説明

現像装置、及びプロセスカートリッジ

【課題】現像剤担持体に一対の軸受部材を予め組み立てた状態で、現像剤担持体に傷や凹みを発生することなく軸受保持部へ速やかに組み付けられる現像装置を提供する。また、現像剤担持体の取り付け構造の部品点数を削減することを目的としている。
【解決手段】支持枠体16は、支持軸18aによって揺動可能に支持され、現像剤の層厚を規制する現像ブレード12と現像スリーブ11とを組み立てられている。現像スリーブ11を回転自在に支持する軸受部材22は、支持枠体16のU溝φG部16aに対して軸方向に挿入して保持される。U溝部16bは、U溝φG部16aから軸方向に移動させた軸受部材22を直径方向へ取り出し可能に支持する。切り欠き16gは、U溝φG部16aに現像スリーブ11を直径方向へ取り出し可能に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤担持体に現像剤を担持させて像担持体の静電像を現像する現像装置、詳しくは現像剤担持体を回転自在に支持する軸受部材の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現像剤担持体に現像剤を担持させて像担持体の静電像をトナー像に現像する現像装置を搭載し、形成されたトナー像を記録材に転写した後に、加熱加圧により画像を記録材に定着させる画像形成装置が広く用いられている。
【0003】
特許文献1、2には、磁性トナーの一成分現像剤を用いる現像装置が示される。特許文献1では、現像剤を収容する現像容器の外側に固定した一対の取り付け板に現像剤担持体の軸受部材がスライド移動可能に取り付けられ、軸受部材は、付勢部材によって像担持体に現像剤担持体を当接させる方向に付勢されている。特許文献2では、現像剤担持体が担持する現像剤の層厚を規制する層厚規制部材が位置決め固定される支持部材の両端部に現像剤担持体の軸受部材が固定されている。
【0004】
特許文献3には、トナーとキャリアの二成分現像剤を用いる現像装置が示される。特許文献3では、現像剤を収容する現像容器の外側に揺動可能に取り付けた揺動アームに現像剤担持体の軸受部材が嵌め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−42636号公報
【特許文献2】特開2004−163812号公報
【特許文献3】特開2005−37679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2、3の構成では、いずれも現像容器に軸受部材を固定した後に現像剤担持体の回転軸を軸受部材に挿入して現像剤担持体を取り付ける組み立て手順が採用されている。このため、固定された軸受部材に対して現像剤の回転軸を垂直に位置決めてまっすぐに挿入する組み立て作業上の困難がある。軸受部材に現像剤担持体の回転軸の先端を挿入する際に現像剤担持体の周面が現像装置の他の部材に接触して傷や凹みが形成される可能性もある。現像剤担持体の周面の傷や凹みは現像剤の担持性能を局所的に損なわせて現像不良を発生するので問題となる。
【0007】
そこで、現像容器に形成されて軸受部材を保持する軸受保持部を二つ割り構造とし、現像剤担持体に一対の軸受部材を予め組み立てた状態で軸受保持部の下部分に載置し、残りの上部分を軸受部材に被せてビス止めする構造が提案された。しかし、この場合、軸受保持部が二つ割りになるため、ビス止めのビスを含めて部品点数が増えてしまう。また、軸方向に離れた位置で現像剤担持体の両端部の軸受部材を同時に軸受保持部の下部分に位置決めて載置する作業はそれほど容易ではなく、手間取っている間に現像剤担持体が周辺の部材に接触して傷や凹みを形成する頻度は低くならなかった。
【0008】
本発明は、現像剤担持体に一対の軸受部材を予め組み立てた状態で、現像剤担持体に傷や凹みを発生することなく軸受保持部へ速やかに組み付けられる現像装置を提供することを目的としている。また、現像剤担持体の取り付け構造の部品点数を削減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の現像装置は、現像剤を収容する現像容器と、前記現像容器の現像剤を担持して像担持体の現像領域へ供給する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の回転軸を回転自在に支持する軸受部材と、前記現像容器に支持されて前記軸受部材を保持させる軸受保持部と、を備えたものである。そして、前記軸受保持部は、前記軸受部材が現像剤担持体の回転軸に支持された状態で前記軸受部材を前記回転軸線方向に移動させることで前記軸受部材の直径方向への着脱が可能となる軸受着脱部と、前記軸受部材の直径方向への移動が規制される規制部とをそれぞれ備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の現像装置では、現像剤担持体へ挿入した状態の軸受部材を軸受着脱部へ導いて載置する過程で現像剤担持体の回転軸が軸受保持部を通過する。軸受着脱部に載置された後、軸受着脱部に位置する軸受部材を規制部へ軸方向移動させることで、軸受部材が規制部に位置決め保持される。このため、軸受部材を軸受着脱部へ載置する過程でも規制部へ移動させる過程でも現像剤担持体は、軸受着脱部による軸受部材の案内によって周辺部材との接触を回避できる。
【0011】
また、規制部を二つ割り構造とする必要がないため、規制部に関連した部品点数が増加しない。軸受着脱部は、規制部ほど軸受部材の軸精度に関与しないため、規制部よりも軸受部材を緩く保持するようにゆとりを持たせて形成することも可能である。
【0012】
したがって、現像剤担持体に一対の軸受部材を予め組み立てた状態で、現像剤担持体に傷や凹みを発生することなく規制部へ速やかに組み付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】プロセスカートリッジの内部構成の説明図である。
【図3】プロセスカートリッジの斜視図である。
【図4】プロセスカートリッジの分解構造の説明図である。
【図5】現像スリーブユニットの取り付け状態の説明図である。
【図6】現像スリーブユニットの構成の説明図である。
【図7】現像スリーブユニットの組み立てに要する部品の数の説明図である。
【図8】比較例のカートリッジ枠体の構成の説明図である。
【図9】比較例のカートリッジ枠体の組み立てに要する部品の数の説明図である。
【図10】実施例1の軸受部材取り付け構造の説明図である。
【図11】軸受部材の取り付け作業の説明図である。
【図12】当接部材の取り付け作業の説明図である。
【図13】軸受部材の位置決め作業の説明図である。
【図14】現像スリーブユニットの取り付け作業の説明図である。
【図15】実施例2の現像スリーブユニットの構成の説明図である。
【図16】現像スリーブユニットの組み立て手順の説明図である。
【図17】実施例3の現像スリーブユニットの構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、現像剤担持体に挿入された状態の軸受部材が軸方向に移動して保持される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0015】
従って、現像装置は、二成分現像剤に限らず一成分現像剤を用いるものでも実施できる。画像形成装置は、フルカラー/モノクロ、タンデム型/1ドラム型、一成分現像剤/二成分現像剤、直接転写方式/記録材搬送方式/中間転写方式、帯電方式、露光方式、感光体種類等によらず実施できる。本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0016】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置200は、中間転写ベルト201の下向き面に沿ってプロセスカートリッジ1a、1b、1c、1dを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。プロセスカートリッジとは、電子写真感光体と、少なくとも1つのプロセス手段を備えたものである。プロセス手段としては、電子写真感光体を帯電させる帯電手段、電子写真感光体に形成された静電潜像を現像する現像手段、電子写真感光体に残留するトナーをクリーニングするためのクリーニング手段等がある。
【0017】
プロセスカートリッジ1aでは、感光ドラム7aにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト201に転写される。プロセスカートリッジ1bでは、感光ドラム7bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト201に転写される。プロセスカートリッジ1c、Pdでは、それぞれ感光ドラム7c、7dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト201に転写される。
【0018】
中間転写ベルト201に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。分離ローラ211は、記録材カセット210から引き出した記録材Pを1枚ずつに分離して、レジストローラ212へ送り出す。レジストローラ212は、停止状態で記録材Pを受け入れて待機させ、中間転写ベルト201のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを二次転写部T2へ送り込む。中間転写ベルト201に担持されたトナー像は、二次転写部T2を挟持搬送される記録材Pへ二次転写される。
【0019】
四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置214の加熱ニップで加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、排出ローラ215を通じてトレイ216へ排出される。ベルトクリーニング装置217は、中間転写ベルト201にクリーニングブレードを摺擦させて、二次転写部T2を通過した中間転写ベルト201の表面に付着した転写残トナーを除去する。
【0020】
プロセスカートリッジ1a、1b、1c、1dの上方に、トナーボトルTa、Tb、Tc、Tdが配置される。画像形成によってプロセスカートリッジ1a、1b、1c、1dで消費された量のトナーが、それぞれトナーボトルTa、Tb、Tc、Tdから補給されることで、プロセスカートリッジ1a、1b、1c、1d内の現像剤の状態が一定に保たれる。
【0021】
プロセスカートリッジ1a、1b、1c、1dは、それぞれの現像装置で用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、参照符号から各色の区別を表すa、b、c、dを除いたプロセスカートリッジ1について説明する。
【0022】
<現像装置>
図2はプロセスカートリッジの内部構成の説明図である。図2に示すように、プロセスカートリッジ1は、現像装置と感光ドラムとが一体に組み立てられた画像形成装置の交換ユニットである。現像容器の一例であるトナー収容部9は、現像剤を収容する。現像剤担持体の一例である現像スリーブ11は、トナー収容部9の現像剤を担持して像担持体の一例である感光ドラム7の現像領域へ供給する。
【0023】
プロセスカートリッジ1は、感光ドラム7を回転可能に支持するカートリッジ枠体17と帯電ローラ8が組み込まれた帯電枠体15とに分割される。感光ドラム7は、アルミニウム製シリンダの外周面に感光層が形成されている。カートリッジ枠体17と帯電枠体15との間に、下方から感光ドラム7を走査露光するための露光開口3が設けられている。図1に示すように、露光装置Sは、各色の分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム7の表面に画像の静電像を書き込む。
【0024】
カートリッジ枠体17には、現像装置を格納するトナー収容部9が設けられている。トナー収容部9は、隔壁6によって現像室9aと攪拌室9bに分割され、トナーとキャリアを含む二成分現像剤が充填されている。現像室9aと攪拌室9bは長手方向の両端部に形成された開口部で連通して現像剤の循環経路を構成する。現像室9aには現像スクリュー4が配置され、攪拌室9bには攪拌スクリュー5が配置される。
【0025】
現像スクリュー4の上方には、現像スリーブ11が回転自在に配置されて感光ドラム7と所定の隙間を介して対向する。スペーサ部材21は、現像スリーブ11の両端部に配置されて感光ドラム7に当接することにより、感光ドラム7と現像スリーブ11との間に所定の隙間を保証する。
【0026】
現像スリーブ11の中心を占めて固定のマグネットローラ11mが配置される。マグネットローラ11mは、磁気力によって現像剤を吸着して現像スリーブ11に担持させる。現像スリーブ11の外周面に対向させて現像ブレード12が配置される。現像ブレード12は、マグネットローラ11mによって担持させた現像スリーブ11上の現像剤の層厚を規制する。
【0027】
プロセスカートリッジ1の運転中、感光ドラム7は、所定のプロセススピードで回転する。現像スクリュー4と攪拌スクリュー5が長手方向の反対方向へ現像剤を搬送してトナー収容部9に現像剤を循環させる。循環過程で二成分現像剤のトナーとキャリアが摩擦帯電してトナーがマイナス、キャリアがプラスに帯電して相互に吸着する。マグネットローラ11mの磁力によって現像スクリュー4から現像スリーブ11へ現像剤が吸着されて、現像スリーブ11に担持される。現像スリーブ11に担持された現像剤は、現像ブレード12によって層厚を一様に規制され、その後、感光ドラム7と現像スリーブ11が対向する現像領域へ搬送される。
【0028】
現像領域では、マグネットローラ11mの磁極に呼応して現像剤の磁気ブラシが形成されて、磁気ブラシの先端部が感光ドラム7の表面を摺擦する。この状態で、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧が不図示の電源から現像スリーブ11に印加される。これにより、磁気ブラシのキャリアに拘束されたトナーが感光ドラム7の静電像へ移転して、静電像がトナー像に現像される。
【0029】
一方、帯電枠体15には、上流ブラシ13、下流ブラシ14、及び帯電ローラ8が組み込まれている。帯電ローラ8は、感光ドラム7に当接して従動回転する。負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧が不図示の電源から帯電ローラ8に印加されることにより、感光ドラム7の表面が一様な負極性の電位に帯電される。一様に帯電された感光ドラム7は、露光開口3を通じた下方からの走査露光によって画像の静電像を書き込まれ、その後、静電像は、上述したようにトナー像に現像される。
【0030】
その後、感光ドラム7のトナー像は、中間転写ベルト(201:図1)へ転写される。しかし、一部は感光ドラム7へ残って転写残トナーとなる。図1に示すように、転写ローラRは、中間転写ベルト201を押圧して、感光ドラム7と中間転写ベルト201との間に一次転写部を形成する。転写ローラRに直流電圧が印加されることにより、感光ドラム7に担持されたトナー像が中間転写ベルト201へ一次転写される。感光ドラム7へ残った転写残トナーは、交流電圧を印加された上流ブラシ13によって感光ドラム7の表面に分散させて除電を行った後に、マイナス電圧を印加された下流ブラシ14によって再びマイナスに帯電させる。マイナスに帯電した残留トナーは、帯電ローラ8を通過して現像スリーブ11と感光ドラム7の対向部へ到達し、現像スリーブ11に担持されて再びトナー像の現像に使用される。
【0031】
<プロセスカートリッジの分解構造>
図3はプロセスカートリッジの斜視図である。図4はプロセスカートリッジの分解構造の説明図である。図5は現像スリーブユニットの取り付け状態の説明図である。図6は現像スリーブユニットの構成の説明図である。図7は現像スリーブユニットの組み立てに要する部品の数の説明図である。
【0032】
図3に示すように、カートリッジ枠体17の長手方向の手前側の端部に側面カバー31とプロセスカートリッジ1を取り出すための把手33とが配置される。カートリッジ枠体17の奥側の端部にドラム支持部材32が配置される。カートリッジ枠体17の上面を覆って上カバー19が取り付けられている。
【0033】
図4に示すように、プロセスカートリッジ1の上面から上カバー(19:図3)を取り外した後に、カートリッジ枠体17の手前側の端部から把手33と側面カバー31とを取り外し、奥側の端部からドラム支持部材32を取り外す。これにより、感光ドラム7と帯電枠体15とがカートリッジ枠体17から分離可能となる。感光ドラム7と帯電枠体15をカートリッジ枠体17から取り外した状態を図5に示す。
【0034】
図5に示すように、現像スリーブ11に平行な回転軸の一例である支持軸18a、18bは、支持枠体16の両端部に配置されて支持枠体16を揺動可能に支持する。付勢部材41は、支持枠体16とトナー収容部9の間に配置されて現像スリーブ11を感光ドラム7へ当接させる方向に付勢する。
【0035】
カートリッジ枠体17から現像スリーブユニット20を取り外す。カートリッジ枠体17には、現像ブレード12と現像スリーブ11とを一体に取り付けた支持枠体16が支持軸18a、18bを中心にして揺動可能に取り付けられている。
【0036】
現像スリーブユニット20は、カートリッジ枠体17に両端の支持軸18a、18bを支持されることにより、感光ドラム(7:図4)に対して現像スリーブ11を接離させる方向へ揺動可能である。現像スリーブユニット20は、コイルばねの付勢部材41によって、感光ドラム(7:図4)に現像スリーブ11を当接させる方向へ付勢されている。
【0037】
図6の(a)に示すように、現像スリーブユニット20は、支持枠体16に現像ブレード12と現像スリーブ11とを一体に取り付けて構成され、現像スリーブ11と平行な支持軸18a、18bを中心にして揺動可能である。支持枠体16は、現像スリーブ11と現像ブレード12とを保持するユニット枠である。支持軸18a、18bは、支持枠体16をカートリッジ枠体17に対して揺動可能に支持する。
【0038】
図6の(b)に示すように、現像スリーブ11は、軸受部材22を介して、支持枠体16に回転自在に取り付けられている。軸受部材22は、現像スリーブ11の軸部分を回転可能に支持する。支持軸18a、18bを中心にして支持枠体16が回動することにより、現像スリーブ11は、感光ドラム(7:図4)に対して接離する方向に回動可能である。現像スリーブユニット20の奥側端部には、感光ドラム(7:図4)に当接して感光ドラム(7:図4)と現像スリーブ11の間隔保持を行うスペーサ21が配置される。
【0039】
図6の(c)に示すように、現像スリーブ11は、軸受部材22を介して、支持枠体16に回転自在に取り付けられている。現像スリーブユニット20の手前側端部には、感光ドラム(7:図4)に当接して感光ドラム(7:図4)と現像スリーブ11の間隔保持を行うスペーサ21が配置される。現像スリーブ駆動ギア26は、現像スリーブ11を回転させるためギアで、他のアイドラギアとかみ合って画像形成装置本体からの駆動力が伝達される。極決め部材23は、現像スリーブ11内の磁極位置を規定する部材である。
【0040】
図6の(b)に示すように、電極部材24は、金属材料の線材で形成されて一端が支持軸18bに接触し、他端が現像ブレード12に接触する。図10の(b)に示すように、極決め部材23に嵌め込まれた電極部材25は、図6の(c)に示すように、一端が支持軸18aに接触し、他端が現像スリーブ11の軸11aに接触する。電極部材24は、一端が現像ブレード12に接触し、他端が支持軸18aに接触する。これにより、画像形成装置本体から支持軸18b、現像ブレード12、支持軸18a、電極部材25を経て現像スリーブ11に給電する給電経路の一部が形成される。
【0041】
図7に示すように、実施例1の現像スリーブユニット20は、現像スリーブ11の取り付け構造がビス、ワッシャを含まないで組み立てられ、合計の部品点数が、後述する比較例のプロセスカートリッジに比較して少なくなっている。このため、部品コストが削減され、組み立て作業性が高まっている。
【0042】
<比較例>
図8は比較例のカートリッジ枠体の構成の説明図である。図9は比較例のカートリッジ枠体の組み立てに要する部品の数の説明図である。図8中、(a)は組み立て状態、(b)は現像スリーブを取り外した状態である。
【0043】
図8の(a)に示すように、比較例では、感光ドラムを回転自在に支持する不図示のドラム枠体に対して、現像装置を内蔵したカートリッジ枠体101が、軸180a、180bを中心にして揺動可能に取り付けられている。感光ドラムに対して接離方向へ現像スリーブ111を移動させるために、軸180a、180bを中心にして、カートリッジ枠体101全体が揺動する。カートリッジ枠体101の軸180a、180bから離れた位置を矢印で示すようにばね付勢することによって、感光ドラムに両端部の間隔規制部材131、gを当接させて、感光ドラムと現像スリーブ111との間に所定の隙間を確保する。
【0044】
図8の(b)に示すように、比較例では、現像スリーブ111と現像ブレード118とは、カートリッジ枠体101のそれぞれの場所に個別に取り付けられている。現像スリーブ111は、現像スクリュー104が組み付けられたカートリッジ枠体101に対して、現像スリーブ111の両端の軸部112、113を、それぞれカートリッジ枠体101の軸受支持部102、103に組み立てられている。
【0045】
図9に示すように、現像スリーブ111の両端の軸部112、113に軸受114、115を挿入した後に、軸受114、115を軸受固定部材116、117で外側から挟み込む。固定ビス150、151で軸受固定部材116、117をカートリッジ枠体101に固定することにより、現像スリーブ111が回転可能に位置固定される。
【0046】
現像スリーブ111を組み込んだ後、カートリッジ枠体101の手前側の端部に、現像スリーブ111の駆動ギア120と、現像スクリュー(104:図8)等の駆動伝達用ギア121、122、123のギア列をEリング162、163で取り付ける。ギア列の組み立て後、感光ドラムと現像スリーブ111との間に所定の隙間を確保させるための間隔規制部材131、132を、それぞれ外側から現像スリーブ111の軸部112、113に挿入して、現像スリーブ111の両端部に回転可能に組み立てる。
【0047】
間隔規制部材131は、Eリング161を用いて回動可能に取り付け、間隔規制部材132は、接点板133をカートリッジ枠体101の端部にビス152で固定することにより回動可能に取り付ける。接点板133は、画像形成装置本体側の電源から電圧を印加されるための部品である。間隔規制部材131、132の組み立て後、カートリッジ枠体101に上蓋119とカバーパネル120をビス153や歯付き形止め輪154で固定する。その後、治具を挟んで現像スリーブ111との間に所定の隙間を形成した状態で、現像ブレード118をカートリッジ枠体101の所定位置に位置決めして、ビス155により固定する。これにより、プロセスカートリッジの現像ユニットが組み上がる。
【0048】
比較例のプロセスカートリッジでは、現像スリーブ111をカートリッジ枠体101の所定位置に置き、カートリッジ枠体101の両端部側から、軸受114、115、軸受固定部材116、117などの位置決め部品で挟み込むように組み立てている。この場合、位置決め部品が組み込まれて固定されるまで、現像スリーブ111はカートリッジ枠体101内で動き、現像スリーブ111の外周面に衝突傷や摩擦跡が付く可能性がある。このため、現像スリーブ111の組み立てには、細心の注意が必要で、組み立て工数が多くかかっていた。現像スリーブ111は、カートリッジ枠体101の所定の位置に仮に置かれた状態で、一方の側から順に、駆動ギア120等の各部品を組み付けるので、組み立て中に、部品が落下しないような注意をはらった作業工程が必要となる。
【0049】
そこで、組み立てる端部を上にして垂直方向から作業をすることが提案された。しかし、組み立てる端部を変更する場合に、組み立て中のカートリッジ枠体101を180度回転して置き替える必要が生じる。180度回転して置き替える間、前述のように現像ブレード118や現像スリーブ111に傷やごみが付かないような注意が必要で、その分、組み立て作業が煩雑になる。
【0050】
さらに、現像スリーブ111は、長さが400mm近くあり、このような作業に対し、作業スペースの問題や他の機器との干渉で取り扱いにくい状況が存在している。比較例のプロセスカートリッジでは、現像スリーブ111の位置決め精度を保証するため、軸受114、115以外に軸受固定部材116、117が必要で、これら部品の精度管理が必要となる。取り付ける部品点数が多いと、組み立て作業でも、作業が煩雑になって間違いが発生する可能性も高まる。組み立て時間が増えると、部品落下や傷・ゴミの付着等に対しても注意をはらう必要が増えてしまう。
【0051】
さらに、プロセスカートリッジを解体する場合、多くの部品を取り外す必要があり、特に、軸受固定部材116、117から軸受114、115を取り外す場合には、勘合状態の軸受114、115を押し出して取り出さなければならない。このため、解体性にも改善が求められていた。
【0052】
そこで、以下の実施例では、現像スリーブと現像ブレ−ドとの位置関係を固定した一部品を導入することにより、現像装置、プロセスカートリッジ等における高精度化と組み立て性向上を両立させている。
【0053】
<実施例1>
図10は実施例1の軸受部材取り付け構造の説明図である。図11は軸受部材の取り付け作業の説明図である。図12は当接部材の取り付け作業の説明図である。図13は軸受部材の位置決め作業の説明図である。図14は現像スリーブユニットの取り付け作業の説明図である。
【0054】
図10の(a)に示すように、軸受部材22は、現像スリーブ11を回転自在に支持する。層厚規制部材の一例である現像ブレード12は、現像スリーブ11が担持する現像剤の層厚を規制する。支持部材の一例である支持枠体16は、現像ブレード12が位置決め固定される。
【0055】
現像スリーブユニット20の組み付けについては、支持枠体16に付属する各部品の組み立て方向を矢印で表わす。支持枠体16に各部品が組み込まれて現像スリーブユニット20が組み立てられる。
【0056】
電極部材24を支持枠体16の端部に形成された穴71の内側からに挿入した後、支持軸18aを穴71の外側から挿入することで、電極部材24と支持軸18aが支持枠体16に固定される。電極部材24は、一端を支持軸18aに接触させ他端を現像ブレード12に接触させている。
【0057】
図10の(b)に示すように、支持軸18aの先端部は電極部材25の一端部に当接し、電極部材25の他端部は現像スリーブの軸11aに当接する。
【0058】
図11に示すように、奥側の支持軸18bの端部には、画像形成装置本体から導通を有する接点板が当接する。これらの部品によって、画像形成装置本体から現像スリーブ11に給電する給電経路が形成される。
【0059】
図10の(b)に示すように、現像スリーブ11の軸方向位置を規定するため、たとえば、歯付き形止め輪51を軸受部材22に沿って組み入れる。これは、E形止め輪や、後述する現像スリーブ駆動ギア26を利用して、現像スリーブ11の軸方向位置を規定する方法でもよい。次に、現像スリーブ11を回転駆動させるための現像スリーブ駆動ギア26を挿入して、現像スリーブ駆動ギア26が組み立てられる。
【0060】
支持枠体16の支持軸18aと現像スリーブ11の軸11aとに被せて、現像スリーブ11の中心に配置された固定のマグネットローラ11mの磁極を位置決めする部材である極決め部材23を取り付ける。さらに、極決め部材23の中に電極部材25を組んで、電極部材25で支持軸18aと現像スリーブの軸11aとを電気的に連絡させる。
【0061】
支持枠体16に現像スリーブ11が組み付けられた後、現像ブレード12を支持枠体16に緩く取り付け、現像スリーブ11と現像ブレード12先端の隙間が規定の値になるよう値を管理して、現像ブレード12を支持枠体16にビス固定する。この時、現像ブレード12と支持枠体16との間に手前側と奥側の電極部材24の端部が挟み込まれて電気的に連絡する。
【0062】
現像スリーブユニット20の組み立てにおける軸受部材22の組み付け手順について、さらに詳細に説明する。
【0063】
図12の(a)に示すように、軸受保持部における規制部の一例であるU溝φG部16aは、軸受部材22を回転軸線方向に挿入して保持させる。軸受保持部における軸受着脱部の一例であるU溝部16bは、U溝φG部16aから回転軸線方向に移動させた軸受部材22を直径方向へ取り出し可能に支持する。回転軸通過部の一例である切り欠き16gは、回転軸11aに軸受部材22を挿入した状態で軸受部材22がU溝部16bを移動する際に、回転軸11aがU溝φG部16aまで通過可能である。切り欠き16gは、回転軸11aの直径よりも幅が大きく、軸受部材22の直径よりも幅が狭く、現像スリーブ11の回転軸11aを直径方向へ通過させるが、軸受部材22を通過させることができない。
【0064】
U溝φG部16a及びU溝部16bは、支持枠体16の長手方向の両端部に一対配置されている。一対のU溝部16bは、一対のU溝φG部16aの内側に隣接配置される。
【0065】
支持枠体16の手前側の端部において、現像スリーブ11が組み付けられる。並行して、奥側の端部でも現像スリーブ11が組み付けられるが、組み付け方法は手前側の端部と同様であるため、以下、手前側の端部について組み立て手順を説明する。
【0066】
現像スリーブ11の両端に、軸受部材22を現像スリーブ11の軸部分の根元まで挿入して、この状態で、上方から支持枠体16のU溝部16bまで移動させる。現像スリーブ11の両端に軸受部材22を挿入したまま、支持枠体16の両端のアーム部16eのU溝部16bに軸受部材22を案内させて、U溝部16bの溝底に軸受部材22を置く。これにより、現像スリーブ11は、早くも最終的な高さ位置にガタツキなく位置決められる。
【0067】
現像スリーブユニット20を組み立てる作業は、図12の(a)に示す現像スリーブ11とその両端の軸受部材22を、図13の(a)に示す支持枠体16の両端のアーム部のU溝部16bに置いて行う。現像スリーブユニット20の組み立ては、支持枠体16及び現像スリーブ11を横置きのまま、簡単に、それぞれの部品を取り付けて作業が終了する。
【0068】
図12の(b)に示すように、軸受部材22の外径をDとし、現像スリーブ11の軸径をdとする。U溝部16bの開口幅をWとし、U溝φG部16aの切り欠き16gの開口幅をVとする。
【0069】
図13の(a)に示すように、支持枠体16のU溝部16bおよびU溝φG部16aは、その開口を感光ドラム(7:図2)の方向に向けて形成される。U溝部16bの幅WとU溝φG部16aの切り欠き16gの幅Vは、次式のように設定されている。
W≧G≧D
V>d
【0070】
このため、軸受部材22がU溝部16bを通過する際に現像スリーブ11の軸11aが切り欠き16gを通過する。
【0071】
図13の(a)に示すように、U溝部16bに形成された第一溝部の一例であるスリット16c、16dに対して軸受部材22をU溝φG部16aへ移動して位置合わせされる第二溝部の一例である溝22dが軸受部材22に形成される。固定部材の一例であるスペーサ22は、スリット16c、16dと溝22dにまたがって挿入されて軸受部材22の軸方向の移動を拘束する。
【0072】
支持枠体16のU溝部16bの軸方向の同一位置に、スリット16c、16dが形成されている。スリット16c、16dの溝幅は、スペーサ21の外径部(21e:図12)の厚みとほぼ等しく形成されている。
【0073】
図13の(b)に示すように、軸受部材22は、現像スリーブ11の軸11aに対する最終的な取り付け位置よりも内側にずれた状態になっている。現像スリーブ11は、軸11aに軸受部材22を嵌合させたまま、支持枠体16のU溝部(16b)に、その開口している方向から挿入できる。
【0074】
その後、矢印Cのように、現像スリーブ11の軸11aに沿って軸受部材22を外側にスライド移動させて、軸受部材22の外周面を支持枠体16のU溝φG部16aと嵌合させる。これにより、U溝部16bのスリット16c、16dが軸受部材22の溝22dに位置決められる。軸受部材22を外側に移動させて、図12の(b)に示すU溝φG部16aと勘合させる際には、支持枠体16のU溝部16bからU溝φG部16aへ軸受部材22がガタツキなく案内される。そのため、軸受部材22の移動過程で、現像スリーブ11の外周面が、特別の注意を払わなくても、支持枠体16や支持枠体に取り付けられている部品に触れない。
【0075】
さらに、現像スリーブユニット20の組み立て作業で、現像スリーブ11を支持枠体16に取り付けるまでの間、現像スリーブ11を支えている形状は、U溝部16bの凹所であって、支持枠体16に別の専用の支持構造を設けていない。このため、スペ−ス削減の効果もある。
【0076】
図13の(c)に示すように、現像スリーブ11と軸受部材22とが組み込まれた状態の支持枠体16に、現像スリーブ11と感光ドラム7の間の間隔保持を行うスペーサ21を挿入する。スペーサ22は、先端を感光ドラム7に当接させて現像スリーブ11との間に所定の隙間を設定する当接部材を兼ねている。現像スリーブ11と感光ドラム(7:図2)との間の隙間を所定の値に維持するスペーサ21を用いて、支持枠体16と軸受部材22とを固定する。図12の(a)に示すように、スペーサ21は、一方が開いたC字型形状になっていて、内径部21dは押し広げられて軸受部材22の外周に形成された溝22dの溝底に係合してパッチン止めされる。スペーサ21の外側部21eは、支持枠体16のU溝部16bのスリット16c、16dに係合する。これにより、軸受部材22は、支持枠体16に対して軸方向に位置決め固定され、現像スリーブ11は、軸受部材22を介して支持枠体16に取り付けられた状態になる。
【0077】
なお、図11に示すように、支持枠体16の奥側の端部においても、現像スリーブ11は、支持枠体16に、軸受部材22とスペーサ21とで組み付ける。
【0078】
図5に示すように、現像スリーブユニット20は、付勢部材41を支持枠体16の案内座穴43に組み込まれる。
【0079】
図14の(a)に示すように、現像スリーブユニット20は、トナー収容部、現像スクリュー等が組み込まれたカートリッジ枠体17に組み付けられる。
【0080】
図14の(b)に示すように、現像スリーブユニット20の支持軸18aは、カートリッジ枠体17に形成された溝44に組み入れ、固定部材45を溝44に固定することで回転可能に支持される。カートリッジ枠体17の奥側の支持軸18bも同じように組み込まれる。これにより、現像スリーブユニット20は、カートリッジ枠体17に対して、支持軸18a、18bを中心として回動可能となる。現像スリーブ11は、付勢部材41によって感光ドラム(7:図4)側に付勢され、スペーサ21によって感光ドラム(7:図4)に対する所定の隙間を保持される。
【0081】
図4に示すように、カートリッジ枠体17の側面側の軸に、現像スリーブ(11:図2)等を駆動する駆動伝達ギア列34が取り付けられる。カートリッジ枠体17に、感光ドラム7が取り付けられる。その後、上流ブラシ(13:図2)と下流ブラシ(14:図2)が組み付けられた帯電ユニット15が取り付けられる。
【0082】
カートリッジ枠体17の手前側の端部の係合部に位置合わせをして、側面カバー31が固定され、取り出し用の把手33が取り付けられる。カートリッジ枠体17の奥側の端部の係合部に位置合わせをして、ドラム支持部材32が固定される。これにより、カートリッジ枠体17と感光ドラム7と帯電ユニット15とが位置関係を固定される。最後に、カートリッジ枠体17の上面に上カバー19を取り付けて、図3に示すように、プロセスカートリッジ1が完成する。
【0083】
実施例1の現像スリーブユニット20では、現像剤規制部材である現像ブレード12が取り付けられる部分と現像剤担持体である現像スリーブ11を保持するアーム部16eが一体の支持枠体16で構成される。また、現像スリーブ11と感光ドラム7の間の隙間を所定の値に維持するためにスペーサ21を用いている。そのため、現像スリーブ11と現像ブレード12の位置関係を決める部品数と現像スリーブと感光ドラムの位置関係を決める部品数がいずれも減る。それぞれ1部品で部品間の位置保証ができるようになるため、精度管理する部品が少なくなり、部品管理が容易となり、不良品を組み立てる確率が減少する。また、部品公差の積み上げや、取り付け部の嵌合ガタが少なくなり、現像ブレード12と現像スリーブ11の位置のばらつきが少なる。これにより、現像スリーブ11の感光ドラム7に対する当接圧や位置の変動による現像濃度の差を減らし、より安定した画像を得ることが可能となる。
【0084】
また、現像スリーブユニット20の組み立てにおいても、現像スリーブ11の軸11aに軸受部材22を挿入し、軸受部材22が支持枠体16の両端のアーム部16eのU溝部16bの輪郭形状に現像スリーブを置く。その後、現像スリーブ11の軸11a上の軸受部材22を支持枠体16の所定位置まで移動させ、現像スリーブ11と感光ドラム7との間の隙間を所定の値に維持するスペーサ22を用いて、支持枠体16と軸受部材22とを固定する。したがって、部品が横置きのまま組み立て作業ができるため、仮置きのための組立用治具が不要である。手前側の端部と奥側の端部とを、組み立て時に姿勢を入れ替える必要もないので、組み立て作業が容易で、作業中に、現像スリーブ11に傷やゴミが着くことも減り、作業効率もアップする。
【0085】
さらに、スペーサ22をクリック感を伴って抜き取れば、軸受部材22の軸方向の固定が解除されて、簡単に現像スリーブ11を取り外せるので、プロセスカートリッジ1の解体が容易になり、リサイクル性の向上が図られる。
【0086】
<実施例2>
図15は実施例2の現像スリーブユニットの構成の説明図である。図16は現像スリーブユニットの組み立て手順の説明図である。図16の(c)に示すように、実施例2では、U溝部216bとU溝φG部216aとの位置関係が実施例1のU溝部16bとU溝φG部16aとの位置関係と反対である。それ以外は実施例1と同様に構成されるため、図15、図16中、実施例1と共通の構成には、図12、図13と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0087】
図16の(c)に示すように、支持枠体216には、軸受部材22の軸の外形φDとの勘合部であるU溝φG部216aと軸受部材22の案内形状であるU溝部216bとを実施例1とは外側と内側を逆にして配置している。実施例1と同様に、スリット216c、216dには、スペーサ21を挿入可能な溝幅を持たせている。
【0088】
U溝φG部216aの端部に、軸受部材22の外径φDから内側へ突出した係止部216eを設けている。係止部216eは、支持枠体216に現像スリーブ211を取り付けて軸受部材22をスペーサ21で固定した際の軸受部材22の端面から0.2〜0.5mm程度の適正ギャップが確保できるように設定している。このため、支持枠体216に対する現像スリーブ211の軸方向位置を、実施例1よりも容易に決めることができる。
【0089】
図15の(a)に示すように、現像スリーブ211の両端に軸受部材22を組み入れるが、現像スリーブ211の軸部分の根元までは挿入せずに、支持枠体216のU溝部216bに対応した軸方向の位置まで移動させる。そして、上方からU溝部216bの案内形状に沿って軸受部材22を挿入した現像スリーブ211を組み入れる。
【0090】
図15の(b)に示すように、支持枠体216のU溝部216bに軸受部材22を保持させた状態で、現像スリーブ211の軸に沿って軸受部材22を支持枠体216の係止部216eまで移動する。実施例2では、支持枠体216に現像スリーブ211を組み込む際、軸受部材22の組み込み方向を実施例1とは逆に設定した事例を説明している。
【0091】
図16の(a)に示すように、支持枠体216のU溝部216bのスリット216c、216dに軸受部材22の溝22dを位置合わせした状態で、スペーサ21を上方から溝22dに挿入して、スリット216c、216dを一体に係合させる。
【0092】
図16の(b)に示すように、現像スリーブ11に現像スリーブ駆動ギア26を挿入する。支持軸18aと現像スリーブ11の軸とに極決め部材23を取り付ける。極決め部材23の中に電極部材25を組んで支持軸18aと現像スリーブ11とを電気的に連絡させる。
【0093】
支持枠体216の奥側の端部においても、同様にして、支持枠体216に現像スリーブ211が取り付けられる。
【0094】
<実施例3>
図17は実施例3の現像スリーブユニットの構成の説明図である。図17の(b)に示すように、実施例3では、スペーサ143に、現像スリーブ11の中心に配置された固定のマグネットローラ(11m:図2)の磁極を位置決めする構造を付加している。このため、図16の(b)に示す極決め部材23が不要になっている。
【0095】
図17の(b)に示すように、位置決め軸部の一例である軸141は、磁極を有して現像スリーブ11の内部に配置される磁石部材の一例であるマグネットローラ(11m:図2)に一端が固定されて他端が軸受部材22の外側に位置する。スペーサ143は、軸受部材22の外側で軸141のDカット面141dに当接して回転位置を規定する当接部を形成されている。
【0096】
軸141は、現像スリーブ11の中心に配置された固定のマグネットローラ(11m:図2)の中心軸であって、位置を決めるため軸の外周をカットしたDカット面141dが形成されている。現像スリーブ11の外周面は、軸受部材22の位置で切断されていて、軸141が露出した状態になっている。現像スリーブ11の駆動系は、現像スリーブユニット20の奥側の端部に移動させている。
【0097】
スペーサ143には、感光ドラム(7:図2)に当接する円弧形状部と、マグネットローラ(11m:図2)の磁極の位置決め部と、現像スリーブ11の軸受部材22をロックする挟み込み部が一体で形成されている。スペーサ143には、現像スリーブ11と感光ドラム(7:図2)との間の隙間を所定の値に維持するため、感光ドラム(7:図2)の外周径と等しい円弧143bが形成されている。スペーサ143には、現像スリーブ11を支持する軸受部材22の溝部に保持される内径部143dが形成されている。
【0098】
スペーサ143から軸方向に突出させた突出形状142は、Dカット面141dに当接して軸141の回転を固定する当接部となっている。突出形状142があるため、感光ドラム(7:図2)と現像スリーブ11とマグネットローラ(11m:図2)の磁極位置が、1部品で決まる。感光ドラム(7:図2)に対向する位置へマグネットローラ(11m:図2)の磁極の位置を正確に設定され、磁極の位置精度を1部品で容易に保証可能になり、感光ドラム(7:図2)に対する現像スリーブ11の現像位置のばらつきが小さくなる。このため、磁極の精度保証が容易になり、感光ドラム7に対する現像スリーブ11の磁極位置の精度が向上し、現像が安定して、画質が向上する。
【符号の説明】
【0099】
7 感光ドラム71 現像スリーブ、11m マグネットローラ
12 現像ブレード、16 支持枠体、16a U溝φG部
16b U溝部、16c、16d スリット、16e アーム部
16g 切り欠き、17 カートリッジ枠体、18a、18b 支持軸
20 現像スリーブユニット、21 スペーサ、22 軸受部材
22d 溝、41 付勢部材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像容器と、
前記現像容器の現像剤を担持して像担持体の現像領域へ供給する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の回転軸を回転自在に支持する軸受部材と、
前記現像容器に支持され、前記軸受部材を保持させる軸受保持部と、を備えた現像装置において、
前記軸受保持部は、前記軸受部材が現像剤担持体の回転軸に支持された状態で前記軸受部材を前記回転軸線方向に移動させることで前記軸受部材の直径方向への着脱が可能となる軸受着脱部と、前記軸受部材の直径方向への移動が規制される規制部と、をそれぞれ備えていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体が担持する現像剤の層厚を規制する層厚規制部材と、前記層厚規制部材が位置決め固定される支持部材と、を備え、
前記軸受保持部は、前記支持部材の長手方向の両端部に一対配置されていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
一対の前記軸受着脱部は、一対の前記規制部の内側に隣接配置されることを特徴とする請求項2記載の現像装置。
【請求項4】
前記軸受着脱部に形成された第一溝部に対して前記軸受部材を前記規制部へ移動して位置合わせされる第二溝部が前記軸受部材に形成され、
前記第一溝部と前記第二溝部にまたがって挿入されて前記軸受部材の軸方向の移動を拘束する固定部材を備えることを特徴とする請求項3記載の現像装置。
【請求項5】
前記固定部材は、先端を前記像担持体に当接させて前記現像剤担持体との間に所定の隙間を設定する当接部材を兼ねていることを特徴とする請求項4記載の現像装置。
【請求項6】
磁極を有して前記現像剤担持体の内部に配置される磁石部材に一端が固定されて他端が前記軸受部材の外側に位置する位置決め軸部を備え、
前記当接部材は、前記軸受部材の外側で前記位置決め軸部に当接して回転位置を規定する当接部を形成されていることを特徴とする請求項5記載の現像装置。
【請求項7】
前記支持部材の両端部に配置されて前記支持部材を揺動可能に支持する前記現像剤担持体と平行な回転軸と、前記現像容器との間に配置されて前記現像剤担持体を前記像担持体へ当接させる方向に付勢する付勢部材と、を備えることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の現像装置と前記像担持体とが一体に組み立てられた画像形成装置の交換ユニットであることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−247757(P2012−247757A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121918(P2011−121918)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】