説明

現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置

【課題】現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材のうち少なくとも2つの搬送部材が現像剤担持体に対向するように設置されて、現像剤規制部材が現像剤担持体の下方に設置された現像装置において、現像剤規制部材に沿うように現像剤担持体上に汲上げられる現像剤の量を規制することができる、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像剤担持体13aは、複数の磁極H1〜H6のうち汲上げ磁極H6が、仕切り部材13dとの対向位置に対して現像剤担持体13あの回転方向下流側の位置から、現像剤規制部材13cとの対向位置に対して現像剤担持体13aの回転方向下流側の位置にかけて、1つ形成されている。そして、現像剤規制部材13cには、第1搬送経路に対向する側に突出する突起部13c1が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置とそこに設置される現像装置及びプロセスカートリッジとに関し、特に、現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材のうち少なくとも2つの搬送部材が現像剤担持体に対向するように配設されていて、現像領域の上流側で現像剤量を規制する現像剤規制部材が現像剤担持体の下方に配設された現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤(添加剤等を添加する場合も含むものとする。)を収容して現像工程をおこなう現像装置として、現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材のうち少なくとも2つの搬送部材を上下方向に設置したものを用いる技術が知られている(例えば、特許文献1〜4等参照。)。
【0003】
2成分現像剤を用いた現像装置は、現像装置内におけるトナー消費に応じて、現像装置の一部に設けられたトナー補給口から現像装置内に適宜にトナーが補給される。補給されたトナーは、現像装置内の現像剤とともに、搬送スクリュ等の搬送部材(撹拌搬送部材)によって撹拌・混合される。撹拌・混合された現像剤は、その一部が現像ローラ(現像剤担持体)に供給される。現像ローラに担持された現像剤は、現像ローラに対向するドクターブレード(現像剤規制部材)によって適量に規制された後に、その2成分現像剤中のトナーが感光体ドラム(像担持体)との対向位置で感光体ドラム上の潜像に付着する。
【0004】
特許文献1等における現像装置には、第1搬送部材(供給スクリュ)と第2搬送部材(回収スクリュ)とが上下方向に設置されていて、これらの搬送部材によって現像剤の循環経路を形成している。下方に設置された第1搬送部材は、現像剤を長手方向に搬送しながら、汲上げ磁極の位置で現像ローラに現像剤を供給する。上方に設置された第2搬送部材は、剤離れ磁極の位置で現像剤ローラから離脱された現像剤を長手方向(第1搬送部材による搬送方向とは逆方向である。)に搬送する。第1搬送部材による搬送経路(第1搬送経路)の下流側と第2搬送部材による搬送経路(第2搬送経路)の上流側とは第1中継部を介して連通している。そして、第1搬送経路の下流側に達した現像剤は、その位置に留まり押し上げられ、第2搬送経路の上流側に達する。ここで、第2搬送経路の上流側には、トナー補給口が設けられていて、新品のトナーが適宜に補給される。また、第1搬送経路の上流側と第2搬送経路の下流側とは第2中継部を介して連通している。そして、第2搬送経路の下流側に達した現像剤は、第2中継部を自重落下して第1搬送経路の上流側に移動される。
【0005】
このように複数の搬送部材が上下方向に並設された現像装置は、複数の搬送部材が水平方向に並設された現像装置(例えば、特許文献2の図19等参照)に比べて、現像装置を水平方向にコンパクト化することができる。そのために、複数の現像装置が水平方向に並設されるタンデム型のカラー画像形成装置においては、多く用いられている。また、複数の搬送部材を上下方向に並設して、現像剤担持体に対する現像剤の供給経路(第1搬送経路)と、現像剤担持体から離脱する現像剤の回収経路(第2搬送経路)と、を分離した現像装置は、複数の搬送部材が水平方向に並設された現像装置(例えば、特許文献2の図19等参照)に比べて、現像ローラ上に担持されて現像工程に供する現像剤中に現像工程後のものが含まれにくいために、像担持体上に形成するトナー像の濃度偏差を小さくすることができる。
【0006】
一方、特許文献4には、現像ローラと第1搬送部材との間であって、ドクターブレードの対向位置に対して現像ローラの回転方向上流側の位置に、現像ローラに汲み上げられる現像剤の量を規制する第2の現像剤規制部材を設置する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の現像装置は、現像剤担持体の下方に第1搬送経路や現像剤規制部材を設置した場合に、現像剤担持体上に形成する汲上げ磁極の形態(大きさ、位置、範囲等である。)によってのみ、現像剤担持体上に汲み上げられる現像剤の量(汲上げ量)を適量化するのが難しかった。
そして、現像剤の汲上げ量が多すぎてしまうと、現像剤担持体と現像剤規制部材との狭いギャップ(ドクターギャップ)に向けて送られる現像剤量が多くなって、現像ローラの駆動トルクが上昇しまう不具合や、現像剤の劣化が早まってしまう不具合等が生じてしまうことになる。これに対して、現像剤の汲上げ量が少なすぎてしまうと、像担持体との対向位置に向けて送られる現像剤量(トナー量)が不足して、像担持体上に形成されるトナー像の画像濃度が低下してしまう不具合が生じてしまうことになる。
【0008】
一方、特許文献4の技術は、現像ローラに汲み上げられる現像剤の量を規制する第2の現像剤規制部材を設置しているため、上述した問題を解決する効果が充分に期待できる。しかし、第2の現像剤規制部材が現像剤規制部材の対向位置に対して現像剤担持体の回転方向上流側の離れた位置に設置されているため、現像剤規制部材に沿うように現像剤担持体上に汲上げられる現像剤の量を規制するのが難しかった。
【0009】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材のうち少なくとも2つの搬送部材が現像剤担持体に対向するように設置されて、現像剤規制部材が現像剤担持体の下方に設置された現像装置において、現像剤規制部材に沿うように現像剤担持体上に汲上げられる現像剤の量を規制することができる、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の請求項1記載の発明にかかる現像装置は、キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成される潜像を現像する現像装置であって、前記像担持体に対向するとともに、周囲に複数の磁極が形成された現像剤担持体と、前記現像剤担持体の下方に対向するように配設されるとともに、前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、装置内に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材と、を備え、前記複数の搬送部材は、前記現像剤担持体に対向するとともに、現像剤を長手方向に搬送しながら前記現像剤担持体に現像剤を供給する第1搬送部材と、前記第1搬送部材の上方に配設されて前記現像剤担持体に対向するとともに、前記現像剤担持体から離脱された現像剤を長手方向に搬送する第2搬送部材と、を具備し、前記現像剤担持体に対向する位置に、前記第1搬送部材による第1搬送経路と前記第2搬送部材による第2搬送経路とを仕切る仕切り部材をさらに備え、前記現像剤担持体は、前記複数の磁極のうち、前記第1搬送経路にある現像剤を当該現像剤担持体上に汲み上げるための汲上げ磁極が、前記仕切り部材との対向位置に対して当該現像剤担持体の回転方向下流側の位置から、前記現像剤規制部材との対向位置に対して当該現像剤担持体の回転方向下流側の位置にかけて、1つ形成され、前記現像剤規制部材は、前記第1搬送経路に対向する側に突出する突起部を具備したものである。
【0011】
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、像担持体上をクリーニングするクリーニング部とのうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットと定義する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材のうち少なくとも2つの搬送部材が現像剤担持体に対向するように設置されて、現像剤規制部材が現像剤担持体の下方に設置された現像装置において、第1搬送経路に対向する側に突出する突起部を現像剤規制部材に設けているため、現像剤規制部材に沿うように現像剤担持体上に汲上げられる現像剤の量が規制される、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す構成図である。
【図3】(A)現像装置の上部を長手方向にみた概略断面図と、(B)現像装置の下部を長手方向にみた概略断面図と、である。
【図4】現像装置の循環経路を長手方向にみた概略断面図である。
【図5】現像装置を示す断面図である。
【図6】現像装置の第1搬送経路における、(A)搬送方向上流側を示す断面図と、(B)搬送方向下流側を示す断面図と、である。
【図7】ドクターブレードに設置される突起部を示す斜視図である。
【図8】ドクターブレードに突起部を設けなかった場合の、現像ローラに汲み上げられる現像剤の流動状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0015】
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、3は原稿を原稿読込部に搬送する原稿搬送部、4は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、5は出力画像が積載される排紙トレイ、6は原稿読込部4で読み込まれた画像情報を各色の感光体ドラム上に潜像として書き込む書込み部(露光部)、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ(タイミングローラ)、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される像担持体としての感光体ドラム、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像装置、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)、を示す。
また、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のカラートナー像を記録媒体P上に転写するための2次転写バイアスローラ、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、28は各色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナー(トナー粒子)を現像装置13に供給する各色のトナー容器、を示す。
【0016】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。なお、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上でおこなわれる作像プロセスについては、図2をも参照することができる。
まず、原稿は、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
【0017】
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス上の原稿の画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿にて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿のカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0018】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部6に送信される。そして、書込み部6からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(図2を参照できる。)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
【0019】
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12(図2を参照できる。)との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザ光Lの照射位置に達する。
書込み部6において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光Lは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0020】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0021】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0022】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像装置13との対向位置に達する。そして、各現像装置13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0023】
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0024】
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、図中の反時計方向に走行して、2次転写バイアスローラ18との対向位置に達する。そして、2次転写バイアスローラ18との対向位置で、記録媒体P上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部(不図示である。)の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0025】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写バイアスローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0026】
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、その後に定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラによって装置本体1外に出力画像として排出されて、排紙トレイ5上にスタックされて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0027】
次に、図2〜図7にて、画像形成装置における作像部について詳述する。
図2は、作像部を示す構成図である。図3(A)は現像装置13の上部(第2搬送部材としての第2搬送スクリュ13b2の位置である。)を長手方向にみた概略断面図(水平方向の断面図)であって、図3(B)は現像装置13の下部(第1搬送部材としての第1搬送スクリュ13b1の位置である。)を長手方向にみた概略断面図である。図4は、現像装置13の循環経路を長手方向にみた概略断面図(垂直方向の断面図)である。また、図5は、現像装置13を示す断面図(現像ローラ13aの回転中心軸に直交する断面図である。)である。さらに、図6(A)は現像装置13の第1搬送経路における搬送方向上流側を示す断面図であり、図6(B)は現像装置13の第1搬送経路における搬送方向下流側を示す断面図である。また、図7は、ドクターブレード13cに設置される突起部13c1を示す斜視図である。
なお、各作像部はほぼ同一構造であるために、図2〜図7にて作像部及び現像装置は符号のアルファベット(Y、C、M、BK)を除して図示する。
【0028】
図2に示すように、作像部は、像担持体としての感光体ドラム11、帯電部12、現像装置13(現像部)、クリーニング部15、等で構成される。
像担持体としての感光体ドラム11は、外径が30mm程度の負帯電の有機感光体であって、不図示の回転駆動機構によって反時計方向に回転駆動される。
【0029】
帯電部12は、芯金上に、ウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成した弾性を有する帯電ローラである。帯電部12の中抵抗層の材質としては、ウレタン、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものを用いることもできる。
クリーニング部15は、感光体ドラム11に摺接するクリーニングブレードが設置されていて、感光体ドラム11上の未転写トナーを機械的に除去・回収する。
【0030】
現像装置13は、現像剤担持体としての現像ローラ13aが感光体ドラム11に近接するように配置されていて、双方の対向部分には感光体ドラム11と磁気ブラシとが接触する現像領域(現像ニップ部)が形成される。現像装置13内には、トナーTとキャリアCとからなる現像剤G(2成分現像剤)が収容されている。そして、現像装置13は、感光体ドラム11上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する。)。なお、現像装置13の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0031】
図1を参照して、トナー容器28は、その内部に現像装置13内に供給するためのトナーTを収容している。具体的に、現像装置13に設置された磁気センサ13hによって検知されるトナー濃度(現像剤G中のトナーの割合である。)の情報に基いて、不図示のトナー補給装置を介して、トナー容器28から現像装置13内に向けてトナー補給口13eからトナーTを適宜に補給する。
なお、トナーTの補給は、トナー濃度の情報に限定されず、感光体ベルトや中間転写ベルト等に形成されたトナー像の反射率等から検知される画像濃度の情報に基づいて実施されてもよい。また、これらの異なる情報を組み合わせて、トナーTの補給の実施を判断してもよい。
また、現像装置13にトナーを補給するトナー補給装置(トナー補給手段)としては、搬送オーガを用いてトナーを搬送して補給するものや、スクリューポンプを用いてトナーを空気とともに搬送して補給するもの等、公知のものを用いることができる。
【0032】
以下、画像形成装置における現像装置13について詳述する。
図2〜図5を参照して、現像装置13は、現像剤担持体としての現像ローラ13a、搬送部材としての搬送スクリュ13b1、13b2(オーガスクリュ)、現像剤規制部材としてのドクターブレード13c、仕切り部材13d、トナー濃度検知手段としての磁気センサ13h、等で構成されている。
現像剤担持体としての現像ローラ13aは、外径が18mm程度の小径の現像ローラであって、アルミニウム、ステンレス、真鍮、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成してなるスリーブ13a2が不図示の回転駆動機構によって反時計方向に150〜600rpm程度で回転されるように構成されている。図3、図5を参照して、現像ローラ13aのスリーブ13a2内には、スリーブ13a2の周面に複数の磁極H1〜H6を形成するマグネット13a1が固設されている。現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、現像ローラ13aの矢印方向の回転にともなって搬送されて、ドクターブレード13c(現像剤規制部材)の位置に達する。そして、現像ローラ13a上の現像剤Gは、この位置で適量に規制された後に、感光体ドラム11との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム11上に形成された潜像にトナーが吸着される。
【0033】
図5は、マグネット13a1によって現像ローラ13a(スリーブ13a2)の周囲に形成される複数の磁極H1〜H6を示している。図5に示すように、複数の磁極は、感光体ドラム11との対向位置に形成された第1磁極H1(主磁極)、第1磁極H1の下流側であって現像ケースの上部にかかる位置に形成された第2磁極H2(第1搬送磁極)、第2磁極H2の下流側であって現像ローラ13aの上方に形成された第3磁極H3(第2搬送磁極)、第3磁極H3の下流側であって現像ローラ13aの斜め上方に形成された第4磁極H4(剤離れプレ磁極)、第4磁極H4と第6磁極H6とに挟まれる位置であって仕切り部材13dに対向する位置に形成された第5磁極H5(剤離れ磁極)、第1搬送スクリュ13b1との対向位置からドクターブレード13cとの対向位置の近傍にかけて形成された第6磁極H6(汲上げ磁極)、等で構成される。
まず、第6磁極H6(汲上げ磁極)が磁性体としてのキャリアに作用して、第1搬送経路に収容された現像剤Gが現像ローラ13a上に汲上げられる。現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、その一部がドクターブレード13c(現像剤規制部材)の位置で掻き取られて、第1搬送経路に戻される。一方、第6磁極H6による磁力が作用するドクターブレード13cの位置で、ドクターブレード13cと現像ローラ13aとのドクターギャップを通過して現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、第1磁極H1(主磁極)の位置で穂立ちして現像領域において磁気ブラシとなって感光体ドラム11に摺接する。こうして、現像ローラ13aに担持された現像剤G中のトナーTが感光体ドラム11上の潜像に付着する。その後、第1磁極H1の位置を通過した現像剤Gは、第2磁極H2、第3磁極H3、第4磁極H4によって第5磁極H5(剤離れ磁極)の位置まで搬送される。そして、剤離れ磁極H5の位置で、キャリアに作用する磁力が消失(又は、減少)して、現像ローラ13a上に担持されていた現像工程後の現像剤Gが現像ローラ13aから脱離される。脱離後の現像剤Gは、第2搬送経路内に落下して第2搬送スクリュ13b2によって第2搬送経路の下流に向けて搬送される。
【0034】
ここで、図5を参照して、上述した6つの磁極H1〜H6は、現像ローラ13aのマグネット13a1に着磁された5つの極(図5中、「N」又は「S」を付した部分である。)で形成されるものである。すなわち、6つの磁極H1〜H6のうち、第5磁極H5(剤離れ磁極)だけは、マグネット13a1に着磁された極によって直接的に形成されたものではなく、マグネット13a1を設置することなく(又は、マグネット13a1の磁力が極めて小さくなるように)形成されたものである。本実施の形態では、このようにしてキャリアに作用する磁力がゼロ(又は、極めて小さな値)になるように形成された第5磁極H5も「磁極」として扱うことにする。
【0035】
図2等を参照して、現像剤規制部材としてのドクターブレード13cは、現像ローラ13aの下方に配設された非磁性の板状部材(板金)である。そして、現像ローラ13aは図2の反時計方向に回転して、感光体ドラム11は図2の時計方向に回転する。
このような構成により、記録媒体Pの搬送経路の短縮化と、画像形成装置本体1の水平方向の小型化と、を目的として、中間転写ベルト17の下方に感光体ドラム11を配設した場合であっても、現像ギャップにおいて感光体ドラム11に対して現像ローラ13aの回転方向を順方向とすることができるために、ドクターブレード13cを現像ローラ13aの上方に配設して感光体ドラム11に対する現像ローラ13aの回転方向が逆方向になる場合に比べて、現像ギャップにおける現像時間を充分に確保することができて現像能力を高めることができる。
なお、本実施の形態におけるドクターブレード13c(現像剤規制部材)には、第1搬送経路に対向する側に突出する突起部13c1が形成されているが、これについては後で詳しく説明する。
【0036】
2つの搬送スクリュ13b1、13b2(搬送部材)は、現像装置13内に収容された現像剤Gを長手方向(図2の紙面垂直方向である。)に循環しながら撹拌・混合する。
第1搬送部材としての第1搬送スクリュ13b1は、現像ローラ13aに対向する位置に配設されていて、現像剤Gを長手方向(回転軸方向)に水平に搬送する(図3(B)の破線矢印に示す左方向の搬送である。)とともに、汲上げ磁極H6(第6磁極)の位置で現像ローラ13a上に現像剤Gを供給(図3(B)の白矢印方向の供給である。)する。第1搬送スクリュ13b1は、図2の反時計方向に回転する。
【0037】
第2搬送部材としての第2搬送スクリュ13b2は、第1搬送スクリュ13b1と現像ローラ13aとに対向する位置に配設されている。具体的には、第2搬送スクリュ13b2は、第1搬送スクリュ13b1の上方であって現像ローラ13aに対向する位置に配設されている。そして、現像ローラ13aから離脱した現像剤G(現像工程後に剤離れ磁極H5によって現像ローラ13a上から離脱された現像剤Gであって、図3(A)の白矢印方向に離脱するものある。)を長手方向に水平に搬送する(図3(A)の破線矢印に示す右方向の搬送である。)。なお、本実施の形態では、第2搬送スクリュ13b2の回転方向が、現像ローラ13aの回転方向に対して逆方向(図2の時計方向である。)になるように設定されている。
そして、第2搬送スクリュ13b2は、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の下流側から第1中継部13fを介して循環される現像剤Gを第1搬送部材13b1による搬送経路の上流側に第2中継部13gを介して搬送する(図3の一点鎖線矢印に示す搬送である。)。
2つの搬送スクリュ13b1、13b2は、現像ローラ13aや感光体ドラム11と同様に、回転軸がほぼ水平になるように配設されている。また、2つの搬送スクリュ13b1、13b2は、いずれも、軸径が6〜10mm程度の軸部に外径が20mm程度のスクリュ部(スクリュピッチ:40mm程度、条数:1条又は2条)が螺旋状に巻装されたものである。また、2つの搬送スクリュ13b1、13b2の回転数は、600〜800rpm程度に設定されている。
【0038】
なお、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路(第1搬送経路)と、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路(第2搬送経路)と、は壁部によって隔絶されている。
図3及び図4を参照して、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路(第2搬送経路)の下流側と、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路(第1搬送経路)の上流側と、は第2中継部13gを介して連通している。第2搬送スクリュ13b2による第2搬送経路の下流側に達した現像剤Gが、第2中継部13gにて自重落下して、第1搬送経路の上流側に達することになる。
また、図3及び図4を参照して、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の下流側と、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路の上流側と、は第1中継部13fを介して連通している。そして、第1搬送スクリュ13b1による第1搬送経路にて現像ローラ13a上に供給されなかった現像剤Gが、第1中継部13fの近傍に留まって盛り上がって、第1中継部13fを介して第2搬送スクリュ13b2による第2搬送経路の上流側に搬送(供給)されることになる。
なお、第1中継部13fにおける現像剤の搬送性(第1搬送経路から第2搬送経路への重力方向に逆らった現像剤の受け渡しである。)を向上させるために、第1搬送スクリュ13b1の下流側の位置(第1中継部13fに対応する位置である。)に、パドル形状部や、スクリュの巻き方向が逆方向に形成されたスクリュ部、を設けることもできる。
【0039】
このような構成により、2つの搬送スクリュ13b1、13b2によって、現像装置13において現像剤Gを長手方向に循環させる循環経路が形成されることになる。すなわち、現像装置13が稼動されると、装置内に収容された現像剤Gは図3及び図4中の破線矢印の方向に流動する。そして、このように、現像ローラ13aに対する現像剤Gの供給経路(第1搬送スクリュ13a1による第1搬送経路である。)と、現像ローラ13aから離脱する現像剤Gの回収経路(第2搬送スクリュ13a2による第2搬送経路である。)と、を分離することで、感光体ドラム11上に形成するトナー像の濃度偏差を小さくすることができる。
【0040】
なお、図2、図3(A)を参照して、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路中(第2搬送スクリュ13b2の下方であって、搬送経路上流側の位置である。)には、装置内を循環する現像剤のトナー濃度を検知する磁気センサ13h(トナー濃度検知手段)が設置されている。そして、磁気センサによって検知されるトナー濃度の情報に基いて、トナー容器28からトナー補給口13e(第1中継部13fの近傍に配設されている。)を介して現像装置13内に向けて新品のトナーTが供給される。
【0041】
さらに詳しくは、トナー濃度検知手段としての磁気センサ13hは、現像剤G中の磁性体であるキャリアCと非磁性体であるトナーTとの割合を磁気率の変化から検出することで、現像剤Gのトナー濃度を検知するものである。具体的に、トナー濃度が高くなると磁気センサ13hのセンサ出力値Vt(ボルト)は小さくなり、トナー濃度が低くなると磁気センサ13hのセンサ出力値Vt(ボルト)は大きくなる。すなわち、トナー濃度が変化すると磁気センサ13hのセンサ出力値Vtが比例して変化する。
そして、磁気センサ13hの検知結果が設定値(例えば、トナー濃度:7.0重量%である。)を下回ったときに、磁気センサ13hの検知結果がその設定値になるように、トナー補給装置(トナー容器28)から現像装置13の内部に向けてトナーが補給される。具体的に、このトナー濃度の設定値(狙いの値)は、磁気センサ13hのセンサ出力値の基準値Vr(ボルト)として設定される。したがって、磁気センサ13hの出力値Vtが基準値Vr(例えば、3.0ボルトである。)よりも高くなったときに、磁気センサ13hの出力値Vtが基準値Vrになるように、制御部による制御によってトナー補給装置から現像装置13の内部に向けてトナーが補給されることになる。
【0042】
また、図3、図4を参照して、トナー補給口13eは、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路の上流側の上方であって、現像領域から離れた位置(現像ローラ13aの長手方向の範囲の外側である。)に配設されている。このようにトナー補給口13eを第1中継部13fの近傍に設置することで、第2搬送経路において、現像ローラ13aから離脱した現像剤が比重の小さい補給トナーの上方から降りかかり、第2搬送経路の下流側に向けて比較的長い時間をかけて現像剤に対して補給トナーの分散・混合を充分におこなうことができる。
なお、本実施の形態では、トナー補給口13eを第2搬送スクリュ13a2による搬送経路中に配設したが、トナー補給口13eの位置はこれに限定されることなく、例えば、第1搬送経路の上流側の上方に配置することもできる。
【0043】
また、図4を参照して、第1搬送経路では、現像剤を長手方向に搬送しながら現像ローラ13aへの現像剤の供給をおこなうために、第1中継部13fの近傍を除き、上流側から下流側に向かうにしたがって現像剤Gの剤面が低くなっていく。そして、第1搬送経路において、下流側(図4中の左方である。)で現像剤Gの剤面が低くなりすぎてしまうと、第1搬送スクリュ13b1から現像ローラ13aに対して現像剤Gの供給がされにくくなる不具合(このような現象を「現像剤の汲上げ不良」という。)が生じてしまうことになる。なお、本実施の形態では、このような下流側での「現像剤の汲上げ不良」の発生を防止するために、現像ローラ13aの汲上げ磁極H6の磁力(磁束密度)を比較的大きめに設定している。
これに対して、第2搬送経路では、現像剤を長手方向に搬送しながら現像ローラ13aから離脱した現像剤の回収をおこなうために、上流側から下流側に向かうにしたがって現像剤Gの剤面が高くなっていく。
【0044】
また、図2、図5を参照して、本実施の形態における現像装置13には、現像ローラ13aに対向する位置に、第1搬送経路と第2搬送経路とを仕切る仕切り部材13d(分離板)が設けられている。換言すると、現像ローラ13aに対向する位置であって、第1搬送経路と第2搬送経路との間に、現像ローラ13aから離脱された現像剤Gが現像ローラ13aに再び担持されるのを低減するための仕切り部材13dが設けられている。
詳しくは、仕切り部材13dは、第1搬送経路と第2搬送経路とを隔絶する壁部として機能していて、現像ローラ13aに向けて突出するように形成されている。また、仕切り部材13dは、現像ケース(図2においてハッチングで示すケース部材である。)と一体的に形成されている。
【0045】
以下、本実施の形態において用いられる現像剤Gについて、簡単に説明する。
本実施の形態において用いられるトナーT(現像剤G中のトナー、トナー容器28中のトナーである。)は、重合トナーであって、結着樹脂として、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、又は、それらを複合したもの、等を用いることができる。また、これらの重合トナーの製造方法(重合方法)としては、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等を用いることができる。
また、トナーTの外添剤としては、無機微粒子(例えば、シリカ1.0重量%、酸化チタン0.5重量%のものである。)を用いることが好ましい。さらに、離型剤として、酸化ライスワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、等を用いることができる。また、必要に応じて、帯電制御剤を含有させることもできる。
また、本実施の形態において用いられるトナーTは、体積平均粒径が5.8μmのものであり、粒径が5μm以下のものが60〜80個数%になるように形成されている。
なお、本実施の形態では重合トナーを用いたが、粉砕トナーを用いることもできる。
【0046】
さらに、本実施の形態では、トナーTとして、形状係数SF−1が100〜180の範囲になって、形状係数SF−2が100〜180の範囲になるように形成された略球形トナーを用いている。これにより、トナーの流動性が向上して、第1搬送経路における「汲み上げ不良」や、第2搬送経路における「連れ回り」が生じにくくなる。さらには、高い転写効率を維持しつつ、クリーニング性能の低下を抑止することができる。
ここで、形状係数SF−1は、トナー粒子の球形度を示すものであり、次式で求まる。
SF−1=(M2/S)×(100π/4)
上式において、Mはトナー粒子の投影面における最大粒径(まばらな粒径の中で最も大きな粒径である。)であり、Sはトナー粒子の投影面の面積である。したがって、形状係数SF−1が100であるトナー粒子は真球であって、100から大きくなるほど球形度が低くなる。
また、形状係数SF−2は、トナー粒子の凹凸度を示すものであり、次式で求まる。
SF−2=(N2/S)×(100/4π)
上式において、Nはトナー粒子の投影面における周長であり、Sはトナー粒子の投影面の面積である。したがって、形状係数SF−2が100であるトナー粒子は凹凸がなくて、100から大きくなるほど凹凸が大きくなる。
なお、形状係数SF−1及び形状係数SF−2は、走査型電子顕微鏡「S−800」(日立製作所社製)にて撮影したトナー粒子の写真を、画像解析装置「LUSEX3」(ニレコ社製)にて解析して求める。
【0047】
また、現像剤G中のキャリアCは、重量平均粒径が20〜60μmになるように形成されたものである。なお、本実施の形態では、重量平均粒径が35μmのキャリアCを用いている。
詳しくは、キャリアCは、芯材となるフェライト粒子に、膜厚が0.5μmのメチルメタクリレート樹脂(MMA)をコートして、上述した粒径になるように形成したものである。また、キャリアCとしては、マグネタイトを芯材としたコーティングキャリアを用いることもできる。
このような小粒径のキャリアCを用いることで、出力画像のベタ均一性やハーフトーン画質を向上させることができる。
また、本実施の形態では、初期剤としての現像剤Gのトナー濃度が7.0重量%に設定されている。
【0048】
以下、本実施の形態の画像形成装置1における現像装置13において、特徴的な構成・動作について説明する。
先に図5等を用いて説明したように、現像ローラ13a上に形成された複数の磁極H1〜H6には、第1搬送経路にある現像剤Gを現像ローラ13a上に汲み上げるための汲上げ磁極H6(第6磁極)が1つ形成されている。この汲上げ磁極H6(第6磁極)は、仕切り部材13dとの対向位置に対して現像ローラ13a(現像剤担持体)の回転方向下流側の位置から、ドクターブレード13c(現像剤規制部材)との対向位置に対して現像ローラ13aの回転方向下流側の位置にかけて形成されている。すなわち、現像ローラ13aの回転方向に沿って、仕切り部材13dとの対向位置からドクターブレード13cとの対向位置までの間(第1搬送経路に対向する領域)には、キャリアに作用する磁極として、汲上げ磁極H6(第6磁極)のみが形成されている。このように汲上げ磁極H6を1つの磁極のみで形成することで、現像剤を汲上げるための範囲(現像ローラ13aの回転方向に沿った範囲である。)を比較的狭くすることができる。
【0049】
また、この汲上げ磁極H6(第6磁極)は、先に図4を用いて説明したように、第1搬送経路の下流側での「現像剤の汲上げ不良」の発生を防止する余裕度を担保するために、キャリアに作用する磁力(磁束密度)を比較的大きめに設定している。これにより、第1搬送経路の下流側に対応する部分で現像剤の汲上げ量が少なくなって、感光体ドラム11上に形成されるトナー像の画像濃度が低下してしまう不具合が生じにくくなる。その反面、そのままでは、特に第1搬送経路の上流側に対応する部分で、現像ローラ13a上における現像剤の汲上げ量が多くなってしまうために、ドクターブレード13cによって現像剤量が適量化されるものの、現像ローラ13aとドクターブレード13cとの狭いギャップ(ドクターギャップ)に向けて送られる現像剤量が多くなって、現像ローラ13aの駆動トルクが上昇しまう不具合や、現像剤の劣化が早まってしまう不具合等が生じてしまうことになる。
【0050】
そして、本実施の形態では、このように現像ローラ13a上における現像剤の汲上げ量が多くなってしまう不具合を防止するために、ドクターブレード13c(現像剤規制部材)に突起部13c1を形成している。
詳しくは、図5等を参照して、現像剤規制部材としてのドクターブレード13cには、第1搬送経路(第1搬送スクリュ13b1)に対向する側に突出する突起部13c1が形成されている。具体的に、板金からなるドクターブレード13cにおける対向面(第1搬送経路に対向する対向面である。)に、凸状の突起部13c1が両面テープや接着剤等によって設置されている。
【0051】
このようにドクターブレード13cの内側に突起部13c1を設けることで、ドクターブレード13cの対向面に沿うように現像ローラ13a上に汲上げられる現像剤Gの量が規制されることになる。
すなわち、図8を参照して、ドクターブレード130cに突起部13c1が設けられていない場合には、汲上げ磁極H6による磁力によって現像ローラ13a上に汲上げられる現像剤のうち、ドクターブレード130cの対向面に沿うように現像ローラ13a上に汲上げられる現像剤が比較的多くなってしまって、現像ローラ13a上において現像剤の汲上げ量が全体的に多くなってしまう。
これに対して、本実施の形態では、図5に示すように、ドクターブレード13cに突起部13c1が設けているために、汲上げ磁極H6による磁力によって現像ローラ13a上に汲上げられる現像剤のうち、ドクターブレード13cの対向面に沿うように現像ローラ13aに向けて移動する現像剤が突起部13c1に衝突して、そのほとんどが現像ローラ13a上に汲み上げられないことになる。これにより、現像ローラ13a上における現像剤の汲上げ量が適量に調整されることになる。なお、突起部13c1に衝突した後の現像剤は、そのほとんどが、第1搬送経路内に落下して戻されることになる。
【0052】
ここで、本実施の形態において、突起部13c1は、その頂部からドクターギャップの位置(ドクターブレード13cが現像ローラ13aに対向する対向位置である。)に近づくにつれて、第1搬送経路に向けて突出する突起量Bが漸減するように形成されている。すなわち、突起部13c1は、長手方向に直交する断面の形状が、頂部からドクターギャップの位置に向けてなだらかな放物線を描くように形成されている。
さらに詳しくは、突起部13c1は、ドクターギャップの位置(ドクターブレード13cが対向する現像ローラ13aの対向位置である。)における仮想接線に対して平行する方向に楕円弧状(又は、円弧状)に突出するように形成されている。すなわち、突起部13c1は、長手方向に直交する断面の形状が、楕円弧状(又は、円弧状)に形成されている。
このように突起部13c1を形成することで、突起部13c1に衝突することなく、汲上げ磁極H6によって現像ローラ13a上に直接的に汲み上げられた現像剤(又は、汲み上げられるように移動する現像剤)が、ドクターギャップに向けてスムーズに導かれることになる。そのため、ドクターギャップの近傍において現像剤が滞留する不具合や、ドクターギャップに入り込む現像剤に大きなストレスがかかる不具合等が軽減されることになる。
また、突起部13c1に衝突した後の現像剤も、突起部13c1の近傍に滞留することなく、第1搬送経路内に戻りやすくなる。
【0053】
また、本実施の形態において、突起部13c1は、非磁性金属材料や樹脂材料等の非磁性材料で形成されている。
これにより、汲上げ磁極H6に対して、突起部13c1が磁気的に影響する不具合を防止することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、図6及び図7を参照して、突起部13c1は、第1搬送経路における搬送方向上流側(図4の右方である。)において第1搬送経路に向けて突出する突起量B1が、第1搬送経路における搬送方向下流側(図4の左方である。)において第1搬送経路に向けて突出する突起量B2に比べて大きくなるように形成されている(B1>B2である。)。具体的には、図7に示すように、突起部13c1は、上流側から下流側に向けて突起量Bが漸減するように形成されている。
これは、先に図4を用いて説明したように、第1搬送経路では、上流側から下流側に向かうにしたがって現像剤Gの剤面が低くなっていくためである。すなわち、現像ローラ13a上における現像剤の汲上げ量は、第1搬送経路の上流側に対応する部分に比べて、第1搬送経路の下流側に対応する部分が少なくなってしまう。そのため、図6(A)に示すように、第1搬送経路の上流側では、突起部13c1の突起量B1を大きくして、ドクターブレード13cに沿って移動する現像剤を積極的に規制して、現像ローラ13aに汲上げられる現像剤量を適量化している。これに対して、図6(B)に示すように、第1搬送経路の下流側では、突起部13c1の突起量B2を小さくして、ドクターブレード13cに沿って移動する現像剤に対する規制を弱めて、現像ローラ13aに汲上げられる現像剤量を適量化している。
このように構成することで、現像ローラ13aに汲上げられる現像剤量が、長手方向にわたって、ほぼ均一に適量化されることになる。
【0055】
なお、本願発明者が、本実施の形態における現像装置13(ドクターブレード13cに突起部13c1が形成されたものである。)の駆動トルクと、従来の現像装置13(図8に示すものであって、ドクターブレード130cに突起部が形成されていないものである。)の駆動トルクと、を測定して比較したところ、前者のものが後者のものに対して10〜15%ほど駆動トルクが低下していることを確認した。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態では、現像剤Gを長手方向に搬送して循環経路を形成する2つの搬送スクリュ13b1、13b2(搬送部材)が現像ローラ13a(現像剤担持体)に対向するように設置されて、ドクターブレード13c(現像剤規制部材)が現像ローラ13aの下方に設置された現像装置13において、第1搬送経路に対向する側に突出する突起部13c1をドクターブレード13cに設けているため、ドクターブレード13cに沿うように現像ローラ13a上に汲上げられる現像剤Gの量を規制することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、トナー容器28から現像装置13に向けてトナーTを供給したが、トナー容器(現像剤容器)から現像剤G(トナーT及びキャリアC)を現像装置13に向けて供給することもできる。その場合、現像装置13から余剰の現像剤を適宜に排出する手段を設けることになる。このような場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、本実施の形態においては、現像装置13が単体で画像形成装置本体に着脱されるユニットして構成されている画像形成装置に対して、本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、作像部の一部又は全部がプロセスカートリッジ化されている画像形成装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。その場合、作像部のメンテナンスの作業性が向上することになる。
【0059】
また、本実施の形態では、搬送部材としての搬送スクリュが2つ設置された現像装置13に対して本発明を適用したが、搬送スクリュが3つ以上設置されていてそのうち少なくとも2つの搬送スクリュが現像ローラ13aに対向するように設置された現像装置に対しても本発明を適用することができる。また、本実施の形態では、現像ローラ13aの周りに形成される磁極H1〜H6の数を6つとしたが、現像ローラ13aの周りに形成される磁極の数を5つ以下又は7つ以上とすることもできる。
それらの場合にも、ドクターブレード13cの内側の対向面に突起部13c1を設けることで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、本実施の形態では、突起部13c1をドクターブレード13cとは別部品として、ドクターブレード13cの本体部分に突起部13c1を接合するように構成したが、ドクターブレード13cに突起部13c1を予め一体的に形成するように構成することもできる。
そして、その場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
11、11Y、11C、11M、11BK 感光体ドラム(像担持体)、
13 現像装置(現像部)、
13a 現像ローラ(現像剤担持体)、
13b1 第1搬送スクリュ(第1搬送部材)、
13b2 第2搬送スクリュ(第2搬送部材)、
13c ドクターブレード(現像剤規制部材)、
13c1 突起部、
13d 仕切り部材、
G 現像剤(2成分現像剤)、 T トナー、 C キャリア。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開平11−174810号公報
【特許文献2】特開2008−26408号公報
【特許文献3】特許第3950735号公報
【特許文献4】特開2011−59382号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成される潜像を現像する現像装置であって、
前記像担持体に対向するとともに、周囲に複数の磁極が形成された現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の下方に対向するように配設されるとともに、前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
装置内に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材と、
を備え、
前記複数の搬送部材は、
前記現像剤担持体に対向するとともに、現像剤を長手方向に搬送しながら前記現像剤担持体に現像剤を供給する第1搬送部材と、
前記第1搬送部材の上方に配設されて前記現像剤担持体に対向するとともに、前記現像剤担持体から離脱された現像剤を長手方向に搬送する第2搬送部材と、
を具備し、
前記現像剤担持体に対向する位置に、前記第1搬送部材による第1搬送経路と前記第2搬送部材による第2搬送経路とを仕切る仕切り部材をさらに備え、
前記現像剤担持体は、前記複数の磁極のうち、前記第1搬送経路にある現像剤を当該現像剤担持体上に汲み上げるための汲上げ磁極が、前記仕切り部材との対向位置に対して当該現像剤担持体の回転方向下流側の位置から、前記現像剤規制部材との対向位置に対して当該現像剤担持体の回転方向下流側の位置にかけて、1つ形成され、
前記現像剤規制部材は、前記第1搬送経路に対向する側に突出する突起部を具備したことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記突起部は、前記第1搬送経路における搬送方向上流側において前記第1搬送経路に向けて突出する突起量が、前記第1搬送経路における搬送方向下流側において前記第1搬送経路に向けて突出する突起量に比べて大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記突起部は、その頂部から前記現像剤規制部材が前記現像剤担持体に対向する対向位置に近づくにつれて前記第1搬送経路に向けて突出する突起量が漸減するように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記突起部は、前記現像剤規制部材が対向する前記現像剤担持体の対向位置における仮想接線に対して平行する方向に円弧状又は楕円弧状に突出するように形成されたことを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記突起部は、非磁性材料で形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とが一体化されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−61458(P2013−61458A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199431(P2011−199431)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】