説明

現像装置、キャリア、トナー、現像剤、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】現像剤攪拌機構内を現像剤が周回する際の超長周期のトナー濃度変動の位相を制御することによりトナー濃度やトナー帯電量のばらつきを抑える。
【解決手段】互いに逆方向に現像剤を搬送する2つの搬送部材で二成分現像剤の攪拌・帯電を行う現像剤攪拌機構を備え、トナー補給や現像によるトナー消費により空間的にトナー濃度変動している現像装置内の現像剤の流れに対し所定の地点で分岐点を作り、該分岐点で分岐させた各々の現像剤を異なる経路を通過させることにより現像剤中の周期的トナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させて位相制御を行う位相制御機構を備える現像装置において、位相制御機構として、現像剤攪拌機構中を現像剤が周回する第1の周回経路の周回時間に対して略半分の周回時間を持つ第2の周回経路を備え、かつ第1の周回経路と第2の周回経路は経路の一部分を共有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて現像を行なう現像装置と、その現像装置に用いられるキャリア、トナー及び現像剤と、前記現像装置を備えたプロセスカートリッジと、前記現像装置または前記プロセスカートリッジを備え、電子写真方式を利用した画像形成を行う複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。さらに本発明は、前記現像装置または前記プロセスカートリッジを複数備え、カラー作像が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二成分現像剤を用いて現像を行なう2軸搬送タイプの現像装置として、現像剤担持体(現像ローラ(スリーブ))への現像剤供給及び回収用の現像剤搬送部材(スクリュ、オーガ等)及び供給回収搬送路と、トナー補給後の搬送攪拌用の現像剤搬送部材(スクリュ、オーガ等)及び攪拌搬送路の、2つの現像剤搬送部材(スクリュ、オーガ等)及び2つの搬送路で構成され、これらが現像剤担持体の下方に略水平方向に配置されている構成のものが知られている。
【0003】
このような2軸搬送タイプの現像装置においては、現像装置内の現像剤は、トナー補給やトナー消費(現像)によって空間的にトナー濃度変動している。そこで従来は、現像剤搬送部材(スクリュ、オーガ等)で現像剤を拡散させることによってそのトナー濃度変動を小さくしてきた。スクリュ等の現像剤搬送部材での拡散能力を上げるには、スクリュの回転数を上げたりフィンを取り付けたりなどスクリュ形状を工夫したりできるが、それにも限界があり、現像剤が現像剤担持体(現像ローラ、スリーブ等)に到達するまでに十分に拡散しきれず、現像剤担持体に汲み上げられた現像剤にもトナー濃度変動が残ってしまっているのが現状である。
【0004】
そこで、2軸搬送タイプの現像装置において、現像剤担持体の軸方向のトナー濃度偏差を小さくするため、2つのスクリュ間に設けた仕切り板(隔壁)に複数個の開口部を設けるとともに、仕切り板に現像剤搬送方向に対し傾斜し開口部に現像剤を案内する案内部材を設けたものが提案されている(特許文献1等参照)。
【0005】
【特許文献1】実公平6−6380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の従来技術では、2軸現像装置のスリーブの軸方向の偏差を縮小することが目的であり、仕切り板に開口部を備えているが、トナー濃度変動の位相の制御は行っていない。つまり、上記の目的を達成するためには、スリーブから遠い方のスクリュからスリーブ側のスクリュへ開口部を通過する剤の流れが必要不可欠なものとなっており、やはり波形の振幅が無視できるほど小さくなるまでには、現像剤が現像装置内を何周もする必要があった。
【0007】
そこで、上記従来技術の問題に対して鑑みられたのが、本発明者らにより先に提案された特願2006−142692による発明であり、この先願発明では、二成分現像装置においてトナー消費やトナー補給によって発生したトナー濃度変動を抑制するという課題に対し、現像剤の流れに対して所定の地点で分岐点を作ってトナー濃度変動の位相をずらした現像剤の流れを作り、位相のずれた現像剤同士を再び合流させるという位相制御手段を有することを特徴としている。
【0008】
この先願発明では、二成分現像剤を用いた現像装置において、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させることにより、現像剤のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させる位相制御機構を現像装置内に取り入れたものであり、位相を制御することによってトナー濃度の均一化を瞬時に行なうことができるため、現像剤担持体(例えばスリーブ)に現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができる。
【0009】
しかし、上記先願発明においては、現像剤攪拌機構を現像剤が周回する周期に相当する周期的濃度変動を考慮に入れていないことに課題があった。周期性を持ったトナー濃度変動は、仮に濃度変動振幅が同じであれば周期の長い濃度変動ほど濃度勾配が小さいため減衰しにくい。したがって、現像剤攪拌機構中で最も長い周期、すなわち現像剤攪拌機構を現像剤が周回する周期に相当する周期のトナー濃度変動が現像剤攪拌機構中に最後まで残りやすい。この超長周期のトナー濃度変動は、トナー補給や消費によって生じる比較的短いトナー濃度変動と重畳することによって、トナー濃度やトナー帯電量を許容範囲外へと変動させる一因となる。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、現像剤攪拌機構を現像剤が周回する際の超長周期のトナー濃度変動の位相を制御することによってトナー濃度やトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができ、トナー飛散や地汚れの発生することのない構成の現像装置と、これを備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。また、本発明は、前記現像装置やプロセスカートリッジ、画像形成装置に用いるのに最適なトナー、キャリア及び現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明では以下のような技術的手段を採っている。
本発明の第1の手段は、潜像担持体上の潜像を現像し顕像化する現像装置であって、少なくとも互いに異なる方向に現像剤を搬送する2つの現像剤搬送部材と、該2つの現像剤搬送部材の間に配置された仕切り板とで構成され、トナーとキャリアからなる二成分現像剤の攪拌・帯電を行う現像剤攪拌機構を備えるとともに、トナー補給や現像によるトナー消費により空間的にトナー濃度変動している現像装置内の現像剤の流れに対し、所定の地点で分岐点を作り、該分岐点で分岐させた各々の現像剤を異なる経路を通過させることにより該現像剤中の周期的トナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させて位相制御を行なう位相制御機構を備える現像装置において、前記位相制御機構として、前記現像剤攪拌機構中を現像剤が周回する第1の周回経路の周回時間に対して略半分の周回時間を持つ第2の周回経路を備え、かつ前記第1の周回経路と前記第2の周回経路は経路の一部分を共有することを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の手段は、第1の手段の現像装置において、前記第2の周回経路を形成する手段として、前記仕切り板の両端以外の箇所に開口部を設けることを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第2の手段の現像装置において、前記現像剤攪拌機構に現像剤担持体が隣接し、該現像剤攪拌機構内の2つの現像剤搬送部材を、前記現像剤担持体から近い順に第1搬送部材、第2搬送部材と呼称したとき、少なくとも前記仕切り板の開口部付近において前記第1搬送部材側の剤面を前記第2搬送部材側の剤面よりも高くすることを特徴とする。
【0013】
本発明の第4の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるキャリアであって、体積平均粒径が20〜60μmであることを特徴とする。
また、本発明の第5の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径と個数平均粒径との比が、1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする。
さらに本発明の第6の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする。
さらにまた、本発明の第7の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、トナー母体粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3g/cm以上の微粒子が外添加されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の第8の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置に用いられる現像剤であって、第4の手段のキャリアと、第5〜第7のいずれか1つの手段のトナーとを用いたことを特徴とする。
また、本発明の第9の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置において、前記現像剤として、第8の手段に記載の現像剤を用いたことを特徴とする。
【0015】
本発明の第10の手段は、少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを一体に備えたプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置として、第1〜第3、第9のいずれか1つの手段の現像装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第11の手段は、少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを備えた画像形成装置において、第1〜第3、第9のいずれか1つの手段の現像装置、あるいは第10の手段のプロセスカーリッジを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の第12の手段は、第11の手段の画像形成装置において、現像色の異なる複数の現像装置またはプロセスカートリッジを備え、記録材にカラー画像を形成することを特徴とする。
また、本発明の第13の手段は、第11の手段の画像形成装置において、少なくとも潜像担持体と該潜像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットまたはプロセスカーリッジを複数備え、各画像形成ユニットまたはプロセスカーリッジで現像色の異なる画像を形成して記録材に直接、または中間転写体を介して転写し、記録材にカラー画像を形成することを特徴とする。
【0017】
本発明の第14の手段は、第11の手段の画像形成装置において、少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第1画像形成ユニット群と、該第1画像形成ユニット群にて形成された第1トナー像が転写され担持される第1中間転写体とからなる第1画像形成ステーションと、
少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第2画像形成ユニット群と、該第2画像形成ユニット群にて形成された第2トナー像が転写され担持される第2中間転写体とからなる第2画像形成ステーションと、を備え、記録材の第1面に転写される第1トナー像は、前記第1画像形成ステーションにより形成され、記録材の第2面に転写される第2トナー像は、第2画像形成ステーションにより形成され、定着前において第1のトナー像と第2のトナー像が同時もしくは順次に記録材に転写されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、二成分現像剤を用いた現像装置において、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させることにより、現像剤のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させる位相制御機構を現像装置内に取り入れたものであり、位相を制御することによってトナー濃度の均一化を瞬時に行なうことができるため、現像剤担持体(例えばスリーブ)に現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができる。
そして、本発明の第1の手段の現像装置では、前記位相制御機構として、現像剤攪拌機構中を現像剤が周回する第1の周回経路の周回時間に対して略半分の周回時間を持つ第2の周回経路を備え、かつ第1の周回経路と第2の周回経路は経路の一部分を共有することを特徴としているので、現像剤攪拌機構中に最後まで残りやすい、周回経路1周分の周期を持つトナー濃度変動を軽減することができる。
また、第2の手段の現像装置では、前記第2の周回経路を形成する手段として、仕切り板の両端以外の箇所に開口部を設けることにより、最も簡便な構成で第2の周回経路を実現することができる。
【0019】
ここで、第2搬送部材の上流側には、一般的にトナー補給口が設けられているので、仕切り板の開口部付近ではまだ補給トナーを含んだ現像剤が十分攪拌・帯電されない場合がある。
そこで第3の手段の現像装置では、前記現像剤攪拌機構に現像剤担持体が隣接し、該現像剤攪拌機構内の2つの現像剤搬送部材を、前記現像剤担持体から近い順に第1搬送部材、第2搬送部材と呼称したとき、少なくとも前記仕切り板の開口部付近において前記第1搬送部材側の剤面を前記第2搬送部材側の剤面よりも高くすることを特徴としており、第1搬送部材側の剤面を第2搬送部材側よりも高くすると、開口部を通じて第2搬送部材側から第1搬送部材側へ移動する現像剤を軽減でき、十分攪拌・帯電していない現像剤が第1搬送部材を介して現像剤担持体に到達することを防げることができる。
このように、本発明によれば、現像剤攪拌機構を現像剤が周回する際の超長周期のトナー濃度変動の位相を制御することによってトナー濃度やトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができ、トナー飛散や地汚れの発生することのない構成の現像装置を提供することができる。
【0020】
本発明の第4の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるキャリアであって、体積平均粒径が20〜60μmであることを特徴としており、小粒径なキャリアを用いることで、磁気ブラシの緻密化により現像能力の向上が図れるため、現像に必要な現像剤量(汲み上げ量)を低減することができる。それにより回収部におけるスクリュ回転数低減が図れ、現像剤循環によるストレス低減に寄与する。また、ストレスのかかる現像剤規制部材を通過する現像剤量が少なくなることから、長寿命化に寄与する。さらにはキャリアの低容量化がなされるため、キャリア貯蔵部等の装置の小型化が図れる。さらには現像領域における磁気ブラシがより緻密になるために高画質化や画質の安定性が達成される。なお、キャリアの平均粒径が60μmより大きいと現像剤循環部でオーバーフローする現像剤が多くなり、安定な現像剤循環が行えない。さらには磁気ブラシが粗くなるため満足の行く画質を得ることができない。また、キャリアの平均粒径が20μmより小さいと感光体にキャリアが付着したり、現像装置からキャリアが飛散したりしやすくなるという不具合が発生する。
【0021】
本発明の第5の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、体積平均粒径(D4)が3〜8μmで、体積平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が、1.00〜1.40の範囲にあることを特徴としており、粒径が小さくかつ粒径分布のシャープなトナーを用いることで、トナー粒子間の間隙が小さくなるため、色再現性を損なうことなくトナーの必要付着量を低減することができる。よって現像における濃度変動を小さくすることができる。また、微小なドット画像の安定再現性が向上し、長期間安定した高画質を得ることができる。なお、平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった不具合が発生しやすい。平均粒径(D4)が8μmを超えると、現像剤の流動性が悪化するとともに、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しく長期間画質を安定に維持することが困難となる。
【0022】
本発明の第6の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴としており、トナーが球形に近いことにより、現像剤の流動性がよくなることで、現像剤循環におけるストレスが小さくなり、長期的に安定した現像剤循環と現像を行うことが可能となる。
【0023】
本発明の第7の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、トナー母体粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3g/cm以上の微粒子が外添加されていることを特徴としており、トナーにおける外添剤の埋没が少なく、経時にて現像剤の流動性および帯電特性の変化が小さいため、長期的に安定した現像剤循環と現像を行うことが可能となる。
【0024】
本発明の第8の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置に用いられる現像剤であって、第4の手段のキャリアと、第5〜第7のいずれか1つの手段のトナーとを用いたことを特徴としており、第4の手段や、第5〜第7の手段と同様の効果が得られる。
また、本発明の第9の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置において、前記現像剤として、第8の手段の現像剤を用いたことを特徴としており、第4の手段や、第5〜第7の手段と同様の効果が得られる。
【0025】
本発明の第10の手段は、少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを一体に備えたプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置として、第1〜第3、第9のいずれか1つの手段の現像装置を備えたことを特徴としており、第1〜第3、第9のいずれか1つの手段の現像装置を用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高いプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【0026】
本発明の第11の手段は、少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを備えた画像形成装置において、第1〜第3、第9のいずれか1つの手段の現像装置、あるいは第10の手段のプロセスカーリッジを備えたことを特徴としており、第1〜第3、第9のいずれか1つの手段の現像装置、あるいは第10の手段のプロセスカーリッジを用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高い画像形成装置を提供することが可能になる。
【0027】
本発明の第12の手段は、第11の手段の画像形成装置において、現像色の異なる複数の現像装置またはプロセスカートリッジを備え、記録材にカラー画像を形成することを特徴としており、複数の現像装置に第1〜第3、第9のいずれか1つの手段の現像装置を用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高く、色再現性やカラーバランスの優れた高画質カラー画像を得ることの出来る画像形成装置を提供することが可能になる。
【0028】
本発明の第13の手段は、第11の手段の画像形成装置において、少なくとも潜像担持体と該潜像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットまたはプロセスカートリッジを複数備え、各画像形成ユニットまたはプロセスカートリッジで現像色の異なる画像を形成して記録材に直接、または中間転写体を介して転写し、記録材にカラー画像を形成することを特徴としており、各画像形成ユニットまたはプロセスカートリッジの現像装置に第1〜第3、第9のいずれか1つの手段の現像装置を用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高く、色再現性やカラーバランスの優れた高画質カラー画像を得ることの出来る画像形成装置を提供することが可能になる。
【0029】
本発明の第14の手段は、第11の手段の画像形成装置において、「少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第1画像形成ユニット群と、該第1画像形成ユニット群にて形成された第1トナー像が転写され担持される第1中間転写体とからなる第1画像形成ステーション」と、「少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第2画像形成ユニット群と、該第2画像形成ユニット群にて形成された第2トナー像が転写され担持される第2中間転写体とからなる第2画像形成ステーション」と、を備え、記録材の第1面に転写される第1トナー像は、前記第1画像形成ステーションにより形成され、記録材の第2面に転写される第2トナー像は、第2画像形成ステーションにより形成され、定着前において第1のトナー像と第2のトナー像が同時もしくは順次に記録材に転写される(所謂1パス両面転写方式である)ことを特徴としており、各画像形成ユニットの現像装置に第1〜第3、第9のいずれか1つの手段の現像装置を用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高く、色再現性やカラーバランスの優れた高画質カラー画像を得ることの出来る画像形成装置を提供することが可能になる。また、本発明の現像装置を1パス両面転写方式の画像形成装置に用いることにより、長期的に濃度安定性に優れたカラー画像を非常に生産性高く得ることが可能となる。それにより表裏での画質差がなく、常に画質の安定したカラー両面画像を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の具体的な構成、動作及び作用効果を、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0031】
[位相制御について]
ここでは一例として、図5に示すような2軸搬送タイプの現像装置を例に上げて説明する。この現像装置400は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用い、現像剤担持体401と、2つの現像剤搬送部材(例えば第1搬送部材402,第2搬送部材403)と、仕切り板404を備えている。
【0032】
図1は、図5と同様の構成の現像装置の現像剤攪拌機構を上から見た模式図である。図1では、2つの現像剤搬送部材(例えば第1搬送部材402,第2搬送部材403)と2つの現像剤搬送部材に挟まれた仕切り板404が図示されているが、最低限、これらの部材によって現像剤攪拌機構が構成されている。
【0033】
前述の先願発明においては、図1において破線の曲線で示したようなトナー補給によって発生する周期的なトナー濃度変動を問題としていた。これに対して、本発明においては、実線の曲線で示すようにトナー濃度が2つの現像剤搬送部材(例えば第1搬送部材402,第2搬送部材403)を跨いでいる、ちょうど現像剤が現像剤搬送機構内を周回する周期(以後、周回周期と呼ぶ)に相当する超長周期のトナー濃度変動(以後、周回濃度変動と呼ぶ)を問題としている。
【0034】
このような周回濃度変動は、トナーの補給やトナー消費の周期とは離れているので、何かの拍子にトナー補給やトナー消費の周期の組み合わせによって発生することはあるが、その発生頻度は元となるトナー補給周期の濃度変動などと比べるとはるかに少ない。しかし、一旦この周回濃度変動が発生すると、トナー補給周期の濃度変動などと比べても周期が極端に長いために濃度勾配が極端に小さく、通常の現像剤の攪拌では濃度変動を軽減するのが非常に困難な厄介者になる。また、ある意味これはトナー濃度変動が共振を起こした状態とも云える。
【0035】
周回濃度変動に対する位相制御によるトナー濃度変動の軽減は、周期濃度変動が発生している現像剤周回経路を第1の周回経路としたときに、第1の周回経路の周回時間に対して略半分の周回時間を持つ第2の周回経路を備え、かつ第1の周回経路と第2の周回経路は経路の一部分を共有することにより実現する。
【0036】
その例を図2に示す。図2は、現像剤の周回経路を図1からさらに模式的に変更した図である。図2において、TS11 とTS12は第1搬送部材上の所定の区間を現像剤が通過するのに要する時間、TS21 とTS22は第2搬送部材上の所定の区間を現像剤が通過するのに要する時間、そしてTC0とTC1とTC2はそれぞれ第1搬送部材と第2搬送部材の間を渡るのに要する時間を示している。また、TS11 とTS12 の和は、第1搬送部材上の全区間を現像剤が通過するのに要する時間、そしてTS21 とTS22の和は、第2搬送部材上の全区間を現像剤が通過するのに要する時間となっている。それぞれの第1及び第2搬送部材上の全区間を通過する時間はそれぞれ実測で求まるが、TS11〜TS22の各時間は第2の周回経路を決定して初めて決まる変数である。
【0037】
図2から第1の周回経路の周回時間は、
S11+TS12+TS21+TS22+TC0+TC1
と表せ、また第2の周回経路の周回時間は、
S11+TS21+TC0+TC2
と表せる。
【0038】
仮に、第1搬送部材上の現像剤搬送速度と第2搬送部材上の現像剤搬送速度が等しく、かつ搬送部材上の軸方向位置に因らず一定で、TS11+TS12とTS21+TS22をそれぞれ2秒、そしてTC0とTC1とTC2をそれぞれ1秒とすると、第1の周回経路の周回時間は6秒になる。そこから第2の周回経路の周回時間は3秒であることが判り、TS11とTS21はそれぞれ0.5秒と求まる。この場合、残りのTS12とTS22が1.5秒であり、所要時間の比は1:3であるから、第2の周回経路を形成するための分岐の位置は、図2で第1および搬送部材上の搬送区間について、その左端から1/3の位置に設ければ良いことが判る。
実際に分岐位置を決定する場合も、現像剤搬送の所要時間を実測した上で上記のような手順で位置を求める必要がある。
【0039】
現像剤搬送の所要時間を実測する方法としては、現像器中のトナーとは別の色に着色した微量のトナーを周回径路上に垂らして、その経過を肉眼またはビデオカメラ等で計測する方法や、複数のトナー濃度センサを周回径路上の各所に配置し、各センサの測定値について周期的トナー濃度変動の位相差を抽出する方法などがある。
【0040】
第2の周回経路を形成する具体的方法としては、最も簡便な方法として、図3(a),(b)に示すように、第1搬送部材402と第2搬送部材403の間にある仕切り板404上の適当な位置に開口部を設けることが挙げられる。このときの開口部の位置は、上記で述べた方法により求めればよい。
【0041】
この仕切り板404の開口部においては、概ね1方向に現像剤が通過しないと適切な周回時間を持つ第2の周回経路を形成できない。また、一般的に第2搬送部材上ではその上流にトナー補給口が設けられているために、トナー補給による濃度変動が有り、その濃度変動が軽減されぬまま第1搬送部材を介して現像剤担持体にまでショートカットで達する危険がある。
このため、第2の周回経路を形成する開口部においては、現像剤が第1搬送部材側から第2搬送部材側へと1方向のみに通過したほうが良い。
【0042】
これを実現する手段の一つとして、現像剤の剤面の高さを、少なくとも第2の周回経路を形成するための開口部付近においては、第1搬送部材402側の剤面を第2搬送部材403側の剤面よりも高くすることが必要になる。
【0043】
具体的には、第1搬送部材402および第2搬送部材403の回転を図3(c)において両方とも反時計回りになるように回転させることによって、図3(c)に示すように、現像剤の剤面を傾かせる方法などが考えられる。このとき、図3にはきちんと描かれていないが、第1搬送部材402のスクリュのピッチと第2搬送部材403のスクリュのピッチは互いに逆(片方の搬送部材の軸を180度ひっくり返しても、またひっくり返さなくても、もう一方の搬送部材の形状と一致しない)であることが必要である。
あるいは、第1搬送部材402の搬送速度を第2搬送部材403のそれよりも遅くすることも考えられる。これは例えば搬送部材がスクリュで構成されている場合、図4に示すように第1搬送部材402のスクリュのピッチを第2搬送部材403のスクリュのピッチよりも細かくすることなどで実現可能である。また、その他にも、第1搬送部材402の回転速度を第2搬送部材403よりも落としたりすることなども考えられる。
【0044】
[現像装置の構成例]
以上に説明した本発明の位相制御機構は、図5に示すような2軸搬送タイプの現像装置に好適に適用することができるが、図6や図7を一例とする3軸搬送タイプの現像装置にも適用することができる。以下、現像装置の構成例について説明する。
【0045】
図5に示す現像装置400は、不図示の像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体である現像ローラ(スリーブ)401(回転する円筒状のスリーブと、スリーブ内に固定配置された磁石又はマグネットロールから構成されるが、図ではスリーブのみ図示している)と、スリーブ上の現像剤量を規制する現像剤規制部材(ドクタ)405と、現像剤を搬送しながら現像ローラ401に供給し、現像ローラ401からの現像剤を回収する第1の現像剤搬送部材である供給回収用スクリュ402(前述の第1搬送部材)とを備えている。さらに、供給回収用スクリュ402の下流端まで搬送された現像剤と必要に応じて供給されたトナーとを攪拌しながら供給回収用スクリュ402とは逆方向に搬送する第2の現像剤搬送部材である攪拌搬送用スクリュ403(前述の第2搬送部材)を備えている。供給回収用スクリュ402と攪拌搬送用スクリュ403とは水平方向に配置され、供給回収用スクリュ402を備える供給回収搬送路406と攪拌搬送用スクリュ403を備える攪拌搬送路407とは仕切り板404で仕切られている。そして、2つの搬送路は仕切り板404の軸方向両端部の開口部で連通しており、攪拌搬送路407と供給回収搬送路406とでは現像剤を逆方向に搬送することにより循環搬送されている。
【0046】
上記のような構成の2軸搬送タイプの現像装置においては、現像後の現像剤が供給回収共用のスクリュ402で回収されるため、スクリュ402の下流にいくに従ってトナー濃度が低下し、現像ローラ401のスリーブ左右でトナー濃度偏差を生じてしまう。そこで図5に示すような構成の2軸搬送タイプの現像装置400に、図1〜図4を参照して説明したような本発明に係る位相制御用の開口や機構等を設けることにより、トナー濃度の変動を抑えることができる。すなわち、位相制御用の開口や機構を設けて、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させることにより、現像剤のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させるという構成を現像装置内に取り入れることにより、トナー濃度の高い現像剤が供給回収共用のスクリュ402に流れることになり、それによりスリーブ左右でのトナー濃度偏差が小さくなる。したがって、現像ローラ401のスリーブに現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができ、トナー像を安定して形成することができる。
【0047】
次に図6に示す現像装置504は、反時計回りに表面移動しながら潜像担持体である感光体ドラム501の表面の潜像にトナーを供給し現像する現像剤担持体としての現像ローラ(回転する円筒状のスリーブと、スリーブ内に固定配置された磁石又はマグネットロールから構成される)505を有している。また、現像ローラ505に現像剤を供給しながら図15の奥方向に現像剤を搬送する現像剤供給搬送部材としての供給搬送用スクリュ508(前述の第1搬送部材に相当する)を有している。
現像ローラ505の供給搬送用スクリュ508との対向部から表面移動方向下流側には、現像ローラ505に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制部材としてのドクタ516を備えている。
【0048】
現像ローラ505の感光体ドラム501との対向部である現像部から表面移動方向下流側には、現像部を通過した現像済みの現像剤を回収し、回収した回収現像剤を供給搬送用スクリュ508と同方向に搬送する回収搬送用スクリュ506を備えている。供給搬送用スクリュ508を備えた現像剤供給搬送路である供給搬送路509と回収搬送用スクリュ506を備えた現像剤回収搬送路としての回収搬送路507とは現像ローラ505の下方に並設されている。供給搬送路509と回収搬送路507との2つの搬送路は仕切り部材としての仕切り板534によって仕切られている。
【0049】
現像装置504は、供給搬送路509の回収搬送路507の反対側に並列して、現像剤攪拌搬送路である攪拌搬送路510を設けている。攪拌搬送路510は、現像剤を攪拌しながら供給搬送用スクリュ508とは逆方向である図中手前側に搬送する現像剤攪拌搬送部材としての攪拌搬送用スクリュ511(前述の第2搬送部材に相当する)を備えている。供給搬送路509と攪拌搬送路510とは仕切り部材としての仕切り板533によって仕切られている。仕切り板533の図中手前側と奥側との両端は開口部となっており、供給搬送路509と攪拌搬送路510とが連通している。供給搬送路509内に供給され現像に用いられず供給搬送路509の搬送方向下流端まで搬送された余剰現像剤と、回収搬送用スクリュ506によって回収搬送路507の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤とは攪拌搬送路510に供給される。攪拌搬送路510は、供給された余剰現像剤と回収現像剤とを攪拌し、攪拌搬送用スクリュ511の搬送方向下流側であり、供給搬送用スクリュ508の搬送方向上流側に搬送する。
【0050】
仕切り板534には回収搬送用スクリュ506の搬送方向最下流側である図中奥方向の端が開口部となっており、供給搬送路509と回収搬送路507とが連通している。回収搬送用スクリュ506の搬送方向下流端と、供給搬送用スクリュ508の搬送方向下流端と、攪拌搬送用スクリュ511の搬送方向上流端とで3つの搬送経路が連通している。
そして、回収搬送路507の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤は供給搬送路509に移送される。また、回収現像剤と供給搬送用スクリュ508で搬送される現像ローラ505に供給されなかった現像剤は、連通している攪拌搬送路510に移送される。
【0051】
攪拌搬送路510では攪拌搬送用スクリュ511によって、回収現像剤、余剰現像剤及び移送部で必要に応じて補給されるトナーを、回収搬送路507及び供給搬送路509の現像剤と逆方向に攪拌搬送する。そして、搬送方向下流側で連通している供給搬送路509の搬送方向上流側に攪拌された現像剤を移送する。なお、攪拌搬送路510の下方には、トナー濃度センサ527が設けられ、センサ出力によりトナー補給制御装置(図示せず)により移送部へのトナー補給を行っている。
【0052】
現像装置504のケーシングは3つの搬送スクリュの軸部で上下に分かれる一体成型された下ケーシング512及び上ケーシング513からなる。仕切り板533は下ケーシング512の一部であり、仕切り板534は、上ケーシング513に保持され、下ケーシング512と勘合する。
【0053】
図6に示すように、現像剤供給部材の最上部である供給搬送用スクリュ508の頂点14が現像ローラ505の回転中心515よりも下方になるように配置されている。図6に示す現像装置504では現像ローラ505の回転中心515とスクリュ頂点514とを結んだ直線と、回転中心515を通る水平な直線との角度θを30°に設定している。この角度θは供給搬送用スクリュ508の直径にも左右されるが、現像装置504の小型化からレイアウト上10°〜40°が望ましい。
現像ローラ505のスリーブへの現像剤の供給は、現像ローラ505内に設けられた磁石又はマグネットロールの磁極が現像剤中の磁性キャリアを引き付けることによって行われる。上述のように、スクリュ頂点514が現像ローラ505の回転中心515よりも下方となるように配置することにより、現像剤の自重が現像ローラ505への現像剤の供給量に影響せず、磁力の大きさが現像剤の供給量に寄与する。これにより、供給搬送路509で搬送される現像剤の上部から確実に供給されるため、供給搬送用スクリュ508の搬送方向で供給搬送路509内の現像剤の嵩が均一でなくても、現像ローラ505に適正な量の現像剤を供給することができる。
【0054】
上記のような構成の3軸搬送タイプの現像装置504においては、現像ローラ505のスリーブに汲み上げられた現像剤は回収搬送用スクリュ506に集められ、供給搬送用スクリュ508には直接戻されないので、供給搬送用スクリュの下流にいくに従い、現像剤量が減っていくため、下流部では現像剤が枯渇してしまう恐れがある。枯渇を防ぐには、スクリュ回転数を上げる必要があるが、軸受の寿命を考えるとそれにも限界がある。そこで図6に示すような構成の3軸搬送タイプの現像装置に、図1〜図4を参照して説明したような本発明に係る位相制御用の開口や機構を設けることにより、トナー濃度の変動を抑え、かつ現像剤の枯渇防止に非常に有利になる。すなわち、位相制御用の開口や機構を設けて、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させて、攪拌搬送路510から供給搬送用スクリュ508に現像剤を供給することにより、スリーブ左右でのトナー濃度偏差や現像剤量の偏差を小さくすることができる。したがって、現像ローラ605のスリーブに現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができ、また、下流部での現像剤の枯渇も防止することができ、トナー像を安定して形成することができる。
【0055】
次に図7に示す現像装置604は現像ローラ(回転する円筒状のスリーブと、スリーブ内に固定配置された磁石又はマグネットロールから構成される)605と供給搬送用スクリュ608(前述の第1搬送部材に相当する)と、現像ローラ605上で現像箇所を通過し、回収された回収現像剤を供給搬送用スクリュ608と同方向に搬送する回収搬送用スクリュ606とを備えている。さらに、供給搬送用スクリュ608の最下流側まで搬送された余剰現像剤と、回収搬送用スクリュ606の最下流部まで搬送された回収現像剤とを攪拌しながら供給搬送用スクリュ608とは逆方向に搬送する攪拌搬送用スクリュ611(前述の第2搬送部材に相当する)を備えている。
【0056】
供給搬送用スクリュ608は攪拌搬送用スクリュ611の上方に配置されており、供給搬送用スクリュ608を備える供給搬送路609と攪拌搬送用スクリュ611を備える攪拌搬送路610とは仕切り部材である第1仕切り板633で仕切られている。そして、2つの搬送路は第1仕切り板633の軸方向両端部の開口部で連通しており、現像に用いられず供給搬送路609の下流端まで搬送された余剰現像剤は、供給搬送路609の下流端側の開口部で落下して攪拌搬送路610に供給される。また、回収搬送用スクリュ606を備える回収搬送路607は攪拌搬送路610の水平方向に並べて設けており、回収搬送路607と攪拌搬送路610とは仕切り部材である第2仕切り板634で仕切られている。そして、この2つの搬送路は回収搬送用スクリュ606の下流端側で第2仕切り板634に設けられた開口部で連通している。回収搬送路607の下流端まで搬送された回収現像剤は水平方向に移送され、攪拌搬送路610に供給される。
攪拌搬送路610に供給された余剰現像剤と回収現像剤とは攪拌搬送路610で攪拌され、下流端で攪拌搬送用スクリュ611の搬送力によって押し込まれて、盛り上がることで開口部から供給搬送路609に供給がなされる。
【0057】
上記のような構成の3軸搬送タイプの現像装置においても、現像ローラ605のスリーブに汲み上げられた現像剤は回収搬送用スクリュ606に集められ、供給搬送用スクリュ608には直接戻されないので、供給搬送用スクリュの下流にいくに従い、現像剤量が減っていくため、下流部では現像剤が枯渇してしまう恐れがある。枯渇を防ぐには、スクリュ回転数を上げる必要があるが、軸受の寿命を考えるとそれにも限界がある。そこで図7に示すような構成の3軸搬送タイプの現像装置に、図1〜図4を参照して説明したような本発明に係る位相制御用の開口や機構を設けることにより、トナー濃度の変動を抑え、かつ現像剤の枯渇防止に非常に有利になる。すなわち、位相制御用の開口や機構を設けて、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させて、攪拌搬送路610から供給搬送用スクリュ608に現像剤を供給することにより、スリーブ左右でのトナー濃度偏差や現像剤量の偏差を小さくすることができる。したがって、現像ローラ605のスリーブに現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができ、また、下流部での現像剤の枯渇も防止することができ、トナー像を安定して形成することができる。
【0058】
[画像形成装置全体の構成の詳細説明]
次に本発明に係る画像形成装置の構成例を詳細に説明する。図8は本発明が適用される画像形成装置全体の内部構成を示した概略中央断面図である。
図8に示す画像形成装置本体100の内部において、記録体搬送路43Aを境にして、上下に画像形成ステーションが設けられており、上部の第1画像形成ステーションには、矢印方向に無端移動する第1中間転写体である第1像担持ベルト21を備えた第1像担持体ユニット20を、下部の第2画像形成ステーションには、矢印方向に無端移動する第2中間転写体である第2像担持ベルト31を備えた第2像担持体ユニット30が配備されている。第1像担持ベルト21の上部張架面には、第1画像形成ユニット群(4個の第1画像形成ユニット80Y、80C、80M、80K)が、第2像担持ベルト31の傾斜した張架面には、第2画像形成ユニット群(4個の第2画像形成ユニット81Y、81C、81M、81K)が配備されている。これら第1、第2画像形成ユニットの番号に添えたY、C、M、Kは、扱うトナーの色と対応させているもので、Yはイエロー、Cはシアン、Mはマゼンタ、Kはブラックを意味している。第1、第2画像形成ユニットに備えられ、第1像担持ベルト21と第2像担持ベルト31と共に回転する各感光体(潜像担持体)1に対しても同じ意味あいでY、C、M、Kを添えている。なお感光体1Yから1Kは同間隔で配置され、少なくとも画像形成時にはそれぞれ第1、第2像担持ベルト21、31との張架部の一部と接触する。
【0059】
4個ずつの第1画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kと第2画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kの構成は同じであり、図9は一つの画像形成ユニットの構成例を示している。図9において、画像形成装置100の動作時に、不図示の駆動源により、矢印方向に回転するよう回転可能に支持された円筒状の感光体1の周囲に、静電写真プロセスに従い帯電装置3であるスコロトロンチャージャ、露光装置4、現像装置5、クリーニング装置2、光除電装置Q等の作像部材や電位センサS1、画像センサS2が配設されている。
【0060】
潜像担持体である感光体1は、例えば直径30〜120mm程度のアルミニウム円筒表面に光導電性物質である有機感光層(OPC)を形成したものである。また、アモルファスシリコン(a−Si)層を形成した感光体も採用可能である。また、円筒状の他に、ベルト状の感光体も採用できる。
帯電装置3としては、非接触式のチャージャの他に、感光体1の表面に接触させるタイプの例えば帯電ローラや帯電ブラシ等も採用できる。
クリーニング装置2は、クリーニングブラシ2a、クリーニングブレード2b、回収部材2cを備え、感光体1の表面に残留するトナー等の異物を除去、回収する。
【0061】
露光装置4は、各色毎の画像データ対応の光を、帯電手段で一様に帯電済みの各感光体1の表面に走査し、静電潜像を形成する。図示例の露光装置4は、発光素子としてLED(発光ダイオード)アレイを用い、結像素子アレイと組み合わせたライン状の露光装置であるが、レーザ光源とポリゴンミラー、走査結像光学系等を用い、形成すべき画像データに応じて変調したレーザビーム光を感光体に照射するレーザスキャン方式の露光装置も採用できる。
【0062】
本実施例の現像装置5は、トナーとキャリヤからなる二成分現像剤を採用している現像方式である。負荷電の感光体1に対し露光により各感光体1の表面に形成された色毎の静電潜像は、感光体1の帯電極性と同極性(マイナス極性)の所定の色のトナーで現像され顕像となる、いわゆる反転現像が行なわれる。
現像装置5の構成は、図示の例では、現像剤担持体である現像ローラ(図ではスリーブのみを図示してある)5aと、現像剤規制部材であるドクタ5bと、現像剤供給搬送部材としての供給搬送用スクリュ5c(前述の第1搬送部材に相当する)と、現像剤攪拌搬送部材としての攪拌搬送用スクリュ5d(前述の第2搬送部材に相当する)と、回収搬送用スクリュ5eと、仕切り板5f、5gを備えた3軸搬送タイプの構成であるが、これに限るものではない。すなわち、現像装置の詳細説明については前述したとおりであり、例えば図5に示すような2軸搬送タイプの現像装置に前述の位相制御機構を適用したものや、図6、図7に示すような3軸搬送タイプの現像装置に前述の位相制御機構を適用したもの等を用いることができる。
【0063】
複数のローラ23,24,25,26(2個),27,28,29により支持されて矢印方向に走行する、第1中間転写体としての第1像担持ベルト21が、第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける各感光体1Y,1C,1M,1Kの下部に設けられている。この第1像担持ベルト21は無端状で、各感光体の現像工程後の一部が接触するように張架、配置されている。また、第1像担持ベルト21の内周部には各感光体1Y,1C,1M,1Kに対向させて1次転写ローラ22が設けられている。
【0064】
第1像担持ベルト21の外周部には、ローラ23に対向する位置にクリーニング装置20Aが設けられている。このクリーニング装置20Aは、第1像担持ベルト21の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。
上記の第1像担持ベルト21に関連する部材は、第1像担持体ユニット20として一体的に構成してあり、画像形成装置100に対し着脱が可能となっている。
【0065】
複数のローラ33,34,35,36(2個),37,38により支持されて矢印方向に走行する、第2中間転写体としての第2像担持ベルト31が、第2の画像形成ユニット81Y〜81Kにおける各感光体1Y,1C,1M,1Kに接触して設けられている。この第2像担持ベルト31は無端状で、各感光体の現像工程後の一部が接触するように張架、配置されている。第2像担持ベルト31の内周部には各感光体1Y,1C,1M,1Kに対向させて1次転写ローラ32が設けられている。
【0066】
第2像担持ベルト31の外周部には、ローラ33に対向する位置にクリーニング装置30Aが設けられている。このクリーニング装置30Aは、第2像担持ベルト31の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。
上記の第2像担持ベルト31に関連する部材は、第2像担持体ユニット30として一体的に構成してあり、画像形成装置100に対し着脱が可能となっている。
【0067】
さらに上記第1像担持ベルト21の外周で、支持ローラ28の近傍には、第1の2次転写ローラ46が設けてある。第1像担持ベルト21と2次転写ローラ46の間に記録材(以下用紙P)を通過させながら、第1の2次転写ローラ46にバイアスを印加することで第1像担持ベルト21が担持するトナーによる画像が用紙Pに転写される。
【0068】
上記第2像担持ベルト31の外周で、支持ローラ34の近傍には、第2の2次転写手段である転写チャージャ47が設けてある。転写チャージャ47は公知のタイプで、タングステンや金の細い線を放電電極とし、ケーシングで保持し、放電電極に不図示の電源から転写電流が印加される。像担持ベルト31と転写チャージャ47の間に用紙Pを通過させながら、転写電流を印加することで第2像担持ベルト31が担持するトナーによる画像が用紙Pに転写される。上記転写ローラ46と転写チャージャ47に印加される転写電流の極性は、ともにトナーの極性と逆のプラス極性である。
【0069】
画像形成装置100の右側には各種サイズの用紙を供給可能に収納した給紙装置40が配備されており、この給紙装置40内には、大容量の給紙トレイ40aと複数の給紙カセット40b〜40dが装着されている。そして、給紙トレイ40aと複数の給紙カセット40b〜40dのうちの選択された1つから給紙・分離手段41A〜41Dにより確実に一枚の用紙Pだけが給紙され、複数の搬送ローラ対42Bにより記録材搬送経路43Bや記録材搬送路43Aに送られる。
【0070】
記録材搬送路43Aの延長上には、前記第2の画像形成ステーションを通過した用紙を、記録材の搬送方向下流に備えた定着装置60における定着ニップまで、平面状態を保って搬送させるための、記録材移送手段50を備えている。記録材移送手段50は、矢印方向に無端移動する搬送ベルト51を支持するローラ52,53,54,55,56を有し、搬送ベルト51の外側には、ローラ55に対向させてクリーニング装置50A,ローラ56に対向させて記録材Pを吸着させるための吸着用チャージャ57、ローラ54に対向させて除電・分離チャージャ58を備えている。
【0071】
未定着のトナー画像と接触しながら記録材Pとともに移動する搬送ベルト51は、前記吸着用チャージャ57により、トナーの極性と同極性のマイナス帯電が施される。搬送ベルト51として、金属ベルト、ポリイミドベルト、ポリアミドベルトなどが採用できる。表面にトナーとの離型性を与えるとともに、帯電可能の抵抗値を備える。このベルト搬送51の走行速度は、定着装置60における記録材の走行速度と合わせてある。
【0072】
記録材搬送手段50の用紙搬送方向下流側には、加熱手段を有する定着装置60が設けられている。この定着装置60としては、ローラ内部にヒータを備えるタイプのローラ定着装置、加熱されるベルトを走行させるベルト定着装置、また、加熱の方式に電磁誘導加熱を採用した定着装置などが採用できる。用紙両面の画像の色合い、光沢度を同じにするため、定着ローラ、定着ベルトの材質、硬度、表面性などを上下同等にしてある。また、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより定着条件を制御したり、用紙の種類に応じて最適な定着条件となるよう、不図示の制御手段により制御される。定着の終了した用紙を冷却し、不安定なトナーの状態を早期に安定させるため、冷却機能を有した冷却ローラ対70を定着後の搬送路に備えている。この冷却ローラ対70としては、放熱部を有するヒートパイプ構造のローラが採用できる。冷却された用紙は、排紙ローラ対71により、画像形成装置100の左側に設けた排紙スタック部75に排紙、スタックさせる。この排紙スタック部は、大量の用紙をスタック可能にするため、不図示のエレベータ機構により、スタックレベルに応じて、受け部材が上下する機構を採用している。なお、排紙スタック部75を通過させ、別の後処理装置に向けて用紙を搬送させることもできる。別の後処理装置としては、穴あけ、断裁、折、綴じなど製本のための装置である。
【0073】
未使用のキャリアを含む現像剤が収納された各色のカートリッジ86Y,86C,86M、86Kが、着脱可能に収納空間85に収納されている。そして、不図示の現像剤搬送手段により、各画像形成ユニットの現像装置に必要に応じて現像剤を供給するようになっている。本実施例の構成は、上下に配された4個ずつの画像形成ユニット80Y〜80K、81Y〜81Kに対し、各色のカートリッジ86Y,86C,86M、86Kは共通にしているが、別々にすることもできる。また、消耗の多いブラックトナー用のカートリッジ86Kを、特に大容量としておくことも可能である。この収納空間85は、画像形成装置上面で操作方向から見て奥側にあって、画像形成装置上面の手前側は平面部分が確保されているため、作業台として利用することができる。
【0074】
以下に図8に示す画像形成装置の動作を説明する。
[片面記録の動作]
上記の構成において、記録材(用紙)Pの片面にフルカラー画像を形成する片面記録時の動作について説明する。
片面記録の方法は基本的に2種類あって選択が可能となっている。2種類のうちの一つは、第1の像担持ベルト21に担持させた画像を用紙Pの片面に直接転写する方法であり、別の方法は、第2の像担持ベルト31に担持させた画像を用紙の片面に直接転写する方法である。本実施例では画像形成装置100の構成から、第1の像担持ベルト21に担持させた画像を用紙Pの片面に直接転写する場合には、画像が用紙のP上面に形成され、第2の像担持ベルト31に担持させた画像を用紙Pの片面に直接転写する場合には、画像が用紙Pの下面に形成される。また、記録するべきデータが複数の頁になるケースでは、排紙スタック部75上で頁が揃うように作像順序を制御するのが好都合である。そこで、ここでは最後の頁の画像データから順に記録して頁順を揃わせるよう、第1の像担持ベルト21に画像を担持させた後、用紙Pに転写させる方法について説明する。
【0075】
画像形成装置100を稼動させると、第1の像担持ベルト21と第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける感光体1Y,1C,1M,1Kが回動する。同時に第2の像担持ベルト31が回動するが、第2の画像形成ユニット81Y〜81Kにおける感光体1Y,1C,1M,1Kは第2の像担持ベルト31と離間されるとともに不回転状態にされる。まず、イエローの画像形成ユニット80Yによる画像形成から開始される。帯電装置3により感光体1Yが一様に帯電され、LED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなる露光装置4の作動により、LEDから出射されたイエロー用の画像データ対応の光が、帯電された感光体1Yの表面に照射されて静電潜像が形成される。
【0076】
静電潜像は現像装置5の現像ローラ5aによりイエロートナーで現像され、可視像となり、1次転写ローラ22の転写作用により感光体1Yと同期して移動する第1像担持ベルト21上に静電的に1次転写される。このような潜像形成、現像、1次転写動作がシアン、マゼンタ、ブラックの各画像形成ユニット80C,80M,80Kの感光体1C,1M,1K側でもタイミングをとって順次同様に行われる。
この結果、第1像担持ベルト21上には、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色トナー画像が、順次重なり合ったフルカラートナー画像として担持され、第1像担持ベルト21とともに矢印の方向に移動される。
【0077】
上記の画像形成動作と同時に給紙装置40のなかの給紙トレイ40aあるいは給紙カセット40b〜40dから、記録に使われる用紙Pがその供給のための給紙・分離手段41A〜41Dの一つにより繰り出され、搬送ローラ対42B,42Cにより記録材搬送路43Cに搬送される。用紙Pの先端がレジストローラ対45に咥えられない前に、ジョガー44は、用紙Pの搬送方向に対し両方の横方向から、用紙Pの両辺を押すように作動し、用紙横方向の位置整合が図られる。レジストローラ対45は静止しており、用紙Pの先端はレジストローラ対45のニップに入り込んだ状態で静止するが、第1像担持ベルト21上の画像との位置が正規なものとなるよう、タイミングをとってレジストローラ対45が回転し、用紙Pを転写領域に搬送する。
【0078】
第1像担持ベルト21上のこのフルカラートナー画像は、第1像担持ベルト21と同期して搬送される用紙Pの上面に、二次転写ローラ46による転写作用を受けて転写される。二次転写ローラ46に与えられるバイアスは、トナーの帯電極性と逆のプラス極性である。
【0079】
その後、第1像担持ベルト21の表面が、ベルトクリーニング装置20Aによりクリーニングされる。また、1次転写を終了した第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける感光体1Y,1C,1M,1Kの表面に残留するトナー等の異物はクリーニング装置2のクリーニングブラシ2aとクリーニングブレード2bにより、各感光体の表面から除去される。各感光体の表面は除電装置Qによる残留電位の除電作用が行なわれて次の作像・転写工程に備える。除去されたトナー等の異物は、回収手段2cにより、回収部87に送られる。なお、センサS1、S2は、感光体表面の露光後の表面電位と、現像工程後の感光体表面に付着しているトナーの濃度が適切なものであるかを検知し、適宜作像条件の設定、制御のために不図示の制御手段に情報を出力する。
【0080】
第1像担持ベルト21に重ねられて担持されていたトナー画像が二次転写された用紙Pは、搬送装置50の搬送ベルト51により定着装置60に向け移送される。用紙Pを確実に搬送ベルト51とともに移送できるよう、あらかじめ移送ベルト51の表面を、用紙の吸着用チャージャ57により帯電する。用紙Pが搬送ベルト51から分離され、確実に定着装置60に送られるよう、除電・分離チャージャ58が作動する。
【0081】
用紙P上に重ねられていた各色のトナーが定着装置60の熱による定着作用を受け、溶融、混色されて完全にカラー画像となる。片面記録の場合、用紙Pの片面(上面)だけにトナー像を有しているので、両面にトナー像を有している両面記録時に比べ、定着に要する熱エネルギーは少なくて済む。したがって、不図示の制御手段が画像に応じて定着装置の使用する電力を最適に制御する。定着されたトナー像も用紙上で完全に固着するまでは、搬送路のガイド部材等に擦られ、画像が欠落したり、乱れたりする。この不具合を防止するため、冷却手段である冷却ローラ対70が作動し、トナーと用紙Pを冷却する。その後、排紙ローラ71により排紙スタック部75に、画像面が上向きとなって排紙される。排紙スタック部75では若い頁の記録物が順次上に重ねられるようにスタックされるよう、作像順序がプログラムされているので、頁順が揃う。また、排紙スタック部75は、排紙される用紙の増加に従って下降するようになっているので、用紙は整然と確実にスタックでき、頁順が乱れることがない。また、記録済みの用紙を排紙スタック部75に直接スタックする代わりに、穴あけ加工処理を実施するとか、ソータ、コレータや綴じ装置や折り装置などの後処理装置に搬送することもできる。
【0082】
なお、用紙Pの片面に画像を形成させる他の方法(下面側に記録)では、第2の画像形成ユニット81Y〜81Kで画像を形成して第2像担持ベルト31に重ねて1次転写する工程を行ない、第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける画像の形成を行なわないようにするのと、頁揃えのために若い頁の画像データから順に像形成をさせる点が異なるが、基本的には上記の片面記録の工程と同じなので、詳細な説明は省略する。
【0083】
[両面記録時の動作]
次に用紙Pの両面に画像を形成する両面記録時の動作について説明する。画像形成装置に開始信号が入力されると、上記、片面記録の動作で説明した第1の画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kで順次形成する各色ごとの画像を第1像担持ベルト21に順次1次転写させ、第1の画像として担持させる工程とほぼ平行して、第2の画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kで順次形成する各色ごとの画像を第2像担持ベルト31に順次1次転写させ、第2の画像として担持させる工程が行なわれる。第1、第2の画像形成ステーションの配置は、図8に示す構成なので、上記第1の画像と第2の画像が、用紙Pの搬送方向先端で位置的に合致するためには、第1の画像の形成開始より遅れて第2の画像の形成が開始される。また、用紙Pはレジストローラ対45で静止と再送が行なわれるので、その時間も見込んで給紙され、ジョガー44で整合される。レジストローラ対45は、タイミングをとって用紙Pを第1の2次転写手段である転写ローラ46と第1像担持ベルト21で構成された第1転写ステーションに搬送する。転写ローラ46にプラス極性の転写電流が印加され、第1像担持ベルト21から用紙Pの片面(図では上面)に画像が転写される。
【0084】
このようにして片面に画像を有した用紙Pは、転写ローラ46の搬送作用により、引き続き第2の二次転写手段たる転写チャージャ47のある第2転写ステーションに送られる。そしてチャージャにプラス極性の転写電流が印加されることにより、第2像担持ベルト31に予め担持されているフルカラーの第2の画像が、一括して用紙Pの下面に転写される。
【0085】
このようにして両面にフルカラートナー像が転写された用紙Pは、搬送装置50の搬送ベルト51により定着装置60へと移送される。このとき、吸着用チャージャ57により、搬送ベルト51の表面はトナーの極性と同じマイナス極性で帯電されており、用紙下面の未定着のトナーが搬送ベルト51に移らないようにしている。除電・分離チャージャ58には、交流が印加され、用紙Pは搬送ベルト51から分離され、定着装置60へと移送される。そして、定着装置60の熱による定着処理を受け、用紙Pの両面のトナー画像が溶融、混合される。用紙Pは引き続いて冷却ローラ対70を通過し、排紙ローラ71により排紙スタック部75上に排紙される。
【0086】
複数の頁の用紙に両面記録する場合、若い頁の画像が下面となって排紙スタック部75にスタックされるように作像順序を制御すると、そこから取り出し、上下面を逆にしたとき記録物は上から順に1頁、その裏に2頁、2枚目が3頁、その裏が4頁となり頁順が揃う。このような作像順序の制御や、定着装置に入力する電力を片面記録時より増やすなどの制御は、制御手段(不図示)により実行される。
【0087】
以上の片面記録動作、両面記録動作に関して、フルカラー記録を実行させる例で説明したが、図8に示す画像形成装置では、ブラックトナーだけによるモノクロ記録や、二色、三色等の多色記録も可能である。
【0088】
[画像形成装置の別の構成説明]
次に本発明に係る画像形成装置の別の構成例を図10に示す。
この画像形成装置は、前述の図8に対して通常の片面のみを一度に作像するカラー方式である、いわゆるタンデム構成の画像形成装置である。概略構成を以下に示す。
図10のカラー画像形成装置は、いわゆるタンデム方式といわれ、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色毎のプロセスカートリッジ10Y,10C,10M,10Kが中間転写体である中間転写ベルト12に沿って直列に配置された構成になっている。各色毎のプロセスカートリッジ10Y〜10Kは同じ構成であり、潜像担持体である感光体1Y〜1Kを中心に帯電装置3、現像装置5、クリーニング装置2等から構成される。また、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kの感光体1Y〜1Kに対し、露光装置4、中間転写装置11が配置されており、その他に、図示しない給紙装置と用紙搬送部、レジストローラ15、紙転写装置16、搬送装置17、定着装置18などを備えている。
【0089】
帯電装置3としては、例えば接触式の帯電ローラや帯電ブラシが用いられるが、この他、非接触式のチャージャを用いることもできる。
クリーニング装置2は、クリーニングブレードやクリーニングブラシ等を備え、感光体1の表面に残留するトナー等の異物を除去、回収する。
露光装置4は、各色毎の画像データ対応の光を、帯電手段で一様に帯電済みの各感光体1の表面に走査し、静電潜像を形成する。図示例の露光装置4は、4つのレーザ光源、ポリゴンミラー、4系統の走査結像光学系等を用い、形成すべき画像データに応じて変調したレーザビーム光を各感光体に照射するレーザスキャン方式の露光装置であるが、LED(発光ダイオード)アレイと結像素子アレイからなる露光装置を採用することもできる。
【0090】
本実施例においては、上述の感光体1、帯電装置3、現像装置5及びクリーニング装置2等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジ10Y〜10Kを画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。
また、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kに用いる現像装置5の構成及び詳細説明については前述したとおりであり、例えば図5に示すような2軸搬送タイプの現像装置に前述の位相制御機構を適用したものや、図6、図7に示すような3軸搬送タイプの現像装置に前述の位相制御機構を適用したもの等を用いることができる。
【0091】
中間転写装置11は、複数のローラ13a,13b,13cに張架されて図中の矢印方向に回転する中間転写ベルト12と、1次転写手段である1次転写ローラ14と、図示しないベルトクリーニング装置等で構成され、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kの感光体1Y〜1Kに形成された各色のトナー画像が順次重ねて1次転写される。そして中間転写ベルト12上に転写されたトナー画像は、紙転写装置16で記録材(用紙)Pに二次転写される。転写後の用紙Pは搬送装置17で定着装置18に搬送され、トナー画像が用紙Pに定着される。
なお、図10に示す画像形成装置の作像動作は、前述の図8に示した画像形成装置において、裏面(第二面)の作像を行なわない片面記録動作と同様であるので、ここでは動作の詳細な説明は省略する。
【0092】
[現像剤の特性について]
本発明の現像装置に用いる二成分現像剤のキャリア(磁性キャリア)については、体積平均粒径が20〜60μmが好ましい。平均粒径が60μm以下の小粒径のキャリアを用いることで、現像能力を低下させることなく、汲み上げ量を低減することができ、現像装置内で循環する現像剤量を低減することができる。特にストレスのかかる現像剤規制部材(ドクタ等)を通過する現像剤量が少なくなることから、長寿命化に寄与する。また、キャリアの低容量化がなされるため、キャリア貯蔵部等の装置の小型化が図れる。さらには現像領域における磁気ブラシがより緻密になるために高画質化や画質の安定性が達成される。なお、キャリアの平均粒径が60μmより大きいと現像剤循環部でオーバーフローが起きやすくなり、安定な現像剤の循環が行えない。また、キャリアの平均粒径が20μmより小さいと感光体にキャリアが付着したり、現像装置からキャリアが飛散しやすくなるという不具合が発生する。
キャリアの平均粒径測定については、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7[μm]以上、125[μm]以下のレンジ設定で行うことができる。
【0093】
[トナー特性について]
本発明の現像装置に用いる二成分現像剤のトナー特性のうち、トナーの粒径について、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。粒径が小さくかつ粒径分布のシャープなトナーを用いることで、トナー粒子間の間隙が小さくなるため、色再現性を損なうことなくトナーの必要付着量を低減することができる。よって現像における濃度変動を小さくすることができる。また、600dpi以上の微小なドット画像の安定再現性が向上し、長期間安定した高画質を得ることができる。一方、体積平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。体積平均粒径(D4)が8μmを超えると、画像のパイルハイトが大きくなり、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。また、同時に体積平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましく、1.00〜1.30の範囲にあればより好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。
このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0094】
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
【0095】
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0096】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0097】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図11、図12は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記の式(1)で表される。これはトナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
この形状係数SF−1の値が100の場合、トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0098】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記の式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
この形状係数SF−2の値が100の場合、トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0099】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナー間の接触状態が点接触となるためにトナー同士の吸着力は弱まり、したがって流動性が高くなる。ゆえに現像剤の循環性が向上するため、ストレスが小さくなり、長期的に安定した一方向循環を行うことが可能となる。また、トナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなり高画質化に寄与する。一方、形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、流動性が悪化し、現像剤の循環性が悪いために好ましくない。また転写率が低下するため好ましくない。
【0100】
本発明のトナーは、トナーの粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3mg/cm3以上の微粒子(以下、単に微粒子という)を付着させたものである。なお、通常の流動性向上剤にはシリカ等がよく用いられるが、例えば、このシリカの平均一次粒径は通常10〜30nm、嵩密度が0.1〜0.2mg/cm3である。
【0101】
本発明において、トナーの表面に適切な特性の微粒子が存在することで、トナー粒子と対象体との間に適度な空隙が形成される。また、微粒子は、トナー粒子、感光体、帯電付与部材との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、現像・転写効率の向上に有効である。また、現像剤の流動性が高まるためストレスの低減効果があり、長寿命化にも寄与する。さらに、コロの役割を果たすため、感光体を摩耗または損傷させることなく、クリーニングブレードと感光体との高ストレス(高荷重、高速度等)下でのクリーニングの際も、トナー粒子に埋没し難く、あるいは少々埋没しても離脱、復帰が可能であるので、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。さらに、トナーの表面から適度に脱離し、クリーニングブレードの先端部に蓄積し、いわゆるダム効果によって、ブレードからトナーが通過する現象を防止する効果がある。これらの特性は、トナー粒子の受けるシェアを低減させる作用を示すので、高速定着(低エネルギー定着)のためトナーに含有されている低レオロジー成分によるトナー自身のフィルミングの低減効果を発揮する。しかも、微粒子として、平均一次粒径が50〜500μmの範囲のものを用いると、十分にその優れたクリーニング性能を活かすことができる上、極めて小粒径であるため、トナーの粉体流動性を低下させることがない。さらに、詳細は明らかでないが、表面処理された微粒子はトナーに外部添加されても、仮にキャリアを汚染した場合においても現像剤劣化の度合が少ない。よって経時的にトナーの流動性および帯電性の変化が少ないため、長期的に現像剤の循環を安定に行うことができる。また、画質の安定性も高くなる。
【0102】
微粒子の平均一次粒径(以下、平均粒径という)は、50〜500nmのものが用いられ、特に100〜400nmのものが好ましい。50nm未満であると、微粒子がトナー表面の凹凸の凹部分に埋没してコロの役割を低下する場合が生じる。一方、500μmよりも大きいと、微粒子がブレードと感光体表面の間に位置した場合、トナー自身の接触面積と同レベルのオーダーとなり、クリーニングされるべきトナー粒子を通過させる、即ちクリーニング不良を発生させやすくなる。
また、嵩密度が0.3mg/cm3未満では、流動性向上への寄与はあるものの、トナー及び微粒子の飛散性および付着性が高くなるために、トナーのコロとしての効果や、クリーニング部で蓄積して、トナーのクリーニング不良を防止するいわゆるダム効果といった働きが低下してしまう。
【0103】
本発明の微粒子において、無機化合物としては、SiO、TiO、Al、MgO、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、BaO、CaO、K2O、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO、SrTiO等を例示することができ、好ましくは、SiO、TiO、Alがあげられる。特にこれら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。
【0104】
また,有機化合物の微粒子としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0105】
ビニル系樹脂の具体的な例としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0106】
なお、微粒子の嵩密度は下記の方法により測定した。100mlのメスシリンダーを用いて、微粒子を徐々に加え100mlにした。その際、振動は与えなかった。このメスシリンダーの微粒子を入れる前後の重量差により嵩密度を測定した。
嵩密度(g/cm3)=微粒子量(g/100ml)÷100
【0107】
本発明の微粒子を、トナー表面に外添加し付着させる方法としては、トナー母体粒子と微粒子を各種の公知の混合装置を用いて、機械的に混合して付着させる方法や、液相中でトナー母体粒子と微粒子を界面活性剤などで均一に分散させ、付着処理後、乾燥させる方法などがある。
【0108】
[現像剤供給手段について]
次に、未使用の現像剤を供給する現像剤供給手段と、現像装置内の劣化した現像剤を現像装置外に排出する現像剤排出手段とを備える現像装置の構成例を図13に示す。
まず、現像剤供給手段の一例について図13(a)を用いて説明する。
現像剤供給手段は、内部に未使用のトナーが収納されているトナー収納容器702を備えたトナー供給手段701とトナー補給制御手段703と、内部に未使用のキャリアが収納されているキャリア収納容器705を備えたキャリア供給手段704とキャリア補給制御手段706と、現像剤供給搬送路707とからなる。トナー収納容器702とキャリア収納容器705は搬送路の途中で合流し、現像剤として搬送され現像装置(例えば図6に示した構成の現像装置)504の現像剤供給口524につながっている。トナーの補給量はトナー補給手段701で、キャリア補給量はキャリア補給手段704でそれぞれ制御される。
【0109】
トナー補給手段701とキャリア補給手段704は、例えば回転体に穴が取り付けられており、回転体の回転によりシャッターが開閉されて、その回転数によりトナーもしくはキャリア補給量が制御されるようにすればよい。
現像装置504の攪拌搬送路510の下方には、トナー濃度センサー527が設けられており、このセンサー出力により現像剤の補給制御が行われる。補給量の制御は、トナーは画像によるトナー消費量に応じて行い、キャリアはキャリアの劣化度に応じてキャリアを補給する。また、キャリアの補給を行った場合には、現像剤排出手段(図示しないオーガ、スクリュ、コイル等)で劣化した現像剤を装置外の排出部に排出する。
【0110】
この方式によればトナーカートリッジの設置場所の制約が少ないため、画像形成装置内部のスペース配分に対し有利である。また、トナーが適時補給できるため、現像装置に大きなトナー貯留スペースを設けなくて済み、現像装置の小型化が図れる。
【0111】
次に現像剤供給手段を図13(b)の供給手段とする場合について説明する。
現像剤供給手段710は、内部に未使用の現像剤(トナーとキャリアが予め混合されている状態の現像剤)が収容されている現像剤収容容器711と、現像剤補給手段712、および現像剤供給搬送路713からなり、現像装置(例えば図6に示した構成の現像装置)504の現像剤供給口524につながっている。ここで未使用の現像剤は現像剤中のトナーの重量比(トナー濃度)で15wt%前後のトナーが混合されているものである。なお、このトナー濃度の値は限定するものではなく、現像装置や収納容器の容量や設定寿命等に合わせて適宜設定されるものである。現像剤補給量は補給手段で制御される。現像剤補給手段712は、例えば一軸偏心スクリューポンプ(通称:モーノポンプ)を使用することができる。現像装置504の攪拌搬送路の下方には、トナー濃度センサー527が設けられており、このセンサー出力により現像剤の補給制御が行われる。また、現像剤の補給が行われた場合には、現像剤排出手段(図示しないオーガ、スクリュ、コイル、スクリューポンプ等)で装置内の使用済現像剤を装置外の排出部に排出する。
【0112】
この方式によればトナーカートリッジの設置場所の制約が少ないため、画像形成装置内部のスペース配分に対し有利である。また、現像剤が適時補給できるため、現像装置に大きな現像剤貯留スペースを設けなくて済み、現像装置の小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に係る現像装置のトナー濃度変動を説明するための図であって、現像剤攪拌機構を上から見た模式図である。
【図2】本発明に係る現像装置の位相制御方法の説明図である。
【図3】本発明に係る現像装置の位相制御機構の説明図である。
【図4】本発明に係る現像装置の現像剤攪拌機構を上から見た模式図であり、現像剤攪拌機構の第1搬送部材と第2搬送部材のスクリュのピッチを変えた例を示す図である。
【図5】本発明が適用される2軸搬送タイプの現像装置の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明が適用される3軸搬送タイプの現像装置の一例を示す概略断面図である。
【図7】本発明が適用される3軸搬送タイプの現像装置の別の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明が適用される画像形成装置の一実施例を示す図であって、画像形成装置全体の内部構成を示した概略中央断面図である。
【図9】図17に示す画像形成装置に用いられる画像形成ユニットの構成例を示す概略構成図である。
【図10】本発明が適用される画像形成装置の別の実施例を示す図であって、画像形成装置の内部構成を示した概略中央断面図である。
【図11】形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図12】形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図13】本発明に係る現像装置の現像剤供給手段の構成説明図である。
【符号の説明】
【0114】
1(1Y,1C,1M,1K)、501、601:感光体(潜像担持体)
2:クリーニング装置
3:帯電装置
4:露光装置
5、400、504、604:現像装置
5a、401、505、605:現像剤担持体(現像ローラまたはスリーブ)
10Y,10C,10M,10K:プロセスカートリッジ
11:中間転写装置
12:中間転写ベルト(中間転写体)
16:紙転写装置(2次転写手段)
17:搬送装置
18:定着装置
20:第1像担持体ユニット
21:第1像担持ベルト(第1中間転写体)
22、32:1次転写ローラ(1次転写手段)
40:給紙装置
46:2次転写ローラ(2次転写手段)
47:転写チャージャ(2次転写手段)
50:記録材搬送装置(記録材搬送手段)
60:定着装置
80Y,80C,80M,80K:第1画像形成ユニット
81Y,81C,81M,81K:第2画像形成ユニット
402:供給回収用スクリュ(第1搬送部材))
403:攪拌搬送用スクリュ(第2搬送部材))
404:仕切り板
405:ドクタ(現像剤規制部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体上の潜像を現像し顕像化する現像装置であって、少なくとも互いに異なる方向に現像剤を搬送する2つの現像剤搬送部材と、該2つの現像剤搬送部材の間に配置された仕切り板とで構成され、トナーとキャリアからなる二成分現像剤の攪拌・帯電を行う現像剤攪拌機構を備えるとともに、トナー補給や現像によるトナー消費により空間的にトナー濃度変動している現像装置内の現像剤の流れに対し、所定の地点で分岐点を作り、該分岐点で分岐させた各々の現像剤を異なる経路を通過させることにより該現像剤中の周期的トナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させて位相制御を行なう位相制御機構を備える現像装置において、
前記位相制御機構として、前記現像剤攪拌機構中を現像剤が周回する第1の周回経路の周回時間に対して略半分の周回時間を持つ第2の周回経路を備え、かつ前記第1の周回経路と前記第2の周回経路は経路の一部分を共有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記第2の周回経路を形成する手段として、前記仕切り板の両端以外の箇所に開口部を設けることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の現像装置において、
前記現像剤攪拌機構に現像剤担持体が隣接し、該現像剤攪拌機構内の2つの現像剤搬送部材を、前記現像剤担持体から近い順に第1搬送部材、第2搬送部材と呼称したとき、少なくとも前記仕切り板の開口部付近において前記第1搬送部材側の剤面を前記第2搬送部材側の剤面よりも高くすることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置に用いられるキャリアであって、
体積平均粒径が20〜60μmであることを特徴とするキャリア。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置に用いられるトナーであって、
体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径と個数平均粒径との比が、1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とするトナー。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置に用いられるトナーであって、
形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とするトナー。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置に用いられるトナーであって、
トナー母体粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3g/cm以上の微粒子が外添加されていることを特徴とするトナー。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置に用いられる現像剤であって、
請求項4記載のキャリアと、請求項5〜7のいずれか1項に記載のトナーとを用いたことを特徴とする現像剤。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記現像剤として、請求項8に記載の現像剤を用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項10】
少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを一体に備えたプロセスカートリッジにおいて、
前記現像装置として、請求項1〜3、9のいずれか1項に記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項11】
少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを備えた画像形成装置において、
請求項1〜3、9のいずれか1項に記載の現像装置、あるいは請求項10に記載のプロセスカーリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11記載の画像形成装置において、
現像色の異なる複数の現像装置またはプロセスカートリッジを備え、記録材にカラー画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項11記載の画像形成装置において、
少なくとも潜像担持体と該潜像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットまたはプロセスカーリッジを複数備え、各画像形成ユニットまたはプロセスカーリッジで現像色の異なる画像を形成して記録材に直接、または中間転写体を介して転写し、記録材にカラー画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項11記載の画像形成装置において、
少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第1画像形成ユニット群と、該第1画像形成ユニット群にて形成された第1トナー像が転写され担持される第1中間転写体とからなる第1画像形成ステーションと、
少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第2画像形成ユニット群と、該第2画像形成ユニット群にて形成された第2トナー像が転写され担持される第2中間転写体とからなる第2画像形成ステーションと、を備え、
記録材の第1面に転写される第1トナー像は、前記第1画像形成ステーションにより形成され、記録材の第2面に転写される第2トナー像は、第2画像形成ステーションにより形成され、定着前において第1のトナー像と第2のトナー像が同時もしくは順次に記録材に転写されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−15051(P2009−15051A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177313(P2007−177313)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】