説明

現像装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】穂切りブレードの下流側面に堆積したトナーを効率良く回収することにより、現像ローラ上に常に安定したトナー層を形成できる現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】非画像形成時に磁気ローラ22内の磁気ローラ側磁極22bを反時計回りに所定量だけ回転移動させることにより、現像ローラ側磁極23bには同極性の搬送極37が対向するため、磁気ローラ22と現像ローラ23との対向部分において反発する磁界が発生する。その結果、磁気ローラ22と現像ローラ23との対向部分における現像剤の移動が規制され、磁気ローラ22及び現像ローラ23の対向部分と穂切りブレード25との間に現像剤溜まり45が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に搭載される現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、磁性キャリアとトナーとから成る二成分現像剤を使用し、トナー担持体に帯電したトナーのみを保持させて像担持体上の静電潜像を現像する現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを用いた画像形成装置における乾式トナーを用いた現像方式としては、キャリアを用いない一成分現像方式と、磁性キャリア(以下、単にキャリアともいう)を用いて非磁性のトナーを帯電させる二成分現像剤を使用し、現像ローラ上に形成されたトナー及びキャリアから成る磁気ブラシにより感光体上の静電潜像を現像する二成分現像方式とが知られている。
【0003】
一成分現像方式は、磁気ブラシによって像担持体上の静電潜像が乱されることがなく高画質化に適している反面、規制ブレードにトナーが付着し、層形成が不均一になって画像欠陥をきたすことがあった。
【0004】
また、色重ねを行うカラー印刷の場合、カラートナーに透過性が要求されるため、非磁性トナーである必要がある。そこで、フルカラー画像形成装置においてはキャリアを用いてトナーを帯電及び搬送する二成分現像方式を採用する場合が多い。しかし、二成分現像方式は安定した帯電量を長期間維持することができトナーの長寿命化に適している反面、前述した磁気ブラシによる影響のため画質の面で不利であった。
【0005】
これらの問題を解決する手段の一つとして、磁気ローラ(トナー供給部材)を用いて現像剤を感光体(像担持体)に対して非接触に設置した現像ローラ(トナー担持体)上に移行させる際に、磁気ローラ上に磁性キャリアを残したまま現像ローラ上に非磁性トナーのみを転移させてトナー薄層を形成し、交流電界によって感光体上の静電潜像にトナーを付着させる現像方式が提案されている。
【0006】
上記の現像方式の場合、磁気ローラ上の現像剤層を規制する穂切りブレードを現像剤が通過する際に圧力が掛かるため、トナーの凝集物が生じることがあり、この凝集物がブレードと磁気ローラの隙間に詰まって画像に筋状の白抜けが発生するという問題があった。
【0007】
また、磁気ローラと現像ローラの対向部分において磁気ローラから現像ローラへトナーが受け渡されるが、現像ローラ上のトナー層厚を一定以上に維持するために現像剤中のキャリアに対するトナーの割合を高くした場合、磁気ブラシから離れたトナーが飛散し易くなり、飛散したトナーが穂切りブレード上に堆積する。
【0008】
特に、穂切りブレードが略水平に配置され、磁気ローラが現像ローラの下方に位置する構成の現像装置においては、ブレード上に堆積したトナーが磁気ローラ上に落下すると、キャリアと共に攪拌されていないトナーが現像ローラ側に移動するため現像ローラ上のトナー層に影響を及ぼすおそれがある。さらに、ブレード上へのトナーの堆積が顕著になると、堆積したトナーが現像ローラと接触して現像ローラ上のトナー層を乱すことになる。
【0009】
特許文献1には、ドクターブレードと現像スリーブとの隙間に詰まったトナー凝集物を除去する方法として、現像スリーブを逆回転させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平3−103882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1の方法を磁気ローラと現像ローラを用いる上記の現像方式に適用した場合、穂切りブレード上に堆積するトナーについてもある程度は回収できる。しかし、トナーの回収効率が十分でないため、飛散トナーによる現像ローラ上のトナー層の乱れを完全に防止できなかった。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑み、穂切りブレード上に堆積したトナーを効率良く回収することにより、現像ローラ上に常に安定したトナー層を形成できる現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、少なくともキャリア及びトナーを含む二成分現像剤が用いられ、像担持体に対向配置される現像ローラと、該現像ローラに対向配置される磁気ローラと、該磁気ローラの回転方向に対し前記現像ローラの上流側に対向配置される磁性体若しくは非磁性体の穂切りブレードと、前記磁気ローラの内部に配置され前記現像ローラに対向する主極及び前記穂切りブレードに対向する規制極を含む複数の磁極を有する磁気ローラ側磁極と、前記現像ローラの内部において前記磁気ローラに対向配置され前記主極と異極性である現像ローラ側磁極と、を備え、前記磁気ローラ上に形成される磁気ブラシを用いて前記現像ローラにトナーを供給して像担持体上の静電潜像を現像する現像装置において、非画像形成時に、前記現像ローラ及び前記磁気ローラの対向部分と前記穂切りブレードとの間に現像剤溜まりが発生するように前記磁気ローラ側磁極または前記現像ローラ側磁極のうち少なくとも一方を移動させることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記現像ローラ側磁極に対し同極性の磁極が対向するように前記磁気ローラ側磁極を回転移動させることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記磁気ローラ側磁極は、前記磁気ローラの回転方向に対し前記規制極の上流側に位置する規制極と異極性の汲上極と、前記主極の下流側に位置する主極と異極性の搬送極とを有し、前記現像ローラ側磁極に対し前記搬送極が対向するように前記磁気ローラ側磁極を回転移動させることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記現像ローラ側磁極を前記穂切りブレード側に回転移動させることを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記現像ローラ側磁極を回転移動させると共に前記磁気ローラを逆回転させることを特徴としている。
【0018】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記磁気ローラの逆回転速度は、画像形成時における前記磁気ローラの回転速度よりも遅いことを特徴としている。
【0019】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記磁気ローラが、前記現像ローラの下方に配置されることを特徴としている。
【0020】
また本発明は、上記構成の現像装置が搭載された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の構成によれば、磁気ローラ側磁極または現像ローラ側磁極の移動により現像ローラ及び磁気ローラの対向部分と穂切りブレードとの間に発生する現像剤溜まりを用いて穂切りブレード上に堆積するトナーを効率良く回収することにより、現像ローラ上に常に安定したトナー薄層を形成することができる。
【0022】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の現像装置において、現像ローラ側磁極に対し同極性の磁極が対向するように磁気ローラ側磁極を回転移動させることにより、現像ローラと磁気ローラとの間に反発する磁界が発生して現像剤の通過が規制されるため、現像ローラ及び磁気ローラの対向部分と穂切りブレードとの間に現像剤溜まりを容易に形成することができる。
【0023】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の現像装置において、磁気ローラ側磁極は、磁気ローラの回転方向に対し規制極の上流側に位置する規制極と異極性の汲上極と、主極の下流側に位置する主極と異極性の搬送極とを有し、現像ローラ側磁極に対し搬送極が対向するように磁気ローラ側磁極を回転移動させることにより、規制極が本来の汲上極の位置に配置されるため磁気ローラ上への現像剤の汲み上げ力が低下しない。従って、現像ローラ及び磁気ローラの対向部分と穂切りブレードとの間に十分な現像剤溜まりを形成することができる。
【0024】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1の構成の現像装置において、現像ローラ側磁極を穂切りブレード側に回転移動させることにより、穂切りブレード下流側近傍の磁力線の向きが変化するため、現像ローラ及び磁気ローラの対向部分と穂切りブレードとの間に現像剤溜まりを容易に形成することができる。
【0025】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第4の構成の現像装置において、現像ローラ側磁極を移動させると共に磁気ローラを逆回転させることにより、磁気ローラと共に移動する現像剤溜まりが穂切りブレードの下流側面に押し付けられるため、穂切りブレード上のトナーをより効果的に回収することができる。
【0026】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第5の構成の現像装置において、磁気ローラの逆回転速度を画像形成時における回転速度よりも遅くすることにより、磁気ローラの回転で発生する風圧によるトナー飛散を防止してトナーの回収効率を高めることができる。
【0027】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の現像装置において、特にトナーが堆積し易い磁気ローラが現像ローラの下方に位置する構成であっても、堆積トナーを効率良く回収して磁気ローラ上への堆積トナーの落下を防止することができる。
【0028】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第1乃至第7のいずれかの構成の現像装置を搭載することにより、穂切りブレード上に堆積したトナーによる現像ローラ上のトナー薄層の乱れを発生させず、長期間に亘って良好な画像が得られる画像形成装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の現像装置が搭載された画像形成装置の全体構成を示す概略図
【図2】本発明の第1実施形態に係る現像装置の構成を示す側面断面図
【図3】現像ローラ及び磁気ローラに印加されるバイアス波形の一例を示す図
【図4】穂切りブレード上にトナーが堆積した状態を示す模式図
【図5】第1実施形態の現像装置において、磁気ローラ内の磁極を回転させて穂切りブレード上に堆積したトナーを除去する様子を示す模式図
【図6】第2実施形態の現像装置において、現像ローラ内の磁極を回転させて穂切りブレード上に堆積したトナーを除去する様子を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の現像装置が搭載された画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラー画像形成装置について示している。カラー画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0031】
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラ9において転写紙P上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0032】
トナー像が転写される転写紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
【0033】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
【0034】
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0035】
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、一次転写ローラ6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。
【0036】
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラ10と、下流側の駆動ローラ11を含む複数の張架ローラに掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラ対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部7へと搬送される。
【0037】
定着部7に搬送された転写紙Pは、定着ローラ対13により加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ対15によって排出トレイ17に排出される。
【0038】
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Pの一部を一旦排出ローラ対15から装置外部にまで突出させる。その後、転写紙Pは排出ローラ対15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態でレジストローラ対12bに再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラ対15から排出トレイ17に排出される。
【0039】
図2は、本発明の第1実施形態に係る現像装置の構成を示す側面断面図である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0040】
図2に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画され、第1及び第2攪拌室20b、20cには図示しないトナーコンテナから供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
【0041】
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁20aに形成された現像剤通過路(図示せず)を介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。図示の例では、現像容器20は左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第2攪拌スクリュー21bの上方には磁気ローラ22が配置され、磁気ローラ22の左斜め上方には現像ローラ23が対向配置されている。そして、現像ローラ23は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1aに対向しており、磁気ローラ22及び現像ローラ23は図中時計回りに回転する。
【0042】
なお、現像容器20には、第1攪拌スクリュー21aと対面してトナー濃度センサ(図示せず)が配置されており、トナー濃度センサで検知されるトナー濃度に応じて補給装置(図示せず)からトナー補給口20dを介して現像容器20内にトナーが補給される。
【0043】
磁気ローラ22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブに内包される複数の磁極を有する磁気ローラ側磁極22bで構成されている。本実施形態では、磁気ローラ側磁極22bは、主極35、規制極(穂切り用磁極)36、搬送極37、剥離極38、及び汲上極39の5極構成である。磁気ローラ側磁極22bは、中心軸を支軸として各磁極35〜39の相対位置を保持した状態で回転可能に配置されている。
【0044】
また、現像容器20には穂切りブレード25が磁気ローラ22の長手方向(図2の紙面表裏方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード25は、磁気ローラ22の回転方向(図中時計回り)において、現像ローラ23と磁気ローラ22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード25の先端部と磁気ローラ22表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0045】
現像ローラ23は、円筒状の現像スリーブ23aと、現像スリーブ23a内に固定された現像ローラ側磁極23bで構成されており、磁気ローラ22と現像ローラ23とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。現像ローラ側磁極23bは、磁気ローラ側磁極22bの対向する磁極(主極)35と異極性である。
【0046】
現像ローラ23には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)を印加する第1バイアス回路30が接続されており、磁気ローラ22には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)を印加する第2バイアス回路31が接続されている。また、第1バイアス回路30及び第2バイアス回路31は共通のグランドに接地されている。
【0047】
第1バイアス回路30及び第2バイアス回路31には電圧可変装置33が接続されており、現像ローラ23に印加されるVslv(DC)、Vslv(AC)及び磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)、Vmag(AC)を可変できるようになっている。
【0048】
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が磁気ローラ22に搬送される。穂切りブレード25には磁気ローラ側磁極22bの規制極36が対向するため、穂切りブレード25として非磁性体或いは規制極36と異極性の磁性体を用いることにより、穂切りブレード25の先端と回転スリーブ22aとの隙間に引き合う方向の磁界が発生する。
【0049】
この磁界により、穂切りブレード25と回転スリーブ22aとの間に磁気ブラシが形成される。そして、磁気ローラ22上の磁気ブラシは穂切りブレード25によって層厚規制された後、現像ローラ23に対向する位置に移動すると、磁気ローラ側磁極22bの主極35及び現像ローラ側磁極23bにより引き合う磁界が付与されるため、磁気ブラシは現像ローラ23表面に接触する。そして、磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)と現像ローラ23に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラ23上にトナー薄層を形成する。
【0050】
現像ローラ23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラ22と現像ローラ23との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラ23上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
【0051】
図3は、現像ローラ23及び磁気ローラ22に印加されるバイアス波形の一例を示す図である。図3(a)に示すように、現像ローラ23には、Vslv(DC)にピークツーピーク値がVpp1である矩形波のVslv(AC)を重畳した合成波形Vslv(実線)が第1バイアス回路30から印加される。また、磁気ローラ22には、Vmag(DC)にピークツーピーク値がVpp2であり、且つVslv(AC)と位相が異なる矩形波のVmag(AC)を重畳した合成波形Vmag(破線)が第2バイアス回路31から印加される。
【0052】
従って、磁気ローラ22及び現像ローラ23間(以下、MS間という)に印加される電圧は、図3(b)に示すようなVpp(max)とVpp(min)を有する合成波形Vmag−Vslvとなる。なお、Vmag(AC)はVslv(AC)よりもDuty比が大きくなるように設定される。実際には図3で示すような完全な矩形波ではなく、一部が歪んだ形状の交流電圧が印加される。
【0053】
磁気ブラシによって現像ローラ23上に形成されたトナー薄層は、現像ローラ23の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラ23との対向部分に搬送される。現像ローラ23にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
【0054】
さらに回転スリーブ22aが時計回りに回転すると、今度は主極35に隣接する異極性の搬送極37により発生する水平方向(ローラ周方向)の磁界により磁気ブラシは現像ローラ23表面から引き離され、現像に用いられずに残ったトナーが現像ローラ23から回転スリーブ22a上に回収される。さらに回転スリーブ22aが回転すると、磁気ローラ側磁極22bの剥離極38及びこれと同極性の汲上極39により反発する磁界が付与されるため、トナーは現像容器20内で回転スリーブ22aから離脱する。そして、第2攪拌スクリュー21bにより攪拌、搬送された後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として汲上極39により再び回転スリーブ22a上に磁気ブラシを形成し、穂切りブレード25へ搬送される。
【0055】
ところで、図2の現像装置3aでは、穂切りブレード25が略水平に配置されているため、穂切りブレード25上に飛散トナーが堆積し易い。図4は、穂切りブレード上にトナーが堆積した状態を示す模式図である。なお、図4では説明の便宜上、磁気ローラ22、現像ローラ23、穂切りブレード25のみを図示している。また、磁気ローラ22内の各磁極35〜39(磁気ローラ側磁極22b)、及び現像ローラ側磁極23bのハッチングは極性の異同を示している。即ち、斜線で示す主極35、剥離極38及び汲上極39が同極性(例えばN極)であり、ドットで示す規制極36、搬送極37及び現像ローラ側磁極23bが同極性(例えばS極)である(以下、図5、図6においても同じ)。
【0056】
図4に示すように、現像装置3aの駆動に伴い回転スリーブ22a上に形成された磁気ブラシ40が現像ローラ23に接触することによって現像スリーブ23a上にトナーが移動し、トナー薄層41が形成される。一方、現像ローラ23との対向部分で磁気ブラシ40から離れたトナーの一部が飛散し、回転スリーブ22aの回転方向(時計回り)に対し穂切りブレード25の下流側面25aに堆積してトナー溜まり43が生じる。トナー溜まり43が大きくなると、磁気ローラ22上に落下したり、トナー薄層41に接触したりして安定したトナー薄層41の形成を妨げる。
【0057】
そこで、本実施形態の現像装置3aでは、図5に示すように、非画像形成時に磁気ローラ22内の磁気ローラ側磁極22bを反時計回りに所定量だけ回転移動させる。これにより、現像ローラ側磁極23bには同極性の搬送極37が対向するため、現像ローラ側磁極23bと主極35との間に磁力線G(図5に破線で示す)が発生する。その結果、磁気ローラ22及び現像ローラ23の対向部分において反発する磁界が発生し、磁気ローラ22及び現像ローラ23の対向部分における現像剤の移動が規制され、磁気ローラ22及び現像ローラ23の対向部分と穂切りブレード25との間に現像剤溜まり45が形成される。
【0058】
そして、現像剤溜まり45が穂切りブレード25上のトナー溜まり43に接触しながら回転スリーブ22aと共に回転することで、トナー溜まり43が現像剤中に取り込まれる。回転スリーブ22aの回転に伴い現像剤溜まり45は徐々に増大していくため、回転スリーブ22aを所定時間回転させてトナー溜まり43を十分に回収した後、磁気ローラ側磁極22bを時計回りに回転移動させて元の位置に戻し、現像剤溜まり45を解消した後に画像形成処理を開始する。
【0059】
上記の手順により、穂切りブレード25上のトナー溜まり43を解消して常に安定したトナー薄層41を形成することができる。なお、穂切りブレード25上に堆積するトナー量は印字枚数、即ち現像装置の駆動時間に比例して多くなるため、累積印字枚数、或いは各現像装置3a〜3dの累積駆動時間に応じて磁気ローラ側磁極22bを回転移動させるタイミングを決定すれば良い。
【0060】
また、図5では磁気ローラ側磁極22bを反時計回りに回転移動させて、現像ローラ側磁極23bに同極性の搬送極37が対向するようにしたが、磁気ローラ側磁極22bを時計回りに回転移動させて、現像ローラ側磁極23bに同極性の規制極36が対向するようにしても良い。この場合においても図5と同様に、磁気ローラ22上に形成される現像剤溜まり45を用いて穂切りブレード25上のトナー溜まり43を効率良く回収することができる。
【0061】
しかし、現像ローラ側磁極23bと規制極36とを対向させた場合は、図4の汲上極39の位置に磁極が存在しなくなるため、回転スリーブ22a上への現像剤の汲み上げ力が低下し、現像剤溜まり45の形成に不利となる。一方、現像ローラ側磁極23bと搬送極37とを対向させた場合は、図5に示すように規制極36が図4の汲上極39の位置に配置されるため、回転スリーブ22a上への現像剤の汲み上げ力が低下しない。従って、現像ローラ側磁極23bと搬送極37とが対向するように磁気ローラ側磁極22bを回転させることが好ましい。
【0062】
次に、本発明の第2実施形態の現像装置についで説明する。本実施形態では、磁気ローラ側磁極22bは固定され、代わりに現像ローラ側磁極23bが中心軸を支軸として回転可能に配置されている。他の部分の構成及び現像装置の動作については図2に示す第1実施形態と全く同様であるため説明を省略する。
【0063】
本実施形態の現像装置3aでは、図6に示すように、非画像形成時に現像ローラ23内の現像ローラ側磁極23bを穂切りブレード25側(時計回り)に所定量だけ回転移動させる。これにより、現像ローラ側磁極23bと主極35との間の磁力線が大きく湾曲し、破線で示すような磁力線Gが発生する。その結果、図5と同様に、磁気ローラ22及び現像ローラ23の対向部分と穂切りブレード25との間に現像剤溜まり45が形成される。
【0064】
この状態で回転スリーブ22aを回転させることで、第1実施形態と同様に現像剤溜まり45を用いて穂切りブレード25上のトナー溜まり43を効率良く回収することができる。
【0065】
さらに、本実施形態では、現像剤溜まり45を用いてトナー溜まり43を回収している間は、回転スリーブ22aを逆回転(図6では反時計回り)させることが好ましい。この場合、剥離極38により回転スリーブ22a上に汲み上げられた現像剤は、搬送極37、主極35の磁力により回転スリーブ22aと共に移動して穂切りブレード25の下流側(逆回転時の上流側)に供給される。
【0066】
従って、回転スリーブ22aを正回転(図6では時計回り)させる場合に比べて現像剤溜まり45の形成に有利となる。また、回転スリーブ22aの逆回転によって現像剤溜まり45が穂切りブレード25の下流側面25aに押し付けられるため、トナー溜まり43をより効果的に回収することができる。さらに、穂切りブレードと磁気ローラとの隙間に詰まったトナー凝集物を除去する効果も期待できる。
【0067】
このとき、回転スリーブ22aの逆回転速度が速すぎると、穂切りブレード25上に堆積したトナーが回転スリーブ22aの回転により発生する風圧で飛散してしまい、トナー溜まり43の回収効率が低下する。そこで、回転スリーブ22aの逆回転速度は画像形成時の回転速度よりも遅くすることが好ましい。
【0068】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では帯電方向が正(プラス側)である正帯電トナーを用いる現像装置を例に挙げて説明したが、帯電方向が負(マイナス側)である負帯電トナーを用いる現像装置にも全く同様に適用可能である。
【0069】
また、上記各実施形態では、磁気ローラ側磁極22b或いは現像ローラ側磁極23bのいずれかを回転移動させて現像剤溜まり45を発生させたが、磁気ローラ側磁極22b及び現像ローラ側磁極23bの両方を回転移動させても良い。さらに、磁極の移動方法も回転移動に限らず、例えば現像ローラ側磁極23bを穂切りブレード25側に平行移動させることもできる。
【0070】
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンタに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンタ及びロータリー現像式のカラープリンタ及びカラー複写機、ファクシミリ等、磁性キャリアとトナーとから成る二成分現像剤を使用し、現像ローラに帯電したトナーのみを保持させて像担持体上の静電潜像を現像する現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、磁気ローラを用いて現像ローラ上に帯電したトナーのみを保持させて像担持体上の静電潜像を現像する現像装置に利用可能であり、非画像形成時に現像ローラ及び磁気ローラの対向部分と穂切りブレードとの間に現像剤溜まりが発生するように磁気ローラ側磁極または現像ローラ側磁極のうち少なくとも一方を移動させるものである。
【0072】
これにより、穂切りブレードの下流側近傍に現像剤溜まりを発生させて穂切りブレード上に堆積したトナーを効率良く回収可能な現像装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0073】
1a〜1d 感光体ドラム(像担持体)
3a〜3d 現像装置
21a 第1攪拌スクリュー
21b 第2攪拌スクリュー
22 磁気ローラ
22a 回転スリーブ
22b 磁気ローラ側磁極
23 現像ローラ
23a 現像スリーブ
23b 現像ローラ側磁極
25 穂切りブレード
35 主極
36 規制極
37 搬送極
38 剥離極
39 汲上極
40 磁気ブラシ
41 トナー薄層
43 トナー溜まり
45 現像剤溜まり
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともキャリア及びトナーを含む二成分現像剤が用いられ、像担持体に対向配置される現像ローラと、
該現像ローラに対向配置される磁気ローラと、
該磁気ローラの回転方向に対し前記現像ローラの上流側に対向配置される磁性体若しくは非磁性体の穂切りブレードと、
前記磁気ローラの内部に配置され前記現像ローラに対向する主極及び前記穂切りブレードに対向する規制極を含む複数の磁極を有する磁気ローラ側磁極と、
前記現像ローラの内部において前記磁気ローラに対向配置され前記主極と異極性である現像ローラ側磁極と、を備え、
前記磁気ローラ上に形成される磁気ブラシを用いて前記現像ローラにトナーを供給して像担持体上の静電潜像を現像する現像装置において、
非画像形成時に、前記現像ローラ及び前記磁気ローラの対向部分と前記穂切りブレードとの間に現像剤溜まりが発生するように前記磁気ローラ側磁極または前記現像ローラ側磁極のうち少なくとも一方を移動させることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像ローラ側磁極に対し同極性の磁極が対向するように前記磁気ローラ側磁極を回転移動させることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記磁気ローラ側磁極は、前記磁気ローラの回転方向に対し前記規制極の上流側に位置する規制極と異極性の汲上極と、前記主極の下流側に位置する主極と異極性の搬送極とを有し、前記現像ローラ側磁極に対し前記搬送極が対向するように前記磁気ローラ側磁極を回転移動させることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像ローラ側磁極を前記穂切りブレード側に回転移動させることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像ローラ側磁極を回転移動させると共に前記磁気ローラを逆回転させることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記磁気ローラの逆回転速度は、画像形成時における前記磁気ローラの回転速度よりも遅いことを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記磁気ローラが、前記現像ローラの下方に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の現像装置が搭載された画像形成装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−13248(P2011−13248A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154585(P2009−154585)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】