説明

現像装置及び電子写真装置

【課題】 現像剤の寿命を長く維持し、且つ現像剤の混合攪拌効果を十分に得ることができる現像装置及び当該現像装置を備えた電子写真装置の提供。
【解決手段】 電子写真装置1の現像装置20に設けられた第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23は、第1の螺旋状スクリュウ22と第2の螺旋状スクリュウ23との最接近対向位置において、それぞれの外周が鉛直下方から鉛直上方へと回転する。また、第1の螺旋状スクリュウ22の回転数は第2の螺旋状スクリュウ23の回転数よりも5〜20%程度速い。また、トナー3Aを第1の螺旋状スクリュウ22に供給する部分であるトナー補給装置27のトナー補給用スクリュウ27Aの一端27Bは、第1の螺旋状スクリュウ22による現像剤3の送り方向における螺旋状部22Bの最上流位置から下流方向へ向った螺旋状部22Bの1ピッチよりも短い位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現像装置及び電子写真装置に関し、特に、電子写真方式のプリンタ、複写機等の画像記録装置たる電子写真装置及び当該電子写真装置に設けられる現像装置であって、特にトナーとキャリアとを有する二成分現像剤が用いられる現像装置及び電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法を利用した現像装置を備える複写機やレーザビームプリンタ等の電子写真装置としては、現像装置においてトナーとキャリアとを有する二成分現像剤が用いられる構成が知られている。二成分現像剤は、画像形成時にはトナーのみが消費されるため、消費されたトナーの分だけ、新しいトナーが補給される。補給されたトナーは、軸部と当該軸部に螺旋状に巻回される螺旋状部とを有する螺旋状スクリュウ等により構成される混合攪拌部材によって、既に現像装置内に収容されている現像剤と攪拌混合される。そして、攪拌されたトナーと現像剤とが現像スリーブに送られる。
【0003】
攪拌混合が不十分である場合には、補給トナーが帯電されなかったり、不十分な帯電状態のまま現像されたりすることになり、現像むらや、かぶり、トナー飛散が生ずる原因となる。そこで、補給されたトナーを現像剤と混合攪拌する性能を向上させるために、例えば、混合攪拌部材たる螺旋状スクリュウの螺旋状部間に、軸部の軸方向へ延びる平板状のフラットフィンを設けることが行われる。螺旋状部とフラットフィンとによってトナーと現像剤とをより効果的に攪拌することができる。このような構成の現像装置は、例えば、実公昭56−5102号公報に記載されている。
【0004】
また、トナーと現像剤との混合攪拌性能を向上させるために、螺旋状スクリュウを2本設けて混合攪拌部材とする構成が採られる場合がある。2本のスクリュウは、現像剤に少なくとも一部が浸漬され、回転軸が略水平な仮想平面上において互いに平行な位置関係となるように現像剤収容容器内において互いに近接対向配置される。
【特許文献1】実公昭56−5102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の現像装置のようにフラットフィンを設けて攪拌を行うと、螺旋状部とフラットフィンとの両方が現像剤に衝突して攪拌を行うことになるため、現像剤にかかる機械的負荷が大きくなり、現像剤の寿命が短くなるという問題が生じていた。そこで、逆に同公報記載の現像装置においてフラットフィンを除去した構成とすると、現像剤にかかる機械的負荷は減るが、螺旋状スクリュウの螺旋状部が回転するのみでは、補給されたトナーが現像剤と十分に攪拌されず、補給されたトナーの内のかなりの量が現像剤の表面に浮き上がった状態で現像スリーブまで搬送されてしまうという問題生ずる。
【0006】
また、前述のように、2本の螺旋状スクリュウを混合攪拌部材として設けて攪拌を行っても、実際には、それほど顕著な攪拌効果を得ることができなかった。
【0007】
また、トナーの濃度を検出するためのトナー濃度センサを設けて、トナーと現像剤との攪拌状況を管理しようとする場合に、補給されたトナーが現像剤表面において混合されないまま浮遊していると、当該浮遊しているトナーをトナー濃度センサが検出して誤動作し、トナー濃度が安定しないという問題も生じていた。
【0008】
そこで、本発明は、現像剤の寿命を長く維持し、且つ現像剤の混合攪拌効果を十分に得ることができる現像装置及び当該現像装置を備えた電子写真装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、内部にトナー及びキャリアを主成分とする現像剤を収容する現像剤収容容器と、該現像剤に少なくとも一部が浸漬され、回転軸が略水平な仮想平面上において互いに平行な位置関係となるように該現像剤収容容器内において互いに近接対向配置され、少なくとも第1の螺旋状スクリュウと第2の螺旋状スクリュウとを有する複数の螺旋状スクリュウと、略円柱状をなし該螺旋状スクリュウと平行に軸心が配置され表面に静電潜像が形成され該静電潜像の形成された該表面に該現像剤が付着される記録体、及び該第2の螺旋スクリュウと対向し、略円柱状をなし、該記録体及び該螺旋状スクリュウと平行に軸心が配置され、該記録体上へ複数の螺旋状スクリュウからの現像剤を供給する現像スリーブとを備え、該第1の螺旋状スクリュウにおいては、該第1の螺旋状スクリュウが回転することにより該第1の螺旋状スクリュウの回転軸方向の一端から他端へと該現像剤を搬送して該トナーと該キャリアとの攪拌を行い、該第1の螺旋状スクリュウの他端において該現像剤は該第2の螺旋状スクリュウの他端へと受け渡され、該第2の螺旋状スクリュウにおいては、該第2の螺旋状スクリュウが回転することにより該第2の螺旋状スクリュウの回転軸方向の他端から一端へと該現像剤を搬送して該トナーと該キャリアとの攪拌を行い、該第2の螺旋状スクリュウの一端において該現像剤は該第1の螺旋状スクリュウの一端へと受け渡され、該現像剤により該記録体に形成された該静電潜像を可視化させる現像装置において、該複数の螺旋状スクリュウは、軸部と該軸部に螺旋状に巻回される螺旋状部とのみからなり、該第1の螺旋状スクリュウによる該現像剤の送り方向における該螺旋状部の最上流位置から下流方向へ向った該螺旋状部の1ピッチよりも短い位置に該トナーを補給するためのトナー補給手段を備え、該螺旋状スクリュウは、該第1の螺旋状スクリュウと該第2の螺旋状スクリュウとの最接近対向位置において、それぞれの外周が鉛直下方から鉛直上方へと回転し、且つ、該第1の螺旋状スクリュウによる該現像剤の送り速度の方が該第2の螺旋状スクリュウによる現像剤の送り速度よりも速い現像装置を提供している。
【0010】
ここで、該第1の螺旋状スクリュウの回転数は該第2の螺旋状スクリュウの回転数よりも速いことが好ましい。
【0011】
また、該第1の螺旋状スクリュウの螺旋状部のピッチは該第2の螺旋状スクリュウの螺旋状部のピッチよりも大きいことが好ましい。
【0012】
また、該第1の螺旋状スクリュウ及び該第2の螺旋状スクリュウの回転停止時に、該第1の螺旋状スクリュウにおける該トナー補給手段によるトナー補給位置において、該現像剤表面から該第1の螺旋状スクリュウの該軸部までの距離が8mm以下であるか、又は該第1の螺旋状スクリュウの該軸部が該現像剤表面から突出していることが好ましい。
【0013】
また、該第2の螺旋状スクリュウによって搬送される該現像剤の搬送経路内の所定位置には、トナー濃度センサが設けられていることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、上述の構成を有する現像装置を備える電子写真装置を提供している。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1乃至請求項3記載の現像装置及び請求項6記載の電子写真装置によれば、複数の螺旋状スクリュウは、軸部と軸部に螺旋状に巻回される螺旋状部とのみからなるため、現像剤にかかる機械的負荷が大きくすることを防止することができ、現像剤の寿命が短くなることを防止することができる。
【0016】
また、第1の螺旋状スクリュウによる現像剤の送り方向における螺旋状部の最上流位置から下流方向へ向った螺旋状部の1ピッチよりも短い位置にトナーを補給するためのトナー補給手段を備えているため、現像スリーブに至るまでのトナーの搬送経路を長く確保することができ、トナーとキャリアとの攪拌効果を高め、且つトナーがを十分に帯電させることができる。
【0017】
また、螺旋状スクリュウは、第1の螺旋状スクリュウと第2の螺旋状スクリュウとの最接近対向位置において、それぞれの外周が鉛直下方から鉛直上方へと回転するため、第1の螺旋状スクリュウと第2の螺旋状スクリュウとの略中間位置において現像剤を山のように盛上がった状態とすることができる。この位置は、第1の螺旋状スクリュウによる送り方向と第2の螺旋状スクリュウによる送り方向とが反対であることから、現像剤の攪拌が現像装置中で最も効果的に行われる場所であり、この位置に現像剤を山のように盛上がった状態とすることができるため、より高い攪拌効果を得ることができる。
【0018】
また、第1の螺旋状スクリュウによる現像剤の送り速度の方が第2の螺旋状スクリュウによる現像剤の送り速度よりも速いため、トナー補給位置において現像剤の滝のような流れを生ずることができ、トナーが補給されトナー濃度が高くなっている第1の螺旋状スクリュウによる現像剤の搬送経路内でトナーの攪拌効果を高めることができる。
【0019】
この結果、トナーは、補給された直後にトナーの補給位置において現像剤内にスムーズに引き込まれ、補給されたトナーが現像スリーブ近傍に導かれるまでに現像剤の混合攪拌を十分に行うことができる。また、補給されたトナーが、螺旋状スクリュウの軸方向において拡散が十分に行われるため、補給されたトナーが帯電されなかったり、補給されたトナーが現像剤の表層部分に浮き上がった状態で現像スリーブまで搬送されたりするということを防止することができ、現像むらや、かぶり、トナー飛散といった不具合の無い、良好な印刷画像を得ることができる。
【0020】
本発明の請求項4記載の現像装置及び請求項6記載の電子写真装置によれば、第1の螺旋状スクリュウ及び第2の螺旋状スクリュウの回転停止時に、第1の螺旋状スクリュウにおけるトナー補給手段によるトナー補給位置において、現像剤表面から第1の螺旋状スクリュウの軸部までの距離が8mm以下であるか、又は第1の螺旋状スクリュウの軸部が現像剤表面から突出しているため、現像剤の一部が滞留して攪拌されないでいる状態が生ずることを防止することができる。
【0021】
本発明の請求項5記載及び請求項6記載の電子写真装置の現像装置によれば、第2の螺旋状スクリュウによって搬送される現像剤の搬送経路内の所定位置には、トナー濃度センサが設けられているため、補給されたトナーが十分に混合攪拌され、且つ、現像剤の送り方向に十分に拡散している位置でトナー濃度の検出を行うことができる。このため、トナー濃度センサが浮遊しているトナーを検出して誤動作したり、トナー濃度が安定しなかったりすることを防止することができ、トナーの補給制御を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の第1の実施の形態による現像装置及び電子写真装置について図1乃至図5を参照しながら説明する。図1に示されるように、電子写真装置1は、表面に静電潜像を形成するための感光体ドラム11と、高電圧を印加するための帯電器12と、高電圧を印加するための露光器13と、紙等からなる記録媒体2と、トナー像を記録媒体2上に転写するための転写機14と、トナー像転写後の感光体ドラム11からトナーを除去するためのクリーナ15と、現像装置20とを備えている。なお、感光体ドラム11は記録体に相当する。
【0023】
画像形成を行う際には、先ず、感光体ドラム11が、図1の時計方向に回転を開始する。次に、感光体ドラム11の表面は帯電器12によって−600Vに一様に帯電される。次に、感光体ドラム11上には、露光器13に設けられた図示せぬLED等の光源による露光によって背景部−600V、画像部−50Vの静電潜像が形成される。次に、感光体ドラム11の回転により、静電潜像が現像装置20の位置に至ると、現像装置20によって感光体ドラム11上の静電潜像の位置にトナーのみが供給されて付着し、トナー像が形成される現像が行われる。感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、その後、感光体ドラム11の回転により転写器14の位置に至ると、転写器14によって紙等の記録媒体2に転写され、図示せぬ定着機によって定着される。転写器14によって記録媒体2にトナー像の転写を行った後の感光体ドラム11上に残留した現像剤3(図2等)は、クリーナ15によって除去され、その後、次の画像形成を行うために、再び現像装置20内を循環する。
【0024】
次に、現像装置20の構成及び動作について説明する。現像装置20は、図2に示されるように、現像剤収容容器21と、第1の螺旋状スクリュウ22と、第2の螺旋状スクリュウ23と、第1の現像スリーブ24と、第2の現像スリーブ25と、搬送部材26と、図示せぬモータとを備えている。図示せぬモータは、歯車等からなる図示せぬ駆動伝達手段を介して、第1の螺旋状スクリュウ22と、第2の螺旋状スクリュウ23と、第1の現像スリーブ24と、第2の現像スリーブ25と、搬送部材26と、それぞれ駆動連結されている。
【0025】
現像剤収容容器21内には、図2に示されるように、非磁性のトナーと、キャリアと呼ばれる磁性粒子とを主成分とする2成分現像剤3が収容されている。キャリアは、磁性体より成るキャリア芯材の表面を絶縁性樹脂により均一に被覆してなり、表面を被覆する絶縁性樹脂にトナーとの適性な摩擦帯電特性を持たせている。トナーは、現像剤3において3〜10%の重量比で混合されている。
【0026】
第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23は、外形が略円柱形状をなしており、図2に示されるようにその回転軸は、図2の紙面の表と裏とを結ぶ方向に指向し、且つ略水平な仮想平面上において互いに平行な位置関係となるように、現像剤収容容器21内において互いに近接対向配置されている。第1の螺旋状スクリュウ22及び第2の螺旋状スクリュウ23は、軸部22A、23Aと、軸部22A、23Aに螺旋状に巻回される螺旋状部22B、23Bとのみから構成されており、他の部材、例えば、螺旋状スクリュウの螺旋状部22B、23B間に軸部22A、23Aの軸方向へ延びて設けられた平板状のフラットフィン等は、一切設けられていない。第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23の一部は、図2に示されるように現像剤3に浸漬されている。
第1の螺旋状スクリュウ22の略鉛直上方には、図2に示されるように、トナー補給装置27が設けられている。トナー補給装置27は、図示せぬトナー収容容器とトナー補給用スクリュウ27Aとを有しており、トナー補給用スクリュウ27Aが回転することにより、図示せぬトナー収容容器に収容しているトナー3Aを、第1の螺旋状スクリュウ22の略鉛直上方から現像剤収容容器21内へ供給することができるように構成されている。
【0027】
第1の螺旋状スクリュウ22と第2の螺旋状スクリュウ23との間の位置には、仕切り板28が設けられている。仕切り板28は、現像剤収容容器21を構成する上壁21Aから鉛直下方へ向けて延出する板状をなしており、仕切り板28の下端は、現像剤収容容器21を構成する下壁21Bには至らずに、上壁21Aと下壁21Bとの略中間の位置まで延出している。この構成により、仕切り板28は、トナー補給装置27からトナー3Aを補給した直後にトナー3Aと、既に現像剤収容容器21内に収容されている現像剤3との混合攪拌が十分に行われずに現像剤3の表層を浮遊しているトナー3A、及び空気中を浮遊したトナー3Aが、第1の現像スリーブ24、第2の現像スリーブ25へと搬送されるのを防ぐことができる。従って、仕切り板28は、図2に示されるように、現像剤表面3Bから5mm程度の深さまで、現像剤3に浸漬されている。
【0028】
仕切り板28は、図3に示されるように、第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23の一端22C、23C及び他端22D、23Dの近傍位置においては設けられておらず、第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23の一端22C、23C近傍位置から他端22D、23D近傍位置に至るまでの位置に設けられている。従って、現像剤表面3B以外の部分は、第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23の一端22C、23C及び他端22D、23D近傍の位置において、第1の螺旋状スクリュウ22と第2の螺旋状スクリュウ23との間を行き来することができるように構成されている。
【0029】
搬送部材26は、第1の螺旋状スクリュウ22に対向している第2の螺旋状スクリュウ23の側とは反対の側、即ち、図2における第2の螺旋状スクリュウ23の右側に設けられている。搬送部材26は、回転軸26Aと、回転軸26Aから半径方向外方へ向って延出する6枚の平板状部26Bとを備えており、軸部26Aは、第1の螺旋状スクリュウ22の回転軸たる軸部22A及び第2の螺旋状スクリュウ23の回転軸たる軸部23Aと平行に配置されている。図2において時計方向に回転することにより、第2の螺旋状スクリュウ23の位置にある現像剤3を後述の第1の現像スリーブ24、第2の現像スリーブ25の方へ搬送することができるように構成されている。
【0030】
第2の螺旋状スクリュウ23に対向している搬送部材26の側とは反対の側、即ち、図2における搬送部材26の右側と、搬送部材26の略鉛直上方とには、第1の現像スリーブ24と第2の現像スリーブ25とがそれぞれ設けられている。第1の現像スリーブ24、第2の現像スリーブ25は、それぞれ外形が略円柱状をなし、第1の現像スリーブ24は、搬送部材26を介して第2の螺旋状スクリュウ23と間接的に対向し、第2の現像スリーブ25は、感光体ドラム11と直接対向している。第1の現像スリーブ24、第2の現像スリーブ25は、それぞれ感光体ドラム11及び第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23と平行に軸心が配置されている。
【0031】
第1の現像スリーブ24、第2の現像スリーブ25の内部には、複数の磁極を持つ図示せぬ永久磁石がそれぞれ設けられており、第1の現像スリーブ24、第2の現像スリーブ25の表面上に現像剤3を吸着して搬送することができるように構成されている。第1の現像スリーブ24は図2における時計方向、第2の現像スリーブ25は図2における反時計方向に回転することにより、搬送部材26によって第2の螺旋状スクリュウ23の位置から搬送されてきた現像剤3を感光体ドラム11上へ供給することができるように構成されている。
【0032】
第1の現像スリーブ24、第2の現像スリーブ25の間の位置には、規制部材29が設けられている。規制部材29は、第1の現像スリーブ24、第2の現像スリーブ25の表面上の現像剤3の厚さを所定の値に規制することができるように構成されている。
【0033】
画像形成の際には、現像剤3中のトナーは、第1の螺旋状スクリュウ22と第2の螺旋状スクリュウ23とによって攪拌されることにより現像剤3中のキャリアと摩擦しあい、−10〜−30μc/gの間の所定の値に帯電する。この値に帯電した現像剤3は、搬送部材26が図2において時計方向に回転することによって、搬送部材26の鉛直上側を図2に示される左から右へと搬送され、第1の現像スリーブ24及び第2の現像スリーブ25の近傍に導かれ、第1の現像スリーブ24及び第2の現像スリーブ25内に設けられている図示せぬ永久磁石により、第1の現像スリーブ24及び第2の現像スリーブ25の表面に吸着され、感光体ドラム11の対向位置まで搬送され、感光体ドラム11上に形成された静電潜像を可視化させる。このような画像形成の動作によって、現像剤3中のトナーのみが消費される。このため、現像装置20内にある現像剤3中のトナーの重量比、即ち、トナー濃度は低下する。
【0034】
次に、第1の螺旋状スクリュウ22と第2の螺旋状スクリュウ23とが設けられている部分の構成及び動作の詳細について説明する。前述のように第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23は、図3に示されるように、それぞれ軸部22A、23Aと螺旋状部22B、23Bとからなり、軸部22A、23Aの径は、それぞれ8〜15mm程度であり、螺旋状部22B、23Bの外径はそれぞれ25〜40mm程度である。螺旋状部22B、23Bのピッチは20〜40mm程度であり、これらの各値は第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23共に同一の値である。
【0035】
第1の螺旋状スクリュウ22の螺旋状部22B、第2の螺旋状スクリュウ23の螺旋状部23Bと、現像剤収容容器21を構成する下壁21B、背面壁21Cとの間には、図2に示されるように0.5〜2.0mm程度の隙間が形成されている。このため、第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23によって現像剤3を後述のように搬送しているときには、この隙間から第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23による後述する現像剤3の搬送方向の後方側にすり抜ける現像剤3が存在する。
【0036】
また、第1の螺旋状スクリュウ22と第2の螺旋状スクリュウ23との間では、後述のように第1の螺旋状スクリュウ22と第2の螺旋状スクリュウ23とがそれぞれ回転しているため、現像剤3の逆方向の流れが押し合いながら互いにすれ違っている。このため、この間の位置においても、第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23による現像剤3の搬送方向の後方側にすり抜ける現像剤3が存在する。このため、トナー補給装置27から補給されたトナー3Aは、第1の螺旋状スクリュウ22と第2の螺旋状スクリュウ23とによって搬送されるときに、後述する搬送方向の後方側に序々に拡散されるように構成されている。
【0037】
第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23は、前述のように歯車等の図示せぬ駆動伝達手段を介して、図示せぬモータに接続されており、図2に示されるように、第1の螺旋状スクリュウ22と第2の螺旋状スクリュウ23との最接近対向位置において、それぞれの外周が鉛直下方から鉛直上方へと回転するように構成されている。即ち、第1の螺旋状スクリュウ22は、図2において反時計方向に回転するように構成されており、第2の螺旋状スクリュウ23は、図2において時計方向に回転するように構成されている。
【0038】
このため、第1の螺旋状スクリュウ22と第2の螺旋状スクリュウ23との略中間位置において現像剤3を押し合うように寄せることができ、現像剤表面3Bを山のように盛上がった状態とすることができる。この位置は、第1の螺旋状スクリュウ22による送り方向と第2の螺旋状スクリュウ23による送り方向とが反対であることから、現像剤3の攪拌が現像装置20中で最も効果的に行われる場所であり、この位置に現像剤3を山のように盛上がった状態とすることができるため、より高い攪拌効果を得ることができる。
【0039】
また、図示せぬモータに接続された歯車等の図示せぬ駆動伝達手段により、第1の螺旋状スクリュウ22の回転数は第2の螺旋状スクリュウ23の回転数よりも5〜20%程度速い。このため、第1の螺旋状スクリュウ22による現像剤3の送り速度を、第2の螺旋状スクリュウ23による現像剤3の送り速度よりも速くすることができる。このことにより、図4に示されるように、第1の螺旋状スクリュウ22による現像剤3の送り方向の下流側、即ち、図4の右側ほど現像剤表面3Bが高くなり、送り方向の上流側、即ち、図4の左側ほど、現像剤表面3Bが低くなるような現像剤表面3Bの高さの傾斜を生じさせることができる。このことにより、第1の螺旋状スクリュウ22の最下流端に相当する他端22Dの位置に、一時的な現像剤3の滞留3Dを形成することができる。
【0040】
また、トナー3Aを第1の螺旋状スクリュウ22に供給する部分であるトナー補給装置27のトナー補給用スクリュウ27Aの一端27Bは、図3、図4に示されるように、後述する第1の螺旋状スクリュウ22による現像剤3の送り方向における螺旋状部22Bの最上流位置から下流方向へ向った螺旋状部22Bの1ピッチよりも短い位置に配置されている。第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23により現像剤3を攪拌、混合しながら現像剤3を搬送する場合には、トナー補給装置27から補給されたトナー3Aの帯電量の立ち上がり量は、当該補給されたトナー3Aの搬送距離に比例する。このため、上述の位置にトナー3Aを供給する部分を設けたため、第1の螺旋状スクリュウ22の軸方向の長さ分すべてを搬送経路の長さとすることができ、トナー補給用スクリュウ27Aの一端27Bから第1の現像スリーブ24、第2の現像スリーブ25に至るまでのトナー3Aの搬送経路をより長く確保することができ、トナー3Aと現像剤3との攪拌効果を高め、且つ、補給されたトナー3Aを十分に帯電させることができる。
【0041】
第1の螺旋状スクリュウ22及び第2の螺旋状スクリュウ23の回転が停止しているときには、図2又は図5に示されるように、第1の螺旋状スクリュウ22におけるトナー補給位置たるトナー補給用スクリュウ27Aの一端27Bの位置において、現像剤表面3Bから第1の螺旋状スクリュウ22の軸部22Aまでの距離が8mm以下であるか、又は第1の螺旋状スクリュウ22の軸部22Aが現像剤表面3Bから突出するように構成されている。
【0042】
上述のような方向に第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23がそれぞれ回転し、また、トナー補給装置27のトナー補給用スクリュウ27Aの一端27Bは、後述する第1の螺旋状スクリュウ22による現像剤3の送り方向における螺旋状部22Bの最上流位置から下流方向へ向った螺旋状部22Bの1ピッチよりも短い位置に配置されており、しかも、第1の螺旋状スクリュウ22の回転数は第2の螺旋状スクリュウ23の回転数よりも5〜20%程度速いため、第1の螺旋状スクリュウ22に供給する位置であるトナー補給用スクリュウ27Aの一端27Bの位置では、現像剤収容容器21の下壁21Bから現像剤表面3Bまでの厚さは、第1の螺旋状スクリュウ22による後述の現像剤3の搬送方向において最も薄くなっている。このため、図5に示されるように、現像剤3が山のように盛り上がった状態となっている第1の螺旋状スクリュウ22の軸部22Aと第2の螺旋状スクリュウ23の軸部23Aとの間の位置から現像剤収容容器21の背面壁21Cへ向けて、現像剤表面3Bの図5の左下へ向う傾斜が最も大きくなっている。
【0043】
また、この位置、即ち、トナー補給装置27によってトナー3Aが供給される位置は、第2の螺旋状スクリュウ23による現像剤3の搬送経路から第1の螺旋状スクリュウ22による現像剤3の搬送経路へと現像剤3Aが流入してくる位置でもあるため、図5に示されるように、第1の螺旋状スクリュウ22の軸部22A近傍の位置において、滝のような比較的激しい現像剤3の流れ3Cが形成される。そこで、補給したトナー3Aの一部が滞留して攪拌されないでいる状態が生ずることを防止することができ、スムーズに現像剤3の内部に引き込まれるようにするために、前述のように、第1の螺旋状スクリュウ22及び第2の螺旋状スクリュウ23の回転が停止しているときには、第1の螺旋状スクリュウ22におけるトナー補給位置たるトナー補給用スクリュウ27Aの一端27Bの位置において、現像剤表面3Bから第1の螺旋状スクリュウ22の軸部22Aまでの距離が8mm以下であるか、又は第1の螺旋状スクリュウ22の軸部22Aが現像剤表面3Bから突出するように構成されている。
【0044】
上記構成により、トナー補給装置27からトナー3Aが補給されトナー濃度が高くなっている第1の螺旋状スクリュウ22による現像剤3の搬送経路内、即ち、第1の螺旋状スクリュウ22の軸部22Aと螺旋状部22Bとにより画成される空間及びその近傍の位置において、トナー3Aの攪拌効果を高めることができる。
【0045】
このことにより、現像剤3の寿命が短くなることを防止し、且つ、トナー3Aが補給された直後に現像剤3内にスムーズに引き込まれ、補給されたトナー3Aが第1の現像スリーブ24、第2の現像スリーブ25近傍に導かれるまでに現像剤3の混合攪拌を十分に行うことができる。また、補給されたトナー3Aが、第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23の軸方向において拡散が十分に行われるため、補給されたトナー3Aが帯電されなかったり、補給されたトナー3Aが現像剤3の表面に浮き上がった状態で現像スリーブまで搬送されたりするということを防止することができ、現像むらや、かぶり、トナー飛散といった不具合の無い、良好な印刷画像を得ることができる。
【0046】
第1の螺旋状スクリュウ22の他端22Dと、第2の螺旋状スクリュウ23の一端23Cとには、図3に示されるように、それぞれピッチが螺旋状部22B、23Bよりも小さい螺旋状の狭ピッチ部22E、23Eが1ピッチ分設けられている。このため、後述のように、第1の螺旋状スクリュウ22の他端22D、第2の螺旋状スクリュウ23の一端23Cに搬送された現像剤3を、スムーズに第2の螺旋状スクリュウ23の他端23D、第1の螺旋状スクリュウ22の一端22Cに搬送することができる。
【0047】
第2の螺旋状スクリュウ23によって搬送される現像剤3の搬送経路内は、即ち、第2の螺旋状スクリュウ23の軸部23Aと螺旋状部22Bとにより画成される空間及びその近傍の位置には、図1、図3に示されるように、トナー濃度センサ30が設けられている。トナー濃度センサ30は、図3に示されるように、第2の螺旋状スクリュウ23の軸方向にその一端23Cから他端23Dへ向って第2の螺旋状スクリュウ23の軸部23Aの軸方向長さの1/4程度離れた位置、即ち、図3に示される第2の螺旋状スクリュウ23の左端から右端へ向って第2の螺旋状スクリュウ23の軸部23Aの軸方向長さの1/4程度離れた位置の、現像剤収容容器21を構成する下壁21Bに設置されている。なお、図3及び後述の図6では、説明の便宜上、第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23の上に黒丸でトナー濃度センサ30が設けられている位置を図示している。トナー濃度センサ30により現像剤3中のトナー濃度が一定レベル以下になったことを検知したときには、トナー補給装置27が動作し、トナー3Aが現像剤収容容器21中に補給されるように構成されている。トナー濃度センサ30としては透磁率感知式のセンサが用いられている。
【0048】
この位置にトナー濃度センサ30が設けられているため、補給されたトナー3Aが十分に混合攪拌され、且つ現像剤3の送り方向に十分に拡散している位置たる第2の螺旋状スクリュウ23の位置で、トナー濃度の検出を行うことができる。このため、トナー濃度センサ30が浮遊しているトナー3Aを検出して誤動作したり、トナー濃度が安定しなかったりすることを防止することができ、トナー3Aの補給制御を安定させることができる。
【0049】
画像形成の際には、第1の螺旋状スクリュウ22及び第2の螺旋状スクリュウ23が同時に回転する。第1の螺旋状スクリュウ22においては、第1の螺旋状スクリュウ22が回転することにより第1の螺旋状スクリュウ22の回転軸方向の一端22Cから他端22Dへと現像剤3を搬送してトナーとキャリアとの攪拌を行う。第1の螺旋状スクリュウ22の他端22Dに搬送された現像剤3は、第1の螺旋状スクリュウ22の他端22Dにおいて第2の螺旋状スクリュウ23の他端23Dへと受け渡される。
【0050】
第1の螺旋状スクリュウ22の他端22Dにおいて第2の螺旋状スクリュウ23の他端23Dへと受け渡された現像剤3は、第2の螺旋状スクリュウ23において第2の螺旋状スクリュウ23が回転することにより第2の螺旋状スクリュウ23の回転軸方向の他端23Dから一端23Cへと搬送されてトナー3Aとキャリアとが攪拌される。そして、第2の螺旋状スクリュウ23の一端23Cに搬送された現像剤3は、第2の螺旋状スクリュウ23の一端23Cにおいて現像剤3は第1の螺旋状スクリュウ22の一端22Cへと受け渡される。このように、第1の螺旋状スクリュウ22における搬送経路と第2の螺旋状スクリュウ23における搬送経路とにおいて現像剤3が搬送されることにより、トナー3Aとキャリアとの攪拌を行うことができるように構成されている。
【0051】
トナー濃度センサ30によって、トナーの濃度が所定の値よりも低くなったことを検出したときには、トナー補給装置27のトナー補給用スクリュウ27Aの一端27Bからトナー3Aが第1の螺旋状スクリュウ22へ供給される。補給されたトナー3Aは、前述のように補給直後にトナー供給位置において現像剤表面3Bに生じている滝のような比較的激しい現像剤3の流れに飲み込まれ、スムーズに現像剤3の内部に引き込まれ、上述のように、第1の螺旋状スクリュウ22及び第2の螺旋状スクリュウ23により構成される現像剤3の搬送経路内において搬送され、現像剤3と攪拌され帯電される。
【0052】
次に、本発明の第2の実施の形態による現像装置及び電子写真装置について説明する。第2の実施の形態による現像装置及び電子写真装置では、第1の螺旋状スクリュウの螺旋状部のピッチが第2の螺旋状スクリュウの螺旋状部のピッチよりも大きく、また、第1の螺旋状スクリュウの回転数と第2の螺旋状スクリュウの回転数とが同一となるように、図示せぬモータと第1の螺旋状スクリュウ及び第2の螺旋状スクリュウとを駆動連結する図示せぬ歯車等からなる駆動伝達手段が構成されている点において、第1の実施の形態による現像装置及び電子写真装置とは異なる。これ以外の構成は第1の実施の形態と同一である。このような構成とすることにより、第1の螺旋状スクリュウによる現像剤の送り速度を、第2の螺旋状スクリュウによる現像剤の送り速度よりも速くすることができ、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
次に、本実施の形態による現像装置及び電子写真装置の効果を確認するための試験を行った。試験では、本実施の形態による現像装置20を備える電子写真装置1を用い、また、また、比較の対象として、本実施の形態による現像装置20を備える電子写真装置1の一部の構成を変更したものを用いた。
【0054】
具体的には、(1)トナー濃度センサを、図6に示されるように様々な位置に設けた現像装置と、(2)(1)の現像装置に更に第1の螺旋状スクリュウ22による現像剤3の送り速度を、第2の螺旋状スクリュウ23による現像剤3の送り速度と同じにした現像装置と、(3)第1の螺旋状スクリュウ22及び第2の螺旋状スクリュウ23の回転が停止しているときに、第1の螺旋状スクリュウ22におけるトナー補給位置たるトナー補給用スクリュウ27Aの一端27Bの位置において、現像剤表面3Bから第1の螺旋状スクリュウ22の軸部22Aまでの距離が8mmを超える現像装置と、(4)第1の実施の形態における螺旋状スクリュウの螺旋状部22B、23B間に、図8に示されるような、軸部22A、23Aの軸方向へ延びる平板状のフラットフィン41を設けた現像装置とを比較の対象として用いた。
【0055】
図6に示されるように、第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23による現像剤3の搬送経路中に、上流から下流に向う方向に略等間隔で6箇所(a)〜(f)にトナー濃度センサを設けて、トナー濃度の検出を行った結果は、図7の各グラフに示されるとおりである。図7の各グラフにおいては、横軸は時間(t)、縦軸はトナー濃度センサの出力(Tc)を示しており、縦軸の値が大きい程、トナー濃度が高いことを意味する。
【0056】
図7に示されるように、トナー3Aが供給された位置から第1の螺旋状スクリュウ22による現像剤3の搬送方向下流にゆくにつれて(a)、(b)、(c)と順に示されるように、トナー濃度のピークの山が小さくなり、後方の裾野が長くなっていく。そして、第1の螺旋状スクリュウ22から第2の螺旋状スクリュウ23へと現像剤3が受けわたされる他端22A、23A近傍の位置を経た後に、補給されたトナー3Aの第2の螺旋状スクリュウ23の軸方向への拡散が一気に促進され、トナー濃度センサの出力は、図7において(c)、(d)と順に示されるように、トナー濃度のピークの山が一気に小さくなる。その後、図7において(e)、(f)と順に示されるように、トナー濃度のピークの山はきわめて緩やかに小さくなる。
【0057】
ここで、上記(2)の構成の現像装置と、上記(1)の構成の現像装置とを比較すると、(2)よりも(1)の、第1の螺旋状スクリュウ22による現像剤3の送り速度を、第2の螺旋状スクリュウ23による現像剤3の送り速度よりも速くした方が、第1の螺旋状スクリュウ22から第2の螺旋状スクリュウ23へと現像剤3が受け渡される他端22A、23A近傍の位置において、補給されたトナー3Aの第2の螺旋状スクリュウ23の軸方向への拡散が多くなっていることがわかった。このことは、第1の螺旋状スクリュウ22の最下流側に一時的な現像剤3の滞留ができることで、滞留させずに等速で現像剤3を流した場合に比べ、軸方向への補給されたトナー3Aの拡散が実際に促進されていることを明らかにしている。
【0058】
また、図7の結果に示されるように、第1の螺旋状スクリュウ22における現像剤3の搬送経路においては、図7の(a)〜(c)のように、局所的にトナー濃度が高い状態が生じている。このような位置においてトナー濃度を検出してトナー3Aの補給制御を行うと、トナー濃度が安定しない。従って、トナー濃度センサにてトナー濃度を検出する位置は、補給されたトナー3Aが十分に混合攪拌され、かつ、現像剤3の送り方向に十分に拡散している位置が望ましい。そこで、第1の螺旋状スクリュウ22から第2の螺旋状スクリュウ23へと現像剤3が受け渡される位置よりも下流側が望ましく、最も下流側に位置する(f)の位置が適当であることがわかる。(f)の位置は、第1の実施の形態おけるトナー濃度センサ30の位置に一致しているため、第1の実施の形態においては、トナー3Aの補給制御を安定させることができることがわかる。
【0059】
上述の(3)の現像装置と本実施の形態による現像装置20とを比較すると、(3)では、第1の螺旋状スクリュウ22におけるトナー補給位置たるトナー補給用スクリュウ27Aの一端27Bの位置において、補給されたトナー3Aがスムーズに現像剤3の内部に引き込まれないことがあるが、本実施の形態では、補給されたトナー3Aがスムーズに現像剤3の内部に引き込まれていくことが分かった。
【0060】
上述の(4)の現像装置と本実施の形態の現像装置20とについて現像むら、かぶり、トナー飛散の比較をすると、いずれも同等の性能を発揮していることが分かった。このことから、本実施の形態では、第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23にこのような補助攪拌部材を設けなくとも、十分な現像剤攪拌性能が得られることが分かった。本実施の形態では、現像剤3にかかる機械的負荷を低減して、現像剤3の寿命を延ばすことができる分、(4)の比較の対象と比べて優れていることが分かった。
【0061】
本発明による現像装置及び電子写真装置は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、本実施の形態では螺旋状スクリュウの本数は、第1の螺旋状スクリュウ22と第2の螺旋状スクリュウ23との2本であったが、これに限定されず、複数本であれば何本であってもよい。
【0062】
また、第1の螺旋状スクリュウ22、第2の螺旋状スクリュウ23の回転数や回転の方向等は、図示せぬ駆動伝達手段によって決定されたが、CPU等の制御手段により回転数の制御や回転の方向を制御するようにしてもよい。
【0063】
また、図9に示されるように、トナー濃度センサは設けられていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の現像装置及び電子写真装置は、より長い現像剤の寿命が要求される電子写真方式のプリンタ、複写機等の画像記録装置の分野において極めて有用であり、電子写真方式のプリンタ、複写機等の画像記録装置以外にも、粉体を螺旋状スクリュウにより搬送する装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態による電子写真装置を示す概略図。
【図2】本発明の実施の形態による現像装置を示す概略側方断面図。
【図3】本発明の実施の形態による現像装置の、第1の螺旋状スクリュウ、第2の螺旋状スクリュウの部分を示す概略平面断面図。
【図4】本発明の実施の形態による現像装置の、第1の螺旋状スクリュウの部分を示す概略正面断面図。
【図5】本発明の実施の形態による現像装置を示す要部概略側方断面図。
【図6】試験で用いられた比較の対象の、第1の螺旋状スクリュウ、第2の螺旋状スクリュウの部分を示す概略平面断面図。
【図7】試験で用いられた比較の対象のトナー濃度センサによる検出結果を示すグラフ。
【図8】試験で用いられた比較の対象の第1の螺旋状スクリュウ、第2の螺旋状スクリュウを示す要部正面図
【図9】本発明の実施の形態の変形例による現像装置の、第1の螺旋状スクリュウ、第2の螺旋状スクリュウの部分を示す概略平面断面図。
【符号の説明】
【0066】
1・・・電子写真装置 3・・・現像剤 3A・・・トナー 3B・・・現像剤表面 11・・・感光体ドラム 20・・・現像装置 21・・・現像剤収容容器 22・・・第1の螺旋状スクリュウ 22・・・第2の螺旋状スクリュウ 22A、23A・・・軸部 22B、23B・・・螺旋状部 24・・・第1の現像スリーブ 25・・・第2の現像スリーブ 27・・・トナー補給装置 30・・・トナー濃度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にトナー及びキャリアを主成分とする現像剤を収容する現像剤収容容器と、
該現像剤に少なくとも一部が浸漬され、回転軸が略水平な仮想平面上において互いに平行な位置関係となるように該現像剤収容容器内において互いに近接対向配置され、少なくとも第1の螺旋状スクリュウと第2の螺旋状スクリュウとを有する複数の螺旋状スクリュウと、
略円柱状をなし該螺旋状スクリュウと平行に軸心が配置され表面に静電潜像が形成され該静電潜像の形成された該表面に該現像剤が付着される記録体に対向するとともに該第2の螺旋スクリュウと対向し、略円柱状をなし、該記録体及び該螺旋状スクリュウと平行に軸心が配置され、該記録体上へ複数の螺旋状スクリュウからの現像剤を供給する現像スリーブとを備え、
該第1の螺旋状スクリュウにおいては、該第1の螺旋状スクリュウが回転することにより該第1の螺旋状スクリュウの回転軸方向の一端から他端へと該現像剤を搬送して該トナーと該キャリアとの攪拌を行い、該第1の螺旋状スクリュウの他端において該現像剤は該第2の螺旋状スクリュウの他端へと受け渡され、該第2の螺旋状スクリュウにおいては、該第2の螺旋状スクリュウが回転することにより該第2の螺旋状スクリュウの回転軸方向の他端から一端へと該現像剤を搬送して該トナーと該キャリアとの攪拌を行い、該第2の螺旋状スクリュウの一端において該現像剤は該第1の螺旋状スクリュウの一端へと受け渡され、
該現像剤により該記録体に形成された該静電潜像を可視化させる現像装置において、
該複数の螺旋状スクリュウは、軸部と該軸部に螺旋状に巻回される螺旋状部とのみからなり、
該第1の螺旋状スクリュウによる該現像剤の送り方向における該螺旋状部の最上流位置から下流方向へ向った該螺旋状部の1ピッチよりも短い位置に該トナーを補給するためのトナー補給手段を備え、
該螺旋状スクリュウは、該第1の螺旋状スクリュウと該第2の螺旋状スクリュウとの最接近対向位置において、それぞれの外周が鉛直下方から鉛直上方へと回転し、且つ、該第1の螺旋状スクリュウによる該現像剤の送り速度の方が該第2の螺旋状スクリュウによる現像剤の送り速度よりも速いことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
該第1の螺旋状スクリュウの回転数は該第2の螺旋状スクリュウの回転数よりも速いことを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
該第1の螺旋状スクリュウの螺旋状部のピッチは該第2の螺旋状スクリュウの螺旋状部のピッチよりも大きいことを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項4】
該第1の螺旋状スクリュウ及び該第2の螺旋状スクリュウの回転停止時に、該第1の螺旋状スクリュウにおける該トナー補給手段によるトナー補給位置において、該現像剤表面から該第1の螺旋状スクリュウの該軸部までの距離が8mm以下であるか、又は該第1の螺旋状スクリュウの該軸部が該現像剤表面から突出していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の現像装置。
【請求項5】
該第2の螺旋状スクリュウによって搬送される該現像剤の搬送経路内の所定位置には、トナー濃度センサが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一記載の現像装置を備える電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−58504(P2006−58504A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238988(P2004−238988)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】