説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】発泡セルの目詰まりと現像ローラフィルミングの発生とを防止できる現像装置と、この現像装置を使用した画像形成装置とを提供する。
【解決手段】現像装置5は、互いに周面を圧接させた現像ローラ12とトナー供給ローラ13とを備え、これらローラ12,13でトナー17を摩擦帯電して現像ローラ12の周面に吸着させる。トナー供給ローラ13は、現像ローラ12の周面に圧接する発泡層15を備え、その発泡セル15bのローラ周面13aに対する開口部に閉塞粒子30を装着してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に使用される現像装置と、この現像装置を使用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では、コスト、信頼性等に優れた1成分現像法を採用するのが一般的である。この方法を実施する現像装置としては、互いに周面を圧接させた現像ローラとトナー供給ローラとを備え、これらローラでトナーを摩擦帯電して前記現像ローラの周面に吸着させるものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−257375号公報(段落0015〜0016、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
トナー供給ローラはシャフトの外側に発泡層を備え、この発泡層を現像ローラの周面に圧接させてある。トナーが発泡層の発泡セルに入って目詰まりを生じると、現像ローラへのトナー供給が不十分になり、印刷画像のカスレを生じる。そこで、発泡層として発泡セルの大きさがトナー粒径よりも小さいものを使用し、発泡セル内へのトナーの浸入を防止している。しかし、発泡セルを小さくすると、発泡層の弾性が失われ、現像ローラとの圧接力が大きくなる。このため、トナー(現像剤)が過度なストレスを受けて軟化し、現像ローラに付着し、所謂現像ローラフィルミングが生じ、印刷画像を劣化させてしまう。つまり、発泡層の目詰まり防止と適度な弾性確保とを両立させるのは難しい。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑み、発泡セルへの現像剤の目詰まりを防止できる現像装置と、この現像装置を使用した画像形成装置との提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための本発明は、互いに周面を圧接させた現像ローラと現像剤供給ローラとを備え、これらローラで現像剤を摩擦帯電して前記現像ローラの周面に吸着させる現像装置において、前記現像剤供給ローラは、現像ローラの周面に圧接する発泡層を備え、その発泡セルのローラ周面に対する開口部に閉塞粒子を装着してあることを特徴とする。
【0006】
前記発泡層は、断面略楕円形の発泡セルがその長軸をローラ半径方向に揃えて並んでいる一方、前記閉塞粒子は、略球形に形成されて前記発泡セルの縊れ部に押し込んであるのが好ましい。
【0007】
前記閉塞粒子は、帯電極性が前記現像剤と異なるのが好ましい。
【0008】
前記閉塞粒子は、帯電極性が前記現像剤と同じであって、帯電量の絶対値が前記現像剤の帯電量の絶対値よりも小さいのが好ましい。
【0009】
現像剤供給ローラのシャフトを磁化するとともに、前記閉塞粒子を磁性体で構成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発泡セルのローラ周面に対する開口部が閉塞粒子によって塞がれるので、発泡セル内への現像剤の浸入がなくなり、発泡層の目詰まりが生じなくなる。これによる印刷画像のカスレの発生を防止できるとともに、発泡層の弾性を適度なものに保つことができるので、現像ローラフィルミングの発生による印刷画像の劣化も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は画像形成装置の概略構成図、図2は図1の画像形成装置で使用する現像装置の拡大図、図3はトナー供給ローラの斜視図(発泡層の拡大模式図を含む)、図4は本発明のトナー供給ローラの発泡層を拡大して示す模式図、図5はトナー供給ローラに閉塞粒子を塗す際に用いる治具の斜視図である。
【0012】
図1において、記録紙1は給紙カセット2に収容されており、搬送ローラ3により搬送路4を通して現像装置5に供給される。現像装置5は4つのユニット5A〜5Dで構成され、記録紙1にブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの画像を順次形成する。その後、記録紙1は定着装置6を通って筐体7の上方に排出される。なお、両面印刷の場合は、記録紙1は現像装置5の下方の反転搬送路8を経由した後、再度、現像装置5に送られる。
【0013】
図2において、感光体ドラム9は導電性支持体と光導電層からなるもので、図示しない駆動機構により図中矢印方向に回転する。導電性支持体としてはアルミニウム製の胴体を用いる一方、光導電層としては、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した有機系感光体を用いる。帯電ローラ10は金属シャフトに半導電性エピクロロヒドリンゴム層を被覆したものである。LEDヘッド11は露光装置であり、感光体ドラム1に対向して配設されている。現像ローラ12は金属シャフトに半導電性ウレタンゴム層を被覆したものである。トナー供給ローラ(現像剤供給ローラ)13は金属シャフト14に発泡層15を被覆したものである(図3参照)。この発泡層15は現像ローラ12の周面に圧接してある。現像ローラ12とトナー供給ローラ13は別々の駆動手段に連結されて同一方向に回転する。なお、現像ローラ12には直流電源16により正の現像バイアスが印加されている。
【0014】
トナー(現像剤)17は、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用い、内部添加剤及び帯電制御剤、離型剤、着色剤、外部添加剤としてシリカを有している。このトナー17は熱溶融性を有している。なお、トナー17の粒径は5.5μmである。現像ブレード18は現像ローラ12上のトナー層の厚さを均一化する薄層形成器である。クリーニングブレード19はウレタンゴム製の現像剤回収装置で、感光体ドラム9上の残留トナーを掻き落とす。転写ローラ20は金属シャフトにウレタンスポンジ層を被覆したものである。なお、21はトナー17を収容するトナーカ−トリッジである。
【0015】
この現像装置5では、感光体ドラム9は図示しない駆動機構により図中矢印方向に回転させられる。帯電ローラ10は感光体ドラム9に接触して、感光体ドラム9との摩擦力により図中矢印方向に回転させられ、図示されない直流電源によって電圧が印加され感光体ドラム9を帯電させる。また、LEDヘッド11は帯電ロ−ラ10によって帯電させられた感光体ドラム9に静電潜像を形成する。LEDヘッド11に代えてレ−ザ等を使用することもできる。そして、現像ローラ12は、感光体ドラム9に接触しながら、図示されない駆動機構を介し感光体ドラム9に対して相対速度が速くなるよう図中矢印方向に回転させられ、トナー17を現像領域に運び、感光体ドラム9に形成された静電潜像にトナー17を付着させ、静電潜像を可視像化してトナー像を形成する。なお、現像ローラ12の感光体ドラム9との相対速度の大きさ、向きを変えて使用することもできる。
【0016】
トナー供給ローラ13は、現像ロ−ラ12に接触しながら、図示されない駆動機構を介して図中矢印方向に回転し、現像ロ−ラ12との圧接によりトナー17を摩擦帯電させて現像ロ−ラ12に吸着する。なお、トナー供給ローラ13は現像ローラ12から感光体ドラム9へ現像されないトナー17を掻き取り、現像ローラ12上のトナー17を一定の状態にする役割をしている。現像ブレード18はトナー供給ロ−ラ13によって現像ロ−ラ12に供給されたトナー17を薄層化する。なお、現像ロ−ラ12、トナー供給ロ−ラ13および現像ブレ−ド18によって現像装置5が構成される。さらに、転写ローラ20は感光体ドラム1に接触しながら、図示されない駆動機構を介して図中矢印方向に回転させられ、図示されない電源によって電圧が印加され、可視像化された感光体ドラム9上のトナー像を記録紙1に転写する。また、クリーニングブレード19は感光体ドラム9上の残留トナー17を除去する。そして、定着装置6は転写されたトナー像を記録紙1に定着する。なお、トナーカートリッジ21はトナー17を収容し、その自重によりトナー6を現像装置5に供給する。
【0017】
次に、トナー供給ローラ13の発泡層15の構造について詳細に説明する。
この発泡層15は、図4に示すように弾性材で構成されたセル壁15aと、各セル壁15aとの間に整列配置された空隙としての発泡セル15bとからなる。そして、発泡セル15bのローラ周面13aに対する開口部に閉塞粒子30を装着してある。つまり、閉塞粒子30は発泡セル15bの縊れ部分に押し込んで装着してある。各発泡セル15bは概ね回転楕円体に形成されており、その断面軌跡は図3に示す楕円Cで近似することができる。ここで、fは発泡セル15bの焦点、aは発泡セル15bの深さ方向の半径(2a:長径)、bは発泡セル15bの幅方向の半径(2b:短径)、Rfは焦点fにおける発泡セル15bの開口幅(2a/b)、Rhは発泡セル15bの最小開口幅(縊れ部分におけるセル壁15aの間隔)である。
【実施例1】
【0018】
発泡層15の材料としては、ポリイソシアネートとポリエステル型ポリオールとを反応させ、重合体生成反応と発泡反応とを同時に開始させ製造したポリウレタン軟質スクラブフォームを使用した。発泡の倍率は発泡剤の量や種類の変更、加硫時間や温度、そして昇温のタイミングによって変えることができる。製造したポリウレタン軟質スクラブフォームを所望の打ち抜き型で打ち抜き、シャフト14に圧入し接着してロール形状にする。発泡層15の半径方向の厚さは5mmである。発泡セル15bの大きさは、ロール形状に成形したトナー供給ローラ14の発泡層15を周方向に切断し、切断した面をデジタルマイクロスコープ「VHX−200」(KEYENCE社製)をもちいて撮影する。そして、撮影された画像を付属の画像処理ソフトを使用し、無作為に50個の発泡セル15bの計測を行った。
【0019】
表1は発泡セル15bの大きさと硬度に関する測定結果である。
【表1】

発泡セル15bの大きさの異なる発泡層15bを8種類作成し、これをシャフト14に装着して8種類のトナー供給ローラ(1)〜(8)を製作した。各サンプルについて、画像計測により50箇所の長径a、短径b、最小開口幅Rhの平均値を求め、得られた値から焦点fの位置を算術計算で求め、焦点fにおける発泡セル15bの幅Rfを求めた。発泡セル15bの短径bは10〜100μm、長径aは15〜148μmであった。硬度は、発泡層15の側面をアスカーF硬度計(荷重1000gf)で測定した値である。
【0020】
発泡セル15bの開口部を塞ぐ閉塞粒子30には、平均粒子径6〜200μmの「ミクロパール」(積水ファインケミカル社製)を使用した。ここでは球形の閉塞粒子30を用いたが、楕円などの非球形のものを用いることも勿論可能である。
【0021】
発泡セル15bの開口部に閉塞粒子30を装着する場合、トナー供給ローラ13の発泡層15の表面に閉塞粒子30を均一に塗し、図5に示す治具50にトナー供給ローラ13をセットして高さ50mmから5回自由落下させた後、トナー供給ローラ13を現像装置5に装着すればよい。なお、治具50はベース51にガイド部材52を一対立設してなるもので、各ガイド部材52にトナー供給ローラ13のシャフト14の両端を係合し、その状態でトナー供給ローラ13を落下させてシャフト14をガイド部材52のストッパ部53に当接させる。つまり、治具Gでの自由落下により余分な閉塞粒子30が発泡層15から除去され、現像ローラ12との圧接により閉塞粒子30が発泡セル15bの開口部に押し込まれることになる。なお、現像ローラ12とトナー供給ローラ13の軸芯間隔は15mmに固定した。
【0022】
表2は、発泡セル15bと閉塞粒子30との組み合わせを示している。
【表2】

比較例1−1は、発泡セル15bの最小開口幅Rhがトナー17の粒子径よりも小さく、閉塞粒子30は塗していない。比較例1−2は、発泡セル15bの最小開口幅Rhがトナー17の粒子径よりも大きく、閉塞粒子30は塗していない。実施例1は、比較例1−2のトナー供給ローラ5に被覆粒子26を塗したものである。ここで用いた被覆粒子26は150μmである。
【0023】
次に、印刷試験方法について説明する。
試験には、図1に示す画像形成装置を用い、印刷速度(=感光体ドラム9の線速=通紙速度)は200(mm/s)に設定して行った。
図13は試験に用いた印刷パターンの概要を示している(記録紙1はA4サイズ)。
同図において、印刷可能領域60は画像形成装置が持つ特有の領域であり、領域61は5%dutyの領域である。5%dutyとは、用紙1枚の印刷可能領域60に全面ベタ印刷時の面積率100%印刷のことを100%dutyと表記し、印刷可能領域60の面積100%対する実際に印刷する面積の割合が5%であることを表している。この条件においてA4標準紙(例えばOKIエクセレントホワイト紙、坪量=80(g/m2)を縦方向送り(4辺のうち短い2辺が先端と後端)で30,000枚印刷した。ここで、印刷枚数を30,000枚としたのは、現像装置5の寿命と想定されているからである。
【0024】
まず、表2のサンプルについて閉塞粒子30の有無による効果を調べた。
図6は印刷試験を行った時の画像カスレ評価の結果を示すもので、5,000枚印刷するごとにA4標準紙に100%dutyで1枚印刷する。印刷した記録紙1の印刷領域において、画像カスレが発生している領域の面積を計測し、その値を印刷可能領域の面積で割って比率で表現した。画像カスレの発生する領域比率が20%以上になった場合、画像品質悪化のため、実用性を持たないことを意味する。比較例1−2の場合、10,000枚印刷時には十分な画像品質が得られなくなる。それは、トナー供給ローラ13の発泡層15がトナー17による目詰まりを生じ、現像ローラ12への十分なトナー供給ができなくなっている為である。これに対し、実施例1の場合は、発泡セル15bのローラ周面14aに対する開口部が閉塞粒子30によって塞がれるので、発泡層15の目詰まりが生じにくくなくなり、現像装置の寿命到達時でも画像カスレの生じる割合は20%以下となった。一方、比較例1−1の場合は、実施例1とほぼ同様の結果になっているが、これは、発泡セル15bの最小開口幅Rhがトナー17の粒径よりも小さく、閉塞粒子30がなくても、トナー17の発泡セル15b内への浸入を防止できる為である。
【0025】
図7は印刷試験を行った時の現像ローラフィルミング評価の結果を示している。
同図の縦軸は、現像ローラ12の表面にトナー17の融着が生じている領域の面積を現像ローラ12の表面積で割った値(比率)で表したものである。画像カスレの場合と同様、比率20%は画像品質の悪化により実用性を持たなくなる限界を意味する。比較例1−1の場合、20,000枚印刷時点で顕著な現像ローラフィルミングの発生が認められた。これは、発泡セル15bの大きさが小さく、発泡層15の硬度が高くなっているので、現像ローラ12との圧接力が上昇し、トナー17が過大なストレスを受けるためである。比較例1−2は、比較例1−1に比べ良い結果であるが、25,000枚印刷時点で実用限界を超えてしまう。これは、発泡層15の目詰まりによりトナー供給ローラ5の見掛け上の硬度が大きくなり、比較例1−1の場合と同様、現像ローラ12に対するトナー供給ローラ15の圧接力が上昇し、トナー17が過大なストレスを受ける為である。これに対し、実施例1の場合は、発泡層15の硬度が元々小さい上、発泡セル15bのローラ周面14aに対する開口部が閉塞粒子30によって塞がれるので、発泡層15の目詰まりが生じなくなり、発泡層15の弾性を適度なものに保つことができる。このため、現像ローラフィルミングの発生が抑えられ、現像装置5の寿命到達時まで良好な印刷品質を得ることができる。
【0026】
すなわち、実施例1によれば、発泡層15aの目詰まり防止と適度な弾性確保の両立が可能になるので、印刷画像カスレと現像ローラフィルミングの発生が抑えられ、現像装置5の寿命到達時まで良好な印刷画像が得られることが分かる。
【0027】
次に、発泡セル15bの大きさと閉塞粒子30の大きさとの関係を調べた。
表1に示すトナー供給ローラ(1)〜(8)13と、粒径6〜200μmの閉塞粒子30とを組み合わせたサンプルを作成し、前記方法で現像ローラフィルミングの発生状態を調べた。
図8はその結果を示すもので、30,000枚印刷を行った時点での、現像ローラフィルミング発生による印刷画像品質を○、×、△の3段階に分けて評価してある。図中の○は現像ローラに対するトナー6の融着がなく、画像品質が良好なものを示し、△は僅かに現像ローラフィルミングが生じ画像品質に若干問題があるものを示し、×は現像ローラフィルミングによる画像品質悪化が著しく実用性を持たないものを示している。
【0028】
図8において、印刷画像の比較的良いものは直線D=Rhと直線D=2bの範囲に収まっているのが分かる。これは次のような理由によるものと考えられる。
すなわち、閉塞粒子30の粒径Dが発泡セル15bの最小開口幅Rhよりも小さい場合(D<Rh)、閉塞粒子30の粒径Dが発泡セル15b内に入り込み、発泡セル15bのローラ周面14aに対する開口部を閉塞できなくなってしまう。また、閉塞粒子30の粒径Dが発泡セル15bの短径よりも大きい場合(D>2b)、閉塞粒子30を発泡セル15bの開口部に押し込むのが困難になる。以上の考察から閉塞粒子30の粒径DはRh<D<2bの関係が成り立つとき良好な画像が得られる。
【0029】
しかしながら、トナー供給ローラ13は現像ローラ12と接触しながら回転するため、閉塞粒子30の粒径Dが発泡セル15bの最小開口幅Rhよりも大きい場合(D>Rh)でも、トナー供給ローラ13の発泡層15のセル壁15aが現像ローラ12からの圧力により変形し、閉塞粒子30が発泡セル15b内に入り込んでしまう虞がある。そのため、トナー17の目詰まりを防ぐための閉塞粒子30の粒径Dの大きさとしては、発泡セル15bの断面形状を楕円と仮定した際の、焦点fでの開口幅Rf(2a/b)よりも大きくするのが望ましい。このような大きさの閉塞粒子30を用いると、閉塞粒子30が発泡セル15bのローラ周面14aに対する開口部から内部に入り込む虞がなくなるので、経時での発泡層15の目詰まり防止に役立つ。そして、トナー供給ローラ13の硬度が変化せず、トナー17へのストレス増大による現像ローラフィルミングの発生を防止できる。
なお、図4は発泡層15における発泡セル15bの配置を模式的に示すもので、発泡セル15bの大きさと間隔は図示のように均一なものではない。よって、発泡セル15bの各部の大きさは、発泡層15の表面に開口するものを多数計測し、その平均を取って決定するのが好ましい。
【実施例2】
【0030】
ところで、トナー供給ローラ13は現像ローラ12に接触しながら回転している。つまり、発泡層15の窪み変形が繰り返されるため、時間の経過により閉塞粒子30が発泡セル15bの縊れ部分から外れて発泡層15から脱離してしまう虞がある。そこで、発泡層15の表面に静電気力で固定する閉塞粒子30を用意した。このような帯電特性を有する閉塞粒子30として、平均粒子径150μmの「ミクロパール」(積水ファインケミカル社製)、PMMA、メラミン樹脂を使用した。その他の構成は上述の実施例1と同様である。
【0031】
表3は閉塞粒子30の帯電特性を示している。
【表3】

この特性は、閉塞粒子30とシリコンコートフェライトキャリア「FL961−1025」(パウダーテック社製)19.4(g)とをボールミルで10分間撹拌し、吸引式帯電量測定装置「Model210HS−2A」(TRek社製)で帯電量を測定したものである。
そして、表3に示す帯電特性の異なる3つの粒子1,2,3を閉塞粒子30として用い、これを表1のトナー供給ローラ(7)に塗し、画像カスレと現像ローラフィルミングについて、実施例1の場合と同様の評価を行った。
【0032】
図9は印刷試験を行った時の画像カスレ評価の結果である。ここでは縦軸の上限を20%としているが、これは、実験結果がすべての条件において印刷品質を満足しており、各閉塞粒子30の効果の差異を比べればよいためである。
現像ローラ12には、その周面にトナー17を吸着すべく現像バイアスが印加されている。つまり、現像ローラ12とトナー供給ローラ13の間には電場が生じている。閉塞粒子30の帯電特性がトナー6の帯電極性と異なる粒子3を用いた場合、現像バイアスによる静電力が閉塞粒子30に作用し、閉塞粒子30がトナー供給ローラ13側に引き寄せられ、その表面から脱離しにくくなる。図9において、最も画像カスレを生じにくい最良の結果が得られているのはこのためである。
【0033】
また、トナー17と帯電極性が同じであっても、帯電量の絶対値がトナー17のそれより小さい粒子1の場合にも、閉塞粒子30が相対的な静電力によりトナー供給ローラ13側に引き寄せられ、閉塞粒子30の脱離しにくくなる。図9において、粒子3に次いで良い結果が得られるのはこのためである。しかし、トナー17と帯電極性が同じであって、帯電量の絶対値がトナー17のそれより大きい粒子1の場合、閉塞粒子30はトナー供給ローラ13から引き剥がされる方向の力を受ける。このため、閉塞粒子30の脱離が経時的に進行し、発泡層15の目詰まりによる画像カスレを生じ易くなるのである。
【0034】
図10は印刷試験を行った時の現像ローラフィルミング評価の結果である。
図9の画像カスレの場合と同様、粒子3が最良の結果になる。これは、発泡層15から脱離する閉塞粒子30の数が最も少なく、目詰まりによる発泡層15の硬度が経時的に増加するのを抑制できるためである。
【実施例3】
【0035】
とろで、閉塞粒子30の脱離抑制には磁力を利用する方法も考えられる。
すなわち、トナー供給ローラ13のシャフト14を磁化し、閉塞粒子30を磁性体にすればよい。その他の構成は実施例1と同様である。
表4は、閉塞粒子30として用いる粒子の帯電特性を示している。ここで、磁性粒子はPMMA樹脂に磁性粉を10重量部添加したものである。帯電特性の測定方法は実施例2と同様である。
【表4】

そして、この磁性粒子を表1のトナー供給ローラ(7)に塗し、画像カスレと現像ローラフィルミングについて、実施例1の場合と同様の評価を行った。
【0036】
図11は画像カスレ評価の結果を示し、図12は現像ローラフィルミング評価の結果を示している。なお、比較例として示した粒子2は非磁性体であって、実施例2で粒子2として使用したものである。
いずれの評価においても、磁性粒子は粒子2に較べて格段に良い結果になっていることが分かる。これは、閉塞粒子30が磁場によりシャフト14側に引き寄せられ、静電力を利用する場合(実施例2の粒子3)と同様、閉塞粒子30が発泡層15から脱離しにくくなるためである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、プリンタや複写機、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1の画像形成装置で使用する現像装置の拡大図である。
【図3】図3はトナー供給ローラの斜視図である。
【図4】本発明のトナー供給ローラの発泡層を拡大して示す模式図である。
【図5】トナー供給ローラに閉塞粒子を塗す際に用いる治具の斜視図である。
【図6】実施例1の画像カスレ評価の結果を示す図である。
【図7】実施例1の現像ローラフィルミング評価の結果を示す図である。
【図8】実施例1における現像ローラフィルミング評価の結果を閉塞粒子と発泡セルの関係で示す図である。
【図9】実施例2の画像カスレ評価の結果を示す図である。
【図10】実施例2の現像ローラフィルミング評価の結果を示す図である。
【図11】実施例3の画像カスレ評価の結果を示す図である。
【図12】実施例3の現像ローラフィルミング評価の結果を示す図である。
【図13】記録紙上の画像カスレ評価領域を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 記録紙
5 現像装置
9 感光体ドラム
12 現像ローラ
13 トナー供給ローラ
13a ローラ周面
14 シャフト
15 発泡層
15a セル壁
15b 発泡セル
30 閉塞粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに周面を圧接させた現像ローラと現像剤供給ローラとを備え、これらローラで現像剤を摩擦帯電して前記現像ローラの周面に吸着させる現像装置において、
前記現像剤供給ローラは、現像ローラの周面に圧接する発泡層を備え、その発泡セルのローラ周面に対する開口部に閉塞粒子を装着してあることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記発泡層は、断面略楕円形の発泡セルがその長軸をローラ半径方向に揃えて並んでいる一方、前記閉塞粒子は、略球形に形成されて前記発泡セルの縊れ部に押し込んであることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記閉塞粒子は、帯電極性が前記現像剤と異なることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記閉塞粒子は、帯電極性が前記現像剤と同じであって、帯電量の絶対値が前記現像剤の帯電量の絶対値よりも小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項5】
現像剤供給ローラのシャフトを磁化するとともに、前記閉塞粒子を磁性体で構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の現像装置と、該現像装置により現像された現像剤像をシート状媒体に転写する転写器とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−102207(P2010−102207A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275001(P2008−275001)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】