現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
【課題】印刷状況に応じて攪拌フィンを回転させて攪拌力を向上させたり、攪拌フィンを停止させて現像剤へのストレスを最小限に抑えたりする攪拌ローラ構成を提案する。
【解決手段】潜像担持体に対向配置されるべき現像ローラの長手方向と平行に延在する現像剤循環搬送通路を装置ハウジング内に形成した2成分系現像装置であって、前記現像剤循環搬送経路に沿って、現像剤を長手方向に搬送する現像剤搬送スクリュと現像剤を長手方向に直交する方向で攪拌する現像剤攪拌フィンとが、それらの回転軸が同一直線上ながら別々であるように設けられ、現像剤搬送スクリュと現像剤攪拌フィンとは互いに独立して回転/停止を切り換え可能とする。
【解決手段】潜像担持体に対向配置されるべき現像ローラの長手方向と平行に延在する現像剤循環搬送通路を装置ハウジング内に形成した2成分系現像装置であって、前記現像剤循環搬送経路に沿って、現像剤を長手方向に搬送する現像剤搬送スクリュと現像剤を長手方向に直交する方向で攪拌する現像剤攪拌フィンとが、それらの回転軸が同一直線上ながら別々であるように設けられ、現像剤搬送スクリュと現像剤攪拌フィンとは互いに独立して回転/停止を切り換え可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2成分現像剤を用いた電子写真方式の現像装置、この現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び複写機、プリンタ、ファクシミリ又はそれらの機能を併せ持った複合機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やプリンタでは、潜像担持体である感光体上にレーザー光を用いて書き込んだ静電潜像に、現像装置でトナーを付着させて可視化する。乾式2成分現像方式の場合には、トナー(着色した樹脂の粉末)とキャリア(磁性体)を混合して摩擦帯電させた現像剤を用いる。現像剤は、マグネットを仕込まれた現像ローラの表面に磁力で汲み上げられ、現像ローラ上で磁気穂を形成する。現像ローラと感光体が近接する現像ニップ部には現像バイアスが印加され、磁気穂上のトナーが静電的に感光体に引き寄せられ、感光体上にトナーが付着する。トナーを消費した現像剤は、外部に連通したトナー補給口の範囲に搬送されてトナーの補給を受けた後、再び現像ローラの範囲に搬送されて汲み上げられる。
【0003】
このように現像剤を現像ローラとトナー補給口の間で循環させるために、現像剤の循環搬送通路を設け、搬送通路内にある螺旋状の搬送スクリュで現像剤の搬送と攪拌による摩擦帯電を行う、という構成の現像装置が一般的に知られている。
【0004】
このような現像装置を備えた画像形成装置を用いて長時間連続で印刷すると、駆動部の発熱などにより現像装置の温度が上昇し、現像剤が搬送通路内で溶融してしまうという問題があった。連続印刷時の温度上昇に対しては、冷却ファンやダクトを用いて空冷する構成が一般的に知られているが、近年はOA機器の省エネ性への要望が強く、定着ユニットのヒータの消費電力を抑えるために、低温で転写紙に定着できるトナーの開発が進んでおり、従来からの印刷速度の高速化の流れで駆動部の発熱量が増大し、かつ低温定着トナーの使用で現像剤が低温でも溶融し易くなったことで、従来の冷却ファンやダクトによる空冷だけでは不十分になってきた。更に、夏場に空調が効いていない部屋や、直射日光が差し込む部屋に長時間放置されると、同様に温度が上昇し現像剤が現像装置内で溶融してしまうという問題があった。
【0005】
現像剤が溶融すると凝集体(所謂ダマ)を形成し、これが転写紙に付着することで斑点状や流星状の異常画像を形成する。また、凝集体が現像ローラとドクターブレード(現像ローラへの現像剤の汲み上げ量を規制するブレード)の隙間に詰まると、白スジ状の異常画像となる。最悪の場合、現像剤が固化して循環搬送通路を詰まらせ、搬送スクリュを破壊してしまう。
【0006】
また、次のような問題も認識されている。現像装置内の現像剤は、印刷中は搬送スクリュで攪拌されて、嵩密度が低い状態にある(現像剤の間に気泡が入り、フカフカな状態)。一方、長時間停止していた現像装置で印刷を開始した場合、開始直後は一時的に現像剤の嵩密度が上昇している(現像剤の間にある気泡が抜けて、ギュッと詰まった状態)。このように、現像剤の嵩密度が変動することで、現像ローラへの現像剤の汲み上げ量が変わり、画像濃度が安定しないという問題があった。
【0007】
また、現像剤のトナー濃度をキャリアの透磁率で測定するTセンサを搭載し、その検出値をトナー補給装置にフィードバックして現像剤のトナー濃度を一定に保つ構成が一般的であるが、このようなTセンサを搭載した構成では、現像剤の嵩密度の変動はトナー濃度の検知ズレに繋がる。長時間停止後に嵩密度が上昇することで、Tセンサが現像剤のトナー濃度を低めにずれて検知してしまい(Tセンサにとって、嵩密度が高い状態はトナー濃度が低下した状態と同じである)、過剰にトナー補給が行われてしまうという問題があった。過剰なトナー補給は、画像濃度の変動や地肌汚れ、トナー飛散などの異常に繋がる。
【0008】
更に別の問題もある。すなわち、現像装置内の現像剤のトナー濃度が高い状態で、トナー補給口から新たにトナーを補給すると、補給されたトナーが現像剤の上に浮いたまま搬送されてしまい、現像剤の中に混ざり難いという問題である。このような補給トナーは帯電が不十分であり、現像ローラに汲み上げられると局所的な画像濃度の変動や地肌汚れ、トナー飛散などの異常が発生する。
【0009】
これらの問題点に対する対処のため、トナー補給口の直下に、回転軸に対して螺旋状に周設されたスクリュ羽根(搬送スクリュ)の形成域と、回転軸に対して放射状に延在する攪拌羽根(攪拌フィン)の形成域とを軸方向に交互に備えた攪拌ローラを設けた構成が特許文献1において知られている。螺旋状に周設された搬送スクリュは搬送力を持つ反面、攪拌力が小さいという欠点があったので、放射状状に延在する攪拌フィンを追加することで、現像剤を攪拌する力を向上させている。すなわち凝集体を崩したり、現像剤の固化を防止したり、長時間放置後もすぐに現像剤を嵩密度の低い定常状態に持っていったり、補給トナーを現像剤中に混ぜ込んだりすることに一定の効果が期待できる。
【0010】
しかし、放射状に延在する攪拌フィンは現像剤の搬送方向に対して直交する方向に力を加えるため、現像剤へのストレスが強いという副作用がある。具体的には現像剤中のトナーの外添剤(流動性や帯電性を向上させるために、トナー表面にまぶすシリカなどの微粒子)が埋没・遊離したり、キャリア表面のコート層が傷付いたりする。すると、現像剤の帯電量の低下による地肌汚れ、トナー飛散や、転写性の悪化によるボソツキ画像などの異常が発生する。特に画像面積率の低い画像を大量に印刷する場合には、トナーの消費量が少ないため、同じトナーが現像装置内で長時間攪拌され続けることになり、トナーの外添剤の埋没・遊離による地肌汚れ、トナー飛散、ボソツキ画像が顕著に悪化する傾向がある。このような印刷を行う場合には、むしろ攪拌力を低下させて、現像剤へのストレスを低減させた方がよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、印刷状況に応じて攪拌フィンを回転させて攪拌力を向上させたり、攪拌フィンを停止させて現像剤へのストレスを最小限に抑えたりする攪拌ローラ構成を提案することを課題とし、これによって、いかなる状況でも異常画像を防止し高画質な印刷を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、潜像担持体に対向配置されるべき現像ローラの長手方向と平行に延在する現像剤循環搬送通路を装置ハウジング内に形成した2成分系現像装置であって、前記現像剤循環搬送経路に沿って、現像剤を長手方向に搬送する現像剤搬送スクリュと現像剤を長手方向に直交する方向で攪拌する現像剤攪拌フィンとが、それらの回転軸が同一直線上に位置しながら別々であるように設けられ、現像剤搬送スクリュと現像剤攪拌フィンとは互いに独立して駆動(回転)/停止を切り換え可能とすることによって、解決される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現像剤攪拌フィンを現像剤搬送スクリュと独立して駆動・停止を切り換えることができることによって、印刷状況に応じて現像剤の攪拌作用を高める必要があるときと、現像剤へのストレスを低減させて、連続印刷時の温度上昇による斑点、流星、白スジ、搬送経路詰まりや低画像面積率での印刷時の地肌汚れ、トナー飛散、ボソツキの発生を回避すべきときの両方に対応することができ、常に異常のない高画質な画像形成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る現像装置の概略図である。
【図3】本発明の特徴構成を示す現像装置の概念平面図である。
【図4】作像温度センサの検知温度と現像剤攪拌フィンの回転/停止のタイミング並びに現像剤中の凝集体量の変化の関係を示すグラフである。
【図5】現像装置の駆動/停止と現像剤攪拌フィンの回転/停止の関係、並びに現像装置の停止時間が長くなる場合のトナー濃度センサの検知ズレを示すグラフである。
【図6】トナー濃度センサによる検出値と現像剤攪拌フィンの回転/停止の関係、並びに検出値が高い場合に現像剤攪拌フィンの有無によって画像濃度偏差の違いを示すグラフである。
【図7】サーモカラーセンサを備える現像装置の概略斜視図である。
【図8】サーモカラーセンサが発色した様子を示す概略斜視図である。
【図9】サーモカラーセンサを交換する様子を示す概略斜視図である。
【図10】バイメタルサーモスタットを備える現像装置の概略斜視図である。
【図11】バイメタルサーモスタットを復帰させる様子を示す概略斜視図である。
【図12】蓄電池により電源オフ時の温度履歴を検知する構成を示す図で、図12aは通電中の様子であり、図12bは非通電時の様子である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタの全体構成を示す概略図である。プリンタは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す:表示の簡略化のため、以下ではこれら略号を省略することもある)のトナー像を生成するための4つの画像形成ユニット1Y、1C、1M、1Kを備えている。これら画像形成ユニット1は、画像を形成する画像形成物質として互いに異なる色のYトナー、Cトナー、Mトナー、Kトナーを用いるが、それ以外は同じ構成になっている。Yトナーの画像形成ユニット1Yを例にとって説明すると、図2に示すように、画像形成ユニット1Yは、潜像担持体であるドラム状の感光体3Yを有する感光体ユニット2Yと、感光体3Y上の潜像を現像する現像装置としての現像ユニット7Yとで構成されており、プリンタ本体に対して一体的に着脱可能であり、プリンタ本体から取り外した状態では、現像ユニット7Yを感光体ユニット2Yに対して着脱することができるようになっている。つまり、図1で示されるプリンタでは、画像形成ユニットがプロセスカートリッジとして構成されている。
【0016】
図2において、感光体ユニット2Yは、感光体3Y、ドラムクリーニング装置4Y、不図示の除電装置、感光体3Yの表面を帯電する帯電手段としての帯電装置5Yなどを備えている。帯電装置5Yは、不図示の駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される感光体3Yの表面を一様に帯電する(例えば−690V)。図2の例では、感光体3Yに近接させた帯電ローラ6Yに帯電バイアスを印加することで感光体3Yの表面を一様帯電させる方式の帯電装置5Yを示している。帯電ローラ6Yの代わりに、帯電ブラシを当接させる方式やスコロトロンチャージャのようなチャージャ方式を用いてもよい。
【0017】
図1において、画像形成ユニット1の図中下方には、潜像形成手段としての光書き込みユニット20が設けられている。光書き込みユニット20は画像情報に基づきレーザー光Lを画像形成ユニット1の一様帯電後の感光体3に照射する。図1の例では、光書き込みユニット20は、光源から発したレーザー光Lをモータにより回転駆動されるポリゴンミラー21で偏向させながら複数の光学レンズやミラーを介して感光体3に照射する構成となっている。しかしこのようなポリゴン走査方式に代えて、LEDアレイによる光走査を行うこともできる。
【0018】
図2に戻って、感光体3Yはレーザー光Lで露光された領域のみ表面電位が低下し(例えば−50V)、静電潜像が形成される。静電潜像は感光体3Yが回転することで、現像ユニット7Yの現像ローラ12Yと対向する現像領域まで搬送される。現像ユニット7Yは、搬送スクリュと攪拌フィンを有する第一の搬送攪拌手段8Yと、不図示のトナー補給口が設けられた第一の現像剤循環搬送通路9Yと、搬送スクリュと攪拌フィンを有する第二の搬送攪拌手段11Yと、透磁率センサからなるトナー濃度センサ10Yと、現像ローラ12Yと、ドクターブレード13Yなどを備えた第二の現像剤循環搬送通路14Yとを有している。現像剤循環搬送通路9Y、14Yは両端(図2における紙面手前側と奥側)の連絡口で繋がっており、マイナス帯電性のYトナーと磁性キャリアを有するY現像剤を内包している。第一、第二の搬送攪拌手段8Y、11Yの詳細については後で述べる。
【0019】
第一の搬送攪拌手段8Yは不図示の駆動手段で回転し、第一の搬送通路9YにあるY現像剤を図2の紙面奥側から手前側へ搬送する。手前側に搬送されたY現像剤は紙面手前側の連絡口(図示せず)で第二の搬送通路14Yへ移動する。第二の搬送攪拌手段11Yも同様に回転し、第二の搬送通路14Yに来たY現像剤を図2の紙面手前側から奥側へ搬送する。搬送途中のY現像剤は第二の搬送通路14Yの底部に固定されたトナー濃度センサ10Yで、そのトナー濃度を検知される。第二の搬送通路14Yの上方には現像ローラ12Yが第二の搬送攪拌手段11Yと平行に配置されている。現像ローラ12Yは、図2で反時計回り方向に回転する非磁性の現像スリーブ15Yと、現像スリーブ15Yに内包された回転しないマグネットローラ16Yで構成される。第二の搬送通路14Y内を搬送されるY現像剤の一部は、マグネットローラ16Yの磁力により現像スリーブ15Yの表面に汲み上げられる。現像スリーブ15Yには微小な隙間を保持してドクターブレード13Yが対向して設けられており、汲み上げられたY現像剤はドクターブレード13Yを通過する際にその層厚(汲み上げ量)を規制される。ドクターブレード13Yを通過したY現像剤は感光体3Yと対向する現像領域まで搬送される。現像スリーブ15Yに印加された現像電位(例えば−550V)と感光体3Yの露光部の表面電位(例えば−50V)の電位差により、現像領域に搬送されたY現像剤中のYトナーのみが感光体3Yの露光部に付着する。これにより感光体3Y上にYトナー像が形成される。現像によりYトナーを消費したY現像剤は第二の搬送通路14Yに戻され、第二の搬送攪拌手段11Yで図2の紙面奥側へ搬送され、奥側の連絡口(図示せず)で第一の搬送通路9Yに移動する。第一の搬送通路9Yに戻ったY現像剤は不図示のトナー補給口にて新たにトナーを補給され、再び第一の搬送攪拌手段8Yで図2の紙面手前側に搬送される。
【0020】
感光体3Yに形成されたYトナー像は、図1の中間転写ベルト41に中間転写される。中間転写後に感光体3Yの表面に残留した廃トナーは、ドラムクリーニング装置4Yによって除去される。廃トナーが除去された感光体3Yの表面は不図示の除電装置により除電され、次の画像形成を行うために帯電装置5Yへと向かう。
【0021】
なお、現像剤の搬送通路近傍に設けられるべき作像温度センサは不図示であるが、現像ユニット7Y内や画像形成装置の本体側の現像ユニット7Y近傍など、搬送通路9Y、14Y内の現像剤の温度と相関が高い温度検知を行うことができる位置に設置されている。
【0022】
図1に戻って、光書き込みユニット20の下方には、第一給紙カセット31、第二給紙カセット32が設けられている。これらの給紙カセット内には記録紙Pが複数枚重ねられた状態で収納されており、一番上の記録紙Pには、それぞれ第一給紙ローラ31a、第二給紙ローラ32aが当接するようになっている。これら給紙ローラ31a、32aが反時計回りに駆動することで、給紙カセット31、32内の一番上の記録紙Pが給紙路33に排出される。記録紙Pは搬送ローラ対34で上側へ搬送され、スキュー補正・タイミング合わせローラ対(所謂レジストローラ)35の位置で一旦停止した後、中間転写ベルト41上の画像に合わせたタイミングで二次転写ニップ(二次転写ローラ50と二次転写対向ローラ46の当接位置)へと搬送される。
【0023】
画像形成ユニット1の上方には中間転写ユニット40が配置されている。中間転写ユニット40は中間転写ベルト41、ベルトクリーニングユニット42、一次転写ローラ45Y、45C、45M、45、二次転写対向ローラ46、駆動ローラ47などを備えて構成される。中間転写ベルト41は駆動ローラ47により反時計回りに回転する。4つの一次転写ローラ45は中間転写ベルト41を挟んで、各々対応する色の感光体3との間に一次転写ニップを形成している。一次転写ローラ45は中間転写ベルト41の内周側に一次転写バイアスを印加する。一次転写ローラ45と感光体3の電位差により、感光体3上のトナー像が一次転写ニップで中間転写ベルト41に転写される。各色の一次転写ニップで、Yトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Kトナー像が中間転写ベルト41に順次転写され、中間転写ベルト41には4色のトナー像を重ね合わせた4色トナー像が形成される。
【0024】
二次転写対向ローラ46は二次転写ローラ50と対向する位置に設けられ、両者が中間転写ベルト41を挟んで二次転写ニップを形成している。中間転写ベルト41に形成された4色トナー像のタイミングに合わせて、スキュー補正・タイミング合わせローラ対35が記録紙Pを二次転写ニップに搬送する。二次転写対向ローラ46と二次転写ローラ50の間には二次転写バイアスが印加され、その力で中間転写ベルト41上の4色トナー像は転写紙Pへと二次転写される。そして記録紙Pの下地色と相まって、フルカラーのトナー像となる。二次転写ニップを通過後に中間転写ベルト41に残留した廃トナーはベルトクリーニングユニット42によって除去される。
【0025】
二次転写ニップの上方には定着ユニット60が設けられている。定着ユニット60はハロゲンランプなどの発熱源を内包する加圧ローラ61と、定着ベルトユニット62とで構成されている。更に定着ベルトユニット62は定着ベルト64、ハロゲンランプなどの発熱源を内包する加熱ローラ63、駆動ローラ66などで構成されている。定着ベルト64は駆動ローラ66により図中反時計回りに回転し、加熱ローラ63により加熱されて一定の温度(例えば140℃)に維持される。加圧ローラ61も時計回りに回転し、内部の発熱源により加熱され一定の温度(例えば120℃)に維持される。定着ベルト64と加圧ローラ61は当接しており、定着ニップを形成する。二次転写ニップを通過し、トナー像を載せた記録紙Pは、定着ユニット60内の定着ニップに搬送される。定着ニップで加熱・加圧されることで、トナー像は記録紙P上に定着する。トナー像を定着させた記録紙Pは、排紙ローラ対67を通過して、機外の排紙スタック部68に排紙される。
【0026】
なお、中間転写ユニット40の上方には、Yトナー、Cトナー、Mトナー、Kトナーを各々収容する4つのトナーカートリッジ100Y、100C、100M、100Kが設けられている。トナーカートリッジ100内の各色トナーは不図示の補給経路を経て、不図示のトナー補給口から現像ユニット7に補給される。これらのトナーカートリッジ100は画像形成ユニット1とは独立して画像形成装置本体に対して着脱可能である。
【0027】
本発明の実施形態に係る現像装置7を、上方から概略で見た図3を用いて改めて説明する。既述のように、現像装置7には、第一の現像剤循環搬送通路9と第二の現像剤循環搬送通路14が設けられ、その中で現像剤が循環している。現像剤を循環させているのは、それぞれの搬送通路9、14に設けられた第一の搬送攪拌手段8、第二の搬送攪拌手段11である。第二の搬送通路14の上方には現像ローラ12が設けられている。第一の搬送通路9には図2では図示を省略したトナー補給口107があり、現像ローラ12でトナーを消費した現像剤はここでトナーの補給を受ける。
【0028】
第一の搬送攪拌手段8と第二の搬送攪拌手段11は基本的に同じ構成であるので、第一の搬送攪拌手段8についてのみ詳述する。搬送攪拌手段は、回転軸線に対して螺旋状に周設された羽根である搬送スクリュ101の領域と、回転軸に対して放射状に延びる少なくとも1枚の板羽根である攪拌フィン102の領域とに分かれている。そして、搬送スクリュ101と攪拌フィン102は同一の回転軸線回りに回転するが、その回転軸は搬送スクリュ軸103と攪拌フィン軸104の二重構造になっている。つまり、搬送スクリュ101は搬送スクリュ軸103に、攪拌フィン102は攪拌フィン軸104にそれぞれ取り付けられ、小径の円柱体である攪拌フィン軸104は、大径の円筒体である搬送スクリュ軸103を貫いている。攪拌フィン102の形成域には搬送スクリュ軸103が存在せず途切れる状態となっているが、その領域には搬送スクリュ101と同径の中抜けスクリュ片108があり、相隣の搬送スクリュ軸103に繋がっている。攪拌フィン102は、このコイル状の中抜けスクリュ片108の内側領域で回転することになる。また搬送攪拌手段8の一方の端部には搬送スクリュギア105と攪拌フィンギア106が設けられ、搬送スクリュギア105は搬送スクリュ軸103と、攪拌フィンギア106は攪拌フィン軸104と繋がっている。すなわち搬送スクリュギア105を回転させれば搬送スクリュ軸103とそこに取り付けられた搬送スクリュ101、中抜けスクリュ片108のみが回転駆動し、攪拌フィンギア106を回転させれば攪拌フィン軸104とそこに取り付けられた攪拌フィン102のみが回転駆動する。これらを別々のモータで回転させるようにしてもよいが、クラッチ構成を介在させることで共通のモータで回転させてもよい。
【0029】
作像温度センサに基づく攪拌フィン制御の例を、図4を用いて説明する。プリンタなど画像形成装置で長時間画像形成(印刷)すると、駆動部の発熱などにより現像装置の温度が上昇する。現像装置の温度が何℃まで上昇するかは、印刷の頻度(1ジョブあたりの印刷枚数、ジョブ間のインタバル)、フルカラー/モノクロなどによって異なる。ちなみに最も温度上昇が激しいのはフルカラーでの連続印刷である。図4の一番上のグラフは、印刷の頻度、印刷モードが時間によって異なるような条件で印刷した際の、現像装置近傍の作像温度センサの温度推移である。また一番下のグラフのうち、実線の方は従来の攪拌フィンを持たない現像装置で上記印刷を行った際の現像剤中に認められた凝集体量の推移である。ここで凝集体量とは現像剤を網目が100μmの篩で篩った際に、篩上に残る現像剤の相対量で規定しており、一定間隔ごとに測定した凝集体量のデータを滑らかに繋いでグラフとした。
【0030】
一方、本例ではTemp1=40℃、Temp2=38℃として、作像温度センサの検出値が40℃を越えたら攪拌フィンの回転駆動を開始し、38℃を下回ったら攪拌フィンの回転を停止する制御を行った(図4の真ん中のグラフ参照)。この現像装置で上記の条件で印刷すると、中段のグラフのように攪拌フィンは回転・停止する。この時、現像剤中の凝集体量は一番下のグラフのうち破線の方の推移となり、現像装置が高温になって現像剤が溶融して凝集体がいったん生成されても攪拌フィンの崩し力の効果で凝集体量が少ない状態を維持できることが確認できた。また、このとき凝集体により発生するであろう異常画像である白スジや黒斑点、流星も従来の現像装置に比べて遥かに少ないことが確認できた。現像剤の固化により搬送通路が詰まるという問題も、固化しかけた現像剤を攪拌フィンで崩すことで防ぐことができる。一方、検知温度がTemp2を下回ったときに攪拌フィンの回転を停止させることで、現像剤へのストレスを最小限に抑えることができ、現像剤の劣化による地肌汚れ、トナー飛散、ボソツキ画像の発生を抑制できる。
【0031】
また、現像剤が昇温中に凝集体が生成され或る温度に対応する凝集体量になるのにも、現像剤が冷却中に凝集体が崩されて或る温度に対応する凝集体量になるのにも、それぞれタイムラグがある。すなわち、現像剤中の凝集体生成量を現像剤の温度に対してプロットすると、同じ温度に対してその瞬間存在する凝集体の量は冷却中の方が多い。凝集体量が或る一定の値を超えている間のみ攪拌フィンを回転させることが重要で、昇温中の閾値Temp1に対して冷却中の閾値Temp2を同じか低く設定することで、最も効果的に攪拌フィンを活用できる。
【0032】
次に、現像装置の停止時間に基づく攪拌フィン制御を、図5を用いて説明する。現像装置が長時間停止して搬送攪拌手段による現像剤の移動がないと、現像剤の中に含まれていた気泡が抜けて嵩密度が高い状態になる。透磁率を測定するトナー濃度センサにとって、嵩密度が高い状態はトナー濃度が低下した状態と同じであるため、トナー濃度を正しい状態よりも低くずれて検知してしまう(図5における下段の「センサの検知ズレ」)。実際には現像装置が停止していて、トナーの消費も補給もないため、現像剤のトナー濃度は全く変化していない。
【0033】
そのため現像装置が長時間停止した後に駆動を再開して搬送攪拌手段を動かすと、現像剤の嵩密度は駆動再開直後が最も高く、駆動時間が増えるにつれて本来の嵩密度(低い嵩密度)に戻ってゆき、それに伴ってトナー濃度センサの検知ズレも収まる。しかしながら、従来の攪拌フィンを有さない現像装置であると、トナー濃度センサの検知ズレが収まるまでに長時間かかり、その間に不必要なトナー補給が実行されるため過補給状態になってしまう。
【0034】
本例では、time1=180min、time2=10minと設定して、現像装置/搬送スクリュの停止時間が3時間(time1)を越えた場合には、印刷再開時に10分間(time2)攪拌フィンを回転させる制御を行う。そのような制御のための搬送スクリュの駆動開始・駆動停止タイミング及びそれらのタイミングからの経過時間を測定することができる時間管理デバイスはそれ自体公知であるので、説明を省略する(このデバイスでは現像剤攪拌フィンの駆動開始タイミングとその経過時間も測定可能である)。図5における一番上のグラフのように、現像装置/搬送スクリュの駆動(=印刷)・停止を繰り返すと、攪拌フィンは中段のグラフのように回転・停止する。このときトナー濃度センサの検出値の推移は一番下のグラフの破線で示すようになり、従来の攪拌フィンが無い現像装置に比べて、トナー濃度センサの検知ズレが早く納まることを確認できた。また、この制御を搭載することで印刷再開後の補給回数が減った(=過補給を防ぐことができ、トナー飛散を抑制でき、画像濃度の安定に寄与できた)こと、そして印刷終了後の地肌汚れが改善していることを確認できた。攪拌フィンの駆動時間を限定することで、現像剤の嵩密度が本来の姿に戻った後での現像剤へのストレスを抑えることができた。
【0035】
現像剤のトナー濃度に基づく攪拌フィン制御を、図6を用いて説明する。現像剤のトナー濃度が高い状態でトナー補給すると、補給トナーが現像剤中に混ざり込まないまま現像ローラに汲み上げられてしまうという問題がある。図3に示した現像装置で説明すれば、トナー補給口107に(現像剤の搬送方向として)近い現像ローラ12の右側に、帯電不十分な補給トナーが多く汲み上げられ、現像ローラ12の右側の画像濃度が左側に比べて高くなってしまう(局所的な画像濃度の変動、地肌汚れ)。図6における一番上のグラフのようにトナー濃度が推移した時に、従来の攪拌フィンが無い現像装置で画像濃度偏差がどう推移するかを一番下のグラフの実線で示した。トナー濃度が高い間は画像濃度偏差が大きい傾向があった。
【0036】
一方、本例ではTC0=8.5%とし、現像剤のトナー濃度が8.5%を越えたら攪拌フィンを回転駆動する制御を行う。一番上のグラフのようにトナー濃度が推移すると、攪拌フィンは中段のグラフのように回転・停止する。このとき、画像濃度偏差の推移は一番下のグラフの破線に示すように推移し、従来の現像装置に比べて高トナー濃度での画像濃度偏差が改善(低減)していることが確認できた。
【0037】
上記作像温度センサは画像形成装置であるプリンタへ通電がある場合にのみ温度を検知・記録するものであり、主電源がオフだったりコンセントが抜かれている間の温度履歴は把握しない。そのため、例えば夏の昼間に極めて高温の環境にオフ状態で置かれた画像形成装置を、夕方以降涼しくなってから使う場合、放置時の高温下での現像装置内の現像剤状態変化、即ち、現像剤の溶融が疑われる状況に対応していない。そこで、非通電時の現像装置の温度履歴を把握するための改良例を以下に説明する。
【0038】
つまり、主電源オフ時での温度履歴を把握する温度センサの追加である。まず、一定の温度閾値を超えると発色するサーモカラーセンサを用いた温度履歴検知について、図7に基づいて説明する。現像ユニット7のフタ部分にはサーモカラーセンサ121が装着されており、プリンタの本体側にはサーモカラーセンサ121の発色部の色を検知するカラー検知部122が設けられている。カラー検知部122は一対の発光・受光素子から成り、発光部から射出された光123はサーモカラーセンサ121の発色部で反射して、受光部に届く。受光部は反射光強度を検知することで、サーモカラーセンサ121が発色しているか否かを判定できる。本例ではサーモカラーセンサ121として、温度閾値40℃を越えることで発色部が白色から黒色に変化する物を用いた。
【0039】
図7は通常時、すなわち高温になった履歴のない状態での現像ユニットを示しており、サーモカラーセンサ121の発色部は白色である。よってカラー検知部122の射出した光123は発色部で反射し、受光部が検知する反射光強度は大きい。一方、図8は高温時、すなわち高温になった履歴のある状態での現像ユニットを示しており、サーモカラーセンサ121’の発色部は黒色である。よってカラー検知部122の射出した光123は発色部で吸収されて反射されず、受光部が検知する反射光強度は小さい。
【0040】
このようなサーモカラーセンサを用いた攪拌フィン制御の例を説明する。ユーザが電源スイッチをオフにして、プリンタがシャットダウンしている最中に、カラー検知部122は光123を射出してサーモカラーセンサ121の発色部の色を検知する。受光部が検知する反射光強度が一定の閾値(40℃に相当する強度)より大きければ発色部は白色であり、電源オフの時点では高温になった履歴が無いと判断できる。このとき第1のメモリ領域(以下、「前回オフ時メモリ」という)に「0」を記録する。逆に反射光強度が上記閾値より小さければ発色部は黒色であり、電源オフの時点で既に(印刷中などに)高温になった履歴があると判断できる。この場合は前回オフ時メモリに「1」を記録する。この前回オフ時メモリへの記録が終了した後、プリンタの電源を落とす。
【0041】
次にユーザが電源スイッチをオンして、プリンタが起動している最中に、カラー検知部122は光123を射出してサーモカラーセンサ121の発色部の色を検知する。受光部が検知する反射光強度が上記閾値より大きく発色部が白色であれば、電源オンの時点で高温になった履歴が無いと判断できる。このとき第2のメモリ領域(以下、「今回オン時メモリ」という)に「0」を記録する。逆に反射光強度が小さく発色部が黒色であれば、電源オンの時点で高温になった履歴があると判断できる。この場合は今回オン時メモリに「1」を記録する。
【0042】
そして前回オフ時メモリと今回オン時メモリの値の組み合わせで、攪拌フィンの動作内容を決定する。メモリの値の組み合わせと攪拌フィンの動作内容の対応関係の一覧表を表1にまとめた。
【0043】
【表1】
【0044】
まず、前回オフ時/今回オン時がともに「0」の場合は、電源オフ中に高温になった履歴が無いと確定できる。よって現像剤を強く攪拌する必要がないため、起動時には攪拌フィン102は停止したまま通常の搬送スクリュ101のみを回転させればよい。次に前回オフ時が「0」で今回オン時が「1」の場合は、電源オフ中に高温になった履歴があると確定できる。よって電源オフ中に高温で生成した現像剤の凝集体を崩す必要があるため、起動時には攪拌フィン102も長時間回転させて現像剤を強く攪拌してから印刷を開始する。なお、一度黒色に発色したサーモカラーセンサ121’は元の白色には戻らないため、サーモカラーセンサ121’を未発色の新品に交換する必要がある。よって操作画面に「センサを交換して下さい」と表示してユーザに交換を促すか、サービスマンが定期訪問時に交換できるようにセンサ交換が必要な旨を記録しておく必要がある。
【0045】
次に前回オフ時が「1」で今回オン時が「0」の場合は、電源オフ中にサーモカラーセンサ121を交換したと考えられる。この場合、電源オフ中のサーモカラーセンサ121を交換する前に高温になった履歴がある場合と電源オフ中は全く高温にならなかった場合の両方が考えられる。前者だった場合に異常画像を防止する必要性と、後者だった場合にユーザの(不必要な)待ち時間を最低限に抑える必要性を考慮して、攪拌フィン102を短時間のみ回転して印刷を開始する。最後に前回オフ時が「1」で今回オン時も「1」の場合は、電源オフする前に既に高温になった履歴があり、電源オフ中に高温になった履歴があるか否かは確定できない。よって異常画像の防止と待ち時間の短縮を両立するために攪拌フィン102の回転は短時間のみとする。またサーモカラーセンサ121’が発色済みで新品と交換する必要があるため、操作画面に「センサを交換して下さい」と表示する。
【0046】
このようにサーモカラーセンサ121は、1回温度閾値を越えて発色する度にセンサを交換しないと次回の検知ができない。そこで本例では図9に示したように、サーモカラーセンサの装着部124を設け、サーモカラーセンサ121を容易に着脱できる構成にした。これにより使用済みサーモカラーセンサ121’を新品サーモカラーセンサ121に容易に交換可能である。サーモカラーセンサは小さなシート状のものなので、このようなセンサを追加しても現像装置のサイズに殆ど影響せず、省スペース性の利点もある。
【0047】
続いて、一定の温度閾値を超えると変形するバイメタルサーモスタットを用いた温度履歴検知について、図10に基づいて説明する。現像ユニット7のフタの部分にはバイメタルサーモスタット131が装着されている。バイメタルサーモスタット131は、一定の温度閾値を越えるとバイメタルが変形して内部の電子回路を切断する構成である。本例では温度閾値40℃で電子回路が切断されるように設定されたバイメタルサーモスタットを使用した。バイメタルサーモスタット131からは不図示の導線が延びており、画像形成ユニット1の裏側にある不図示のコネクタを通じてプリンダ本体に接続されている。本プリンタには、この電子回路が通電しているか否かを検知する不図示の導通検知部があり、この導通検知部によりバイメタルの変形の有無を判定できる。更にバイメタルサーモスタット131は温度に対して不可逆なタイプで、復帰のために手動復帰用スイッチ132が設けられている。プリンタ本体側の手動復帰用スイッチ132に対向する位置には、スイッチ押下部材133が設けられている。
【0048】
このようなバイメタルサーモスタットを用いた攪拌フィン制御の例を説明する。ユーザが電源スイッチをオフにして、プリンタがシャットダウンしている最中に、導通検知部はバイメタルサーモスタットの導通を確認する。バイメタルが変形していなければ、特に何もせずにプリンタの電源を落とす。もしバイメタルが変形して回路が切断されているならば、図11に示すように、スイッチ押下部材133を動作させて手動復帰用スイッチ132を押して、バイメタルサーモスタット131を復帰させる。復帰が終了した後、プリンタの電源を落とす。
【0049】
次にユーザが電源スイッチをオンして、プリンタが起動している最中に、導通検知部はバイメタルサーモスタットの導通を確認する。バイメタルが変形していなければ、電源オフ中に高温になった履歴が無いと確定できる。よって現像剤を強く攪拌する必要がないため、起動時には攪拌フィン102を停止したまま通常の搬送スクリュ101のみを回転させればよい。逆にバイメタルが変形して回路が切断されている場合には、電源オフ中に高温になった履歴があると確定できる。よって電源オフ中に高温で生成した現像剤の凝集体を崩す必要があるため、起動時には攪拌フィン102も長時間回転させて現像剤を強く攪拌してから印刷を開始する。バイメタルサーモスタットは手動復帰できるので、繰り返し使うことができ、コスト的に有利である。
【0050】
最後に、蓄電池を用いて一定時間ごとに温度検知する例につき、図12を用いて説明する。プリンタ内には蓄電池が設置されており、印刷中や電源オン待機中にACコンセントからの余剰電力を用いて充電する(図12a)。ユーザが電源スイッチをオフにすると、プリンタはシャットダウン中に温度履歴記録用のメモリを全部リセットした後、電源を落とす。電源が落ちると、蓄電池は現像装置近傍の温度センサ(サーミスタ)と温度履歴記録用のメモリに電力を供給する。サーミスタは15分おきに現在の温度を検知し、温度履歴メモリに温度情報を記録する。温度履歴メモリは35℃カウンタ〜44℃カウンタの10個の領域があり、各領域は1byteで0〜255の値を取ることができる。サーミスタが温度を検知すると、該当する温度領域のカウンタを1増加させる。
【0051】
次にユーザが電源スイッチをオンして、プリンタが起動している最中に、温度履歴メモリを読み込む。44℃カウンタが1以上、42℃カウンタ〜44℃カウンタの合計が4以上、40℃カウンタ〜44℃カウンタが12以上、35℃〜44℃カウンタの合計が24以上のいずれかの条件を満たす場合、現像装置は電源オフ中に長時間高温になった履歴があると判断する。この場合、電源オフ中に生成した現像剤の凝集体を崩す必要があるため、起動時には攪拌フィン102を長時間回転させて現像剤を強く攪拌してから印刷を開始する。一方、上記条件を1つも満たさない場合は、電源オフ中に長時間高温になった履歴は無いと判断する。この場合は、起動時に攪拌フィン102を停止し、通常の搬送スクリュ101のみを回転させればよい。このような構成では、現像剤の溶融をより精度よく予測して、過不足なく電源オン時に攪拌フィンを回転させることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
2 感光体ユニット
3 感光体
4 ドラムクリーニング装置
5 帯電装置
6 帯電ローラ
7 現像ユニット
8 第一の搬送攪拌手段
9 第一の現像剤循環搬送通路
10 トナー濃度センサ
11 第二の搬送攪拌手段
12 現像ローラ
13 ドクターブレード
14 第二の現像剤循環搬送通路
15 非磁性の現像スリーブ
16 マグネットローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特許第3636217号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、2成分現像剤を用いた電子写真方式の現像装置、この現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び複写機、プリンタ、ファクシミリ又はそれらの機能を併せ持った複合機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やプリンタでは、潜像担持体である感光体上にレーザー光を用いて書き込んだ静電潜像に、現像装置でトナーを付着させて可視化する。乾式2成分現像方式の場合には、トナー(着色した樹脂の粉末)とキャリア(磁性体)を混合して摩擦帯電させた現像剤を用いる。現像剤は、マグネットを仕込まれた現像ローラの表面に磁力で汲み上げられ、現像ローラ上で磁気穂を形成する。現像ローラと感光体が近接する現像ニップ部には現像バイアスが印加され、磁気穂上のトナーが静電的に感光体に引き寄せられ、感光体上にトナーが付着する。トナーを消費した現像剤は、外部に連通したトナー補給口の範囲に搬送されてトナーの補給を受けた後、再び現像ローラの範囲に搬送されて汲み上げられる。
【0003】
このように現像剤を現像ローラとトナー補給口の間で循環させるために、現像剤の循環搬送通路を設け、搬送通路内にある螺旋状の搬送スクリュで現像剤の搬送と攪拌による摩擦帯電を行う、という構成の現像装置が一般的に知られている。
【0004】
このような現像装置を備えた画像形成装置を用いて長時間連続で印刷すると、駆動部の発熱などにより現像装置の温度が上昇し、現像剤が搬送通路内で溶融してしまうという問題があった。連続印刷時の温度上昇に対しては、冷却ファンやダクトを用いて空冷する構成が一般的に知られているが、近年はOA機器の省エネ性への要望が強く、定着ユニットのヒータの消費電力を抑えるために、低温で転写紙に定着できるトナーの開発が進んでおり、従来からの印刷速度の高速化の流れで駆動部の発熱量が増大し、かつ低温定着トナーの使用で現像剤が低温でも溶融し易くなったことで、従来の冷却ファンやダクトによる空冷だけでは不十分になってきた。更に、夏場に空調が効いていない部屋や、直射日光が差し込む部屋に長時間放置されると、同様に温度が上昇し現像剤が現像装置内で溶融してしまうという問題があった。
【0005】
現像剤が溶融すると凝集体(所謂ダマ)を形成し、これが転写紙に付着することで斑点状や流星状の異常画像を形成する。また、凝集体が現像ローラとドクターブレード(現像ローラへの現像剤の汲み上げ量を規制するブレード)の隙間に詰まると、白スジ状の異常画像となる。最悪の場合、現像剤が固化して循環搬送通路を詰まらせ、搬送スクリュを破壊してしまう。
【0006】
また、次のような問題も認識されている。現像装置内の現像剤は、印刷中は搬送スクリュで攪拌されて、嵩密度が低い状態にある(現像剤の間に気泡が入り、フカフカな状態)。一方、長時間停止していた現像装置で印刷を開始した場合、開始直後は一時的に現像剤の嵩密度が上昇している(現像剤の間にある気泡が抜けて、ギュッと詰まった状態)。このように、現像剤の嵩密度が変動することで、現像ローラへの現像剤の汲み上げ量が変わり、画像濃度が安定しないという問題があった。
【0007】
また、現像剤のトナー濃度をキャリアの透磁率で測定するTセンサを搭載し、その検出値をトナー補給装置にフィードバックして現像剤のトナー濃度を一定に保つ構成が一般的であるが、このようなTセンサを搭載した構成では、現像剤の嵩密度の変動はトナー濃度の検知ズレに繋がる。長時間停止後に嵩密度が上昇することで、Tセンサが現像剤のトナー濃度を低めにずれて検知してしまい(Tセンサにとって、嵩密度が高い状態はトナー濃度が低下した状態と同じである)、過剰にトナー補給が行われてしまうという問題があった。過剰なトナー補給は、画像濃度の変動や地肌汚れ、トナー飛散などの異常に繋がる。
【0008】
更に別の問題もある。すなわち、現像装置内の現像剤のトナー濃度が高い状態で、トナー補給口から新たにトナーを補給すると、補給されたトナーが現像剤の上に浮いたまま搬送されてしまい、現像剤の中に混ざり難いという問題である。このような補給トナーは帯電が不十分であり、現像ローラに汲み上げられると局所的な画像濃度の変動や地肌汚れ、トナー飛散などの異常が発生する。
【0009】
これらの問題点に対する対処のため、トナー補給口の直下に、回転軸に対して螺旋状に周設されたスクリュ羽根(搬送スクリュ)の形成域と、回転軸に対して放射状に延在する攪拌羽根(攪拌フィン)の形成域とを軸方向に交互に備えた攪拌ローラを設けた構成が特許文献1において知られている。螺旋状に周設された搬送スクリュは搬送力を持つ反面、攪拌力が小さいという欠点があったので、放射状状に延在する攪拌フィンを追加することで、現像剤を攪拌する力を向上させている。すなわち凝集体を崩したり、現像剤の固化を防止したり、長時間放置後もすぐに現像剤を嵩密度の低い定常状態に持っていったり、補給トナーを現像剤中に混ぜ込んだりすることに一定の効果が期待できる。
【0010】
しかし、放射状に延在する攪拌フィンは現像剤の搬送方向に対して直交する方向に力を加えるため、現像剤へのストレスが強いという副作用がある。具体的には現像剤中のトナーの外添剤(流動性や帯電性を向上させるために、トナー表面にまぶすシリカなどの微粒子)が埋没・遊離したり、キャリア表面のコート層が傷付いたりする。すると、現像剤の帯電量の低下による地肌汚れ、トナー飛散や、転写性の悪化によるボソツキ画像などの異常が発生する。特に画像面積率の低い画像を大量に印刷する場合には、トナーの消費量が少ないため、同じトナーが現像装置内で長時間攪拌され続けることになり、トナーの外添剤の埋没・遊離による地肌汚れ、トナー飛散、ボソツキ画像が顕著に悪化する傾向がある。このような印刷を行う場合には、むしろ攪拌力を低下させて、現像剤へのストレスを低減させた方がよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、印刷状況に応じて攪拌フィンを回転させて攪拌力を向上させたり、攪拌フィンを停止させて現像剤へのストレスを最小限に抑えたりする攪拌ローラ構成を提案することを課題とし、これによって、いかなる状況でも異常画像を防止し高画質な印刷を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、潜像担持体に対向配置されるべき現像ローラの長手方向と平行に延在する現像剤循環搬送通路を装置ハウジング内に形成した2成分系現像装置であって、前記現像剤循環搬送経路に沿って、現像剤を長手方向に搬送する現像剤搬送スクリュと現像剤を長手方向に直交する方向で攪拌する現像剤攪拌フィンとが、それらの回転軸が同一直線上に位置しながら別々であるように設けられ、現像剤搬送スクリュと現像剤攪拌フィンとは互いに独立して駆動(回転)/停止を切り換え可能とすることによって、解決される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現像剤攪拌フィンを現像剤搬送スクリュと独立して駆動・停止を切り換えることができることによって、印刷状況に応じて現像剤の攪拌作用を高める必要があるときと、現像剤へのストレスを低減させて、連続印刷時の温度上昇による斑点、流星、白スジ、搬送経路詰まりや低画像面積率での印刷時の地肌汚れ、トナー飛散、ボソツキの発生を回避すべきときの両方に対応することができ、常に異常のない高画質な画像形成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る現像装置の概略図である。
【図3】本発明の特徴構成を示す現像装置の概念平面図である。
【図4】作像温度センサの検知温度と現像剤攪拌フィンの回転/停止のタイミング並びに現像剤中の凝集体量の変化の関係を示すグラフである。
【図5】現像装置の駆動/停止と現像剤攪拌フィンの回転/停止の関係、並びに現像装置の停止時間が長くなる場合のトナー濃度センサの検知ズレを示すグラフである。
【図6】トナー濃度センサによる検出値と現像剤攪拌フィンの回転/停止の関係、並びに検出値が高い場合に現像剤攪拌フィンの有無によって画像濃度偏差の違いを示すグラフである。
【図7】サーモカラーセンサを備える現像装置の概略斜視図である。
【図8】サーモカラーセンサが発色した様子を示す概略斜視図である。
【図9】サーモカラーセンサを交換する様子を示す概略斜視図である。
【図10】バイメタルサーモスタットを備える現像装置の概略斜視図である。
【図11】バイメタルサーモスタットを復帰させる様子を示す概略斜視図である。
【図12】蓄電池により電源オフ時の温度履歴を検知する構成を示す図で、図12aは通電中の様子であり、図12bは非通電時の様子である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタの全体構成を示す概略図である。プリンタは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す:表示の簡略化のため、以下ではこれら略号を省略することもある)のトナー像を生成するための4つの画像形成ユニット1Y、1C、1M、1Kを備えている。これら画像形成ユニット1は、画像を形成する画像形成物質として互いに異なる色のYトナー、Cトナー、Mトナー、Kトナーを用いるが、それ以外は同じ構成になっている。Yトナーの画像形成ユニット1Yを例にとって説明すると、図2に示すように、画像形成ユニット1Yは、潜像担持体であるドラム状の感光体3Yを有する感光体ユニット2Yと、感光体3Y上の潜像を現像する現像装置としての現像ユニット7Yとで構成されており、プリンタ本体に対して一体的に着脱可能であり、プリンタ本体から取り外した状態では、現像ユニット7Yを感光体ユニット2Yに対して着脱することができるようになっている。つまり、図1で示されるプリンタでは、画像形成ユニットがプロセスカートリッジとして構成されている。
【0016】
図2において、感光体ユニット2Yは、感光体3Y、ドラムクリーニング装置4Y、不図示の除電装置、感光体3Yの表面を帯電する帯電手段としての帯電装置5Yなどを備えている。帯電装置5Yは、不図示の駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される感光体3Yの表面を一様に帯電する(例えば−690V)。図2の例では、感光体3Yに近接させた帯電ローラ6Yに帯電バイアスを印加することで感光体3Yの表面を一様帯電させる方式の帯電装置5Yを示している。帯電ローラ6Yの代わりに、帯電ブラシを当接させる方式やスコロトロンチャージャのようなチャージャ方式を用いてもよい。
【0017】
図1において、画像形成ユニット1の図中下方には、潜像形成手段としての光書き込みユニット20が設けられている。光書き込みユニット20は画像情報に基づきレーザー光Lを画像形成ユニット1の一様帯電後の感光体3に照射する。図1の例では、光書き込みユニット20は、光源から発したレーザー光Lをモータにより回転駆動されるポリゴンミラー21で偏向させながら複数の光学レンズやミラーを介して感光体3に照射する構成となっている。しかしこのようなポリゴン走査方式に代えて、LEDアレイによる光走査を行うこともできる。
【0018】
図2に戻って、感光体3Yはレーザー光Lで露光された領域のみ表面電位が低下し(例えば−50V)、静電潜像が形成される。静電潜像は感光体3Yが回転することで、現像ユニット7Yの現像ローラ12Yと対向する現像領域まで搬送される。現像ユニット7Yは、搬送スクリュと攪拌フィンを有する第一の搬送攪拌手段8Yと、不図示のトナー補給口が設けられた第一の現像剤循環搬送通路9Yと、搬送スクリュと攪拌フィンを有する第二の搬送攪拌手段11Yと、透磁率センサからなるトナー濃度センサ10Yと、現像ローラ12Yと、ドクターブレード13Yなどを備えた第二の現像剤循環搬送通路14Yとを有している。現像剤循環搬送通路9Y、14Yは両端(図2における紙面手前側と奥側)の連絡口で繋がっており、マイナス帯電性のYトナーと磁性キャリアを有するY現像剤を内包している。第一、第二の搬送攪拌手段8Y、11Yの詳細については後で述べる。
【0019】
第一の搬送攪拌手段8Yは不図示の駆動手段で回転し、第一の搬送通路9YにあるY現像剤を図2の紙面奥側から手前側へ搬送する。手前側に搬送されたY現像剤は紙面手前側の連絡口(図示せず)で第二の搬送通路14Yへ移動する。第二の搬送攪拌手段11Yも同様に回転し、第二の搬送通路14Yに来たY現像剤を図2の紙面手前側から奥側へ搬送する。搬送途中のY現像剤は第二の搬送通路14Yの底部に固定されたトナー濃度センサ10Yで、そのトナー濃度を検知される。第二の搬送通路14Yの上方には現像ローラ12Yが第二の搬送攪拌手段11Yと平行に配置されている。現像ローラ12Yは、図2で反時計回り方向に回転する非磁性の現像スリーブ15Yと、現像スリーブ15Yに内包された回転しないマグネットローラ16Yで構成される。第二の搬送通路14Y内を搬送されるY現像剤の一部は、マグネットローラ16Yの磁力により現像スリーブ15Yの表面に汲み上げられる。現像スリーブ15Yには微小な隙間を保持してドクターブレード13Yが対向して設けられており、汲み上げられたY現像剤はドクターブレード13Yを通過する際にその層厚(汲み上げ量)を規制される。ドクターブレード13Yを通過したY現像剤は感光体3Yと対向する現像領域まで搬送される。現像スリーブ15Yに印加された現像電位(例えば−550V)と感光体3Yの露光部の表面電位(例えば−50V)の電位差により、現像領域に搬送されたY現像剤中のYトナーのみが感光体3Yの露光部に付着する。これにより感光体3Y上にYトナー像が形成される。現像によりYトナーを消費したY現像剤は第二の搬送通路14Yに戻され、第二の搬送攪拌手段11Yで図2の紙面奥側へ搬送され、奥側の連絡口(図示せず)で第一の搬送通路9Yに移動する。第一の搬送通路9Yに戻ったY現像剤は不図示のトナー補給口にて新たにトナーを補給され、再び第一の搬送攪拌手段8Yで図2の紙面手前側に搬送される。
【0020】
感光体3Yに形成されたYトナー像は、図1の中間転写ベルト41に中間転写される。中間転写後に感光体3Yの表面に残留した廃トナーは、ドラムクリーニング装置4Yによって除去される。廃トナーが除去された感光体3Yの表面は不図示の除電装置により除電され、次の画像形成を行うために帯電装置5Yへと向かう。
【0021】
なお、現像剤の搬送通路近傍に設けられるべき作像温度センサは不図示であるが、現像ユニット7Y内や画像形成装置の本体側の現像ユニット7Y近傍など、搬送通路9Y、14Y内の現像剤の温度と相関が高い温度検知を行うことができる位置に設置されている。
【0022】
図1に戻って、光書き込みユニット20の下方には、第一給紙カセット31、第二給紙カセット32が設けられている。これらの給紙カセット内には記録紙Pが複数枚重ねられた状態で収納されており、一番上の記録紙Pには、それぞれ第一給紙ローラ31a、第二給紙ローラ32aが当接するようになっている。これら給紙ローラ31a、32aが反時計回りに駆動することで、給紙カセット31、32内の一番上の記録紙Pが給紙路33に排出される。記録紙Pは搬送ローラ対34で上側へ搬送され、スキュー補正・タイミング合わせローラ対(所謂レジストローラ)35の位置で一旦停止した後、中間転写ベルト41上の画像に合わせたタイミングで二次転写ニップ(二次転写ローラ50と二次転写対向ローラ46の当接位置)へと搬送される。
【0023】
画像形成ユニット1の上方には中間転写ユニット40が配置されている。中間転写ユニット40は中間転写ベルト41、ベルトクリーニングユニット42、一次転写ローラ45Y、45C、45M、45、二次転写対向ローラ46、駆動ローラ47などを備えて構成される。中間転写ベルト41は駆動ローラ47により反時計回りに回転する。4つの一次転写ローラ45は中間転写ベルト41を挟んで、各々対応する色の感光体3との間に一次転写ニップを形成している。一次転写ローラ45は中間転写ベルト41の内周側に一次転写バイアスを印加する。一次転写ローラ45と感光体3の電位差により、感光体3上のトナー像が一次転写ニップで中間転写ベルト41に転写される。各色の一次転写ニップで、Yトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Kトナー像が中間転写ベルト41に順次転写され、中間転写ベルト41には4色のトナー像を重ね合わせた4色トナー像が形成される。
【0024】
二次転写対向ローラ46は二次転写ローラ50と対向する位置に設けられ、両者が中間転写ベルト41を挟んで二次転写ニップを形成している。中間転写ベルト41に形成された4色トナー像のタイミングに合わせて、スキュー補正・タイミング合わせローラ対35が記録紙Pを二次転写ニップに搬送する。二次転写対向ローラ46と二次転写ローラ50の間には二次転写バイアスが印加され、その力で中間転写ベルト41上の4色トナー像は転写紙Pへと二次転写される。そして記録紙Pの下地色と相まって、フルカラーのトナー像となる。二次転写ニップを通過後に中間転写ベルト41に残留した廃トナーはベルトクリーニングユニット42によって除去される。
【0025】
二次転写ニップの上方には定着ユニット60が設けられている。定着ユニット60はハロゲンランプなどの発熱源を内包する加圧ローラ61と、定着ベルトユニット62とで構成されている。更に定着ベルトユニット62は定着ベルト64、ハロゲンランプなどの発熱源を内包する加熱ローラ63、駆動ローラ66などで構成されている。定着ベルト64は駆動ローラ66により図中反時計回りに回転し、加熱ローラ63により加熱されて一定の温度(例えば140℃)に維持される。加圧ローラ61も時計回りに回転し、内部の発熱源により加熱され一定の温度(例えば120℃)に維持される。定着ベルト64と加圧ローラ61は当接しており、定着ニップを形成する。二次転写ニップを通過し、トナー像を載せた記録紙Pは、定着ユニット60内の定着ニップに搬送される。定着ニップで加熱・加圧されることで、トナー像は記録紙P上に定着する。トナー像を定着させた記録紙Pは、排紙ローラ対67を通過して、機外の排紙スタック部68に排紙される。
【0026】
なお、中間転写ユニット40の上方には、Yトナー、Cトナー、Mトナー、Kトナーを各々収容する4つのトナーカートリッジ100Y、100C、100M、100Kが設けられている。トナーカートリッジ100内の各色トナーは不図示の補給経路を経て、不図示のトナー補給口から現像ユニット7に補給される。これらのトナーカートリッジ100は画像形成ユニット1とは独立して画像形成装置本体に対して着脱可能である。
【0027】
本発明の実施形態に係る現像装置7を、上方から概略で見た図3を用いて改めて説明する。既述のように、現像装置7には、第一の現像剤循環搬送通路9と第二の現像剤循環搬送通路14が設けられ、その中で現像剤が循環している。現像剤を循環させているのは、それぞれの搬送通路9、14に設けられた第一の搬送攪拌手段8、第二の搬送攪拌手段11である。第二の搬送通路14の上方には現像ローラ12が設けられている。第一の搬送通路9には図2では図示を省略したトナー補給口107があり、現像ローラ12でトナーを消費した現像剤はここでトナーの補給を受ける。
【0028】
第一の搬送攪拌手段8と第二の搬送攪拌手段11は基本的に同じ構成であるので、第一の搬送攪拌手段8についてのみ詳述する。搬送攪拌手段は、回転軸線に対して螺旋状に周設された羽根である搬送スクリュ101の領域と、回転軸に対して放射状に延びる少なくとも1枚の板羽根である攪拌フィン102の領域とに分かれている。そして、搬送スクリュ101と攪拌フィン102は同一の回転軸線回りに回転するが、その回転軸は搬送スクリュ軸103と攪拌フィン軸104の二重構造になっている。つまり、搬送スクリュ101は搬送スクリュ軸103に、攪拌フィン102は攪拌フィン軸104にそれぞれ取り付けられ、小径の円柱体である攪拌フィン軸104は、大径の円筒体である搬送スクリュ軸103を貫いている。攪拌フィン102の形成域には搬送スクリュ軸103が存在せず途切れる状態となっているが、その領域には搬送スクリュ101と同径の中抜けスクリュ片108があり、相隣の搬送スクリュ軸103に繋がっている。攪拌フィン102は、このコイル状の中抜けスクリュ片108の内側領域で回転することになる。また搬送攪拌手段8の一方の端部には搬送スクリュギア105と攪拌フィンギア106が設けられ、搬送スクリュギア105は搬送スクリュ軸103と、攪拌フィンギア106は攪拌フィン軸104と繋がっている。すなわち搬送スクリュギア105を回転させれば搬送スクリュ軸103とそこに取り付けられた搬送スクリュ101、中抜けスクリュ片108のみが回転駆動し、攪拌フィンギア106を回転させれば攪拌フィン軸104とそこに取り付けられた攪拌フィン102のみが回転駆動する。これらを別々のモータで回転させるようにしてもよいが、クラッチ構成を介在させることで共通のモータで回転させてもよい。
【0029】
作像温度センサに基づく攪拌フィン制御の例を、図4を用いて説明する。プリンタなど画像形成装置で長時間画像形成(印刷)すると、駆動部の発熱などにより現像装置の温度が上昇する。現像装置の温度が何℃まで上昇するかは、印刷の頻度(1ジョブあたりの印刷枚数、ジョブ間のインタバル)、フルカラー/モノクロなどによって異なる。ちなみに最も温度上昇が激しいのはフルカラーでの連続印刷である。図4の一番上のグラフは、印刷の頻度、印刷モードが時間によって異なるような条件で印刷した際の、現像装置近傍の作像温度センサの温度推移である。また一番下のグラフのうち、実線の方は従来の攪拌フィンを持たない現像装置で上記印刷を行った際の現像剤中に認められた凝集体量の推移である。ここで凝集体量とは現像剤を網目が100μmの篩で篩った際に、篩上に残る現像剤の相対量で規定しており、一定間隔ごとに測定した凝集体量のデータを滑らかに繋いでグラフとした。
【0030】
一方、本例ではTemp1=40℃、Temp2=38℃として、作像温度センサの検出値が40℃を越えたら攪拌フィンの回転駆動を開始し、38℃を下回ったら攪拌フィンの回転を停止する制御を行った(図4の真ん中のグラフ参照)。この現像装置で上記の条件で印刷すると、中段のグラフのように攪拌フィンは回転・停止する。この時、現像剤中の凝集体量は一番下のグラフのうち破線の方の推移となり、現像装置が高温になって現像剤が溶融して凝集体がいったん生成されても攪拌フィンの崩し力の効果で凝集体量が少ない状態を維持できることが確認できた。また、このとき凝集体により発生するであろう異常画像である白スジや黒斑点、流星も従来の現像装置に比べて遥かに少ないことが確認できた。現像剤の固化により搬送通路が詰まるという問題も、固化しかけた現像剤を攪拌フィンで崩すことで防ぐことができる。一方、検知温度がTemp2を下回ったときに攪拌フィンの回転を停止させることで、現像剤へのストレスを最小限に抑えることができ、現像剤の劣化による地肌汚れ、トナー飛散、ボソツキ画像の発生を抑制できる。
【0031】
また、現像剤が昇温中に凝集体が生成され或る温度に対応する凝集体量になるのにも、現像剤が冷却中に凝集体が崩されて或る温度に対応する凝集体量になるのにも、それぞれタイムラグがある。すなわち、現像剤中の凝集体生成量を現像剤の温度に対してプロットすると、同じ温度に対してその瞬間存在する凝集体の量は冷却中の方が多い。凝集体量が或る一定の値を超えている間のみ攪拌フィンを回転させることが重要で、昇温中の閾値Temp1に対して冷却中の閾値Temp2を同じか低く設定することで、最も効果的に攪拌フィンを活用できる。
【0032】
次に、現像装置の停止時間に基づく攪拌フィン制御を、図5を用いて説明する。現像装置が長時間停止して搬送攪拌手段による現像剤の移動がないと、現像剤の中に含まれていた気泡が抜けて嵩密度が高い状態になる。透磁率を測定するトナー濃度センサにとって、嵩密度が高い状態はトナー濃度が低下した状態と同じであるため、トナー濃度を正しい状態よりも低くずれて検知してしまう(図5における下段の「センサの検知ズレ」)。実際には現像装置が停止していて、トナーの消費も補給もないため、現像剤のトナー濃度は全く変化していない。
【0033】
そのため現像装置が長時間停止した後に駆動を再開して搬送攪拌手段を動かすと、現像剤の嵩密度は駆動再開直後が最も高く、駆動時間が増えるにつれて本来の嵩密度(低い嵩密度)に戻ってゆき、それに伴ってトナー濃度センサの検知ズレも収まる。しかしながら、従来の攪拌フィンを有さない現像装置であると、トナー濃度センサの検知ズレが収まるまでに長時間かかり、その間に不必要なトナー補給が実行されるため過補給状態になってしまう。
【0034】
本例では、time1=180min、time2=10minと設定して、現像装置/搬送スクリュの停止時間が3時間(time1)を越えた場合には、印刷再開時に10分間(time2)攪拌フィンを回転させる制御を行う。そのような制御のための搬送スクリュの駆動開始・駆動停止タイミング及びそれらのタイミングからの経過時間を測定することができる時間管理デバイスはそれ自体公知であるので、説明を省略する(このデバイスでは現像剤攪拌フィンの駆動開始タイミングとその経過時間も測定可能である)。図5における一番上のグラフのように、現像装置/搬送スクリュの駆動(=印刷)・停止を繰り返すと、攪拌フィンは中段のグラフのように回転・停止する。このときトナー濃度センサの検出値の推移は一番下のグラフの破線で示すようになり、従来の攪拌フィンが無い現像装置に比べて、トナー濃度センサの検知ズレが早く納まることを確認できた。また、この制御を搭載することで印刷再開後の補給回数が減った(=過補給を防ぐことができ、トナー飛散を抑制でき、画像濃度の安定に寄与できた)こと、そして印刷終了後の地肌汚れが改善していることを確認できた。攪拌フィンの駆動時間を限定することで、現像剤の嵩密度が本来の姿に戻った後での現像剤へのストレスを抑えることができた。
【0035】
現像剤のトナー濃度に基づく攪拌フィン制御を、図6を用いて説明する。現像剤のトナー濃度が高い状態でトナー補給すると、補給トナーが現像剤中に混ざり込まないまま現像ローラに汲み上げられてしまうという問題がある。図3に示した現像装置で説明すれば、トナー補給口107に(現像剤の搬送方向として)近い現像ローラ12の右側に、帯電不十分な補給トナーが多く汲み上げられ、現像ローラ12の右側の画像濃度が左側に比べて高くなってしまう(局所的な画像濃度の変動、地肌汚れ)。図6における一番上のグラフのようにトナー濃度が推移した時に、従来の攪拌フィンが無い現像装置で画像濃度偏差がどう推移するかを一番下のグラフの実線で示した。トナー濃度が高い間は画像濃度偏差が大きい傾向があった。
【0036】
一方、本例ではTC0=8.5%とし、現像剤のトナー濃度が8.5%を越えたら攪拌フィンを回転駆動する制御を行う。一番上のグラフのようにトナー濃度が推移すると、攪拌フィンは中段のグラフのように回転・停止する。このとき、画像濃度偏差の推移は一番下のグラフの破線に示すように推移し、従来の現像装置に比べて高トナー濃度での画像濃度偏差が改善(低減)していることが確認できた。
【0037】
上記作像温度センサは画像形成装置であるプリンタへ通電がある場合にのみ温度を検知・記録するものであり、主電源がオフだったりコンセントが抜かれている間の温度履歴は把握しない。そのため、例えば夏の昼間に極めて高温の環境にオフ状態で置かれた画像形成装置を、夕方以降涼しくなってから使う場合、放置時の高温下での現像装置内の現像剤状態変化、即ち、現像剤の溶融が疑われる状況に対応していない。そこで、非通電時の現像装置の温度履歴を把握するための改良例を以下に説明する。
【0038】
つまり、主電源オフ時での温度履歴を把握する温度センサの追加である。まず、一定の温度閾値を超えると発色するサーモカラーセンサを用いた温度履歴検知について、図7に基づいて説明する。現像ユニット7のフタ部分にはサーモカラーセンサ121が装着されており、プリンタの本体側にはサーモカラーセンサ121の発色部の色を検知するカラー検知部122が設けられている。カラー検知部122は一対の発光・受光素子から成り、発光部から射出された光123はサーモカラーセンサ121の発色部で反射して、受光部に届く。受光部は反射光強度を検知することで、サーモカラーセンサ121が発色しているか否かを判定できる。本例ではサーモカラーセンサ121として、温度閾値40℃を越えることで発色部が白色から黒色に変化する物を用いた。
【0039】
図7は通常時、すなわち高温になった履歴のない状態での現像ユニットを示しており、サーモカラーセンサ121の発色部は白色である。よってカラー検知部122の射出した光123は発色部で反射し、受光部が検知する反射光強度は大きい。一方、図8は高温時、すなわち高温になった履歴のある状態での現像ユニットを示しており、サーモカラーセンサ121’の発色部は黒色である。よってカラー検知部122の射出した光123は発色部で吸収されて反射されず、受光部が検知する反射光強度は小さい。
【0040】
このようなサーモカラーセンサを用いた攪拌フィン制御の例を説明する。ユーザが電源スイッチをオフにして、プリンタがシャットダウンしている最中に、カラー検知部122は光123を射出してサーモカラーセンサ121の発色部の色を検知する。受光部が検知する反射光強度が一定の閾値(40℃に相当する強度)より大きければ発色部は白色であり、電源オフの時点では高温になった履歴が無いと判断できる。このとき第1のメモリ領域(以下、「前回オフ時メモリ」という)に「0」を記録する。逆に反射光強度が上記閾値より小さければ発色部は黒色であり、電源オフの時点で既に(印刷中などに)高温になった履歴があると判断できる。この場合は前回オフ時メモリに「1」を記録する。この前回オフ時メモリへの記録が終了した後、プリンタの電源を落とす。
【0041】
次にユーザが電源スイッチをオンして、プリンタが起動している最中に、カラー検知部122は光123を射出してサーモカラーセンサ121の発色部の色を検知する。受光部が検知する反射光強度が上記閾値より大きく発色部が白色であれば、電源オンの時点で高温になった履歴が無いと判断できる。このとき第2のメモリ領域(以下、「今回オン時メモリ」という)に「0」を記録する。逆に反射光強度が小さく発色部が黒色であれば、電源オンの時点で高温になった履歴があると判断できる。この場合は今回オン時メモリに「1」を記録する。
【0042】
そして前回オフ時メモリと今回オン時メモリの値の組み合わせで、攪拌フィンの動作内容を決定する。メモリの値の組み合わせと攪拌フィンの動作内容の対応関係の一覧表を表1にまとめた。
【0043】
【表1】
【0044】
まず、前回オフ時/今回オン時がともに「0」の場合は、電源オフ中に高温になった履歴が無いと確定できる。よって現像剤を強く攪拌する必要がないため、起動時には攪拌フィン102は停止したまま通常の搬送スクリュ101のみを回転させればよい。次に前回オフ時が「0」で今回オン時が「1」の場合は、電源オフ中に高温になった履歴があると確定できる。よって電源オフ中に高温で生成した現像剤の凝集体を崩す必要があるため、起動時には攪拌フィン102も長時間回転させて現像剤を強く攪拌してから印刷を開始する。なお、一度黒色に発色したサーモカラーセンサ121’は元の白色には戻らないため、サーモカラーセンサ121’を未発色の新品に交換する必要がある。よって操作画面に「センサを交換して下さい」と表示してユーザに交換を促すか、サービスマンが定期訪問時に交換できるようにセンサ交換が必要な旨を記録しておく必要がある。
【0045】
次に前回オフ時が「1」で今回オン時が「0」の場合は、電源オフ中にサーモカラーセンサ121を交換したと考えられる。この場合、電源オフ中のサーモカラーセンサ121を交換する前に高温になった履歴がある場合と電源オフ中は全く高温にならなかった場合の両方が考えられる。前者だった場合に異常画像を防止する必要性と、後者だった場合にユーザの(不必要な)待ち時間を最低限に抑える必要性を考慮して、攪拌フィン102を短時間のみ回転して印刷を開始する。最後に前回オフ時が「1」で今回オン時も「1」の場合は、電源オフする前に既に高温になった履歴があり、電源オフ中に高温になった履歴があるか否かは確定できない。よって異常画像の防止と待ち時間の短縮を両立するために攪拌フィン102の回転は短時間のみとする。またサーモカラーセンサ121’が発色済みで新品と交換する必要があるため、操作画面に「センサを交換して下さい」と表示する。
【0046】
このようにサーモカラーセンサ121は、1回温度閾値を越えて発色する度にセンサを交換しないと次回の検知ができない。そこで本例では図9に示したように、サーモカラーセンサの装着部124を設け、サーモカラーセンサ121を容易に着脱できる構成にした。これにより使用済みサーモカラーセンサ121’を新品サーモカラーセンサ121に容易に交換可能である。サーモカラーセンサは小さなシート状のものなので、このようなセンサを追加しても現像装置のサイズに殆ど影響せず、省スペース性の利点もある。
【0047】
続いて、一定の温度閾値を超えると変形するバイメタルサーモスタットを用いた温度履歴検知について、図10に基づいて説明する。現像ユニット7のフタの部分にはバイメタルサーモスタット131が装着されている。バイメタルサーモスタット131は、一定の温度閾値を越えるとバイメタルが変形して内部の電子回路を切断する構成である。本例では温度閾値40℃で電子回路が切断されるように設定されたバイメタルサーモスタットを使用した。バイメタルサーモスタット131からは不図示の導線が延びており、画像形成ユニット1の裏側にある不図示のコネクタを通じてプリンダ本体に接続されている。本プリンタには、この電子回路が通電しているか否かを検知する不図示の導通検知部があり、この導通検知部によりバイメタルの変形の有無を判定できる。更にバイメタルサーモスタット131は温度に対して不可逆なタイプで、復帰のために手動復帰用スイッチ132が設けられている。プリンタ本体側の手動復帰用スイッチ132に対向する位置には、スイッチ押下部材133が設けられている。
【0048】
このようなバイメタルサーモスタットを用いた攪拌フィン制御の例を説明する。ユーザが電源スイッチをオフにして、プリンタがシャットダウンしている最中に、導通検知部はバイメタルサーモスタットの導通を確認する。バイメタルが変形していなければ、特に何もせずにプリンタの電源を落とす。もしバイメタルが変形して回路が切断されているならば、図11に示すように、スイッチ押下部材133を動作させて手動復帰用スイッチ132を押して、バイメタルサーモスタット131を復帰させる。復帰が終了した後、プリンタの電源を落とす。
【0049】
次にユーザが電源スイッチをオンして、プリンタが起動している最中に、導通検知部はバイメタルサーモスタットの導通を確認する。バイメタルが変形していなければ、電源オフ中に高温になった履歴が無いと確定できる。よって現像剤を強く攪拌する必要がないため、起動時には攪拌フィン102を停止したまま通常の搬送スクリュ101のみを回転させればよい。逆にバイメタルが変形して回路が切断されている場合には、電源オフ中に高温になった履歴があると確定できる。よって電源オフ中に高温で生成した現像剤の凝集体を崩す必要があるため、起動時には攪拌フィン102も長時間回転させて現像剤を強く攪拌してから印刷を開始する。バイメタルサーモスタットは手動復帰できるので、繰り返し使うことができ、コスト的に有利である。
【0050】
最後に、蓄電池を用いて一定時間ごとに温度検知する例につき、図12を用いて説明する。プリンタ内には蓄電池が設置されており、印刷中や電源オン待機中にACコンセントからの余剰電力を用いて充電する(図12a)。ユーザが電源スイッチをオフにすると、プリンタはシャットダウン中に温度履歴記録用のメモリを全部リセットした後、電源を落とす。電源が落ちると、蓄電池は現像装置近傍の温度センサ(サーミスタ)と温度履歴記録用のメモリに電力を供給する。サーミスタは15分おきに現在の温度を検知し、温度履歴メモリに温度情報を記録する。温度履歴メモリは35℃カウンタ〜44℃カウンタの10個の領域があり、各領域は1byteで0〜255の値を取ることができる。サーミスタが温度を検知すると、該当する温度領域のカウンタを1増加させる。
【0051】
次にユーザが電源スイッチをオンして、プリンタが起動している最中に、温度履歴メモリを読み込む。44℃カウンタが1以上、42℃カウンタ〜44℃カウンタの合計が4以上、40℃カウンタ〜44℃カウンタが12以上、35℃〜44℃カウンタの合計が24以上のいずれかの条件を満たす場合、現像装置は電源オフ中に長時間高温になった履歴があると判断する。この場合、電源オフ中に生成した現像剤の凝集体を崩す必要があるため、起動時には攪拌フィン102を長時間回転させて現像剤を強く攪拌してから印刷を開始する。一方、上記条件を1つも満たさない場合は、電源オフ中に長時間高温になった履歴は無いと判断する。この場合は、起動時に攪拌フィン102を停止し、通常の搬送スクリュ101のみを回転させればよい。このような構成では、現像剤の溶融をより精度よく予測して、過不足なく電源オン時に攪拌フィンを回転させることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
2 感光体ユニット
3 感光体
4 ドラムクリーニング装置
5 帯電装置
6 帯電ローラ
7 現像ユニット
8 第一の搬送攪拌手段
9 第一の現像剤循環搬送通路
10 トナー濃度センサ
11 第二の搬送攪拌手段
12 現像ローラ
13 ドクターブレード
14 第二の現像剤循環搬送通路
15 非磁性の現像スリーブ
16 マグネットローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特許第3636217号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体に対向配置されるべき現像ローラの長手方向と平行に延在する現像剤循環搬送通路を装置ハウジング内に形成した2成分系現像装置であって、前記現像剤循環搬送経路に沿って、現像剤を長手方向に搬送する現像剤搬送スクリュと現像剤を長手方向に直交する方向で攪拌する現像剤攪拌フィンとが、それらの回転軸が同一直線上に位置しながら別々であるように設けられ、現像剤搬送スクリュと現像剤攪拌フィンとは互いに独立して回転/停止を切り換え可能であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤循環搬送経路内に存する現像剤のための温度検出手段を設け、この温度検出手段による検出値が第一の閾値を越えたならば前記現像剤攪拌フィンの回転を開始し、温度検出手段による検出値が第一の閾値と等しいか、それより低い第二の閾値を下回ったならば前記現像剤攪拌フィンを停止することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤搬送スクリュの駆動開始タイミングと駆動停止タイミング、前記現像剤攪拌フィンの駆動開始タイミング、並びにそれらのタイミングからの経過時間が測定可能な時間管理デバイスを設け、前記現像剤搬送スクリュの駆動開始の際に現像剤搬送スクリュが停止した最後の時からの経過時間が所定時間を超えていた場合には、前記現像剤攪拌フィンを一定時間駆動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
トナー濃度センサを設け、トナー濃度センサにより検出される濃度値が所定値を超えている間は、前記現像剤攪拌フィンを駆動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
通電を要せずに温度履歴を把握可能な第2の温度検出手段を設け、この第2の温度検出手段によって把握された非通電時の温度履歴に応じて次の通電時における前記現像剤攪拌フィンの回転・停止を決定・実行することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項6】
前記第2の温度検出手段が、所定の温度閾値を越えると変色する不可逆サーモカラーセンサと、このサーモカラーセンサの色を検知する一対の発光部・受光部とを有することを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記第2の温度検出手段が、所定の温度閾値を越えると変形するバイメタルサーモスタットと、このバイメタルサーモスタットの変形を認識可能な電子回路とを有することを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項8】
前記第2の温度検出手段が、装置駆動中に余剰電力を蓄える蓄電池と、非通電時の温度履歴を保存するメモリと、非通電時に前記蓄電池の電力を用いて一定時間ごとの実際温度を記憶する温度検知部とを有することを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項9】
非通電時にメモリに保存された温度履歴において所定の温度閾値を越えていた時間に応じて、次の通電時における前記現像剤攪拌フィンの回転・停止を決定・実行することを特徴とする請求項8に記載の現像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の現像装置を備えたプロセスカートリッジ。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の現像装置を備えた画像形成装置。
【請求項1】
潜像担持体に対向配置されるべき現像ローラの長手方向と平行に延在する現像剤循環搬送通路を装置ハウジング内に形成した2成分系現像装置であって、前記現像剤循環搬送経路に沿って、現像剤を長手方向に搬送する現像剤搬送スクリュと現像剤を長手方向に直交する方向で攪拌する現像剤攪拌フィンとが、それらの回転軸が同一直線上に位置しながら別々であるように設けられ、現像剤搬送スクリュと現像剤攪拌フィンとは互いに独立して回転/停止を切り換え可能であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤循環搬送経路内に存する現像剤のための温度検出手段を設け、この温度検出手段による検出値が第一の閾値を越えたならば前記現像剤攪拌フィンの回転を開始し、温度検出手段による検出値が第一の閾値と等しいか、それより低い第二の閾値を下回ったならば前記現像剤攪拌フィンを停止することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤搬送スクリュの駆動開始タイミングと駆動停止タイミング、前記現像剤攪拌フィンの駆動開始タイミング、並びにそれらのタイミングからの経過時間が測定可能な時間管理デバイスを設け、前記現像剤搬送スクリュの駆動開始の際に現像剤搬送スクリュが停止した最後の時からの経過時間が所定時間を超えていた場合には、前記現像剤攪拌フィンを一定時間駆動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
トナー濃度センサを設け、トナー濃度センサにより検出される濃度値が所定値を超えている間は、前記現像剤攪拌フィンを駆動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
通電を要せずに温度履歴を把握可能な第2の温度検出手段を設け、この第2の温度検出手段によって把握された非通電時の温度履歴に応じて次の通電時における前記現像剤攪拌フィンの回転・停止を決定・実行することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項6】
前記第2の温度検出手段が、所定の温度閾値を越えると変色する不可逆サーモカラーセンサと、このサーモカラーセンサの色を検知する一対の発光部・受光部とを有することを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記第2の温度検出手段が、所定の温度閾値を越えると変形するバイメタルサーモスタットと、このバイメタルサーモスタットの変形を認識可能な電子回路とを有することを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項8】
前記第2の温度検出手段が、装置駆動中に余剰電力を蓄える蓄電池と、非通電時の温度履歴を保存するメモリと、非通電時に前記蓄電池の電力を用いて一定時間ごとの実際温度を記憶する温度検知部とを有することを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項9】
非通電時にメモリに保存された温度履歴において所定の温度閾値を越えていた時間に応じて、次の通電時における前記現像剤攪拌フィンの回転・停止を決定・実行することを特徴とする請求項8に記載の現像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の現像装置を備えたプロセスカートリッジ。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の現像装置を備えた画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−57926(P2013−57926A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89127(P2012−89127)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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