説明

現像装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】ベタ画像の濃度ムラやゴースト、及びキャリア引きや現像剤漏れを発生させず、長期間に亘って良好な画像が得られる現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像ローラ23は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の現像スリーブ23aの外周面にアルマイト層40が形成されており、アルマイト層40の表面には抵抗調整剤を含有するコート層41が積層されている。また、回転スリーブ22aの外周面には軸方向に延びる多数の溝が形成されており、現像ローラ23と磁気ローラ22との対向部分における現像剤存在量が20〜40mg/cm2となるように設定されている。また、主極35の磁力は100mT以上、主極35と現像ローラ側磁極23bとの磁力差を50mT以上に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に搭載される現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、磁性キャリアとトナーとから成る二成分現像剤を使用し、トナー担持体に帯電したトナーのみを保持させて像担持体上の静電潜像を現像する現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを用いた画像形成装置における乾式トナーを用いた現像方式としては、キャリアを用いない一成分現像方式と、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる二成分現像剤を使用し、現像ローラ上に形成されたトナー及びキャリアから成る磁気ブラシにより像担持体(感光体)上の静電潜像を現像する二成分現像方式とが知られている。
【0003】
一成分現像方式は、磁気ブラシによって像担持体上の静電潜像が乱されることがなく高画質化に適している反面、トナーをチャージローラで帯電させ、弾性規制ブレードで現像ローラ上の層厚を規制するため、トナーの添加剤がチャージローラに付着して帯電能力が低下し、トナーの帯電量を安定して維持することが困難であった。また、規制ブレードにトナーが付着し、層形成が不均一になって画像欠陥をきたすことがあった。
【0004】
また、色重ねを行うカラー印刷の場合、カラートナーに透過性が要求されるため、非磁性トナーである必要がある。そこで、フルカラー画像形成装置においてはキャリアを用いてトナーを帯電及び搬送する二成分現像方式を採用する場合が多い。しかし、二成分現像方式は安定した帯電量を長期間維持できトナーの長寿命化に適している反面、前述した磁気ブラシによる影響のため画質の面で不利であった。
【0005】
これらの問題を解決する手段の一つとして、磁気ローラ(トナー供給部材)を用いて現像剤を像担持体(感光体)に対して非接触に設置した現像ローラ(トナー担持体)上に移行させる際に、磁気ローラ上に磁性キャリアを残したまま現像ローラ上に非磁性トナーのみを転移させてトナー薄層を形成し、交流電界によって像担持体(感光体)上の静電潜像にトナーを付着させる現像方式が提案されている。
【0006】
上記の現像方式の場合、現像ローラ上にトナーの消費領域と非消費領域とが生じると、現像ローラ上におけるトナーの付着状態とトナーの電位差にばらつきが生じる関係から、直前の現像画像の一部が次の現像時に残像(ゴースト)として現れる現象、いわゆる履歴現象が発生しやすいという不具合がある。そのため、像担持体との対向部分(現像ニップ部)を通過した後、磁気ローラ上の磁気ブラシを用いて現像に用いられなかったトナー薄層を十分に回収して現像ローラ上に新たなトナー薄層を形成する必要がある。
【0007】
ところで、近年の高画質化の要望に伴いトナーの小粒径化が進んでおり、キャリアの小径化も必要となっている。小径キャリアを用いた場合には磁気ローラ上に形成される磁気ブラシがソフトになると同時に、磁気ローラから現像ローラにキャリアが移動する、いわゆるキャリア引きが発生し易くなる。そして、現像ローラ上に移動したキャリアが静電潜像に付着して画像に白抜けが生じる。そのため、長い磁気ブラシを形成することが困難となり、磁気ブラシによる現像ローラ表面からのトナーの掻き取り力が低下してトナー回収性が悪くなる傾向がある。
【0008】
また、画像処理速度の高速化に対応するために、感光体の周速の増加も著しい。これに伴い現像装置内の現像ローラや磁気ローラの回転速度も増加させる必要がある。ここで、磁気ローラに用いられる回転スリーブはパイプ材にブラスト処理を施して表面粗さを付与したものが主流であるため、現像剤の搬送速度が上昇すると回転スリーブ上で現像剤の滑りが発生してしまい、現像ローラへの十分な現像剤の供給が行えなくなる。
【0009】
そこで、上記の問題点を解決するための構成として、特許文献1には、トナー担持体(現像ローラ)と現像剤担持体(磁気ローラ)との対向領域における現像剤充填密度が所定量以上となるように設定した現像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−123841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1の記載によれば、現像ローラ及び磁気ローラ間の距離が大きいことから、比較的粒径の大きいキャリアが使用されているものと推定される。そのため、小径のキャリアを用いる現像装置にそのまま適用することは困難であった。
【0012】
また、小径キャリアを用いた場合には磁気ローラ上に形成される磁気ブラシの現像ローラへの当たりがソフトになると同時に、長い磁気ブラシを形成することが困難となる。そのため、現像ローラ表面からのトナーの掻き取り力が低下してトナー回収性が悪くなる傾向があり、ベタ画像を印字したときに現像ローラの回転回数によって濃度差が生じたり、ゴースト(履歴現像)が発生したりするという問題点があった。また、磁気ローラ上の現像剤量や磁気ローラと現像ローラとの間の磁力によってはキャリア引きや現像剤漏れが発生するおそれもあった。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑み、ベタ画像の濃度ムラやゴースト、及びキャリア引きや現像剤漏れを発生させず、長期間に亘って良好な画像が得られる現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、像担持体に非接触で対向配置されるトナー担持体と、該トナー担持体上に磁気ブラシを用いてトナー層を形成するトナー供給部材と、該トナー供給部材内に配置され、前記トナー供給部材と前記トナー担持体との近接部に配置される主極を含む複数の磁極を有する固定マグネット体と、前記トナー担持体内に前記主極と対向するように配置されるトナー担持体側磁極と、を有する現像装置において、前記トナー担持体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成る外周面にアルマイト層を形成し、該アルマイト層の表面に抵抗調整剤を含有する樹脂コート層を形成したものであり、前記トナー供給部材の外周面には軸方向に延びる多数の溝が形成されており、前記トナー供給部材上の現像剤存在量が20〜40mg/cm2であり、前記主極の磁力が100mT以上、且つ前記主極と前記トナー担持体側磁極との磁力差が50mT以上であることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記トナー担持体と前記トナー供給部材との最近接距離が0.2mm〜0.5mmであることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記トナー担持体と前記トナー供給部材との最近接部に対し、前記主極を前記トナー供給部材の回転方向下流側近傍に配置するとともに、前記トナー担持体側磁極を前記トナー担持体の回転方向上流側近傍に配置したことを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記トナー供給部材の周速が400mm/秒以上、且つ前記トナー供給部材と前記トナー担持体との周速差が80mm/秒以上であることを特徴としている。
【0018】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記樹脂コート層は、ウレタン若しくはアクリル樹脂を主成分とすることを特徴としている。
【0019】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記抵抗調整剤は、カーボン若しくは酸化チタンを含有することを特徴としている。
【0020】
また本発明は、上記構成の現像装置が搭載された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の構成によれば、トナー供給部材上の現像剤存在量を所定量とし、トナー供給部材の主極の磁力及びトナー担持体側磁極との磁力差を規定することにより、小径のトナー及びキャリアから成る現像剤を用いた場合にもトナー担持体へのトナー供給性、及びトナー担持体からのトナー回収性を低下させずゴーストやキャリア引きも抑制できる現像装置となる。
【0022】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の現像装置において、トナー担持体とトナー供給部材との最近接距離を0.2mm〜0.5mmとすることにより、トナー担持体からのトナー回収性の向上と現像剤漏れの抑制とを両立させることができる。
【0023】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の現像装置において、トナー担持体とトナー供給部材との最近接部に対し、主極をトナー供給部材の回転方向下流側近傍に配置するとともに、トナー担持体側磁極をトナー担持体の回転方向上流側近傍に配置することにより、トナー担持体の回転方向上流側でのトナーの掻き取り力が強められ、最近接部での掻き取り力が弱められる。従って、トナー担持体上の残留トナーを効率良く回収しつつ、新たなトナー薄層の形成性能を向上させることができる。
【0024】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の現像装置において、トナー供給部材の周速を400mm/秒以上、且つトナー供給部材とトナー担持体との周速差を80mm/秒以上とすることにより、高速印字が可能であり、且つトナー回収性の低下やキャリア引きの発生も抑制可能な現像装置となる。
【0025】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の現像装置において、コート層がウレタン若しくはアクリル樹脂を主成分とすることにより、正帯電トナーを用いる場合にトナーの樹脂材料との帯電性が近くなり、トナーの剥離性が良好なコート層を形成することができる。
【0026】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の現像装置において、カーボン若しくは酸化チタンを含有する抵抗調整剤を樹脂コート層に含有させることにより、コート層表面の残留電荷を適度に調整することができる。
【0027】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の現像装置を搭載することにより、濃度ムラやゴースト、及びキャリア引きや現像装置からの現像剤漏れを発生させず、長期間に亘って良好な画像が得られる画像形成装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の現像装置が搭載された画像形成装置の全体構成を示す概略図
【図2】本発明の現像装置の構成を示す側面断面図
【図3】現像ローラ及び磁気ローラに印加されるバイアス波形の一例を示す図
【図4】本発明の現像装置に用いられる現像ローラの側面断面図
【図5】現像ローラの断面拡大図
【図6】磁気ローラ内の主極と現像ローラ内の現像ローラ側磁極との位置関係を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラー画像形成装置について示している。カラー画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0030】
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転し、各画像形成部に隣接して移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラ9において転写紙P上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0031】
トナー像が転写される転写紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
【0032】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
【0033】
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0034】
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、中間転写ローラ6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。
【0035】
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラ10と、下流側の駆動ローラ11とに掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラ12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部7へと搬送される。
【0036】
定着部7に搬送された転写紙Pは、定着ローラ対13により加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
【0037】
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Pは分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラ9に再搬送される。そして、中間転写ベルト5上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
【0038】
図2は、本発明の画像形成装置に用いられる現像装置の構成を示す側面断面図である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0039】
図2に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画され、第1及び第2攪拌室20b、20cには図示しないトナーコンテナから供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
【0040】
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁20aに形成された現像剤通過路(図示せず)を介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。図示の例では、現像容器20は左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第2攪拌スクリュー21bの上方には磁気ローラ22が配置され、磁気ローラ22の左斜め上方には現像ローラ23が対向配置されている。そして、現像ローラ23は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1に対向しており、磁気ローラ22及び現像ローラ23は図中時計回りに回転する。
【0041】
なお、現像容器20には、第1攪拌スクリュー21aと対面してトナー濃度センサ(図示せず)が配置されており、トナー濃度センサで検知されるトナー濃度に応じて補給装置からトナー補給口20dを介して現像容器20内にトナーが補給される。
【0042】
磁気ローラ22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブに内包される複数の磁極(ここでは5極)を有する固定マグネット体22bで構成されている。現像ローラ23は、非磁性の現像スリーブから構成されており、磁気ローラ22と現像ローラ23とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。
【0043】
また、現像容器20には穂切りブレード25が磁気ローラ22の長手方向(図2の紙面表裏方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード25は、磁気ローラ22の回転方向(図中時計回り)において、現像ローラ23と磁気ローラ22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード25の先端部と磁気ローラ22表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0044】
現像ローラ23は、円筒状の現像スリーブ23aと、現像スリーブ23a内に固定された現像ローラ側磁極23bで構成されている。現像ローラ側磁極23bは、固定マグネット体22bの対向する磁極(主極)35と異極性である。
【0045】
現像ローラ23には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)を印加する第1バイアス回路30が接続されており、磁気ローラ22には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)を印加する第2バイアス回路31が接続されている。また、第1バイアス回路30及び第2バイアス回路31は共通のグランドに接地されている。
【0046】
第1バイアス回路30及び第2バイアス回路31には電圧可変装置33が接続されており、現像ローラ23に印加されるVslv(DC)、Vslv(AC)及び磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)、Vmag(AC)を可変できるようになっている。
【0047】
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が磁気ローラ22に搬送される。穂切りブレード25には固定マグネット体22bの穂切り用磁極37が対向するため、穂切りブレード25として非磁性体或いは穂切り用磁極37と異なる極性の磁性体を用いることにより、穂切りブレード25の先端と回転スリーブ22aとの隙間に引き合う方向の磁界が発生する。
【0048】
この磁界により、穂切りブレード25と回転スリーブ22aとの間に磁気ブラシが形成される。そして、磁気ローラ22上の磁気ブラシは穂切りブレード25によって層厚規制された後、現像ローラ23に対向する位置に移動すると、固定マグネット体22bの主極35及び現像ローラ側磁極23bにより引き合う磁界が付与されるため、磁気ブラシは現像ローラ23表面に接触する。そして、磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)と現像ローラ23に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラ23上にトナー薄層を形成する。
【0049】
現像ローラ23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラ22と現像ローラ23との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラ23上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
【0050】
図3は、現像ローラ23及び磁気ローラ22に印加されるバイアス波形の一例を示す図である。図3(a)に示すように、現像ローラ23には、Vslv(DC)にピークツーピーク値がVpp1である矩形波のVslv(AC)を重畳した合成波形Vslv(実線)が第1バイアス回路30から印加される。また、磁気ローラ22には、Vmag(DC)にピークツーピーク値がVpp2であり、且つVslv(AC)と位相が異なる矩形波のVmag(AC)を重畳した合成波形Vmag(破線)が第2バイアス回路31から印加される。
【0051】
従って、磁気ローラ22及び現像ローラ23間(以下、MS間という)に印加される電圧は、図3(b)に示すようなVpp(max)とVpp(min)を有する合成波形Vmag−Vslvとなる。なお、Vmag(AC)はVslv(AC)よりもDuty比が大きくなるように設定される。実際には図3で示すような完全な矩形波ではなく、一部が歪んだ形状の交流電圧が印加される。
【0052】
磁気ブラシによって現像ローラ23上に形成されたトナー薄層は、現像ローラ23の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラ23との対向部分に搬送される。現像ローラ23にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
【0053】
さらに回転スリーブ22aが時計回りに回転すると、今度は主極35に隣接する異極性の磁極により発生する水平方向(ローラ周方向)の磁界により磁気ブラシは現像ローラ23表面から引き離され、現像に用いられずに残ったトナーが現像ローラ23から回転スリーブ22a上に回収される。さらに回転スリーブ22aが回転すると、固定マグネット体22bの隣接する同極性の磁極により反発する磁界が付与されるため、トナーは現像容器20内で回転スリーブ22aから離脱する。そして、第2攪拌スクリュー21bにより攪拌、搬送された後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として再び回転スリーブ22a上に磁気ブラシを形成し、穂切りブレード25へ搬送される。
【0054】
図4は、本発明の現像装置に用いられる現像ローラの側面断面図であり、図5は、現像ローラの断面拡大図(図4におけるAA′矢視断面図)である。現像ローラ23は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の現像スリーブ23aの外周面にアルマイト層(アルミニウムの酸化被膜)40が形成されており、アルマイト層40の表面にはシリコン変性ポリウレタン樹脂或いはアクリル樹脂からなるコート層41が積層されている。なお、現像スリーブ23a内の現像ローラ側磁極23bは記載を省略している。
【0055】
次に、現像ローラ23の製造方法について説明する。先ず、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の円筒を切削、研磨等により所定の外径寸法の現像スリーブ23aに仕上げた後、酸水溶液中で陽極酸化処理を行うことにより表面にアルマイト層40を形成する。アルマイト層40は、中心に微細孔を有する六角柱状のセルの集合体であり、微細孔の底面がアルミ素地との界面(バリア層)となる。アルマイト層40は、現像ローラ23へ現像バイアスを印加する際のリークの発生を防止する。
【0056】
アルマイト層40が厚すぎると、現像ローラ全体の抵抗が大きくなって高電圧の現像バイアスを印加する必要が生じる。一方、アルマイト層40が薄すぎると、アルマイト層を均一に形成することができずリークが発生するおそれがある。従って、アルマイト層40の層厚は15μm〜20μm程度が好ましい。
【0057】
そして、スプレー、ディッピング、ロールコート等によりアルマイト層40の表面にコート層41を形成する。コート層41は、現像スリーブ23a上に供給されたトナーのアルマイト層40への固着を抑制する。さらに、コート層41が現像剤に与える機械的ストレスは金属表面に比べて少ないため、現像剤搬送量を増加させたときの現像ローラ23からのトナー回収性の向上と現像剤の劣化防止との両立を図ることができる。
【0058】
コート層41の材質としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられるが、正帯電トナーの樹脂材料と帯電性が近く、トナーの剥離性が良好なウレタン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。中でも、ウレタン樹脂の炭素の一部をケイ素に置換したシリコン変性ポリウレタン樹脂を用いた場合、ウレタン樹脂の吸湿性が改善されて環境変化に対するコート層41の帯電特性の変化が抑制されるため好ましい。
【0059】
なお、コート層41には抵抗調整剤43として誘電率10以上の導電材を含有させて、コート層41の体積抵抗値を調整し、且つ抵抗ムラを抑制している。抵抗調整剤43としてはカーボンブラックや繊維形状のチタン酸カリウム等が挙げられる。これにより、トナー層の帯電状態の安定化とトナー回収時における剥離性の向上を図ることができる。コート層41の体積抵抗値としては、現像ローラ23表面の残留電荷を適度に滞留可能な104〜108Ω程度が好ましい。
【0060】
本発明においては、磁気ローラ22から現像ローラ23へ現像剤を供給する際の回転スリーブ22a上での現像剤の滑りを抑制するために、回転スリーブ22aの外周面に軸方向に延びる多数の溝(ローレット形状)を形成している。これにより、現像ローラ23と磁気ローラ22との対向部分に現像剤を安定して供給することができ、現像ローラ23上に均一なトナー薄層を形成可能となる。
【0061】
磁気ローラ22上の現像剤存在量が20mg/cm2未満の場合、現像ローラ23上にトナー薄層を安定して形成できず、現像ローラ23からのトナー回収性も低下する。一方、現像剤存在量が40mg/cm2を超える場合、現像ローラ23と磁気ローラ22との最近接部における現像剤密度が増加して現像装置からの現像剤(キャリア)漏れが発生するおそれがある。従って、磁気ローラ22上の現像剤存在量が20〜40mg/cm2となるように回転スリーブ22aに形成される溝の幅や深さ、本数等を設定すれば良い。
【0062】
なお、磁気ローラ22上の現像剤存在量が多くなると、その分だけキャリアの存在量も多くなるためキャリア引きも発生し易くなる。また、現像剤漏れも発生し易くなる。そこで、固定マグネット体22bの主極35を一般的な設定(60〜80mT)よりも強い100mT以上とすることにより、現像ローラ23側へのキャリア引きや現像剤漏れを防止するとともに、磁気ローラ22側へのトナーの回収力も向上させることができる。特に、キャリア引きを防止するためには主極35と対向磁極である現像ローラ側磁極23bとの磁力差を広げて、相対的に磁気ローラ22側の磁力を強く設定しておくことが好ましい。
【0063】
主極35と現像ローラ側磁極23bとの磁力差が小さいと磁気ブラシが強固に形成されすぎてしまい、現像剤及びトナーの劣化が生じやすい。また、磁気ローラ22と現像ローラ23とは対向部分においてカウンタ回転しているため、主極35と現像ローラ側磁極23bとの磁力差が小さい場合は磁気ブラシの分割点が現像ローラ23から離れすぎ、トナーの回収力が十分に得られない場合がある。具体的には、主極35と現像ローラ側磁極23bとの磁力差を50mT以上とする。
【0064】
ここで、図6に示すように、固定マグネット体22bの主極35を磁気ローラ22と現像ローラ23との最近接部Rよりも磁気ローラ22の回転方向下流側直近に配置し、現像ローラ側磁極23bを最近接部Rよりも現像ローラ23の回転方向上流側直近に配置した場合、主極35及び現像ローラ側磁極23b間で磁気ブラシが形成される。その結果、現像ローラ23の回転方向上流側でのトナーの掻き取り力が強められ、現像に用いられずに残留したトナーを優先的に回収することができる。また、逆に最近接部Rでの掻き取り力が弱められるため、最近接部Rにおいて現像ローラ23上に均一なトナー薄層を形成することができる。
【0065】
現像ローラ23と磁気ローラ22との最近接距離が0.5mmを超える場合、最近接部Rにおける現像剤密度が低下するため、キャリア存在率も低下して現像ローラ23からのトナー回収性が低下する。また、キャリア引きも発生し易くなる。一方、最近接距離が0.2mm未満である場合、最近接部Rにおける現像剤密度が高くなり過ぎて現像剤が最近接部Rを通過できず、現像剤漏れが発生し易くなる。従って、現像ローラ23と磁気ローラ22との最近接距離は0.2〜0.5mmに設定することが好ましい。
【0066】
また、磁気ローラ22の周速が速くなるにつれて、また磁気ローラ22と現像ローラ23との周速差が大きくなるにつれて現像ローラ23への磁気ブラシの接触時間が短くなるため、トナーの回収性が低下し、キャリア引きが発生し易くなる。本発明の構成によれば、磁気ローラ22上の現像剤存在量と磁気ローラ−現像ローラ間の磁力を規定することで、磁気ローラ22の周速が400mm/秒以上、磁気ローラと現像ローラとの周速差が80mm/秒以上の高速機においても優れたトナー供給性能及び回収性能を維持することができ、ゴーストやキャリア引きの発生を効果的に抑制可能となる。
【0067】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では帯電方向が正(プラス側)である正帯電トナーを用いる現像装置を例に挙げて説明したが、帯電方向が負(マイナス側)である負帯電トナーを用いる現像装置にも全く同様に適用可能である。
【0068】
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンタに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンタ及びロータリー現像式のカラープリンタ及びカラー複写機、ファクシミリ等、現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用可能である。以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。
【実施例】
【0069】
図2に示した本発明の現像装置が搭載された図1に示すような試験機を用い、磁気ローラ−現像ローラ間の距離、磁気ローラ表面のローレット形状の有無、磁気ローラ上の磁気ブラシ量(現像剤搬送量)、主極及び現像ローラ側磁極の磁力を変化させたときの、ベタ画像の画像濃度、キャリア付着(キャリア引き)を比較した。さらに、現像剤搬送量が増加し過ぎた場合に発生する現像剤漏れの確認も行った。なお、試験は感光体ドラム1a及び現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて行った。
【0070】
試験機の条件としては、印字速度40枚/分、感光体ドラムの周速を200mm/secとし、ドラム表面電位は白地部電位(V0)を300V、画像部電位(VL)を20Vとした。現像ローラは、外周面に15μmのアルマイト層が形成され、体積抵抗値107Ωのシリコン変性ポリウレタン樹脂から成るコート層を積層した直径20mmの現像スリーブ内に現像ローラ側磁極を磁気ローラとの最近接点より回転方向上流側に14°の位置に配置し、現像ローラの周速を感光体に対し周速比1.5(対向面において順回転)とした。また、感光体−現像ローラ間ギャップを0.15mmとした。
【0071】
磁気ローラは、直径20mmのスリーブ内に、固定マグネット体の主極が現像ローラとの最近接点より回転方向下流側に5°の位置になるように配置し、ローレット形状を有する磁気ローラの場合はスリーブの外周面に深さ0.08mmの溝を軸方向に80本形成した。磁気ローラの周速は現像ローラに対し周速比1.5(対向面においてカウンタ回転)とした。
【0072】
現像剤としては、平均粒径6.8μm、比重1.2の正帯電トナーと体積固有抵抗1012Ω、飽和磁化40emu/g、平均粒径35μmのコーティングフェライトキャリアとから成る二成分現像剤を用い、キャリアに対するトナーの混合比率(T/C)を12重量%とした。
【0073】
現像ローラへの電圧印加条件は、Vslv(DC)=100V、Vslv(AC)のVppを1500V、周波数を3kHz、Duty=45%とした。また、磁気ローラへの電圧印加条件は、Vmag(DC)=300V、Vmag(AC)のVppを1700V、周波数=3kHz、Duty=60%とした。
【0074】
評価方法としては、反射濃度計(スペクトロアイ、グレタグマクベス社製)を用いて現像ローラ1周目と2周目のベタ画像先端の画像濃度(ID;イメージデンシティ)を測定し、測定値の差が0.08未満である場合を○、0.08以上である場合を×とした。また、現像装置からの現像剤漏れを目視により観察し、漏れが無かった場合を○、漏れが認められた場合を×とした。また、ベタ画像へのキャリア付着の有無を目視により観察し、キャリア付着が認められなかった場合を○、キャリア付着が認められた場合を×とした。評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
表1から明らかなように、ローレット形状を有する磁気ローラを用いて磁気ブラシ量を20〜40mg/cm2とし、磁気ローラ−現像ローラ間の最近接距離を0.2〜0.5mm、主極磁力を100mT以上、主極磁力と現像ローラ側磁極との磁力差を50mT以上とした本発明1〜4においては、いずれも現像ローラ1周目と2周目のベタ画像先端の画像濃度差が0.08未満と小さかった。また、現像装置からの現像剤漏れやベタ画像へのキャリア付着も認められなかった。
【0077】
これに対し、ローレット形状を有しない磁気ローラを用いた比較例1では、現像ローラと磁気ローラとの対向部分に現像剤を安定して供給できず、現像ローラ2周目のベタ画像濃度が低下したため、現像ローラ1周目と2周目のベタ画像先端の画像濃度差が0.08以上となった。また、磁気ローラ上の磁気ブラシ量が50mg/cm2である比較例2では、現像ローラと磁気ローラとの最近接部における現像剤密度が増加して現像装置からの現像剤漏れが発生した。
【0078】
磁気ローラ−現像ローラ間の距離が0.5mmを超える比較例3では、現像ローラと磁気ローラとの最近接部における現像剤密度が低下するため現像ローラ2周目のベタ画像濃度が低下し、現像ローラ1周目と2周目の画像濃度差が0.08以上となった。また、主極がキャリアを引き付ける力も低下するためキャリア付着も発生した。
【0079】
そして、主極磁力が100mT未満である比較例4では、現像ローラからのトナー回収性が低下するため現像ローラ上にトナー薄層を安定して形成できず、現像ローラ2周目のベタ画像濃度が低下した。また、主極がキャリアを引き付ける力も低下するためキャリア付着も発生した。
【0080】
以上の結果より、ローレット形状を有する磁気ローラを用い、磁気ローラ−現像ローラ間の最近接距離、磁気ローラの現像剤搬送量、磁気ローラ内の主極磁力、及び現像ローラ側磁極の磁力を所定の範囲に設定することにより、濃度ムラ、キャリア付着、及び現像剤漏れの発生を効果的に抑制できることが確認された。なお、ここではシアンの画像形成部Paにおいて試験を行ったが、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像形成部Pb〜Pdにおいても同様の結果が得られることが確認されている。
【0081】
なお、上記実施例は本発明の一構成例にすぎず、ドラム表面電位や現像ローラ及び磁気ローラへの電圧印加条件等は装置の仕様や使用環境に応じて適宜設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、トナー供給部材を用いてトナー担持体上に帯電したトナーのみを保持させて像担持体上の静電潜像を現像する現像装置に利用可能であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成るトナー担持体の外周面にアルマイト層を形成し、該アルマイト層の表面に抵抗調整剤を含有する樹脂材料から成るコート層を形成したトナー担持体を用い、外周面に軸方向に延びる多数の溝が形成されたトナー供給部材を用いるとともに、トナー担持体とトナー供給部材との最近接部における現像剤存在量が20〜40mg/cm2であり、主極の磁力を100mT以上、且つ主極とトナー担持体側磁極との磁力差を50mT以上としたものである。
【0083】
これにより、小径のトナー及びキャリアから成る現像剤を用いた場合にもトナー担持体へのトナー供給性、及びトナー担持体からのトナー回収性を低下させず、濃度ムラやゴースト、及びキャリア引きや現像剤漏れの発生しない現像装置を提供することができる。特に、トナー供給部材の周速が400mm/秒以上、トナー供給部材とトナー担持体との周速差が80mm/秒以上の高速機においてもキャリア引きやトナー回収性の低下を効果的に抑制できる。このとき、トナー担持体とトナー供給部材との最近接距離を0.2mm〜0.5mmとすることで、トナー担持体からのトナー回収性の向上と現像剤漏れの抑制とを容易に両立させることができる。
【0084】
また、トナー担持体とトナー供給部材との最近接部に対し、主極をトナー供給部材の回転方向下流側近傍に配置するとともに、トナー担持体側磁極をトナー担持体の回転方向上流側近傍に配置したので、トナー担持体上の残留トナーを効率良く回収しつつ、新たなトナー薄層の形成性能を向上させることができる。
【0085】
また、ウレタン若しくはアクリル樹脂を主成分とするコート層を形成し、カーボン若しくは酸化チタンを含有する抵抗調整剤をコート層に含有させたので、特に正帯電トナーを用いる場合に良好なトナーの剥離性及び電荷残留性を有するコート層を形成することができる。
【符号の説明】
【0086】
1a〜1d 感光体ドラム(像担持体)
3a〜3d 現像装置
21a 第1攪拌スクリュー
21b 第2攪拌スクリュー
22 磁気ローラ(トナー供給部材)
22a 回転スリーブ
22b 固定マグネット体
23 現像ローラ(トナー担持体)
23a 現像スリーブ
23b 現像ローラ側磁極
25 穂切りブレード
30 第1バイアス回路
31 第2バイアス回路
33 電圧可変装置
35 主極
37 穂切り用磁極
40 アルマイト層
41 コート層
43 抵抗調整剤
100 画像形成装置
Pa〜Pd 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に非接触で対向配置されるトナー担持体と、
該トナー担持体上に磁気ブラシを用いてトナー層を形成するトナー供給部材と、
該トナー供給部材内に配置され、前記トナー供給部材と前記トナー担持体との近接部に配置される主極を含む複数の磁極を有する固定マグネット体と、
前記トナー担持体内に前記主極と対向するように配置されるトナー担持体側磁極と、
を有する現像装置において、
前記トナー担持体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成る外周面にアルマイト層を形成し、該アルマイト層の表面に抵抗調整剤を含有する樹脂材料から成るコート層を形成したものであり、
前記トナー供給部材の外周面には軸方向に延びる多数の溝が形成されており、
前記トナー供給部材上の現像剤存在量が20〜40mg/cm2であり、
前記主極の磁力が100mT以上、且つ前記主極と前記トナー担持体側磁極との磁力差が50mT以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記トナー担持体と前記トナー供給部材との最近接距離が0.2mm〜0.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記トナー担持体と前記トナー供給部材との最近接部に対し、前記主極を前記トナー供給部材の回転方向下流側近傍に配置するとともに、前記トナー担持体側磁極を前記トナー担持体の回転方向上流側近傍に配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記トナー供給部材の周速が400mm/秒以上、且つ前記トナー供給部材と前記トナー担持体との周速差が80mm/秒以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記コート層は、ウレタン若しくはアクリル樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記抵抗調整剤は、カーボン若しくは酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の現像装置が搭載された画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−197948(P2010−197948A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45697(P2009−45697)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】