナー量を検知するためのトナーセンサ84が配設されている。したがって、このトナーセンサ84により現像装置8内のトナー量の不足が検知されると、トナーホッパー(図示せず)から現像装置8にトナーtが供給される。供給されたトナーtは、第2撹拌搬送部材83により図の手前から奥方向に撹拌されながら搬送され、奥側端部で第二撹拌搬送部材83から第一撹拌搬送部材42に送られる。そして、第一撹拌搬送82により図の奥から手前方向に撹拌されながら搬送され、その間に現像スリーブ8aに供給される。
【0051】
つまり、第一撹拌搬送部材82及び第二撹拌搬送部材83で撹拌されたトナーtは、マグネットローラ81bに着磁された磁極N2の磁力により現像スリーブ8a上に汲み上げられる。そして、現像スリーブの回転によってブレード85と現像スリーブ8aとの間隙部分に搬送される。この間隙をトナーtが通過する際に、磁極S2とブレード85とによって現像部に送られるトナー量が規制されると同時にトナー薄層が形成され、さらに、トナーtに摩擦帯電が付与される。もちろん、現像スリーブ8a上を搬送される間に主に現像スリーブとの摩擦によってもトナーは帯電する。そして、感光体5の対向領域である現像部に搬送されてきたトナーtによって、感光体5上の静電潜像が現像される。
なお、現像に際しては、現像剤の供給側(現像スリーブ)と感光体5との間に現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧(現像スリーブに印加される電位)としては、例えば、250〜350Vの直流電位と0.5〜2.0KV(振幅)の交流電位を重鎮した交番バイアス電位が挙げられる。また、交流電位の周波数は、例えば、1〜5Hz程度が挙げられる。
【0052】
(2)画像形成方法
また、図1に示す画像形成装置1は、図9に示す現像装置8を備えており、かかる画像形成装置を用いて、所定パターンの画像を形成するにあたっては、先ず、感光体表面を一様に主帯電する。このときの感光体表面の主帯電電位は、アモルファスシリコンを用いた場合、例えば、+400〜+500Vとすることが適当である。なお、主帯電は、コロナ帯電器や帯電ローラ等を用いた任意の手段で行うことができる。
次いで、所定の画像情報に基づいて、レーザ光等の光を照射し、感光体表面に静電潜像を形成する。つまり、この画像露光により、光が照射された部分が低電位となる。そして、上記のように形成された静電潜像は、先に述べた正極性に帯電したトナーを含む現像剤が飛翔して、反転現像される。つまり、正帯電トナーが、光が照射されて低電位となった感光体表面部分に付着することにより、上述したようにジャンピング現像されて、所定のトナー像が形成される。
【0053】
次いで、このようにして感光体表面に形成されたトナー像は、転写手段によって所定の用紙に転写される。転写手段としては、転写ローラや転写ベルト又はコロナ帯電器の何れも使用することができる。
また、転写ローラや転写ベルトは、これに負極性の転写バイアス電位を印加することにより、トナー像と転写手段との間に電界を生じさせ、感光体と転写手段との間を通過する用紙の表面にトナー像を転写させることができる。
【0054】
なお、図示しないものの、コロナ帯電器を用いて、用紙の裏面を負極性にコロナ帯電し、生じる電界によってトナー像を用紙表面に転写させることも好ましい。
この場合には、転写用のコロナ帯電器と組み合わせて、紙分離用の交流コロナ帯電器を使用するのがよい。つまり、トナー像が転写された用紙は、その裏面が負極性に帯電しているため、用紙を正帯電している感光体表面と分離させなければならず、交流コロナ帯電により、この分離を容易にすることができる。
【0055】
2.磁性一成分トナー
第2実施形態の現像装置においても、第1実施形態において説明したのと同様の磁性一成分トナーが使用できるため、ここでの詳細な説明は省略する。
なお、第2実施形態の現像装置においても、磁性一成分トナーとして、体積中心粒径が6.0〜7.8μmの範囲内の値であり、かつ球形化度が0.92〜0.98であり、さらに体積粒径が5.04μm以下のトナーを2.5〜10.0体積%の範囲で含有するトナーを使用するとともに、トナー像における単位面積あたりのトナー量をAとしたときに、所定の関係式(1)を満足するため、現像スリーブの表面粗さ(Rz)が変化した場合や、アモルファスシリコン感光体を使用した場合であっても、現像スリーブから磁性一成分トナーを感光体に効率的に飛翔させて、トナー付着を防止しつつ、良好な画像品質等を得ることができる。
【実施例】
【0056】
[実施例1〜3及び比較例1〜5]
1.磁性一成分トナーの製造
(1)ヘンシャルミキサーによる混合工程
スチレン−アクリル樹脂(結着樹脂、三洋化成工業製)100重量部、磁性粉(EPT−1000、戸田工業製)70.0重量部、ニグロシン染料(電荷制御剤、オリエント化学工業製、N−01)5.0重量部、ポリプロピレンワックス(ワックス、三洋化成工業、ユーメックス100TS)3.0重量部を、ヘンシャルミキサー20B(三井鉱山社製)に投入し、2500rpm、5分間の条件で混合した。
【0057】
(2)二軸混練機による混合工程
次いで、二軸混練機(PCM−30、池貝社製)で200rpm、シリンダ温度120℃、投入量6kg/時で混練した。さらに、ドラムフレーカ(三井鉱山社製)を用い、140mm/秒、板厚3〜4mmにて冷却した。
【0058】
(3)ターボミルによる粉砕工程及びアルピネ分級機による分級工程
次いで、ターボミル(T−250型、ターボ工業社製)にて、粉砕時間を変えて粉砕するとともに、アルピネ分級機にて条件を変えて分級し、実施例1〜3及び比較例1〜2の磁性一成分トナーを得た。また、比較例3においては、粉砕装置をターボミルからジェットミル(IDS−2型、日本ニュマチック工業製)に変えた以外は、実施例1と同様に製造した。
【0059】
なお、実施例1のターボミルによる粉砕は、投入量を10kg/時間とし、風量を10Nm3/分で行った。また、実施例2のターボミルによる粉砕は、投入量を8kg/時間とし、風量を10Nm3/分で行った。また、実施例3のターボミルによる粉砕は、投入量を10kg/時間とし、風量を13Nm3/分で行った。また、比較例1のターボミルによる粉砕は、投入量を7kg/時間とし、風量を8Nm3/分で行った。また、比較例2のターボミルによる粉砕は、投入量を10kg/時間とし、風量を10Nm3/分で行った。また、比較例3のターボミルによる粉砕は、投入量を10kg/時間とし、風量15Nm3/分で行った。また、比較例4のターボミルによる粉砕は、投入量を7kg/時間とし、風量5Nm3/分で行った。さらに、比較例5のターボミルによる粉砕は、投入量を12kg/時間とし、風量8Nm3/分で行った。
【0060】
(4)外添処理
得られた磁性一成分トナーを、シリカ(外添剤、ワッカー社製、H2050EP)0.8重量%となるように、シリカとともにヘンシャルミキサー20B(三井鉱山社製)に投入し、2500rpmで3分間混合して、表1に示すように、実施例1〜3及び比較例1〜3の各磁性一成分トナーを製造した。すなわち、粒度分布がそれぞれ異なり、それに対応して体積中心粒径、微粉量、及び球形度が表1に示すように異なる磁性一成分トナーを得た。
【0061】
2.磁性一成分トナーの評価
(1)体積中心粒径及び微粉量の測定
表1中の磁性一成分トナーの中心粒径は、体積中心粒径を意味しており、コールター社製コールターマルチサイザTA−2を用いて測定した。なお、測定方法の詳細は、第1の実施形態において、説明したものと同様である。
また、磁性一成分トナー中の微粉量、すなわち、5.04μm以下の粒子(微粉)の含有量(体積%)を、磁性一成分トナーの中心粒径を測定するのと同時に、コールター社製コールターマルチサイザTA−2により測定した。
【0062】
(2)球形化度の測定
また、磁性一成分トナーの球形化度については、FPIA−2000(シスメックス社製)により測定した。なお、測定方法の詳細は、第1の実施形態において、説明したものと同様である。
【0063】
(3)現像量の測定
また、各トナーを使用し、単位面積当りの現像量(A)を測定した。すなわち、アモルファスシリコン感光体を搭載した磁性一成分ジャンピング方式の複写機(KM−3530、京セラミタ製)により、感光体(感光体ドラム)上に、一定面積(3cm×3cm=9cm2)のベタ黒トナー像を3個形成した。次いで、吸引装置を用いて、各ベタ黒トナー像を全量吸引して、吸引装置内の濾紙上に吸引トナーを捕集した。この濾紙の重量変化から、吸引したトナー重量を算出した。そして、算出したトナー重量から、各トナー像におけるトナー量の平均値を求め、さらに所定面積(9cm2)で除することにより、単位面積当りの現像量(A)を算出した。なお、トナー像の形成条件は、以下の通りである。
プロセススピード:178mm/秒
現像スリーブの直径:20mm
現像スリーブの初期表面粗さ(Rz):4.3μm
帯電電位:+450V
現像方法:反転現像
現像バイアス:直流 +200V〜+400V
交流 0.25KV〜2.5KV
周波数 2.0KHz
【0064】
(4)トナー付着性の評価
各トナーを使用し、京セラミタの複写機(KM−3530)により、上記と同様の画像形成条件で全面黒ベタ画像を1万枚形成し、1万枚目の黒ベタ画像を初期画像(1枚目の黒ベタ画像)と比較し、以下の基準でトナー付着性を評価した。すなわち、白い斑点状の画像欠陥が認められた場合は、トナー付着有りとして、その評価をレベル3.0とした。また、画像欠陥がわずかに認められるような場合には、トナー付着がわずかに有りとして、その評価をレベル2とした。また、画像欠陥が認められなかった場合には、トナー付着無しとして、その評価をレベル1.0とした。
レベル1.0:トナー付着無し
レベル2.0:トナー付着がわずかに有り
レベル3.0:トナー付着有り
【0065】
(5)画像濃度(ID)
各トナーについての画像濃度(ID)は、A4サイズ用紙を用い、用紙の短辺方向を用紙搬送方向とし、測定用画像を、用紙に3×3cmのベタ画像部3個、用紙の搬送方向中央部に用紙の搬送方向に対して10cm間隔で垂直に並んでいるものを用いた。1つのベタ画像について、反射濃度計(東京電色社製の型番TC−6D)を用いて、5箇所測定し、5枚の平均値を求めた。
なお、画像濃度(ID)の評価基準として、当該画像濃度が1.30以上の値であれば実用上問題無いことが判明している。
【0066】
(6)カブリ濃度(FD)
各トナーについてのカブリ濃度(FD)は、上記の測定用画像が印刷された用紙の非印字部を1枚につき、反射濃度計(東京電色社製の型番TC−6D)を用いて、5箇所測定し、5枚の平均値を求めた。
なお、カブリ濃度(FD)の評価基準として、当該カブリ濃度が0.008以下の値であれば実用上問題無いことが判明している。
【0067】
【表1】

【0068】
表1に示す結果から、実施例1〜3の磁性一成分トナーでは、所定範囲内の値に、中心粒径、微粒子含有量、球形化度、及び現像量Aを制御しているために、感光体への不要なトナー付着/残存が防止されて、黒点又は白点などの画像不良を有効に抑制し、さらに、現像量の値が高く、高画質が得られることが理解される。
【0069】
一方、比較例1については、体積中心粒径が小さく微粉量が多い場合、現像量Aが小さくなり、トナー付着、カブリが増大した。これは帯電量の高いトナーの割合が多く、現像スリーブから感光体表面へトナーが飛翔し難くなり、現像量Aが小さくなるものの、粒径が大きくて帯電量の非常に小さいトナー(粗粉トナー)が選択的に現像されるため、トナー付着、画像カブリの両方が増大したと推察される。
また、比較例2について、体積中心粒径が大きく微粉量が少ない場合、現像量Aが大きくなり、トナー付着が増大した。これは帯電量の低いトナーの割合が多く現像スリーブから感光体表面へトナーが飛翔し易くなり過ぎて現像量Aが大きくなり、トナー付着が増大したと推察される。
また、比較例3については、球形化度が小さい場合、現像量Aが小さくなり、画像濃度が若干減少した。これは、球形化度が小さいために感光体表面で密に充填されて現像され難いために現像量Aが小さくなり、画像濃度が若干減少したと推察される。
また、比較例4については、球形化度が大きい場合、現像量Aが大きくなり、画像濃度が減少し、画像カブリが増大した。これは、球形化度が大きいため、感光体表面で密に充填されて現像され易くなることに起因して現像量Aが大きくなるものの、球形化度が大き過ぎて、現像スリーブ表面で磁性ブレードとの滑りが生じるため摩擦帯電が良好に行われず、画像カブリが増大したと推察される。
さらに、比較例5については、微粉量が過度に少ないために、感光体表面で密に充填されるものの、感光体上での現像量が多くなりすぎて、帯電量が制御できずに、画像カブリやトナー付着が生じやくなったと推察される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の磁性一成分ジャンピング方式を用いた現像方法及びそれを用いた現像装置によれば、現像スリーブの表面粗さ(Rz)が経時変化した場合や、アモルファスシリコン感光体を使用した場合であっても、現像スリーブから磁性一成分トナーを感光体に効率的に飛翔させて、良好な画像品質等を得ることができる。
したがって、本発明の磁性一成分ジャンピング方式を用いた現像方法及びそれを用いた現像装置によれば、磁性一成分ジャンピング現像方式を採用するレーザプリンター、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置及びこれらの機能を併せもつ複合装置等の広範囲な画像形成装置に、好適に適用することができる。
【0071】
なお、画像形成装置の処理スピードがさらに高まったような場合、具体的には、プロセススピードが250mm/秒以上、より具体的には、250〜400mm/秒の範囲の処理スピードとなった場合には、磁性一成分トナーとして、体積中心粒径が6.2〜7.8μmの範囲内の値であり、かつ球形化度が0.93〜0.97であり、さらに体積粒径が5.04μm以下のトナーを2.5〜10.0体積%の範囲で含有するトナーを使用するとともに、トナー像における単位面積あたりのトナー量をAとしたときに、下記関係式(1´)を満足することが好ましい。
0.72mg/cm2≦A≦0.9mg/cm2 (1´)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性一成分トナーを現像スリーブから感光体に飛翔させて、当該感光体上に形成された静電潜像を現像し、所定のトナー像を形成するための現像方法であって、
前記磁性一成分トナーとして、体積中心粒径が6.0〜7.8μmの範囲内の値であり、かつ球形化度が0.92〜0.98であり、さらに体積粒径が5.04μm以下のトナーを2.5〜10.0体積%の範囲で含有するトナーを使用するともに、
前記トナー像における単位面積あたりのトナー量をAとしたときに、下記関係式(1)を満足することを特徴とする現像方法。
0.6mg/cm2≦A≦0.9mg/cm2 (1)
【請求項2】
前記現像スリーブの表面粗さをRzとしたときに、当該表面粗さ(Rz)が、下記関係式(2)を満足することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の現像方法。
3.0μm≦Rz≦5.5μm (2)
【請求項3】
前記現像スリーブ上に形成されるトナー薄層における単位面積あたりのトナー量をBとしたときに、下記関係式(3)を満足することを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の現像方法。
0.6mg/cm2≦B≦0.90mg/cm2 (3)
【請求項4】
前記感光体が、アモルファスシリコン感光体であって、クリーニング装置として、クリーニングブレード及び摺擦ローラを併用して備えてあることを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれか一項に記載の現像方法。
【請求項5】
前記磁性一成分トナーが、結着樹脂100重量部に対して、磁性粉を30〜120重量部、電荷制御剤を0.1〜10重量部、ワックスを1〜10重量部の範囲で添加した樹脂組成物を、ターボミルにて粉砕後、アルピネ分級機を用いて分級してなることを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれか一項に記載の現像方法。
【請求項6】
磁性一成分トナーを現像スリーブから感光体に飛翔させて、当該感光体上に形成された静電潜像を現像し、所定のトナー像を形成するための現像装置であって、
前記磁性一成分トナーとして、体積中心粒径が6.0〜7.8μmの範囲内の値であり、かつ球形化度が0.92〜0.98であり、さらに体積粒径が5.04μm以下のトナーを2.5〜10.0体積%の範囲で含有するトナーを使用するともに、前記トナー像における単位面積あたりのトナー量をAとしたときに、下記関係式(1)を満足することを特徴とする現像装置。
0.6mg/cm2≦A≦0.9mg/cm2 (1)
【請求項7】
前記現像スリーブの表面粗さをRzとしたときに、当該表面粗さ(Rz)が、下記関係式(2)を満足することを特徴とする請求の範囲第6項に記載の現像装置。
3.0μm≦Rz≦5.5μm (2)
【請求項8】
前記現像スリーブ上に形成されるトナー薄層における単位面積あたりのトナー量をBとしたときに、下記関係式(3)を満足することを特徴とする請求の範囲第6項または第7項に記載の現像装置。
0.6mg/cm2≦B≦0.90mg/cm2 (3)
【請求項9】
前記感光体が、アモルファスシリコン感光体であって、クリーニング装置として、クリーニングブレード及び摺擦ローラを併用して備えてあることを特徴とする請求の範囲第6項〜第8項のいずれか一項に記載の現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【国際公開番号】WO2005/083529
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【発行日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510505(P2006−510505)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003331
【国際出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】